(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H01F 27/32 20060101AFI20230517BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20230517BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
H01F27/32 103
H01F27/32 140
H01F27/32 130
H01F27/28 156
H01F27/28 152
H01F27/28 176
H01F27/28 128
H01F27/28 133
H02M3/28 Z
H02M3/28 H
H02M3/28 V
H02M3/28 Y
(21)【出願番号】P 2020526842
(86)(22)【出願日】2018-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2018024764
(87)【国際公開番号】W WO2020003481
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】池田 康亮
(72)【発明者】
【氏名】比留間 義明
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231616(JP,A)
【文献】特開2015-089146(JP,A)
【文献】特開2014-093926(JP,A)
【文献】特開2000-173839(JP,A)
【文献】特開2014-131395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F27/28-30
H01F27/32
H01F41/12
H02M3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次コイルと、
前記一次コイルに対向して配置される二次コイルと、
前記一次コイル及び前記二次コイルを封止する封止樹脂からなるコイル封止部と、
前記一次コイルに電気的に接続される一次側電子素子を封止する一次側封止部と、
前記二次コイルに電気的に接続される二次側電子素子を封止する二次側封止部と、
を備え、
前記一次コイルと前記一次側封止部内まで延びる一次側端子と
が一体に
なり、前記一次コイルと前記一次側端子とを連結するための締結部材が設けられない、
及び前記二次コイルと前記二次側封止部内まで延びる二次側端子と
が一体になり、
前記二次コイルと前記二次側端子とを連結するための締結部材が設けられない、電子装置。
【請求項2】
前記一次コイルは、第一コイルと、前記第一コイルに連結された第二コイルとを有する請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記一次側電子素子及び前記一次側封止部を有する第一電子モジュールをさらに備え、
前記第一電子モジュールは、一次側基板と、前記一次側基板に設けられた一次側導体層と、を有する請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記二次側電子素子及び前記二次側封止部を有する第二電子モジュールをさらに備え、
前記第二電子モジュールは、二次側基板と、前記二次側基板に設けられた二次側導体層と、を有する請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記コイル封止部と前記一次側封止部との間において、前記一次側端子に第一屈曲部が設けられる請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記コイル封止部と前記二次側封止部との間において、前記二次側端子に第二屈曲部が設けられる請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記コイル封止部と前記一次側封止部との間において、前記一次側端子に第一屈曲部が設けられ、
前記コイル封止部と前記二次側封止部との間において、前記二次側端子に第二屈曲部が設けられ、
前記コイル封止部の裏面、前記一次側封止部の裏面及び前記二次側封止部の裏面は冷却体に当節可能となる請求項1に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次コイル及び二次コイルを有する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一次コイル及び二次コイルを有するトランス等の電子装置において、各コイルでの電気的な絶縁を保つために、各コイルを構成する配線間に絶縁シートを設けることが一般的であった。しかしながら、このような絶縁シートを設ける場合には、絶縁シートの間に不可避的に空間が形成されてしまうことから、熱伝導率が下がってしまうという問題がある。
【0003】
特開2014-56868号では熱伝導性の良好な樹脂を用いて放熱性を確保することが提案されているものの、放熱性の観点からはまだ十分なものとは言えなかった。
【0004】
また、従来から特開平5-283247のようにコイルを樹脂封止することは提案されているが、単純に一つのコイルを樹脂封止することが提案されるに留まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一次コイル及び二次コイルを有する電子装置において、熱伝導率及び放熱性をより高めることができる態様を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[概念1]
本発明による電子装置は、
一次コイルと、
前記一次コイルに対向して配置される二次コイルと、
前記一次コイル及び前記二次コイルを封止する封止樹脂からなるコイル封止部と、
前記一次コイルに電気的に接続される一次側電子素子を封止する一次側封止部と、
前記二次コイルに電気的に接続される二次側電子素子を封止する二次側封止部と、
を備えてもよい。
【0007】
[概念2]
本発明の概念1による電子装置において、
前記一次コイルと前記一次側封止部内まで延びる一次側端子とは一体になってもよい。
【0008】
[概念3]
本発明の概念1又は2による電子装置において、
前記二次コイルと前記二次側封止部内まで延びる二次側端子とは一体になってもよい。
【0009】
[概念4]
本発明の概念1乃至3のいずれか1つによる電子装置において、
前記一次コイルは、第一コイルと、前記第一コイルに連結された第二コイルとを有してもよい。
【0010】
[概念5]
本発明の概念1乃至4のいずれか1つによる電子装置は、
前記一次側電子素子及び前記一次側封止部を有する第一電子モジュールをさらに備え、
前記第一電子モジュールは、一次側基板と、前記一次側基板に設けられた一次側導体層と、を有してもよい。
【0011】
[概念6]
本発明の概念1乃至5のいずれか1つによる電子装置は、
前記二次側電子素子及び前記二次側封止部を有する第二電子モジュールをさらに備え、
前記第二電子モジュールは、二次側基板と、前記二次側基板に設けられた二次側導体層と、を有してもよい。
【0012】
[概念7]
本発明の概念1乃至6のいずれか1つによる電子装置において、
前記一次コイルと前記一次側封止部内まで延びる一次側端子とは一体になり、
前記コイル封止部と前記一次側封止部との間において、前記一次側端子に第一屈曲部が設けられてもよい。
【0013】
[概念8]
本発明の概念1乃至7のいずれか1つによる電子装置において、
前記二次コイルと前記二次側封止部内まで延びる二次側端子とは一体になり、
前記コイル封止部と前記二次側封止部との間において、前記二次側端子に第二屈曲部が設けられてもよい。
【0014】
[概念9]
本発明の概念1乃至8のいずれか1つによる電子装置において、
前記一次コイルと前記一次側封止部内まで延びる一次側端子とは一体になり、
前記コイル封止部と前記一次側封止部との間において、前記一次側端子に第一屈曲部が設けられ、
前記二次コイルと前記二次側封止部内まで延びる二次側端子とは一体になり、
前記コイル封止部と前記二次側封止部との間において、前記二次側端子に第二屈曲部が設けられ、
前記コイル封止部の裏面、前記一次側封止部の裏面及び前記二次側封止部の裏面は冷却体に当節可能となってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様として、一次コイル及び二次コイルを封止する封止樹脂からなるコイル封止部が設けられる態様を採用した場合には、従前利用されていたような絶縁シートを必ずしも設ける必要がなくなり、ひいては絶縁シートの間に不可避的に形成されていた空間をなくすことができる。このため、熱伝導率を上げることができ、放熱性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる電子装置をリードフレームから分離する前を示した平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル封止部、一次側封止部及び二次側封止部を示した
図1に対応する平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる一次コイル及び二次コイルを示した側方図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる二次コイルを示した斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる一次コイル及び一次側端子を示した斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる一次側電子素子及び二次側電子素子を示した側方断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる一次側電子素子及び二次側電子素子の別の態様を示した側方断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル封止部、一次側封止部及び二次側封止部と冷却体との関係を示した側方図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル封止部とコアとの関係を示した側方図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2の実施の形態で用いられうるコイル封止部、一次側封止部及び二次側封止部と冷却体との関係を示した側方図である。
【
図11】
図11は、本発明の第3の実施の形態で用いられうるコイル封止部、一次側封止部及び二次側封止部と冷却体との関係を示した側方図である。
【
図12】
図12は、本発明の第4の実施の形態で用いられうるコイル封止部、一次側封止部及び二次側封止部と冷却体との関係を示した側方図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施の形態で用いられうる一次側封止部と二次側封止部の配置態様の一例を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の実施の形態
《構成》
本実施の形態において、「一方側」は
図3の上方側を意味し、「他方側」は
図3の下方側を意味する。
図3の上下方向を「第一方向」と呼び、左右方向を「第二方向」と呼び、紙面の表裏方向を「第三方向」と呼ぶ。第二方向及び第三方向を含む面内方向を「面方向」という。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態による電子装置は、一次コイル10と、一次コイル10の一方側又は他方側で一次コイル10に対向して配置される二次コイル20(
図3参照)と、一次コイル10及び二次コイル20を封止する封止樹脂からなるコイル封止部50(
図2参照)と、一次コイル10に電気的に接続される一次側電子素子110を封止する一次側封止部150(
図2参照)と、二次コイル20に電気的に接続される二次側電子素子210を封止する二次側封止部250(
図2参照)と、を有してもよい。一次コイル10はリードフレームから構成されてもよく、
図1に示す態様ではリードフレームで形成された一次コイル10が示されている。二次コイル20の厚みは一次コイル10の厚みよりも厚くなってもよい。
【0019】
図1及び
図2に示すように、一次側電子素子110及び一次側封止部150を有する第一電子モジュール100が設けられてもよい。
図1に示すように、第一電子モジュール100は、一次側基板120と、一次側基板120の一方面に設けられた複数の一次側導体層130と、一次側導体層130の一方面に設けられた一次側電子素子110と、を有してもよい。一次側電子素子110、一次側基板120の一方側の面及び一次側導体層130の一方側の面は一次側封止部150によって封止されてもよい(
図2参照)。一次側封止部150は一次側封止樹脂から構成されてもよい。
【0020】
図6に示すように、一次側電子素子110の一方面には一次側第一電極(例えばソース電極)111及び一次側第二電極(例えばゲート電極)112が設けられ、一次側電子素子110の他方面には一次側第三電極(例えばドレイン電極)113が設けられてもよい。一次側第一電極111と一次側導体層130とは一次側第一接続子116(
図1参照)及びはんだ等の導電性接着剤(図示せず)を介して接続されてもよい。一次側第二電極112と一次側導体層130とは一次側第二接続子117(
図1参照)及びはんだ等の導電性接着剤を介して接続されてもよい。一次側第三電極113と一次側導体層130とははんだ等の導電性接着剤を介して接続されてもよい。また、
図7に示すように、一次側電子素子110の一方面には一次側第一電極111が設けられ、一次側電子素子110の他方面には一次側第二電極112が設けられてもよい。
【0021】
図1及び
図2に示すように、二次側電子素子210及び二次側封止部250を有する第二電子モジュール200が設けられてもよい。
図1に示すように、第二電子モジュール200は、二次側基板220と、二次側基板220の一方面に設けられた複数の二次側導体層230と、二次側導体層230の一方面に設けられた二次側電子素子210と、を有してもよい。二次側電子素子210、二次側基板220の一方側の面及び二次側導体層230の一方側の面は二次側封止部250によって封止されてもよい(
図2参照)。二次側封止部250は二次側封止樹脂から構成されてもよい。一次側封止樹脂と二次側封止樹脂とは同じ樹脂材料から構成されてもよいし、異なる樹脂材料から構成されてもよい。
【0022】
図7に示すように、二次側電子素子210の一方面には二次側第一電極211が設けられ、二次側電子素子210の他方面には二次側第二電極212が設けられてもよい。二次側第一電極211と二次側導体層230とは二次側第一接続子216(
図1参照)とはんだ等の導電性接着剤を介して接続されてもよい。また、
図6に示すように、二次側電子素子210の一方面には二次側第一電極(例えばソース電極)211及び二次側第二電極(例えばゲート電極)212が設けられ、二次側電子素子210の他方面には二次側第三電極(例えばドレイン電極)213が設けられてもよい。二次側第三電極213と二次側導体層230とははんだ等の導電性接着剤を介して接続されてもよい。
【0023】
図5に示すように、一次コイル10と一次側封止部150内まで延びる一次側端子60とは一体になってもよい。
図4に示すように、二次コイル20と二次側封止部250内まで延びる二次側端子70とは一体になってもよい。一次側端子60は、一次側基板120の一方側に設けられた一次側導体層130の一方側の面に導電性接着剤を介して設けられてもよい。二次側端子70は、二次側基板220の一方側に設けられた二次側導体層230の一方側の面に導電性接着剤を介して設けられてもよい。
【0024】
図3に示すように、一次コイル10は、第一コイル10aと、第一コイル10aに連結された第二コイル10bとを有してもよい。第一コイル10aの一方側に第二コイル10bが設けられ、第一コイル10aと第二コイル10bとは第一方向に沿って延びる直線状の接続部19で連結されてもよい。接続部19は第一方向に完全に平行になっている必要はなく、第一方向に傾斜していてもよい。「第一方向に沿って延びる」という態様には、このように第一方向に傾斜して延びる態様も含まれている。第二コイル10bの一方側に二次コイル20が設けられてもよい。側方から見たときに、一次側基板120よりも一次コイル10は一方側に設けられ、一次コイル10よりも二次コイル20は一方側に設けられてもよい。
【0025】
図5に示すように、第一コイル10aと一次側第一端子60aとが一体となってもよい。また、第二コイル10bと一次側第一端子60aよりも一方側に位置する一次側第二端子60bとが一体となってもよい。
【0026】
一次コイル10の第一コイル10a及び第二コイル10bは同じ巻き数から構成されてもよいし、異なる巻き数から構成されてもよい。一例としては、一次コイル10の第一コイル10a及び第二コイル10bの各々は5回の巻き数からなってもよい。二次コイル20は巻き数が1からなってもよいし、2以上の巻き数となってもよい。二次コイル20については巻き数が1未満となり、1回転しない態様であってもよい。
【0027】
図9に示すように、一次コイル10及び二次コイル20を通過するコア500が設けられてもよい。コア500は脚部510を有し、当該脚部510がコイル封止部50に設けられた開口部51を通過するようにして設けられてもよい。コア500の脚部510はコイル封止部50の内周面に当接するようにして設けられてもよい。コア500の外周部はコイル封止部50の外周を覆うようにして設けられてもよい。
【0028】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果の一例について説明する。なお、「効果」で説明するあらゆる態様を、上記構成で採用することができる。
【0029】
本実施の形態において、一次コイル10及び二次コイル20を封止する封止樹脂からなるコイル封止部50が設けられる態様を採用した場合には、従前利用されていたような絶縁シートを設ける必要がなくなり、ひいては絶縁シートの間に不可避的に形成されていた空間をなくすことができる。このため、熱伝導率を上げることができ、放熱性を高めることができる。但し、このようにコイル封止部50内には絶縁シート等の絶縁部材を設けなくてもよいが、必要に応じて絶縁シート等の絶縁部材が設けられてもよい。
【0030】
図5に示すように、一次コイル10と一次側封止部150内まで延びる一次側端子60とが一体になっている態様を採用した場合には、一次コイル10と一次側端子60とは例えばリードフレームのような部材に形成しておき、不要な部分を除去することで一次コイル10と一次側端子60が一体となった部材を容易に製造することができる点で有益である。
図5に示す態様では、一次コイル10の第一コイル10aと一次側第一端子60aとがリードフレームによって構成されており、リードフレームの外枠を除去することで、第一コイル10aと一次側第一端子60aとが一体となった部材を形成できる。一次コイル10の第二コイル10bと一次側第二端子60bとがリードフレームによって構成されてもよい。この場合には、リードフレームの外枠を除去することで、第二コイル10bと一次側第二端子60bとが一体となった部材を形成できる。
【0031】
図5に示すように、コイル封止部50で封入される一次コイル10と一次側封止部150で封入される一次側端子60とを一体構成とすることで、一次コイル10及び二次コイル20を有するトランスと、一次側電子素子110を有する第一電子モジュール100との配線距離を短くすることができ、小型化かつ高放熱性を実現できる。特に一次側電子素子110がスイッチング素子を含む場合にはノイズの発生が問題となることがあるが、本態様によれば配線距離を短くすることで当該ノイズの発生を抑制できる。特に
図1に示すような態様では、一次側基板120、一次側導体層130、一次側電子素子110及び一次側封止部150を有する第一電子モジュール100を、一次コイル10、二次コイル20及びコイル封止部50を有するトランスユニットと近接した距離に配置することができ、装置を小型化することもできる。
【0032】
二次コイル20と二次側封止部250内まで延びる二次側端子70とが一体になっている態様を採用した場合には、二次コイル20と二次側端子70とは例えばリードフレームのような部材に形成しておき、不要な部分を除去することで次コイルと二次側端子70が一体となった部材を容易に製造することができる。
【0033】
図3に示すように、コイル封止部50で封入される二次コイル20と二次側封止部250で封入される二次側端子70とを一体構成とすることで、一次コイル10及び二次コイル20を有するトランスと、二次側電子素子210を有する第二電子モジュール200との配線距離を短くすることができ、小型化かつ高放熱性を実現できる。特に二次側電子素子210がスイッチング素子を含む場合にはノイズの発生が問題となることがあるが、本態様によれば配線距離を短くすることで当該ノイズの発生を抑制できる。特に
図1に示すような態様では、二次側基板220、二次側導体層230、二次側電子素子210及び二次側封止部250を有する第二電子モジュール200を、一次コイル10、二次コイル20及びコイル封止部50を有するトランスユニットと近接した距離に配置することができ、装置を小型化することもできる。
【0034】
図8に示すように、コイル封止部50の他方面(裏面)、一次側封止部150の他方面(裏面)及び二次側封止部250の他方面(裏面)にヒートシンクのような冷却体350が設けられるようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、コイル封止部50、一次側封止部150及び二次側封止部250を冷却体350で冷却することができる点で有益である。
【0035】
なお、本実施の形態では、
図1に示されるように、リードフレームで一部が形成されたコイル10,20と、リードフレームに取り付けられた基板120,220も提供される。また、
図2に示されるように、リードフレームで一部が形成されたコイル10,20及びコイル封止部50を有するトランスユニットと、リードフレームに取り付けられた基板120,220及び基板120,220に設けられた電子素子110,210を有する電子モジュール100,200も提供される。
【0036】
基板120,220としてはセラミック基板、絶縁樹脂層等を採用することができる。導電性接着剤としては、はんだの他、AgやCuを主成分とする材料を用いることもできる。なお、基板120,220としては回路パターニングを施した金属基板を用いることもできる。この場合には、基板120,220が導体層130,230を兼ねることになる。
【0037】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0038】
図10に示すように、本実施の形態では、コイル封止部50と一次側封止部150との間の一次側端子60に第一屈曲部310が設けられる態様となっている。その他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。第1の実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。
【0039】
本実施の形態によれば、コイル封止部50と二次側封止部250を面方向に沿って配置するとともに、一次側封止部150を当該面方向に対して所定の角度(例えば60度、90度、120度等)で屈曲した方向に沿って配置することができる。このため、ある面方向での大きさを小さくすることができる。
【0040】
また、このように屈曲させることで、一次側封止部150内に封入された一次側電子素子110から二次側封止部250に封入された二次側電子素子210へのノイズ等の影響を出にくくし、かつ二次側電子素子210から一次側封止部150に封入された二次側電子素子210へのノイズ等の影響を出にくくすることができる。
【0041】
本実施の形態でも、コイル封止部50の裏面、一次側封止部150の裏面及び二次側封止部250の裏面にヒートシンクのような冷却体350が設けられるようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、コイル封止部50、一次側封止部150及び二次側封止部250を冷却体350で冷却することができる点で有益である。
【0042】
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0043】
図11に示すように、本実施の形態では、コイル封止部50と二次側封止部250との間の二次側端子70に第二屈曲部320が設けられる態様となっている。その他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。第1の実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。
【0044】
本実施の形態によれば、コイル封止部50と一次側封止部150を面方向に沿って配置するとともに、二次側封止部250を当該面方向に対して所定の角度(例えば60度、90度、120度等)で屈曲した方向に沿って配置することができる。このため、ある面方向での大きさを小さくすることができる。
【0045】
また、このように屈曲させることで、一次側封止部150内に封入された一次側電子素子110から二次側封止部250に封入された二次側電子素子210へのノイズ等の影響を出にくくし、かつ二次側電子素子210から一次側封止部150に封入された二次側電子素子210へのノイズ等の影響を出にくくすることができる。
【0046】
本実施の形態でも、コイル封止部50の裏面、一次側封止部150の裏面及び二次側封止部250の裏面にヒートシンクのような冷却体350が設けられるようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、コイル封止部50、一次側封止部150及び二次側封止部250を冷却体350で冷却することができる点で有益である。
【0047】
第4の実施の形態
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0048】
図12に示すように、本実施の形態では、コイル封止部50と一次側封止部150との間の一次側端子60に第一屈曲部310が設けられ、コイル封止部50と二次側封止部250との間の二次側端子70に第二屈曲部320が設けられる態様となっている。その他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。第1の実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。
【0049】
本実施の形態によれば、コイル封止部50、一次側封止部150及び二次側封止部250の各々を異なる面方向に沿って配置することができる。また、一次側封止部150と二次側封止部250に関しては、互いの裏面が対面するように配置することもできる。コイル封止部50と一次側封止部150とが第一角度(例えば60度、90度、120度等)の角度で屈曲して配置され、コイル封止部50と二次側封止部250とが第二角度(例えば60度、90度、120度等)の角度で屈曲して配置されてもよい。
【0050】
本実施の形態でも、コイル封止部50の裏面、一次側封止部150の裏面及び二次側封止部250の裏面にヒートシンクのような冷却体350が設けられるようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、コイル封止部50、一次側封止部150及び二次側封止部250を冷却体350で冷却することができる点で有益である。一例として、例えばコイル封止部50と一次側封止部150とが90度で屈曲して配置され、コイル封止部50と二次側封止部250とが90度で屈曲して配置される態様を採用した場合には、ヒートシンク等からなる冷却体350の3つの面の各々に対してコイル封止部50の裏面、一次側封止部150の裏面及び二次側封止部250の裏面が当接するように配置することができ、高い冷却効果を期待できる点で有益である。
【0051】
一次側端子60と二次側端子70とは直線状に沿って設けられる必要はなく、例えば面方向で互いに直交して設けられてもよいし、面方向で90度ではない角度で公差するようにして設けられてもよい。
図13では、一次側端子60と二次側端子70とが面方向で互いに直交する態様が示されている。このように、本実施の形態によれば、面方向のあらゆる方向で一次側封止部150及び二次側封止部250を配置し、かつ第一屈曲部310及び第二屈曲部320を用いて曲げることができる。
【0052】
上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【符号の説明】
【0053】
10 一次コイル
10a 第一コイル
10b 第二コイル
20 二次コイル
50 コイル封止部
60 一次側端子
70 二次側端子
100 第一電子モジュール
110 一次側電子素子
120 一次側基板
130 一次側導体層
150 一次側封止部
200 第二電子モジュール
210 二次側電子素子
220 二次側基板
230 二次側導体層
250 二次側封止部
310 第一屈曲部
320 第二屈曲部
350 冷却体