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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】血管閉塞デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020560443
(86)(22)【出願日】2019-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019030136
(87)【国際公開番号】W WO2019213212
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】15/970,805
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(73)【特許権者】
【識別番号】522162015
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ ホールディングス リミテッド ライアビリティー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Stryker European Operations Holdings LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジャク
(72)【発明者】
【氏名】リー,アンドリュー,エス.
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00894503(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0242893(US,A1)
【文献】米国特許第09060777(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0112415(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0312824(US,A1)
【文献】特表2017-516552(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0060400(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管閉塞デバイスであって、
拘束されていない展開構成と拘束された送達構成とを有する内側編組部材であって、第1の材料組成物からなる複数のセクションを含み、前記複数のセクションが、前記血管閉塞デバイスに沿って長手方向にジグザグパターンで延びて複数の屈曲を規定し、各屈曲が単一のワイヤにより構成され、前記複数のセクションのペアが形成する少なくとも1の屈曲が、当該内側編組部材が展開構成にあるときに、第1の編組角度を規定する、内側編組部材と、
前記内側編組部材の周囲に少なくとも部分的に配置された外側編組部材であって、拘束されていない展開構成と拘束された送達構成とを有する外側編組部材とを備え、
前記外側編組部材が、前記第1の材料組成物とは異なる第2の材料組成物からなる複数のフィラメントを含み、
前記第1の材料組成物が、前記第2の材料組成物よりも大きな放射線不透過性を有し、
前記複数のフィラメントのペアが、前記外側編組部材が展開構成にあるときに、前記第1の編組角度と実質的に等しい第2の編組角度を規定し、
前記ジグザグパターンおよび前記複数の屈曲のそれぞれは、直線軌跡どうしが単一の屈曲点で屈曲して形成されていることを特徴とする血管閉塞デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、
前記複数のセクションが、約0.0005インチ~約0.003インチの範囲の直径の円形断面を有することを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスにおいて、
前記複数のセクションが、非円形の断面を有することを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項3に記載のデバイスにおいて、
前記複数のセクションが、矩形の断面を有することを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記複数のセクションが、2~12本のフィラメントからなることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記第1の材料組成物が、Pt族金属、Ta、Auおよびそれらの合金からなる群のなかから選択された1または複数の材料を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記複数のフィラメントが、約0.0005インチ~約0.003インチの範囲の直径の円形断面を有することを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記複数のフィラメントが、非円形の断面を有することを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のデバイスにおいて、
前記複数のフィラメントが、矩形の断面を有することを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記複数のフィラメントが、16~96本のフィラメントからなり、前記第2の材料組成物が、超弾性合金を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のデバイスにおいて、
前記複数のフィラメントが、24本のフィラメントからなることを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記内側編組部材および前記外側編組部材が、1または複数の連結位置で互いに連結されていることを特徴とするデバイス。
【請求項13】
請求項12に記載のデバイスにおいて、
前記内側編組部材および前記外側編組部材が、それぞれの第1の端部および第2の端部で互いに連結されていることを特徴とするデバイス。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
編組された閉塞デバイスが、両端に半円形を持つ矩形状の断面を有することを特徴とするデバイス。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記複数のセクションのペアは、前記内側編組部材が送達構成にあるときに、第3の編組角度を規定し、
前記複数のフィラメントのペアは、前記外側編組部材が送達構成にあるときに、前記第3の編組角度と実質的に等しい第4の編組角度を規定することを特徴とするデバイス。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記第2の材料が、前記第1の材料よりも大きな超弾性を有することを特徴とするデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された実施形態の分野は、概して、ヒト患者の血管内に塞栓または血管閉塞を確立するための血管閉塞デバイスに関する。より具体的には、開示された実施形態は、少なくとも部分的に編組された又は編まれた血管閉塞デバイス、およびその放射線不透過性の特徴に関する。
【背景技術】
【0002】
血管閉塞デバイスまたはインプラントは、血管内動脈瘤の治療を含む多種多様な理由で使用されている。一般的に使用される血管閉塞デバイスには、「一次」マンドレルの周りにプラチナ(またはプラチナ合金)のワイヤストランドを巻くことによって形成された、柔らかく螺旋状に巻かれたコイルが含まれる。コイルは、その後、より大きな「二次」マンドレルに巻き付けられ、熱処理されて二次形状が付与される。例えば、Ritchart等に発行された米国特許第4,994,069号は、完全に記載されているかのように引用により本明細書に完全に援用されるものであるが、この文献には、送達カテーテルのルーメンを通して配置するために引き伸ばされるときに、直線的で螺旋状の一次形状をとり、送達カテーテルから放出されて血管内に置くときに、折り畳まれた複雑な二次形状をとる血管閉塞デバイスが記載されている。血管閉塞デバイスの他の例には、Murphy等による米国特許出願第15/542,924号に記載されているような、少なくとも部分的に編組された又は編まれたデバイスが含まれる。この文献も、完全に記載されているかのように引用により本明細書に完全に援用されるものである。
【0003】
血管閉塞デバイスを血管系の所望の部位、例えば動脈瘤嚢内に送達するために、先ず、操縦可能なガイドワイヤを用いて、小さな外形の送達カテーテルまたは「マイクロカテーテル」をその部位に配置することがよく知られている。典型的には、マイクロカテーテルの遠位端には、患者の特定の解剖学的構造に応じて、主治医または製造業者の何れかによって選択された事前成形された湾曲、例えば、45°、26°、「J」、「S」または他の湾曲形状が提供されており、その結果、ガイドワイヤが引き抜かれたときに、1または複数の血管閉塞デバイスを動脈瘤に放出するための望ましい位置に留まることとなる。その後、送達アセンブリの遠位端によって押圧された血管閉塞デバイスがマイクロカテーテルの遠位端開口部から延出して動脈瘤内に入るまで、送達または「プッシャ」アセンブリまたは「ワイヤ」がマイクロカテーテルを通過する。動脈瘤に入ると、血管閉塞デバイスの一部が変形し又は曲がり、より効率的で完全なパッキングが可能になる。送達アセンブリの遠位端に結合された血管閉塞デバイスは、動脈瘤内に入った後、送達アセンブリの遠位端から解放または「分離」される。次に、送達アセンブリはカテーテルを通って引き戻される。患者の特定のニーズに応じて、1または複数の追加の血管閉塞デバイスをカテーテルに押し込み、同じ部位で解放することができる。
【0004】
いくつかの血管閉塞デバイスは、送達中の可視化を容易にするための放射線不透過性の特徴を含む。さらに、動脈瘤をより良くはめ込んで満たすために、複雑な三次元の二次形状を血管閉塞デバイスに与えることができ、血管閉塞デバイスの剛性/柔軟性を変更することができる。しかしながら、血管閉塞デバイスには、依然として、放射線不透過性、形状保持、柔軟性を含む性能上の制限がある。
【0005】
引き抜かれる充填チューブを組み込んだものなどのいくつかの血管閉塞デバイスは、現在の血管閉塞デバイスの制限に対処しようとするが、それらの多くは、制限を互いにバランスさせる妥協した解決策である。したがって、これらの制限に対処する血管閉塞デバイスの必要性が残っている。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、血管閉塞デバイスは、拘束されていない展開構成と拘束された送達構成とを有する内側編組部材を含む。内側編組部材は、第1の材料組成物からなる第1の複数のフィラメントを含み、第1の複数のフィラメントのペアは、内側編組部材が展開構成にあるときに、第1の編組角度を規定する。本デバイスはさらに、内側編組部材の周囲に少なくとも部分的に配置された外側編組部材であって、拘束されていない展開構成と拘束された送達構成とを有する外側編組部材を含む。外側編組部材は、第1の材料組成物とは異なる第2の材料組成物からなる第2の複数のフィラメントを含み、第1の材料組成物が、第2の材料組成物よりも大きな放射線不透過性を有する。第2の複数のフィラメントのペアは、外側編組部材が展開構成にあるとき、第1の編組角度と実質的に等しい第2の編組角度を規定する。
【0007】
1または複数の実施形態では、第1の複数のフィラメントが、約0.0005インチ~約0.003インチの範囲の直径の円形断面を有することができる。第1の複数のフィラメントは、非円形の断面を有することができる。第1の複数のフィラメントは、矩形の断面を有することができる。第1の複数のフィラメントは、2~12本のフィラメントからなり得る。第1の材料組成物は、Pt族金属、Ta、Auおよびそれらの合金からなる群のなかから選択された1または複数の材料を含むことができる。
【0008】
1または複数の実施形態では、第2の複数のフィラメントが、約0.0005インチ~約0.003インチの範囲の直径の円形断面を有する。第2の複数のフィラメントは、非円形の断面を有することができる。第1の複数のフィラメントは、矩形の断面を有することができる。第2の複数のフィラメントは、16~96本のフィラメントからなり得る。第2の複数のフィラメントは、24本のフィラメントからなり得る。第2の材料組成物は、超弾性合金を含むことができる。第2の材料組成物は、NiTiを含むことができる。
【0009】
1または複数の実施形態では、内側編組部材および外側編組部材が、1または複数の連結位置で互いに連結されている。内側編組部材および外側編組部材は、それぞれの第1の端部で互いに連結されるものであってもよい。内側編組部材および外側編組部材は、それぞれの第1の端部および第2の端部で互いに連結されるものであってもよい。編組された閉塞デバイスは、扁平な断面を有することができる。
【0010】
1または複数の実施形態では、第1の複数のフィラメントのペアが、内側編組部材が送達構成にあるときに、第3の編組角度を規定する。第2の複数のフィラメントのペアは、外側編組部材が送達構成にあるときに、第3の編組角度と実質的に等しい第4の編組角度を規定する。第2の材料は、第1の材料よりも大きな超弾性を有することができる。
【0011】
別の実施形態では、血管閉塞デバイスが、拘束されていない展開構成および拘束された送達構成を有する内側屈曲部材を含む。内側屈曲部材は、第1の材料組成物からなる第1の複数のセクションを含み、第1の複数のセクションのペアが、内側屈曲部材が展開構成にあるときに、第1の角度を規定する。本デバイスはさらに、内側屈曲部材の周りに少なくとも部分的に配置された外側編組部材を含み、外側編組部材が、拘束されていない展開構成および拘束された送達構成を有する。外側編組部材は、第1の材料組成物とは異なる第2の材料組成物で作られた第2の複数のフィラメントを含み、第1の材料組成物が、第2の材料組成物よりも大きな放射線不透過性を有する。第2の複数のフィラメントのペアは、外側編組部材が展開された構成にあるときに、第1の角度に実質的に等しい第2の編組角度を規定する。
【0012】
1または複数の実施形態では、第1の複数のセクションのペアが、内側屈曲部材が送達構成にあるときに、第3の角度を規定する。第2の複数のフィラメントのペアは、外側編組部材が送達構成にあるときに、第3の角度に実質的に等しい第4の編組角度を規定する。第2の材料は、第1の材料よりも大きな超弾性を有することができる。
【0013】
開示された実施形態の他のおよび更なる態様および特徴は、添付図面を考慮して、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は、様々な開示された実施形態の設計および有用性を示しており、それら図面において、同様の要素には共通の符号が付されている。それら図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。上記および他の利点および目的が如何にして得られるかをより良く理解するために、実施形態のより具体的な説明が提供され、添付の図面に示されている。それら図面は、例示と以下の詳細な説明を容易にすることを目的とした単なる例示的な実施形態を示しており、よってその範囲を限定すると見なされるべきではない。
図1図1A図1Dは、一実施形態に従って構築された例示的な血管閉塞デバイスの概略図である。図1Aは、長手方向の概略図である。図1Bおよび図1Cは、断面概略図である。図1Dは、詳細な長手方向の概略図である。
図2図2A図2Dは、一実施形態に従って構築された例示的な血管閉塞デバイスの概略図である。図2Aは、長手方向の概略図である。図2Bおよび図2Cは、断面概略図である。図2Dは、詳細な長手方向の概略図である。
図3図3は、一実施形態に係る、図2Aに示す血管閉塞デバイスを形成するように構成された編組システムの概略図である。
図4図4A図4Dは、一実施形態に従って構築された例示的な血管閉塞デバイスの概略図である。図4Aは、長手方向の断面図である。図4Bおよび図4Cは、断面概略図である。図4Dは、詳細な長手方向の概略図である。
図5図5は、一実施形態に係る、図4Aに示す血管閉塞デバイスを形成するように構成された編組システムの概略図である。
図6図6A図6Dは、一実施形態に従って構築された例示的な血管閉塞デバイスの概略図である。図6Aは、長手方向の概略図である。図6Bおよび図6Cは、断面概略図である。図6Dは、詳細な長手方向の概略図である。
図7図7は、一実施形態に係る、図6Aに示す血管閉塞デバイスを形成するように構成された編組システムの概略図である。
図8図8Aおよび図8Bは、2つの実施形態に係る、拘束されていない展開構成にある血管閉塞デバイスの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書は、例示的な実施形態およびその応用を説明する。しかしながら、本開示は、それらの例示的な実施形態および応用に限定されるものではなく、また、例示的な実施形態および応用が動作するか、または本明細書に記載されている態様に限定されるものではない。さらに、図面は、簡略化された図面、または部分的な図面を示す場合があり、図中の要素の寸法は、誇張されているか、または比例していない場合がある。さらに、同様の構造または機能の要素は、図面全体を通じて同様の符号で表される。さらに、例示された実施形態は、示されたすべての態様または利点を有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、そのように図示されていなくても、他の任意の実施形態で実施することができる。
【0016】
以下の定義された用語については、異なる定義が特許請求の範囲または本明細書の他の場所で与えられていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0017】
用語「上に」、「~に取り付けられている」、「~に接続されている」、「~に連結されている」、「~に固定されている」、あるいは同様の用語が本明細書で使用される場合、一つの構成要素(例えば、材料、層、基板など)は、その一つの構成要素が直接的に他方の要素の上にある、取り付けられている、接続されている、連結されている、固定されているか否かにかかわらず、あるいは、その一つの要素と他方の要素の間に一または複数の介在要素が存在するか否かにかかわらず、他方の要素の「上」にある、「取り付けられている」、「接続されている」、「連結されている」、「固定されている」。方向(例えば、上方、下方、頂部、底部、側部、上、下、下部、上部、上側、下側、水平、垂直、「x」、「y」、「z」など)が記載されている場合、これらの方向は、相対的なものであり、単に例示として、説明と考察を容易にするために与えられたものであり、限定を目的とするものではない。要素のリストに符号が付されている場合(例えば、要素a、b、c)、そのような符号は、リストに挙げた要素の何れかか一つ、リストに挙げたすべての要素より少ない要素の任意の組合せ、および/またはリストに挙げたすべての要素の組合せを含むことを意図している。
【0018】
本明細書で使用される場合、「実質的に」は、意図された目的のために作用するのに十分であることを意味する。よって、「実質的に」という用語は、その分野の当業者によって期待されるが、全体的な性能にそれほど影響を及ぼさない、絶対的または完全な状態、寸法、測定値、結果などからの僅かな軽微な差異も許容するものである。「複数のもの」という用語は、1より多いことを意味する。
【0019】
本明細書では、すべての数値は、明示的に示されているか否かにかかわらず、「約」という用語によって修正されることが想定されている。「約」という用語は、一般に、当業者が記載された値と同等であると見なす(すなわち、同じ機能または結果を有する)数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に端数処理された数値を含むことができる。端点による数値範囲の記載には、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5が含まれる)。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明確に別の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または」という用語は、内容が明確に別の指示をしない限り、「および/または」を含む意味で一般に使用される。
【0021】
本明細書で使用される場合、編組を形成するために使用される複数の「細長い部材」は、編組を形成するために使用される単一の細長い部材のみも含むことができ、すなわち、その場合、単一の細長い部材が、編組の端部でそれ自体に折り返すものとなる。本明細書で使用される場合、「チューブ」、「管状」、「直径」、「半径」および「外周」という用語は、非円形断面を有する物体と、円形断面を有する物体とを包含する。本明細書で使用される場合、編組またはその一部に関連する「剛性」または「柔軟性」という用語には、曲げ剛性が含まれるが、それに限定されるものではない。本明細書で使用される場合、「拘束される」という用語は、送達カテーテルなどによって加えられる力のために、圧縮された細長い構成で保持されることを含むが、これに限定されるものではない。本明細書で使用される場合、「拘束されていない」という用語は、それに作用する外力が無いことを含むが、これに限定されるものではない。「拘束されていない」は、本明細書では「展開される」と同義で使用されるが、一部の患者の解剖学的構造が展開された血管閉塞デバイスに力を及ぼす場合がある。
【0022】
図1Aは、一実施形態に係る、線形(すなわち、形作られていない)二次構造を有する、拘束されていない展開構成の血管閉塞デバイス100を示している。血管閉塞デバイス100は、内側屈曲部材102および外側編組部材104を含む。内側屈曲部材102は、複数のセクション/フィラメント106a、106bを有する放射線不透過性(「RO」)ワイヤ106である。ROワイヤ106は、任意の放射線不透過性物質を含むことができ、それには、白金(Pt)族金属、タンタル(Ta)、金(Au)、またはそれらの様々な合金が含まれるが、これらに限定されるものではない。例示的なPt合金には、白金-タングステン(Pt-W)および白金-イリジウム(Pt-Ir)が含まれるが、これらに限定されるものではない。ROワイヤ106に含まれる材料は、血管閉塞デバイス100に放射線不透過性を提供する。ROワイヤ106は、約0.0005インチ~約0.003インチの範囲の直径を有する円形断面を有することができる。他の実施形態では、ROワイヤ106が、矩形断面などの非円形断面を有するものであってもよい。
【0023】
図1Aに示す血管閉塞デバイス100の内側屈曲部材102を形成するROワイヤ106は、複数のセクション/フィラメント106a、106bを含む。セクション/フィラメント106a、106bの各々は、ほぼ直線状であり、ある向きを有する。図1Dに示すように、ROワイヤ106のセクション/フィラメント106a、106bが交差するところでは、それらが角度110を形成する。
【0024】
外側編組部材104は、複数のセクション/フィラメント108a、108bを備えた1または複数の編組ワイヤ108を含む。複数の編組ワイヤ108のセクション/フィラメント108a、108bは、別個の編組ワイヤ108であってもよいが、セクション/フィラメント108a、108bは、単一の編組ワイヤ108のセクションまたはフィラメントであって、それが、外側編組部材104の1または複数の端部でそれ自体に折り返されて同一編組ワイヤ108の複数のセクション/フィラメント108a、108bを提供し、それらが互いに編まれて外側編組部材104を形成するようにしてもよい。他の実施形態では、外側編組部材104が、複数の編組ワイヤ108から編まれている。いくつかの実施形態では、複数の編組ワイヤ108が、16~96本の編組ワイヤ108を含む。これらの実施形態のいくつかでは、複数の編組ワイヤ108が、24本の編組ワイヤ108を含む。
【0025】
図1Bおよび図1Cにおいて、外側編組部材104は、扁平な断面を有することができる。図1A図1Dにおいて、外側編組部材104の断面は、約0.055インチの長さ、約0.008インチの幅を有する。
【0026】
1または複数の編組ワイヤ108は、ニチノール(「NiTi」)などの超弾性合金を含むことができる。1または複数の編組ワイヤ108のNiTi組成物は、血管閉塞デバイス100に望まれる形状保持特性および柔軟性特性を提供する。セクション/フィラメント108a、108bの各々は、ほぼ直線状であり、ある向きを有する。図1Dに示すように、編組ワイヤ108のセクション/フィラメント108a、108bが交差するところでは、それらが角度112を形成する。
【0027】
内側屈曲部材102および外側編組部材104は、ROワイヤ106のセクション/フィラメント106a、106bが交差するところに形成される第1の角度110が、編組ワイヤ108のセクション/フィラメント108a、108bが交差するところで形成される第2の角度112と実質的に等しくなるように構成されている。また、図1Dに示すように、内側屈曲部材102および外側編組部材104は、ROワイヤ106のセクション/フィラメント106a、106bが、編組ワイヤ108のそれぞれのセクション/フィラメント108a、108bに実質的に平行になるように構成されている。本明細書で使用される場合、定量的特性に適用される「実質的な」または「実質的に」という用語は、10%以内を意味する。
【0028】
第1の角度110と第2の角度112との間の実質的な同等性は、血管閉塞デバイス100が拘束された送達構成から拘束されていない展開構成に移行するときに、外側編組部材104と比較した内側屈曲部材102の相対的な短縮を最小化する。血管閉塞デバイス100が拘束された送達構成にあるときに、ROワイヤ106のセクション/フィラメント106a、106bは、第3の角度(図示省略)を形成し、編組ワイヤ108のセクション/フィラメント108a、108bは、実質的に第3の角度に等しい第4の角度(図示省略)を形成する。送達構成と展開構成との間の移行中の相対的な短縮を最小限に抑えることにより、移行中の血管閉塞デバイス100の長さに沿った特性の変化が最小限に抑えられる。
【0029】
内側屈曲部材102および外側編組部材104は、血管閉塞デバイス100に沿った少なくとも1つの位置で互いに連結されている。いくつかの実施形態では、内側屈曲部材102および外側編組部材104が、それぞれの第1の端部で互いに連結されている。それらの実施形態のいくつかでは、内側屈曲部材102および外側編組部材104が、それぞれの第1および第2の端部で互いに連結されている。内側屈曲部材102と外側編組部材104との間の連結位置の数が増えると、相対的な短縮が、内側屈曲部材102と外側編組部材104との間の構造的ひずみを増加させる。したがって、送達構成と展開構成との間の移行中の相対的な短縮を最小限に抑えることは、内側屈曲部材102と外側編組部材104との間の連結位置の数が増えるに連れてより重要になるこの問題にも対処する。
【0030】
図2A図2Dは、別の実施形態に係る、線形(すなわち、形作られていない)二次構造を有する、拘束されていない展開構成の血管閉塞デバイス200を示している。図2A図2Dに示す血管閉塞デバイス200は、図1A図1Dに示す血管閉塞デバイス100に類似しており、2つの血管閉塞デバイス100、200の同様の部分には、同様の符号が付されている。
【0031】
2つの血管閉塞デバイス100、200の違いは、図2A図2Dの血管閉塞デバイス200が、内側屈曲部材102の代わりに、内側編組部材202を有することであり、この内側編組部材が、セクション/フィラメント206a、206bのペアを有する1または複数のROワイヤ206を含む。複数のROワイヤ206のセクション/フィラメント206a、206bは、別個のROワイヤ206であってもよいが、セクション/フィラメント206a、206bは、単一のROワイヤ206のセクションまたはフィラメントであってもよく、それが、内側編組部材202の1または複数の端部でそれ自体に折り返されて同一ROワイヤ206の複数のセクション/フィラメント206a、206bを提供し、それらが互いに編まれて内側編組部材202を形成するようにしてもよい。他の実施形態では、外側編組部材204が、複数のROワイヤ206から編まれている。ROワイヤ206は、図1A図1Dに示される、上述したROワイヤ106と同様である。
【0032】
外側編組部材204は、図1A図1Dに示される、上述した外側編組部材104とほぼ同一である。図1A図1Dに示す血管閉塞デバイス100について上述したように、外側編組部材204の編組ワイヤ208は、血管閉塞デバイス200の形状保持特性および柔軟性特性を提供する。同様に、内側編組部材202のROワイヤ206は、血管閉塞デバイス200の放射線不透過特性を提供する。血管閉塞デバイス200は、内側屈曲部材102を形成するセクション/フィラメント106a、106bと比較して、内側編組部材202を形成するセクション/フィラメント206a、206bをより多く含むため、外側編組部材204は、血管閉塞デバイス200の所望の柔軟性を達成すべく、より少ないかつ/またはより柔軟なセクション/フィラメント208a、208bを有するようにしてもよい。
【0033】
内側編組部材202および外側編組部材204は、ROワイヤ206のセクション/フィラメント206a、206bが交差するところに形成される第1の角度210が、編組ワイヤ208のセクション/フィラメント208a、208bが交差するところに形成される第2の角度212と実質的に等しくなるように構成されている。また、図2Dに示すように、内側屈曲部材202および外側編組部材204は、ROワイヤ206のセクション/フィラメント206a、206bが編組ワイヤ208のそれぞれのセクション/フィラメント208a、208bに実質的に平行になるように構成されている。血管閉塞デバイス200が拘束された送達構成にあるときに、ROワイヤ206のセクション/フィラメント206a、206bは、第3の角度(図示省略)を形成し、編組ワイヤ208のセクション/フィラメント208a、208bは、実質的に第3の角度に等しい第4の角度(図示省略)を形成する。
【0034】
図1A図1Dに示す血管閉塞デバイス100と同様に、血管閉塞デバイス200における第1の角度210と第2の角度212との間の実質的な同等性は、血管閉塞デバイス200が拘束された送達構成から拘束されていない展開構成に移行するときに、外側編組部材204と比較した内側編組部材202の相対的な短縮を最小化する。送達構成と展開構成との間の移行中の相対的な短縮を最小限に抑えることにより、血管閉塞デバイス200の長さに沿った特性の変化および移行中の構造的ひずみが最小限に抑えられる。
【0035】
図3は、一実施形態に係る、図2A図2Dに示す血管閉塞デバイス200を形成するように構成された編組システム300を概略的に示している。編組システム300は、扁平な断面を有するマンドレル320と、一対のボビン322とを含む。
【0036】
一実施形態に係る、図2A図2Dに示す血管閉塞デバイス200を形成する方法の第1のステップでは、ボビン322を使用して、1または複数のROワイヤ206を編組して、扁平なマンドレル320の上に内側編組部材202を形成する。第2のステップでは、1または複数のROワイヤ206を熱処理して、内側編組部材202の形状を設定する。第3のステップでは、ボビン322を使用して、1または複数の編組ワイヤ208を編組して、内側編組部材202および扁平なマンドレル320の上に外側編組部材204を形成する。第4のステップでは、1または複数の編組ワイヤ208を熱処理して、外側編組部材204の形状を設定する。第5のステップでは、扁平なマンドレル320を、形成された血管閉塞デバイス200から取り除く。
【0037】
図4A図4Dは、さらに別の実施形態に係る、線形(すなわち、形作られていない)二次構造を有する拘束されていない展開構成の血管閉塞デバイス400を示している。図4A図4Dに示す血管閉塞デバイス400は、図2A図2Dに示す血管閉塞デバイス200に類似しており、2つの血管閉塞デバイス200、400の同様の部分には、同様の符号が付されている。
【0038】
2つの血管閉塞デバイス200、400の違いは、図4A図4Dの血管閉塞デバイス400の内側編組部材402が、3つのセクション/フィラメント406a、406b、406cを有する1または複数のROワイヤ406を含むことである。複数のROワイヤ406のセクション/フィラメント406a、406b、406cは、別個のROワイヤ406であってもよいが、セクション/フィラメント406a、406b、406cが、単一のROワイヤ406のセクションまたはフィラメントであってもよく、それが、内側編組部材402の1または複数の端部でそれ自体にループバックされて同一ROワイヤ406の複数のセクション/フィラメント406a、406b、406cを提供し、それらが互いに編まれて内側編組部材402を形成するようにしてもよい。他の実施形態では、外側編組部材404が、複数のROワイヤ406から編まれている。ROワイヤ406は、図2A図2Dに示される、上述したROワイヤ206と同様である。
【0039】
外側編組部材404は、図2A図2Dに示される、上述した外側編組部材204とほぼ同一である。図2A図2Dに示す血管閉塞デバイス200について上述したように、外側編組部材404の編組ワイヤ408は、血管閉塞デバイス400の形状保持および柔軟性の特性を提供する。同様に、内側編組部材402のROワイヤ406は、血管閉塞デバイス400の放射線不透過特性を提供する。血管閉塞デバイス400は、内側屈曲部材202を形成するセクション/フィラメント206a、206bと比較して、内側編組部材402を形成するセクション/フィラメント406a、406b、406cをより多く含むため、外側編組部材404は、血管閉塞デバイス400の所望の柔軟性を達成すべく、より少ないかつ/またはより柔軟なセクション/フィラメント408a、408bを有するようにしてもよい。
【0040】
内側編組部材402および外側編組部材404は、ROワイヤ406のセクション/フィラメント406a、406b、406cが交差するところに形成される第1の角度410が、編組ワイヤ408のセクション/フィラメント408a、408bが交差するところに形成される第2の角度412に実質的に等しくなるように構成されている。また、図4Dに示すように、ROワイヤ406のセクション/フィラメント406a、406b、406cが編組ワイヤ408のそれぞれのセクション/フィラメント408a、408bに実質的に平行となるように、内側屈曲部材402および外側編組部材404が構成されている。血管閉塞デバイス400が拘束された送達構成にあるときに、ROワイヤ406のセクション/フィラメント406a、406b、406cは、第3の角度(図示省略)を形成し、編組ワイヤ408のセクション/フィラメント408a、408bは、第3の角度と実質的に等しい第4の角度(図示省略)を形成する。
【0041】
図1A図1Dに示す血管閉塞デバイス100と同様に、血管閉塞デバイス400における第1の角度410と第2の角度412との間の実質的な同等性は、血管閉塞デバイス400が拘束された送達構成から拘束されていない展開構成に移行する際の、外側編組部材404と比較した内側編組部材402の相対的な短縮を最小限に抑える。送達構成と展開構成との間の移行中の相対的な短縮を最小限に抑えることにより、血管閉塞デバイス400の長さに沿った特性の変化および移行中の構造的ひずみが最小限に抑えられる。
【0042】
図5は、一実施形態に係る、図4A図4Dに示す血管閉塞デバイス400を形成するように構成された編組システム500を概略的に示している。編組システム500は、扁平な断面を有するマンドレル520と、3つのボビン522とを含む。
【0043】
一実施形態に係る図4A図4Dに示す血管閉塞デバイス400を形成する方法の第1のステップでは、ボビン522を使用して、1または複数のROワイヤ406を編組して、扁平なマンドレル520の上に内側編組部材402を形成する。第2のステップでは、1または複数のROワイヤ406を熱処理して、内側編組部材402の形状を設定する。第3のステップでは、ボビン522を使用して、1または複数の編組ワイヤ408を編組して、内側編組部材402および扁平なマンドレル520の上に外側編組部材404を形成する。第4のステップでは、1または複数の編組ワイヤ408を熱処理して、外側編組部材404の形状を設定する。第5のステップでは、形成した血管閉塞デバイス400から扁平なマンドレル520を取り外す。
【0044】
図6A図6Dは、さらに別の実施形態に係る、線形(すなわち、形作られていない)二次構造を有する、拘束されていない展開構成の血管閉塞デバイス600を示している。図6A図6Dに示す血管閉塞デバイス600は、図2A図2Dに示す血管閉塞デバイス200に類似しており、2つの血管閉塞デバイス200、600の同様の部分には、同様の符号が付されている。
【0045】
2つの血管閉塞デバイス200、600の違いは、図6A図6Dの血管閉塞デバイス600の内側編組部材602が、4つのセクション/フィラメント606a、606b、606c、606dを有する1または複数のROワイヤ606を含むことである。複数のROワイヤ606のセクション/フィラメント606a、606b、606c、606dは、別個のROワイヤ606であってもよいが、セクション/フィラメント606a、606b、606c、606dは、単一のROワイヤ606のセクションまたはフィラメントであってもよく、それが、内側編組部材602の1または複数の端部でそれ自体にループバックされて同一ROワイヤ606の複数のセクション/フィラメント606a、606b、606c、606dを提供し、それらが互いに編まれて内側編組部材602を形成するようにしてもよい。他の実施形態では、外側編組部材604が、複数のROワイヤ606から編まれている。ROワイヤ606は、図2A図2Dに示される、上述したROワイヤ206と同様である。
【0046】
外側編組部材604は、図2A図2Dに示される、上述した外側編組部材204とほぼ同じである。図2A図2Dに示す血管閉塞デバイス200について上述したように、外側編組部材604の編組ワイヤ608は、血管閉塞デバイス600の形状保持特性および柔軟性特性を提供する。同様に、内側編組部材602のROワイヤ606は、血管閉塞デバイス600の放射線不透過特性を提供する。血管閉塞デバイス600は、内部屈曲部材202を形成するセクション/フィラメント206a、206bと比較して、内側編組部材602を形成するセクション/フィラメント606a、606b、606c、606dをより多く含むため、外側編組部材604は、血管閉塞デバイス600の所望の柔軟性を達成すべく、より少ないかつ/またはより柔軟なセクション/フィラメント608a、608bを有するようにしてもよい。
【0047】
内側編組部材602および外側編組部材604は、ROワイヤ606のセクション/フィラメント606a、606b、606c、606dが交差するところに形成される第1の角度610が、編組ワイヤ608のセクション/フィラメント608a、608bが交差するところに形成される第2の角度612に実質的に等しくなるように構成されている。また、図6Dに示すように、ROワイヤ606のセクション/フィラメント606a、606b、606c、606dが、編組ワイヤ608のそれぞれのセクション/フィラメント608a、608bに実質的に平行になるように、内側屈曲部材602および外側編組部材604が構成されている。血管閉塞デバイス600が拘束された送達構成にあるときに、ROワイヤ606のセクション/フィラメント606a、606b、606c、606dは、第3の角度(図示省略)を形成し、編組ワイヤ608のセクション/フィラメント608a、608bは、第3の角度に実質的に等しい第4の角度(図示省略)を形成する。
【0048】
図1A図1Dに示す血管閉塞デバイス100と同様に、血管閉塞デバイス600における第1の角度610と第2の角度612との間の実質的な同等性は、血管閉塞デバイス600が拘束された送達構成から拘束されていない展開された構成に移行するときに、外側編組部材604と比較した内側編組部材602の相対的な短縮を最小限に抑える。送達構成と展開構成との間の移行中の相対的な短縮を最小限に抑えることで、血管閉塞デバイス600の長さに沿った特性の変化および移行中の構造的ひずみが最小限に抑えられる。
【0049】
図7は、一実施形態に係る、図6A図6Dに示す血管閉塞デバイス600を形成するように構成された編組システム700を概略的に示している。編組システム700は、扁平な断面を有するマンドレル720と、3つのボビン722とを含む。
【0050】
一実施形態に係る、図6A図6Dに示す血管閉塞デバイス600を形成する方法の第1のステップでは、ボビン722を使用して、1または複数のROワイヤ606を編組して、扁平なマンドレル720の上に内側編組部材602を形成する。第2のステップでは、1または複数のROワイヤ606を熱処理して、内側編組部材602の形状を設定する。第3のステップでは、ボビン722を使用して、1または複数の編組ワイヤ608を編組して、内側編組部材602および扁平なマンドレル720の上に外側編組部材604を形成する。第4のステップでは、1または複数の編組ワイヤ608を熱処理して、外側編組部材604の形状を設定する。第5のステップでは、形成した血管閉塞デバイス600から扁平なマンドレル720を取り外す。
【0051】
上述した血管閉塞デバイス100、200、400、600は、それぞれの内側屈曲部材102および内側編組部材202、402、602を形成する1、2、3、4つのセクション/フィラメントを有するが、他の実施形態に係る血管閉塞デバイスは、内側編組部材を形成する最大約12のセクション/フィラメントを有することができる。上述したように、内側および外側編組部材は、内側編組部材のセクション/フィラメントの数を増やしながら、所望の量の柔軟性を維持するように変更することができる。内側および外側編組部材への変更には、セクション/フィラメントの断面積の直径または他の指標、およびセクション/フィラメントが作られる材料が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
図8Aおよび図8Bは、一実施形態に従って構築された、拘束されていない展開構成における血管閉塞デバイス800の蛍光透視画像830である。図8Aに示すように、内側編組部材を形成するROワイヤのセクション/フィラメントは、蛍光透視法を使用して見ることができる。図8Bに示すように、血管閉塞デバイス800は、内側編組部材を形成するROワイヤの4つのセクション/フィラメントを有する。図8Aおよび図8Bに示す血管閉塞デバイス800は、拘束されていない展開構成では全体的に線形であるが、他の実施形態に係る血管閉塞デバイスは、展開構成で非線形の二次構造(例えば、球形または直方体)を有する。
【0053】
本明細書では、様々な実施形態が、図面を参照して述べられている。図面は一定の縮尺で描かれておらず、同様の構造または機能の要素は、図面全体を通して同様の符号が付されていることに留意されたい。また、図面は実施形態の説明を容易にするためだけのものであり、本開示の網羅的な記載として、あるいは本開示の主題の範囲の限定としては意図されておらず、主題は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ規定されることにも留意されたい。さらに、それぞれの例示した実施形態は、各々が、本明細書に記載された特徴のすべての態様または利点を有する必要はない。本開示の特定の実施形態に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、そのように図示されていなくても、他の任意の実施形態において実施することができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B