(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】発泡成形体の製造方法および成形型
(51)【国際特許分類】
B29C 44/58 20060101AFI20230517BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20230517BHJP
B29C 44/02 20060101ALI20230517BHJP
B29C 39/24 20060101ALI20230517BHJP
B29C 39/02 20060101ALI20230517BHJP
B29C 39/28 20060101ALI20230517BHJP
B29K 103/04 20060101ALN20230517BHJP
【FI】
B29C44/58
B29C44/00 A
B29C44/02
B29C39/24
B29C39/02
B29C39/28
B29K103:04
(21)【出願番号】P 2020567438
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2019050621
(87)【国際公開番号】W WO2020153083
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2019009304
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆稔
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-171503(JP,A)
【文献】実開平05-049324(JP,U)
【文献】特開2002-347048(JP,A)
【文献】特開2004-181687(JP,A)
【文献】特開昭60-068150(JP,A)
【文献】実開平07-005711(JP,U)
【文献】実開平05-039919(JP,U)
【文献】特開平10-264168(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02650104(EP,A1)
【文献】中国実用新案第203973931(CN,U)
【文献】米国特許第06405993(US,B1)
【文献】特表2018-532627(JP,A)
【文献】特開平04-223114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/58
B29C 44/00
B29C 44/02
B29C 39/24
B29C 39/02
B29C 39/28
B29K 103/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1型部および第2型部により
本体部とバリとが成形されるキャビティにおいて発泡体原料から本体部とバリとを含む発泡中間体を発泡成形する発泡工程と、
前記第2型部を所定の型開き方向へ移動させることで前記発泡中間体からバリを除去して発泡成形体を得る除去工程と、
を備え、
前記発泡工程において、
前記バリの少なくとも一部を、前記第2型部を型開きする際に前記第2型部に引っ掛かるアンダーカットとし、かつ
前記本体部と前記バリとの境界が延びる方向と直交する面で、前記発泡中間体を切断することで得られる断面において、前記境界の近傍に位置する前記バリの少なくとも一部が前記境界に向かうにつれて窄むようにして、前記境界に脆弱部を設けて、
前記発泡中間体を成形し、
前記除去工程において、
前記第2型部により前記バリを引っ張ることで前記脆弱部を破断させて、前記バリを除去する、
発泡成形体の製造方法。
【請求項2】
前記発泡工程において、
前記断面において前記境界に向かうにつれて窄み、前記脆弱部と連通する窄み部と、
前記脆弱部とは反対側で前記窄み部と連通し、前記窄み部よりも前記型開き方向と交差する向きへ張り出しており、前記第2型部を型開きする際に前記第2型部に引っ掛かる主アンダーカット部と、
を有するバリを含む発泡中間体を形成する、請求項1に記載の発泡成形体の製造方法。
【請求項3】
前記発泡工程において、前記境界が延びる方向における前記発泡中間体の少なくとも一部で前記バリを形成しない、請求項1または請求項2に記載の発泡成形体の製造方法。
【請求項4】
第1型部および第2型部により画成されるキャビティにおいて発泡体原料から本体部とバリとを含む発泡中間体を発泡成形する発泡工程と、
前記第2型部を所定の型開き方向へ移動させることで前記発泡中間体からバリを除去して発泡成形体を得る除去工程と、
を備え、
前記発泡工程において、
前記バリの少なくとも一部を、前記第2型部を型開きする際に前記第2型部に引っ掛かるアンダーカットとし、かつ
前記本体部と前記バリとの境界が延びる方向と直交する面で、前記発泡中間体を切断することで得られる断面において、前記境界の近傍に位置する前記バリの少なくとも一部が前記境界に向かうにつれて窄むようにして、前記境界に脆弱部を設けて、
前記発泡中間体を成形し、
前記除去工程において、
前記第2型部により前記バリを引っ張ることで前記脆弱部を破断させて、前記バリを除去し、
前記第1型部および前記第2型部が回動軸を介して連結されて、前記第2型部が前記回動軸を中心に回動して型閉じ状態から型開き状態になるように構成されており、
前記発泡工程において、前記回動軸から前記キャビティを挟んで反対側に位置する前記脆弱部が、前記回動軸と交差する方向に延びるように、前記発泡中間体を形成する、発泡成形体の製造方法。
【請求項5】
第1型部および第2型部を備え、
前記第1型部および前記第2型部により本体部領域およびバリ領域を備えるキャビティを画成する型閉じ状態から、前記第1型部に対して前記第2型部を所定の型開き方向へ移動させて型開き状態になるように構成され、
前記キャビティにおいて本体部およびバリを備える発泡中間体を成形するように構成され、
前記第1型部は、型閉じ状態において前記本体部領域および前記バリ領域の境界を構成する第1の部分から、前記バリ領域側へ延びる第1壁部を備え、
前記第2型部は、型閉じ状態において前記第1壁部に対面する第2壁部を備え、
前記第2壁部は、前記型開き方向と交差する方向に凹み、型閉じ状態において前記第1壁部との間に隙間を形成する凹状部を備え、
前記凹状部は、型閉じ状態において前記境界を構成する前記第2型部の第2の部分に連通する傾斜部を備え、
前記傾斜部は、型閉じ状態において前記境界から離れるにつれて前記第1壁部から離間するように、前記第1壁部に対して傾斜
し、
前記凹状部は、前記傾斜部の前記境界と反対側に、型閉じ状態において前記第1壁部と前記傾斜部との間隔よりも大きい間隔で前記第1壁部から前記第2壁部が離間するように形成された主凹状部を備え、
前記主凹状部と前記傾斜部との境目における前記主凹状部の縁面が、前記傾斜部の前記第1壁部に対する傾斜角よりも大きい角度で前記第1壁部に対して傾くように構成されている、
成形型。
【請求項6】
第1型部および第2型部を備え、
前記第1型部および前記第2型部により本体部領域およびバリ領域を備えるキャビティを画成する型閉じ状態から、前記第1型部に対して前記第2型部を所定の型開き方向へ移動させて型開き状態になるように構成され、
前記キャビティにおいて本体部およびバリを備える発泡中間体を成形するように構成され、
前記第1型部は、型閉じ状態において前記本体部領域および前記バリ領域の境界を構成する第1の部分から、前記バリ領域側へ延びる第1壁部を備え、
前記第2型部は、型閉じ状態において前記第1壁部に対面する第2壁部を備え、
前記第2壁部は、前記型開き方向と交差する方向に凹み、型閉じ状態において前記第1壁部との間に隙間を形成する凹状部を備え、
前記凹状部は、型閉じ状態において前記境界を構成する前記第2型部の第2の部分に連通する傾斜部を備え、
前記傾斜部は、型閉じ状態において前記境界から離れるにつれて前記第1壁部から離間するように、前記第1壁部に対して傾斜し、
前記第2壁部は、前記第2の部分が延びる方向に少なくとも1つの、型閉じ状態において前記第1壁部と隙間を形成しないシール部を備える
、
成形型。
【請求項7】
前記第1型部および前記第2型部が回動軸を介して連結されて、前記第2型部が前記回動軸を中心に回動して前記型閉じ状態から前記型開き状態になるように構成されており、
型閉じ状態において、前記回動軸から前記キャビティを挟んで反対側に位置する前記境界が、前記回動軸と交差する方向に延びる、請求項5
または6に記載の成形型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形体の製造方法および成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上型と下型とを備えるウレタン発泡型が開示されている。上記上型の合わせ面には、上記下型の合わせ面との間に小間隙部を構成するように形成された張出部と、樹脂溜め部とが形成されている。成形後上型を開くと、樹脂溜め部内に溜められて硬化したポリウレタンが張出部により型開き方向に押圧され、上記小間隙部の硬化余剰ポリウレタン(バリ)とともに成形品より自動的に切り離されることが開示されている。(特許文献1の請求項1、第5頁、第1図等)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発泡成形体の型成形では、発泡してキャビティ内を満たした発泡体原料が、その発泡により増大したキャビティ内の圧力により、成形型の分割面のわずかな隙間に侵入して、隙間に入った発泡体原料が発泡成形体にバリとして残ってしまう。成形型の分割面の隙間は、キャビティ内の空気やガス等を成形型の外側へ逃がす通路として機能する側面があり、この隙間を完全に封止することは困難である。
【0005】
特許文献1は、上型および下型の合わせ面の間に小間隙部を設け、小間隙部と連通する樹脂溜め部を設けることで、ガス抜き効率を向上させつつ、成形後の型開き動作によりバリを自動的に除去する方法を開示している。しかしながら、単に小間隙部と樹脂溜め部とを設けるだけでは実際の製造において小間隙部に形成されたバリの切り離される箇所(破断箇所)にむらが出てしまい、成形された部材にバリが残りやすいことがわかった。バリの除去は人手による場合も多く、バリが残存すると製造時間やコストの増大につながる。
【0006】
本発明は、バリが破断する箇所のむらを発生し難くし、また発泡成形体に残るバリを低減することが可能な、発泡成形体の製造方法および成形型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる、本発明の一側面に係る発泡成形体の製造方法は、
第1型部および第2型部により画成されるキャビティにおいて発泡体原料から本体部とバリとを含む発泡中間体を発泡成形する発泡工程と、
前記第2型部を所定の型開き方向へ移動させることで前記発泡中間体からバリを除去して発泡成形体を得る除去工程と、
を備え、
前記発泡工程において、
前記バリの少なくとも一部を、前記第2型部を型開きする際に前記第2型部に引っ掛かるアンダーカットとし、かつ
前記本体部と前記バリとの境界が延びる方向と直交する面で、前記発泡中間体を切断することで得られる断面において、前記境界の近傍に位置する前記バリの少なくとも一部が前記境界に向かうにつれて窄むようにして、前記境界に脆弱部を設けて、
前記発泡中間体を成形し、
前記除去工程において、
前記第2型部により前記バリを引っ張ることで前記脆弱部を破断させて、前記バリを除去する、
発泡成形体の製造方法である。
【0008】
また、上記課題を解決することのできる、本発明の一側面に係る成形型は、
第1型部および第2型部を備え、
前記第1型部および前記第2型部により本体部領域およびバリ領域を備えるキャビティを画成する型閉じ状態から、前記第1型部に対して前記第2型部を所定の型開き方向へ移動させて型開き状態になるように構成され、
前記キャビティにおいて本体部およびバリを備える発泡中間体を成形するように構成され、
前記第1型部は、型閉じ状態において前記本体部領域および前記バリ領域の境界を構成する第1の部分から、前記バリ領域側へ延びる第1壁部を備え、
前記第2型部は、型閉じ状態において前記第1壁部に対面する第2壁部を備え、
前記第2壁部は、前記型開き方向と交差する方向に凹み、型閉じ状態において前記第1壁部との間に隙間を形成する凹状部を備え、
前記凹状部は、型閉じ状態において前記境界を構成する前記第2型部の第2の部分に連通する傾斜部を備え、
前記傾斜部は、型閉じ状態において前記境界から離れるにつれて前記第1壁部から離間するように、前記第1壁部に対して傾斜する、
成形型である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バリが破断する箇所のむらを発生し難くし、また発泡成形体に残るバリを低減することが可能な、発泡成形体の製造方法および成形型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る発泡成形体の製造方法により製造される発泡成形体を示す斜視図である。
【
図2】発泡成形体の
図1におけるA-A線断面図である。
【
図3】発泡成形体を成形する様子を示す断面図である。
【
図4】発泡成形体を成形する様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0012】
(発泡成形体)
図1は、本実施形態に係る発泡成形体の製造方法により製造される発泡成形体10を示す斜視図である。
図2は、発泡成形体10の
図1におけるA-A線断面図である。発泡成形体10は、ポリウレタンやオレフィン系材料等の硬質または軟質の発泡体によって構成されてもよい。発泡成形体10は用途に応じて多様な形状をとり得る。
図1および
図2に示される発泡成形体10は三次元形状を有するブロック形状とされている。発泡成形体10を製造する際には、
図1および
図2に示される発泡成形体10の上面の縁部分12に後述する成形型のパーティングラインが位置する。発泡成形体10は、例えば、ドアトリム(車両内装部材)の外面に取り付けられて、ドアトリムと該ドアトリムの外側に配置されたドアパネル(車体構成部材)との間に配置される衝撃吸収材として用いられる。このような衝撃吸収材としての発泡成形体10は、ドアパネルの外側から加わった荷重を全体で受容する。
【0013】
(成形型)
続いて、
図3から
図6を参照して本実施形態に係る発泡成形体10を製造するための成形型20について説明する。
図3および
図4は成形型20を用いて発泡体原料Hから発泡成形体10を成形する様子を示す断面図である。
図3の(a)は発泡体原料Hを投入した後の成形型20の型開き状態を示し、
図3の(b)は成形型20の型閉じ状態において発泡体原料Hが発泡している様子を示す。
図4の(a)は成形型20の型閉じ状態において発泡体原料Hの発泡が完了した状態を示し、
図4の(b)は発泡完了後に成形型20を型開きした状態を示す。
図5および
図6は成形型20の後述する第1壁部34および第2壁部44を示す部分拡大図である。
図5の(a)は発泡体原料Hの発泡前の型開き状態を示し、
図5の(b)は発泡体原料Hの発泡前の型閉じ状態を示し、
図5の(c)は型閉じ状態において発泡体原料Hが発泡している様子を示し、
図5の(d)は型閉じ状態において発泡体原料Hの発泡が完了した状態を示す。
図6の(a)は発泡完了後に成形型20を型開きする様子を示し、
図6の(b)は発泡完了後に成形型20を型開きして後述する移動型部(第2型部)40からバリ64を除去する様子を示す。
【0014】
まず
図3および
図4を参照して、成形型20の概要を説明する。成形型20は固定型部(第1型部)30および移動型部(第2型部)40を備える。移動型部40は固定型部30に対して所定の型開き方向へ移動可能に構成されている。本実施形態では固定型部30は下型であり、移動型部40は上型である。固定型部30は上方に開口する凹状の型面を有する。移動型部40は固定型部30の上部の開口を塞ぐ蓋として機能する。成形型20は、固定型部30および移動型部40が型閉じされた型閉じ状態(
図3の(b)および
図4の(a))において、固定型部30および移動型部40によりキャビティ50を画成する。キャビティ50は、本体部領域52およびバリ領域54を備える。成形型20は、固定型部30に対して移動型部40を型閉じ状態から所定の型開き方向へ移動させることで型開き状態(
図3の(a)および
図4の(b))になるように構成されている。
図4の(b)における型開き方向Bは、固定型部30の接地面に対する垂直方向である。ただし、所定の型開き方向は必ずしもこれに限定されず、例えば後述するような、固定型部と移動型部とがヒンジを介して連結された成形型のように、円弧を描く型開き方向であってもよい。
【0015】
成形型20は、型閉じ状態において、キャビティ50で発泡体原料Hを発泡させることで発泡中間体60を成形するように構成されている(
図4の(a))。発泡中間体60は、本体部62およびバリ64を備える。本体部62は発泡成形体10に対応する部分である。成形型20は、型閉じ状態において発泡中間体60を成形した後に、型開きすることにより発泡中間体60の本体部62からバリ64を除去して、発泡成形体10を成形するように構成されている(
図4の(b))。固定型部30は、上方に開口する凹状の型面により、
図1に示す発泡成形体10の下面および側面を規定する。移動型部40は、固定型部30の上部の開口を塞ぐ蓋となる型面により、
図1に示す発泡成形体10の上面を規定する。
【0016】
次に
図5および
図6を参照して、成形型20を詳細に説明する。前述のように成形型20は、型閉じ状態において、本体部領域52およびバリ領域54を備えるキャビティ50を画成する。成形型20の固定型部30は、型閉じ状態において、本体部領域52およびバリ領域54の第1の境界56を構成する第1の部分36を備える(
図5の(a)および
図5の(b))。固定型部30は、型閉じ状態において、第1の部分36からバリ領域54側へ延びる第1壁部34を備える。固定型部30の発泡成形体10の側面を規定する型面は第1の部分36に連なる。固定型部30は第1壁部34の上方に連なって斜めに延在する移動型部40に対する分割面31を備える(
図6の(b))。本明細書において、第1の境界56が成形型20のパーティングラインとして説明される。型閉じ状態において第1の境界56は、発泡成形体10の上面の縁部分12に対応するように、本体部領域52の上縁に沿って延在する。
【0017】
移動型部40は、型閉じ状態において第1の境界56を構成する第2の部分46を備える(
図5の(a)および
図5の(b))。第1の部分36と第2の部分46とは型閉じ状態において所定の幅で離間しており、本体部領域52からバリ領域54へ発泡した発泡体原料Hが入り込めるように構成されている(
図5の(c))。当該幅は特に限定されるものではないが、後述する脆弱部67の破断のしやすさの観点から、1mm以下であってもよく、0.5mm以下であってもよく、0.3mm以下であってもよい。移動型部40は、型閉じ状態において第1壁部34に対面する第2壁部44を備える(
図5の(a)および
図5の(b))。移動型部40は第2壁部44の上方に連なって斜めに延在する固定型部30に対する分割面41を備える(
図6の(b))。第2壁部44は、型開き方向Bと交差する方向に凹み、型閉じ状態において第1壁部34との間に隙間を形成する凹状部45を備える。凹状部45は第2の部分46に連通する傾斜部48を備える。傾斜部48は、型閉じ状態において第1の境界56から離れるにつれて第1壁部34から離間するように、第1壁部34に対して傾斜する。凹状部45は、傾斜部48の第1の境界56と反対側に、型閉じ状態において第1壁部34と傾斜部48との間隔よりも大きい間隔で第1壁部34から第2壁部44が離間するように形成された主凹状部49を備えてもよい。
【0018】
本実施形態において、主凹状部49は、第1の境界56が延びる方向と直交する面で移動型部40を切断することで得られる断面において、略半円の形状の凹部として、型開き方向Bと交差する方向に凹む(
図5の(b))。成形型20は、型締め状態で発泡中間体60を成形する際に、主凹状部49に発泡体原料Hが入り込んで硬化することでアンダーカットとして機能するバリ64を形成するように構成されている(
図5の(c)および
図5の(d))。成形型20は、発泡中間体60を成形した後で移動型部40を移動させて型開きする際に、移動型部40の主凹状部49の下縁にバリ64が引っ掛かるように構成されている(
図6の(a)および
図6の(b))。
【0019】
図5の(b)に示される上記断面において、主凹状部49および第2の部分46の間に位置する傾斜部48と、第1の部分36近傍の第1壁部34と、が規定する空間は、略三角形状である。第1の境界56に当該略三角形状の空間の頂点部分が位置している。成形型20は、型締め状態で発泡中間体60を成形する際に、当該略三角形状の空間で発泡体原料Hが硬化することで第1の境界56に向かうにつれて窄む部分を発泡中間体60に設けることができるように構成されている(
図5の(d))。当該略三角形状の空間の頂点部分における角度(第1壁部34に対する傾斜部48の傾斜角度)は特に限定されないが、30°以上であると好ましく、約60°とするとより好ましい。ただし、当該空間は必ずしも三角形状ではなくてもよい。後述する脆弱部67で最も薄い肉厚となるように当該空間が形成されていれば、湾曲した空間であっても良い。また、本実施形態において、主凹状部49は傾斜部48を単に延在させたものではなく、主凹状部49と傾斜部48との第2の境界における主凹状部49の縁面が、傾斜部48の第1壁部34に対する傾斜角よりも大きい角度で第1壁部34に対して傾くように構成されている。当該構成は必須ではないが、当該構成とすることで、主凹状部49に引っ掛かりやすいアンダーカットを形成しやすくなる。
【0020】
(発泡成形体の製造方法)
続いて、
図3から
図6を参照して本実施形態に係る発泡成形体10の製造方法について説明する。発泡成形体10の製造方法は、発泡工程と、除去工程と、を備える。発泡工程では、固定型部30および移動型部40により画成されるキャビティ50において発泡体原料Hから本体部62とバリ64とを含む発泡中間体60を発泡成形する(
図3の(a)、
図3の(b)および
図4の(a))。除去工程では、移動型部40を型開き方向Bへ移動させることで発泡中間体60からバリ64を除去して発泡成形体10を得る(
図4の(b))。
【0021】
発泡工程では、バリ64の少なくとも一部を、移動型部40を型開きする際に移動型部40に引っ掛かるアンダーカットとする(
図5の(d))。また、本体部62とバリ64との第3の境界66が延びる方向と直交する面で発泡中間体60を切断することで得られる断面において、第3の境界66の近傍に位置するバリ64の少なくとも一部が第3の境界66に向かうにつれて窄むようにして、第3の境界66に脆弱部67を設ける(
図5の(d))。これにより発泡中間体60を成形する。なお、第3の境界66は第1の境界56に対応する位置に形成される(
図5の(b)および
図5の(d))。また、発泡工程では、上記断面において第3の境界66に向かうにつれて窄み、脆弱部67と連通する窄み部68を形成してもよい(
図5の(d))。また、発泡工程では、窄み部68の脆弱部67とは反対側で窄み部68と連通し、窄み部68よりも型開き方向Bと交差する向きへ張り出しており、移動型部40を型開きする際に移動型部40に引っ掛かる主アンダーカット部69を形成してもよい(
図5の(d))。
【0022】
より具体的には、成形型20を用いた発泡工程において、キャビティ50のバリ領域54に、第1の境界56を介して発泡体原料Hが発泡して入り込む(
図5の(c))。バリ領域54に入り込んだ発泡体原料Hはその後硬化してバリ64となる(
図5の(d))。前述のように、バリ領域54は、固定型部30の第1壁部34と、移動型部40の第2壁部44の凹状部45と、により構成されているため、凹状部45の傾斜部48および主凹状部49にそれぞれ対応する窄み部68および主アンダーカット部69を備えるバリ64が形成される。
【0023】
本実施形態において、主アンダーカット部69は、第3の境界66が延びる方向と直交する面で発泡中間体60を切断することで得られる断面において、略半円の形状の張出部として、型開き方向Bと交差する方向に張り出している(
図5の(d))。また、
図5に示される上記断面において、第3の境界66と主アンダーカット部69との間に位置する窄み部68は、略三角形状である。第3の境界66に当該略三角形状の頂点部分が位置している。当該頂点部分に脆弱部67が位置する。なお、窄み部68に関しても、前述した略三角形状の空間と同様に、脆弱部67で最も薄い肉厚となるように窄んでいれば、湾曲した形状でも良い。また、本実施形態において、主アンダーカット部69は窄み部68を単に延在させたものではなく、主アンダーカット部69と窄み部68との第4の境界において、窄み部68を延在させた状態よりも型開き方向Bへ交差する方向へ張り出すように構成されている。当該構成は必須ではないが、当該構成とすることで、移動型部40に引っ掛かりやすいバリ64を形成できる。
【0024】
除去工程では、移動型部40によりバリ64を引っ張ることで脆弱部67を破断させて、バリ64を除去する(
図6の(a)および
図6の(b))。より具体的には、移動型部40を型開き方向Bに移動させることで、主アンダーカット部69が主凹状部49に引っ掛かる。これにより、バリ64に型開き方向に向かう力がかかる。第3の境界66に向かうにつれて窄む窄み部68の端部に位置する、最も薄く形成された脆弱部67がバリ64の他の部分に優先して破断する。これにより、バリ64が除去されて発泡成形体10が得られる。
【0025】
(作用)
本実施形態に係る製造方法では、発泡工程において、バリ64の一部をアンダーカットとしつつ、本体部62とバリ64との第3の境界66の近傍に位置するバリ64の一部を本体部62とバリ64との第3の境界66に向かうにつれて窄むようにして、当該境界に脆弱部67を設けて発泡中間体60を成形する。脆弱部67はバリ64において最も肉厚が薄い部分であり、脆弱部67から離れるにつれてバリ64の肉厚は厚くなる。移動型部40を型開きする際に、脆弱部67は脆弱部67以外の他の部分と比較して破断しやすいため、除去工程において脆弱部67が優先的に破断されてバリ64が除去される。これにより、バリ64の破断する箇所にむらが発生し難くなり、また発泡成形体10にバリが残り難くなる。
【0026】
また、本実施形態に係る製造方法では、窄み部68よりも型開き方向Bと交差する向きへ張り出した主アンダーカット部69を形成する。これにより、主アンダーカット部69が移動型部40により確実に引っ掛かるようにでき、脆弱部67での破断を良好に実現できる。
【0027】
本実施形態に係る成形型20は、型閉じ状態において、固定型部30が備える第1壁部34と移動型部40が備える第2壁部44の傾斜部48との間隔が、本体部領域52およびバリ領域54の第1の境界56から離れるにつれて大きくなるように構成されている。当該成形型20により発泡中間体60を成形すると、第1の境界56からバリ領域54に漏れ出る成形体のバリ64が第1の境界56から離れるにつれて厚くなる。そして、バリ64の第1の境界56に位置する部分が最も薄くなる。この発泡中間体60において移動型部40を移動させて型開き状態にすると、第1の境界56から離れるにつれて厚くなるように形成されるバリ64が型開き方向Bと交差するアンダーカットとして移動型部40に引っ掛かり、第1の境界56に位置する薄い脆弱部67が破断して移動型部40から発泡成形体10が離型される。第1の境界56に位置する脆弱部67でバリ64を破断させることができるため、破断する箇所にむらが発生し難くなり、また発泡成形体10にバリが残り難くなる。
【0028】
また、本実施形態に係る成形型20は、移動型部40の第2壁部44に主凹状部49を設けることで、発泡中間体60のバリ64にさらに大きいアンダーカットを備えさせることができる。これにより、移動型部40にアンダーカットがより確実に引っ掛かるようにでき、脆弱部67での破断を良好に実現できる。
【0029】
(変形例)
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。以下、上述した実施形態の変形例について説明する。変形例において、上述した実施形態と異なる要素を含む部分に関しては別の符号を付し、その他の部分に関しては同様の構成が採用されるものとして説明を省略する。
【0030】
(第1の変形例)
図7は、上記実施形態の第1の変形例を示す図である。
図7の(a)は、第1の変形例に係る成形型120の型閉じ状態において発泡体原料Hの発泡が完了した状態を示し、
図7の(b)は発泡完了後に成形型120を型開きした状態を示す。上記実施形態において主アンダーカット部69が、第3の境界66が延びる方向と直交する面で発泡中間体60を切断することで得られる断面において、略半円の形状の張出部として、型開き方向Bと交差する方向に張り出している態様を説明した。一方で、
図7に示すように、主アンダーカット部169が、当該断面において多角形状の張出部として、型開き方向Bと交差する方向に張り出す態様としてもよい。
【0031】
また、
図5および
図6に示す第1壁部34および第2壁部44は、型開き方向Bに延びて、型開き方向Bに対して斜めに伸びる分割面31,41とその端部で連なる態様である。一方で、
図7に示すように、固定型部130の第1壁部134および移動型部140の第2壁部144が、型開き方向Bと交差する方向に延びる態様としてもよい。また、固定型部130の第1壁部134が、固定型部130の分割面131と同方向に延びる態様としてもよい。
【0032】
(第2の変形例)
図8は、上記実施形態の第2の変形例を示す図である。
図8に示すように、固定型部230および移動型部240が型締めされた状態で、第3の境界66が延びる方向と直交する面で発泡中間体260を切断することで得られる断面において、窄み部268および主アンダーカット部269が一体化して略三角形状の張出部として、型開き方向Bと交差する方向に張り出す態様としても良い。
【0033】
(第3の変形例)
図9は、上記実施形態の第3の変形例を示す図である。
図9に示すように、固定型部330および移動型部340が型締めされた状態で、第3の境界66が延びる方向と直交する面で発泡中間体360を切断することで得られる断面において、移動型部340の第2の部分346近傍の、発泡中間体360の本体部362の外形を規定する面に対応する第3の部分342が曲線である態様としてもよい。より具体的には、第3の部分342は、成形される発泡成形体310のパーティングライン近傍の部分が若干ラウンドした形状となるように、湾曲していてもよい。この場合、成形される発泡成形体310に角部ができにくく、バリ364を除去した後の仕上げの作業負担を軽減できる。
【0034】
(第4の変形例)
図10は、上記実施形態の第4の変形例を示す図である。
図10の(a)は、第4の変形例に係る成形型420を用いた除去工程後の移動型部440にバリ464が張り付いた状態を示す。
図10の(b)は、
図10の(a)に示す一点鎖線に沿って、かつ
図10の(a)の紙面と直交する面に対応する面で、発泡工程における成形型420を切断することで得られる断面を示す図である。
【0035】
図10の(a)および
図10の(b)に示すように、第4の変形例に係る成形型420は、ドーナツ状に凹む凹部432を備える固定型部430と、当該凹部に蓋をする移動型部440と、を備える。固定型部430の第1壁部434および移動型部440の第2壁部444は、第1の変形例において説明した態様と同様に、型開き方向Bと交差する方向に延びている。また、固定型部430の第1壁部434が、固定型部430の分割面431と同方向に延びている。また、発泡中間体460において形成されるバリ464の主アンダーカット部469が、第1の変形例において説明した態様と同様に、
図10の(b)に示される断面において多角形状の張出部として、型開き方向Bと交差する方向に張り出している。
【0036】
移動型部440の第2壁部444は、固定型部430のドーナツ状の凹部432の内周側および外周側にそれぞれ位置する内周第2壁部444Iと、外周第2壁部444Oと、を有する。内周第2壁部444Iおよび外周第2壁部444Oは、キャビティ450の本体部領域452とバリ領域454との第1の境界456を規定する第2の部分446I,446Oをそれぞれ備える。内周第2壁部444Iの第2の部分446Iは、型閉じ状態において固定型部430のドーナツ状の凹部432の中心に位置する凸部438の周方向にわたって延在している。外周第2壁部444Oの第2の部分446Oは、型閉じ状態において固定型部430のドーナツ形状の凹部432の外周にわたって延在している。
【0037】
第2壁部444は、第2の部分446I,446Oがそれぞれ延びる方向に少なくとも1つの、型閉じ状態において第1壁部434と隙間を形成しないシール部443を備えるようにしてもよい。第4の変形例においてより具体的には、外周第2壁部444Oは、第2の部分446Oが延びる方向に2個のシール部443を備える(
図10の(a))。内周第2壁部444Iは、第2の部分446Iが延びる方向に4個のシール部443を備える(
図10の(a))。シール部443は、内周第2壁部444Iおよび外周第2壁部444Oにおいて、シール部443以外の部分よりも張り出した部分である。シール部443以外の部分との比較において、シール部443は内周第2壁部444Iおよび外周第2壁部444Oの凹状部が埋められた部分と捉えることができる(
図10の(b))。シール部443は、移動型部440の分割面441と同じ方向に延びており、型閉じ状態において固定型部430の第1壁部434と隙間を形成せずに対向する。
【0038】
第4の変形例に係る成形型420を用いて発泡工程を行うことで、第1の境界456が延びる方向における発泡中間体460の少なくとも一部でバリ464を形成せずに、発泡中間体460を形成できる。発泡中間体460を成形した後に移動型部440を移動させて型開き状態にすると、移動型部440にバリ464が張り付いた状態となる。これにより、バリ464が形成されていない箇所を起点として、移動型部440に張り付いたバリ464を容易に除去できる。なお、第4の変形例では、複数個のシール部443が設けられた例を示したが、発泡体の材料が軟質である場合にはバリ464自体の伸縮性が高いため、周方向にわたって1つ設けておくだけでも移動型部440からバリ464を除去する工程を容易にできる。発泡体の材料が硬質である場合にはバリ464自体の伸縮性が低いため、第4の変形例のように複数個のシール部443を設けることで移動型部440からバリ464を除去する工程をより容易にできる。
【0039】
(第5の変形例)
図11は、上記実施形態の第5の変形例を示す図である。
図11の(a)は第5の変形例に係る成形型520を示す。
図11の(b)は第5の変形例に係る成形型520を用いた除去工程後の移動型部540にバリ564が張り付いた状態を示す。成形型520の移動型部540に形成される凹状部は、上記の実施形態で説明した凹状部45と同様の態様であるものとする(
図5)。
【0040】
成形型520は、固定型部530および移動型部540が回動軸Cを介して連結されて、移動型部540が回動軸Cを中心に回動して型閉じ状態から型開き状態になるように構成されている。そして、型閉じ状態において回動軸Cからキャビティ550を挟んで反対側に位置する第1の境界556(第3の境界に対応)が回動軸Cと交差する方向に延びる(
図11の(b))。これによって、成形型520を用いる発泡工程において、回動軸Cからキャビティ550を挟んで反対側に位置する脆弱部567が、回動軸Cと交差する方向に延びるように、発泡中間体を形成できる。
【0041】
ヒンジを備える金型などの回動軸を中心として移動型部が回動する成形型では、型開き方向が円弧状に曲がることとなり、バリの形状や延在方向によっては移動型部にアンダーカットとして引っ掛からずに移動型部から外れてしまい、発泡成形体にバリが残るおそれがある。特に、回動軸のキャビティを挟んだ反対側では、アンダーカットの傾いた面の延びる方向が、回動軸側よりも円弧状に曲がる型開き方向に近い場合に、発泡成形体にバリが残ることがより懸念される。上記のように、回動軸Cから遠い位置にある脆弱部567を回動軸Cに対して交差する方向に延びるように発泡中間体を成形すると、アンダーカットが移動型部に引っ掛かりやすくなる。具体的には、型開き方向がxy平面上に位置するとしたときに、アンダーカットの傾いた面のz軸方向の傾きを大きくできるため、アンダーカットが移動型部に引っ掛かりやすくなる。これにより、より発泡成形体にバリが残り難くできる。
【0042】
なお、『回動軸からキャビティを挟んで反対側に位置する脆弱部が、回動軸と交差する方向に延びる』とは、当該脆弱部(反対側の脆弱部)の全てが回動軸と平行ではないことを指すわけではなく、一部の湾曲、屈曲等した部分において平行となっていても上記構成による作用を実現できる。ここで、『回動軸からキャビティを挟んで反対側に位置する脆弱部』としては、脆弱部とキャビティと回動軸とを平面状に投影した時に(例えば
図11の(b)参照)、回動軸Cと直交する直線を回転軸側から引いて、当該直線がキャビティに対応する部分を通った後に通る脆弱部のことを指す。ただし、第4の変形例に示す固定型部がドーナツ状の凹部を備える態様のように、キャビティの内側に非キャビティ部分が存在する場合においては、当該直線がキャビティに対応する部分を通った後に最後に通る脆弱部のことを指す。特に限定されるものではないが、回動軸からキャビティを挟んで反対側で延びる境界の全体の長さに対して20%以下の脆弱部が回動軸と平行となっていてもよく、15%以下の脆弱部が平行となっていると好ましく、10%以下の脆弱部が平行となっていると更に好ましい。
【0043】
以下、上述した実施形態および変形例から抽出される態様を列記する。
[態様1]
第1型部および第2型部により画成されるキャビティにおいて発泡体原料から本体部とバリとを含む発泡中間体を発泡成形する発泡工程と、
前記第2型部を所定の型開き方向へ移動させることで前記発泡中間体からバリを除去して発泡成形体を得る除去工程と、
を備え、
前記発泡工程において、
前記バリの少なくとも一部を、前記第2型部を型開きする際に前記第2型部に引っ掛かるアンダーカットとし、かつ
前記本体部と前記バリとの境界が延びる方向と直交する面で、前記発泡中間体を切断することで得られる断面において、前記境界の近傍に位置する前記バリの少なくとも一部が前記境界に向かうにつれて窄むようにして、前記境界に脆弱部を設けて、
前記発泡中間体を成形し、
前記除去工程において、
前記第2型部により前記バリを引っ張ることで前記脆弱部を破断させて、前記バリを除去する、
発泡成形体の製造方法。
[態様2]
前記発泡工程において、
前記断面において前記境界に向かうにつれて窄み、前記脆弱部と連通する窄み部と、
前記脆弱部とは反対側で前記窄み部と連通し、前記窄み部よりも前記型開き方向と交差する向きへ張り出しており、前記移動型部を型開きする際に前記移動型部に引っ掛かる主アンダーカット部と、
を有するバリを含む発泡中間体を形成する、態様1に記載の発泡成形体の製造方法。
[態様3]
前記発泡工程において、前記境界が延びる方向における前記発泡中間体の少なくとも一部で前記バリを形成しない、態様1または態様2に記載の発泡成形体の製造方法。
[態様3]
前記第1型部および前記第2型部が回動軸を介して連結されて、前記第2型部が前記回動軸を中心に回動して型閉じ状態から型開き状態になるように構成されており、
前記発泡工程において、前記回動軸から前記キャビティを挟んで反対側に位置する前記脆弱部が、前記回動軸と交差する方向に延びるように、前記発泡中間体を形成する、態様1~態様3のいずれかに記載の発泡成形体の製造方法。
[態様5]
第1型部および第2型部を備え、
前記第1型部および前記第2型部により本体部領域およびバリ領域を備えるキャビティを画成する型閉じ状態から、前記第1型部に対して前記第2型部を所定の型開き方向へ移動させて型開き状態になるように構成され、
前記キャビティにおいて本体部およびバリを備える発泡中間体を成形するように構成され、
前記第1型部は、型閉じ状態において前記本体部領域および前記バリ領域の境界を構成する第1の部分から、前記バリ領域側へ延びる第1壁部を備え、
前記第2型部は、型閉じ状態において前記第1壁部に対面する第2壁部を備え、
前記第2壁部は、前記型開き方向と交差する方向に凹み、型閉じ状態において前記第1壁部との間に隙間を形成する凹状部を備え、
前記凹状部は、型閉じ状態において前記境界を構成する前記第2型部の第2の部分に連通する傾斜部を備え、
前記傾斜部は、型閉じ状態において前記境界から離れるにつれて前記第1壁部から離間するように、前記第1壁部に対して傾斜する、
成形型。
[態様6]
前記凹状部は、前記傾斜部の前記境界と反対側に、型閉じ状態において前記第1壁部と前記傾斜部との間隔よりも大きい間隔で前記第1壁部から前記第2壁部が離間するように形成された主凹状部を備える、態様5に記載の成形型。
[態様7]
前記第2壁部は、前記第2の部分が延びる方向に少なくとも1つの、型閉じ状態において前記第1壁部と隙間を形成しないシール部を備える、態様5または態様6に記載の成形型。
[態様8]
前記第1型部および前記第2型部が回動軸を介して連結されて、前記第2型部が前記回動軸を中心に回動して前記型閉じ状態から前記型開き状態になるように構成されており、
型閉じ状態において、前記回動軸から前記キャビティを挟んで反対側に位置する前記境界が、前記回動軸と交差する方向に延びる、態様5~態様7のいずれか一項に記載の成形型。
【0044】
本願は、2019年1月23日付で出願された日本国特許出願(特願2019-009304)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
【符号の説明】
【0045】
10,310:発泡成形体、12:縁部分、20,120,420,520:成形型、30,130,230,330,430,530:固定型部(第1型部)、31,41,131,431,441:分割面、432:凹部、34,134,434:第1壁部、36:第1の部分、438:凸部、40,140,240,340,440,540:移動型部(第2型部)、342:第3の部分、433,443:シール部、44,144,444:第2壁部、444I:内周第2壁部、444O:外周第2壁部、45:凹状部、46,446I,446O:第2の部分、48:傾斜部、49:主凹状部、50,450,550:キャビティ、52,452:本体部領域、54,454:バリ領域、56,456,556:第1の境界、60,260,360,460:発泡中間体、62,362:本体部、64,364,464,564:バリ、66,566:第3の境界、67,567:脆弱部、68,268:窄み部、69,169,269,469:主アンダーカット部、B:型開き方向、C:回動軸、H:発泡体原料