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特許7280899取引カードのためのオーバーモールド加工電子部品及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】取引カードのためのオーバーモールド加工電子部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/04 20060101AFI20230517BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
G06K19/04 020
B29C45/14
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021003355
(22)【出願日】2021-01-13
(62)【分割の表示】P 2019504037の分割
【原出願日】2017-07-26
(65)【公開番号】P2021073108
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-01-20
(31)【優先権主張番号】62/367,362
(32)【優先日】2016-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516351810
【氏名又は名称】コンポセキュア,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アダム ロウ
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0180212(US,A1)
【文献】特表2015-513712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0339564(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00-19/18
B29C 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する面の間に厚さを有し、該対向する面を画定する長さと幅とを有する、金属カード本体であって、該金属カード本体内に開口部を有する、金属カード本体と、
第1のアンテナを有する、支払いモジュールと、
前記開口部に配置され、前記第1のアンテナに誘導結合するように構成されたブースターアンテナであって、該ブースターアンテナは、金属環状部材を備え、該金属環状部材は、前記金属環状部材が画定する内側領域を、前記金属環状部材を取り囲む外側領域に接続する、不連続部と、前記ブースターアンテナの少なくとも1つの表面の周りに配置された形材料とを備え、該形材料は、前記ブースターアンテナの前記不連続部、前記内側領域および前記外側領域に配置されている、ブースターアンテナと、を具備し、
前記支払いモジュールは、前記ブースターアンテナの内側領域の成形材料内に画定されたポケットに固定されており、かつ、
前記成形材料は、粉末金属を含む樹脂を含む、取引カード。
【請求項2】
前記粉末金属が、ロジウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、銅、真鍮、ニッケル、モネル、インコネル、スチール、これらの合金及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の取引カード。
【請求項3】
前記樹脂に含まれる前記粉末金属と前記取引カードの金属とは、同じ種類の金属またはその合金からなる、請求項1に記載の取引カード。
【請求項4】
少なくとも1つの固定特徴部をさらに具備し、前記少なくとも1つの固定特徴部は、前記成形材料と接合する、カード本体内の少なくとも1つのポケットを含む、請求項1に記載の取引カード。
【請求項5】
前記少なくとも1つの固定特徴部は、前記成形材料と同じ又は互換性がある材料であるが、金属カード本体とは異なる材料を含み、それにより、熱ラミネート処理中に前記成形材料と前記少なくとも1つの固定特徴部との間に結合を形成し、該結合は、前記熱ラミネート処理中に前記成形材料と前記金属カード本体との間に形成される別の結合よりも相対的に強い、請求項4に記載の取引カード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月27日に提出された「取引カードのためのオーバーモールド加工電子部品及びその製造方法」と題する米国仮特許出願第62/367362号(その内容は、参照によりあらゆる目的のためにその全体が本明細書において援用される)に関連し、その優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、電子部品を持つ取引カード及びその製造方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
金属製支払いカードは、誘導結合支払いモジュール、RFエレクトロニクス及び独立型電子インレイなどの電子部品を含むとき固有の課題を生じる。上記のような部品を収容するために、金属は、様々な形状に機械加工され、その後、部品は、キャビティの中に配置されて、露出されたままか又はプラスチックの印刷シート又はその他の装飾要素の下に隠される。装飾的要素は、プラテンラミネート加工、コンタクト接着剤、硬化接着剤又は「押し嵌め(push fit)」又は技術上既知の任意の接合法など多様なプロセスによってカードに付着できる。RFシールドがキャビティに必要とされることがしばしばあり、これが、カードの望ましい外観を維持しながらカード組み立てることを更に複雑化する。
【0004】
上記の要求される機械加工形状のいくつかは、かなりの量の金属を除去するか又はカードにスリット又は穴を残して、それが、カードの強度を低下させかつ外観を好ましくないものにする。カードを強化し好ましい面を与えるために、カード内に電子インレイを封入しかつカードの形状を強化するために、オーバーモールド加工及びインサート成形技術が開発されてきた。更に、この開発は、構成上の剛性及び望ましい外観を維持しながら臨界RF送受信領域においてより多くの金属除去を可能にするので、既存の設計に比べてRF性能を改良してきた。
【発明の概要】
【0005】
本発明の形態は取引カード、取引カードの製造プロセス並びに開示される方法に従って製造される取引カードに関する。
【0006】
1つの形態によれば、本発明は、取引カードの製造プロセス及びそれによって製造された取引カードを提供する。プロセスは、電子部品を受け入れるための開口を取引カードのカード本体に形成することと、開口の中へ電子部品を挿入することと、電子部品の周りに成形材料を成形すること、を含む。
【0007】
別の形態において、本発明は、取引カードを提供する。取引カードは、成形電子部品を含む。
【0008】
上記の概略的説明及び下記の詳細な説明は、両方とも例示的であり、本発明を限定するものではないことが分かるはずである。
【0009】
本発明は、添付図面に関連して下記の詳細な説明を読むとき良く理解できる。図面において同様の要素は、同じ参照番号を持つ。複数の同様の要素があるとき、複数の同様の要素に、固有の要素を示すための小文字の符号を付けた同一の参照番号を割り当てることができる。要素をまとめて又は要素の非固有の1つ又はそれ以上に言及する場合、小文字符号を省略する場合がある。これは、一般慣例に従い、図面の様々な特徴が、特に指摘しない限り縮尺通りに描かれないことを強調する。逆に、様々な特徴の寸法は、図の明確化のために縮小拡大できる。図面は下記の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の形態に従った取引カードを製造するためのプロセスの選択されたステップの流れ図である。
図2A】本発明の形態に従ったオーバーモールド加工前の電子部品を示す図である。
図2B】本発明の形態に従ったオーバーモールド加工後の電子部品を示す図である。
図3A】本発明の形態に従ったインサート成形前の取引カードの前面概略図である。
図3B】本発明の形態に従ったインサート成形前の取引カードの後面概略図である。
図3C】本発明の形態に従ったインサート成形後の取引カードの前面概略図である。
図3D】本発明の形態に従ったインサート成形後の取引カードの後面概略図である。
図4A】本発明の形態に従った取引カードを製造するためのオーバーモールド加工プロセスの選択されたステップの概略図である。
図4B】本発明の形態に従った取引カードを製造するためのオーバーモールドプロセスの選択されたステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の形態は、取引カード、取引カードを製造するためのプロセス並びに開示する方法に従って製造された取引カードに関する。
【0012】
図1は、本発明の形態に従った取引カードを製造するためのプロセス100の選択されたステップを示す流れ図である。本明細書において説明するプロセスに関して、本明細書における説明から1つ又は複数のステップが省略される場合、及び/又は説明するプロセス手順から外れて実施した場合でも、望ましい結果を得られることが分かるはずである。
【0013】
ステップ110において、取引カードのカード本体に開口が形成される。開口は、1つ又は複数の成形電子部品を収容するサイズを持つことができる。開口は、部分的に(それによって、例えばポケットを形成する)又は完全に貫通して(それによって穴を形成する)カード本体に延びることができる。いくつかの実施形態において、カード本体を貫通して形成された穴は、図3Dに示す要素307cなど、接着されたプラスチック材料など、貼付材料(applied material,塗布材料、適用材料)などで一方の面を完全に又は部分的に被覆できる。図3Dに示すように、要素307cは、穴を取り囲むエリアに重なって、周囲においてカード本体の穴の縁をかつ底端において貼付材料307cを境界とするポケットを形成する。貼付材料は、後にポケットに充填される成形材料と同じ又はこれと両立する材料とすることができる。いくつかの実施形態において、図3Dに示すように、カード本体の穴を取り囲むエリアに重なる貼付材料307cは、カード本体の穴の周囲内部に貼付材料の「レッジ(ledge、棚)」309を与えるように、カード本体の穴より小さい面積を有する貫通穴308を持つことができる。
【0014】
本発明のカード本体は、ステンレス鋼、ブロンズ、銅、チタン、炭化タングステン、ニッケル、パラジウム、銀、金、プラチナ、アルミニウム又は任意の合金など(これがカードの本体(構造)及び重量のほとんどを占める)の任意の適切な金属を含む任意の適切な材料で構成できる。それに加えて又はその代わりに、本明細書において説明するカード本体は、任意の適切な重合体(例えば、ポリカーボネート、ポリエステル)又は無機質(例えば、ガラス、セラミック)材料又は上記の材料の任意の組合せから構成できる。
【0015】
ステップ120において、電子部品は、カード本体の開口の中へ挿入される。
【0016】
ステップ130において、成形材料は、電子部品の周りに成形される。ステップ120及び130の順番は、特定の応用に応じて変更可能であることが分かるはずである。
【0017】
1つの実施形態において、ステップ130は、オーバーモールド加工プロセスを含む。オーバーモールド加工プロセスにおいて、成形材料は、成形材料が電子部品の表面の少なくとも一部分を被覆するように電子部品の周り(典型的にはこれに被せて)成形される。電子部品のオーバーモールド加工は、ENGLE insert(Engel Austria GmbH、オーストリア)及びCavist MoldMan(商標)(ネバダ州リノ)などの従来の市販の設備を使用して実施できる。
【0018】
オーバーモールド加工プロセス前(図2A)及び後(図2B)の電子部品201を示す。図示するオーバーモールド加工部品200は、電子部品201を完全に被覆する成形材料を持つが、当業者は、様々なオーバーモールド加工の程度で取引カードの好ましい構造的剛性、機能性及び外観を得られることが、分かるはずである。特に、図2A及び2Bに示すように、部品200に接続されたワイヤ210及び220の形式の電気接点は、各々、部品に電気接続できるようにするためにオーバーモールド加工部から突出する非封入端部を有する。図2A及び2Bにおいてはワイヤとして示すが、電気接点又は電気接点に限定されない他の非封入部分は、任意の形状又は形式を取ることができることが分かるはずである。更に、非封入部品と封入部品との間の技術的に好ましい度合いの結合が封入層を介して得られる実施形態などの特定の実施形態において、部品は完全に封入できることが分かるはずである。
【0019】
オーバーモールド加工プロセスが採用される図1を見ると、ステップ130は、ステップ120の実施前に実施できる。即ち、電子部品は、カード本体の開口の中へ挿入される前に別個にオーバーモールド加工される。オーバーモールド加工電子部品の挿入前に、オーバーモールド加工部品は、余分な成形材料を取り除くため及び/又はオーバーモールド加工電子部品をカード本体の開口の中に固定するために使用できる成形材料の特徴部を生成するために、更に機械加工できる。例えば、図2Bを参照すると、オーバーモールド加工部品200をカード本体の開口の中へ固定できるように、成形材料205にリップを機械加工できる。
【0020】
又は、ステップ130のオーバーモールド加工は、ステップ120の実施後に実施できる。この実施形態においては、電子部品はカード本体の開口の中へ挿入され、その後、成形材料が、カード本体の開口の中へ流し込まれて、電子部品の1つ又は複数の露出面(少なくとも上面を含む)に被せて成形される。当業者は、カード本体の材料は、成形材料がカード本体の開口の中へ流れ込むとき、実質的な変形なしにオーバーモールド加工に伴う圧力及び熱に耐えるように選択できる。
【0021】
インサート成形プロセスが採用される場合、ステップ130は、ステップ120の実施前に実施できる。従来のインサート成形プロセスは、型の中へ電子部品を挿入し、その後、型穴の中へ成形材料を射出して、成形電子部品を形成する。成形電子部品は、インサート成形後に成形材料によって完全に又は部分的に封入できる。
【0022】
図3A~Dは、本発明の形態に従った取引カードを製造するためのインサート成形プロセスの選択されたステップを示す。図において、図3A~3Dのエリア305及び308は、カードを貫通する穴を表す。図3Aのエリア307a、b及び図3B及び3Dのエリア307cは、成形材料のためのカード本体の部分的に被覆された穴(ポケット)を表す。図3Bは、完成した成形カードを示し、成形部品310のインサート成形材料が見える。インサート成形材料は、図解のために背景のカード材料に対比させているが、成形部品は、背景のカードに比べて色合い又は濃淡に関して特定の対照度に限定されず、カードの前面と同じ材料を含むか又は完成カードにおいてあまり目立たないようにカードの前面の色合い又は濃淡に調和するように選択された色合い又は濃淡を持つように選択された材料を含むことができる。例えば、成形材料と異なる材料(例えば金属又はセラミックと熱可塑性樹脂成形材料)を含むカード本体において、成形材料の色合いは、カード本体の材料と同じ又は同様の成分を成形材料に使用することを含めて(例えば本体の金属と同じ粉末金属を成形材料に含めることを含めて)、できる限り本体の材料に近い色及び色調を持つように選択できる。他の実施形態において、カードの本体に対照的な成形材料を使用することができる。図3Aは、カード本体302を完全に貫通する開口305を含む取引カード300の前面を示す。複数の固定特徴部307a、bは、成形材料を付着又はその他の方法で結合できるエリアを与える。図示する実施形態において、固定特徴部307a、bは止まり穴(例えば、ポケット)である。固定特徴部307cの同様のセットが、図3Bの取引カード300の裏面に見える。開口305及び固定特徴部307a、b、cの形状は、金属製取引カード300のRF性能を改良するように選択されている。固定特徴部307a、b、cは、成形材料と固定特徴部の材料が、溶融する又は成形材料とカード本体との間に生成される結合力より相対的に強い結合力で接合するように、カード本体材料と同じ又は両立する及びこれと異なる材料を含むことができる。
【0023】
図3cは、インサート成形電子部品310が開口305の中へ配置された後の取引カード300の前面を示す。図示する実施形態において、取引カード300上に成形電子部品310が見える。成形電子部品310の形状は、成形電子部品310が固定特徴部307a、b、cによって生成される付勢作用によって取引カード300に固定できるようにする。その代わりに又はそれに加えて、成形電子部品310は、Bisphenol、Novolac、Alphatic及びGlycidylamineなどのエポキシ樹脂によって取引カード300の開口305に付着できる。
【0024】
余分な成形材料は、付加的な電子部品又は他の好ましい部品を組み込むために、成形電子部品310から取り除く(例えば、平削り又は機械加工によって)ことができる。
【0025】
図4Aは、電子部品405を受け入れるためにカード本体にポケット403が機械加工される際の好ましいオーバーモールド加工プロセスを示す。図示する実施形態において、電子部品405は、プリント回路基板(PCB)、特にRFIDモジュールである。図示するポケット403はカード本体の裏面のほとんどの部分を横切るが、当業者は、組み込まれる電子部品に応じて変動する形状を持つもっと小さい開口が適切であることが分かるはずである。
【0026】
ポケット403は、電子部品405を受け入れて所定の位置に固定するサイズを持つか、又はポケット403の内側リップと電子部品405の外縁との間に余分な成形材料を受け入れるサイズを持つことができる。電子部品405は、それに加えて又はその代わりに、上述のようにエポキシを使用してポケット403に付着できる。
【0027】
オーバーモールド加工面板410は、取引カード400の裏面を形成する。オーバーモールド加工面板410は、電子部品405を完全に又は部分的に封入できる。オーバーモールド加工面板410は、別個に準備して、ポケット403に付着させる(例えば、上述のように適切なエポキシを使用して)か、又はポケット403の中に成形材料の層を直接的にオーバーモールド成形することによって形成できる。
【0028】
好ましい実施形態において、オーバーモールド加工面板に使用される成形材料は、取引カード400が金属又はその他のRF干渉材料で構成される場合、RF送信を強化できるプラスチック材料である。
【0029】
技術上既知のように、RFIDモジュールを持つ取引カードは、典型的にはRFIDモジュールに結合されたアンテナ構造も持つ。このようにして、RFIDモジュールが封入又は部分的封入部品(又は本明細書において説明するように加工される複数の電子部品の1つ)である好ましい実施形態において、アンテナ構造は何通りにも与えることができる。1つの実施形態において、アンテナ構造は、本明細書において説明する成形プロセス後にカードに貼り付けられる層に埋め込むことができる。アンテナ支持装置は、非熱処理(接着剤などにより)、再溶融しない、変形しない又は電子部品へのオーバーモールド加工を妨害しない温度、圧力及び時間で実施される熱ラミネート処理を使用して、カードにラミネート加工するか、又はラミネート加工ステップが実施される反対面から成形品の再溶融又は変形が突出するのを防止するために熱ラミネート加工時に裏張りシート(金属又は熱ラミネート加工によって影響を受けないその他の材料)を設置できる。別の実施形態において、成形ステップは、本明細書において説明するように電子部品のみでなく、少なくともアンテナ構造が後に配置されるカード面の部分も被覆するオーバーモールド加工ステップを含むことができる。例えば、RFIDモジュールの封入又は部分的封入に加えて、所望の厚みを有する層でカードの少なくとも1つの面全体(典型的には裏面であるが、その代わりに前面でもよい)を被覆するフラッドオーバーモールド加工ステップ(flood overmolding step)を実施できる。その後、技術上既知の超音波プロセスを使用して、オーバーモールド加工層にアンテナを埋め込むことができる。カードの面に印刷される内容は、オーバーモールド加工層の面にも印刷するか、又は接着剤又はラミネート加工によって付加的印刷層を付着できる。別の実施形態において、アンテナは、成形面に印刷するか、又は接着剤又はラミネート加工などによって成形面の上に取り付けられる別の層の一部として貼り付けできる。以上のことは非限定的実施例であり、カードに成形電子部品を設置するための本明細書において説明するプロセスの結果として得られる製品の下流工程の処理には無限の可能性が存在し、本発明の特定の形態は後のプロセスステップによって限定されることがない、ことが分かるはずである。
【0030】
当業者は、適切な成形材料は、ステップ130において使用される成形プロセスのタイプによって決まることが分かるはずである。例えば、インサート成形又はオーバーモールド加工が採用される場合、EVA、メタロセンポリアルファオレフィン、アタクチックポリアルファオレフィンを含むポリオレフィン、ブロック共重合体、ポリウレタンホットメルト及びポリアミド、及びファイバグラス強化ポリエステル、ポリウレタン、ベークライト、デュロプラスト、メラミン、ジアリルフタレート及びポリイミドなどの熱硬化性材料から成るグループに含まれる1つ又はそれ以上の材料を含む、TechoMelt(登録商標)溶融接着剤(Henkel)などの熱可塑性材料を使用できる。当業者は、ロジウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、銅、真鍮、ニッケル、モネル、インコネル、スチール又はこれらの合金などの粉末金属を含めて(但し、これらに限定されない)オーバーモールド加工又はインサート成形プロセスにおいて流動性を与えることができるその他の材料を使用できることが分かるはずである。
【0031】
別の実施形態において、オーバーモールド加工又はインサート成形プロセスに使用される成形材料は、約150~300℃の範囲の成形温度を有するプラスチック材料である。
【0032】
本発明については、固有の実施形態に関連して図示し、説明するが、本発明は図示される細部に限定されないものとする。むしろ、本発明から逸脱することなく請求項の同等物の範囲内で細部に様々な修正を加えることができる。
なお、本開示の態様として以下のものも含まれる。
〔態様1〕
取引カードを製造するためのプロセスであって、
前記取引カードのカード本体に開口を形成するステップと、
前記開口の中へ電子部品を挿入するステップと、
前記電子部品の周りに成形材料を成形するステップと、
を含む、プロセス。
〔態様2〕
前記成形するステップが、前記開口の中へ前記電子部品を挿入し、その後前記開口に前記成形材料を充填することを含む、態様1に記載のプロセス。
〔態様3〕
前記成形するステップが、型の中に前記電子部品を配置し、前記型の中へ前記成形材料を射出することを含む、態様1に記載のプロセス。
〔態様4〕
前記挿入するステップが、前記成形するステップの後に行われる、態様3に記載のプロセス。
〔態様5〕
更に、前記成形材料を前記カード本体に固定するために前記カード本体に1つ又は複数の固定特徴部を形成するステップを含む、態様1に記載のプロセス。
〔態様6〕
前記固定特徴部が前記カード本体の中のポケットを含む、態様5に記載のプロセス。
〔態様7〕
前記開口が前記カード本体を部分的又は全体的に通過して延びる、態様1に記載のプロセス。
〔態様8〕
前記成形材料が、約150~300℃の成形温度範囲を有するプラスチックである、態様1に記載のプロセス。
〔態様9〕
前記重合体成形材料が、EVA、メタロセンポリアルファオレフィン、アタクチックポリアルファオレフィンを含むポリオレフィン、ブロック共重合体、ポリウレタンホットメルト、ポリアミド、ファイバグラス強化ポリエステル、ポリウレタン、ベークライト、ドゥロプラスト、メラミン、ジアリルフタレート及びポリイミドの1つ又はそれ以上である、態様1に記載のプロセス。
〔態様10〕
金属性成形材料が、ロジウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、銅、真鍮、ニッケル、モネル、インコネル、スチール又はこれらの合金の1つ又はそれ以上である、態様1に記載のプロセス。
〔態様11〕
前記成形するステップの後に、更に、成形された電子部品から余分な成形材料を取り除くステップを含む、態様1に記載のプロセス。
〔態様12〕
前記開口が前記カード本体の中のポケットであり、前記成形するステップが、前記電子部品の少なくとも上面に成形材料を成形することを含む、態様1に記載のプロセス。
〔態様13〕
成形電子部品を備える取引カード。
〔態様14〕
態様1のプロセスに従って製造された取引カード。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B