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特許7280907細胞培養装置、システム及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】細胞培養装置、システム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20230517BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20230517BHJP
【FI】
C12N5/071
C12M1/00 C
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021049742
(22)【出願日】2021-03-24
(62)【分割の表示】P 2018512502の分割
【原出願日】2016-05-20
(65)【公開番号】P2021106591
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】1508752.1
(32)【優先日】2015-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517405596
【氏名又は名称】オリビオテック リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー メイソン
(72)【発明者】
【氏名】ファーラン シン ベレイッチ
【審査官】藤澤 雅樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/037984(WO,A1)
【文献】特表2007-511205(JP,A)
【文献】特公昭50-019791(JP,B1)
【文献】特開2013-074889(JP,A)
【文献】特開平08-070847(JP,A)
【文献】特開昭52-087290(JP,A)
【文献】2013 Catalogue,Adhesive Dispensing Ltd,2013年,pp.1-14,インターネット <URL: http://pdfs.findtheneedle.co.uk/24913.pdf>,[検索日 2021.07 .06]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
C12M 1/00-3/10
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部、基部と平行して配置された頂部、及び前記頂部と前記基部との間に配置され、そして容器の内腔を規定する壁要素を有する細胞培養容器における細胞の培養方法であって、ここで前記容器中の壁要素が前記頂部及び前記基部に対して圧縮可能であり、そして前記容器中の前記頂部が任意に密封可能な入口を有し、前記容器が可撓性材料から構成され、前記細胞培養容器内の培地中において細胞を培養することを含む方法であって、この方法はさらに以下の工程を含む;
(i)遺伝子修飾;及び
(ii)サイトカイン刺激;及び
(iii)細胞の増殖;
ここで、前記方法の各工程は、細胞が容器の内腔を離れることなく、容器の内腔内で行われる。
【請求項2】
前記細胞培養容器中の壁要素が、前記基部と平行して配置された、壁に複数の側方剛性部を含み、ここで側方剛性部の各対が変形可能領域と交互配置される、請求項に記載の細胞の培養方法。
【請求項3】
前記壁要素が螺旋コイル領域の何れかの側に提供される変形可能領域を有する剛性螺旋コイル領域を含む、請求項1に記載の細胞の培養方法。
【請求項4】
前記容器の内腔が複数の連結されたチャンバーを含み、各チャンバーは、対の側方剛性部から形成された一連のセグメントから構成される、請求項1又は2に記載の細胞の培養方法。
【請求項5】
前記複数の連結されたチャンバーの各々は、複数の連結された各チャンバーの何れかの端に解放可能な閉鎖手段が提供される、請求項に記載の細胞の培養方法。
【請求項6】
膜又はフィルターが、対の側方剛性部から形成された複数のセグメントに内腔を分割するために変形可能領域でその内腔内に配置される、請求項1、2又は4の何れか1項に記載の細胞の培養方法。
【請求項7】
前記膜又はフィルターが1又は2以上の穴により穿孔される、請求項に記載の細胞の培養方法。
【請求項8】
前記膜又はフィルターが、内腔を半分割する、請求項に記載の細胞の培養方法。
【請求項9】
前記膜が壁要素と不連続である、請求項に記載の細胞の培養方法。
【請求項10】
前記容器の内腔が、前記容器の内腔内に、同心円状に配置された複数の内壁要素を有する、請求項1に記載の細胞の培養方法。
【請求項11】
前記可撓性材料が、ガス透過性材料である、請求項1~10の何れか1項に記載の細胞の培養方法。
【請求項12】
前記可撓性材料が、ポリエチレン(任意には低密度ポリエチレン(LDPE))、シス-1,4-ポリブタジエン、メタクリレート、フタレート、ポリ(塩化ビニリジエン)、セルロース、シリコーン、フルオロエチレンポリプロピレン、ポリオレフィン、又はエチレン酢酸ビニルコポリマーから成る群から選択される、請求項1~11の何れか1項に記載の細胞の培養方法。
【請求項13】
前記メタクリレートがポリ(エチルメタクリレート)を含む、請求項12に記載の細胞培養容器細胞の培養方法。
【請求項14】
前記フタレートが、ポリ(エチレンテレフタレート)を含む、請求項12に記載の細胞培養容器細胞の培養方法。
【請求項15】
前記セルロースが、セルロースアセテートブチレートを含む、請求項12に記載の細胞培養容器細胞の培養方法。
【請求項16】
前記容器が、円形、正方形、長方形、楕円形又は三角形の断面のものである、請求項15の何れか1項に記載の細胞の培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞を培養し、操作し、又は保存するための装置に関し、そのような装置を用いるシステム及びその使用方法を含む。本発明は、培養及び凍結保存における細胞の増殖方法、並びに対象への細胞の送達方法に関し、そのような装置を用いて生物学的サンプルを得る方法を含む。
【背景技術】
【0002】
細胞の培養又は処理は典型的には、例えば細胞を培養する場合、適切な培地に細胞を保持するための装置の使用を必要とする。既存の装置は、シェーカーフラスコ、ローラーボトル、T-フラスコ及びバッグを含む。そのようなボトル又はフラスコは広く使用されているが、しかしいくつかの欠点を有する。問題の主なものは、継代又はその後の処理の時に汚染することなく細胞の移送を必要とすることである。
【0003】
既存の細胞培養装置は、継続的な細胞増殖のために培地及び酸素の再供給を必要とする。ガス透過性細胞培養装置は、米国特許第8415144号に記載されている。しかしながら、そのような装置はまた、装置の中及び外に培地及び/又は細胞の移送を必要とする。
【0004】
医学で使用するための折りたたみ可能な装置が公知である;例えば、血液コレクターに関する米国特許第4867172号、又は流体採取のためのキャニスターライナーに関する国際公開第2008/030597を参照のこと。しかしながら、このような装置は、細胞培養において使用するために製造された、又は構築されたものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医学で使用するための細胞の生成における重要な制限因子は、汚染なしに細胞を処理するための完全に密封されたシステムの不在である。例えば、細胞の培養又は続く処理の間、培養容器に添加する場合、又は細胞を除去する場合、汚染の危険性がある。オペレーティングシステムは主に手動であり、そして従って、操作は費用を要する。さらに、手動操作の増加に伴って、手動操作の誤りの危険性が高まり、そして従って、現在の労働集約的プロセスは、臨床グレードの治療薬の製造のために必要とされる堅牢性を欠いている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、新鮮な培養装置への細胞の一定の継代の必要性を回避し、細胞の容易な遺伝子修飾を可能にし、そして続く工程(例えば、洗浄、等)及び/又は臨床使用における細胞の取り扱いを簡略化するような処理を可能にする細胞培養装置の必要性がある。例えば、任意の所定の培養物の細胞集団が増加するにつれて、より大きな装置に細胞を移すことなく、培養中の細胞のスケールアップが達成され得る場合、それは有益であろう。
【0007】
本発明の第1の側面によれば、基部、頂部と平行して配置された頂部、及び頂部と基部との間に配置され、そして容器の内腔を規定する壁要素を有する細胞培養容器が提供され、ここで前記容器中の壁要素が頂部及び基部に対して圧縮可能であり、そして前記容器中の頂部が任意に密封可能な入口を有し、前記容器中の壁要素が可撓性材料から構成される。
【0008】
1つの実施形態によれば、壁要素は、基部と平行して配置される壁に複数の側方剛性部を含み、ここで前記側方剛性部の各対は変形可能領域と交互配置されている。別の実施形態によれば、壁要素は、螺旋コイル領域の何れかの側に提供された変形可能領域を有する剛性螺旋コイル領域を含む。
【0009】
別の実施形態によれば、頂部、基部及び壁要素は、外部の調整可能フレーム内に保持され得るバッグを形成し得るか、又は前記バックは、そのバッグの材料内に内部の調整可能フレームを含む。
【0010】
本発明の容器は、調整可能であり、そして多くの異なった構成を採用してもよい。それは、拡張された状態又は部分的に拡張された状態から圧縮されてもよいか、又は圧縮された状態又は部分的に圧縮された状態から拡張されてもよい。前記異なった構成は、受動的に又は能動的に、例えば手動的に、又は作動装置の制御下で達成されてもよい。前記作動装置は、所望には、又は必要に応じて、容器の圧縮又は拡張させるよう可逆的態様で作動してもよい。
【0011】
容器は、完全に拡張された開放配置から、部分的に圧縮又は折りたたまれた半開放又は半閉鎖配置を介して、完全に折りたたまれた又は圧縮された配置に圧縮できる。
【0012】
容器は、壁要素が変形可能である頂部及び底部に対して圧縮可能である。容器の圧縮は、コンチェルティーナ又はベローズの圧縮に類似している。頂部及び底部は、壁要素の変形によりお互いに接近させられる。変形は、容器の可撓性材料における、より大きな柔軟性のライン又はゾーンに沿って生じ得る。
【0013】
従って、容器の圧縮はまた、頂部及び底部の面に接する軸に沿ったものとして記載されてもよい。従って、頂部及び底部が実質的に水平な位置(容器は直立構成にあると記載され得る)に配置される場合、容器の圧縮は、直接方向に生じる。同様に、頂部及び底部が実質的に垂直な位置(容器は側方又は横構成であると記載され得る)に配置される場合、容器の圧縮は水平方向に生じる。
【0014】
完全に拡張された又は開放配置においては、容器は、細胞の培養のための最大の利用可能な量を有する。完全に折りたたまれた又は圧縮された配置において、容器は、容器の貯蔵又は輸送のために、又は細胞を洗浄するか若しくはペレット化することにより細胞を処理する工程の一部として、より適切である最小利用の可能体積を有する。容器は、頂部及び基部を互いに接近させる作動装置により圧縮されてもよい。同様に、容器は、頂部及び基部をさらに離して動かす作動装置により拡張されてもよい。
【0015】
容器が閉鎖された又は半閉鎖された配置から拡張される場合、その拡張は、容器の手動的拡張により、又は容器が頂部及び基部をさらに離して動かす作動装置内に保持される機械的拡張により適切に制御され得る。容器はまた、容器が適切な材料から製造されるいくつかの実施形態で自己拡張できる。容器はまた、流体、例えば液体、又はガスを導入することにより拡張されてもよい。同様に、容器はまた、流体、例えば液体、又はガスを除去することによっても圧縮されてもよい。
【0016】
容器は、単一のチャンバーを含む単一の内腔を含むことができるか、又はそれは内腔内に複数の連続して配置された内部チャンバーを形成するために、1又は2以上の閉鎖手段により分割されてもよい。このようにして、容器は、容器が使用されている場合、異なった工程が連続的に及び/又は並行して生じる多くの異なったゾーン又は領域を収容することができる。単一の密閉された容器システム内の複数のチャンバーは、それら自身のチャンバー内の複数の細胞型の同時処理を可能にし、必要な場合にのみ混合が行われる。
【0017】
容器は、本明細書に記載されるような容器内の領域の選択的開閉により、そのような異なったチャンバーを提供するよう調整され得る。容器が複数の側方剛性部を含む場合、個々の部の動きは、独立して制御され得、従って1又は2以上の対の部を開き、同時に他は閉じたままにすることができる。
【0018】
側方剛性部の各対は、容器中の個々のセグメントを規定することができる。従って、容器は、1又は2以上のセグメントから成るいくつかの領域を含むことができる。選択的にいくつかのセグメントを規定する異なったセグメント又は領域を開閉する能力は、本発明のこの側面の利点である。
【0019】
頂部及び/又は基部及び/又は壁要素は、入口及び/又は出口ポートを有してもよい。
【0020】
このようにして、本発明の容器は、異なったセグメント又は領域を選択的に開閉することにより、細胞を装置を通して動かすことによって細胞を処理するために使用され得る。異なったセグメント又は領域を選択的に開閉する作用は、実行される工程に従って、体積及び利用可能な表面積を所望に応じて増減することができる。セグメント又は領域を開く作用は、培養中の細胞を、容器の内腔内の1つのチャンバーから別のチャンバーに移動させるか、又は培養中の細胞はまた、混合されてもよい(例えば、遠心分離の後)。細胞は、セグメントのフェーズ、すなわち開いているか、又は閉じているかに応じて、任意の方向に移動され得る。同様に、セグメント又は領域を閉じる作用は、細胞の移動及び/又は混合を引き起こしてもよい。容器の完全な圧縮は、培養中の細胞の容器からの排出を引き起こしてもよい。細胞源又は液体源に結合されるか、又は隣接する場合、閉じられた配置からの容器の開放は、容器の内腔への液体又は細胞の引き込みを引き起してもよく、この場合、容器は、そのような材料又は液体を、カニューレを通して受けるよう適切に改良されている。
【0021】
複数の内腔はまた、容器の壁の周りの適切な位置に沿ったヒートシーリングし、シールを形成するために容器の壁をアニーリングすることによって形成されてもよい。そのようなシーリングは、貯蔵(すなわち、凍結保存)及び/又は輸送及び/又は廃棄物除去(使用済み培地)及び/又は細胞選択のために、細胞又は培地を含む容器の一部の選択的除去を可能にしてもよい。
【0022】
本発明の1つの実施形態によれば、容器は、基部及び頂部の向きに対して垂直な容器の軸に沿って容器の内腔内に配置される複数のチャンバーを含むことができる。複数のチャンバーは、異なった幅を有しても良く、すなわちチャンバーは均一に又は不均一なサイズでもあってもよい。チャンバーは、それぞれ独立して、流体連通することができるか、又は他方では、チャンバーはそれぞれ独立して、再密封可能な流体連通下にあってもよい。従って、1又は2以上のチャンバーが、1又は2以上の他のチャンバーから選択的に単離されてもよい。単一装置内に異なった容積のチャンバーを有することにより、特定の細胞又は試薬密度の何れかを必要とする一連の操作の実施を可能にする。例えば、トランスフェクション及びエレクトロポレーションの両者は、低容量での高密度の細胞を必要とし;そして接種は、大容量での低密度の細胞を必要とする。同様に、特定の濃度で効率的に作動することを必要とする高価な試薬に関しては、より高い細胞密度を有するより小容量のチャンバーがよりコスト効率がよい。
【0023】
そのような実施形態によれば、細胞集団が、本発明の容器の頂部を介して導入され、そして第1チャンバーにおける処理に供され、続いて、第1チャンバーの選択的閉鎖、及び第1チャンバーの閉鎖と連続する隣接する第2チャンバーの選択的開口、それによる、続く処理のための第2チャンバー中への細胞の移動に供される。例えば、第1チャンバーは細胞をトランスフェクトするために使用されてもよく、ここで第1チャンバーは比較的小さな利用可能容積を有し、そして第2チャンバーは、トランスフェクトされた細胞の培養及び拡張のためにより大きな利用可能容積を有してもよく、それにより、追加の培地が、必要に応じて供給され得る。従って、容器の全体的な寸法がそれに応じて選択され得る場合に採用される処理方法に従って、より多くのチャンバーが、必要に応じて形成され得る。
【0024】
容器は、全体を通して同じ可撓性材料から構成されてもよい。しかしながら、頂部及び底部は、壁要素のものとは異なる材料から構成されてもよい。頂部及び底部に使用される材料は、使用下で圧縮又は拡張される必要がないので、壁要素の材料よりも柔軟性が低い。材料は、それらの部(section)が、より高い構造的剛性を有するように、剛性材料であってもよい。いくらかの実施形態によれば、頂部は、底部の材料とは異なる材料から構成されてもよい。他の実施形態によれば、容器のすべての部分は、同じ可撓性材料から構成されてもよい。
【0025】
頂部及び底部は金属、例えばステンレス剛(図12を参照のこと;ここで金属は、容器内のエレクトロポレーションチャンバーを生成するために必要とされる)、他方では、細胞培養、加工及び貯蔵(例えば、凍結保存)への使用のための任意の一般的に適切なプラスチック材料、例えばポリエチレン(高密度又は低密度ポリエチレンHDPEまたはLDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、耐衝撃性ポリスチレンを含むポリスチレン(PS)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、等から構成されてもよい。
【0026】
可撓性材料は、ガス透過性材料であってもよい。可撓性材料は、プラスチック材料であってもよい。可撓性材料は、ポリエチレン(任意には低密度ポリエチレン(LDPE))、シス-1,4-ポリブタジエン、メタクリレート、例えばポリ(エチルメタクリレート)、フタレート、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(塩化ビニル)、セルロース、例えばセルロースアセテートブチレート、シリコーン、フルオロエチレンポリプロピレン、ポリオレフィン、又はエチレン酢酸ビニルコポリマーであってもよい。
【0027】
容器は、細胞治療、遺伝子治療ベクター産生及び/又はエキソソーム産生における容器の使用を含む、細胞培養及び細胞処理に適切である。容器は、使用の前、(例えば、ガンマ線照射又は他の手段により)適切に減菌されてもよい。任意には、装置の内表面は、培養下で細胞に対して作用し、そして/又は分化を誘発できる生物学的活性剤により被覆されるか、又はそれらの剤を含んでもよい。
【0028】
基部は、出口を含んでもよい、各出口及び入口は、第2の折りたたみ可能な細胞培養装置への連結のためのコネクターへの連結のために適合されてもよいてもよく、又は調整可能又は取り外し可能な閉鎖手段、又は取り外し可能な微孔性フィルターを取り付けられてもよい。基部は、収集領域を含んでもよい。基部は、実質的に平面(水平)であってもよく、又はそれは断面において角度をなすように構成されてもよく、例えばそれは、装置内で沈降することにより細胞を収集するための収集領域を有してもよい。
【0029】
容器が複数の側方剛性部を有する場合、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9又は2~10、又はそれ以上の部が存在する。側方剛性部の数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態によれば、側方剛性部の数は、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100、又はそれ以上であってもよい。そのような実施形態における側方剛性部の最少数は、2であり、ここで頂部は側方剛性部を含み、そして基部はその間に変形可能領域が介在する側方剛性部を含む。側方剛性部は、ワイヤフレ-ムのような容器の壁における変形可能な領域に比較して、材料の強化された部から構成されてもよい。
【0030】
容器が、円形、正方形、長方形、楕円形又は三角形の断面のものであってもよい。他方では、容器は、種々の断面、例えば可変(増加及び/又は減少)直径を有する一連の円形断面の多くの異なった部又は領域を含んでもよい。
【0031】
本発明の細胞培養容器は、セグメント又は部/チャンバー間の流体の流れを可能にしながら、容器の内腔内の個々のセグメント又は部/チャンバー間の部分的閉塞を可能にするよう適合されてもよい。
【0032】
例えば、容器の内腔は、複数の連結されたチャンバーを含んでもよく、各チャンバーは、一対の側方剛性部から形成される一連のセグメントから構成される。
【0033】
複数の連結されたチャンバーはさらに、複数の連結されたチャンバーのそれぞれの両端に解放可能な閉鎖手段を備えることができる。その閉鎖手段はクランプであってもよい。他の実施形態によれば、チャンバーは、個々のチャンバー(部)は容器から取り外され得るように、所望の位置に壁要素の溶着を引き起こすために、ヒートシーラー等を用いて恒久的に密封され得る。
【0034】
本発明の細胞培養容器は、内腔を、一対の側方剛性部から形成された複数のセグメントに分割するために、変形可能領域で内腔内に位置する膜又はフィルターを備えられ得る。膜又はフィルターは、1又は2以上の穴により穿孔され得る。
【0035】
膜又はフィルターは、内腔の利用できる表面断面面積の35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は99%まで、内腔を半分割することができる。
【0036】
膜は、壁要素と不連続であり(すなわち、膜は内腔を完全には分割しない)、そして従って、内腔内に配置される一連のバッフルを形成することができる。例えば、バッフル要素は、交互の側方剛性部又は各側方剛性部に配置されてもよい。
【0037】
膜又はフィルターの材料は、壁要素を形成する材料と同じであり得る、又は異なり得る。膜は、セルロース、例えばニトロセルロース膜であってもよい。フィルターは微孔性フィルターであってもよい。膜又はフィルターは剥離可能であってもよい。
【0038】
本発明の細胞培養容器は、チャンバーの内腔内に同心円状に配置される複数の内壁要素を有してもよい。
【0039】
この実施形態によれば、容器はまた、断面積が減少するが、しかし内腔を完全には分割しない一連の円心円状内面が提供されてもよい。そのような実施形態によれば、容器は、減少する断面積と同心円状に配置される一連のネストされた壁要素を含む。しかしながら、培養中の細胞を、すべての利用できる表面に付着させるために、容器の内腔の周り及びその全体にわたって流体の流れが可能である。配置は必ずしも円形である必要はなく、そして他の規則的な幾何学的形状も可能である。唯一の要件は、各小さなネストされた表面が容器の壁要素まで、先行の大きなネストされた表面内に収まることである。
【0040】
各側方剛性部は、変形可能領域と同じか又は異なった断面積のものであってもよい。このようにして、容器は、容積及び表面積の増加又は減少を伴って、一連の相互連結されたチャンバーから構成されてもよい。
【0041】
基部は、実質的に平坦な水平ベース領域を有する円錐台形状であってもよい。基部は、例えば本明細書に記載されるように対象に細胞を投与する方法において、容器から細胞を放出するための送達機構と係合するように構成されてもよい。従って、そのような放出又は投与を可能にするために、また基部に出口を設けられてもよい。出口が存在する場合、それは、Leur Lockコネクター(「Leur-Lok(商標)」)によりカニューレを適切に受容するように適合されてもよい。出口は、調整可能及び/又は取り外し可能な閉鎖手段により密封されてもよい。
【0042】
頂部は円錐台形状であってもよい。頂部中の入口は、Luer‐lockコネクターによりカニューレを適切に受け入れるよう適合されてもよい。頂部中の入口は、調整可能及び/又は取り外し可能な閉鎖手段により密封されてもよいか、又は取り外し可能な微孔性フィルターを備えてもよい。頂部は実質的に平坦(水平)であってもよいか、又はそれは、断面において角度をなすよう構成されてもよい。
【0043】
各入口及び出口は、必要に応じて逆の手段で独立して機能させてもよい。カニューレの参照は、対象に細胞又は流体を送達するのに使用されるか、又は対象から生物学的材料又は流体のサンプルを入手するのに使用される何れかのタイプの針を含む。存在する場合、カニューレは、容器の内腔と流体連通して存在する。
【0044】
本発明のこの側面は、培養中の細胞及び培地中の細胞を含む細胞培養容器へ拡張する。細胞を含む細胞培養容器は凍結されてもよい。
【0045】
本発明のこの側面によれば、細胞は、本発明の細胞培養容器中で培養されてもよい。細胞は懸濁培養下で存在するか、又は基材に付着してもよい。基材は、容器の内腔中の1つ以上の内面に取り外し可能的に固定されるか、又は微小粒子に取り外し可能的に固定されてもよい。細胞は、混合又は遠心分離に供され、続いて新鮮な培地に再懸濁されてもよい。折りたたみ可能な細胞培養容器の可撓性材料は、細胞に対してガス、例えば酸素を供給するためにガスを送達し得る、ガス透過性であってもよい。
【0046】
何れか所定の培養物の規模を拡大するために、細胞培養容器は、細胞培養容器が完全に又は部分的に閉じられた閉鎖又は半閉鎖配置から、細胞培養容器が拡張される開放又は半開放配置に拡張されてもよい。
【0047】
上記からわかるように、細胞培養容器は、種々の向き及び配置を有してもよい。それは、本明細書に記載されるような細胞の多段階処理のために、及び細胞培養の規模の拡大のために適している。容器は、単一のチャンバー、又は異なった処理工程が適切には連結して行われる複数の連結されたチャンバーを含んでもよい。
【0048】
本発明の第2の側面によれば、基部、頂部と平行して配置された頂部、及び頂部と基部との間に配置され、そして容器の内腔を規定する壁要素を有する細胞培養容器における細胞の培養方法が提供され、ここで前記容器中の壁要素が頂部及び基部に対して垂直に圧縮可能であり、そして前記容器中の頂部が任意に密封可能な入口を有し、前記容器が可撓性材料から構成され、前記細胞培養容器内の培地中の細胞を培養することを含む。容器の他の特徴及び側面は、本明細書で定義される通りであってもよい。
【0049】
この方法はさらに、細胞洗浄し、分離し、そして/又は凍結保存する1又は2以上の工程を含んでもよい。それらの工程は、任意の順序で行われ、そして所望により、反復されてもよい。
【0050】
本発明のこの側面によれば、この方法は、細胞培養容器を遠心分離し、細胞のペレットを形成することをさらに含み、上清液は、細胞培養容器を閉じることにより(開放したコンチェルティーナ閉鎖する態様で容器を閉じることにより)置換されてもよく、続いて、適切には、閉鎖されたコンチェルティーナを開放するよう容器を再開放することにより、細胞ペレットを再懸濁することを含む。閉じることができる細胞培養容器中の細胞の培養物は、輸送又は貯蔵のための凍結(又は凍結保存)、又は任意の活性化工程を含む培養、又は処理、及び対象への続く投与に供されてもよい。
【0051】
細胞の培養は、遺伝子発現に関する付随する調節及び制御要素、例えばプロモーターと共に目的のタンパク質又はRNA配列をコードすることができる、任意にはベクターに含まれる、核酸配列の形で存在することができる細胞中に、異種核酸(遺伝子材料)を導入するために、細胞のトランスフェクション工程を含んでもよい。核酸配列は、DNA又はRNAであってもよい。細胞のトランスフェクション工程は、少体積の液体下で生じる。そのような工程においては、存在する液体の量は、容器中の出口を通して過剰の液体を除去することにより低められ得る。
【0052】
容器が容器の内腔内に多数の別個の別々のチャンバーを含む場合、トランスフェクションの工程は、細胞のトランスフェクションを促進するために、低められた体積の液体を保持するよう配置されたチャンバーの企画された領域で行われ得る。
【0053】
従って、異なった処理工程が、本明細書に説明されるように、容器内の領域の選択的開閉により形成され得る容器内の異なったチャンバーにおいて行われるよう配置され得る。
【0054】
細胞培養容器は、任意の原核又は真核細胞、適切には動物細胞、例えば哺乳類細胞を培養するために使用されてもよい。細胞は、ヒト又は非ヒト細胞であってもよい。適切な非ヒト細胞源の例は以下のものを含む:齧歯類、例えばマウス、ラット、及びモルモット、並びにヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ及び/又はウマの種から選択された有蹄動物、又は非ヒト霊長類種。しかしながら、細胞は、起源的に細菌、酵母、菌類又は植物細胞であってもよい。
【0055】
細胞は、体細胞及び非体細胞を含む任意のタイプのものであってもよい。細胞は、胚、胎児又は成体動物の発生の任意の段階に由来する幹細胞であってもよい。細胞は、遺伝子修飾された細胞、例えばキメラ抗原受容体T-細胞(CART)であってもよい。細胞は、組換えタンパク質を生成するために、寄託された細胞系、例えば遺伝子修飾されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞由来であってもよい。
【0056】
例えば、細胞は、非ヒト起源の細胞を包含する胚性幹(ES)細胞を含む。細胞は、寄託される細胞系、例えばES細胞系、又は癌、又は培養において増殖させられ、そして/又はモノクローナル抗体を生成させられ得るハイブリドーマの細胞に由来してもよい。細胞はまた、体細胞の核が除核された卵母細胞に配置された体細胞核移植(SCNT)の結果から誘導されてもよい。
【0057】
細胞は、多能性幹細胞、例えば霊長類多能性幹(pPS)細胞、例えばヒト胚細胞幹(hES)細胞であってもよい。細胞が幹細胞である場合、その源は、身体の任意の組織、例えば間葉系幹細胞(臍帯由来の幹細胞を含む)、神経幹細胞又は造血幹細胞からであってもよい。また、誘導多能性幹(iPS)細胞も含まれる。
【0058】
本発明の第3の側面によれば、基部、頂部と平行して配置された頂部、及び頂部と基部との間に配置され、そして容器の内腔を規定する壁要素を有する容器から対象に細胞を投与することを含む、対象における医学的又は獣医学的状態の治療方法が提供され、ここで容器中の壁要素が頂部及び基部に対して垂直的に圧縮可能であり、そして前記容器中の基部がカニューレを提供され、前記容器が可撓性材料から構成される。容器の他の特徴及び側面は、本明細書に定義される通りであってもよい。いくつかの実施形態によれば、容器の頂部は、任意に密封できる入口を備えられてもよい。
【0059】
医学的又は獣医学的状態の治療方法は、遺伝子修飾された細胞を含む細胞のその必要な対象に投与することによる細胞治療を包含し得る。同様に、医学的又は獣医学的状態の治療方法は、その必要な対象に対する、エキソソーム、馴化培地、モノクローナル抗体及び組換えタンパク質を含む細胞により生成される生成物を含み得る。
【0060】
美容的処置は、対象への細胞の投与による美容的(美的)増強を提供する任意の非治療的処置方法を包含し得る。
【0061】
細胞は、投与の前、本発明の第1の側面に従って、細胞培養容器において培養されてもよく、任意には洗浄すること、及び再懸濁することを含む。
【0062】
本発明のこの側面によれば、容器は任意には、細胞培養容器中の凍結保存された細胞集団を含み、それらは続いて、投与の前、融解される。適切には、融解された細胞は、使用の前、生理学的に許容できる媒体において再懸濁されてもよい。細胞はさらに、必要に応じて、容器において洗浄され、遠心分離され、そして再び再懸濁される。生理学的に許容できる媒体は、対象に投与されるべき最終製剤のために必要とされる、任意の一般的に許容される緩衝液、アジュバント及び/又は希釈剤であってもよい。例えば、媒体は、適切には、pH7.4でのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であってもよい。
【0063】
細胞は、注射の形で細胞培養容器から投与されてもよい。細胞培養容器は、例えば、Luer lockコネクターにより、細胞の投与のためのカニューレを備えている。細胞培養容器は、細胞の送達のためのアクチュエータ手段を備えてもよい。アクチュエータ手段は、注射器装置の作用におけるように機能することができる容器を圧縮する力を提供するレバー又は他の手段を含んでもよい。アクチュエータは、手動で作用されるか、又は外部電気制御システムによる制御により操作される。従って、アクチュエータ手段は、カニューレを通して対象中に容器から細胞の流れを引き起すために、細胞培養容器の折りたたみを制御するよう作用する圧縮機構として作用することができる。
【0064】
細胞は、細胞培養容器からの注入により投与されてもよく、ここで細胞培養容器は、その最大限まで拡張されてもよい。この実施形態によれば、細胞は、必要に応じて、より多量の培地に懸濁され得る。注入は、より大きな制御のために必要とされるか、又は必要に応じて提供される外部電気システムの制御下で作動する双方向線形アクチュエータ(bidirectional linear actuator)(例えば、注射器-ドライバー様装置)により受動的に実施されてもよい。
【0065】
本発明の第4の側面によれば、対象中にカニューレを挿入することを含む、対象から生物学的サンプルを得るための方法が提供され、ここで前記カニューレが、基部、頂部と平行して配置された頂部、及び頂部と基部との間に配置され、そして容器中の内腔を規定する壁要素を有する容器内に配置され、前記容器中の壁要素が頂部及び基部に対して垂直的に圧縮可能であり、そして前記容器中の基部がカニューレを提供され、配置容器が可撓性材料から構成され、前記容器が、容器を拡張し、それにより、対象からサンプルを除去するためのアクチュエータ手段に操作可能に連結される。容器の他の特徴及び側面は、本明細書に定義された通りであってもよい。いくつかの実施形態によれば、容器の頂部は、任意に密封できる入口を備えられてもよい。
【0066】
アクチュエータ手段は、容器の内腔へのサンプルの侵入を可能にするために、閉じられた又は半分閉じられた配置から容器を開くことができる。アクチュエータ手段は、注射器又は他の生検装置の作用におけるように容器を拡張することができる力を提供するレバー又は他の手段を含むことができる。アクチュエータは、手動的に作動されるか、又は外部電気制御システムによる制御により作動されてもよい。
【0067】
容器のカニューレは、血管又は骨髄腔に挿入されてもよい。容器は、対象、例えば便利には生検されてもよい、血液、骨髄、臍帯、脂肪組織、羊水等から、細胞、例えば幹細胞を得るために使用されてもよい。
【0068】
本発明の第2及び続く側面についての好ましい特徴は、第1の側面についてと同様である。
【0069】
従って、本発明は、別個の容器又は装置間での細胞及び/又は培地の移動なく、所望されるように生じる複数のユニット工程での細胞の単一チャンバー処理を提供し、従ってまた、汚染のリスクも回避する。このシステムは、使用するのに簡単であり、そして既存するアプローチの複雑さを、さらに回避する。本発明は、改良された再現性及び使い易さを有する細胞のより安全な処理を提供する。
【0070】
本発明はまた、患者からの細胞の抽出(生検、例えば血液又は骨髄)、細胞の分離、細胞の処理(サイトカイン刺激及び/又は遺伝子修飾を含む)、固体-液体分離、及び細胞が全工程を通して同じ容器に存在する送達装置への充填を提供する。
【0071】
本発明はさらに、以下の実施例、及び図面を参照して記載されているが、それらは例示のみの目的で存在し、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。以下の図面も参照のこと。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1図1は、直立構成下で3つの別々の配置での本発明の細胞培養容器の1つの実施形態の斜視図を示す。図1(a)は、十分に拡張された容器を示し;図1(b)は、部分的に閉じられた(部分的に拡張された)容器を示し;そして図1(c)は、完全に閉じられた(完全に閉じた)容器を示す。
【0073】
図2図2は、直立構成下の本発明の細胞培養容器の平面図での概略図を示す。図2(a)は、部分的に拡張された容器を示し、そして図2(b)は、例えば容器を圧搾するか又は圧縮することにより、容器中の細胞を混合するために適切な部分的に閉鎖された(閉じられた)配置での容器を示す。
【0074】
図3図3は、容器の選択されたセグメントが直立構成下で閉じられている(閉鎖されている)本発明の細胞培養容器の平面図を示す。図3(a)は、完全に閉じられた場合の容器の下部セグメント及び底部を示し;図3(b)は、完全に閉じられた容器の上部での上方セグメントを示し;そして図3(c)は、両端で完全に拡張された容器を示す。
【0075】
図4図4は、容器内の細胞を遠心分離し、上清液を除き、新鮮な培地に細胞を再懸濁し、そして下流の処理、例えば凍結、融解、細胞培養、サイトカイン刺激、洗浄、患者への投与を包含する、本発明の細胞培養容器を用いるための処理スキームの概略図を示す。
【0076】
図5図5は、本発明の細胞培養容器が患者への投与のための細胞を調製するためにいかに使用してもよいかの概略図でのより詳細な表現を示す。容器中の細胞が、任意の遠心分離(図4に示されるような)の後、容器中でシンサイチュ凍結され、続いて融解、再遠心分離(細胞ペレットの形成)、緩衝液での再懸濁、及び次に、患者中への細胞の注射又は注入の何れかを伴う。投与の注射様式によれば、本発明の細胞培養容器が、圧縮手段(制御された送達速度のために示されるように電力駆動されてもよい)中に挿入され、そしてまた、適切なカニューレ、例えば容器に対する圧縮手段の作用により患者中への細胞の投与のためのLuer lockコネクター手段を備えられる。投与の注入様式によれば、容器は、そのような処理のための任意の一般的に便利なアプローチに従って、注入のためのリザーバ-として使用される。
【0077】
図6図6は、本発明の容器の別の実施形態及び使用を示し、ここで図6(a)は「シェーカーフラスコ」として使用される細胞培養容器を示し;図6(b)は、「ローラーボルト」として使用される細胞培養容器を示し;そして図6(c)は、「T-フラスコ」の形を有する細胞培養容器を示す。
【0078】
図7図7は、本発明の容器の別の構成を示し、ここで図7(a)は、剛性ワイヤが柔軟構造にワイヤフレームを提供する、特定の位置で閉じ込めるよう刻み目を付けられた可撓性材料から構成される円筒形容器の側面図を示し;図7(b)は、容器が「コンチェルティーナ(concertina)」の形で折りたたみ可能な螺旋状スクリュー領域を有する別の実施形態を示し;そして図7(c)は、異なった形状を有する本発明の種々の容器の上面図を示す。
【0079】
図8図8は、側面図及び上面を通しての断面図での本発明の容器の別の実施形態を示す。容器は、中心軸から外壁に放射状に延びる複数の同心内面を含む。従って、複数の内面は、付着された細胞培養物に細胞が付着するための追加の位置として作用する。培地は、表面の周りを自由に流れ、そして装置内を循環することができる。
【0080】
図9図9は、本発明の振盪容器中での3日間のバッチ培養を示す。図9(a)の細胞増殖及び図9(b)の生存率が、時間に対してプロットされた。すべての細胞濃度及び生存率は、トリパンブルーにより測定された。各データ点は、3回の反復の平均値を表す(n=3)。エラーバーは、平均の上下の標準偏差を表す。
【0081】
図10図10は、本発明の容器における細胞の遠心分離及び再懸濁を示す。図10(a)は、遠心分離の前の懸濁液中の細胞の総数(in)、遠心分離の後、新鮮な培地への再懸濁での細胞の総数(out)、及び清澄化された上清液中の細胞の総数を示す。図10(b)は、その対応する生存率を示す。各データ点は、3回の反復の平均値を表す(n=3)。エラーバーは、平均の上下の標準偏差を表す。
【0082】
図11図11は、単一の容器内の一般的な細胞処理操作の完全な順序を示す。図11(a)に示されるように、細胞は容器中に接種され、24時間、増殖され、その後、遠心分離によりペレット化された。ペレットが、凍結培地に再懸濁され、そして-80℃で24時間、凍結された。最後に、凍結された細胞懸濁液が37℃の水浴において融解され、遠心分離によりペレット化され、そして新鮮な培地に再懸濁された。この順序の間、細胞は容器から除去されなかった。コンチェルティーナの出入の材料の唯一の流れは、遠心分離後の上清液の除去、及び2回の洗浄工程の間、ペレットの再懸濁のための凍結培地/新鮮培地の添加であった。図11(b)及び11(c)は、図11(a)上の番号1~4で示されるように、プロセス中のキーポイントで測定された総生存細胞数及び生存率を示す。各データ点は、3回の反復の平均値を表す(n=3)。エラーバーは、平均の上下の標準偏差を表す。
【0083】
図12図12は、本発明の容器が、容器内の別個のセグメントを選択的に開閉することにより、容器内の1つのチャンバーから別のチャンバーに材料を移送するための閉鎖システムをいかにして提供するかの概略図を示す。
【0084】
図13図13は、容器が以下の4つの別個のチャンバーを含む単一の閉鎖容器装置における複数工程プロセスの概略図を示す:トランスフェクションチャンバー;活性化チャンバー;細胞培養チャンバー;及び凍結保存チャンバー。
【0085】
図14図14は、概略的形でのチャンバーの滅菌分離を示す。
【0086】
図15図15は、エレクトロポレーションのためのチャンバーを製造するための金属製の上部及び底部を示す。上面及び底面での金属は、その間に絶縁体(プラスチック壁)を有する2つの電極(正及び負)として作用する。従って、細胞膜の透過性を高め、細胞中に化学物質、薬物又はDNAを導入するために、電場が細胞に適用され得る。エレクトロポレーションの後、チャンバーは、例えば、細胞増殖を可能にするために拡張され得る。
【0087】
図16図16は、上部/底部に平行な内腔を横切って伸びる穿孔構造(積層ディスク)により分割される配置を示す。この配置は、マルチスタック細胞培養装置に類似するが、しかしスタックされたディスクを含むチャンバーの圧縮及び拡張により試薬、培地又は細胞の流れを可能にする穿孔ディスク間に柔軟な壁を有する。穿孔は、任意のサイズ、数又は位置にあり得る。図16は、バッフルとして作用することにより表面積を増加されるか(例えば、細胞付着を高めるために)、又は細胞をペレット化する場合、効率的な遠心分離を可能にすることができる本発明の容器の変形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0088】
図の詳細な説明
図1は、基部(12)、頂部(14)及び壁要素(8)を含む本発明の折りたたみ可能な細胞培養容器(10)の1つの実施形態を示す。壁要素(8)は、基部(12)と平行して側方に配置された環状剛性部(18、20、22、24、26、28、30)を含む。頂部(14)は、環状剛性部(18)を含み、そして基部(12)は、環状剛性部(30)を含む。環状剛性部及び変形可能領域は、同じか又は異なった直径を有してもよい。この図は、直立構成下での容器を示す。
【0089】
各隣接する一対の中間環状剛性部(18、20、22、24、26、28、30)は、変形可能領域(32、34、36、38)により挟まれている。容器の垂直対称軸に対して垂直な下方圧縮力の作用は、容器を図1(b)に示されるように閉じ、部分的に閉じられた配置に、及び次に、図1(c)に示されるような完全に閉じられた配置にする。
【0090】
容器は、取り外し可能な閉鎖手段又は一時的なシールとして機能することができる、図示の入口(16)を有する。図1(a)において、容器は、部分的に閉じられ、ここで変形可能領域は、装置が閉じ、「コンチェルティーナ」形状を形成する領域として視認される。図1(c)においては、容器は完全に閉じられている。
【0091】
図3は、本発明の容器(50)のさらなる配置を示す。示される実施形態は、図1の実施形態(10)の変形であり、ここで図1に示されるような上部領域(14)及び環状剛性部(18)が、図3に示されるような容器における単一の融合された上部領域(54、58)を形成する。環状剛性部は、部(60、62、64、66、68及び70)として図3に示される。変形可能領域は、部(72、74、76、78、80)として図3に示される。容器は、基部(52)、入口(56)を有する。図3の容器は以下の2つのチャンバーを含むものとして示される:チャンバー1及びチャンバー2。図3(a)においては、チャンバー1は開いており、そしてチャンバー2は閉じられている。図3(b)においては、チャンバー1は閉じられており、そしてチャンバー2は開いている。図3(c)においては、チャンバー1及びチャンバー2の両者は開いている。このようにして、容器は、多段階操作を提供し、ここで培地及び細胞は示されるように、開いたチャンバーから閉じられたチャンバーに移動し、(図3(a)から図3(b)の配置);又は細胞培養の規模は両チャンバーを開くことにより増大され得る。
【0092】
図1に示されるような折りたたみ可能な細胞培養容器は、全体として円形の断面を有し、そして円筒形状をベースとしている。本発明の個の側面の容器は、従来の細胞培養装置の代わりにシェーカーフラスコ又はローラーボトルとして適切に使用されてもよい。例えば、図6(a)及び6(b)を参照のこと。図6(c)は、T-フラスコの形をとり、そして当核技術分野で知られている標準的T-フラスコの代わりに使用されてもよい、全体的に長方形の断面を有する本発明の容器の別の側面を示す。
【0093】
図7(a)は、本発明の容器が特定の位置で折りたためるよう刻みを付けられた可撓性材料からいかにして形成されるかを、より詳細に示しており;ここでいくつかの実施形態において、剛性ワイヤが剛性フレームを有する柔軟構造を提供するために使用されてもよい。図7(b)は、柔軟な螺旋状スクリュー領域により折りたたまれできる別の実施形態を示す。図7(c)は、示されるような異なった幾何学的形状に基づいて種々の異なった断面を有する本発明の容器の平面図を示す。断面は、任意の適切な幾何学的形状、例えば円形、正方形、長方形、隋円形又は三角形であってもよい。
【0094】
図8は、付着された細胞培養のための増大した表面積を提供する、容器の内部腔内に一連の同心ネスト内表面を含む本発明の容器を示す。図8(a)は、側面図を示し、そして図8(b)は、上面から見られるような容器の断面を示す。
【0095】
図12は、本発明の容器が、容器内の別個のセグメントの選択的開閉により容器内の1つのチャンバーから別のチャンバーに材料を移送するための閉鎖システムをいかにして提供するかを示す。第1の配置においては、「チャンバー1」が拡張され(開かれ)、「チャンバー2」がクランプにより圧縮される(「閉じられた」又は他方では、「チャンバー1」からアクセスできない)。クランプは、図示されるように開放され、続いて、「チャンバー1」の圧縮により、「チャンバー1」からの材料が「チャンバー2」中に追い出され、この後、チャンバー間の連結がクランプにより閉じられ得る。最終配置においては、「チャンバー1」は圧縮され(閉じられ)、そして「チャンバー2」は拡張される(開かれる)。
【0096】
図13は、例えばキメラ抗原受容体T-細胞(CAR T)の製造において、単一の容器が多工程プロセスを操作するためにいかにして使用されるかを示す。容器は、それぞれ異なった断面積を有する、示されるような4つのチャンバーを有する。容器は、チャンバー内に導入された細胞のトランスフェクションを可能にするために、トランスフェクションチャンバーが拡張されて(開放)示されている。トランスフェクション工程が完結された後、トランスフェクションチャンバーは、活性化チャンバーを拡張しながら(開放しながら)、選択的に圧縮される(閉鎖される)。続いて、活性化の後、細胞は、細胞培養チャンバーを選択的に拡張し(開放し)、そして活性化チャンバーを圧縮する(閉じる)ことにより移動される。培養中の細胞が十分な拡張が起こると、細胞は、細胞培養チャンバーの選択的圧縮及び凍結保存チャンバーの選択的拡張により、凍結保存チャンバー中に移動される。最後に、凍結保存チャンバーは、凍結保存チャンバーと細胞培養チャンバーとの間の領域をヒートシールする作用により除去される。次に、凍結保存チャンバーは、凍結保存及び貯蔵の準備ができている。
【0097】
図14は、本発明の容器内のチャンバーが、例えば図13のスキームに記載されるような凍結保存チャンバーの除去において、無菌状態でいかにして分離され得るかを示す。図14は、一緒に連結される2つのチャンバーを有する本発明の容器を示す。典型的には、除去されるべきチャンバーは、容器内の末端チャンバー、すなわち処理が開始された容器の末端でのチャンバー(近位チャンバー)から遠位のチャンバーであろう。閉鎖された二重端無菌管が、指示通りに提供され、そしてシールされ、そして分離されるジョイントの周りに配置されてもよい。標準のGMPヒートシーラーは、管をシールし、そして容器からチャンバーを分離するために使用されてもよい。分離された凍結保存チャンバー(凍結バイアル)が取り出され、そして制御された速度の冷凍庫に保存され得る。
【0098】
従って、本発明は、基部、頂部、及び頂部と基部との間に配置され、そして容器の内腔を規定する壁要素を有する折りたたみ可能な細胞培養容器を提供し、ここで容器中の壁要素は、以下:(i)基部と平行して配置された壁内の複数の側方剛性部(各一対の側方剛性部は、変形可能領域と交互に配置される)、又は(ii)螺旋コイル領域の何れかの側に提供される変形可能領域を有する剛性螺旋コイル領域、を含み、そして容器中の頂部は入口を有し、容器は可撓性材料から構成される。
【実施例
【0099】
実施例:折りたたみ可能な細胞容器での細胞の培養
治療適用のための細胞の処理は、多数の関与する複雑な工程のために複雑であり、且つ労働集約的である。ここで、発明者らは、細胞が単一の容器を出ることなく、細胞治療の生成に関与するすべての工程を実施するために使用され得る新規のプラットフォーム技法を開発し、そして試験して来た。それらの実験においては、折りたたみ可能な円筒状のコンチェルティーナ配置を用いて、容積:表面積比に対する絶妙な制御を可能した。この配置を用いて、細胞を培養し、それらを遠心分離により洗浄し、そして細胞を単一の容器から離れることなく、順番にそれらを凍結融解サイクルに供することが可能であった。
【0100】
それらの実施のために、既製の折りたたみ可能なプラスチック製コンチェルティーナを、獣医外科手術における真空排液キット(Part number AD1BC, Adhesive Dispensing Ltd)として一般的に使用した。容器は30mlの容積であり、そしてポリエチレンLDPEから構成された。コンチェルティーナを拡張し、装置を懸濁細胞の増殖のためのシェーカーフラスコとして使用した。同じコンチェルティーナを、遠心分離し、細胞ペレットの形成をもたらした。コンチェルティーナを開くことによって、上清液の大部分を容器から圧搾することができた。
【0101】
実施例1:コンチェルティーナ装置での細胞培養
Plp-In(商標)-CHO細胞(Life Technologies)を、10mlの総作用容積中、3×105個の細胞/mlの密度で接種した。それらを、140rpmで作動するシェーキングプラットホーム上で、5%CO2/37℃インキュベーターにて、CDCHO培地(Life Technologies)において増殖した。容器の上部を、0.22μmのMillex GPフィルター(Millipore)に取り付け、無菌性を確保した。3日間のバッチ培養物を毎日サンプリングし、そしてトリパンブルー染色により定量化した(図9)。完全な連続実験(図11(a))のために、細胞をさらに処理した後、24時間さらに増殖した。
【0102】
実施例2:コンチェルティーナ装置の遠心分離及び再懸濁
遠心分離工程のために、コンチェルティーナを、1000rmpで5分間、遠心分離バケットにおいて回転した。上清液を、コンチェルティーナを反転し、そして圧縮するのみで除去した。上清液を容器から絞り出し、細胞ペレット及び典型的には200-300μlの残留液体を残した。再懸濁のために、10mlの新鮮な培地(又はいくつかの場合、凍結保護剤)を添加する前、コンチェルティーナを直立した位置に戻した。細胞ペレットを除去し、そして単一の細胞懸濁液を、標準的なボルテックスベンチミキサーを用いて得た。細胞を、遠心分離の前、再懸濁時、及び除去された上清液において、細胞数及び生存率について分析した(図10)。
【0103】
実施例3:凍結保存
細胞を、10%(v/v)DMSO(Sigma, Poole, UK)を補充されたそれらの正常増殖培地に再懸濁した。装置を、24時間-80℃の冷凍庫に直接配置し、その後、37℃の水浴において融解した。凍結保護剤を、新鮮な培地に細胞を再懸濁する前、上記に概略されるようにしてコンチェルティーナを遠心分離することにより除去した。遠心分離の前後で細胞数を測定した(図11)。
【0104】
実施例4:細胞計数
生存細胞濃度及び生存率を、位相差顕微鏡法下で、改良されたNeubauer血球計算器での細胞計数により評価した。100μlの細胞を、水中、0.4%(w/v)トリパンブルー(Sigma, Poole, UK)を用いて1:1に希釈した。1スライド当たり4グリッドからの細胞を計数し、そして細胞死を、10-4mlの単一グリッド体積に基づいて計算した。トリパンブルー排除をまた用いて、膜の完全性に基づいて細胞を区別した。従って、トリパンブルーを排除した細胞は生存可能として採点され、そしてトリパンブルーを排除しなかった細胞は死亡として採点された。生存率は、全細胞集団のパーセンテージとして生存細胞として表わされた。
【0105】
結果
図9は、折りたたみ可能なコンチェルティーナにおけるCHO細胞の3日間の増殖を示す。増殖曲線は、2日後に対数増殖期に入る前、短い遅滞期を示すそれらのタイプの細胞について典型的である(図9(a))。3日目、生存細胞濃度は、24.8×105個の細胞/mlに達した。3日間で、これは、通常のシェーカーフラスコにおけるそれらのタイプの細胞に典型的な、細胞数の8.2倍の増加を表した。バッチ培養を通して、生存率は85%以上に維持され、このことは、システムが有意なレベルの細胞死を誘発しなかったことを示唆した(図9(b))。
【0106】
折りたたみ可能な細胞培養装置の主要利点の1つは、細胞を洗浄し、そして同じ容器でそれらを培養する能力である。この能力を実証するために、従来の遠心分離管(1000rpmで5分間)を用いた標準的な条件下で、細胞懸濁液を、コンチェルティーナハウジングにおいて遠心分離した。検査に基づいて、コンチェルティーナの基部の中心に、コンパクトペレットを形成した。上清液を除去するための最良の方法は、完全に圧縮され、液体を下方の廃棄物容器に押出すまで、容器を逆さにし、そしてコンチェルティーナを絞ることであることが見出された。この操作の後、新鮮な培地を添加し、そしてボルテックスベンチミキサーを用いてボルテックスすることにより、細胞を容易に再懸濁することができる。図10に示されるように、この工程は非常に効率的であった。
【0107】
接種の前、合計673×105個の細胞が存在し、遠心分離及び再懸濁の後、670×105個の細胞が回収され、そして両者の間に統計学的に有意な差異は存在しなかった。それらの結果は、この折りたたみ可能な装置が細胞洗浄のために非常に効率的であることを示す。細胞がリッジ内に存在する初期の懸念があったが、しかしそれはそうではなかった。生存率は99%以上に存続し、このことは、リッジが遠心分離工程の間、細胞死を誘発しなかったことを示唆する。
【0108】
最後に、本発明の装置は、従来の細胞培養において使用されるこの全工程を順に使用することができることが実証された(図11(a))。前と同じように、細胞は予測通りに増殖し、そして1日の細胞増殖の後、高い生存率と共に細胞数が57%上昇した(図11(b)及び11(c))。細胞を、上記遠心分離法を用いて凍結保存培地に再懸濁し、そして-80℃の冷凍庫の直接置いた。24時間後、細胞を融解し、そして計数し、生存細胞数の53%の低下を示した。生存率は69%に下落した。それらの損失は、制御されない凍結技術により予測されるものであった。制御された速度の凍結は、哺乳類細胞の凍結保存の間、生存率を維持するために必要であり、そして我々は、そのようなシステムが、より高い生存細胞数及び生存率をもたらす折りたたみ可能な容器に適用され得ることを想定している。重要なことには、新鮮な培地中での細胞の再懸濁に基づいて生存細胞数又は生存率のさらなる低下は存在せず、このことは、洗浄工程が新鮮な細胞及び最近融解された細胞の両者に適用され得ることを示唆する。
【0109】
結論
この容器は、細胞が単一の容器を離れることなく、連続した一連の全工程操作のために首尾よく使用された。シェーカーフラスコとして適用した場合、細胞は予測どおりに増殖し、そして同じ装置が、細胞の遠心分離及び再懸濁のため有効であることが判明した。凍結保存工程の間にいくつかの細胞死が観察されたが、しかしこれは、凍結工程の間の温度制御の欠如に起因する可能性がある。これらの実験は、単一の装置が、哺乳類細胞の培養及び保存に関与するすべての工程のための使用され得ることを実証する。
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