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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】ダンプトラック
(51)【国際特許分類】
   B60L 7/24 20060101AFI20230517BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20230517BHJP
   B60W 30/02 20120101ALI20230517BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20230517BHJP
   B60T 8/171 20060101ALI20230517BHJP
   B60T 8/1761 20060101ALI20230517BHJP
   B60P 1/04 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
B60L7/24 D
B60L7/14
B60W30/02
B60T8/17 C
B60T8/171 Z
B60T8/1761
B60P1/04 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021093163
(22)【出願日】2021-06-02
(65)【公開番号】P2022185461
(43)【公開日】2022-12-14
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】一野瀬 昌則
(72)【発明者】
【氏名】北口 篤
(72)【発明者】
【氏名】石原 和典
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-149325(JP,A)
【文献】特開平08-098313(JP,A)
【文献】特開平11-245801(JP,A)
【文献】特開昭60-050061(JP,A)
【文献】特開2011-056969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 20/50
B60W 30/02
B60T 8/17 - 8/1769
B60P 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動輪と、
複数の従動輪と、
前記複数の駆動輪を駆動する電動モータと、
前記電動モータを制御するインバータと、
運転者が操作可能な第1のブレーキペダルと、
前記第1のブレーキペダルの操作量に対応する制動トルクを発生させるための回生トルク指令値を前記インバータへ出力して前記電動モータを回生制御させるコントローラと、
運転者が操作可能な第2のブレーキペダルと、
前記第2のブレーキペダルの操作量に対応する油圧を生成する油圧弁と、
前記複数の駆動輪にそれぞれ設けられ、前記油圧弁の油圧に応じて作動する複数の駆動輪ブレーキと、
前記複数の従動輪にそれぞれ設けられ、前記油圧弁の油圧に応じて作動する複数の従動輪ブレーキとを備えたダンプトラックにおいて、
前記複数の駆動輪の周速度をそれぞれ検出する複数の駆動輪周速度センサと、
前記複数の従動輪の周速度をそれぞれ検出する複数の従動輪周速度センサと、
油圧を生成する電磁比例弁と、
前記油圧弁の油圧と前記電磁比例弁の油圧のうちの高い方を選択して出力する高圧選択弁とを更に備え、
前記コントローラは、
前記第1のブレーキペダルが操作され且つ前記第2のブレーキペダルが操作されない場合に、前記第1のブレーキペダルの操作量に対応する制動トルクを発生させた場合の車両速度の理論値を演算し、前記複数の駆動輪周速度センサ及び前記複数の従動輪周速度センサで検出された周速度のうちの最大値と前記車両速度の理論値とのいずれか大きい方を前記車両速度の推定値に設定し、前記複数の駆動輪周速度センサで検出された前記複数の駆動輪の周速度と前記車両速度の推定値によって前記複数の駆動輪のスリップ率を演算し、前記複数の駆動輪のスリップ率が所定値以上であるかどうかを判定し、
少なくとも1つの前記駆動輪のスリップ率が所定値以上であると判定したときに、前記回生トルク指令値を低減し、その低減量に相当する制動トルクを発生させるための駆動指令値を前記電磁比例弁へ出力しており、
前記電磁比例弁は、前記駆動指令値に対応する油圧を生成し、
前記複数の従動輪ブレーキは、前記高圧選択弁で選択された油圧に応じて作動することを特徴とするダンプトラック。
【請求項2】
請求項1に記載のダンプトラックにおいて、
車両加速度を検出する加速度センサと、
車両積載重量を検出する積載重量センサとを更に備え、
前記コントローラは、前記第1のブレーキペダルの操作量と前記加速度センサ、前記積載重量センサ、及び前記従動輪周速度センサの検出結果に基づいて、前記車両速度の理論値を演算することを特徴とするダンプトラック。
【請求項3】
複数の駆動輪と、
複数の従動輪と、
前記複数の駆動輪を駆動する電動モータと、
前記電動モータを制御するインバータと、
運転者が操作可能な第1のブレーキペダルと、
前記第1のブレーキペダルの操作量に対応する制動トルクを発生させるための回生トルク指令値を前記インバータへ出力して前記電動モータを回生制御させるコントローラと、
運転者が操作可能な第2のブレーキペダルと、
前記第2のブレーキペダルの操作量に対応する油圧を生成する油圧弁と、
前記複数の駆動輪にそれぞれ設けられ、前記油圧弁の油圧に応じて作動する複数の駆動輪ブレーキと、
前記複数の従動輪にそれぞれ設けられ、前記油圧弁の油圧に応じて作動する複数の従動輪ブレーキとを備えたダンプトラックにおいて、
前記複数の駆動輪の周速度をそれぞれ検出する複数の駆動輪周速度センサと、
油圧を生成する電磁比例弁と、
前記油圧弁の油圧と前記電磁比例弁の油圧のうちの高い方を選択して出力する高圧選択弁とを更に備え、
前記コントローラは、
前記第1のブレーキペダルが操作され且つ前記第2のブレーキペダルが操作されない場合に、前記複数の駆動輪周速度センサの検出結果に基づき、前記複数の駆動輪のスリップ率が所定値以上であるかどうかを判定し、
少なくとも1つの前記駆動輪のスリップ率が所定値以上であると判定したときに、前記回生トルク指令値を低減し、その低減量に相当する制動トルクを発生させるための駆動指令値を前記電磁比例弁へ出力しており、
前記電磁比例弁は、前記駆動指令値に対応する油圧を生成し、
前記複数の駆動輪ブレーキは、前記油圧弁の油圧によって作動し、
前記複数の従動輪ブレーキは、前記高圧選択弁で選択された油圧によって作動することを特徴とするダンプトラック。
【請求項4】
複数の駆動輪と、
複数の従動輪と、
前記複数の駆動輪を駆動する電動モータと、
前記電動モータを制御するインバータと、
運転者が操作可能な第1のブレーキペダルと、
前記第1のブレーキペダルの操作量に対応する制動トルクを発生させるための回生トルク指令値を前記インバータへ出力して前記電動モータを回生制御させるコントローラと、
運転者が操作可能な第2のブレーキペダルと、
前記第2のブレーキペダルの操作量に対応する油圧を生成する油圧弁と、
前記複数の駆動輪にそれぞれ設けられ、前記油圧弁の油圧に応じて作動する複数の駆動輪ブレーキと、
前記複数の従動輪にそれぞれ設けられ、前記油圧弁の油圧に応じて作動する複数の従動輪ブレーキとを備えたダンプトラックにおいて、
前記複数の駆動輪の周速度をそれぞれ検出する複数の駆動輪周速度センサと、
油圧を生成する電磁比例弁と、
前記油圧弁の油圧と前記電磁比例弁の油圧のうちの高い方を選択して出力する高圧選択弁と、
前記油圧弁の油圧によって作動し、作動油圧を生成する第1の油圧制御弁と、
前記高圧選択弁で選択された油圧によって作動し、作動油圧を生成する第2の油圧制御弁とを更に備え、
前記コントローラは、
前記第1のブレーキペダルが操作され且つ前記第2のブレーキペダルが操作されない場合に、前記複数の駆動輪周速度センサの検出結果に基づき、前記複数の駆動輪のスリップ率が所定値以上であるかどうかを判定し、
少なくとも1つの前記駆動輪のスリップ率が所定値以上であると判定したときに、前記回生トルク指令値を低減し、その低減量に相当する制動トルクを発生させるための駆動指令値を前記電磁比例弁へ出力しており、
前記電磁比例弁は、前記駆動指令値に対応する油圧を生成し、
前記複数の駆動輪ブレーキは、前記第1の油圧制御弁の作動油圧によって作動し、
前記複数の従動輪ブレーキは、前記第2の油圧制御弁の作動油圧によって作動することを特徴とするダンプトラック。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のダンプトラックにおいて、
前記複数の従動輪の周速度をそれぞれ検出する複数の従動輪周速度センサを更に備え、
前記コントローラは、前記複数の駆動輪周速度センサ及び前記複数の従動輪周速度センサで検出された周速度のうちの最大値を車両速度の推定値として設定し、前記駆動輪周速度センサで検出された前記駆動輪の周速度と前記車両速度の推定値によって前記駆動輪のスリップ率を演算することを特徴とするダンプトラック。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のダンプトラックにおいて、
前記コントローラは、
前記電磁比例弁へ前記駆動指令値を出力した後、前記複数の従動輪周速度センサの検出結果に基づき、前記複数の従動輪のスリップ率が所定値以上であるかどうかを判定し、
少なくとも1つの前記従動輪のスリップ率が所定値以上であると判定したときに、前記駆動指令値を低減することを特徴とするダンプトラック
【請求項7】
請求項3又は4に記載のダンプトラックにおいて、
前記複数の従動輪の周速度をそれぞれ検出する複数の従動輪周速度センサを更に備え、
前記コントローラは、
前記電磁比例弁へ前記駆動指令値を出力した後、前記複数の従動輪周速度センサの検出結果に基づき、前記複数の従動輪のスリップ率が所定値以上であるかどうかを判定し、
少なくとも1つの前記従動輪のスリップ率が所定値以上であると判定したときに、前記駆動指令値を低減することを特徴とするダンプトラック。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載のダンプトラックにおいて、
前記コントローラは、前記第1のブレーキペダルの操作量に対応する制動トルクを発生させるための回生トルク指令値を前記インバータへ出力して前記電動モータを回生制御させており、
前記油圧弁若しくは他の油圧弁は、前記第1のブレーキペダルの操作量が閾値を超える場合に、その操作量に対応する油圧を生成することを特徴とするダンプトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのブレーキペダルを備えたダンプトラックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のダンプトラックは、電動モータによって駆動される複数の後輪(駆動輪)と、複数の前輪(従動輪)と、運転者が操作可能なリタードブレーキペダルと、リタードブレーキペダルの操作に応じて電動モータの回生制御を行い、後輪側の制動トルクを発生させるコントローラと、運転者が操作可能なサービスブレーキペダルと、サービスブレーキペダルの操作に応じて作動し、後輪側の制動トルクを発生する後輪ブレーキ(駆動輪ブレーキ)と、サービスブレーキペダルの操作に応じて作動し、前輪側の制動トルクを発生する前輪ブレーキ(従動輪ブレーキ)とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-149325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダンプトラックは、例えば鉱山にて走行し、掘削された鉱石や土砂を搬送する。ダンプトラックの荷台の積載状態や、鉱山の走行路の状態は変化し、ダンプトラックの前輪と後輪が負担する荷重の割合も変化する。ダンプトラックが走行路を下る時には、ダンプトラックが前のめりになって、前輪の荷重が増加し、後輪の荷重が減少する。また、ダンプトラックの荷台が空になっていれば、後輪の荷重は小さくなる。このような場合に、後輪がスリップしやすい状態になる。天候の影響を受けて走行路の状態が悪ければ、後輪が更にスリップしやすい状態になる。
【0005】
上述した前輪ブレーキ及び後輪ブレーキは、例えば油圧ブレーキであり、それらの使用頻度が多くなれば、シュー(摩擦材)等の劣化が進行する。そのため、一般的に、運転者は、通常の制動時にリタードブレーキペダルを操作し、緊急の制動時にサービスブレーキペダルを操作する。しかしながら、通常の制動時(すなわち、運転者がリタードブレーキペダルを操作し、サービスブレーキペダルを操作しない場合)で後輪のスリップが発生したときに、運転者がリタードブレーキペダルの操作量を増加するか、若しくは、サービスブレーキペダルの操作を追加しても、後輪のスリップを助長する。
【0006】
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動輪のスリップが発生した場合に、電動モータによる駆動輪側の制動トルクを低減して駆動輪のロックを回避しつつ、従動輪ブレーキによる従動輪側の制動トルクを発生させて車両全体の制動トルクを確保することができるダンプトラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、代表的な本発明は、複数の駆動輪と、複数の従動輪と、前記複数の駆動輪を駆動する電動モータと、前記電動モータを制御するインバータと、運転者が操作可能な第1のブレーキペダルと、前記第1のブレーキペダルの操作量に対応する制動トルクを発生させるための回生トルク指令値を前記インバータへ出力して前記電動モータを回生制御させるコントローラと、運転者が操作可能な第2のブレーキペダルと、前記第2のブレーキペダルの操作量に対応する油圧を生成する油圧弁と、前記複数の駆動輪にそれぞれ設けられ、前記油圧弁の油圧に応じて作動する複数の駆動輪ブレーキと、前記複数の従動輪にそれぞれ設けられ、前記油圧弁の油圧に応じて作動する複数の従動輪ブレーキとを備えたダンプトラックにおいて、前記複数の駆動輪の周速度をそれぞれ検出する複数の駆動輪周速度センサと、前記複数の従動輪の周速度をそれぞれ検出する複数の従動輪周速度センサと、油圧を生成する電磁比例弁と、前記油圧弁の油圧と前記電磁比例弁の油圧のうちの高い方を選択して出力する高圧選択弁とを更に備え、前記コントローラは、前記第1のブレーキペダルが操作され且つ前記第2のブレーキペダルが操作されない場合に、前記第1のブレーキペダルの操作量に対応する制動トルクを発生させた場合の車両速度の理論値を演算し、前記複数の駆動輪周速度センサ及び前記複数の従動輪周速度センサで検出された周速度のうちの最大値と前記車両速度の理論値とのいずれか大きい方を前記車両速度の推定値に設定し、前記複数の駆動輪周速度センサで検出された前記複数の駆動輪の周速度と前記車両速度の推定値によって前記複数の駆動輪のスリップ率を演算し、前記複数の駆動輪のスリップ率が所定値以上であるかどうかを判定し、少なくとも1つの前記駆動輪のスリップ率が所定値以上であると判定したときに、前記回生トルク指令値を低減し、その低減量に相当する制動トルクを発生させるための駆動指令値を前記電磁比例弁へ出力しており、前記電磁比例弁は、前記駆動指令値に対応する油圧を生成し、前記複数の従動輪ブレーキは、前記高圧選択弁で選択された油圧に応じて作動する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、駆動輪のスリップが発生した場合に、電動モータによる駆動輪側の制動トルクを低減して駆動輪のロックを回避しつつ、従動輪ブレーキによる従動輪側の制動トルクを発生して車両全体の制動トルクを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態におけるダンプトラックの構造を表す側面図である。
図2】本発明の第1の実施形態におけるダンプトラックの走行システムの構成を表す図である。
図3】本発明の第1の実施形態におけるコントローラの処理内容を表すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施形態におけるコントローラの処理内容を表すフローチャートである。
図5】本発明の第3の実施形態におけるダンプトラックの走行システムの構成を表す図である。
図6】本発明の第1の変形例におけるコントローラの処理内容を表すフローチャートである。
図7】本発明の第2の変形例におけるダンプトラックの走行システムの構成の一部を表す図である。
図8】本発明の第3の変形例におけるリタードブレーキペダルの操作範囲を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1は、本実施形態におけるダンプトラックの構造を表す側面図である。
【0012】
本実施形態のダンプトラックは、例えば鉱山にて走行し、掘削された鉱石や土砂を搬送する。ダンプトラックは、車体フレーム1と、車体フレーム1の後部に支持軸2を介し回動可能に支持された荷台3と、荷台3を回動させるホイストシリンダ4と、車体フレーム1の前部に取付けられたキャビン5と、車体フレーム1の後側に取付けられた複数の後輪6と、車体フレーム1の前側に取付けられた複数の前輪7とを備える。なお、本実施形態では、後輪6が駆動輪であり、前輪7が従動輪である。
【0013】
荷台3は、図示のように、鉱石や土砂などの積荷を積載する。そして、支持軸2を中心として荷台3が回動する(詳細には、荷台3の前端が上昇して傾く)ことにより、積荷を排出するようになっている。
【0014】
キャビン5の内部には、運転者が着座する運転席(図示せず)や、運転者が操作可能なアクセルペダル(図示せず)、リタードブレーキペダル8(後述の図2参照)、及びサービスブレーキペダル9(後述の図2参照)が配置されている。
【0015】
アクセルペダルは、ダンプトラックの発進や加速を行いたい場合に運転者が操作するものである。リタードブレーキペダル8は、ダンプトラックの通常の制動を行いたい場合に運転者が操作するものである。サービスブレーキペダル9は、ダンプトラックの緊急の制動を行いたい場合に運転者が操作するものである。
【0016】
図2は、本実施形態におけるダンプトラックの走行システムの構成を表す図である。
【0017】
本実施形態のダンプトラックの走行システムは、上述したアクセルペダル及びリタードブレーキペダル(第1のブレーキペダル)8に加えて、左右の電動モータ10、インバータ11、抵抗器12、及びコントローラ13を備える。左右の電動モータ10は、左右の後輪6をそれぞれ駆動するものである。コントローラ13は、例えばCPU、ROM、及びRAM等で構成されている。
【0018】
アクセルペダルは、その操作量を検出するポテンションメータ(図示せず)を有し、検出された操作量をコントローラ13へ出力する。リタードブレーキペダル8は、その操作量を検出するポテンションメータ(図示せず)を有し、検出された操作量をコントローラ13へ出力する。
【0019】
運転者がアクセルペダルを操作した場合を想定する。この場合、コントローラ13は、アクセルペダルの操作量に対応する(詳細には、例えば比例する)駆動トルク指令値をインバータ11へ出力して、電動モータ10を駆動制御させる。インバータ11は、エンジン(図示せず)によって駆動された発電機(図示せず)から供給された電力を用いて、電動モータ10へ供給する電力を制御する。これにより、電動モータ10による後輪側の駆動トルクを制御する。
【0020】
運転者がリタードブレーキペダル8を操作した場合を想定する。この場合、コントローラ13は、リタードブレーキペダル8の操作量に対応する(詳細には、例えば比例する)制動トルクを発生させるための回生トルク指令値をインバータ11へ出力して、電動モータ10を回生制御させる。インバータ11は、電動モータ10を発電機として動作させ、電動モータ10で発電される電力を制御する。これにより、電動モータ10による後輪側の制動トルクを制御する。なお、インバータ11は、電動モータ10で発電された電力を抵抗器12に供給して消費させる。
【0021】
本実施形態のダンプトラックの走行システムは、上述したサービスブレーキペダル(第2のブレーキペダル)9に加えて、油圧ポンプ14、油圧弁15、複数の後輪ブレーキ(駆動輪ブレーキ)16、及び複数の前輪ブレーキ(従動輪ブレーキ)17を備える。更に、本実施形態の特徴として、電磁比例弁18、高圧選択弁19、複数の後輪周速度センサ(駆動輪周速度センサ)20、及び複数の前輪周速度センサ(従動輪周速度センサ)21を備える。
【0022】
油圧弁15は、例えば機械作動弁であって、サービスブレーキペダル9の操作によって作動する。これにより、油圧ポンプ14の吐出圧を元圧として、サービスブレーキペダル9の操作量に対応する(詳細には、例えば比例する)油圧を生成して、複数の後輪ブレーキ16及び高圧選択弁19へ出力する。複数の後輪ブレーキ16は、複数の後輪6にそれぞれ設けられた複数の油圧ブレーキであり、油圧弁15の油圧によって作動する。油圧ブレーキは、例えば、車輪と一体で回転するディスクと、ディスクに対してシュー(摩擦材)を押付ける油圧シリンダとで構成されており、シューの押付力に応じた摩擦トルク(制動トルク)を発生する。
【0023】
電磁比例弁18は、コントローラ13からの駆動指令(電気信号)によって作動する。これにより、油圧ポンプ14の吐出圧を元圧として、コントローラ13からの駆動指令値(電気信号値)に対応する油圧を生成して、高圧選択弁19へ出力する。高圧選択弁19は、油圧弁15の油圧と電磁比例弁18の油圧のうちの高い方を選択して、複数の前輪ブレーキ17へ出力する。複数の前輪ブレーキ17は、複数の前輪7にそれぞれ設けられた複数の油圧ブレーキであり、高圧選択弁19で選択された油圧によって作動する。
【0024】
運転者がリタードブレーキペダル8を操作せず、サービスブレーキペダル9を操作した場合を想定する。この場合、油圧弁15の油圧が後輪ブレーキ16及び前輪ブレーキ17へ出力されて、後輪ブレーキ16及び前輪ブレーキ17が作動する。その結果、後輪ブレーキ16による後輪側の制動トルクと前輪ブレーキ17による前輪側の制動トルクが発生する。
【0025】
サービスブレーキペダル9は、その操作量を検出するポテンションメータ(図示せず)を有し、検出された操作量をコントローラ13へ出力する。複数の後輪周速度センサ20は、複数の後輪6の周速度vをそれぞれ検出してコントローラ13へ出力する。各後輪6の周速度vは、(後輪6の半径R)×(後輪6の回転角速度ω)で表される。複数の前輪周速度センサ21は、複数の前輪7の周速度vをそれぞれ検出してコントローラ13へ出力する。各前輪7の周速度vは、(前輪7の半径R)×(前輪7の回転角速度ω)で表される。
【0026】
コントローラ13は、上述したポテンションメータで検出されたリタードブレーキペダル8の操作量及びサービスブレーキペダルの操作量に基づき、リタードブレーキペダル8が操作され且つサービスブレーキペダル9が操作されていない状態であるかどうかを判定する。そして、リタードブレーキペダル8が操作され且つサービスブレーキペダル9が操作されていない状態であると判定した場合に、複数の後輪周速度センサ20などの検出結果に基づき、後輪6のスリップが発生したかどうかを判定する。そして、後輪6のスリップが発生したと判定した場合に、インバータ11の回生トルク指令値を低減する。
【0027】
更に、コントローラ13は、回生トルク指令値の低減量に相当する制動トルクを発生させるための駆動指令値を電磁比例弁18へ出力する。ここで、上述したようにリタードブレーキペダル8が操作され且つサービスブレーキペダル9が操作されていない状態であるから、電磁比例弁18で生成された油圧が高圧選択弁19を介し前輪ブレーキ17へ出力されて、前輪ブレーキ17が作動する。
【0028】
次に、本実施形態のコントローラ13の処理内容を説明すると共に、本実施形態の作用効果を説明する。図3は、本実施形態におけるコントローラの処理内容を表すフローチャートである。
【0029】
コントローラ13は、ポテンションメータで検出されたリタードブレーキペダル8の操作量及びサービスブレーキペダルの操作量に基づき、リタードブレーキペダル8が操作され且つサービスブレーキペダル9が操作されていない状態であるかどうかを判定する(ステップS1)。
【0030】
コントローラ13は、リタードブレーキペダル8が操作され且つサービスブレーキペダル9が操作されていない状態であると判定した場合に、複数の後輪周速度センサ20及び複数の前輪周速度センサ21で検出された周速度のうちの最大値を、車両速度の推定値Vとして設定する(ステップS2)。そして、下記の式(1)で示すように、各後輪周速度センサ20で検出された各後輪6の周速度vと車両速度の推定値Vにより、各後輪6のスリップ率λを演算する(ステップS3)。
【0031】
【数1】
【0032】
コントローラ13は、各後輪6のスリップ率λが所定値(詳細には、例えば0.1~0.4の範囲内で予め設定された値)以上であるかどうかを判定する(ステップS4)。そして、少なくとも1つの後輪6のスリップ率λが所定値以上であると判定した場合に、すなわち、後輪6のスリップが発生したと判定した場合に、インバータ11の回生トルク指令値を低減し(ステップS5)、その低減量に相当する制動トルクを発生させるための駆動指令値を電磁比例弁18へ出力する(ステップS6)。以下、その詳細を説明する。
【0033】
コントローラ13は、例えば、回生トルク指令値から所定量を低減すると共に、所定時間の経過後、複数の後輪6のスリップ率λが所定値以上であるかどうかを再び判定する。そして、少なくとも1つの後輪6のスリップ率λが所定値以上であると再び判定した場合に、回生トルク指令値から更に所定量を低減すると共に、所定時間の経過後、複数の後輪6のスリップ率λが所定値以上であるかどうかを再び判定する。この処理を繰り返す。これにより、電動モータ10による後輪側の制動トルクを低減して、後輪6のロックを回避することができる。なお、コントローラ13は、所定時間の経過後、全ての後輪6のスリップ率λが所定値未満であると判定した場合に、回生トルク指令値を維持するか、若しくは、回生トルク指令値を徐々に増加して元に戻す。
【0034】
また、コントローラ13は、回生トルク指令値の低減量に相当する制動トルクΔTを発生させるための駆動指令値を電磁比例弁18へ出力する。電磁比例弁18は、コントローラ13からの駆動指令値に対応する油圧Pを生成する。ここで、上述したようにリタードブレーキペダル8が操作され且つサービスブレーキペダル9が操作されていない状態であるから、電磁比例弁18の油圧が生成されるものの、油圧弁15の油圧が生成されていない。そのため、複数の前輪ブレーキ17は、高圧選択弁19で選択された電磁比例弁18の油圧Pによって作動する。これにより、後輪6のスリップの発生前の、電動モータ10による後輪側の制動トルクのみを得る状態から、後輪6のスリップの発生後の、電動モータ10による後輪側の制動トルクと前輪ブレーキ17による前輪側の制動トルクを得る状態へ移行する。
【0035】
したがって、後輪6のロックを回避しながら、リタードブレーキペダル8の操作量に対応する(言い換えれば、運転者の意図に応じた)、車両全体の制動トルクを確保することができる。特に、運転者がリタードブレーキペダル8の操作に加えてサービスブレーキペダル9を操作する場合とは異なり、後輪ブレーキ16による後輪側の制動力を得ていないという観点からも、後輪6のロックを回避することができる。また、後輪ブレーキ16の使用頻度を少なくし、その劣化を抑えることもできる。
【0036】
なお、上述した回生トルク指令値の低減量に相当する制動トルクΔTは、下記の式(2)で表され、各前輪ブレーキ17の制動トルクTは、下記の式(3)で表され、電磁比例弁18の油圧Pは、下記の式(4)で表される。式中のnは前輪ブレーキの個数、μはシューの摩擦係数、Pは油圧シリンダの作動油圧、rは油圧シリンダのピストンの半径、Rはディスクに押し当てられるシューの部位の有効半径、Nはシューの個数である。
【0037】
【数2】
【0038】
【数3】
【0039】
【数4】
【0040】
本発明の第2の実施形態を、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態におけるコントローラの処理内容を表すフローチャートである。なお、第1の実施形態と同等の部分は説明を省略する。
【0041】
コントローラ13は、ポテンションメータで検出されたリタードブレーキペダル8の操作量及びサービスブレーキペダル9の操作量に基づき、リタードブレーキペダル8が操作され且つサービスブレーキペダル9が操作されていない状態であるかどうかを判定する(ステップS1)。
【0042】
コントローラ13は、リタードブレーキペダル8が操作され且つサービスブレーキペダル9が操作されていない状態であると判定した場合に、リタードブレーキペダル8の操作量に基づき、これに対応する制動トルクTを発生させた場合の車両速度の理論値Vを演算する(ステップS7)。
【0043】
詳しく説明すると、下記の式(5)で示すように、車両の減速度aは、制動トルクTをパラメータとし、下記の式(6)で示すように、車両速度の理論値Vは、減速度aの時間積分値をパラメータとする。なお、式中のMは車両総重量であって、本実施形態では設定値(平均値)である。
【0044】
【数5】
【0045】
【数6】
【0046】
リタードブレーキペダル8の操作量がゼロであるとき(時刻t)、制動トルクT=0であり、車両速度Vは、後輪周速度センサ20又は前輪周速度センサ21で検出された周速度と同じである。コントローラ13は、事前に、時刻tの車両速度Vとして、後輪周速度センサ20又は前輪周速度センサ21で検出された周速度を記憶する。そして、上記の式(6)で示すように、車両速度Vから、減速度aの時間積分値を減ずることにより、車両速度の理論値Vを演算する。
【0047】
コントローラ13は、複数の後輪周速度センサ20及び複数の前輪周速度センサ21で検出された周速度のうちの最大値と上述した車両速度の理論値Vとのいずれか大きい方を車両速度の推定値Vに設定する(ステップS8)。以降の処理(ステップS3~S6)は、第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0048】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、後輪6のロックを回避しながら、リタードブレーキペダル8の操作量に対応する、車両全体の制動トルクを確保することができる。また、本実施形態では、第1の実施形態と比べ、車両速度の推定値Vの精度を高めて、後輪6のスリップの判定精度を高めることができる。
【0049】
本発明の第3の実施形態を、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態におけるダンプトラックの走行システムの構成を表す図である。なお、本実施形態において、第1及び第2の実施形態と同等の部分は、同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0050】
本実施形態のダンプトラックの走行システムは、車両加速度(詳細には、減速度a)を検出する加速度センサ22と、車両積載重量(詳細には、積荷の重量)を検出する積載重量センサ23とを更に備える。
【0051】
本実施形態のコントローラ13は、リタードブレーキペダル8の操作量に対応する制動トルクTと、加速度センサ22で検出された減速度aと、積載重量センサ23の検出値に基づいて演算された車両総重量Mと、前輪周速度センサ21で検出された周速度とをパラメータとして車両速度の理論値Vを演算する運動力学モデルを記憶する。また、例えば制動トルクT=0であるときに、運動力学モデルを用いて演算された車両速度の理論値Vが、後輪周速度センサ20又は前輪周速度センサ21で検出された周速度と同じになるように、運動力学モデルを補正する。
【0052】
コントローラ13は、上述した運動力学モデルを用いて、リタードブレーキペダル8の操作量と加速度センサ22、積載重量センサ23、及び前輪周速度センサ21の検出結果に基づいて、車両速度の理論値Vを演算する(上述の図4のステップS7)。他の処理(上述の図4のステップS1、S8、S3~S6)は、第2の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0053】
本実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様、後輪6のロックを回避しながら、リタードブレーキペダル8の操作量に対応する、車両全体の制動トルクを確保することができる。また、第2の実施形態と同様、車両速度の推定値Vの精度を高めて、後輪6のスリップの判定精度を高めることができる。
【0054】
なお、第1~第3の実施形態において、特に説明しなかったが、コントローラ13は、電磁比例弁18へ駆動指令値を出力した後(ステップS6の後)、前輪7のスリップの判定を行ってもよい。このような第1の変形例を、図6を用いて説明する。図6は、本変形例におけるコントローラの処理内容を表すフローチャートである。
【0055】
本変形例のコントローラ13は、下記の式(7)で示すように、各前輪周速度センサ21で検出された各前輪7の周速度vと車両速度の推定値Vにより、各前輪7のスリップ率λを演算する(ステップS9)。
【0056】
【数7】
【0057】
コントローラ13は、各前輪7のスリップ率λが所定値(詳細には、例えば0.1~0.4の範囲内で予め設定された値)以上であるかどうかを判定する(ステップS10)。そして、少なくとも1つの前輪7のスリップ率λが所定値以上であると判定した場合に、すなわち、前輪7のスリップが発生したと判定した場合に、電磁比例弁18の駆動指令値を低減する(ステップS11)。これにより、前輪ブレーキ17による前輪側の制動トルクを低減して、前輪7のロックを回避することができる。
【0058】
また、第1~第3の実施形態において、ダンプトラックは、油圧弁15の油圧(作動油圧)によって作動する複数の後輪ブレーキ16と、高圧選択弁19で選択された油圧(作動油圧)によって作動する複数の前輪ブレーキ17とを備えた場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、高圧選択弁19で選択された油圧に応じて複数の前輪ブレーキ17が作動するように構成されていればよい。例えば図7で示す第2の変形例のように、ダンプトラックは、パイロットポンプ24の吐出圧を元圧として、サービスブレーキペダル9の操作量に対応する油圧(パイロット油圧)を生成する油圧弁15と、油圧弁15の油圧によって作動し、油圧ポンプ14の吐出圧を元圧として作動油圧を生成する第1の油圧制御弁25と、第1の油圧制御弁25の作動油圧によって作動する後輪ブレーキ16と、パイロットポンプ24の吐出圧を元圧として、コントローラ13からの駆動指令値に対応する油圧(パイロット油圧)を生成する電磁比例弁18と、油圧弁15の油圧と電磁比例弁18の油圧のうちの高い方を選択して出力する高圧選択弁19と、高圧選択弁19で選択された油圧によって作動し、油圧ポンプ14の吐出圧を元圧として作動油圧を生成する第2の油圧制御弁26と、第2の油圧制御弁の作動油圧によって作動する前輪ブレーキ17とを備えてもよい。これにより、後輪ブレーキ16及び前輪ブレーキ17の大型化を図ってもよい。
【0059】
また、第1~第3の実施形態において、ダンプトラックは、リタードブレーキペダル8の操作に応じて電動モータ10の回生制御のみが行われるように構成された場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば図8で示す第3の変形例のように、リタードブレーキペダル8の操作範囲Aでは、電動モータ10の回生制御が行われ、リタードブレーキペダル8の操作範囲Bでは(言い換えれば、リタードブレーキペダル8の操作量が閾値を超える場合に)、複数の後輪ブレーキ16及び複数の前輪ブレーキ17が作動するように構成されてもよい。
【0060】
本変形例では、コントローラ13は、リタードブレーキペダル8の操作量全域において、その操作量に対応する制動トルクを発生させるための回生トルク指令値をインバータ11へ出力して電動モータ10を回生制御させる。油圧弁15又は他の油圧弁(図示せず)は、リタードブレーキペダル8の操作量が閾値を超える場合に、その操作によって作動する。これにより、油圧ポンプ14の吐出圧を元圧として、リタードブレーキペダル8の操作量に対応する(詳細には、例えば比例する)油圧を生成する。前述した油圧弁15又は他の油圧弁で生成された油圧は、第1の実施形態と同様、複数の後輪ブレーキ16及び高圧選択弁19へ出力されるか、若しくは、第2の変形例と同様、第1の油圧制御弁25及び高圧選択弁19へ出力される。本変形例によれば、安全性を高めることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
6 後輪(駆動輪)
7 前輪(従動輪)
8 リタードブレーキペダル(第1のブレーキペダル)
9 サービスブレーキペダル(第2のブレーキペダル)
10 電動モータ
11 インバータ
13 コントローラ
15 油圧弁
16 後輪ブレーキ(駆動輪ブレーキ)
17 前輪ブレーキ(従動輪ブレーキ)
18 電磁比例弁
19 高圧選択弁
20 後輪周速度センサ(駆動輪周速度センサ)
21 前輪周速度センサ(従動輪周速度センサ)
22 加速度センサ
23 積載重量センサ
25 第1の油圧制御弁
26 第2の油圧制御弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8