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特許7280939インプラント可能なメディカルデバイスの展開システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】インプラント可能なメディカルデバイスの展開システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20230517BHJP
   A61F 2/954 20130101ALI20230517BHJP
【FI】
A61F2/24
A61F2/954
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021502482
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2019042248
(87)【国際公開番号】W WO2020018697
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】62/699,794
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エス.コール
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン エー.スミス
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-518948(JP,A)
【文献】特表2012-500665(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0331566(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0094401(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61F 2/954
A61F 2/966
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端および第2端を有するカテーテルと、
前記カテーテルの前記第1端に結合された先端部と、
インプラント可能なメディカルデバイスの1つ以上のアイレットを通して配置された1つ以上の拘束ラインと、
前記1つ以上の拘束ラインと係合し、展開中に前記インプラント可能なメディカルデバイスと前記1つ以上の拘束ラインとの間の接触を維持するように構成された1つ以上の解放ラインと、
を含む、インプラント可能なメディカルデバイスの展開システムであって、
前記1つ以上の拘束ラインは、前記インプラント可能なメディカルデバイスの一部を前記カテーテルに向かって折り畳むように構成されており、前記1つ以上の解放ラインの少なくとも一部は前記先端部内に入れ子になっている、インプラント可能なメディカルデバイスの展開システム。
【請求項2】
前記1つ以上の拘束ラインは前記インプラント可能なメディカルデバイスの少なくとも第一の側でアイレットと係合するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記カテーテルの周りに配置され、折り畳まれたインプラント可能なメディカルデバイスを捕捉するように構成されたシースをさらに含む、請求項1~2のいずれか1項記載のシステム。
【請求項4】
前記シースは前記インプラント可能なメディカルデバイスを拘束するように構成されている、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上の解放ラインは前記1つ以上の拘束ラインを解放するために回収するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上の拘束ラインは前記1つ以上の拘束ラインの遠位端に拘束ループを含み、そして前記1つ以上の解放ラインは前記1つ以上の拘束ラインの拘束ループを通して配置され、展開中に前記インプラント可能なメディカルデバイスと前記1つ以上の拘束ラインとの間の接触を維持する、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ以上の拘束ラインは1つ以上の拘束ワイヤである、請求項1~6のいずれか1項記載のシステム。
【請求項8】
前記1つ以上の拘束ラインに張力が加えられる方向と反対側の方向への前記インプラント可能なメディカルデバイスの動きを制限するように構成されている、前記カテーテル上に配置されたストップをさらに含む、請求項1~7のいずれか1項記載のシステム。
【請求項9】
前記1つ以上の拘束ラインの遠位端に対して遠位に配置され、そして前記1つ以上の解放ラインを除去する前に、前記1つ以上の拘束ラインの遠位端が前記インプラント可能なメディカルデバイスの1つ以上のアイレットから回収されるのを防ぐように構成されている、1つ以上のストップをさらに含む、請求項1~7のいずれか1項記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上の解放ラインは、展開を容易にし、そして前記インプラント可能なメディカルデバイスをシースからガイドするためのランプとして作用するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項記載のシステム。
【請求項11】
前記インプラント可能なメディカルデバイスは、シャントデバイス、心臓弁又は弁付き導管のうちの1つである、請求項1~10いずれか1項記載のシステム。
【請求項12】
第1端および第2端を有するカテーテルと、
前記カテーテルの前記第1端に結合された先端部と、
インプラント可能なメディカルデバイスと、
前記インプラント可能なメディカルデバイスを折り畳み構成で保持するように構成されて配置されたシースと、
前記インプラント可能なメディカルデバイスの一部を通して配置された1つ以上の拘束ラインであって、前記1つ以上の拘束ラインに加えられた張力に応答して前記インプラント可能なメディカルデバイスの一部をカテーテルに向かって折り畳み、そして張力の解放に応答して前記インプラント可能なメディカルデバイスの拡張を可能にするように構成された1つ以上の拘束ラインと、
前記1つ以上の拘束ラインと係合し、展開中に前記インプラント可能なメディカルデバイスと前記1つ以上の拘束ラインとの間の接触を維持し、そして回収して前記1つ以上の拘束ラインを解放し、前記インプラント可能なメディカルデバイスを展開構成に展開するように構成された1つ以上の解放ラインと、
を含み、前記1つ以上の解放ラインは、前記先端部に隣接して前記カテーテルに結合されておりおよび前記1つ以上の解放ラインの少なくとも一部は前記先端部内に入れ子になっている、展開システム。
【請求項13】
前記インプラント可能なメディカルデバイスは、前記インプラント可能なメディカルデバイスの周囲に配置されたアイレットを含み、前記1つ以上の拘束ラインは前記アイレットを通して配置されている、請求項12記載の展開システム。
【請求項14】
前記1つ以上の拘束ラインのそれぞれは、前記1つ以上の拘束ラインの遠位端に拘束ループを含み、そして前記1つ以上の解放ラインは、前記1つ以上の拘束ラインの拘束ループを通して配置され、展開中に前記インプラント可能なメディカルデバイスと前記1つ以上の拘束ラインとの間の接触を維持する、請求項12記載の展開システム。
【請求項15】
前記1つ以上の拘束ライン及び前記1つ以上の解放ラインのうちの少なくとも1つは、その遠位端近くで前記カテーテルに結合されている、請求項12記載の展開システム。
【請求項16】
前記カテーテルは、前記カテーテルの遠位端に結合された先端部を含み、そして前記1つ以上の拘束ライン及び前記1つ以上の解放ラインのうちの少なくとも1つは前記先端部に隣接して前記カテーテルに結合されている、請求項15記載の展開システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2018年7月18日に出願された仮出願第62/699,794号の利益を主張し、あらゆる目的のためにその全体を参照により本明細書中に取り込む。
【0002】
分野
本開示は、一般に、インプラント可能なメディカルデバイスのデリバリー、より具体的には、シャント及び心臓弁などのインプラント可能なメディカルデバイスのデリバリーのための方法、システム及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
心房間シャントデバイスなどのインプラント可能なメディカルデバイスの以前の展開方法は、デバイスを適切に位置決めすることが困難である。さらに、これらのシステムの多くには、展開が望ましくない場合に、展開されたデバイスを再捕獲又は再配置する能力がない。したがって、必要に応じてデリバリー、再配置、再捕獲し、そして適切に展開されたときにデバイスを解放するのに十分な堅牢なデバイスデリバリーシステムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
要旨
1つの例(「例1」)において、インプラント可能なメディカルデバイスの展開システムは、カテーテル、インプラント可能なメディカルデバイスの1つ以上のアイレットを通して配置された1つ以上の拘束ライン、ここで、前記1つ以上の拘束ラインは、前記インプラント可能なメディカルデバイスの一部を前記カテーテルに向かって折り畳むように構成されている、及び、前記1つ以上の拘束ラインと係合し、展開中に前記インプラント可能なメディカルデバイスと前記1つ以上の拘束ラインとの間の接触を維持するように構成された1つ以上の解放ライン、を含む。
【0005】
別の例(「例2」)において、例1のシステムに加えて、前記1つ以上の拘束ラインは前記インプラント可能なメディカルデバイスの少なくとも第一の側でアイレットと係合するように構成されている。
【0006】
別の例(「例3」)において、例1~2のいずれか1つのシステムに加えて、前記システムはまた、前記カテーテルの周りに配置され、折り畳まれたインプラント可能なメディカルデバイスを捕捉するように構成されたシースを含む。
【0007】
別の例(「例4」)において、例3のシステムに加えて、前記シースは前記インプラント可能なメディカルデバイスを拘束するように構成されている。
【0008】
別の例(「例5」)において、例1~4のいずれか1つのシステムに加えて、前記1つ以上の解放ラインは前記1つ以上の拘束ラインを解放するために回収するように構成されている。
【0009】
別の例(「例6」)において、例5のシステムに加えて、前記1つ以上の拘束ラインは前記1つ以上の拘束ラインの遠位端に拘束ループを含み、そして前記1つ以上の解放ラインは前記1つ以上の拘束ラインの拘束ループを通して配置され、展開中に前記インプラント可能なメディカルデバイスと前記1つ以上の拘束ラインとの間の接触を維持する。
【0010】
別の例(「例7」)において、例1~6のいずれか1つのシステムに加えて、前記1つ以上の拘束ラインは1つ以上の拘束ワイヤである。
【0011】
別の例(「例8」)において、例1~7のいずれか1つのシステムに加えて、前記システムはまた、前記1つ以上の拘束ラインに張力が加えられる方向と反対側の方向への前記インプラント可能なメディカルデバイスの動きを制限するように構成されている、前記カテーテル上に配置されたストップを含む。
【0012】
別の例(「例9」)において、例1~7のいずれか1つのシステムに加えて、前記システムはまた、前記1つ以上の拘束ラインの遠位端に対して遠位に配置され、そして前記1つ以上の解放ラインを除去する前に、前記1つ以上の拘束ラインの遠位端が前記インプラント可能なメディカルデバイスの1つ以上のアイレットから回収されるのを防ぐように構成されている、1つ以上のストップを含む。
【0013】
別の例(「例10」)において、例1~9のいずれか1つのシステムに加えて、前記1つ以上の解放ラインは、展開を容易にし、そして前記インプラント可能なメディカルデバイスをシースからガイドするためのランプとして作用するように構成されている。
【0014】
別の例(「例11」)において、例1~10のいずれか1つのシステムに加えて、前記インプラント可能なメディカルデバイスは、シャントデバイス、心臓弁又は弁付き導管のうちの1つである。
【0015】
1つの例(「例12」)において、展開システムは、インプラント可能なメディカルデバイス、前記インプラント可能なメディカルデバイスを折り畳み構成で保持するように構成されて配置されたシース、前記インプラント可能なメディカルデバイスの一部を通して配置された1つ以上の拘束ラインであって、前記1つ以上の拘束ラインに加えられた張力に応答して前記インプラント可能なメディカルデバイスの一部をカテーテルに向かって折り畳み、そして張力の解放に応答して前記インプラント可能なメディカルデバイスの拡張を可能にするように構成された1つ以上の拘束ライン、及び、前記1つ以上の拘束ラインと係合し、展開中に前記インプラント可能なメディカルデバイスと前記1つ以上の拘束ラインとの間の接触を維持し、そして回収して前記1つ以上の拘束ラインを解放し、前記インプラント可能なメディカルデバイスを展開構成に展開するように構成された1つ以上の解放ラインを含む。
【0016】
別の例(「例13」)において、例12のシステムに加えて、前記インプラント可能なメディカルデバイスは、前記インプラント可能なメディカルデバイスの周囲に配置されたアイレットを含み、前記1つ以上の拘束ラインは前記アイレットを通して配置されている。
【0017】
別の例(「例14」)において、例12のシステムに加えて、前記1つ以上の拘束ラインのそれぞれは、前記1つ以上の拘束ラインの遠位端に拘束ループを含み、そして前記1つ以上の解放ラインは、前記1つ以上の拘束ラインの拘束ループを通して配置され、展開中に前記インプラント可能なメディカルデバイスと前記1つ以上の拘束ラインとの間の接触を維持する。
【0018】
別の例(「例15」)において、例12のシステムに加えて、前記1つ以上の拘束ライン及び前記1つ以上の解放ラインのうちの少なくとも1つは、その遠位端近くで前記カテーテルに結合されている。
【0019】
別の例(「例16」)において、例15のシステムに加えて、前記カテーテルは、前記カテーテルの遠位端に結合された先端部を含み、そして前記1つ以上の拘束ライン及び前記1つ以上の解放ラインのうちの少なくとも1つは前記先端部に隣接して前記カテーテルに結合されている。
【0020】
別の例(「例17」)において、インプラント可能なメディカルデバイスを展開する方法は、シース内に折り畳み構成で配置されたインプラント可能なメディカルデバイスとともにカテーテルを標的位置に配置すること、前記インプラント可能なメディカルデバイスの1つ以上のアイレットを通して配置された1つ以上の拘束ラインに対する張力を解放することによって、前記インプラント可能なメディカルデバイスの少なくとも一部の拡張を可能にすること、及び、前記1つ以上の拘束ラインと係合された1つ以上の解放ラインを除去することによって、前記インプラント可能なメディカルデバイスから前記1つ以上の拘束ラインを解放することを含む。
【0021】
別の例(「例18」)において、例17の方法に加えて、この方法はまた、前記シースを前進させて前記インプラント可能なメディカルデバイスの第一の側を展開することを含み、前記インプラント可能なメディカルデバイスの一部の拡張を可能にすることは、前記1つ以上の拘束ラインに対する張力を解放することによって、前記インプラント可能なメディカルデバイスの第二の側の拡張を可能にすることを含む。
【0022】
別の例(「例19」)において、例18の方法に加えて、この方法はまた、前記1つ以上の拘束ラインに張力を加え、そしてデリバリーシース内に前記インプラント可能なメディカルデバイスを引っ込めることによって、前記インプラント可能なメディカルデバイスを再拘束することを含む。
【0023】
別の例(「例20」)において、例18の方法に加えて、この方法はまた、前記拘束ラインに加えられた張力を解放することによって、前記インプラント可能なメディカルデバイスの第二の側を展開することを含む。
【0024】
上記の実施例はまさに例であり、本開示によって提供される本発明の概念のいずれかの範囲を制限する又は他の方法で狭めるために読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して記載する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、実施形態を例示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0026】
図1図1は、1つの実施形態による、例示的なインプラント可能なメディカルデバイスである。
【0027】
図2図2は、1つの実施形態による、例示的なデリバリーシステム及びシャントデバイスである。
【0028】
図3A図3Aは、1つの実施形態による、例示的なデリバリーシステム及びシャントデバイスである。
【0029】
図3B図3Bは、1つの実施形態による、図3Aに示される、デリバリーシステム及びシャントデバイスの第一の拡大図である。
【0030】
図3C図3Cは、1つの実施形態による、図3A~Bに示される、デリバリーシステム及びシャントデバイスの第二の拡大図である。
【0031】
図4A図4Aは、1つの実施形態による、第一の構成のストップを含む例示的なデリバリーシステム及びシャントデバイスである。
【0032】
図4B図4Bは、1つの実施形態による、第二の構成の図4Aに示されるデリバリーシステム及びシャントデバイスである。
【0033】
図5図5は、1つの実施形態による、ストップを含む別の例示的なデリバリーシステム及びシャントデバイスである。
【0034】
図6図6A~6Cは、1つの実施形態による、シャントデバイスを展開する様々な段階におけるデリバリーシステムを示す。
【0035】
図7図7は、1つの実施形態による、別の例示的なデリバリーシステム及びインプラント可能なメディカルデバイスである。
【0036】
図8図8は、1つの実施形態による、別の例示的なデリバリーシステム及びインプラント可能なメディカルデバイスである。
【0037】
図9A図9Aは、1つの実施形態による、別の例示的なデリバリーシステム及びインプラント可能なメディカルデバイスである。
【0038】
図9B図9Bは、図9Aに示されるデリバリーシステムの一部の拡大図である。
【0039】
図10A図10Aは、1つの実施形態による、別の例示的なデリバリーシステム及びインプラント可能なメディカルデバイスである。
【0040】
図10B図10Bは、図10Aに示されるデリバリーシステムの一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
定義及び用語
本開示は限定的な方法で読まれることを意図するものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の用語がそのような用語に帰属する意味内容で広く読まれるべきである。
【0042】
不正確さの用語に関して、「約」及び「ほぼ」という用語は互換可能に使用されることができ、記載された測定値を含み、そして記載された測定値に合理的に近いあらゆる測定値を含む測定値を指す。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるような合理的に少量だけ記載された測定値から逸脱している。このような逸脱は、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人為的エラー、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮して性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われる小さな調整、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象物の不正確な調整及び/又は操作及び/又は同様のものなどに起因する可能性がある。関連技術の当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断された場合には、「約」及び「ほぼ」という用語は、記載された値の±10%を意味すると理解することができる。
【0043】
【0044】
様々な実施形態の説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現されうることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を例示するために誇張されている場合があり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0045】
図1は、1つの実施形態による例示的なインプラント可能なメディカルデバイス100を示している。インプラント可能なメディカルデバイス100は、患者の心臓H内にインプラントされていることが示されている。デバイス100は、患者の左心房LAと右心房RAとの間に配置されて示されている。幾つかの例において、デバイス100は、心臓H内、例えば、左心房と右心房LA、RAの間で使用されうる。示されるように、デバイス100は、一般に、中隔の第一の側(例えば、右心房RA内)に配置された第一のフレーム構成要素110、中隔の第二の側(例えば、左心房LA内)に配置された第二のフレーム構成要素120及び中隔を通って延在する導管130を含む。針を使用して、中隔に開口部を作成することができる。インプラント可能なメディカルデバイス100は、導管130がインプラント可能なメディカルデバイス100の両側の間の流体流動管腔であるシャントデバイスであることができる。
【0046】
図2は、1つの実施形態による、例示的なデリバリーシステム200及びシャントデバイスなどのインプラント可能なメディカルデバイス202である。インプラント可能なメディカルデバイス202は第一の側204及び第二の側206を含むことができる。各側204、206は、図2に示されるように、ステント要素222及び膜構成要素224を含むことができる。側204、206は患者の解剖学的構造(すなわち、例えば、中隔の第一の側)に適合するように構成されている。第一の側204及び第二の側206は、第一の側204に作用する力を第二の側206に作用する力から切り離すように2つの側を接続する可撓性相互接続を備えた別個の区別される構成要素であることができる。例えば、第一の側204及び第二の側206は、患者の解剖学的構造の動きに応答して互いに別々に自由に動くことができる。このようにして、第一の側204及び第二の側206の一方に作用する力は、第一の側204及び第二の側206の他方の内部に維持される。第一の側204及び第二の側206の一方に作用する力は、力が作用するフレーム構成要素に隔離されうる。
【0047】
デリバリーシステム200は、患者の導管を通ってデリバリー部位にデリバリーするように構成されたカテーテル208を含む。特定の例において、デリバリーシステム200は、カテーテル208の遠位端に配置された、非外傷性であることができ、また放射線不透過性であることができる先端部210を含む。デリバリーシステム200はまた、インプラント可能なメディカルデバイス202の一部を通って配置された1つ以上の拘束ライン212を含むことができる。1つ以上の拘束ライン212は、インプラント可能なメディカルデバイス202の一部をカテーテル208に向かって折り畳むように構成されている。特定の例において、インプラント可能なメディカルデバイス202は、一連のローブ又は半径方向に拡がるループ210を含む。ローブ又は半径方向に拡がるループ214は、ステント要素222及び膜構成要素224の部分によって形成され、第一の側204及び第二の側206のそれぞれの上にあることができる。特定の例において、1つ以上の拘束ライン212は、側204、206の一方又は両方のローブ又は半径方向に拡がるループ214をカテーテル208に向かって折り畳むように構成されている。
【0048】
デリバリーシステム200はまた、1つ以上の拘束ライン212と係合し、展開中にインプラント可能なメディカルデバイス202と1つ以上の拘束ライン212との間の接触を維持するように構成された1つ以上の解放ライン216を含むことができる。特定の例において、解放ライン216は、先端部210内に埋め込まれるか又は入れ子になることができる。他の例において、スカート228は、先端210の近位に配置されうる。解放ライン216は、スカート228に押し込まれることができる。
【0049】
拘束ライン212又は解放ライン216のための材料の例は、ステンレス鋼、コバルトクロム合金及びニチノールなどの金属であることができる。解放ラインは、超高分子量ポリエチレン繊維又はアラミド繊維などの高強度ポリマー繊維から形成することもできる。しかしながら、十分な張力を提供することができるあらゆる材料は本開示の範囲内にある。拘束ライン212又は解放ライン216はまた、カプトン、ポリマー(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(ピーク)、ハイポチューブのレーザカット又はカットされたポリマーチューブなどのフィルム)から形成されうる。
【0050】
図3Aは、1つの実施形態に従って使用されるデリバリーシステム200及びインプラント可能なメディカルデバイス202の特徴を示す。図3Aに示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は、部分的に折り畳まれた又は拘束された構成であり、第二の側206(例えば、近位側)が折り畳まれているか又は拘束されている。さらに、第一の側204及び第二の側208はアイレット318を含むことができる。
【0051】
特定の例において、アイレット318は、ローブ又は半径方向に拡がるループ210の端部に配置されうる。特定の例において、ローブ又は半径方向に拡がるループ210のそれぞれはアイレット318を含み、そして他の例において、ローブ又は半径方向に拡がるループ210のうちの選択されたもの又は対はアイレット318を含む。さらに、第二の側206のローブ又は半径方向に拡がるループ214はアイレットを含み、第一の側204のローブ又は半径方向に拡がるループ214はアイレット318を含まないことができる。他の例において、第一の側204のローブ又は半径方向に拡がるループ210はアイレットを含み、第二の側206のローブ又は半径方向に拡がるループ214はアイレット318を含まないことができる。さらに、示されるように、両方の側204、206のローブ又は半径方向に拡がるループ214はアイレット318を含む。
【0052】
特定の例において、図3B~Cにさらに詳細に示されるように、1つ以上の拘束ライン212はアイレット318と係合するように構成されている。拘束ライン212はアイレット318を通して配置されうる。さらに、拘束ライン212は、インプラント可能なメディカルデバイス202の第二の(近位)側206上のアイレット318のみに係合する(そしてそれを通して配置される)ことができる。他の例において、拘束ライン212は、インプラント可能なメディカルデバイス202の第一の(遠位)側204上のアイレット318のみに係合する(そしてそれを通して配置される)ことができる。さらに、拘束ライン212は、インプラント可能なメディカルデバイス202の第一の(遠位)側204及び第二の(近位)側206の両方でアイレット318と係合する(そしてそれを通して配置される)ことができる。インプラント可能なメディカルデバイス202がアイレット318を含まない例において、拘束ライン212及び解放ライン216は、膜構成要素224を通して配置されうる。
【0053】
インプラント可能なメディカルデバイス202を解放又は展開するために、1つ以上の解放ライン216は回収されて、1つ以上の拘束ライン212を解放する。特定の例において、特に図3を参照して示されるように、1つ以上の拘束ライン212は、1つ以上の拘束ライン212の遠位端に拘束ループ320を含む。1つ以上の解放ライン216は、1つ以上の拘束ライン212の拘束ループ320を通して配置され、展開中にインプラント可能なメディカルデバイス202と1つ以上の拘束ライン212との間の接触を維持することができる。1つ以上の解放ライン216は、拘束ループ320を通して回収され、1つ以上の拘束ライン212を解放する。特定の例において、インプラント可能なメディカルデバイス202は、第一の側202と第二の側204との間に膜材料のみを含む。示されるように、解放ライン216は、展開を容易にし、インプラント可能なメディカルデバイス202をシースからガイドするためのランプとして作用するように構成されている。解放ライン216は、インプラント可能なメディカルデバイス202の第一の側204を半径方向に引き下げるように構成されている。
【0054】
インプラント可能なメディカルデバイス202の一部をカテーテル208に向かって折り畳むために拘束ライン212に張力は加えられる。より具体的には、一方の側又は両方の側204、206のローブ又は半径方向に拡がるループ214(放射状に突出する)は折り畳まれる。インプラント可能なメディカルデバイス202と配置されていない拘束ライン212の端部に対する張力は、拘束ライン212をカテーテル208内に引っ込める。特定の例において、シース322を使用して、デリバリーを容易にし、インプラント可能なメディカルデバイス202を拘束することもできる。一方の側又は両方の側204、206のローブ又は半径方向に拡がるループ214が折り畳まれた後に、シース322を前進させて、一方の側又は両方の側204、206のローブ又は半径方向に拡がるループ214をさらに拘束することができる。特定の例において、第二の側206のローブ又は半径方向に拡がるループ214は折り畳まれ、シース322を前進させて、第一の側204のローブ又は半径方向に拡がるループ214を拘束する。シース322は先端部210まで前進されうる。拘束ライン212がカテーテル208内に引っ込められると、インプラント可能なメディカルデバイス202はシース322内で折り畳まれることができる。
【0055】
展開シーケンスの1つの例において、インプラント可能なメディカルデバイス202を展開するために、上記の拘束シーケンスが逆にされる。先端部210及びカテーテル208が隔壁を横切ると、シース322は引っ込められ、第一の側204のローブ又は半径方向に拡がるループ210は展開される。シース322は、第1の側204のローブ又は半径方向に拡がるループ210が隔壁に張力を加えるように引き戻されることができる。拘束ライン212及び解放ライン216を解放する前に、インプラント可能なメディカルデバイス202の位置決めを評価することができる。位置決めが満足のいくもの又は望ましくものでないならば、インプラント可能なメディカルデバイス202は、再拘束され、再配置されうる。インプラント可能なメディカルデバイス202を再拘束及び再配置するために、上記の拘束シーケンスに従うことができる(例えば、張力を1つ以上の拘束ライン212に加え、インプラント可能なメディカルデバイス202をシース322内に引っ込めることができる)。インプラント可能なメディカルデバイス202の第二の側206は、拘束ライン212に加えられた張力を解放することによって展開されうる。
【0056】
インプラント可能なメディカルデバイス202が配置された後に、拘束ライン212及び解放ライン216は解放されて、第二の側206のローブ又は半径方向に拡がるループ214は展開される。次に、解放ライン216は、アイレット318から1つ以上の拘束ライン212の拘束ループ320を解放するために引き戻される。1つ以上の拘束ライン212及び解放ライン216は、拘束ライン212及び解放ライン216に張力を加えるために別個の引っ張り機構に結合される。これは、拘束ライン212の同時操作及び解放ライン216の同時操作を容易にすることができる。拘束ライン212及び解放ライン216は、展開中のインプラント可能なメディカルデバイス202の安定性を維持するために、展開に応じて同時に又は個別に解放することができる。
【0057】
特定の例において、拘束ライン212は拘束ワイヤである(例えば、金属又は金属タイプの材料から形成されている)。このようにして、拘束ライン212は、インプラント可能なメディカルデバイス202を拘束するのに十分な強度及び可撓性を有しうる。本明細書に記載のとおりのシステム200を使用することは、展開システム200がカテーテル208を隔壁に対してより小さな鋭角になるように構成されるので、より剛性の高いシステムと比較して有益でありうる。
【0058】
図4Aは、1つ実施形態による、第一の構成で、任意選択的な要素のストップ424及びインプラント可能なメディカルデバイス202を含むデリバリーシステム200である。シース322の展開及び引き戻しの間に、ストップ424は、シースが引っ込められるときに、デバイスをシース322から押し出す。
【0059】
特定の例において、拘束ライン212はカテーテル208に固定されうる。インプラント可能なメディカルデバイス202を拘束するために、これらの例において、カテーテル208は、外側シース322に対して引き戻される。シース322は、図4Bに示されるように、一方の側又は両方の側204、206のローブ又は半径方向に拡がるループ210をそれ自体の上に引っ張る。ストップ424は、張力が1つ以上の拘束ライン202に加えられる方向とは反対の方向、又は、シース322の動きとは反対の方向へのインプラント可能なメディカルデバイス202の動きを制限するように構成されている。
【0060】
図5は、1つの実施形態による、例示的なストップ526及びインプラント可能なメディカルデバイス202を含むデリバリーシステム200である。ストップ526は、拘束ライン212の遠位端に配置されて示されている。特定の例において、1つ以上の拘束ライン212のそれぞれは、ストップ526を含むことができる。ストップ526は、1つ以上の解放ライン216を除去する前に、1つ以上の拘束ライン212の遠位端がインプラント可能なメディカルデバイス202の1つ以上のアイレット318から引き抜かれることを防止するように構成されている。
【0061】
インプラント可能なメディカルデバイス202を解放又は展開するために、1つ以上の解放ライン216は引き抜かれ、1つ以上の拘束ライン212を解放する。図5に示されるように、1つ以上の解放ライン216は、1つ以上の拘束ライン212の拘束ループ320を通して配置され、展開中にインプラント可能なメディカルデバイス202と1つ以上の拘束ライン212との間の接触を維持することができる。1つ以上の拘束ライン216は、拘束ループ320を通って引き抜かれ、1つ以上の拘束ライン212の解放を促進する。
【0062】
図6A~Cは、1つの実施形態による、インプラント可能なメディカルデバイス202を展開する様々な段階におけるデリバリーシステム200を示す。図6Aに示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は、デリバリー又は完全に折り畳まれた構成で示されている。示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202はシース322内に配置される。
【0063】
インプラント可能なメディカルデバイス202は、図6Bにおいて、部分的に展開された構成で示されている。インプラント可能なメディカルデバイス202は、第一の側204及び第二の側206を含むことができる。側204、206は、患者の解剖学的構造(すなわち、例えば、中隔の第一の側)に適合するように構成される。第一の側204及び第二の側206は、第一の側204に作用する力を第二の側206に作用する力から切り離すように2つの側を接続する可撓性相互接続を備えた別個の区別される構成要素であることができる。図6Bに示されるように、第一の側204は部分的に展開されている。シース322は、インプラント可能なメディカルデバイス202の第一の側204の拘束を解くために回収される。
【0064】
シース322は、図6Cに示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202の第一の側204を完全に展開するためにさらに回収されることができる。デリバリーシステム200はまた、インプラント可能なメディカルデバイス202の一部を通して配置された1つ以上の拘束ライン212を含むことができる。1つ以上の拘束ライン212は、インプラント可能なメディカルデバイス202の一部を折り畳むように構成されている(例えば、シース322を回収した後に)。
【0065】
上記のように、デリバリーシステム200はまた、1つ以上の拘束ライン212と係合し、展開中にインプラント可能なメディカルデバイス202と1つ以上の拘束ライン212との間の接触を維持するように構成されている1つ以上の解放ライン216を含むことができる。拘束ライン212及び解放ライン216は、インプラント可能なメディカルデバイス202の第二の側206の制御された展開を容易にすることができる。図6Cに示されるように、拘束ライン212及び解放ライン216は、インプラント可能なメディカルデバイス202の第二の側206を部分的に拘束するように構成されうる。拘束ライン212及び解放ライン216は、シース322からインプラント可能なメディカルデバイス202をガイドするためのランプとしての動作を容易にするように構成されうる。
【0066】
図7は、1つの実施形態による、別の例示的なデリバリーシステム200及びインプラント可能なメディカルデバイス202である。図7に示されるデリバリーシステム200とともに展開されるようなインプラント可能なメディカルデバイス202は、置換心臓弁、シャント、ステント、ステントグラフト、弁付き導管又は他の同様のメディカルデバイスであることができる。図7に示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は置換心臓弁である。示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は自然弁734を横切ってインプラントされる。
【0067】
デリバリーシステム200は、患者の導管を通ってデリバリー部位にデリバリーするように構成されたカテーテル208を含む。特定の例において、デリバリーシステム200は、カテーテル208の遠位端に配置された、非外傷性であることができ、放射線不透過性であることができる先端部210を含む。デリバリーシステム200はまた、インプラント可能なメディカルデバイス202の一部を通して配置された1つ以上の拘束ライン212を含むことができる。図7に示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は、インプラント可能なメディカルデバイス202の周囲に配置されたアイレット318を含む。特定の例において、インプラント可能なメディカルデバイス202は、図示のように、インプラント可能なメディカルデバイス202の遠位端に配置されたアイレット318を含む。他の例において、インプラント可能なメディカルデバイス202は、インプラント可能なメディカルデバイス202の近位端に配置されたアイレット318を含む。さらに、インプラント可能なメディカルデバイス202は、インプラント可能なメディカルデバイス202の遠位端及び近位端の両方に配置されたアイレット318を含むことができる。インプラント可能なメディカルデバイス202がアイレット318を含まない例において、拘束ライン212及び解放ライン216はインプラント可能なメディカルデバイス202のステント又は膜構成要素を通して配置されうる。
【0068】
1つ以上の拘束ライン212は、アイレット318を通して配置され、インプラント可能なメディカルデバイス202の一部をカテーテル208に向かって折り畳むように構成されうる。1つ以上の拘束ライン212は、アイレット318の遠位でカテーテル208内に延在するか、又はカテーテル208に取り付けられることができる。拘束ライン212は、先端部210の近位でカテーテル208内に入るか、又はカテーテル208に取り付けられることができる。拘束ライン212の端部(図示せず)に張力を加えると、インプラント可能なメディカルデバイス202が移植のためにカテーテル208に向かって折り畳まれる。上で詳細に論じたように、デリバリーシステム200は、インプラント可能なメディカルデバイス200を折り畳み構成で保持するように構成されたシース(図示せず)を含むことができる。拘束ライン212は、初期展開後にインプラント可能なメディカルデバイス200の再捕捉を可能にする。拘束ライン212を使用したインプラント可能なメディカルデバイス200の再捕捉は、インプラント可能なメディカルデバイス200の再配置を可能にする。
【0069】
さらに、デリバリーシステム200は、インプラント可能なメディカルデバイス202の周りに配置されうる二次拘束要素736(例えば、フープ、リング又は他の要素)を含むことができる。1つ以上の拘束ライン212は、追加的に又は代替的に(アイレット318ではなく)二次拘束要素736とともに配置又はそれに結合されて、インプラント可能なメディカルデバイス202の折り畳み及び拡張を容易にすることができる。図2~6及び図8~10を参照して論じられるデリバリーシステム200も二次拘束要素736を利用することができる。
【0070】
図8は、1つの実施形態による、別の例示的なデリバリーシステム200及びインプラント可能なメディカルデバイス202である。図7に示されるデリバリーシステム200とともに展開されるようなインプラント可能なメディカルデバイス202は置換心臓弁、シャント、ステント、ステントグラフト、弁付き導管又は他の同様のメディカルデバイスであることができる。図8に示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は置換心臓弁である。
【0071】
デリバリーシステム200は、患者の導管を通ってデリバリー部位にデリバリーするように構成されたカテーテル208を含む。特定の例において、デリバリーシステム200は、カテーテル208の遠位端に配置された、非外傷性であることができ、放射線不透過性であることができる先端部210を含む。デリバリーシステム200はまた、インプラント可能なメディカルデバイス202の一部の周りに配置された1つ以上の拘束ライン212を含むことができる。図8に示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は、インプラント可能なメディカルデバイス202の周囲に配置されたアイレット318を含む。特定の例において、インプラント可能なメディカルデバイス202は、図示のように、インプラント可能なメディカルデバイス202の遠位端に配置されたアイレット318を含む。他の例において、インプラント可能なメディカルデバイス202は、インプラント可能なメディカルデバイス202の近位端に配置されたアイレット318を含む。さらに、インプラント可能なメディカルデバイス202は、インプラント可能なメディカルデバイス202の遠位端及び近位端の両方に配置されたアイレット318を含むことができる。インプラント可能なメディカルデバイス202がアイレット318を含まない例において、拘束ライン212及び解放ライン216は、インプラント可能なメディカルデバイス202のステント又は膜構成要素を通して配置されうる。
【0072】
1つ以上の拘束ライン212は、アイレット318を通して配置され、インプラント可能なメディカルデバイス202の一部をカテーテル208に向かって折り畳むように構成されうる。1つ以上の拘束ライン212は、インプラント可能なメディカルデバイス202の周りに延在する単一ラインであることができる。複数の拘束ライン212又は単一の拘束ライン212の端部(図示せず)に張力を加えると、インプラント可能なメディカルデバイス202が、移植のためにカテーテル208に向かって折り畳まれる。上で詳細に論じたように、デリバリーシステム200は、インプラント可能なメディカルデバイス200を折り畳み構成で保持するように構成されたシース(図示せず)を含むことができる。拘束ライン212は、初期展開後にインプラント可能なメディカルデバイス200の再捕捉を可能にする。拘束ライン212を使用したインプラント可能なメディカルデバイス200の再捕捉は、インプラント可能なメディカルデバイス200の再配置を可能にする。
【0073】
図9Aは、1つの実施形態による、別の例示的なデリバリーシステム200及びインプラント可能なメディカルデバイス202である。図9Aに示されるデリバリーシステム200とともに展開されるようなインプラント可能なメディカルデバイス202は、置換心臓弁、シャント、ステント、ステントグラフト又は他の同様のメディカルデバイスであることができる。図9Aに示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は置換心臓弁である。示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は、自然弁734を横切ってインプラントされる。
【0074】
デリバリーシステム200は、患者の導管を通ってデリバリー部位にデリバリーするように構成されたカテーテル208を含む。特定の例において、デリバリーシステム200は、カテーテル208の遠位端に配置された、非外傷性であることができ、放射線不透過性であることができる先端210を含む。デリバリーシステム200はまた、インプラント可能なメディカルデバイス202の一部を通って配置された1つ以上の拘束ライン212を含むことができる。
【0075】
図9Aに示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は、インプラント可能なメディカルデバイス202の周囲に配置されたアイレット318を含む。特定の例において、インプラント可能なメディカルデバイス202は、インプラント可能なメディカルデバイス202の近位端に配置されたアイレット318を含む。図9Bを参照してさらに詳細に示されるように、1つ以上の拘束ライン212はアイレット318を通して配置されうる。1つ以上の拘束ライン212は、インプラント可能なメディカルデバイス202の一部をカテーテル208に向かって折り畳むように構成されている。拘束ライン212の端部(図示せず)に張力を加えると、インプラント可能なメディカルデバイス202を移植のためにカテーテル208に向かって折り畳む。上で詳細に論じたように、デリバリーシステム200は、インプラント可能なメディカルデバイス200を折り畳み構成で保持するように構成されたシース(図示せず)を含むことができる。拘束ライン212は、初期展開後にインプラント可能なメディカルデバイス200の再捕捉を可能にする。拘束ライン212を使用したインプラント可能なメディカルデバイス200の再捕捉は、インプラント可能なメディカルデバイス200の再配置を可能にする。
【0076】
デリバリーシステム200はまた、1つ以上の拘束ライン212と係合し、展開中にインプラント可能なメディカルデバイス202と1つ以上の拘束ライン212との間の接触を維持するように構成される1つ以上の解放ライン216を含むことができる。インプラント可能なメディカルデバイス202を解放又は展開するために、1つ以上の解放ライン216は、上記でさらに詳細に論じられるように、回収され、1つ以上の拘束ライン212が解放される。1つ以上の解放ライン216は、1つ以上の拘束ライン212を通して配置又は結合され、展開中にインプラント可能なメディカルデバイス202と1つ以上の拘束ライン212との間の接触を維持することができる。1つ以上の解放ライン216を回収して、1つ以上の拘束ライン212が解放される。
【0077】
インプラント可能なメディカルデバイス202の一部をカテーテル208に向かって折り畳むために拘束ライン212に張力は加えられる。インプラント可能なメディカルデバイス202とともに配置されていない拘束ライン212の端部に対する張力は、拘束ライン212をカテーテル208内に引っ込める。特定の例において、シース(図示せず)を使用して、デリバリーを容易にし、インプラント可能なメディカルデバイス202を拘束することもできる。拘束ライン212がカテーテル208中に引っ込められたときに、インプラント可能なメディカルデバイス202はシース又はカテーテル208中に折り畳まれることができる。
【0078】
展開シーケンスの1つの例において、インプラント可能なメディカルデバイス202を展開するために、カテーテル208は自然弁734を横切って配置され、カテーテル208又はシースは、デバイス202の遠位部分を露出するようにして引っ込められることができる。カテーテル208をさらに引っ込めて、デバイス202の近位端を露出させることができる。拘束ライン212及び解放ライン216を解放する前に、インプラント可能なメディカルデバイス202の位置決めを評価することができる。位置決めが満足のいくものでない又は望ましくないならば、インプラント可能なメディカルデバイス202は、再拘束され、再配置されうる。インプラント可能なメディカルデバイス202を再拘束及び再配置するために、上記の拘束シーケンスに従うことができる(例えば、張力を1つ以上の拘束ライン212に加え、インプラント可能なメディカルデバイス202をシース又はカテーテル208内に引っ込めることができる)。インプラント可能なメディカルデバイス202が配置された後に、拘束ライン212及び解放ライン216が解放される。
【0079】
特定の例において、デリバリーシステム200は、インプラント可能なメディカルデバイス202の周りに配置されうる二次拘束要素736(例えば、フープ、リング又は図示されるような拘束ループ)を含むことができる。二次拘束要素736は、インプラント可能なメディカルデバイス202の遠位部分を折り畳み、また、拡張するように構成されうる。
【0080】
図10Aは、1つの実施形態による、別の例示的なデリバリーシステム200及びインプラント可能なメディカルデバイス202である。図10Aに示されるデリバリーシステム200とともに展開されるようなインプラント可能なメディカルデバイス202は、置換心臓弁、シャント、ステント、ステントグラフト又は他の同様のメディカルデバイスであることができる。図10Aに示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は置換心臓弁である。示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は自然弁734を横切ってインプラントされる。
【0081】
デリバリーシステム200は、患者の導管を通ってデリバリー部位にデリバリーするように構成されたカテーテル208を含む。特定の例において、デリバリーシステム200は、カテーテル208の遠位端に配置された、非外傷性であることができ、放射線不透過性であることができる先端部210を含む。デリバリーシステム200はまた、インプラント可能なメディカルデバイス202の一部を通って配置された1つ以上の拘束ライン212を含むことができる。
【0082】
図10Aに示されるように、インプラント可能なメディカルデバイス202は、インプラント可能なメディカルデバイス202の周りに配置されたアイレット318を含む。アイレット318は、心臓弁の弁フレーム構造から延びるインプラント可能なメディカルデバイス202のスカート部分1056の周りに配置される。さらに、示されるように、拘束ライン212は、図10Aに示されるように、アイレット318を通して個々に配置され、またアイレット318を通して周方向に配置されうる。
【0083】
デリバリーシステム200はまた、1つ以上の拘束ライン212と係合し、展開中にインプラント可能なメディカルデバイス202と1つ以上の拘束ライン212との間の接触を維持するように構成された1つ以上の解放ライン216を含むことができる。インプラント可能なメディカルデバイス202を解放又は展開するために、1つ以上の解放ライン216は、上記でさらに詳細に論じられたように、回収されて、1つ以上の拘束ライン212が解放される。1つ以上の解放ライン216は、1つ以上の拘束ライン212を通して配置又はそれに結合され、展開中にインプラント可能なメディカルデバイス202と1つ以上の拘束ライン212との間の接触を維持することができる。1つ以上の解放ライン216を回収して、1つ以上の拘束ライン212が解放される。
【0084】
インプラント可能なメディカルデバイス202の一部をカテーテル208に向かって折り畳むために拘束ライン212に張力は加えられる。インプラント可能なメディカルデバイス202とともに配置されていない拘束ライン212の端部に対する張力は、拘束ライン212をカテーテル208内に引っ込める。特定の例において、シース(図示せず)を使用して、デリバリーを容易にし、インプラント可能なメディカルデバイス202を拘束することもできる。拘束ライン212がカテーテル208内に引っ込められると、インプラント可能なメディカルデバイス202は、シース又はカテーテル208内に折り畳まれることができる。
【0085】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関して上記の両方で記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な修正及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内に入るかぎり、本発明の修正及び変形を網羅することが意図されている。
(態様)
(態様1)
カテーテルと、
インプラント可能なメディカルデバイスの1つ以上のアイレットを通して配置された1つ以上の拘束ラインと、
前記1つ以上の拘束ラインと係合し、展開中に前記インプラント可能なメディカルデバイスと前記1つ以上の拘束ラインとの間の接触を維持するように構成された1つ以上の解放ラインと、
を含む、インプラント可能なメディカルデバイスの展開システムであって、
前記1つ以上の拘束ラインは、前記インプラント可能なメディカルデバイスの一部を前記カテーテルに向かって折り畳むように構成されている、インプラント可能なメディカルデバイスの展開システム。
(態様2)
前記1つ以上の拘束ラインは前記インプラント可能なメディカルデバイスの少なくとも第一の側でアイレットと係合するように構成されている、態様1記載のシステム。
(態様3)
前記カテーテルの周りに配置され、折り畳まれたインプラント可能なメディカルデバイスを捕捉するように構成されたシースをさらに含む、態様1~2のいずれか1項記載のシステム。
(態様4)
前記シースは前記インプラント可能なメディカルデバイスを拘束するように構成されている、態様3記載のシステム。
(態様5)
前記1つ以上の解放ラインは前記1つ以上の拘束ラインを解放するために回収するように構成されている、態様1~4のいずれか1項記載のシステム。
(態様6)
前記1つ以上の拘束ラインは前記1つ以上の拘束ラインの遠位端に拘束ループを含み、そして前記1つ以上の解放ラインは前記1つ以上の拘束ラインの拘束ループを通して配置され、展開中に前記インプラント可能なメディカルデバイスと前記1つ以上の拘束ラインとの間の接触を維持する、態様5記載のシステム。
(態様7)
前記1つ以上の拘束ラインは1つ以上の拘束ワイヤである、態様1~6のいずれか1項記載のシステム。
(態様8)
前記1つ以上の拘束ラインに張力が加えられる方向と反対側の方向への前記インプラント可能なメディカルデバイスの動きを制限するように構成されている、前記カテーテル上に配置されたストップをさらに含む、態様1~7のいずれか1項記載のシステム。
(態様9)
前記1つ以上の拘束ラインの遠位端に対して遠位に配置され、そして前記1つ以上の解放ラインを除去する前に、前記1つ以上の拘束ラインの遠位端が前記インプラント可能なメディカルデバイスの1つ以上のアイレットから回収されるのを防ぐように構成されている、1つ以上のストップをさらに含む、態様1~7のいずれか1項記載のシステム。
(態様10)
前記1つ以上の解放ラインは、展開を容易にし、そして前記インプラント可能なメディカルデバイスをシースからガイドするためのランプとして作用するように構成されている、態様1~9のいずれか1項記載のシステム。
(態様11)
前記インプラント可能なメディカルデバイスは、シャントデバイス、心臓弁又は弁付き導管のうちの1つである、態様1~10いずれか1項記載のシステム。
(態様12)
インプラント可能なメディカルデバイスと、
前記インプラント可能なメディカルデバイスを折り畳み構成で保持するように構成されて配置されたシースと、
前記インプラント可能なメディカルデバイスの一部を通して配置された1つ以上の拘束ラインであって、前記1つ以上の拘束ラインに加えられた張力に応答して前記インプラント可能なメディカルデバイスの一部をカテーテルに向かって折り畳み、そして張力の解放に応答して前記インプラント可能なメディカルデバイスの拡張を可能にするように構成された1つ以上の拘束ラインと、
前記1つ以上の拘束ラインと係合し、展開中に前記インプラント可能なメディカルデバイスと前記1つ以上の拘束ラインとの間の接触を維持し、そして回収して前記1つ以上の拘束ラインを解放し、前記インプラント可能なメディカルデバイスを展開構成に展開するように構成された1つ以上の解放ラインと、
を含む、展開システム。
(態様13)
前記インプラント可能なメディカルデバイスは、前記インプラント可能なメディカルデバイスの周囲に配置されたアイレットを含み、前記1つ以上の拘束ラインは前記アイレットを通して配置されている、態様12記載の展開システム。
(態様14)
前記1つ以上の拘束ラインのそれぞれは、前記1つ以上の拘束ラインの遠位端に拘束ループを含み、そして前記1つ以上の解放ラインは、前記1つ以上の拘束ラインの拘束ループを通して配置され、展開中に前記インプラント可能なメディカルデバイスと前記1つ以上の拘束ラインとの間の接触を維持する、態様12記載の展開システム。
(態様15)
前記1つ以上の拘束ライン及び前記1つ以上の解放ラインのうちの少なくとも1つは、その遠位端近くで前記カテーテルに結合されている、態様12記載の展開システム。
(態様16)
前記カテーテルは、前記カテーテルの遠位端に結合された先端部を含み、そして前記1つ以上の拘束ライン及び前記1つ以上の解放ラインのうちの少なくとも1つは前記先端部に隣接して前記カテーテルに結合されている、態様15記載の展開システム。
(態様17)
シース内に折り畳み構成で配置されたインプラント可能なメディカルデバイスとともにカテーテルを標的位置に配置することと、
前記インプラント可能なメディカルデバイスの1つ以上のアイレットを通して配置された1つ以上の拘束ラインに対する張力を解放することによって、前記インプラント可能なメディカルデバイスの少なくとも一部の拡張を可能にすることと、
前記1つ以上の拘束ラインと係合された1つ以上の解放ラインを除去することによって、前記インプラント可能なメディカルデバイスから前記1つ以上の拘束ラインを解放することと、
を含む、インプラント可能なメディカルデバイスを展開する方法。
(態様18)
前記シースを前進させて前記インプラント可能なメディカルデバイスの第一の側を展開することをさらに含み、前記インプラント可能なメディカルデバイスの一部の拡張を可能にすることは、前記1つ以上の拘束ラインに対する張力を解放することによって、前記インプラント可能なメディカルデバイスの第二の側の拡張を可能にすることを含む、態様17記載の方法。
(態様19)
前記1つ以上の拘束ラインに張力を加え、そしてデリバリーシース内に前記インプラント可能なメディカルデバイスを引っ込めることによって、前記インプラント可能なメディカルデバイスを再拘束することをさらに含む、態様18記載の方法。
(態様20)
前記拘束ラインに加えられた張力を解放することによって、前記インプラント可能なメディカルデバイスの第二の側を展開することをさらに含む、態様18記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図10A-10B】