IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7280955プレスカバー、プレスカバーの使用、ならびにプレスロール、シュープレス、およびプレスカバーにおける補強繊維の使用
<>
  • 特許-プレスカバー、プレスカバーの使用、ならびにプレスロール、シュープレス、およびプレスカバーにおける補強繊維の使用 図1
  • 特許-プレスカバー、プレスカバーの使用、ならびにプレスロール、シュープレス、およびプレスカバーにおける補強繊維の使用 図2a
  • 特許-プレスカバー、プレスカバーの使用、ならびにプレスロール、シュープレス、およびプレスカバーにおける補強繊維の使用 図2b
  • 特許-プレスカバー、プレスカバーの使用、ならびにプレスロール、シュープレス、およびプレスカバーにおける補強繊維の使用 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】プレスカバー、プレスカバーの使用、ならびにプレスロール、シュープレス、およびプレスカバーにおける補強繊維の使用
(51)【国際特許分類】
   D21F 3/02 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
D21F3/02 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021538894
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019068484
(87)【国際公開番号】W WO2020057795
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】102018122779.5
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506408818
【氏名又は名称】フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D-89522 Heidenheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フリュハウフ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ヘアマン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ヴォクレク
(72)【発明者】
【氏名】ジュアンハオ ヅォウ
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-111220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21F 1/00 - 13/12
D21B 1/00 - 1/38
D21C 1/00 - 11/14
D21D 1/00 - 99/00
D21G 1/00 - 9/00
D21H 11/00 - 27/42
D21J 1/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレスカバー(20)であって、少なくとも1つのポリマー層(20.1,20.2,20.3)を含み、前記ポリマー層内には補強構造体(20’’)が埋め込まれており、前記補強構造体(20’’)は少なくとも1つの補強繊維(21)を含んでおり、
前記少なくとも1つのポリマー層(20.1,20.2,20.3)の材料の可視光に対する透過率は、前記補強構造体(20’’)の前記透過率よりも高く、
前記少なくとも1つのポリマー層(20.1,20.2,20.3)の材料の前記透過率は、5~10mmの厚さで50%~90%であり、
複数の補強繊維(21)が長手方向繊維(21.1)として設けられており、前記複数の補強繊維は、前記プレスカバー(20)の長手方向で延在していて、前記プレスカバー(20)の周面にわたって互いに間隔を置いて平行に配置されており、
少なくとも1つの別の補強繊維(21)が周方向繊維(21.2)として設けられており、前記周方向繊維は、前記プレスカバー(20)の周方向で螺線状に延在しており、
長手方向繊維(21.1)として形成された前記補強繊維(21)と、周方向繊維(21.2)として形成された前記少なくとも1つの別の補強繊維(21)とは共に1つの繊維積層体を形成しており、
前記プレスカバー(20)を半径方向で見て、前記長手方向繊維(21.1)は、前記少なくとも1つの周方向繊維(21.2)に対して、交差個所で半径方向の間隔を置いて位置している、
プレスカバー(20)
【請求項2】
前記少なくとも1つのポリマー層(20.1,20.2,20.3)はポリウレタンから製作されていて、またはポリウレタンを含んでおり、前記少なくとも1つの補強繊維(21)はポリマーから製作されていて、またはポリマーを含んでおり、前記ポリマーとして、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、またはポリアミドが選択されている、請求項記載のプレスカバー(20)
【請求項3】
前記少なくとも1つのポリマー層(20.1,20.2,20.3)は、着色されていない、請求項1または2記載のプレスカバー(20)
【請求項4】
前記少なくとも1つの補強繊維(21)は、前記プレスカバー(20)の長手方向で延在する長手方向繊維(21.1)として設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載のプレスカバー(20)
【請求項5】
複数のポリマー層が設けられていて、前記少なくとも1つのポリマー層(20.1,20.2,20.3)は、前記プレスカバー(20)の長手方向軸線(20’)を基準として見て、半径方向外側の、または最も外側のポリマー層(20.1)であって、付加的に、前記プレスカバー(20)の長手方向軸線(20’)を基準として見て、半径方向最も内側の別のポリマー層(20.2)が設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載のプレスカバー(20)
【請求項6】
ちょうど2つのポリマー層(20.1,20.2)が設けられており、前記半径方向内側のポリマー層(20.2)は同時に、前記プレスカバー(20)の半径方向最も内側のポリマー層でもある、請求項記載のプレスカバー(20)
【請求項7】
繊維材料ウェブ(24)を処理するためのシュープレス(10)のためのプレスロールであって、前記プレスロールは、請求項1からまでのいずれか1項記載のプレスカバー(20)を少なくとも1つ有していることを特徴とする、プレスロール。
【請求項8】
繊維材料ウェブ(24)を処理するためのシュープレス(10)であって、ニップ(22)を共に形成または画定しているプレスロールと対向ロール(14)とを含み、前記プレスロールは、周方向で取り囲む、請求項1から6までのいずれか1項記載のプレスカバー(20)を含んでいることを特徴とする、シュープレス(10)。
【請求項9】
繊維材料ウェブ(24)を処理するためのプレスのための、請求項1からまでのいずれか1項記載のプレスカバー(20)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詳しくは独立請求項に記載の形式の、プレスカバー、特に繊維材料ウェブを処理するための、例えば繊維材料ウェブを平滑化または脱水するための、プレス装置のためのプレスカバーに基づいている。本発明はさらに、詳しくは並列独立請求項に記載の形式の、プレスロール、シュープレス、ならびにシュープレスにおけるプレスカバーの使用に関する。
【0002】
シュープレスのようなプレス装置は、長い間、現代の抄紙機の構成部分となっている。プレス装置は、実質的には、機械横方向に延在する、定置に配置されたシュー(プレスシューとも呼ばれる)と、この定置のシューを取り囲むプレスカバーとを含む。プレスカバーは変形可能であって、作動中、実質的に管状の形状をとっている。シューは、対向ロールと共にプレスニップ(プレスギャップ)を形成するように成形されている。プレスニップは、シューにおいて、対向ロールの当接面により規定されている。シューは可動に形成されていて、対向ロールに向かって運動することができる。
【0003】
プレスカバーには、安定性に対する、すなわち表面硬度、耐圧性、耐熱性、および耐加水分解性に関する安定性に対する大きな要件が課せられている。さらに、プレスカバーには、作動中、著しい交互の曲げ荷重がかけられる。シュー縁部に進入する際に、プレスカバーの回転方向で見て、プレスニップの手前で、まずは比較的小さい半径で曲げられる。これはすぐに、プレスニップを通過する際に反対の曲げに移行する。他方のシュー縁部から出て行く際に、すなわちプレスカバーの回転方向で見て、プレスニップの後方で、再び反対に曲げられる。進入の際のおよび進出の際のプレスカバーのこのような変形は、交番ニップとも呼ばれる。高い機械的負荷により、特にこの個所で、プレスカバーが破損する傾向が極めて高いことが容易に理解できる。したがって、従来技術により、プレスカバーの安定性を高めるべき多くの手段が公知である。
【0004】
プレスカバーは、シューの周囲にガイドできるようにするためには、十分に柔軟でなければならず、ニップにおいてプレス荷重下で過剰に変形したり圧縮されたりすることがないように、十分に剛性でなければならず、さらにプレスカバーは十分に耐摩耗性でなければならない。したがってプレスカバーは、繊維層または織布の形態の補強繊維を埋め込むことができる、好適にはポリウレタンから成る、単層または多層のポリマー層から成っている。
【0005】
本発明は、冒頭で述べたこのような形式の、上位概念に記載の対象物に関する。
【0006】
従来技術により公知のプレスカバーは、所定の作動において、ニップにおける、しばしば局所的でしかない、過負荷の結果、早期に故障する傾向がある。このような過負荷は、いわゆる塊通過の際に、異物がニップを通過するときに生じる。このような過負荷はしばしば、補強繊維、もしくは補強繊維が埋め込まれているポリマー層の裂断につながる。内側からオイル潤滑されているプレスカバーは、不密であり得るので、オイルは、製造すべき繊維材料ウェブに接触する。その結果、プレスカバーを交換しなければならない。これにより、実際には、プレス装置の予期せぬ停止が発生し、ひいては極めてコストの高いダウンタイムにつながる。
【0007】
したがって、本発明の課題は、従来技術の欠点を回避するプレスカバーを提供することである。特に、所定の作動において、過負荷の結果生じるプレスカバーの単に局所的な損傷によるプレスカバー全体の故障が回避されることが望ましく、もしくはその結果が早期に検知されることが望ましい。特に、このようなプレスカバーを備えたプレス装置の停止時間は減じられるべきである。
【0008】
この課題は、独立請求項に記載の特徴により解決される。本発明の特に好適かつ有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
発明者らは、補強構造体と、この補強構造体が埋め込まれている少なくとも1つのポリマー層との間に十分に大きい光学的なコントラストがあるならば、プレスカバーにおいて既に生じた局所的な過負荷をより良好に検知できることを認識している。過負荷は極めて大きいので、これは往々にして、例えば繊維の裂断という形の、補強構造体の局所的な損傷につながる。裂断された繊維は、人間の目で良好に検知することができるので、プレスカバーの計画的な早期の交換を行うことができる。
【0010】
このために、本発明によれば、補強構造体の材料と、少なくとも1つのポリマー層の材料とは、両材料の可視光に対する透過率が互いに異なるように選択されている。少なくとも1つのポリマー層の材料の透過率が、補強構造体の透過率よりも高く選択されると、相応の光特性のもとで補強構造体は、ポリマー層を透過して輝くことができる。少なくとも1つのポリマー層の材料は、補強構造体の材料よりも透過性であるまたは透明である(すなわち、不透明性が低い)と言うこともできる。補助的に、プレスカバーを、(人間の目に)見える光、例えばLEDランプによって照らすもしくは透視することができる。この場合、局所的な過負荷は、例えば機械が繊維材料ウェブを製作する所定の作動時の場合よりもプレスカバーがゆっくり回転する、機械の徐行工程で、視覚的に検知することができる。この場合、プレスカバーの差し迫ったオイル損失を、早期に、プレスカバーを適切に交換することにより回避することができる。
【0011】
光学では、透過率とは、入射する放射束または光束のうち、透明の構成部分を完全に通過する割合を意味する。構成部分に当接する入射する放射束は、この構成部分によって、透過され、反射され、吸収される。したがって、構成部分の材料特性に応じて、透過率(T)、反射率(R)、および吸収率(A)に互いに分配される、構成部分に当接する放射束の以下のような出力バランス
R+A+T=1
が生じる。すなわち透過率は、入射する放射束のうち、反射率(R)と吸収率(A)とを差し引いた部分に相当する。透過率の別の呼称は、全透過率Tという用語である。全透過率もしくは透過率は、入射する放射束Tの、透明な構成部分を通過した放射束Tに対する逆数の比、すなわちT/Tに相当する。すなわち、例えば、少なくとも1つのポリマー層の材料が、50%の透過率を有していると言う場合、このポリマー層は、入射する放射束のうちの半分しか通さない。透過率もしくは全透過率は、ASTM規格 D 1003-00により規定され、測定可能である。測定は、プレスカバーの任意の個所で行われてもよく、例えばプレスカバーの軸方向縁部でも行うことができ、したがって、例えば、このようなプレスカバーを側方の2つの緊締ディスクで保持する舌片の領域で行うことができる。透過率の記載は、この場合、工場における新しい、すなわち完成したプレスカバーに関連するものであってもよい。
【0012】
ポリマー層またはプレスカバーが着色されていないと言う場合、ポリマー層またはプレスカバーに着色料が含まれていないことを意味している。着色料は、分子レベルでポリマー層内に溶け込んでいるか、またはその表面に吸着されている着色剤、または顔料、すなわちポリマー層の材料に溶け込んでいない粒子であってもよい。
【0013】
プレスカバーとは、本発明の意味では、図示されたように、繊維材料ウェブと共に、シュープレスのニップ(プレスニップ)を通ってガイドされる、周方向でその長手方向軸線を中心として閉じられた無端のベルト、チューブ、またはカバーであると理解される。繊維材料ウェブの脱水のために、所定の作動において、プレスカバーの半径方向最も外側の表面(ポリマー層)は、脱水すべき繊維材料ウェブを直接支持しているプレスフェルトに接触することができる。プレス装置の実施形態によっては、例えば、繊維材料ウェブの平滑化のために、プレスカバーは所定の作動において、繊維材料ウェブに直接接触することもできる。プレスカバーは、その軸方向の端部で、幅方向で見て(長手方向軸線に沿って)、開かれている。これにより、シュープレスロールを形成するために、プレスカバーを、その軸方向端部で、2つの側方の緊締ディスクによって保持することができる。側方の両緊締ディスクによるガイドの代わりに、プレスカバーを、開放型シュープレスの場合のように、プレスシューおよび複数のガイドローラを介してガイドすることもできる。プレスカバーが緊締ディスクによってガイドされているのか、またはガイドローラによってガイドされているのかにかかわらず、プレスシュー(もしくはガイドローラ)は、プレスカバーの半径方向最も内側の表面の一部に(一時的に)接触する。このようなプレスカバーの半径方向最も外側の表面には、すなわち例えば、プレスカバーの半径方向最も外側のポリマー層には、溝および/または袋孔が設けられていてもよい。
【0014】
長手方向とは、プレスカバーの長手方向軸線に対して平行に延在している方向を意味する。長手方向軸線は、同時に、完成したプレスカバーもしくはプレスロールの対称軸線または回転軸線に相当する。プレスカバーの周方向は、プレスカバーの半径方向の境界部の周りで見て、長手方向軸線を取り囲むように延在している。平行という概念は、異なる平面に位置する2つの補強繊維の±5°の互いの角度のずれも含む。
【0015】
プレスカバーもしくは少なくとも1つのポリマー層は、部分的にまたは完全に、ポリマーから製作されていてもよい。この場合、ポリマーとしては、ポリウレタンのように、注ぐことのできる硬化性の、好適にはエラストマーのポリマーを使用することができる。したがって、ポリマーはキャストエラストマーとして調製されてもよい。
【0016】
ポリマー層とは、注ぐことのできる硬化性のような、好適にはエラストマーのポリマーを含む層または完全にそのようなポリマーから製作されている層を意味する。好適には、ポリマー層は、一次成形によって一体的に製作され、硬化させた層であってもよい。換言すると、ポリマー層は、モノリシックに一次成形されていて、すなわち例えばキャスティングにより製作されている。一体的にという概念は、同じ材料の複数の層から、ポリマーのキャスティングの際に、1つの層が製作された場合も含む。しかしながらこれは、これら複数の層が硬化後に、実質的にはもはや見えなくなり、単一の、好適には均一な層が生じる場合に限ってのことである。同様のことは、完成したプレスカバーにも相応に当てはまる。
【0017】
複数のポリマー層を設ける場合には、これらの層は、半径方向で見て、少なくとも所定の区分でプレスカバーの幅にわたって、互いに上下に配置されていてもよい。少なくとも所定の区分でプレスカバーの幅にわたってとは、プレスカバーが、プレスカバーの長手方向軸線に沿って例えばその軸方向の端部では単層でしかないが、これに対し、軸方向の端部の間では、2つ以上の層から形成されていることを意味する。しかしながら、複数のポリマー層が、プレスカバーの全幅にわたって延在していてもよい。プレスカバーの長手方向軸線を通る断面におけるプレスカバーの厚さも、したがって個々のポリマー層の厚さも、長手方向軸線に沿って所定の区分で変化してもよい。したがって、例えば、プレスカバーの幅縁部の領域における半径方向最も外側のポリマー層は、プレスカバーの中央におけるよりも薄くてもよい。換言すると、幅縁部の領域で、半径方向最も外側のポリマー層の厚さは、半径方向内側のまたは半径方向最も内側のポリマー層の厚さよりも薄くてもよい。好適には、ちょうど1つの、2つの、または3つのポリマー層が設けられている。これらの層は、そのポリマーに関して同一に形成されていてもよく、またはその硬度またはプレポリマーの化学量論に関しては異なっていてもよい。プレスカバーの長手方向軸線を通る断面における、完成したプレスカバーの総厚さは、半径方向で測定して、5~10mm、好適には5~7mm、特に好適には5~6mmであってもよい。本発明によれば、単一の層を設ける場合には、プレスカバーを唯一度のキャスティングから、すなわちモノリシックに製作することができるので、単一の層が、今述べたような厚さを有している。
【0018】
本発明の意味では完成したプレスカバーとは、プレスカバーの少なくとも1つのポリマー層が硬化し、場合によっては最終的に加工され、すなわち、冒頭で述べた目的のために、例えばシュープレスで使用する準備ができているものである。同様に、完成したポリマー層は、硬化した層を意味する。
【0019】
補強繊維とは、本発明の意味では、その長手方向に優勢的な延在および均一性を有する柔軟な繊維の線状構造体であると理解される。繊維と言うとき、モノフィラメントの形式の単一の無端の繊維を意図する。これに対し、繊維束と言うとき、本発明の意味では、モノフィラメントではなく、それ自体が、撚糸または紡績糸のような個別の糸であって、すなわち無端繊維またはモノフィラメントから成る束である。繊維束自体は完全に、互いに撚られた繊維から製作されてもよい。
【0020】
少なくとも長手方向繊維が本発明による補強繊維として製作される、という定義は、長手方向繊維のみが本発明による補強繊維として形成されているということを、または付加的に長手方向繊維と少なくとも1つの別の周方向繊維とが本発明による補強繊維として製作されているということを意味している。好適には例えば、周方向繊維と長手方向繊維とから成る繊維層が設けられている場合は、これは、少なくとも長手方向繊維が本発明により形成されていることを意味している。
【0021】
補強構造体という概念は、本発明の意味では、ポリマーを含む、またはポリマーから成る少なくとも1つの層の、すなわちポリマー層の補強部を意味する。この場合、補強構造体は完全にポリマー層内に埋め込まれていてもよく、したがって補強構造体は、ポリマー層の境界を越えて外へ出ない。換言すると、ポリマー層は、補強構造体を取り囲む基材としての役割を担い、付着力または凝集力により補強構造体をこの基材に結合させる。このような補強構造体は、繊維の線状構造体、例えば、紡績糸または撚糸を含むことができ、かつ/または繊維の面状構造体、例えば、織布、ニット、編物、編組体、または繊維層を含むことができ、相応の出発材料から、例えば巻き付けにより製作可能であってもよい。換言すると、個々の本発明による補強繊維は、それ自体で見て、繊維の線状構造体である。複数のこのような補強繊維は、例えば長手方向繊維および/または周方向繊維として、共に1つの繊維の面状構造体を形成するように形成されていてもよい。少なくとも1つのポリマー層内に埋め込まれる少なくとも1つの補強繊維は、したがってプレスカバーのもしくはプレスカバーのポリマー層の補強構造体を成す。
【0022】
出発材料とは、本発明による完成したプレスカバーの補強構造体を、すなわちこの場合、少なくとも1つの補強繊維を、製作する材料または半製品であると理解される。
【0023】
補強繊維もしくは補強構造体は、ポリマーから製作されてもよい、またはポリマーを含んでいてもよい。ポリマーとしては、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、またはアラミドのようなポリアミドが提供される。したがって、少なくとも1つのポリマー層の材料と、ポリマー層内に埋め込まれる少なくとも1つの補強繊維もしくは補強構造体の材料とは異なっている。
【0024】
本発明の意味では、プレス装置とは例えば、繊維材料ウェブを例えば脱水するための、または平滑化のような処理をするためのシュープレスを意味する。シュープレスは、共にプレスニップを形成または画定する、シュープレスロールと対向ロールとを含む。シュープレスロールはさらに、周囲を取り囲むプレスカバーと、定置のプレスエレメント、いわゆるプレスシューとを含む。プレスシューは、同じく定置の支持性のヨーク上に支持され、例えば液圧式のプレスエレメントを介して、周囲を取り囲むプレスカバーに押し付けられる。プレスカバーは、定置のプレスシューおよびヨークに対して相対的に回転し、これによりプレスニップで対向ロールへと押し付けられる。プレスシューとヨークとは、プレスカバーの半径方向内側に配置されている。定置という概念は、プレスエレメントが、シュープレスロールまたは対向ロールに対して相対的に回転はしないが、並進的に、対向ロールに向かって、または対向ロールから離れるように、好適には対向ロールの半径方向で、ひいては対向ロールに対して相対的に動くことができるものと理解される。繊維材料ウェブおよびプレスカバーに加えて付加的に、周方向でエンドレスに回転する1つ以上のプレスフェルトおよび/またはエンドレスに回転する別のプレスベルトが、シュープレスのプレスニップを通ってガイドされてもよい。このようなシュープレスは、勿論、2つ以上のプレスニップを有していてもよい。
【0025】
繊維材料ウェブとは、本発明の意味では、木質繊維、プラスチック繊維、ガラス繊維、炭素繊維のような繊維、追加材料、添加剤等から成る繊維層もしくは交絡層であると理解されたい。したがって、繊維材料ウェブは、例えばペーパーウェブ、厚紙ウェブ、または薄紙ウェブとして形成されていてもよい。繊維材料ウェブは実際には、木質繊維を含んでいてもよく、この場合、少量の他の繊維または追加材料および添加剤も含まれてもよい。これについては、使用例に応じて当業者に任される。
【0026】
好適には、長手方向繊維としての複数の補強繊維と、これらの長手方向繊維を周方向で取り囲む周方向繊維としての少なくとも1つの補強繊維とが、繊維層として、ポリマー層内に埋め込まれれば、本発明による利点は特に良好に満たされる。何故ならば、1つの繊維層によって、特に良好に局所的な過負荷を吸収することができるからである。
【0027】
少なくとも1つのポリマー層の材料の透過率が、50%~90%、さらには100%まで、好適には50%~75%であると、本発明による利点が特に良好に得られ、好適には、少なくとも1つのポリマー層の材料の透過率は、補強構造体の材料の透過率よりも高く、好適には補強構造体の透過率の1.1~1.5倍よりも高い。
【0028】
本発明による利点は、プレスカバーが、好適には半径方向で互いに重ねられて配置された複数のポリマー層から構成されているならば特に良好に達成される。2つのポリマー層が設けられている場合には、半径方向内側のポリマー層が、本発明による補強構造体を有している。これは、補強構造体が、半径方向最も内側のポリマー層にのみ配置されているという意味である。3つ以上のポリマー層が設けられている場合には、補強構造体は好適には下から2番目のポリマー層内に配置されていて、すなわち、半径方向最も内側のポリマー層の半径方向上側に位置するポリマー層に配置されている。
【0029】
本発明は、繊維材料ウェブを脱水するためのシュープレスのための、シュープレスロールのようなプレスロールであって、少なくとも1つの本発明によるプレスカバーを有しているプレスロールにも関する。
【0030】
本発明はさらに、繊維材料ウェブを、好適にはペーパーウェブ、厚紙ウェブ、薄紙ウェブ、またはパルプウェブを脱水するためのシュープレスであって、ニップを共に形成または画定しているプレスロールと対向ロールとを含み、プレスロールは、周方向で取り囲むプレスカバーを含んでいて、このプレスカバーが、本発明により形成されている、シュープレスに関する。
【0031】
最後に本発明は、繊維材料ウェブを、好適にはペーパーウェブ、厚紙ウェブ、薄紙ウェブ、またはパルプウェブを脱水するためのシュープレスのようなプレスのための、本発明によるプレスカバーの使用に関する。
【0032】
本発明を以下に、図面を参照しながら、普遍性を限定することなく詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施例によるプレスカバーを備えたシュープレスを部分的に断面して示す概略的な側面図である。
図2a】プレスカバーの長手方向軸線を通る断面図で見た、プレスカバーの実施形態を示す図である。
図2b】プレスカバーの長手方向軸線を通る断面図で見た、プレスカバーの実施形態を示す図である。
図3】プレスカバーを製作するための装置を極めて概略的に示す側面図である。
【0034】
図1には、シュープレス10が、部分的に断面された概略的な側面図で示されており、シュープレスは、この場合、シュープレスロール12のような本発明によるプレスロールと、対向ロール14とを含む。シュープレスロール12と対向ロール14とは、それらの長手方向軸線に関して互いに平行に配置されている。シュープレスロールと対向ロールとは共にニップ22を形成または画定している。
【0035】
この実施形態では、対向ロール14は、長手方向軸線を中心として回転する円筒状に形成されたロールから成っており、シュープレスロール12は、シュー16と、このシューを支持する定置のヨーク18と、プレスカバー20とから構成されている。シュー16とヨーク18とは、対向ロール14もしくはプレスカバー20に関して固定されて配置されている。つまり、シューとヨークとは回転しないという意味である。この場合、シュー16は、ヨーク18によって支持されて、液圧プレスエレメント(図示せず)を介して、このシューに対して相対的に回転するプレスカバー20の半径方向最も内側の表面に押し付けられる。シュー16とヨーク18とを周方向で取り囲むプレスカバー20は、その長手方向軸線を中心として、この場合、対向ロール14とは逆の回転方向で回転する。シュー16が、対向ロール14に面した側で凹状に形成されていることにより、比較的長いニップ22が生じる。
【0036】
シュープレス10は特に、繊維材料ウェブ24からの脱水に適している。シュープレスの作動時には、1つまたは2つのプレスフェルト26,26’を伴う繊維材料ウェブ24が、プレスギャップ22を通るようにガイドされる。この場合、その間に繊維材料ウェブ24をサンドイッチ状に保持しているちょうど2つのプレスフェルト26,26’が用いられる。ニップ22を通る際に、ニップ22では、繊維材料ウェブ24にプレスフェルト26,26’を介して間接的に圧力が加えられる。これは、一方では対向ロール14の半径方向最も外側の表面が、そしてプレスカバー20の半径方向最も外側の表面が、直接に相応のプレスフェルト26,26’に接触することにより行われる。繊維材料ウェブ24から流出する液体は、プレスフェルト26,26’によって、かつプレスカバー表面に場合によっては設けられる凹部(図示せず)によって、一時的に受容される。プレスカバー20の凹部に受容された液体は、ニップ22から出た後、プレスカバー20が再度プレスギャップ22内に進入する前に放出される。さらに、プレスフェルト26,26’によって吸収された水は、プレスギャップ22から出た後に、サクションエレメントによって除去することができる。
【0037】
本発明の図示されていない別の実施形態では、プレスフェルト26,26’を省くことができる。このような場合には、繊維材料ウェブ24は、一方ではプレスカバー20に、他方では対向ロール14に直接接触しており、これらは共に1つのプレスニップを形成している。この場合、対向ロールは、加熱式の乾式シリンダとして形成されていてもよい。
【0038】
図1に示したプレスカバーは、本発明によれば、以下の図面に示すように形成することができる。
【0039】
図2aおよび図2bには、本発明の異なる実施形態により製作されたプレスカバー20の長手方向軸線20’を通る、正確な縮尺ではない部分的な断面図が示されている。プレスカバー20の相応のポリマー層の半径方向最も内側の表面までの長手方向軸線20’の間隔も正確な縮尺で示されてはいない。
【0040】
図2aによれば、ちょうど2つのポリマー層が、すなわち第1のポリマー層20.1と第2のポリマー層20.2とが設けられている。この場合、第1のポリマー層20.1は同時に、プレスカバー20の半径方向最も外側のポリマー層でもある。これに対し、第2のポリマー層20.2は同時に、プレスカバー20の半径方向最も内側のポリマー層でもある。両ポリマー層20.1,20.2は、半径方向で見て互いに直接隣接していて、すなわちこれら両層の間には中間層は存在していない。
【0041】
図示したように、第2のポリマー層20.2内には、補強構造体20’’を設けることができる。この場合、この補強構造体は、ポリマー層20.2内に完全に埋め込まれている。これは、斜線で示された円により示されており、繊維製の面状構造体もしくは繊維のような線状の構造体であってもよい。これは、補強構造体20’’が、ポリマー層20.2の境界部を越えて延在していないことを意味する。
【0042】
補強構造体20’’は、この場合、長手方向繊維21.1として用いられる複数の補強繊維21を含んでいる。これらの補強繊維は、プレスカバー20の長手方向で、プレスカバーの周囲にわたって、互いに間隔を置いて、互いに平行に延在するように配置されている。付加的に、この場合、少なくとも1つの別の補強繊維21が周方向繊維21.2として設けられており、この周方向繊維は好適には、長手方向繊維21.1も配置されている同じポリマー層20.1,20.2,20.3の内側で、プレスカバーの周方向で螺線状に延在している。長手方向繊維21.1と、周方向繊維21.2とは共に1つの繊維層を形成しており、すなわちこの場合、プレスカバー20の長手方向軸線20’を基準として見て、長手方向繊維21.1は、少なくとも1つの周方向繊維21.2の半径方向内側に配置されている。
【0043】
この場合、第1および第2のポリマー層20.1,20.2はポリウレタンから製作されている。ポリウレタンは、例えば、プレポリマーと架橋剤とから得られる。各プレポリマー自体は、イソシアネートとポリオールとの反応により得られる。
【0044】
図2bには、図2aとは異なる3層のプレスカバーが示されている。このプレスカバーは、この場合、半径方向最も外側の第1のポリマー層20.1と、半径方向最も内側の第3のポリマー層20.3と、これら両ポリマー層の間にサンドイッチ状に配置された第2のポリマー層20.2とを含んでいる。配置は、図2aの図示における場合も同様に、プレスカバー20の長手方向軸線20’から、プレスカバーの半径方向で見た場合を基準としている。この場合、第2のポリマー層20.2内にのみ、(唯1つの)補強構造体20’’が設けられている。勿論、これは異なる構成であってもよく、代替的にまたは付加的に、このような補強構造体20’’が、第1のポリマー層20.1および/または第3のポリマー層20.3内に配置されていてもよい。図2aの補強構造体20’’について説明したことは、同様に当てはまる。
【0045】
少なくとも1つのポリマー層20.1,20.2,20.3のポリウレタンがもしくは全てのポリマー層のポリウレタンが、補強構造体20’’の材料よりも透過性であるように選択されていると、本発明による利点が特に良好に実施されることが示された。すなわち換言すると、補強構造体20’’の材料と、少なくとも1つのポリマー層20.1,20.2,20.3の材料とは、可視光に対するそれぞれの透過率が互いに異なっていて、好適には、少なくとも1つのポリマー層20.1,20.2の材料の透過率は、補強構造体20’’の材料の透過率よりも高くなるように選択されている。
【0046】
図3は、本発明によるプレスカバー20を製作するための装置を著しく概略的な側面図で示している。この装置はこの場合、ちょうど1つの円筒状の巻き付けマンドレル4を有していて、このマンドレルの半径方向最も外側の周面上に、例えば出発材料20’’’が螺線状に取り付けられる。出発材料20’’’は、ポリマー内に埋め込まれた後、本発明により製作されるプレスカバー20の補強構造体20’’を形成する。
【0047】
図面は、製作方法の出発段階を示している。この場合、このために、出発材料20’’’の一方の端部は、巻き付けマンドレル4の外周面に配置されているポリマーに取り付けられている。図示された概略図とは別に、出発材料20’’’の一方の端部は、直接、すなわち、最初に出発材料20’’’と巻き付けマンドレル4との間にポリマーを設けることなく、巻き付けマンドレル4上に直接、載置されてもまたは取り付けられてもよい。この場合、出発材料20’’’は、繊維製の面状構造体または線状の構造体であってもよい。
【0048】
巻き付けマンドレル4は、製作すべきプレスカバーの長手方向軸線に相当する長手方向軸線20’を中心として回転可能に支持されている。この場合、長手方向軸線20’は、図平面内に垂直に延在している。注ぐことのできる硬化性のエラストマーのポリマー、例えばポリウレタンのようなキャスト材料が、管路5を介してキャスティングノズル6を通して上方から、巻き付けマンドレル4の半径方向最も外側の周面上へと、もしくは出発材料20’’’上へと与えられる。このようなキャスト材料は、注ぐ際に、巻き付けマンドレル4から下方に流れ落ちることのないように、例えばその滴下時間および粘性を選択することができる。その間、巻き付けマンドレル4は、長手方向軸線を中心として矢印方向で回転している。この回転と同時に、キャスティングノズル6は、図3にはさらには示されていない適切なガイドを介して、巻き付けマンドレル4に沿って相対的に、長手方向軸線20’に対して平行に長手方向軸線に沿ってガイドされる。キャスト材料を表面に注ぐと同時に、出発材料20’’’が繰り出され、回転している巻き付けマンドレル4上に巻き付けられて螺旋を形成する。この場合、キャスト材料は出発材料20’’’を通過して、巻き付けマンドレル4まで到ることができる。ポリマーは、この例では、硬化のステップ後に、半径方向最も内側の、かつ好適にはエラストマーのポリマー層を形成し、この層は、図2aのプレスカバーのポリマー層20.2に相当し、これについては図3では一部のみが示されている。
【0049】
キャスティングノズル6から流出するキャスト材料は、この場合、プレポリマーと架橋剤とから成る混合物である。プレポリマーは、プレポリマーが貯蔵または攪拌されるプレポリマー容器(図示せず)から提供される。プレポリマーは、本発明によるイソシアネートとポリオールとの反応生成物である。プレポリマー容器内には、プレポリマーが、例えば、今述べた材料から成るプレポリマーとして、存在していてもよい。
【0050】
架橋剤は、架橋剤容器内に準備されていてもよい。
【0051】
プレポリマー容器および架橋剤容器は、プレスカバー20を製作するための装置に配属されている。これらの容器は、同じく図示されていない管路を介して流れを案内するように、流れ方向でキャスティングノズル6の上流側に接続された混合室(図示せず)に、接続されている。プレポリマー・架橋剤混合物は、すなわち、上流で、キャスティングノズル6の外側で製作され、すなわち混合室内で混合される。混合物の製作とは独立して、次いで混合物は、巻き付けマンドレル4の表面に、プレスカバー20の少なくとも1つのポリマー層の形成のために塗工される。
【0052】
原則的には、2つ以上のキャスティングノズル6が設けられていることも考えられる。複数のキャスティングノズル6に、互いに独立的に異なるポリマーも供給するために、これらのキャスティングノズル6は、相応の管路を介して、別個のポリマー容器および架橋剤容器に接続されていてもよい。この場合、キャスティングノズル6は、プレスカバー20の長手方向軸線に沿って互いに間隔を置いて配置されていてもよく、これにより、これらのキャスティングノズル6からポリマーを同時に塗工することにより、複数のポリマー層20.1,20.2,20.3を1度のキャスティングで同時に製作することができる。
【0053】
すなわち、回転注型としても公知のこのような連続的な注ぎ工程により、巻き付けマンドレル4の幅にわたって、徐々に、長手方向軸線20’を中心として閉じられた円筒状の無端のプレスカバー20が製作され、このプレスカバーの内周面は実質的に巻き付けマンドレル4の外周面に相当する。
【0054】
基本的には、図3に示された1つの巻き付けマンドレル4よりも多数の巻き付けマンドレル上に、出発材料20’’’を巻き付けることも考えられる。例えば、長手方向軸線に関して平行に、互いに間隔を置いて配置することができる2つの巻き付けマンドレルを設けることができる。代替的に、巻き付けマンドレル4の半径方向内側の周面上にもポリマーを、例えば遠心分離の形式で塗工することも考えられる。上述した実施形態にかかわらず、製作されたプレスカバー20は、最終的に、少なくとも1つの巻き付けマンドレル4から取り外される。
【0055】
図3に示したように、本発明によるプレスカバー20は形成される。
【0056】
図示されてはいないが、少なくとも1つのポリマー層20.1,20.2の補強構造体20’’は、半径方向で上下に重ねられた、プレスカバー20のそれぞれ長手方向軸線の方向および周方向で延在する出発材料20’’’から構成されてもよい。
図1
図2a
図2b
図3