(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】二重検証レンズを備えたセキュリティドキュメント
(51)【国際特許分類】
B42D 25/351 20140101AFI20230517BHJP
B42D 25/24 20140101ALI20230517BHJP
B42D 25/342 20140101ALI20230517BHJP
【FI】
B42D25/351
B42D25/24
B42D25/342
(21)【出願番号】P 2021562043
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2020060049
(87)【国際公開番号】W WO2020212230
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-11-17
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519283417
【氏名又は名称】タレス ディアイエス フランス エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】トニ カスキアラ
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】カナダ国特許出願公開第02294755(CA,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0096026(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02548643(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0186166(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/02
B42D 25/00-25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシートと、
前記第1のシートに接触して配置され得るように片側に沿って前記第1のシートに接続され、透視部を有する第2のシートと、
前記透視部内に位置し、第1の検証特徴に対応した第1の検証レンズと、
前記透視部内に前記第1の検証レンズに隣接する層として前記第1の検証レンズとともに配置され、第2の検証特徴に対応した第2の検証レンズと、を備える複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項2】
片側に沿って前記第1及び第2のシートに接続され、前記第2のシートに隣接して存在する第3のシートをさらに備え、
前記第1の検証特徴が、前記第2のシートに隣接する前記第3のシート側の前記第3のシート上に位置する第4のページに位置し、前記第1の検証レンズが復号レンズであり、前記第1の検証特徴が、前記透視部が前記第4のページに印刷された第1の画像の上方に置かれたときに、前記第1の検証特徴が前記第1の検証レンズによって明らかにされるように、前記第1の画像内に位置する第1の隠し情報であり、
前記第2の検証特徴が、前記第2のシートに隣接する側の前記第1のシート上に位置する第1のページに位置し、前記第2の検証レンズが復号レンズであり、前記第2の検証特徴が、前記透視部が前記第1のページに位置する第2の画像の上方に置かれたときに、前記第2の検証レンズによって明らかにされるように、前記第2の画像内に位置する第2の隠し情報である、請求項1に記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項3】
前記複数ページセキュリティドキュメントが、前記第1のシート上に位置し、前記第2のシートに隣接する第1のページと、前記第2のシート上に位置し、前記第1のシートに隣接する第2のページと、前記第2のシート上に位置する、前記第2のページの反対側の第3のページと、前記第3のシート上に位置し、前記第2のページに隣接する第4のページとを少なくとも備え、
前記第1の検証特徴が、前記透視部が前記第1のページに印刷された第2の画像の上方に置かれたときに、前記第1の検証特徴が前記第1の検証レンズによって明らかにされるように、前記第2の画像内に位置する第1の隠し情報であり、
前記第2の検証特徴が、前記透視部が前記第2の画像の上方に置かれたときに、前記第2の検証レンズによって明らかにされるように、前記第2の画像内に位置する第2の隠し情報である、請求
項2に記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項4】
前記第2の検証特徴が、前記透視部が前記第2の画像の上方に置かれたときに、前記第2の検証特徴が前記第2の検証レンズにより生成されたモアレ拡大によって拡大されるように、前記第2の画像内に位置するモアレベース層である、請求項
2又は3のいずれかに記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項5】
前記複数ページセキュリティドキュメントが、前記第1のシート上に位置し、前記第2のシートに隣接する第1のページと、前記第2のシート上に位置し、前記第1のシートに隣接する第2のページと、前記第2のシート上に位置する、前記第2のページの反対側の第3のページと、前記第3のシート上に位置し、前記第3のページに隣接する第4のページとを少なくとも備え、
前記第1の検証特徴が、前記透視部が前記第4のページに印刷された第1の画像の上方に置かれたときに、前記第1の検証特徴が前記第1の復号レンズによって明らかにされるように、前記第1の画像内に位置する第1の隠し情報であり、
前記第2の検証特徴が、前記第2の検証レンズを通して見える少なくとも1つの部分的画像のアレイを、部分的画像の各アレイが前記部分的画像の各アレイと関連付けられた特定の視野角で1つの完全画像として見られるように含む、請求項
2乃至4のいずれかに記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項6】
前記少なくとも1つの部分的画像のアレイが、異なる視野角で見える少なくとも2つの部分的画像のアレイを含むことによって、前記セキュリティドキュメントの傾斜を通じて、少なくとも2つの画像の表示切替が可能になる、請求項5に記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項7】
部分的画像の第1のアレイが、第1のレンズを通して第1の視野角で見え、部分的画像の第2のアレイが、前記第2の検証レンズ内に含まれ、第2の視野角で見える、請求項5に記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項8】
前記第1の復号レンズが平行なレンチキュールからなるレンチキュラーレンズであり、前記第2の復号レンズが平行なレンチキュールからなるレンチキュラーレンズであり、前記第1の復号レンズの前記レンチキュールの向きが、前記第2の復号レンズの前記レンチキュールの向きに対して少なくとも10度回転された、請求項
2乃至7のいずれかに記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項9】
少なくとも前記第1又は第2の復号レンズが非線状レンチキュールを有するレンチキュラーレンズである、請求項
2乃至7のいずれかに記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項10】
前記第1の復号レンズが、前記第1の隠し情報を復号するための第1の最適距離を有し、前記第2の復号レンズが、前記第2の隠し情報を復号するための第2の最適距離を有し、前記第1の復号レンズが、前記第1のシートと前記第2のシートとが前記第1の最適距離だけ開いているときに前記第1のシートから前記第1の最適距離にあり、前記第2の復号レンズが、前記第1のシートと前記第2のシートとが互いにぴったりくっついているときに前記第1のシートから前記第2の最適距離にある、請求項
2乃至9のいずれかに記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項11】
前記第1の復号レンズ又は前記第2の復号レンズが、前記第1のシートの表面と同一平面をなす、請求項
2乃至10のいずれかに記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項12】
前記第1及び第2の復号レンズの少なくとも一方が、前記第1のシートの表面と同一平面をなさない、請求項
2乃至11のいずれかに記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項13】
前記隠し情報が、凹版、オフセット、シルクスクリーン、又はインクジェットなどの印刷技術を用いて前記第2の画像内に配置された、請求項
2乃至12のいずれかに記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項14】
前記隠し情報が、可視光で見えるインク、蛍光インク、赤外線透過インク、又は赤外線吸収インクを用いて前記第2の画像内に印刷された、請求項
2乃至13のいずれかに記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項15】
前記第1及び第2の検証レンズが、透明であるか又は少なくとも半透明である、請求項
2乃至14のいずれかに記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【請求項16】
前記透視部内に位置する第3の透明層をさらに備えた、請求項
2乃至15のいずれかに記載の複数ページセキュリティドキュメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してセキュリティドキュメントのセキュリティ特徴に係り、より具体的には、隠し情報を明らかにするための検証レンズを有する透視部を備えたセキュリティドキュメントに関する。
【背景技術】
【0002】
複数ページセキュリティドキュメントが、画像内に隠し情報を含むことがある。この隠し情報は、隠し情報の上に置かれる復号レンズを使用して明らかにされることがある。
【0003】
セキュリティドキュメントを精査する人、例えば入国審査を通じて旅行者を調べる審査官は非常に忙しいことが多く、セキュリティドキュメントに組み込まれたセキュリティ特徴の全てを見る時間があまりないことがある。通常、精査する人は、最初にドキュメントの所持者を特定する情報が記載されたデータページを見る。したがって、ドキュメントのどのページが見られているにしても、精査する人が特定のセキュリティ特徴を利用できないことはドキュメントの欠点である。
【0004】
以上のことから、復号レンズを提供する窓が、窓の両側から隠し情報を明らかにし得る、改良されたセキュリティドキュメントが必要であることは明らかである。
【発明の概要】
【0005】
複数ページセキュリティドキュメントが、透視部内に位置し、第1の検証特徴に対応した第1の検証レンズと、透視部内に第1の検証レンズに隣接する層として第1の検証レンズとともに配置され、第2の検証特徴に対応した第2の検証レンズとを有する。複数ページセキュリティドキュメントは、第1のシートと、第1のシートに接触して配置され得るように片側に沿って第1のシートに接続され、透視部を有する第2のシートとを含む。
【0006】
ある実施形態では、複数ページセキュリティドキュメントは、片側に沿って第1及び第2のシートに接続され、第2のシートに隣接して存在する第3のシートを含む。このような実施形態では、第1の検証特徴は、第2のシートに隣接する第3のシート側の第3のシート上に位置する第4のページに位置し、第1の検証レンズは復号レンズであり、第1の検証特徴は、透視部が第4のページに印刷された第1の画像の上方に置かれたときに、第1の検証特徴が第1の検証レンズによって明らかにされるように、第1の画像内に位置する第1の隠し情報であり、第2の検証特徴は、第2のシートに隣接する側の第1のシート上に位置する第1のページに位置し、第2の検証レンズは復号レンズであり、第2の検証特徴は、透視部が第1のページに位置する第2の画像の上方に置かれたときに、第2の検証レンズによって明らかにされるように、第2の画像内に位置する第2の隠し情報である。
【0007】
ある実施形態では、複数ページセキュリティドキュメントは、第1のシート上に位置し、第2のシートに隣接する第1のページと、第2のシート上に位置し、第1のシートに隣接する第2のページと、第2のシート上に位置する、第2のページの反対側の第3のページと、第3のシート上に位置し、第2のページに隣接する第4のページとを少なくとも含む。このような実施形態では、第1の検証特徴は、透視部が第1のページに印刷された第2の画像の上方に置かれたときに、第1の検証特徴が第1の検証レンズによって明らかにされるように、第2の画像内に位置する第1の隠し情報であり、第2の検証特徴は、透視部が第2の画像の上方に置かれたときに、第2の検証レンズによって明らかにされるように、第2の画像内に位置する第2の隠し情報である。
【0008】
ある実施形態では、第2の検証特徴は、透視部が第2の画像の上方に置かれたときに、第2の検証特徴が第2の検証レンズにより生成されたモアレ拡大によって拡大されるように、第2の画像内に位置するモアレベース層である。
【0009】
ある実施形態では、複数ページセキュリティドキュメントは、第1のシート上に位置し、第2のシートに隣接する第1のページと、第2のシート上に位置し、第1のシートに隣接する第2のページと、第2のシート上に位置する、第2のページの反対側の第3のページと、第3のシート上に位置し、第3のページに隣接する第4のページとを少なくとも含む。このような実施形態では、第1の検証特徴は、透視部が第4のページに印刷された第1の画像の上方に置かれたときに、第1の検証特徴が第1の復号レンズによって明らかにされるように、第1の画像内に位置する第1の隠し情報であり、第2の検証特徴は、第2の検証レンズを通して見える少なくとも1つの部分的画像のアレイを、部分的画像の各アレイが部分的画像の各アレイと関連付けられた特定の視野角で1つの完全画像として見られるように含む。
【0010】
ある実施形態では、少なくとも1つの部分的画像のアレイは、異なる視野角で見える少なくとも2つの部分的画像のアレイを含むことによって、セキュリティドキュメントの傾斜を通じて、少なくとも2つの画像の表示切替が可能になる。このような実施形態の一態様では、部分的画像の第1のアレイは、第1のレンズを通して第1の視野角で見え、部分的画像の第2のアレイは、第2の検証レンズ内に含まれ、第2の視野角で見える。
【0011】
一実施形態では、第1の復号レンズは平行なレンチキュールからなるレンチキュラーレンズであり、第2の復号レンズは平行なレンチキュールからなるレンチキュラーレンズであり、第1の復号レンズのレンチキュールの向きは、第2の復号レンズのレンチキュールの向きに対して少なくとも10度回転されている。別の実施形態では、少なくとも第1又は第2の復号レンズは非線状レンチキュールを有するレンチキュラーレンズである。
【0012】
一態様では、第1の復号レンズは、第1の隠し情報を復号するための第1の最適距離を有し、第2の復号レンズは、第2の隠し情報を復号するための第2の最適距離を有し、第1の復号レンズは、第1のシートと第2のシートとが第1の最適距離だけ開いているときに、第1のシートから第1の最適距離にあり、第2の復号レンズは、第1のシートと第2のシートとが互いにぴったりくっついているときに第1のシートから第2の最適距離にある。
【0013】
一実施形態では、第1の復号レンズ又は第2の復号レンズは、第1のシートの表面と同一平面をなす。代替的な態様では、第1及び第2の復号レンズの少なくとも一方は、第1のシートの表面と同一平面をなさない。
【0014】
一実施形態では、隠し情報は、凹版、オフセット、シルクスクリーン、又はインクジェットなどの印刷技術を用いて第2の画像内に配置される。代替例では、隠し情報は、可視光で見えるインク、蛍光インク、赤外線透過インク、又は赤外線吸収インクを用いて第2の画像内に印刷される。
【0015】
ある態様では、第1及び第2の検証レンズは、透明であるか又は少なくとも半透明である。
【0016】
ある実施形態では、複数ページセキュリティドキュメントは、透視部内に位置する第3の透明層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】複数ページセキュリティドキュメント、例えばパスポート冊子の図。
【
図2】a及びbは、
図1の複数ページセキュリティドキュメントの異なる可能な見開きページの図。
【
図3】セキュリティ特徴シートの、
図2bの線a-aに沿って見た断面図。
【
図4】a及びbは、2つの異なる見開きページに開かれた複数ページセキュリティドキュメントの図。
【
図5a】透明窓に復号レンズを、第4のページに関連写真を含む、複数ページセキュリティドキュメントのセキュリティ特徴シートの表ページ及び第4のページをより詳細に示す図。
【
図5b】、 透明窓に復号レンズを、第1のページに関連画像を含む、複数ページセキュリティドキュメントのセキュリティ特徴シートの裏ページ及び第1のページをより詳細に示す図。
【
図6】第1の復号レンズによって復号された関連写真内の隠し情報を明らかにする、第4のページに接触して置かれたセキュリティ特徴シートの図。
【
図7】
図6からの、明らかにされた隠し情報の拡大図。
【
図8】a及びbは、
図4の複数ページセキュリティドキュメントの表紙内側の代替的な図。
【
図9】第1及び第2の復号レンズによって復号されたときの表紙内側の画像内の隠し情報を明らかにする、複数ページセキュリティドキュメントの表紙内側に接触して置かれた
図4のセキュリティ特徴シートの図。
【
図10】
図9からの、明らかにされた隠し情報の拡大図。
【
図11】a及びbは、復号レンズの復号材料が互いに対して回転されていることを示す2つの復号レンズの図。
【
図12】正弦波レンチキュールのアレイから構成され、代替的な実施形態において、例えば
図2の第1又は第2の復号レンズとして使用され得る代替的なレンチキュラーレンズの図。
【
図13】表紙とセキュリティ特徴ページの間が少し開いている、
図3の複数ページセキュリティドキュメントの断面図。
【
図14】セキュリティ特徴ページが表紙内側にぴったりくっついた、
図3の複数ページセキュリティドキュメントの断面図。
【
図15】セキュリティ特徴ページに隣接し、表紙内側のページに対して反対側のページにある画像内に配置された追加の隠し情報を示す、
図6に対応する図。
【
図16】セキュリティ特徴ページに隣接し、表紙内側のページに対して反対側のページにある画像内に配置された追加の隠し情報を示す、
図7に対応する図。
【
図17】
図4のパスポート冊子の表紙内側からの明らかにされた隠し情報の代替的な例を示す図。
【
図18】
図1のセキュリティ物品に対応するセキュリティ物品が、異なる画像を見るために異なる角度に傾斜されることがあることを示す側面図。
【
図19a】異なる角度から見たときの、シートの復号レンズに形成された合成画像の例を示す、複数ページセキュリティドキュメントのシートの1つのセクションの平面図。
【
図19b】異なる角度から見たときの、シートの復号レンズに形成された合成画像の例を示す、複数ページセキュリティドキュメントのシートの1つのセクションの平面図。
【
図19c】異なる角度から見たときの、シートの復号レンズに形成された合成画像の例を示す、複数ページセキュリティドキュメントのシートの1つのセクションの平面図。
【
図20】a~dは、
図18のセキュリティドキュメントの断面図のグラフィック模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明において、例示により、本発明が実施され得る特定の実施形態を示す添付図面が参照される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように十分詳細に記載される。異なっていたとしても、本発明の様々な実施形態は必ずしも互いに排他的ではないことは理解されるべきである。例えば、一実施形態と関連して本明細書に記載される特定の特徴、構造、又は特性は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、他の実施形態において実現されることがある。加えて、開示される各実施形態の範囲内の個別要素の位置又は配置は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく変更され得ることは理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で受け取られるべきではなく、本発明の範囲は、請求項が権利を得ることができる全範囲の同等物とともに、適切に解釈された、添付の請求項によってのみ定義される。図面において、類似の番号はいくつかの図を通して同じか又は類似の機能を指す。
【0019】
図1は、本明細書において、それぞれ第1のシート105、第2のシート107、及び第3のシート109と呼ばれる3つの連続シートを有する複数ページ本人確認ドキュメント101の図である。各シートは表ページ及び裏ページを有する。シート105~109は、綴じ具103を使用して片側に沿って綴じ合わせられる。したがって、3つの連続シートは、
図2a及び2bからなる
図2にそれぞれ示されるような、可能性のある2つの見開きページに開かれることがある。
・ページ1/ページ2の見開きページ: ページ1は第1のシート105の裏ページ202であり、ページ2は第2のシート107の表ページ204
・ページ3/ページ4の見開きページ: ページ3は第2のシート107の裏ページ206であり、ページ4は第3のシート109の表ページ208
【0020】
第2のシート107は透視部219を含む。透視部219は、窓、すなわち
図2a及び2bに示されるような、第2のシート107の一部分をカバーするエリアであるか、第2のシート107全体であるか、又は第2のシート107の任意の一部、例えば、第2のシート107の一縁部から始まり中心境界線まで連続する領域である場合がある。
【0021】
第4のページ208は、第1の画像221を含み、第1のページ202は第2の画像223を含んでいる。具体例に関連して以下でより詳細に説明されるように、第1の画像221は、複数ページセキュリティドキュメント101がページ1/ページ2の見開きページ(
図2a)に開いているときに、第1の画像221が透視部219から少なくとも部分的に見えるように、第4のページ208に位置する。逆に、第2の画像223は、複数ページセキュリティドキュメント101がページ3/ページ4の見開きページ(
図2b)に開いているときに、第2の画像223が透視部219から少なくとも部分的に見えるように、第1のページ202に位置する。
【0022】
図3により詳しく示されているように、透視部219は、第1の検証レンズ233及び第2の検証レンズ235によって覆われ、第1の検証レンズ233及び第2の検証レンズ235は、第1の検証レンズ233が第2のページ204側の透視部を覆い、第2の検証レンズ235が第3のページ206側の透視部を覆うように上下に位置する。検証レンズ233及び235のそれぞれは透明であるか、又は少なくとも半透明である。
【0023】
透視部219は、1つ以上の追加の透明(又は少なくとも半透明)層(図示せず)を含むことがある。これらの層にはカバーフィルム及びスペーサが含まれる。
【0024】
検証レンズ233及び235のそれぞれは何らかの検証情報に対応する。一実施形態では、検証レンズは何らかの形の隠し情報を明らかにするのに使用される。これは、画像に埋め込まれている情報の復号による場合と、モアレベース層として隠され、他の形では見えないモアレパターンを明らかにするモアレ拡大デバイスとして検証レンズが使用される場合のモアレ効果による場合とがある。
【0025】
第1の画像221及び第2の画像223はいずれも肉眼では見えない隠し情報を含む。ただし、第1の画像221の隠し情報は、少なくとも第1の復号レンズ233によって復号され、第2の画像223の隠し情報は、少なくとも第2の復号レンズ235によって復号される。図では、各第1及び第2の画像221及び223の隠し情報は、第2のシート107が画像を含むページにぴったり重なるか又は近接して置かれたときに画像221/223から最も遠く離れている復号レンズ233/235によって復号される。代替的な実施形態では、特定の画像の隠し情報は、画像に最も近い復号レンズによって復号される。
【0026】
第1の画像221内及び第2の画像223内に情報を隠し、隠した情報を対応する符号化レンズを使用して復号することは、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、Juratrade Limitedに譲渡され、Koltaiらに付与された米国特許第6,104,802号に記載の技術を用いて行われることがある。
【0027】
代替的な実施形態では、検証レンズ233及び235のうち少なくとも一方はモアレ拡大デバイスである。
【0028】
さらに別の代替的な実施形態では、検証レンズ233及び235のうち少なくとも一方は、上記検証レンズ233及び235の他方を通してそれぞれ見たときに、合成画像として現れる部分的画像を含む。
【0029】
図3は、複数ページセキュリティドキュメント101がページ3/ページ4の見開きページに開いている、逆に言うと、第2のシート107が第1のシート105に極めて接近しているか又はぴったり重なっているときの、
図2bの線a-aに沿った第1のシート105及び第2のシート107の断面図である。透視部219は、第2のシート107の全断面を貫通する。第1の復号レンズ233は、第2のシート107の下面301とほぼ同一平面上に位置付けられ、下面301は第2のシート107の表側に印刷された第2のページ204に対応する。第2の復号レンズ235は、第1の復号レンズ233の上方に位置し、第2のシート107の上面303とほぼ同一平面上に位置付けられ、上面は第3のページ206に対応する第2のシート107の裏面に対応する。
【0030】
レンズ対233/235は、少なくとも第2の画像223の一部分の上方に位置する。したがって、ページ206を見る人は、レンズ対233/235を通して第2の画像223を見ることになる。第2の復号レンズ235が第2の画像223内の隠し情報を復号するため、第2の画像223の隠し情報は第3のページ206を見る人に明らかにされる。
【0031】
図4a及び4bからなる
図4は、複数ページ本人確認ドキュメント101、すなわちパスポート冊子401の具体例である。パスポート冊子401は、
図1及び
図2の第1のシート105に対応する表紙405、
図1及び
図2の第2のシート107に対応するセキュリティ特徴シート407を含む複数の内部シート、及びセキュリティ特徴シート407のすぐ後ろにあり、
図1及び
図2の第3のシート109に対応する第3のシート409を有し、少なくとも表紙405、セキュリティ特徴シート407、及び第3のシート409は、セキュリティ特徴シート407が表紙405と第3のシート409との間に位置するように、
図1及び
図2の綴じ具103に対応する綴じ具403を使用して綴じ合わせられる。
【0032】
図4aの例では、パスポート冊子401は、
図2のページ202に対応する表紙内側402と、機械読取旅行文書チップ、ホログラム、穿孔、及びデータページを含む多数のセキュリティ特徴を含み得る、第2のシート407の表ページ404(複数ページ本人確認ドキュメント101のページ204に対応する)とを見せるように開いている。セキュリティ特徴シート407は、パスポート冊子401の第4のページ408を見る透視窓419を有し、第4のページ408は第3のシート409の表ページである。透視窓419は、
図2の画像221に対応する、第4のページ408に位置する画像421、例えば写真と位置合わせされる。
図4aには示されていないが、画像421は肉眼では見えない隠し情報を含む。ただし、隠し情報は、第1の復号レンズ433を有するシート407が、隠し情報を含む第1の画像421を含む第4のページ408に接触して置かれるとき、第1の復号レンズ433によって明らかにされる。
【0033】
表紙内側402は、第2の画像423(
図4bではデータページ406により覆い隠されている)を含む。第2の画像423もまた、第2の画像423の隠し情報に対応する、
図4bの第2の復号レンズ435(
図4aには示されていないが、
図2及び
図3の第2の復号レンズ235に対応する)を使用して明らかにされ得る隠し情報を含む。代替的に、以下でより詳細に説明されるように、第2の画像423の隠し情報は、第1の復号レンズ433と組み合わせられた第2の復号レンズ435によって明らかにされる。
【0034】
多くの複数ページ本人確認ドキュメントにおいて、データページは、複数ページ本人確認ドキュメントを精査する人から最も注目されるページである。例えば、パスポート冊子401において、データページ406は、特定される個人の最も明瞭な写真、個人の身元を確認するために用いられ得る伝記的情報、機械可読エリア、ホログラム、及びシートが集積回路チップを含んでいることを示すアイコンを含むことがある。
【0035】
当然のことながら、透視窓419は、セキュリティ特徴シート407の裏面であるデータページ406にも存在する。しかしながら、複数ページセキュリティドキュメント401がデータページ406に開いているとき、第1の復号レンズ433は隠し情報を有する第1の画像421上に配置されない。したがって、第1の画像421の隠し情報が重要なセキュリティ特徴であるとしても、そのセキュリティ特徴は、データページ406を見ながら複数ページセキュリティドキュメント401を検査する人には見えないことになる。しかしながら、透視窓419は、セキュリティ特徴シート407が表紙内側402に接触して置かれた場合に、データページ406の見晴らしの良い地点から第2の画像423の概観を提供する。そのために、セキュリティ特徴シート407は、第2の画像423に含まれた隠し情報を復号するための構造を含む第2の復号レンズ435を含む。
【0036】
第1の復号レンズ433及び第2の復号レンズ435がセキュリティ特徴シート407にあるため、第1の復号レンズ433により復号される画像は、他のシート、すなわち表紙内側402か第4のページ408になければならない。
【0037】
図5aは、透視窓419と第1の画像421とのアライメントをより明確に示す、セキュリティ特徴シート407の表ページ404及び第4のページ408のより詳細な図である。
【0038】
逆に、
図5bは、透視窓419と第2の画像423とのアライメントをより明確に示す、セキュリティ特徴シート407のデータページ406及び第1のページ402のより詳細な図である。
【0039】
図6は、画像421以外がセキュリティ特徴シート407の陰に隠れている第4のページ408に接触して置かれたセキュリティ特徴シート407の図であり、画像421は第1の復号レンズ433の後ろに見えることによって、第1の復号レンズ433によって復号された画像421内の隠し情報601を明らかにする。
図6の例では、隠し情報601は、パスポートドキュメント401の所持者の姓である。
【0040】
図7は、
図6からの、明らかにされた隠し情報601の拡大図である。第1の復号レンズ433は、画像421に隠されている隠し情報601を復号する。画像421及び隠し情報は、第1の復号レンズ433を通して透視窓419に見える。
【0041】
図8aは、
図4のパスポートの表紙内側402に対応する表紙内側802の第1の例を示す図である。
図4の例は、表紙内側402がグラフィックを含む凹版印刷ページであるのに対し、表紙内側802は、単に単調な色彩である第2の画像823を含む。第2の画像823は、第2の復号レンズ435を使用して明らかにされ得る、上記隠し情報に対応する隠し情報を含む。当然のことながら、第4のページ408にある画像421と同様に、表紙内側402は写真又はその他のグラフィックを含む場合がある。
【0042】
図8bは、第2の復号レンズ435を使用して明らかにされ得る、上記隠し情報に対応する隠し情報を含む第2の画像423を含む表紙内側402の別の例を提供する。
【0043】
第2の画像423は、オフセット印刷、凹版印刷、及びインクジェット印刷のうちの1つ以上の組み合わせによって印刷されることがある。他の印刷技術が用いられることもある。セキュリティドキュメントにおいて非常によく使われるのは、オフセット印刷と凹版印刷の組み合わせである。後者はわずかな3次元性を有する印刷要素を生成する。すなわち、凹版印刷された印刷要素に指を滑らせることによって、実際に印刷要素を感じることができる。ある実施形態では、隠し情報は凹版印刷された要素内に隠され、以下で説明される復号レンズの組み合わせによって明らかにされる。
【0044】
図9は、データページ406が開かれ、セキュリティ特徴シート107を表紙内側402に接触させて置き、第2の復号レンズ435によって復号されるときに表紙内側402の第2の画像423内の第1の隠し情報901が明らかにされるセキュリティ特徴シート407の図である。
図9の例では、隠し情報は、モアレベース層に隠された情報を明らかにするモアレ拡大デバイスの役割を果たす第2の復号レンズ435により行われたモアレ拡大によって明らかにされることがある。
【0045】
図10は、この例では復号された隠し情報が凹版パターン901からなることを示す、
図9の明らかにされた隠し情報901の拡大図である。
図10はさらに、
図9の第1の隠し情報に対応する凹版パターン901がさらに、第2の復号レンズ435により明らかにされた第2の隠し情報903a~cを含むさらなる実施形態を示している。
【0046】
上記のように、第2の隠し情報はモアレパターンである場合があり、第2の復号レンズ435はモアレ復号デバイスである。このような実施形態では、第2の隠し情報903a~cは、モアレベース層のモアレ拡大によって明らかにされる。
【0047】
図17は、
図8aに対応し、パスポート401の表紙内側にある画像823の追加の例を提供する。画像823は、第1の復号レンズ433(第2の復号レンズ435の後ろにあるため
図17では直接見えない)と第2の復号レンズ435の組み合わせを通して見たときに明らかにされる隠し情報905を含む。
【0048】
図11は、
図11a及び11bからなり、復号レンズの復号材料が互いに対して回転されていることを示す、
図2a及び2bの2つの復号レンズ233及び235の図を提供する。ある実施形態では、復号レンズ233及び235は、それぞれが平行な線形円柱レンズのアレイからなり、本明細書において個別にレンチキュールと呼ばれるレンチキュラーレンズである。レンズ233のレンチキュールの方向は、レンズ235のレンチキュールの方向に対して少なくとも10度の角度で配置される。2つのレンズが異なる向きを有することによって、第2の復号レンズ235は、第1の復号レンズ233による第1の画像221内の隠し情報の復号に干渉しない。
【0049】
代替的な実施形態は、第2の復号レンズのレンチキュールに対して第1の復号レンズのレンチキュール間のオーバーラップ量を小さくするレンチキュールの形状を選択することによって、2つの復号レンズ間の干渉を回避する。
図12は、代替的なレンチキュラーレンズ1201の図であり、レンチキュラーレンズ1201は、正弦波レンチキュールのアレイから構成され、第1の復号レンズ233又は第2の復号レンズ235として使用されることがある。第2の復号レンズ235のレンチキュールに対して第1の復号レンズ233のレンチキュールのオーバーラップを小さくする他の形状も可能であり、これらの例には同心円及びジグザグパターンが含まれる。
【0050】
複数ページセキュリティドキュメントがどの見開きページを開いているかに依存する透視部を見る方向に関係なく、復号レンズの組み合わせが、複数ページセキュリティドキュメントのページの透視部を通して隠し情報を明らかにするように動作するメカニズムが以上に説明されている。以下で説明される代替的な実施形態では、2つの復号レンズが一対となって動作して、隠し情報を含む画像を復号レンズ対を通して見るときに動的効果を提供する。
【0051】
隠し情報を明らかにすることに関連して、復号レンズと、復号レンズにより明らかにされる隠し情報を含む画像との間には最適距離がある。最適距離は、理想的には第2のシート107に等しい、復号レンズの焦点距離である。再度
図3を検討する。2つの復号レンズはわずかな距離だけ離れているため、復号レンズの両方が画像223から最適距離にあるわけではない。したがって、第2のシート107が第1のページ202の近くに移動したときに、第1の復号レンズ233はまず画像223と相互作用し、凹版パターン901を明らかにする。セキュリティ特徴シート107がより近くに、すなわち第2の復号レンズ235の最適距離内に移動したとき、第2の隠し情報903は明らかになる。
【0052】
この効果はまた、第2のシート107が第1のページ202と接触して置かれ、第1及び第2の隠し情報901及び903をそれぞれ連続して明らかにするとき、画像223が移動しているように見える可能性がある。最適距離は隠し情報が最もよく見える、すなわち最高品質であるときの距離であることが留意されるべきである。したがって、隠し情報901と903の両方は、一方が他方より明確に同時に見えることがある。
【0053】
図13は、第1のシート105と第2のシート107との間が少し開いている複数ページセキュリティドキュメント101の断面図である。この例では、第1の復号レンズ233にとっての最適距離はod
1と考え、第2の復号レンズ235にとっての最適距離はod
2と考える。第1の復号レンズ233と画像223との間の距離は距離d
1である。両レンズにとっての最適距離がいずれもおよそd
1である場合、
図13の例では、第1の復号レンズ233は画像223内の第1の隠し情報を明らかにすることになる。しかしながら、その場合、第2の復号レンズ235と画像223との間の距離e
1ははるかに大きく、おそらく2×odくらいの大きさである。したがって、第2の復号レンズにより明らかにされる第2の隠し情報は、最適には明らかにされないことになる。
【0054】
図14は、第2のシート107を第1のシート105にぴったりくっつけて配置した複数ページセキュリティドキュメント101の断面図である。この例では、2つの復号レンズにとっての最適距離は
図13の例におけるものと同じと考える。第1の復号レンズ233と画像223との間の距離は距離d
2であり、距離d
2は、ページが互いにぴったりくっついた状態で基本的に0、又は第1の復号レンズ233がセキュリティ特徴シート107の表面からオフセットされた距離である。この距離はod
1より小さい。しかしながら、第2の復号レンズ235と画像223との間の距離e
2はこれよりも大きく、理想的には第2の復号レンズにとっての最適距離od
2に等しい。したがって、ここでは第2の隠し情報903は最適に明らかにされることになる。
【0055】
図3、
図13、及び
図14は、第2のシート107の各面と同一平面のレンズ233及び235を示しているが、代替的な実施形態では、復号レンズは第2のシート107に埋め込まれるか又は第2のシート107よりも隆起している。別の代替的な実施形態では、復号レンズは、透視部219の範囲にわたって不規則なプロファイルを有することがある。
【0056】
図6及び
図7の例では、1つの隠し情報だけが復号レンズ対433/435によって明らかにされていたが、
図13及び
図14と関連して以上で説明した代替的な実施形態では、第1の画像421は2つの隠し情報項目を含むことがある。これは、
図6及び
図7にそれぞれ対応しているが、追加の隠し情報603が斜めの正方形パターンの形態をとる
図15及び
図16に示されている。したがって、この代替的な実施形態では、復号レンズ対433/435は、セキュリティ特徴シート407がどっちの画像(画像421又は画像423)に接触して置かれているかに関係なく、2つの隠し情報を明らかにする。この拡張は、
図2に示された一般的場合の代替的な実装形態に等しく適用される。
【0057】
代替的な実施形態では、隠し情報は、凹版、オフセット、シルクスクリーン、又はインクジェットなどの印刷技術を用いて第2の画像内に印刷される。
【0058】
代替的な実施形態では、隠し情報は、可視光で見えるインク、蛍光インク、赤外線透過インク、又は赤外線吸収インクを用いて第2の画像内に印刷される。
【0059】
上記のように、一実施形態では、第2の検証特徴は、第1の検証レンズに含まれ、第2の検証レンズを通して見ることにより明らかにされる一連の部分的画像である。このタイプのセキュリティ特徴は、可変レーザ画像又は多層レーザ画像(CLI/MLI)と呼ばれることがある。CLI/MLI画像は、セキュリティ物品が異なる視野角に傾くのに応じて変化する。
【0060】
図18は、
図1のセキュリティ物品101に対応するセキュリティ物品1801が、異なる画像を見るために異なる角度に傾けられることがあることを示す側面図である。
図19a~cからなる
図19は、シートの復号レンズに形成されたサンプル合成画像を示す、複数ページセキュリティドキュメント1801のシートのセクションを示す平面図である。例えば、第1の画像が角度αで見えることがある。第2の画像が角度βで見えることがある。第3の合成画像が、セキュリティ物品が水平なときに見えることがある。例えば、
図19aに示すように、第1の画像1901は所持者の署名1903である場合がある。第2の画像1905は、
図19bに示すように所持者の生年月日1907である場合がある。第3の画像1909は、
図19cに示すように所持者のカード番号1911である場合がある。セキュリティ物品1801のユーザには、合成画像は、セキュリティ物品1801が異なる角度に位置付けられるのに応じて、異なる合成画像に「切り替わっているように見える」。例えば、セキュリティ物品1801は任意の軸の周りを回転することがある。例えば、セキュリティ物品は、2つの異なる直交軸の周りを回転するか、
図18のセキュリティ物品1801の面に対して垂直な軸の周りを回転するか、又は
図18のセキュリティ物品1801の面内の軸の周りを回転することがある。回転に関係なく、ユーザの肉眼には、画像はセキュリティ物品の相対位置に応じて異なる画像に切り替わる。
【0061】
図20aは、
図18のセキュリティドキュメント1801の断面図である。(
図3の第2の検証レンズ235に対応する)第2の検証レンズ2235は、第2のシート1807の厚さより短い焦点距離を有する縦レンズのアレイ2237である。代替的な実施形態では、異なるレンズ形状、例えば円形レンチキュラーレンズ、微小球などが採用されることがある。
【0062】
第1のシート1805に位置する画像エリア2218は、レンズ2235/2233の組み合わせによって複数の傾斜角度でレーザマークされて、縦レンズ2237に一致する複数の画像ストリップを生成することがある。
【0063】
したがって、
図20aの実施形態に示すように、3つの異なる画像に対応する画像アレイ2218が、レンズ2235/2233の組み合わせによって3つの異なる角度で第1のシート1805に記録される。逆に、特定の記録角度に対応する傾斜角度でレンズ対2233/2235を通して見るとき、関連付けられた画像が見える。
【0064】
図20bでは、第1の画像、例えば所持者の署名1903が、第1の角度、例えば、第1の傾斜角度αに対応する、第1のシート1805及び第2のシート1807の面に対するある角度で記録される。
図20cでは、第2の画像、例えば所持者の生年月日1907が、第1のシート1805及び第2のシート1807の面に対して実質的に垂直に記録される。
図20dでは、第3の画像、例えばドキュメントカード番号1911が、第2の傾斜角度βに対応する角度で記録される。
【0065】
1つのレンズによってではあるが、MLI/CLI画像を記録するためのメカニズムは、Beckerらに付与された米国特許第4,765,656号に記載されている。
【0066】
第1の画像221や第2の画像223内に印刷されるか、又は第1のレンズ233内に部分的画像のアレイとして配置される隠し情報は、一連のセキュリティドキュメントの作成中に追加されることがあるため、パーソナライズされないことになる。その場合、隠し情報は、ロゴ、国家のシンボル、模様、又はセキュリティドキュメントに関連付けられ、例えば、復号レンズの組み合わせにより明らかにされたときに国のシンボルが現れる国に属するパスポートなどの公正なセキュリティドキュメントであるセキュリティドキュメントの有効性を確認するのに使用され得る任意の他の情報である場合がある。
【0067】
代替的に、隠し情報は、パーソナライゼーション中に追加された個人化された情報である場合がある。したがって、隠し情報は姓やパスポート番号である場合がある。
【0068】
上記の内容から、複数ページセキュリティドキュメント内の透明窓が、透明窓を有するシートがどのページの上に置かれているかに関係なく、2つの関係のないページ上の隠し情報を明らかにするのに使用され得るメカニズムが提供されることが分かるであろう。このようなメカニズムは、セキュリティドキュメントを精査する人が、ドキュメントの透明窓を有するシートの表ページを開いているか又は透明窓を有するシートの裏ページを開いているかに関係なく、ドキュメントを精査する人が、それがなければドキュメントが偽物であり得ることを、ドキュメントを精査する人に警告することになる隠し情報を有する画像を見ることになる点で強力なセキュリティ特徴を提供する。
【0069】
本発明の特定の実施形態を記載及び図示してきたが、本発明は以上で記載及び図示された部品の特定の形態や配置に限定されるべきではない。本発明は請求項によってのみ限定される。