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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/00 20200101AFI20230517BHJP
【FI】
D06F39/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022030884
(22)【出願日】2022-03-01
(62)【分割の表示】P 2021125540の分割
【原出願日】2021-07-30
(65)【公開番号】P2023020856
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 貞人
(72)【発明者】
【氏名】河野 哲之
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-046895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0153057(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部を有する水槽と、
前記水槽内に設けられ、前部が開口した回転槽と、
前記水槽の前記開口部に設けられた水槽カバーと、
前記回転槽の内部を照射する照射装置と、を備え、
前記水槽カバーは、前面部から後方に向かって窪んだ凹部を有し、
前記照射装置は、前記凹部に取り付けられている
衣類処理装置。
【請求項2】
前面部に取り出し口を有し前記水槽及び前記回転槽を内部に収容する外箱と、
前記取り出し口と前記水槽カバーとを水密に接続するベローズと、を備え、
前記ベローズは、前端部が前記取り出し口に接続されており、後端部が前記水槽カバーの取付け面に取り付けられ、
前記照射装置は、少なくとも一部が前記取付け面よりも後方に位置して装着される
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記水槽カバーの内側を通り、前記水槽の下部に設けられた排水部と、上方から前記水槽に放水する放水部とを接続する循環水路を備え、
前記照射装置と前記循環水路とは、前記照射装置が前記循環水路の径方向内側に位置するように前記水槽カバーの径方向に重なって配置されている
請求項1又は2に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば洗濯物の取り残し等を防止するために、照射装置により槽内を照明する洗濯機が知られている。例えば、外箱に設けられた洗濯物の取り出し口の周辺に、槽内を上方から又は下方から照明する照射装置を設けた構成が開示されている。
【0003】
取り出し口の上方から槽内を照明する洗濯機では、水槽と取り出し口との間を水密に接続するベローズに照射装置を設ける構成や、水槽カバーに上下方向に貫通する貫通孔を開けて、照射装置を上方から当該貫通孔に挿入する構成がある。
【0004】
しかし、ベローズに照射装置を設ける場合、回転槽の回転に伴う振動によってベローズが振動し、照射装置が外れてしまう虞がある。また、照射装置を水槽カバーの上方から挿入する構成では、照射装置の前後方向の幅だけ、水槽カバーの前後方向の幅が厚くなってしまい、その結果、洗濯物を出し入れし辛くなってしまったり、洗濯機全体の寸法が大きくなってしまったりといった虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-223571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、効果的に洗濯槽内を照射し、外れにくく製品全体の小型化を妨げない照射装置を備える衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施態の衣類処理装置は、前面に開口部を有する水槽と、前記水槽内に設けられ、前部が開口した回転槽と、前記水槽の開口部に設けられた水槽カバーと、前記回転槽内部を照射する照射装置と、を備える。前記水槽カバーは、前面部から後方に向かって窪んだ凹部を有する。前記照射装置は、前記凹部に取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による洗濯機の一例の構成を概略的に示す縦断面図
図2】一実施形態による洗濯機の一例の電気的な構成を示すブロック図
図3】一実施形態による洗濯機の一例の水槽カバー周辺の構成を前方斜め上方から回転槽の回転軸と平行な方向に見た図
図4】一実施形態による洗濯機の一例の水槽カバー周辺の構成を前方斜め下方から示す斜視図
図5】一実施形態による洗濯機の一例の水槽カバー周辺の構成を図3のV-V線に沿って示す縦断面図
図6】一実施形態による洗濯機の一例の循環水路の構成を概略的に示す図
図7】一実施形態による洗濯機の一例の照射装置周辺の構成を図4の枠VII内を拡大して示す斜視図
図8】一実施形態による洗濯機の一例の照射装置の構成を示す分解斜視図
図9】一実施形態による洗濯機の一例の照射ユニットの概略構成を示す図
図10】一実施形態による洗濯機の一例の照射装置周辺の構成を図5の円X内を拡大して示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一の実施形態について図面を参照して説明する。衣類処理装置としての洗濯機10は、図1及び図2に示すように、外箱11、水槽12、回転槽13、回転槽モータ14、扉15、ベローズ16、排水機構17、及び給水機構18、循環機構19、及び制御装置20を備えている。なお図1において、洗濯機10の設置面側、つまり鉛直下側を洗濯機10の下側とし、設置面の反対側、つまり鉛直上側を洗濯機10の上側とする。また、洗濯機10を正面から見た場合の左右方向を、洗濯機10の左右方向とする。洗濯機10は、例えば回転槽13の回転軸が水平へ向かう横軸型又は後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯機である。本実施形態では、洗濯機10は斜め軸型のドラム式洗濯機である。なお、洗濯機10は、例えばヒートポンプ式やヒーター式の乾燥機能を有していても良いし、備えていなくてもよい。
【0010】
外箱11は、例えば鋼材又は樹脂材等の部材によって全体として矩形の箱状に構成されており、洗濯機10の外殻を構成する。外箱11は、前面部111と、前面部111に形成された開口である取り出し口112とを有する。取り出し口112は、洗濯物を出し入れする際の出入口となる。水槽12は、有底円筒状に形成されて外箱11内に配置されて、図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。回転槽13は、有底円筒状に形成されて水槽12内に回転可能に配置されている。この場合、水槽12及び回転槽13は、洗濯物を収容する洗濯槽として機能する。水槽12及び回転槽13は、それぞれ前面に取り出し口112に面して開口部121と開口部131とを有する。開口部121と開口部131とは、洗濯槽の内部と外部とを連通する。回転槽モータ14は、水槽12の外側後方に設けられている。回転槽モータ14は回転槽13に接続されており、駆動により回転槽13を回転させる。
【0011】
水槽12と回転槽13との円筒形状の中心線は、回転槽13の回転軸に一致する。以降、回転槽13の回転軸に平行な方向を軸方向Aと称し、図面などにはAと記す。また、回転槽13の軸方向Aに垂直な方向を径方向と称する。単に径方向と言った場合、軸方向Aに垂直な方向を指す。径方向のうち、開口部121の上下の端部を結んだ方向を垂直方向Bと称し、図面にはBと記す。回転槽13の回転方向つまり軸方向A及び径方向に垂直な方向を、周方向と称する。なお、洗濯機10が横軸型のドラム式洗濯機であった場合、軸方向Aは前後方向に一致し、垂直方向Bは上下方向に一致する。
【0012】
扉15は、図示しないヒンジにより前面部111に回動可能に支持され、取り出し口112を開閉する。扉15は、少なくとも一部が透明又は半透明の部材により構成されており、外箱11の外部から扉15を通して内部を透視できるようになっている。ベローズ16は、正面視円環状に形成されて取り出し口112と水槽12との間を水密に接続する。ベローズ16は、ゴムなどの柔軟性と弾性と水密性とを有する部材により構成されている。
【0013】
排水機構17は、水槽12内に貯留されている水を洗濯機10の機外に排出するための機能を有する。排水機構17は、排水経路171と、排水弁172と、を有している。排水経路171は、例えば可撓性を有する排水ホースで構成されており、一方の端部が排水弁172に接続され、他方の端部が洗濯機10の機外へ引き出されている。排水弁172は、例えば電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁で構成されている。排水弁172は、水槽12の底部に設けられた排水部122と、排水経路171との間に設けられており排水経路171を開閉する。
【0014】
給水機構18は、例えば外箱11内の水槽12の上方に設けられている。給水機構18は、例えば水道などの外部の給水源からの水を受けて水槽12内への給水を行う。給水機構18は、例えば図2に示すように、接続口181、給水経路182及び給水弁183を有している。接続口181は、外箱11の天面部において、例えば左奥部に露出するように設けられている。接続口181は、例えばホースを介して外部の水源に接続される。給水経路182は、接続口181から水槽12及び回転槽13までを接続する経路である。給水弁183は、電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁である。給水経路182の途中には、洗剤や仕上げ剤等を投入する図示しない洗濯処理剤投入部が設けられている。
【0015】
循環機構19は、外箱11内部に設けられて、水槽12から排水された水を再び水槽12に放水して循環させる。循環機構19は、循環水路191と、循環ポンプ192と、放水部193とを有する。循環水路191は、排水部122と放水部193とを接続する経路であり、循環ポンプ192によって水槽12内に貯留された水を汲み上げて、その汲み上げた水を水槽12の上方から再び水槽12内に供給する経路である。循環ポンプ192は、循環水路191の途中に設けられており、水槽12内の水を汲み上げる機能を有する。放水部193は、循環水路191の終端部つまり排水部122とは反対側の端部である。排水弁172が閉じた状態で循環ポンプ192を駆動すると、循環ポンプ192は水槽12内の水を排水部122を通して汲み上げて、放水部193から再び水槽12内に給水する。このようにして、循環ポンプ192は、循環水路191を通して水槽12内に貯留されている水を循環させる。
【0016】
制御装置20は、図2に示すようにCPU201やROM、RAM及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域202を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯機10の動作全体の制御を行う。制御装置20は、回転槽モータ14、排水弁172、給水弁183、循環ポンプ192及び後述する照射装置40と電気的に接続されており、これらの動作の制御を行う。
【0017】
水槽12は、胴部123と、図1図3等に示す水槽カバー30を有する。胴部123は、水槽12の円筒状部分の後ろ側部分を形成する。水槽カバー30は、胴部123の前端部に接続されて、水槽12の円筒状部分の前側部分を形成する。水槽カバー30は、筒状部31と、前面部32とを含んで構成される。筒状部31は、円筒状に形成され、筒状部31の後端部が胴部123の前端部と接続される。前面部32は、概ね回転槽13の回転軸を中心とする円環状に形成される。前面部32の外周端部は筒状部31の前端部に接続されている。前面部32の内周端部は開口部121と接続する。
【0018】
図3は、ベローズ16と水槽カバー30とを前方かつ軸方向Aに平行な方向から見た図である。図4は、ベローズ16と水槽カバー30とを斜め右下方から見た斜視図である。図5は、図3のV-V線に沿って示す縦断面図である。ベローズ16は、奥行き方向に所定の長さをもって形成されており、前端部161と、後端部162と、筒状部163と、膨出部164と、係合部165と、を有する。
【0019】
前端部161は、ベローズ16の前側の端部であって、円環形状に形成されて取り出し口112と接続する。後端部162は、ベローズ16の前端部161に対する反対側つまり後ろ側の端部であって、回転槽13の回転軸に垂直な面を形成する円環形状に形成されて水槽カバー30の前面部32と接続する。水槽カバー30の前面部32は、ベローズ16の後端部162を取り付ける取付け面として機能する。筒状部163は、内面が前端部161から後方に向かって延びる円筒形状に形成されている。膨出部164は、筒状部163と係合部165とを接続する。膨出部164は、筒状部163の後ろ側端部寄り部分から径方向外側及び前方に向かって延びている。また、膨出部164は、係合部165の径前端部から径方向外側及び前方に向かって延びている。膨出部164は、全体として、断面形状が前方及び径方向外側に向かって膨出して形成されている。係合部165は、膨出部164と後端部162とを接続する。係合部165は概ね円筒状に形成されて、前端部に径方向外側に窪む溝形状が形成されている。
【0020】
図6は、水槽カバー30内部における循環水路191の位置を示す正面から見た場合の概略図である。循環水路191は、循環ポンプ192から上方に延びて、水槽カバー30の内側を通る。循環水路191は、水槽カバー30の下部から水槽カバー30の内部に入って、前面部32の後ろ側つまり水槽12に関する内側において円弧を描いて水槽カバー30の上部に延びている。循環水路191は、水槽カバー30の上部で複数この場合2つに分岐して、それぞれが前面部32の上部において径方向内側に設けられた複数この場合2個の開口部33まで延びている。放水部193は、開口部33に接続して、開口部33を通して水槽12及び回転槽13内部に向けて水を放水する。
【0021】
この場合、水槽カバー30は、図5に示すように、外周壁部34と、内周壁部35と、後ろ板36と、を有する。外周壁部34と内周壁部35とは、前面部32の径方向外側より部分において、前面部32の内側から後方に向かって突出して形成されている。後ろ板36は、正面視扇形の板状に形成されて、外周壁部34と内周壁部35との先端部分に後ろ側つまり水槽12の内側から接続している。循環水路191は、外周壁部34と、内周壁部35と、後ろ板36との間に形成された空間を通る。
【0022】
水槽カバー30は、更に耳部37と、凹部38と、溝部39とを有する。耳部37は、正面視円環状に形成されて、水槽カバー30の前面部32から前方に向けて突出している。耳部37は、開口部121よりも径方向外側に設けられている。凹部38は、前面部32の周方向内側の一部に設けられている。本実施形態では、凹部38は開口部121の頂部の上方に設けられている。凹部38は、前面部32の内径側端部この場合下端部を後方つまり水槽12に関して内側に向けて窪ませて形成されている。凹部38の外径側端部この場合上端部は耳部37の後端部と接続している。溝部39は、図3図8等に示すように、前面部32の前側の面つまり水槽12に関して外側の面の一部を厚み方向に窪ませて溝形状に形成されており、凹部38の左右方向の中心部から上方に向かって延びている。
【0023】
耳部37の前端部は、径方向外側に突出している。耳部37の突出した前端部は、ベローズ16の係合部165の溝形状に嵌め込まれる。これにより、後端部162と前面部32との固定と併せて、ベローズ16が水槽カバー30から外れることや軸方向Aや径方向に移動することを抑制している。
【0024】
図8等に示すように、凹部38は、外周面部381と、背面部382と、一又は複数この場合2個の被締結部383を有する。外周面部381は、凹部38の径方向外周側の面この場合上側の面を形成する。背面部382は、凹部38の背面側つまり水槽12に関して中心側の面を形成する。被締結部383は、背面部382の周方向の両端部この場合左右の端部寄りに設けられている。被締結部383は、背面部382から前方に向かって突出する前方が開口した円筒状に形成されて、内面に雌ねじ溝が形成されている。
【0025】
背面部382は、水槽12の奥行き方向に関して、後ろ板36と同程度か、後ろ板36よりも水槽12の中心寄りに設けられている。背面部382の上部は、径方向に平行な面を形成して後ろ板36と概ね同一面上に位置する。背面部382の下部は、軸方向A及び径方向に対して傾斜して、水槽12の奥行き方向に関して後ろ板36よりも水槽12の中心寄りに位置する。
【0026】
洗濯機10は、更に照射装置40を備える。凹部38は、照射装置40を収容する収容部として機能する。照射装置40は、洗濯槽内部特に回転槽13内部を照明する機能を有する。照射装置40は、制御装置20に電気的に接続されており、制御装置20の制御を受けて点灯し又は消灯する。
【0027】
照射装置40は、図8に示すように、照射ユニット41と、ホルダ42と、装置カバー50と、を含んで構成される。照射ユニット41は、照射装置40のうち、照射機能を担っている部品である。つまり、照射ユニット41は制御装置20に電気的に接続されており、制御装置20の制御を受けて照射し又は停止する。ホルダ42は、例えばゴムなどの柔軟性と水密性とを有する部材で構成されており、上部と下部とが開口した円筒状に形成されて内部に照射ユニット41を保持する。装置カバー50は、内部にホルダ42と、ホルダ42に保持された照射ユニット41とを収容する。
【0028】
照射ユニット41は、図9に示すように、基板411と、発光素子412と、ケース413と、リード線414とを含んで構成される。基板411は、例えばLED等で構成される発光素子412が搭載され、ケース413に封入されている。ケース413は、照射ユニット41の外殻を構成し、全体として円筒状であって先端部413aが半球面状に形成されている。ケース413の先端部413aと反対側の端部を頭部413bと称する。照射ユニット41は、少なくとも一部又は全体が透明な部材で構成されている。本実施形態では、先端部413aと円筒状部分とは透明な部材で構成されている。照射ユニット41は、例えば石英ガラスで構成される。基板411にはリード線414が接続され、リード線414はケース413の上端部に設けられた図示しない孔部から外側に引き出されている。
【0029】
照射ユニット41は、紫外線及び可視光線のいずれか又は両方を照射可能に構成されている。本実施形態では、照射ユニット41は、紫外線及び可視光線のいずれをも照射可能である。制御装置20は、紫外線及び可視光線を選択的に照射する構成であっても良いし、紫外線及び可視光線を同時に照射する構成であっても良い。本実施形態では、制御装置20は、紫外線及び可視光線を同時に照射可能である。具体的には、発光素子412は、白色光及び紫外線を発生する発光素子を含んで構成されている。また、制御装置20は、洗い工程、濯ぎ工程、脱水工程、乾燥工程のうち少なくとも一工程の実行中又は実行後に、紫外線を照射することができる。これにより、洗濯物や、洗濯槽内部が紫外線により除菌される。
【0030】
図9に示すように、照射ユニット41は、発光素子412の照射方向が洗濯槽の奥部へ向かうように設置される。つまり、発光素子412の光軸Lは、後方へ向かうほど下がるように水平方向及び上下方向に対して傾斜している。また、光軸Lは、軸方向A及び垂直方向Bに対しても傾斜している。これにより、発光素子412から照射された光線を回転槽13内の奥部に位置する衣類に効率よく当てると共に、例えばステンレス製の回転槽13の内部で反射させることで、回転槽13内を一層効率よく除菌することができる。
【0031】
本実施形態では、発光素子412は光軸Lが基板411に対して垂直に向くように固定されており、基板411はケース413の円筒形状の軸方向に対して垂直に固定されている。したがって、照射ユニット41は、後方へ向かうほど下がるように水平方向及び上下方向に対して傾斜し、かつ軸方向A及び垂直方向Bに対しても傾斜して設置される。光軸Lと水平面との成す角は、発光素子412の照射角に従って適宜設定されるが、例えば50°~60°の範囲内に設定することができる。
【0032】
ホルダ42は、図5及び図10に示すように断面形状が屈曲して形成されている。ホルダ42は、第1部分421と、第2部分422とを含んで構成される。第1部分421は、凹部38に取り付けた状態で径方向外側部分つまりこの場合ホルダ42の上部を構成し、上端部に第1開口421aを有する。第1部分421の円筒形状の外周壁は垂直方向Bつまり前面部32に沿う方向に延びる。ここで前面部32に沿う方向に延びるとは、前面部32に概ね平行な方向に延びることを意味し、概ね平行には平行も含まれる。この場合、第1部分421の円筒形状の外周壁は垂直方向Bに平行に、つまり前面部32と平行に延びる。第1開口421aは、上方に向かって開口し、ホルダ42の内部と外部とを連通する。
【0033】
第2部分422は、凹部38に取り付けた状態で径方向内側部分つまりこの場合ホルダ42の下部を構成し、下端部に第2開口422aを有する。第2部分422の筒形状の外周壁は、軸方向A及び垂直方向Bに対して傾斜する方向に延びる。具体的には、第2部分422の外周壁は、ケース413の円筒形状の軸方向に沿う方向に延びている。つまり、第2部分422の外周壁は、光軸Lに沿う方向に延びる。この場合、第2部分422の外周壁は、ケース413の円筒形状の軸方向に平行に、つまり光軸Lと概ね平行に延びる。
【0034】
第2部分422の直径は、第1部分421の直径よりも小さく設定される。つまり、第1部分421と第2部分422との間には段部423が形成されている。段部423は、ホルダ42の内向きでかつ第2部分422と垂直な方向に延びる面を形成する。ホルダ42に挿入された状態で、照射ユニット41のケース413の頭部413bは、段部423と密着する。また、ケース413の円筒状部分の少なくとも頭部413b寄り部分は、第2部分422と密着する。
【0035】
装置カバー50は、径方向内側及び外側と、背面側とが開口した容器形状に形成されている。装置カバー50は、前面部51と、枠部52と、側面部53、54とを有する。前面部51は、装置カバー50の前側の面を構成する。枠部52は、周方向この場合左右方向に長い矩形の枠形状に形成されて、装置カバー50の径方向外側の面この場合上面に設けられている。側面部53、54は、装置カバー50の周方向の面つまりこの場合左右の面を形成する。
【0036】
前面部51は、図10等に示すように、ベローズ16の膨出部164に対向する。前面部51は、第1面511と、第2面512とを含んで構成される。第1面511は、前面部51の径方向外側部分つまりこの場合上部を構成し、径方向に概ね平行に延びている。第2面512は、前面部51の径方向内側部分つまりこの場合下部を構成し、軸方向A及び径方向に対して傾斜して延びている。第2面512は、照射ユニット41及びホルダ42の第2部分422に概ね平行に延びている。装置カバー50が水槽カバー30に固定された状態で、第2面512は、凹部38の背面部382の下部と平行に延びる。つまり、照射ユニット41、ホルダ42の第2部分422、装置カバー50の第2面512、及び凹部38の背面部382の下部は、それぞれ互いに概ね平行な面を形成している。この場合、照射ユニット41、ホルダ42の第2部分422、装置カバー50の第2面512、及び凹部38の背面部382の下部は、発光素子412の光軸Lと概ね平行な面を形成している。
【0037】
第1面511は、突出部511aと、一又は複数この場合2個の穴511bとを有する。突出部511aは、第1面511から前方に向かって突出して、ホルダ42の第1部分421の外周壁と第2部分422の上部の一部の外周壁とに沿った曲面を形成している。2個の穴511bは、第1面511の周方向の両端側つまりこの場合左右の端部に設けられ、第1面511を厚み方向に貫通する。この場合2個の穴511bは、突出部511aを挟んで左右に設けられている。
【0038】
凹部38は、装置カバー50を凹部38に収容した状態で、各被締結部383は、穴511bと対応する位置に設けられている。装置カバー50は、穴511bと被締結部383とを挿通する雄ねじ等の締結部材60によって、前方から水槽カバー30に固定される。つまり、照射装置40は、前方から凹部38に装着される。
【0039】
装置カバー50にホルダ42を挿入した状態で、第1面511はホルダ42の第1部分421に密着して第1部分421に沿う方向に延びている。この場合、第1面511は第1部分421と平行に延びている。装置カバー50にホルダ42を挿入した状態で、第2面512は少なくとも一部がホルダ42の第2部分422に密着して第2部分422に沿う方向に延びている。この場合、第2面512は少なくとも一部が第2部分422と平行に延びている。
【0040】
枠部52の周方向に関する中心部つまりこの場合左右方向に関する中心部には、円環部521が形成されている。円環部521の内側には、ホルダ42の第1部分421の上端部が挿入されて保持される。円環部521の直径は枠部52の径方向の辺つまり短辺よりも長く設定されており、円環部521は、一部が枠部52から前方に突出して設けられている。円環部521の径方向内側には、突出部511aが形成されている。
【0041】
円環部521には、周方向一の側この場合左側に切欠き521aが形成されている。ホルダ42は、第1部分421の上端部に第1開口421aから外側に突出して形成された凸部421bを有する。装置カバー50にホルダ42を挿入した状態で、凸部421bは切欠き521a内に嵌め込まれる。これにより、ホルダ42が装置カバー50内部で回転することが抑制される。
【0042】
照射ユニット41をホルダ42及び装置カバー50に収容して締結部材60で水槽カバー30に固定すると、照射装置40は、凹部38の内部に挿入される。つまり、照射ユニット41の少なくとも一部と、ホルダ42の少なくとも一部と、装置カバー50の少なくとも一部は凹部38の内部であって前面部32よりも背面側つまり水槽12の中心寄りに位置する。これにより、照射装置40の奥行き方向の全体が水槽カバー30よりも前方に突出することがない。したがって、照射装置40全体の奥行き寸法の分だけ水槽カバー30の奥行き寸法が大きくなることが抑制される。
【0043】
図10に示すように、耳部37には、凹部38の上方に位置して孔部371が設けられる。孔部371は、耳部37を厚み方向に貫通して、水槽カバー30の上方の空間と下方の空間を連通することにより、外箱11内において洗濯槽の内側と外側とを連通する。孔部371は、照射ユニット41から引き出されたリード線414を水槽カバー30の上方に導く通路として機能する。
【0044】
孔部371は、リード線414が通過する隙間つまりこの場合孔部371の後ろ側部分を除いて、ベローズ16の係合部165によって閉塞されている。また、照射装置40が水槽カバー30に固定されると、ホルダ42の上端部つまり第1部分421の上端部は、水槽カバー30に密着する。つまり、第1部分421の上端部は、凹部38の外周面部381又は耳部37の径方向内側の面この場合下面に密着する。柔軟性と水密性とを有するベローズ16とホルダ42とによって、外箱11内において洗濯槽の内側と外側とは水密に保たれている。これにより、洗濯槽内の水や蒸気が、孔部371を通って洗濯槽の外側に漏出することを抑制する。
【0045】
ケース413の円筒形状の軸方向の長さ寸法は、第2部分422の円筒形状の軸方向の長さ寸法よりも長く設定されており、ホルダ42に挿入された状態で、ケース413の先端部413aはホルダ42の外部に露出する。そのため、照射ユニット41から照射される紫外線又は可視光線がホルダ42によって妨げられることが抑制される。
【0046】
一方、ケース413の円筒形状の軸方向の長さ寸法は、装置カバー50の第2面512の傾斜面の長さ寸法よりも短く設定されており、ホルダ42及び装置カバー50に収容された状態で、照射ユニット41は装置カバー50よりも径方向内側に露出しない。したがって、ユーザが照射ユニット41を直視してしまうことが抑制される。更に、運転中に洗濯物が照射ユニット41に当たってしまったり、ユーザが洗濯物を出し入れする際に誤って照射ユニット41に触れてしまったりという事が抑制され、照射ユニット41が外れ難い構成となっている。
【0047】
上述のように、リード線414は、前面部32に設けられた溝部39を通って水槽カバー30の上方に延びている。前面部32の背面側つまり水槽12に関する内側には、循環水路191が通っている。制御装置20は、排水弁172及び循環ポンプ192を制御して循環水路191に水を流すことができる。リード線414が高温となった場合或いは高温となる虞がある場合、制御装置20は、循環水路191内に水を流すことで、リード線414の温度を低下させて過熱状態を抑制することができる。
【0048】
更に、循環水路191は、凹部38を径方向外側に延長した領域に位置する。更に、凹部38の周方向両側には、開口部33が設けられており、放水部193が接続されている。つまり、照射装置40は、循環水路191の近傍に取り付けられる。そのため、照射装置40が高温となった場合或いは高温となる虞がある場合に、制御装置20は、循環水路191内に水を流すことで、照射装置40の温度を低下させて過熱状態を抑制することができる。
【0049】
以上説明した本実施形態によれば、衣類処理装置としての洗濯機10は、水槽12と、回転槽13と、水槽カバー30と、照射装置40と、を備える。水槽12は、前面に開口部121を有する。回転槽13は、水槽12内に設けられ、前部が開口している。水槽カバー30は、水槽12の開口部121に円環状に設けられている。照射装置40は、回転槽13の内部を照射可能に構成される。水槽カバー30は、前面部32の内周側に後方に向かって窪んだ凹部38を有する。照射装置40は、凹部38に前方から取り付けられている。
【0050】
これによれば、水槽カバー30の奥行きを前方に向けて突出させることなく照射装置40を配置することができる。そのため、洗濯機10全体の奥行きに対する影響を低減できる。また、水槽12に固定された水槽カバー30に固定するため、照射装置40は、回転槽13の振動による影響を受けにくい。そのため、照射装置40は、回転槽13が振動しても外れにくく、また、リード線414が切れてしまうことを抑制できる。更に、照射装置40を少なくとも一部が前面部32より後方に位置するように設けることができる。そのため、より回転槽13に近い位置から照射することとなり、回転槽13の奥部が照射されやすい。したがって、効果的に洗濯槽内を照射し、外れにくく製品全体の小型化を妨げない照射装置40を備える衣類処理装置が提供される。
【0051】
照射装置40は、照射ユニット41と、ホルダ42と、装置カバー50とを有する。照射ユニット41は、可視光線又は紫外線などの光線を発生する。ホルダ42は、柔軟性と水密性とを有する部材によって上部と下部とが開口した中空円筒状に形成され、内部に照射ユニット41を保持する。装置カバー50は、ホルダ42を内部に収容する。ホルダ42は、照射ユニット41を内部に収容したホルダ42を装置カバー50に収容した状態で、装置カバー50を凹部38に装着することで、水槽カバー30に対して密着して固定される。
【0052】
これによれば、柔軟性と水密性とを有するホルダ42が水槽カバー30と水密着するので、洗濯槽内部つまり水槽12や回転槽13内部から、水や水蒸気が外箱内部であってかつ洗濯槽の外部に侵入してしまうことを抑制できる。
【0053】
ここで、照射ユニット41が、水槽カバー30の前面部32に対して平行に取り付けられており、ホルダ42が屈曲していない場合について検討する。この場合、照射ユニット41が径方向内側例えばこの場合下方から押圧されると、ホルダ42は柔軟性を有するため、照射ユニット41が前面部32に平行に移動してしまったり、リード線414が過度に折れ曲がってしまったりする虞がある。このようなことが頻繁に発生すると、リード線414が断線する虞もある。
【0054】
これに対して、ホルダ42は、円筒形状の軸線が水槽カバー30の前面部32に沿って延びる第1部分421と、第1部分421よりも回転槽13の径方向内側に設けられており、円筒形状の軸線が後方に行くほど回転槽13の径方向内側となるように傾斜する第2部分422とを有する。照射ユニット41は、第2部分422の傾斜に沿って、回転槽13の回転軸に対して傾斜している。
【0055】
これによれば、照射ユニット41は回転槽13の奥部を向くように傾斜しているため、照射ユニット41から近い回転槽13の手前側だけでなく、回転槽13内部を満遍なく照射することができる。更に、照射ユニット41が、水槽カバー30の前面部32に対して平行に取り付けられている場合に比較して、径方向内側から照射ユニット41が押圧されても、ホルダ42の屈曲により力が分散する。そのため、照射ユニット41の移動が抑制される。したがって、照射ユニット41が水槽カバー30から脱落されることを抑制することができ、また、リード線414の断線の発生が抑制される。したがって、照射装置40の不具合の発生を低減することができる。
【0056】
なお、装置カバー50はホルダ42の第2部分422と接して第2部分422に沿って延びる第2面512と、ホルダ42の第1部分421に接して第1部分421に沿って延び、ホルダ42の第2部分422に対しては傾斜する第1面511と、を有する。そのため、仮にホルダ42の第2部分422に対して平行な向きに照射ユニット41が押圧されてしまっても、ホルダ42の第1部分421と、装置カバー50の第1面511とが斜め上方から照射ユニット41の傾斜面に沿った移動を妨げる。そのため、照射ユニット41が一層外れにくい構成となっている。
【0057】
衣類処理装置としての洗濯機10は、外箱11と、ベローズ16とを備える。外箱11は、前面部111に取り出し口112を有し、水槽12及び回転槽13を内部に収容する。ベローズ16は、前端部161が取り出し口112に接続されており、後端部162が水槽カバー30の取付け面である前面部32に取り付けられる。照射装置40は、少なくとも一部が取付け面である前面部32よりも後方に位置して装着される。
【0058】
これによれば、照射装置40は、ベローズ16の取付け面よりも後方であって、回転槽13の中心寄りの位置に設けられている。そのため、照射装置40は、照射光線を回転槽13の奥部まで一層届けやすい構成である。また、ベローズ16と取付け面である前面部32との間を通すために、リード線414を大きく引き回す必要がない。そのため、製造時の作業性が良くなると共に、洗濯槽の内側近傍に位置して水や水蒸気に露出する可能性のあるリード線414の長さを短くすることができる。したがって、照射装置40の不具合の発生を低減することができる。
【0059】
ここで、照射ユニット41を長期間照射する場合や、発光素子412を高出力のLEDとした場合、場合によっては照射ユニット41が発熱する場合がある。
【0060】
これに対して、衣類処理装置としての洗濯機10は、循環水路191を備える。循環水路191は、水槽カバー30の内側を通り、水槽12の下部に設けられた排水部122と、上方から水槽12に放水する放水部193とを接続する。照射装置40と循環水路191とは、照射装置40が循環水路191の径方向内側に位置するように、水槽カバー30の径方向に重なって配置されている。
【0061】
これによれば、照射装置40の近傍に循環水路191が通っているため、運転中に照射装置40の近傍を水が流れることで、照射装置40を冷却することができる。よって、照射装置40やリード線414、又は照射装置40の周囲の構成が過度に高温となることを抑制できる。したがって、照射装置40の不具合の発生を低減することができる。
【0062】
上記説明した実施形態では、凹部38は開口部121の頂部の上方に設けられていたが、これに限らない。例えば、凹部38は、開口部121の頂部から左右方向にずれた位置に設けられていても良い。また、本実施形態では、照射装置40は1つであるが、これに限らない。照射装置40は、複数例えば2個左右対称に設ける構成であっても良い。
【0063】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10…洗濯機(衣類処理装置)、11…外箱、111…前面部、112…取出し口、12…水槽、122…排水部、13…回転槽、16…ベローズ、161…前端部、162…後端部、19…循環機構、191…循環水路、193…放水部、30…水槽カバー、31…筒状部、32…前面部(取付け面)、38…凹部、40…照射装置、41…照射ユニット、42…ホルダ、421…第1部分、422…第2部分、50…カバー
図1
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