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特許7281005ドレン処理装置、ドレン処理方法、乾燥空気製造装置およびドレン処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】ドレン処理装置、ドレン処理方法、乾燥空気製造装置およびドレン処理システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20230517BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
B01D53/26 100
B01D53/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022122425
(22)【出願日】2022-08-01
(62)【分割の表示】P 2018123109の分割
【原出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2022145768
(43)【公開日】2022-10-04
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】599151787
【氏名又は名称】株式会社アドバン理研
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】辻 弥壽彦
(72)【発明者】
【氏名】辻 泰成
(72)【発明者】
【氏名】吉井 淳志
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-149004(JP,A)
【文献】特開昭63-74903(JP,A)
【文献】特開2007-278580(JP,A)
【文献】特開2000-258043(JP,A)
【文献】特開2001-147074(JP,A)
【文献】特開2007-285251(JP,A)
【文献】実開平5-28416(JP,U)
【文献】特開平9-108527(JP,A)
【文献】特開2000-5535(JP,A)
【文献】特開2001-198428(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/255312(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26
B01D 53/04
B01D 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥空気製造装置から流入したドレンと圧縮空気とを分離し、前記ドレンを回収するとともに前記圧縮空気を外部に放出するドレン回収手段と、
一端側が外気に開放された開放部を備えており、前記ドレン回収手段を通じて取り込んだ前記ドレンを気化処理するドレン処理槽と、
前記ドレン処理槽の前記開放部に対向する端部側を封止し、前記ドレン処理槽の内側の一部にドレンを収集するドレン収集部が形成された封止部材と、
前記ドレン収集部に向けて送風し、気化した前記ドレンを前記開放部から外気に放出させる送風機と、
前記ドレン処理槽の内部の、前記ドレン収集部と対向する位置に前記送風機を配置させる支持部材と、
を備えることを特徴とするドレン処理装置。
【請求項2】
さらに、前記送風機の動作を制御する制御部とを備え、
前記送風機から送られた風が前記ドレン処理槽内に面した前記封止部材の壁面に接触して反射または拡散して、気化した前記ドレンとともに前記開放部から排出されることを特徴とする請求項1に記載のドレン処理装置。
【請求項3】
さらに、載置部を含む筐体と、
前記載置部と前記封止部材または前記ドレン処理槽との間を所定間隔に維持して支持する弾性支持部材と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドレン処理装置。
【請求項4】
前記ドレン回収手段は、前記乾燥空気製造装置から排出される前記ドレンを含む圧縮気体を取込み、該圧縮気体を衝突させて少なくとも前記ドレンを分離させる分離壁を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のドレン処理装置。
【請求項5】
所定の圧力下で、吸着剤により特定ガスを分離させる乾燥空気製造装置であって、
発生したドレンと圧縮空気とを分離し、前記ドレンを回収するとともに前記圧縮空気を外部に放出するドレン回収手段と、
一端側が外気に開放された開放部を備えており、前記ドレン回収手段を通じて取り込んだ前記ドレンを気化処理するドレン処理槽と、
前記ドレン処理槽の前記開放部に対向する端部側を封止し、前記ドレン処理槽の内側の一部にドレンを収集するドレン収集部が形成された封止部材と、
前記ドレン収集部に向けて送風し、気化した前記ドレンを前記開放部から外気に放出させる送風機と、
前記ドレン処理槽の内部の、前記ドレン収集部と対向する位置に前記送風機を配置させる支持部材と、
を備えることを特徴とする乾燥空気製造装置。
【請求項6】
さらに、前記送風機の動作を制御する制御部とを備え、
前記送風機から送られた風が前記ドレン処理槽内に面した前記封止部材の壁面に接触して反射または拡散して、気化した前記ドレンとともに前記開放部から排出されることを特徴とする請求項5に記載の乾燥空気製造装置。
【請求項7】
前記ドレン回収手段は、前記ドレンを含む圧縮気体を取込み、該圧縮気体を衝突させて少なくとも前記ドレンを分離させる分離壁を含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の乾燥空気製造装置。
【請求項8】
所定の圧力下で、吸着剤により特定ガスを分離させる乾燥空気製造装置と、
前記乾燥空気製造装置で発生したドレンと圧縮空気とを分離し、前記ドレンを回収するとともに前記圧縮空気を外部に放出するドレン回収手段と、
一端側が外気に開放された開放部を備えており、前記ドレン回収手段を通じて取り込んだ前記ドレンを気化処理するドレン処理槽、前記ドレン処理槽の前記開放部に対向する端部側を封止し、前記ドレン処理槽の内側の一部にドレンを収集するドレン収集部が形成された封止部材、前記ドレン収集部に向けて送風し、気化した前記ドレンを前記開放部から外気に放出させる送風機、前記ドレン処理槽の内部の、前記ドレン収集部と対向する位置に前記送風機を配置させる支持部材を含むドレン処理装置と、
を含むことを特徴とするドレン処理システム。
【請求項9】
前記ドレン回収手段は、前記乾燥空気製造装置から排出される前記ドレンを含む圧縮気体を取込み、該圧縮気体を衝突させて少なくとも前記ドレンを分離させる分離壁を含むことを特徴とする請求項8に記載のドレン処理システム。
【請求項10】
発生したドレンと圧縮空気とを分離し、前記ドレンを回収するとともに前記圧縮空気を外部に放出する処理と、
回収した前記ドレンをドレン処理槽に取り込む処理と、
前記ドレン処理槽の開放部に対向する端部側を封止する封止部材に形成されたドレン収集部で前記ドレンを収集する処理と、
前記ドレン収集部と対向する位置に配置された送風機で前記ドレン収集部に向けて送風し、気化した前記ドレンを前記ドレン処理槽の一端に形成されている前記開放部から外気に放出させる処理と、
を含むことを特徴とするドレン処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス製造において発生するドレンの処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
各種製造業においては、たとえばパージガス、乾燥用ガス、キャリアガスなどに、一般的に乾燥圧縮空気が使用されている。この乾燥圧縮空気は、大気中の空気をコンプレッサなどで圧縮して生成される。大気中の空気には、水蒸気が含まれている。大気中の空気は、加圧して圧力が上昇すると飽和水蒸気量が減少する。また、空気は高温になるほど飽和水蒸気量が増加する。つまり、空気に圧力をかけると、気体成分は圧縮されるが水蒸気成分は圧縮されず、飽和した水分が析出する。さらに圧縮によって高温化した空気を所定温度まで冷却すると、水蒸気が凝縮される。このように析出した液状の水分がドレンとなる。
このように発生したドレンは、所定の箇所に回収して排出させたり、または加熱して蒸発させたりすることが知られている。
【0003】
ドレンの処理に関し、たとえば乾燥圧縮空気を冷却する冷却部を備える除湿装置本体の底部に、結露した水を排出する排水路を設けるものが知られている(たとえば、特許文献1)。また、空気を圧縮する圧縮機本体に対して密閉型の蒸発器が接続され、その内部にドレンが所定の水位で貯められるとともに、この蒸発器で蒸発したドレンが排出煙突を通じて排気されるものが知られている(たとえば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016- 52611号公報
【文献】特開2017-161177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、排水管などを通じてドレンを液状のまま排水孔まで流す場合、設備の配置状態に応じた配管設計や配管処理が必要になり、設置コストや設置処理の手間がかかるという課題がある。また、発生したドレンを貯めておき、たとえば設備が稼動していないタイミングで一括して廃棄する手段をとる場合、ドレンを貯めるタンクやその配管設備の準備が必要なほか、圧縮空気の生成処理とは別にドレンの排出処理のタイミング設定やその排出作業が必要となり、手間がかかるという課題がある。
そのほか、回収したドレンをガス製造装置外に放出して排出する場合、設備内部や周囲に設置される機器などに影響を与えないようにする必要がある。つまり、ドレンを液状のまま大気中に噴射すると、設備内の空気の密度や温度に影響を与え、たとえば設備において処理の対象外の物質を混在させるおそれがあるという課題がある。そのため、大気中にドレンを排出する場合には、十分な処理を施す必要がある。
【0006】
斯かる課題について、特許文献1、2には開示や示唆はなく、これらの文献に開示された構成では斯かる課題を解決することができない。
【0007】
そこで、本発明の目的は上記課題に鑑み、配置場所に関わらず、乾燥空気製造処理で生じるドレンの排出処分を可能にすることにある。
また、本発明の他の目的は、回収したドレンを十分に処理することで、排出したドレンによる周囲の機器への影響を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のドレン処理装置の一側面は、乾燥空気製造装置から流入したドレンと圧縮空気とを分離し、前記ドレンを回収するとともに前記圧縮空気を外部に放出するドレン回収手段と、一端側が外気に開放された開放部を備えており、前記ドレン回収手段を通じて取り込んだ前記ドレンを気化処理するドレン処理槽と、前記ドレン処理槽の前記開放部に対向する端部側を封止し、前記ドレン処理槽の内側の一部にドレンを収集するドレン収集部が形成された封止部材と、前記ドレン収集部に向けて送風し、気化した前記ドレンを前記開放部から外気に放出させる送風機と、前記ドレン処理槽の内部の、前記ドレン収集部と対向する位置に前記送風機を配置させる支持部材とを備える。
【0009】
上記ドレン処理装置において、 さらに、前記送風機の動作を制御する制御部とを備え、前記送風機から送られた風が前記ドレン処理槽内に面した前記封止部材の壁面に接触して反射または拡散して、気化した前記ドレンとともに前記開放部から排出されてよい。
【0010】
上記ドレン処理装置において、さらに、載置部を含む筐体と、前記載置部と前記封止部材または前記ドレン処理槽との間を所定間隔に維持して支持する弾性支持部材とを備えてよい。
上記ドレン処理装置において、前記ドレン回収手段は、前記乾燥空気製造装置から排出される前記ドレンを含む圧縮気体を取込み、該圧縮気体を衝突させて少なくとも前記ドレンを分離させる分離壁を含んでよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の乾燥空気製造装置の一側面は、所定の圧力下で、吸着剤により特定ガスを分離させる乾燥空気製造装置であって、発生したドレンと圧縮空気とを分離し、前記ドレンを回収するとともに前記圧縮空気を外部に放出するドレン回収手段と、一端側が外気に開放された開放部を備えており、前記ドレン回収手段を通じて取り込んだ前記ドレンを気化処理するドレン処理槽と、前記ドレン処理槽の前記開放部に対向する端部側を封止し、前記ドレン処理槽の内側の一部にドレンを収集するドレン収集部が形成された封止部材と、前記ドレン収集部に向けて送風し、気化した前記ドレンを前記開放部から外気に放出させる送風機と、前記ドレン処理槽の内部の、前記ドレン収集部と対向する位置に前記送風機を配置させる支持部材とを備える。
上記乾燥空気製造装置において、さらに、前記送風機の動作を制御する制御部とを備え、前記送風機から送られた風が前記ドレン処理槽内に面した前記封止部材の壁面に接触して反射または拡散して、気化した前記ドレンとともに前記開放部から排出されてよい。
上記乾燥空気製造装置において、前記ドレン回収手段は、前記ドレンを含む圧縮気体を取込み、該圧縮気体を衝突させて少なくとも前記ドレンを分離させる分離壁を含んでよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のドレン処理システムの一側面は、所定の圧力下で、吸着剤により特定ガスを分離させる乾燥空気製造装置と、前記乾燥空気製造装置で発生したドレンと圧縮空気とを分離し、前記ドレンを回収するとともに前記圧縮空気を外部に放出するドレン回収手段と、一端側が外気に開放された開放部を備えており、前記ドレン回収手段を通じて取り込んだ前記ドレンを気化処理するドレン処理槽、前記ドレン処理槽の前記開放部に対向する端部側を封止し、前記ドレン処理槽の内側の一部にドレンを収集するドレン収集部が形成された封止部材、前記ドレン収集部に向けて送風し、気化した前記ドレンを前記開放部から外気に放出させる送風機、前記ドレン処理槽の内部の、前記ドレン収集部と対向する位置に前記送風機を配置させる支持部材を含むドレン処理装置とを含む。
上記ドレン処理システムにおいて、前記ドレン回収手段は、前記乾燥空気製造装置から排出される前記ドレンを含む圧縮気体を取込み、該圧縮気体を衝突させて少なくとも前記ドレンを分離させる分離壁を含んでよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明のドレン処理方法の一側面は、発生したドレンと圧縮空気とを分離し、前記ドレンを回収するとともに前記圧縮空気を外部に放出する処理と、回収した前記ドレンをドレン処理槽に取り込む処理と、前記ドレン処理槽の開放部に対向する端部側を封止する封止部材に形成されたドレン収集部で前記ドレンを収集する処理と、前記ドレン収集部と対向する位置に配置された送風機で前記ドレン収集部に向けて送風し、気化した前記ドレンを前記ドレン処理槽の一端に形成されている前記開放部から外気に放出させる処理とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次のいずれかのような効果が得られる。
【0015】
(1) ドレン処理槽の内部に向けて送風し、ドレン処理槽内に流されたドレンを壁面などに向けて押し流すことで、ドレン処理槽内に流入したドレンを液状のまま外部に排出させず、十分に気化処理させることができる。
(2) さらにドレン処理槽の壁面などで反射し、または接触して拡散した風によって、気化したドレンをドレン処理槽の開放部側に流して排出させることで、構造の単純化や部品数の減少が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施の形態に係るドレン処理装置の構成例を示す図である。
図2】ドレン処理の一例を示すフローチャートである。
図3】第2の実施の形態に係るドレン処理装置の構成例を示す図である。
図4】気化装置の外観構成例を示している。
図5】気化装置の内部構成例を示す分解斜視図である。
図6】気化装置の天井パネルを外した内部構成例を示す図である。
図7図6のA-A線断面を示す図である。
図8】Aは載置板の表面側の構成例を示す図、Bは載置板の背面側の構成例を示す図である。
図9】Aは気液分離装置の外観構成例を示す図、BはAの部分断面を示す図である。
図10】ドレン処理装置の制御装置の構成例を示している。
図11】ドレン処理の一例を示すフローチャートである。
図12】乾燥空気製造装置の構成例を示す図である。
図13】乾燥空気製造装置の機能構成例を示すブロック図である。
図14】乾燥空気製造装置の制御部の構成例を示す図である。
図15】乾燥空気製造処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施の形態に係るドレン処理装置の構成例を示している。図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
このドレン処理装置2は、たとえば図1に示すように、乾燥空気製造装置4で発生した液状のドレンD(L)をドレン管6およびドレン回収装置8を通じて回収し、加熱により気化させて外部に排出する手段の一例である。ドレン処理装置2は、たとえば乾燥空気製造装置4側に対して独立して動作させてもよく、または乾燥空気製造装置4側の製造処理に連動して動作させてもよい。このドレン処理装置2は、少なくとも流入するドレンD(L)を十分に気化させるように加熱し、気化させる処理を実行すればよい。
乾燥空気製造装置4は、大気中の空気から原料ガスである圧縮空気を生成する機能部や、この圧縮空気から特定成分のガスを生成する機能部などを含んでおり、加圧や冷却により圧縮空気が凝縮することでドレンD(L)が発生する。このドレンD(L)の発生により圧縮空気が除湿される。そして乾燥空気製造装置では、たとえば圧縮空気を特定の圧力状態で吸着剤に流し、分離したいガス成分を吸着させるPSA(Pressure Swing Adsorption:圧力変動吸着)方式を利用している。
ドレン管6は、乾燥空気製造装置4で生じたドレンD(L)をドレン処理装置2側に流す排水路の一例であり、たとえば乾燥空気製造装置4内の原料ガスを流す配管に接続されてもよい。ドレン管6は、たとえばゴムなどの樹脂材料、またはプラスチックや塩化ビニル製の管などが用いられる。また、ドレン管6は、排水路上にドレン回収装置8を備えている。
このドレン回収装置8は、乾燥空気製造装置4で発生したドレンD(L)を収集してドレン管6側に流すほか、ドレンD(L)とともに流入する圧縮空気を分離する手段などが含まれる。ドレン回収装置8は、たとえば乾燥空気製造装置4の内部に設置されてもよく、または乾燥空気製造装置4の外部に設置されてもよい。そのほか、ドレン回収装置8は、たとえば乾燥空気製造装置4側から強制的にドレンD(L)を流出させるポンプなどの動力を備えてもよい。
【0018】
<ドレン処理装置2の構成>
ドレン処理装置2は、ドレン処理槽10、蓋部14、ヒーター16、送風機18、センサ19、制御装置20を含む。
ドレン処理槽10は、ドレン管6を通じて流されたドレンD(L)を内部に取り込み、加熱して気化させる手段の一例であり、その内部にドレンを処理する処理空間11が形成されている。このドレン処理槽10は、たとえば円筒状である。ドレン処理槽10の一端側は外部に開放された開口部12を有しており、この開口部12に対向する反対側の端部には、蓋部14が設置されている。この開口部12は、ドレン処理槽10からドレンを放出させる本開示の開放部の一例である。そして、ドレン処理槽10は、開口部12を天井方向に向け、蓋部14を底部側に向けて配置される。ドレン処理装置2は、たとえば外部筐体を備えており、この外部筐体の内部にドレン処理槽10が収納される。
蓋部14は、ドレン処理槽10の底部側の開口端を封止する封止部材の一例であるとともに、処理空間11内のドレンD(L)を加熱する手段の一例である。この蓋部14は、たとえば一部または全部がドレン処理槽10の開口径と同等に形成されており、処理空間11内のドレンD(L)、圧縮空気、さらに、気化したドレンD(A)の通過を阻止している。また蓋部14は、処理空間11内に向けられた面に対して反対側の面にヒーター16が設置されている。そして蓋部14は、ヒーター16の熱を伝熱する。これにより、処理空間11は、蓋部14の表面を通じて加熱されて、内部温度が上昇する。
ヒーター16は、ドレンD(L)を気化処理させる熱源の一例である。ヒーター16は、たとえば制御装置20の制御によって動作制御され、ドレン処理制御に従ってON/OFF制御が行われる。ヒーター16は、たとえば電熱器などを用いればよい。
【0019】
ドレン処理槽10の内部には、回収したドレンD(L)を所定の方向に導くための空気(Air)を発生させる送風機18を備える。この送風機18は、たとえば処理空間11の中央部またはそれよりも上方に配置される。そして送風機18は、ドレン処理槽10の内部側、すなわち、処理空間11内に面した蓋部14の壁面に向けて所定の流量の空気(Air)を発生させる。また送風機18は、ドレン処理槽10の内径よりも径小である。これにより、ドレン処理槽10の中央側から発生した空気(Air)およびドレンD(L)は、たとえば送風機18に対向位置にある蓋部14の一部と接触したのち、その蓋部14に対して反射または拡散する。このとき、ドレンD(L)は、蓋部14の壁面との接触または壁面周囲の熱によって加熱され、気化したドレンD(A)となる。そして、空気(Air)およびドレンD(A)は、送風機18の周囲を通過して上昇し、開口部12から外部に排出される。
ドレン処理装置2には、ドレンの加熱温度を検出するセンサ19を備えている。センサ19は、たとえばドレン処理槽10の壁面や蓋部14の表面などに設置される。センサ19は、たとえばサーミスタ温度計や熱電対などが用いられる。そしてセンサ19は、たとえば処理空間11内の温度や蓋部14の表面温度などを検出し、この検出温度情報を制御装置20に通知する。
制御装置20は、ドレン処理を制御する手段の一例であり、ドレン処理槽10内の温度情報に基づいてヒーター16や送風機18の動作を制御する。
【0020】
<ドレン処理について>
図2は、ドレン処理の一例を示している。図2に示す処理手順や処理内容は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。このドレン処理は、本発明のドレン処理方法の一例である。
ドレン処理では、ドレン管6およびドレン回収装置8を通じて乾燥空気製造装置4からドレンD(L)の回収処理を行う(S11)。回収したドレンD(L)は、ドレン処理槽10内に流され(S12)、加熱処理される(S13)。このとき、ドレン処理装置2では、送風機18による送風処理により(S14)、ドレンD(L)を、ドレン処理槽10内の所定の方向に流動させながら加熱させる。そして、気化したドレンD(A)を空気(A)とともにドレン処理槽10外へ排出処理する(S15)。また、制御装置20では、ドレン処理槽10内部の状態管理として、ヒーターの温度管理処理を行う(S16)。
【0021】
〔第1の実施の形態の効果〕
斯かる構成によれば、次のいずれかのような効果が期待できる
(1) 送風機18がドレン処理槽10の内部に向けて送風して、処理空間11内の高温領域である蓋部14側にドレンD(L)を通過させるので、ドレンを効率的に加熱することができる。
(2) ドレン処理槽10内に流入したドレンD(L)を外部に排出させず、十分に気化処理させることができる。
(3) 蓋部14を通じてドレン処理槽10の内部を加熱して、ドレンD(L)をヒーター16に接触させることが無いので、ヒーターの防水処理などの構造が不要であり、構造の単純化が図れる。
(4) また、液状のドレンD(L)を蓋部14の一面側のみに接触させることで、ドレンの気化により生じる堆積物などのメンテナンス処理が容易となる。
(5) ドレンD(L)を気化させる蓋部14の表面またはその周辺部分の温度を監視して、ヒーター16の動作を制御することで、ヒーターの過剰動作を防止でき、省電力化や効率的な加熱処理が実現できる。
【0022】
〔第2の実施の形態〕
図3は、第2の実施の形態に係るドレン処理装置構成例を示している。図3に示す構成は一例である。
このドレン処理装置30は、たとえば図3に示すように、加熱によってドレンD(L)を気化処理する気化装置32と乾燥空気製造装置4から流入するドレンD(L)と圧縮空気とを分離する気液分離装置34を備える。この気化装置32は、ドレン管6を通じて気液分離装置34と接続されており、分離されたドレンD(L)のみを取り込む。乾燥空気製造装置4は、たとえば原料ガスの生成において生じるドレンD(L)を原料ガスの一部とともに連続して、または所定のタイミング毎にドレン処理装置30側に排出する。気液分離装置34は、本開示のドレン回収装置の一例であり、乾燥空気製造装置4側から排出されたドレンD(L)を気化装置32側に流し、圧縮空気を外部に放出する。乾燥空気製造装置4とドレン処理装置30との間には、たとえばドレンの排出タイミングを調整する開閉弁を備えてもよい。
【0023】
<気化装置32の外観構成について>
図4は、気化装置の外観構成例を示している。
気化装置32は、たとえば図4に示すように、外装筐体として、側面周囲を覆う側面パネル36、装置の天井側を覆う天井パネル38、前面パネル40および底板64(図5)を備える。この気化装置32は、たとえば外形形状が直方体またはそれに近い形状である。そして天井パネル38には、たとえば所定の径の窓部42が形成されている。この窓部42は、装置内部にある処理部44と同等の形状および径で開口しており、処理部44を外部に開放している。すなわち、窓部42は、気化したドレンD(A)や空気を外気に排出する排出部として機能する。またこの窓部42には、たとえば液状のドレンD(L)や処理部44内にある固形物などの排出を阻止するストッパ46を備える。このストッパ46は、たとえばドレンD(A)や空気の流れを阻害せず、かつ異物の排出を阻止するために、円形や多角形状および直線状の金属部品を組み合せた網状に形成されている。
【0024】
前面パネル40には、たとえば表示部48、接続端子部50、電源スイッチ52を備える。
表示部48は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)パネルなどを備えており、気化装置32の動作状態や検出温度情報を表示する。そのほか、表示部48には、ヒーター16の温度設定画面やタイマ設定画面などを表示させてもよい。
接続端子部50は、気化装置32を動作させる電源装置や制御装置に設置させる部品を接続する孔や接続端子の一例であり、たとえば電源装置のケーブルの貫通孔や電源回路基板に設置するヒューズなどの電子部品などを設置する端子などが含まれる。
そのほか前面パネル40には、たとえばドレン処理のタイミングやヒーターの温度設定、タイマ設定などを行うための操作部、気化装置の異常状態を監視して報知する報知部などを備えてもよい。
【0025】
<気化装置32の内部構成について>
図5は、気化装置32の内部構成を示す分解斜視図である。
気化装置32には、たとえば図5に示すように、外装筐体内部に処理部44を形成するドレン処理槽60やこの処理部44内に送風する送風ファン70などが配置される。
ドレン処理槽60は、中空の円筒形状であり、その周壁面の一部に円形の開口部62がある。この開口部62は、処理部44内にドレンD(L)を流入させるドレン流入孔の一例であり、側面パネル36の一部にあるドレン管接続部56が挿入、または接続される。ドレン管接続部56は、側面パネル36の背面側に配置されたドレン管6と接続され、ドレンD(L)を取り込む管接続コネクタの一例である。
【0026】
気化装置32の底部側には、ドレン処理槽60や送風ファン70、その他の部品を載置させる底板64を備える。この底板64上には、たとえばドレン処理槽60の一端側を載置させる載置板66が、支持部材68を介して設置されている。
この載置板66上には、たとえばドレン処理槽60の開口部の形状および径と同等に形成された封止部76を備える。また封止部76の周面には、ゴムなどの樹脂材料、その他の弾性部材で形成されたパッキン78を備える。つまり、封止部76およびパッキン78は、ドレン処理槽60の一端側の開口部を封止する本開示の封止部材の一例である。
この封止部76の上面側には、送風ファン70を所定の高さに配置させる複数の支持脚部72が立設されている。
そのほか、底板64には、前面パネル40側の一部に制御装置74が形成される。
【0027】
気化装置32は、たとえば図6に示すように、外装筐体内部にドレン処理槽60が収納されるとともに、そのドレン処理槽60の内部の中央に送風ファン70が配置される。また、このドレン処理槽60の内部には、載置板66上の封止部76の一部が配置される。気化装置32の前面側には、たとえば制御装置74として、動力源である電源装置のほか、複数の制御基板などが設置される。
【0028】
載置板66には、たとえば図7に示すように、封止部76が形成される面に対して反対側の面、すなわち、底板64に対向する面側にヒーター16が設置される。また、載置板66には、たとえばドレン処理槽60の内部に面した部分の一部であって、少なくとも送風ファン70と対向する部分に所定の深さの溝部80を備える。この溝部80は、送風ファンから送風された空気(Air)を接触させるとともに、ドレン処理槽60内に流入したドレンD(L)を貯める領域である。さらに載置板66は、上下面において、溝部80の形成位置とヒーター16の設置位置が同等に設定している。これにより、載置板66は、少なくとも溝部80の内部にヒーター16から伝熱させることで、溝部80内が最も高温状態になるようにしている。つまり、この溝部80は、送風ファン70からの風圧をかけながらドレンD(L)を加熱し、且つ溝部80に接触して反射または拡散した空気によって気化したドレンを放出させる処理領域として機能する。
このとき支持部材68は、載置板66を底板64から離間させることで、ヒーター16の熱が底板64を通じて気化装置の外部に放出されるのを阻止している。この支持部材68は、たとえばバネやエラストマなどで構成されている。
【0029】
<載置板66に設置される構成について>
載置板66の上面側には、たとえば図8のAに示すように、ドレン処理槽60や送風ファン70などが設置される。送風ファン70を支持する支持脚部72は、たとえば載置板66の一部に形成された封止部76上に設置されている。この支持脚部72は、たとえば送風ファン70の4角を支持している。各支持脚部72は、載置板66上に接触した空気(Air)や気化したドレンD(A)を通過させるために、所定の間隔をとって配置されている。
また、載置板66の背面側には、たとえば図8のBに示すように、ヒーター16の一例として、複数の抵抗器82A~82Dが設置されるとともに電力供給端子84との間で電気回路が形成されている。このヒーター16は、たとえばそれぞれ50〔Ω〕の抵抗器を2個ずつ並列接続するとともに、それらを直列に接続して50〔Ω〕の合成抵抗を形成し、消費電力200〔W〕の発熱部を形成している。なお、ヒーター16は、たとえば載置板66に対する加熱範囲に応じて、抵抗器82A~82Dの設置数や配置位置を設定すればよい。
そのほか、載置板66には、温度センサ86を備える。この温度センサ86は、たとえば載置板66の背面または上面の表面温度、もしくは載置板66の内部温度を計測してもよい。測定された温度情報は、制御装置74側に通知される。
【0030】
<気液分離装置34について>
図9は、気液分離装置の構成例を示している。図9に示す構成は一例である。
この気液分離装置34は、たとえば図9のAに示すように、気液分離部90、気体排出管92、ドレン排出管94、ドレン管96、サイレンサ98を備える。
気液分離部90は、乾燥空気製造装置4側から流入したドレンD(L)と圧縮空気(Air)を分離する手段の一例である。この気液分離部90は、たとえば図9のBに示すように、T字管構造であって、乾燥空気製造装置4からの導入部に対向した分離板100を備える。この分離板100は、たとえば平板面であってもよく、または導入部側に向けて突出させた突起部や液体の通過を阻止する網状部材などを設置してもよい。また気液分離部90は、鉛直上向きに気体排出管92が接続されるとともに、鉛直下向きにドレン排出管94が接続されている。これにより分離板100に衝突したことで圧縮空気(Air)の流速が低下すると、荷重の重い液状のドレンD(L)は重力の影響によってドレン排出管94に流れ、荷重の軽い圧縮空気(Air)は上昇して気体排出管92側に流れる。
気体排出管92には、下流側にある排出部分に消音器であるサイレンサ98を備える。乾燥空気製造装置4は、たとえば乾燥空気製造処理に連動してドレンの排出を行う。乾燥空気製造処理では、一定の間隔毎に圧縮空気の供給が行われる。このように、間隔を開けて空気を排出する場合、笛のような排出音が発生するおそれがあるため、サイレンサ98により消音させる。
【0031】
<制御装置74について>
図10は、制御装置の構成例を示している。
気化装置32は、コンピュータで構成されており、その制御装置74として、たとえば図10に示すように、プロセッサ102、メモリ104、入出力部(I/O)106、表示部48、操作部110、電源112などが含まれる。
プロセッサ102は、演算手段の一例であり、メモリ104に記憶されているドレン処理プログラムなどの演算処理を行う。また、プロセッサ102は、温度センサ86からの検出温度に基づいてヒーター16を構成する電気回路や送風ファン70に対する制御支持をI/O106を通じて出力する。
メモリ104は、ドレン処理プログラムの記憶領域のほか、プロセッサ102が実行するプログラムのワークエリアとして機能する。
操作部110は、たとえば気化装置32を起動または停止させる電源スイッチ52のほか、ヒーター16の温度を設定する設定入力部を含む。操作部110は、たとえば表示部48の画面と一体に形成したタッチパネルで構成されてもよい。
【0032】
<ドレン処理について>
図11は、ドレン処理の一例を示している。
ドレン処理装置30は、気液分離装置34によりドレンD(L)と圧縮空気(Air)の分離処理を行い(S21)、ドレンD(L)のみを気化装置32に取り込む。気化装置32では、たとえば乾燥空気製造装置4のドレン排出処理に連動してヒーター16や送風ファン70をONさせる(S22)。制御装置74は、温度センサ86の検出温度を取得して、ドレンの気化温度を監視し(S23)、ヒーター16の温度制御を行う(S24)。このヒーター16の温度制御では、たとえば温度センサ86が検出した載置板66の表面や内部の温度に基づいて処理槽内のドレン処理温度を判断し、処理槽内部が設定温度になるようにヒーター16のオン/オフを制御すればよい。また制御装置74は、たとえば表示部48に検出温度を表示して、ドレン処理の状態を報知する(S25)。
【0033】
〔第2の実施の形態の効果〕
この実施の形態によれば、次のいずれかの効果が期待できる。
(1) 封止部76およびパッキン78により処理槽の下部側が封止されることで、気化が不十分なドレンが処理槽外部に漏れるのを防止できる。
(2) 載置板66に形成された溝部80にドレンを貯めるとともに、送風ファン70からの風を当てる構造をとることで、ドレンを十分に気化させることができる。
(3) また、ドレンを貯める溝部80の配置位置とヒーター16の設置位置を対応させることで、効率良くドレンに対してヒーター16の熱を伝えることができ、効率的に気化処理することができる。
(4) 外部筐体である底板に対して載置板66を弾性支持させることで、底板と載置板66との間隔を一定に保持させることができる。
(5) また載置板66を弾性支持させることで、気化装置32に対して外部から振動が加えられたとしても、外部筐体に対してヒーターが接触したり、ドレン処理槽60が傾いてドレンが流出するのを防止でき、ドレン処理装置の安全性が向上する。
(6) ドレン処理槽60が設置される載置板66の温度に基づいてドレン気化温度を監視し、この温度からドレン処理槽内部の温度を判断することで、高温に対応した温度センサを用いずにドレンの適切な気化処理が実現できる。
【0034】
〔第3の実施の形態〕
図12は、乾燥空気製造装置の構成例を示している。図12に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
乾燥空気製造装置120は、原料ガスから所定の成分ガスを生成する装置の一例であるとともに、乾燥空気製造処理において発生するドレンを処理するドレン処理システムの一例である。この乾燥空気製造装置120は、たとえば図12に示すように、乾燥空気生成部122と、気化装置32および気液分離装置34を含む。この気化装置32および気液分離装置34は、既述のドレン処理装置の一例である。乾燥空気生成部122は、PSA方式により特定ガスを分離させる手段の一例であり、たとえば側面筐体124、載置部126を含む筐体部を備える。また乾燥空気生成部122は、載置部126上に振動吸収装置128を介して載置板130が設置され、その載置板130上に原料空気である圧縮空気を生成する原料ガス生成装置132が設置されている。この原料ガス生成装置132には、たとえば圧縮空気の出力側の管路の一部に接続されたドレン管134が備えられており、気液分離装置34側に接続されている。
この乾燥空気製造装置120では、乾燥空気生成部122の内部に気液分離装置34が設置される場合を示したが、これに限られない。気液分離装置34は、たとえば筐体外部に設置されるほか、気化装置32と一体化したドレン処理装置が形成されてもよい。
そのほか、乾燥空気生成部122には、特定のガス成分を分離させる処理タンクや生成されたガスを貯めるバッファタンクである複数のタンク136A~136Cを備える。また乾燥空気生成部122は、複数のガス管や開閉弁などを備える。
【0035】
<乾燥空気製造装置120の構成例について>
図13は、乾燥空気製造装置の機能構成例を示している。図13に示す構成は一例である。
乾燥空気製造装置120は、たとえば図13に示すように、複数のエアフィルター(AF1、AF2)やエアポンプ(P1、P2)を含む原料ガス生成装置132を備えている。この原料ガス生成装置132は、たとえば大気中の空気を圧縮して貯め、所定のタイミングで流す手段であり、たとえばコンプレッサを用いればよい。原料ガス生成装置132から供給された圧縮空気は、冷却管(CC1)側に流される。この冷却管(CC1)を通過した圧縮空気は冷却されることで空気中の水分が凝縮され、ドレンD(L)が発生する。冷却によって除湿された圧縮空気はガス供給管を通じてガス吸着処理を行う吸着タンク(AT1、AT2)側に流される。このガス供給管上には、液状のドレンD(L)を堰き止めて、圧縮空気のみをタンク側に流すドレントラップ(DT1)を備える。このドレントラップ(DT1)には、たとえばドレン管6が接続されており、ドレンD(L)と一部の圧縮空気(Air)が気液分離装置34、気化装置32側に流される。ドレン管6上には、ドレンの排出タイミングを調整する開閉弁(SV6)が設置される。
そのほか乾燥空気生成部122には、たとえば原料ガス生成装置132側から吸着タンク(AT1、AT2)側に原料ガスを流すガス供給路が分岐して接続されるほか、吸着タンク(AT1、AT2)で分離された排気ガスを排気する排気管などが接続される。これらのガス管路には、それぞれ開閉弁SV1、SV2、SV3、SV4が設置される。これにより各吸着タンク(AT1、AT2)では、内部に収納された吸着材によって、原料ガスを所定の圧力状態にさせながら特定のガス成分の吸着処理を行う。
そのほか、吸着タンク(AT1、AT2)には、ガスの流れ方向の下流側である、上蓋部に複数のガス管が接続されている。これらのガス管には、開閉弁(SV5)が設置される。これらの開閉弁(SV5)の開閉制御を行うことで、吸着タンク(AT1、AT2)は、たとえば交互に、生成されたガスをバッファタンク(BT1)側に流すほか、内部の均圧処理やガスの排気処理を行う。吸着タンク(AT1、AT2)およびバッファタンク(BT1)は、タンク136A~136Cで構成される。
また乾燥空気生成部122には、製品ガスが貯められるバッファタンク(BT1)から下流側の流路上に開閉弁(SV6)やガス流量計測手段、酸素濃度を計測する酸素センサーモジュールなどを備える。
【0036】
乾燥空気生成部122では、このような構成において、吸着タンク(AT1、AT2)の一方に原料ガスを流して吸着処理を行うとともに、他方において、残留ガスの排気や吸着剤の再生処理などを行う。このような吸着処理、再生処理は、たとえば制御部140の指示により複数の開閉弁SV1~SV6の開閉状態の制御によって切替えられる。開閉弁SV1~SV6の切替え制御の具体的なタイミングについては、説明を省略する。
【0037】
<乾燥空気製造装置120の制御部140について>
図14は、乾燥空気製造装置の制御部の構成例を示している。
制御部140には、たとえばたとえばプロセッサ(Processor)142、メモリ144、タイマ146、I/O(Input/Output)148等が含まれる。
プロセッサ142は、乾燥空気生成部122の基本動作を制御するOS(Operating System)や吸着・再生工程や均圧工程における原料ガス生成装置132や開閉弁SV1~SV6等の動作を制御するプログラムの演算手段の一例である。
メモリ144は、記憶手段の一例であり、OSや各種プログラムを格納するROM(Read Only Memory)などの記憶領域や、プロセッサ142によるプログラムの演算処理を実行させるためのRAM(Random Access Memory)などの処理領域が含まれる。
タイマ146は、吸着・再生工程、均圧工程などの処理時間を計時する手段の一例であり、ハードウェアとしてのタイマのほか、プログラムの実行により計時するソフトウェアタイマであってもよい。
I/O148は、制御部140の外部インターフェースの一例であり、信号ケーブル用のコネクタや無線通信を利用する場合の送受信コネクタを備えてもよく、制御対象である開閉弁V1~V6や原料ガス生成装置132を構成するポンプ(P1、P2)、気化装置32を含むドレン処理装置30と接続されており、各装置に対して動作指示を出力する。
【0038】
<乾燥空気製造処理について>
図15は、乾燥空気製造処理の一例を示している。図15に示す処理手順や処理内容は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。この乾燥空気製造処理は、本発明のドレン処理方法の一例である。
乾燥空気製造装置120は、たとえばポンプ(P1、P2)を含む原料ガス生成装置132を動作させて、原料空気を生成し(S31)、ガス供給管に流す。吸着タンク(AT1、AT2)では、原料ガスを取込んで吸着・再生処理(S32)を行う。再生処理は、吸着処理が終了したタンク側において行われる処理であって、原料ガスから分離された不要ガスをタンクから排出するとともに、吸着材に付着した不要ガスの排気処理などが含まれる。
また乾燥空気製造装置120は、たとえば所定のタイミングで開閉弁(SV6)を開閉させて、ドレントラップ(DT1)で分離されたドレンD(L)および圧縮空気の排出処理(S33)を行う。
気液分離装置34は、乾燥空気生成部122側から排出されたドレンD(L)と圧縮空気を分離させ(S34)、ドレンD(L)を気化装置32側に流し、圧縮空気を大気に放出させる。
気化装置32は、たとえば制御部140からの制御指示に基づき、ドレンの排出に連動してヒーター16や送風機をONさせ(S35)、気化したドレンD(A)の排気処理を行う(S36)。
【0039】
気化装置32は、たとえば乾燥空気生成部122側の原料ガス供給タイミングやドレントラップ(DT1)のドレン排出タイミングなどに連動して、ヒーター16や送風ファン70のON/OFF制御、温度監視処理などを行ってもよい。
また、気化装置32は、たとえば乾燥空気生成部122の制御部140の制御指示により直接制御されてもよい。
【0040】
〔第3の実施の形態の効果〕
斯かる構成によれば、次のいずれかの効果が期待できる。
(1) ドレンが発生する乾燥空気生成部122側の運転状態に基づいて、ドレン処理装置30側の動作制御を行うことで、ドレンが排出されるタイミングに合わせたヒーター16や送風ファン70の動作制御が行え、無駄な電力消費を抑えることができる。
(2) ガス生成処理で発生したドレンを気化して外部に排出させることができるので、設定されたドレンの排出部までドレンを流す管などの配置が不要であり、乾燥空気製造装置120の配置の自由度が高められる。
(3) 気化装置32においてドレンを十分に加熱し、気化させることで、ドレン排出による周囲環境への影響が抑えられ、乾燥空気製造装置120の信頼性の向上が図れる。
【0041】
〔その他の実施の形態〕
以上説明した実施の形態について、変形例を以下に列挙する。
(1) 上記実施の形態では、ヒーター16が載置板66の一部を加熱する場合を示したがこれに限らない。ヒーター16は、たとえば処理槽内部全面を加熱してもよい。すなわち、ドレン処理装置では、たとえば載置板66の一面側の全部とともに、ドレン処理槽10の内壁面の全部にヒーター16が設置され、ドレンDが流される処理槽内の全体を加熱してもよい。
【0042】
(2) 上記実施の形態では、ドレン処理槽として、天井側に開口部12を備え、底部側に封止部材である蓋部14や載置板66が設置され、この蓋部14または載置板66の一面に対して送風機18により風を当てて、反射した風によって気化したドレンを開口部側に排出する構成を示したがこれに限らない。ドレン処理槽10は、たとえば横向きに形成してもよい。すなわち、ドレン処理槽10は、たとえば左右方向に開口する筒状であり、一端側に開口部12が形成され、他端側に蓋部14や載置板66が設置されてもよい。そして、ヒーター16は、たとえば蓋部14や載置板66の一部または重力方向下方に配置されるドレン処理槽10の一部を加熱してもよい。そして、送風機18は、たとえばドレン処理槽10内において、ヒーター16が加熱する蓋部14や載置板66の一部に向けて風を当てて、その蓋部14や載置板66の一部で反射した風を気化したドレンとともに開口部側に流してもよい。
【0043】
(3) 上記実施の形態では、ドレンを発生させる装置として、乾燥空気製造装置、または乾燥空気生成部の構成を示したが、これに限らない。特定成分のガスを生成するとともに、このガスの生成によりドレンが生じるものであればよい。そしてこのように生成されるガス成分には、たとえば酸素や窒素、二酸化炭素などが含まれる。
【0044】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のドレン処理装置、その方法、乾燥空気製造装置、ドレン処理システムは、ガスの生成処理において発生するドレンを回収してドレン処理槽に流す。ドレン処理槽では、内部側に向けて送風機から送風することで、ドレンの気化を促すとともに、気化したドレンをこの風の流れに合せて開口部側に導くことで、ドレンを十分に気化させることができ、有用である。
【符号の説明】
【0046】
2、30 ドレン処理装置
4、120 乾燥空気製造装置
6、96 ドレン管
8 ドレン回収装置
10、60 ドレン処理槽
11 処理空間
12、62 開口部
14 蓋部
16 ヒーター
18 送風機
19 センサ
20 制御装置
32 気化装置
34 気液分離装置
36 側面パネル
38 天井パネル
40 前面パネル
42 窓部
44 処理部
46 ストッパ
48 表示部
50 接続端子部
52 電源スイッチ
56 ドレン管接続部
64 底板
66 載置板
68 支持部材
70 送風ファン
72 支持脚部
74 制御装置
76 封止部
78 パッキン
80 溝部
82A~82D 抵抗器
84 電力供給端子
86 温度センサ
90 気液分離部
92 気体排出管
94 ドレン排出管
98 サイレンサ
100 分離板
102、142 プロセッサ
104、144 メモリ
106、148 I/O
110 操作部
112 電源
122 乾燥空気生成部
124 側面筐体
126 載置部
128 振動吸収装置
130 載置板
132 原料ガス生成装置
134 ドレン管
136A~136C タンク
140 制御部
146 タイマ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15