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特許7281021調整可能な角度の照射を備えた投影システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】調整可能な角度の照射を備えた投影システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/08 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
G02B26/08 E
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022563471
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 US2021028827
(87)【国際公開番号】W WO2021216991
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】20171002.7
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/014,239
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ,マーティン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィス,トレヴァー
(72)【発明者】
【氏名】リピー,バーレット
(72)【発明者】
【氏名】ウェインライト,ネーサン ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ヘニガン,ダレン
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,ジョン デイヴィッド
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-84819(JP,A)
【文献】特開2014-83562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージデータに応答して光を発するよう構成される光源と、
第1ミラー及び第2ミラーを含み、前記光のステアリングを行うよう構成される照射光学システムと、
複数のマイクロミラーを含み、各々のマイクロミラーは、前記各々のマイクロミラーがオンポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオンステート光としてフィルタに反射し、前記各々のマイクロミラーがオフポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオフステート光として光ダンプに反射するよう構成される、デジタルマイクロミラーデバイスと、
前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの実際の角度と前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの期待される角度との間のずれを決定し、前記第1ミラーに対応する角度調整の第1の量及び前記第2ミラーの角度調整の第2の量を計算し、前記第1の量に従って前記第1ミラーを及び前記第2の量に従って前記第2ミラーを作動させて、前記デジタルマイクロミラーデバイスでの前記ステアリングされた光のポジション及び焦点を保ち、前記オンステート光を前記フィルタの中心から所定距離内に入射させるよう構成されるコントローラと
を有する投影システム。
【請求項2】
前記第1ミラーは、前記第2ミラーから光学的に上流に配置される、
請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記第1ミラーは、前記第2ミラーよりも小さい、
請求項2に記載の投影システム。
【請求項4】
前記第1の量及び前記第2の量は、前記ずれに比例する、
請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項5】
前記フィルタを更に有し、該フィルタは開口を含む、
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項6】
前記第1の量又は前記第2の量は、回転変位及び並進変位を含む、
請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項7】
イメージデータに応答して光を発するよう構成される光源と、第1ミラー及び第2ミラーを含み、前記光のステアリングを行うよう構成される照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含み、各々のマイクロミラーは、前記各々のマイクロミラーがオンポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオンステート光としてフィルタに反射し、前記各々のマイクロミラーがオフポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオフステート光として光ダンプに反射するよう構成される、デジタルマイクロミラーデバイスと、コントローラとを含む投影システムを較正する方法であって、
前記コントローラによって、
前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの実際の角度と前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの期待される角度との間のずれを決定することと、
前記第1ミラーに対応する角度調整の第1の量及び前記第2ミラーの角度調整の第2の量を計算することと、
前記第1の量に従って前記第1ミラーを及び前記第2の量に従って前記第2ミラーを作動させて、前記デジタルマイクロミラーデバイスでの前記ステアリングされた光のポジション及び焦点を保ち、前記オンステート光を前記フィルタの中心から所定距離内に入射させることと
を有する方法。
【請求項8】
前記ずれを決定することは、前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの角度を直接測定することを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ずれを決定することは、前記光源からの前記光で前記デジタルマイクロミラーデバイスを照らし、前記デジタルマイクロミラーデバイスから反射された光の出力角度を測定することを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の量及び前記第2の量を計算することは、前記ずれの量に基づきレイトレースを計算することを含む、
請求項7乃至9のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の量及び前記第2の量を計算することは、前記ずれの量に基づきルックアップテーブルを使用することを含む、
請求項7乃至9のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の量及び前記第2の量は、前記ずれに比例する、
請求項7乃至11のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの前記期待される角度は、前記オンポジションでは第1所定角度であり、前記オフポジションでは第2所定角度である、
請求項7乃至12のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1ミラーを作動させることは、前記第1ミラーを回転させ、前記第1ミラーを平行移動させることを含み、あるいは、
前記第2ミラーを作動させることは、前記第2ミラーを回転させ、前記第2ミラーを平行移動させることを含む、
請求項7乃至13のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
投影システムのプロセッサによって実行される場合に、前記投影システムに、請求項7乃至14のうちいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、投影システム及び投影システムの駆動方法に概して関係がある。
【背景技術】
【0002】
デジタル投影システムは、通常、光源及び光学システムを利用して、イメージを面又はスクリーンの上に投影する。光学システムは、ミラー、レンズ、導波路、光ファイバ、ビームスプリッタ、ディフューザ、空間光変調器(SLM)、などのような部品を含む。プロジェクタのコントラストは、プロジェクタの最も暗い出力に対するプロジェクタの最も明るい出力を示す。コントラスト比は、プロジェクタの最も暗い出力の輝度に対するプロジェクタの最も明るい出力の輝度の比として定義される、コントラストの定量化可能な指標である。コントラストのこの定義は、“スタティック”又は“ネイティブ”コントラスト比とも呼ばれる。
【0003】
いくつかの投影システムは、空間振幅変調を実装するSLMに基づいている。そのようなシステムでは、光源は、イメージ上で再現できる最も明るいレベルを具現化するライトフィールドを提供することができ、光は、所望のシーンレベルを生じさせるように減衰又は破棄される。このアーキテクチャに基づいた投影システムのいくつかの高コントラストの例は、コントラストを改善するよう投影光学系において半コリメート照射システム及びフーリエストップを使用する。そのようなアーキテクチャでは、SLMでの照射角度は、投影されるイメージの鮮明度及びコントラスト比への影響を含むがこれらに限られない、投影されるイメージへの実質的な影響を与える。
【発明の概要】
【0004】
本開示の様々な態様は、高コントラスト投影アーキテクチャを投影表示するデバイス、システム、及び方法に関係がある。
【0005】
本開示の1つの例示的な態様で、イメージデータに応答して光を発するよう構成される光源と、第1ミラー及び第2ミラーを含み、前記光のステアリングを行うよう構成される照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含み、各々のマイクロミラーは、前記各々のマイクロミラーがオンポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオンステート光としてフィルタに反射し、前記各々のマイクロミラーがオフポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオフステート光として光ダンプに反射するよう構成される、デジタルマイクロミラーデバイスと、前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの実際の角度と前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの期待される角度との間のずれを決定し、前記第1ミラーに対応する角度調整の第1の量及び前記第2ミラーの角度調整の第2の量を計算し、前記第1の量に従って前記第1ミラーを及び前記第2の量に従って前記第2ミラーを作動させて、前記デジタルマイクロミラーデバイスでの前記ステアリングされた光のポジション及び焦点を保ち、前記オンステート光を前記フィルタの中心から所定距離内に入射させるよう構成されるコントローラとを有する投影システムが提供される。
【0006】
本開示の他の例示的な態様で、イメージデータに応答して光を発するよう構成される光源と、第1ミラー及び第2ミラーを含み、前記光のステアリングを行うよう構成される照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含み、各々のマイクロミラーは、前記各々のマイクロミラーがオンポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオンステート光としてフィルタに反射し、前記各々のマイクロミラーがオフポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオフステート光として光ダンプに反射するよう構成される、デジタルマイクロミラーデバイスとを含む投影システムを較正する方法であって、前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの実際の角度と前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの期待される角度との間のずれを決定することと、前記第1ミラーに対応する角度調整の第1の量及び前記第2ミラーの角度調整の第2の量を計算することと、前記第1の量に従って前記第1ミラーを及び前記第2の量に従って前記第2ミラーを作動させて、前記デジタルマイクロミラーデバイスでの前記ステアリングされた光のポジション及び焦点を保ち、前記オンステート光を前記フィルタの中心から所定距離内に入射させることとを有する方法が提供される。
【0007】
本開示の他の例示的な態様で、イメージデータに応答して光を発するよう構成される光源と、第1ミラー及び第2ミラーを含み、前記光のステアリングを行うよう構成される照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含み、各々のマイクロミラーは、前記各々のマイクロミラーがオンポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオンステート光としてフィルタに反射し、前記各々のマイクロミラーがオフポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオフステート光として光ダンプに反射するよう構成される、デジタルマイクロミラーデバイスとを含む投影システムのプロセッサによって実行される場合に、投影システムに、前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの実際の角度と前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの期待される角度との間のずれを決定することと、前記第1ミラーに対応する角度調整の第1の量及び前記第2ミラーの角度調整の第2の量を計算することと、前記第1の量に従って前記第1ミラーを及び前記第2の量に従って前記第2ミラーを作動させて、前記デジタルマイクロミラーデバイスでの前記ステアリングされた光のポジション及び焦点を保ち、前記オンステート光を前記フィルタの中心から所定距離内に入射させることとを有する動作を実行させる命令を記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。
【0008】
このようにして、本開示の様々な態様は、光ダイナミックレンジ及び高解像度を有するイメージの表示を提供し、少なくともイメージ投影、ホログラフィ、信号処理、などの技術分野で改善をもたらす。
【0009】
様々な実施形態のこれら及び他の詳細かつ具体的な特徴は、添付の図面を参照して、以下の説明でより十分に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の様々な態様に係る例示的な投影システムのブロック図を表す。
図2A】本開示の様々な態様により使用される例示的な空間光変調器の図を表す。
図2B】本開示の様々な態様により使用される例示的な空間光変調器の図を表す。
図3A】本開示の様々な態様に従う例示的な投影システムでの例示的な光学状態を表す。
図3B】本開示の様々な態様に従う例示的な投影システムでの例示的な光学状態を表す。
図4図3A~3Bの例示的な光学システムでの例示的なアライメント方法を表す。
図5A図3A~3Bの例示的な光学システムでのミラー角度間の例示的な関係を表す。
図5B図3A~3Bの例示的な光学システムでのミラー角度間の例示的な関係を表す。
図6】本開示の様々な態様に従う他の例示的な投影システムでの例示的な光学状態を表す。
図7図6の例示的な光学システムにより使用される例示的なリンケージを表す。
図8図6の例示的な光学システムにより使用される他の例示的なリンケージを表す。
図9A図6の例示的な光学システムにより使用される他の例示的なリンケージについての例示的な光学状態を表す。
図9B図6の例示的な光学システムにより使用される他の例示的なリンケージについての例示的な光学状態を表す。
図10図6の例示的な光学システムの例示的な実施を表す。
図11図6の例示的な光学システムでの例示的なアライメント方法を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示及びその態様は、コンピュータにより実施される方法によって制御されるハードウェア、デバイス、又は回路、コンピュータプログラム製品、コンピュータシステム及びネットワーク、ユーザインターフェース、並びにアプケーションプログラミングインターフェースに加えて、ハードウェアにより実施される方法、信号処理回路、メモリアレイ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、などで具現化され得る。上記の概要は、本開示の様々な態様の一般的な考えを与えることのみを意図され、本開示の範囲を決して制限しない。
【0012】
以下の記載では、多数の詳細、例えば、光学デバイスの構成、タイミング、動作、などが、本開示の1つ以上の態様の理解をもたらすために説明されている。当業者には当然ながら、これらの具体的な詳細は単なる例示であり、本願の範囲を限定する意図はない。
【0013】
更に、本開示は主に、様々な回路がデジタル投影システムで使用される例に焦点を当てているが、これは実施の一例にすぎないことが理解されるだろう。更には、開示されるシステム及び方法は、光を投影する必要があるあらゆるデバイス、例えば、映画、消費者向け及び他の商用の投影システム、ヘッドアップディスプレイ、仮想現実ディスプレイ、などで使用され得る。
【0014】
[投影システム]
SLMに基づいた投影システムの光学系は、2つの部分、つまり、照射側(すなわち、SLMの光学的に上流)に位置している光学系、及び投影側(すなわち、SLMの光学的に下流)に位置している光学系、に広く分類され得る。SLM自体は、例えば二次元アレイで配置されている複数の変調要素を含む。個々の変調要素は、照射光学系から光を受け、光を投影光学系に伝える。いくつかの例で、SLMは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)として実装されてよく、これについては以下で更に詳細に説明する。一般に、しかしながら、DMDは、個々の反射要素のポジションに基づき選択的に投影光学系に向けて光を反射するか又は光を破棄する反射要素(マイクロミラー又は単に“ミラー”)の二次元アレイを含む。
【0015】
上述されたように、投影光学系において半コリメート照射システム及びフーリエストップを使用する高コントラスト投影システムは、DMDでの入射光の角度の違いによって大いに影響を及ぼされる可能性がある。投影されるイメージの劣化を防ぐために、投影システムは、DMDでの照射光学系の出力(例えば、インテグレイティングロッド又は他の一様補正デバイスから出力され、その後に1つ以上の反射要素によって反射された光)のポジション及び焦点を維持し、同時に、反射ビームを投影光学系の入力(例えば、フィルタ開口)の中心に保ち得る。しかし、DMDミラーの第1及び第2角度の正確なポジションは、製造又は他の公差の影響を受ける可能性があり、それにより、実際の第1及び第2角度はある程度ばらつく可能性がある。異なる物理的DMD間のDMDミラー角度の差違を補償し、ビームが適切に中心に配置されることを確かにするために、DMDから出る(例えば、それから反射する)光の角度を制御することができる。そのような制御は、DMDミラーの第1及び第2角度のばらつきに対してロバストでなければならない。角度変動に対するロバスト性は、DMDミラーによって反射される場合に、出射ビームが開口に対して常に公称設計出射角度になる(又は実質的にそのような角度になる)ように、DMDへのビームの入射の角度の調整を実装することによってもたらされ得る。更に、カラー投影システムでの各色チャネルは異なる角度要件を有する場合があるので、色ごとに調整を行うことが望ましい。
【0016】
このような高コントラスト投影システムのアーキテクチャは、適切な照射角度の調整及び維持に加えて、特定の制約を提供する場合がある。例えば、投影システムは、3つの色が再結合されるプリズム、及び/又はプリズムの前の折り畳みミラーを用いて、光学系及びプロジェクタ自体のフットプリントサイズを小さくすることができる。更に、照射光学系は開口の焦点をDMDの上に合わせるので、光学系は開口とDMDとの間に一定距離を保つよう制約される場合がある。更に、上述されたように、開口のイメージはDMDの中心に配置されるべきである。ここでは、DMDでのインテグレイティングロッド(又は他の一様補正デバイス)の焦点又はポジションを変化させずにDMDへの入力角度を調整可能な投影システムの例が記載される。
【0017】
図1は、本開示の様々な態様に従う例示的な高コントラスト投影システム100を表す。特に、図1は、第1の光102を発するよう構成される光源101と、第1の光102を受け、その向きを変えるか又はそれを別なふうに変更して、第2の光104を生成するよう構成される照射光学系103(本開示に従う照射光学システムの一例)と、第2の光104を受け、第3の光106として選択的にその向きを変え及び/又はそれを変調するよう構成されるDMD105と、第3の光106にフィルタをかけて、第4の光108を生成するよう構成されるフィルタ107と、第4の光108を受け、それを第5の光110としてスクリーン111の上に投影するよう構成される投影光学系109とを含む投影システム100を表す。
【0018】
実際の実施では、投影システム100に含まれる光学部品はより少なくてもよく、あるいは、投影システム100は、ミラー、レンズ、導波路、光ファイバ、ビームスプリッタ、ディフューザ、などのような追加の光学部品を含んでもよい。スクリーン111を除いて、図1に表されているコンポーネントは、投影デバイスを提供するよう筐体内に組み込まれてよい。そのような投影デバイスは、メモリ、入出力ポート、通信回路、電源、などのような追加のコンポーネントを含み得る。
【0019】
光源101は、例えば、レーザ光源、LED、などであってよい。一般的に、光源101は、コヒーレント光を発する任意の発光体である。本開示のいくつかの態様では、光源101は、異なる波長又は波長バンドに夫々対応する複数の個別的な発光体を有してもよい。光源101は、コントローラ112、例えば、投影システム100の中央演算処理装置(CPU)などの1つ以上のプロセッサによって供給されるイメージ画像に応答して、光を発する。イメージ信号は、続けざまに表示される複数のフレームに対応するイメージデータを含む。照射光学系103及び/又はDMD105を含む投影システム100内の個々の要素は、コントローラ112によって制御され得る。イメージ信号は、ストリーミング又はクラウドベース方式で外部ソースに由来しても、ハードディスクなどの投影システム100の内部メモリに由来しても、投影システム100へ動作可能に接続されているリムーバブル媒体に由来しても、それらの組み合わせであってもよい。
【0020】
図1は、概して直線的な光学経路を表すが、実際には、光学経路は一般的により複雑である。例えば、投影システム100において、照射光学系103からの第2の光104は、DMDミラーのステアリング角度によって決定される固定角度でDMDチップ105(又は複数のチップ)に向けられる。
【0021】
入射の角度の影響及びDMDミラーを説明するために、図2A~2Bは、本開示の様々な態様に従う例示的なDMD200を示す。図2AはDMD200の平面図を表し、図2BはDMD200の部分的な断面図を表す。DMD200は、基板204の上に二次元長方形アレイで配置された複数の正方マイクロミラー202を含む。いくつかの例で、DMD200は、テキサス・インスツルメントからのデジタルライトプロセッサ(DLP)であってよい。各マイクロミラー202は、結果として生ずる投影イメージの1ピクセルに対応してよく、マイクロミラー202の1つの特定のサブセットについて示されている回転軸208に関して静電気又は他の作動によって傾くよう構成され得る。個々のマイクロミラー202は幅212を有し、それらの間に幅210のギャップを有して配置される。マイクロミラー202は、アルミニウム又は銀などの反射率の高い任意の材料から形成されるか又はそのような材料でコーディングされ、それによって光を正反射し得る。マイクロミラー202の間のギャップは、ギャップに入った入力光が基板204によって吸収されるように、吸収性であってよい。
【0022】
図2Aは、いくつかの代表的なマイクロミラー202しか明示的に示していないが、実際には、DMD200は、投影システム100の解像度に等しい数で多数の更なる個別的なミラーを含み得る。いくつかの例で、解像度は、2K(2048×1080)、4K(4096×2160)、1080p(1920×1080)、コンシューマ4K(3840×2160)、などであってよい。更に、いくつかの例で、マイクロミラー202は長方形であり、長方形アレイで配置されても、六角形であり、六角形アレイで配置されても、他の多角形であり、他の多角形アレイで配置されてもよい。更に、図2Aは、斜め方向で延在する回転軸208を表すが、いくつかの実施では、回転軸208は垂直又は水平方向に延在してもよい。
【0023】
図2Bから明らかなように、各マイクロミラー202は、マイクロミラー202へ回転可能に接続されているヨーク214によって基板204へ接続され得る。基板204は複数の電極216を含む。マイクロミラー202ごとに2つの電極216しか図2Bの断面図では見ることができないが、各マイクロミラー202は、実際には、更なる電極を含んでもよい。図2Bでは特に表されていないが、DMD200は、スペーサ層、支持層、マイクロミラー202の高さ又は向きを制御するヒンジ部品、などを更に含んでもよい。基板204は、CMOSトランジスタ、メモリ素子、などのような、DMD200に関連した電子回路を含んでもよい。
【0024】
電極216の特定の動作及び制御に応じて、個々のマイクロミラー202は、“オン”ポジションと、“オフ”ポジションと、非作動又はニュートラルポジションとの間で切り替えられ得る。マイクロミラー202がオンポジションにある場合には、それは、入力光206をオンステート光218に正反射するように(例えば)-12°の角度まで作動される(つまり、ニュートラルポジションに対して12°だけ反時計回りに回転される)。マイクロミラー202がオフポジションにある場合には、それは、入力光206をオフステート光220に正反射するように(例えば)+12°の角度まで作動される(つまり、ニュートラルポジションに対して12°だけ時計回りに回転される)。オフステート光220は、オフステート光220を吸収する光ダンプの方に向けられ得る。いくつかの事例では、マイクロミラー202は作動されず、基板204と平行に横たわってもよい。図2A~2Bに表されておりここで記載されている特定の角度は、単なる例であって限定ではない。いくつかの実施では、オンポジション角度及びオフポジション角度は、夫々、±12から±13度の間(両端を含む。)であってよい。
【0025】
DMDミラーが光を反射又は破棄するために12°の角度傾斜を使用する図1の文脈中、第2の光104は24°の固定角度でDMDチップ105に向けられる。個々のミラーが第1所定角度(例えば、-12°)で傾けられるとき、ミラーはオン状態にあると見なされ、光をフィルタ107及び投影光学系109の方に向け直す。個々のミラーが第2所定角度(+12°)で傾けられるとき、ミラーはオフ状態にあると見なされ、光を、アクティブイメージエリアの外にある光ダンプに向け直す。
【0026】
スクリーン111上のイメージが許容可能な鮮明度及びコントラスト比を有することを確かにするために、照射光学系は、投影システム100におけるプリズム及び折り畳みミラーの存在にかかわらず、DMDチップ105への入射の角度が正確であること、開口焦点が保たれること、及び開口位置が保たれることを確かにするよう設計及び/又は制御され得る。
【0027】
[デュアルミラーアライメント制御システム]
本開示の1つの例示的な実施において、上記は、直列に配置された2つのミラーを使用することによって実現され得る。図3A~3Bは、本開示に従う部分的な光学システム300の例示的な光学状態を表す。
【0028】
特に、図3A~3Bは、インテグレイティングロッド301、第1の光302、照射レンズシステム303(1つ以上の個別的なレンズを有してよい。)、第2の光304、第1ミラー305、第3の光306、第2ミラー307、第4の光308、DMD309、第5の光310、開口311、及び第6の光312を表している。第1ミラー305及び第2ミラー307は両方とも角度調整のために構成される。第1ミラー305が第2ミラー307と比較して光学的に上流に位置している(従って、DMDから更に遠い)ので、第1ミラー305がその角度を変えるとき、第2ミラー307での第3の光306の位置は動く。このようにして、第1ミラー305は主に並進(つまり、実効的な並進機能)を提供するよう構成され、第2ミラー307は主に角度調整を提供するよう構成される。説明を目的として、図3A~3Bの部分的な光学システム300は、第1の光302が概ね水平方向に移動する向きで表されている。図3A~3Bに表されている様々な要素は、図1に表されている様々な要素(又は様々な要素の部分)に対応してよい。
【0029】
いくつかの例で、インテグレイティングロッド301は、第1の光302が第1の光102に対応するように、光源101の発光素子から光を受けて光を出力する光源101の部品であってよい。他の例では、インテグレイティングロッド301は、インテグレイティングロッド301が第1の光102を受け、それをインテグレートして第1の光302を形成するように、照射光学系103の部品であってよい。いくつかの例で、照射レンズシステム303、第1ミラー305、及び第2ミラー307は、第4の光308が第4の光108に対応するように、照射光学系103の部品である。第1ミラー305及び/又は第2ミラー307は、光を正反射するように、アルミニウム又は銀などの反射率が高い任意の材料から形成されるか又はそのような材料でコーディングされてよい。
【0030】
DMD309はDMD105に対応してよい。説明を簡単にするために、DMD309は平らな面として表されているが、実際には、DMD309は、同じ平面に沿って方向付けられても方向付けられなくてもよい複数の個別的な反射素子を含む。このようにして、DMD309は、DMD309の個別的な反射部品がオンポジション、オフポジション、又はニュートラルポジションにあるかどうかに応じて第4の光308(つまり、第4の光108)を選択的に反射し方向付けるために、図2A~2Bに表されているような構造を有してもよい。よって、第5の光310は第3の光106に対応し得る。いくつかの例で、開口311は、フィルタ107の部品であってよく、それによって、フィルタをかけられた照射を投影光学系に供給する。これは図3A~3Bに表されていない。適切なコントラスト比及び画像鮮明度を提供するために、第5の光310は開口311の中心に位置すべきである。
【0031】
図3Aに表されている状態では、DMD309の面は12.5°(垂直からの測定)の角度で方向付けられている。第5の光310が開口311の中心に位置することを確かにするために、次いで、第1ミラー305及び第2ミラー307は夫々45°の角度で方向付けられる。第1の光302は、インテグレイティングロッド301から照射レンズシステム303へ水平な光軸に沿って移動する。実際に、第1の光302は移動するにつれて広がって、照射レンズシステム303の面で非ゼロの立体角を定める。照射レンズシステム303は、第2の光304が、照射レンズシステム303の出口からDMD309と同じ光学距離である仮想ポイントで焦点を合わせられるように、第1の光302の像をDMD309の上で取得するよう構成される。言い換えると、照射レンズシステム303の焦点は、第2の光304、第3の光306、及び第4の光308の光学経路距離の和に略等しい距離に位置する。
【0032】
第2の光304は第1ミラー305によって正反射され、それにより、第3の光306は第2ミラー307の方に垂直方向で移動する。第3の光306は第2ミラー307によって正反射され、それにより、第4の光308はDMD309の方に水平方向で移動する。DMD309で、第4の光308は、第5の光310として開口311の中心に向かって反射される。
【0033】
実際には、しかしながら、DMD309の向きの角度のいくらかのずれが、開口311での第5の光310の入射のポイントにシフトを生じさせる。このシフトは、第1ミラー305及び第2ミラー307を調整することによって対抗され得る。図3Bはそのような対抗手段を表す。
【0034】
図3Bに表されている状態では、DMD309の面は10.5°(垂直からの測定)の角度で方向付けられている。この角度は、図3Aに表されている状態とは2°異なっている。この角度の違いは、視覚化での説明を簡単にするために与えられており、実際の実施では、DMD309の製造及び他の公差により、およそ0.5°以下の角度差が生じる可能性がある。DMD309の向きの変化に適応するために、DMD309への第4の光308の入力角度が変更され得る。これは、第1ミラー305及び第2ミラー307を適切に調整することによって達成され得る。
【0035】
調整は、第1ミラー305がビームを左に動かすよう傾けられるように行われる。図3Bに表されている実際の例では、第1ミラー305は、図3Aでのポジションに対して反時計回りに0.5°傾斜調整される。第2ミラー307は、ビームを上に動かすよう傾けられ、これは、図3Aでのポジションに対して反時計回りに1.5°傾斜調整することに対応する。一緒に、これらの傾斜調整は、第5の光310が開口311の中心にとどまるように、DMD309の向きのずれに適応する。第1ミラー305及び第2ミラー307は、例えば、サーボモータによって、作動されてもよい。
【0036】
第1ミラー305及び第2ミラー307に対する調整は、投影システム100の較正中に行われてよい。較正はリアルタイムで(例えば、投影システム100の設置後かつイメージ投影の前又はその間)又は製造中に行われてよい。
【0037】
[デュアルミラーアライメントモデル]
図4は、図3A~3Bに表されている部分的な光学システム300の較正中に実行され得る例示的なアライメント方法を表す。図4のアライメント方法は、自動的に、例えば、以下で更に詳細に説明されるコンピュータプログラムを通じて、実行されてもよい。
【0038】
動作401で、アライメント方法は、DMD309の向きの角度、又は期待される角度からの向きの角度のずれを決定する。向きの角度は、例えば、投影システム100におけるDMD309の向きの角度を物理的に測定することによって、直接に決定されてよい。追加的に、又は代替的に、向きの角度は、例えば、既知の角度でDMD309に照射して、反射された光の出力角度を測定することによって、間接的に決定されてもよい。いくつかの実施では、動作401は、DMD309がそのプリズムアセンブリに設置される前に試験装置で実行されてもよい。
【0039】
動作402で、アライメント方法は、DMD309の向き(又はずれ)の測定された角度に基づき、第1ミラー305及び第2ミラー307に対する角度調整の適切な量を計算する。角度調整の適切な量は、第5の光310を開口311の中心に配置する量であってよい。動作402の計算は、単一の入力(DMD309の向きの角度、又は期待される角度に対するDMD309の向きの角度)を受け取り、第1ミラー305及び第2ミラー307の方向付けの角度を出力するコンピュータプログラムの使用を通じて、行われてよい。例示的な計算プロセスは、レイトレーシングを実行するようMATLAB(登録商標)様の擬似コードで表1に表されている、DMD309の向きの角度と期待される角度との間の差(“dmddeltheta”)を入力としてとる。
【表1】
【0040】
表1の計算は、第1ミラー305の向きの調整された角度(“farmirrortheta”)、第2ミラー307の向きの調整された角度(“nearmirrortheta”)、及び焦点の変化(“deltafocus”)を出力する。焦点の変化は、ある程度の焦点ぼけ(defocus)を生じさせる可能性があるが、投影システム100のf値に応じて、焦点の変化は検出可能でない場合がある。表1の計算の入力及び出力は、図5Aに表されている。更に、図5Bは、量farmirrortheta(501)及びnearmirrortheta(502)をdmddelthetaの関数として表す。図5A~5Bは、farmirrorthetaの大きさがゼロから0.1267度の間にあり、nearmirrorthetaの大きさがゼロから0.3737度の間にある例を表すが、本開示はそのように制限されない。いくつかの例で(第1ミラー305及び第2ミラー307の相対位置に応じて)、farmirrorthetaの大きさはゼロから0.2度の間であってよく、nearmirrorthetaの大きさはゼロから0.6度の間であってよい。
【0041】
図5Aから分かるように、システムの焦点に対する如何なる変化も小さい(2μm以下)。焦点のシフトは、システムパラメータに応じて、変化が~20μmを超えるまで明らかにならない場合があり、一般的に、f値が小さい投影システムでより顕著である。いくつかの実施で、投影システム100はf15以上のf値を有する。そのような実施では、システム100の焦点に対する影響は検出不可能である。しかしながら、投影システム100が非常に小さいf値を有する場合に、一例で、第1ミラー305又は第2ミラー307の少なくとも一方は、その回転に加えて平行移動すべきである。他の例では、第1の光302の光軸に沿った照射レンズシステム303のポジションが、焦点を保つよう調整されてもよい。
【0042】
動作402の計算は、較正の時点で実行されてよく、あるいは、事前に実行されて、投影システム100に関連したルックアップテーブルに格納されてもよい。そのような実施では、較正方法は、表1に表されている演算を実行することによってではなく、ルックアップテーブルを参照することによって、適切なミラー角度調整を計算してもよい。
【0043】
動作402の上記の計算の後、アライメント方法は、計算された向きをミラーに与えるように動作403でミラーを作動させる。この作動は、ステッピングモータ、サーボモータ、又は他の適切な調整メカニズムを用いて実装されてよい。いくつかの例で、作動は、図1のコントローラ112の制御下で実行される。他の例では、作動は、手動制御の下で実行される。
【0044】
[機械的なピボットアライメントの制御システム]
図3A~5Bは、投影システム100のデュアルミラー実装を表すが、本開示はそのように制限されない。本開示の他の例示的な実施では、上記は、単一のミラーを使用すること、かつ、ミラーの角度及びそのポジションの両方を調整することによって、実現されてもよい。
【0045】
かような任意の実施で、ミラーのポジションの変化は、開口の焦点の変化を生じさせる。そのようなものとして、照射光学系103は、角度調整ごとに焦点を再び合わせられるべきである。しかし、焦点調整は、ミラーの適切なポジションにも小さな変化をもたらすので、複数回の調整が、焦点、ポジション、及び角度の適切な組み合わせを達成するために実施されてもよい。
【0046】
図6は、本開示に従う部分的な光学システム600を表す。特に、図6は、照射レンズシステム601(1つ以上の個別的なレンズを有してよい。)、第1の光602、ミラー603、第2の光604、DMD605、第3の光606、仮想光経路607、及び仮想ピボットポイント(virtual pivot point)608を表す。説明のために、図6の部分的な光学システム600は、第1の光602が概ね垂直方向に移動する向きで表されている。図6に表されている様々な要素は、図1に表されている様々な要素(又は様々な要素の部分)に対応してよい。
【0047】
いくつかの構成要素の中で、照射レンズシステム601は、照射光学系103内の上流の光学部品から第1の光102又は中間光のどちらかを受ける照射光学系103の部品であってよい。照射レンズシステム601は、受け取った光を第1の光602としてミラー603へ伝える。ミラー603は、アルミニウム又は銀などの反射率の高い任意の反射材料から形成されるか又はそのような材料でコーディングされて、第1の光602を第2の光604として正反射し得る。
【0048】
DMD605はDMD105に対応してよい。説明を簡単にするために、DMD605は平らな面として表されているが、実際には、DMD605は、同じ平面に沿って方向付けられても方向付けられなくてもよい複数の個別的な反射素子を含む。このようにして、DMD605は、DMD605の個別的な反射部品がオンポジション、オフポジション、又はニュートラルポジションにあるかどうかに応じて第2の光604を選択的に反射し方向付けるために、図2A~2Bに表されているような構造を有してもよい。よって、第3の光606は第3の光106に対応してよく、適切なコントラスト比及び画像鮮明度を提供するために、下流の部品に向けられてその中心に合わせられ得る。
【0049】
比較例では、ミラーが存在せず、よって、照射光学系からの光学経路が正しい角度かつ正しい焦点で照射開口からDMDへ直接に進み、システムが、DMDの面の中心に位置している単軸ピボットポイントをコンポーネントが有している構成を有している場合に、照射の角度は、開口イメージのポジション又は焦点に影響を及ぼさずに調整される。しかし、この比較例は、ミラー(例えば、折り畳みミラー又はプリズム内の全内部反射)を含む構成では実際的でない。従って、そのようなピボットの効果を再現するために、図6は、仮想ピボットシミュレーションを更に表す。
【0050】
図6では、DMD605の個別的な反射素子が単一の軸を中心に旋回するので、かつ、十分なコントラスト比及び投影イメージの鮮明度が様々なミラーピボット角度の補正に依存するので、DMD605に入射する光の光学経路は同様に、同じ単一の軸の周りのみを旋回し得る。これを説明するために、図6は、仮想光経路607及び仮想ピボットポイント608を更に示す。仮想光経路607は、ミラー603が存在しなかった場合に、第1の光602の軌跡をたどる。仮想ピボットポイント608は、DMD605の面を表すが、その上に物理的に位置していない。図6は、1つの反射素子しか光学経路に存在しない例を表すが仮想ピボットポイント608は、全ての反射を展開することによって(例えば、複数の仮想光経路を決定し利用することによって)、複数の反射素子(例えば、ミラー、全内部反射プリズム、など)を備えたシステムでさえ見つけられ得る。いずれの場合にも、第1の光602の源(例えば、照射レンズシステム601)が仮想ピボットポイントの周りを物理的に回転する場合に、位置及び焦点は、DMD605の反射面の角度が調整されるときに変化しない。機械的なリンケージが、この回転を達成するために使用されてもよい。
【0051】
図7は、1つの例示的な機械的リンケージ構成を表す。図7(及びその後の図)において、黒丸は、固定位置を有するコネクタヒンジを表しており、「地面に固定」されているヒンジと呼ばれ得る。白丸は、自由に移動することができるコネクタヒンジを表している。よって、図7は、第1固定コネクタヒンジ701、第2固定コネクタヒンジ702、第1固定コネクタヒンジ701に接続された第1端部を備えた第1コネクタ711、第2固定コネクタヒンジ702に接続された第1端部を備えた第2コネクタ712、第1コネクタ711の第2端部に接続された第1自由ヒンジ721、第2コネクタ712の第2端部に接続された第2自由ヒンジ722、キャリア本体731、及び第3自由ヒンジと一致し得るピボットポイント741を表す。第1コネクタ711、第2コネクタ712、及びキャリア本体731は剛体である。図7の左部分では、キャリア本体731は、調整されていない構成である。そのような構成では、第1コネクタ711及び第2コネクタ712は、ピボットポイント位置に向けられている。図7の右部分では、キャリア本体731は、所望の回転を提供して、DMD605の向きの角度に適応するように、反時計回りに回転されている。
【0052】
ピボットポイント741の位置は、反時計回りの回転の結果としてわずかな量しか動かない。焦点ポジションの変化の量は、第1コネクタ711及び第2コネクタ712の夫々の長さに依存し、ピボットポイントの位置の変化の量は、リンケージ実装の特定の形状に依存する。
【0053】
図8は、他の例示的なリンケージ800を表す。図8は、第1固定コネクタヒンジ801、第2固定コネクタヒンジ802、第1固定コネクタヒンジ801に接続された第1端部を備えた第1コネクタ811、第2固定コネクタヒンジ802に接続された第1端部を備えた第2コネクタ812、第1コネクタ811の第2端部に接続された第1自由ヒンジ821、第2コネクタ812の第2端部に接続された第2自由ヒンジ822、キャリア本体831、及びピボットポイント841を表す。第1コネクタ811、第2コネクタ812、及びキャリア本体831は剛体である。キャリア本体831は、おおむね棺のような形状を有している。しかし、ピボットポイント841は光学面の一部であってはならないので、実際には、キャリア本体831の最上部は切り取られてよい(図8では破線で表されている。)。1つの特定の例では、図8の例示的なリンケージ構成を含むシステムの光学経路は、約500mmの光学経路を有しており、これは、対角約35mmであるDシネマDMDデバイスのための最小実用長に近い。
【0054】
図8のリンケージ800は、駆動メカニズム851、駆動ヒンジ852、及び駆動ヒンジ852とキャリア本体831の下部頂点との間に延在する駆動コネクタ853の組み合わせによって駆動される。駆動コネクタ853を介してキャリア本体831に伝えられる駆動メカニズムのアクションは、キャリア本体831の平行移動をもたらす。図7に表されているリンケージと比較して、図8に表されているリンケージ800は、ピボットポイント841の位置のより一層わずかな量の変化しか引き起こさない。1つの特定の例では、0から0.5°までの光学経路の角度シフト(例えば、DMDの反射素子の向きの角度の変化の結果として。)に適応するよう適用された回転は、0.06μmのピボットポイントの平行移動をも生じさせ得る。そのような平行移動は検出不可能である。焦点のポジションシフトはより大きくなる場合があり(例えば、~13μm)、これは、f20又はf15のf値を有する光学システムでは検出不可能である可能性がある。いずれにせよ、DMDの性質及びアーキテクチャは、それら自体が焦点変化の影響を緩和し、エッジへの影響を制限し得る。
【0055】
実際の実施では、ベアリング(例えば、図7~8に示されるヒンジの様々なヒンジのベアリング)の遊びの効果は、それ自体が仮想ピボットポイントのポジションに影響を与える可能性がある。しかしながら、これは、リンケージがベアリングの遊びに対してより寛容になるようにリンケージの形状を変更することによって緩和され得る。図9A~9Bは、リンケージ900のそのような形状の1つのそのような例を表す。
【0056】
図9A~Bは、第1固定コネクタヒンジ901、第2固定コネクタヒンジ902、第1固定コネクタヒンジ901に接続された第1端部を備えた第1コネクタ911、第2固定コネクタヒンジ902に接続された第1端部を備えた第2コネクタ912、第1コネクタ911の第2端部に接続された第1自由ヒンジ921、第2コネクタ912の第2端部に接続された第2自由ヒンジ922、キャリア本体931、及びピボットポイント941を表す。第1コネクタ911、第2コネクタ912、及びキャリア本体931は剛体である。キャリア本体931は、おおむね棺のような形状を有している。しかしながら、ピボットポイント941は光学面の一部であってはならないから、実際には、キャリア本体931の最上部は切り取られてよい(図9A~Bでは破線で表されている。)。図9Aは、回転されていないポジションでのリンケージ900を表し、図9Bは、回転されたポジションでのリンケージ900を表す。
【0057】
リンケージ900は、駆動メカニズム951、駆動ヒンジ952、及び駆動ヒンジ952とキャリア本体931の下部頂点との間に延在する駆動コネクタ953の組み合わせによって駆動される。駆動コネクタ953を介してキャリア本体931に伝えられる駆動メカニズムのアクションは、キャリア本体931の平行移動をもたらす。
【0058】
図8のリンケージ800と比較して、第1コネクタと第2コネクタとの間の角度(図9A~9Bでは、第1コネクタ911と第2コネクタ912との間の角度)がより大きい。角度の増大は、リンケージ900のベアリングの遊びに対する許容誤差を最大45度の角度まで増やす。これは、図9A~Bに表されている第1コネクタ911と第2コネクタ912との間の特定の角度である。しかし、この変化により、焦点の変化がわずかにより大きくなる可能性がある(例えば、16μm対13μm)。この増大により焦点の変化が顕著になる場合に、第1コネクタ911及び第2コネクタ912の長さは補償するよう増やされてもよく、一方で、それらの間の角度は保たれる。第1コネクタ911及び第2コネクタ912の長さの増大の量は、第1コネクタ911及び第2コネクタ912の材料の熱膨張係数によって制限される場合がある。
【0059】
リンケージ900におけるベアリングの遊びの量を更に減らすために、ベアリングに予荷重を加えることが可能である。軸方向の予荷重(例えば、ピボットポイントごとに2つのベアリングがある。)に加えて、一方の端部でキャリア本体931の底面に取り付けられ、他方の端部で固定点(例えば、地面)に取り付けられるバネを加えることが可能である。いくつかの例で、キャリア本体931は、調整後にボルト(又は他の締結機構)がリンケージ900を適所に固定することを可能にするようスロットを設けられる。いくつかの例で、スロットは、第1コネクタ911と第2コネクタ912との間に直線で設けられてもよい。
【0060】
いくつかの実施では、光学システム100は、10°から40°の間の第1及び第2コネクタ間の角度と、必要とされる焦点を保つのに十分な長さとで、図8及び図9A~9Bに表されている形状に類似した棺のような形状を有しているリンケージを含む。1つの特定の例では、角度は30°であり、長さは500mm以上である。
【0061】
使用される特定のリンケージアーキテクチャにかかわらず、図6に表されているような要素を含むがそれらに限られない照射光学系103の様々な部分が、キャリア本体に取り付けられてもよい。図10は、図9A~9Bのリンケージ900を使用するそのような構成の1つのかような例を表す。図10において、部分的な光学システム1000は、図9に表されているリンケージを含み、インテグレイティングロッド1001及び照射レンズシステム1002がキャリア本体931に取り付けられる。いくつかの例で、インテグレイティングロッド1001は、光源101の発光素子から光を受ける光源101の部品であってよい。しかし、他の例では、インテグレイティングロッド1001は、照射光学系103の部品であってもよい。フライアイ(fly’s eye)アセンブリなどの均一な照射を作り出すための他の方法が、インテグレイティングロッドの代わりに使用されてもよい。
【0062】
DMD605の角度のずれを補償するためのリンケージに対する調整は、投影システム100の較正中に行われてもよい。較正は、リアルタイムで(例えば、投影システム100の設置後かつイメージ投影の前又はその間)又は製造中に行われてよい。
【0063】
[機械的なピボットアライメントの方法]
図11は、図10に表されている部分的な光学システム1000の較正中に行われ得る例示的なアライメント方法を表す。図11のアライメント方法は、部分的に又は全体的に、自動化されたプロシージャとして実行されてよい。
【0064】
動作1101で、アライメントは、DMD605の向きの角度を決定する。向きの角度は、例えば、投影システム100におけるDMD605の向きの角度を物理的に測定することによって、直接に決定されてよい。追加的に、又は代替的に、向きの角度は、例えば、既知の角度でDMD605に照射して、反射された光の出力角度を測定することによって、間接的に決定されてもよい。いくつかの実施では、動作1101は、DMD605がそのプリズムアセンブリに設置される前に試験装置で実行されてもよい。
【0065】
動作1102で、アライメント方法は、DMD605の向きの測定された角度に基づき、リンケージ900に対する適切なリンケージ調整を計算する。動作1102は、最初に、キャリア本体931に対して行われるべき適切な回転及び/又は並進調整を計算し、次いで、そのような回転及び/又は並進調整を引き起こすリンケージ900の対応するリンケージ調整を決定することを含んでよい。
【0066】
動作1102の計算は、較正の時点で実行されてよく、あるいは、事前に実行されて、投影システム100に関連したルックアップテーブルに格納されてもよい。そのような実施では、較正方法は、較正の時点で計算を実行することによってではなく、ルックアップテーブルを参照することによって、適切な回転及び/又は並進調整を計算してもよい。他の例では、較正方法は、較正の時点で適切な回転及び/又は並進調整を計算してもよく、ルックアップテーブルを使用して、対応するリンケージ調整を決定してもよい。
【0067】
動作1102の上記の計算の後、アライメント方法は、計算された姿勢をリンケージに与えるように動作1103でリンケージを駆動する。この作動は、ステッピングモータ、サーボモータ、又は他の適切な調整メカニズムを駆動メカニズム951として使用することによって、実装されてよい。駆動メカニズム951は、図1に表されているコントローラ112によって制御されてよい。動作1103は、リンケージが適切な姿勢に駆動された後でリンケージを固定することを更に含む。いくつかの例で、リンケージの固定及び/又は調整は手動で行われてもよい。
【0068】
[効果]
上記の投影システム及び較正方法は、適切な照射角度を調整及び維持し、開口の焦点を保ち、開口の位置を保ち、かつ、プリズム及び折り畳みミラーを使用するアーキテクチャでこれら全てを実行することができる照射光学系を備えた構成を提供し得る。
【0069】
本開示に係るシステム、方法、及びデバイスは、次の構成のうちのいずれか1つ以上をとり得る。
【0070】
(1)イメージデータに応答して光を発するよう構成される光源と、第1ミラー及び第2ミラーを含み、前記光のステアリングを行うよう構成される照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含み、各々のマイクロミラーは、前記各々のマイクロミラーがオンポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオンステート光としてフィルタに反射し、前記各々のマイクロミラーがオフポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオフステート光として光ダンプに反射するよう構成される、デジタルマイクロミラーデバイスと、前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの実際の角度と前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの期待される角度との間のずれを決定し、前記第1ミラーに対応する角度調整の第1の量及び前記第2ミラーの角度調整の第2の量を計算し、前記第1の量に従って前記第1ミラーを及び前記第2の量に従って前記第2ミラーを作動させて、前記デジタルマイクロミラーデバイスでの前記ステアリングされた光のポジション及び焦点を保ち、前記オンステート光を前記フィルタの中心から所定距離内に入射させるよう構成されるコントローラとを有する投影システム。
【0071】
(2)(1)に係る投影システムであって、前記第1ミラーは、前記第2ミラーから光学的に上流に配置される、投影システム。
【0072】
(3)(2)に係る投影システムであって、前記第1ミラーは、前記第2ミラーよりも小さい、投影システム。
【0073】
(4)(1)乃至(3)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記第1の量及び前記第2の量は、前記ずれに比例する、投影システム。
【0074】
(5)(1)乃至(4)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記フィルタを更に有し、該フィルタは開口を含む、投影システム。
【0075】
(6)(1)乃至(5)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記第1の量は、ゼロから0.2°の間である、投影システム。
【0076】
(7)(1)乃至(6)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記第2の量は、ゼロから0.6°の間である、投影システム。
【0077】
(8)(1)乃至(7)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、当該投影システムのf値は、f15以上である、投影システム。
【0078】
(9)(1)乃至(8)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記デジタルマイクロミラーデバイスでの前記ステアリングされた光のポジションは、20μm内に保たれる、投影システム。
【0079】
(10)(1)乃至(9)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記第1の量又は前記第2の量は、回転変位及び並進変位を含む、投影システム。
【0080】
(11)イメージデータに応答して光を発するよう構成される光源と、第1ミラー及び第2ミラーを含み、前記光のステアリングを行うよう構成される照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含み、各々のマイクロミラーは、前記各々のマイクロミラーがオンポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオンステート光としてフィルタに反射し、前記各々のマイクロミラーがオフポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオフステート光として光ダンプに反射するよう構成される、デジタルマイクロミラーデバイスとを含む投影システムを較正する方法であって、
前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの実際の角度と前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの期待される角度との間のずれを決定することと、
前記第1ミラーに対応する角度調整の第1の量及び前記第2ミラーの角度調整の第2の量を計算することと、
前記第1の量に従って前記第1ミラーを及び前記第2の量に従って前記第2ミラーを作動させて、前記デジタルマイクロミラーデバイスでの前記ステアリングされた光のポジション及び焦点を保ち、前記オンステート光を前記フィルタの中心から所定距離内に入射させることと
を有する方法。
【0081】
(12)(11)に係る方法であって、前記ずれを決定することは、前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの角度を直接測定することを含む、方法。
【0082】
(13)(11)又は(12)に係る方法であって、前記ずれを決定することは、前記光源からの前記光で前記デジタルマイクロミラーデバイスを照らし、前記デジタルマイクロミラーデバイスから反射された光の出力角度を測定することを含む、方法。
【0083】
(14)(11)乃至(13)のうちいずれか1つに係る方法であって、前記第1の量及び前記第2の量を計算することは、前記ずれの量に基づきレイトレースを計算することを含む、方法。
【0084】
(15)(11)乃至(14)のうちいずれか1つに係る方法であって、前記第1の量及び前記第2の量を計算することは、前記ずれの量に基づきルックアップテーブルを使用することを含む、方法。
【0085】
(16)(11)乃至(15)のうちいずれか1つに係る方法であって、前記第1の量及び前記第2の量は、前記ずれに比例する、方法。
【0086】
(17)(11)乃至(16)のうちいずれか1つに係る方法であって、前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの前記期待される角度は、前記オンポジションでは第1所定角度であり、前記オフポジションでは第2所定角度である、方法。
【0087】
(18)(11)乃至(17)のうちいずれか1つに係る方法であって、前記デジタルマイクロミラーデバイスでの前記ステアリングされた光のポジションは、20μm内に保たれる、方法。
【0088】
(19)(11)乃至(18)のうちいずれか1つに係る方法であって、前記第1ミラーを作動させることは、前記第1ミラーを回転させ、前記第1ミラーを平行移動させることを含み、あるいは、前記第2ミラーを作動させることは、前記第2ミラーを回転させ、前記第2ミラーを平行移動させることを含む、方法。
【0089】
(20)投影システムのプロセッサによって実行される場合に、前記投影システムに、(11)乃至(19)のうちいずれか1つに係る方法を実行させる命令を記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0090】
(21)イメージデータに応答して光を発するよう構成される光源と、ミラー及びリンケージを含み、前記光のステアリングを行うよう構成される照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含み、各々のマイクロミラーは、前記各々のマイクロミラーがオンポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオンステート光としてフィルタに反射し、前記各々のマイクロミラーがオフポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオフステート光として光ダンプに反射するよう構成される、デジタルマイクロミラーデバイスと、開口を含む前記フィルタと、前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの実際の角度と前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの期待される角度との間のずれを決定し、前記リンケージの調整量を計算し、該調整量に従って前記リンケージを作動させて、前記デジタルマイクロミラーデバイスでの前記ステアリングされた光のポジション及び焦点を保ち、前記反射された光を前記開口の中心から所定距離内に入射させるよう構成されるコントローラとを有する投影システム。
【0091】
(22)(21)に係る投影システムであって、前記コントローラは、ピボットポイントの周りを旋回するように前記リンケージを作動させるよう構成される、投影システム。
【0092】
(23)(22)に係る投影システムであって、前記ピボットポイントは、反射がない場合の前記デジタルマイクロミラーデバイスの仮想位置に対応する、投影システム。
【0093】
(24)(21)乃至(23)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記リンケージは、キャリア本体、第1コネクタ、及び第2コネクタを含む、投影システム。
【0094】
(25)(24)に係る投影システムであって、前記第1コネクタは、第1固定ヒンジに取り付けられた第1端部と、第1自由ヒンジに取り付けられた第2端部とを含み、
前記第1自由ヒンジは前記キャリア本体に位置している、投影システム。
【0095】
(26)(24)又は(25)に係る投影システムであって、前記第2コネクタは、第2固定ヒンジに取り付けられた第1端部と、第2自由ヒンジに取り付けられた第2端部とを含み、
前記第2自由ヒンジは前記キャリア本体に位置している、投影システム。
【0096】
(27)(24)乃至(26)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタによって形成された角度は、10°から40°の間である、投影システム。
【0097】
(28)(24)乃至(27)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタによって形成された角度は、30°である、投影システム。
【0098】
(29)(24)乃至(27)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの各々の長さは、500mm以上である、投影システム。
【0099】
(30)(24)乃至(29)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記リンケージは、前記キャリア本体を作動させるよう構成される駆動メカニズムを更に含む、投影システム。
【0100】
(31)(24)乃至(30)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、インテグレイティングロッドが前記キャリア本体に取り付けられる、投影システム。
【0101】
(32)(24)乃至(31)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記キャリア本体は、棺のような形状を有する、投影システム。
【0102】
(33)(21)乃至(32)のうちいずれか1つに係る投影システムであって、前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの前記期待される角度は、前記オンポジションでは第1所定角度であり、前記オフポジションでは第2所定角度である、投影システム。
【0103】
(34)イメージデータに応答して光を発するよう構成される光源と、ミラー及びリンケージを含み、前記光のステアリングを行うよう構成される照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含み、各々のマイクロミラーは、前記各々のマイクロミラーがオンポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオンステート光としてフィルタに反射し、前記各々のマイクロミラーがオフポジションにある場合に、前記ステアリングされた光をオフステート光として光ダンプに反射するよう構成される、デジタルマイクロミラーデバイスと、開口を含む前記フィルタとを含む投影システムを較正する方法であって、
前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの実際の角度と前記デジタルマイクロミラーデバイスの向きの期待される角度との間のずれを決定することと、
前記リンケージの調整量を計算することと、
前記調整量に従って前記リンケージを作動させて、前記デジタルマイクロミラーデバイスでの前記ステアリングされた光のポジション及び焦点を保ち、前記反射された光を前記開口の中心から所定距離内に入射させることと
を有する方法。
【0104】
(35)(34)に係る方法であって、前記作動の後の姿勢で前記リンケージを固定することを更に有する、方法。
【0105】
(36)(34)又は(35)に係る方法であって、前記リンケージを作動させることは、前記リンケージをピボットポイントの周りで旋回させることを含む、方法。
【0106】
(37)(36)に係る方法であって、前記ピボットポイントは、反射がない場合の前記デジタルマイクロミラーデバイスの仮想位置に対応する、方法。
【0107】
(38)(34)乃至(37)のうちいずれか1つに係る方法であって、前記リンケージは、駆動メカニズムにより前記キャリア本体を作動させることを含む、方法。
【0108】
(39)(34)乃至(38)のうちいずれか1つに係る方法であって、前記調整量を計算することは、前記リンケージのキャリア本体に行われる回転、並進、又は回転及び並進調整を計算し、該回転、並進、又は回転及び並進調整に対応する前記調整量の値を決定することを含む、方法。
【0109】
(40)投影システムのプロセッサによって実行される場合に、前記投影システムに、(34)乃至(39)のうちいずれか1つに係る方法を実行させる命令を記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0110】
ここで記載されているプロセス、システム、方法、ヒューリスティクス、などに関して、そのようなプロセスなどのステップは、特定の順序のシーケンスに従って行われるものとして記載されているが、そのようなプロセスは、記載されているステップがここで記載されている順序以外の他の順序で実行されることで実施されてもよいことが理解されるべきである。更には、特定のステップが同時に実行されても、他のステップが加えられても、又はここで記載されている特定のステップが削除されてもよいことが理解されるべきである。言い換えると、ここでのプロセスの記載は、特定の実施形態を説明するために与えられており、特許請求の範囲を限定するように決して解釈されるべきではない。
【0111】
従って、上記の説明は例示であって限定でないよう意図されることが理解されるべきである。与えられている例以外の多くの実施形態及び応用は、上記の説明を読むことで明らかであろう。範囲は、上記の説明を参照せずに決定されるべきであり、しかし、代わりに、添付の特許請求の範囲及びそのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等の全範囲を参照して決定されるべきである。ここで論じられている技術において将来の発展が起こり、開示されているシステム及び方法がそのような将来の実施形態に組み込まれることが予想され、意図される。要するに、本願は変更及び変形が可能であることが理解されるべきである。
【0112】
特許請求の範囲で使用されている全ての用語は、本明細書で反対の明示的な指示がない限り、本明細書で説明される技術の知識を有する者によって理解されるそれらの最も広い合理的な解釈及び通常の意味が与えられることを意図される。特に、「a」、「the」、「said」などの単数冠詞の使用は、クレームが反対の明示的な制限を述べていない限り、示された要素の1以上を述べていると解釈されるべきである。
【0113】
本開示の要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるようにするために提供される。それは、特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されないとの理解の下で提出される。更に、前述の詳細な説明では、開示を簡素化する目的で、様々な特徴が様々な実施形態にまとめられていることがわかる。この開示方法は、請求されている実施形態が、各クレームに明示的に記載されているよりも多くの特徴を組み込むという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、続く特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、開示された単一の実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴にある。従って、続く特許請求の範囲はこれをもって詳細な説明に組み込まれ、各クレームは、個別に請求される主題として独立している。
【0114】
[関連出願への相互参照]
本願は、2020年4月23日付けで出願された米国特許仮出願第63/014239号及び2020年4月23日付けで出願された欧州特許出願第20171002.7号からの優先権の利益を主張するものである。これらの出願は、参照により本願に援用される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11