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特許7281022耐火性シリコーンゴム組成物、その製造方法、成形体及びバッテリー
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  • 特許-耐火性シリコーンゴム組成物、その製造方法、成形体及びバッテリー 図1
  • 特許-耐火性シリコーンゴム組成物、その製造方法、成形体及びバッテリー 図2
  • 特許-耐火性シリコーンゴム組成物、その製造方法、成形体及びバッテリー 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】耐火性シリコーンゴム組成物、その製造方法、成形体及びバッテリー
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20230517BHJP
   C08K 3/10 20180101ALI20230517BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20230517BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20230517BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
C08L83/04
C08K3/10
C08K3/36
C08K3/22
C08K5/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022574321
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 JP2022033004
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2021182444
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237422
【氏名又は名称】富士高分子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕子
(72)【発明者】
【氏名】長谷 航希
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-124967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00- 83/16
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンと無機耐火性剤を含む耐火性シリコーンゴム組成物であって、
前記シリコーンは、いずれか一方の液には白金系触媒が添加され、他方の液には架橋剤が添加されている2液付加反応硬化型シリコーンベースポリマー(A)であり、
前記無機耐火性剤は、シリコーン100質量部に対して、
(B)シリカ:5~200質量部、
(C)水酸化アルミニウム:50~300質量部、
(D)鉄、酸化鉄及び鉄を含む金属酸化物から選ばれる少なくとも一つの鉄成分:1~15質量部、
(E)酸化チタン:1~10質量部、
(F)前記白金系触媒以外に、無機耐火性剤として白金又は白金化合物:シリコーン100質量部に対して、0.3~10質量部、
を含み、
前記耐火性シリコーンゴム組成物は加硫により硬化されて硬化物となっており、
前記硬化物は800℃雰囲気下、20分間燃焼後の幅の変化率が1~20%、長さの変化率が1~10%厚さの変化率が1~40%であり、かつ熱伝導率は0.2~1.0W/mKであることを特徴とする耐火性シリコーンゴム組成物。
【請求項2】
前記無機耐火性剤の体積基準による累積粒度分布のD50(メジアン径)は、
(B)シリカ:1nm~100μm、
(C)水酸化アルミニウム:1~10μm、
(D)鉄、酸化鉄及び鉄を含む金属酸化物から選ばれる少なくとも一つの鉄成分:0.1~10μm、
(E)酸化チタン:1~1000nm、
である請求項1に記載の耐火性シリコーンゴム組成物。
【請求項3】
前記耐火性シリコーンゴム組成物は、さらに加硫剤として有機過酸化物を含む請求項1に記載の耐火性シリコーンゴム組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の耐火性シリコーンゴム組成物の製造方法であって、
いずれか一方の液には白金系触媒が添加され、他方の液には架橋剤が添加されている2液付加反応硬化型シリコーンベースポリマー(A)の未架橋シリコーンに対して鉄、酸化鉄及び鉄を含む金属酸化物から選ばれる少なくとも一つの鉄成分を混合し、マスターバッチ混合物とし、
前記マスターバッチ混合物を所定量計量し、前記(B)成分~(F)成分と混合して組成物とすることを特徴とする耐火性シリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項5】
耐火性シリコーンゴム成形体であって、
請求項1~3のいずれか1項に記載の耐火性シリコーンゴム組成物は成形され、硬化されており、硬化後の成形体は800℃雰囲気下、20分間燃焼後の幅の変化率が1~20%、長さの変化率が1~10%、かつ厚さの変化率が1~40%であることを特徴とする耐火性シリコーンゴム成形体。
【請求項6】
前記耐火性シリコーンゴム成形体の初期硬さが、アスカーA硬度で1~90である請求項5に記載の耐火性シリコーンゴム成形体。
【請求項7】
耐火性シリコーンゴム成形体を含むバッテリーであって、
請求項5の耐火性シリコーンゴム成形体は、前記バッテリーのセル間に介在させる緩衝材として配置されていることを特徴とするバッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火性シリコーンゴム組成物、その製造方法、成形体及びバッテリーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、需要と生産量が増加している電気自動車(electric vehicle : EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)などは、バッテリーからの電気をエネルギー源とし、電動機(モーター)を用いて走行する。バッテリーは複数のバッテリーセルを配列し、セルケースに収容して使用するのが一般的である。バッテリーは様々な異常事態を想定して作られているが、その一つに熱暴走反応などの異常発熱がある。車両のバッテリーが熱暴走すると、セルの膨張によりセル材料が変形あるいは破損し、セル間に熱が伝達することにより、次々と熱暴走が広がり、セルの燃焼につながる。
特許文献1には、80℃以下では熱伝導率が1W/m・K以上であり、80℃を超えると熱伝導率は0.5W/m・K以下となり、難燃性の熱膨張性部材が提案されている。特許文献2には、シリコーンゴムバインターと中空ガラスビーズを含む発泡体で電池モジュール容器のオープンスペースを満たすことが提案されている。特許文献3には、バッテリーの熱を放熱するため、筒状、断面U字状あるいはスパイラル状の熱伝導シートとクッション材と粘着層を含む放熱体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-172762号公報
【文献】特表2020-507194号公報
【文献】特開2021-015696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来技術は、シリコーンゴム組成物の耐火性及び高温時の寸法安定性にはいまだ問題があり、改善が求められていた。
【0005】
本発明は前記従来の問題を解決するため、耐火性及び高温時の寸法安定性の高いシリコーンゴム組成物、その製造方法、成形体及びバッテリーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シリコーンと無機耐火性剤を含む耐火性シリコーンゴム組成物であって、
前記シリコーンは、いずれか一方の液には白金系触媒が添加され、他方の液には架橋剤が添加されている2液付加反応硬化型シリコーンベースポリマー(A)であり、
前記無機耐火性剤は、シリコーン100質量部に対して、
(B)シリカ:5~200質量部、
(C)水酸化アルミニウム:50~300質量部、
(D)鉄、酸化鉄及び鉄を含む金属酸化物から選ばれる少なくとも一つの鉄成分:1~15質量部、
(E)酸化チタン:1~10質量部、
(F)前記白金系触媒以外に、無機耐火性剤として白金又は白金化合物:シリコーン100質量部に対して、0.3~10質量部、
を含み、
前記耐火性シリコーンゴム組成物は加硫により硬化されて硬化物となっており、
前記硬化物は800℃雰囲気下、20分間燃焼後の幅の変化率が1~20%、長さの変化率が1~10%厚さの変化率が1~40%であり、かつ熱伝導率は0.2~1.0W/mKである。
【0007】
本発明の耐火性シリコーンゴム組成物の製造方法であって、いずれか一方の液には白金系触媒が添加され、他方の液には架橋剤が添加されている2液付加反応硬化型シリコーンベースポリマー(A)の未架橋シリコーンに対して鉄、酸化鉄及び鉄を含む金属酸化物から選ばれる少なくとも一つの鉄成分を混合し、マスターバッチ混合物とし、前記マスターバッチ混合物を所定量計量し、前記(B)成分~()成分と混合して組成物とする耐火性シリコーンゴム組成物の製造方法である。
【0008】
本発明の耐火性シリコーンゴム成形体は、前記の耐火性シリコーンゴム組成物は成形され、硬化されており、硬化後の成形体は800℃雰囲気下、20分間燃焼後の幅の変化率が1~20%、長さの変化率が1~10%、かつ厚さの変化率が1~40%である。
【0009】
本発明の耐火性シリコーンゴム成形体を含むバッテリーは、前記の耐火性シリコーンゴム成形体は、前記バッテリーのセル間に介在させる緩衝材として配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、シリコーンは前記(A1)と(A2)を含み、無機耐火性剤は前記(B)から(F)を含むことにより、耐火性及び高温時の寸法安定性の高いシリコーンゴム組成物を提供できる。とくにバッテリーが異常発熱した際も、耐火性及び高温時の寸法安定性が高く、材料の変形を防ぐことができ、緩衝材として介在させるのに有用である。また、本発明の製造方法は、鉄成分の分散性がよく、効率よく合理的に本発明の耐火性シリコーンゴム組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1Aは本発明の一実施形態のバッテリーセル間に耐火性シリコーンゴム成形体を配置した模式的断面図、図1Bは同、異常発熱が生じた際の模式的断面図である。
図2図2は比較例のバッテリーセル間にシリコーンゴム成形体を配置し、異常発熱が生じた際の模式的断面図である。
図3図3は本発明の一実施形態の複数のバッテリーセル間に耐火性シリコーンゴム成形体を配置したバッテリーの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、シリコーンと無機物成分を含む耐火性シリコーンゴム組成物である。前記シリコーンは、
(A1)アルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
(A2)架橋成分:1分子中に水素原子が結合したケイ素原子を平均1個以上含有するオルガノポリシロキサンを、前記A1成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、0.01~3モル含む。
このようにすると、ゴム硬度が比較的軟らかく、バッテリー緩衝材として有用である。
【0013】
無機耐火性剤は、シリコーン100質量部に対して、(B)成分のシリカは、5~200質量部が好ましく、より好ましくは10~180質量部であり、さらに好ましくは15~150質量部である。前記シリカは、非晶質シリカ、湿式シリカが好ましい。
【0014】
(C)成分の水酸化アルミニウムは、シリコーン100質量部に対して、50~300質量部が好ましく、より好ましくは60~280質量部であり、さらに好ましくは70~250質量部である。
【0015】
(D)成分の鉄、酸化鉄及び鉄を含む金属酸化物から選ばれる少なくとも一つの鉄成分は、シリコーン100質量部に対して、1~15質量部が好ましく、より好ましくは2~12質量部であり、さらに好ましくは3~10質量部である。前記酸化鉄は、鉄黒、四酸化三鉄(Fe34)、三酸化二鉄(Fe23)が好ましい。これらは、着色剤、安定材、難燃材としても有用である。
【0016】
(E)成分の酸化チタンは、シリコーン100質量部に対して、1~10質量部が好ましく、より好ましくは2~9質量部であり、さらに好ましくは3~8質量部である。
【0017】
(F)成分の白金又は白金化合物は、シリコーン100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、より好ましくは0.3~5質量部であり、さらに好ましくは0.5~3質量部である。前記白金又は白金化合物は、白金単体、塩化白金塩、塩化白金酸、白金-ジヒドロテトラメチルジシロキサン錯体などの白金-オレフィン錯体、白金-アルコール錯体、白金配位化合物などが挙げられる。付加反応硬化型シリコーンベースポリマーの市販品は、通常A剤とB剤に分かれており、いずれか一方には白金系触媒が、他方には架橋剤が添加されているが、本発明では(F)成分をさらに無機耐火性剤として加える。
【0018】
無機耐火性剤の体積基準による累積粒度分布のD50(メジアン径)は、
(B)シリカ:1nm~100μm、
(C)水酸化アルミニウム:1~10μm、
(D)鉄、酸化鉄及び鉄を含む金属酸化物から選ばれる少なくとも一つの鉄成分:0.1~10μm、
(E)酸化チタン:1~1000nm、
が好ましい。
【0019】
前記耐火性シリコーンゴム組成物は、さらに加硫剤として有機過酸化物を含むのが好ましい。過酸化物加硫タイプは、付加加硫の場合と比較し、加工性が良好である。本明細書において、加硫とは硬化と同義である。
【0020】
有機過酸化物は、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、(ビス(2,4-ジクロロベンゾイル)パ-オキサイド)、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、1,6-ヘキサンジオール-ビス-t-ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。有機過酸化物の添加量は、シリコーンゴム成分100質量部に対して0.1~15質量部添加するのが好ましく、0.2~10質量部がより好ましい。添加量が少なすぎると架橋反応が十分に進行せず、硬度低下やゴム強度不足、圧縮永久歪増大等の物性悪化を生じる場合があり、多すぎると硬化剤の分解物が多く発生して、圧縮永久歪増大等の物性悪化や得られた成形体の変色を増大させる場合がある。
【0021】
前記耐火性シリコーンゴム組成物は、熱伝導性があり、熱伝導率は0.2~1.0W/mKであるのが好ましく、より好ましくは0.5~1.0W/mKであり、さらに好ましくは0.7~1.0W/mKである。前記熱伝導率であれば、通常の使用時にバッテリーセルが発熱しても、放熱体へ熱移動し、バッテリーセルが高温になることを防止できる。
【0022】
本発明の耐火性シリコーンゴム組成物の製造方法は、未架橋シリコーンに対して鉄、酸化鉄及び鉄を含む金属酸化物から選ばれる少なくとも一つの鉄成分を混合し、マスターバッチ混合物とし、前記マスターバッチ混合物を所定量計量し、前記(A1)成分~(F)成分と混合して組成物とする。これにより、シリコーンに対して鉄成分の分散性がよく、効率よく合理的に本発明の耐火性シリコーンゴム組成物を得ることができる。未架橋シリコーン100質量部に対して前記鉄成分は100~300質量部混合するのが好ましい。
【0023】
本発明の耐火性シリコーンゴム成形体は、硬化後の成形体を電気炉に入れ、800℃雰囲気下、20分間燃焼後の幅の変化率が1~20%、長さの変化率が1~10%、かつ厚さの変化率が1~40%である。この耐火性であれば、バッテリーセルが異常発熱しても燃焼のおそれは低い。前記成形体の大きさは、一例として幅約30mm、長さ約50mm、厚さ約1.0~3.0mmとする。
【0024】
前記耐火性シリコーンゴム成形体は、硬化後の初期硬さが、アスカーA硬度で1~90が好ましい。これにより、柔軟性があり、耐火性及び断熱性を維持しつつ、セルの膨張による変形が少ない材料となる。
【0025】
前記耐火性シリコーンゴム組成物は、様々な用途に使用できるが、耐火性及び高温時の寸法安定性の高いことから、バッテリーのセル間に介在させる緩衝材として使用するのに有用である。
【0026】
以下図面を用いて説明する。以下の図面においては、同一符号は同一物を意味する。図1Aは本発明の一実施形態のバッテリーセル2a,2b間にシリコーンゴム成形体1を配置した模式的断面図である。図1Bは異常発熱が生じた際の模式的断面図である。シリコーンゴム成形体1は耐火性があるので厚さを維持しつつ、セルの膨張によるセル2a,2b間の変形を防止する。
【0027】
図2は比較例のシリコーンゴム成形体3の例である。バッテリーセル2a,2b間に比較例のシリコーンゴム成形体3を配置すると、異常発熱が生ずると、例えばバッテリーセル2bが変形を起こし、膨張部4となり、隣のバッテリーセル2aが損傷する。
【0028】
図3は本発明の一実施形態の複数のバッテリーセル2a,2b…間にシリコーンゴム成形体1を配置したバッテリーの模式的断面図である。このバッテリーはクーリングユニット5の上に熱伝導性シート(TIM)6が載せられ、その上にバッテリーセル2a,2b…が配置され、各バッテリーセル2a,2b…間にシリコーンゴム成形体1が配置されている。上部は緩衝材シート7とセルケース8により覆われ、配線9がセルから引き出されている。
【実施例
【0029】
以下実施例を用いて説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。各種パラメーターについては下記の方法で測定した。
【0030】
<耐火性>
幅約30mm、長さ約50mm、厚さ約1.0~3.0mmのシリコーンゴム成形体とし、これを電気炉に入れ、800℃雰囲気下、20分間燃焼後の幅と長さと厚さを測定し、変化率を求めた。
<硬度>
JIS K 7312に規定されているゴム硬度計を使用して、硬化後の初期硬さ、アスカーA硬度を測定した。
【0031】
(実施例1~3、比較例1~3)
1 マスターバッチ
(1)シリコーンゴムースポリマーとして、前記(A1)成分と、前記(A2)成分を含むオルガノポリシロキサン、ダウ東レ株式会社製、商品名"RBB2210-30"を使用した。この商品はA剤とB剤からなり、いずれか一方には白金系触媒が、他方には架橋剤が添加されている。
(2)前記シリコーンゴムースポリマー30質量部に対して、70重量部の鉄黒を加えて2本ロールで混合し、マスターバッチ コンパウンド(混合物)を得た。
2 その他の添加物の混合
前記マスターバッチ コンパウンド(混合物)と、シリコーンゴムースポリマーと、添加物を表1に示す割合で混合して組成物とした。各耐火性剤の内容は次のとおりである。
(B)シリカ
・シリカ50U(住友大阪セメント株式会社製、商品名:シリカ50U):非晶質シリカ、D50(メジアン径)50μm、比表面積0.52m2/g
・アエロジル(日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROSIL 200):湿式シリカ、比表面積200m2/g
(C)水酸化アルミニウム
・D50(メジアン径)2μm
(D)鉄黒
・D50(メジアン径)0.1~1μm(ナノ粒子)
(E)酸化チタン
・D50(メジアン径)0.1~1μm(ナノ粒子)
(F)白金又は白金化合物
・白金を使用した。
(G)有機過酸化物触媒
・ビス(2,4-ジクロロベンゾイル)パ-オキサイド)をシリコーンゴムースポリマー100質量部に対して2.5質量部添加した。
3 成形、硬化
前記混合物をプレス機にて120℃で5分間プレス成形した。得られた成形体を200℃で4時間、過酸化物加硫(2次加硫)した。このようにして、幅約30mm、長さ約50mm、厚さ約1.0~3.0mmのシリコーンゴム成形体を得た。
得られたシリコーンゴム成形体の各種物性を表1にまとめて示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1に示すとおり、実施例1~3は耐火性及び燃焼試験後のとくに厚さの寸法安定性が高かった。この特性は、バッテリーが異常発熱した際も材料の変形を防ぐことができる。これに対して各比較例は、燃焼試験後のとくに厚さの寸法安定性が低く、耐火性は好ましくなかった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のシリコーンゴム成形体は、バッテリーセルの緩衝材として有用であるほか、様々な緩衝材としても有用である。
【符号の説明】
【0035】
1,3 シリコーンゴム成形体
2a,2b バッテリーセル
4 膨張部
5 クーリングユニット
6 熱伝導性シート(TIM)
7 緩衝材シート
8 セルケース
9 配線
【要約】
シリコーンと無機耐火性剤を含む耐火性シリコーンゴム組成物であって、シリコーンは、(A1)アルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンと、(A2)架橋成分:1分子中に水素原子が結合したケイ素原子を平均1個以上含有するオルガノポリシロキサンを、前記A1成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、0.01~3モル含み、無機耐火性剤は、(B)シリカ、(C)水酸化アルミニウム、(D)鉄成分、(E)酸化チタン、(F)白金又は白金化合物を含む。この組成物を成形し硬化したシリコーンゴム成形体1をバッテリーセル2a,2b間に配置する。これにより、耐火性及び高温時の寸法安定性の高いシリコーンゴム組成物、成形体及びバッテリーを提供する。
図1
図2
図3