(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】マンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B66B 31/02 20060101AFI20230518BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20230518BHJP
B66B 25/00 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
B66B31/02 A
B66B31/00 C
B66B25/00 A
(21)【出願番号】P 2021134691
(22)【出願日】2021-08-20
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富永 保介
(72)【発明者】
【氏名】大恵 淳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-020465(JP,A)
【文献】特開2019-052021(JP,A)
【文献】特開2016-124660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0217971(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する手摺ベルトと、
人を検出する人検出部と、
前記手摺ベルトへ向けて紫外線を照射する光源と、
前記手摺ベルトの走行及び前記光源の点灯を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記人検出部の検出に基づいて人の有無を判定し、有人と判定した場合に、前記手摺ベルトの走行速度が第1速度である第1速度状態とし、無人と判定した場合に、前記手摺ベルトの走行速度が前記第1速度よりも遅い第2速度である第2速度状態とし、
前記制御装置は、前記第1速度状態である場合に、前記光源を点灯し、前記第2速度状態が設定時間を経過した場合に、前記光源を消灯する、マンコンベヤであって、
前記制御装置は、直前の前記第1速度状態の時間の長さに基づいて、前記設定時間の長さを演算する
、マンコンベヤ。
【請求項2】
走行する手摺ベルトと、
人を検出する人検出部と、
前記手摺ベルトへ向けて紫外線を照射する光源と、
前記手摺ベルトの走行及び前記光源の点灯を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記人検出部の検出に基づいて人の有無を判定し、有人と判定した場合に、前記手摺ベルトの走行速度が第1速度である第1速度状態とし、無人と判定した場合に、前記手摺ベルトの走行速度が前記第1速度よりも遅い第2速度である第2速度状態とし、
前記制御装置は、前記第1速度状態である場合に、前記光源を点灯し、前記第2速度状態が設定時間を経過した場合に、前記光源を消灯する、マンコンベヤであって、
前記制御装置は、前記マンコンベヤの自動運転制御が開始されて前記手摺ベルトが最初に走行した場合に、前記手摺ベルトの走行速度に関わらず、前記光源を所定時間だけ点灯する
、マンコンベヤ。
【請求項3】
前記所定時間の長さは、前記設定時間の最大長さよりも、長い、請求項
2に記載のマンコンベヤ。
【請求項4】
前記制御装置は、前記所定時間において、前記手摺ベルトの走行速度を一定に維持する、請求項
2又は3に記載のマンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、マンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤは、走行する手摺ベルトと、手摺ベルトへ向けて紫外線を照射する光源とを備えている。そして、マンコンベヤに乗る人が存在する場合に、手摺ベルトの走行速度は、通常速度となり、マンコンベヤに乗る人が存在しない場合に、手摺ベルトの走行速度は、通常速度よりも遅い低速度となる(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、特許文献1に係るマンコンベヤにおいては、手摺ベルトの走行速度が低速度である場合に、光源が点灯し、手摺ベルトの走行速度が通常速度である場合に、光源が消灯する。これにより、人がマンコンベヤに乗って手摺ベルトに触ったとしても、例えば、マンコンベヤに人が乗り続けた場合には、紫外線が手摺ベルトに照射されない。したがって、例えば、手摺ベルトを適切に殺菌することができない虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、手摺ベルトに紫外線を適切に照射することができるマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
マンコンベヤは、走行する手摺ベルトと、人を検出する人検出部と、前記手摺ベルトへ向けて紫外線を照射する光源と、前記手摺ベルトの走行及び前記光源の点灯を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記人検出部の検出に基づいて人の有無を判定し、有人と判定した場合に、前記手摺ベルトの走行速度が第1速度である第1速度状態とし、無人と判定した場合に、前記手摺ベルトの走行速度が前記第1速度よりも遅い第2速度である第2速度状態とし、前記制御装置は、前記第1速度状態である場合に、前記光源を点灯し、前記第2速度状態が設定時間を経過した場合に、前記光源を消灯する。
【0007】
また、マンコンベヤにおいては、前記制御装置は、直前の前記第1速度状態の時間の長さに基づいて、前記設定時間の長さを演算する、という構成でもよい。
【0008】
また、マンコンベヤにおいては、前記制御装置は、前記マンコンベヤの自動運転制御が開始されて前記手摺ベルトが最初に走行した場合に、前記手摺ベルトの走行速度に関わらず、前記光源を所定時間だけ点灯する、という構成でもよい。
【0009】
また、マンコンベヤにおいては、前記所定時間の長さは、前記設定時間の最大長さよりも、長い、という構成でもよい。
【0010】
また、マンコンベヤにおいては、前記制御装置は、前記所定時間において、前記手摺ベルトの走行速度を一定に維持する、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るマンコンベヤの概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るマンコンベヤの要部図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るマンコンベヤの制御ブロック図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るマンコンベヤの光源点灯制御フロー図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係るマンコンベヤの光源点灯制御の通常時制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、マンコンベヤにおける一実施形態について、
図1~
図5を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0013】
図1に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体2と、人を搬送する搬送部3と、搬送部3を第1方向D1で挟むように配置される一対の欄干部4(各図において、一つのみを図示している)と、搬送部3及び欄干部4を駆動させる駆動部5と、制御装置6とを備えていてもよい。
【0014】
各図において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である第1横方向D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、第1横方向D1と直交する第2横方向D2であり、第3方向D3は、第1横方向D1及び第2横方向D2と直交する鉛直方向であって、上下方向D3である。
【0015】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0016】
搬送部3は、例えば、本実施形態のように、駆動部5に駆動されることによって無端回転する環状の走行部3aと、走行部3aに接続されることによって走行部3aと共に走行し、人が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えていてもよい。特に限定されないが、走行部3aは、例えば、ローラチェーンとすることができる。
【0017】
また、例えば、走行部3aは、第1横方向D1に離れて一対設けられ、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置されていてもよい。そして、ステップ3bは、それぞれの走行部3aに対して第1横方向D1を軸にして回転可能に接続されていてもよい。
【0018】
欄干部4は、例えば、無端回転する環状の手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aを支持する欄干本体部4bとを備えていてもよい。そして、欄干本体部4bは、例えば、下部に、パネルに覆われることによって内部空間を有するガード部4cを備えていてもよい。
【0019】
駆動部5は、例えば、本実施形態のように、駆動源(例えば、モータ)5aと、ステップ3bが反転するように走行部3aが巻き掛けられ、第1横方向D1を軸にして回転する一対の第1回転部5b,5bと、手摺ベルト4aが巻き掛けられ、第1横方向D1を軸にして回転する第2回転部5cと、駆動源5aの駆動を第1回転部5b及び第2回転部5cに伝達する伝達部5dとを備えていてもよい。
【0020】
これにより、走行部3a及び手摺ベルト4aは、共通の駆動源5aからの駆動を受けることによって、走行している。したがって、手摺ベルト4aの走行は、ステップ3bの走行と同期している。そして、手摺ベルト4aの走行速度は、ステップ3bの走行速度に比例している(具体的には、ステップ3bの走行速度と同じである)。
【0021】
図2に示すように、マンコンベヤ1は、人を検出する人検出部7と、手摺ベルト4aへ向けて紫外線を照射する光源8とを備えている。人検出部7及び光源8の設置場所は、特に限定されない。例えば、本実施形態のように、人検出部7及び光源8は、それぞれ欄干部4の内部、具体的には、ガード部4cの内部に配置されていてもよい。
【0022】
人検出部7は、マンコンベヤ1に乗る人を検出するために、例えば、人が乗る乗り口1aに人が存在するか否かを検出してもよい。なお、人検出部7の構成は、特に限定されないが、人検出部7は、例えば、本実施形態のように、光電センサとしてもよく、また、例えば、上方及び側方から撮像するカメラとしてもよく、また、例えば、下方から人の荷重を検出するロードセルとしてもよい。
【0023】
光源8は、例えば、本実施形態のように、ガード部4cの内部で、手摺ベルト4aへ向けて紫外線を照射していてもよい。そして、紫外線が手摺ベルト4aを照射することによって、手摺ベルト4aを殺菌することができる。なお、光源8の構成は、特に限定されないが、光源8は、例えば、LEDとしてもよく、また、例えば、冷陰極管としてもよい。
【0024】
図3に示すように、マンコンベヤ1は、各種情報が入力される入力部9と、各種情報が出力される出力部10とを備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、入力部9に入力される情報として、運転モード情報(手動運転選択、自動運転選択)、運転指示情報(運転開始指示、運転停止指示)、ステップ走行方向情報(上側搬送選択、下側搬送選択)、ステップ走行速度(定格速度運転選択、低速度運転選択)等としてもよい。
【0025】
また、特に限定されないが、入力部9は、例えば、スイッチ(押しボタンスイッチ、セレクトスイッチ等)、タッチパネル等とすることができる。また、特に限定されないが、出力部10は、例えば、音声部(例えば、ブザー、スピーカ)、表示部(例えば、表示板、表示灯)等とすることができる。
【0026】
制御装置6は、例えば、本実施形態のように、各情報(データ)を取得する取得部11と、各情報を記憶する記憶部12と、各情報を演算する演算部13と、各部5,8,10を制御する制御部14とを備えていてもよい。
【0027】
制御装置6は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、制御装置6の各部11,12,13,14は、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
【0028】
なお、制御装置6は、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、演算部13、制御部14)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部11、記憶部12)、各種インターフェイス(例えば、取得部11)等を備えるコンピュータである。そして、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、制御装置6の各部11,12,13,14が実現されている。
【0029】
演算部13は、例えば、本実施形態のように、マンコンベヤ1に乗る人の有無を判定する有人判定部13aと、光源8を消灯させるための設定時間T1を演算する設定時間演算部13bとを備えていてもよい。
【0030】
制御部14は、例えば、本実施形態のように、ステップ3b及び手摺ベルト4aの走行を制御するために、駆動部5を制御する駆動制御部14aと、光源8の点灯を制御する光源制御部14bと、出力部10を制御する出力制御部14cとを備えていてもよい。
【0031】
有人判定部13aは、例えば、人検出部7の検出に基づいて、マンコンベヤ1に乗る人の有無を判定してもよい。特に限定されないが、例えば、人検出部7が人を検出した場合に、有人判定部13aは、乗る人が存在する(有人)と判定し、人検出部7が最後に人を検出した後に、所定時間(例えば、ステップ3bが1/2周の距離を走行する時間+30秒)が経過した場合に、有人判定部13aは、乗る人が存在しない(無人)と判定する、という構成でもよい。
【0032】
駆動制御部14aは、例えば、自動運転制御中において省エネルギーを図る等を目的として、有人判定部13aの判定に基づいて、駆動部5を制御してもよい。これにより、ステップ3b及び手摺ベルト4aの走行速度は、有人判定部13aの判定に基づいて、制御される。
【0033】
例えば、本実施形態においては、有人判定部13aが有人と判定した場合に、ステップ3b及び手摺ベルト4aの走行速度が第1速度(例えば、定格速度)である第1速度状態となり、有人判定部13aが無人と判定した場合に、ステップ3b及び手摺ベルト4aの走行速度が第1速度よりも遅い第2速度(例えば、低速度)である第2速度状態となる。
【0034】
なお、第1速度は、一つの速度に限られない。例えば、第1速度は、複数の速度を有し、マンコンベヤ1に乗る人の多さ等に基づいて、変更されてもよい。また、第2速度は、一つの速度に限られない。例えば、第2速度は、複数の速度を有し、時間等に基づいて、変更されてもよい。なお、第2速度は、0m/sよりも大きい速度である。即ち、第2速度状態は、ステップ3b及び手摺ベルト4aが停止した状態を含まない。
【0035】
本実施形態に係るマンコンベヤ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るマンコンベヤ1の光源点灯制御について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。なお、光源点灯制御は、以下の内容に限定されない。
【0036】
本実施形態においては、マンコンベヤ1は、自動運転制御中に、光源点灯制御を行っている。なお、自動運転制御とは、例えば、入力部9の入力によって開始される制御であって、人検出部7の検出に基づいて、ステップ3b及び手摺ベルト4aの走行速度を変更する制御である。
【0037】
ところで、自動運転制御を開始するときは、例えば、マンコンベヤ1を設置している施設がオープン前であることが多い。したがって、自動運転制御が開始されたときに、事前に、手摺ベルト4aに紫外線を照射して、手摺ベルト4aを殺菌しておきたいという要望がある。そこで、本実施形態においては、
図4に示すように、自動運転制御が開始された場合に、まず、運転開始時制御が行われ、その後、通常時制御が行われる。
【0038】
<運転開始時制御>
まず、運転開始時制御について、
図4を参照しながら説明する。
【0039】
図4に示すように、自動運転制御が開始された場合に(S1の「Y」)、ステップ3b及び手摺ベルト4aは、第1速度で走行し(S2)、光源8は、点灯する(S3)。そして、所定時間T2が経過した場合に(S4の「Y」)、光源8は、消灯し(S5)、ステップ3b及び手摺ベルト4aの走行は、人検出部7の検出に基づいた制御、即ち、第1速度状態と第2速度状態とで切り替わる制御となる(S6)。
【0040】
これにより、自動運転制御が開始され、手摺ベルト4aが最初に走行した場合に、光源8が所定時間T2だけ点灯されるため、必要な量の紫外線を手摺ベルト4aに照射することができる。しかも、手摺ベルト4aの走行速度が一定に維持されているため、手摺ベルト4aの全長に亘って紫外線を均等に照射することができる。
【0041】
これにより、マンコンベヤ1の自動運転制御が開始された場合に、事前に、手摺ベルト4aを殺菌できるため、手摺ベルト4aを所望の状態とすることができる。なお、手摺ベルト4aの走行速度が第1速度であるため、運転開始時制御中に、仮に、人がステップ3bに乗った場合でも、適切な速度で人を搬送することができる。
【0042】
<通常時制御>
そして、運転開始時制御が完了すると、それ以降は、通常時制御が行われる。通常時制御について、
図5を参照しながら説明する。
【0043】
図5に示すように、有人判定部13aが有人と判定し、ステップ3b及び手摺ベルト4aが第1速度で走行している第1速度状態である場合に(S11の「Y」)、光源8は、点灯される(S12)。これにより、マンコンベヤ1に乗る人が存在する場合に、手摺ベルト4aに紫外線が照射され続けるため、手摺ベルト4aを殺菌することができる。
【0044】
ところで、有人判定部13aが無人と判定し、ステップ3b及び手摺ベルト4aが第2速度で走行している第2速度状態になった直後は、手摺ベルト4aの殺菌が不十分である虞がある。これにより、第2速度状態になった直後は、手摺ベルト4aの殺菌がまだ必要な状態である。
【0045】
しかも、そのときの手摺ベルト4aの状態は、直前の第1速度状態の時間の長さに影響され易い。例えば、直前の第1速度状態の時間が長い場合は、手摺ベルト4aに触れた人が多いと考えられるため、第2速度状態における手摺ベルト4aの殺菌時間も長くする必要がある。
【0046】
そこで、第2速度状態になった場合に(S13の「Y」)、設定時間演算部13bは、直前の第1速度状態の時間の長さに基づいて、設定時間T1の長さを演算する(S14)。特に限定されないが、例えば、直前の第1速度状態の時間が長いほど、設定時間T1は、長いことが好ましい。そして、第2速度状態が設定時間T1を経過した場合に(S15の「Y」)、光源8は、消灯する(S17)。
【0047】
これにより、手摺ベルト4aの殺菌が十分に行われた後で、マンコンベヤ1に乗る人が存在しない場合に、手摺ベルト4aへの紫外線の照射が停止される。したがって、省エネルギーを図ることができたり、樹脂で形成される手摺ベルト4aが光により劣化することを抑制することができたりする。このように、手摺ベルト4aに紫外線を適切に照射することができる。
【0048】
なお、マンコンベヤ1に人が乗ることによって、手摺ベルト4aに菌が付着していくため、マンコンベヤ1を使用する前に、即ち、自動運転制御を開始するときに、手摺ベルト4aを十分に殺菌しておくことが好ましい。したがって、運転開始時制御で光源8を点灯する「所定時間T2」の長さは、十分に長いことが好ましい。具体的には、運転開始時制御で光源8を点灯する「所定時間T2」の長さは、通常時制御の第2速度状態で光源8を点灯する「設定時間T1」の最大長さよりも、長いことが好ましい。
【0049】
以上より、本実施形態のように、マンコンベヤ1は、走行する手摺ベルト4aと、人を検出する人検出部7と、前記手摺ベルト4aへ向けて紫外線を照射する光源8と、前記手摺ベルト4aの走行及び前記光源8の点灯を制御する制御装置6と、を備え、前記制御装置6は、前記人検出部7の検出に基づいて人の有無を判定し、有人と判定した場合に、前記手摺ベルト4aの走行速度が第1速度である第1速度状態とし、無人と判定した場合に、前記手摺ベルト4aの走行速度が前記第1速度よりも遅い第2速度である第2速度状態とし、前記制御装置6は、前記第1速度状態である場合に、前記光源8を点灯し、前記第2速度状態が設定時間T1を経過した場合に、前記光源8を消灯する、という構成が好ましい。
【0050】
斯かる構成によれば、有人と判定された場合に、手摺ベルト4aの走行速度が第1速度となり、光源8は、点灯される。これにより、マンコンベヤ1に乗る人が存在する場合に、手摺ベルト4aに紫外線が照射される。
【0051】
一方で、無人と判定された場合に、第2速度状態となり、手摺ベルト4aの走行速度が第2速度となる。そして、第2速度状態が設定時間T1を経過した場合に、光源8は、消灯される。これにより、手摺ベルト4aの殺菌が十分に行われた後で、マンコンベヤ1に乗る人が存在しない場合に、手摺ベルト4aへの紫外線の照射が停止される。このように、手摺ベルト4aに紫外線を適切に照射することができる。
【0052】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ1においては、前記制御装置6は、直前の前記第1速度状態の時間の長さに基づいて、前記設定時間T1の長さを演算する、という構成が好ましい。
【0053】
斯かる構成によれば、設定時間T1の長さは、直前の第1速度状態の時間の長さに基づいて、演算される。これにより、直前の第1速度状態の時間の長さに応じて、第2速度状態で手摺ベルト4aに紫外線を照射する時間を設定することができる。しがたって、手摺ベルト4aに紫外線をさらに適切に照射することができる。
【0054】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ1においては、前記制御装置6は、前記マンコンベヤ1の自動運転制御が開始されて前記手摺ベルト4aが最初に走行した場合に、前記手摺ベルト4aの走行速度に関わらず、前記光源8を所定時間T2だけ点灯する、という構成が好ましい。
【0055】
斯かる構成によれば、マンコンベヤ1の自動運転制御が開始されて手摺ベルト4aが最初に走行した場合に、光源8が所定時間T2だけ点灯されるため、必要な量の紫外線を手摺ベルト4aに照射することができる。これにより、例えば、マンコンベヤ1の自動運転制御が開始された後に、手摺ベルト4aを所望の状態とすることができる。
【0056】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ1においては、前記所定時間T2の長さは、前記設定時間T1の最大長さよりも、長い、という構成が好ましい。
【0057】
斯かる構成によれば、マンコンベヤ1の自動運転開始時に光源8が点灯する所定時間T2の長さは、第2速度状態で光源8が点灯する設定時間T1の最大長さよりも、長くなっている。これにより、マンコンベヤ1の自動運転制御が開始された後に、十分な量の紫外線を手摺ベルト4aに照射することができる。
【0058】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ1においては、前記制御装置6は、前記所定時間T2において、前記手摺ベルト4aの走行速度を一定に維持する、という構成が好ましい。
【0059】
斯かる構成によれば、マンコンベヤ1の自動運転開始時に、手摺ベルト4aの走行速度が一定に維持された状態で、光源8が点灯される。これにより、マンコンベヤ1の自動運転開始時に、手摺ベルト4aの全長に亘って紫外線を均等に照射することができる。
【0060】
なお、マンコンベヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0061】
(1)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、制御装置6は、直前の第1速度状態の時間の長さに基づいて、設定時間T1の長さを演算する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、設定時間T1は、一定である、という構成でもよい。
【0062】
(2)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、制御装置6は、マンコンベヤ1の自動運転制御が開始されて手摺ベルト4aが最初に走行した場合に、運転開始時制御を行い、運転開始時制御が完了した後に、通常時制御を行う、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、制御装置6は、マンコンベヤ1の自動運転制御が開始した直後から、通常時制御を行う、という構成でもよい。
【0063】
(3)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、制御装置6は、運転開始時制御において、手摺ベルト4aの走行速度を第1速度で一定に維持する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、制御装置6は、運転開始時制御において、手摺ベルト4aの走行速度を第2速度で一定に維持する、という構成でもよい。また、例えば、制御装置6は、運転開始時制御において、人検出部7の検出に基づいて手摺ベルト4aの走行速度を変更する、という構成でもよい。
【0064】
(4)また、例えば、マンコンベヤ1においては、通常時制御において、第2速度状態が設定時間T1を経過する前に(
図5のS15の「N」)、第1速度状態になった場合には(
図5のS16の「Y」)、次回の設定時間T1は、通常の設定時間T1よりも長くしてもよい。例えば、次回の設定時間T1は、通常の設定時間T1に、不足時間を追加した時間としてもよい。なお、不足時間は、前回の設定時間T1から、実際の第2速度状態の時間を引いた時間である。
【0065】
(5)また、例えば、マンコンベヤ1においては、光源8は、複数備えられ、制御装置6は、第1速度状態である場合に、全ての光源8を点灯し、第2速度状態が設定時間T1を経過した場合に、一部の光源8を消灯する、という構成でもよい。即ち、制御装置6は、第2速度状態が設定時間T1を経過した場合に、光源8の照射量を減らす、という構成でもよい。
【0066】
(6)また、例えば、マンコンベヤ1においては、制御装置6は、走行距離を時間に換算して、駆動部5や光源8を制御してもよく、時間を走行距離に換算して、駆動部5や光源8を制御してもよい。例えば、設定時間T1は、手摺ベルト4aがN周分(Nは自然数)だけ走行する距離に換算してもよく、そして、制御装置6は、手摺ベルト4aが第2速度状態でN周分だけ走行した場合に、設定時間T1を経過したとして光源8を消灯する、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…マンコンベヤ、1a…乗り口、2…構造体、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、4…欄干部、4a…手摺ベルト、4b…欄干本体部、4c…ガード部、5…駆動部、5a…駆動源、5b…第1回転部、5c…第2回転部、5d…伝達部、6…制御装置、7…人検出部、8…光源、9…入力部、10…出力部、11…取得部、12…記憶部、13…演算部、13a…有人判定部、13b…設定時間演算部、14…制御部、14a…駆動制御部、14b…光源制御部、14c…出力制御部