(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】昇降装置の自動応答用データベースの構築方法及び昇降装置の自動応答用データベースの構築システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230518BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021149564
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-135165(JP,A)
【文献】特開平10-124477(JP,A)
【文献】特開2021-118401(JP,A)
【文献】特開2009-053938(JP,A)
【文献】特開2014-172707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降装置に関するユーザからの音声による問い合わせに対して自動応答する自動応答部を備えた昇降装置において
乗りかごに備えるインターホン又は固定電話又は携帯電話が遠隔監視サーバーを経由して前記自動応答部に接続されている間に使用するための昇降装置の自動応答用データベースの構築方法であって、
前記自動応答部は、
前記昇降装置が設けられている現場の状況情報及び係員の手配先並びに係員の手配状況に関する情報を通知する情報端末に接続されており、
前記インターホン又は前記固定電話又は前記携帯電話が前記遠隔監視サーバーを経由して接続されている間に、ユーザからの問い合わせのメッセージを
音声認識装置で文字列にテキスト化して自動的に読み取る読取ステップと、
該読取ステップで読み取っ
てテキスト化した文字列の中から
、多数のワードが記憶されている問い合わせのワード一覧の中のワードと一致する少なくとも1つのワードを抽出する抽出ステップと、
該抽出ステップで抽出したワードと、該ワードに関連する
、前記昇降装置が設けられている現場の状況情報、
前記係員の手配
先、
前記係員の手配
状況のうちの
前記情報端末から通知される少なくとも1つの関連項目と、
をデータベースに書き込むとともに、前記関連項目別に前記データベースに予め登録されているメッセージの中から前記データベースに書き込んだ関連項目に近い関連項目のメッセージを選択してユーザへ音声で回答するためのメッセージ
として前記データベースに書き込む書込ステップと
、
前記情報端末から通知される前記関連項目のうちの前記係員の手配先及び前記係員の手配状況の2つの情報に基づいて、前記係員の手配の要否を判断する判断ステップと、
を備えていることを特徴とする昇降装置の自動応答用データベースの構築方法。
【請求項2】
真の関連項目及び真のメッセージが記憶されている記憶装置が前記自動応答部に接続されており、前記自動応答部は、前記記憶装置に記憶されている真の関連項目及び真のメッセージと前記データベースに書き込んだ関連項目及びメッセージとを比較し、異なっている場合には、真の関連項目
及び真のメッセージに修正する修正ステップを備えていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置の自動応答用データベースの構築方法。
【請求項3】
真の関連項目及び真のメッセージが記憶されている記憶装置が前記自動応答部に接続されており、前記自動応答部は、前記記憶装置に記憶されている真の関連項目及び真のメッセージと前記データベースに書き込んだ関連項目及びメッセージとを比較し、両者が相違している場合には、前記データベースに書き込まれている関連項目
及びメッセージを使用してユーザからの問い合わせに自動応答することを禁止することを特徴とする請求項
1に記載の昇降装置の自動応答用データベースの構築方法。
【請求項4】
前記自動応答部が前記データベースに書き込んだ関連項目に近い関連項目は、該データベースに書き込んだ関連項目と同一文字の関連項目又は該データベースに書き込んだ関連項目と内容が同一であると認識できる関連項目であることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の昇降装置の自動応答用データベースの構築方法。
【請求項5】
昇降装置に関するユーザからの問い合わせに対して自動応答する自動応答部を備えた昇降装置において
乗りかごに備えるインターホン又は固定電話又は携帯電話が遠隔監視サーバーを経由して前記自動応答部に接続されている間に使用するための自動応答用データベースの構築システムであって、
前記自動応答部は、
前記昇降装置が設けられている現場の状況情報及び係員の手配先並びに係員の手配状況に関する情報を通知する情報端末に接続されており、
前記インターホン又は前記固定電話又は前記携帯電話が前記遠隔監視サーバーを経由して接続されている間に、ユーザからの問い合わせのメッセージを
音声認識装置で文字列にテキスト化して自動的に読み取る読取手段と、
該読取手段で読み取っ
てテキスト化した文字列の中から
、多数のワードが記憶されている問い合わせのワード一覧の中のワードと一致する少なくとも1つのワードを抽出する抽出手段と、
該抽出手段で抽出したワードと、該ワードに関連す
る、前記昇降装置が設けられている現場の状況情報、
前記係員の手配
先、
前記係員の手配
状況のうちの
前記情報端末から通知される少なくとも1つの関連項目と、
をデータベースに書き込むとともに、前記関連項目別に前記データベースに予め登録されているメッセージの中から前記データベースに書き込んだ関連項目に近い関連項目のメッセージを選択してユーザへ音声で回答するためのメッセージ
として前記データベースに書き込む書込手段と
、
前記情報端末から通知される前記関連項目のうちの前記係員の手配先及び前記係員の手配状況の2つの情報に基づいて、前記係員の手配の要否を判断する判断手段と、
を備えていることを特徴とする昇降装置の自動応答用データベースの構築システム。
【請求項6】
前記自動応答部が前記データベースに書き込んだ関連項目に近い関連項目は、該データベースに書き込んだ関連項目と同一文字の関連項目又は該データベースに書き込んだ関連項目と内容が同一であると認識できる関連項目であることを特徴とする請求項5に記載の昇降装置の自動応答用データベースの構築システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降装置に関するユーザからの問い合わせに対して自動応答するために使用するデータベースを構築するための昇降装置の自動応答用データベースの構築方法及び昇降装置の自動応答用データベースの構築システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昇降装置の一例であるエレベータにおいては、近年、エレベータに備えているインターホンや携帯電話等を通じてユーザからの問い合わせが昼夜問わず発生している。しかし、それらの問い合わせをオペレータが全て応答することに人的負担があり、特に広域災害発生時は問い合わせが増大するため、自動的に応答する自動応答システムを早急に構築することが要望されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、監視センターに、顧客情報記録手段、自動音声対応装置、着信先切り替え装置、音声認識手段、緊急用件情報記憶手段を備えた遠隔監視システムが開示されている。この遠隔監視システムは、顧客と自動音声対応装置とのメッセージの内容を音声認識手段で判断することによって、ユーザの用件の緊急度を緊急用件情報記憶手段に記憶されている優先度で重み付けるとともに、通話先が災害地域であるか否かの結果に基づいて対応する拠点を切り替えるようにしている。つまり、通話先が災害地域の時は、オペレータ受信装置へ、緊急度が高い時は、発信元の地域を担当するサービス拠点へ、緊急度が低い時は、自動音声対応装置による音声案内へと切り替えるように、着信先切り替え装置で着信先を切り替えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成では、緊急度が低い時にのみ、自動音声対応装置による音声案内へ切り替えるため、その他の状況時には、オペレータ等の人が対応しなければならず、人的な負担が大きい。
また、緊急度が低い時でも、ユーザからの問い合わせに対応できない場合は、オペレータ等の人が対応せざるを得ない。その結果、人的負担が更に大きくなり、早期に改善が望まれている。
【0006】
そこで本発明は、人の負担を軽減することができる昇降装置の自動応答用データベースの構築方法及び昇降装置の自動応答用データベースの構築システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の昇降装置の自動応答用データベースの構築方法は、昇降装置に関するユーザからの音声による問い合わせに対して自動応答する自動応答部を備えた昇降装置において使用するための昇降装置の自動応答用データベースの構築方法であって、前記自動応答部は、ユーザからの問い合わせのメッセージを自動的に読み取る読取ステップと、該読取ステップで読み取ったメッセージに含まれるワードの中から少なくとも1つのワードを抽出する抽出ステップと、該抽出ステップで抽出したワードと、該ワードに関連する、前記昇降装置の稼働状況、該昇降装置が設けられている現場の状況情報、係員の手配状況、係員の手配先のうちの少なくとも1つの関連項目と、前記ワード及び前記関連項目に基づいてユーザへ音声で回答するためのメッセージと、をデータベースに書き込む書込ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、自動応答部は、ユーザからの昇降装置に関する問い合わせのメッセージを自動的に読み取り、読み取ったメッセージに含まれるワードの中から少なくとも1つのワードを抽出し、抽出したワードと、ワードに関連する、昇降装置の稼働状況、昇降装置が設けられている現場の状況情報、係員の手配状況、係員の手配先のうちの少なくとも1つの関連項目と、ワード及び関連項目に基づいてユーザへ音声で回答するためのメッセージと、をデータベースに自動的に書き込むことによって、ユーザからの昇降装置に関する問い合わせに対して自動応答することが可能になる。
【0009】
また、本発明の昇降装置の自動応答用データベースの構築方法は、前記ワードに関連する前記関連項目のうちの係員の手配先又は/及び係員の手配状況が前記書込ステップで書き込まれることにより前記係員の手配の要否を判断する判断ステップを備えていてもよい。
【0010】
上記のように、判断ステップは、ワードに関連する関連項目のうちの係員の手配先又は係員の手配状況あるいはそれら両方(係員の手配先と係員の手配状況)が書込ステップで書き込まれることにより係員の手配の要否を判断することができる。
【0011】
また、本発明の昇降装置の自動応答用データベースの構築方法は、前記自動応答部が、前記関連項目毎に前記データベースに予め登録されている複数のメッセージの中から前記書込ステップで書き込んだ関連項目に近似する関連項目のメッセージを選択して該書込ステップで前記データベースに書き込む構成であってもよい。
【0012】
上記のように、メッセージを関連項目毎にデータベースに予め登録されている複数のメッセージの中から書込ステップで書き込んだ関連項目に近似する関連項目のメッセージを選択するので、的確なメッセージを迅速にデータベースに書き込むことができる。
【0013】
また、本発明の昇降装置の自動応答用データベースの構築方法は、前記データベースに、前記書込ステップで書き込まれるべき適切な関連項目ではない不適切な関連項目、又は前記書込ステップで書き込まれるべき適切なメッセージではない不適切なメッセージが存在する場合は、適切な関連項目又は適切なメッセージに修正する修正ステップを備えていてもよい。
【0014】
上記のように、書込ステップで書き込まれたデータに不適切な関連項目又は不適切なメッセージが存在する場合に、修正ステップで適切な関連項目又は適切なメッセージに修正することによって、ユーザからの問い合わせに対して正しい応答を行うことができる。
【0015】
また、本発明の昇降装置の自動応答用データベースの構築方法は、前記判断ステップにより前記係員の手配が必要であると判断した場合、前記データベースに書き込まれている関連項目とユーザからの問い合わせに実際に対応して処理した後に前記データベースとは別の記憶装置に書き込まれている真の関連項目とを比較し、両者が相違している場合には、前記データベースに書き込まれている関連項目を使用してユーザからの問い合わせに自動応答することを禁止する構成であってもよい。
【0016】
上記のように、自動応答部が自動応答を行う場合に、判断ステップにより前記係員の手配が必要であると判断した場合、データベースに書き込まれている関連項目とデータベースとは別の記憶装置に書き込まれている真の関連項目とを比較し、両者が相違している場合には、データベースに書き込まれている関連項目の使用を禁止するので、ユーザからの問い合わせに対して間違った応答を行うことを回避できる。
【0017】
また、本発明の昇降装置の自動応答用データベースの構築システムは、昇降装置に関するユーザからの問い合わせに対して自動応答する自動応答部を備えた昇降装置において使用するための自動応答用データベースの構築システムであって、前記自動応答部は、ユーザからの問い合わせのメッセージを自動的に読み取る読取手段と、該読取手段で読み取ったメッセージに含まれるワードの中から少なくとも1つのワードを抽出する抽出手段と、該抽出手段で抽出したワードと、該ワードに関連する、前記昇降装置の稼働状況、該昇降装置が設けられている現場の状況情報、係員の手配状況、係員の手配先のうちの少なくとも1つの関連項目と、前記ワード及び前記関連項目に基づいてユーザへ音声で回答するためのメッセージと、をデータベースに書き込む書込手段と、を備えていることを特徴としている。
【0018】
本発明によれば、自動応答部は、ユーザからの昇降装置に関する問い合わせのメッセージを自動的に読み取り、読み取ったメッセージに含まれるワードの中から少なくとも1つのワードを抽出し、抽出したワードと、ワードに関連する、昇降装置の稼働状況、昇降装置が設けられている現場の状況情報、係員の手配状況、係員の手配先のうちの少なくとも1つの関連項目と、ワード及び関連項目に基づいてユーザへ音声で回答するためのメッセージと、をデータベースに自動的に書き込むことによって、ユーザからの昇降装置に関する問い合わせに対して自動応答することが可能になる。
【0019】
また、本発明の昇降装置の自動応答用データベースの構築システムは、前記ワードに関連する前記関連項目のうちの係員の手配先又は/及び係員の手配状況が前記書込手段で書き込まれることにより前記係員の手配の要否を判断する判断手段を備えていてもよい。
【0020】
上記のように、判断手段は、ワードに関連する関連項目のうちの係員の手配先又は係員の手配状況あるいはそれら両方(係員の手配先と係員の手配状況)が書込手段で書き込まれることにより係員の手配の要否を判断することができる。
【0021】
また、本発明の昇降装置の自動応答用データベースの構築システムは、前記自動応答部が、前記関連項目毎に前記データベースに予め登録されている複数のメッセージの中から前記書込手段で書き込んだ関連項目に近似する関連項目のメッセージを選択して該書込手段で前記データベースに書き込む構成であってもよい。
【0022】
上記のように、メッセージを関連項目毎にデータベースに予め登録されている複数のメッセージの中から書込手段で書き込んだ関連項目に近似する関連項目のメッセージを選択するので、的確なメッセージを迅速にデータベースに書き込むことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、自動応答部が、少なくとも1つのワードと、抽出したワードに関連する少なくとも1つの関連項目と、ユーザへ音声で回答するためのメッセージと、をデータベースに自動的に書き込むことによって、ユーザからの昇降装置に関する問い合わせに対して自動応答することができるので、人の負担を軽減することができる昇降装置の自動応答用データベースの構築方法及び昇降装置の自動応答用データベースの構築システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態に係るエレベータの自動応答用データベースの構築方法を実行するために用いるシステムの基本構成を示すブロック図である。
【
図2】自動応答サーバーの構成を示すブロック図である。
【
図3】データベースに書き込まれた内容を示す図である。
【
図4】学習を行うための前半のフローチャートである。
【
図5】
図4の続きを示す後半のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る昇降装置、この実施形態ではエレベータの自動応答用データベースの構築方法及び構築システムの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1に、エレベータの自動応答用データベースの構築方法を実行するために用いる構築システムの基本構成を示すブロック図である。
【0027】
図1の構築システムは、自動応答サーバー1が、情報システム2、データベース3、記憶装置4、入力装置5、情報端末6、受電端末7、遠隔監視サーバー8に接続されている。前記遠隔監視サーバー8には、乗りかごに備えているインターホン9が接続されており、インターホン9が遠隔監視サーバー8を経由して自動応答サーバー1に接続される。
【0028】
自動応答サーバー1は、ユーザからの電話でのエレベータに関する問い合わせに対して自動応答する自動応答部である。自動応答サーバー1の自動応答時には、ユーザからの電話での問い合わせに対して、
図3に示す自動応答するために構築されたデータベース3に記憶されているメッセージの中から問い合わせ内容に応じたメッセージを選択して音声にて出力することによって、ユーザからの電話に自動応答することができる。この自動応答サーバー1は、
図2に示すように、読取手段10と、抽出手段11と、書込手段12と、修正手段13を備えている。ユーザからの電話は、固定電話や携帯電話の他、乗りかごに備えているインターホン9を含む。前記音声は、自動応答部が作り出す合成音声の他、予め人の声を録音した録音音声であってもよい。
【0029】
読取手段10は、ユーザからの電話による問い合わせのメッセージを自動的に読み取る手段であり、ユーザからの電話による問い合わせのメッセージ(音声)を汎用の音声認識装置(図示せず)で文字列にテキスト化する。ユーザからの問い合わせのメッセージは、自動応答部が音声認識装置で直接読み取るようにしてもよいし、ユーザとオペレータとがやり取りを行った時のメッセージを音声認識装置で読み取るようにしてもよい。
【0030】
抽出手段11は、前記読取手段10で読み取ったメッセージに含まれるワード、つまり前記音声認識装置でテキスト化した文字列の中から、例えばデータベース3とは別のデータベース(記憶装置、図示せず)に多数のワードが記憶されている問い合わせのワード一覧(図示せず)の中のワードと一致するワードがあれば、その文字列の中にあるワード(少なくとも1つのワード)を抽出する。例えばテキスト化された文字列が、「エレベータが動かない、すぐに来てほしい。」であった場合に、ワード一覧の中に、「エレベータ」、「動かない」というワードがあれば、それら「エレベータ」、「動かない」を2つのワードとして抽出する。
図3には、ワード1及びワード2の欄に、ワード一覧の中のワードと一致するワードを抽出して書き込んだ状態を示している。この実施形態では、1つ及び2つのワードを抽出しているが、1つのみ又は3つ以上のワードを抽出してもよい。前記問い合わせワード一覧には、昇降装置がエレベータの場合は、「エレベータ」、昇降装置がエスカレータの場合は、「エスカレータ」、その他、「ドア」、「釦」、「インジケーター」、「ベル」、「チャイム」、「床」、「ファン」、「照明」、「キー」、「点検日」、「変更」「テスト」、「検査」、「立ち合い」、「停電」、「地震」、「火災」、「落とし物」、「動かない」、「繰り返す」、「落とした」、「音がする」、「止める」、「振動する」、「動かす」、「表示しない」、「開かない」、「閉じない」等が記憶されている。
【0031】
書込手段12は、前記抽出手段11で抽出したワードと、該ワードに関連する、エレベータの稼働状況、エレベータが設けられている現場の状況情報、現場仕様、係員の手配状況、係員の手配先、係員の手配の要否のうちの少なくとも1つの関連項目と、前記ワード及び前記関連項目に基づいてユーザへ音声で回答するためのメッセージと、をデータベース3に書き込む手段である。
【0032】
記憶装置4は、ユーザからの電話による問い合わせ(故障等の連絡)に対してオペレータが応答してどの手配先がどのような処理を行ったかを正しく記録(記憶)する装置である。具体的には、記憶装置4は、例えば、保守(技術員)が動かくなった故障中のエレベータを動くように処置を行って完了させたかを記録(記憶)する装置である。例えば、ユーザからの問い合わせにオペレータが対応した時の対話情報と関連項目とメッセージとが記憶装置4に記憶されている。そこで、自動応答サーバー1は、前記対話情報を前記のようにテキスト化し、ワード一覧の中からテキスト化したワードと一致するワードを抽出して、抽出したワードに関連する関連項目を記憶装置4から真の関連項目として取り出すことができる。また、記憶装置4から取り出した真の関連項目に基づいてデータベース3に後述する隠れキーワードとともに書き込まれているメッセージを記憶装置4から真のメッセージとして取り出すことができる。このように処理されて取り出された真の関連項目及び真のメッセージは、自動応答サーバー1がデータベース3に書き込んだ内容が必ずしも正しいとは限らないため、書き込んだ内容に誤りがあるかどうかを確認するために使用される。
【0033】
入力装置5は、現場の状況等を入力する際、又はデータベース3に書き込まれているデータを修正する際に、オペレータ(人)が入力するための装置である。
【0034】
情報端末6は、現場の状況情報(例えば「停電」)及び現場への手配先(例えば「保守」「営業」「検査」等)並びに手配状況に関する情報(例えば「出向」「待機」等)を自動応答サーバー1へ通知するための端末である。情報端末6で手配先(例えば保守)が自動応答サーバー1へ通知されると、自動応答サーバー1は、データベース3の手配の欄に「要」と自動的に書き込む。これとは逆に、情報端末6で手配先が自動応答サーバー1へ通知されないと、自動応答サーバー1は、データベース3の手配の欄に「不要」と自動的に書き込む。尚、手配先だけで手配の要否を判断すると手配の要否を間違ってしまう場合があるため、手配状況の「出向」の情報で手配の要否を判断する。つまり手配状況が「出向」になっていると、技術員が既に現場に向かっている状況であるため、自動応答サーバー1は、データベース3の手配の欄に「不要」と自動的に書き込む。この実施形態では、手配先の情報又は手配状況の情報で手配の要否を判断しているが、手配先及び手配状況の2つの情報から手配の要否を判断してもよい。
【0035】
受電端末7は、インターホン9以外の電話、つまりユーザからの固定電話や携帯電話が繋がる端末である。
【0036】
遠隔監視サーバー8は、個々の現場の特にエレベータの稼働状況を監視し、該稼働状況(例えば「休止」)を自動応答サーバー1へ通知するためのサーバーである。
【0037】
情報システム2は、個々の現場の現場仕様を管理するためのシステムである。現場仕様は、例えば製品番号、納入年月、設置場所、非常ベルのリセット釦場所等の情報が含まれる。
【0038】
自動応答サーバー1は、前記抽出手段11で抽出したワードを書き込んだ後に、抽出したワードに関連する関連項目の具体的な内容を、前述した、遠隔監視サーバー8、情報システム2、情報端末6から受信することによって得るようにしている。そして、自動応答サーバー1は、受信した関連項目の具体的な内容を、データベース3に書込手段12で書き込む。
【0039】
次に、データベース3にメッセージを書き込むことについて説明する。まず、自動応答サーバー1は、関連項目毎にデータベース3に予め登録されている複数のメッセージ(
図3にNo1~No7までの7つのメッセージが記憶されている)の中から前記書込手段12で書き込んだ関連項目に近似する関連項目のメッセージを選択してデータベース3にメッセージ番号(1~7)を書き込む。
【0040】
メッセージを選択してデータベース3に書き込む方法についての一例を説明すれば、前記データベース3には、例えば
図3のデータベース3の2段目の表の中にNo1~No7(ここでは、7個であるが、何個でもよい)のメッセージが記憶されている。これら各メッセージには、メッセージに対応する関連項目の内容が隠れキーワードとして記憶されている。その隠れキーワードを探すことで、隠れキーワードに対応するメッセージを選択することができる。例えばNo1のメッセージであれば、「リセット釦場所」が隠れキーワードとして記憶されている。したがって、自動応答サーバー1は、現場仕様の欄に「リセット釦場所」を書き込む予定であれば、この「リセット釦場所」を隠れキーワードから探し出すことによって、メッセージがNo1の「リセット釦場所にあるリセット釦を押してください。」であると特定して、No1のメッセージ欄にメッセージ番号である1を書き込む。また、No2のメッセージであれば、「停電」が隠れキーワードとして記憶されている。したがって、自動応答サーバー1は、状況情報の欄に「停電」を書き込む予定であれば、この「停電」を隠れキーワードから探し出すことによって、メッセージがNo2の「停電のためエレベータが停止しています。停電復旧後に運転を再開します。」であると特定して、No2のメッセージ欄にメッセージ番号である2を書き込む。また、No3のメッセージであれば、「休止」「出向」「保守」の3つの項目が対応して記憶されている。したがって、自動応答サーバー1は、稼働状況の欄に「休止」、手配状況の欄に「出向」、手配先の欄に「保守」を書き込む予定であれば、これら「休止」「出向」「保守」の3つの項目の内容を隠れキーワードから探し出すことによって、メッセージがNo3の「既に技術員がそちらに向かっています。」であると特定して、No3のメッセージ欄にメッセージ番号である3を書き込む。また、No4のメッセージであれば、「休止」「待機」「保守」3つの項目が対応して記憶されている。したがって、自動応答サーバー1は、稼働状況の欄に「休止」、手配状況の欄に「待機」、手配先の欄に「保守」を書き込む予定であれば、これら「休止」「待機」「保守」の3つの項目の内容を隠れキーワードから探し出すことによって、メッセージがNo4の「技術員を手配します。」であると特定して、No4のメッセージ欄にメッセージ番号である4を書き込む。尚、No5及びNo6のメッセージ欄に書き込まれるメッセージは、No4のメッセージと同一であるが、No5とNo6の項目の内容には、いずれも「保守」のみが書き込まれることになるため、「保守」をNo4のメッセージの隠れキーワードとしても記憶させておくことになる。したがって、自動応答サーバー1は、手配先の欄に「保守」を書き込む予定であれば、この「保守」を隠れキーワードから探し出すことによって、メッセージがNo4の「技術員を手配します。」であると特定して、No5及びNo6のメッセージ欄にメッセージ番号である4をそれぞれ書き込む。
【0041】
このように、メッセージを関連項目毎にデータベース3に予め登録されている複数のメッセージの中から書込手段12で書き込んだ関連項目に近似する関連項目のメッセージを選択するので、的確なメッセージを迅速にデータベース3に書き込むことができる。書き込んだ関連項目に近似する関連項目とは、この実施形態では同一文字の関連項目を指すが、例えば「休止」を「止まっている」と違う文字であるとしても、内容が同一であると認識できるものも含む。
【0042】
また、No7及びNo8のメッセージ欄に書き込むメッセージは異なるのであるが、いずれも手配先が「営業」と同一であるため、関連項目の内容だけでは区別がつかない特殊な場合である。この場合には、No7では、ワード1の「点検日」、ワード2の「変更」、手配先の「営業」の3つをNo5のメッセージに対応して隠れキーワードとして記憶することになる。したがって、自動応答サーバー1は、手配先の欄に「営業」を書き込む予定であれば、この「営業」に加えて2つのワードの「点検日」及び「変更」を取り出して隠れキーワードから探し出すことによって、メッセージがNo5の「希望の点検日を教えてください。」であると特定して、No7のメッセージ欄にメッセージ番号である5を書き込む。尚、自動応答時に自動応答サーバー1がメッセージのNo5の「希望の点検日を教えてください。」をユーザに伝えてユーザが例えば「8月25日に点検してください。」と回答すると、自動応答サーバー1は、営業の担当者の予定表の8月25日の予定を確認し、予定が入っていなければ、ユーザに「承知しました。」と応答し、営業の担当者の予定表に点検日を入力する。これとは逆に、前記営業の担当者の予定表の8月25日に他の予定が入っていれば、その日は対応できません。別の日を教えてくださいと応答する。前記No8では、ワード1の「テスト」、ワード2の「立ち合い」、手配先の「営業」の3つをNo6のメッセージに対応して記憶することになる。したがって、自動応答サーバー1は、手配先の欄に「営業」を書き込む予定であれば、この「営業」に加えて2つのワードの「テスト」及び「立ち合い」を取り出して隠れキーワードから探し出すことによって、メッセージがNo6の「希望のテスト立ち合い日を教えてください。」であると特定して、No8のメッセージ欄にメッセージ番号である6を書き込む。尚、自動応答時に自動応答サーバー1がメッセージのNo6の「希望のテスト立ち合い日を教えてください。」をユーザに伝えてユーザが例えば「8月25日に立ち合いしてください。」と回答すると、自動応答サーバー1は、営業の担当者の予定表の8月25日の予定を確認し、予定が入っていなければ、ユーザに「承知しました。」と応答し、営業の担当者の予定表に点検日を入力する。これとは逆に、前記営業の担当者の予定表の8月25日に他の予定が入っていれば、その日は対応できません。別の日を教えてくださいと応答する。No9のメッセージであれば、手配先が「検査」であり、No7のメッセージに対応して記憶することになる。したがって、自動応答サーバー1は、手配先の欄に「検査」を書き込む予定であれば、この「検査」を隠れキーワードから探し出すことによって、メッセージがNo7の「希望の検査日を教えてください。」であると特定して、No9のメッセージ欄にメッセージ番号である7を書き込む。この場合も、自動応答時に自動応答サーバー1がメッセージのNo7の「希望の検査日を教えてください。」をユーザに伝えてユーザが例えば「8月25日に検査してください。」と回答すると、自動応答サーバー1は、営業の担当者の予定表の8月25日の予定を確認し、予定が入っていなければ、ユーザに「承知しました。」と応答し、営業の担当者の予定表に点検日を入力する。これとは逆に、前記営業の担当者の予定表の8月25日に他の予定が入っていれば、その日は対応できません。別の日を教えてくださいと応答する。
【0043】
また、自動応答サーバー1は、データベース3に、書込手段12で書き込まれるべき適切な関連項目ではない不適切な関連項目、又は書込手段12で書き込まれるべき適切なメッセージではない不適切なメッセージが存在する場合は、適切な関連項目又は適切なメッセージに修正するための修正手段13(
図2参照)を備えている。したがって、自動応答サーバー1は、データベース3への書き込みが完了すると、前記記憶装置4に記憶されている真の関連項目及び真のメッセージと、データベース3に書き込まれている関連項目又はメッセージとを比較し、異なっている場合には、修正手段13により記憶装置4に記憶されている真の関連項目の内容及び真のメッセージ番号をコピーしデータベース3の該当する(異なっている)関連項目欄及びメッセージ欄に上書きすることで書き換える。尚、この実施形態では、修正手段13を自動応答サーバー1に備えている場合を示しているが、オペレータが適切な関連項目の内容又はメッセージ番号に人為的に修正してもよい。
【0044】
データベース3には、
図3に示すように、ワード1の欄、ワード2の欄、稼働状況の欄、状況情報の欄、現場仕様の欄、手配の欄、手配状況の欄、手配先の欄、メッセージの欄の9つの欄を備えているが、ワードの欄、稼働状況の欄、状況情報の欄、手配状況の欄、手配先の欄、メッセージの欄の6つの欄を備えた構成でもよい。つまり、これら欄の個数、つまり情報の個数は、これら以外の個数であってもよい。また、
図3では、No1~No9までの9つのユーザとの処理した内容が書き込まれているが、後述する学習を行っていくうちに処理した内容の数が増えていくことで、ユーザとの応答を更にスムーズかつ迅速に行うことができる。
【0045】
自動応答サーバー1が
図3のデータベース3のNo1~No9へ書き込むことについて説明する。No1は、ユーザから「乗り場に設けているベルが鳴ったまま止まらない」との電話連絡を受けた場合で、ワード1の欄に「ベル」、ワード2の欄に「止まらない」と書き込み、情報システム2からの情報により現場仕様の欄に「リセット釦場所」と書き込む。前述した隠れキーワードの「リセット釦場所」から、メッセージ欄に、No1のメッセージを選択してメッセージ欄にメッセージ番号の1を書き込む。この実施形態では、自動応答サーバー1が係員の手配の要否を判断するには、抽出したワードに関連する関連項目である手配状況の情報を情報端末6から得た場合にのみ、係員の手配が必要であると自動応答サーバー1が判断して手配欄に「要」と書き込むようにしている。
【0046】
No2~No4は、いずれもユーザから「エレベータが動かない」との電話連絡を受けた場合で、前述したようにワードを抽出して、ワード1の欄に「エレベータ」、ワード2の欄に「動かない」と書き込み、No2では情報端末6からの情報により状況情報に「停電」と書き込む。この場合、ワードに関連する関連項目である手配先の情報を情報端末6から得られないため、係員の手配は不要であると自動応答サーバー1が判断する。また、関連項目が「停電」となっているため、前述した隠れキーワードの「停電」からNo2のメッセージである「停電のためエレベータが停止しています。停電復旧後に運転を再開します」とのメッセージが選択されてメッセージ番号の2が書き込まれる。No3では、情報端末6から手配先が「保守」の情報を得ているため、手配が必要であるが、遠隔監視サーバー8からの情報により稼働状況を「休止」、情報端末6からの情報により手配状況を「出向」と書き込む。前述したように、手配状況が「出向」であれば、既に手配がされているため、手配が不要であり、自動応答サーバー1が手配欄に「不要」と書き込む。この場合、前述した隠れキーワードである「休止」「出向」「保守」から、No3のメッセージである「既に技術員がそちらに向かっています」とのメッセージが選択されてメッセージ欄にメッセージ番号の3が書き込まれる。No4では、No3同様に情報端末6から手配先が「保守」の情報を得て「保守」と書き込むとともに、情報端末からの情報により手配状況を「待機」と書き込み、手配が必要であると自動応答サーバー1が判断し、手配欄に「要」と書き込む。前述した隠れキーワードである「休止」「待機」「保守」から、No4のメッセージである「技術員を手配します」とのメッセージが選択されてメッセージ欄にメッセージ番号の4が書き込まれる。尚、No3及びNo4は、情報端末6からのワードに関連する手配状況だけでなく、手配先の情報を得ることで、自動応答サーバー1が係員の手配の要否を正確に判断することができる。
【0047】
No5では、ユーザから「どこからか音がする」との電話連絡を受けた場合で、ワード1の欄に抽出したワードである「音がする」を書き込む。また、情報端末6からの情報によりワードに関連する関連項目である「保守」を得ることで、ワードの「音がする」と関連項目の「保守」とで手配が必要であると自動応答サーバー1が判断する。そして、自動応答サーバー1は、手配先を「保守」と書き込むとともに手配欄に「要」と書き込み、前述した隠れキーワードの「保守」から、No4のメッセージである「技術員を手配します」とのメッセージを選択してメッセージ欄にメッセージ番号の4を書き込む。No6では、ユーザから「エレベータのドアの隙間に物を落とした」との電話連絡を受けた場合で、ワード1の欄に「隙間」、ワード2の欄に「落とした」と書き込み、情報端末6からの情報によりワードに関連する関連項目である「保守」を得ることで2つのワードの「隙間」、「落とした」と関連項目の「保守」とで手配が必要であると自動応答サーバー1が判断する。そして、自動応答サーバー1が手配先を「保守」と書き込み、前述した隠れキーワードの「保守」から、No4のメッセージである「技術員を手配します」とのメッセージを選択してメッセージ欄にメッセージ番号の4を書き込む。
【0048】
No7では、ユーザから「エレベータの点検日を変更したい」との電話連絡を受けた場合で、抽出したワードである「点検日」をワード1の欄に、「変更」をワード2の欄にそれぞれ書き込む。また、情報端末6からの情報によりワードに関連する関連項目である「営業」を得ることで手配が必要であると自動応答サーバー1が判断する。そして、自動応答サーバー1が手配先を「営業」と書き込み、隠れキーワードの「点検日」「変更」「営業」から、No5のメッセージである「希望の点検日を教えてください」とのメッセージを選択してメッセージ欄にメッセージ番号の5を書き込む。No8では、ユーザから「新しく設置したエレベータの稼働テストを行いたいので立ち合いをお願いしたい」との電話連絡を受けた場合で、抽出したワードである「テスト」をワード1の欄に、「立ち合い」をワード2の欄にそれぞれ書き込む。また、情報端末6からの情報によりワードに関連する関連項目である「営業」を得ることで手配が必要であると自動応答サーバー1が判断する。そして、自動応答サーバー1は、手配先を「営業」と書き込み、隠れキーワードの「テスト」「立ち合い」「営業」から、No6のメッセージである「希望のテスト立ち合い日を教えてください」とのメッセージを選択してメッセージ欄にメッセージ番号の6を書き込む。
【0049】
No9では、ユーザから「エレベータの定期検査日を変更したい」との電話連絡を受けた場合で、抽出したワードである「定期検査」をワード1の欄に、「変更」をワード2の欄にそれぞれ書き込む。また、情報端末6からの情報によりワードに関連する関連項目である「検査」を得ることで手配が必要であると自動応答サーバー1が判断する。そして、自動応答サーバー1が手配先を「検査」と書き込み、隠れキーワードの「検査」から、No7のメッセージである「希望の検査日を教えてください」とのメッセージを選択してメッセージ欄にメッセージ番号の7を書き込む。
【0050】
データベース3は、前述したように、1つのワード(ワード1)、又は2つのワード(ワード1とワード2)と、エレベータの稼働状況(例えば、運転、休止、点検等)、現場の状況情報(例えば、停電、地震、検査等)、現場の現場仕様(例えば、製品番号、納入年月、設置場所、非常ベルリセットボタンの場所等)、係員の手配の要否の情報、係員の手配状況(例えば、出向、待機等)、係員の手配先(例えば、保守、営業、検査等)、係員の手配の要否(要、不要)、ユーザに音声で応答する時のメッセージ番号(
図2では7つのパターンを記載している)と、が書き込まれて完成される。完成後は、自動応答サーバー1がユーザとの自動応答が可能になる。また、メッセージを関連項目毎にデータベース3に予め登録されている複数のメッセージの中から書込手段12で書き込んだ関連項目に近似する関連項目のメッセージを選択するので、的確なメッセージを迅速にデータベース3に書き込むことができる。書き込んだ関連項目に近似する関連項目とは、この実施形態では同一文字の関連項目を指すが、例えば「休止」を「止まっている」と違う文字であるとしても、内容が同一であると認識できるものも含む。
【0051】
尚、ユーザからの電話連絡を受けたときのメッセージの内容では、自動応答サーバー1が応答できない場合は、データベース3に書き込まれた絞り込みのためのNo1~No7の問いかけ(
図3の3段目参照)を用いてユーザに内容について問い合わせることによって、ユーザからの問い合わせのメッセージの内容を明確にすることができる。
【0052】
前記のように、自動応答サーバー1が
図3に示す自動応答用のデータベース(以下、単にデータベースという)3を構築することによって、ユーザからの電話に対して迅速かつ的確に応答することができる。具体的には、
図4及び
図5のフローチャートに示すように、自動応答用のデータベース3を構築するには、学習を行いながら構築することになるため、膨大なデータを予め入力しておくことが不要であり、簡素な構成で自動応答を実現することができる。
【0053】
図4及び
図5のフローチャートに基づいてデータベース3の構築方法について説明する。学習を開始すると、データベース(フローチャートではDBと記載している)3に、データ、つまりワード、該ワードに関連する関連項目、つまり稼働状況、状況情報、現場仕様、係員の手配の要否、係員の手配状況、係員の手配先、メッセージ(この実施形態では7つの関連項目)のデータを書き込むかどうかを判断し(ステップS1)、書き込みを行う場合には、ユーザからの問い合わせのメッセージ(音声)を音声認識装置で文字列にテキスト化する(ステップS2、読取ステップ)。テキスト化した文字列の中からワード(ワード1及びワード2)を抽出する(ステップS3、抽出ステップ)。このワードの抽出は、前述したように、データベース3とは別のデータベース(記憶装置)に多数のワードを記憶させている問い合わせのワード一覧の中のワードと一致するワードがテキスト化した文字列の中にあれば、その文字列の中のワード(ワード1及びワード2)を抽出する。前記抽出したワード(ワード1及びワード2)をデータベース3に書き込む(ステップS4、書込ステップ)。
【0054】
続いて、自動応答サーバー1は、遠隔監視サーバー8にエレベータの稼働状況、例えば「休止」等に関する書き込み(例えば、休止)があれば、「休止」を取得してデータベース3に書き込む(ステップS5、書込ステップ)。また、自動応答サーバー1は、情報システム2に現場仕様に関する書き込み、例えば「リセット釦場所」があれば、「リセット釦場所」を取得してデータベース3に書き込む(ステップS6、書込ステップ)。また、自動応答サーバー1は、情報端末6に現場の状況情報に関する書き込み、例えば、「停電」、「平常」等があれば、「停電」、「平常」を取得してデータベース3に書き込む(ステップS7、書込ステップ)。更にまた、自動応答サーバー1は、情報端末6に手配先に関する書き込み、例えば、「保守」、「営業」、「検査」等)があれば、「保守」、「営業」、「検査」を取得してデータベース3に書き込む(ステップS8、書込ステップ)。ステップS8で手配先が、例えば「保守」であるが、手配状況が、例えば「出向」であれば、手配が不要であると判断し、手配先が、例えば「保守」で、手配状況が、例えば「待機」であれば、手配が必要であると判断し、手配先が、例えば「保守」又は「営業」又は「検査」で、手配状況が書き込まれていない場合に、手配が必要であると判断する(判断ステップ)。そして、例えば手配先を「保守」として、手配状況を「待機」及び手配を「要」として、一緒にデータベース3に書き込む(ステップS9、書込ステップ)。なお、前記判断ステップは、ワードに関連する関連項目である手配先及び手配状況の情報を情報端末6から得て、それらの手配先及び手配状況の情報に基づいて、係員の手配の要否を判断することが好ましい。
【0055】
ステップS4からステップS9までのワードに関連する関連項目(状況情報、手配先等)が書き込まれた後は、前述したように、関連項目別に予めデータベース3に登録されているメッセージの中から、書き込んだ関連項目に近い関連項目のメッセージを選択してデータベース3の右端のメッセージ欄にメッセージ番号を書き込む(ステップS10、書込ステップ)。
【0056】
書き込みが完了すると、前述したように、データベース3に書き込まれた関連項目及びメッセージが記憶装置4に記録されている真の関連項目及び真のメッセージと異なっている場合は、前述したように、データベース3を真の関連項目及び真のメッセージに修正して書き込む(ステップS11、修正ステップ)。
【0057】
前記修正後は、
図3の構築されたデータベース3に書き込まれた内容(関連項目及びメッセージ)を検証するかどうかを判断する(ステップS12)。検証すると判断すると(Yes)、データベース3の関連項目及びメッセージと記憶装置4の真の関連項目及び真のメッセージとが一致しているかどうかを確認する(ステップS13)。ステップS14においてデータベース3の関連項目及びメッセージと記憶装置4の真の関連項目及び真のメッセージとが一致しているかどうかを確認するのは、ステップS11においてデータベース3を真の関連項目及び真のメッセージに修正しなければならない関連項目が制御部のエラー等により実際には修正されていない場合があるためである。
【0058】
ステップS14で関連項目及びメッセージが一致していない場合には、データベース3の関連項目及びメッセージの使用を禁止し(ステップS14)、ステップS15へ移行する。ステップS12で内容の検証を行わなかった場合及びステップS13で関連項目及びメッセージが一致している場合は、ステップS15に移行し、学習を終了するかどうかを判断する。学習を終了する場合は、学習終了となり、また、学習を終了しない場合には、ステップS1へ戻る。
【0059】
本発明は、昇降装置に関するユーザからの問い合わせに対して自動応答する自動応答部1を備えた昇降装置において使用するための自動応答用データベースの構築システムであって、前記自動応答部1は、ユーザからの問い合わせのメッセージを自動的に読み取る読取手段10と、該読取手段10で読み取ったメッセージに含まれるワードの中から少なくとも1つのワードを抽出する抽出手段11と、該抽出手段11で抽出したワード(前記ワード1とワード2)と、該ワードに関連する、前記昇降装置の稼働状況、該昇降装置が設けられている現場の状況情報、係員の手配状況、係員の手配先のうちの少なくとも1つの関連項目と、前記ワード及び前記関連項目に基づいてユーザへ音声で回答するためのメッセージと、をデータベースに書き込む書込手段12と、を備えていることを特徴とする昇降装置の自動応答用データベースの構築システムであってもよい。
【0060】
また、前記構築システムは、前記ワードに関連する前記係員の手配先又は/及び係員の手配状況が前記書込手段12で書き込まれることにより前記係員の手配の要否を判断する判断手段を備えている。また、前記自動応答部1は、前記関連項目毎に前記データベース3に予め登録されている複数のメッセージの中から前記書込手段12で書き込んだ関連項目に近似する関連項目のメッセージを選択して該書込手段12で前記データベース3に書き込む。
【0061】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0062】
前記実施形態では、昇降装置としてエレベータを説明したが、エスカレータであってもよい。
【0063】
前記実施形態では、データベース3のメッセージ欄には、メッセージ番号を書き込むようにしたが、メッセージそのものを書き込むようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…自動応答サーバー(自動応答部)、2…情報システム、3…データベース、4…記憶装置、5…入力装置、6…情報端末、7…受電端末、8…遠隔監視サーバー、9…インターホン、10…読取手段、11…抽出手段、12…書込手段、13…修正手段