(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】梯子体のロック構造、及び、梯子体
(51)【国際特許分類】
E06C 1/12 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
E06C1/12
(21)【出願番号】P 2019128136
(22)【出願日】2019-07-10
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】393018130
【氏名又は名称】長谷川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】泉 幸治
【審査官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-186898(JP,A)
【文献】特開平06-341281(JP,A)
【文献】特開2012-193561(JP,A)
【文献】国際公開第2007/115956(WO,A1)
【文献】実開昭60-078667(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C 1/00-9/14
E04G 1/30
F16B 7/00-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された一対の支柱と、前記一対の支柱の間に架け渡された踏桟と、を備える梯子部材を複数備え、前記支柱が入れ子状に連結されることにより伸縮可能とされる梯子体において、連続する前記支柱同士を互いに所定の位置で固定する、梯子体のロック機構であって、
前記ロック機構は、一の支柱に組付けられた前記踏桟に固定され、前記一の支柱と該一の支柱に挿入される他の支柱とが伸張した状態において、前記他の支柱に形成された挿入孔に挿入されるロックピンと、前記ロックピンを前記ロックピンの先端側に付勢することにより挿入位置に変位させる付勢手段と、前記ロックピンを前記付勢手段の付勢力に抗して前記ロックピンの基端側である退避位置に向かって変位させるロック解除部と、を備え、
前記ロック解除部は、ロック位置とロック解除位置との間で変位可能とされ、
前記ロック解除部が前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位することにより、前記ロックピンが前記挿入位置から前記退避位置に変位して、前記支柱同士の固定が解除され、
前記ロックピンは、前記ロック位置に位置する前記ロック解除部により、前記挿入位置から前記退避位置への変位が規制される、梯子体のロック機構。
【請求項2】
前記ロックピンは、軸方向における中途部に係止部が形成され、
前記ロック解除部には被係止部が形成され、
前記ロックピンが前記挿入位置に位置する際に前記ロック解除部が前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位する場合は、前記被係止部と前記係止部とが係合せずに前記ロックピンが前記退避位置に変位され、
前記ロック解除部が前記ロック位置に位置する際に前記ロックピンが前記挿入位置から前記退避位置の方向に変位する場合は、前記被係止部と前記係止部とが係合することにより、前記ロックピンの前記退避位置への変位が規制される、請求項1に記載の梯子体のロック機構。
【請求項3】
前記ロックピンが前記挿入位置から前記退避位置の方向に変位する際に、前記ロック解除部が自重により前記ロック位置を維持する、請求項1又は請求項2に記載の梯子体のロック機構。
【請求項4】
前記ロック解除部は付勢部材により前記ロック位置の方向に付勢され、
前記ロックピンが前記挿入位置から前記退避位置の方向に変位する際に、前記ロック解除部が前記付勢部材の付勢力により前記ロック位置を維持する、請求項1又は請求項2に記載の梯子体のロック機構。
【請求項5】
筒状に形成された一対の支柱と、前記一対の支柱の間に架け渡された踏桟と、前記踏桟に設けられて連続する前記支柱同士を互いに所定の位置で固定するロック機構と、を備える梯子部材を複数備え、前記支柱が入れ子状に複数連結されることにより伸縮可能とされる梯子体であって、
前記ロック機構は、一の支柱に組付けられた前記踏桟に固定され、前記一の支柱と該一の支柱に挿入される他の支柱とが伸張した状態において、前記他の支柱に形成された挿入孔に挿入されるロックピンと、前記ロックピンを前記ロックピンの先端側に付勢することにより挿入位置に変位させる付勢手段と、前記ロックピンを前記付勢手段の付勢力に抗して前記ロックピンの基端側である退避位置に向かって変位させるロック解除部と、を備え、
前記ロック解除部は、ロック位置とロック解除位置との間で変位可能とされ、
前記ロック解除部が前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位することにより、前記ロックピンが前記挿入位置から前記退避位置に変位して、前記支柱同士の固定が解除され、
前記ロックピンは、軸方向における中途部に係止部が形成され、
前記ロック解除部には被係止部が形成され、
前記ロックピンが前記挿入位置に位置する際に前記ロック解除部が前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位する場合は、前記被係止部と前記係止部とが係合せずに前記ロックピンが前記退避位置に変位され、
前記ロック解除部が前記ロック位置に位置する際に前記ロックピンが前記挿入位置から前記退避位置の方向に変位する場合は、前記被係止部と前記係止部とが係合することにより、前記ロックピンの前記退避位置への変位が規制される、梯子体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮可能に構成された梯子体、及び、そのロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の支柱と、この一対の支柱の間に架け渡された踏桟と、を有する梯子体を備える昇降道具として、梯子、脚立、踏台、三脚、足場台等が知られている。このような梯子体において、複数の支柱を入れ子状に連結するとともに、連続する支柱同士をロック機構により伸張位置で固定する技術が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の梯子体においては、ロックピン(ストッパーピン)を備えるロック機構が連続する二本の支柱のうち一方に設けられている。そして、支柱同士が伸張位置となった際に、ロックピンがコイルバネの付勢力により他方の支柱に挿入され、支柱同士の相対変位を規制するように構成されている。
【0005】
上記の如く構成された梯子体において、複数の支柱を伸張位置にして使用する際に、ロックピンが支柱との摩擦により基端側(コイルバネの方向)に徐々に退避する場合がある。即ち、梯子体の使用状態において、ロックピンがロック解除方向に変位する可能性があった。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、複数の支柱を伸張位置にして使用する際に、ロックピンと支柱との間に摩擦が生じても、ロックピンがロック解除方向に変位することを防止できる、梯子体のロック機構、及び、梯子体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本発明に係る梯子体のロック機構は、筒状に形成された一対の支柱と、前記一対の支柱の間に架け渡された踏桟と、を備える梯子部材を複数備え、前記支柱が入れ子状に連結されることにより伸縮可能とされる梯子体において、連続する前記支柱同士を互いに所定の位置で固定する、梯子体のロック機構であって、前記ロック機構は、一の支柱に組付けられた前記踏桟に固定され、前記一の支柱と該一の支柱に挿入される他の支柱とが伸張した状態において、前記他の支柱に形成された挿入孔に挿入されるロックピンと、前記ロックピンを前記ロックピンの先端側に付勢することにより挿入位置に変位させる付勢手段と、前記ロックピンを前記付勢手段の付勢力に抗して前記ロックピンの基端側である退避位置に向かって変位させるロック解除部と、を備え、前記ロック解除部は、ロック位置とロック解除位置との間で変位可能とされ、前記ロック解除部が前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位することにより、前記ロックピンが前記挿入位置から前記退避位置に変位して、前記支柱同士の固定が解除され、前記ロックピンは、前記ロック位置に位置する前記ロック解除部により、前記挿入位置から前記退避位置への変位が規制されるものである。
【0009】
また、本発明に係る梯子体のロック機構において、前記ロックピンは、軸方向における中途部に係止部が形成され、前記ロック解除部には被係止部が形成され、前記ロックピンが前記挿入位置に位置する際に前記ロック解除部が前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位する場合は、前記被係止部と前記係止部とが係合せずに前記ロックピンが前記退避位置に変位され、前記ロック解除部が前記ロック位置に位置する際に前記ロックピンが前記挿入位置から前記退避位置の方向に変位する場合は、前記被係止部と前記係止部とが係合することにより、前記ロックピンの前記退避位置への変位が規制されるものである。
【0010】
また、本発明に係る梯子体のロック機構において、前記ロックピンが前記挿入位置から前記退避位置の方向に変位する際に、前記ロック解除部が自重により前記ロック位置を維持するものである。
【0011】
また、本発明に係る梯子体のロック機構において、前記ロック解除部は付勢部材により前記ロック位置の方向に付勢され、前記ロックピンが前記挿入位置から前記退避位置の方向に変位する際に、前記ロック解除部が前記付勢部材の付勢力により前記ロック位置を維持するものである。
【0012】
また、本発明に係る梯子体は、筒状に形成された一対の支柱と、前記一対の支柱の間に架け渡された踏桟と、前記踏桟に設けられて連続する前記支柱同士を互いに所定の位置で固定するロック機構と、を備える梯子部材を複数備え、前記支柱が入れ子状に複数連結されることにより伸縮可能とされる梯子体であって、前記ロック機構は、一の支柱に組付けられた前記踏桟に固定され、前記一の支柱と該一の支柱に挿入される他の支柱とが伸張した状態において、前記他の支柱に形成された挿入孔に挿入されるロックピンと、前記ロックピンを前記ロックピンの先端側に付勢することにより挿入位置に変位させる付勢手段と、前記ロックピンを前記付勢手段の付勢力に抗して前記ロックピンの基端側である退避位置に向かって変位させるロック解除部と、を備え、前記ロック解除部は、ロック位置とロック解除位置との間で変位可能とされ、前記ロック解除部が前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位することにより、前記ロックピンが前記挿入位置から前記退避位置に変位して、前記支柱同士の固定が解除され、前記ロックピンは、軸方向における中途部に係止部が形成され、前記ロック解除部には被係止部が形成され、前記ロックピンが前記挿入位置に位置する際に前記ロック解除部が前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位する場合は、前記被係止部と前記係止部とが係合せずに前記ロックピンが前記退避位置に変位され、前記ロック解除部が前記ロック位置に位置する際に前記ロックピンが前記挿入位置から前記退避位置の方向に変位する場合は、前記被係止部と前記係止部とが係合することにより、前記ロックピンの前記退避位置への変位が規制されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る梯子体のロック機構、及び、梯子体によれば、複数の支柱を伸張位置にして使用する際に、ロックピンと支柱との間に摩擦が生じても、ロックピンがロック解除方向に変位することを防止できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る梯子の使用状態を示す斜視図。
【
図4】(a)及び(b)はそれぞれ第一実施例に係るロック機構を示す正面断面図及び平面図。
【
図5】(a)及び(b)はそれぞれ第一実施例に係るロック機構の回動初期状態を示す正面断面図及び平面図。
【
図6】(a)及び(b)はそれぞれ第一実施例に係るロック機構の回動後期状態を示す正面断面図及び平面図。
【
図7】(a)及び(b)はそれぞれ第一実施例に係るロック機構の規制状態を示す正面断面図及び平面図。
【
図8】(a)及び(b)はそれぞれ最下段のロック機構を示す正面断面図。
【
図10】縮小状態におけるロック機構を示す正面断面図。
【
図11】(a)及び(b)はそれぞれ第二実施例に係るロック機構を示す正面断面図及び平面図。
【
図12】(a)及び(b)はそれぞれ第三実施例に係るロック機構を示す正面断面図及び平面図。
【
図13】(a)及び(b)はそれぞれ第四実施例に係るロック機構を示す正面断面図及び平面図。
【
図14】(a)及び(b)はそれぞれ第五実施例に係るロック機構を示す正面断面図及び平面図。
【
図15】(a)及び(b)はそれぞれ第六実施例に係るロック機構を示す正面断面図及び平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[梯子1]
以下では
図1及び
図2を用いて、本発明に係る梯子体のロック機構である、ロック機構20及び下側ロック機構30が採用された梯子1の概略構成について説明する。本実施形態において、梯子1は梯子体の一例として記載するものである。また、ロック機構20及び下側ロック機構30は、本発明に係るロック機構の第一実施例である。即ち、本発明に係るロック機構は、一対の支柱の間に使用者が昇降するための踏桟が架け渡され、複数の支柱が入れ子状に連結された梯子体であれば、梯子1の他に脚立、踏台、三脚、足場台等、他の構成に採用することが可能である。
【0016】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る梯子1は、梯子1の最下部を構成する下側梯子部材10Lと、梯子1の中途部を構成する複数(本実施形態においては15個)の梯子部材10と、梯子1の最上部を構成する一対の上側支柱11U・11Uと、を主な構成要素として備えている。
【0017】
図1及び
図2に示す如く、下側梯子部材10Lは、角筒状に形成された一対の下側支柱11L・11Lと、下側支柱11L・11Lの間に架け渡された筒状部材である二本の下側踏桟13L・13Lと、を備える。本実施形態に係る梯子1においては、下側支柱11L(後述する支柱11及び上側支柱11Uについても同様)の断面形状を多角形の同形状に形成することにより、孔加工の位置決めを容易に行うことを可能とするとともに、上側に連結される支柱11との間に生じる軸心回りの相対回転を規制している。
【0018】
下側踏桟13Lは、下側支柱11Lの上端部及び下側中途部に一本ずつ固定される。本実施形態において、下側支柱11L及び下側踏桟13Lには、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる軽金属製の素材が採用されている(後述する支柱11、上側支柱11U、及び、踏桟13についても同様)。それぞれの下側踏桟13Lの両端部は、樹脂製の下側連結部材12Lにより、それぞれの二本の下側支柱11L・11Lに固定される。下側支柱11L・11Lの下端部には、樹脂製の接地部材14・14が固定される。
【0019】
下側支柱11L・11Lの間において、上側の下側踏桟13Lの両端部にはそれぞれ、下側ロック機構30が設けられている(
図8を参照)。
図8に示す如く、下側支柱11L・11Lの上端部には、内側(隣り合う下側支柱11Lの側)に挿通孔11aが開口されている。挿通孔11aには、下側支柱11Lの外部に設けられた下側ロック機構30からロックピン33が挿入される。これにより、下側支柱11Lの内部にはロックピン33の先端に形成された挿入部33bが延出される。
【0020】
図1に示す如く、梯子部材10は、角筒状に形成された一対の支柱11・11と、支柱11・11の上端部に架け渡された筒状部材である踏桟13と、を備える。踏桟13の両端部は、樹脂製の連結部材12により、それぞれの支柱11・11に固定される。具体的には
図3及び
図4に示す如く、連結部材12における挿入筒部12aが踏桟13の内部に挿入される。また、連結部材12における本体部分の内側に支柱11が挿入された状態で、固定部12eがねじSで締め付けられることにより、連結部材12が支柱11に固定される。これにより、支柱11と踏桟13とが連結部材12で連結される。それぞれの支柱11・11の外周面には、前面と後面とにおける上下二箇所に、合計四個のストッパ部材16sが固定されている(
図9を参照)。
【0021】
図3及び
図4に示す如く、支柱11・11の間における踏桟13の両端部にはそれぞれ、ロック機構20が設けられている。支柱11・11の上端部には、内側(隣り合う支柱11の側)に挿通孔11aが開口されている。挿通孔11aには、支柱11の外部に設けられたロック機構20からロックピン23が挿入される。これにより、支柱11の内部にはロックピン23の先端に形成された挿入部23bが延出される。また、支柱11・11の中途部、具体的には上側のストッパ部材16sの上端部と同じ高さには、内側(隣り合う支柱11の側)に挿入孔11bが開口されている。
【0022】
図1に示す如く、上側支柱11Uは梯子1の最上部を構成する棒状の部材である。それぞれの上側支柱11U・11Uは一段下の梯子部材10における支柱11・11に挿入される。上側支柱11Uの上端部には、樹脂製のキャップ部材15が被せられる。
【0023】
図1及び
図2に示す如く、梯子1は、下側梯子部材10Lにおける下側支柱11L、複数の梯子部材10における支柱11、及び、上側支柱11Uが入れ子状に連結されている。換言すれば、梯子1は、上側の支柱(上側支柱11U及び支柱11)が下側の支柱(支柱11及び下側支柱11L)の内部に連続して収納されるように構成されている。このため、梯子部材10における支柱11は、下側から上側に向かうに従って内径が少しずつ小さくなるように構成される。
【0024】
これにより、それぞれの梯子部材10において支柱11・11の間に架け渡される踏桟13は、下側から上側に向かうに従って長手方向(左右方向)の長さが少しずつ長くなるように構成されている。このように、梯子1は、下側支柱11L、複数の支柱11、及び、上側支柱11Uを入れ子状に連結することにより、
図1に示す伸張状態と
図2に示す短縮状態との間で伸縮可能とされる。
【0025】
[ロック機構20]
次に、
図3から
図10を用いて、ロック機構20の構成について詳細に説明する。ロック機構20は
図9に示す如く、伸張状態の梯子1において上下に連続する支柱11同士を互いに所定の位置(伸張位置)で固定する機構である。
【0026】
上述の如く、ロック機構20は踏桟13の両端部に設けられている。具体的には
図4(a)に示す如く、ロック機構20は連結部材12における挿入筒部12aの内部に収容される。本実施形態において、ロック機構20は、バネ支持部材21、バネ22、ロックピン23、ロック解除部材24で構成される。
【0027】
図3及び
図4(a)に示す如く、バネ支持部材21は本体部である筒状体の内部に、付勢手段であるバネ22を収容した状態で、挿入筒部12aの端部に固定される。円柱状に形成された鉄製のロックピン23は基端部(
図4(a)における右側端部)がバネ支持部材21の筒状体に収容されてバネ22に当接する。バネ22はロックピン23の先端側(
図4(a)における左側)に向かってロックピン23を付勢する。
【0028】
バネ22の付勢力により、ロックピン23の先端部である挿入部23bが連結部材12のピン延出孔12bから延出される。このように、ロックピン23はバネ22の付勢力に抗して挿入筒部12aの内部で軸方向に進退可能とされる。ロックピン23の中途部には周囲よりも小径の被係合部23aが形成されている。ロックピン23の軸方向で被係合部23aの前側の面は係止部23cとして形成されている。また、ロックピン23の中途部における挿入部23bの側には周囲よりも大径の位置規制部23dが形成されている。
【0029】
ロックピン23はロック解除部材24により基端側に変位可能とされる。ロック解除部材24は、回動軸24aと、係合部24bと、当接部24cと、規制部24dと、被係止部24eと、を備えて形成される。ロック解除部材24は、回動軸24aが連結部材12に形成される切り欠きである第一被係合凹部12cに挿入されることにより、連結部材12において上下に搖動可能とされる。
【0030】
図4(a)及び(b)に示す如く、ロック解除部材24の係合部24bはロックピン23の被係合部23aに挿入されて被係合部23aと係合する。これにより、ロック解除部材24はロックピン23を介してバネ22の付勢力を受け、下方に付勢される。ロック解除部材24の下部に形成された当接部24cはバネ22の付勢力を受けて、踏桟13の下面に形成された開口部13aから下方に延出される。また、ロック解除部材24の端部に形成された規制部24dが踏桟13の内周面に当接することにより、ロック解除部材24の下方への搖動が規制される。
【0031】
上記の如く、ロックピン23はバネ22の付勢力により先端側に付勢されており、挿入部23bが連結部材12のピン延出孔12b及び支柱11の挿通孔11aを通って支柱11の内部に延出される。ロックピン23は位置規制部23dがピン延出孔12bの周囲に当接することにより延出位置が規制される。
【0032】
この際、支柱11と、支柱11の内部に挿入される支柱(以下、「第二の支柱」と記載する)11iとが伸張位置にあり、第二の支柱11iにおける挿入孔11bが支柱11の挿通孔11aと一致している場合、ロックピン23の挿入部23bは
図4(a)及び(b)に示す如く第二の支柱11iの挿入孔11bに挿入される。これにより、支柱11と第二の支柱11iとは伸張位置で互いに固定される。
【0033】
即ち、互いに連結される支柱11においては、内部に挿入される第二の支柱11iを引き上げて伸長位置とし、第二の支柱11iの挿入孔11bを支柱11の挿通孔11aと一致させることにより、バネ22の付勢力でロックピン23が挿入孔11bに強制的に挿入され、支柱11と第二の支柱11iとが互いにロックされるのである。以降、
図4(a)及び(b)に示すこの状態を「ロック状態」とし、ロック状態におけるロックピン23の位置を「挿入位置」、ロック状態におけるロック解除部材24の位置を「ロック位置」と記載する。
【0034】
この際、第二の支柱11iは
図9に示す如く、外周面に固定されたストッパ部材16iが支柱11に固定された連結部材12に当接することにより、支柱11に対して伸張位置で変位が規制される。換言すれば、梯子1の使用者は第二の支柱11iを、支柱11から変位が規制されるまで引き出すことで、第二の支柱11iを支柱11に対して伸張位置とすることができる。
【0035】
梯子1の使用者は、
図2に示す短縮状態から伸張状態とする際には、上側支柱11Uを始めとして、上から順に梯子部材10の支柱11を引き上げていく。これにより、上側の支柱11から順に伸張位置でロックされていき、最終的に梯子1を伸張状態とすることができる。
【0036】
ロック解除部材24は、バネ22の付勢力に抗してロックピン23を基端側に向かって変位させることができる。具体的には
図4(a)及び
図5(a)中の矢印Rに示す如く、ロック解除部材24が下方より回動力を受けた場合、ロック解除部材24は上方に向かって(
図4(a)及び
図5(a)における時計回りに)回動する。この際、ロック解除部材24の被係止部24eは
図5(a)及び(b)に示す如くロックピン23の被係合部23aの内側に挿入される。
【0037】
さらに、
図6(a)及び(b)に示す如く、ロック解除部材24がさらに回動すると、ロックピン23はロック解除部材24の係合部24bから受ける力により、バネ22の付勢力に抗して基端側に変位される。以降、
図6(a)及び(b)に示すこの状態を「ロック解除状態」とし、ロック解除状態におけるロックピン23の位置を「退避位置」、ロック解除状態におけるロック解除部材24の位置を「ロック解除位置」と記載する。
【0038】
このように、ロック機構20のロックピン23が基端側の退避位置に変位すると、
図9に示す如くロックピン23の挿入部23bは第二の支柱11iの挿入孔11bから抜け、支柱11と第二の支柱11iとのロック状態が解除される。なお、この際にロックピン23と第二の支柱11iとの間で摩擦が生じるが、支柱11は鉄製のロックピン23よりも軟らかいアルミニウム系素材で形成されているため、ロックピン23が摩耗することはない。梯子1を地面に立てた状態で第二の支柱11iのロック状態を解除することにより、
図9中の矢印Dに示す如く第二の支柱11iを備える第二の梯子部材10iが自重により下降する。
【0039】
そして、
図10に示す如く、第二の梯子部材10iにおけるロック機構20iが備えるロック解除部材24iが、梯子部材10の踏桟13に当接することにより、第二の支柱11iと、第二の支柱11iに挿入されている第三の支柱11sとのロック状態が解除される。このように、ロック解除部材24は、ロック解除部材24を備える踏桟13の一段下の踏桟13が当接することにより作動するように構成されている。このように、下側から順に支柱11同士のロック状態が解除されていくことにより、伸張状態の梯子1を短縮状態とすることができる。
【0040】
上記の如く、本実施形態に係るロック機構20において、ロック解除部材24は、
図4(a)及び(b)に示すロック位置と、
図6(a)及び(b)に示すロック解除位置との間で変位可能とされる。そして、ロックピン23が挿入位置に位置する際に、ロック解除部材24がロック位置からロック解除位置に変位する場合は、ロック解除部材24の被係止部24eは、ロックピン23の被係合部23aの内部に挿入されるために係止部23cとは係合しない。このため、ロックピン23が挿入位置から退避位置に変位して、支柱11・11同士の固定が解除される。
【0041】
また、本実施形態に係るロック機構20において、ロックピン23は、ロック位置に位置するロック解除部材24により、挿入位置から退避位置への変位が規制されるように構成されている。具体的には、ロック解除部材24がロック位置に位置する際に、
図7(a)中の矢印Fに示す如くロックピン23に力が加わり、ロックピン23が挿入位置から退避位置の方向に変位する場合、ロック解除部材24は自重によりロック位置を維持している。このため、
図7(a)に示す如くロック解除部材24の被係止部24eとロックピン23の係止部23cとが係合する。これにより、ロック解除部材24の回動が規制され、同時にロックピン23の退避位置への変位が規制されるのである。
【0042】
上記の如く、本実施形態に係るロック機構20によれば、複数の支柱11を伸張位置にして使用する際に、ロックピン23と支柱11との間に摩擦が生じた場合でも、ロック解除部材24によりロックピン23の挿入位置から退避位置への変位が規制されるため、ロックピン23がロック解除方向に変位することを防止することができる。
【0043】
具体的には、ロック解除部材24がロック位置に位置する際にロックピン23が挿入位置から退避位置の方向に変位する場合でも、
図7(a)及び(b)に示す如く被係止部24eと係止部23cとが係合することにより、ロックピン23の退避位置への変位が規制されるため、ロックピン23がロック解除方向に変位することを防止することができるのである。本実施形態においては、この際にロック解除部材24が自重によりロック位置を維持するように構成することで、ロック機構20の構成を簡易にしている。
【0044】
本実施形態に係る梯子1においては、ロック機構20におけるロックピン23(後述する下側ロック機構30におけるロックピン33についても同様、以下同じ)の外周面において、ロックピン23が挿入孔11bに挿入された状態で挿入孔11bの内周面が当接する当接部分よりもロックピン23の先端側に、解除規制部としてテーパ面を形成することができる。
【0045】
具体的には、ロックピン23の先端側に、ロックピン23の軸方向に沿って先端が拡径するように傾斜した傾斜面としてテーパ面を形成するのである。挿入孔11bの内周面はテーパ面の面上に当接する。このようにテーパ面を形成することにより、挿入孔11bからロックピン23が離脱し難くすることができる。
【0046】
[下側ロック機構30]
次に、
図8(a)及び(b)を用いて、下側梯子部材10Lに設けられる下側ロック機構30の構成について説明する。下側ロック機構30は伸張状態の梯子1において下側支柱11Lと、下側支柱11Lに挿入される支柱11とを互いに所定の位置(伸張位置)で固定する機構である。
【0047】
上述の如く、下側ロック機構30は下側支柱11Lの上側に設けられる下側踏桟13Lの両端部に設けられている。具体的には
図8(a)に示す如く、下側ロック機構30は下側連結部材12Lにおける挿入筒部12aの内部に収容される。本実施形態において、下側ロック機構30は、バネ支持部材31、バネ32、ロックピン33、ロック解除部材34で構成される。
【0048】
図8(a)及び(b)に示す如く、バネ支持部材31は本体部である筒状体の内部に、付勢手段であるバネ32を収容した状態で、挿入筒部12aの端部に固定される。円柱状に形成された鉄製のロックピン33は基端部(
図8(a)及び(b)における右側端部)がバネ支持部材31の筒状体に収容されてバネ32に当接する。バネ32はロックピン33の先端側(
図8(a)及び(b)における左側)に向かってロックピン33を付勢する。なお、ロックピン23を角柱状に形成することも可能である。
【0049】
バネ32の付勢力により、ロックピン33の先端部である挿入部33bが下側連結部材12Lのピン延出孔12bから延出される。このように、ロックピン33はバネ32の付勢力に抗して挿入筒部12aの内部で軸方向に進退可能とされる。ロックピン33における先端側の中途部には小径の被係合部33aが形成されている。ロックピン33の軸方向で被係合部33a側の面は係止部33cが形成されている。また、ロックピン33の中途部における挿入部33b寄りには周囲よりも大径の位置規制部33dが形成されている。
【0050】
ロックピン33はロック解除部材34により基端側に変位可能とされる。ロック解除部材34は、回動軸34aと、係合部34bと、フック部34cと、規制部34dと、被係止部34eと、を備えて形成される。ロック解除部材34は、回動軸34aが下側連結部材12Lに形成される切り欠きである第二被係合凹部12d(
図3を参照)に挿入されることにより、下側連結部材12Lにおいて上下に搖動可能とされる。ロック解除部材34は、回動軸34aの周囲に付勢部材である巻きばね35が設けられる。この巻きばね35により、ロック解除部材34はロックピン33の先端側(
図8(a)において反時計回りの方向)に付勢されている。また、ロック解除部材34の上端部に形成された規制部34dが下側踏桟13Lの内周面に当接することにより、ロック解除部材34のロックピン33の先端側への搖動が規制される。ロック解除部材34の下部で回動自在に連結されたフック部34cは、下側踏桟13Lの下面に形成された開口部13aから下方に垂下される。
【0051】
ロック解除部材34の係合部34bはロックピン33の被係合部33aと係合する。上記の如く、ロックピン33はバネ32の付勢力により先端側に付勢されており、挿入部33bが下側連結部材12Lのピン延出孔12b及び下側支柱11Lの挿通孔11aから下側支柱11Lの内部に延出される。この際、下側支柱11Lと、下側支柱11Lの内部に挿入される支柱(第二の支柱)11iとが伸張位置にあり、第二の支柱11iにおける挿入孔11bが支柱11の挿通孔11aと一致している場合、ロックピン33の挿入部33bは
図8(a)に示す如く第二の支柱11iの挿入孔11bに挿入される。ロックピン33は位置規制部33dがピン延出孔12bの周囲に当接することにより延出位置が規制される。これにより、下側支柱11Lと第二の支柱11iとは伸張位置で互いに固定される。
【0052】
ロック解除部材34はバネ32の付勢力に抗してロックピン33を基端側に向かって変位させることができる。具体的にはロック解除部材34におけるフック部34cが使用者により下方に引張られた場合、ロック解除部材34は下方に向かって(
図8(a)において時計回りに)回動する。ロック解除部材34が回動すると、ロックピン33はロック解除部材34の係合部34bから受ける力により、バネ32の付勢力に抗して基端側に変位される。この際、ロック解除部材34の被係止部34eはロックピン33の被係合部33aの内部に挿入される。さらに、ロック解除部材34がさらに回動すると、ロックピン33はロック解除部材34の係合部34bから受ける力により、バネ32の付勢力に抗して基端側に変位される。
【0053】
上記の如く、本実施形態に係るロック機構30においても、ロック解除部材34は、ロック位置とロック解除位置との間で変位可能とされる。そして、ロックピン33が挿入位置に位置する際にロック解除部材34がロック位置からロック解除位置に変位する場合は、ロック解除部材34の被係止部34eは、ロックピン33の被係合部33aの内部に挿入されるため係止部33cとは係合しない。このため、ロックピン33が挿入位置から退避位置に変位して、支柱11・11同士の固定が解除される。
【0054】
ロック解除部材34のロックピン33が基端側に変位すると、ロックピン33の挿入部33bは第二の支柱11iの挿入孔11bから抜け、下側支柱11Lと第二の支柱11iとのロック状態が解除される。梯子1を地面に立てた状態で第二の支柱11iのロック状態を解除することにより、下側梯子部材10Lに連結された梯子部材10が重力により下降する。このように、最下段に位置する下側支柱11Lにおけるロックを解除することにより、下側から順に支柱11同士のロック状態が解除され、伸張状態の梯子1を短縮状態とすることができる。換言すれば、梯子1の使用者は、伸長状態の梯子1において、下側梯子部材10Lにおけるロックを手動で解除すれば、自動的に梯子1を短縮状態とすることができるのである。
【0055】
また、本実施形態に係るロック機構30において、ロックピン33は、ロック位置に位置するロック解除部材34により、挿入位置から退避位置への変位が規制されるように構成されている。具体的には、ロック解除部材34がロック位置に位置する際に、ロックピン33が挿入位置から退避位置の方向に変位する場合、ロック解除部材34は巻きばね35の付勢力によりロック位置を維持する。このため、
図8(b)に示す如くロック解除部材34の被係止部34eとロックピン33の係止部33cとが係合する。これにより、ロック解除部材34の回動が規制され、同時にロックピン33の退避位置への変位が規制されるのである。
【0056】
上記の如く、ロック機構30においても、支柱11を伸張位置にして使用する際に、ロックピン33と支柱11との間に摩擦が生じた場合でも、ロック解除部材34によりロックピン33の挿入位置から退避位置への変位が規制されるため、ロックピン33がロック解除方向に変位することを防止することができる。
【0057】
具体的には、ロック解除部材34がロック位置に位置する際にロックピン33が挿入位置から退避位置の方向に変位する場合でも、
図8(b)に示す如く被係止部34eと係止部33cとが係合することにより、ロックピン33の退避位置への変位が規制されるため、ロックピン33がロック解除方向に変位することを防止することができるのである。本実施形態においては、この際にロック解除部材34が巻きばね35の付勢力によりロック位置を維持するように構成することで、ロック解除部材34を重力に抗して姿勢を維持可能としている。
【0058】
[別実施例]
次に、
図11から
図15を用いて、第二実施例~第六実施例に係るロック機構120~520について説明する。以下に記載する別実施例に係るロック機構120~520については、第一実施例に係るロック機構20と略同様の構成であるため、ロック機構20と異なる部分(具体的には、ロックピン及びロック解除部材の形状)を中心に説明する。
【0059】
図11(a)及び(b)に示す如く、第二実施例に係るロック機構120において、ロックピン123は、ロック位置に位置するロック解除部材124により、挿入位置から退避位置への変位が規制されるように構成されている。具体的には、ロックピン123の中途部にはロックピン123を径方向に貫通する孔である被係合部123aが形成されている。ロックピン123の軸方向で被係合部123aの前側の面は係止部123cとして形成されている。また、ロック解除部材124は、回動軸124aと、被係合部123aに挿通される係合部124bと、当接部124cと、規制部124dと、被係止部124eと、を備えて形成される。
【0060】
そして、ロック解除部材124がロック位置に位置する際に、ロックピン123が挿入位置から退避位置の方向に変位する場合、ロック解除部材124は自重によりロック位置を維持する。このため、ロック解除部材124の被係止部124eとロックピン123の係止部123cとが係合する。これにより、ロック解除部材124の回動が規制され、同時にロックピン123の退避位置への変位が規制されるのである。
【0061】
図12(a)及び(b)に示す如く、第三実施例に係るロック機構220において、ロックピン223は、ロック位置に位置するロック解除部材224により、挿入位置から退避位置への変位が規制されるように構成されている。具体的には、ロックピン223の中途部にはロックピン223よりも大径な二個の大径部が軸方向に離間して形成され、大径部の間が被係合部223aとして形成されている。ロックピン223の先端側(
図12(a)における左側)の大径部における被係合部223a側の面は係止部223cとして形成されている。また、ロック解除部材224は、回動軸224aと、被係合部223aに挿通される係合部224bと、当接部224cと、規制部224dと、被係止部224eと、を備えて形成される。
【0062】
そして、ロック解除部材224がロック位置に位置する際に、ロックピン223が挿入位置から退避位置の方向に変位する場合、ロック解除部材224は自重によりロック位置を維持する。このため、ロック解除部材224の被係止部224eとロックピン223の係止部223cとが係合する。これにより、ロック解除部材224の回動が規制され、同時にロックピン223の退避位置への変位が規制されるのである。
【0063】
図13(a)及び(b)に示す如く、第四実施例に係るロック機構320において、ロックピン323は、ロック位置に位置するロック解除部材324により、挿入位置から退避位置への変位が規制されるように構成されている。具体的には、ロックピン323の中途部にはロックピン323の両側部が切り欠かれた被係合部323aが形成されている。ロックピン323の軸方向で被係合部323aの前側の面は係止部323cとして形成されている。また、ロック解除部材324は、回動軸324aと、被係合部323aに挿通される係合部324bと、当接部324cと、規制部324dと、被係止部324eと、を備えて形成される。
【0064】
そして、ロック解除部材324がロック位置に位置する際に、ロックピン323が挿入位置から退避位置の方向に変位する場合、ロック解除部材324は自重によりロック位置を維持する。このため、ロック解除部材324の被係止部324eとロックピン323の係止部323cとが係合する。これにより、ロック解除部材324の回動が規制され、同時にロックピン323の退避位置への変位が規制されるのである。
【0065】
図14(a)及び(b)に示す如く、第五実施例に係るロック機構420において、ロックピン423は、ロック位置に位置するロック解除部材424により、挿入位置から退避位置への変位が規制されるように構成されている。具体的には、ロックピン423の中途部には周囲よりも小径の被係合部423aが形成されている。ロックピン423の軸方向で被係合部423aの前側の面には、被係合部423aよりも少し径の大きな係止部423cが形成されている。また、ロック解除部材424は、回動軸424aと、被係合部423aが挿入される円柱形状である係合部424bと、当接部424cと、規制部424dと、係止部423cを挿入可能な被係止部424eと、を備えて形成される。
【0066】
そして、ロック解除部材424がロック位置に位置する際に、ロックピン423が挿入位置から退避位置の方向に変位する場合、ロック解除部材424は自重によりロック位置を維持する。このため、ロック解除部材424の被係止部424eにロックピン423の係止部423cが挿入されて互いに係合する。これにより、ロック解除部材424の回動が規制され、同時にロックピン423の退避位置への変位が規制されるのである。
【0067】
図15(a)及び(b)に示す如く、第六実施例に係るロック機構520において、ロックピン523は、ロック位置に位置するロック解除部材524により、挿入位置から退避位置への変位が規制されるように構成されている。具体的には、ロックピン523の中途部にはロックピン523の約半分が切り欠かれた被係合部523aが形成されている。ロックピン523の軸方向で被係合部523aの前側の面は係止部523cとして形成されている。また、ロック解除部材524は、回動軸524aと、被係合部523aに挿通される係合部524bと、当接部524cと、規制部524dと、被係止部524eと、を備えて形成される。
【0068】
そして、ロック解除部材524がロック位置に位置する際に、ロックピン523が挿入位置から退避位置の方向に変位する場合、ロック解除部材524は自重によりロック位置を維持する。このため、ロック解除部材524の被係止部524eとロックピン523の係止部523cとが係合する。これにより、ロック解除部材524の回動が規制され、同時にロックピン523の退避位置への変位が規制されるのである。
【0069】
上記の如く、第二実施例~第六実施例に係るロック機構120~520においても、複数の支柱11を伸張位置にして使用する際に、ロックピン123~523と支柱11との間に摩擦が生じた場合でも、ロック解除部材124~524によりロックピン123~523の挿入位置から退避位置への変位が規制される。これにより、ロックピン123~523がロック解除方向に変位することを防止することができる。
【0070】
上記の第二実施例~第六実施例に示す如く、本発明に係るロック機構において、ロック位置に位置するロック解除部材により、挿入位置から退避位置へのロックピンの変位が規制される態様はさまざまな構成が考えられる。即ち、本発明においてロックピンの変位を規制する構成は限定されるものではなく、他の構成としても差し支えない。
【符号の説明】
【0071】
1 梯子(梯子体) 10 梯子部材
10L 下側梯子部材 11 支柱
11a 挿通孔 11b 挿入孔
11i 第二の支柱 11s 第三の支柱
11U 上側支柱 11L 下側支柱
12 連結部材 12a 挿入筒部
12b ピン延出孔 12c 第一被係合凹部
12d 第二被係合凹部 12e 固定部
12L 下側連結部材 13 踏桟
13a 開口部 13L 下側踏桟
14 接地部材 15 キャップ部材
16s ストッパ部材 16U 上側ストッパ部材
20 ロック機構(梯子体のロック機構)
21 バネ支持部材 22 バネ
23 ロックピン 23a 被係合部
23b 挿入部 23c 係止部
23d 位置規制部 24 ロック解除部材(ロック解除部)
24a 回動軸 24b 係合部
24c 当接部 24d 規制部
24e 被係止部
30 下側ロック機構(梯子体のロック機構)
31 バネ支持部材 32 バネ
33 ロックピン 33a 被係止部
33b 挿入部 33c 係止部
33d 位置規制部
34 ロック解除部材(ロック解除部)
34a 回動軸 34b 係止部
34c フック部 34d 規制部
34e 被係止部 35 巻きばね
S ねじ R 回動方向
M 変位方向 D 下降方向
120 ロック機構(第二実施例)
123 ロックピン 123a 被係合部
123c 係止部 124 ロック解除部材(ロック解除部)
124a 回動軸 124b 係合部
124c 当接部 124d 規制部
124e 被係止部
220 ロック機構(第三実施例)
223 ロックピン 223a 被係合部
223c 係止部 224 ロック解除部材(ロック解除部)
224a 回動軸 224b 係合部
224c 当接部 224d 規制部
224e 被係止部
320 ロック機構(第四実施例)
323 ロックピン 323a 被係合部
323c 係止部 324 ロック解除部材(ロック解除部)
324a 回動軸 324b 係合部
324c 当接部 324d 規制部
324e 被係止部
420 ロック機構(第五実施例)
423 ロックピン 423a 被係合部
423c 係止部 424 ロック解除部材(ロック解除部)
424a 回動軸 424b 係合部
424c 当接部 424d 規制部
424e 被係止部
520 ロック機構(第六実施例)
523 ロックピン 523a 被係合部
523c 係止部 524 ロック解除部材(ロック解除部)
524a 回動軸 524b 係合部
524c 当接部 524d 規制部
524e 被係止部