(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】角度センサ、マウント装置、及び測定方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/241 20060101AFI20230518BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
G01D5/241 B
G01B7/30 D
(21)【出願番号】P 2019139120
(22)【出願日】2019-07-29
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】301032942
【氏名又は名称】国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
(73)【特許権者】
【識別番号】598031693
【氏名又は名称】株式会社グラビトン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】今澤 良太
(72)【発明者】
【氏名】長友 光広
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-271092(JP,A)
【文献】特開2012-58106(JP,A)
【文献】特開平7-55500(JP,A)
【文献】特開2017-201306(JP,A)
【文献】特開平11-295020(JP,A)
【文献】米国特許第4864295(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12-5/252
G01B 7/00-7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸が基準体に固定された回転体の回転角θを検出する角度センサであって、
前記基準体に固定される基準平面電極と、
前記回転体に固定される回転平面電極であって、前記回転軸に直交する平面を挟んで前記基準平面電極と対向する回転平面電極と、を備え、
前記基準平面電極は、前記回転平面電極の一方の面に対向する平面上に並んで配置された第1平面電極及び第2平面電極、並びに、前記回転平面電極の他方の面に対向する平面上に並んで配置された第3平面電極及び第4平面電極を含んでおり、
前記第3平面電極は、前記第1平面電極に並列に接続されており、
前記第4平面電極は、前記第2平面電極に並列に接続されており、
前記平面への前記基準平面電極の正射影と前記平面への前記回転平面電極の正射影との共通部分について、前記回転軸から当該共通部分において前記回転軸に最も近い点までの距離をd1とし、前記回転軸から当該共通部分において前記回転軸から最も遠い点までの距離をd2として、θが0°であるときにd2-d1≦d1を満たす、
ことを特徴とする角度センサ。
【請求項2】
フレームと、
回転軸が前記フレームに固定された第1ジンバルと、
回転軸が前記第1ジンバルに固定された第2ジンバルであって、物品をマウントするための第2ジンバルと、
前記第1ジンバルの回転角θを検出する第1角度センサと、
前記第2ジンバルの回転角θ’を検出する第2角度センサと、を備え
、
前記第1角度センサは、
前記フレームに固定された基準平面電極と、
前記第1ジンバルに固定された回転平面電極であって、前記第1ジンバルの回転軸に直交する平面を挟んで当該基準平面電極と対向する回転平面電極と、を備え、
当該平面への当該基準平面電極の正射影と当該平面への当該回転平面電極の正射影との共通部分について、当該回転軸から当該共通部分において当該回転軸に最も近い点までの距離をd1とし、当該回転軸から当該共通部分において当該回転軸から最も遠い点までの距離をd2として、θが0°であるときにd2-d1≦d1を満たし、
前記第2角度センサは、
前記第1ジンバルに固定された基準平面電極と、
前記第2ジンバルに固定された回転平面電極であって、前記第2ジンバルの回転軸に直交する平面を挟んで当該基準平面電極と対向する回転平面電極と、を備え、
当該平面への当該基準平面電極の正射影と当該平面への当該回転平面電極の正射影との共通部分について、当該回転軸から当該共通部分において当該回転軸に最も近い点までの距離をd1’とし、当該回転軸から当該共通部分において当該回転軸から最も遠い点までの距離をd2’として、θ’が0°であるときにd2’-d1’≦d1’を満たす、
ことを特徴とするマウント装置。
【請求項3】
前記物品は、
光学部品である、
ことを特徴とする請求項
2に記載のマウント装置。
【請求項4】
請求項
1に記載の角度センサを用いて前記回転体の回転角θを測定する測定方法であって、
前記回転平面電極に交流電圧を入力する工程と、
前記第1平面電極及び前記第3平面電極に誘導される交流電流の和電流の振幅に比例する第1直流電圧と前記第2平面電極及び前記第4平面電極に誘導される交流電流の和電流の振幅に比例する第2直流電圧との差に基づいて回転角θを特定する工程と、を含んでいる、
ことを特徴とする測定方法。
【請求項5】
前記第1直流電圧と前記第2直流電圧との和が一定になるように、前記回転平面電極に入力する交流電圧の振幅を制御する工程を更に含んでいる、
ことを特徴とする請求項
4に記載の測定方法。
【請求項6】
前記交流電圧は、三角波電圧であり、
電流/電圧変換回路と全波整流回路とを含む測定回路を用いて、前記第1直流電圧及び第2直流電圧を生成する、
ことを特徴とする請求項
4又は5に記載の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の回転角を検出する角度センサに関する。また、そのような角度センサを備えたマウント装置に関する。また、そのような角度センサを用いた回転角の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転体の回転角を検出する角度センサが広く用いられている。例えば、特許文献1には、回転軸に直交する平面を挟んで対向する固定電極と可動電極との間の静電容量の変化に基づいて、回転体の回転角を検出する角度センサが開示されている。特許文献1に記載の角度センサにおいては、固定電極として半円状の平面電極を用いると共に、可動電極として四分円状の平面電極を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の角度センサは、光学系を構成するミラーの回転角の検出など、微小な回転角の検出に適さない。なぜなら、特許文献1に記載の角度センサは、回転軸に直交する平面において固定電極の正射影と可動電極の正射影との共通部分が回転軸に近接する電極配置を採用しており、検出精度(分解能)が低いからである。
【0005】
本発明の各態様は、上記の問題に鑑みてなされたものである。本発明の一態様は、回転体の回転角を検出する角度センサにおいて、従来よりも検出精度の高い角度センサを実現することを目的とする。また、本発明の別の一態様は、回転体の回転角を測定する測定方法において、従来よりも測定精度の高い測定方法を実現することを目的とする。また、本発明の別の一態様は、物品をマウントするマウント装置において、物品の向きを精度よく検出することが可能なマウント装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1に係る角度センサは、回転軸が基準体に固定された回転体の回転角θを検出する角度センサであって、前記基準体に固定される基準平面電極と、前記回転体に固定される回転平面電極であって、前記回転軸に直交する平面を挟んで前記基準平面電極と対向する回転平面電極と、を備えている。そして、本発明の態様1に係る角度センサにおいては、前記平面への前記基準平面電極の正射影と前記平面への前記回転平面電極の正射影との共通部分について、前記回転軸から当該共通部分において前記回転軸に最も近い点までの距離をd1とし、前記回転軸から当該共通部分において前記回転軸から最も遠い点までの距離をd2として、θが0°であるときにd2-d1≦d1を満たす、構成が採用されている。
【0007】
上記の構成によれば、前記回転軸から前記共通部分までの距離が、従来の角度センサよりも大きくなる。したがって、上記の構成によれば、従来よりも検出精度の高い角度センサを実現することが可能になる。
【0008】
本発明の態様2に係る角度センサにおいては、前記態様1に係る角度センサの構成に加えて、前記基準平面電極は、前記回転平面電極の一方の面に対向する平面上に並んで配置された第1平面電極及び第2平面電極を含んでいる、構成が採用されている。
【0009】
上記の構成によれば、回転角の検出精度を更に高くすることができる。
【0010】
本発明の態様3に係る角度センサにおいては、前記態様2に係る角度センサの構成に加えて、前記基準平面電極は、前記回転平面電極の他方の面に対向する平面上に並んで配置された第3平面電極及び第4平面電極を更に含んでおり、前記第3平面電極は、前記第1平面電極に並列に接続されており、前記第4平面電極は、前記第2平面電極に並列に接続されている、構成が採用されている。
【0011】
上記の構成によれば、回転平面電極が傾いた場合、或いは、回転平面電極が平行移動した場合に生じ得る回転角の検出精度の低下を抑制することができる。
【0012】
本発明の態様4に係るマウント装置は、フレームと、回転軸が前記フレームに固定された第1ジンバルと、回転軸が前記第1ジンバルに固定された第2ジンバルであって、物品をマウントするための第2ジンバルと、前記態様1~3の何れかに係る角度センサであって、前記基準平面電極が前記フレームに固定され、前記回転平面電極が前記第1ジンバルに固定された第1角度センサと、前記態様1~3の何れかに係る角度センサであって、前記基準平面電極が前記第1ジンバルに固定され、前記回転平面電極が前記第2ジンバルに固定された第2角度センサと、を備えている。
【0013】
上記の構成によれば、物品の向きを精度良く検出することが可能なマウント装置を実現することができる。
【0014】
本発明の態様5に係るマウント装置においては、前記態様4に係るマウント装置の構成に加えて、前記物品は、ミラーである、構成が採用されている。
【0015】
上記の構成によれば、ミラーの向きを精度良く検出することが可能なマウント装置を実現することができる。
【0016】
本発明の態様6に係る測定方法は、前記態様1に係る角度センサを用いて前記回転体の回転角θを測定する測定方法であって、前記回転平面電極に交流電圧を入力する工程と、前記基準平面電極に誘導される交流電流の振幅に比例する直流電圧に基づいて回転角θを特定する工程と、を含んでいる。
【0017】
上記の構成によれば、回転体の回転角θを精度良く測定することが可能な測定方法を実現することができる。
【0018】
本発明の態様7に係る測定方法は、前記態様2に係る角度センサを用いて前記回転体の回転角θを測定する測定方法であって、前記回転平面電極に交流電圧を入力する工程と、前記第1平面電極に誘導される交流電流の振幅に比例する第1直流電圧と前記第2平面電極に誘導される交流電流の振幅に比例する第2直流電圧との差に基づいて回転角θを特定する工程と、を含んでいる。
【0019】
上記の構成によれば、回転体の回転角θを更に精度良く測定することが可能な測定方法を実現することができる。
【0020】
本発明の態様8に係る測定方法は、前記態様3に係る角度センサを用いて前記回転体の回転角θを測定する測定方法であって、前記回転平面電極に交流電圧を入力する工程と、前記第1平面電極及び前記第3平面電極に誘導される交流電流の和電流の振幅に比例する第1直流電圧と前記第2平面電極及び前記第4平面電極に誘導される交流電流の和電流の振幅に比例する第2直流電圧との差に基づいて回転角θを特定する工程と、を含んでいる。
【0021】
上記の構成によれば、回転平面電極が傾いた場合でも、回転体の回転角θを精度良く測定することが可能な測定方法を実現することができる。
【0022】
本発明の態様9に係る測定方法は、前記態様7又は8に係る測定方法の構成に加えて、前記第1直流電圧と前記第2直流電圧との和が一定になるように、前記回転平面電極に入力する交流電圧の振幅を制御する工程を更に含んでいる、構成が採用されている。
【0023】
上記の構成によれば、前記第1直流電圧と第2直流電圧との差が回転体の回転角θと一対一に対応する。したがって、前記第1直流電圧と第2直流電圧との差に基づいて、回転体の回転角θを精度良く測定することが可能になる。
【0024】
本発明の態様10に係る測定方法は、前記態様7~9の何れかに係る測定方法において、前記交流電圧は、三角波電圧であり、電流/電圧変換回路と全波整流回路とを含む測定回路を用いて、前記第1直流電圧及び第2直流電圧を生成する、構成が採用されている。
【0025】
上記の構成によれば、回転平面電極に三角波電圧を入力したときに、基準平面電極に誘導される方形波電流を、その方形波電流の振幅に比例した直流電圧に簡単に変換することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様によれば、回転体の回転角を精度良く検出することが可能な角度センサを実現することができる。また、本発明の一実施形態によれば、物品の向きを精度良く検出することが可能なマウント装置を実現することができる。また、本発明の一態様によれば、回転体の回転角を精度良く検出することが可能な測定方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る角度センサの要部構成を示す斜視図である。
【
図2】回転角θが0°の場合に得られる、
図1に示す角度センサが備える基準平面電極及び回転平面電極の正射影であって、回転体の回転軸に直交する平面への正射影を示す平面図である。
【
図3】回転角θが5°の場合に得られる、
図1に示す角度センサが備える基準平面電極及び回転平面電極の正射影であって、回転体の回転軸に直交する平面への正射影を示す平面図である。
【
図4】
図1に示す角度センサを含む測定システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1に示す角度センサを用いた測定方法の流れを示すフロー図である。
【
図6】
図1に示す角度センサの一実現例を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す角度センサを備えたマウント装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔角度センサ〕
本発明の一実施形態に係る角度センサ1について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る角度センサ1の要部構成を示す斜視図である。
【0029】
角度センサ1は、回転軸Aが基準体Xに固定された回転体Yの回転角θを検出するためのセンサである。角度センサ1は、
図1に示すように、基準平面電極111と、回転平面電極121と、を備えている。
【0030】
基準平面電極111は、基準体Xに固定された少なくとも1枚の平面電極である。本実施形態において、基準平面電極111は、平面視形状が長方形である4枚の平面電極により構成されている。以下、これら4枚の平面電極を、それぞれ、第1平面電極111a1、第2平面電極111b1、第3平面電極111a2、及び第4平面電極111b2とも記載する。回転平面電極121は、回転体Yに固定された少なくとも1枚の平面電極である。実施形態において、回転平面電極121は、平面視形状が長方形である1枚の平面電極により構成されている。
【0031】
基準平面電極111を構成する第1平面電極111a1及び第2平面電極111b1は、同一平面上に並んで配置されており、回転軸Aに直交する平面P1を挟んで回転平面電極121の一方の面と対向している。ここで、第1平面電極111a1と第2平面電極111b1との並び方は、平面視において長辺同士が互いに平行に対向する並び方である。第1平面電極111a1と第2平面電極111b1とは、互いに離間しており、その結果、互いに絶縁されている。
【0032】
以下、第1平面電極111a1の平面P1への正射影と回転平面電極121の平面P1への正射影との共通部分(重複部分)の面積のことを、対向面積Saと記載し、第2平面電極111b1の平面P1への正射影と回転平面電極121の平面P1への正射影との共通部分(重複部分)の面積のことを、対向面積Sbと記載する。第1平面電極111a1と回転平面電極121との間の静電容量Ca1は、対向面積Saに比例し、第2平面電極111b1と回転平面電極121との間の静電容量Cb1は、対向面積Sbに比例する。
【0033】
基準平面電極111を構成する第3平面電極111a2及び第4平面電極111b2は、同一平面上に並んで配置されており、回転軸Aに直交する平面P2を挟んで回転平面電極121の他方の面と対向している。第3平面電極111a2と第4平面電極111b2との並び方は、平面視において長辺同士が互いに平行に対向する並び方である。第3平面電極111a2と第4平面電極111b2とは、互いに離間しており、その結果、互いに絶縁されている。第3平面電極111a2は、第1平面電極111a1に並列に接続されており、第4平面電極111b2は、第2平面電極111b1に並列に接続されている。
【0034】
第3平面電極111a2の平面視形状は、第1平面電極111a1の平面視形状と合同であり、第3平面電極111a2の平面P2への正射影と回転平面電極121の平面P2への正射影との共通部分(重複部分)の面積は、上述した対向面積Saと一致する。また、第4平面電極111b2の平面視形状は、第2平面電極111b1の平面視形状と合同であり、第4平面電極111b2の平面P2への正射影と回転平面電極121の平面P2への正射影との共通部分(重複部分)の面積は、上述した対向面積Sbと一致する。したがって、第3平面電極111a2と回転平面電極121との間の静電容量Ca2は、対向面積Saに比例し、第4平面電極111b2と回転平面電極121との間の静電容量Cb2は、対向面積Sbに比例する。また、静電容量Ca1と静電容量Ca2との合成容量Caは、対向面積Saに比例し、静電容量Cb1と静電容量Cb2との合成容量Cbは、対向面積Sbに比例する。
【0035】
回転角θが増加する方向に回転体Yが回転すると、対向面積Saが増加すると共に対向面積Sbが減少し、その結果、合成容量Caが増加すると共に合成容量Cbが減少する。逆に、回転角θが減少する方向に回転体Yが回転すると、対向面積Saが減少すると共に対向面積Sbが増加し、その結果、合成容量Caが減少すると共に合成容量Cbが増加する。したがって、回転角θは、合成容量Caと合成容量Cbとの差Ca-Cbと一対一に対応する。このため、合成容量Caと合成容量Cbとの差Ca-Cb、又は、この差Ca-Cbと1対1対応する物理量に基づいて、回転角θを特定することができる。
【0036】
なお、角度センサ1は、半導体部品を用いることなく構成することができる。したがって、角度センサ1は、放射線環境下においても好適に利用することが可能である。また、角度センサ1は、高温環境(例えば、270℃以上の環境)、低温環境(例えば、-268℃以下の環境)、高圧環境(例えば、10気圧以上の環境)、及び低圧環境(例えば、真空中)においても、好適に利用することが可能である。
【0037】
なお、本実施形態においては、基準平面電極111を4枚の平面電極により構成する態様(以下、「態様C」とも記載する)を採用しているが、本発明は、これに限定されない。
【0038】
例えば、基準平面電極111を1枚の平面電極(例えば、第1平面電極111a1)により構成する態様(以下、「態様A」とも記載する)も採用可能である。この場合、回転角θは、その1枚の平面電極と回転平面電極121との間の静電容量(例えば、静電容量Ca1)と一対一に対応する。したがって、その静電容量、又は、その静電容量と一対一対応する物理量に基づいて、回転角θを特定することが可能である。
【0039】
或いは、基準平面電極111を同一平面上に並んで配置された2枚の平面電極(例えば、第1平面電極111a1及び第2平面電極111b1)により構成する態様(以下、「態様B」とも記載する)も採用可能である。この場合、回転角θは、それら2枚の平面電極と回転電極12との間の静電容量(例えば、静電容量Ca1及び静電容量Cb1)の差(例えば、差Ca1-Cb1)と一対一に対応する。したがって、それらの静電容量の差、又は、その差と一対一対応する物理量に基づいて、回転角θを特定することが可能である。
【0040】
なお、基準平面電極111を2枚の平面電極により構成する態様には、基準平面電極111を、同一平面上に並んで配置された2枚の平面電極により構成する態様Bの他に、基準平面電極111を、回転平面電極121を介して対向する2枚の平面電極(例えば、第1平面電極111a1及び第3平面電極111a2、或いは、第2平面電極111b1及び第4平面電極111b2)により構成する態様B’がある。
【0041】
なお、基準平面電極111を同一平面上に並んだ2枚の平面電極により構成する態様Bには、基準平面電極111を1枚の平面電極により構成する態様Aと比べて、より正確に回転角θを特定することが可能になるというメリットがある。その理由は、回転角θの特定を差動的に行うことが可能になるからである。
【0042】
また、基準平面電極111を4枚の平面電極により構成する態様Cには、基準平面電極111を同一平面上に並んだ2枚の平面電極により構成する対応Bと比べて、より一層正確に回転角θを特定することが可能になるというメリットがある。その理由は、以下のとおりである。
【0043】
すなわち、基準平面電極111を同一平面上に並んだ2枚の平面電極により構成する態様Bを採用する場合、それら2枚の平面電極と回転平面電極121との間の静電容量の差は、回転平面電極121が傾くことによっても変化する。例えば、回転平面電極121が一方の平面電極(例えば、第1平面電極111a1)に近くづくと共に他方の平面電極(例えば、第2平面電極111b1)から遠ざかる方向に傾いた場合、上記一方の平面電極と回転平面電極121との間の静電容量(例えば、静電容量Ca1)が増加すると共に上記他方の平面電極と回転平面電極121との間の静電容量(例えば、静電容量Cb1)が減少するので、前者から後者を引いた静電容量の差(例えば、差Ca1-Cb2)が増加する。このため、回転平面電極121の傾きが回転角θを特定する上での誤差要因となり易い。
【0044】
これに対して、基準平面電極111を4枚の平面電極により構成する態様Cを採用する場合、回転平面電極121が傾いても、合成容量Caと合成容量Cbとの差Ca-Cbは、一定又は略一定に保たれる。例えば、回転平面電極121が第1平面電極111a1に近づくと共に第2平面電極111b1から遠ざかる方向に傾くと、回転平面電極121が第3平面電極111a2から遠ざかると共に第4平面電極111b2に近づく。したがって、静電容量Ca1が増加すると共に静電容量Cb1が減少するのと同時に、静電容量Ca2が減少すると共に静電容量Cb2が増加するので、合成容量Ca及び合成容量Cbはそれぞれ一定又は略一定に保たれ、その結果、差Ca-Cbも一定又は略一定に保たれる。このため、回転平面電極121の傾きが回転角θを特定する上での誤差要因となり難い。
【0045】
また、基準平面電極111を同一平面上に並んだ2枚の平面電極により構成する態様Bを採用する場合、それら2枚の平面電極と回転平面電極121との間の静電容量の差は、回転平面電極121が平行移動することによっても変化する。例えば、回転平面電極121が2枚の平面電極(例えば、第1平面電極111a1及び第2平面電極111b1)にεだけ近くづく場合、それぞれの平面電極と回転平面電極121との間の静電容量(例えば、静電容量Ca1及び静電容量Ca2)がd/(d-ε)倍になるので、それらの静電容量の差(例えば、差Ca1-Ca2)もd/(d-ε)倍になる。ここで、dは、基準平面電極111から回転平面電極121までの平行移動前の距離である。このため、回転平面電極121の平行移動も回転角θを特定する上での誤差要因となり得る。
【0046】
これに対して、基準平面電極111を4枚の平面電極により構成する態様Cを採用する場合、回転平面電極121が第1平面電極111a1及び第2平面電極111b1にεだけ近づくと同時に、回転平面電極121が第3平面電極111a2及び第4平面電極111b2からεだけ遠ざかる。このため、第1平面電極111a1及び第2平面電極111b1と回転平面電極121との間の静電容量Ca1,Cb1がd/d-ε倍になると同時に、第3平面電極111a2及び第4平面電極111b2と回転平面電極121との間の静電容量Ca2,Cb2がd/d+ε倍になる。このとき、合成容量Ca,Cbは、それぞれ、{d/(d-ε)}×{d/(d+ε)}倍になり、その結果、差Ca-Cbも{d/(d-ε)}×{d/(d+ε)}倍になる。ここで、0<d/(d+ε)<1なので、{d/(d-ε)}×{d/(d+ε)}<d/(d-ε)である。このため、回転平面電極121の平行移動は、基準平面電極111を同一平面上に並んだ2枚の平面電極により構成する態様Bを採用する場合と比べて誤差容易となり難い。
【0047】
〔角度センサの特徴〕
本実施形態に係る角度センサ1の特徴について、
図2~
図3を参照して説明する。
図2~
図3は、回転体Yの回転軸Aに直交する平面Pへの基準平面電極111及び回転平面電極121の正射影を示す平面図である。ここで、平面Pは、上述した平面P1であってもよいし、上述した平面P2であってもよいし、回転体Yの回転軸Aに直交する他の平面であってもよい。
【0048】
なお、平面Pへの第1平面電極111a1の正射影と平面Pへの第3平面電極111a2の正射影とは、互いに一致する(互いに過不足なく重なり合う)。このため、
図2~
図3においては、これらの正射影を単一の正射影OP111aとして図示している。上述した対向面積Saは、この正射影OP111aと、平面Pへの回転平面電極121の正射影OP121との共通部分(OP111a∩OP121)の面積に他ならない。また、平面Pへの第2平面電極111b1の正射影と平面Pへの第4平面電極111b2とは、互いに一致する(互いに過不足なく重なり合う)。このため、
図2~
図3においては、これらの正射影を単一の正射影OP111bとして図示している。上述した対向面積Sbは、この正射影OP111bと、平面Pへの回転平面電極121の正射影OP121との共通部分(OP111b∩OP121)の面積に他ならない。
【0049】
角度センサ1の特徴は、平面Pへの基準平面電極111の正射影OP111と平面Pへの回転平面電極121の正射影OP121との共通部分OP111∩OP121が、θが0°であるときに回転軸Aから十分に離間している点にある。より具体的に言うと、回転軸Aから、共通部分OP111∩OP121において回転軸Aに最も近い点までの距離をd1とし、回転軸Aから、共通部分OP111∩OP121において回転軸に最も遠い点までの距離をd2として、θが0°であるときにd2-d1≦d1を満たす点にある。ここで、平面Pへの基準平面電極111の正射影OP111とは、正射影OP111aと正射影OP111bとの合併OP111a∪OP111bのことを指す。この特徴により、角度センサ1は、回転角θを精度良く検出することが可能になる。なぜなら、対向面積Sa,Sbの単位回転角あたりの変動量がd1<d2-d1である場合よりも大きくなり、その結果、静電容量差Ca-Cbの単位回転角あたりの変動量がd1<d2-d1である場合よりも大きくなるからである。
【0050】
図2は、回転角θが0°であるときに実現される、平面Pにおける正射影OP111と正射影OP121との配置を例示している。
図3は、回転角θが5°であるときに実現される、平面Pにおける正射影OP111と正射影OP121との配置を例示している。
【0051】
なお、上記の特徴により対向面積Saの単位回転角あたりの変動量が大きくなることは、以下の議論によっても確かめられる。なお、以下の議論においては、第1平面電極111aが幅wの長方形であり、回転平面電極121が高さhの長方形であると仮定する(
図2参照)。
【0052】
回転軸Aから回転平面電極121までの距離をLとすると(
図2参照)、回転角がθであるときの対向面積Saは、下記式(1)のように表される。したがって、回転角がθであるときの単位回転角あたりの対向面積Saの変動量dSa/dθは、下記式(2)のように表され、回転角が0であるときの単位回転角あたりの対向面積Saの変動量dSa/dθ(θ=0°)は、下記式(3)のように表される。
【0053】
【0054】
変動量dSa/dθ(θ=0°)は、角度センサ1の感度の指標となる。つまり、上記式(3)は、距離L(距離d1に相当)が大きくなればなるほど、角度センサ1の感度が高くなることを示している。特に、w≦Lである場合(d2-d1≦d1である場合に相当)、変動量dSa/dθ(θ=0°)は、3w2/2以上になる。したがって、第1平面電極111aの幅wを適宜調整することによって、所望の感度を有する角度センサ1を容易に実現することが可能である。2×(d2-d1)≦d1であれば、一層、感度の高い角度センサ1を実現することができ、3×(d2-d1)≦d1であれば、更に一層、感度の高い角度センサを実現することができる。発明者らが行った実験によれば、一実施例として、-2.7°≦θ≦+2.7°における角度分解能が2μradである角度センサ1を実現できることが確かめられている。
【0055】
〔測定方法〕
本発明の一実施形態に係る測定方法MMについて、
図4及び
図5を参照して説明する。
【0056】
まず、測定方法MMを実施するために用いる測定システムMSについて、
図4を参照して説明する。
図4は、測定システムMSの構成を示すブロック図である。
【0057】
測定システムMSは、
図4に示すように、上述した角度センサ1に加えて、電源装置2と、測定回路3と、電子計算機4と、を備えている。
【0058】
電源装置2は、角度センサ1の回転平面電極121に交流電圧を入力するための装置である。本実施形態において、電源装置2は、回転平面電極121を構成する1枚の平面電極に交流電圧Vを入力する。本実施形態においては、交流電圧Vとして、三角波電圧を用いる。
【0059】
角度センサ1の回転平面電極121に交流電圧が入力されると、角度センサ1の基準平面電極111に交流電流が誘導される。本実施形態においては、基準平面電極111を構成する4枚の平面電極111a1,111a2,111b1,111b2に、それぞれ、交流電流Ia1,Ia2,Ib1,Ib2が誘導される。回転平面電極121に入力される交流電圧Vが三角波電圧である場合、基準平面電極111に誘導される交流電流は方形波電流になる。
【0060】
測定回路3は、角度センサ1の基準平面電極111に誘導される交流電流を直流電圧に変換するための回路である。本実施形態において、測定回路3は、(1)基準平面電極111を構成する2枚の平面電極111a1,111a2に誘導される交流電流Ia1,Iaを、これらの交流電流Ia1,Ia2の和電流Ia=Ia1+Ia2の振幅に比例する直流電圧Vaに変換し、(2)基準平面電極111を構成する2枚の平面電極111b1,111b2に誘導される交流電流Ib1,Ib2を、これらの交流電流Ib1,Ib2の和電流Ib=Ib1+Ib2の振幅に比例する直流電圧Vbに変換する。
【0061】
このような機能を有する測定回路3は、例えば
図4に示すように、第1平面電極111a1及び第3平面電極111a2に接続された電流/電圧変換回路31aと、電流/電圧変換回路31aに接続された全波整流回路32aと、第2平面電極111b1及び第4平面電極111b2に接続された電流/電圧変換回路31bと、電流/電圧変換回路31bに接続された全波整流回路32bと、により構成することができる。なお、電流/電圧変換回路31a,31bとしては、例えば、トランスインピーダンスアンプを用いることができる。全波整流回路32a,32bとしては、例えば、絶対値回路を用いることができる。本実施形態においては、交流電圧Vとして三角波電圧を用いているので、測定回路3の出力電圧は、リップル成分を含まない、又は、含まれるリップル成分が少ない直流電圧となる。このため、応答速度の速い(回転角θが変化してから回転角θの特定を完了するまでの時間が短い)測定システムMSを実現することが可能になる。
【0062】
電子計算機4は、測定回路3にて得られた直流電圧に基づいて回転角θを特定するための装置である。本実施形態において、電子計算機4は、測定回路3にて得られた直流電圧Va,Vbに基づいて回転角θを特定する。回転角θの値は、例えば、直流電圧Va,Vbの和電圧V+=Va+Vbに対する、直流電圧Va,Vbの差電圧V-=Va-Vbの比V-/V+の値と1対1に対応する。本実施形態において、電子計算機4は、この対応関係を利用して回転角θを特定する。このため、電子計算機4のストレージ41には、比V-/V+の値と回転角θの値とを対応付けるテーブルTが格納されている。電子計算機4のプロセッサ42は、(イ)直流電圧Va,Vbから比V-/V+を算出する処理、及び、(ロ)テーブルTにおいて比V-/V+に対応する回転角θを特定する処理を実行する。
【0063】
なお、電子計算機4のプロセッサ42は、直流電圧Va,Vbの和電圧V+が一定(予め定められた値)になるように、電源装置2の出力電圧の振幅(すなわち、回転平面電極121に入力される交流電圧Vの振幅)をフィードバック制御する機能を有していてもよい。この場合、回転角θは、直流電圧Va,Vbの差電圧V-=Va-Vbと1対1に対応する。この場合、電子計算機4のストレージ41には、上記のテーブルTの代わりに、直流電圧Va,Vbの差電圧V-の値と回転角θの値とを対応付けるテーブルT’を格納すればよい。また、この場合、プロセッサ42は、上記の処理(イ)及び(ロ)の代わりに、(ハ)直流電圧Va,Vbから差電圧V-を算出する処理、及び、(ニ)テーブルT’において差電圧V-に対応する回転角θを特定する処理を実行すればよい。
【0064】
次に、測定方法MMについて、
図5を参照して説明する。
図5は、測定方法MMの流れを示すフロー図である。
【0065】
測定方法MMは、
図5に示すように入力工程S1と、変換工程S2と、特定工程S3と、を含んでいる。
【0066】
電源装置2は、角度センサ1の回転平面電極121に交流電圧を入力する入力工程S1を実施する。本実施形態に係る入力工程S1においては、上述したように、回転平面電極121を構成する1枚の平面電極に交流電圧V(三角波電圧)が入力される。入力工程S1は、
図5に示すように、測定期間全体に亘って継続的に実施される。
【0067】
測定回路3は、角度センサ1の基準平面電極111に誘導される交流電流を直流電圧Vに変換する変換工程S2を実施する。本実施形態に係る変換工程S2においては、上述したように、(1)基準平面電極111を構成する2枚の平面電極111a1,111a2に誘導される交流電流Ia1,Ia2(方形波電流)が、これらの交流電流Ia1,Ia2の和電流Ia=Ia1+Ia2の振幅に比例する直流電圧Vaに変換され、(2)基準平面電極111を構成する2枚の平面電極111b1,111b2に誘導される交流電流Ib1,Ib2(方形波電流)が、これらの交流電流Ib1,Ib2の和電流Ib=Ib1+Ib2の振幅に比例する直流電圧Vbに変換される。変換工程S2は、
図5に示すように、測定期間全体に亘って継続的に実施される。
【0068】
電子計算機4は、測定回路3にて得られた直流電圧に基づいて回転角θを特定する特定工程S3を実施する。本実施形態に係る特定工程S3においては、上述したように、測定回路3にて得られた直流電圧Va,Vbに基づいて回転角θを特定される。例えば、比V
-/V
+の値と回転角θの値とを対応付けるテーブルTを利用する場合、(イ)直流電圧Va,Vbから比V
-/V
+を算出する処理、及び、(ロ)テーブルTにおいて比V
-/V
+に対応する回転角θを特定する処理が実行される。或いは、差電圧V
-の値と回転角θの値とを対応付けるテーブルT’を利用する場合、(ハ)直流電圧Va,Vbから差電圧V
-を算出する処理、及び、(ニ)テーブルT’において差電圧V
-に対応する回転角θを特定する処理が実行される。特定工程S3は、
図5に示すように、測定期間においてサンプリングタイミング毎に周期的に実施される。なお、差電圧V
-の値と回転角θの値とを対応付けるテーブルT’を利用する場合には、直流電圧Va,Vbの和電圧V
+が予め定められた値に固定するためのフィードバック制御が測定期間全体に亘って継続的に実施される。
【0069】
なお、ここでは、基準平面電極111を4枚の平面電極により構成する態様Cに即した測定方法MMについて説明したが、本発明は、これに限定されない。
【0070】
例えば、基準平面電極111を1枚の平面電極により構成する態様Aを採用した場合には、この平面電極に誘導される交流電流を、その振幅に比例する直流電圧に変換し、この直流電圧に基づいて回転角θを特定すればよい。
【0071】
或いは、基準平面電極111を2枚の平面電極(例えば、第1平面電極111a1及び第2平面電極111b1)により構成する態様Bを採用した場合、これらの平面電極に誘導される交流電流を、それぞれ、その振幅に比例する直流電圧に変換し、これらの直流電圧の差に基づいて回転角θを特定すればよい。
【0072】
〔角度センサの実現例〕
角度センサ1の一実現例(以下、角度センサ100と記載する)について、
図6を参照して説明する。
図6は、角度センサ100の構成を示す斜視図である。
【0073】
角度センサ100は、
図6に示すように、基準モジュール110と、回転モジュール120と、を備えている。
【0074】
基準モジュール110は、基準体Xに固定されるモジュールである。基準モジュール110は、上述した基準平面電極111に加えて、基準平面電極111に接続された出力端子112と、基準平面電極111を収容すると共に、出力端子112を取り付けるための筐体113と、を備えている。
【0075】
本実施形態においては、筐体113として、(1)第1側壁113a、(2)第1側壁113aと交わる第2側壁113b、(3)第2側壁113bと交わり、第1側壁113aと対向する第3側壁113c、(4)第3側壁113c及び第1側壁113aと交わり、第2側壁113bと対向する第4側壁113dを含む箱型筐体を用いている。基準平面電極111を構成する第1平面電極111a1及び第2平面電極111b1は、第1側壁113aの内側の面に固定されている。基準平面電極111を構成する第3平面電極111a2及び第4平面電極111b2は、第3側壁113cの内側の面に固定されている。出力端子112は、第1平面電極111a1及び第3平面電極111a2に接続された第1出力端子112aと、第2平面電極111b1及び第4平面電極111b2に接続された第2出力端子112bと、により構成されている。第1出力端子112a及び第2出力端子112bは、それぞれ、第2側壁113bの外側の面に、該面と直交する方向に突出するように取り付けられている。第4側壁113dには、回転平面電極121を挿入するための開口113d1が形成されている。
【0076】
回転モジュール120は、回転体Yに固定されるモジュールである。回転モジュール120は、上述した回転平面電極121に加えて、回転平面電極121に接続された入力端子122と、回転平面電極121及び入力端子122を取り付けるための筐体123と、を備えている。
【0077】
本実施形態においては、筐体123として、(1)第1側壁123a、(2)第1側壁123aと交わる第2側壁123b、(3)第2側壁123bと交わり、第1側壁123aと対向する第3側壁123c、(4)第3側壁123c及び第1側壁123aと交わり、第2側壁123bと対向する第4側壁123d、(5)これらの側壁123a~123dと交わる天板123eを含む箱型筐体を用いている。回転平面電極121は、天板123eの外側の面に、該面と直交する方向に突出するように取り付けられている。入力端子122は、回転平面電極121を構成する1枚の平面電極に接続されている。入力端子122は、第2側壁123bの外側の面に、該面と直交する方向に突出するように取り付けられている。
【0078】
角度センサ100は、
図6に示すように、回転モジュール120の天板123eに取り付けられた回転平面電極121を、基準モジュール110の第4側壁113dに形成された開口113d1に挿入した状態で使用される。この状態においては、基準平面電極111と回転平面電極121との間に
図6に示した配置が実現される。
【0079】
(角度センサを備えたマウント装置)
角度センサ100を備えたマウント装置200について、
図7を参照して説明する。
図7は、マウント装置200の構成を示す斜視図である。
【0080】
マウント装置200は、円盤状のミラーを回転可能にマウントするための装置である。マウント装置200は、
図7に示すように、2つの角度センサ100に加えて、フレーム201と、第1ジンバル202と、第2ジンバル203と、を備えている。
【0081】
第1ジンバル202は、フレーム201の内側に配置され、回転可能にフレーム201に取り付けられている。第1ジンバル202の回転軸A1は、フレーム201に固定されている。第2ジンバル203は、第1ジンバル202の内側に配置され、回転可能に第1ジンバル202に取り付けられている。第2ジンバル203の回転軸A2は、第1ジンバル202に固定されている。第1ジンバル202の回転軸A1と第2ジンバル203の回転軸A2とは、互いに直交している。ミラーは、第2ジンバル203に固定(例えば、螺子止め)される。
【0082】
2つの角度センサ100の一方は、フレーム201に対する第1ジンバル202の回転角θ1を検出するために利用される。この角度センサ100を構成する基準モジュール110は、フレーム201に固定されている。一方、この角度センサ100を構成する回転モジュール120は、第1ジンバル202に固定されている。
【0083】
2つの角度センサ100の他方は、第1ジンバル202に対する第2ジンバル203の回転角θ2を検出するために利用される。この角度センサ100を構成する基準モジュール110は、第1ジンバル202に固定されている。一方、この角度センサ100を構成する回転モジュール120は、第2ジンバル203に固定されている。
【0084】
マウント装置200によれば、ミラーを回転可能にマウントすると共に、ミラーの向きを2つの角度センサ100によって正確に検出することが可能である。角度センサ100は、半導体部品を用いることなく実現されているので、マウント装置200は、放射線環境下においても好適に利用することが可能である。
【0085】
なお、本実施形態においては、ミラーのマウントに好適なマウント装置200について説明したが、マウントされる物品は任意であり、ミラーに限定されない。マウント装置200にマウントされる、ミラー以外の物品としては、例えば、レンズ、カメラ、光センサ、光ファイバなどの光学部品が挙げられる。また、姿勢制御が必要になる物品であれば、光学部品以外の物品であってもよい。
【0086】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1 角度センサ
100 角度センサ
110 基準モジュール
111 基準平面電極
111a1 第1平面電極
111b1 第2平面電極
111a2 第3平面電極
111b2 第4平面電極
112 出力端子
113 筐体
120 回転モジュール
121 回転平面電極
122 入力端子
123 筐体
2 電源装置
3 測定回路
4 電子計算機
200 マウント装置
201 フレーム
202 第1ジンバル
203 第2ジンバル