IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浙江大学の特許一覧

特許7281152手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機及びその方法
<>
  • 特許-手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機及びその方法 図1
  • 特許-手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機及びその方法 図2
  • 特許-手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機及びその方法 図3
  • 特許-手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機及びその方法 図4
  • 特許-手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機及びその方法 図5
  • 特許-手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機及びその方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A01H 1/02 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
A01H1/02 A
A01H1/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022505362
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 CN2020122127
(87)【国際公開番号】W WO2021169331
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】202010121683.1
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】王 永▲維▼
(72)【発明者】
【氏名】姚 福▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ 一▲楓▼
(72)【発明者】
【氏名】王 俊
(72)【発明者】
【氏名】▲韋▼ ▲真▼博
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110214690(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103262786(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103250630(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01H
C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機であって、手持ち式動力シャーシ(1)、昇降アセンブリ、空気圧式受粉アセンブリ、制御アセンブリを含み、
昇降アセンブリ、制御アセンブリは手持ち式動力シャーシ(1)の上部に固定され、空気圧式受粉アセンブリは昇降アセンブリの前部に固定され、かつ昇降アセンブリにより上下昇降が制御され、
前記手持ち式動力シャーシ(1)は、エンジン(1-1)、遠心式クラッチ(1-2)、トラックローラ(1-3)、駆動輪(1-4)、減速器(1-5)、デバイダ(1-6)、手すり(1-7)を含み、エンジン(1-1)の動力出力軸が遠心式クラッチ(1-2)により減速器(1-5)の動力入力軸に接続され、駆動輪(1-4)が減速器(1-5)の動力出力軸に取り付けられ、トラックローラ(1-3)が減速器(1-5)の下方に固定され、手すり(1-7)の前部が減速器(1-5)に固定され、デバイダ(1-6)が減速器(1-5)の前部に固定され、昇降アセンブリがフレーム(2)により減速器(1-5)に固定され、
前記空気圧式受粉アセンブリは、昇降フレーム(4)、流速センサ(7)、第1の右一方向ガスブロー管(8)、第2の右一方向ガスブロー管(9)、中央双方向ガスブロー管(10)、導流板(11)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第1の左一方向ガスブロー管(13)、直流ファン(14)、駆動コントローラ(15)、支持板(16)、蓄電池(19)、直角スライディングスリーブ(21)を含み、第1の右一方向ガスブロー管(8)、第2の右一方向ガスブロー管(9)、中央双方向ガスブロー管(10)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第1の左一方向ガスブロー管(13)はいずれもL字状でありかつ垂直部分の長さが同じであり、第1の右一方向ガスブロー管(8)、第2の右一方向ガスブロー管(9)、中央双方向ガスブロー管(10)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第1の左一方向ガスブロー管(13)の垂直セグメントの同じ高さの位置にはいずれも上下に対称的に2つの直角スライディングスリーブ(21)が固定され、かつ2つの直角スライディングスリーブ(21)間の間隔が昇降フレーム(4)の幅と同じであり、第1の右一方向ガスブロー管(8)、第2の右一方向ガスブロー管(9)、中央双方向ガスブロー管(10)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第1の左一方向ガスブロー管(13)が直角スライディングスリーブ(21)により右から左へ順に昇降フレーム(4)に均一に外装され、かつ各直角スライディングスリーブ(21)上のロックボルトにより固定され、
5つの支持板(16)が均一に昇降アセンブリの上部に固定され、5つの直流ファン(14)がそれぞれ5つの支持板(16)の前側部に固定され、5つの駆動コントローラ(15)がそれぞれ5つの支持板(16)の後側部に固定され、5つの直流ファン(14)の排気口がホースを介してそれぞれ第1の右一方向ガスブロー管(8)、第2の右一方向ガスブロー管(9)、中央双方向ガスブロー管(10)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第1の左一方向ガスブロー管(13)の上部に連通し、
第1の右一方向ガスブロー管(8)、第2の右一方向ガスブロー管(9)、中央双方向ガスブロー管(10)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第1の左一方向ガスブロー管(13)の水平セグメントの先端にはいずれもエアブロー口が開設され、かつエアブロー口の下部にはいずれも、雄親本の花粉を雌親本行に向かって飛散させる気流を形成するための導流板(11)が設けられ、
第1の右一方向ガスブロー管(8)、第2の右一方向ガスブロー管(9)、中央双方向ガスブロー管(10)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第1の左一方向ガスブロー管(13)の垂直セグメントの同じ高さの位置にはそれぞれ1つの流速センサ(7)が固定され、各流速センサ(7)の検出端が所在のガスブロー管の内部に伸びて管内の気流速度を測定し、
蓄電池(19)が昇降アセンブリのフレーム(2)に固定され、
昇降アセンブリはフレーム(2)、ガイドレール(18)、リードスクリュー(5)、ステッピングモータ(17)、スライダー(20)を含み、ガイドレール(18)が垂直にフレーム(2)の前上部に固定され、ガイドレール(18)の上部にはベアリングベースが設けられ、リードスクリュー(5)の上端がガイドレール(18)の上部のベアリングベースによりガイドレール(18)に取り付けられ、リードスクリュー(5)の下端がベアリングベースによりフレーム(2)の前上部に取り付けられ、かつガイドレール(18)がリードスクリュー(5)の中心軸線と平行であり、ステッピングモータ(17)がガイドレール(18)の上端に固定され、リードスクリュー(5)の上端がステッピングモータ(17)の出力軸と同軸に固定されて接続され、ボールナット(6)がリードスクリュー(5)に嵌着されかつリードスクリュー(5)と螺旋嵌合を構成し、
ガイドレール(18)にはスライダー(20)が設けられ、スライダー(20)とガイドレール(18)とが移動対偶を構成し、2つのボールナット(6)の前部が昇降フレーム(4)の中部に固定されて接続され、2つのボールナット(6)の後部が2つのスライダー(20)に固定されて接続され、
前記制御アセンブリは、コントローラ(3)、流速センサ(7)、駆動コントローラ(15)、蓄電池(19)、RS485変換TTLモジュール、タッチパネルを含み、蓄電池(19)が電圧安定化モジュールを介してコントローラ(3)、タッチパネルに給電し、5つの流速センサ(7)がRS485変換TTLモジュールを介してコントローラ(3)に接続され、5つの駆動コントローラ(15)とコントローラ(3)が制御線により接続され、蓄電池(19)がケーブルを介して5つの駆動コントローラ(15)に接続され、それとともに、5つの駆動コントローラ(15)がそれぞれ5つの直流ファン(14)に接続される
ことを特徴とする手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機。
【請求項2】
前記第1の左一方向ガスブロー管(13)、第2の左一方向ガスブロー管(12)はいずれもL字状であり、第1の左一方向ガスブロー管(13)、第2の左一方向ガスブロー管(12)の水平セグメントの前部の、中央双方向ガスブロー管(10)から離れた一側には、いずれもエアブロー口(22)が開設され、エアブロー口(22)が水平の長スリットであり、導流板(11)がエアブロー口(22)の下方に水平に固定され、導流板(11)が三角形であり、第1の右一方向ガスブロー管(8)、第2の右一方向ガスブロー管(9)はそれぞれ第1の左一方向ガスブロー管(13)、第2の左一方向ガスブロー管(12)と鏡面対称構造である
ことを特徴とする請求項1に記載の手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機
【請求項3】
前記中央双方向ガスブロー管(10)はL字状であり、中央双方向ガスブロー管(10)の水平セグメントの前部には、両側に向かっていずれもエアブロー口(22)が開設され、導流板(11)がエアブロー口(22)の下方に水平に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機
【請求項4】
前記第1の左一方向ガスブロー管(13)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、中央双方向ガスブロー管(10)、第2の右一方向ガスブロー管(9)、第1の右一方向ガスブロー管(8)が昇降フレーム(4)に取り付けられ、かつ5つのガスブロー管の水平セグメントが同じ平面にあり、5つのガスブロー管の水平セグメントの先端の中心の接続線が、手持ち式動力シャーシ(1)に向かって凹んでいるV字状を呈する
ことを特徴とする請求項1に記載の手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機
【請求項5】
隣接する2つのガスブロー管の水平セグメントの長さ差は、エアブロー口(22)の長さの1~1.5倍である
ことを特徴とする請求項4に記載の手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機
【請求項6】
手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機の受粉方法であって、当該受粉方法は、請求項1~5のいずれか一項に記載の手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機を利用し、以下のステップ1~5を含み、
ガスブロー管の分布を調整するステップ1には、中央双方向ガスブロー管(10)の縦方向の中心と手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機の縦方向の中心とを同じ垂直平面に位置させ、すなわち、中央双方向ガスブロー管(10)の縦方向の中心を手持ち式動力シャーシ(1)の駆動輪(1-4)の縦方向の中心面と重ね合わるように、中央双方向ガスブロー管(10)の昇降フレーム(4)の横方向における水平位置を調整しており、第1の左一方向ガスブロー管(13)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第1の右一方向ガスブロー管(8)、第1の左一方向ガスブロー管(13)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、中央双方向ガスブロー管(10)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第1の右一方向ガスブロー管(8)の水平セグメントの中心線が順に隣接する間隔を、製種畑の6行の交雑水稲の雄親本に対応する5つの行間隔と一致させるように、交雑水稲製種雄親本の行距離に基づいて各ガスブロー管を調整しており、直角スライディングスリーブ(21)上のロックボルトを利用して各ガスブロー管を昇降フレーム(4)に固定させ、
装置を交雑水稲の製種畑に移動するステップ2には、交雑水稲の雄親本が開花期の10:00にある前に、手持ち空気圧式交雑水稲の製種の受粉機を製種畑に走行させ、駆動輪が最中間の2行の雄親本間に移行し、かつ中央双方向ガスブロー管(10)の水平セグメントが最中心の2行の雄親本に平行であり、タッチパネルによりコントローラ(3)を操作して駆動コントローラを制御し、さらにステッピングモータ(17)を制御して回転させることにより、各ガスブロー管のエアブロー口を花粉穗の中下部に位置させ、
ガスブロー管の気流パラメータを調整するステップ3には、異なる品種の交雑水稲の異なる雄親本行に必要な受粉気流速度要求に応じて、コントローラ(3)のタッチパネルによりそれぞれ第1の左一方向ガスブロー管(13)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、中央双方向ガスブロー管(10)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第1の右一方向ガスブロー管(8)のそれぞれのエアブロー口(22)における気流速度を設定しており、コントローラ(3)により駆動コントローラ(15)を制御し、5つの直流ファン(14)を動作させ、各ガスブロー管のエアブロー口(22)において設定風速で気流を出力し、
畑間で受粉するステップ4には、交雑水稲の雄親本が開花期の10:30~14:30にあり、上記ガスブロー管の気流パラメータの調整後に、手持ち空気圧式交雑水稲の製種の受粉機の動力シャーシが最中間の2行の雄親本間を行走し、第1の左一方向ガスブロー管(13)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、中央双方向ガスブロー管(10)、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第1の右一方向ガスブロー管(8)がそれぞれ6行の交雑水稲の雄親本の行間に位置し、第1の左一方向ガスブロー管(13)、第2の左一方向ガスブロー管(12)のエアブロー口(22)の気流が左に向かって左辺の2行の雄親本の穗部に吹き、第2の左一方向ガスブロー管(12)、第1の右一方向ガスブロー管(8)エアブロー口(22)の気流が右に向かって右辺の2行の雄親本の穗部に吹き、中央双方向ガスブロー管(10)の両側のエアブロー口(22)の気流がそれぞれ左右両辺に向かって中間の2行の雄親本の穗部に吹き、雄親本の花粉が気流及び穗部揺動の作用下で花芯から離脱し気流に伴ってドリフトし、左側の3行の雄親本の花粉が左方向気流の作用下で左側の隣接する雌親本行に飛散し、右側の3行の雄親本の花粉が右方向気流の作用下で右側の隣接する雌親本行に飛散し、雌親本の圃場の上方の気流速度が徐々に低下するに連れて、花粉が重力の作用下で下向きに沈降し、一部の花粉が雌親本の穗部に沈んで、受粉を実現し、手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機がこの圃場の6行の雄親本の終点まで走行する際に、畑でUターンして隣接する別の圃場の6行の雄親本まで走行し、受粉操作を再度に行い、順に各雄親本の圃場に走行して受粉を行い、開花期の10:30~14:30に毎日2~3回の受粉操作を行い、
停止及び保守のステップ5には、毎日の受粉が終了した後、先にコントローラ(3)により駆動コントローラ(15)を制御して5つの直流ファン(14)を停止させ、手持ち空気圧式交雑水稲の製種の受粉機を農業機械ライブラリに走行させて要求に応じて保守を行い、翌日の受粉に用意する
ことを特徴とする受粉方法。
【請求項7】
各ガスブロー管の気流速度が異なり、各ガスブロー管のエアブロー口(22)における気流速度は流速センサ(7)により管内流速が測定され、かつコントローラ(3)により駆動コントローラ(15)で直流ファン(14)を制御して調整される
ことを特徴とする請求項6に記載の受粉方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機に関し、具体的には規模化製種の親本大行比栽培に適した空気圧式受粉装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国は、交雑水稲の発祥地であり、交雑水稲の種子の主な生産地域でもあり、2017年の全国の交雑水稲製種面積は約16万ヘクタールであり、年間の種子の生産量は2.8億キログラムを超え、製種は既に規模化を実現した。しかし、受粉は技術要求が強く、精度要求が高く、時間要求が高い操作である。水稻花粉は開花期間が短く、開花期が7~10日だけであり、一般的に一日内に1.5~2時間の開花時間のみがあり、限られた時間内に受粉操作を完了する必要がある。手動補助受粉は手動式と機械式を含み、これまでのところ、普及して適用されている機械式受粉機はなく、手動式受粉は依然として主な受粉方式である。手動式受粉は主にシングルロングロッドによる花粉叩き、ダブルショートロッドによる花粉押し、ロープによる花粉引きを有する。シングルロングロッドによる花粉叩き、ダブルショートロッドによる花粉押しは、ロッドで雄親本の植物を雌親本の植物に押して花粉を脱落させて雌親本の植物の柱頭に散在する受粉方法であり、親本栽培行比が1:3、1:4、2:6、2:8などの栽培方式の受粉に適用し、収穫された種子の質量が高く、生産量も高いが、作業負荷が大きく、生産率が低く、現代の規模化製種要求に合致しない。ロープによる花粉引きは、二人がそれぞれロープの一端を引いてそれぞれ製種畑の両側を走り、ロープを利用して雄親本の植物を雌親本の植物に押して、花粉を雌親本の柱頭に飛散する受粉方法であり、現在適用される受粉装備がない条件で生産率を向上させるために選択せざるを得ない受粉方式であるが、作業負荷が高く、花粉利用率が低く、生産量の損失が大きい。これから分かるように、従来の手動受粉方法は簡単で実行しやすいが、作業負荷が大きく、効率が低く、植物を損傷し易く、受粉が不均一という現象が明らかであり、製種の産出量が低下するなどの課題が存在し、既に現代の種子産業生産の要求を満たすことができない。機械式受粉は衝突式及び空気圧式の二種類を含み、衝突式受粉は主に手動竹棒による「花粉叩き」をシミュレートし、花粉を振るい落とし、雌親本に伝播して受粉を実現するが、このような受粉方式では、花粉は基本的に雄親本の植物に近いところに散乱し、伝播距離が短く、分布が不均一であり、衝突過程で植物に損傷を与えやすく、現代の種子産業の効率的な受粉の要求に合致しない。空気圧式受粉原理は、送風機を利用して持続的で、安定した気流を生成して花粉を花蕊から吹き飛ばし雌蕊の柱頭に落下させて、受粉を完了するが、現在は対応する機型がない。したがって、現在の交雑水稲製種産業に必要な大行比交雑水稲製種の機械化の受粉機器は、受粉操作生産率を大幅に向上させ、交雑水稲製種の機械化レベル、受粉品質及び生産量を向上させ、規模化の大行比製種の花粉指向性輸送、均一な受粉課題を効果的に解決し、品種継続、健康発展を促進する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、現在の交雑水稲製種の機械化の受粉装備の欠如の課題を解決し、規模化大行比製種ニーズに応じて、手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機を提供し、各ガスブロー管により花粉を脱落させ、指向性輸送することで、対応する雌親本の領域に作用させ、指向性、均一、効率的な受粉を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明がその技術課題を解決するために採用する技術手段は、以下の通りである。
手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機であって、手持ち式動力シャーシ、昇降アセンブリ、空気圧式受粉アセンブリ、制御アセンブリを含み、昇降アセンブリ、制御アセンブリが手持ち式動力シャーシの上部に固定され、空気圧式受粉アセンブリが昇降アセンブリの前部に固定され、かつ昇降アセンブリにより上下昇降が制御され、
前記手持ち式動力シャーシはエンジン、遠心式クラッチ、トラックローラ、駆動輪、減速器、デバイダ、手すりを含み、エンジンの動力出力軸が遠心式クラッチを介して減速器の動力入力軸に接続され、駆動輪が減速器の動力出力軸に取り付けられ、トラックローラが減速器の下方に固定され、手すりの前部が減速器に固定され、デバイダが減速器の前部に固定され、昇降アセンブリがフレームにより減速器に固定され、
前記空気圧式受粉アセンブリは、昇降フレーム、流速センサ、第1の右一方向ガスブロー管、第2の右一方向ガスブロー管、中央双方向ガスブロー管、導流板、第2の左一方向ガスブロー管、第1の左一方向ガスブロー管、直流ファン、駆動コントローラ、支持板、蓄電池、直角スライディングスリーブを含み、第1の右一方向ガスブロー管、第2の右一方向ガスブロー管、中央双方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、第1の左一方向ガスブロー管はいずれもL字状でありかつ垂直部分の長さが同じであり、第1の右一方向ガスブロー管、第2の右一方向ガスブロー管、中央双方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、第1の左一方向ガスブロー管の垂直セグメントの同じ高さの位置にはいずれも上下に対称的に2つの直角スライディングスリーブが固定され、かつ2つの直角スライディングスリーブ間の間隔が昇降フレームの幅と同じであり、第1の右一方向ガスブロー管、第2の右一方向ガスブロー管、中央双方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、第1の左一方向ガスブロー管が、直角スライディングスリーブにより右から左へ順に昇降フレームに均一に外装され、かつ各直角スライディングスリーブ上のロックボルトにより固定され、5つの支持板が均一に昇降アセンブリの上部に固定され、5つの直流ファンがそれぞれ5つの支持板の前側部に固定され、5つの駆動コントローラがそれぞれ5つの支持板の後側部に固定され、5つの直流ファンの排気口がホースを介してそれぞれ第1の右一方向ガスブロー管、第2の右一方向ガスブロー管、中央双方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、第1の左一方向ガスブロー管の上部に連通し、
第1の右一方向ガスブロー管、第2の右一方向ガスブロー管、中央双方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、第1の左一方向ガスブロー管の水平セグメントの先端にはいずれもエアブロー口が開設され、かつエアブロー口の下部にはいずれも、雄親本の花粉を雌親本行に向かって飛散する気流を形成するための導流板が設けられ、
第1の右一方向ガスブロー管、第2の右一方向ガスブロー管、中央双方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、第1の左一方向ガスブロー管垂直セグメントの同じ高さの位置にはそれぞれ1つの流速センサが固定され、各流速センサの検出端が所在のガスブロー管の内部に伸びて管内の気流速度を測定し、
蓄電池が昇降アセンブリのフレームに固定され、
昇降アセンブリはフレーム、ガイドレール、リードスクリュー、ステッピングモータ、スライダーを含み、ガイドレールが垂直にフレームの前上部に固定され、ガイドレールの上部にはベアリングベースが設けられ、リードスクリューの上端がガイドレールの上部のベアリングベースによりガイドレールに取り付けられ、リードスクリューの下端がベアリングベースによりフレームの前上部に取り付けられ、かつガイドレールがリードスクリューの中心軸線と平行であり、ステッピングモータがガイドレールの上端に固定され、リードスクリューの上端がステッピングモータの出力軸と同軸に固定されて接続され、ボールナットがリードスクリューに嵌着されかつリードスクリューと螺旋嵌合を構成し、
ガイドレールにはスライダーが設けられ、スライダーとガイドレールとが移動対偶を構成し、2つのボールナットの前部が昇降フレームの中部に固定されて接続され、2つのボールナットの後部が2つのスライダーに固定されて接続され、
前記制御アセンブリは、コントローラ、流速センサ、駆動コントローラ、蓄電池、RS485変換TTLモジュール、タッチパネルを含み、蓄電池が電圧安定化モジュールを介してコントローラ、タッチパネルに給電し、5つの流速センサがRS485変換TTLモジュールを介してコントローラに接続され、5つの駆動コントローラとコントローラが制御線により接続され、蓄電池がケーブルを介して5つの駆動コントローラに接続され、それとともに、5つの駆動コントローラがそれぞれ5つの直流ファンに接続される。
好ましくは、前記第1の左一方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管はいずれもL字状であり、第1の左一方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管の水平セグメントの前部の、中央双方向ガスブロー管から離れた一側にはいずれもエアブロー口が開設され、エアブロー口が水平の長スリットであり、導流板が水平にエアブロー口の下方に固定され、導流板が三角形であり、第1の右一方向ガスブロー管、第2の右一方向ガスブロー管はそれぞれ第1の左一方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管と鏡面対称構造である。
【0005】
好ましくは、前記中央双方向ガスブロー管はL字状であり、中央双方向ガスブロー管の水平セグメントの前部には、両側に向かっていずれもエアブロー口が開設され、導流板が水平にエアブロー口の下方に固定される。
【0006】
好ましくは、前記第1の左一方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、中央双方向ガスブロー管、第2の右一方向ガスブロー管、第1の右一方向ガスブロー管が昇降フレームに取り付けられ、かつ5つのガスブロー管の水平セグメントは同じ平面にあり、5つのガスブロー管の水平セグメントの先端の中心の接続線が、手持ち式動力シャーシに向かって凹んでいるV字状を呈する。
【0007】
さらに、隣接する2つのガスブロー管の水平セグメントの長さ差は、エアブロー口の長さの1~1.5倍である。
【0008】
本発明の他の目的は、いずれかの上記解決手段に記載の手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機を用いた受粉方法を提供することにあり、そのステップは下記の通りである。
中央双方向ガスブロー管の縦方向の中心と手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機の縦方向の中心とを同じ垂直平面に位置させて、すなわち、中央双方向ガスブロー管の縦方向の中心を手持ち式動力シャーシの駆動輪の縦方向の中心面と重ね合わるように、中央双方向ガスブロー管の昇降フレームの横方向における水平位置を調整し、次いで、第1の左一方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、第1の右一方向ガスブロー管、第1の左一方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、中央双方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、第1の右一方向ガスブロー管の水平セグメントの中心線が順に隣接する間隔を製種畑の6行の交雑水稲の雄親本に対応する5つの行間隔と一致させるように、交雑水稲製種雄親本の行距離に基づいて各ガスブロー管を調整し、そして、直角スライディングスリーブ上のロックボルトを利用して各ガスブロー管を昇降フレームに固定させる、ガスブロー管の分布を調整する第1のステップと、
交雑水稲の雄親本が開花期の10:00にある前に、手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機を製種畑に走行し、駆動輪が最中間の2行の雄親本間に移行し、かつ中央双方向ガスブロー管の水平セグメントが最中心の2行の雄親本に平行であり、タッチパネルによりコントローラを操作して駆動コントローラを制御し、さらにステッピングモータを制御して回転させることにより、各ガスブロー管のエアブロー口を花粉穗の中下部に位置させる、装置を交雑水稲の製種畑に移動する第2のステップと、
異なる品種の交雑水稲の異なる雄親本行に必要な受粉気流速度要求に応じて、コントローラのタッチパネルによりそれぞれ第1の左一方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、中央双方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、第1の右一方向ガスブロー管のそれぞれのエアブロー口における気流速度を設定し、次いで、コントローラにより駆動コントローラを制御して5つの直流ファンを動作させ、各ガスブロー管のエアブロー口において設定風速で気流を出力する、ガスブロー管の気流パラメータを調整する第3のステップと、
交雑水稲の雄親本が開花期の10:30~14:30にあり、上記ガスブロー管の気流パラメータの調整後に、手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機の動力シャーシが最中間の2行の雄親本間を行走し、第1の左一方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、中央双方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管、第1の右一方向ガスブロー管がそれぞれ6行の交雑水稲の雄親本の行間に位置し、第1の左一方向ガスブロー管、第2の左一方向ガスブロー管のエアブロー口の気流が左に向かって左辺の2行の雄親本の穗部に吹き、第2の左一方向ガスブロー管、第1の右一方向ガスブロー管のエアブロー口の気流が右に向かって右辺の2行の雄親本の穗部に吹き、中央双方向ガスブロー管の両側エアブロー口の気流がそれぞれ左右両辺に向かって中間の2行の雄親本の穗部に吹き、雄親本の花粉が気流及び穗部揺動の作用下で花芯から離脱し気流に伴ってドリフトし、左側の3行の雄親本の花粉が左方向気流の作用下で左側の隣接する雌親本行に飛散し、右側の3行の雄親本の花粉が右方向気流の作用下で右側の隣接する雌親本行に飛散し、雌親本の圃場の上方の気流速度が徐々に低下するに連れて、花粉が重力の作用下で下向きに沈降し、一部の花粉が雌親本の穗部に沈んで、受粉を実現し、手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機がこの圃場の6行の雄親本の終点まで走行する時、畑でUターンして隣接する別の圃場の6行の雄親本まで走行し、受粉操作を再度に行い、順に各雄親本の圃場に走行して受粉を行い、開花期の10:30~14:30に毎日2~3回の受粉操作を行う、畑間で受粉する第4のステップと、
毎日の受粉が終了した後、まずコントローラにより駆動コントローラを制御して5つの直流ファンを停止させ、次いで、手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機を農業機械ライブラリに走行させて要求に応じて保守を行い、翌日の受粉に用意する、停止及び保守の第5のステップ。
【0009】
好ましくは、各ガスブロー管の気流速度が異なり、各ガスブロー管のエアブロー口における気流速度は流速センサにより管内流速が測定され、かつコントローラにより駆動コントローラで直流ファンを制御して調整される。
【発明の効果】
【0010】
本発明が有する有益な効果は以下の通りである。各ガスブロー管は、設定された気流速度で対応する雄親本行に単独で作用して花粉を吹き落しかつ対応する主な作用の雌親本の圃場に向かってドリフトし、規模化大行比製種花粉の指向性ドリフト、均一な受粉を実現し、規模化大行受粉条件で花粉が精確に伝播するという難題を解決し、水稻受粉機械化の効率的な受粉に機種を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機の右前視軸側図である。
図2】手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機の後左視軸側図である。
図3】手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機の昇降アセンブリの構造概略図である。
図4】中央双方向ガスブロー管の三次元構造概略図である。
図5】第1の左一方向ガスブロー管の三次元構造概略図である。
図6】コントローラの構成原理ブロック図である。 図には、手持ち式動力シャーシ1、エンジン1-1、遠心式クラッチ1-2、トラックローラ1-3、駆動輪1-4、減速器1-5、デバイダ1-6、手すり1-7、フレーム2、コントローラ3、昇降フレーム4、リードスクリュー5、ボールナット6、流速センサ7、第1の右一方向ガスブロー管8、第2の右一方向ガスブロー管9、中央双方向ガスブロー管10、導流板11、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の左一方向ガスブロー管13、直流ファン14、駆動コントローラ15、支持板16、ステッピングモータ17、ガイドレール18、蓄電池19、スライダー20、直角スライディングスリーブ21、エアブロー口22。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面及び実施例を参照して本発明をさらに説明する。
図1~6に示すように、手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機であって、その主な部材は、手持ち式動力シャーシ1、昇降アセンブリ、空気圧式受粉アセンブリ、制御アセンブリを含む。そのうち、昇降アセンブリ、制御アセンブリは手持ち式動力シャーシ1の上部に固定され、空気圧式受粉アセンブリは昇降アセンブリの前部に固定され、かつ昇降アセンブリにより上下昇降が制御され、制御アセンブリの作用は受粉機の動作を制御することである。
【0013】
図2に示すように、手持ち式動力シャーシ1は、エンジン1-1、遠心式クラッチ1-2、トラックローラ1-3、駆動輪1-4、減速器1-5、デバイダ1-6及び手すり1-7を含み、エンジン1-1の動力出力軸が遠心式クラッチ1-2を介して減速器1-5の動力入力軸に接続され、駆動輪1-4が減速器1-5の動力出力軸に取り付けられ、トラックローラ1-3が減速器1-5の下方に固定され、トラックローラ1-3と駆動輪1-4が共に受粉機全体の重量を支持しかつ受粉機を駆動して走行させる。手すり1-7の前部は減速器1-5に固定され、作業者が進行方向を調整するために使用され得る。デバイダ1-6は減速器1-5の前部に固定され、作物が駆動輪1-4の位置に入ることを防止する。昇降アセンブリはフレーム2により減速器1-5に固定される。
【0014】
空気圧式受粉アセンブリは、昇降フレーム4、流速センサ7、第1の右一方向ガスブロー管8、第2の右一方向ガスブロー管9、中央双方向ガスブロー管10、導流板11、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の左一方向ガスブロー管13、直流ファン14、駆動コントローラ15、支持板16、蓄電池19及び直角スライディングスリーブ21を含み、第1の右一方向ガスブロー管8、第2の右一方向ガスブロー管9、中央双方向ガスブロー管10、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の左一方向ガスブロー管13はいずれもL字状であり、かつ垂直セグメントと水平セグメントとで接続されてなり、各ガスブロー管の垂直セグメント長さは同じである。第1の右一方向ガスブロー管8、第2の右一方向ガスブロー管9、中央双方向ガスブロー管10、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の左一方向ガスブロー管13の垂直セグメントの同じ高さの位置には、いずれも上下に対称的に2つの直角スライディングスリーブ21が固定され、かつ2つの直角スライディングスリーブ21間の間隔が昇降フレーム4の幅と同じであり、これにより、2つの直角スライディングスリーブ21は、昇降フレーム4の上下端と係合されることができる。昇降フレーム4は、5つのガスブロー管の取り付けフレームとすることができる。第1の右一方向ガスブロー管8、第2の右一方向ガスブロー管9、中央双方向ガスブロー管10、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の左一方向ガスブロー管13は、直角スライディングスリーブ21により右から左へ順に均一に昇降フレーム4に外装される。各ガスブロー管の昇降フレーム4での相対位置は横方向に調整されることができ、ガスブロー管が昇降フレーム4で目標位置まで移動した後に、各直角スライディングスリーブ21上のロックボルトを締め付けることで固定を実現することができる。
【0015】
5つの支持板16は均一に昇降アセンブリの上部に固定され、5つの直流ファン14はそれぞれ5つの支持板16の前側部に一対一に対応して固定され、5つの駆動コントローラ15はそれぞれ5つの支持板16の後側部に一対一に対応して固定され、5つの直流ファン14の排気口はホースを介してそれぞれ第1の右一方向ガスブロー管8、第2の右一方向ガスブロー管9、中央双方向ガスブロー管10、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の左一方向ガスブロー管13の上部に一対一に対応して連通される。ホースは、ガスブロー管が一定の横方向移動空間を有することを確保することができる。各ガスブロー管はいずれも直流ファン14によりその吹き出された気流の大きさを制御することができる。
【0016】
第1の右一方向ガスブロー管8、第2の右一方向ガスブロー管9、中央双方向ガスブロー管10、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の左一方向ガスブロー管13の水平セグメントの先端にはいずれもエアブロー口22が開設され、かつエアブロー口の下部にはいずれも気流の流動方向をガイドするための導流板11が設けられ、これにより、雄親本の花粉を雌親本行に飛散させる気流を形成する。第1の右一方向ガスブロー管8、第2の右一方向ガスブロー管9、中央双方向ガスブロー管10、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の左一方向ガスブロー管13の垂直セグメントの同じ高さの位置にはそれぞれ1つの流速センサ7が固定され、各流速センサ7の検出端が所在のガスブロー管の内部中心に伸びて、管内気流速度を測定するために使用され得る。蓄電池19が昇降アセンブリフレーム2に固定され、電力消費部品に電力を供給するために使用され得る。
【0017】
本発明では、受粉動作をよりよく行うために、第1の右一方向ガスブロー管8、第2の右一方向ガスブロー管9、中央双方向ガスブロー管10、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の左一方向ガスブロー管13上のエアブロー口22の開設位置に最適化設計を行う必要がある。本実施例では、第1の左一方向ガスブロー管13、第2の左一方向ガスブロー管12はいずれもL字状であり、両者の構造は基本的に類似し、図5に第1の左一方向ガスブロー管13の構造概略図を示す。第1の左一方向ガスブロー管13、第2の左一方向ガスブロー管12の水平セグメントの前部の、中央双方向ガスブロー管10から離れた一側には、いずれもエアブロー口22が開設され、その吹き出された気流方向は左方向きである。エアブロー口22が水平の長スリットであり、気流により大きな吹き力を形成させることができ、導流板11が水平にエアブロー口22の下方に固定され、気流方向は導流板22の角度により調整されることができる。本実施例では、導流板11が三角形に設計され、かつ先端が受粉機の前進方向に向いて、走行過程における水稲穂部への損傷を減少させる。第1の右一方向ガスブロー管8、第2の右一方向ガスブロー管9はそれぞれ第1の左一方向ガスブロー管13、第2の左一方向ガスブロー管12と鏡面対称構造であり、鏡面対称面は中央双方向ガスブロー管10の垂直中心面である。したがって、第1の右一方向ガスブロー管8、第2の右一方向ガスブロー管9のエアブロー口22も、水平セグメントの前部の、中央双方向ガスブロー管10から離れた一側に開設され、エアブロー口22の下方にも導流板11を設ける必要があり、その吹き出された気流方向は右方向きである。また、図4に示すように、中央双方向ガスブロー管10はL字状であり、残りの4本のガスブロー管の一側のみにエアブロー口22が開設されることと異なり、中央双方向ガスブロー管10の水平セグメントの前部は両側にいずれもエアブロー口22が開設され、導流板11が水平にエアブロー口22の下方に固定され、これにより、中央双方向ガスブロー管10は同時に両側に空気を吹くことができる。
【0018】
第1の左一方向ガスブロー管13、第2の左一方向ガスブロー管12、中央双方向ガスブロー管10、第2の右一方向ガスブロー管9、第1の右一方向ガスブロー管8は昇降フレーム4に取り付けられ、かつ5つのガスブロー管の水平セグメントは同じ水平面にあるが、それらの長さが異なる。空気圧式受粉効果を向上させるために、5つのガスブロー管の水平セグメントの先端の中心の接続線は、手持ち式動力シャーシ1に向かって凹んでいるV字状を呈し、両側のガスブロー管が長く、中心のガスブロー管が最も短い。5つのガスブロー管のうち、隣接する2つのガスブロー管の水平セグメントの長さ差は、エアブロー口22の長さの1~1.5倍である。
【0019】
図3に示すように、昇降アセンブリは、フレーム2、ガイドレール18、リードスクリュー5、ステッピングモータ17及びスライダー20を含み、ガイドレール18が垂直にフレーム2の前上部に固定され、ガイドレール18の上部にはベアリングベースが設けられ、リードスクリュー5の上端がガイドレール18の上部のベアリングベースによりガイドレール18に取り付けられ、リードスクリュー5の下端がベアリングベースによりフレーム2の前上部に取り付けられ、かつガイドレール18がリードスクリュー5の中心軸線と平行であり、ステッピングモータ17がガイドレール18の上端に固定され、リードスクリュー5の上端がステッピングモータ17の出力軸と同軸に固定されて接続され、リードスクリュー5はステッピングモータ17により回転するように駆動されることができる。ボールナット6はリードスクリュー5に嵌着されリードスクリュー5と螺旋嵌合を構成する。ガイドレール18にはライダー20が設けられ、ススライダー20とガイドレール18とが移動対偶を構成し、2つのボールナット6の前部が昇降フレーム4の中部に固定されて接続され、2つのボールナット6の後部が2つのスライダー20に固定されて接続される。これにより、ステッピングモータ17の正回転及び逆回転を制御することで、2つのボールナット6の上下移動を制御することができ、さらにスライダー20と昇降フレーム4により空気圧式受粉アセンブリの上下昇降を駆動させて、その吹き出された気流を、異なる高さの雄親本の穗部に吹き付けることができる。
【0020】
制御アセンブリは、コントローラ3、流速センサ7、駆動コントローラ15、蓄電池19、RS485変換TTL(Transistor Transistor Logic)モジュール及びタッチパネルを含み、蓄電池19が電圧安定化モジュールを介してコントローラ3、タッチパネルに給電し、5つの流速センサ7がRS485変換TTLモジュールを介してコントローラ3に接続され、5つの駆動コントローラ15とコントローラ3が制御線により接続され、蓄電池19がケーブルを介して5つの駆動コントローラ15に接続され、同時に5つの駆動コントローラ15がそれぞれ5つの直流ファン14に接続される。
【0021】
本実施例では、コントローラ3はPLC制御モジュールを用いて実現され、その構成原理ブロック図は図6に示す通りである。各ガスブロー管上の流速センサ7は485が回転TTLモジュールを介してPLC制御モジュールに接続され、ブルートゥースモジュール、タッチパネルがPLC制御モジュールに接続され、蓄電池19が電圧安定化モジュールを介してPLC制御モジュール、タッチパネルに給電し、5つの駆動コントローラ15とPLC制御モジュールが制御線により接続され、蓄電池19がケーブルを介して5つの駆動コントローラ15に接続され、同時に5つの駆動コントローラ15がそれぞれ5つの直流ファン14に接続され、ブルートゥースモジュールは外部と信号伝送を行うことに用いられる。操作を容易にするために、具体的なパラメータ設定は、タッチパネルにより行うことができる。
【0022】
当該受粉機に4本のガスブロー管が取り付けられるが、実際にガスブロー管の数は交雑水稲製種の親本行比に応じて調節される。雄親本を4行栽培すれば、第1の左一方向ガスブロー管13、第1の右一方向ガスブロー管8を直接的に取り外すことができ、雄親本を8行栽培すれば、さらにガスブロー管を増加させて8行の雄親本水稻の受粉要求に適応することができる。
【0023】
上記手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機に基づく受粉方法のステップは、以下の通りである。
中央双方向ガスブロー管10縦方向の中心と手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機の縦方向の中心とを同じ垂直平面に位置させ、すなわち、中央双方向ガスブロー管10の縦方向の中心を手持ち式動力シャーシ1の駆動輪1-4の縦方向の中心面と重ね合わるように、中央双方向ガスブロー管10の昇降フレーム4の横方向における水平位置を調整し、次いで、第1の左一方向ガスブロー管13、第2の左一方向ガスブロー管12、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の右一方向ガスブロー管8、第1の左一方向ガスブロー管13、第2の左一方向ガスブロー管12、中央双方向ガスブロー管10、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の右一方向ガスブロー管8の水平セグメントの中心線が順に隣接する間隔を製種畑の6行の交雑水稲の雄親本に対応する5つの行間隔と一致させるように、交雑水稲製種雄親本の行距離に基づいて各ガスブロー管を調整し、そして、直角スライディングスリーブ21上のロックボルトを利用して各ガスブロー管を昇降フレーム4に固定させる、ガスブロー管の分布を調整する第1のステップと、
交雑水稲の雄親本が開花期の10:00にある前に、手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機を製種畑に走行させ、駆動輪が最中間の2行の雄親本間に移行し、かつ中央双方向ガスブロー管10の水平セグメントが最中心の2行の雄親本に平行であり、タッチパネルによりコントローラ3を操作して駆動コントローラを制御し、さらにステッピングモータ17を制御して回転させることにより、各ガスブロー管のエアブロー口を花粉穗の中下部に位置させる、装置を交雑水稲の製種畑に移動する第2のステップと、
異なる品種の交雑水稲の異なる雄親本行に必要な受粉気流速度要求に応じて、コントローラ3のタッチパネルによりそれぞれ第1の左一方向ガスブロー管13、第2の左一方向ガスブロー管12、中央双方向ガスブロー管10、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の右一方向ガスブロー管8のそれぞれのエアブロー口22における気流速度を設定し、次いで、コントローラ3により駆動コントローラ15を制御して5つの直流ファン14を動作させ、各ガスブロー管のエアブロー口22において設定風速で気流を出力する、ガスブロー管の気流パラメータを調整する第3のステップと、
交雑水稲の雄親本が開花期の10:30~14:30にあり、上記ガスブロー管の気流パラメータの調整後に、手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機の動力シャーシが最中間の2行の雄親本間を行走し、第1の左一方向ガスブロー管13、第2の左一方向ガスブロー管12、中央双方向ガスブロー管10、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の右一方向ガスブロー管8がそれぞれ6行の交雑水稲の雄親本の行間に位置し、第1の左一方向ガスブロー管13、第2の左一方向ガスブロー管12のエアブロー口22の気流が左に向かって左辺の2行の雄親本の穗部に吹き、第2の左一方向ガスブロー管12、第1の右一方向ガスブロー管8エアブロー口22の気流が右に向かって右辺の2行の雄親本の穗部に吹き、中央双方向ガスブロー管10の両側のエアブロー口22の気流がそれぞれ左右両辺に向かって中間の2行の雄親本の穗部に吹き、雄親本の花粉が気流及び穗部揺動の作用下で花芯から離脱し気流に伴ってドリフトし、左側の3行の雄親本の花粉が左方向気流の作用下で左側の隣接する雌親本行に飛散し、右側の3行の雄親本の花粉が右方向気流の作用下で右側の隣接する雌親本行に飛散し、雌親本の圃場の上方の気流速度が徐々に低下するに連れて、花粉が重力の作用下で下向きに沈降し、一部の花粉が雌親本の穗部に沈んで、受粉を実現し、手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機がこの圃場の6行の雄親本の終点まで走行する時、畑でUターンして隣接する別の圃場の6行の雄親本まで走行し、受粉操作を再度に行い、順に各雄親本の圃場に走行して受粉を行い、開花期の10:30~14:30に毎日2~3回の受粉操作を行う、畑間で受粉する第4のステップと、
毎日の受粉が終了した後、まずコントローラ3により駆動コントローラ15を制御して5つの直流ファン14を停止させ、次いで、手持ち空気圧式交雑水稲製種の受粉機を農業機械ライブラリに走行させて要求に応じて保守を行い、翌日の受粉に用意する、停止及び保守の第5のステップと、を含む。
【0024】
各ガスブロー管の気流速度が異なり、各ガスブロー管のエアブロー口22における気流速度は流速センサ7により管内流速が測定され、かつコントローラ3により駆動コントローラ15で直流ファン14を制御して調整される。
【0025】
また、本発明では、5本の受粉管を用いて6行の雄親本に対して花粉を吹き飛ばして輸送するが、3本の受粉管が4行の雄親本に対応し、及び7本の受粉管が8行の雌親本に対応するなどの形態であってもよい。
【0026】
上記は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の技術的本質に基づいて上記実施例に対して行われた軽微な修正、同等の置換及び改善は、いずれも本発明の技術手段の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6