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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20230518BHJP
   B65D 1/34 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
B65D77/20 C
B65D1/34
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019030429
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020132241
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.配布者名 シーピー化成株式会社 刊行物名 製品カタログ「2019 NEW DESIGN COLLECTION」 配布場所 デリカテッセン・トレードショー2019 配布日 平成31年2月13日 2.公開者名 一般社団法人日本デザイン保護協会 刊行物名 製品カタログ「2019 NEW DESIGN COLLECTION」 公開日 平成31年2月13日 3.掲載アドレス http://www.cpkasei.co.jp/product/newpd/ 掲載年月日 平成31年2月13日 4.展示会名 デリカテッセン・トレードショー2019 開催場所 幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目1) 展示日 平成31年2月13日 5.配布者名 シーピー化成株式会社 刊行物名 製品カタログ「2019 NEW DESIGN COLLECTION」 配布場所 HOWDY GOOD FOODS FAIR 2019春の展示商談会 配布日 平成31年2月13日 6.展示会名 HOWDY GOOD FOODS FAIR 2019春の展示商談会 開催場所 西日本総合展示場新館A展示場(福岡県北九州市小倉北区浅野3丁目8番1号) 展示日 平成31年2月13日 7.配布者名 シーピー化成株式会社 刊行物名 製品カタログ「2019 NEW DESIGN COLLECTION」 配布場所 2019シーピー化成展示会 大阪会場 配布日 平成31年2月19日 8.展示会名 2019シーピー化成展示会 大阪会場 開催場所 大阪ハービスHALL 大ホール(大阪府大阪市北区梅田2-5-25 ハービスOSAKA B2F) 展示日 平成31年2月19日 9.配布者名 シーピー化成株式会社 刊行物名 製品カタログ「2019 NEW DESIGN COLLECTION」 配布場所 ハウディ大分食品株式会社 2019春の展示商談会 配布日 平成31年2月19日 10.展示会名 ハウディ大分食品株式会社 2019春の展示商談会 開催場所 大分イベントホール(大分県大分市南春日町12番5号) 展示日 平成31年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山本 敏之
(72)【発明者】
【氏名】中塚 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】▲関▼口 尚男
(72)【発明者】
【氏名】片島 真
(72)【発明者】
【氏名】小川 恭司
(72)【発明者】
【氏名】川西 流雲
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1326378(JP,S)
【文献】特表2011-524311(JP,A)
【文献】特開2013-095503(JP,A)
【文献】特開2014-000974(JP,A)
【文献】特許第4080205(JP,B2)
【文献】意匠登録第1323849(JP,S)
【文献】特開2000-085813(JP,A)
【文献】特開2018-100094(JP,A)
【文献】特開2016-147711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/20
B65D 1/34-36
B65D 43/00-26
B65D 51/24
J-PlatPat(意匠登録公報検索)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体に嵌合される透明な蓋体と、を備える包装用容器であって、
前記容器本体は、底面部と、前記底面部から上方に延びる本体周壁部と、前記本体周壁部から外側に延びる本体フランジ部と、を有し、
前記蓋体は、天面部と、前記天面部から下方に延びる蓋体周壁部と、前記蓋体周壁部から外側に延びて前記本体フランジ部に重ね合わされる蓋体フランジ部と、を有し、
前記本体フランジ部及び前記蓋体フランジ部が、前記容器本体が接地している状態で前記底面部に平行な平行延在部と、前記平行延在部から斜め上方に向けて傾斜する傾斜延在部と、をそれぞれ含み、
前記傾斜延在部が、前記平行延在部の両端部から上方に向けて円弧状に延びるように形成され、
前記本体周壁部は、前記底面部から上方に延びるに従って外側に向かって広がる第一傾斜部と、前記第一傾斜部よりも緩い傾斜で前記第一傾斜部から連続して上方に延びるに従って外側に向かって広がる第二傾斜部と、を少なくとも有し、
前記蓋体周壁部は、内容物に関する情報を表示するラベルが貼付されるラベル貼付領域を有し、
第1の包装用容器の前記傾斜延在部における最高高さ部位を第2の包装用容器の前記蓋体周壁部に対して水平方向に当接させる当接ライン陳列の際、前記第1の包装用容器の前記傾斜延在部における最高高さ部位が、前記第2の包装用容器の前記ラベル貼付領域に当接し、かつ、前記第2の包装用容器の前記平行延在部が、前記第1の包装用容器の前記本体周壁部には上下方向及び水平方向に当接することなく前記第二傾斜部の少なくとも一部及び前記傾斜延在部の下方に位置するように配置される包装用容器。
【請求項2】
前記傾斜延在部は、側面視で直線状をなすように一定の傾斜角度で延在し、
前記当接ライン陳列の際、前記第1の包装用容器の前記傾斜延在部と前記第2の包装用容器の前記傾斜延在部との側面視での上下方向の隙間が一定間隔に保たれる請求項1に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスーパーやコンビニエンスストア等の各種店舗において、包装用容器に収容された状態で弁当や惣菜等の食品が販売されている。包装用容器に収容されて販売される食品において、その彩りやボリューム感等の見栄えは、価格と共に、消費者の購買意欲に結び付き得る非常に重要な要素となっている。この点、中に収容された食品の視認性を良好なものとすることを意図した包装用容器が、例えば特開2004-244116号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
この特許文献1の包装用容器は、蓋体20が、フラットな上面21と、この上面21の1/4程度の幅に形成された傾斜面22とを備えている。ラベルLを貼付する傾斜面22を上面21の1/4程度の幅とすることで、購買者は、蓋体20の大部分を占めてフラットな上面21の中央から中の食品を視認しやすくなっている。
【0004】
しかし、特許文献1の包装用容器は、全体が扁平な形状であり、縦横に並べて陳列する際に多くのスペースを必要とするという欠点があった。特に近年は、限りあるスペースにできるだけ多くの商品を陳列したいという要望が強いことも多く、そのような要望に応えられるものとはなっていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-244116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
被収容物を収容した状態での見栄えが良好であるとともに陳列効率にも優れた包装用容器の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装用容器は、
容器本体と、前記容器本体に嵌合される透明な蓋体と、を備える包装用容器であって、
前記容器本体は、底面部と、前記底面部から上方に延びる本体周壁部と、前記本体周壁部から外側に延びる本体フランジ部と、を有し、
前記蓋体は、天面部と、前記天面部から下方に延びる蓋体周壁部と、前記蓋体周壁部から外側に延びて前記本体フランジ部に重ね合わされる蓋体フランジ部と、を有し、
前記本体フランジ部及び前記蓋体フランジ部が、前記容器本体が接地している状態で斜め上方に向けて傾斜する傾斜延在部をそれぞれ含み、
第1の包装用容器の前記傾斜延在部における最高高さ部位を第2の包装用容器の前記蓋体周壁部に対して水平方向に当接させる当接ライン陳列の際、前記第2の包装用容器の前記傾斜延在部における最低高さ部位が、前記第1の包装用容器の前記本体周壁部には当接することなく前記傾斜延在部の下方に位置するように配置される。
【0008】
この構成によれば、容器本体の本体フランジ部が斜め上方に向けて傾斜する傾斜延在部を含むことで、当該傾斜延在部の最高高さ部位側に向かうに従い、本体周壁部の高さが高くなって収容能力を高く見せることができる。これにより、被収容物を収容した状態でのボリューム感を高めることができ、見栄えを向上させることができる。また、当接ライン陳列の際には、第1の包装用容器の最高高さ部位と第2の包装用容器の最低高さ部位とが上下に部分的に重なるように配置されるので、被収容物の視認性を確保しながら陳列効率を向上させることができる。
【0009】
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0010】
一態様として、
前記蓋体周壁部は、前記底面部から上方に延びる第一傾斜部と、前記第一傾斜部から連続して上方に延びる第二傾斜部と、を少なくとも有し、
前記当接ライン陳列の際、前記第2の包装用容器の前記傾斜延在部における前記最低高さ部位が、前記第1の包装用容器の前記第一傾斜部までは到達することなく前記第二傾斜部の下方に位置するように配置されることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、当接ライン陳列の際、第2の包装用容器の最低高さ部位が、第1の包装用容器の最高高さ部位に加え第二傾斜部とも上下に部分的に重なるように配置されるので、陳列効率をさらに向上させることができる。
【0012】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】包装用容器の分解斜視図
図2】容器本体の平面図
図3】蓋体の平面図
図4】包装用容器の分解側面図
図5】包装用容器の分解正面図
図6図2におけるVI-VI断面図
図7】開蓋操作時の様子を示す正面図
図8】開蓋操作時の様子を示す平面図
図9】当接ライン陳列の様子を示す斜視図
図10】当接ライン陳列の様子を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
包装用容器の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、弁当や惣菜等の食品を被収容物としてその内部に収容する包装用容器(食品包装用容器)1を例として説明する。
【0015】
図1に示すように、包装用容器1は、容器本体2と、容器本体2に嵌合される透明な蓋体4とを備えている。包装用容器1は、シート成形によって形成されている。包装用容器1を構成する容器本体2及び蓋体4が、それぞれ、シート成形によって形成されている。容器本体2及び蓋体4は、例えば厚みが0.1mm~3mm(好ましくは0.2mm~1.5mm)の合成樹脂シートを熱成形(例えば真空成形、圧空成形、真空圧空成形、及び熱板成形等)して形成することができる。容器本体2と蓋体4とで、シート厚が異なっても良い。
【0016】
容器本体2及び蓋体4を構成する合成樹脂シートとしては、例えばポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、及びポリエステル系樹脂シート等の熱可塑性樹脂シートを用いることができる。これらは、発泡シートであっても良いし、非発泡シートであっても良い。また、積層シートを用いることもでき、積層シートとしては、例えば発泡シートにフィルムをラミネートしたフィルムラミネート発泡シート、共押出ラミネートシート、及び押出ラミネートシート等を用いることができる。
【0017】
容器本体2は、例えば黒色や白色等の有色であっても良いし、無色透明であっても良い。本実施形態の蓋体4は、無色透明に形成されている。蓋体4を無色透明とすることで、被収容物たる食品を外から視認しやすくできる。なお、容器本体2及び蓋体4の少なくとも一方には、模様等のデザインが付されていても良い。
【0018】
容器本体2は、食品を収容する深皿状の器である。図1図2図4図6に示すように、容器本体2は、底面部21と、本体周壁部26と、本体フランジ部32とを備えている。底面部21は、容器本体2の底部を形成している。図2に示すように、底面部21は、平面視で台形状に形成されている。ここで、「台形状」とは、全体として見たときに台形と見做すことができる形状を意味する。全体として略台形であれば、例えば少なくとも1つの辺部が僅かに湾曲したり捩れたりしていても良いし、少なくとも1つの頂点が丸みを帯びていても良い。本実施形態の底面部21は、等脚台形状に形成されている。
【0019】
底面部21には、平面視台形状の台形状隆起部22が形成されている。台形状隆起部22は、底面部21の中央部に形成されている。台形状隆起部22の上面は、平坦面に形成されている。本実施形態の台形状隆起部22は、平面視で等脚台形状に形成されており、下底対応部位22Lと、上底対応部位22Uと、一対の脚対応部位22Sとを有する。下底対応部位22Lと上底対応部位22Uとが互いに平行に配置され、一対の脚対応部位22Sが、下底対応部位22Lと上底対応部位22Uとをそれぞれの端部で接続するように配置されている。下底対応部位22Lは、上底対応部位22Uよりも長い。
【0020】
台形状隆起部22の周囲には、平面視台形状の台形状溝部23が形成されている。台形状溝部23は、4つの頂点に対応する領域が若干外向きに膨らむ、四隅膨出台形状に形成されている。また、図6に示すように、容器本体2の外面(裏面)側には、当該容器本体2を接地させるための接地部24が設けられている。本実施形態のように、容器本体2が合成樹脂シートの熱成形によって形成される場合には、接地部24と台形状溝部23とは表裏一体の関係であり、接地部24は、台形状溝部23の形状に応じた四隅膨出台形状に形成されている。本実施形態では、接地部24は、等脚台形状に形成されている。なお、「接地」とは、作業台や陳列台T(図9を参照)等の上に載置することを意味する。
【0021】
本体周壁部26は、底面部21の周縁から上方に延びている。本体周壁部26は、上方に向かうに従って外側に向かって広がるように拡開している。本体周壁部26は、底面部21から上方に延びる第一傾斜部26Aと、第一傾斜部26Aから連続して上方に延びる第二傾斜部26Bとを有する。第二傾斜部26Bは、底面部21に対する傾斜角度が第一傾斜部26Aに比べて緩くなっている。また、第一傾斜部26Aは、平坦面に形成された平坦面部26fと、平坦面部26fの両端部から連続する曲面に形成されて当該平坦面部26fと共に底面部21を取り囲む曲面部26cとを含む。図2に示すように、平坦面部26fは、台形状隆起部22の下底対応部位22Lに対応する位置に設けられている。曲面部26cは、台形状隆起部22の上底対応部位22U及び一対の脚対応部位22Sに対応する位置に設けられている。
【0022】
本体周壁部26の第一傾斜部26Aには、容器本体2の中心側に向けて窪む凹状部27が形成されている。凹状部27は、複数箇所に形成されている。本実施形態では、3つの凹状部27が、曲面部26cに形成されて、台形状隆起部22の上底対応部位22U及び一対の脚対応部位22Sに対応する位置に設けられている。このような凹状部27を設けることで、手指を凹状部27に引っ掛けて、容器本体2を把持しやすくなっている。
【0023】
凹状部27には、水平リブ28が形成されている。複数の凹状部27のそれぞれに、複数条の水平リブ28が形成されている。これらの水平リブ28は、水平面に対して平行に延びるように形成されている。また、水平リブ28は、台形状隆起部22の上底対応部位22U及び一対の脚対応部位22Sに沿って延びるように形成されている。このような水平リブ28を設けることで、凹状部27の強度を高めることができるとともに、凹状部27に手指を引っ掛ける際の滑り止めを図ることができる。
【0024】
図2に示すように、本体周壁部26の第二傾斜部26Bは、複数の三角形状面部29を含んでいる。互いに隣り合う2つの三角形状面部29どうしの間の共通の辺部(共通辺部29C)は、本体周壁部26を斜めに横断して延びている。このため、この共通辺部29Cにより、外力に対してより大きな抵抗力を付与することができ、容器本体2の強度を向上させることができる。また、共通辺部29Cが本体周壁部26を斜めに横断して延びることで、当該共通辺部29C自体が視認されやすくなるとともにその両側の三角形状面部29でそれぞれ反射する光が適度に分散されて、見栄えが良くなる。よって、容器本体2のデザイン性を向上させることができる。
【0025】
また、一部の三角形状面部29には、傾斜リブ30が形成されている。傾斜リブ30は、水平面に対して傾斜して延びるように形成されている。本実施形態では、複数の三角形状面部29が互いに周方向に隣り合うように順次配置されているとともに、1つおきの三角形状面部29に傾斜リブ30が形成されている。すなわち、傾斜リブ30が形成された三角形状面部29と、傾斜リブ30が形成されていない三角形状面部29とが、周方向に交互に配置されている。傾斜リブ30が形成された三角形状面部29では、当該三角形状面部29の略全域に亘るように、複数の傾斜リブ30が互いに平行に並ぶ状態で分散して設けられている。
【0026】
このような傾斜リブ30を設けることで、共通辺部29Cとそれに交差する複数の傾斜リブ30とが協調して、外力に対してさらに大きな抵抗力を付与することができ、容器本体2の強度をさらに向上させることができる。また、傾斜リブ30が略全域に亘って形成された複数の三角形状面部29の頂点がいずれも周方向の同じ方向(図2の例では時計回り方向)を向くことで、本体周壁部26の全体でまるで旋回するかのような動的な美感を創出することができる。よって、容器本体2のデザイン性を向上させることができる。
【0027】
本体フランジ部32は、本体周壁部26の上端部から外側に延びている。図2図4図5に示すように、本体フランジ部32は、直線に沿って延びる直線状延在部33と、円弧に沿って延びる円弧状延在部34とを有する。直線状延在部33は、底面部21が接地している状態で水平面に沿って延びるように配置される。本実施形態では、直線状延在部33を「水平延在部」と称することもできる。円弧状延在部34は、容器本体2(底面部21)が接地している状態で斜め上方に向けて傾斜するように配置される。また、円弧状延在部34は、直線状延在部33の両端部から上方に向けて円弧状に延びるように形成されている。本実施形態では、円弧状延在部34が容器本体2の「傾斜延在部」に相当する。本体フランジ部32の外縁には、垂下部37が設けられている。
【0028】
なお、このような構成では、本体周壁部26の高さは、直線状延在部33側(傾斜した円弧状延在部34の麓部34b側)において最も低く、円弧状延在部34の頂部34t側に向かうに従って次第に高くなっている(図4を参照)。従って、容器本体2の内部に形成される収容部Aの収容能力は、直線状延在部33側(円弧状延在部34の麓部34b側)に比べて、円弧状延在部34の頂部34t側で大きくなっている。
【0029】
なお、頂部34tは、底面部21が接地している状態で、円弧状延在部34の中で最も高い位置を占める部分であり、麓部34bは、円弧状延在部34の中で最も低い位置を占める部分である。また、底面部21が接地している状態での高さとは、作業台や陳列台T(図9を参照)等、容器本体2が載置された表面からの高さである。陳列台T等の表面が傾斜していれば、当該傾斜する表面に直交する方向での高さを意味する。本実施形態では、円弧状延在部34の頂部34tが容器本体2の「最高高さ部位」に相当し、麓部34bが容器本体2の「最低高さ部位」に相当する。
【0030】
本実施形態において、底面部21に形成された台形状隆起部22は、本体フランジ部32(直線状延在部33及び円弧状延在部34)との関係で、以下の態様で配置されている。図2に示すように、台形状隆起部22は、その下底対応部位22Lが直線状延在部33に沿うように(直線状延在部33に平行に)配置されている。また、台形状隆起部22は、その上底対応部位22Uが円弧状延在部34の頂部34t側に位置するように配置されている。すなわち、台形状隆起部22は、本体周壁部26の高さが相対的に低い直線状延在部33側に下底対応部位22Lが位置し、かつ、本体周壁部26の高さが相対的に高い円弧状延在部34の頂部34t側に上底対応部位22Uが位置するように配置されている。
【0031】
こうすることで、錯視効果により、収容部Aにおける円弧状延在部34の頂部34t側の収容能力をより高く見せることができる。台形状隆起部22の上底対応部位22Uを円弧状延在部34の頂部34t側に配置することによって奥行き感を創出するとともに、その奥行き感によって奥側の本体周壁部26をより高く錯覚させて、収容部Aにおける奥側の収容能力をより高く見せることができる。よって、容器本体2への被収容物の収容時(例えば食品の盛付時)に、ボリューム感を高めることができ、見栄えを向上させることができる。
【0032】
しかも、強度アップや滑り止めのために凹状部27に設けられた水平リブ28が、台形状隆起部22の上底対応部位22U及び一対の脚対応部位22Sに沿って延びるように形成されている。このため、水平リブ28により、台形状隆起部22の存在感を増大させることができる。よって、収容部Aにおける奥側の収容能力をより一層高く見せることができ、ボリューム感を高めて見栄えを向上させることができる。
【0033】
水平面に対する円弧状延在部34の傾斜角度θ(図6を参照)は、特に限定されないが、例えば7°以上14°以下であることが好ましい。傾斜角度θが7°未満であると、手前側と奥側とで本体周壁部26の高さにあまり差異が生じず、収容部Aにおける奥側の収容能力を十分には高めにくい。傾斜角度θが14°を超えて大きくなると、本体周壁部26における奥側が過度に急傾斜となり、被収容物の安定性が悪くなる可能性がある。水平面に対する円弧状延在部34のより好ましい傾斜角度θは8°以上11°以下であり、さらに好ましくは9°である。
【0034】
図1に示すように、蓋体4は、容器本体2に対してその上部開口を覆うように嵌合される。図1図3図5に示すように、蓋体4は、天面部41と、蓋体周壁部46と、蓋体フランジ部52とを備えている。天面部41は、蓋体4の天井部を形成している。天面部41は、平面視で半月盆状(円の一部を直線的に切り欠いた形状)に形成されている。
【0035】
蓋体周壁部46は、天面部41の周縁から下方に延びている。蓋体周壁部46は、下方に向かうに従って外側に向かって広がるように傾斜状に形成されている。蓋体周壁部46は、矩形状平坦面部47と、複数の三角形状面部48とを有する。矩形状平坦面部47は、半月盆状の天面部41の直線部分に対応する位置に形成されている。この矩形状平坦面部47には、商品名や価格、原材料等を表示したラベル61が貼付される(図1を参照)。ラベル61は、矩形状平坦面部47に直接貼付されても良いし、包装用容器1の全体をラップで包んだ状態で、矩形状平坦面部47を土台としてラップを介して貼付されても良い。矩形状平坦面部47は、蓋体4の全体に対して1/5~1/3(図示の例では1/4程度)の範囲の幅を有するように形成されている。
【0036】
三角形状面部48は、半月盆状の天面部41の円弧部分に対応する位置に形成されている。互いに隣り合う2つの三角形状面部48どうしの間には、蓋体周壁部46を斜めに横断して延びる段部48Sが形成されている。このため、この段部48Sにより、外力に対してより大きな抵抗力を付与することができ、蓋体4の強度を向上させることができる。また、複数の三角形状面部48の頂点がいずれも周方向の同じ方向(図3の例では反時計回り方向)を向くことで、蓋体周壁部46の全体でまるで旋回するかのような動的な美感を創出することができる。よって、蓋体4のデザイン性を向上させることができる。
【0037】
蓋体周壁部46の下端部には、多数の蓋体4を重ねる際に互いに密着してしまうのを回避するための凸部49(ブロッキング防止用凸部)が、複数箇所に分散して形成されている。
【0038】
蓋体フランジ部52は、蓋体周壁部46の下端部から外側に延びている。蓋体フランジ部52は、容器本体2の本体フランジ部32に重ね合わされる。蓋体フランジ部52は、容器本体2の本体フランジ部32に対応する形状に形成されており、直線状延在部53と、円弧状延在部54とを有する。直線状延在部53は、矩形状平坦面部47に対応する位置に形成されている。直線状延在部53は、容器本体2と蓋体4とが嵌合して底面部21が接地している状態で水平面に沿って延びるように配置される。円弧状延在部54は、複数の三角形状面部48に対応する位置に形成されている。円弧状延在部54は、容器本体2と蓋体4とが嵌合して底面部21が接地している状態で斜め上方に向けて傾斜するように配置される。また、円弧状延在部54は、直線状延在部53の両端部から上方に向けて延びるように形成されている。本実施形態では、円弧状延在部54が蓋体4の「傾斜延在部」に相当する。
【0039】
なお、このような構成では、蓋体周壁部46の高さは、直線状延在部53側(傾斜した円弧状延在部54の麓部54b側)において最も高く、円弧状延在部54の頂部54t側に向かうに従って次第に低くなっている(図4を参照)。なお、頂部54tは、底面部21が接地している状態で、円弧状延在部54の中で最も高い位置を占める部分であり、麓部54bは、円弧状延在部54の中で最も低い位置を占める部分である。本実施形態では、円弧状延在部54の頂部54tが蓋体4の「最高高さ部位」に相当し、麓部54bが蓋体4の「最低高さ部位」に相当する。
【0040】
蓋体フランジ部52の外縁には、垂下部57が設けられている。垂下部57は、全周に亘って連続的に設けられている。この垂下部57の上下長さは、容器本体2の垂下部37の上下長さよりも長い。そして、垂下部57の下部領域には、内方に突出する係合突条58が、周方向に沿って形成されている。本実施形態では、複数の係合突条58が、周方向に分散して設けられている。係合突条58は、容器本体2に蓋体4が取り付けられた状態で、容器本体2の垂下部37の下端縁に下方から係合する。すなわち、本実施形態の包装用容器1は、外嵌合タイプの包装用容器として構成されている。
【0041】
本実施形態において、蓋体4には、開蓋時に摘み操作するための摘み片は特に設けられていない。このため、そのような摘み片が運搬中や陳列中に他物に引っかかる心配がほとんどなく、不用意に開蓋するおそれが少ない。また、包装用容器1の全体をラップで包む場合に、ラップにかかる張力負荷を軽減することができ、ラップを破れにくくすることができる。
【0042】
本実施形態の包装用容器1を開蓋するには、まず、容器本体2及び蓋体4をそれぞれ片手ずつで把持した状態で、両者を相対回転させる。すると、図7に示すように、容器本体2の本体フランジ部32における直線状延在部33と円弧状延在部34との間の一方の角部35に、蓋体4の蓋体フランジ部52における直線状延在部53が乗り上がる形となって、容器本体2と蓋体4との全周に亘る嵌合が一部解除される。但し、この時点では、本体フランジ部32及び蓋体フランジ部52の広い範囲で垂下部37の下端縁に係合突条58が係合して、未だ、容器本体2と蓋体4とが部分的に嵌合したままである。
【0043】
この状態で、図8に示すように、蓋体4の蓋体フランジ部52における直線状延在部53と円弧状延在部54との間の一方の角部55が、平面視で、容器本体2の本体フランジ部32における直線状延在部33よりも外側に突出した位置に配置される。この外側に突出した状態の角部55は、“摘み片”としての機能を発揮し得る。そして、突出した角部55を摘んで持ち上げ操作することにより、相対回転操作によって容器本体2から外れ始めていた蓋体4を、容器本体2から完全に取り外すことができる。このように、蓋体4の蓋体フランジ部52の角部55を必要時に現出する摘み片として利用して、開蓋操作を容易に行うことができる。
【0044】
或いは、容器本体2と蓋体4とをさらに相対回転させても良い。すると、蓋体4の蓋体フランジ部52における角部55までが容器本体2の本体フランジ部32における直線状延在部33に乗り上がる形となって、容器本体2から蓋体4が完全に外れる。このように、容器本体2と蓋体4とを所定角度を超えて相対回転させるだけで、開蓋操作を容易に行うことができる。蓋体4の蓋体フランジ部52の角部55を摘み操作するか、容器本体2と蓋体4とを相対回転操作し続けるかは、当該操作を行う者が、自身にとってやりやすい方を選択すれば良い。
【0045】
蓋体4の蓋体周壁部46に形成された三角形状面部48は、頂点がいずれも周方向の同じ方向を向いて、まるで旋回するかのような動的な美感を創出している。そして、そのような旋回感は、開蓋操作を行うための蓋体4に対する回転操作を示唆するものとなっている。開蓋操作を行う者は、複数の三角形状面部48によって創出される旋回感に従い、その旋回方向に沿って蓋体4を回転させることで、上述したように、開蓋操作を容易に行うことができる。
【0046】
本実施形態の包装用容器1は、図9及び図10に示すように、複数の包装用容器1を水平方向に沿って前後に並べる陳列方法(以下、「ライン陳列」と言う。)を適用するのに適している。以下の説明では、互いに隣り合う一対の包装用容器1の一方を「第1の包装用容器1A」と称し、他方を「第2の包装用容器1B」と称して、これらを区別するものとする。さらに本実施形態では、ライン陳列の中でも特に、第1の包装用容器1Aの蓋体4の円弧状延在部54における頂部54tを、第2の包装用容器1Bの蓋体周壁部46(具体的には、矩形状平坦面部47)に対して水平方向に当接させる陳列方法(以下、「当接ライン陳列」と言う;図10を参照)を適用するのに適している。
【0047】
図10に示すように、当接ライン陳列の際には、第2の包装用容器1Bの蓋体4の円弧状延在部54における麓部54b及び直線状延在部53は、第1の包装用容器1Aの本体周壁部26には当接しない。言い換えれば、第2の包装用容器1Bの円弧状延在部54の麓部54b及び直線状延在部53は、第1の包装用容器1Aの本体周壁部26に対して、水平方向の隙間(水平隙間g1)を隔てて配置される。また、第2の包装用容器1Bの円弧状延在部54の麓部54b及び直線状延在部53は、第1の包装用容器1Aの円弧状延在部34,54の下方に位置するように配置される。その際、第2の包装用容器1Bの円弧状延在部54の麓部54b及び直線状延在部53は、第1の包装用容器1Aの円弧状延在部34,54に対して、上下方向の隙間(上下隙間g2)を隔てて配置される。
【0048】
このようにして、第1の包装用容器1Aの円弧状延在部34,54の頂部34t,54tと、第2の包装用容器1Bの円弧状延在部34,54の麓部34b,54bとが、前後方向において重複する重複領域Lを有するように配置される。これにより、2つの包装用容器1A,1Bが上下に部分的に重なる分だけ、それらの陳列時の設置スペースを小さく抑えることができる。よって、被収容物の視認性を確保しながら陳列効率を向上させることができる。
【0049】
さらに本実施形態では、当接ライン陳列の際、第2の包装用容器1Bの円弧状延在部54における麓部54b及び直線状延在部53は、第1の包装用容器1Aの本体周壁部26の第二傾斜部26Bの下方に位置するように配置される。その際、第2の包装用容器1Bの円弧状延在部54の麓部54b及び直線状延在部53は、第1の包装用容器1Aの第一傾斜部26Aまでは到達しない。すなわち、第2の包装用容器1Bの円弧状延在部54の麓部54b及び直線状延在部53は、第1の包装用容器1Aの円弧状延在部34,54の下方に入り込み、かつ、第二傾斜部26Bの下方まで入り込むように配置される。このようにすることで、陳列効率をさらに向上させることができる。
【0050】
さらに、前後に隣接する2つの包装用容器1が重複領域Lを有するように配置されることにより、作業者に対して整列された陳列を意識させることができ、その結果、整列された陳列を促すことができる。なお、「整列された陳列」とは、図9に示すように、個々の包装用容器1が少なくとも前後に(好ましくは前後左右に)整列されて陳列されることを意味する。言い換えれば、いずれかの包装用容器1が他の包装用容器1に対して斜めにズレるなどして全体として整列されていない状態(不整列の陳列状態)ではないことを意味する。
【0051】
さらに、第1の包装用容器1Aの蓋体4の円弧状延在部54における頂部54tを、第2の包装用容器1Bの矩形状平坦面部47に対して当接させることで、矩形状平坦面部47に貼付されたラベル61が見にくくなる。これにより、消費者に対して店頭で、商品名や価格等よりも包装用容器1に収容された内容物へと、より強く意識を向かわせることができる。
【0052】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、当接ライン陳列の際、第2の包装用容器1Bの円弧状延在部54の麓部54b及び直線状延在部53が第1の包装用容器1Aの第二傾斜部26Bの下方まで入り込む構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば第2の包装用容器1Bの円弧状延在部54の麓部54b及び直線状延在部53が、第1の包装用容器1Aの第一傾斜部26Aの下方まで入り込むように配置されても良い。或いは、第2の包装用容器1Bの円弧状延在部54の麓部54b及び直線状延在部53が、第1の包装用容器1Aの本体周壁部26の下方までは入り込まずに円弧状延在部34,54の下方だけに入り込むように配置されても良い。
【0053】
(2)上記の実施形態では、第1の包装用容器1Aの蓋体4の円弧状延在部54における頂部54tを、第2の包装用容器1Bの矩形状平坦面部47に対して水平方向に当接させる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1の包装用容器1Aの蓋体4の円弧状延在部54における頂部54tを、矩形状平坦面部47には当接させずに蓋体周壁部46の他の部位のみに当接させても良い。また、第1の包装用容器1Aの蓋体4の円弧状延在部54における頂部54tを、矩形状平坦面部47と蓋体周壁部46の他の部位との両方に当接させても良い。
【0054】
(3)上記の実施形態では、容器本体2の本体フランジ部32が、直線状延在部33と円弧状延在部34とを組み合わせた平面視半月盆状に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本体フランジ部32の平面視形状はその他の形状に形成されて良い。例えば本体フランジ部32は、複数の直線状延在部を含む形状(例えばレーストラック状や八角形状)に形成されても良い。或いは、本体フランジ部32は、円弧状延在部だけを含む平面視円形状等に形成されても良い。蓋体4の蓋体フランジ部52は、容器本体2の本体フランジ部32に重なるように、当該本体フランジ部32の形状に応じて形成される。
【0055】
(4)上記の実施形態では、被収容物として食品を収容する包装用容器1(食品包装用容器)を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、食品以外の他の物品を収容するのに、上述した包装用容器1を用いても良い。
【0056】
(5)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 包装用容器
1A 第1の包装用容器
1B 第2の包装用容器
2 容器本体
4 蓋体
21 底面部
26 本体周壁部
26A 第一傾斜部
26B 第二傾斜部
32 本体フランジ部
34 円弧状延在部(傾斜延在部)
34b 麓部(最低高さ部位)
34t 頂部(最高高さ部位)
41 天面部
46 蓋体周壁部
52 蓋体フランジ部
54 円弧状延在部(傾斜延在部)
54b 麓部(最低高さ部位)
54t 頂部(最高高さ部位)
L 重複領域
g1 水平隙間
g2 上下隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10