(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】ハンディライト構造
(51)【国際特許分類】
F21L 14/02 20060101AFI20230518BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230518BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20230518BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20230518BHJP
F21V 29/71 20150101ALI20230518BHJP
F21V 29/74 20150101ALI20230518BHJP
F21V 29/67 20150101ALI20230518BHJP
F21V 19/02 20060101ALI20230518BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20230518BHJP
F21V 14/00 20180101ALI20230518BHJP
F21V 14/02 20060101ALI20230518BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20230518BHJP
F21W 111/10 20060101ALN20230518BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20230518BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230518BHJP
【FI】
F21L14/02
F21S2/00 622
F21S9/02 100
F21V29/503
F21V29/71
F21V29/74
F21V29/67
F21V19/02 100
F21V23/04 100
F21V14/00 200
F21V14/02 200
G03B15/02 Z
F21W111:10
F21Y113:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019136793
(22)【出願日】2019-07-25
【審査請求日】2022-06-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社放送技研が、自社のウェブサイトにて、平成30年7月27日より公開を行った。 株式会社放送技研が、卸先のエヌ・イー・ピー株式会社に対し、平成30年7月27日に卸した。 卸先のエヌ・イー・ピー株式会社が、行為時の権利者である株式会社放送技研の許可を得て、自社カタログにて、平成30年7月27日に公開を行った。
(73)【特許権者】
【識別番号】511034332
【氏名又は名称】株式会社放送技研
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】田中 千秋
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-146857(JP,A)
【文献】特表2008-524586(JP,A)
【文献】登録実用新案第3215189(JP,U)
【文献】国際公開第2013/014909(WO,A1)
【文献】特開2017-188256(JP,A)
【文献】特開2011-119227(JP,A)
【文献】特開2015-228303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21L 14/02
F21S 2/00
F21S 9/02
F21V 29/503
F21V 29/71
F21V 29/74
F21V 29/67
F21V 19/02
F21V 23/04
F21V 14/00
F21V 14/02
G03B 15/02
F21W 111/10
F21Y 113/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直なグリップケースの頭部に前方開放状のラッパ型のアルミニウム素材からなる照射ボディケースを一体に連設して逆略L字状のライトケースを構成すると共に、照射ボディケース内には発光機器を収納し、グリップケースの上部背面には電源スイッチを配設し、
しかも、グリップケース内には別途設けたバッテリから電源スイッチを介して発光機器に至る通電手段を収納し、照射ボディケース内には発光ダイオードモジュールを収納し、発光ダイオードモジュールには放熱手段を付設することにより発光ダイオードの発熱による温度上昇を可及的に抑制可能に構成すると共に、
温度上昇抑制の放熱手段としては、発光ダイオードモジュール基板に取り付けた熱伝導率の高い銅板と、銅板に貼着した電気絶縁性の熱伝導シートと、熱伝導シートを介して銅板に取付けたアルミニウム素材の多数の放熱フィンよりなるヒートシンクと、照射ボディケース内部にヒートシンクを収納しグリップケースと連設固定するための伝熱ブラケットと、照射ボディケース内でヒートシンクの放熱フィンに対向して配設した冷却ファンより構成し、
更には、
垂直なグリップケースの長手中途部は幅員を左右に略扇状に拡張してグリップの容易な拡幅部を形成すると共に、その上部左右側に光量可変ダイアルと色温度可変ダイアルをそれぞれ斜め下方傾斜状に突設し、かつ、照射ボディケースの後端面において当該ダイアルに近い中間位置にスポット/フラット切替レバーを配設し、
操作者の片手の手掌でグリップケースの拡幅部を把持した際に、
光量可変ダイアルと、色温度可変ダイアルと、スポット/フラット切替レバーと、グリップケースの上部背面の電源スイッチとをグリップケースの拡幅部を把持した手の自由指により操作可能な位置に配設したことを特徴とするハンディライト構造。
【請求項2】
前記伝熱ブラケットは、グリップケースに立設し、前記ヒートシンクと密着して摺動可能に挿嵌して、前記スポット/フラット切替レバーの操作により前記発光ダイオードモジュールを搭載したヒートシンクを前進又は後退するよう構成したことを特徴とする請求項1に記載のハンディライト構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テレビや映画等の屋外の撮影現場において、手で把持しながら被撮影物に向かって照明をするためのハンディライト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビや映画等の屋外の撮影現場では手で把持しながら被撮影物に向かって照明をするための撮影用ハンディライトが使用されている。
【0003】
ハンディライトとは、テレビや映画等の撮影現場で使用される撮影用照明器具の一種である。屋外の撮影現場ではAC100Vの商用電源を使用することができないため、携帯用のバッテリを電源とし、手で把持可能なハンディライトを使用し、被撮影物を照らして撮影することが行われている。
【0004】
テレビや映画の屋外ロケなど屋内外で使用される撮影用の照明の光源には、人物や情景等をきれいに見せることが求められているため、演色性の高いハロゲンランプが多く使用されていた。
【0005】
しかし、ハロゲンランプは消費電力が大きいために長時間撮影には大容量バッテリを必要とした。しかも、照明係は、屋外ロケにおいては俳優の演技の動きに伴う移動にくっついて移動する必要があり、当該バッテリを携帯した上にハンディライトを掲げて照明をしなければならないため肉体的負担が大きかった。
【0006】
また、ハロゲンランプは照射光に熱線を含むため、照射光を受けた俳優が暑さを感じたり、化粧崩れを生じやすく、しかも、ハロゲンランプは寿命が短く、長時間のロケではランプ切れやバッテリ切れの心配があった。このため、省エネ、長寿命で熱線を含まない照射光を有するハンディライトが求められていた。
【0007】
そこで、ハンディライトに使用するランプを、ハロゲンランプから発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)に変更することで低消費電力化を実現し、携帯用のバッテリの稼働時間を倍以上に延長させることがなされている。
【0008】
しかし、さらに、テレビや映画の創作者側からは、例えば、シーンに合わせて照明の明るさを変化させる調光機能や、照明の色調を変化させる機能や、撮影の対象物に集中的に照明を当てるフォーカス機能(スポット/フラット)などの要求や、さらに被撮影物を明るく照らすことができる高い照度の要求が出ている。このため、発光ダイオードの大電流化が必要となるが、これに伴って発熱対策の問題が生じている。
【0009】
また、現場の照明係からは片手で把持すると共に片手で手軽にスイッチの操作ができ、使いやすく、かつ、低消費電力化により小容量かつ軽量のバッテリで長時間使用できる携帯に便利な小型のハンディライトが求められている。
【0010】
特許文献1には、撮影機の一部に取り付けて使用する撮影用照明器具において、内面に可視光線を反射し、熱線を透過する薄膜を形成してなるガラス製の反射鏡1の光軸X-X’上にハロゲン電球2を固定するとともに、前記反射鏡1の外周に、外端部が前記反射鏡1の光軸X-X’と直角方向で、内端部が前記反射鏡1の後方に出る熱線及び一部の可視光線が撮影者の方向に達しないように適当な角度に折り曲げてなる複数の放熱フィン3a、3b、3c・・・を設けてなる撮影用照明器具が開示されている。また、反射鏡の内面に光線拡散用の凹凸を形成するとともに、該反射鏡の前面開口部に光線拡散板5を配置してなる撮影用照明器具が開示されている。
【0011】
特許文献2には、23W高輝度の蛍光灯を4本束ねて一つの反射器に効率よく収納して手持ちができるようにし、AC電源だけでなく、小型インバータを併用して、バッテリでも使用することができる携帯用とし、かつ、バッテリもDC12V小型軽量カメラ用のものを流用できるように構成した、蛍光灯を利用したAC、バッテリ電源兼用の撮影用ハンディライトが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】実開昭57-142722号公報
【文献】実用新案登録3049148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、特許文献1に係る撮影用照明器具は、光源としてハロゲンランプを使用したものであり、消費電力大である。このため、照らされると夏は暑く、器具も熱くなる。しかも、バッテリの充電では長時間使用できないため、長時間使用するためにはDC24Vのバッテリの大型のものが必要になり、重量が大となるために照明係の肉体的負担が増大するという問題がある。
【0014】
また、AC100V用300W級以上では家庭用コンセントで使用すると、他のAC100V負荷の状況によってはブレーカが遮断されることが心配になる。さらに、ハロゲンランプから、その後方に出る熱線及び一部の可視光が撮影者の方向に達しないように適当な角度に折り曲げてなる複数の放熱フィンを必要とするため、さらに重量が重くなるという問題点がある。
【0015】
特許文献2に係る蛍光灯電球を使用したAC、バッテリ電源兼用の撮影用ハンディライトは、蛍光灯を使用すれば消費電力や発熱の問題は解決することができるが、蛍光灯は外形が大きくなり、しかも光量不足の問題点がある。
【0016】
本発明は、かかる問題点を解決するとともに、さらに、高輝度・高演色性の発光ダイオードモジュールを搭載し、撮影中に3200K・4100K・5600Kなどの色温度を切り替える機能、照明のスポット/フラットを切り替えるフォーカス機能及び照明の明るさを変化させる調光機能を備えると共に、バッテリの消費電力を抑え長時間撮影に使用でき、しかも、撮影中に片手で操作可能なスイッチの配置構造を有するハンディライト構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、垂直なグリップケースの頭部に前方開放状のラッパ型のアルミニウム素材からなる照射ボディケースを一体に連設して逆略L字状のライトケースを構成すると共に、照射ボディケース内には発光機器を収納し、グリップケースの上部背面には電源スイッチを配設し、しかも、グリップケース内には別途設けたバッテリから電源スイッチを介して発光機器に至る通電手段を収納し、照射ボディケース内には発光ダイオードモジュールを収納し、発光ダイオードモジュールには放熱手段を付設することにより発光ダイオードの発熱による温度上昇を可及的に抑制可能に構成すると共に、温度上昇抑制の放熱手段としては、発光ダイオードモジュール基板に取り付けた熱伝導率の高い銅板と、銅板に貼着した電気絶縁性の熱伝導シートと、熱伝導シートを介して銅板に取付けたアルミニウム素材の多数の放熱フィンよりなるヒートシンクと、照射ボディケース内部にヒートシンクを収納しグリップケースと連設固定するための伝熱ブラケットと、照射ボディケース内でヒートシンクの放熱フィンに対向して配設した冷却ファンより構成し、更には、垂直なグリップケースの長手中途部は幅員を左右に略扇状に拡張してグリップの容易な拡幅部を形成すると共に、その上部左右側に光量可変ダイアルと色温度可変ダイアルをそれぞれ斜め下方傾斜状に突設し、かつ、照射ボディケースの後端面において当該ダイアルに近い中間位置にスポット/フラット切替レバーを配設し、操作者の片手の手掌でグリップケースの拡幅部を把持した際に、光量可変ダイアルと、色温度可変ダイアルと、スポット/フラット切替レバーと、グリップケースの上部背面の電源スイッチとをグリップケースの拡幅部を把持した手の自由指により操作可能な位置に配設したことを特徴とするハンディライト構造に関する。
【0018】
また、前記伝熱ブラケットは、グリップケースに立設し、前記ヒートシンクと密着して摺動可能に挿嵌して、前記スポット/フラット切替レバーの操作により前記発光ダイオードモジュールを搭載したヒートシンクを前進又は後退するよう構成したことを特徴とするハンディライト構造に関する。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、垂直なグリップケースの頭部に前方開放状のラッパ型のアルミニウム素材からなる照射ボディケースを一体に連設して逆略L字状のライトケースを構成すると共に、照射ボディケース内には発光機器を収納しているため、熱伝導率に優れたグリップケース及び照射ボディケース全体に発光ダイオードモジュールの発熱を伝達することができ、局所的に熱がこもることがなく、温度上昇を平均化することができる。また、グリップケース及び照射ボディケース全体に熱を伝達し、そこからも放熱冷却するため、グリップケースは温かさを有しており、冬場の屋外ロケにおいて指が悴んでスイッチの操作ができなくなったり、手袋をはめる必要もなくなる。
【0020】
また、グリップケースの上部背面には電源スイッチを配設し、しかも、グリップケース内には別途設けたバッテリから電源スイッチを介して発光機器に至る通電手段を収納し、照射ボディケース内には発光ダイオードモジュールを収納しているため、電源スイッチは親指や人差し指の届く範囲にあり、操作を簡単に行うことができる。これにより、撮影に必要な光を照らしながら、撮影場面に合った照明のスイッチ操作を片手で行うことが可能であり、電源スイッチの入り切りをタイムリーに行うことができると共に、照明係の肉体的負担を軽減することができる。
【0021】
さらに、照明ランプを従来のハロゲンランプから発光ダイオードに変更したことにより、従来比1/3~1/5の低消費電力化を実現し、発熱量を抑制すると共に、同じ稼働時間の場合は小型バッテリで済むことになり、携帯するバッテリの重量を低減できるため、照明係の肉体的負担を軽減するとともに、動きやすくなる。
【0022】
また、高輝度・高演色性の発光ダイオードモジュールを採用し、色温度可変ダイアルにより3200K(電球色)、4100K(蛍光灯色)、5600K(太陽色)の3色を切り替えることができる。
【0023】
このため、明るい光で被撮影物を照らすことができる。また、発光ダイオードモジュールは高演色性を有するため、蛍光灯に比べて、赤はより赤く、青はより青く、緑はより緑に、より色鮮やかに映し出すことができる。
【0024】
また、発光ダイオードモジュールには放熱手段を付設することにより発光ダイオードの発熱による温度上昇を可及的に抑制可能に構成すると共に、温度上昇抑制の放熱手段としては、発光ダイオードモジュール基板に取り付けた熱伝導率の高い銅板と、銅板に貼着した電気絶縁性の熱伝導シートと、熱伝導シートを介して銅板に取付けたアルミニウム素材の多数の放熱フィンよりなるヒートシンクと、照射ボディケース内部にヒートシンクを収納しグリップケースと連設固定するための伝熱ブラケットと、照射ボディケース内でヒートシンクの放熱フィンに対向して配設した冷却ファンより構成しているため、発光ダイオードモジュールの発熱を小容積のグリップケース及び照射ボディケースから効率的に熱を放散して温度上昇を抑制することができる。
【0025】
また、垂直なグリップケースの長手中途部は幅員を左右に略扇状に拡張してグリップの容易な拡幅部を形成すると共に、その上部左右側に光量可変ダイアルと色温度可変ダイアルをそれぞれ斜め下方傾斜状に突設し、かつ、照射ボディケースの後端面において当該ダイアルに近い中間位置にスポット/フラット切替レバーを配設し、操作者の片手の手掌でグリップケースの拡幅部を把持した際に、光量可変ダイアルと、色温度可変ダイアルと、スポット/フラット切替レバーと、グリップケースの上部背面の電源スイッチとをグリップケースの拡幅部を把持した手の自由指により操作可能な位置に配設しているため、必要な操作スイッチは親指や人差し指の届く範囲にあり、撮影に必要な光を照らしながら、撮影場面にあった照明のスイッチ操作を片手でタイムリーに行うことが可能となり、照明係の肉体的負担を軽減することができる。
【0026】
更には、前記伝熱ブラケットは、グリップケースに立設し、前記ヒートシンクと密着して摺動可能に挿嵌して、前記スポット/フラット切替レバーの操作により前記発光ダイオードモジュールを搭載したヒートシンクを前進又は後退するよう構成しているため、照明をスポット状態からフラット状態まで連続的に切替えることができ、撮影の対象物に集中的に照明を当てるフォーカス機能(スポット/フラット)を実現することができる。
【0027】
また、前記ヒートシンクは、グリップケースに立設した伝熱ブラケットに密着して摺動可能に挿嵌しているため、前記発光ダイオードモジュールの発熱をヒートシンクから伝熱ブラケットを経由してグリップケース及び照射ボディケースに伝熱することができるため、小容積のグリップケース及び照射ボディケースから効率的に熱を放散して温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係るハンディライトの外観斜視図である。
【
図2】本発明に係るハンディライトの内部構造の正面図である。
【
図3】本発明に係るハンディライトの背面図である。
【
図4】本発明に係るハンディライトの内部構造の外観斜視図である。
【
図5】本発明に係るハンディライトの内部構造の側面図である。
【
図9】本発明に係るハンディライトの熱回路図である。
【
図10】伝熱ブラケットの第2の実施の形態の斜視図である。
【
図11】伝熱ブラケットの第2の実施の形態のB矢視方向の断面図である。
【
図12】伝熱ブラケットの第2及び第3の実施の形態の熱回路図である。
【
図13】伝熱ブラケットの第3の実施の形態の斜視図である。
【
図14】伝熱ブラケットの第3の実施の形態のC矢視方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の要旨は、垂直なグリップケースの頭部に前方開放状のラッパ型のアルミニウム素材からなる照射ボディケースを一体に連設して逆略L字状のライトケースを構成すると共に、照射ボディケース内には発光機器を収納し、グリップケースの上部背面には電源スイッチを配設し、しかも、グリップケース内には別途設けたバッテリから電源スイッチを介して発光機器に至る通電手段を収納し、照射ボディケース内には発光ダイオードモジュールを収納し、発光ダイオードモジュールには放熱手段を付設することにより発光ダイオードの発熱による温度上昇を可及的に抑制可能に構成すると共に、温度上昇抑制の放熱手段としては、発光ダイオードモジュール基板に取り付けた熱伝導率の高い銅板と、銅板に貼着した電気絶縁性の熱伝導シートと、熱伝導シートを介して銅板に取付けたアルミニウム素材の多数の放熱フィンよりなるヒートシンクと、照射ボディケース内部にヒートシンクを収納しグリップケースと連設固定するための伝熱ブラケットと、照射ボディケース内でヒートシンクの放熱フィンに対向して配設した冷却ファンより構成し、更には、垂直なグリップケースの長手中途部は幅員を左右に略扇状に拡張してグリップの容易な拡幅部を形成すると共に、その上部左右側に光量可変ダイアルと色温度可変ダイアルをそれぞれ斜め下方傾斜状に突設し、かつ、照射ボディケースの後端面において当該ダイアルに近い中間位置にスポット/フラット切替レバーを配設し、操作者の片手の手掌でグリップケースの拡幅部を把持した際に、光量可変ダイアルと、色温度可変ダイアルと、スポット/フラット切替レバーと、グリップケースの上部背面の電源スイッチとをグリップケースの拡幅部を把持した手の自由指により操作可能な位置に配設したことを特徴とするハンディライト構造としたことにある。また、前記伝熱ブラケットは、グリップケースに立設し、前記ヒートシンクと密着して摺動可能に挿嵌して、前記スポット/フラット切替レバーの操作により前記発光ダイオードモジュールを搭載したヒートシンクを前進又は後退するよう構成したことにある。
【0030】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明に係るハンディライト100の外観斜視図、
図2は、その内部構造の正面図、
図3は、その背面図である。
【0031】
ハンディライト100は、
図1に示すように、背面視略長手中途部の幅員を左右に略扇状に拡張して形成されたアルミニウム素材からなるグリップケース1と、その頭部に前方開放のラッパ状のアルミニウム素材からなる照射ボディケース2とを一体に連設し、前記グリップケース1の前面下部に前面カバー3を配設して逆L字状のライトケースを構成している。そして、照射ボディケース2の内部には、発光機器として発光ダイオードモジュール4が前方を照射可能に配設されている。
【0032】
グリップケース1と前面カバー3は、前記照射ボディケース2の下方に延設した持ち手部分を形成し、当該持ち手部分の長手中途部は幅員を左右に略扇状に拡張してグリップの容易な拡幅部を形成すると共に、操作者の片手の手掌でグリップケース1の拡幅部を把持した際に、当該グリップケース1の拡幅部は、操作者の片手の手掌並びに中指、薬指及び小指で把持可能に形成している。
【0033】
ハンディライト100の背面には、
図3に示すように、グリップケースの長手中途部よりやや上方に左右に摺動可能なスポット/フラット切替レバー31を配設し、その下方の略扇状に拡張した拡幅部の中央に上下に押し込み部を有する電源を入切するための電源スイッチ32を配設している。また、電源スイッチ32の背面視右方に、当該拡幅部の湾曲面に直交する回転軸を有する色温度可変ダイアル33を斜め右下方傾斜状に突設し、電源スイッチ32の背面視左方に、当該拡幅部の湾曲面に直交する回転軸を有する光量可変ダイアル34を斜め左下方傾斜状に突設している。
【0034】
以下、前記スポット/フラット切替レバー31、電源スイッチ32、色温度可変ダイアル33及び光量可変ダイアル34の各スイッチ類31乃至34の配置について、
図3に基づき、さらに詳しく説明する。
【0035】
先述のように、ハンディライト100のグリップケース1は、
図3に示すように、その背面上部は略円形状に形成され、前記照射ボディケース2と連設されている。そして、その連設部分から下方に延設してグリップケース1と前面カバー3とで、持ち手部分を形成している。当該持ち手部分の長手中途部は幅員を左右に略扇状に拡張して上記略円形状に形成された背面上部と滑らかに連設し、グリップの容易な拡幅部を形成している。
【0036】
スポット/フラット切替レバー31は、
図3に示すように、グリップケース1の長手中途部よりやや上方の中央に、左右に摺動可能に、しかも、前記グリップケース1の拡幅部を、操作者の片手の手掌並びに中指、薬指及び小指で把持したときに、自由指となる親指や人差し指の届く位置に配設されている。このように配設することにより、操作者は、スポット/フラット切替レバー31を親指や人差し指を使って左右に摺動操作することができる。
【0037】
電源スイッチ32は、
図3に示すように、前記スポット/フラット切替レバー31の直下で、かつ、前記略扇状に拡張した拡幅部の左右の中央に縦長に配設されている。そして、上下の押し込み部を操作して電源を入切可能に構成している。
【0038】
このように構成することにより、電源スイッチ32は、前記スポット/フラット切替レバー31よりもさらに操作者の親指及び人差し指に近い位置に配設されることになるため、操作者は、上下に押し込み部を有する電源スイッチ32を親指又は人差し指を使って入り切り操作することができる。
【0039】
なお、電源スイッチ32をこのような位置に配設したのは、前記スポット/フラット切替レバー31は、親指又は人差し指を伸ばして操作することができるが、電源スイッチ32は、指をやや折り曲げなければ押し込み操作ができないため、前記スポット/フラット切替レバー31よりも下方、すなわち手掌に近い位置に配設する必要があるからである。
【0040】
色温度可変ダイアル33は、
図3に示すように、前記スポット/フラット切替レバー31と前記電源スイッチ32の上下方向の略中間位置で、かつ、電源スイッチ32の背面視右方のグリップケース1の前記略扇状に拡張した拡幅部の右側面に、当該略扇状の湾曲面に直交して斜め右下方傾斜状に突設している。
【0041】
このように配設することにより、色温度可変ダイアル33は、前記電源スイッチ32の右側の拡幅部の右側面に斜め右下方傾斜状に突設して操作者の親指及び人差し指に近い位置に配設される。したがって、操作者は、色温度可変ダイアル33のツマミを親指と人差し指を使って回転操作することができる。
【0042】
光量可変ダイアル34は、
図3に示すように、前記スポット/フラット切替レバー31と前記電源スイッチ32の上下方向の略中間位置で、かつ、電源スイッチ32の背面視左方のグリップケース1の前記略扇状に拡張した拡幅部の左側面に、当該略扇状の湾曲面に直交して斜め左下方傾斜状に突設している。
【0043】
このように配設することにより、色温度可変ダイアル33は、前記電源スイッチ32の左側の拡幅部の左側面に斜め左下方傾斜状に突設して操作者の親指及び人差し指に近い位置に配設される。したがって、操作者は、色温度可変ダイアル33のツマミを親指と人差し指を使って回転操作することができる。
【0044】
前記色温度可変ダイアル33が斜め右下方傾斜状に突設する角度、及び前記光量可変ダイアル34が斜め左下方傾斜状に突設する角度は、水平方向に対して下方に15度乃至45度の範囲とするのが望ましい。この角度は、略扇状に拡張した拡幅部の湾曲面の接線が垂直方向に対してなす角度に応じて決めればよい。
【0045】
また、前記色温度可変ダイアル33と前記光量可変ダイアル34をそれぞれ斜め下方傾斜状に突設することによって、各スイッチ類31乃至34は、操作者が把持する手掌の位置を中心とする略一定の円弧状の距離内に配設される。したがって、各スイッチ類31乃至34は、親指と人差し指の届く範囲内に配設される。
【0046】
以上のように、ハンディライト100は、前記グリップケース1の頭部に前方開放状のラッパ型の前記照射ボディケース2を一体に連設し、その前面下方に前面カバー3を配して持ち手部分を形成することにより、操作者の片手の手掌並びに中指、薬指及び小指を用いて把持可能となる。また、各スイッチ類31乃至34を、操作者が把持する手掌の位置を中心とする略一定の円弧状の距離内に配設することによって、自由指となる親指と人差し指は、前記各スイッチ類を操作することが可能となる。
【0047】
すなわち、前記持ち手部分を操作者の片手の手掌並びに中指、薬指及び小指を用いて把持可能とし、各スイッチ類31乃至34を上記のように自由指となる親指と人差し指の届く範囲に配設することにより、撮影に必要な光を照らしながら親指と人差し指を使った各スイッチ類31乃至34の片手操作が可能となり、撮影場面に応じて最適な照明を選択することができ、照明係の負担を軽減することができる。
【0048】
ここで、スポット/フラット切替レバー31は、被撮影物に平行光線を照射するフラットモードと、被撮影物に集光光線を照射するスポットモードとを連続的に切り替えるフォーカス機能の操作レバーである。
【0049】
親指と人差し指を使ってスポット/フラット切替レバー31を背面から見て左又は右に摺動させることにより、発光ダイオードモジュール4が前進又は後退し、照明を被撮影物に集光光線を照射するスポットモードと、被撮影物に平行光線を照射するフラットモードを連続的に切り替えることができる。
【0050】
これにより、ハンディライト100を被撮影物にかざして照らしながら、当該スポット/フラット切替レバー31を背面から見て左又は右に摺動させる操作を片手で行うことにより、撮影中に被撮影物に対する照射光をスポット又はフラットにすることができるため、撮影の場面に適した照明効果を発揮することができる。なお、当該スポット/フラット切替レバー31を左又は右に摺動させる機構の詳細については後述する。
【0051】
色温度可変ダイアル33は、
図2に示すように、発光ダイオードモジュール4の色温度を切り替えるツマミである。指先の操作により色温度可変ダイアル33を回転させることにより当該色温度可変ダイアル33が連結されている色温度切替スイッチ23の回転軸23aが回転し、色温度切替スイッチ23が色温度3200K・4100K・5600Kを順番に切り替えることができる。
【0052】
すなわち、発光ダイオードモジュール4は、高輝度・高演色性モジュールを採用しており、当該色温度可変ダイアル33の切替操作を片手で行うことにより、撮影中に色温度を、3200K(電球色)、4100K(蛍光灯色)、5600K(太陽色)の3色のうちいずれかに切り替えることができる。このため、撮影シーンに適した色温度による照明を行い、希望する色調の映像を撮ることができる。
【0053】
光量可変ダイアル34は、調光量を調整するツマミである。指先の操作により光量可変ダイアル34を回転させることにより当該光量可変ダイアル34が連結されている調光用可変抵抗器24の回転軸24aが回転し、10~100%の範囲で連続的に調光することができる。
【0054】
これにより、ハンディライト100を被照射物にかざして照らしながら、当該光量可変ダイアル34の回転操作を片手で行うことにより、撮影中に外光の明るさや光の方向に応じて照度の調整を行い、希望する明るさの映像を撮ることができる。
【0055】
次に、発光ダイオードモジュール4について説明する。発光ダイオードモジュール4は、
図4の本発明に係るハンディライト100の内部構造の外観斜視図に示すように、グリップケース1から突設している。
【0056】
発光ダイオードモジュール4は、
図6に示すように、セラミック基板42上に互い違いに配設された4個の暖色系の発光ダイオード素子41aと、4個の寒色系の発光ダイオード素子41bの計8個の発光ダイオード素子41a、41bから構成されている。また、発光ダイオード素子41a、41bには電源ケーブル10から電源スイッチ32を介して分岐接続されたリード線40を経由して直流電源が供給される。
【0057】
そして、前記4個の暖色系の発光ダイオード素子41aに所定の電流を流すと、色温度が暖色系の3200K(電球色)で発光する。また、前記4個の寒色系の発光ダイオード素子41bに所定の電流を流すと、色温度が寒色系の5600K(太陽色)で発光する。また、前記4個の暖色系の発光ダイオード素子41a及び前記4個の寒色系の発光ダイオード素子41bの双方にそれぞれ所定の電流を流すと、色温度が中間系の4100K(蛍光灯色)で発光する。
【0058】
したがって、前記4個の暖色系の発光ダイオード素子41aの電流値と前記4個の発光ダイオード素子41bの電流値との比率を変えることにより、暖色系の3200K(電球色)から寒色系の5600K(太陽色)の範囲の任意の色温度で発光させることができることは言うまでもない。
【0059】
本発明に係るハンディライト100に使用する発光ダイオードモジュール4は、高輝度・高演色性モジュールを採用することによって、従来使用されていたハロゲンランプに比べて少ない消費電力で高い照度を確保できる。また、従来のハロゲンランプに比べて長寿命化を図ることができる。また、高演色性を有するため、被撮影物が有する本来の色を、より色鮮やかに映像表現することができる。
【0060】
次に、発光ダイオードモジュール4の取り付け構造について、
図5の本発明に係るハンディライト100の内部構造の側面図及び
図6の内部構造の要部のA方向矢視図に基づき説明する。
【0061】
グリップケース1の背面には、スポット/フラット切替レバー31を左右に摺動操作可能とするスポット/フラット切替レバー用摺動孔11が、左右方向に穿設されている。そして、グリップケース1の内面のスポット/フラット切替レバー摺動孔11に近接して伝熱ブラケット12が立設している。
【0062】
伝熱ブラケット12は、略方形状の厚板12aと略縦長方形状の厚板12bを重ね合わせて、その頂部に連結固定された略T字状の上部シャフト固定具12cとから構成されている。そして、当該上部シャフト固定具12cの両端上部に形成された舌片12dは、外側に折り曲げられており、舌片12dの略中央部分には、シャフト固定孔12eが穿設されている。
【0063】
グリップケース1内面の伝熱ブラケット12の左右には、略円筒状の下部シャフト固定具13、13が配設されている。前記摺動シャフト14、14は、摺動筒15、15に摺動自在に挿通されている。そして、摺動シャフト14、14の上端部は、前記舌片12d、12dのそれぞれのシャフト固定孔12e、12eとカシメ又はネジ止めにより連結固定されている。また、摺動シャフト14、14の下端部は前記下部シャフト固定具13、13に挿嵌されて連結固定されている。
【0064】
また、前記摺動筒15、15は、略四辺形のアルミニウム素材で形成したヒートシンク基台16に連結固定されている。ヒートシンク基台16は、縦方向に2個の通風孔16a、16aが穿設されている。また、その頂部に水平に略四辺形のアルミニウム板18を載置して連結固定している。
【0065】
アルミニウム板18には、
図6に示すように、その下面にアルミニウム薄板で形成された複数枚の放熱フィン19を2組縦方向に延設している。そして、前記ヒートシンク基台16、アルミニウム板18及び放熱フィン19からなるヒートシンク7を形成し、発光ダイオードモジュール4が発生する熱を大気中に放散する。
【0066】
放熱フィン19は、熱抵抗を下げるために、2組以上設け、かつ枚数を多くするのが望ましい。また、その表面を放熱しやすい黒アルマイト処理にすることが望ましい。放熱フィン19の材料は、アルミニウムと同様に熱抵抗の小さな銅を使用しても差し支えない。
【0067】
また、ヒートシンク基台16には、前記複数枚の放熱フィン19の背面に冷却ファン8を配設している。冷却ファン8は、図示しない別途設けた可搬型のバッテリ電源により駆動する小型の直流ファンである。冷却ファン8は、電源ケーブル10から電源スイッチ32を介して分岐接続されたリード線20を経由して前記図示しない可搬型のバッテリから供給される直流電源により回転して放熱フィン19に送風し、放熱フィン19を冷却する。冷却ファン8は、放熱効果を上げるために2台以上設けてもよい。
【0068】
発光ダイオードモジュール4は、先述のようにセラミック基板42上に計8個の発光ダイオード素子41a、41bを配設している。セラミック基板42は、その裏面を銅板5に貼着されている。そして、発光ダイオードモジュール4は、前記銅板5とアルミニウム板18の間に貼着されている熱伝導シート6を介してアルミニウム板18にネジ43を用いて取り付けられている。
【0069】
なお、熱伝導シート6とは、熱伝導率の高い、すなわち熱抵抗の小さい絶縁シートのことであり、本発明においては銅板5とアルミニウム板18との間に挟んで貼着され、発光ダイオードモジュール4に発生する熱をセラミック基板42、銅板5、熱伝導シート6、アルミニウム板18を経由してヒートシンク7の放熱フィン19に伝達すると共に、発光ダイオードモジュール4、銅板5とアルミニウム板18、ヒートシンク7とを電気的に絶縁するものである。
【0070】
また、前記セラミック基板42、銅板5、熱伝導シート6及びアルミニウム板18のそれぞれの当接面に放熱グリス又は熱伝導グリスと呼ばれる熱伝導の促進用に使われるグリスを塗布するのが望ましい。発光ダイオードモジュール4の発熱をヒートシンク7等に伝導するために、これらの当接面の隙間を埋めて、空間を存在させないようにすることで、熱抵抗が増えることを防ぐことができるからである。以上のようにして、発光ダイオードモジュール4は、ヒートシンク7と電気的絶縁を維持しつつ、構造的、かつ、熱的に連結固定される。
【0071】
次に、照明のスポット/フラットを切り替えるフォーカス機能の作動について説明する。先述のように、グリップケース1には、スポット/フラット切替レバー31を左右に摺動操作可能とするスポット/フラット切替レバー用摺動孔11が左右方向に穿設されている。
【0072】
スポット/フラット切替レバー31は、
図6に示すように、略逆L字状に形成されている。すなわち、その操作部31aは、指で操作可能なように略立方体状をなしている。そして、操作部31aの中央部分から上方に軸部31bが延伸し、上端でレバーアーム部31cと連結している。レバーアーム部31cは、二段階に屈曲した薄板で形成され、
図6に示すように、右手方向に延伸している。そして、レバーアーム部31cは、その右端部に摺動筒係止溝31eが形成されて略フォーク状をなしている。
【0073】
また、レバーアーム部31cは、前記軸部31bとの連結部分にレバー回転軸孔31dが穿設されている。また、前記伝熱ブラケット12の厚板12bの略中央上部には、レバー固定孔12fが穿設され、その内部には雌ネジが螺設されている。
【0074】
スポット/フラット切替レバー31は、レバーアーム部31cに穿設されたレバー回転軸孔31dと、前記伝熱ブラケット12の厚板12bの略中央上部に穿設されたレバー固定孔12fに、ネジ45を用いて左右方向に回動自在に取付けられる。具体的には、レバー固定孔12fとレバー回転軸孔31dがプラスチック座金49を介して重ね合わされ、プラスチック座金48、平座金47及びバネ座金46を介してネジ45により前記レバー固定孔12fに螺合される。
【0075】
また、
図6に示すように、ネジ45により螺合する際に、レバーアーム部31cの右端部に形成された摺動筒係止溝31eは、図中右側の前記摺動筒15の手前方向に突設された係止突起15aと係合させる。
【0076】
これにより、
図7のスポット作動のA方向矢視説明図に示すように、スポット/フラット切替レバー31の操作部31aを指で向かって左に動かすと、レバー固定孔12fに螺合したネジ45を支点にして操作部31aは左に回動する。これに連動して、レバーアーム部31cは、前記ネジ45を支点にして右回りに回動する。したがって、レバーアーム部31cの右端部に形成された摺動筒係止溝31eは右回り、すなわち下方向に回動する。
【0077】
摺動筒係止溝31eの下方向への回動に伴って、これに係合している係止突起15aは下降する。これに連動して摺動筒15、15は、摺動シャフト14、14に沿って下方向に摺動する。そうすると、摺動筒15、15に連結固定されているヒートシンク基台16も下降する。したがって、ヒートシンク基台16に連結固定されているヒートシンク7及び発光ダイオードモジュール4も下降する。
【0078】
すなわち、スポット/フラット切替レバー31の操作部31aを指で向かって左に動かすと、発光ダイオードモジュール4が下降するため、実際の使用状態においては、発光ダイオードモジュール4は照射ボディケース2内で後退し、照明光はフラットとなる。
【0079】
次に、
図8のフラット作動のA方向矢視説明図に示すように、スポット/フラット切替レバー31の操作部31aを指で向かって右に動かすと、レバー固定孔12fに螺合したネジ45を支点にして操作部31aは右に回動する。これに連動して、レバーアーム部31cは、前記ネジ45を支点にして左回りに回動する。したがって、レバーアーム部31cの右端部に形成された摺動筒係止溝31eは左回り、すなわち上方向に回動する。
【0080】
摺動筒係止溝31eの上方向への回動に伴って、これに係合している係止突起15aは上昇する。これに連動して摺動筒15、15は、摺動シャフト14、14に沿って上方向に摺動する。そうすると、摺動筒15、15に連結固定されているヒートシンク基台16も上昇する。したがって、ヒートシンク基台16に連結固定されているヒートシンク7及び発光ダイオードモジュール4も上昇する。
【0081】
すなわち、スポット/フラット切替レバー31の操作部31aを指で向かって右に動かすと、発光ダイオードモジュール4が上昇するため、実際の使用状態においては、発光ダイオードモジュール4は照射ボディケース2内で前進し、照明光はスポットとなる。
【0082】
次に、発光ダイオードモジュール4の温度上昇の抑制について、
図9の本発明に係るハンディライト100の熱回路図に基づき説明する。
【0083】
発光ダイオードモジュール4の消費電力は、50Wである。従来のハロゲンランプを光源とするハンディライトに比べて低消費電力化を図ったとはいえ、このような小型機器としては大消費電力である。しかもその消費電力は、そのほとんどが熱になる。しかし本発明に係るハンディライト100は、片手で各種スイッチやダイアルを操作可能に配置して小型化を実現するものであるため、小容積の空間に50Wもの熱量が発生し、大変な熱源を抱えることとなる。
【0084】
このため、発光ダイオードモジュール4の発熱による発光ダイオード素子41a、41bのジャンクションの温度上昇の抑制が課題となる。当該ジャンクション温度Tjを規格値以下に抑えないと温度上昇により発光ダイオードモジュール4が壊れてしまうからである。
【0085】
発熱に伴う熱の流れの系統を
図9に示す熱回路で表すことができる。すなわち、熱回路は、電気における直流回路と同様の回路形式で表すことができる。具体的には、電気の直流回路における電圧Vを熱回路における温度上昇Tに、直流回路における電流Iを熱回路における消費電力Pに、直流回路における抵抗Rを熱回路における熱抵抗Rtに置き替えて表現することができる。そして、電気の直流回路においては、オームの法則により、電圧V=抵抗R×電流Iの関係式が成り立つ。同様に、熱回路においては、温度上昇T=熱抵抗Rt×消費電力Pの関係式が成り立つ。ちなみに、熱抵抗Rtの単位は(℃/W)である。つまり、1℃/Wの熱抵抗において1Wの電力を消費すると、1℃温度上昇することを示している。
【0086】
本図において、周囲温度をTaとし、発光ダイオード素子41a、41bのジャンクション温度をTjとする。また、発光ダイオード素子41a、41bにおける消費電力をPとする。この消費電力Pは、熱回路の温度の高い前記ジャンクション温度Tjから温度の低い周囲温度Taへと流れてゆくと考える。
【0087】
消費電力Pの流れを各部に形成されている熱抵抗が阻止して、そこで温度上昇が発生する。本発明に係るハンディライト100における具体的な熱抵抗としては、次のようなものが形成されている。まず、発光ダイオード素子41a、41bは、そのジャンクションからセラミック基板42への熱抵抗Rjcを有している。この熱抵抗Rjcは発光ダイオードモジュール4に固有の値である。また、セラミック基板42と銅板5との当接面にも熱抵抗Rcuが形成される。これらを併せるとジャンクションから銅板5への熱抵抗Rjuが形成される。
【0088】
次に、銅板5から熱伝導シート6を介してアルミニウム板18への熱抵抗Ruaが形成される。次に、アルミニウム板18からヒートシンク7の放熱フィン19への熱抵抗Rahが形成される。なお、アルミニウム板18、ヒートシンク基台16及び摺動筒15は一体に形成されているため、この当接面の熱抵抗は無視することができる。次に、摺動筒15、15から摺動シャフト14、14への熱抵抗Rasが形成される。この熱抵抗Rasは、摺動筒15、15及び摺動シャフト14、14が左右にあるため並列回路を形成する。
【0089】
次に、摺動筒15、15と摺動シャフト14、14の当接面からシャフト固定孔12eを経由して伝熱ブラケット12までの熱抵抗Rsbが形成される。同様に、この熱抵抗Rsbは、摺動シャフト14、14の左右にあるため並列回路を形成する。
【0090】
次に、摺動筒15、15と摺動シャフト14、14の当接面から下部シャフト固定具13を経由してグリップケース1への熱抵抗Rsgが形成される。同様に、この熱抵抗Rsgは、摺動シャフト14、14の左右にあるため並列回路を形成する。伝熱ブラケット12からグリップケース1への熱抵抗は、これらは一体で形成されるため無視することができる。
【0091】
また、グリップケース1の表面から周囲温度Taへの熱抵抗Rgaが形成される。グリップケース1は、伝達された消費電力Pに基づく熱を、グリップケース1の表面から周囲温度Taの大気中に放熱する。
【0092】
また、放熱フィン19から周囲温度Taへの熱抵抗Rhaが形成される。前記放熱フィン19は、伝達された消費電力Pに基づく熱を、放熱フィン19から直接、周囲温度Taの大気中に放熱する。さらに、冷却ファン8による風によって当該放熱は加速され、前方開放の照射ボディケース2の開口部から放熱される。つまり、消費電力Pによる熱は、最終的には熱抵抗Rga及び熱抵抗Rhaを介して大気中に放散される。
【0093】
以上説明した熱抵抗の回路図は、先述のとおり
図9に示すような構成となる。
ここで、
図9に示す熱回路全体としての熱抵抗をRtとすると、Tj=P×Rt+Taという関係式が成立する。
【0094】
上記関係式より、Tj-Ta=P×Rtとなる。Tj-Taは、発光ダイオード素子41a、41bのジャンクション温度Tjと周囲温度Taとの差であるから、周囲温度Taに対する発光ダイオード素子41a、41bのジャンクションの温度上昇値になる。すなわち、熱抵抗Rtに消費電力Pを流したときの温度上昇値(Tj-Ta)になる。これを電気の直流回路に例えれば、抵抗Rに電流Iを流したときの電圧降下Vに対応する。このことから熱抵抗Rtが大きな熱回路ほどジャンクションの温度上昇値(Tj-Ta)が大きくなることがわかる。
【0095】
このため、熱回路における熱抵抗Rtが大きい場合は、所定の消費電力Pを超えると、発光ダイオード素子41a、41bのジャンクション温度Tjが絶対最大定格の値を超えてしまい、破壊に至る結果になる。
【0096】
したがって、温度上昇値(Tj-Ta)を抑制するには熱抵抗Rtを小さくしなければならない。本発明に係るハンディライト100においては、発光ダイオード素子41a、41bのジャンクションの温度上昇を抑えるために
図6に示すような構成とした。具体的には、次の(1)乃至(6)の構成とすることにより熱抵抗Rtを抑制し、その結果、当該温度上昇を抑制することができる。
【0097】
(1)発光ダイオードモジュール4のセラミック基板42を、熱伝導率の大きい銅板5に取り付ける。銅板5は厚さ2t以上が望ましい。
(2)銅板5は、熱伝導シート6を介してアルミニウムで形成した複数組の複数枚の放熱フィン19を有するヒートシンク7に取り付ける。これにより、発光ダイオードモジュール4に発生した熱は銅板5に伝達され、熱伝導シート6を介してヒートシンク7に伝達させる。
(3)ヒートシンク7は、伝熱ブラケット12を介してハンディライト100のグリップケース1に取り付け、熱を大気に放散すると共に、直接グリップケース1に伝達させる。
(4)ハンディライト100のグリップケース1及び照射ボディケース2の材質は、熱伝導率に優れたアルミニウムを使用する。
(5)ヒートシンク7は、その放熱フィン19の直近に冷却ファン8を配設し、強制的に風冷する。
(6)上記(1)乃至(5)の構成とすることにより熱抵抗Rtの極めて小さい熱回路を形成し、発光ダイオードモジュール4が発生する熱を、効率よく大気中に放熱することにより、発光ダイオード素子41a、41bのジャンクションの温度上昇値(Tj-Ta)を抑制する。
【0098】
次に、発光ダイオード素子41a、41bのジャンクションの温度上昇を抑制するために熱抵抗Rtを低減するためのヒートシンク基台16と伝熱ブラケット12との当接部分、すなわち、伝熱ブラケット12の第2の実施の形態について
図10及び
図11に基づき説明する。
【0099】
図10において、ヒートシンク基台16には、伝熱ブラケット12に対向して摺動突起16bが本図の上下方向に沿って突設している。また、伝熱ブラケット12には、ヒートシンク基台16に対向して摺動溝12gが本図の上下方向に沿って穿設されている。そして、前記摺動突起16bは、前記摺動溝12gに摺動可能に挿嵌される。
【0100】
すなわち、前記摺動突起16bは、
図11のB矢視方向の断面図に示すように、前記摺動溝12gと本図の上下方向に摺動自在に嵌挿され、かつ、互いに密着状態で接触している。なお、本図においては、
図6に記載されている下部シャフト固定具13、13、摺動シャフト14、14、摺動筒15、15及びスポット/フラット切替レバー31の記載を省略しているが、当然にこれらを備えている。
【0101】
したがって、
図7の場合と同様に、スポット/フラット切替レバー31の操作部31aを指で向かって左に動かすと、ヒートシンク基台16も摺動突起16bが嵌挿されている摺動溝12gに沿って下方向に摺動しながら下降し、発光ダイオードモジュール4も下降するため、実際の使用状態においては、発光ダイオードモジュール4は照射ボディケース2内で後退し、照明光はフラットとなる。
【0102】
また、
図8の場合と同様に、スポット/フラット切替レバー31の操作部31aを指で向かって右に動かすと、ヒートシンク基台16も摺動突起16bが嵌挿されている摺動溝12gに沿って上方向に摺動しながら上昇し、発光ダイオードモジュール4も上昇するため、実際の使用状態においては、発光ダイオードモジュール4は照射ボディケース2内で前進し、照明光はスポットとなる。
【0103】
第2の実施の形態においては、
図11に示すように、前記摺動突起16bは、摺動溝12gと本図の上下方向に摺動自在に嵌挿され、かつ、互いに密着状態で接触しているため、ヒートシンク基台16に伝わった熱は、摺動突起16bと摺動溝12gとの当接面を介して伝熱ブラケット12に伝えられ、そのままグリップケース1及び照射ボディケース2に伝えられる。
【0104】
その結果、
図12の熱回路図に示すように、ヒートシンク基台16からグリップケース1への熱抵抗Ragが形成され、熱抵抗Ragを介してヒートシンク基台16からグリップケース1及び照射ボディケース2へ直接放熱することができる。しかも、熱抵抗Rtは熱伝導体の長さに比例し、その当接面積に反比例するため、熱伝導体の長さが短く当接面積が広い第2の実施の形態に係る伝熱ブラケット12の構成とすることにより熱抵抗Rtを減少させることができる。このため、発光ダイオード素子41a、41bのジャンクションの温度上昇を抑制することができる。
【0105】
次に、発光ダイオード素子41a、41bのジャンクションの温度上昇を抑制するために熱抵抗Rtを低減するための伝熱ブラケット12の第3の実施の形態について
図13及び
図14に基づき説明する。
【0106】
図10と同様に、
図13において、ヒートシンク基台16には、伝熱ブラケット12に対向して摺動突起16bが上下方向に沿って突設している。また、
図10と同様に、伝熱ブラケット12には、
図14のC矢視方向の断面図に示すように、ヒートシンク基台16に対向して摺動溝12gが上下方向に沿って穿設されている。そして、前記摺動突起16bの表面には、
図14に示すように、断面略三角形の複数の左右方向に連続する突起16cが上下方向に沿って形成されている。
【0107】
また、摺動溝12gには、
図14に示すように、前記摺動突起16bと密着状態で接触する態様で、断面略三角形の連続する突起12hが上下方向に沿って形成されている。そして、
図11と同様に、摺動突起16bと突起16cは、摺動溝12gと突起12hに上下方向に摺動自在に嵌挿され、かつ、互いに密着状態で接触している。
【0108】
ここで、スポット/フラット切替レバー31の操作部31aを指で向かって左に動かすと、第2の実施の形態において説明したのと同様に、ヒートシンク基台16も摺動突起16bが嵌挿されている摺動溝12gに沿って下方向に摺動しながら下降し、発光ダイオードモジュール4も下降するため、実際の使用状態においては、発光ダイオードモジュール4は照射ボディケース2内で後退し、照明光はフラットとなる。
【0109】
また、スポット/フラット切替レバー31の操作部31aを指で向かって右に動かすと、ヒートシンク基台16も摺動突起16bが嵌挿されている摺動溝12gに沿って上方向に摺動しながら上昇し、発光ダイオードモジュール4も上昇するため、実際の使用状態においては、発光ダイオードモジュール4は照射ボディケース2内で前進し、照明光はスポットとなる。
【0110】
しかも、第2の実施の形態におけると同様に、
図12に示すように、前記摺動突起16bは、摺動溝12gと上下方向に摺動自在に嵌挿され、かつ、互いに断面略三角形の複数の左右方向に連続する突起16cと突起12hが密着状態で接触しているため、ヒートシンク基台16に伝わった熱は、突起16cと突起12hとの当接面を介して伝熱ブラケット12に伝えられ、そのままグリップケース1に伝えられる。しかも、第3の実施の形態においては、第2の実施の形態に比べて突起16cと突起12hとが互いに接触するため摺動突起16bと摺動溝12gとの当接面積が広くなり、より多くの熱を伝えることができる。
【0111】
その結果、
図12に示すように、第2の実施の形態に比べてヒートシンク基台16から伝熱ブラケット12を経由してグリップケース1及び照射ボディケース2への熱抵抗Rabがさらに小さく形成される。その結果、ヒートシンク基台16からグリップケース1及び照射ボディケース2へ熱抵抗Rabを介してより多くの放熱をすることができるため、さらに全体の熱抵抗Rtを減少させることができる。この結果、発光ダイオード素子41a、41bのジャンクションの温度上昇をさらに抑制する効果を奏する。
【0112】
また、前記摺動突起16bと摺動溝12gとの断面は、互いに断面略四辺形の複数の連続する突起16cと突起12hが密着状態で接触するように形成してもよい。両者の当接する面積を広くすることにより熱抵抗Rtを下げることができるからである。
【0113】
また、ヒートシンク基台16とグリップケース1とを、熱抵抗の小さな銅又はアルミニウムを使用した編組線を用いて直接接続することにより熱抵抗Rtを下げて、ヒートシンク基台16からグリップケース1へ直接放熱することができるように構成してもよい。
【0114】
本発明は、以上のように構成されているために、垂直なグリップケース1の頭部に前方開放状のラッパ型のアルミニウム素材からなる照射ボディケース2を一体に連設して逆略L字状のライトケースを構成すると共に、照射ボディケース2内には発光機器を収納しているため、熱伝導率に優れたグリップケース1及び照射ボディケース2全体に発光ダイオードモジュール4の発熱を伝達することができ、局所的に熱がこもることがなく、温度上昇を平均化することができる。
【0115】
また、グリップケース1及び照射ボディケース2全体に熱を伝達し、そこからも放熱冷却するため、グリップケース1が温かさを有しており、冬場の屋外ロケにおいて指が悴んでスイッチの操作ができなくなったり、手袋をはめる必要もなくなる。
【0116】
また、グリップケース1の上部背面には電源スイッチ32を配設し、しかも、グリップケース1内には別途設けたバッテリから電源スイッチ32を介して発光機器に至る通電手段を収納し、照射ボディケース2内には発光ダイオードモジュール4を収納しているため、電源スイッチ32は親指や人差し指の届く範囲にあり、操作を簡単に行うことができる。これにより、撮影に必要な光を照らしながら、撮影場面に合った照明のスイッチ操作を片手で行うことが可能であり、電源スイッチ32の入り切りをタイムリーに行うことができると共に、照明係の肉体的負担を軽減することができる。
【0117】
さらに、照明ランプを従来のハロゲンランプから発光ダイオードに変更したことにより、従来比1/3~1/5の低消費電力化を実現し、発熱量を抑制すると共に、同じ稼働時間の場合は小型バッテリで済むことになり、携帯するバッテリの重量を低減できるため、照明係の肉体的負担を軽減するとともに、動きやすくなる。
【0118】
また、高輝度・高演色性の発光ダイオードモジュール4を採用し、色温度可変ダイアル33により、3200K(電球色)、4100K(蛍光灯色)、5600K(太陽色)の3色を切り替えることができる。
【0119】
このため、明るい光で被撮影物を照らすことができる。また、発光ダイオードモジュール4は、高演色性を有するため、蛍光灯に比べて、赤はより赤く、青はより青く、緑はより緑に、より色鮮やかに映し出すことができる。
【0120】
また、発光ダイオードモジュール4には放熱手段を付設することにより発光ダイオードの発熱による温度上昇を可及的に抑制可能に構成すると共に、温度上昇抑制の放熱手段としては、発光ダイオードモジュール基板41に取り付けた熱伝導率の高い銅板5と、銅板5に貼着した電気絶縁性の熱伝導シート6と、熱伝導シート6を介して銅板5に取付けたアルミニウム素材の多数の放熱フィン19よりなるヒートシンク7と、照射ボディケース2内部にヒートシンク7を収納しグリップケース1と連設固定するための伝熱ブラケット12と、照射ボディケース2内でヒートシンク7の放熱フィン19に対向して配設した冷却ファン8より構成しているため、発光ダイオードモジュール4の発熱を小容積のグリップケース1及び照射ボディケース2から効率的に熱を放散して温度上昇を抑制することができる。
【0121】
また、垂直なグリップケース1の長手中途部は幅員を左右に略扇状に拡張してグリップの容易な拡幅部を形成すると共に、その上部左右側に光量可変ダイアル34と色温度可変ダイアル33をそれぞれ斜め下方傾斜状に突設し、かつ、照射ボディケース2の後端面において当該ダイアル33、34に近い中間位置にスポット/フラット切替レバー31を配設し、操作者の片手の手掌でグリップケース1の拡幅部を把持した際に、光量可変ダイアル34と、色温度可変ダイアル33と、スポット/フラット切替レバー31と、グリップケース1の上部背面の電源スイッチ32とをグリップケース1の拡幅部を把持した手の自由指により操作可能な位置に配設しているため、必要な操作スイッチは親指や人差し指の届く範囲にあり、撮影に必要な光を照らしながら、撮影場面にあった照明のスイッチ操作を片手でタイムリーに行うことが可能となり、照明係の肉体的負担を軽減することができる。
【0122】
更には、前記伝熱ブラケットは、グリップケースに立設し、前記ヒートシンクと密着して摺動可能に挿嵌して、前記スポット/フラット切替レバーの操作により前記発光ダイオードモジュールを搭載したヒートシンクを前進又は後退するよう構成しているため、照明をスポット状態からフラット状態まで連続的に切替えることができ、撮影の対象物に集中的に照明を当てるフォーカス機能(スポット/フラット)を実現することができる。
【0123】
また、前記ヒートシンク7は、グリップケース1に立設した伝熱ブラケット12に密着して摺動可能に挿嵌しているため、前記発光ダイオードモジュール4の発熱をヒートシンク7から伝熱ブラケット12を経由してグリップケース1及び照射ボディケース2に伝熱することができるため、小容積のグリップケース1及び照射ボディケース2から効率的に熱を放散して温度上昇を抑制することができる。
【0124】
以上の実施形態において説明した本発明に係るハンディライト100は、上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更した構成、公知発明及び上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更した構成等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物にまで及ぶものである。
【0125】
例えば、前記摺動突起16bと摺動溝12gとの当接面の断面は、
図12や
図14に示すような形状になんら限定されるものではなく、波状や台形状であっても差し支えない。要は、互いに密着状態で接触するように形成されておればよい。両者の当接面の面積を広くすることにより熱抵抗Rtを下げることができるからである。
【符号の説明】
【0126】
1 グリップケース
2 照射ボディケース
3 前面カバー
4 発光ダイオードモジュール
5 銅板
6 熱伝導シート
7 ヒートシンク
8 冷却ファン
10 電源ケーブル
11 スポット/フラット切替レバー用摺動孔
12 伝熱ブラケット
12c 上部シャフト固定具
12d 舌片
12e シャフト固定孔
12f レバー固定孔
12g 摺動溝
12h 突起
13 下部シャフト固定具
14 摺動シャフト
15 摺動筒
15a 摺動筒係止突起
16 ヒートシンク基台
16a 通風孔
16b 摺動突起
16c 突起
18 アルミニウム板
19 放熱フィン
20 リード線
23 色温度切替スイッチ
24 調光用可変抵抗器
31 スポット/フラット切替レバー
31a 操作部
31b 軸部
31c レバーアーム部
31d レバー回転軸孔
31e 摺動筒係止溝
32 電源スイッチ
33 色温度可変ダイアル
34 光量可変ダイアル
40 リード線
41 発光ダイオード素子
42 セラミック基板
43、45 ネジ
100 ハンディライト