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特許7281197生物組織を凝結及び焼灼するための電気手術器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】生物組織を凝結及び焼灼するための電気手術器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/04 20060101AFI20230518BHJP
   A61B 18/02 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
A61B18/04
A61B18/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019560670
(86)(22)【出願日】2018-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2018064465
(87)【国際公開番号】W WO2018220177
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】1708725.5
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,マルコム
(72)【発明者】
【氏名】バーン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】クレッグ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】シャー,パラブ
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-513154(JP,A)
【文献】特表2016-511077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0143323(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0276743(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/02 - A61B 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物組織を治療するための電気手術器具であって、前記器具は、
マイクロ波電磁(EM)エネルギーを搬送する同軸供給ケーブルであって、前記同軸供給ケーブルは、内側導体と、外側導体と、前記内側導体及び前記外側導体を分離している誘電材料とを備える、前記同軸供給ケーブルと、
前記同軸供給ケーブルの遠位端に搭載され、前記マイクロ波EMエネルギーを前記同軸供給ケーブルから受信し、放射先端の周囲の治療ゾーン内に放射する、前記放射先端であって、前記外側導体の遠位端を越えて延在する前記内側導体の遠位導体区分を備える、前記放射先端と、
組織凍結液を前記治療ゾーンに搬送する流体供給口であって、前記同軸供給ケーブルの前記内側導体は中空であって、前記内側導体の内側表面は前記内側導体を通る前記流体供給口のチャネルを規定する、前記流体供給口と、
前記同軸供給ケーブルの遠位端において、前記組織凍結液を前記チャネルから受容するように接続される組織凍結要素と、を備え、
前記組織凍結要素は、前記治療ゾーン内で前記組織凍結液と生物組織との間で熱的連通をもたらすように配置され、前記生物組織を前記治療ゾーン内で凍結させ、
前記チャネルは、前記組織凍結液を前記組織凍結要素に搬送するためのものであり、
前記内側導体は、前記内側導体の遠位端に、前記組織凍結液を前記治療ゾーン内に送達するように構成される開口を備え、
前記器具は、さらに、前記治療ゾーンから離れるように気体を搬送するように構成されている減圧チューブを備える、電気手術器具。
【請求項2】
前記組織凍結液は低温液体または気体である、請求項1に記載の電気手術器具。
【請求項3】
前記組織凍結要素はノズルを含み、
前記ノズルは、前記組織凍結液を前記治療ゾーン内に噴射するように配置される、請求項1または2に記載の電気手術器具。
【請求項4】
前記組織凍結要素は、前記組織凍結要素が前記放射先端を越えて遠位に突出する露出位置と、前記組織凍結要素が前記放射先端から後退する後退位置との間で移動可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項5】
前記治療ゾーンの温度を検出する前記同軸供給ケーブルの遠位端に搭載される温度センサを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項6】
前記組織凍結要素は、さらに、加熱要素を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項7】
生物組織を治療するための電気手術装置であって、前記装置は、
マイクロ波電磁(EM)エネルギーを供給するように配置される電気手術発生器と、
組織凍結液供給器と、
前記マイクロ波EMエネルギーを前記電気手術発生器から受信するように、及び前記組織凍結液を前記組織凍結液供給器から受容するように接続される、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気手術器具と、
コントローラであって、
前記組織凍結液を、前記チャネルを通るように前記組織凍結要素まで流れさせ、前記生物組織を前記治療ゾーン内で凍結し、
前記治療ゾーンの状態を検出し、前記治療ゾーン内の生物組織が凍結されているかどうかを判定し、
前記治療ゾーン内の生物組織が凍結したと判定したことに応答して、前記マイクロ波EMエネルギーを前記放射先端から送達させる、
前記コントローラと、
を備える、電気手術装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記治療ゾーン内の生物組織が凍結されたと判定したことに応答して、前記チャネルを通る前記組織凍結液の流動を減少または停止させるように構成されている、請求項7に記載の電気手術装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記治療ゾーン内の前記生物組織が、
前記治療ゾーンの検出インピーダンスと、
前記治療ゾーンの検出温度と、
のうちの1つ以上のいずれかに基づいて、凍結されたかどうかを判定するように構成されている、請求項7または8に記載の電気手術装置。
【請求項10】
患者の体内への非経皮挿入のために器具コードを有する手術スコーピングデバイスをさらに備え、
前記器具コードは、前記器具コードの長さに沿って伸びる器具チャネルを有し、
前記電気手術器具は、前記器具チャネル内に適合するように寸法決めされる、
請求項7~9のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波エネルギーを使用して、生物組織を焼灼するための電気手術プローブに関する。具体的には、当該プローブは、肺または子宮の中で使用されることができ、例えば、腫瘍、病変、または、子宮筋腫を焼灼するために及び喘息を治療するために使用されることができる。プローブは、手術スコーピングデバイスもしくはカテーテルのワーキングチャネルを通して挿入され得る、または、腹腔鏡手術または観血手術で使用され得る。
【背景技術】
【0002】
特に小結節が発達する可能性が高い周辺領域に向かう気管支樹の小さな寸法に起因して、肺腫瘍へのアクセスを得ることが本質的に困難である。これは、化学療法(標的化された医療、抗がん剤(化学療法剤))、放射線治療(イオン化放射線の送達)、外科手術(侵襲的及び侵襲の少ない)、及びRF/マイクロ波焼灼等の採用されている多くの治療オプションをもたらしている。肺腫瘍の除去に関する外科手技は、肺切除術(一方の肺の取り外し)、肺葉切除(耳たぶの除去)、管状肺葉切除術(それに取り付ける気管支の一部と一緒の耳たぶの切除)、楔状切除(肺の楔形部の除去)、及び区域切除/肺区域切除術(特定の肺の1区域の切除)を含む。
【0003】
生物組織は、大部分、水分から成る。人間軟臓器組織は、一般的に、70%~80%の水分含有量である。水分子は、永久電気双極子モーメントを有し、電荷不均衡が分子にわたって存在することを意味する。この電荷不均衡は、分子が印加された場の極性を伴うその電気双極子モーメントを整合するように回転するとき、時間的に変化する電場の印加によって発生する力に応答して分子を移動させる。マイクロ波周波数において、高速分子振動は、摩擦熱と、熱の形成の結果として起こるフィールドエネルギーの消散をもたらす。これは誘電加熱として知られている。
【0004】
この原理はマイクロ波焼灼治療で利用され、マイクロ波周波数において局所電磁場の印加によって標的組織の水分子が急速に加熱され、組織凝固及び細胞死をもたらす。肺及び他の体内組織内の様々な状態を治療するために、マイクロ波放出プローブを使用することが知られている。例えば、肺内で、マイクロ波放射線は、喘息を治療するために及び腫瘍または病変を切除するために使用されることができる。
【0005】
従来のマイクロ波焼灼プローブは、患者の体内に経皮的に挿入されるように設計される。しかしながら、係るプローブは、動いている肺の中に経皮的に位置づけることが困難であり、気胸及び血胸(各々、胸腔内の空気及び血液)等の合併症につながり得る。他のマイクロ波焼灼プローブは、気道等の本体内のチャネルを通って伸びることができる手術スコーピングデバイス(例えば、気管支鏡または他の種類の内視鏡)によって、標的部位に送達されることができる。これは、侵襲の少ない治療を可能にし、患者の死亡率を減らし、手術中及び手術後の合併症を起こす確率を減らすことができる。
【0006】
プローブを使用して、マイクロ波エネルギーを標的組織に送達することは望ましい。この理由として、放射部は標的部位に近接して位置付けられることができ、それにより、電力の高い割合は標的部位に伝送されることとができ、低い割合は周辺健常組織に対して損失する。これは、治療の副作用を減らし、同様に、効率性を増加させる。
【0007】
マイクロ波エネルギーが生物組織内で急速に消散するため、生物組織は、多くの場合、損失が多い材料として説明される。したがって、焼灼プローブから放射されるマイクロ波エネルギーは、それが完全に消散される前に、生物組織内で遠方に伝搬しない。マイクロ波エネルギーが生物組織内で消散する体積は周波数に依存し、表皮厚さと呼ばれる量を使用して説明されることができる。表皮厚さは、アンテナによって放射する合計電力と比較してマイクロ波電力が1/e倍だけ小さくなっている焼灼プローブの放射アンテナの表面から離れた距離として定義される(式中、eは、自然対数が1に等しい数である)。
【0008】
例として、図5は、マイクロ波焼灼周波数の一般的な範囲を対象とする0.5~10GHzの周波数範囲にわたる表皮厚さと周波数との比のグラフを示す。表皮厚さは、測定された複素誘電率データを使用して、生体内肝臓に関して計算されていた。図5に示されるように、5.8GHzの例示的焼灼周波数において、表皮厚さは約8mmである。これは、マイクロ波エネルギーのほとんどは放射アンテナの表面から1cm未満だけ離れて消散することを意味する。したがって、マイクロ波焼灼プローブに関する治療エリアのサイズは、放射アンテナの周囲の小さな領域に制限される。
【0009】
放射アンテナに送達されるマイクロ波エネルギー(すなわち、アンテナに移送される電力)の量を増加させることによって、治療エリアのサイズは増加し得る。しかしながら、エネルギーをアンテナに搬送するケーブル自体は損失が多く、一般的に、ケーブルの直径が減少するにつれて、損失の割合が増加する。これは、ケーブル加熱によってもたらされる二次的損害を回避するために、送達することができるエネルギー量を効果的に制限する。マイクロ波エネルギーの量を増加させることは、また、プローブに大量の熱を発生させることができ、それにより、プローブ及び/または患者への損傷を回避するために、冷却機構を使用する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
最も一般的に、本発明は、マイクロ波エネルギーを生物組織に印加するための電気手術器具であって、本装置は、本装置の放射先端部の周囲の領域内で生物組織を凍結することと、マイクロ波エネルギーを凍結組織に印加することとが可能である。凍結組織内の水分子が非凍結組織と比較して振動及び回転の自由度を減らすにつれて、より少ないエネルギーは、マイクロ波エネルギーが凍結組織を通して伝送されるとき、誘電加熱に対して損失するようになる。したがって、放射先端部の周囲に領域を凍結させることによって、放射先端部から放射されるマイクロ波エネルギーは、低損失で凍結領域を通って、凍結領域の周辺の組織内に伝送することができる。これは、放射先端部に送達されるマイクロ波エネルギーの量を増加させる必要が生じることなく、治療エリアのサイズが従来のマイクロ波焼灼プローブと比較して増加することが可能になる。いったん凍結領域の周辺の組織がマイクロ波エネルギーにより焼灼されると、凍結領域は徐々に解凍することが可能になり得、それにより、凍結領域は、マイクロ波エネルギーを消散し、焼灼されるであろう。本発明の装置は、また、マイクロ波エネルギー及び組織凍結の様々な組み合わせを、生物組織を効果的に焼灼するために使用することが可能になる。電気手術デバイスは、内視鏡のワーキングチャネルを通して供給されるように構成されることができ、それにより、当該電気手術デバイスは、侵襲の少ない外科手技を実施するために使用されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に従って、生物組織を治療するための電気手術器具が提供され、本器具は、マイクロ波電磁(EM)エネルギーを搬送するための伝送ラインと、伝送ラインの遠位端に搭載される放射先端であって、マイクロ波EMエネルギーを伝送ラインから受信し放射先端の周囲の治療ゾーン内に放射する、放射先端と、組織凍結液を治療ゾーンに搬送するための流体供給口と、伝送ラインの遠位端において、組織凍結液を流体供給口から受容するように接続される熱移送部と、を備え、熱伝送部は、治療ゾーン内で組織凍結液と生物組織との間で熱的連通をもたらすように配置され、生物組織を治療ゾーン内で凍結させる。
【0012】
放射先端は、マイクロ波アンテナを備え得る。アンテナは、伝送ラインの端上に形成される従来のモノポールアンテナであり得る。伝送ラインは、同軸伝送ライン、例えば、従来の同軸ケーブルであり得る。同軸ケーブルの内側導体は、マイクロ波エネルギーが放射することができるマイクロ波アンテナの放射先端に接続され得る。放射先端は、マイクロ波アンテナのエネルギー放出プロファイルを向上させる、またはそのプロファイルを形成するために、アンテナの誘電体装荷を提供する1つ以上の誘電材料を含み得る。同軸供給ケーブルは、誘電材料によって内側導体から分離された外側導体を含む。
【0013】
電気手術器具は、マイクロ波エネルギーを、生物組織、流体、または他の材料等のその付近の物質に印加するために使用されることができる。マイクロ波エネルギーは、アンテナの周囲の局所的体積内の組織を焼灼するために使用され得る生物組織内で誘電加熱を生じさせることができる。したがって、アンテナを治療ゾーン(例えば、腫瘍、病変、または子宮筋腫を含む)内に直接挿入することによって、それを焼灼するために、マイクロ波エネルギーを治療ゾーン内の組織に印加することができる。
【0014】
電気手術器具は、放射先端の周囲に位置する治療ゾーン内の生物組織を凍結することを可能にする。本明細書では、生物組織内に含有される水分が氷形態である場合、すなわち、生物組織内の水分子が結晶構造に保持される場合、生物組織は「凍結される」と言われる。組織内に含有される水分子が液体状態である場合、組織は「非凍結である」と言われる。凍結組織は、非凍結組織と比較して、マイクロ波周波数において、より低い誘電損率を有し、したがって、その凍結組織が、非凍結組織よりも効率的にマイクロ波エネルギーを伝送することを可能にする。誘電損率は、材料の誘電率の虚部に関連し、材料内のエネルギー散逸を示す。
【0015】
組織凍結液は、低温液体または気体であり得、本明細書では、「寒剤」と称され得る。用語「寒剤」は、0℃未満の温度を生じさせるために使用される物質を指し得る。液体、気体、または固体の寒剤を使用し得る。適切な寒剤は、限定ではないが、液体窒素、液体二酸化炭素、及び液体亜酸化窒素を含む。流体供給口は、本装置の他の部分が寒剤によって冷却されるのを防止するために、断熱材料及び/または真空ジャケットから作成される熱絶縁層が備えられ得る。これは、また、治療ゾーン内の組織だけが凍結され、寒剤伝送管に密接し得る患者の他の部位は、寒剤による影響を受けないことを確実にすることができる。
【0016】
流体供給口を通る組織凍結液の流動は、電気手術器具の冷却電力を制御するために調節され得る。例えば、冷却電力を増加させるために、組織凍結液の流動は増加し得、それによって、治療ゾーン内の組織を凍結させる。治療ゾーン内の組織を解凍することを可能にするために、組織凍結液の流動は減少または停止し得る。冷却電力は、凍結された組織の体積を判定し得る(例えば、冷却電力が大きくなるにつれて、凍結される組織の体積が大きくなる)。本明細書では、用語「冷却電力」は、熱をエリアから除去するために、器具の能力を説明するために使用される。
【0017】
熱移送部は、それが流体供給口によって送達される組織凍結液によって冷却されるように及び治療ゾーン内で生物組織と直接接触し得るように配置され得る。このように、熱移送部は凍結される組織と接触させ得る。次に、組織凍結液は、熱移送部を冷却することができ、次に、組織を凍結する。熱移送部は、金属または他の適切な材料等の熱伝導材料から作成され得る。熱移送部は、液流体供給口から組織凍結液と接触するように構成されている第1の部と、生物組織と接触するように構成されている第2の部とを有し得る。ヒータは、熱移送部のより正確な温度制御を可能にするために、熱移送部上に、または熱移送部の近くに搭載され得る。
【0018】
流体供給口は、熱移送部を通して組織凍結液を循環させるように配置され得る。例えば、流体供給口は、組織凍結液を熱移送部に搬送するための送達管と、組織凍結液を熱移送部から離れるように搬送するための排出管とを備え得る。これは、低温器具の圧力の蓄積を防止する。用語「使用される寒剤」は、組織凍結要素の第1の部と接触し、それによって、組織凍結要素から熱を吸収している寒剤を指す。
【0019】
熱伝送部は、例えば、その第1の部の中で組織凍結液を受容するための密閉リザーバを備え得る。リザーバの入口は送達管の出口に接続され得、リザーバの出口は排出管の入口に接続され得る。本器具は、組織凍結液を、器具を通るように流れさせるためのポンプを備え得る。
【0020】
熱移送部の第2の部は、生物学的不活性物質から作成される保護用外側層を含み得る。
いくつかの例では、本器具は、閉回路内で組織凍結液を循環させる。他の例では、熱伝送部は、組織凍結液を治療ゾーン内に送達するための出口を含み得る。出口は、組織凍結液を治療ゾーン内に噴射するために配置されるノズルを含み得る。係る例では、本器具は、さらに、治療ゾーン内の気体が流出し得る減圧チューブを含み得る。これは、患者への体内損傷を生じさせ得る治療ゾーン内の圧力の蓄積を回避する。これは、液体寒剤が温かい組織と接触するときに液体寒剤が気体中で急速に膨張するため、液体寒剤が使用される場合に特に重要である。
【0021】
減圧チューブは、治療ゾーン内の気体が流入し得る器具の遠位端の近くに位置する気体入口と、気体が流出し得る器具の近位端の近くに位置する排出出口とを有し得る。気体入口及び/または排出出口は、気体が減圧チューブを通して治療ゾーン内に流入することを防止するように、一方向弁に取り付けられ得る。気体入口及び/または排出出口は、治療ゾーン内の圧力が既定の閾値に達したときに自動的に開くように構成されている圧力逃し弁が取り付けられ、治療ゾーン内の圧力を安全レベルに維持することを確実にし得る。本器具は、また、治療ゾーン内の圧力を監視するための当該器具の遠位端の近くに位置する圧力センサを含み得る。
【0022】
熱移送部は他の構成を有し得る。例えば、熱移送部は、流体供給口に流体的に接続されるバルーンを含み得、バルーンは組織凍結液で膨張することができる。
【0023】
熱移送部は組織凍結要素を含み得、組織凍結要素組織は、凍結要素が放射先端を越えて遠位に突出する露出位置と、組織凍結要素が放射先端から後退する後退位置との間で移動可能である。組織凍結要素は、1つ以上の制御ワイヤを使用して、2つの位置との間で移動し得る。これは、組織凍結要素が、ユーザが凍結機能を利用することを所望するときだけ展開することを可能にし、それにより、組織凍結要素は、使用中ではないとき、いずれかの不慮の負傷を生じさせない。電気手術器具の遠位端は、また、シースまたは保護用ハルを含み得、シースまたは保護用ハルは、安全をさらに改善させるために、それが後退位置にあるときに組織凍結要素を覆う。
【0024】
伝送ライン及び流体供給口は、共通ケーブル内部にあり得る。いくつかの例では、流体供給口は伝送ラインと一体化される。例えば、伝送ラインは、内側導体と、外側導体と、内側導体及び外側導体を分離している誘電材料とを備える、同軸伝送ラインであり得、内側導体は流体供給口に通路を提供するように中空になっている。組織凍結要素は、通路内に摺動可能に搭載され得る。中空内側導体の内側壁は、寒剤送達管の一部を形成し得る。したがって、寒剤は、また、同軸供給ケーブルを冷却する役割を果たし得る。
【0025】
2つの機能の一体化は、異なる構成要素が焼灼手技中に内視鏡のワーキングチャネルに挿入または除去されることが要求されないため、コンパクトなデバイスを提供し、焼灼手技を簡略化することができる。
【0026】
本器具は、治療ゾーンの温度を検出する伝送ラインの遠位端に搭載される温度センサを含み得る。組織凍結液流動及びマイクロ波エネルギー送達の制御は、検出温度に基づいて行われ得る。
【0027】
本器具は生物組織を治療するために電気手術装置内で使用され得、本装置は、また、マイクロ波電磁(EM)エネルギーを供給するために配置される電気手術発電器と、組織凍結液供給器とを備える。電気手術器具は、マイクロ波EMエネルギーを電気手術発電機器から受信するために及び組織凍結液を組織凍結液供給器から受容するために接続される。本装置は、さらに、組織凍結液を、流体供給口を通るように熱移送部に流れさせ、治療ゾーン内の生物組織を凍結させ、治療ゾーン内の状態を検出し治療ゾーン内の生物組織が凍結したかどうかを判定し、治療ゾーン内の生物組織が凍結したと判定したことに応答して、マイクロ波エネルギーを放射先端から送達させるように構成されているコントローラを備える。コントローラは、また、治療ゾーン内の生物組織が凍結されたと判定したことに応答して、流体供給口を通る組織凍結液の流動を減少または停止させるように構成され得る。コントローラは、治療ゾーン内の生物組織が、治療ゾーンの検出インピーダンスと、治療ゾーンの検出温度とのうちの1つ以上のいずれかに基づいて、凍結されているかどうかを判定するように構成され得る。
【0028】
コントローラは、組織凍結液の流動を制御するために本器具に接続されるように動作する従来のコンピューティングデバイスであり得る。例えば、コントローラは、送達管を通る寒剤の流動を調整するために使用されることができる1つ以上の弁及び/またはポンプを制御し得る。コントローラが治療ゾーン内の生物組織が凍結されたことを判定するときに、寒剤の流動を減少または停止させることは、健常組織への損傷を生じさせ得る、所望の標的エリアの外側で組織を凍結させる危険性を回避する。
【0029】
逆に、コントローラが、治療ゾーン内の生物組織が凍結されていないこと、または解凍していることを判定した場合、コントローラは、治療ゾーン内の組織を凍結するために、送達管を通る寒剤の流動を増加させ得る。コントローラは、また、治療ゾーン内の組織の状態(例えば、凍結または非凍結)を定期的に監視し、寒剤伝導管を通して寒剤の流動を調節するように構成され得、それにより、治療ゾーン内の組織が、所望の状態(例えば、凍結または非凍結)に達する。したがって、コントローラは、治療ゾーン内の組織の凍結を制御するための自動化機構を提供し、治療ゾーンの外側の組織を損傷させる危険性を減らす。
【0030】
いくつかの実施形態では、コントローラは、治療ゾーン内の生物組織が凍結したと判定したことに応答して、マイクロ波エネルギーを治療ゾーン内の組織に送達させるように構成され得る。コントローラは、マイクロ波エネルギーを電気手術器具に提供するように接続される発生器を制御するように構成され得る。いくつかの例では、コントローラは、発生器と一体化され得る。マイクロ波エネルギーが送達されるときに治療ゾーン内の生物組織が凍結されるにつれて、マイクロ波エネルギーは、凍結組織によって低損失で、マイクロ波エネルギーによって焼灼されることができる周辺の非凍結組織に伝送され得る。これは治療される組織の有効体積を増加させることができる。
【0031】
コントローラは、治療ゾーン内の生物組織が凍結されているかどうかを判定するいくつかの方法を使用し得る。いくつかの実施形態では、電気手術装置は放射先端部の近くに配置されるセンサを含み、コントローラは、治療ゾーン内の生物組織が、センサから取得された測定値に基づいて凍結されているかどうかを判定するように構成され得る。センサは生物組織の特性を測定するための任意の適切なセンサであり得、特性は組織の状態(すなわち、凍結または非凍結)に応じて変動する。例えば、センサは、治療ゾーン内の生物組織の温度を測定するために配置される温度センサであり得る。組織が凍結するとき(例えば、水分膨張のために、組織が凍結するとき)、センサは圧力の変化を検出するために配置される圧力センサであり得る。
【0032】
他の例では、コントローラは、治療ゾーン内の生物組織が、治療ゾーン内の生物組織のインピーダンス測定に基づいて凍結されているかどうかを判定するように構成され得る。インピーダンス測定は、例えば、マイクロ波エネルギーのパルスを放射先端部に送達することによって、及び同軸供給ケーブルにバックするように反射されるマイクロ波エネルギーを測定することによって実施され得る。マイクロ波エネルギーは、放射先端部と治療ゾーン内の生物組織との間のインピーダンス不整合に起因して、放射先端部で後退するように反射され得る。生物組織のインピーダンスは、着目する周波数における生物組織の誘電率及び伝導率の関数であり、ひいては、生物組織が凍結または非凍結であるかどうかに依存する。反射されるマイクロ波エネルギーを測定することによって、生物組織が凍結または凍結されていないかどうかを判定するために、治療ゾーン内の生物組織のインピーダンスを推定することができる。低電力マイクロ波パルスは、生物組織のインピーダンスを測定するために使用されることができ、それにより、測定によりいかなる組織焼灼も生じさせない。
【0033】
随意に、電気手術装置は、また、治療ゾーンを往復するように流体を輸送するための別個の流体送達機構を含み得る。流体送達機構は、流体を治療ゾーンの中に注入するために及び/または治療ゾーンから流体を吸引するために使用され得る。流体送達機構は、同軸ケーブルに沿って延在する可撓流体伝送管と、流体伝送管の遠位端と連通し、治療ゾーンの中に延在するように配置される、剛性挿入要素とを含み得る。例えば、剛性挿入要素は中空ニードルであり得、中空ニードルは、治療ゾーン内の組織を貫通するために、1つ以上の制御ワイヤを使用して露出し得る。生検送達機構は、また、生検を行うために、治療ゾーンから組織サンプルを吸引するために使用され得る。
【0034】
上記に説明した電気手術装置は、完全な電気手術システムの一部を形成し得る。例えば、本装置は、患者の体内への非経皮挿入のために可撓挿入コードを有する手術スコーピングデバイスを含み得、可撓挿入コードはその長さに沿って伸びる器具チャネルを有し、電気手術器具は器具チャネル内に適合するように寸法決めされる。
【0035】
器具のマイクロ波焼灼及び組織凍結機能を独立して使用し得ることに留意されたい。例えば、組織を焼灼するために、組織を冷却または凍結することなく、マイクロ波エネルギーを組織に直接印加し得る。組織は、また、マイクロ波エネルギーをその組織に印加する必要が生じることなく、ある体積の組織を繰り返して凍結及び解凍することによって焼灼され得る。したがって、本発明の電気手術装置は、特定の状況の要件に応じて異なる焼灼技法を組み合わせることを可能にするように、可撓組織焼灼ツールを提供する。
【0036】
また、本明細書に開示されるのは生物組織を治療するための方法であり、本方法は、手術スコーピングデバイスの器具コードを患者の体内に非経皮的に挿入することであって、手術スコーピングデバイスはその長さに沿って伸びる器具チャネルを有する、当該挿入することと、上記に説明したような電気手術器具を器具チャネルに沿って、その遠位端における治療ゾーンに搬送することと、組織凍結液を、流体供給口を通して流し、治療ゾーン内の生物組織を凍結させることと、生物組織が治療ゾーン内で凍結した後、マイクロ波エネルギーを放射先端部に送達することと、を含む。本明細書に説明される電気手術装置及びシステムの任意の特徴は、本方法で利用され得る。例えば、本方法は、治療ゾーン内の温度を検出することと、検出温度に基づいて、マイクロ波エネルギーの送達を制御することとを含み得る。追加的または代替的に、本方法は、治療ゾーン内のインピーダンスを検出することと、検出インピーダンスに基づいて、マイクロ波エネルギーの送達を制御することとを含み得る。
【0037】
本明細書では、用語「近位」及び「遠位」は、各々、治療ゾーンから遠方に、治療ゾーンに近接する構造(例えば、電気手術器具、同軸供給ケーブル等)の端を指す。したがって、使用中、構造の近位端はユーザによってアクセス可能である一方、遠位端は治療部位(すなわち、患者)により近接する。
【0038】
用語「導電性の(conductive)」は、本明細書では、文脈上で他に規定がない限り、電気的に導電していることを意味するように使用される。
【0039】
下記に使用される用語「縦方向」は、同軸伝送ラインの軸に平行な器具チャネルに沿った方向を指す。用語「横方向」は、縦方向に垂直な方向を指す。用語「内側」は、器具チャネルの中心(例えば、軸)に半径方向に近接することを意味する。用語「外側」は、器具チャネルの中心(軸)から半径方向に遠方にあることを意味する。
【0040】
用語「電気手術」は、外科手術中に使用され及びマイクロ波電磁(EM)エネルギーを利用する、器具、装置、またはツールに関して使用される。本明細書では、「マイクロ波EMエネルギー」は、300MHz~100GHzの範囲、好ましくは、1GHz~60GHzの範囲で、安定した固定周波数を有する電磁エネルギーを意味し得る。マイクロ波EMエネルギーに関する好ましいスポット周波数は、915MHz、2.45GHz、5.8GHz、14.5GHz、24GHzを含む。5.8GHzが好ましくあり得る。
【0041】
使用中、治療ゾーンは、患者の肺、子宮、消化管、または他の臓器の生物組織を含み得る。
【0042】
本開示の例は、添付の図面を参照して下記に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の実施形態である組織焼灼のための電気手術装置の概略図である。
図2】本発明での使用に適切な焼灼器具の遠位端の概略断面図である。
図3】本発明での使用に適切な別の焼灼器具の遠位端の概略断面図である。
図4A】本発明の実施形態である組織焼灼方法の概略図である。
図4B】本発明の実施形態である別の組織焼灼方法の概略図である。
図5】組織焼灼に使用されるマイクロ波周波数の範囲にわたる計算された表皮効果対周波数のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明の実施形態である完全な電気手術装置100の概略図である。本装置100は、マイクロ波アンテナから送達されるマイクロ波エネルギーを使用して、生物組織(例えば、腫瘍、病変、または子宮筋腫)を治療するように配置されている。本装置100は、ある体積の生物組織を凍結することが可能であり、マイクロ波エネルギーを凍結組織に印加することによって、凍結組織の周辺にある組織を焼灼することが可能である。マイクロ波エネルギーを凍結組織に印加することは、凍結組織が非凍結組織と同等に強力なマイクロ波エネルギーを消散しないため、マイクロ波エネルギーを組織のサンプル内にさらに伝送することを可能にする。これは、送達されるマイクロ波エネルギーの量を増加させる必要が生じることなく、印加されたマイクロ波エネルギーによって治療することができる組織の合計体積を増加することが可能になる。
【0045】
システム100は、マイクロ波エネルギーを制御可能に供給するための発生器102を備える。この目的のために適切な発生器は、WO2012/076844(本明細書に参照によって組み込まれる)で説明される。発生器は、送達するために適切な電力レベルを判定するために、器具から戻るように受信された反射信号を監視するために配置され得る。例えば、発生器は、最適な送達電力レベルを判定するために、器具の遠位端で確認されるインピーダンスを計算するために配置され得る。
【0046】
発生器102は、インターフェースケーブル104によって、インターフェースジョイント106に接続される。インターフェースジョイント106は、また、寒剤搬送導管107を介して寒剤搬送容器等の寒剤供給ユニット108に接続される。必要に応じて、インターフェースジョイント106は、例えば、1つ以上の制御ワイヤまたはプッシュロッド(図示せず)の縦方向(すなわち、前後)の移動を制御するために、トリガ110を摺動することによって動作可能である器具制御機構を収容することができる。複数の制御ワイヤがある場合、全制御を提供するインターフェースジョイント上に複数の摺動トリガがあり得る。排出搬送導管120は、また、インターフェースジョイント106に接続され得、排出搬送導管120を通して、使用した寒剤及び/または排出気体が流出し得る。インターフェースジョイント106の機能は、発生器102、寒剤供給ユニット108、排出搬送導管120、及び器具制御機構から、インターフェースジョイント106の遠位端から延在する単一の可撓シャフト112への入力を組み合わせる。
【0047】
可撓シャフト112は、気管支鏡、内視鏡、胃カメラ、腹腔鏡等の手術スコーピングデバイス114のワーキング(器具)チャネルの全長を通して挿入可能である。可撓シャフト112は、手術スコーピングデバイス114のワーキングチャネルを通って通過するように及び手術スコーピングデバイスのワーキングチャネルの遠位端で(例えば、患者の体内に向かって)突出するように成形された遠位アセンブリ118(図1では縮尺どおりに描かれていない)を有する。遠位端アセンブリ118は、マイクロ波エネルギーを送達するためのマイクロ波アンテナと、組織を凍結するために寒剤搬送導管107に接続される組織凍結要素(図示せず)とを含む。先端構成は下記により詳細に説明される。
【0048】
寒剤は、寒剤供給ユニット108から寒剤搬送導管107を介して組織凍結要素に送達され得る。ある実施形態では、寒剤は、(例えば、熱交換プロセスを介して)組織凍結要素を冷却するために使用される。この場合、寒剤は、寒剤搬送導管107を介して組織凍結要素の中に流れ、排出搬送導管120を介して組織凍結要素から出て戻るように流れ得る。他の実施形態では、組織凍結要素は、寒剤を標的エリアに噴射するために使用されるノズルを含む。次に、寒剤は、排出搬送導管120を介して標的エリアから流出、標的エリア内の圧力の蓄積を回避し得る。排出搬送導管120の近位端は大気に開放され得る、または、排出搬送導管120の近位端は使用された寒剤が収集され得る収集チャンバ(図示せず)に接続され得る。異なる寒剤供給ユニットは、使用された寒剤に応じて、寒剤搬送導管107に接続され得る。
【0049】
遠位アセンブリ118の構造は、ワーキングチャネルを通って通過するのに適切な最大外径を有するように配置され得る。一般的に、内視鏡等の手術スコーピングデバイス内のワーキングチャネルの直径は、4.0mm未満であり、例えば、2.8mm、3.2mm、3.7mm、3.8mmのいずれか1つである。可撓シャフト112の長さは、1.2m以上、例えば、2m以上であり得る。他の例では、遠位アセンブリ118は、シャフトがワーキングチャネルを通して挿入された後に(及び器具コードが患者の体内に導入される前に)可撓シャフト112の遠位端に搭載され得る。代替として、可撓シャフト112は、その近位接続を行う前に、遠位端からワーキングチャネル内に挿入されることができる。これらの設備では、遠位端アセンブリ118は、手術スコーピングデバイス114のワーキングチャネルよりも大きい寸法を有することを可能にし得る。
【0050】
上記に説明した装置は、デバイスを導入する1つの方法である。他の技術が可能である。例えば、本デバイスは、また、カテーテルを使用して挿入され得る。
【0051】
本発明は、マイクロ波エネルギーを組織に直接印加することによって、及び/または組織の体積を凍結させ、マイクロ波エネルギーを凍結組織に印加することによって、生物組織を焼灼することができるデバイスを提供しようとするものである。本デバイスは、具体的には、肺または子宮内の組織の焼灼に適しており、しかしながら、本デバイスは、他の器官内の組織を焼灼するために使用され得る。標的組織を効率的に焼灼するために、マイクロ波アンテナ及び組織凍結要素は、標的組織に可能な限り近く(多くの場合、標的組織の内側)に位置するはずである。標的組織(例えば、肺の中)に達するために、本デバイスは、通路(例えば、気道)を通って及び障害物の周囲に誘導される必要があるだろう。これは、器具が理想的には可撓性のものであり、小さい断面を有することを意味する。具体的には、本デバイスはその先端の近くでかなり曲がるはずであり、本デバイスは、狭く及び巻かれたものであり得る細気管支等の通路に沿って操縦される必要があり得る。
【0052】
また、本デバイスは、開業医が情報を標的部位から受信することを可能にする他の器具とともに動作できることが好ましい。例えば、内視鏡は、障害物の周囲にある及び所望の位置までの、器具の操縦を補助し得る。他の器具は、温度計またはカメラを含み得る。
【0053】
図2は、本発明の実施形態である電気手術デバイス200の遠位端の概略断面図である。電気手術デバイス200は、電気手術器具201及び低温器具202を含む。
【0054】
電気手術器具201は、マイクロ波エネルギーを搬送するために、発生器(発生器102等)に対してその近位端において接続される同軸供給ケーブル204を含む。同軸供給ケーブル204は、第1の誘電材料210によって外側導体208から分離された内側導体206を備える。同軸供給ケーブル204は、マイクロ波エネルギーに対して低損失であることが好ましい。チョーク(図示せず)は、同軸供給ケーブル204上に提供され、遠位端から反射されたマイクロ波エネルギーのバックプロパゲーションを阻止し、ひいては、本デバイスに沿って後方への加熱を制限し得る。
【0055】
同軸供給ケーブル204は、マイクロ波エネルギーを放射するための放射先端部205を伴うその遠位端で終端する。本実施形態では、放射先端部205は、外側導体208の遠位端209の前に延在する内側導体206の遠位導体区分212を備える。遠位導体区分212は、第1の誘電材料210と異なる第2の誘電材料から形成される誘電体先端214によって、その遠位端において囲まれる。誘電体先端214の長さは、遠位導電区分212の長さよりも短い。中間誘電スリーブ216は、同軸ケーブル202の遠位端と、誘電体先端214の近位端との間の遠位導体区分212を囲む。中間誘電スリーブ216は、第2の誘電材料と異なるが、第1の誘電材料210と同じであり得る第3の誘電材料から形成される。誘電体先端214は、任意の適切な遠位形状を有し得る。図2では、誘電体先端214は、ドーム形状を有するが、これは、必ずしも必須ではない。例えば、それは、円筒状、円錐状等であり得る。しかしながら、滑らかなドーム形状が好まれ得る。この理由は、その形状が、小さなチャネルを通して操作されるとき、アンテナの移動性を増加させるためである。電気手術器具201は、電気手術器具201を電気的に絶縁する保護用シース218内に収容される。保護用シース218は、組織が器具に吸着することを防止するPTFE等の吸着防止材料から作成され得る、または吸着防止材料でコーティングされ得る。
【0056】
中間誘電スリーブ216の特性は、(例えば、シミュレーション等によって)選ばれることが好ましく、それにより、放射先端部205は、発生器の入力インピーダンスをロード放射先端部205に接触する生物組織負荷に一致させるために、四分の一波長のインピーダンス変成器を形成する。放射先端部205のこの構成は、放射先端部205を中心にほぼ球状の放射線パターンを生じさせ得る。これは、ユーザが標的組織を正確に放射することを可能にし、健常組織の放射線または健康組織への損傷を減らす。要求される放射線パターンに応じて、異なる放射先端部構成を使用し得る。例えば、非対称の放射線パターンは、放射先端部205の片側に沿って、外側導体208が延在することによって生じる可能性がある。
【0057】
低温器具202は、放射先端部205の近くに位置する低温器具202の遠位端に組織凍結要素220を含む。組織凍結要素220は、寒剤搬送導管224によって送達される寒剤を受容するためのリザーバ222を含む。組織凍結要素220は、また、リザーバ222に熱的に連結される先端部226を含み、それにより、先端部226はリザーバ222内の寒剤によって冷却され得る。組織凍結要素220は、例えば、熱伝導材料の単一の部分から形成され得、リザーバ222は材料の空洞によって形成される。
【0058】
低温器具202は、また、リザーバ222から、寒剤が集められる、または廃棄される装置の近位端に、寒剤を搬送するためのリザーバ222に接続される排出搬送導管228を含む。したがって、流れ方向矢印230によって示されるように、寒剤は、寒剤搬送導管224を通って搬送され得、それにより、その寒剤は、リザーバ222の中に送達される。寒剤は、リザーバ222内で蓄積することができ、組織凍結要素220の先端部226を冷却させ、それにより、その寒剤は、組織を凍結するために使用され得る。リザーバ222内の過度の寒剤は、矢印232によって示されるように、リザーバ222の圧力の蓄積を回避するために、排出搬送導管228を通って排出され得る。液体寒剤(例えば、液体窒素)の場合、寒剤が先端部から熱を吸収するにつれて、寒剤は気体中に膨張し得る。気体は、また、排出搬送導管228を通って排出される寒剤の一部を形成し得る。寒剤搬送導管224及び排出搬送導管228の両方は、一方向弁が取り付けられ、寒剤が矢印230及び矢印232によって示される方向だけに流れることを確実にし得る。電気手術デバイスの近位端に位置するポンプは、寒剤搬送導管224及び排出搬送導管228の中で寒剤を循環させるために使用され得る。
【0059】
断熱スリーブ234は、寒剤搬送導管224、排出搬送導管228、及び織凍結要素220の一部を囲む。断熱スリーブ234は、熱を導管内の寒剤と周辺環境との間で交換することを防止する。追加的または代替的に、寒剤搬送導管224及び排出搬送導管228自体は、断熱材から作成され得る。導管の熱絶縁は、断熱スリーブ234の内側の空間内に真空を作ることによって改善され得る。導管の熱絶縁は、組織凍結要素220の付近の組織だけが凍結され得ることを確実にし、したがって、患者への不慮の寒害を回避する。
【0060】
組織凍結要素220は、その長さに沿って、断熱スリーブ234の内部で摺動可能であり得る。組織凍結要素220の外側表面と断熱スリーブの内側表面との間の適合は十分に固定され得、それにより、その適合によって気密摺動密閉を形成する。リザーバ222は、導管224及び導管228に(例えば、摺動密閉によって)摺動可能に接続され、組織凍結要素220が導管224及び導管228に対して移動することを可能にし得る。代替として、リザーバ222と、導管222及び導管228との間の接続を固定し得、それによって、導管224及び導管228は、断熱スリーブ234内で組織凍結要素と一緒に移動する。組織凍結要素220は、断熱スリーブ234を通って通過する制御ワイヤ236を使用して、断熱スリーブ234に沿って摺動することができ、組織凍結要素220に対する一端に接続される。組織凍結要素は、完全または部分的に、断熱スリーブ234の中に後退し得、それにより、その先端部226は電気手術器具201の遠位端を越えて突出しない。ユーザが組織凍結要素220を使用して生物組織を凍結させることを望むとき、組織凍結要素220は、それが電気手術器具201の遠位端を越えて突出するように露出され得、それにより、組織凍結要素220は標的組織と接触し得る。組織凍結要素220は、器具が標的エリアにナビゲートされるとき、その後退位置に設置され得、先端部226が組織にぶつかること、または不慮の負傷を生じさせることを回避し得る。上記に説明したものの代替の機構は、組織凍結要素220が電気手術器具201に対して移動することが可能である可能性がある。
【0061】
ヒータ及び温度センサ(図示せず)は、組織凍結要素220の先端部226の近くに搭載され、先端部226における温度の正確な制御が可能になり得る。ヒータは、電流がヒータを通過するとき加熱する抵抗チップであり得る。寒剤によって提供される冷却電力を用いてヒータによって発生する熱を均衡させることによって、安定した温度は先端部226で取得されることができる。PIDコントローラは、先端部226に対する温度を制御するために使用され得る。ヒータは、また、凍結組織を解凍するために、先端部226を加熱するために使用され得る。
【0062】
低温器具202は電気手術器具201に対して固定され得、それにより、2つの構成要素は、内視鏡のワーキングチャネル内で適合するように構成されている単一の統合デバイスを形成する。例えば、断熱スリーブ234は、電気手術器具201の保護用シース218に固着し得る。
【0063】
図2に示される組織凍結要素220の先端部226はドーム形状である。しかしながら、他の形状は可能である。例えば、それは、円筒状、円錐状等であり得る。概して、組織を効率的に凍結するために、先端部226の形状を、先端部226と標的組織との間の熱伝達を最大になるようにすることが望ましい。したがって、先端部226と標的組織との間の接触エリアを最大にする形状を使用することが望ましい場合がある。いくつかの場合、先端部226は鋭い先端を有し得、それにより、先端部226は、組織を貫通し、標的組織の内側に挿入されることができる。いくつかの例では、先端部226及び誘電体先端214は、デバイス200の共通先端構造の一部であり得る、またはそれを形成し得る。
【0064】
電気手術デバイス200の遠位端は、また、放射先端部の周囲の治療ゾーン内の組織の特性を測定するために、放射先端部205の近くに位置するセンサ238を含み得る。測定値は、配線240を介して、センサ238から取得されることができる。例えば、センサ238は、治療ゾーン内の組織の温度を測定するための温度センサであり得る。センサ238は、また、治療ゾーン内の圧力の変化を測定するための圧力センサであり得る。センサ238からの測定値は、マイクロ波エネルギーを治療ゾーンに印加するときに判定するために、治療ゾーン内の組織が凍結されるときに判定するために使用され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、電気手術デバイス200は、また、デバイスの遠位端における構成要素を収容する外側シースを含み得る。外側シースは、組織凍結要素220が突出し得る開口を有し得る。不慮の負傷を回避するために、外側シースは滑らかな形状を有し得、それにより、鋭い角は生物組織に存在しない。
【0066】
図3は、本発明の別の実施形態である電気手術デバイス300の遠位端の概略断面図である。本実施形態では、低温器具は、電気手術器具に一体化される。電気手術器具300は、マイクロ波エネルギーを搬送するために、発生器(例えば、発生器102)に対してその近位端において接続されることができる同軸供給ケーブル301を含む。同軸供給ケーブル301は、第1の誘電材料306によって外側導体304から分離された内側導体303を備える。同軸供給ケーブル301は、マイクロ波エネルギーに対して低損失であることが好ましい。チョーク(図示せず)は、同軸ケーブル上に提供され、遠位端から反射されたマイクロ波エネルギーのバックプロパゲーションを阻止し、ひいては、本デバイスに沿って後方への加熱を制限し得る。
【0067】
同軸供給ケーブル301は、マイクロ波エネルギーを放射するための放射先端部302を伴うその遠位端で終端する。本実施形態では、放射先端部302は、外側導体304の遠位端309の前に延在する内側導体303の遠位導体区分308を備える。内側導体303は中空であり、内側導体の内側表面は内側導体303を通って伸びるチャネル312を画定する。遠位導体区分308は、第1の誘電材料306と異なる第2の誘電材料から形成される誘電体先端310によって、その遠位端において囲まれる。誘電体先端310は、ドーム形状であり、それを通って伸びるチャネルを有し、内側導体303は当該チャネルを通って通過する。開口314は、内側導体303の遠位端に形成される。
【0068】
チャネル312は、寒剤供給ユニット(例えば、寒剤供給ユニット108)に対して近位端に接続され得、それにより、チャネル312は、低温器具の寒剤搬送導管として作用し得る。チャネル312に流体接続されるノズル316は、内側導体の開口314の近くに位置する。破線318によって示されるように、ノズル316は、放射先端部302(すなわち、図3の右側)の前方の標的部位に向けられて、チャネル312を通して搬送する寒剤を噴射するために配置される。ノズル316は、例えば、スリット弁であり得、しかしながら、他の種類のノズルも、また、可能である。ノズル316は、標的部位からの流体がチャネル312に流入することを防止しするように構成され、ひいては、一方向弁を含み得る。いくつかの実施形態では、ノズル316は、集結及び指向された寒剤の噴射を提供するために、微細な管を含み得る。いくつかの実施形態では、ノズル316は、(例えば、1つ以上の制御ワイヤを使用して)チャネル312内で摺動可能であり得、それにより、ノズルは、放射先端部302を越えて突出するように作成されることができる。このように、電気手術デバイス200が適所に誘導されるときに、ノズル316は後退され得、次に、ノズル316は、標的組織を噴射するために展開し得る。
【0069】
電気手術デバイス200は、さらに、減圧チューブ320を含み、放射先端部302の周辺の治療ゾーン内の気体が減圧チューブ320を通して流出し得る。これは、患者への体内損傷につながり得る治療ゾーン内の圧力の蓄積を回避する。寒剤が低温気体である場合、ノズル316から噴射される低温気体は、治療ゾーン内の組織を冷却し、次に、減圧チューブ320を介して、治療ゾーンから流出し得る。寒剤が低温液体である場合、ノズル316から噴射される低温液体は、治療ゾーン内の組織を冷却し、気体中に膨張し得る。次に、結果として生じる気体は、減圧チューブ320を介して、治療ゾーンから流出し得る。
【0070】
減圧チューブ320は、気体が電気手術デバイス200の遠位端から(すなわち、治療ゾーンから)電気手術デバイス200の近位端までだけ流れ得るように構成されることが好ましい。これは、ガスが減圧チューブ320を介して治療ゾーンに流入し得ることを回避する。減圧チューブ320はその近位端で大気に放出し得る、または、減圧チューブ320は気体収集チャンバに接続され得る。減圧チューブ320は、また、圧力逃し弁が取り付けられ得、圧力逃し弁は、治療ゾーン内の圧力が既定の閾値に達するとき、気体が減圧チューブ320に沿って流れることを可能にするように構成されている。このように、治療ゾーン内の圧力は安全レベルで維持され得る。
【0071】
第1の誘電材料306は断熱材料であり得る、または、断熱層を含み得る。それにより、外側導体304は、チャネル312内の寒剤によって冷却されない。このように、同軸供給ケーブル301の外側表面は、寒剤がチャネル312を通り抜けるとき、低温の状態にならないであろう。したがって、治療ゾーンの外側の患者の一部を凍結する危険を回避する。代替として、同軸供給ケーブル301は、外側導体304の外側表面の周囲に、断熱スリーブ及び/または真空ジャケットを含み得る。
【0072】
チャネル312を通リ抜ける寒剤は、内側導体303を冷却し、同軸供給ケーブル301を通って伝搬するいずれかのマイクロ波エネルギーによって発生する熱を消散し得る。これは、同軸供給ケーブル301を過熱することなく同軸供給ケーブル301によって搬送されるマイクロ波エネルギーの量を増加させることを可能にする。したがって、図3に示される構成は、大量のマイクロ波エネルギーが印加されることを可能にし、マイクロ波エネルギーによって焼灼される組織の体積を増加させ得る。
【0073】
また、電気手術デバイス300は、図2に関して説明されるものと同様に、1つ以上のセンサ及び/またはヒータを含み得る。
【0074】
図2及び図3に示される実施形態と異なる特徴の組み合わせが可能であり、図2及び図3に示される実施形態は単なる例として与えられることに留意されたい。例えば、図2の低温器具202は、図3に示されるものと同様に、電気手術器具の中空内側導体を通って挿入され得る。このように、寒剤搬送導管224、排出搬送導管228、及び組織凍結要素220は、チャネル312と同様に、チャネル内で含有され得、それによって、低温器具202は、電気手術器具に完全に一体化される。別の例では、図2の低温システム202は、図3に関して説明されるものと同様のノズル及び減圧チューブを含む寒剤散布機構に交換され得る。
【0075】
図4Aは、本発明に従って、電気手術デバイスを使用して、生物組織焼灼の概略図を示す。図2及び図3に関して説明されるもの等の電気手術デバイス400の遠位端は、焼灼される標的組織内に挿入される。電気手術デバイス400の低温器具を使用して、電気手術デバイス400の遠位端の周囲に組織402の体積を凍結する。これは、寒剤を、寒剤搬送導管を通して、電気手術デバイス400の遠位端における組織凍結要素まで流すことによって行われる。図2の電気手術デバイスを使用する場合、リザーバ222は組織凍結要素220の先端部226を冷却するために寒剤で充満され得る。次に、組織凍結要素220は、断熱スリーブ234から外に出るように摺動され得、それにより、組織凍結要素220は、標的組織と接触し、組織402の体積を凍結させる。図3の電気手術デバイスを使用する場合、寒剤搬送導管からの寒剤は、組織402の体積を凍結するために、標的組織に噴射され得る。凍結された組織の体積402は、寒剤搬送導管を通る寒剤の流量及び/または組織凍結要素の温度(いくつかの実施形態では、ヒータを使用して、制御され得る)に依存し得る。
【0076】
いったん組織402の体積が凍結されると、マイクロ波エネルギーは、電気手術器具の放射先端部に送達され、それにより、マイクロ波エネルギーは凍結組織に印加される。矢印406によって示されるように、マイクロ波エネルギーは、凍結組織の体積402を通して及び非凍結組織404の周辺層の中に比較的低損失で伝送される。マイクロ波エネルギーは、組織404の層内の熱として急速に消散し、組織404の層の焼灼を生じさせる。組織404の層が焼灼される一方、組織402の体積は、例えば、寒剤搬送導管を通る寒剤の一定流量を維持することによって及び/または組織凍結要素の温度を制御することによって凍結された状態が維持され得る。
【0077】
電気手術デバイス400の遠位端の周辺の組織の状態(例えば、凍結または非凍結)は、組織の様々な特性を測定することによって判定され得る。例えば、電気手術デバイス400の遠位端の近くに搭載された1つ以上のセンサを使用して、温度及び/または圧力は、組織が凍結されたかどうかの指示を与えるために測定されることができる。電気手術器具は、その遠位端の周辺の組織のインピーダンスを測定し、ひいては、組織が凍結したかどうかを判定するために使用され得る。インピーダンス測定は、また、凍結された遠位端の周囲の組織の体積を推定するために使用され得る。組織のインピーダンスは、同軸供給ケーブルの下方でマイクロ波エネルギーのパルスを放射先端部に送信することによって、同軸供給ケーブルにバックするように反射されるいずれかのマイクロ波エネルギーを測定することによって、測定され得る。
【0078】
いったん層404内の組織が焼灼されると、体積402内の組織が、徐々に解凍することを可能にし得、それにより、当該組織を印加されたマイクロ波エネルギーによって徐々に焼灼することができる。組織は、寒剤搬送導管を通る寒剤の流量を減らすことによって及び/または(例えば、当該要素に搭載されるヒータを使用して)組織凍結要素の温度を増加させることによって解凍することが可能になり得る。寒剤搬送導管を通る寒剤の流量及び/または組織凍結要素の温度を適切に制御することによって、凍結された組織の体積は段階的に減り得る。各ステージにおいて、マイクロ波エネルギーは、事前に凍結された凍結組織の周辺にある組織の層を焼灼するために印加され得る。
【0079】
このプロセスは、図4Bに示される。最初に、組織層414、412、及び410は凍結され、それにより、マイクロ波エネルギーが凍結組織に印加されたとき、外側層408は焼灼され得る。次に、層410が解凍することを可能にし、層414及び層412が凍結された状態を維持し、それによって、層410はマイクロ波エネルギーによって焼灼され得る。次に、層412が解凍し、それにより、また、層412は焼灼され得る。最終的に、最内層414が解凍し、マイクロ波エネルギーの直接印加によって焼灼される。このように、焼灼されることができる組織の合計体積は、組織408の層の外側表面によって画定される。この体積は、同じ量のマイクロ波エネルギーを非凍結組織に直接印加することによって焼灼されることができる組織の体積よりもかなり大きくなり得る。
【0080】
コントローラは、焼灼プロセスの様々なステップを制御するために使用され得る。コントローラは、電気手術器具の放射先端部の周囲の治療ゾーン内の組織が凍結されたかどうかを判定するために、電気手術器具の遠位端の近くに位置する1つ以上のセンサから測定値を取得するように構成され得る。コントローラは、また、治療ゾーン内の生物組織が凍結されたかどうかを判定するために、インピーダンス測定を実施するように構成され得る。判定の結果に応じて、コントローラは、(例えば、治療ゾーン内の凍結組織の体積を増加または減少させるために)寒剤搬送導管内の寒剤の流れ及び/または組織凍結要素の温度を調節するように構成され得る。いったん、組織の所望の体積が凍結されたと判定すると、コントローラは、マイクロ波エネルギーを放射先端部に送達するように構成され得る。コントローラは、また、図4Bに関して説明されるような組織層を連続的に焼灼するように構成され得る。
【0081】
コントローラは、上記に説明した様々なステップを実施するために、コンピューティングデバイスにインストールされるソフトウェアを有する従来のコンピューティングデバイスであり得る。コンピュータは発生器102に接続され得、それにより、当該コンピュータは、電気手術器具の放射先端部へのマイクロ波エネルギーの供給を制御することができる。コンピュータは、また、寒剤供給ユニット108に接続され、(例えば、寒剤供給ユニット108内の弁を制御することによって)寒剤搬送導管を通る寒剤の流動を制御し得る。電気手術デバイス上の任意のセンサからの出力はコントローラに接続され得、それにより、コントローラはセンサから測定値を取得することができる。ヒータが電気手術装置上に配置される場合、また、その入力は、コントローラに接続され得る。このように、コントローラは、組織焼灼を行うための自動化システムを提供する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5