(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】二輪車の増補型タイヤトラクションシステム
(51)【国際特許分類】
B62J 27/00 20200101AFI20230518BHJP
B60W 40/112 20120101ALI20230518BHJP
B62D 37/02 20060101ALI20230518BHJP
B62D 37/06 20060101ALI20230518BHJP
B62J 45/41 20200101ALI20230518BHJP
【FI】
B62J27/00
B60W40/112
B62D37/02 A
B62D37/06
B62J45/41
(21)【出願番号】P 2020502529
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 US2018025571
(87)【国際公開番号】W WO2018183962
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-30
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519352595
【氏名又は名称】リット モーターズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】キム ダニエル キー ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー デイヴィッド アーサー
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-522108(JP,A)
【文献】特表2006-513075(JP,A)
【文献】特開2008-024235(JP,A)
【文献】特開平07-117757(JP,A)
【文献】特表2008-526587(JP,A)
【文献】国際公開第2015/049654(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 27/00
B60W 40/112
B62D 37/02
B62D 37/06
B62J 45/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪車両の増補型トラクションシステムであって、
前記車両の旋回のロール角を減少させて、路面上の前記車両の1又は2以上の車輪に加わる力を増加させる第1のトルクベクトルをもたらす複数のCMG(コントロールモーメントジャイロスコープ)を含むCMGシステムと、
特定の車両速度及びロール角における前記車両の前記旋回のステアリング制御をセンサデータに基づいて決定する、前記車両のステアリングシステムと、
前記車両の前記ロール角を減少させる第2のトルクベクトルをもたらす前記車両の1又は2以上の空力要素を作動させる空力制御システムと、
を備え、
前記空力制御システムは、空気力学的な力を生成して前記車両を下向きに強制し、旋回中の前記車両の利用可能なコーナリング力範囲を広げ、前記CMGシステムによって引き起こされる前記ロール角の減少を相殺することを特徴とする増補型トラクションシステム。
【請求項2】
前記CMGシステムによる前記ロール角の減少は、空力制御システムによる前記ロール角の減少と協調する、
請求項1に記載の
増補型トラクションシステム。
【請求項3】
前記車両内の重量を変位させるためのカウンターバランス機構をさらに備える、
請求項1に記載の
増補型トラクションシステム。
【請求項4】
前記1又は2以上の空力要素は、
空気力学的な力を生成する表面又は構造を含む1又は2以上の受動的空力要素、
強制空気を生成する機構を含む1又は2以上の能動的空力要素、或いは、
1又は2以上の受動的空力要素と1又は2以上の能動的空力要素との組み合わせ、
を含む、請求項1に記載の
増補型トラクションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2017年3月30日に出願された「自己平衡型二輪車の増補型トラクションシステム(Augmented Traction System for Two-Wheeled Self-Balancing Vehicle)」という名称の米国仮特許出願第62/479,202号に対する優先権を主張するものであり、この文献の内容は全体が引用として本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明の実施形態は、一般に輸送車両に関し、具体的には、例えば自己平衡型二輪車などの二輪車の増補型タイヤトラクションシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
フォーミュラ1(F1)レースカー・プラットフォームなどの車両は、空気力学的利点を使用して、空気力学的支援を受けないタイヤと道路との相互作用の自然摩擦及び重力の限界を超える。F1カーでは、スポイラーによって引き起こされる下向きの力がノーズ及びテールに加わることにより、旋回頂点(apex of turns)における最高速度が、パフォーマンスオートバイ及び空気力学的支援を受けないパフォーマンスカーよりも大幅に高い。これにより、世界中のレーストラックのファステストラップタイムをF1カーが保持しているという事実によって証明されるように、F1カーのラップタイムは大幅に短縮され、より一般的には路面上における高速旋回時のタイヤトラクションが高まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二輪オートバイは、本質的に自動車よりも重量が軽く、高いパワーウェイトレシオを有するが、一般にオートバイは、F1カーが有する空気力学的に誘発されるトラクションの利点がないことによって20~25%遅いラップタイムに制限される。例えば、シルバーストーンレースコースでのF1のファステストラップタイムは1:34.661であり、対照的にグランプリオートバイレース(MotoGP)のファステストラップタイムは2:02.888である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
別途定めのない限り様々な図全体を通じて同じ要素を同じ参照符号によって示す以下の図を参照しながら、本発明の非限定的かつ非包括的な実施形態について説明する。なお、以下の図は縮尺通りに描いていないこともあると理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態による、二輪車に加わるトラクション増補のための力を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による、二輪車の制御システムを示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による、二輪車の空力制御システムを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による、二輪車のワイヤ制御システムによるステアリングを示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による、二輪車のセンサ及び制御要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、後述する実施形態の一部又は全部を示すことができる図の説明、並びに本明細書に示す発明概念の他の潜在的な実施形態又は実装の説明を含めていくつかの詳細及び実装の説明を行う。以下では、本発明の実施形態の概要を示し、その後に図面を参照しながらさらに詳細な説明を行う。
【0008】
本発明の実施形態は、二輪車の増補型タイヤトラクションシステムを制御するための方法、装置及びシステムを説明するものである。以下の説明では、実施形態を完全に理解できるように数多くの特定の詳細を説明する。しかしながら、当業者であれば、本明細書で説明する技術は、これらの特定の詳細のうちの1つ又は2つ以上を伴わずに、或いは他の方法、コンポーネント、材料などを用いて実施することもできると認識するであろう。その他の場合、いくつかの態様を曖昧にしないように、周知の構造、材料又は動作については図示又は詳細に説明していない。
【0009】
「コントロールモーメントジャイロスコープ」又は「CMG」は、(従来、衛星及び宇宙船で使用されている)剛体の姿勢制御に応用されるジャイロスコープ(又は単純に「ジャイロ」)を意味する。姿勢制御とは、慣性座標系、又は近隣物体を含む別の実体に対する物体の向きを制御することである。ジャイロスコープは、回転するフライホイールの周囲に構築された角運動量記憶要素であり、フライホイールはトルクアクチュエータとして機能し、角運動量ベクトルを回転させると、角運動量ベクトルに垂直なトルクが回転方向に発生する。コントロールモーメントジャイロスコープ(CMG)は、一般に宇宙船などの車両姿勢制御システムにおいて使用される姿勢制御装置である。CMGは、回転するロータと、ロータの角運動量を傾ける1又は2以上の電動ジンバルとで構成される。ロータが傾くと、角運動量が変化することによって、車両を回転させるジャイロトルクが発生する。
【0010】
いくつかの実施形態では、CMG増補型トラクションシステム(CATS)が、複数の共同する制御システムを利用することによって路面上における二輪車(例えば、オートバイ、又はバイク)のタイヤトラクションを増加させ、複数の制御システムは、二輪車の1又は2以上のCMG(又は「CMGアレイ」)を利用するジャイロ安定システム(以下、「CMGシステム」)と、二輪車の1又は2以上の空力要素又は空力面を作動させる1又は2以上の空力制御システムと、純粋に機械的なリンケージステアリングシステム、又はドライブ・バイ・ワイヤ・ステアリングシステムを含む、二輪車の操舵を行うためのステアリングシステムとを含む。本明細書で使用するドライブ・バイ・ワイヤ・ステアリングシステム、又はステア・バイ・ワイヤ・システムという用語は、一般に電気的又は電気機械的(電気機械)ステアリングシステムの使用を意味する。
【0011】
いくつかの実施形態では、複数の制御システムが、二輪車の旋回を使用するCMGアレイのダイナミックレンジが大きくなるようにCMGを付勢する偏った不均衡を生じるカウンターウェイトを与えるカウンターバランス制御システムをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、CMGシステム、空力制御システム及びステアリングシステムが、共同して二輪車に増補的タイヤトラクションをもたらす。
【0013】
いくつかの実施形態では、ステア・バイ・ワイヤ・システムが、特定のロール角を含む旋回時にバイクのステアリング制御を生成し、旋回時にCMGシステムを利用して、遠心トルクとは逆のトルクをもたらすトルクをバイクに与えて旋回中のバイクのロール角を減少させ、空力制御システムが、例えば揚力などの空気力学的な力を生成してバイクを下向きに強制し、旋回中のバイクの利用可能なコーナリング力範囲を広げ、従ってCMGシステムによって引き起こされるロール角の減少を相殺する。いくつかの実施形態では、制御システムの組み合わせが、路面上における二輪車の増補的タイヤトラクションを可能にする。
【0014】
いくつかの実施形態では、CMGシステムが、増補的トラクション旋回を開始するために、旋回に入る制御を維持するために必要な歳差限度(precession margin)を上回ることなくCMGアレイに逆旋回方向のバイアスを「充填(load)」して旋回を開始する。このようにして、車両は、旋回から回復する能力を保持しながら、歳差運動量、又は角運動量の飽和限度(margin of saturation)を拡大する。このCMGアレイへの方向性バイアスの充填を使用して、増補的トラクションの持続時間又は容量を増加させる。車両は、CMGへの充填のために空力制御及び車両のロールバイアスの一方又は両方を利用する。
【0015】
いくつかの実施形態では、さらなるカウンターバランスシステムが、所望の旋回とは逆方向のバイアス不均衡をもたらすカウンターウェイトを与えるバイアスバラスト(bias ballast)を含む。バイアスバラストは、ジャイロの歳差運動と、車両を所望の方向にロールさせて増補的トラクションの持続時間又は容量を増加させるためのさらに大きな飽和限度の構築とを可能にする。本明細書における「歳差運動する(precess)」又は「歳差運動(precession)」という用語の使用は、この例では1又は2以上のCMGの回転軸の向きの変化である回転体の回転軸の向きの変化を意味する。
【0016】
いくつかの実施形態では、二輪車の空力制御システムが、1又は2以上の空力要素と、1又は2以上の空力要素の作動を制御する制御要素とを含む。いくつかの実施形態では、1又は2以上の空力要素が、例えば揚力などの空気力学的な力を生成するいずれかの表面又は構造(例えば、ラダー、エルロン(aileron)、車体、又は他の同様の空力要素)などの受動的空力要素、強制空気を生成するいずれかの機構(例えば、ジェットタービン、又は他の同様の装置)などの能動的空力要素、或いは受動的空力要素と能動的空力要素との組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、空力システムが、1又は2以上の空力要素の作動を通じて、旋回時にバイクに下向きの力を与える。
【0017】
空力要素は、増補的トラクションモードのためにロール軸を指示して車両を傾け又は傾斜させて旋回させる空力制御を使用して、特定の旋回半径及び速度を所与とする所望の傾き又は傾斜角(トリム条件)を超えて車両をロールさせる傾向にある。車両状態の姿勢の「オーバーロール(over roll)」は、水平下向きの力ベクトルによってもたらされる、所望のトリム条件を超えて車両を下向きに傾けるための力である。
【0018】
いくつかの実施形態では、センサネットワーク上の複数のセンサと、アクチュエータネットワーク上のモータ及びモータコントローラと、閉ループ制御モデル内の中央CPUとを使用して(2又は3以上のCMGを含む)CMGアレイによって作動され内蔵電源によって給電されるジャイロ安定システムによってさらなる車両姿勢制御が管理される。システムは、逆方向の上向き水平の力を使用して、車両を指定旋回半径にとって最適なトリム条件へと逆ロールさせるように働く。この旋回中におけるCMG安定システムの逆ロールは、車両の重心(CG)近くの仮想的ロール中心において回転する。この安定プロセス中には、車両フレームを通じて、車両の仮想的ロール中心、車両タイヤと地面との接点において回転力が伝わり、タイヤに下向き水平の力が加わって車両のタイヤと地面との摩擦係数を高める。摩擦係数が高くなると旋回時のトラクションが高まり、緩んだ表面上でも車両が高速又は高安定性を維持することができる。
【0019】
図1は、本発明の実施形態による、二輪車に加わるトラクション増補のための力を示す
図100である。いくつかの実施形態では、二輪車が、車両シャーシ140に固定されたCMGアレイ105を含み、CMGアレイは、車両の重心110を中心とするロールトルクをもたらすことによって、路面145上におけるタイヤ相互作用(120)を高めるように作用する下向きの力ベクトルであるCMG/トラクション力ベクトルを車両のタイヤ115上に生成するとともに、旋回時の意図される車両の傾きに逆らって作用する上向きのトルクベクトル125をさらにもたらす。いくつかの実施形態では、トリムラダー又はその他の空力要素130が、さらなる下向きのトルクベクトル135を与えることによってCMGトルクベクトル125を相殺する。
【0020】
図2は、ある実施形態による、二輪車の制御システムを示す図である。いくつかの実施形態では、車両状態プロセッサ251が、(ステアリング角、水平加速度及び前進速度のうちの1つ又は2つ以上を含む)現在の車両状態256を利用して、現在の条件にとって適切な車両の傾き又は傾斜角範囲210を決定し、車両傾斜センサ260を利用してこれを(ロールモーメント230を含む)車両の現在の傾き又は傾斜角220と比較して車両傾斜誤差240を決定する。ジャイロ制御プロセッサ250は、この車両傾斜誤差を利用して、車両を所望の傾斜角範囲210に戻すのに又は所望の傾斜角範囲210内に維持するのに十分なカウンタートルクであるジャイロ傾斜速度270をもたらすために必要なCMGシステムのジャイロへの歳差軸入力(precession axis input)を決定する。
【0021】
いくつかの実施形態では、車両のセンサが、車両の安定性及び機敏性を高めるための追加データを提供する、各ジャイロのフライホイールに結合されたフライホイール状態センサと、車両慣性状態センサ570と、車両絶対状態センサ580と、車両状態センサ590をと含む(
図5)。
【0022】
図3は、ある実施形態による、二輪車の空力制御システム300を示す図である。いくつかの実施形態では、空力制御要因が、車両のステアリング角305と、車両の速度310と、車両のロール角315と、車両のロール比320とを含む。いくつかの実施形態では、このような要因に基づいて、プロセスが空力スケジュール及び制御330を生成する。いくつかの実施形態では、空力スケジュール及び制御330に応答して、空力アクチュエータ335がラダー、エルロン又は車体形状などの空力要素を作動させる。いくつかの実施形態では、空力要素が、CMGベクトルに対抗する(さらなるトラクションをもたらす)下向きの力ベクトルを与える。
【0023】
図4は、ある実施形態による、二輪車のステア・バイ・ワイヤ・ステアリングシステム400を示す図である。いくつかの実施形態では、二輪車のプロセッサ又はコントローラが、車両のステアリング角405及び速度410に基づいてロール角415を計算する。いくつかの実施形態では、425において、実際のロール角420を計算されたロール角415と比較する。いくつかの実施形態では、430において比較結果に第1の利得係数を乗算し、440においてロール比435と比較する。いくつかの実施形態では、445において、ロール比435との比較結果440に第2の利得係数を乗算し、この結果をステアリングアクチュエータ450に提供して車両のステアリング量を制御する。
【0024】
図5は、ある実施形態による、二輪車の制御システムを示す図である。いくつかの実施形態では、ジャイロ状態プロセッサ550が、各フライホイールに結合されたフライホイール状態センサ560から入力を受け取る。フライホイール状態センサは、車両フレーム又はシャーシに対するフライホイール傾斜角、フライホイール傾斜速度(すなわち、歳差モータがその歳差軸の周囲でフライホイールを回転させる回転速度)、及びフライホイールディスク速度(すなわち、フライホイールディスクの回転軸を中心とした回転速度)のうちの1つ又は2つ以上を含む重要な測定値を示す信号を生成する。いくつかの実施形態では、ジャイロ状態プロセッサ550が、この情報を利用して、ジャイロ安定器が車両に及ぼす実際のモーメントの瞬間的な大きさ及び方向を判定し、システムコンポーネントの健全性を判定し、内部的な最適化を行ってジャイロ安定化システム(すなわち、ジャイロ状態555)の長期使用を可能にする。
【0025】
いくつかの実施形態では、車両状態プロセッサ551が、車両慣性状態センサ570、車両絶対状態センサ580及び車両状態センサ590のうちの1つ又は2つ以上から入力を受け取って車両状態556を判定する。各センサは、関連するノイズフィルタ505A、505B、505C及び505Dを有する。ジャイロ制御プロセッサ553は、ジャイロ状態555及び車両状態556を使用して、フライホイールモータ557A及び557B、並びにフライホイール傾斜サーボ558A及び558Bへのコマンドを制御する。車両プロセッサ554は、車両状態556を使用して、残りの車両アクチュエータ559のためのコマンドを生成する。慣性状態センサ570は、車両の回転加速度及び線形加速度、速度及び位置のうちの1つ又は2つ以上を示す電子信号を生成する。車両絶対状態センサ580は、車両傾斜角の方向及び大きさ、車両の移動方向、対地速度、並びに電子コンパス及びGPS受信機を含むセンサによって提供される絶対地理的位置のうちの1つ又は2つ以上を示す電子信号を生成する。車両状態センサ590は、駆動輪速度(すなわち、車両の各駆動輪の回転速度)と、ブレーキ状態(すなわち、車両駆動輪の回転速度の減少率)と、(加速度計を介した)アクセル及びブレーキ、並びにステアリングユニットを通じて命令された車両の旋回半径を提供するステアリングセンサを通じた車両へのユーザ入力とを示す電子信号を生成する。ユーザ入力は、ドライバー、コンピュータプログラムからの入力を含むことができる。
【0026】
上記の説明は、例示的なものであって限定的なものではないと理解されたい。当業者には、上記の説明を読んで理解した時点で他の多くの実施形態が明らかになるであろう。従って、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲、並びにこのような特許請求の範囲が権利を有する同等物の全範囲を参照して決定されるべきである。
【0027】
上記の詳細な説明の一部は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号的表現の観点から示したものである。これらのアルゴリズムによる記述及び表現は、データ処理技術における当業者が自らの研究内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段である。ここでは、及び一般的に、アルゴリズムとは、望ましい結果をもたらす首尾一貫した一連の演算であると考えられる。これらの演算は、物理量の物理的操作を必要とするものである。これらの量は、必ずというわけではないが、通常は、記憶、転送、合成、比較及び他の形の操作が可能な電気又は磁気信号の形を取る。主に共通使用という理由で、時にはこれらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などと呼ぶことが便利であると分かっている。
【0028】
しかしながら、これらの及び同様の用語は、全て適切な物理量に関連付けられるべきものであり、またこれらの量に与えられた便利な表記に過ぎないことに留意されたい。上記の説明から明らかなように、特に別途述べていない限り、説明全体を通じて「取り込む(capturing)」、「送信する(transmitting)」、「受け取る(receiving)」、「解析する(parsing)」、「形成する(formin)」、「モニタする(monitoring)」、「開始する(initiating)」、「実行する(performing)」又は「追加する(adding)」などの用語を利用した説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(例えば、電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ、又はその他のこのような情報ストレージ、送信又は表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変形させるコンピュータシステム又は同様の電子コンピュータ装置の動作及びプロセスを意味すると理解されたい。
【0029】
本開示の実施形態は、回路、ロジック又はプロセッサ実行ソフトウェアモジュールを介して本明細書における動作を実行するための装置にも関する。この装置は、必要な目的のために特別に構成することも、或いはコンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを含むこともできる。このようなコンピュータプログラムは、以下に限定されるわけではないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び光磁気ディスクを含むあらゆる種類のディスク、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、或いは電子命令を記憶するのに適したあらゆるタイプの媒体などの非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。
【0030】
上記の詳細な説明の一部は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号的表現の観点から示したものである。これらのアルゴリズムによる記述及び表現は、データ処理技術における当業者が自らの研究内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段である。ここでは、及び一般的に、アルゴリズムとは、望ましい結果をもたらす首尾一貫した一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。
【0031】
しかしながら、これらの及び同様の用語は、全て適当な物理量に関連付けられるべきものであり、またこれらの量に与えられた便利な表記に過ぎないことに留意されたい。上記の説明から明らかなように、特に別途述べていない限り、説明全体を通じて「決定する(determining)」、「分析する(analyzing)」又は「駆動する(driving)」などの用語を利用した説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(例えば、電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ、又はその他のこのような情報ストレージ、送信又は表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変形させるコンピュータシステム又は同様の電子コンピュータ装置の動作及びプロセスを意味すると理解されたい。
【0032】
上述したアルゴリズム及び表示は、本質的にいずれかの特定のコンピュータ又はその他の装置に関連するものではない。本明細書の教示に従うプログラムと共に様々な汎用システムを使用することもでき、或いは必要な方法ステップを実行するために、より特殊化した装置を構成することが便利であると証明することもできる。以下の説明からは、様々なこれらのシステムに必要な構造が明らかになるであろう。また、本開示は、いずれかの特定のプログラミング言語に関連して説明したものではない。様々なプログラミング言語を用いて、本明細書で説明した本開示の教示を実装することができると理解されるであろう。
【0033】
本明細書全体を通じて行った「1つの実施形態」又は「ある実施形態」に対する言及は、これらの実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、上記明細書を通じて様々な箇所で出現する「1つの実施形態では」又は「ある実施形態では」という表現は、必ずしも全てが同じ実施形態について言及しているわけではない。さらに、これらの特定の特徴、構造又は特性を1又は2以上の実施形態においてあらゆる好適な形で組み合わせることもできる。
【0034】
特定の実施形態を参照しながら説明目的で本説明を行った。しかしながら、上記の例示的な説明は、包括的であることや、又は開示した詳細な形に本開示を限定することを意図したものではない。上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。実施形態は、本開示の原理及びその実際の応用を最も良く説明することによって、他の当業者が様々な実施形態を検討される特定の使用に適するように様々に修正して最も良く利用できるようにするために選択し説明したものである。
【0035】
方法及びプロセスは、特定のシーケンス又は順序で示しているが、特に定めがない限り、動作順は変更することができる。従って、上述した方法及びプロセスは例示にすぎないと理解すべきであり、異なる順序で実行することも、いくつかの動作を並行して実行することもできる。また、本発明の様々な実施形態では1又は2以上の動作を省略することもでき、従って全ての実装において全ての動作が必要であるとは限らない。他のプロセスフローも可能である。
【符号の説明】
【0036】
100 二輪車に加わるトラクション増補のための力を示す図
105 CMGアレイ
110 CMG回転の仮想的中心
115 タイヤ
120 CMGトラクション力ベクトル
120 下向きのタイヤ相互作用
125 CMGトルクベクトル
130 トリムラダー又はその他の空力要素
135 ラダートルクベクトル
140 車両シャーシ
145 路面