(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】現場硬化パイプ用硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 59/06 20060101AFI20230518BHJP
C08G 59/40 20060101ALI20230518BHJP
B29C 63/30 20060101ALI20230518BHJP
B29K 63/00 20060101ALN20230518BHJP
B29L 23/00 20060101ALN20230518BHJP
【FI】
C08G59/06
C08G59/40
B29C63/30
B29K63:00
B29L23:00
(21)【出願番号】P 2021512921
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 US2018050008
(87)【国際公開番号】W WO2020050858
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】521091251
【氏名又は名称】パイプフュージョン シーアイピーピー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PipeFusion CIPP Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ナーラカージ, リチャード イー.
(72)【発明者】
【氏名】ウルビエタ, ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】デジサス, ラダメス
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-514755(JP,A)
【文献】特開2010-202874(JP,A)
【文献】特開平04-044830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G,B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体を含む樹脂、および、
(b)1または2以上の硬化剤、
を含む硬化性組成物
(ただし、硬化剤としてジシアンジアミドを含む場合を除く)であって、
前記硬化剤の重量%に対する前記樹脂の重量%の比は、12:1~15:1であ
り、
1または2以上の前記硬化剤の少なくとも1つが式(II)の硬化剤である硬化性組成物。
【化1】
(式中、Rは、C
1
~C
6
のアルキレン鎖であり、ここで、ヒドロキシル基は、前記アルキレン鎖の任意の炭素原子に結合していてもよく、R
1
およびR
2
は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1
~C
20
アルキル、任意に置換されたC
2
~C
20
アルケニル、C
1
~C
20
ハロアルキル、C
2
~C
20
ハロアルケニル、または任意に置換されたC
6
~C
10
アリールであり、Xは、カルボン酸アニオンである。)
【請求項2】
1または2以上の前記硬化剤の少なくとも1つが式(III)の硬化剤である、請求項
1に記載の硬化性組成物。
【化2】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20アルキル、任意に置換されたC
2~C
20アルケニル、C
1~C
20ハロアルキル、C
2~C
20ハロアルケニル、または任意に置換されたC
6~C
10アリールであり、Xは、カルボン酸アニオンである。)
【請求項3】
Xが1~40個の炭素原子を含むカルボン酸のカルボン酸アニオンである、請求項
2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記硬化剤の重量%に対する前記樹脂の重量%の比が、12:1~14:1である、請求項
3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
21℃の温度で12時間から24時間のゲル化時間を有する、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
現場硬化ライナーを硬化する方法であって、
(i)前記現場硬化ライナーをパイプ内に配置すること、および、
(ii)前記現場硬化ライナーを加熱することを含み、
前記現場硬化ライナーは、
請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性組成物を含
む、方法。
【請求項7】
前記現場硬化ライナーが60℃~85℃の温度に加熱される、請求項
6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
[0001]エポキシ樹脂および硬化剤を含む硬化性組成物は、当技術分野において周知である。硬化性組成物の1つの一般的な用途は、既存のパイプライン(例えば、下水または化学パイプライン)を修理するプロセスである。このプロセスの間に、硬化可能な組成物が充填されたライナーが、損傷したパイプに挿入されるかまたは引っ張られる。一旦所定の位置に配置されると、硬化性組成物は、熱水ブラダまたは蒸気で硬化されて、ぴったりと適合する置換パイプを形成する。その結果得られた製品は、硬化された適所のパイプとみなされ、ほとんどまたは全く掘削を必要とせずにパイプの継ぎ目のない修理を可能にし、それによって、このプロセスを代替方法よりもコスト効率の高いものにする。
【0002】
[0002]硬化された現場適用に適切に適用される硬化性組成物のために、硬化性組成物は、(i)損傷したパイプへの装着中に管理可能であるのに十分な潜伏期間(すなわち、ゲルを形成する時間)を有し、(ii)パイプを充填し適合性を維持するのに十分な構造的完全性を有し、かつ(iii)温水ブラダ(bladder)またはスチームに適合する温度で効率的に硬化しなければならない。 望ましい品質(i)、(ii)、および(iii)を有する硬化性組成物を提供するための従来の方法は、エポキシ樹脂または硬化剤の構造を変化させること、粘度を低下させ潜伏期間を増加させるために希釈剤を添加すること、および硬化時間を低下させるために促進剤を添加することを含む。
【0003】
[0003]既存の硬化性組成物は、所望の品質(i)、(ii)、および(iii)の1つ以上に対して不十分な結果を提供する。また、経済的な生産も必要である。例えば、従来の硬化性組成物は、典型的には、熱水ブラダまたはスチームに適合する温度で効率的に硬化するために高レベルの硬化剤または促進剤を必要とし、または、損傷したパイプへの装着中に管理可能であるために、粘度を低下させ、十分な潜伏期間(すなわち、ゲルを形成する時間)を有する希釈剤を必要とする。このような追加の成分は、硬化性組成物の製造に必要な材料および装置に関連するコストを増加させる。
【0004】
[0004]したがって、(i)損傷したパイプへの挿入を可能にするのに十分な潜伏期間(すなわち、ゲルを形成する時間)を有し、(ii)パイプを充填し適合性を維持するのに十分な構造的完全性を有し、および/または(iii)温水ブラダまたは蒸気と適合する温度で効率的に硬化する、改良された硬化性組成物に対する当該技術分野でのニーズは満たされていない。
【0005】
[発明の概要]
[0005]本発明は、(a)4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体を含む樹脂、および(b)1または2以上の硬化剤を本質的に含む、またはこれらからなる硬化性組成物であって、硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比が、約12:1~約15:1である硬化性組成物を提供する。
【0006】
[0006]本発明はさらに、(a)4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体を含む樹脂、および(b)1または2以上の硬化剤を本質的に含む、またはそれからなる硬化性組成物を提供し、ここで、1または2以上の硬化剤の少なくとも1つは式(II)のものである。
【化1】
(式中、Rは、C
1~C
6のアルキレン鎖であり、ここで、ヒドロキシル基は、アルキレン鎖の任意の炭素原子に結合することができ;R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
1~C
20ハロアルキル、C
2~C
20ハロアルケニル、またはC
6~C
10アリールであり;Xは、カルボン酸アニオンであり、ここで、硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比率は、約12:1~約15:1である。)
【0007】
[0007]本発明はまた、現場硬化ライナー(cured-in-place liner)を硬化する方法を提供し、この方法は、(i)現場硬化ライナーをパイプ内に配置すること、および(ii)現場硬化ライナーを加熱することを含み、ここで、現場硬化ライナーは、(a)4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体を含む樹脂、および(b)1または2以上の硬化剤を含む、またはそれらから本質的になる硬化性組成物を含み、ここで、硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比が、約12:1~約15:1である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]図は、実施例に記載の硬化性組成物が示す21℃の温度でのポットライフ(すなわち、潜伏期間またはゲル化時間)を示す。
【0009】
[発明の詳細な説明]
[0009]本発明は、(a)4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体を含む樹脂、および(b)1または2以上の硬化剤を本質的に含む、またはこれらからなる硬化性組成物であって、硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比が、約12:1~約15:1である硬化性組成物を提供する。
【0010】
[0010]硬化剤の重量百分率に対する樹脂の重量百分率の比が約12:1~約15:1である本明細書に記載の本発明の硬化性組成物は、損傷したパイプへの装着中に管理可能であり、パイプを満たし適合性を維持するのに十分な構造的完全性を有し、熱水ブラダまたはスチームに適合する温度で効率的に硬化するのに十分な潜伏期間(すなわち、ゲルを形成する時間)を提供する。換言すれば、本発明の硬化性組成物は、(i)硬化性組成物が取り扱いやすく操作しやすいように硬化前にあまりにも粘性ではなく、(ii)硬化性組成物が構造的完全性を維持するように硬化前にあまりにも流動性が高くない(すなわち、低粘度)、および(iii)組成物が理想的な潜伏期間および硬化時間および温度を有するように硬化剤に対する樹脂の望ましい比率を有する。
【0011】
[0011]硬化性組成物は、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体を含む樹脂を含む。本明細書で使用される用語「4,4’ーイソプロピリデンジフェノールーエピクロロヒドリン共重合体」は、モノマー4,4’ーイソプロピリデンジフェノール(「ビスフェノールーA」)およびエピクロロヒドリンから誘導されるポリマーを指す。本明細書において、ポリマーに言及する場合の「誘導された」とは、ポリマーが、前記試薬またはモノマーを含む製剤から合成されたことを意味する。 従って、ポリマーは、モノマー単位が製造されたモノマーと実質的に同じ構造のモノマー単位を含む。例えば、4,4’ーイソプロピリデンジフェノールーエピクロロヒドリン共重合体の形成中に、エピクロロヒドリンの全て又は実質的に全てが、もはや塩素原子及び/又はエポキシド基を有しないように変換される。
【0012】
[0012]4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は、モノマー、4,4’-イソプロピリデンジフェノール及びエピクロロヒドリンに由来するモノマー単位を任意の適切な比率で有することができる。4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体またはグラフトコポリマーとして存在することができる。典型的には、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は交互共重合体である。 一実施形態では、4,4’-イソプロピリデンジフェノールおよびエピクロロヒドリンから誘導されるモノマー単位は、約1:1のモル比で存在することができる。
【0013】
[0013]4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は、硬化前に任意の好適な分子量、例えば重量平均分子量を有することができる。4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は、約10,000Da以下、例えば約8,000Da以下、約6,000Da以下、約5,000Da以下、約4,000Da以下、約2,000Da以下、または約1,000Da以下の重量平均分子量を有することができる。あるいは、またはさらに、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は、約400Da以上、例えば、約500Da以上、約600Da以上、約700Da以上、約800Da以上、または約900Da以上の重量平均分子量を有することができる。したがって、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は、上記の2つのエンドポイントのいずれかによって制限される重量平均分子量を有することができる。例えば、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は、約400Daから約10,000Da、約400Daから約8,000Da、約400Daから約6,000Da、約400Daから約5,000Da、約400Daから約4,000Da、約400Daから約2,000Da、約400Daから約1,000Da、約500Daから約10,000Da、約600Daから約10,000Da、約700Daから約10,000Da、約800Daから約10,000Da、約900Daから約10,000Da、または約800Daから約5,000Daの重量平均分子量を有することができる。
【0014】
[0014]一実施形態では、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は以下の式のものである。
【化2】
ここで、nは0~約20の整数(例えば、0~約10、0~約5、1~約20、1~約10、1~約5、2~約20、2~約10、または2~約5)である。好ましい実施形態では、nは0~約10までの整数である。いくつかの実施態様において、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は、ヘクシオン社(オハイオ州コロンバス)から市販されているEpon
TMレジン828である。
【0015】
[0015]樹脂は、任意の適切な量の4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体を含むことができる。樹脂は、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体の約80重量%以上、例えば、約82重量%以上、約84重量%以上、約85重量%以上、約86重量%以上、約88重量%以上、約90重量%以上、約92重量%以上、約94重量%以上、または約95重量%以上を含むことができる。あるいは、またはさらに、樹脂は、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体の100重量%以下、例えば、99.9重量%以下、99.5重量%以下、約99重量%以下、約98重量%以下、約97重量%以下、約96重量%以下、または約95重量%以下を含むことができる。したがって、樹脂は、前述の任意の2つのエンドポイントによって制限される量の4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体を含むことができる。例えば、樹脂は、約80重量%~100重量%の4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体、或いは、約82重量%~100重量%、約84重量%~100重量%、約85重量%~100重量%、約86重量%~100重量%、約88重量%~100重量%、約90重量%~100重量%、約92重量%~100重量%、約94重量%~100重量%、約95重量%~100重量%、約80重量%~99.9重量%、約80重量%~99.5重量%、約80重量%~約99重量%、約85重量%~約95重量%、約90重量%~約99.9重量%、約90重量%から約99.5重量%、約90重量%~99約重量%、約90重量%~約95重量%、又は約95重量%~約99.9重量%含むことができる。
【0016】
[0016]4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は、硬化前に任意の適切な固有粘度を有することができる。いくつかの実施形態では、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は、22℃の温度で貯蔵した場合、約5,000cps~約20,000cps(例えば、約5,000cps~約15,000cps、約5,000cps~約12,000cps、約10,000cps~約20,000cps、約10,000cps~約15,000cps、約10,000cps~約14,000cps、約10,000cps~約12,000cps、または約11,000cps~約12,000cps)の固有粘度を有する。好ましい態様において、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体は、22℃の温度で貯蔵した場合、約11,000cps~約12,000cpsの固有粘度を有する。
【0017】
[0017]好ましい態様では、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体が樹脂の唯一の成分である。そのような態様において、樹脂は、硬化性組成物(例えば、希釈剤またはジシアンジアミドなどの硬化剤)に対して材料効果を有する任意の他の成分(すなわち、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体以外)を含まない。ある態様において、樹脂は、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体から本質的になるか、またはそれからなる。樹脂が本質的に4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体からなる場合、樹脂中に存在する他の成分は、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体の形成に必要な出発物質であり得る。樹脂が4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体からなる場合、4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体が樹脂の唯一の成分である。
【0018】
[0018]いくつかの態様において、硬化性組成物は、希釈剤をさらに含む。希釈剤は、硬化性組成物の粘度を改変するために使用される任意の物質であり得る。例えば、希釈剤は、単官能性エポキシドであり得る。例えば、単官能エポキシドは、エチレン、プロピレン、ブチレン、スチレン、シクロヘキセンなど、およびそれらの組合せのエポキシドであり得る。いくつかの態様において、希釈剤は、単官能エポキシドのグリシジルエーテルである。例えば、希釈剤は、任意のC4~C14脂肪族または芳香族アルコール(例えば、フェノール、クレゾール、テルチバテイルフェノル、ブタノール、または2-エチルヘキサノール)のグリシジルエーテルであり得る。
【0019】
[0019]ある態様において、希釈剤は、単官能グリシジルエーテルである。本明細書中で使用される場合、用語「単官能グリシジルエーテル」は、エーテル部分を含む化合物を指し、ここで、エーテル部分は、グリシドールの第一級アルコール置換基と、アルキルアルコール、アリールアルコール、アリールアルキルアルコール、ヘテロアリールアルコール、またはヘテロアルキルアルコールのヒドロキシル基との間に形成されている。特定の実施形態では、単官能グリシジルエーテルは、エーテル部分を含む化合物であり、ここで、エーテル部分は、グリシドールの第一級アルコール置換基と、直鎖または分岐の飽和または不飽和アルキルアルコールとの間に形成されている。好ましい態様において、単官能グリシジルエーテルは、エーテル部分を含む化合物であり、ここで、エーテル部分は、グリシドールの第一級アルコール置換基とC
12~C
14アルキルアルコール(「アルキルC
12~C
14グリシジルエーテル」)との間に形成されている。いくつかの態様において、単官能グリシジルエーテルは、式のもの
【化3】
または、これらの組み合わせである。例えば、単官能性グリシジルエーテルは、エボニック・インダストリーズ(エッセン、ノースライン、ヴェストファリア、ドイツ)から市販されているEPODIL(登録商標)748であり得る。
【0020】
[0020]硬化性組成物は、任意の適切な量の希釈剤(例えば、単官能グリシジルエーテル)を含むことができる。硬化性組成物は、0.1重量%以上の希釈剤、例えば0.5重量%以上、約1重量%以上、約2重量%以上、約3重量%以上、約4重量%以上、または約5重量%以上を含むことができる。あるいは、またはさらに、硬化性組成物は、約20重量%以下の希釈剤、例えば、約18重量%以下、約16重量%以下、約15重量%以下、約14重量%以下、約12重量%以下、約10重量%以下、約8重量%以下、約6重量%以下、または約5重量%以下を含むことができる。従って、硬化性組成物は、上記の任意の2つのエンドポイントによって制限される量の希釈剤を含むことができる。例えば、硬化性組成物は、約20重量%までの希釈剤、或いは、約18重量%までの、約16重量%までの、約15重量%までの、約14重量%までの、約12重量%までの、約10重量%までの、約8重量%までの、約6重量%までの、約5重量%までの、0.1重量%から約20重量%までの、0.1重量%から約10重量%までの希釈剤、0.1重量%から約5重量%までの、0.5重量%から約20重量%までの、約1重量%から約20重量%までの、、約5重量%から約15重量%までの、0.1重量%から約10重量%までの、約0.5重量%から約10重量%までの、約1重量%から約10重量%までの、約5重量%から約10重量%までの、約0.1重量%から約5重量%までの、又は約1重量%から約5重量%までの希釈剤を含むことができる。いくつかの態様において、硬化性組成物は、0.1重量%から約20重量%までの希釈剤を含む。ある態様において、硬化性組成物は、約1重量%から約10重量%までの希釈剤を含む。
【0021】
[0021]硬化性組成物は、1または2以上の硬化剤を含む。本明細書で使用される「硬化剤」という用語は、樹脂と反応してポリエーテル基を含むネットワーク化ポリマーを生成することができる任意の化合物を指す。一般に、硬化性組成物は、樹脂および1または2以上の硬化剤を含み、ここで、硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比は、約12:1~約15:1(例えば、約12:1~約14:1、約12:1~約13:1、約13:1~約15:1、約14:1~約15:1、約13:1~約14:1、約12:1、約13:1、約14:1、または約15:1)である。特定の実施形態では、1または2以上の硬化剤に対する樹脂の重量百分率比は、約12:1~約14:1である。好ましい態様において、1または2以上の硬化剤に対する樹脂の重量百分率比は約12:1である。
【0022】
[0022]典型的には、硬化剤は三級アミンのカルボン酸塩である。いくつかの態様において、1つ以上の硬化剤のうちの少なくとも1つは、式(I)のものである。
【化4】
(式中、Aは-O-、―CH
2-、または-NR’-であり、R’は水素または任意に置換されたC
1~C
10アルキルまたはC
2~C
10アルケニル基であり、RはC
1~C
6アルキレン鎖であり、ここで、ヒドロキシル基はアルキレン鎖の任意の炭素原子に結合することができ、R
1およびR
2はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
1~C
20ハロアルキル、C
2~C
20ハロアルケニル、またはC
6~C
10アリールであり、Xはカルボン酸アニオンである。)
【0023】
[0023]本明細書で使用される場合、語句「C1~C10アルキル基」とは、1~10(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10)個の炭素原子を含む化学置換基を意味する。C1~C10アルキル基は飽和であり、アルキル基がC2~C10である場合には不飽和(すなわち、アルケニル)であり、アルキル基がC3~C10である場合には分岐、直鎖、環状、またはこれらの組み合わせであることができる。C1~C10アルキルまたはC2~C10アルケニル基の例示的リストは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、neo-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、または4-ペンテニルを含む。特定の実施形態では、C1~C10アルキルまたはC2~C10アルケニル基は、例えば、1以上のアルキル置換基、アリール置換基、ヘテロ原子、例えば、O、S、またはN、またはそれらの任意の組合せでさらに置換される。ある態様において、Aは-O-、-CH2-、または-NH-である。
【0024】
[0024]本明細書で使用される「置換された」という用語は、指定された原子または基上の1個以上の水素が、指定された原子の通常の原子価を超えない限り、別の基で置換されることを意味する。例えば、置換基がオキソ(すなわち=O)である場合、炭素原子上の2個の水素が置換される。置換基の組合せは、その置換が硬化剤の合成または使用に著しい悪影響を及ぼさない限り許容される。
【0025】
[0025]Rは、C1~C6のアルキレン鎖であり、ここで、ヒドロキシル基は、アルキレン鎖の任意の炭素原子に結合して存在することができる。本明細書中で使用される場合、語句「C1~C6アルキレン鎖」は、1~6個の炭素原子を含有する2価のアルキル鎖(すなわち、2つの異なる原子、例えば、窒素原子および酸素原子に結合することができる)を指す。C1~C6のアルキレン鎖は、鎖がC3~C6のアルキレンである場合、飽和、分岐、直鎖、環状、またはそれらの組合せであることができる。ヒドロキシル基は、ヒドロキシル基が第一級アルコール、第二級アルコール、または第三級アルコールを形成するように、C1~C6アルキレン鎖の任意の炭素原子に結合することができる。ある態様において、ヒドロキシル基は、ヒドロキシル基が第一級アルコールを形成するように、C1~C6アルキレン鎖に結合している。
【0026】
[0026]R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、C1~C20ハロアルキル、C2~C20ハロアルケニル、またはC6~C10アリールである。本明細書中で使用される場合、語句「C1~C20アルキル」は、1~20(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20)個の炭素原子を含む化学置換基を意味する。C1~C20アルキル基は飽和、不飽和(すなわち、C2~C20アルケニル)、アルキル基がC3~C20である場合、分岐、直鎖、環状、またはそれらの組合せであることができる。C1~C20アルキルまたはC2~C20アルケニル基の例示的リストは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、neo-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、または4-ペンテニルである。特定の実施形態では、C1~C20アルキルまたはC2~C20アルケニル基は、1以上のアルキル置換基、アリール置換基、ヘテロ原子、またはそれらの組み合わせでさらに置換される。本明細書中で使用される場合、語句「C1~C20ハロアルキル」は、1以上のハロゲン(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)で置換されたC1~C20アルキルを指す。特定の実施態様では、C1~C20ハロアルキルまたはC2~C20ハロアルケニルは、過フッ素化置換基である。本明細書中で使用される場合、語句「C6~C10アリール」は、6~10(すなわち、6、7、8、9または10)個の炭素原子含む芳香族化学置換基を意味する。ある態様において、C6~C10アリール基の1つ以上の炭素原子は、C6~C10アリール基の芳香族性が維持される限り、窒素原子で置換され得る。C6~C10アリール基の例示的リストは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、およびピリジルである。特定の実施形態では、C6~C10アリール基は、1つ以上のアルキル置換基、ヘテロ原子、またはそれらの組み合わせでさらに置換される。
【0027】
[0027]本明細書で使用される「独立した」および「独立して」という用語は、1つ以上の構成要素(例えば、R1および/またはR2)を指す場合、各置換基がリストから個々に選択され、同じであっても異なっていてもよいことを意味する。
【0028】
[0028]ある態様において、1または2以上の硬化剤の三級アミン成分は、式(I)のものであり、N-ヒドロキシプロピルピペリジン、N-ヒドロキシエチルモルフォリン、2-メチル-N-ヒドロキシエチルピペリジン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、N-ヒドロキシメチルピペリジン、N-ヒドロキシエチルピペリジン、およびそれらの組合せから選択される。
【0029】
[0029]Xは、1~約40個の炭素原子を含むカルボン酸のカルボン酸アニオンである。カルボン酸アニオンは、任意のカルボン酸の酸性水素を適当なカチオンで置換することによって誘導することができる。実施形態において、カルボン酸は、1~約40個の炭素原子、好ましくは1~約24個の炭素原子を含む。カルボン酸の例示的リストは、トール油脂肪酸(TOFA)、オレイン酸、酢酸、プロパン酸、2-エチルヘキサン酸、デカン酸、およびヘキサン酸などのモノカルボン酸、ならびにコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、またはピメリン酸などの二量体酸である。ある態様において、カルボン酸は、酢酸、ヘキサン酸、またはトール油脂肪酸である。
【0030】
[0030]特定の実施形態では、1または2以上の硬化剤のうちの少なくとも1つは、式(II)のものである。
【化5】
(式中、Rは、C
1~C
6のアルキレン鎖であり、ここで、ヒドロキシル基は、アルキレン鎖の任意の炭素原子に結合することができ;R
1およびR
2は、各々独立して、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20のアルキル、C
2~C
20のアルケニル、C
1~C
20のハロアルキル、C
2~C
20のハロアルケニル、またはC
6~C
10のアリールであり;Xは、カルボン酸アニオンである。式(II)の1または2以上の硬化剤の好ましい態様において、Xは、酢酸、ヘキサン酸またはトール油脂肪酸のカルボン酸アニオンである。)
【0031】
[0031]好ましい態様において、1または2以上の硬化剤の少なくとも1つは、式(III)のものである。
【化6】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
1~C
20ハロアルキル、C
2~C
20ハロアルケニル、またはC
6~C
10アリールであり;そしてXはカルボン酸アニオンである。式(III)の1または2以上の硬化剤の好ましい態様において、Xは、酢酸、ヘキサン酸またはトール油脂肪酸のカルボン酸アニオンである。)
【0032】
[0032]いくつかの実施態様において、1または2以上の硬化剤の少なくとも1つは、エアプロダクツ社(アレンタウン、ペンシルベニア州)から市販されているANCAMINE(登録商標)2910硬化剤である。特定の実施形態では、1または2以上の硬化剤の少なくとも1つは、、エアプロダクツ社(アレンタウン、ペンシルベニア州)から市販されているANCAMINE(登録商標)2911硬化剤である。
【0033】
[0033] 1または2以上の硬化剤は、硬化前に任意の適切な固有粘度を有することができる。いくつかの態様において、1または2以上の硬化剤は、22℃の温度で保存した場合、約1cps~約2,000cps(例えば、約1cps~約1,000cps、約1cps~約500cps、約1cps~約200cps、約10cps~約2,000cps、約10cps~約1,000cps、約10cps~約500cps、約10cps~約200cps、約30cps~約2,000cps、約30cps~約1,000cps、約30cps~約500cps、約30cps~約200cps、または約30cps~約60cps)の固有粘度を有する。好ましい態様において、1または2以上の硬化剤は、22℃の温度で保存された場合、約30cps~約60cpsの固有粘度を有する。
【0034】
[0034]いくつかの態様において、硬化性組成物は、ジシアンジアミドなどの潜在性硬化剤をさらに含む。硬化性組成物は、任意の適切な量のジシアンジアミドを含むことができる。例えば、硬化性組成物は、約0.1重量%~約10重量%(例えば、約0.1重量%~約5重量%、または約0.1重量%~約1重量%)のジシアンジアミドを含むことができる。ある態様において、硬化性組成物は、ジシアンジアミドを実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、1または2以上の硬化剤を含む硬化性組成物が、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、および場合によっては0重量%のジシアンジアミドを含有することを意味する。
【0035】
[0035硬化性組成物は、スチレン含有化合物(例えば、スチレン)を含むことができるが、いくつかの実施態様において、硬化性組成物は、スチレン含有化合物を実質的に含まない。本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」とは、約0.5重量%未満(例えば、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、または約0.01重量%未満)のスチレン含有化合物を含む硬化性組成物を指すある態様において、硬化性組成物は、スチレン含有化合物を含有しない。
【0036】
[0036]硬化性組成物は、無水物含有化合物を含むことができるが、いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、無水物含有化合物を実質的に含まない。本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」とは、約0.5重量%未満の無水物含有化合物(例えば、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、または約0.01重量%未満)を含む硬化性組成物を指す。ある態様において、硬化性組成物は、無水物含有化合物を含有しない。
【0037】
[0037]硬化性組成物は、硬化前に任意の適切な固有粘度を有することができる。ある態様において、硬化性組成物は、22℃の温度で保存した場合、約5,000cps~約20,000cps(例えば、約5,000cps~約15,000cps、約5,000cps~約12,000cps、約8,000cps~約20,000cps、約8,000cps~約15,000cps、約8,000cps~約14,000cps、約8,000cps~約12,000cps、約8,000cps~約10,000cps、または約9,000cps~約10,000cps)の固有粘度を有する。好ましい態様において、硬化性組成物は、22℃の温度で保存した場合、約9,000cps~約10,000cpsの固有粘度を有する。
【0038】
[0038]いくつかの態様において、硬化性組成物は、顔料、分散剤、チキソトロピー剤、レオロジー変性剤、消泡剤、繊維、促進剤、充填剤、またはそれらの任意の組合せから選択される1または2以上の添加剤をさらに含む。硬化性組成物は、硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比が約12:1~約15:1である限り、任意の適切な量の1または2以上の添加剤を含むことができる。従って、硬化性組成物は、1または2以上の添加剤の約50重量%まで、例えば、約40重量%まで、約30重量%まで、約20重量%まで、約10重量%まで、または約5重量%までを含むことができる。特定の実施形態では、硬化性組成物は、樹脂および硬化剤(すなわち、1または2以上の添加剤の0重量%を含有する)から本質的になるか、またはそれからなる。
【0039】
[0039]硬化性組成物は、任意の好適な温度で硬化することができる。例えば、硬化性組成物は、約60℃~約85℃(例えば、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、または約85℃)の温度で硬化することができる。硬化性組成物を約60℃~約85℃の温度で硬化することができる実施形態では、硬化性組成物は、温水ブラダ(bladder)を用いて硬化することができる。他の態様において、硬化性組成物は、少なくとも約85℃(例えば、少なくとも約85℃、少なくとも約90℃、少なくとも約95℃、または少なくとも約100℃)の温度を必要とする。硬化性組成物を少なくとも約85℃の温度で硬化することができる実施形態では、硬化性組成物は水蒸気を用いて硬化することができる。
【0040】
[0040]本発明の一実施形態によれば、本明細書に記載される硬化性組成物の利点は、高温でのポットライフ(すなわち、潜伏期間またはゲル化時間)の延長である。本明細書で使用される場合、語句「ゲル化時間」または「潜伏期間」は、硬化性組成物、または硬化性組成物で含浸されたライナーが「キック」または「硬化」を開始するのに必要な時間の長さを指す。例えば、「キック」または「硬化」の開始は、硬化性組成物および/または硬化性組成物を含浸したライナーの温度の急激な上昇(例えば、少なくとも約10℃の温度上昇)、または硬化性組成物を含浸したライナーの色の変化(例えば、ライナーが茶色になる)によって決定することができる。より長いゲル化時間は、使用者に、硬化性組成物を含有する硬化した適所ライナーをパイプに挿入するためのより長い時間を提供する。典型的には、本明細書に記載の硬化性組成物は、21℃の温度(例えば、約12時間~約20時間、約12時間~約16時間、約16時間~約24時間、約20時間~約24時間、または約16~約20時間)で約12時間~約24時間のゲル化時間(すなわち、ゲルになるまでの時間)を有する。いくつかの態様において、組成物は、21℃の温度で約14時間~約22時間のゲル化時間を有する。ある態様において、組成物は、21℃の温度で約16時間~約20時間のゲル化時間を有する。
【0041】
[0041]本発明はまた、現場硬化ライナーを硬化する方法を提供し、この方法は、(i)現場硬化ライナーをパイプ内に配置すること、および(ii)現場硬化ライナーを加熱することを含み、ここで、現場硬化ライナーは、(a)4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体を含む樹脂、および(b)1または2以上の硬化剤を含む、またはそれらから本質的になる、或いはそれらからなる、硬化性組成物を含み、ここで、樹脂の重量%の、硬化剤の重量%に対する比は、約12:1~約15:1である。
【0042】
[0042]この方法は、硬化した適所ライナーをパイプ内に配置することを含む。硬化された適所ライナーは、任意の適切な方法によってパイプ内に配置することができる。例えば、ライナーは、修理箇所の上流のアクセスポイント又は修理箇所の下流のアクセスポイントから修理箇所に挿入又は引張ることができる。好ましい実施形態では、硬化された現場ライナーは、修理箇所の上流のアクセスポイントから挿入または引き出される。
【0043】
[0043]現場硬化ライナーは、任意の適切な材料から作製され得る。例えば、現場硬化ライナーは、フェルト、ポリエステル、ガラス繊維、布、ビニル、ナイロン、または硬化性組成物の含浸に適した他の任意の材料、またはそれらの任意の組合せで作ることができる。
【0044】
[0044]パイプは、任意の適切な用途に使用される任意の適切なパイプとすることができる。例えば、パイプは、水、下水、化学物質、またはそれらの任意の組合せを移送するために使用することができる。パイプは、任意の適切なサイズとすることができる。例えば、パイプは、直径約1インチ~約20フィート、例えば、約2インチ~約20フィート、約2インチ~約10フィート、約2インチ~約5フィート、または約2インチ~約1フィートとすることができる。好ましい実施形態では、パイプの直径は約2インチ~約10フィートである。
【0045】
[0045]この方法は、現場硬化ライナーを加熱することを含むことができる。現場硬化ライナーは、任意の適切な温度に加熱することができる。いくつかの実施態様において、硬化された現場ライナーを約60℃から約85℃(例えば、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、又は約85℃)の温度に加熱して硬化プロセスを開始する。他の実施形態では、硬化された現場ライナーは、硬化プロセスを開始するために、少なくとも約85℃(例えば、少なくとも約85℃、少なくとも約90℃、少なくとも約95℃、または少なくとも約100℃)の温度まで加熱される。
【0046】
[0046]本発明は、以下の実施形態によってさらに例示される。
【0047】
[0047](1)(a)4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体を含む樹脂と(b)1または2以上の硬化剤とを含む硬化性組成物であって、硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比は、約12:1~約15:1である硬化性組成物。
【0048】
[0048](2)1または2以上の硬化剤の少なくとも1つが式(I)のものである実施形態(1)の硬化性組成物。
【化7】
(式中、Aは-O-、-CH
2-、または-NR’-であり、R’は水素または任意に置換されたC
1~C
10アルキルまたはC
2~C
10アルケニル基であり、RはC
1~C
6アルキレン鎖であり、ここで、ヒドロキシル基はアルキレン鎖の炭素原子のいずれかに結合していてもよく、R
1およびR
2はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
1~C
20ハロアルキル、C
2~C
20ハロアルケニル、またはC
6~C
10アリールであり、Xはカルボン酸アニオンである。)
【0049】
[0049](3)1または2以上の硬化剤の少なくとも1つが式(II)のものである、実施形態(1)又は(2)の硬化性組成物。
【化8】
(式中、Rは、C
1~C
6のアルキレン鎖であり、ここで、ヒドロキシル基は、アルキレン鎖の任意の炭素原子に結合していてもよく、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
1~C
20ハロアルキル、C
2~C
20ハロアルケニル、またはC
6~C
10アリールであり、Xは、カルボン酸アニオンである。)
【0050】
[0050](4)1または2以上の硬化剤の少なくとも1つが式(III)のものである、実施形態(1)~(3)のいずれかの硬化性組成物。
【化9】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
1~C
20ハロアルキル、C
2~C
20ハロアルケニル、またはC
6~C
10アリールであり、Xは、カルボン酸アニオンである。)
【0051】
[0051](5)Xが1~約40個の炭素原子を含むカルボン酸のカルボン酸アニオンである、実施形態(2)~(4)のいずれかの硬化性組成物。
【0052】
[0052](6)硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比が、約12:1~約14:1である、実施形態(1)~(5)のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0053】
[0053](7)硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比が、約12:1である、実施形態(6)の硬化性組成物。
【0054】
[0054](8)硬化プロセスを開始するために少なくとも約85℃の温度を必要とする、実施形態(1)~(7)のいずれかの硬化性組成物。
【0055】
[0055](9)約60℃~約85℃の温度で硬化プロセスを開始する、実施形態(1)~(7)のいずれかの硬化性組成物。
【0056】
[0056](10)21℃の温度で約12時間から約24時間のゲル化時間を有する、実施形態(1)~(9)のいずれかの硬化性組成物。
【0057】
[0057](11)21℃の温度で約14時間から約22時間のゲル化時間を有する、実施形態(10)の硬化性組成物。
【0058】
[0058](12)21℃の温度で約16時間から約20時間のゲル化時間を有する、実施形態(11)の硬化性組成物。
【0059】
[0059](13)(a)4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体を含む樹脂と、(b)1または2以上の硬化剤とを含む硬化性組成物であって、1または2以上の硬化剤の少なくとも1つは、式(II)のものである硬化性組成物。
【化10】
(式中、Rは、C
1~C
6のアルキレン鎖であり、ここで、ヒドロキシル基は、アルキレン鎖の任意の炭素原子に結合していてもよく、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
1~C
20ハロアルキル、C
2~C
20ハロアルケニル、またはC
6~C
10アリールであり、Xは、カルボン酸アニオンであり、ここで、硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比率は、約12:1から約15:1である。)
【0060】
[0060](14)1または2以上の硬化剤の少なくとも1つが式(III)のものである実施形態(13)の硬化性組成物。
【化11】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
1~C
20ハロアルキル、C
2~C
20ハロアルケニル、またはC
6~C
10アリールであり、Xは、カルボン酸アニオンである。)
【0061】
[0061](15)Xが1~約40個の炭素原子を含むカルボン酸のカルボン酸アニオンである実施形態(13)または(14)の硬化性組成物。
【0062】
[0062](16)硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比が、約12:1~約14:1である、実施形態(13)~(15)のいずれの硬化性組成物。
【0063】
[0063](17)硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比が、約12:1である、実施形態(16)の硬化性組成物。
【0064】
[0064](18)硬化プロセスを開始するために少なくとも約85℃の温度を必要とする、実施形態(13)~(17)のいずれかの硬化性組成物。
【0065】
[0065](19)約60℃~約85℃の温度で硬化プロセスを開始する、実施形態(13)~(17)のいずれかの硬化性組成物。
【0066】
[0066](20)21℃の温度で約12時間から約24時間のゲル化時間を有する、実施形態(13)~(19)のいずれかの硬化性組成物。
【0067】
[0067](21)21℃の温度で約14時間から約22時間のゲル化時間を有する、実施形態(20)の硬化性組成物。
【0068】
[0068](22)21℃の温度で約16時間から約20時間のゲル化時間を有する、実施形態(21)の硬化性組成物。
【0069】
[0069](23)現場硬化ライナーを硬化する方法であって、(i)現場硬化ライナーをパイプ内に配置すること、および(ii)現場硬化ライナーを加熱することを含み、現場硬化ライナーは、(a)4,4’-イソプロピリデンジフェノール-エピクロロヒドリン共重合体を含む樹脂、および(b)1または2以上の硬化剤を含む硬化性組成物を含み、記硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比が、約12:1~約15:1である、方法。
【0070】
[0070](24)1または2以上の硬化剤の少なくとも1つが式(I)のものである実施形態(23)の方法。
【化12】
(式中、Aは-O-、-CH
2-、または-NR’-であり、R’は水素または任意に置換されたC
1~C
10アルキルまたはC
2~C
10アルケニル基であり、RはC
1~C
6アルキレン鎖であり、ここで、ヒドロキシル基はアルキレン鎖の炭素原子のいずれかに結合していてもよく、R
1およびR
2はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
1~C
20ハロアルキル、C
2~C
20ハロアルケニル、またはC
6~C
10アリールであり、Xは、カルボン酸アニオンである。)
【0071】
[0071](25)1または2以上の硬化剤の少なくとも1つが式(II)のものである実施形態(23)または(24)の方法。
【化13】
(式中、Rは、C
1~C
6のアルキレン鎖であり、ここで、ヒドロキシル基は、アルキレン鎖の任意の炭素原子に結合していてもよく、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
1~C
20ハロアルキル、C
2~C
20ハロアルケニル、またはC
6~C
10アリールであり、Xは、カルボン酸アニオンである。)
【0072】
[0072](26)1または2以上の硬化剤の少なくとも1つが式(III)のものである実施形態(23)~(25)のいずれかの方法。
【化14】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
1~C
20ハロアルキル、C
2~C
20ハロアルケニル、またはC
6~C
10アリールであり、Xは、カルボン酸アニオンである。)
【0073】
[0073](27)硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比が、約12:1~約14:1である実施形態(23)~(26)のいずれかの方法。
【0074】
[0074](28)硬化剤の重量%に対する樹脂の重量%の比が、約12:1である実施形態(27)の方法。
【0075】
[0075](29)現場硬化ライナーが少なくとも約85℃の温度に加熱される実施形態(23)~(28)のいずれかに記載の方法。
【0076】
[0076](30)現場硬化ライナーが約60℃~約85℃の温度に加熱される実施形態(23)~(28)のいずれかの方法。
【0077】
[実施例]
[0077]以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、もちろん、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0078】
[0078]この実施例は、硬化剤に対する樹脂の重量%の比率の、ポットライフに対する効果を実証するもので、21℃での硬化性組成物によって示され、硬化性組成物のゲル化時間によって測定される。
【0079】
[0079]下記の表1に記載の硬化性組成物1~6を、硬化剤(
ANCAMINE(登録商標)2910硬化剤)に対するレジン(EPON
TMレジン828)の比率を用いて調製した。得られた混合物をライナーに置き、硬化性組成物の急激な温度変化(すなわち、少なくとも10℃の温度変化)が観察されるまで21℃の温度に置いた。ポットライフ(すなわち、ゲル化までの時間)の結果を表1に示し、図にプロットする。
【表1】
【0080】
[0080]表1及び図に示される結果から明らかなように、21℃におけるポットライフは、硬化剤に対する樹脂の重量%の比率と直線的に相関している。しかし、比較硬化性組成物1および2は、現場硬化パイプ(cured-in-place pipe)用途に有用であるには低すぎる粘度を有していた。例えば、比較の硬化性組成物1および2を含有するライナーをパイプに取り付ける場合、硬化性組成物はパイプの底半球に排出され、不適切な取り付けとなる。比較の硬化性組成物5および6は、現場硬化パイプ用途に有用であるには粘度が高すぎた。例えば、比較硬化性組成物5および6は、粘度が高すぎてライナーに効率的にポンプ注入することができず、製造を困難にし、現場硬化パイプ用途でのそれらの使用はありそうにない。
【0081】
[0081]硬化剤に対する樹脂の重量%の比率がそれぞれ12:1および15:1である硬化性組成物3および4は、適切なポットライフ時間(すなわち、それぞれ18時間および22時間)を提供し、現場硬化パイプ用途のための構造を維持しながら、ライナーを充填するのに適した粘度を有する。
【0082】
[0082]刊行物、特許出願、および特許を含む、本明細書に引用される全ての参考文献は、各参考文献が参照により援用されることが個々にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているかのように、参照により本明細書に援用される。
【0083】
[0083]発明を説明する文脈において(特に、以下の請求項の文脈において)、用語「a」、「an」、「the」及び「少なくとも1つの」及び同様の指示対象の使用は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方をカバーするものと解釈されるべきである。「少なくとも1つ」という用語の後に1つ以上の項目のリスト(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)が続く使用は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、リストされた項目(AまたはB)から選択された1つの項目、またはリストされた項目(AおよびB)の2以上の任意の組合せを意味すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含む(containing)」という用語は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むがそれに限定されない」という意味)として解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中に別段の指示がない限り、範囲内にある各別個の値を個々に参照するための簡潔な方法として役立つことを意図したものに過ぎず、各別個の値は、本明細書中に個々に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供されるいずれかおよびすべての実施例または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く照明することを意図したものであり、特に特許請求されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。明細書中のいかなる言語も、発明の実施に不可欠であるとしてクレームされていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0084】
[0084]数値を修正するために本明細書で使用される用語「約(about)」および「約(around)」は、数値を取り囲む近接範囲を示す。したがって、「X」が値である場合、「約X(about X)」または「約X(around X)」は、0.9X~1.1X、例えば、0.95X~1.05Xまたは0.99X~1.01Xの値を示す。「約X(about X)」または「約X(around X)」への言及は、具体的には、少なくとも値X、0.95X、0.96X、0.97X、0.98X、0.99X、1.01X、1.02X、1.03X、1.04X、および1.05Xを示す。従って、「約X(about X)」及び「約X(around X)」は、例えば、「0.98X」のクレーム限定を教示し、書面による説明の裏付けを提供することを意図している。
【0085】
[0085]本発明を実施するために本発明者に知られている最良の態様を含めて、本発明の好ましい実施形態をここに記載する。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むことによって当業者に明らかになるであろう。本発明者らは、当業者が適宜このような変形を採用することを期待しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されている以外に本発明を実施することを意図している。したがって、本発明は、適用可能な法律によって許可されるように、本明細書に添付された請求項に記載された主題のすべての修正および均等物を含む。さらに、本明細書に別段の記載がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、上記の要素のあらゆる可能な変形例における任意の組合せが本発明に包含される。