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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】チップコンベア
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/30 20060101AFI20230518BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20230518BHJP
   B65G 17/06 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
B65G17/30 A
B23Q11/00 S
B65G17/06 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022016654
(22)【出願日】2022-02-04
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】592213132
【氏名又は名称】榎本ビーエー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】榎本 尚浩
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-83163(JP,A)
【文献】特開2002-104639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00-17/48
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のヒンジベルトと、
前記ヒンジベルトの幅方向の両側に装着される無端状のサイドチェーンと、を有し、
周回する前記ヒンジベルトの搬送面によって切削屑を搬送するチップコンベアにおいて、
前記ヒンジベルトは、ベルト本体と、前記ヒンジベルトの長手方向の一部であって、前記ベルト本体とヒンジによって連結される開閉部と、を有し、
前記開閉部は、
前記搬送面に開口する開口部を画定する枠部と、前記開口部を開閉可能とする扉と、前記扉を前記枠部に取り付けるための取付部材と、を有し、
前記扉は、
ヒンジによって前記長手方向に連結される複数の扉用ヒンジプレートと、
前記扉用ヒンジプレートと一体であり、かつ前記幅方向において前記扉用ヒンジプレートの両端からはみ出て前記枠部と連結される連結プレートと、を有し、
前記枠部は、
前記開口部を、前記長手方向における前記開口部の両側及び前記幅方向における前記開口部の両側から画定し、かつヒンジによって前記長手方向に連結される複数の枠形成プレートと、
前記幅方向において前記開口部の両側に設けられ、前記連結プレートを連結するための連結部と、を有し、
前記取付部材は、前記連結プレートを前記枠部の前記連結部に対し着脱可能に取り付けることを特徴とするチップコンベア。
【請求項2】
前記連結プレートは、前記幅方向における前記扉用ヒンジプレートの全長に亘って設けられている請求項1に記載のチップコンベア。
【請求項3】
前記扉は、前記枠部から取り外し可能である請求項1又は請求項2に記載のチップコンベア。
【請求項4】
前記開閉部は、前記枠部と前記扉とがユニット化されて形成されており、前記開閉部は、前記ベルト本体に対して着脱可能である請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載のチップコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械から排出される切削屑を搬送するためのチップコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チップコンベアは、工作機械から排出される切削屑を搬送する切削屑回収装置に搭載される。
無端状のチップコンベアは、ヒンジによって互いに連結された複数のヒンジプレートを有するヒンジベルトと、このヒンジベルトの幅方向の両側に装着されたサイドチェーンと、を有する。なお、ヒンジベルトの幅方向は、ヒンジベルトの短手方向であるとともに、ヒンジベルトの長手方向に直交する方向である。
【0003】
ヒンジベルトの長手方向に隣り合うヒンジプレート同士は、ヒンジによって連結されている。ヒンジベルトの長手方向に隣り合うヒンジプレート同士は、ヒンジを中心に屈曲可能になっている。ヒンジベルトは、幅方向の両側にサイドプレートを有する。サイドチェーンは、幅方向におけるサイドプレートの外側に装着されている。また、切削屑回収装置は、サイドチェーンを保護するため、サイドチェーンを覆うフレームを有する。
【0004】
チップコンベアのサイドチェーンは、切削屑回収装置のスプロケット間に懸回される。サイドチェーンの周回によって、チップコンベアが周回する。サイドプレートは、ヒンジベルトによって搬送される切削屑が、ヒンジベルトからこぼれ落ちないようにする。
【0005】
このようなチップコンベアにおいて、チップコンベアの裏側に溜まった切削屑を除去する作業が行われる。特許文献1には、切削屑の除去を可能にするヒンジベルト式コンベヤが開示されている。
【0006】
特許文献1のヒンジベルト式コンベヤは、互いに対向する無端状のサイドチェーンと、サイドチェーンの間に位置するヒンジベルトと、を有する。ヒンジベルトは、第1のヒンジベルトと第2のヒンジベルトとで構成されている。第1のヒンジベルト及び第2のヒンジベルトの各々は、ベルトピンにより蝶番式に連結されている。第2のヒンジベルトは、取り付けボルトによってサイドチェーンに取り付けられている。取り付けボルトの着脱によって、第2のヒンジベルトは、サイドチェーンに対し着脱可能となる。このため、第2のヒンジベルトは、サイドチェーンを切断しないで無端状のままサイドチェーンから取り外すことができる。第2のヒンジベルトの取り外しによって、ヒンジベルトには開口部が開口する。この開口部を用いて、切削屑の除去が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-83163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のヒンジベルト式コンベヤにおいて、第2のヒンジプレートは、サイドチェーンに取り付けられている。このため、開口部を開口させるには、取り付けボルトをサイドチェーンから取り外して、第2のヒンジプレートをサイドチェーンから取り外す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するためのチップコンベアは、無端状のヒンジベルトと、前記ヒンジベルトの幅方向の両側に装着される無端状のサイドチェーンと、を有し、周回する前記ヒンジベルトの搬送面によって切削屑を搬送するチップコンベアにおいて、前記ヒンジベルトは、ベルト本体と、前記ヒンジベルトの長手方向の一部であって、前記ベルト本体とヒンジによって連結される開閉部と、を有し、前記開閉部は、前記搬送面に開口する開口部を画定する枠部と、前記開口部を開閉可能とする扉と、前記扉を前記枠部に取り付けるための取付部材と、を有し、前記扉は、ヒンジによって前記長手方向に連結される複数の扉用ヒンジプレートと、前記扉用ヒンジプレートと一体であり、かつ前記幅方向において前記扉用ヒンジプレートの両端からはみ出て前記枠部と連結される連結プレートと、を有し、前記枠部は、前記開口部を、前記長手方向における前記開口部の両側及び前記幅方向における前記開口部の両側から画定し、かつヒンジによって前記長手方向に連結される複数の枠形成プレートと、前記幅方向において前記開口部の両側に設けられ、前記連結プレートを連結するための連結部と、を有し、前記取付部材は、前記連結プレートを前記枠部の前記連結部に対し着脱可能に取り付けることを要旨とする。
【0010】
チップコンベアについて、前記連結プレートは、前記幅方向における前記扉用ヒンジプレートの全長に亘って設けられていてもよい。
チップコンベアについて、前記扉は、前記枠部から取り外し可能であってもよい。
【0011】
チップコンベアについて、前記開閉部は、前記枠部と前記扉とがユニット化されて形成されており、前記開閉部は、前記ベルト本体に対して着脱可能であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、サイドチェーンとヒンジベルトを連結したまま開口部を開口できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の切削屑回収装置を示す斜視図である。
図2】実施形態の切削屑回収装置を示す側面図である。
図3】チップコンベアと下部水平フレームを示す図2の3-3線断面図である。
図4】ヒンジベルトを示す部分平面図である。
図5】開閉部を示す斜視図である。
図6】開閉部の構成要素を示す分解斜視図である。
図7】扉を枠部から取り外した図である。
図8】開口部を開口させた状態を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、チップコンベアを、切削屑回収装置に搭載されたチップコンベアに具体化した一実施形態を図1図8にしたがって説明する。
<切削屑回収装置11>
図1及び図2に示すように、切削屑回収装置11は、例えば旋盤等の工作機械12の近傍に配置されている。なお、図1は、切削屑回収装置11の全体を示すため、チップコンベア28を概略的に示している。シュータ13は、工作機械12の前方に配置されている。シュータ13は、工作機械12で発生した切削屑Kを前方に排出する。支持台14は、シュータ13の直下に配置されている。
【0015】
切削屑回収装置11は、設置面S上に配置された支持台14に支持されている。設置面Sに直交する方向を鉛直方向Zとする。
切削屑回収装置11は、フレーム19と、チップコンベア28と、を有する。
【0016】
チップコンベア28は、後に詳述するヒンジベルト29を有する。ヒンジベルト29は、切削屑Kの搬送面29aと、搬送面29aと反対側の反対面29bと、を有する。搬送面29a及び反対面29bに沿ってチップコンベア28の長手が延びる方向を長手方向Xとする。また、搬送面29a及び反対面29bに沿って長手方向Xに直交する方向を幅方向Yとする。
【0017】
<フレーム19>
フレーム19は、カバー20と、下部水平フレーム21と、傾斜フレーム22と、上部水平フレーム23と、を有する。下部水平フレーム21は、幅方向Yの両側からチップコンベア28を挟む。傾斜フレーム22及び上部水平フレーム23は、チップコンベア28を囲む。
【0018】
下部水平フレーム21は、支持台14に支持される。下部水平フレーム21は、シュータ13の直下に配置されている。下部水平フレーム21は、上面に開口するとともに、下面を閉じた箱状である。傾斜フレーム22は、長手方向Xの両端に開口する四角筒状である。上部水平フレーム23は、傾斜フレーム22との連結端と反対側の端が閉じられた四角筒状である。
【0019】
下部水平フレーム21は、長手方向Xの一端に第1端21aを有するとともに、長手方向Xの他端に第2端21bを有する。カバー20は、下部水平フレーム21の第1端21aに連結されている。傾斜フレーム22は、下部水平フレーム21の第2端21bに連結されている。傾斜フレーム22は、下部水平フレーム21の第2端21bから斜め上方に向けて立ち上がる。上部水平フレーム23は、傾斜フレーム22の上端に連結されている。
【0020】
図3に示すように、下部水平フレーム21、傾斜フレーム22及び上部水平フレーム23の各々は、底板31と、一対の案内レール32と、を有する。底板31及び案内レール32の長手の各々は、長手方向Xに延びる。なお、図3は、下部水平フレーム21を示す。
【0021】
一対の案内レール32の一方は、底板31の幅方向Y一端に接合されるとともに、一対の案内レール32の他方は、底板31の幅方向Y他端に接合されている。各案内レール32は、鉛直方向Zに沿った断面視が横ハット状である。
【0022】
一対の案内レール32の各々は、側板32aと、下部水平案内レール32bと、上部水平案内レール32cと、カバー部32dと、を有する。下部水平案内レール32bは、側板32aの下端縁からチップコンベア28に向けて幅方向Yに延出する。上部水平案内レール32cは、側板32aの鉛直方向Zの途中からチップコンベア28に向けて幅方向Yに延出する。カバー部32dは、側板32aの上端縁から幅方向Yに延出する。
【0023】
一対の案内レール32は、幅方向Yに対向する。一対の下部水平案内レール32bは、幅方向Yに対向するとともに、一対の上部水平案内レール32cは、幅方向Yに対向する。また、一対のカバー部32dは、幅方向Yに対向する。
【0024】
図2に示すように、フレーム19は、固定支持軸24と、被動スプロケットホイール25と、可動支持軸26と、駆動スプロケットホイール27と、を有する。
固定支持軸24及び被動スプロケットホイール25は、カバー20に配置されている。固定支持軸24の軸線は、幅方向Yに延びる。被動スプロケットホイール25は、固定支持軸24の軸方向の両端部に支持されている。可動支持軸26及び駆動スプロケットホイール27は、上部水平フレーム23に配置されている。可動支持軸26の軸線は、幅方向Yに延びる。駆動スプロケットホイール27は、可動支持軸26の軸方向の両端部に支持されている。
【0025】
駆動スプロケットホイール27と被動スプロケットホイール25には、チップコンベア28のサイドチェーン36が装着されている。
<チップコンベア28>
チップコンベア28は、無端状である。チップコンベア28は、周回方向Rに周回可能である。上部水平フレーム23には図示しない駆動機構が装着されている。図示しない駆動機構は、モータ及びベルト等を有する。図示しない駆動機構は、可動支持軸26及び駆動スプロケットホイール27を回動してチップコンベア28を周回させる。
【0026】
図4に示すように、チップコンベア28は、無端状のヒンジベルト29と、ヒンジベルト29の幅方向Yの両側に装着される無端状のサイドチェーン36と、を有する。チップコンベア28は、周回するヒンジベルト29の搬送面29aによって切削屑Kを搬送する。
【0027】
<ヒンジベルト29>
ヒンジベルト29は、ベルト本体30と、ヒンジベルト29の長手方向の一部であって、ベルト本体30とヒンジH1によって連結される開閉部60と、を有する。なお、図1では、開閉部60とベルト本体30とを区別するため、開閉部60にハッチングを付している。
【0028】
<ベルト本体30>
ベルト本体30は、ヒンジベルト29のうち、開閉部60以外の部位である。ベルト本体30の長手方向Xにおける第1端は、長手方向Xにおける開閉部60の第1端に連結されるとともに、ベルト本体30の長手方向Xにおける第2端は、長手方向Xにおける開閉部60の第2端に連結されている。
【0029】
図4に示すように、ベルト本体30は、ヒンジH1によって互いに連結される多数のヒンジプレート37と、多数の連結軸38と、サイドプレート39と、を有する。
多数のヒンジプレート37は、全て同じ構成である。ヒンジプレート37は、細長板状である。ヒンジプレート37の長手方向への長さをLと記載する。ヒンジプレート37は、一対の長側縁37bを有する。一対の長側縁37bは、平行である。ヒンジプレート37の一対の長側縁37bの各々には、複数の軸受筒部37aが設けられている。軸受筒部37aの数は、2つの長側縁37bで同じである。軸受筒部37aは、円筒状である。軸受筒部37aの中心軸線の延びる方向への長さを、軸受筒部37aの軸長と記載する。
【0030】
各長側縁37bでは、複数の軸受筒部37aは、軸受筒部37aの軸長に相当する隙間を空けて等間隔おきに配置されている。一方の長側縁37bに配置された軸受筒部37aと、他方の長側縁37bに配置された軸受筒部37aとは、ヒンジプレート37の短手方向に対向しない。
【0031】
多数の連結軸38の各々は、長手方向Xに隣り合うヒンジプレート37同士を連結する。連結軸38は、周回方向Rの先行側のヒンジプレート37の軸受筒部37aと、周回方向Rの後行側のヒンジプレート37の軸受筒部37aに挿入されている。軸受筒部37aに連結軸38が挿入されることにより、ヒンジH1が形成されている。そして、長手方向Xに隣り合うヒンジプレート37同士は、ヒンジH1によって連結されるとともに、ヒンジH1を中心に屈曲可能に連結されている。したがって、ヒンジベルト29は、ヒンジH1によって屈曲可能である。
【0032】
図3に示すように、サイドプレート39は、各ヒンジプレート37の幅方向Yの両端部に配置されている。各サイドプレート39は、軸受筒部37aに挿入された連結軸38を用いてベルト本体30に装着されている。各サイドプレート39は、下端部に軸孔39aを有する。各軸孔39aには連結軸38が挿通されている。
【0033】
<サイドチェーン36>
図3及び図4に示すように、一対のサイドチェーン36の各々は、複数の連結リンク40と、複数のコロ41と、を有する。各連結軸38の軸方向の両端部には、コロ41が連結されている。各連結リンク40は、幅方向Yにおけるコロ41の外側に配置されている。各連結リンク40は、長手方向Xに隣り合う連結軸38を連結する。各連結軸38の端部にはプレスによって抜止め突部38aが形成されている。抜止め突部38aは、連結リンク40が外れないようにする。なお、連結リンク40による連結軸38同士の連結の仕方は適宜変更してもよい。そして、複数の連結リンク40によって連結軸38が長手方向Xに連結されることによって、サイドチェーン36が無端状に形成されている。
【0034】
一対のサイドチェーン36の各々は、ヒンジベルト29の幅方向Yの両側において、被動スプロケットホイール25及び駆動スプロケットホイール27に支持されている。サイドチェーン36は、被動スプロケットホイール25及び駆動スプロケットホイール27の上側を通過する部分と下側を通過する部分の2段となる。
【0035】
図3に示すように、下段に位置するコロ41は、下部水平案内レール32bの上面に支持される。上段に位置するコロ41は、上部水平案内レール32cの上面に支持される。各サイドチェーン36は、カバー部32dによって鉛直方向Zの上側から覆われるとともに、下部水平案内レール32bによって鉛直方向Zの下側から覆われている。また、各サイドチェーン36は、側板32aによって幅方向Yの外側から覆われている。したがって、各サイドチェーン36は、下部水平フレーム21によって覆われている。
【0036】
また、ヒンジベルト29は、サイドチェーン36に対し連結軸38によって連結されている。このため、ヒンジベルト29は、被動スプロケットホイール25及び駆動スプロケットホイール27の上側を通過する上段部29Aと、被動スプロケットホイール25及び駆動スプロケットホイール27下側を通過する下段部29Bの2段を有することとなる。上段部29Aの周回方向Rと、下段部29Bの周回方向Rは逆となる。
【0037】
<開閉部60>
図4及び図8に示すように、開閉部60は、ヒンジベルト29における長手方向Xの一部に設けられている。
【0038】
開閉部60は、搬送面29aに開口する開口部Tを画定する枠部Wと、開口部Tを開閉可能とする扉50と、扉50を枠部Wに取り付けるための取付部材としてのボルト49と、を有する。
【0039】
<枠部W>
まず、枠部Wについて説明する。
枠部Wは、ヒンジベルト29において、開口部Tを囲む枠状の部分である。枠部Wは、ヒンジベルト29における長手方向Xの一部に設けられている。枠部Wは、搬送面29aに開口する開口部Tを画定する。ヒンジベルト29の上段部29Aに開口部Tが位置すると、開口部Tからヒンジベルト29の裏側となる下段部29Bを視認できる。このとき、下段部29Bは、反対面29bが開口部Tに対向する。
【0040】
枠部Wは、ヒンジH2によって長手方向Xに連結される複数の枠形成プレートを有する。枠形成プレートは、一対の第1枠形成プレート61と、6つの第2枠形成プレート64である。
【0041】
<第1枠形成プレート61>
図4図5図6、及び図7に示すように、第1枠形成プレート61の各々は、長板状である。一対の第1枠形成プレート61は同じ構成である。第1枠形成プレート61の長手方向への寸法は、ヒンジプレート37の長手方向への寸法と同じである。
【0042】
第1枠形成プレート61は、長板状のプレート本体62と、複数の軸受筒部63と、を有する。プレート本体62は、長四角板状である。プレート本体62は、第1長側縁62aと第2長側縁62bとを有する。第1長側縁62aと第2長側縁62bは平行である。また、プレート本体62は、第1短側縁62cと第2短側縁62dとを有する。第1短側縁62cと第2短側縁62dは平行である。
【0043】
プレート本体62の長手方向への長さを第1長さL1と記載する。この第1長さL1は、ヒンジプレート37の長さLと同じである。また、軸受筒部63の軸方向への長さを軸長とする。
【0044】
第1長側縁62aには、6つの軸受筒部63が設けられている。6つの軸受筒部63は、第1短側縁62cから第2短側縁62dに向けて、1つの軸受筒部63の軸長を空けて第1長側縁62aに設けられている。6つの軸受筒部63は、軸受筒部63の軸長を空けて等間隔おきに配置されている。第1長側縁62aに設けられた軸受筒部63の各々は、軸方向の両端に開口している。
【0045】
第2長側縁62bに設けられた2つの軸受筒部63を、第1軸受筒部63aと第2軸受筒部63bと記載する場合がある。第1軸受筒部63aは、第1短側縁62cから第2短側縁62dに向けて延びるように設けられている。第2軸受筒部63bは、第2短側縁62dから1つの軸受筒部63の軸長を空けて第2長側縁62bに設けられている。第2軸受筒部63bの軸方向の両端のうち、幅方向Yの内側に位置する端面は、閉塞部63cによって閉塞されている。なお、第1軸受筒部63aの軸方向の両端は開口している。第1長側縁62aに設けられた軸受筒部63と、第2長側縁62bに設けられた軸受筒部63とは、プレート本体62の短手方向に対向しない。
【0046】
プレート本体62には、3つの貫通孔62eが設けられている。3つの貫通孔62eの各々は、プレート本体62の板厚方向の両面に開口する。3つの貫通孔62eは、プレート本体62の長手方向に等間隔おきに開口する。貫通孔62eには、ボルト49の軸部49aを挿通できる。ボルト49は、軸部49aと、頭部49bと、を有する。頭部49bの端面には、六角穴49cが開口する。
【0047】
<第2枠形成プレート64>
複数の第2枠形成プレート64は、同じ構成である。第2枠形成プレート64は、長板状のプレート本体65と、2つの軸受筒部66と、を有する。プレート本体65は、長四角板状である。プレート本体65は、第1長側縁65aと、第2長側縁65bとを有する。第1長側縁65aと第2長側縁65bは平行である。また、プレート本体65は、第1短側縁65cと第2短側縁65dとを有する。第1短側縁65cと第2短側縁65dは平行である。第2枠形成プレート64は、第1短側縁65cを幅方向Yの内側に向けて配置されている。プレート本体65の長手方向への長さを第2長さL2と記載する。
【0048】
第1長側縁65aには、1つの軸受筒部66が設けられている。この軸受筒部66は、第1短側縁65cから第1長側縁65aに沿って設けられている。第1長側縁65aに設けられた軸受筒部66の軸方向の両端のうち、第1短側縁65c寄りに位置する端面は、閉塞部66cによって閉塞されている。第2長側縁65bには、1つの軸受筒部66が設けられている。この軸受筒部66は、第2短側縁65dから第2長側縁65bに沿って設けられている。第1長側縁65aに設けられた軸受筒部66と、第2長側縁65bに設けられた軸受筒部66とは、プレート本体65の短手方向に対向しない。
【0049】
プレート本体65には、1つの貫通孔65eが設けられている。貫通孔65eは、プレート本体65の板厚方向の両面に開口する。貫通孔65eは、第2短側縁65dよりも第1短側縁65cに近い位置に配置されている。また、プレート本体65の板厚方向の片面にはナット48が接合されている。ナット48は、貫通孔65eに連通する。貫通孔65eに挿通されたボルト49の軸部49aは、ナット48に螺合できる。ナット48は、枠部Wに対し、扉50を連結するための連結部として機能する。
【0050】
枠部Wは、上記の一対の第1枠形成プレート61と、6つの第2枠形成プレート64をヒンジH2によって連結して形成されている。
第1枠形成プレート61の長手方向の両端部には、第2枠形成プレート64が連結されている。第1枠形成プレート61の長手方向の一端部の第2枠形成プレート64と他端部の第2枠形成プレート64とは、第1短側縁65cが幅方向Yの内側を向くように、180度回転させて使用されている。
【0051】
したがって、第1枠形成プレート61の長手方向の一端部の第2枠形成プレート64は、第1長側縁65aを第1枠形成プレート61の第2長側縁62bに対向させて配置されている。第1枠形成プレート61の長手方向の他端部の第2枠形成プレート64は、第2長側縁65bを第1枠形成プレート61の第2長側縁62bに対向させて配置されている。
【0052】
第1枠形成プレート61の第2長側縁62bに設けられた軸受筒部63と、第2枠形成プレート64に設けられた軸受筒部66とには、枠用連結軸69が挿入されている。これにより、ヒンジH2が形成されている。このヒンジH2によって、第1枠形成プレート61と第2枠形成プレート64が連結されている。
【0053】
また、第1枠形成プレート61に連結された第2枠形成プレート64の各々には、別の第2枠形成プレート64が連結されている。第2枠形成プレート64同士は、第1長側縁65aと第2長側縁65bを対向させて配置されている。一方の第2枠形成プレート64の第1長側縁65aに設けられた軸受筒部66と、他方の第2枠形成プレート64の第2長側縁65bに設けられた軸受筒部66とには、枠用連結軸69が挿入されている。これにより、ヒンジH2が形成されている。このヒンジH2によって、第2枠形成プレート64同士が連結されている。
【0054】
そして、開口部Tは、一対の第1枠形成プレート61の第2長側縁62bと、複数の第2枠形成プレート64の第1短側縁65cとによって四角形状に画定されている。その結果、枠部Wは、開口部Tを長手方向Xにおける開口部Tの両側及び幅方向Yにおける開口部Tの両側から画定している。
【0055】
各第2枠形成プレート64の貫通孔65e及びナット48は、幅方向Yにおいて開口部Tの両側に設けられる。貫通孔65e及びナット48は、開口部Tを幅方向Yの両側から挟む位置に配置されている。したがって、連結部としてのナット48は、幅方向Yにおいて、開口部Tの両側に設けられる。
【0056】
なお、開閉部60において、サイドプレート39は、第2枠形成プレート64の幅方向Yの外側に配置されている。
上記枠部Wは、各第1枠形成プレート61を、ヒンジプレート37に連結してベルト本体30に連結されている。第1枠形成プレート61の各々は、第1長側縁62aを、ヒンジプレート37の長側縁37bに対向させて配置されている。ヒンジプレート37の軸受筒部37aと、第1長側縁62aの軸受筒部63とに、連結軸38が挿入されて、ヒンジH1が形成されている。このヒンジH1によって、ヒンジプレート37と第1枠形成プレート61とが連結されている。つまり、ヒンジベルト29と第1枠形成プレート61とが連結されている。
【0057】
<雌ねじ用プレート67>
枠部Wは、雌ねじ用プレート67を有していてもよい。雌ねじ用プレート67は、長板状である。雌ねじ用プレート67には、雌ねじ68が3箇所に形成されている。雌ねじ68は、雌ねじ用プレート67の板厚方向の両面に開口する。
【0058】
雌ねじ用プレート67は、第1枠形成プレート61の板厚方向の片面に接合されている。雌ねじ用プレート67は、ヒンジベルト29の反対面29b側に配置されている。雌ねじ用プレート67の雌ねじ68と、第1枠形成プレート61の貫通孔62eは板厚方向に連通している。
【0059】
<扉50>
扉50は、扉用ヒンジプレート51と、連結プレート58と、扉用連結軸56と、を有する。扉用ヒンジプレート51は、ヒンジH3によって長手方向Xに連結される。連結プレート58は、扉用ヒンジプレート51と一体であり、かつ幅方向Yにおいて扉用ヒンジプレート51の両端からはみ出て枠部Wと連結される。
【0060】
<扉用ヒンジプレート51>
扉用ヒンジプレート51は、長板状のプレート本体52と、複数の軸受筒部53と、を有する。プレート本体52は、長四角板状である。プレート本体52は、第1長側縁52aと第2長側縁52bとを有する。第1長側縁52aと第2長側縁52bは平行である。また、プレート本体52は、第1短側縁52cと第2短側縁52dとを有する。第1短側縁52cと第2短側縁52dは平行である。扉用ヒンジプレート51のプレート本体52の長手方向への長さを第3長さL3と記載する。第1枠形成プレート61の第1長さL1は、扉用ヒンジプレート51の第3長さL3と、第2枠形成プレート64の第2長さL2の2倍の値との和とほぼ同じである。したがって、1つの扉用ヒンジプレート51と、2つの第2枠形成プレート64とによって、1つのヒンジプレート37が形成されるとも言える。
【0061】
第1長側縁52a及び第2長側縁52bの各々には、4つの軸受筒部53が設けられている。第1長側縁52aに設けられた4つの軸受筒部53は、第2短側縁52dから第1短側縁52cに向けて、軸受筒部53の軸長を空けて等間隔おきに配置されている。第1長側縁52aの軸受筒部53のうち、第2短側縁52dに最も近い軸受筒部53を第1軸受筒部53Aと記載する。この第1軸受筒部53Aは、軸方向の両端に開口する。
【0062】
第2長側縁52bに設けられた4つの軸受筒部53は、第1短側縁52cから第2短側縁52dに向けて、軸受筒部53の軸長を空けて等間隔おきに配置されている。第2長側縁52bの軸受筒部53のうち、第2短側縁52dに最も近い軸受筒部53を第2軸受筒部53Bと記載する。第2軸受筒部53Bは、軸方向の一端に閉塞部53cを有する。閉塞部53cは、第2軸受筒部53Bの軸方向の両端のうち、第1短側縁52c寄りの端面に設けられている。
【0063】
第1長側縁52aに設けられた軸受筒部53と、第2長側縁52bに設けられた軸受筒部53とは、プレート本体52の短手方向に対向しない。
長手方向Xに隣り合う扉用ヒンジプレート51は、一方の扉用ヒンジプレート51の第1長側縁52aと、他方の扉用ヒンジプレート51の第2長側縁52bとを対向させて配置されている。一方の扉用ヒンジプレート51の第1長側縁52aに設けられた軸受筒部53と、他方の扉用ヒンジプレート51の第2長側縁52bに設けられた軸受筒部53とには、扉用連結軸56が挿通されている。複数の軸受筒部53に扉用連結軸56が挿通されることによって、ヒンジH3が形成されている。このヒンジH3によって扉用ヒンジプレート51同士が連結されている。
【0064】
<連結プレート58>
連結プレート58は、長四角板状である。連結プレート58は、第1長側縁58aと、第2長側縁58bとを有する。第1長側縁58aと第2長側縁58bは平行である。連結プレート58の長手方向への長さを第5長さL5と記載する。連結プレート58の第5長さL5は、扉用ヒンジプレート51の第3長さL3より長い。
【0065】
連結プレート58の長手方向の両端側には、連結孔59が設けられている。連結孔59は、連結プレート58の板厚方向の両面に開口する。連結孔59には、ボルト49の軸部49aを挿通できる。
【0066】
連結プレート58は、第1長側縁58a及び第2長側縁58bに複数の溶接用凹部58cを有する。溶接用凹部58cは、第1長側縁58a及び第2長側縁58bから連結プレート58の短手方向に凹む。溶接用凹部58cは、連結プレート58を板厚方向に貫通する。
【0067】
連結プレート58は、扉用ヒンジプレート51のプレート本体52に溶接されている。連結プレート58は、幅方向Yにおける扉用ヒンジプレート51の全長に亘って設けられている。なお、溶接用凹部58cを用いて連結プレート58を扉用ヒンジプレート51に溶接できれば、溶接用凹部58cの数は任意である。
【0068】
連結プレート58の各溶接用凹部58cを用いて連結プレート58がプレート本体52に溶接されている。連結プレート58の長手方向の一端部は、扉用ヒンジプレート51の第1短側縁52cからはみ出すとともに、連結プレート58の長手方向の他端部は、扉用ヒンジプレート51の第2短側縁52dからはみ出している。したがって、一対の連結孔59のうちの一方は、扉用ヒンジプレート51の第1短側縁52cからはみ出した位置に配置されるとともに、一対の連結孔59のうちの他方は、扉用ヒンジプレート51の第2短側縁52dからはみ出した位置に配置される。
【0069】
<固定用プレート70>
扉50は、固定用プレート70を有していてもよい。
固定用プレート70は、長板状のプレート本体71と、複数の軸受筒部72と、を有する。プレート本体71は、長四角板状である。プレート本体71は、第1長側縁71aと、第2長側縁71bとを有する。第1長側縁71aと第2長側縁71bは平行である。また、プレート本体71は、第1短側縁71cと第2短側縁71dとを有する。第1短側縁71cと第2短側縁71dは平行である。固定用プレート70のプレート本体71の長手方向への長さを第4長さL4と記載する。固定用プレート70の第4長さL4は、扉用ヒンジプレート51の第3長さL3とほぼ同じである。
【0070】
第2長側縁71bには、4つの軸受筒部72が設けられている。4つの軸受筒部72は、第1短側縁71cから第2短側縁71dに向けて等間隔おきに配置されている。
固定用プレート70は、長手方向Xにおいて扉用ヒンジプレート51に隣り合うように配置されている。固定用プレート70と扉用ヒンジプレート51とは、固定用プレート70の第2長側縁71bと、扉用ヒンジプレート51の第1長側縁52aとを対向させて配置されている。固定用プレート70に設けられた軸受筒部72と、扉用ヒンジプレート51に設けられた軸受筒部53とには、扉用連結軸56が挿通されている。これによりヒンジH4が形成されている。このヒンジH4によって、扉用ヒンジプレート51と固定用プレート70が連結されている。
【0071】
固定用プレート70には、挿通孔74が3箇所に設けられている。挿通孔74は、固定用プレート70の長手方向に等間隔おきに配置されている。挿通孔74は、固定用プレート70の板厚方向の両面に開口する。挿通孔74には、ボルト49の軸部49aを挿通できる。
【0072】
<扉50の取り付け>
扉50は、一対の固定用プレート70及び複数の連結プレート58をボルト49によって枠部Wに連結することによって、枠部Wに取り付けられる。
【0073】
固定用プレート70の各挿通孔74に挿通されたボルト49の軸部49aは、第1枠形成プレート61の貫通孔62eを貫通して、雌ねじ用プレート67の雌ねじ68に螺合される。また、連結プレート58の連結孔59に挿通されたボルト49の軸部49aは、第2枠形成プレート64の貫通孔65eを貫通して、ナット48に螺合されている。これら螺合によって、扉50が枠部Wに取り付けられる。扉50は、枠部Wの内側に配置される。扉50は、開口部Tを閉塞する。
【0074】
幅方向Yにおける扉50の両側には、枠部Wを形成する複数の第2枠形成プレート64が配置されている。扉50の扉用連結軸56は、扉50の幅方向Yの寸法内にある。そして、枠部Wの第1枠形成プレート61と第2枠形成プレート64、及び第2枠形成プレート64同士は、枠用連結軸69によって連結されている。つまり、扉50を連結する扉用連結軸56と、枠部Wを連結する枠用連結軸69とは、幅方向Yにおいて分断されている。このため、扉50を枠部Wから独立して回動させることができる。つまり、ヒンジベルト29の幅方向Yへの寸法内で扉50のみを回動させることができる。
【0075】
開口部Tを開口させるには、2つの方法がある。なお、開口部Tを開口させるには、開閉部60を下部水平フレーム21の任意の位置に配置する。
1つ目の方法では、まず、一対の固定用プレート70の各々に挿通されているボルト49を、雌ねじ68から螺退させて、両方の固定用プレート70を第1枠形成プレート61から取り外す。次に、全ての連結プレート58に挿通したボルト49をナット48から螺退させて、全ての連結プレート58を第2枠形成プレート64から取り外す。
【0076】
図7に示すように、扉50は、枠部Wから取り外される。すると、開口部Tが開口する。
2つ目の方法では、まず、一対の固定用プレート70のうちの一方に挿通されているボルト49を、雌ねじ68から螺退させて、一方の固定用プレート70を第1枠形成プレート61から取り外す。このとき、他方の固定用プレート70は、ボルト49によって第1枠形成プレート61に固定したままとする。次に、全ての連結プレート58に挿通したボルト49をナット48から螺退させて、全ての連結プレート58を第2枠形成プレート64から取り外す。そして、他方の固定用プレート70と第1枠形成プレート61とを連結する扉用連結軸56を回動中心として、扉50をチップコンベア28から離す方向へ回動させる。
【0077】
図8に示すように、開口部Tが開口する。
上記のように、ボルト49は、連結プレート58を枠部Wのナット48に対し着脱可能に取り付けられる。
【0078】
上記枠部Wは、各第1枠形成プレート61を、ヒンジプレート37から離脱させてベルト本体30から取り外すことができる。そして、枠部Wに扉50を取り付けることにより、枠部Wと扉50とがユニット化されて開閉部60が形成される。
【0079】
ユニット化された開閉部60は、枠部Wの各第1枠形成プレート61を、ヒンジプレート37に連結してベルト本体30に連結することにより、ベルト本体30に連結することができる。したがって、ユニット化された開閉部60は、ベルト本体30に対して着脱可能である。
【0080】
<実施形態の作用>
チップコンベア28は、シュータ13から搬送面29aに落下した切削屑Kを搬送する。切削屑Kの一部は、隣り合うヒンジプレート37同士の間や、隣り合うサイドプレート39同士の間から、ヒンジベルト29の上段部29Aから下段部29Bに落下する。このため、下段部29Bの反対面29bには、切削屑Kが堆積する。堆積した切削屑Kを除去する際、作業者は、開閉部60を下部水平フレーム21の任意の位置に位置させる。次に、作業者は、上記2つの方法のいずれかの方法によって扉50を操作して、開口部Tを開口させる。そして、作業者は、開口部Tから切削屑Kを除去する。
【0081】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)切削屑Kを除去する作業を行うには、固定用プレート70の少なくとも一方、及び枠部Wからボルト49を取り外す。すると、固定用プレート70、及び連結プレート58による、枠部Wに対する扉50の連結が解除されるため、扉50によって開口部Tを開口させることが可能になる。このとき、ボルト49は、枠部Wから取り外されるため、ボルト49は、サイドチェーン36から取り外されることはない。つまり、サイドチェーン36とヒンジベルト29を連結したまま開口部Tを開口できる。そして、開口部Tは、枠部Wによって、ヒンジベルト29における幅方向Yの両端よりも内側に画定されている。このため、ヒンジベルト29の幅方向Yの両端よりも内側で開口部Tを開口させることができる。その結果として、切削屑Kの除去のために開口部Tを開口させる際、ヒンジプレート37をサイドチェーン36から取り外す必要がない。ヒンジプレート37は、ヒンジベルト29の幅方向Y全体に延びる部材である。したがって、ヒンジプレート37の取り外しのために、例えば、下部水平フレーム21の底板31から案内レール32を取り外す必要もない。
【0082】
ここで、切削屑Kの除去のために、案内レール32を下部水平フレーム21の底板31から取り外すと、案内レール32を幅方向Yに移動させるためのスペースが必要になる。しかし、切削屑回収装置11の近傍には、その他の機械等が設置されており、案内レール32を移動させるためのスペースは確保しにくい。
【0083】
これに対し、チップコンベア28は、案内レール32を取り外す必要なく、開口部Tを開口できるため、案内レール32を取り外すためのスペースが無くても、切削屑Kの除去作業を行える。また、案内レール32は、下部水平フレーム21の所定の位置でしか取り外せない。このため、案内レール32を取り外しての切削屑Kの除去は、案内レール32を取り外すことのできる位置でしか行えない。しかし、チップコンベア28は、案内レール32を取り外す必要なく、開口部Tを開口できるため、下部水平フレーム21の長手方向Xの任意の位置で、切削屑Kの除去作業を行える。
【0084】
また、チップコンベア28は、切削屑Kの除去のために、サイドチェーン36とヒンジベルト29との連結を解除する必要がないため、当該連結解除に伴うサイドチェーン36の周回不良なども発生しない。
【0085】
(2)連結プレート58は、幅方向Yにおける扉用ヒンジプレート51の全長に亘って設けられている。連結プレート58によって扉用ヒンジプレート51を全長に亘って補強できる。このため、連結プレート58は、幅方向Yへの扉50の撓みを抑制できる。したがって、連結プレート58は、扉50を枠部Wに連結するための機能と、扉50の撓みを抑制するための機能の2つの機能を持つ。よって、2つの機能を持つプレートを別々に扉50に設ける場合と比べて、チップコンベア28の部品点数を減らすことができる。
【0086】
(3)扉50は、枠部Wに対して取り外し可能である。このため、扉50を枠部Wから取り外すと、開口部Tの全体が、搬送面29aに開口する。これにより、開口部Tを通じた切削屑Kの除去等の作業が行いやすい。
【0087】
(4)開閉部60は、枠部Wと扉50とがユニット化されて形成される。開閉部60は、ベルト本体30に対して着脱可能である。開閉部60を備えないチップコンベアに対し、開閉部60を備えるチップコンベアに改変する場合、ユニット化された開閉部60をベルト本体30に連結すればよい。このため、開閉部60を備えないチップコンベアに対し、開閉部60を備えるチップコンベアに改変する作業が容易となる。
【0088】
(5)扉用ヒンジプレート51には連結プレート58が接合されている。連結プレート58の長手方向の両端部は、ボルト49によって枠部Wに連結される。このため、扉用ヒンジプレート51の長手方向両端部が撓むことを抑制できる。その結果、幅方向Yにおける扉50の両端と枠部Wとの境界に隙間ができることを抑制できる。したがって、扉50と枠部Wとの境界からの切削屑Kの落下を抑制できる。
【0089】
(6)一対の固定用プレート70の各々に挿通されているボルト49を、雌ねじ68から螺退させて、両方の固定用プレート70を第1枠形成プレート61から取り外す。また、全ての連結プレート58に挿通したボルト49をナット48から螺退させて、全ての連結プレート58を第2枠形成プレート64から取り外す。すると、扉50を枠部Wから取り外すことができる。したがって、切削屑Kの除去作業の際、扉50が邪魔にならない。
【0090】
(7)扉用ヒンジプレート51の第3長さL3を調節することで、幅方向Yへの扉50の寸法を調節できる。プレート本体65の第2長さL2も調節して、扉用ヒンジプレート51と、2つの第2枠形成プレート64との長さの和を、ヒンジプレート37の長さLに合わせる。このようにすれば、開口部Tの開口幅を調節できる。
【0091】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 枠部Wは、ベルト本体30に対し着脱不能に固定されていてもよい。この場合、開閉部60のうちの扉50のみが枠部Wに対し着脱可能になる。
【0092】
○ 連結プレート58は、扉用ヒンジプレート51の長手方向の両側に分けて設けられていてもよい。この場合、2枚の連結プレート58の各々は、扉用ヒンジプレート51のプレート本体52に対し、溶接によって接合されていてもよいし、ボルトやビスによって締結されていてもよい。
【0093】
○ 連結プレート58は、扉用ヒンジプレート51に対し、3枚以上接合されていてもよい。2枚の連結プレート58の各々は、扉用ヒンジプレート51の長手方向の両端部に接合されるとともに、それら2枚の連結プレート58の間に、別の連結プレート58がプレート本体52に対し接合される。なお、連結プレート58は、プレート本体52に対して溶接によって接合されていてもよいし、ボルトやビスによって締結されていてもよい。
【0094】
○ 固定用プレート70は無くてもよい。この場合、扉50は、連結プレート58のみで枠部Wに連結される。
○ 一対の固定用プレート70のうちの一方は無くてもよい。
【0095】
○ 枠部Wを形成する第2枠形成プレート64の数は、変更してもよい。長手方向Xへの開口部Tの寸法を大きくしたい場合は、第2枠形成プレート64の数を増やす。長手方向Xへの開口部Tの寸法を小さくしたい場合は、第2枠形成プレート64の数を減らす。
【0096】
○ 連結プレート58を枠部Wに取り付ける取付部材は、ボルト49でなく、ビスであってもよい。この場合、連結部は、ビスが圧入される圧入穴になる。
○ 連結部は、第2枠形成プレート64に接合したナット48によって形成したが、ナット48を無くすとともに、貫通孔65eを雌ねじとして連結部としてもよい。
【符号の説明】
【0097】
T…開口部、X…長手方向、Y…幅方向、W…枠部、28…チップコンベア、29…ヒンジベルト、29a…搬送面、30…ベルト本体、36…サイドチェーン、48…連結部としてのナット、49…取付部材としてのボルト、50…扉、51…扉用ヒンジプレート、58…連結プレート、60…開閉部、61…第1枠形成プレート、64…第2枠形成プレート。
【要約】
【課題】サイドチェーンとヒンジベルトを連結したまま開口部を開口できるチップコンベアを提供すること。
【解決手段】チップコンベア28のヒンジベルト29は、ベルト本体30と、開閉部60と、を有する。開閉部60は、開口部を開閉可能とする扉50と、開口部を画定する枠部Wと、扉50を枠部Wに取り付けるためのボルト49と、を有する。扉50は、複数の扉用ヒンジプレート51と、幅方向Yにおいて扉用ヒンジプレート51の両端からはみ出て枠部Wと連結される連結プレート58と、を有する。枠部Wは、長手方向Xに連結される第1枠形成プレート61及び第2枠形成プレート64を有する。枠部Wはナット48を有する。ボルト49は、連結プレート58を枠部Wのナット48に対し着脱可能に取り付ける。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8