(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】フィルムスイッチのスイッチ感度向上装置
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
H01H13/14 Z
(21)【出願番号】P 2019106641
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503144869
【氏名又は名称】株式会社アイデル
(74)【代理人】
【識別番号】100061310
【氏名又は名称】永島 郁二
(72)【発明者】
【氏名】石渡 誠四郎
(72)【発明者】
【氏名】石渡 誠
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-042023(JP,U)
【文献】特開平01-105418(JP,A)
【文献】特開2001-266701(JP,A)
【文献】登録実用新案第3131340(JP,U)
【文献】登録実用新案第3131872(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムスイッチをずれ動きしないように外被の下半に挿通するとともに、該外被の頂点中心よりフィルムスイッチの上面に向けて垂直の押圧片とおよび左右両側より該垂直の押圧片の下部に向けて押圧用の横片を設けて、これらの押圧片,横片の押圧によりフィルムスイッチの押圧によるスイッチ感度を向上するようにしたことを特徴とするフィルムスイッチのスイッチ感度向上装置。
【請求項2】
左右の押圧用の横片を外高内低の傾斜を附してフィルムスイッチの斜め上方からの押圧感度をさらに向上させる請求項1に記載のフィルムスイッチのスイッチ感度向上装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムスイッチの押圧感度の向上と保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィルムスイッチについては特許第4545635号公報と同、第4671237号公報がある。両公報は絶縁フィルムの折り返しにより反撥性を備えた細帯状の上辺と下辺を設け、この上下辺に多数の相対窓孔を並設してそれぞれの窓孔に面して導電線につながる接点子を臨ませ、押圧を受けた箇所の接点子間の接離にてスイッチ作用をするようにしている。
【0003】
これらのフィルムスイッチを挿通する筒形をした外被と台座レールについては実用新案登録第3128637号公報に記載がある。この公報は長尺スイッチの両端部の不感知部分を解消するために外被内の端部空間2a内に封止体22を具備させて押圧時に封止体22が端部空間2a内で撓むことによりアクチュエータ板7を介してスイッチをONさせるようにして両端部の不感知部分を解消するということと、台座レール10にて外被11の下部を載嵌着することを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4545635号公報
【文献】特許第4671237号公報
【文献】実用新案登録第3128637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記公報の電極23,24はアクチュエータ板7上とするために外被11の上面下に近接していることから、ずれ動いてスイッチ操作を不能にするという課題がある。また、構造が複雑なため、点検・修理等が容易でないものにしているという課題がある。
【0006】
また、台座レール10は上面の浅い皿形の嵌入溝にて外被11の下部を載嵌着する記載によって、外被11は押圧を受けることで形崩れして外被11内の電極23,24に潰れ,捩れ等の障害を生ずるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はフィルムスイッチをずれ動きのない外被の上面から離れた下半部に挿通し、このフィルムスイッチに向けて外被内の上半に垂直の押圧片と左右の押圧用の横片を設けて、これらの押圧片と横片にてフィルムスイッチを押圧して感度よくスイッチ操作するようになる。
【0008】
また、この外被を載嵌着する台座レールは深い嵌入溝を設けて外被を形崩れしないように深く載嵌着して、フィルムスイッチに外被の形崩れによる潰れ,捩れ等の支障が生じないようにして課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明はフィルムスイッチを外被内の下半に挿通したことで、フィルムスイッチは押圧によるずれ動きが生じないという効果を生ずる。
【0010】
フィルムスイッチは垂直の押圧片と左右の横片にて押圧を受けることで敏感に反応してスイッチ操作をするという効果を生ずる。
【0011】
左右の押圧用の横片を外高内低に傾斜させることで、フィルムスイッチは斜角からの押圧感度をさらに向上させることができるという効果を生ずる。
【0012】
台座レールは深い嵌入溝を設けて外被を形崩れしないように深く載嵌着することで、外被内のフィルムスイッチは外被の形崩れによる潰れ,捩れ等が生じないという効果を生ずる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施例を示すもので、フィルムスイッチと外被および台座レールを各別に示す斜視図
【
図3】押圧によりスイッチ作用した状態を示すもので、(a)は上方から、(b)左斜め上方から、(c)は右斜め上方から押圧された時の状態を示す断面図
【
図4】本発明の第2実施例を示すもので、(a)は左右の横片に外高内低の傾斜を附した例を示す断面図、(b)は同、押圧されてスイッチ作用した状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、断面を中空のアーチ形とする外被内の下半にフィルムスイッチを挿通し、この外被の頂部中心よりフィルムスイッチの上面中心に向けて垂直の押圧片と左右両側より垂直の押圧片の下部に向けて押圧用の横片を設けて、外被の上方と左右の斜め上からの押圧を受けてこれらの押圧片にてフィルムスイッチを押圧してスイッチを感度よくスイッチ操作するようにする。
【0015】
また、台座レールは両側板の縦長を増長して両側板間にて深い嵌入溝を形成して外被を保形するように深く載嵌着してフィルムスイッチを外被の形崩れによる潰れ,捩れなどの障害が生じないようにして構成する。
【実施例1】
【0016】
図1乃至
図3は本発明の第1実施例であって、反撥性を有す絶縁フィルムの長手方向に沿った折り返しにて細帯状のスイッチ体を形成し、スイッチ体の上面板1aに長手方向に間隔を置いて窓孔2を並設し、該窓孔2内に表出し導電線につながる接点子3bを先部上面に設けた弾撥細片1bと、該接点子3bが反撥接面する上面板1aの下面に導電線につながる接点子3aを設け、押圧を受けた箇所の接点子3a,3bの接離にてスイッチをON,OFFするようにしてフィルムスイッチFを形成する。
【0017】
このフィルムスイッチFは断面を中空のアーチ形とするゴム製の外被4内の下半4aに挿通して接着固定し、外被4内の上部の頂点中心よりフィルムスイッチFの中心上に向けて垂直の押圧片5と左右の側面より垂直の押圧片5の下部に向けて水平の横片6a,6bを設ける。これらの押圧片5と横片6a,6bは外被4と同質材であって、外被4の長さ方向に伸びていてフィルムスイッチFをどの箇所でも押圧するように近接して設けられる。
【0018】
フィルムスイッチFを使用する際は外被4の底部4bを台座レール7上に載嵌着して使用箇所に敷設等するのである。
【0019】
フィルムスイッチFは外被4が上方または左右の斜め上方からの押圧を受けると、
図3の(a)(b)(c)に示すように垂直の押圧片5の下押しにより、または横片6a,6bの一方の面の面押しにてフィルムスイッチFは押圧箇所の接点子3a,3bの接離によりスイッチをON,OFFすることになる。
【実施例2】
【0020】
図4は本発明の第2実施例であって、左右の横片6a,6bを外高、内低の傾斜を附して内向させて、左右の斜め上からの押圧に対するフィルムスイッチFの被圧による反応感度をさらに向上するようにしたのである。その他の構成と作用は第1実施例と同じである。
【実施例3】
【0021】
図5は本発明の第3実施例であって、台座レール7の両側の側板7a,7bの縦長を長大にして、その間に深い嵌入溝7cを設けて外被4を深く、換言すれば外被4の半分強を載嵌着して形崩れをしないようにして、フィルムスイッチFを過度の加圧,押圧と外被の形崩れによる潰れ,捩れ等が生じないようにしたのである。その他の構成と作用は第1,第2実施例と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明はフィルムスイッチをずれ動きなしにスイッチ反応感度を格段に向上させることと、外被の形崩れによるフィルムスイッチの潰れ,捩れ等を生じないように保護することで広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0023】
1aはスイッチ体の上面板
1bはスイッチ体の弾撥細片
2は窓孔
3a,3bは接点子
4は外被
4aは外被の下半
4bは外被の底部
5は垂直の押圧片
6a,6bは水平の横片
7は台座レール
7a,7bは側板
7cは嵌入溝
Fはフィルムスイッチ