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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】信号入力回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/42 20060101AFI20230518BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
H03F1/42
H03F3/68
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018152704
(22)【出願日】2018-08-14
(65)【公開番号】P2020028058
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】吉原 智朗
(72)【発明者】
【氏名】杉原 吉信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勇
(72)【発明者】
【氏名】服部 安彦
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103884895(CN,A)
【文献】特公昭61-1926(JP,B2)
【文献】特公昭59-10506(JP,B2)
【文献】特開2001-345659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-3/72
G01R13/20-13/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を、直流及び低周波数成分の少なくとも一方を含む第1信号と、前記第1信号よりも高い周波数成分を含む交流信号とに分離する第1分離部と、
前記交流信号を、前記第1信号よりも高い周波数成分を含む第2信号と、前記第2信号よりも高い周波数成分を含む第3信号とに分離する第2分離部と、
前記第1分離部によって分離された前記第1信号を増幅する増幅器を含む調整部と、
前記第2分離部によって分離された前記第2信号を増幅する第1増幅部と、
前記第2分離部によって分離された前記第3信号を増幅する、前記第1増幅部と異なる第2増幅部と、
前記調整部から出力された前記第1信号と、前記第2分離部によって分離された前記第2信号及び前記第3信号とを合成する合成部と、
前記第2増幅部を含み、前記合成部によって合成された前記入力信号に含まれる前記第1信号及び前記第2信号を、前記第2分離部によって分離された前記第3信号と共に前記第2増幅部を介して前記第1増幅部にフィードバックするブートストラップ部と、
を備える、
信号入力回路。
【請求項2】
前記第1分離部によって分離された前記第1信号に対して、前記合成部によって合成された前記入力信号に含まれる前記第1信号をフィードバックするフィードバック部をさらに備える、
請求項1に記載の信号入力回路。
【請求項3】
前記調整部に含まれる前記増幅器は、前記フィードバック部に基づき反転増幅器として動作するオペアンプと、前記オペアンプの出力側にベースが接続されている第1バイポーラ型トランジスタとを含む、
請求項2に記載の信号入力回路。
【請求項4】
前記第1増幅部は、FET型トランジスタを含み、
前記第2増幅部は、第2バイポーラ型トランジスタを含み、
前記FET型トランジスタのドレイン側と前記第2バイポーラ型トランジスタのエミッタ側とが接続されている、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の信号入力回路。
【請求項5】
前記第2分離部は、前記FET型トランジスタのゲート側に直列接続されているダンピング抵抗を含む、
請求項に記載の信号入力回路。
【請求項6】
前記調整部は、前記第1分離部によって分離された前記第1信号の増幅比又は減衰比を調整する、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の信号入力回路。
【請求項7】
前記第1分離部によって分離された前記交流信号の減衰比を調整する減衰部をさらに備える、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の信号入力回路。
【請求項8】
前記減衰部は、第1スイッチ及び第2スイッチと、第1コンデンサ、第2コンデンサ、及び第3コンデンサとを含み、
前記第1スイッチの一方の出力側は、前記第1コンデンサに直列接続され、
前記第1スイッチの他方の出力側は、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサによって構成される容量分圧回路に直列接続され、
前記第1コンデンサの出力側と前記容量分圧回路の出力側とがそれぞれ前記第2スイッチに直列接続されている、
請求項に記載の信号入力回路。
【請求項9】
前記調整部は、前記減衰部における前記減衰比に基づいて、前記第1分離部によって分離された前記第1信号の増幅比又は減衰比を調整する、
請求項7又は8に記載の信号入力回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、信号入力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力信号に対して任意の処理を施す信号入力回路が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、スイッチの個数を増やさずに、電気長が短くなる回路構成とし、回路の共振周波数をより高域にすることにより広帯域化を図り得る広帯域減衰回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-345659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の信号入力回路では、複数の抵抗及びコンデンサを実装する必要がある。また、回路において直流的に接続されている部分が存在すると高電圧が印加する恐れがあり、回路部品としてサイズの大きい高耐圧部品を使用する必要がある。加えて、沿面距離を確保する必要があり、回路の小型化が妨げられる。
【0006】
配線パターンの配線長が長くなるほど配線パターンに発生する寄生素子の影響は大きくなる。より具体的には、配線長が長くなるほど寄生インダクタンスは大きくなり、配線長に比例して面積が大きくなるほど寄生容量は大きくなる。これら2つのパラメータにより発生する共振点の共振周波数は低下し、回路の広帯域化が妨げられる。
【0007】
特許文献1に記載の広帯域減衰回路は、これらの課題を十分に解決するものではなかった。
【0008】
本開示は、小型化及び広帯域化に効果的に寄与できる信号入力回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
幾つかの実施形態に係る信号入力回路は、入力信号を、直流及び低周波数成分の少なくとも一方を含む第1信号と、前記第1信号よりも高い周波数成分を含む交流信号とに分離する第1分離部と、前記交流信号を、前記第1信号よりも高い周波数成分を含む第2信号と、前記第2信号よりも高い周波数成分を含む第3信号とに分離する第2分離部と、前記第1分離部によって分離された前記第1信号を増幅する増幅器を含む調整部と、前記調整部から出力された前記第1信号と、前記第2分離部によって分離された前記第2信号及び前記第3信号とを合成する合成部と、を備える。このような信号入力回路によれば、小型化及び広帯域化に効果的に寄与できる。より具体的には、信号入力回路では、後述するとおり回路に用いられる部品において、高耐圧部品の数が低減する。これにより、部品のサイズが小さくなり、回路サイズを小さくすることができる。結果として、回路の電気長が短くなり、広帯域化が容易になる。
【0010】
一実施形態に係る信号入力回路は、前記第1分離部によって分離された前記第1信号に対して、前記合成部によって合成された前記入力信号に含まれる前記第1信号をフィードバックするフィードバック部をさらに備えてもよい。このように、信号入力回路がフィードバック部を備えることで、調整部に用いられる増幅器として高帯域なものを用いれば、帯域の異なる信号を合成する際の調整が容易となる。さらに、調整部に用いられる増幅器として直流誤差が小さいものを用いれば、回路全体の直流誤差が低減する。
【0011】
一実施形態に係る信号入力回路において、前記調整部に含まれる前記増幅器は、前記フィードバック部に基づき反転増幅器として動作するオペアンプと、前記オペアンプの出力側にベースが接続されている第1バイポーラ型トランジスタとを含んでもよい。
【0012】
一実施形態に係る信号入力回路は、前記第2分離部によって分離された前記第2信号を増幅する第1増幅部をさらに備えてもよい。
【0013】
一実施形態に係る信号入力回路は、前記第2分離部によって分離された前記第3信号を増幅する第2増幅部と、前記第2増幅部を含み、前記合成部によって合成された前記入力信号に含まれる前記第1信号及び前記第2信号を、前記第2分離部によって分離された前記第3信号と共に前記第2増幅部を介して前記第1増幅部にフィードバックするブートストラップ部と、をさらに備えてもよい。このように、信号入力回路がブートストラップ部を備えることで、回路の入力容量を高域まで安定して低く維持することが可能である。
【0014】
一実施形態に係る信号入力回路において、前記第1増幅部は、FET型トランジスタを含み、前記第2増幅部は、第2バイポーラ型トランジスタを含み、前記FET型トランジスタのドレイン側と前記第2バイポーラ型トランジスタのエミッタ側とが接続されていてもよい。
【0015】
一実施形態に係る信号入力回路において、前記第2分離部は、前記FET型トランジスタのゲート側に直列接続されているダンピング抵抗を含んでもよい。これにより、共振に基づく発振及び周波数特性におけるピークの発生が抑制される。
【0016】
一実施形態に係る信号入力回路において、前記調整部は、前記第1分離部によって分離された前記第1信号の増幅比又は減衰比を調整してもよい。これにより、信号入力回路は、第1分離部によって分離された第1信号の信号強度を調整可能である。
【0017】
一実施形態に係る信号入力回路は、前記第1分離部によって分離された前記交流信号の減衰比を調整する減衰部をさらに備えてもよい。これにより、信号入力回路は、交流信号の信号強度を調整可能である。
【0018】
一実施形態に係る信号入力回路において、前記減衰部は、第1スイッチ及び第2スイッチと、第1コンデンサ、第2コンデンサ、及び第3コンデンサとを含み、前記第1スイッチの一方の出力側は、前記第1コンデンサに直列接続され、前記第1スイッチの他方の出力側は、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサによって構成される容量分圧回路に直列接続され、前記第1コンデンサの出力側と前記容量分圧回路の出力側とがそれぞれ前記第2スイッチに直列接続されていてもよい。
【0019】
一実施形態に係る信号入力回路において、前記調整部は、前記減衰部における前記減衰比に基づいて、前記第1分離部によって分離された前記第1信号の増幅比又は減衰比を調整してもよい。これにより、調整部は、第1分離部によって分離され、減衰部から出力された交流信号の信号強度に合わせて、第1信号の信号強度を調整可能である。したがって、信号入力回路は、広帯域にわたってフラットな周波数特性を実現できる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、小型化及び広帯域化に効果的に寄与できる信号入力回路を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態に係る信号入力回路の構成の概略を例示的に示す第1ブロック図である。
図2】一実施形態に係る信号入力回路の具体例を示す、図1に対応させた回路図である。
図3図2の信号入力回路の構成を機能ごとにより詳細に示す第2ブロック図である。
図4】一実施形態に係る信号入力回路の具体例を示す、図3に対応させた回路図である。
図5図4の信号入力回路の構成の一部を省略した回路図である。
図6図5の信号入力回路における中域及び高域経路のみを示す回路図である。
図7図5の信号入力回路における低域経路のみを示す回路図である。
図8】パッシブプローブとオシロスコープとを接続した場合の回路図である。
図9図4の減衰部の第1変形例を示す回路図である。
図10図4の減衰部の第2変形例を示す回路図である。
図11】50Ω系及び1MΩ系の回路を並列させたオシロスコープ入力回路を示す回路図である。
図12】従来のオシロスコープにおけるアナログデジタル変換回路までの入力回路を簡略的に示すブロック図である。
図13図12の入力回路における減衰部及びバッファアンプ部を詳細に示す回路図である。
図14図13のバッファアンプ部を広帯域化する従来のブートストラップ回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図12乃至図14を参照しながら従来技術の背景及び問題点について説明する。
【0023】
図12は、従来のオシロスコープにおけるアナログデジタル変換回路(ADC)までの入力回路を簡略的に示すブロック図である。図12を参照すると、一般的に、このような入力回路は、入力信号を減衰させる減衰部と、入力信号を増幅するバッファアンプ部と、入力信号をさらに電圧増幅する可変増幅部(VGA:Variable Gain Amplifier)とを有する。
【0024】
図13は、図12の入力回路における減衰部及びバッファアンプ部を詳細に示す回路図である。図13を参照すると、減衰部は、オシロスコープの機種によって異なる減衰比及び段数を有し、数種類の減衰比に切り替え可能な構成を有する。バッファアンプ部は、入力信号に対してハイインピーダンスを実現するために、FET型トランジスタQ1をトップに配置する構成を有する。バッファアンプ部は、ソースフォロア回路及び後段のエミッタフォロア回路によって入力信号を電流増幅し、入力信号に対するインピーダンス変換を行う。なお、後段のエミッタフォロア回路の段数は、オシロスコープの機種によって異なる。入力信号に対するインピーダンス変換後、入力信号は、その信号レベルがVGAによって正規化された状態で、ADCへと入力される。
【0025】
図13の減衰部において、スルーパス以外の所定の減衰比を有する経路には、合計4つのスイッチが配置される。図では簡略化して減衰部の構成が示されているが、減衰比を調整するために、実際には複数の抵抗及びコンデンサが減衰部において実装される。さらに、減衰部の入力部分とFET型トランジスタQ1の入力部分とは直流的に接続されており、これらの間に高電圧が印加する恐れがある。したがって、減衰部において、サイズの大きい高耐圧部品を回路部品として使用する必要がある。加えて、沿面距離を確保する必要があり、減衰部の入力部分からFET型トランジスタQ1の入力部分までの回路部品の実装面積が増大する。これにより、回路の小型化が妨げられる。
【0026】
回路部品の実装面積が大きいほど配線パターンの配線長は長くなる。配線長が長くなるほど配線パターンに発生する寄生素子の影響は大きくなる。配線パターンの寄生素子は、寄生インダクタンスL及び寄生容量Cを有する。配線長が長くなるほど寄生インダクタンスLは大きくなり、配線長に比例して面積が大きくなるほど寄生容量Cは大きくなる。これら2つのパラメータにより共振点が発生し、その共振周波数はf=1/(2π(LC)1/2)で表される。L及びCの値が大きいほど共振周波数が低下し、回路の高周波数特性が制限される。
【0027】
図14は、図13のバッファアンプ部を広帯域化する従来のブートストラップ回路を示す回路図である。図13のバッファアンプ部において、入力信号の周波数が高くなると、FET型トランジスタQ1のゲート及びドレイン間の寄生容量の影響により入力インピーダンスが下がり高域のゲインが低下する。結果として、広帯域化が妨げられる。既知な対策として、例えば図14に示すブートストラップ回路が考案されている。
【0028】
図14に示すブートストラップ回路では、FET型トランジスタQ1のソースからの出力を、バイポーラ型トランジスタQ4を経由してFET型トランジスタQ1のドレインにフィードバックすることで、FET型トランジスタQ1のゲート及びドレイン間の交流的な電位差が小さくなる。したがって、FET型トランジスタQ1のゲート及びドレイン間に流れる電流が低減し、ゲート及びドレイン間の寄生容量の影響が低減する。これにより、ブートストラップ回路を有さない場合と比較して、回路の高周波数特性が向上する。
【0029】
しかしながら、ドレインにフィードバックする信号はFET型トランジスタQ1を一度通過した信号であり、最低でもFET型トランジスタQ1の応答速度分の遅れが生じる。したがって、FET型トランジスタQ1の応答速度が追い付かなくなる高域では、ブートストラップの効果が低減する。
【0030】
加えて、高域ではゲート及びソース間の寄生容量の影響が現れる。FET型トランジスタQ1の応答速度で追従できる周波数領域ではゲートとソースとは交流的に同電位となるため、ゲート及びソース間の寄生容量の影響はほとんど現れない。しかしながら、周波数が上がりFET型トランジスタQ1の応答速度で追従できなくなると、ゲート及びソース間に交流的な電位差が生じる。
【0031】
FET型トランジスタQ1の出力には、FET型トランジスタQ1自身が出力する信号t1、及びFET型トランジスタQ1を通過せずゲート及びソース間の寄生容量を有する寄生素子を経由する信号t2の2種類が含まれる。FET型トランジスタQ1の応答速度が不足する高域の場合、先に信号t2が出力され、遅れて信号t1が順に出力される。また、FET型トランジスタQ1の出力インピーダンスは、ゲート及びソース間の寄生容量に基づくインピーダンスよりも小さいため、信号t1のレベルは、信号t2のレベルよりも大きくなる。したがって、ソースの電位は増大し、ゲート及びソース間の寄生容量を有する寄生素子にチャージされた電荷が入力側に流れる。これにより、共振に基づく発振及び周波数特性におけるピークが発生する等の影響が現れるだけでなく、場合によっては負性抵抗の特性が生じる恐れがある。
【0032】
以上のように、広帯域の回路を実現するためには、寄生素子の影響を低減するために回路サイズを極力小さくすることが重要である。オシロスコープ等、入力電圧範囲の広い製品では、サイズの大きい高耐圧部品を使用する必要があり、沿面距離の確保が要求されるため、回路の小型化が困難となる。加えて、ハイインピーダンス入力を実現するためにバッファアンプ部において用いられるFET型トランジスタQ1について、寄生容量による帯域の制限及び発振の問題等が生じやすい。
【0033】
本開示は、小型化及び広帯域化に効果的に寄与できる信号入力回路を提供することを目的とする。本開示の一実施形態に係る信号入力回路は、高電圧が印加する部分を低減し、回路サイズを小さくすることで、広帯域で基板設計の容易な減衰部を有すると共に、高域まで安定して低容量なバッファアンプ部を有する。以下では、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について主に説明する。
【0034】
図1は、一実施形態に係る信号入力回路1の構成の概略を例示的に示す第1ブロック図である。図1を参照すると、信号入力回路1は、入力信号を、直流及び低周波数成分の少なくとも一方を含む第1信号T1と、第1信号T1よりも高い周波数成分を含む交流信号TACとに分離する。信号入力回路1は、例えば、第1信号T1を減衰させる低域減衰部A1と、交流信号TACを減衰させる高域減衰部A2とを有する。信号入力回路1は、第1信号T1と交流信号TACとを再度合成する。信号入力回路1は、入力信号を電流増幅するバッファアンプ部BAをさらに有する。
【0035】
図2は、一実施形態に係る信号入力回路1の具体例を示す、図1に対応させた回路図である。図2を参照すると、信号入力回路1では、例えば、低域減衰部A1、高域減衰部A2、及びバッファアンプ部BAが一体的に構成されている。
【0036】
図3は、図2の信号入力回路1の構成を機能ごとにより詳細に示す第2ブロック図である。図3に示す第2ブロック図では、信号入力回路1の構成の各機能が、図1の第1ブロック図よりもさらに詳細に分割された状態で示されている。
【0037】
図3を参照すると、信号入力回路1は、第1分離部11と、減衰部12と、第2分離部13と、第1増幅部14と、ブートストラップ部15と、第2増幅部15aと、調整部16と、合成部17と、第3増幅部18と、フィードバック部19と、を有する。
【0038】
第1分離部11は、入力信号を、第1信号T1と交流信号TACとに分離する。減衰部12は、第1分離部11によって分離された交流信号TACを減衰させる。減衰部12は、第1分離部11によって分離された交流信号TACの減衰比を調整する。
【0039】
第2分離部13は、減衰部12の出力側に接続され、減衰部12によって信号強度が減衰した交流信号TACをさらに2つの信号に分離する。より具体的には、第2分離部13は、交流信号TACを、第1信号T1よりも高い周波数成分を含む第2信号T2と、第2信号T2よりも高い周波数成分を含む第3信号T3とに分離する。第1増幅部14は、第2分離部13の一方の出力側に接続され、第2分離部13によって分離された第2信号T2を増幅する。同様に、第2増幅部15aは、第2分離部13の他方の出力側に接続され、第2分離部13によって分離された第3信号T3を増幅する。
【0040】
調整部16は、第1分離部11によって分離された第1信号T1を増幅する増幅器を有し、第1信号T1の増幅比又は減衰比を調整する。すなわち、調整部16は、第1信号T1の信号強度を調整する。調整部16は、減衰部12における交流信号TACの減衰比に基づいて、第1分離部11によって分離された第1信号T1の増幅比又は減衰比を調整する。合成部17は、第1分離部11によって分離され調整部16から出力された第1信号T1と、第2分離部13によって分離され第1増幅部14から出力された第2信号T2と、第2分離部13によって分離され第2増幅部15aから出力された第3信号T3とを合成する。
【0041】
第3増幅部18は、合成部17の出力側に接続され、合成部17によって合成された入力信号をさらに増幅する。ブートストラップ部15は、第2増幅部15aを含み、合成部17によって合成された入力信号に含まれる第1信号T1及び第2信号T2を、第2分離部13によって分離された第3信号T3と共に第2増幅部15aを介して第1増幅部14にフィードバックする。フィードバック部19は、第1分離部11によって分離され、調整部16において信号強度が調整されている第1信号T1に対して、合成部17によって合成された入力信号に含まれる第1信号T1をフィードバックする。
【0042】
図4は、一実施形態に係る信号入力回路1の具体例を示す、図3に対応させた回路図である。図4に示す信号入力回路1の構成は、図2に示す信号入力回路1の構成と同一であるが、機能ブロックを示す破線の配置が互いに異なる。
【0043】
図4に示す減衰部12は、スイッチS1、S2、S3、及びS4と、コンデンサC1、C2、C3、C4、及びC5とを有する。スイッチS1の一方の出力側は、コンデンサC1に直列接続されている。スイッチS1の他方の出力側は、コンデンサC2及びコンデンサC3によって構成される容量分圧回路に直列接続されている。
【0044】
スイッチS2は、コンデンサC2及びコンデンサC3によって構成される容量分圧回路の出力側に直列接続されている。スイッチS2の一方の出力側は、スイッチS3に直列接続されている。スイッチS2の他方の出力側は、コンデンサC4及びコンデンサC5によって構成される容量分圧回路に直列接続されている。
【0045】
コンデンサC4及びコンデンサC5によって構成される容量分圧回路の出力側は、スイッチS3及びS4に直列接続されている。コンデンサC1の出力側は、スイッチS4に直列接続されている。コンデンサC2及びコンデンサC3によって構成される容量分圧回路の出力側は、スイッチS2及びS3を介して、スイッチS4に直列接続されている。
【0046】
スイッチS1、S2、S3、及びS4それぞれが切り替わり、交流信号TACの経路が切り替わることで容量分圧比が変化するので、減衰部12は、交流信号TACの減衰比を調整可能である。
【0047】
調整部16は、フィードバック部19に基づき反転増幅器として動作するオペアンプを含む増幅器U1と、オペアンプの出力側にベースが接続されている第1バイポーラ型トランジスタQ5とを有する。フィードバック部19は、スイッチS5、S6、及びS7と、それぞれのスイッチに接続されている抵抗R13、R14、及びR15とを有する。フィードバック部19における抵抗値は、スイッチS5、S6、及びS7が切り替わることで調整可能である。
【0048】
図5は、図4の信号入力回路1の構成の一部を省略した回路図である。図5に示す回路図は、図4のフィードバック部19におけるスイッチS5、S6、及びS7のうち、スイッチS5のみがオン状態に固定され、かつ減衰部12におけるスイッチS1、S2、S3、及びS4のうち、スイッチS1及びスイッチS4がコンデンサC1側に固定されている点で図4に示す回路図と異なっている。図5では、説明の簡便のために、図4における各スイッチとそれに関連する抵抗及びコンデンサの一部の図示を省略し、抵抗R13及びコンデンサC1のみが示されている。図5におけるその他の構成については、図4に示す回路図と同一である。
【0049】
図5において、二点鎖線の矢印は、入力信号の低域成分、すなわち入力信号の直流及び低周波数成分の少なくとも一方を含む第1信号T1の経路を示す。破線の矢印は、入力信号の中域成分、すなわち第1信号T1よりも高い入力信号の周波数成分を含む第2信号T2の経路を示す。実線の矢印は、入力信号の高域成分、すなわち第2信号T2よりも高い入力信号の周波数成分を含む第3信号T3の経路を示す。ブロック矢印は、第1信号T1、第2信号T2、及び第3信号T3が合成された入力信号の経路を示す。
【0050】
図4及び図5を参照すると、信号入力回路1は、入力信号を低域、中域、及び高域の3つの帯域に分離して電流増幅を行う、3段の複合アンプの構成を有する。信号入力回路1は、低域、中域、及び高域の動作を合わせて、合成部17で各帯域の信号を合成することで、直流から高周波数まで対応可能である。
【0051】
入力信号は、初めに第1分離部11に含まれるコンデンサC1と抵抗R1とによって2つの帯域に分岐する。より具体的には、入力信号は、低域に対応する第1信号T1と、中域及び高域に対応する交流信号TACとに分岐する。
【0052】
分岐した中域及び高域に対応する交流信号TACは、第2分離部13に含まれるコンデンサC6と抵抗R4とによってさらに2つの帯域に分岐する。より具体的には、入力信号は、中域に対応する第2信号T2と、高域に対応する第3信号T3とに分岐する。
【0053】
このように、入力信号は、合計で3つの帯域に分岐する。以下では、信号入力回路1の動作を「低域」と「中域及び高域」の2つの経路に分けて説明する。
【0054】
初めに、「中域及び高域」の経路について、図6を参照しながら説明する。図6は、図5の信号入力回路1における中域及び高域経路のみを示す回路図である。図5の第1バイポーラ型トランジスタQ5は、低域の第1信号T1を考慮しない場合、図6のように定電流源として考えることができる。上述したとおり、コンデンサC1には低域成分がカットされた交流信号TACが入力され、交流信号TACは、コンデンサC6及び抵抗R4によって中域成分と高域成分とにさらに分岐する。
【0055】
中域の第2信号T2は、第1増幅部14に含まれるソースフォロアのFET型トランジスタQ1のゲートに入力される。ここで、第2分離部13に含まれる抵抗R4は、FET型トランジスタQ1のゲート側に直列接続されるダンピング抵抗としても機能する。高域の第3信号T3は、第2増幅部15aに含まれるエミッタフォロアの第2バイポーラ型トランジスタQ2のベースに入力される。第2信号T2及び第3信号T3は、FET型トランジスタQ1及び第2バイポーラ型トランジスタQ2によってそれぞれ電流増幅される。増幅された第2信号T2及び第3信号T3は、合成部17に含まれる抵抗R8及びコンデンサC7をそれぞれ通過して合成される。
【0056】
合成部17によって合成された第2信号T2及び第3信号T3は、第3増幅部18に含まれる第3バイポーラ型トランジスタQ3及び第4バイポーラ型トランジスタQ4により構成された2段のエミッタフォロアを通過することでさらに電流増幅される。第3増幅部18によって増幅された入力信号は、その後、信号入力回路1から出力される。
【0057】
第2信号T2の一部は、2段のエミッタフォロアの途中から分岐し、ブートストラップ部15に含まれる抵抗R9を経由して、同じくブートストラップ部15に含まれる第2バイポーラ型トランジスタQ2のベースに入力される。第2バイポーラ型トランジスタQ2のエミッタ側は、FET型トランジスタQ1のドレイン側と接続されている。したがって、第2信号T2の一部は、第2バイポーラ型トランジスタQ2を経由して、FET型トランジスタQ1のドレインにフィードバックされる。これにより、最終出力と略同等の信号強度を有する第2信号T2がFET型トランジスタQ1にフィードバックされる。したがって、FET型トランジスタQ1のドレインの電位が入力信号に合わせて変動する。
【0058】
続いて、「低域」の経路について、図7を参照しながら説明する。図7は、図5の信号入力回路1における低域経路のみを示す回路図である。図7では、説明の簡便のために、第1バイポーラ型トランジスタQ5、第3バイポーラ型トランジスタQ3、及び第4バイポーラ型トランジスタQ4をまとめて-1倍の増幅器Uxとした。
【0059】
低域の第1信号T1の出力のゲインは、3つの破線囲み部A、B、及びCで囲われた回路構成に基づくゲインをそれぞれ算出することで求まる。破線囲み部Aでは、調整部16に含まれる抵抗R1、R2、及びR3の分圧比によりゲインが求まる。すなわち、以下の式(1)によって、GainAが求まる。
【数1】
【0060】
破線囲み部Bでは、調整部16に含まれる増幅器U1と、増幅器Ux及び増幅器U2とをまとめるとゲインが無限大の1つの増幅器と考えられ、その回路構成は、単純な反転増幅回路となる。したがって、以下の式(2)によって、GainBが求まる。
【数2】
【0061】
破線囲み部Cでは、フィードバック部19に含まれる増幅器U2による単純な反転増幅回路が構成されている。したがって、以下の式(3)によって、GainCが求まる。
【数3】
【0062】
以上により、出力のゲインは、GainA及びGainBの積からGainCを除算することで求まる。すなわち、以下の式(4)によって、GainOUTが求まる。
【数4】
【0063】
このように、GainOUTは、抵抗R1、R2、R3、R11、R12、及びR13の抵抗値のみによって決定される。すなわち、各抵抗の抵抗値の調整に応じて、GainOUTは、1より大きくなってもよいし、1であってもよいし、1より小さくなってもよい。GainOUTが1より大きい場合、第1信号T1は増幅される。GainOUTが1より小さい場合、第1信号T1は減衰する。
【0064】
以上のような一実施形態に係る信号入力回路1によれば、小型化及び広帯域化に効果的に寄与できる。より具体的には、「中域及び高域」の経路に含まれる減衰部12においてコンデンサの容量分圧回路が用いられるため、当該経路には直流成分が流れない。したがって、当該経路に配置される部品は、高耐圧部品である必要がなく、サイズの小さい部品をより多く使用可能である。
【0065】
「低域」の経路に含まれる調整部16において、増幅器U1に含まれるオペアンプが反転増幅回路として動作するので、増幅器U1の反転入力端子に印加する電圧は、線形応答している状態で0Vとなる。したがって、当該経路においても高耐圧部品は不要である。ゲインを調整するためのスイッチS5、S6、及びS7も例えば半導体リレー等の小型な部品によって構成可能である。
【0066】
以上により、回路サイズを小さくすることができる。結果として、配線パターンの配線長が短くなり、配線パターンに発生する寄生素子の影響が低減する。すなわち、寄生インダクタンス及び寄生容量が低減し、これら2つのパラメータにより発生する共振点の共振周波数が高くなる。したがって、回路の広帯域化が容易になる。また、高電圧が印加する部分が少ないことで、沿面距離に注意する箇所が低減し、基板設計が容易となる。
【0067】
図4に示す信号入力回路1によれば、帯域の異なる信号を合成する際の調整が容易となる。より具体的には、フィードバック部19に基づくフィードバックループにおいて、交流信号TACと合成した後の第1信号T1がフィードバックされる。信号を複数の帯域に分けて合成するような回路では、合成する際にそれぞれのカットオフ周波数、及びカットオフの減衰の傾き等を互いに合わせる必要がある。信号入力回路1の場合、「中域及び高域」の経路における低周波数側のカットオフ周波数は、コンデンサC1又はC2と、FET型トランジスタQ1の入力インピーダンスにより決定される。FET型トランジスタQ1自体のインピーダンスは非常に高いので、抵抗R5の抵抗値が支配的となる。抵抗R5の抵抗値は、例えば数MΩ~数10MΩである。したがって、コンデンサの容量値が数100pF以上であればカットオフ周波数は1kHz以下となる。このようなカットオフ周波数に対して十分に高帯域なオペアンプを使用すれば、フィードバック部19に基づくフィードバックループにより周波数特性が制御されるため、帯域の異なる信号を合成する際の調整が容易となる。
【0068】
加えて、バイポーラ型トランジスタのベース及びエミッタ間の電圧等に関する部品ごとのばらつき及び温度ドリフトによる直流誤差が、フィードバック部19に基づくフィードバックループで吸収される。したがって、増幅器U1及びU2に用いられるオペアンプの直流誤差が小さければ、回路全体の直流誤差が低減する。
【0069】
信号入力回路1は、FET型トランジスタ自身が出力した信号をそのままフィードバックする従来のブートストラップ回路と異なり、中域の第2信号T2及び高域の第3信号T3を一部の経路で分離した状態でブートストラップ部15を構成している。信号入力回路1では、高域の第3信号T3が並列の第2バイポーラ型トランジスタQ2を通過するようにブートストラップ部15が構成される。一般的に、FET型トランジスタよりもバイポーラ型トランジスタの方が低容量及び広帯域である。したがって、上述したFET型トランジスタQ1の応答速度による影響が顕在化しにくい。これにより、回路の入力容量を高域まで安定して低く維持することが可能である。
【0070】
信号入力回路1がFET型トランジスタQ1のダンピング抵抗R4を有することで、周波数特性において、共振に基づく発振及び周波数特性におけるピークの発生が抑制される。従来の入力回路では、FET型トランジスタQ1のみで高域までの周波数特性を得る必要があるため、ダンピング抵抗の抵抗値を高くしすぎると高域において周波数特性が劣化し、広帯域化が妨げられる。したがって、大きな抵抗値を有する抵抗を使用することは困難であり、発振及び負性抵抗成分の影響が残存する恐れがある。信号入力回路1では、高域の第3信号T3は並列の第2バイポーラ型トランジスタQ2を通過するため、FET型トランジスタQ1のダンピング抵抗R4をある程度大きくしても周波数特性へ与える影響は少なく、発振の対策等に対して十分な大きさの抵抗を容易に使用可能である。
【0071】
信号入力回路1は、コンデンサによる容量分圧回路によって構成される減衰部12を有することで、減衰比を切り替えた場合の経路長の差、すなわち信号の伝達時間の差であるスキューを抑制できる。図13に示す従来の入力回路では、減衰部において、複数の抵抗及びコンデンサが用いられているため、部品数及び沿面距離分の長さを有する経路長は大きくなる。信号入力回路1では、コンデンサのみで分圧が可能であるため部品数が少なく、かつコンデンサにより直流成分がカットされることで大きな沿面距離を確保する必要もない。したがって、一経路あたりの長さが短くなり、スキューが抑制される。
【0072】
信号入力回路1は、オシロスコープの入力容量を高域まで安定して低く維持することが可能であるため、パッシブプローブと容易に整合可能である。例えば、オシロスコープには製品ごとに専用のパッシブプローブが設計される。パッシブプローブは、オシロスコープの入力インピーダンスとの分圧により、一般的には10:1に入力信号が減衰するように調整される。図8は、パッシブプローブとオシロスコープとを接続した場合の回路図である。オシロスコープの抵抗Rinは、一般的には1MΩに設計される。したがって、パッシブプローブの抵抗Rsは9MΩとなる。コンデンサCinは製品ごとに異なるので、コンデンサCs及びCpは、コンデンサCinの大きさに依存する。入力側から見た場合、コンデンサCsが直列接続されているのでコンデンサCsが支配的になり、パッシブプローブで回路を測定すると、コンデンサCsの容量値が負荷と略一致する。コンデンサCinの容量値が小さいほどコンデンサCsの容量値も小さくすることが可能であるため、信号入力回路1を用いたオシロスコープでは、測定回路への影響が低減する。また、オシロスコープの入力側から見た場合に周波数によってコンデンサCinの容量値が変化すると、パッシブプローブ側でも整合させて分圧比を一定に保つ必要がある。信号入力回路1では、オシロスコープの入力容量を高域まで安定して低く維持することが可能であるため、このような整合も容易である。
【0073】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含される。
【0074】
例えば、上述した各構成部の配置及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の配置及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0075】
図9は、図4の減衰部12の第1変形例を示す回路図である。減衰部12において減衰比を切り替えるスイッチの数及び容量分圧回路の数は、任意であってもよい。例えば、減衰部12は、2つのスイッチS1及びS4と、3つのコンデンサC1、C2、及びC3のみを有してもよい。
【0076】
図10は、図4の減衰部12の第2変形例を示す回路図である。図10に示すとおり、減衰部12は、スイッチを有さずに固定の減衰比を有してもよい。このような信号入力回路1は、オシロプローブに用いられるアクティブプローブに用いられてもよい。高周波向けのアクティブプローブでは減衰比が10:1で固定の場合が多く、信号入力回路1の減衰比切り替え機能を省略して、所定の減衰比になるよう、各コンデンサの容量値が調整される。これにより、アクティブプローブ向けの回路が構成可能である。スイッチが省略されることで、上述した回路よりも小型化及び省スペース化が実現可能であり、かつ広帯域及び低容量の特性を持ったアクティブプローブが実現可能である。
【0077】
図11は、50Ω系及び1MΩ系の回路を並列させたオシロスコープ入力回路を示す回路図である。信号入力回路1を用いることで、1MΩ系の回路の面積が低減し、50Ω系の回路が容易に組み込み可能である。汎用的なオシロスコープでは、入力インピーダンスを50Ω又は1MΩの2種類に設定可能である。入力インピーダンスの切り替えのみであれば、入力から減衰部までの間に50Ω終端の切り替えスイッチを設ける等の方法が考えられるが、50Ω系の周波数特性をより広帯域にするためには、入力からADCまで50Ωで構成することが好適である。図11に示す回路と同等の構成を実現するために、多入力で広帯域なVGAが用いられてもよいし、多チャンネルで広帯域なADCが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 信号入力回路
11 第1分離部
12 減衰部
13 第2分離部
14 第1増幅部
15 ブートストラップ部
15a 第2増幅部
16 調整部
17 合成部
18 第3増幅部
19 フィードバック部
A1 低域減衰部
A2 高域減衰部
BA バッファアンプ部
C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、Cin、Cs、Cp コンデンサ
Q1 FET型トランジスタ
Q2 第2バイポーラ型トランジスタ
Q3 第3バイポーラ型トランジスタ
Q4 第4バイポーラ型トランジスタ
Q5 第1バイポーラ型トランジスタ(増幅器)
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、Rin、Rs 抵抗
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7 スイッチ
T1 第1信号
T2 第2信号
T3 第3信号
TAC 交流信号
t1、t2 信号
U1、U2、Ux 増幅器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14