(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】低損失プラグ接続装置、および、少なくとも1つのそのようなプラグ接続装置を有するシステム
(51)【国際特許分類】
H01P 5/08 20060101AFI20230518BHJP
H01P 3/16 20060101ALI20230518BHJP
H01P 3/12 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
H01P5/08 G
H01P3/16
H01P3/12 200
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018179581
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】10 2017 122 600.1
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100121533
【氏名又は名称】佐々木 まどか
(72)【発明者】
【氏名】ルーシュ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】マンデル,クリスティアン
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-199968(JP,A)
【文献】国際公開第2014/171292(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/372388(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/308266(US,A1)
【文献】米国特許第09490518(US,B1)
【文献】特開2007-006198(JP,A)
【文献】特開2014-007456(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102044733(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/08
H01P 3/16
H01P 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの放射源(16)を少なくとも1つの誘電導波路(10)に機械的かつ電磁的に結合するためのプラグ接続装置(1)であって、
プリント回路基板(2)に取り付け可能な少なくとも1つのハウジング(4)と、
電磁波を発生させるための前記少なくとも1つの放射源(16)と、
前記少なくとも1つの誘電導波路(10)とを有する、プラグ接続装置(1)において、
前記少なくとも1つの放射源(16)は、前記プリント回路基板(2)に取り付けられた状態で、前記ハウジング(4)によって少なくとも部分的に囲まれ、
前記少なくとも1つの誘電導波路(10)を受け入れて位置合わせするための少なくとも1つの受入ユニット(6)が、前記ハウジング(4)に接続され、
前記少なくとも1つの受入ユニット(6)により受け入れ可能な誘電導波路(10)を、受入状態で、前記少なくとも1つの放射源(16)に、直接または前記ハウジング(4)の材料を介して電磁的に結合することができ、
前記少なくとも1つの誘電導波路(10)は、その端部に、前記少なくとも1つの受入ユニット(6)により受け入れ可能な端部スリーブ(12)を有
し、
前記少なくとも1つの受入ユニット(6)によって受け入れ可能な前記少なくとも1つの誘電導波路(10)は、前記プリント回路基板(2)の平面伸長に垂直に位置合わせされることを特徴とする、
プラグ接続装置。
【請求項2】
前記ハウジング(4)は、前記プリント回路基板(2)の縁部に取り付け可能であり、
前記少なくとも1つの放射源(16)は
、前記プリント回路基板(2)に配置される、
請求項1に記載のプラグ接続装置。
【請求項3】
少なくとも1つの放射源(16)を少なくとも1つの誘電導波路(10)に機械的かつ電磁的に結合するためのプラグ接続装置(1)であって、
プリント回路基板(2)に取り付け可能な少なくとも1つのハウジング(4)と、
電磁波を発生させるための前記少なくとも1つの放射源(16)と、
前記少なくとも1つの誘電導波路(10)とを有する、プラグ接続装置(1)において、
前記少なくとも1つの放射源(16)は、前記プリント回路基板(2)に取り付けられた状態で、前記ハウジング(4)によって少なくとも部分的に囲まれ、
前記少なくとも1つの誘電導波路(10)を受け入れて位置合わせするための少なくとも1つの受入ユニット(6)が、前記ハウジング(4)に接続され、
前記少なくとも1つの受入ユニット(6)により受け入れ可能な誘電導波路(10)を、受入状態で、前記少なくとも1つの放射源(16)に、直接または前記ハウジング(4)の材料を介して電磁的に結合することができ、
前記少なくとも1つの誘電導波路(10)は、その端部に、前記少なくとも1つの受入ユニット(6)により受け入れ可能な端部スリーブ(12)を有し、
前記少なくとも1つの受入ユニット(6)によって受け入れ可能な前記少なくとも1つの誘電導波路(10)は、前記プリント回路基板(2)の平面伸長に対して0°~90°の角度で位置合わせされる、
前記ハウジング(4)内で前記少なくとも1つの受入ユニット(6)によって受け入れ可能な前記少なくとも1つの誘電導波路(10)は、前記少なくとも1つの受入ユニット(6)を越えて前記少なくとも1つの放射源(16)まで延びる、
プラグ接続装置。
【請求項4】
前記端部スリーブ(12)は周方向凹部(14)を含み、
前記少なくとも1つの誘電導波路(10)は、前記周方向凹部(14)による規定の挿入深さで、前記少なくとも1つの受入ユニット(6)により係合可能に受け入れ可能である、
請求項1~
3のいずれか一項に記載のプラグ接続装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの受入ユニット(6)は、前記少なくとも1つの誘電導波路(10)の前記端部に配置された対応する前記周方向凹部(14)と協働するための限定要素を有している、
請求項
4に記載のプラグ接続装置。
【請求項6】
少なくとも1つの放射源(16)を少なくとも1つの誘電導波路(10)に機械的かつ電磁的に結合するためのプラグ接続装置(1)であって、
プリント回路基板(2)に取り付け可能な少なくとも1つのハウジング(4)と、
電磁波を発生させるための前記少なくとも1つの放射源(16)と、
前記少なくとも1つの誘電導波路(10)とを有する、プラグ接続装置(1)において、
前記少なくとも1つの放射源(16)は、前記プリント回路基板(2)に取り付けられた状態で、前記ハウジング(4)によって少なくとも部分的に囲まれ、
前記少なくとも1つの誘電導波路(10)を受け入れて位置合わせするための少なくとも1つの受入ユニット(6)が、前記ハウジング(4)に接続され、
前記少なくとも1つの受入ユニット(6)により受け入れ可能な誘電導波路(10)を、受入状態で、前記少なくとも1つの放射源(16)に、直接または前記ハウジング(4)の材料を介して電磁的に結合することができ、
前記少なくとも1つの誘電導波路(10)は、その端部に、前記少なくとも1つの受入ユニット(6)により受け入れ可能な端部スリーブ(12)を有し、
少なくとも1つの接続要素(24)が、前記少なくとも1つの放射源(16)と前記少なくとも1つの誘電導波路(10)との間に配置されて、前記少なくとも1つの放射源(16)を前記少なくとも1つの誘電導波路(10)に電磁的に結合する
、
プラグ接続装置。
【請求項7】
前記接続要素(24)は、管状に形成され、空気が充填された、またはプラスチックが充填された内部容積を有し、金属から作られた、または金属被覆から作られた壁(28)を有する、
請求項
6に記載のプラグ接続装置。
【請求項8】
前記接続要素(24)は、矩形断面を有し、空気が充填された、またはプラスチックが充填された内部容積(26)を有する、
請求項
6または
7に記載のプラグ接続装置。
【請求項9】
前記接続要素(24)は、各端部に、円錐形に広がる断面をもつ領域(30)を有する、
請求項
6~
8のいずれか一項に記載のプラグ接続装置。
【請求項10】
前記接続要素(24)は、前記端部の前記領域(30)間に中央領域(32)を有し、
前記中央領域(32)の矩形断面は、少なくとも電磁放射の伝搬波長の1/2の高さ(y)と前記高さ(y)よりも小さい幅(x)とを有する、
請求項
6~
9のいずれか一項に記載のプラグ接続装置。
【請求項11】
前記接続要素(24)は、まっすぐにまたは曲げて設計される、
請求項
6~
10のいずれか一項に記載のプラグ接続装置。
【請求項12】
前記接続要素(24)は、1つの部品または複数の部品として設計され、ぴったり合うように、または堅固に接合するように、前記ハウジング(4)に挿入することができる、
請求項
6~
11のいずれか一項に記載のプラグ接続装置。
【請求項13】
前記接続要素(24)は、プラスチックが充填された内部容積(26)と、金属被覆された外側表面(28)とを有する、
請求項
6~
12のいずれか一項に記載のプラグ接続装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの放射源(16)のアクチュエータ(18)が、前記プリント回路基板(2)に配置される、
請求項1~
13のいずれか一項に記載のプラグ接続装置。
【請求項15】
少なくとも1つの第1のコントローラ(36)と少なくとも1つの第2のコントローラ(38)との間で電磁放射によりデータを伝送するためのシステム(34)であって、
各コントローラ(36、38)は、請求項1~
14のいずれか一項に記載の少なくとも1つのプラグ接続装置(1)を含むコントローラハウジング(40)を有し、
前記コントローラハウジング(40)の外側に配置された少なくとも1つの誘電導波路(10)を介して互いに電磁的に接続される、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの放射源を少なくとも1つの誘電導波路に機械的かつ電磁的に結合するためのプラグ接続装置に関する。このプラグ接続装置は、プリント回路基板に取り付け可能な少なくとも1つのハウジングと、電磁波を発生させるための少なくとも1つの放射源と、少なくとも1つの誘電導波路と、を有する。さらに、本発明は、少なくとも2つのコントローラ間で電磁放射によりデータを伝送するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高周波キャリア信号を用いるシステムを、高いデータ伝送速度を有する将来の通信方法に使用することができる。そのような高周波キャリア信号は、ミリメートルまたはマイクロメートル範囲の波長をもつ電磁波である。しかしながら、このために設けられる放射源は、データ伝送用に限られた周波数範囲で限られた有能電力(available power)を有する。データ伝送を保証できるようにするために、受入ユニットは規定の最小信号強度を必要とする。
【0003】
特に自動車産業において、10~15mの電磁放射の伝送長さが必要である。誘電導波路を用いて、電磁波をこのような伝送長さにわたって導くことができる。誘電導波路内および誘電導波路のプラグ接続部または結合部の損失に起因して、規定の最小信号強度を保証することが問題となり得る。したがって、誘電導波路は、伝送される電磁放射の減衰ができるだけ少なくなければならない。しかしながら、誘電導波路は、材料の選択、長さ、および配置に関して設定され得る。さらに、多くの場合、アクチュエータまたは放射源および誘電導波路の最適化が、多大な努力によってのみ可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、少なくとも1つの放射源を少なくとも1つの誘電導波路に結合するための、電磁損失の少ない改良されたプラグ接続装置を提案することであると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項のそれぞれの主題によって解決される。本発明の有利な構成は、それぞれの従属請求項の主題を形成する。
【0006】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの放射源を少なくとも1つの誘電導波路に機械的かつ電磁的に結合するためのプラグ接続装置が提供される。プラグ接続装置は、プリント回路基板に取り付け可能な少なくとも1つのハウジングと、電磁波を発生させるための少なくとも1つの放射源と、少なくとも1つの誘電導波路とを含む。本発明によれば、少なくとも1つの放射源は、プリント回路基板に取り付けられた状態で、ハウジングによって少なくとも部分的に囲まれ、少なくとも1つの誘電導波路を受け入れて位置合わせするための少なくとも1つの受入ユニットが、ハウジングに接続される。少なくとも1つの受入ユニットにより受け入れ可能な誘電導波路を、受入状態で少なくとも1つの放射源に電磁的に結合することができる。
【0007】
少なくとも1つの受入ユニットを、ハウジングに接続することができる。具体的には、少なくとも1つの受入ユニットを、ハウジング上に掛止するか、またはハウジングに押し込むことができる。したがって、ハウジングは、少なくとも1つの放射源の保護具またはカバーとして、かつプリント回路基板上への受入ユニットの機械的アタッチメントとして機能することができる。少なくとも1つの放射源は、1つまたは複数のアンテナを有することができる。具体的には、少なくとも1つの放射源は、アンテナのアレイであってもよい。受入ユニットは、誘電導波路を受け入れて位置合わせすることができる。このために、受入ユニットは、例えば、誘電導波路の断面に従って形成された受入開口部を有することができる。例えば、受入ユニットは円筒形開口部を有することができる。
誘電導波路を、受入ユニット内に、規定の深さまで導入することができる。このために、受入ユニットは、誘電導波路の端部に配置された対応する凹部と協働するための限定要素または掛止ラグを有してもよい。少なくとも1つの誘電導波路は、端部に端部スリーブを有してもよい。端部スリーブを、受入ユニットにより受け入れることにより、誘電導波路の位置決めまたは位置合わせのために間接的に使用することができる。受入ユニットを、少なくとも1つの誘電導波路を正確に位置合わせおよび位置決めするために使用することができる。少なくとも1つの誘電導波路を、受入ユニットにより、少なくとも1つの放射源に対して位置合わせおよび位置決めすることができる。好ましくは、少なくとも1つの誘電導波路を、少なくとも1つの放射源が間隔なしで電磁放射を誘電導波路に結合することができるように、位置合わせすることができる。
電磁放射は、例えば、電波信号、レーダ波信号などであってよい。さらに、受入ユニットにより、少なくとも1つの誘電導波路をその端部で、少なくとも1つの放射源の主ローブに垂直に位置合わせして、電磁放射が誘電導波路内に移行する間の損失が最小限になるようにすることができる。好ましくは、少なくとも1つの放射源により発せられる全電磁放射を、少なくとも1つの誘電導波路に導入する、したがって結合することができる。これにより、誘電導波路のためのプラグ接続装置を、放射源と誘電導波路との間の最小の結合損失で実現することができる。具体的には、少なくとも1つの誘電導波路を、受入ユニットにより、少なくとも1つの放射源の異なる放射パターンに最適に位置合わせすることができる。
【0008】
一実施形態によれば、ハウジングをプリント回路基板の縁部に取り付けることができ、少なくとも1つの放射源は、ハウジングまたプリント回路基板に配置される。ハウジングをプリント回路基板の縁部に配置することにより、誘電導波路の伝送長さを短くすることができるため、伝送損失も最小限にすることができる。
【0009】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの受入ユニットによって受け入れ可能な少なくとも1つの誘電導波路は、プリント回路基板の平面伸長に平行に位置合わせされる。少なくとも1つの放射源は、プリント回路基板の平面伸長に平行に向けられた放射特性を有する、いわゆる「エンドファイア(end-fire)」アンテナであってよい。プリント回路基板の縁に配置され、対応して位置合わせされた受入ユニットにより、少なくとも1つの誘電導波路を、低損失で、放射を伝えるように放射源に接続することができる。プリント回路基板の縁部領域にプラグ接続部を配置することによって、少なくとも1つの誘電導波路の伝送長さを短くすることができる。導波路の電磁放射の減衰は長さに依存するため、減衰も少なくすることができる。
【0010】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの受入ユニットによって受け入れ可能な少なくとも1つの誘電導波路は、プリント回路基板の平面伸長に垂直に位置合わせされる。この場合、好ましくは、プリント回路基板の平面伸長に垂直に向けられた主ローブを有する、いわゆる「ブロードサイド(broadside)」アンテナを、放射源として使用することができる。例えば、パッチアンテナまたはパッチアンテナのアレイを放射源として使用してもよい。ハウジングと受入ユニットとの組合せにより、少なくとも1つの誘電導波路を、少なくとも1つの放射源の放射パターンに最適に適合させて位置合わせおよび位置決めすることができる。これにより、電磁放射を、干渉なく効率的に、少なくとも1つの誘電導波路に結合することができる。
好ましくは、ハウジングは、プリント回路基板に取り付けられた状態で、少なくとも1つの放射源および放射源のアクチュエータを少なくとも部分的に覆う。これにより、少なくとも1つの放射源および少なくとも1つの放射源のアクチュエータの機械的保護が可能になる。この場合、ハウジングは、少なくとも1つの誘電導波路と少なくとも1つの放射源との間に、電磁透過性のバリアを有してもよい。電磁放射も、ハウジングの材料を介して少なくとも1つの誘電導波路に結合することができるからである。
【0011】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの受入ユニットによって受け入れ可能な少なくとも1つの誘電導波路は、プリント回路基板の平面伸長に対して0°~90°の角度で位置合わせされる。少なくとも1つの放射源の配置ならびにさらなる縁部状態および幾何学的状態に応じて、少なくとも1つの斜めの誘電導波路を少なくとも1つの放射源に結合できることが有利となり得る。このために、少なくとも1つの放射源は、誘電導波路の位置合わせに従って適合された主ローブの傾斜を有することができる。放射源は、ビバルディアンテナなどの「傾斜スロット(tilted slot)」アンテナ、またはリフレクタを有する「テーパスロット(tapered slot)」アンテナであってよい。
【0012】
さらなる実施形態によれば、ハウジング内で少なくとも1つの受入ユニットによって受け入れ可能な少なくとも1つの誘電導波路は、少なくとも1つの受入ユニットを越えて少なくとも1つの放射源まで延びる。これにより、プリント回路基板に配置された少なくとも1つの放射源と、プリント回路基板から離間して配置された受入ユニットとの間隔を最小限にすることができる。この場合、少なくとも1つの放射源の放射パターンに応じて間隔を選択することができる。これにより、少なくとも1つの放射源により発生した電磁放射を少なくとも1つの誘電導波路に結合するときの損失を、最小限にすることができる。
【0013】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの接続要素が、少なくとも1つの放射源と少なくとも1つの誘電導波路との間に配置されて、少なくとも1つの放射源を少なくとも1つの誘電導波路に電磁的に結合する。接続要素を、少なくとも1つの放射源と少なくとも1つの誘電導波路との相互接続部として使用してもよい。これにより、少なくとも1つの放射源と少なくとも1つの誘電導波路との電磁結合を向上させることができ、起こり得る損失を減らすことができる。特に、少なくとも1つの誘電導波路を少なくとも1つの放射源に対して最適に位置合わせできない場合、または少なくとも1つの誘電導波路が少なくとも1つの放射源から非常に大きい間隔を有する場合に、電磁結合を最適化することができる。プラグ接続装置を、接続要素により、様々なプリント回路基板のレイアウトに柔軟に適合させることができる。
【0014】
さらなる実施形態によれば、接続要素は、管状(tubular)に形成され、金属から作られた、または金属被覆から作られた壁を有する。この場合、接続要素は、例えば、金属から構成されていても、キャリア物体における金属被覆された穴の形で形成されていてもよい。この場合、電磁放射を最適に伝えるために、少なくとも1つの放射源に面した側および少なくとも1つの誘電導波路に面した側には、金属被覆がないままとする。あるいは、接続要素は、放射源の電磁放射を伝えることのできる材料から構成されていてもよく、周囲が金属被覆されていてもよい。金属被覆により、接続要素は低損失で電磁放射を導くことができる。
【0015】
さらなる実施形態によれば、接続要素は、矩形断面と、空気が充填された、またはプラスチックが充填された内部容積とを有する。接続要素は、例えば、PE、PTEE、PFA、PPなどのポリマーから構成されていても、金属被覆を備えていてもよい。あるいは、接続要素を、内側が金属被覆された穴の形で構成しても、金属管または金属の輪郭の形で構成してもよい。その結果、接続要素を技術的に簡単に形成することができ、続いて、熱および圧力を加えることにより、放射源と誘電導波路との間の異なる空間に適合させることができる。
【0016】
さらなる実施形態によれば、接続要素は、その端部にそれぞれ、円錐形に広がる断面をもつ領域を有する。これにより、少なくとも1つの放射源の放射パターンおよび伸長に応じて、最大の放射電力を接続要素に結合することができる。これと同様に、少なくとも1つの誘電導波路への移行領域において接続要素の断面を対応して拡大することにより、少なくとも1つの誘電導波路への電磁放射の結合を最適化することができる。特に移行領域では、接続要素を誘電導波路の端部表面に垂直に位置合わせして、インターフェースでの反射、したがって移行損失をも最小限にすることができる。
【0017】
さらなる実施形態によれば、接続要素は、端部領域間に中央領域を有し、中央領域の矩形断面は、電磁放射の伝搬波長の1/2よりも大きい高さと、高さよりも小さい幅とを有する。接続要素を3つの部品に分割することができる。結合を向上させるために、放射源側を向いた領域の高さおよび幅を増加させ、したがって断面も増加させる。寸法は、好ましくは、少なくとも1つの放射源の種類および電磁放射のキャリア周波数に応じて決まる。中央領域は、好ましくは、電磁放射を導くための一定の矩形断面を有する。中央領域は、好ましくは、電磁放射のシングルモード伝搬、およびそれにより、電磁放射の損失ができるだけ少ない伝送を実行できるような高さおよび幅を有する。接続要素の第3の領域の断面も増加させる。第3の領域は、ここでは、誘電導波路の材料および電磁放射のキャリア周波数に適合させる。第1の領域および第3の領域の断面は、好ましくは、端部で円錐形に広がる。
【0018】
さらなる実施形態によれば、接続要素は、まっすぐにまたは曲げて設計される。具体的には、中央領域を、例えば、曲げた形状によって高さの差を補償できるように適合させることができる。少なくとも1つの誘電導波路を、プリント回路基板から離間して受入ユニットに配置することができ、少なくとも1つの放射源をプリント回路基板に形成することができる。
【0019】
さらなる実施形態によれば、接続要素は、1つの部品または複数の部品に設計され、ぴったり合うように、または堅固に接合するように、ハウジングに挿入することができる。1つの部品に設計された接続要素の代わりに、接続要素を複数の部品に形成することもできる。具体的には、接続要素を、例えば、2つ以上の金属被覆されたシェルによって、電磁的に導電性のチャネルに組み入れてもよい。導電性チャネル内の空気により、プラスチック材料よりも、電磁放射が弱まるまたは減衰される。好ましくは、接続要素を2つの部品に設計してもよく、各部品において、金属被覆されたチャネル半部(channel half)を溝として構成することができる。
【0020】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの放射源のアクチュエータが、プリント回路基板またはハウジングに配置される。これにより、アクチュエータおよび/または少なくとも1つの放射源を、汚れ、埃、湿気などの外部環境の影響から保護することができる。具体的には、発生した電磁波を、特にハウジングのプラスチック材料によって伝えることができるため、放射源または放射源のアクチュエータなどの電子部品のすべてまたは一部を、ハウジング内に封じ込めるまたはハウジング内で成形することができる。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも1つの第1のコントローラと少なくとも1つの第2のコントローラとの間で電磁放射によりデータを伝送するためのシステムが提供される。本発明によれば、システムの各コントローラは、本発明の一態様による少なくとも1つのプラグ接続装置を含むコントローラハウジングを有する。さらに、少なくとも2つのコントローラは、コントローラハウジングの外側に配置された少なくとも1つの誘電導波路を介して互いに電磁的に接続される。
【0022】
プラグ接続のそのような構成によって、誘電導波路を通る伝送長さを短くすることができる。これにより、誘電導波路の伝送損失を少なくすることができる。「エンドファイア」アンテナと、誘電導波路を受け入れるための、コントローラハウジングの縁部領域に配置されたプラグ接続部との組合せにより、放射源と誘電導波路との効率的で頑強な電磁接続が可能になる。受入ユニットを使用することにより、誘電導波路を放射源または放射受信器に最適に適合させて位置合わせおよび固定することができる。システムにより、電磁放射源と放射受信器との間、または送信器と受信器との間の必要な電磁結合の数が少なくなる。したがって、伝送損失を少なくすることができ、一定のまたはより大きい伝送長さの場合に、信号伝送に必要な最小信号強度を保証することができる。
【0023】
以下で、非常に簡略化した概略図を用いて、本発明の好ましい例示的な実施形態についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1aは、第1の例示的な実施形態によるプラグ接続装置の斜視分解図である。
図1bは、第1の例示的な実施形態によるプラグ接続装置の平面図である。
【
図2】第1の例示的な実施形態によるプラグ接続装置における信号源の様々な配置の断面図である。
【
図3】第2の例示的な実施形態によるプラグ接続装置の斜視図である。
【
図4】第2の例示的な実施形態によるプラグ接続装置における信号源の様々な配置の断面図である。
【
図5】第3の例示的な実施形態によるプラグ接続装置の斜視図である。
【
図6】
図6aは、第4の例示的な実施形態によるプラグ接続装置の斜視分解図である。
図6bは、第4の例示的な実施形態によるプラグ接続装置の一部品接続要素の斜視図である。
【
図7】
図7aは、第5の例示的な実施形態によるプラグ接続装置の斜視図である。
図7bは、第5の例示的な実施形態によるプラグ接続装置の一部品接続要素の斜視図である。
【
図8】
図8aは、第6の例示的な実施形態によるプラグ接続装置の斜視図である。
図8bは、第6の例示的な実施形態によるプラグ接続装置の多部品接続要素の斜視図である。
【
図9】第1の例示的な実施形態による、データを伝送するためのシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図中、同一の構造要素はそれぞれ同一の参照数字を有する。
【0026】
図1aは、第1の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1の斜視分解図である。プラグ接続装置1は、プリント回路基板2に配置されたハウジング4を有する。ハウジング4は、プリント回路基板2の縁に取り付けられ、プリント回路基板2の縁を越えて突出する。受入ユニット6を、ハウジング4内にぴったり合うように挿入することができる。例示的な実施形態によれば、受入ユニット6は、ハウジング4に解放可能に係合することができる。受入ユニット6は、その端部で誘電導波路10を受けるための円筒形開口部8を有する。この場合、誘電導波路10は、その端部に、周方向凹部14を含むスリーブ12を有する。導波路10を、凹部14による規定の挿入深さで、受入ユニット6により係合可能に受け入れることができる。この場合、受入ユニット6は、ハウジング4に配置された状態で、ハウジング4内に突出して、挿入された導波路10がその端部で、ハウジング4に位置決めされた放射源16から最小の間隔で離間し得るようになっている。導波路10は、その端部で放射源16から離間しないことが有利である。導波路10は、受入ユニット6により、放射源16に対してプリント回路基板2の平面伸長に平行に位置合わせされる。
【0027】
図1bは、
図1aの第1の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1の平面図である。明確にするために、ハウジング4はプリント回路基板2の領域には示されず、集積スイッチング回路18および集積スイッチング回路18に配置された放射源16が見えるようになっている。受入ユニット6および受入ユニット6により受け入れられる導波路10は、挿入状態で放射源16に直接隣接して配置される。これにより、放射源16は、発生した電磁波を導波路10に結合することができる。導波路10を、受入ユニット6により放射源16に正確に位置合わせすることができる。
例示的な実施形態によれば、放射源16は、いわゆる「エンドファイア」アンテナである。具体的には、放射源は、ビバルディアンテナ、八木アンテナ、ホーンアンテナ、またはいわゆる「テーパ型基板集積導波路」アンテナであってよい。放射源16のアクチュエータ18としての集積スイッチング回路および放射源16は、この場合、ハウジング4に配置され、ハウジング4の表面実装によりプリント回路基板2に導電的に接続される。ここでの矢印は、放射源16の主放射方向または放射源16の主ローブの方向を示す。
【0028】
図2は、第1の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1の信号源16の様々な配置の断面図である。信号源16および信号源16のアクチュエータ18、ならびに信号源16に対応して位置合わせされる導波路10を配置するためのいくつかの例示的な可能性が示される。この場合、アクチュエータ18をハウジング4の外側に配置してもよい。信号源16を、例えば、アクチュエータ18またはアクチュエータの集積回路18に配置してもよい。具体的には、信号源16を集積回路18に組み込んでもよい。さらなる代替案として、少なくとも1つの放射源16を、プリント回路基板2にインプリントしても、材料を除去することによりプリント回路基板2に形成してもよい。
アクチュエータ18を、例えば、1つまたは複数のボンドワイヤ20により接続することができる。さらなる代替案によれば、アクチュエータ18を、プリント回路基板2に配置された少なくとも1つの放射源16に適用してもよい。この場合、アクチュエータ18または集積回路18を、例えば、ボールグリッドアレイにより少なくとも1つの放射源16にはんだ付けすることができる。少なくとも1つの放射源16およびアクチュエータ18を配置するための様々な可能性を、電磁放射の必要な帯域幅および周波数の要件に応じて実現することができる。
【0029】
図3は、第2の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1の斜視図である。放射源16のアクチュエータ18は、表面実装により、集積回路18の形でプリント回路基板2に位置決めされる。放射源16は、アクチュエータ18に組み込まれる。例示的な実施形態によれば、放射源16は、平面伸長に直交する指向性を有する、いわゆる「ブロードサイド」アンテナである。放射源16は、例えば、パッチアンテナまたはパッチアンテナのアレイであってよい。ハウジング4は、放射源16を少なくとも部分的に囲んで覆うために、放射源16上に位置決めされる。ハウジングは、プリント回路基板2に機械的に接続され、位置決め補助および受入ユニット6用のぴったり合うレセプタクルとして機能する。
この場合、受入ユニット6は、ハウジング4に垂直にはめ込まれ、係合することができる。受入ユニット6は、誘電導波路10を受け入れて位置決めするための、垂直に構成された開口部8を有する。ここで、導波路10は、受入ユニット6により、プリント回路基板2の平面伸長に垂直に位置合わせされる。位置合わせ状態で、誘電導波路10は、放射源16に電磁的に結合され、発生した電磁放射を受けて導くことができる。矢印は、放射源16の放射方向を示す。
【0030】
図4は、第2の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1における信号源16の様々な配置の断面図である。
図2に示す配置の可能性とは対照的に、第2の例示的な実施形態によれば、放射源は、放射方向がプリント回路基板2の平面伸長に垂直な状態で配置される。
【0031】
図5は、第3の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1の斜視図である。図示した例示的な実施形態とは対照的に、プラグ接続装置は、放射方向がプリント回路基板2に対して45°の角度で傾斜した状態の放射源16を有する。矢印は、放射源の主ローブの伝搬方向を示す。少なくとも1つの放射源16は、例えば、それに続くリフレクタ、それに続くレンズ、またはそれに続く導体を有する「エンドファイア」アンテナであってよい。さらに、少なくとも1つの放射源16は、パッチアンテナまたはダイポールアンテナから作られたフェーズドアレイアンテナであってよい。受入ユニット6は、ハウジング4に配置され、少なくとも1つの放射源16の放射方向に対応する位置合わせ方法で、誘電導波路10を受け入れることができる。
この場合、誘電導波路10は、少なくとも1つの放射源16の主ビームに対して45°の角度の位置合わせ方法で、受入ユニット6により位置決めされる。少なくとも1つの放射源16と誘電導波路10との間隔を最小限にするために、誘電導波路10は、端部スリーブ12で終わるのではなく、伸長部分22を有する端部スリーブ12を経て放射源16までハウジング4内に突出する。
【0032】
図6aは、第4の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1の斜視分解図である。第1の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1とは対照的に、第4の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1は、接続要素24を有する。接続要素24は、ここでは、少なくとも1つの放射源16と誘電導波路10との結合部として機能する。接続要素24は、ここでは、ハウジング4内で放射源16と誘電導波路10の端部との間に位置決めされる。挿入状態で、放射源16と誘電導波路10との様々な間隔を、接続要素24により橋渡しすることができる。この場合、接続要素24は金属導波路として機能する。
【0033】
図6bは、第4の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1の一部品接続要素24の斜視図である。接続要素24は、まっすぐに形成され、矩形断面を有する。接続要素24は、ここでは、電磁放射を透過でき、プラスチック材料から作られた内部容積26と、金属被覆された外側表面28とを有する。接続要素24は、その端部にそれぞれ、断面が端部で円錐形に広がる領域30を有する。接続要素24は、円錐形に広がる断面30をもつ端部領域間に、電磁波の低損失伝送のための中央領域32を有する。中央領域32は、電磁放射の伝搬波長の1/2よりも大きい高さyと、高さyよりも小さい幅xとを有する。これにより、電磁放射のいわゆる「シングルモード」伝搬を、中央領域32で実現することができる。
【0034】
図7aは、第5の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1の斜視図である。第4の例示的な実施形態とは対照的に、誘電導波路10は、その端部で、プリント回路基板2から離間しているため、プリント回路基板2に配置された放射源16からの高さずれdyを有する。接続要素24は、中央領域32で曲げて設計されて、放射源16と誘電導波路10との間隔を低損失で橋渡しできるようになっている。具体的には、中央領域32を曲げて設計してあるので、電磁放射が接続要素24に垂直に直接結合し、続いて接続要素24から出て誘電導波路10に垂直に結合することができるようになっている。これにより、誘電導波路10を受入ユニット6により水平に受け入れることができる。さらに、誘電導波路10は、端部スリーブ12で終わるため、製造を簡略化することができ、誘電導波路10の耐久性を高めることができる。
【0035】
図7bは、
図7aの第5の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1の一部品接続要素24を別に示す斜視図である。
【0036】
図8aは、第6の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1の斜視図である。プラグ接続装置1の前述の例示的な実施形態とは対照的に、ハウジング4は、誘電導波路10と放射源16との間に中間空間を有する。中間空間では、二部品接続要素24が、ぴったり合うようにハウジングに接続される。ここでは、二部品接続要素24は、一部品接続要素24と同様に、放射源16を誘電導波路10に電磁的に結合する。
【0037】
図8bは、
図8aの第6の例示的な実施形態によるプラグ接続装置1の多部品接続要素24の斜視図である。接続要素24の構成が示される。接続要素24の各半部は、接続要素24の内部容積26を画成するキャビティを有する。この場合、キャビティは金属で被覆されることにより、金属導波路を形成する。接続要素24の2つの部品を互いにぴったり合うように接続することができ、共に一体としてハウジング4に挿入することができる。例示的な実施形態によれば、内部容積26に空気が充填されている。
【0038】
図9は、第1の例示的な実施形態による、データを伝送するためのシステム34の概略図である。システム34は、第1のコントローラ36と第2のコントローラ38とを有する。各コントローラ36、38は、コントローラハウジング40にそれぞれ配置された1つのプラグ接続装置1を有する。この場合、コントローラ36、38のプラグ接続装置1は、各々がプリント回路基板2の縁に配置され、少なくとも部分的にコントローラハウジング40から突出するように配置される。これにより、プラグ接続装置1は、さらなる誘電導波路10および結合部を介してコントローラ36、38に電磁的に結合する必要がない。2つのコントローラ36、38は、外側に配置された誘電導波路10を介して互いに電磁的に結合され、電磁放射の助けにより互いに情報を交換することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 プラグ接続装置
2 プリント回路基板
4 ハウジング
6 受入ユニット
8 受入ユニットの円筒形開口部
10 誘電導波路
12 端部スリーブ
14 周方向凹部
16 少なくとも1つの放射源
18 放射源のアクチュエータ
20 ボンドワイヤ
22 導波路の伸長部
24 接続要素
26 内部容積
28 金属被覆された外側表面
30 接続要素の端部領域
32 中央領域
34 システム
36 第1のコントローラ
38 第2のコントローラ
40 コントローラハウジング
x 中央領域の幅
y 中央領域の高さ
dy 高さずれ