(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】導出器収容体
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
G01D11/24 B
(21)【出願番号】P 2018227052
(22)【出願日】2018-12-04
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【氏名又は名称】細田 益稔
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 貴志
(72)【発明者】
【氏名】永海 治樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信一
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/047399(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/157332(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/110231(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/109308(WO,A1)
【文献】特開2006-341668(JP,A)
【文献】国際公開第2018/092562(WO,A1)
【文献】特開2012-63355(JP,A)
【文献】特開2015-169590(JP,A)
【文献】特開2005-79067(JP,A)
【文献】特開2018-71993(JP,A)
【文献】特開2008-180726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28-31/3193
G01D 11/00-13/28
G01K 1/00-19/00
H01M 10/42-10/48、
50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象量を別の物理量に変換する物理量変換器による変換結果を受けて、前記測定対象量を導出する複数の導出器と、
前記複数の導出器を収容する収容具と、
前記複数の導出器が表面に配置された導出器配置体と、
前記物理量変換器が接続されるコネクタが表面に配置された基板と、
を備え、
前記基板が前記導出器配置体の裏側に配置されている導出器収容体。
【請求項2】
請求項1に記載の導出器収容体であって、
前記測定対象量が温度であり、
前記別の物理量が電圧であり、
前記物理量変換器が熱電対である、
導出器収容体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の導出器収容体であって、
前記収容具が、互いに接合する複数の接合体を有し、
前記接合体の間に、防水用部材が配置されている、
導出器収容体。
【請求項4】
請求項1または2に記載の導出器収容体であって、
前記複数の導出器のうちの2つ以上に共通する電源供給用の電源端子を備えた導出器収容体。
【請求項5】
請求項1または2に記載の導出器収容体であって、
前記収容具が底部および突出部を有し、
前記導出器収容体が、前記突出部を覆う外側被覆具を備えた導出器収容体。
【請求項6】
請求項1または2に記載の導出器収容体であって、
被測定物に固定するために使用される固定部を備えた導出器収容体。
【請求項7】
請求項1
ないし6いずれか一項に記載の導出器収容体と、
車両に関する前記導出器による導出の結果を、無線により受信して記録する受信装置と、
を備えた車両の無線データ記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定器のカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の測定器から測定結果を無線により受信して処理することが知られている(例えば、特許文献1の要約を参照)。なお、外部環境から保護するために、測定器をカバーで覆うことも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の測定器の各々に、外部環境からの保護を充分に果たすカバーをかけるには、カバーをかけるための労力が過大なものとなる。
【0005】
そこで、本発明は、複数の測定器を、外部環境から充分に保護することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる導出器収容体は、測定対象量を別の物理量に変換する物理量変換器による変換結果を受けて、前記測定対象量を導出する複数の導出器と、前記複数の導出器を収容する収容具とを備えるように構成される。
【0007】
上記のように構成された導出器収容体は、複数の導出器が、測定対象量を別の物理量に変換する物理量変換器による変換結果を受けて、前記測定対象量を導出する。収容具が、前記複数の導出器を収容する。
【0008】
なお、本発明にかかる導出器収容体は、前記測定対象量が温度であり、前記別の物理量が電圧であり、前記物理量変換器が熱電対であるようにしてもよい。
【0009】
なお、本発明にかかる導出器収容体は、前記収容具が、互いに接合する複数の接合体を有し、前記接合体の間に、防水用部材が配置されているようにしてもよい。
【0010】
なお、本発明にかかる導出器収容体は、前記複数の導出器のうちの2つ以上に共通する電源供給用の電源端子を備えるようにしてもよい。
【0011】
なお、本発明にかかる導出器収容体は、前記複数の導出器が表面に配置された導出器配置体と、前記物理量変換器が接続されるコネクタが表面に配置された基板とを備え、前記基板が前記導出器配置体の裏側に配置されているようにしてもよい。
【0012】
なお、本発明にかかる導出器収容体は、前記収容具が底部および突出部を有し、前記導出器収容体が、前記突出部を覆う外側被覆具を備えるようにしてもよい。
【0013】
なお、本発明にかかる導出器収容体は、被測定物に固定するために使用される固定部を備えるようにしてもよい。
【0014】
なお、本発明は、本発明にかかる導出器収容体と、車両に関する前記導出器による導出の結果を、無線により受信して記録する受信装置とを備えた車両の無線データ記録システムである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態にかかる導出器収容体1を正面斜め上から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかる導出器収容体1を背面斜め上から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかる導出器収容体1の上方接合体22を外した状態の平面図である。
【
図4】測定ユニット固定プレート32の裏面図である。
【
図6】本発明の実施形態の変形例1にかかる導出器収容体1の断面図である。
【
図7】本発明の実施形態の変形例2にかかる導出器収容体1を正面斜め上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態にかかる導出器収容体1を正面斜め上から見た斜視図である。
図2は、本発明の実施形態にかかる導出器収容体1を背面斜め上から見た斜視図である。
【0018】
導出器収容体1は、収容具2、ボルト3、熱電対引き出し口4(
図1参照)、電源ケーブル挿入口5(
図2参照)、複数の測定ユニット(導出器)10(
図4および
図5参照)を備える。導出器収容体1は、例えば、無線データロガーに使用する。
【0019】
収容具2は、互いに接合する上方接合体22および下方接合体24を有する。
【0020】
上方接合体22は、上方側壁22a、蓋22b、上方ネジ用突起22cを有する。上方側壁22aは、収容具2の側壁のうち上方に位置するものである。蓋22bは、上方接合体22の最上部に位置する平板状の部材である。上方ネジ用突起22cは、上方側壁22aから側方に突出し、ボルト3を受ける孔を有する。
【0021】
下方接合体24は、下方側壁24a、底部24b、下方ネジ用突起24cを有する。下方側壁24aは、収容具2の側壁のうち下方に位置するものである。底部24bは、下方接合体24の最下部に位置する平板状の部材である。下方ネジ用突起24cは、下方側壁24aから側方に突出し、ボルト3を受ける孔(
図3参照)を有する。
【0022】
ただし、上記した「上」および「下」は、蓋22bを上に、かつ底部24bを下に配置したときの上および下を意味する。例えば、蓋22bを下に、かつ底部24bを上に配置した場合は、上下は逆転する。例えば、導出器収容体1を自動車に取り付けて温度測定に使用する場合、底部24bを車両の下に取り付ける。この際、蓋22bが下に、かつ底部24bが上に配置される。
【0023】
ボルト3は、上方ネジ用突起22cを貫通し、下方ネジ用突起24c内に達する。ボルト3には雄ネジが切られており、上方ネジ用突起22cおよび下方ネジ用突起24cを締結する。これにより、上方接合体22が下方接合体24に固定される。
【0024】
熱電対引き出し口4は、収容具2内に収容された熱電対(物理量変換器)40(
図5参照)を、収容具2の外部に引き出すための開口である。ただし、熱電対40は、
図1および
図2において図示省略する。なお、熱電対40の一端は、温度を測定すべき場所に配置されており、その一端にまで熱電対40が延伸している。
【0025】
電源ケーブル挿入口5は、収容具2内に、電源ケーブルを挿入するための開口である。ただし、電源ケーブルは図示省略する。なお、電源ケーブルは、電源端子39(
図4参照)に接続される。ただし、導出器10用の電源を収容具2内に設けてもよく、この場合は、電源ケーブル挿入口5が不要である。
【0026】
図3は、本発明の実施形態にかかる導出器収容体1の上方接合体22を外した状態の平面図である。
図4は、測定ユニット固定プレート32の裏面図である。
図5は、
図3のV-V断面図である。ただし、
図5において、上方ネジ用突起22cおよび下方ネジ用突起24cは図示省略する。
【0027】
図4および
図5を参照して、収容具2は、複数(例えば、10個:
図4参照)の測定ユニット(導出器)10を収容する。なお、収容具2内には、温度(測定対象量)を電圧(別の物理量)に変換する熱電対(物理量変換器)40も収容されている。
【0028】
測定ユニット(導出器)10は、熱電対40による変換結果(電圧)を受けて、温度を導出する。測定ユニット10は、例えば、7個の熱電対40による変換結果(電圧)を受けて、温度を導出することができる。上記のとおり、導出器収容体1は、例えば、10個の測定ユニット10を有するので、導出器収容体1全体としては、7×10=70個の熱電対40による変換結果(電圧)を受けて、温度を導出することができる。
【0029】
ただし、熱電対40は、物理量変換器の単なる一例である。測定対象量は、温度の他に、例えば、湿度、電圧、電流、抵抗、歪み、速度、加速度、回転、磁界、位置、高度、圧力、照度が考えられる。別の物理量は、測定対象量以外の物理量であればよい。熱電対40は、例えば、歪みゲージにかえてもよい。
【0030】
図3を参照して、上方接合体22および下方接合体24の間に、パッキン(防水用部材)6が配置されている。パッキン6は、水を通さない部材(例えば、ゴム)である。なお、パッキン6は、
図1および
図2においては、図示省略する。
【0031】
また、導出器収容体1は、測定ユニット固定プレート(導出器配置体)32、スペーサ33、基板34、コネクタ36、測定ユニット用コネクタ38、電源端子39を備える。
【0032】
図4を参照して、電源端子39は、複数の導出器10のうちの2つ以上(例えば、全て)に接続され、これらに共通する電源供給用の端子である。
【0033】
測定ユニット固定プレート(導出器配置体)32は、その表面に、複数の導出器10が配置されたプレートである。基板34は、その表面に、コネクタ36が配置されている基板である。コネクタ36は、熱電対(物理量変換器)40が接続されるコネクタである。例えば、70個のコネクタ36が、基板34の表面に配置されている。なお、基板34は、導出器配置体32の裏側に配置されている。スペーサ33は、基板34の裏面と、測定ユニット固定プレート32の裏面とを隔てる部材である。なお、測定ユニット固定プレート32の裏面のうち、基板34の裏面に覆われる部分は、スペーサ33の厚みの分だけ、へこんでいる。測定ユニット用コネクタ38は、導線11により、導出器10と接続されている。なお、測定ユニット用コネクタ38とコネクタ36とは、基板34の裏面で導線(図示省略)により接続されている。なお、コネクタ36は、基板34ではなく、収容具2(例えば、下方側壁24a上)に配置しても良い。また、コネクタ36にかえて端子台を配置しても良い(例えば、端子台を、蓋22b上に配置する)。
【0034】
また、導線11および熱電対40は、図示の便宜上、直角に折れ曲がった形状で図示しているが、実際には、たわんでいる。
【0035】
本発明の実施形態によれば、複数の測定ユニット(導出器)10の各々に外部環境からの保護を充分に果たすカバーをかけなくても、複数の測定ユニット10を収容する収容具2により、複数の測定ユニット10を外部環境から充分に保護することができる。
【0036】
また、本発明の実施形態によれば、上方接合体22および下方接合体24の間に配置されたパッキン6によって、複数の測定ユニット10をまとめて防水することができる。
【0037】
さらに、本発明の実施形態によれば、複数の導出器10のうちの2つ以上(例えば、全て)に接続され、これらに共通する電源供給用の端子である電源端子39により、収容具2内に電池等を備えなくてもよいので、導出器収容体1の小型化を図ることができる。
【0038】
しかも、本発明の実施形態によれば、測定ユニット(導出器)10の裏側にコネクタ36が配置されることとなり、導出器収容体1の平面形状(
図3参照)の面積を小さくすることができる。
【0039】
なお、本発明の実施形態には、以下のような変形例が考えられる。
【0040】
(変形例1)
図6は、本発明の実施形態の変形例1にかかる導出器収容体1の断面図である。ただし、
図6は、
図3のV-V断面図に相当する。
【0041】
収容具2が有する下方側壁24a、上方側壁22a、蓋22bを突出部という。すると、収容具2は、底部24bおよび突出部(下方側壁24a、上方側壁22a、蓋22b)を有する。突出部は、底部24bから突出している。
【0042】
本発明の実施形態の変形例1にかかる導出器収容体1は、突出部を覆う外側被覆具(上方側壁52a、蓋52b、下方側壁54a)を備える。上方側壁52aは上方側壁22aと、蓋52bは蓋22bと、下方側壁54aは下方側壁24aと同様な形状である。
【0043】
本発明の実施形態の変形例1にかかる導出器収容体1を自動車に取り付けて温度測定に使用する場合、テストベンチで測定する際は、外側被覆具は不要であり、取り付け不要である。テストベンチで測定する際は、防振、防水および防塵ができればよく、それならば、収容具2で十分だからである。実車走行により測定する際は、外側被覆具を取り付け、石はね等による損傷を防ぐ。これにより、石はね等による損傷の際にも、外側被覆具を交換すればよく、収容具2を交換しなくてもすむ。
【0044】
(変形例2)
図7は、本発明の実施形態の変形例2にかかる導出器収容体1を正面斜め上から見た斜視図である。
【0045】
本発明の実施形態の変形例2にかかる導出器収容体1は、底部24bを厚さ方向に貫通する複数の取り付け孔(固定部)8を有する。取り付け孔8には、ボルトなどの取り付け具(図示省略)を通して、車両などの被測定物(図示省略)に、導出器収容体1を固定する。
【0046】
(変形例3)
測定ユニット(導出器)10は、無線により、車両に関する導出結果(温度)を送信するようにしてもよい。送信された導出結果(データ)は、受信装置により受信され記録される。変形例3にかかる導出器収容体1および受信装置が、車両の無線データ記録システムを構成する。
【符号の説明】
【0047】
1 導出器収容体
2 収容具
22 上方接合体
24 下方接合体
4 熱電対引き出し口
5 電源ケーブル挿入口
6 パッキン(防水用部材)
8 取り付け孔(固定部)
10 測定ユニット(導出器)
32 測定ユニット固定プレート(導出器配置体)
33 スペーサ
34 基板
36 コネクタ
38 測定ユニット用コネクタ
39 電源端子
40 熱電対(物理量変換器)