(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/22 20060101AFI20230518BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
E04H6/22 B
E04H6/42 Z
(21)【出願番号】P 2019028241
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2021-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237835
【氏名又は名称】富士変速機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須田 浩史
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-233366(JP,A)
【文献】特開2014-109166(JP,A)
【文献】特開2011-117158(JP,A)
【文献】特開2012-036703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが電気自動車から乗り降りするための乗降領域と、前記乗降領域から電気自動車を他の階層に昇降させるように昇降方向に延びる昇降空間と、前記昇降空間から電気自動車を横行させて収容すべく前記昇降空間に対して横行方向に隣接配置された1又は複数の駐車室とを有し、前記駐車室で電気自動車を充電可能に収容するフォーク式の駐車装置であって、
電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、前記昇降空間を昇降する昇降リフトと、
前記昇降リフトの櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、対応する駐車室に格納されるとともに、前記駐車室と前記昇降空間との間を略水平に横行する横行トレイと、
前記1又は複数の駐車室のうちの少なくとも一部に収容された電気自動車に電力を供給するための給電装置と、
自立可能な形状を有する筐体、先端が筐体外部に任意の長さで引き出されるように筐体内部に少なくとも部分的に収容されたケーブル、前記ケーブルの先端に取着され、電気自動車の充電口に接続される充電用コネクタ、及び、筐体内部で前記ケーブルに電気的に接続されているとともに、筐体外部に露出し、前記給電装置の給電端子に電気的に接続可能である接続端子を備える給電ボックスと、
前記昇降リフトに設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記昇降リフト上に保持する昇降リフト側保持体と、
前記横行トレイに設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記横行トレイ上に保持し、前記昇降リフト側保持体とすれ違う際に前記昇降リフト側保持体との間で相互に前記給電ボックスを受け渡し可能に構成された横行トレイ側保持体と、
該駐車装置の動作を制御する制御部と、
を備え
、
前記横行トレイには、前記横行トレイが前記対応する駐車室に格納されたときに前記給電端子に電気的に接触する受電端子が設けられ、前記横行トレイ側保持体は前記給電ボックスを保持したときに前記受電端子を前記給電ボックスの接続端子に電気的に接続するように構成されていることを特徴とする駐車装置。
【請求項2】
ユーザーが電気自動車から乗り降りするための乗降領域と、前記乗降領域から電気自動車を他の階層に昇降させるように昇降方向に延びる昇降空間と、前記昇降空間から電気自動車を横行させて収容すべく前記昇降空間に対して横行方向に隣接配置された1又は複数の駐車室とを有し、前記駐車室で電気自動車を充電可能に収容するフォーク式の駐車装置であって、
電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、前記昇降空間を昇降する昇降リフトと、
前記昇降リフトの櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、対応する駐車室に格納されるとともに、前記駐車室と前記昇降空間との間を略水平に横行する横行トレイと、
前記1又は複数の駐車室のうちの少なくとも一部に収容された電気自動車に電力を供給するための給電装置と、
自立可能な形状を有する筐体、先端が筐体外部に任意の長さで引き出されるように筐体内部に少なくとも部分的に収容されたケーブル、前記ケーブルの先端に取着され、電気自動車の充電口に接続される充電用コネクタ、及び、筐体内部で前記ケーブルに電気的に接続されているとともに、筐体外部に露出し、前記給電装置の給電端子に電気的に接続可能である接続端子を備える給電ボックスと、
前記昇降リフトに設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記昇降リフト上に保持する昇降リフト側保持体と、
前記横行トレイに設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記横行トレイ上に保持し、前記昇降リフト側保持体とすれ違う際に前記昇降リフト側保持体との間で相互に前記給電ボックスを受け渡し可能に構成された横行トレイ側保持体と、
該駐車装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記横行トレイ側保持体に給電ボックスが保持された状態で前記横行トレイが前記対応する駐車室に格納されたときに、前記給電ボックスの接続端子が前記給電端子に電気的に接触するように構成されていることを特徴とする駐車装置。
【請求項3】
前記駐車室は、前記乗降領域と異なる各階層で前記昇降空間の横行方向の両側に対となるように配置され、前記給電装置の前記給電端子は、前記各駐車室の前記昇降空間と反対側の側端部に設置され、
前記昇降リフト側保持体は、前記昇降リフトの横行方向両側の側縁部にそれぞれ設置され、
前記横行トレイ側保持体は、前記横行トレイの前記対応する駐車室の前記給電端子に近い側縁部にのみ設置され、
前記制御部は、前記昇降リフトから前記横行トレイに前記電気自動車及び前記給電ボックスを移載する際、前記給電ボックスを保持する前記昇降リフト側保持体と同じ側の前記横行トレイを駆動することを特徴とする請求項1
または2に記載の駐車装置。
【請求項4】
前記乗降領域に設置され、第1位置から第2位置へと相互に回転して前記電気自動車の方向を所定の角度に変更するための回転床であって、前記第1位置及び前記第2位置の両方で前記昇降リフトの櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成された電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有する、回転床と、
前記回転床に設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記回転床上に保持し、前記昇降リフト側保持体とすれ違う際に前記昇降リフト側保持体との間で相互に前記給電ボックスを受け渡し可能に構成され、前記回転床の電気自動車の両側にそれぞれ設置された回転床側保持体と、をさらに備えることを特徴とする請求項
3に記載の駐車装置。
【請求項5】
前記回転床側保持体及び前記昇降リフト側保持体は、前記回転床及び前記昇降リフトにおける横行方向両側の側縁部の前後2箇所に設置され、
前記横行トレイ側保持体は、前記横行トレイの前記対応する駐車室の前記給電端子に近い側縁部の前後2箇所に設置され、
前記給電装置の前記給電端子は、2つの前記横行トレイ側保持体の2つの設置箇所に対応するように前記駐車室の側端部の前後2箇所に設置されている請求項
4に記載の駐車装置。
【請求項6】
ユーザーが電気自動車から乗り降りするための乗降領域と、前記乗降領域から電気自動車を他の階層に昇降させるように昇降方向に延びる昇降空間と、前記昇降空間から電気自動車を横行させて収容すべく前記昇降空間に対して横行方向の両側に対となるように隣接配置された複数の駐車室とを有し、前記駐車室で電気自動車を充電可能に収容するフォーク式の駐車装置であって、
前記乗降領域に設置され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、第1位置から第2位置へと相互に回転して前記電気自動車の方向を所定の角度に変更するための回転床と、
前記回転床の前記第1位置及び前記第2位置の両方で前記回転床の櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、前記昇降空間を昇降する昇降リフトと、
前記昇降リフトの櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、
対応する駐車室に格納されるとともに、前記駐車室と前記昇降空間との間を略水平に横行する横行トレイと、
前記各駐車室の前記昇降空間と反対側の側端部に設置された1又は複数の給電端子を有し、前記駐車室に収容された電気自動車に電力を供給するための給電装置と、
自立可能な形状を有する筐体、先端が筐体外部に任意の長さで引き出されるように筐体内部に少なくとも部分的に収容されたケーブル、前記ケーブルの先端に取着され、電気自動車の充電口に接続される充電用コネクタ、及び、筐体内部で前記ケーブルに電気的に接続されているとともに、筐体外部に露出し、前記給電端子に電気的に接続可能である接続端子を備える給電ボックスと、
前記回転床における横行方向両側の側縁部にそれぞれ設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記回転床上に保持する複数の回転床側保持体と、
前記昇降リフトにおける横行方向両側の側縁部にそれぞれ設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記昇降リフト上に保持し、前記回転床側保持体とすれ違う際に前記回転床側保持体との間で相互に前記給電ボックスを受け渡し可能に構成された複数の昇降リフト側保持体と、
前記横行トレイにおける前記格納される駐車室の前記給電端子に近い側の側縁部のみに設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記横行トレイ上に保持し、前記昇降リフト側保持体とすれ違う際に前記昇降リフト側保持体との間で相互に前記給電ボックスを受け渡し可能に構成された1又は複数の横行トレイ側保持体と、
該駐車装置の動作を制御する制御部と、
ユーザーが指示を入力するための操作盤
と、を備え、
前記横行トレイには、前記横行トレイが前記対応する駐車室に格納されたときに前記給電端子に電気的に接触する受電端子が設けられ、前記横行トレイ側保持体は前記給電ボックスを保持したときに前記受電端子を前記給電ボックスの接続端子に電気的に接続するように構成され、
前記制御部は、電気自動車の入庫時において、
複数の駐車室から指定された電気自動車の収容先の指定駐車室の情報を受け取る工程と、
前記複数の回転床側保持体から前記給電ボックスを保持する回転床側保持体を特定する工程と、
前記特定された回転床側保持体の設置位置に基づいて、前記給電ボックスが前記指定駐車室の側に位置するように前記回転床を回転させる工程と、
電気自動車及び前記給電ボックスを前記回転床から前記昇降リフトに移載し、前記昇降リフトから前記横行トレイに移載し、前記横行トレイを前記指定駐車室へと横行させるように、前記昇降リフト及び前記横行トレイを駆動する工程と、を実行することを特徴とする駐車装置。
【請求項7】
ユーザーが電気自動車から乗り降りするための乗降領域と、前記乗降領域から電気自動車を他の階層に昇降させるように昇降方向に延びる昇降空間と、前記昇降空間から電気自動車を横行させて収容すべく前記昇降空間に対して横行方向の両側に対となるように隣接配置された複数の駐車室とを有し、前記駐車室で電気自動車を充電可能に収容するフォーク式の駐車装置であって、
前記乗降領域に設置され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、第1位置から第2位置へと相互に回転して前記電気自動車の方向を所定の角度に変更するための回転床と、
前記回転床の前記第1位置及び前記第2位置の両方で前記回転床の櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、前記昇降空間を昇降する昇降リフトと、
前記昇降リフトの櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、対応する駐車室に格納されるとともに、前記駐車室と前記昇降空間との間を略水平に横行する横行トレイと、
前記各駐車室の前記昇降空間と反対側の側端部に設置された1又は複数の給電端子を有し、前記駐車室に収容された電気自動車に電力を供給するための給電装置と、
自立可能な形状を有する筐体、先端が筐体外部に任意の長さで引き出されるように筐体内部に少なくとも部分的に収容されたケーブル、前記ケーブルの先端に取着され、電気自動車の充電口に接続される充電用コネクタ、及び、筐体内部で前記ケーブルに電気的に接続されているとともに、筐体外部に露出し、前記給電端子に電気的に接続可能である接続端子を備える給電ボックスと、
前記回転床における横行方向両側の側縁部にそれぞれ設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記回転床上に保持する複数の回転床側保持体と、
前記昇降リフトにおける横行方向両側の側縁部にそれぞれ設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記昇降リフト上に保持し、前記回転床側保持体とすれ違う際に前記回転床側保持体との間で相互に前記給電ボックスを受け渡し可能に構成された複数の昇降リフト側保持体と、
前記横行トレイにおける前記格納される駐車室の前記給電端子に近い側の側縁部のみに設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記横行トレイ上に保持し、前記昇降リフト側保持体とすれ違う際に前記昇降リフト側保持体との間で相互に前記給電ボックスを受け渡し可能に構成された1又は複数の横行トレイ側保持体と、
該駐車装置の動作を制御する制御部と、
ユーザーが指示を入力するための操作盤と、を備え、
前記横行トレイ側保持体に前記給電ボックスが保持された状態で前記横行トレイが前記対応する駐車室に格納されたときに、前記給電ボックスの接続端子が前記給電端子に電気的に接触するように構成され、
前記制御部は、電気自動車の入庫時において、
複数の駐車室から指定された電気自動車の収容先の指定駐車室の情報を受け取る工程と、
前記複数の回転床側保持体から前記給電ボックスを保持する回転床側保持体を特定する工程と、
前記特定された回転床側保持体の設置位置に基づいて、前記給電ボックスが前記指定駐車室の側に位置するように前記回転床を回転させる工程と、
電気自動車及び前記給電ボックスを前記回転床から前記昇降リフトに移載し、前記昇降リフトから前記横行トレイに移載し、前記横行トレイを前記指定駐車室へと横行させるように、前記昇降リフト及び前記横行トレイを駆動する工程と、を実行することを特徴とする駐車装置。
【請求項8】
前記回転床側保持体は、前記給電ボックスの保持を機械的に検出するリミットスイッチを備え、
前記乗降領域には、前記給電ボックスの有無を光学的に検出する光学センサが設けられ、
前記制御部は、
前記リミットスイッチからの信号を受け取って、前記複数の回転床側保持体のうちの前記給電ボックスを保持する回転床側保持体を特定する工程と、
前記光学センサからの信号を受け取って前記給電ボックスの有無を判定する工程と、
前記リミットスイッチからの信号と前記光学センサからの信号とを照合する工程と、を実行し、
前記リミットスイッチ及び前記光学センサの両方が前記給電ボックスの存在を特定した場合に、前記制御部は駐車車両が電気自動車であると認識し、
前記リミットスイッチ及び前記光学センサの両方が前記給電ボックスの不存在を特定した場合に、前記制御部は駐車車両が電気自動車ではないと認識し、
前記リミットスイッチ及び前記光学センサの一方が前記給電ボックスの存在を特定した場合、前記制御部はユーザーに対して警告を発することを特徴とする請求項
4から
7のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項9】
前記給電ボックスは、前記昇降リフト側保持体と電気自動車の充電口との距離に応じて前記ケーブルの引出可能な長さを規制するための規制部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から
8のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項10】
前記給電ボックスは、前記筐体の底面から突出し、該底面の長さ方向に配列する一対のピンと、長さ方向における前記一対のピンの間で前記筐体の底面から突出し、該底面の幅方向に配列する一対の突片とを備え、
前記昇降リフト側保持体は、前記給電ボックスの底面を支持する昇降リフト側支持片と、前記一対のピンの一方を内挿する昇降リフト側受け孔とを備え、前記昇降リフト側支持片が前記給電ボックスの底面を支持するとともに前記昇降リフト側受け孔が前記一方のピンを内挿した状態で、前記一対の突片が前記昇降リフト側支持片の側端面に幅方向から当接可能であり、
前記横行トレイ側保持体は、前記昇降リフト側支持片と昇降方向にすれ違い可能に形成され、前記給電ボックスの底面を支持する横行トレイ側支持片と、前記一対のピンの他方を内挿する横行トレイ側受け孔とを備え、前記横行トレイ側支持片が前記給電ボックスの底面を支持するとともに前記横行トレイ側受け孔が前記他方のピンを内挿した状態で、前記一対の突片が前記横行トレイ側支持片の側端面に幅方向から当接可能であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項11】
前記給電ボックスは、乗用車のトランクに携帯可能な大きさで構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車室に車両を充電可能に収容するフォーク式の駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォーク式の駐車装置において、駐車室で電気自動車に充電用のプラグを配線して駐車時間に電気自動車の充電をすることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1は、フォーク式の駐車装置を開示する。当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。特許文献1の駐車装置(1)は、昇降空間(E)を昇降する昇降リフト(2)と、昇降空間(E)に隣接して設けた駐車室(X)と、駐車室(X)に配置して昇降空間(E)を往復動する横行トレイ(3)と、入庫する電気自動車を充電するための充電装置と、を備え、昇降リフト(2)及び横行トレイ(3)のフォークが互いにすれ違うことで車両を受渡し可能にする。充電装置は、電気自動車の蓄電池にリード線(15)及びプラグ(16)を介して電気的に接続される受電器(17)と、受電器(17)に給電するための駐車室(X)に設置された給電器(21)と、を備える。乗込台(13)に停車した電気自動車に対して、ユーザーによって昇降リフト(2)上の電気自動車のタイヤ停止位置(14)でリード線(15)及びプラグ(16)を介して受電器(17)が取り付けられる。そして、電気自動車を駐車室(X)に収容するために、電気自動車とともに受電器(17)が昇降リフト(2)から横行トレイ(3)に移載される。次に、電気自動車を載せた横行トレイ(3)が横行して駐車室(X)に電気自動車が入庫するときに、受電器(17)が駐車室(X)に設置された給電器(21)に接近して、受電器(17)と給電器(21)とが接触することによって、充電装置が電気自動車を充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来の駐車装置では、駐車室の給電器の位置に合わせて受電器を電気自動車に取り付けられた上で、リード線(以下、ケーブル)を介してプラグが電気自動車の充電口に取り付けられる。電気自動車の充電口の位置は車種によって様々であることから、充電口と受電器との間の距離が最大であることを想定として十分に長いケーブルが駐車装置の管理者によって準備される。あるいは、ユーザーによって十分に長いケーブルが準備される。それ故、電気自動車の充電口と受電器とをケーブルを接続したときに、ケーブルの長さが余ることにより、ケーブルが弛んで昇降リフトや横行トレイに接触することがあった。また、充電口が受電口の反対側に位置している場合には、ケーブルの取り回しが複雑になり易い。その結果として、電気自動車の移載時にケーブル切断などの事故が起こる虞があった。例えば、ケーブルが昇降リフトや横行トレイのフォーク部分などに絡まった場合、受電器が昇降リフト及び横行トレイ間で移載されるときに、ケーブルが引きちぎられて事故や損傷につながる。すなわち、従来のフォーク式の駐車装置において、電気自動車とともに乗降領域から駐車室へと受電器をより安全且つ確実に移載することが求められている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、より安全且つ確実に電気自動車を充電状態で駐車室に格納することが可能であるフォーク式の駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態の駐車装置は、ユーザーが電気自動車から乗り降りするための乗降領域と、前記乗降領域から電気自動車を他の階層に昇降させるように昇降方向に延びる昇降空間と、前記昇降空間から電気自動車を横行させて収容すべく前記昇降空間に対して横行方向に隣接配置された1又は複数の駐車室とを有し、前記駐車室で電気自動車を充電可能に収容するフォーク式の駐車装置であって、
電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、前記昇降空間を昇降する昇降リフトと、
前記昇降リフトの櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、対応する駐車室に格納されるとともに、前記駐車室と前記昇降空間との間を略水平に横行する横行トレイと、
前記1又は複数の駐車室のうちの少なくとも一部に収容された電気自動車に電力を供給するための給電装置と、
自立可能な形状を有する筐体、先端が筐体外部に任意の長さで引き出されるように筐体内部に少なくとも部分的に収容されたケーブル、前記ケーブルの先端に取着され、電気自動車の充電口に接続される充電用コネクタ、及び、筐体内部で前記ケーブルに電気的に接続されているとともに、筐体外部に露出し、前記給電装置の給電端子に電気的に接続可能である接続端子を備える給電ボックスと、
前記昇降リフトに設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記昇降リフト上に保持する昇降リフト側保持体と、
前記横行トレイに設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記横行トレイ上に保持し、前記昇降リフト側保持体とすれ違う際に前記昇降リフト側保持体との間で相互に前記給電ボックスを受け渡し可能に構成された横行トレイ側保持体と、
該駐車装置の動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の駐車装置は、電気自動車と給電装置とを電気的に接続するために、自立可能な給電ボックスを受電器として用いたことを特徴とする。給電ボックスは、先端が筐体外部に任意の長さで引き出されるように筐体内部に少なくとも部分的に収容されたケーブルを備えることにより、電気自動車の充電口と昇降リフト側保持体(又は横行トレイ側保持体)との間の距離に応じて、ケーブルの引出長さを適宜設定することができる。これにより、ケーブルが弛んで昇降リフトや横行トレイに接触することを抑え、移載の際に起こり得るケーブルの接触に伴う事故、損傷等を効果的に防止することができる。すなわち、本発明の駐車装置は、電気自動車とともに乗降領域から駐車室へと受電器(給電ボックス)をより安全且つ確実に移載することを可能とする。さらに、ユーザーは、給電ボックスを保持体に載置するだけで、電気自動車と給電装置とを電気的に接続することが可能であり、これにより、従来のように、ケーブルを接続するための駐車装置側のコンセントを探す手間をもなくすことができ、駐車装置のよりユーザーフレンドリーな設計が可能となる。
【0009】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、前記駐車室は、前記乗降領域と異なる各階層で前記昇降空間の横行方向の両側に対となるように配置され、前記給電装置の前記給電端子は、前記各駐車室の前記昇降空間と反対側の側端部に設置され、前記昇降リフト側保持体は、前記昇降リフトの横行方向両側の側縁部にそれぞれ設置され、前記横行トレイ側保持体は、前記横行トレイの前記対応する駐車室の前記給電端子に近い側縁部にのみ設置され、前記制御部は、前記昇降リフトから前記横行トレイに前記電気自動車及び前記給電ボックスを移載する際、前記給電ボックスを保持する前記昇降リフト側保持体と同じ側の前記横行トレイを駆動することを特徴とする。すなわち、ユーザーは、給電ボックスを昇降リフト側保持体に対して配置する際、電気自動車の充電口側の昇降リフト側保持体を選択することが可能となる。これにより、ケーブルが電気自動車を横断して筐体から延び出ることを防ぎ、ケーブルの引出長さをより適正化することができる。
【0010】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、前記乗降領域に設置され、第1位置から第2位置へと相互に回転して前記電気自動車の方向を所定の角度に変更するための回転床であって、前記第1位置及び前記第2位置の両方で前記昇降リフトの櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成された電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有する、回転床と、前記回転床に設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記回転床上に保持し、前記昇降リフト側保持体とすれ違う際に前記昇降リフト側保持体との間で相互に前記給電ボックスを受け渡し可能に構成され、前記回転床の電気自動車の両側にそれぞれ設置された回転床側保持体と、をさらに備えることを特徴とする。すなわち、ユーザーが電気自動車の充電口に近い側の回転床側保持体に給電ボックスを配置したときに、収容先の駐車室の位置に応じて、回転床を回転させて昇降リフトに電気自動車及び給電ボックスを受け渡すことによって、昇降リフト上で、給電ボックスを保持する昇降リフト側保持体の側と、収容先の駐車室の側とを一致させることができる。これにより、電気自動車の充電口の設置側を問わず、給電ボックスを充電口に最も近い保持体に保持させた状態で、両側の駐車室に電気自動車を選択的に収容することが可能である。
【0011】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、前記回転床側保持体及び前記昇降リフト側保持体は、前記回転床及び前記昇降リフトにおける横行方向両側の側縁部の前後2箇所に設置され、前記横行トレイ側保持体は、前記横行トレイの前記対応する駐車室の前記給電端子に近い側縁部の前後2箇所に設置され、前記給電装置の前記給電端子は、2つの前記横行トレイ側保持体の2つの設置箇所対応するように前記駐車室の側端部の前後2箇所に設置されていることを特徴とする。回転床側保持体及び前記昇降リフト側保持体は、回転床及び昇降リフトの側縁部の前後2箇所に設置されていることにより、ユーザーは、電気自動車の充電口から前後方向に近い保持体を選択して給電ボックスを配置することができる。これにより、電気自動車の充電口の設置側及び前後位置を問わず、給電ボックスを充電口に最も近い保持体に保持させた状態で、両側の駐車室に電気自動車を選択的に収容することが可能である。
【0012】
本発明の一形態の駐車装置は、ユーザーが電気自動車から乗り降りするための乗降領域と、前記乗降領域から電気自動車を他の階層に昇降させるように昇降方向に延びる昇降空間と、前記昇降空間から電気自動車を横行させて収容すべく前記昇降空間に対して横行方向の両側に対となるように隣接配置された複数の駐車室とを有し、前記駐車室で電気自動車を充電可能に収容するフォーク式の駐車装置であって、
前記乗降領域に設置され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、第1位置から第2位置へと相互に回転して前記電気自動車の方向を所定の角度に変更するための回転床と、
前記回転床の前記第1位置及び前記第2位置の両方で前記回転床の櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、前記昇降空間を昇降する昇降リフトと、
前記昇降リフトの櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、前記各駐車室に格納されるとともに、前記駐車室と前記昇降空間との間を略水平に横行する横行トレイと、
前記各駐車室の前記昇降空間と反対側の側端部に設置された1又は複数の給電端子を有し、前記駐車室に収容された電気自動車に電力を供給するための給電装置と、
自立可能な形状を有する筐体、先端が筐体外部に任意の長さで引き出されるように筐体内部に少なくとも部分的に収容されたケーブル、前記ケーブルの先端に取着され、電気自動車の充電口に接続される充電用コネクタ、及び、筐体内部で前記ケーブルに電気的に接続されているとともに、筐体外部に露出し、前記給電端子に電気的に接続可能である接続端子を備える給電ボックスと、
前記回転床における横行方向両側の側縁部にそれぞれ設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記回転床上に保持する複数の回転床側保持体と、
前記昇降リフトにおける横行方向両側の側縁部にそれぞれ設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記昇降リフト上に保持し、前記回転床側保持体とすれ違う際に前記回転床側保持体との間で相互に前記給電ボックスを受け渡し可能に構成された複数の昇降リフト側保持体と、
前記横行トレイにおける前記格納される駐車室の前記給電端子に近い側の側縁部のみに設置され、前記給電ボックスを自立させた状態で前記横行トレイ上に保持し、前記昇降リフト側保持体とすれ違う際に前記昇降リフト側保持体との間で相互に前記給電ボックスを受け渡し可能に構成された1又は複数の横行トレイ側保持体と、
該駐車装置の動作を制御する制御部と、
ユーザーが指示を入力するための操作盤をさらに備え、
前記制御部は、電気自動車の入庫時において、
複数の駐車室から指定された電気自動車の収容先の指定駐車室の情報を受け取る工程と、
前記複数の回転床側保持体から前記給電ボックスを保持する回転床側保持体を特定する工程と、
前記特定された回転床側保持体の設置位置に基づいて、前記給電ボックスが前記指定駐車室の側に位置するように前記回転床を選択的に回転させる工程と、
電気自動車及び前記給電ボックスを前記回転床から前記昇降リフトに移載し、前記昇降リフトから前記横行トレイに移載し、前記横行トレイを前記指定駐車室へと横行させるように、前記昇降リフト及び前記横行トレイを駆動する工程と、を実行することを特徴とする。
【0013】
本発明の駐車装置は、電気自動車と給電装置とを電気的に接続するために、自立可能な給電ボックスを受電器として用いたことを特徴とする。給電ボックスは、先端が筐体外部に任意の長さで引き出されるように筐体内部に少なくとも部分的に収容されたケーブルを備えることにより、電気自動車の充電口と保持体(回転床側保持体、昇降リフト側保持体及び横行トレイ側保持体)との間の距離に応じて、ケーブルの引出長さを適宜設定することができる。これにより、ケーブルが弛んで昇降リフトや横行トレイに接触することを抑え、移載の際に起こり得るケーブルの接触に伴う事故、損傷等を効果的に防止することができる。さらに、ユーザーが電気自動車の充電口に近い側の回転床側保持体に給電ボックスを配置したときに、制御部は、収容先の指定駐車室の位置に応じて、回転床を選択的に回転させて昇降リフトに電気自動車及び給電ボックスを受け渡すことによって、昇降リフト上で、給電ボックスを保持する昇降リフト側保持体の側と、収容先の駐車室の側とを一致させることができる。これにより、電気自動車の充電口の設置側を問わず、給電ボックスを充電口に最も近い保持体に保持させた状態で、両側の駐車室に電気自動車を選択的に収容することが可能である。すなわち、本発明の駐車装置は、電気自動車とともに乗降領域から駐車室へと受電器(給電ボックス)をより安全且つ確実に移載することを可能とする。さらに、ユーザーは、給電ボックスを回転床側保持体に載置するだけで、電気自動車と給電装置とを電気的に接続することが可能であり、これにより、従来のように、ケーブルを接続するための駐車装置側のコンセントを乗降領域で探す手間をもなくすことができ、駐車装置のよりユーザーフレンドリーな設計が可能となる。
【0014】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、前記回転床側保持体は、前記給電ボックスの保持を機械的に検出するリミットスイッチを備え、前記乗降領域には、前記給電ボックスの有無を光学的に検出する光学センサが設けられ、前記制御部は、前記リミットスイッチからの信号を受け取って、前記複数の回転床側保持体のうちの前記給電ボックスを保持する回転床側保持体を特定する工程と、前記光学センサからの信号を受け取って前記給電ボックスの有無を判定する工程と、前記リミットスイッチからの信号と前記光学センサからの信号とを照合する工程と、を実行し、前記リミットスイッチ及び前記光学センサの両方が前記給電ボックスの存在を特定した場合に、前記制御部は駐車車両が電気自動車であると認識し、前記リミットスイッチ及び前記光学センサの両方が前記給電ボックスの不存在を特定した場合に、前記制御部は駐車車両が電気自動車ではないと認識し、前記リミットスイッチ及び前記光学センサの一方が前記給電ボックスの存在を特定した場合、前記制御部はユーザーに対して警告を発することを特徴とする。リミットスイッチ及び光学センサの照合に基づいて、車両が電気自動車であるか否かを判定し、誤って充電処理がなされることを防止することができる。また、リミットスイッチ及び光学センサによって機械的且つ光学的に2重で給電ボックスの保持を検出することにより、給電ボックス以外のものが誤って搬送されることを防止することができる。
【0015】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、前記給電ボックスは、前記昇降リフト側保持体と電気自動車の充電口との距離に応じて前記ケーブルの引出可能な長さを規制するための規制部材をさらに備えることを特徴とする。ユーザーが規制部材によってケーブルの引出可能な長さを予め設定することにより、ケーブルの長さを駐車の都度設定することなく、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0016】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、前記横行トレイには、前記横行トレイが前記対応する駐車室に格納されたときに前記給電端子に電気的に接触する受電端子が設けられ、前記横行トレイ側保持体は前記給電ボックスを保持したときに前記受電端子を前記給電ボックスの接続端子に電気的に接続するように構成されていることを特徴とする。上記のように簡易な構成でもって、駐車室において給電装置から給電ボックスに電力を供給することが可能である。
【0017】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、前記横行トレイ側保持体に給電ボックスが保持された状態で前記横行トレイが前記対応する駐車室に格納されたときに、前記給電ボックスの接続端子が前記給電端子に電気的に接触するように構成されていることを特徴とする。上記のように簡易な構成でもって、駐車室において給電装置から給電ボックスに電力を供給することが可能である。
【0018】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、前記給電ボックスは、前記筐体の底面から突出し、該底面の長さ方向に配列する一対のピンと、長さ方向における前記一対のピンの間で前記筐体の底面から突出し、該底面の幅方向に配列する一対の突片とを備え、前記昇降リフト側保持体は、前記給電ボックスの底面を支持する昇降リフト側支持片と、前記一対のピンの一方を内挿する昇降リフト側受け孔とを備え、前記昇降リフト側支持片が前記給電ボックスの底面を支持するとともに前記昇降リフト側受け孔が前記一方のピンを内挿した状態で、前記一対の突片が前記昇降リフト側支持片の側端面に幅方向から当接可能であり、前記横行トレイ側保持体は、前記昇降リフト側支持片と昇降方向にすれ違い可能に形成され、前記給電ボックスの底面を支持する横行トレイ側支持片と、前記一対のピンの他方を内挿する横行トレイ側受け孔とを備え、前記横行トレイ側支持片が前記給電ボックスの底面を支持するとともに前記横行トレイ側受け孔が前記他方のピンを内挿した状態で、前記一対の突片が前記横行トレイ側支持片の側端面に幅方向から当接可能であることを特徴とする。すなわち、給電ボックスの一対の突片が昇降リフト側支持片の及び横行トレイ側支持片の側端面に幅方向から係合することによって、ピンが幅方向に回動して受け孔から大きくずれることを抑えることができる。
【0019】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、前記給電ボックスは、乗用車のトランクに携帯可能な大きさで構成されていることを特徴とする。ユーザーが給電ボックスを乗用車に携帯することが可能となり、その利便性を大幅に向上させることが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、より安全且つ確実に電気自動車を充電状態で駐車室に格納することが可能であるフォーク式の駐車装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態の駐車装置(フォーク式立体駐車場)の機械的構造を示す斜視図。
【
図3】
図1の駐車装置の内部構造を正面から見た模式図。
【
図5】本発明の一実施形態の駐車装置の回転床を示す(a)全体模式図、及び(b)部分拡大図。
【
図6】本発明の一実施形態の駐車装置の昇降リフトを示す(a)全体模式図、及び(b)部分拡大図。
【
図7】本発明の一実施形態の駐車装置の横行トレイ及び駐車室を示す(a)全体模式図、及び(b)部分拡大図。
【
図8】
図7の駐車室の給電装置の部分拡大図であって、(a)横行トレイの受電端子と給電端子とが接触した状態を示し、(b)横行トレイの受電端子と給電端子とが切り離された状態を示す。
【
図9】本発明の一実施形態の駐車装置の給電ボックスの(a)正面図、(b)背面図及び(c)底面図。
【
図11】
図10の給電ボックスにおいて、ケーブルを引き出した状態の内部構造を示す(a)正面図、及び、(b)平面図。
【
図12】本発明の一実施形態の駐車装置において、電気自動車を回転床に配置した状態を示す模式図。
【
図15】本発明の一実施形態の駐車装置において、給電ボックスを保持体間で受け渡す形態を示す模式図。
【
図16】本発明の一実施形態の駐車装置において、車両が電気自動車であるか否かを判別する際の制御方法を示すフローチャート。
【
図17】本発明の一実施形態の駐車装置において、回転床の制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態の駐車装置10
0のフォーク式駐車場の概略を示す斜視図である。
図2は該駐車装置100を外部正面から見た模式図である。
図3は、該駐車装置10
0の内部構造を正面から見た模式図である。
図4は、該駐車装置10
0の乗降領域の概略平面図である。
【0024】
本実施形態の駐車装置100は、複数の階層に車両を駐車可能であるフォーク(櫛歯)式の機械式立体駐車場である。当該駐車装置100の動作は、制御部(図示せず)によって制御される。駐車装置100は、
図1乃至
図4に示すとおり、ユーザ
ーが車両から乗り降りするための乗降領域101と、乗降領域101から電気自動車を他の階層に昇降させるように昇降方向に延びる昇降空間102と、昇降空間102から電気自動車を横行させて収容すべく昇降空間102に対して横行方向に隣接配置された複数の駐車室103と、乗降領域101の下方に凹設された昇降リフト1
20の収容部104とを有する。そして、本実施形態の駐車装置100は、電気自動車に対して駐車室103で充電すべく、複数の駐車室103のうちの少なくとも一部に収容された電気自動車に電力を供給するための給電装置140と、自立可能な形状を有し、給電装置140及び電気自動車を電気的に接続し、電気自動車に給電を行うことを可能とする給電ボックス150とを備える。すなわち、駐車装置100は、給電ボックス150を介して電気自動車に給電を行うことを特徴とする。なお、駐車装置100は、車両一般を駐車するように動作するが、車両が電気自動車である場合に限って電気自動車を駐車時に充電するように作動する。よって、ここでいう「車両」は、電気自動車を含む車両一般を示す概念である。
【0025】
乗降領域101は、車両から乗り降りするように駐車装置100の屋内に配置されている。乗降領域101の外部には、車路に隣接した外部領域が配置されている。外部領域は、出入口扉106を介して乗降領域101に連通する領域である。乗降領域101は、車両が車路から乗り入れ又は車路に出庫可能であるように、車路と同じレベルの階層に配置されている。また、乗降領域101及び外部領域は、出入口扉106によって仕切られている。
図2に示すように、駐車装置100の外壁には、出入口扉106の隣接して操作盤107が設けられている。ユーザーは、入庫のために車両を外部領域に一旦車両を停車させて、操作盤107に必要な情報を入力することにより、出入口扉106を開閉し、車両を入庫処理することができる。あるいは、ユーザーは、出庫のために操作盤107に必要な情報を入力することにより、出入口扉106を開閉し、車両を出庫処理し、乗降領域101から外部領域へと車両を出庫させることができる。
【0026】
昇降空間102は、昇降リフト120が昇降するための空間であり、全階層に亘って延びている。昇降空間102の高さは、所望の駐車室103の数、すなわち、駐車塔の階層数によって設定される。当該昇降空間102において、昇降リフト120の櫛歯と、横行トレイ130の櫛歯とがすれ違うことにより、昇降リフト120及び横行トレイ130間の車両の受け渡しが行われる。
【0027】
各駐車室103は、乗降領域101と異なる各階層で昇降空間102の横行方向の両側に対となるように配置されている。各駐車室103は、1台の車両を駐車可能であり、且つ、充電可能な空間である。各駐車室103には、車両が載置される横行トレイ130が配置される。後述するように、駐車室103には、車両が電気自動車である場合に、電気自動車を充電することが可能な給電装置140及び/又は給電端子141が設置されている。なお、図示の140は、電源中継ボックスであり、給電装置の一部を構成する。
【0028】
収容部104は、乗降領域101の回転床110の下方で昇降リフト120を収容するために設けられた空間である。すなわち、収容部104は、乗降領域101に凹設された空間である。駐車装置100の動作において、回転床110の回転に干渉しないように、昇降リフト120が待避位置として収容部104に収容される。センサ又はリミットスイッチなどにより、昇降リフト120が収容部104に収容されたことが検知され得る。
【0029】
図3に示すように、駐車装置100は、車両の搬送機構として、乗降領域101に設置された回転床110と、昇降空間102を昇降する昇降リフト120と、対応する駐車室103に格納されるとともに、駐車室103と昇降空間102との間を略水平に横行レールに沿って横行する横行トレイ130とを備える。回転床110は、車両を載置可能な櫛歯状フレームを有し、車両の方向を所定の角度に変更可能に構成されている。一例として、回転床110は、中央フレームから左右外方に櫛歯が延びる櫛歯形状を有している。本実施形態では、回転床110は、車両の前部又は後部のいずれかを出入口扉106に向けるように180度回転するように設定されている。昇降リフト120は、車両を載置可能な櫛歯状フレームを有し、該フレームは回転床110の未回転位置及び回転済位置の両方で回転床110の櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成されている。一例として、昇降リフト120は、左右一対に分割されたフレームからなり、外側フレームから内側へ櫛歯が延びている。本実施形態では、
図4に示すように、昇降リフト120は、当初形態において、乗降領域101の回転床110と同じ高さに配置され、回転床110が回転駆動する場合に限り、回転床110との干渉を避けるべく収容部104に待避する。横行トレイ130は、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、該フレームは昇降リフト120の櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成されている。一例として、横行トレイ130は、中央フレームから左右外方に櫛歯が延びる櫛歯形状を有する。横行トレイ130は、各駐車室103にそれぞれ格納されている。横行トレイ130は、駐車室103から昇降空間102に横行レールに沿って駆動されるが、該横行レールにリミットスイッチ(図示せず)を設けることにより、その位置をより正確に制御することができる。なお、搬送機構は、制御部の指令に基づいて、モータや滑車などの一般的な駆動機構によって駆動するが、ここでは駆動機構の説明を省略する。
【0030】
車両を所定の駐車室103に入庫する場合、車両で乗降領域101に乗り込み、回転床110上に車両が載置された状態で、回転の必要に応じて、昇降リフト120が収容部104に待避する(あるいは、昇降リフト120が予め収容部104に配置されてもよい)とともに回転床110が回転する。そして、昇降リフト120が上昇すると、回転床110及び昇降リフト120の櫛歯状フレーム同士が互いにすれ違い、車両が回転床110から昇降リフト120へと移載される。車両を搭載した積載状態の昇降リフト120が所定の駐車室103の床面よりも上方に引き上げられ、横行トレイ130が昇降空間102内に横行して昇降リフト120の下方に配置される。そして、昇降リフト120が下降し、昇降リフト120及び横行トレイ130の櫛歯状フレーム同士が互いにすれ違うことにより、昇降リフト120から横行トレイ130へと車両が移載される。移載後、車両を搭載した横行トレイ130が横行レールに沿って駐車室103に横行することにより、車両が駐車室103に収容される。
【0031】
他方、指定された車両を所定の駐車室103から出庫する場合、車両を搭載した横行トレイ130が駐車室103から昇降空間102に横行するとともに、空車状態の昇降リフト120が乗降領域101又は収容部104から上昇する。そして、昇降リフト120及び横行トレイ130の櫛歯状フレーム同士がすれ違うように昇降リフト120が上昇して横行トレイ130の上方で停止し、横行トレイ130から昇降リフト120に車両が移載される。次に、空の横行トレイ130が横行して元の駐車室103に収容される。続いて、積載状態の昇降リフト120が地上階まで下降して、車両が乗降領域101に配置され、昇降リフト120及び回転床110の櫛歯状フレーム同士が互いに重なって、車両が昇降リフト120から回転床110に載置される。必要に応じて、回転床110が回転して車両が出庫可能な状態となる。なお、回転床110の回転が必要である場合、昇降リフト120が収容部104まで下降して回転床110に移載された上で、回転床110が回転する。
【0032】
図5を参照して、本実施形態の駐車装置100の回転床110について説明する。
図5に示すように、回転床110は、第1位置から第2位置へと相互に回転して、搭載した車両の向きを変更可能に乗降領域101に設置されている。また、回転床110は、車両のタイヤを櫛歯上に載置した状態で回転可能な櫛歯状フレームとして構成されている。回転床110の初期位置において、一対の櫛歯の列の長手方向が出入口扉106を向いている。回転床110は、駐車時の車両の向きに合わせて180度回転するように制御される。つまり、回転床110は、第1位置(未回転位置)から第2位置(回転済位置)へと相互に回転して車両の方向を所定の角度に変更するものである。本実施形態では、回転床110が、第1位置及び第2位置にあるときに回転床110の櫛歯の列と昇降リフト120の櫛歯の列の向きが一致し、昇降リフト120が回転床110を通過可能となる。他方、回転床110の櫛歯の列と昇降リフト120の櫛歯の列とが交差すると、昇降リフト120が回転床110を通過することができない。回転床110の回転は、センサ又はリミットスイッチなどによって検知される。
【0033】
また、回転床110の横行方向両側の側縁部の前後2箇所(前後左右4隅)には、給電ボックス150(
図9等参照)を自立させた状態で回転床110上に保持するための回転床側保持体111が設置されている。
図5(b)に示すように、回転床側保持体111は、給電ボックス150の底面を支持する回転床側支持片112と、給電ボックス150の一対のピン156,156の一方を内挿する回転床側受け孔113とを備える。回転床側支持片112は、横行方向の一端側の床材の端縁から他端側へと延在する長手片であり、給電ボックス150のピン156,156間の底壁を支持可能な長さで延在している。他方、回転床側受け孔113は横行方向の一端側の床部材に穿設されている。回転床側受け孔113から回転床側支持片112先端までの距離は、ピン156,156間の距離よりも短い。
【0034】
図6を参照して、本実施形態の駐車装置100の昇降リフト120について説明する。昇降リフト120は、車両のタイヤを櫛歯上に載置した状態で昇降可能な櫛歯状フレームとして構成されている。昇降リフト120の横行方向両側の側縁部の前後2箇所(前後左右4隅)には、給電ボックス150(
図9等参照)を自立させた状態で昇降リフト120上に保持するための昇降リフト側保持体121が設置されている。
図6(b)に示すように、昇降リフト側保持体121は、給電ボックス150の底面を支持する昇降リフト側支持片122と、給電ボックス150の一対のピン156,156の他方を内挿する昇降リフト側受け孔123とを備える。昇降リフト側支持片122は、横行方向の他端側の床材の端縁から一端側へと延在するコ字片であり、給電ボックス150のピン156,156間の底壁を支持可能な長さで延在している。また、昇降リフト側支持片122は、回転床側支持片112と昇降方向にすれ違い可能な相補的形状を有している。他方、
昇降リフト側受け孔123は横行方向の他端側の床部材に穿設されている。昇降リフト側受け孔123から昇降リフト側支持片122先端までの距離は、ピン156,156間の距離よりも短い。
【0035】
図7を参照して、本実施形態の駐車装置100の横行トレイ130及び駐車室103について説明する。
図7に示すように、駐車装置100は、複数の駐車室103のうちの一部又は全部に対して給電するための給電装置140を備える。給電装置140の給電端子141は、各駐車室103の昇降空間102と反対側の側端部(側壁の壁面又は側壁近傍の床など)103aに設置されている。給電端子141は、収容する車両の前後位置に対応するように、側端部103aの前後2箇所に設置されている。
【0036】
横行トレイ130は、車両のタイヤを櫛歯上に載置した状態で横行可能な櫛歯状フレームとして構成されている。横行トレイ130は、駐車室103に格納され、電気自動車を給電端子141から充電可能な状態で駐車室103に載置する。横行トレイ130の側端部103a側の側縁部の前後2箇所には、給電ボックス150(
図9等参照)を自立させた状態で横行トレイ130上に保持するための横行トレイ側保持体131が設置されている。
図7(b)に示すように、横行トレイ側保持体131は、給電ボックス150の底面を支持する横行トレイ側支持片132と、給電ボックス150の一対のピン156,156の一方を内挿する横行トレイ側受け孔133とを備える。横行トレイ側支持片132は、横行方向の一端側の床材の端縁から他端側へと延在する長手片であり、給電ボックス150のピン156,156間の底壁を支持可能な長さで延在している。また、横行トレイ側支持片132は、昇降
リフト側支持片122と昇降方向にすれ違い可能な相補的形状を有している。さらに、横行トレイ側支持片132は、給電ボックス150の底面に形成された接続端子155に対して電気的に接続可能な給電部136が設けられている。他方、横行トレイ側受け孔133は横行方向の一端側の床部材に穿設されている。横行トレイ側受け孔133から横行トレイ側支持片132先端までの距離は、ピン156,156間の距離よりも短い。
【0037】
さらに、横行トレイ130には、当該横行トレイ130が対応する駐車室103に格納されたときに給電端子141に電気的に接触する受電端子134が設けられている。受電端子134は、側端部側の側縁部の前後2箇所に形成され、給電端子141の位置に対応している。受電端子134は、横行トレイ側保持体131に近接配置されることが好ましい。また、受電端子134は、横行トレイ130の内部において給電部136に電気的に接続されている。すなわち、横行トレイ側保持体131は、給電ボックス150を横行トレイ側支持片132上に保持したときに、受電端子134を給電ボックス150の接続端子155に電気的に接続するように構成されている。これにより、横行トレイ130が駐車室103に格納されたときに、給電端子141は、受電端子134及び給電部136を介して給電ボックス150に電力を供給することが可能である。
【0038】
図8は、横行トレイ130の受電端子134と給電装置140の給電端子141との関係をより詳細に示している。
図8(a)に示すように、横行トレイ130が駐車室103の所定位置に格納された状態では、受電端子134が給電端子141に接触し、両者が電気的に接続されている。他方、
図8(b)に示すように、横行トレイ130が駐車室103から昇降空間102に横行すると、受電端子134が給電端子141から離隔し、両者の電気的接続が切断される。
【0039】
続いて、
図9乃至
図11を参照して、本実施形態の給電ボックス150について説明する。
図9(a)~(c)は、給電ボックス150の正面図、背面図及び底面図である。
図10は、給電ボックス150の内部構造を示す正面図である。
図11(a),(b)は、給電ボックス150においてケーブル152を所定の長さで引き出した状態の内部構造を示す正面図及び平面図である。
【0040】
図9及び
図10に示すとおり、給電ボックス150は、自立可能な形状を有する筐体151、先端が筐体外部に任意の長さで引き出されるように筐体内部に少なくとも部分的に収容されたケーブル152、該ケーブル152の先端に取着され、電気自動車の充電口に接続される充電用コネクタ153、及び、筐体内部でケーブル152に電気的に接続されているとともに、筐体外部に露出し、給電装置140の給電端子141に電気的に接続可能である接続端子155を備える。給電ボックス150は、ユーザーの電気自動車のトランクに携帯可能な大きさで構成されている。当該駐車装置100の駐車システムにおいて、給電ボックス150は、ユーザー間で共通で使用されるものでなく、各ユーザーによって個別に保管されることが好ましい。この場合、ケーブル152は、車両ごとに定められた専用ケーブルである。
【0041】
筐体151は、矩形状のボックスからなり、前面に開閉可能な扉151a、及び、該扉151aを開閉するためのハンドル151bを有する。ユーザーは、ハンドル151bを把持して扉151aを開くことにより筐体内部にアクセスすることが可能である。筐体151は、平面視(上面及び底面)において長手状に延在し、長さ方向及び幅方向を有する。筐体151の長さ方向は、設置時に横行方向に合致する。筐体151底面は、回転床110、昇降リフト120及び横行トレイ130上で自立可能であるように、各支持片112,122,132上に載置及び支持可能な寸法形状を有している。また、筐体151の底面には、一対のピン156,156が突出形成されている。一対のピン156,156は、長さ方向に互いに離隔して配列し、底面の長さ方向両端側に位置されている。各ピン156は、テーパー状の先端部を有し、先端が尖っている。ピン156は、各受け孔113,123,133に挿通可能な形状を有している。すなわち、給電ボックス150は、一方のピン156が受け孔113,123,133に挿通された状態で底面が支持片112,122,132上に配置されることによって、各保持体111,121,131に保持される。さらに、筐体151の底面には、長さ方向における一対のピン156,156の間で底面から突出し、該底面の幅方向に配列する一対の突片157,157が設けられている。一対の突片157,157は、給電ボックス150が各保持体111,121,131に保持された状態で、支持片112,122,132の側端面に当接可能に構成されている。つまり、一対の突片157,157は、給電ボックス150のピン156を中心とする幅方向への回動を規制するように機能する。さらに、筐体151底面の一対のピン156の間には、外部に露出する接続端子155が設けられている。
【0042】
ケーブル152は、筐体内部で巻かれることによって保持されている。ケーブル152は、筐体151の上壁近傍の側面に形成された挿通孔を介して外部に引き出されている。この挿通孔は、ケーブル152の通過を許容するが、充電用コネクタ153の通過を許容しない大きさを有する。ケーブル152の先端には、充電用コネクタ153が形成され、基端にはプラグ154aが形成されている。プラグ154aは、筐体151内部のコンセント154bに接続されている。コンセント154bは、筐体内部において接続端子155に電気的に接続されるように配線される。このケーブル152は、一般的に電気自動車の種類に応じてユーザーによって準備され得る。
【0043】
また、給電ボックス150は、選択された保持体111,121,131と電気自動車の充電口との距離に応じてケーブル152の引出可能な長さを規制するための規制部材158をさらに備える。規制部材158は、充電
用コネクタ153から所定距離で離隔した位置でケーブル152に固定される。規制部材158は、挿通孔を通過できない大きさを有し、ケーブル152が引き出されたときに筐体151の内面に係止される。
図11(a),(b)に示すように、ユーザーは、選択された保持体111,121,131と電気自動車の充電口との距離に応じて規制部材158の位置を予め設定しておくことで、一定の長さでケーブル152を引き出すことが可能となる。選択される保持体111,121,131の位置は、電気自動車の充電口の位置によって決まるので、給電ボックス150と充電口とを弛みのない状態で接続することが容易となる。換言すれば、規制部材158によって、ケーブル152の引出長さが規制されるので、必要以上にケーブル152が引き出されることを防ぎ、ケーブル152が垂れ下がって他の部材に接触することを未然に防ぐことが可能である。なお、ケーブル152が所定の長さで引き出された場合であって、給電ボックス150を使用しないときには、ケーブル152を巻き戻すことをしなくても、筐体151上部に設けられたケーブルフック151cにケーブル152を巻き付けておくことができる。
【0044】
続いて、給電ボックス150を用いて電気自動車を充電状態にて駐車させる工程について説明する。
【0045】
まず、ユーザーは、操作盤107にて認証操作などを行った上で、出入口扉106を介して乗降領域101の回転床110上に電気自動車Vを停車させる。次いで、ユーザーは電気自動車Vから降りて、給電ボックス150を電気自動車Vのトランクから取り出して、電気自動車Vの充電口V1に最も近い位置の回転床側保持体111に給電ボックス150を配置する。そして、給電ボックス150から所定長さで延び出た充電
用コネクタ153を充電口V1に接続する(
図12,13参照)。このとき、ユーザーは、給電ボックス150を回転床側保持体111に載置するだけでよく、従来のように、ケーブル152を接続するための駐車装置側のコンセントを乗降領域101で探す必要がない。続いて、ユーザーは、出入口扉106を介して乗降領域101から外部に移動し、操作盤107を操作して入庫処理を実行する。入庫処理の指示の入力完了後、出入口扉106が閉鎖され、電気自動車V及び給電ボックス150がともに指定先の駐車室(以下、指定駐車室)103へと搬送される。なお、指定駐車室103は、ユーザーに応じて予め割り当てられていてもよく、ユーザーによって操作盤107に入力されてもよく、あるいは、制御部によって空いている駐車室103から任意に決定されてもよい。
【0046】
図14は、給電ボックス150が回転床側保持体111に保持された形態を模式的に示している。
図14に示すように、給電ボックス150の一方のピン156が、回転床側受け孔113に挿入され、筐体151の底面が回転床側支持片112によって支持される。他方のピン156は、回転床側支持片112先端側の空き空間に配置される。一方のピン156が、回転床側受け孔113に形成されたリミットスイッチ115に当接することで、回転床側保持体111による給電ボックス150の保持が検出される。制御部は、リミットスイッチ115からの信号に基づいて、4箇所に設置されたいずれの回転床側保持体111が給電ボックス150を保持しているかを決定することができる。なお、本実施形態では、
図14に示すように、昇降リフト120の床面が、回転床110の床面と同じ高さに配置されているため、給電ボックス150は、回転床側保持体111とともに昇降リフト側保持体121に保持されている。具体的には、給電ボックス150の他方のピン156が、昇降リフト側受け孔123に挿入され、筐体151の底面が昇降リフト側支持片122によって支持される。しかしながら、昇降リフト120が収容部104に待避した場合には、給電ボックス150が回転床
側保持体111のみに保持される。
【0047】
また、乗降領域101には、光学センサとして2対の光電センサ108が設置され、乗降領域101に給電ボックス150が存在するか否かが検知される。光電センサ108は、受光器及び投光器からなり、その間の仮想線上に給電ボックス150が配置されたことにより、光量の変化を検知し、給電ボックス150の有無を検出する。しかしながら、センサの形態は本実施形態に限定されず、光学センサは、回転床側保持体111の各位置を個別に検知範囲としてもよく、あるいは、乗降領域101全体を検知範囲としてもよい。また、光学センサとして、既知の赤外線センサなどが採用され得る。あるいは、光学センサは、乗降領域101内を撮影するカメラであって、所得した画像情報を画像処理することによって給電ボックス150の有無を検知する画像センサであってもよい。
【0048】
制御部は、後述する
図17のフローチャートに従って、リミットスイッチ115及び光電センサ108からの信号に基づいて車両が電気自動車である否か、あるいは、給電ボックス150の設置に誤りがあるかどうかを判定する。そして、制御部は、後述する図
17のフローチャートに従って、リミットスイッチ115の信号によって特定された保持位置及び指定駐車室103の位置に基づいて回転床110の回転が必要か否を判定し、必要に応じて、昇降リフト120を収容部104に待避させて回転床110を180度回転させる。
【0049】
次に、回転床110とすれ違うように昇降リフト120が上昇し
、回転床110から昇降リフト120へと電気自動車及び給電ボックス150が完全に移載される。
図15に示すように、当初、長手片状の回転床側支持片112及びコ字形状の昇降リフト側支持片122の両方に載置された給電ボックス150は、回転床側支持片112に対して相対的に上昇した昇降リフト側支持片122に受け渡される。昇降リフト120の上昇に伴い、他方のピン156が昇降リフト側受け孔123に挿入したまま、一方のピン156が回転床側受け孔113から離脱する。その結果、給電ボックス150は、底面がコ字状の昇降リフト側支持片122のみに支持されるとともに他方のピン156が昇降リフト側受け孔123に挿入された状態で、昇降リフト側保持体121のみに保持される。このとき、昇降リフト側受け孔123にリミットスイッチ(図示せず)が同様に配置されてもよい。制御部は、リミットスイッチからの信号によって給電ボックス150が正常に受け渡されたかを判定することができる。そして、昇降リフト120は、指定駐車室103がある階層まで上昇する。
【0050】
続いて、昇降リフト120が所定の高さで停止した後、指定駐車室103の横行トレイ130が昇降空間102に横行し、昇降リフト120の直下で停止する。次いで、昇降リフト120が下降し、横行トレイ130とすれ違うことによって、電気自動車及び給電ボックス150が昇降リフト120から横行トレイ130へと移載される。コ字状の昇降リフト側支持片122に載置された給電ボックス150は、横行トレイ側支持片132に対してすれ違うように下降した昇降リフト側支持片122から横行トレイ側支持片132に受け渡される。昇降リフト120及び横行トレイ130が同じ高さに相対移動したとき、給電ボックス150は昇降リフト側保持体121及び横行トレイ側保持体131の両方に保持される。そして、さらなる昇降リフト120の下降に伴い、一方のピン156が横行トレイ側受け孔133に挿入したまま、他方のピン156が昇降リフト側受け孔123から離脱する。その結果、給電ボックス150は、底面が長手片状の横行トレイ側支持片132のみに支持されるとともに一方のピン156が横行トレイ側受け孔133に挿入された状態で、横行トレイ側保持体131のみに保持される。このとき、横行トレイ側受け孔133にリミットスイッチ(図示せず)が同様に配置されてもよい。制御部は、リミットスイッチからの信号によって給電ボックス150が正常に受け渡されたかを判定することができる。そして、横行トレイ130は、指定駐車室103へと横行し、指定駐車室103に格納される。
【0051】
指定駐車室103に格納された横行トレイ130は、給電装置140の給電端子141から給電可能な状態(
図8参照)となり、且つ、給電ボックス150を給電端子141に対して電気接続して保持する。すなわち、電気自動車は、給電端子141から給電ボックス150を介して充電可能な状態で駐車室103に収容される。そして、制御部は、給電装置140を制御し、電気自動車の充電を開始する。
【0052】
出庫工程は、入庫工程とは反対の工程を踏むようにして、横行トレイ130から昇降リフト120へと電気自動車及び給電ボックス150を受け渡し、昇降リフト120から回転床110へと電気自動車及び給電ボックス150を受け渡すことによって、電気自動車及び給電ボックス150を出庫可能な状態で乗降領域101へと搬送することができる。ユーザーは、乗降領域において、充電用コネクタ153を充電口から取り外し、給電ボックス150を持ち上げて回転床側保持体111から回収することができる。好ましくは、給電ボックス150は、電気自動車のトランクに回収される。しかしながら、給電ボックス150が共用のものである場合は、駐車装置100の管理者に返却されてもよい。そして、ユーザーは、電気自動車を乗降領域101の外部へと出庫し、操作盤107を操作しつつ、出庫処理を完了する。
【0053】
続いて、
図16のフローチャートに基づいて、車両が電気自動車であるか否かを判定する工程を説明する。
図16に示すように、制御部は、操作盤107からユーザー入力情報を受領し、車両が駐車される指定駐車室103を決定する。次いで、ユーザーが車両を乗降領域101の回転床110の所定位置に停止させる。制御部は、センサなどを介して車両が所定位置に停止したことを確認する。制御部は、ユーザーに対して回転床
側保持体111に給電ボックス150を設置することを要求する。ユーザーの車両情報が事前にデータベースに登録されている場合、制御部は、電気自動車の充電口に最も近い位置の回転床
側保持体111を選択することをユーザーに対して通知してもよい。ユーザーへの通知は、操作盤107を介して行われてもよいし、乗降領域101内の各設置位置での点灯などによって行われてもよい。
【0054】
次いで、制御部は、リミットスイッチ115からの信号を受け取って、複数の回転床側保持体111のうちの給電ボックス150を保持する回転床側保持体111を特定する工程と、光学センサからの信号を受け取って給電ボックス150の有無を判定する工程と、リミットスイッチ115からの信号と光学センサからの信号とを照合する工程とを実行する。より具体的には、制御部は、所定時間内にリミットスイッチ115が給電ボックス150によってONになったかどうかを確認する。リミットスイッチ115がONになった場合であって、光学センサが給電ボックス150を検知した場合(リミットスイッチ115及び光学センサの両方が給電ボックス150の存在を特定した場合)、制御部が車両を電気自動車であると判定する。リミットスイッチ115がONになった場合であって、光学センサが給電ボックス150を検知しない場合、制御部は、リミットスイッチ異常のアラーム又は警告を発行し、ユーザーに対して操作盤107からリセット処理をすることを要求する。他方、リミットスイッチ115がONにならない場合であって、光学センサが給電ボックス150を検知した場合、操作盤107に例えば『給電ボックスを確認してください』などのメッセージ又は警告を表示し、再度、ユーザーに対して回転床側保持体111に給電ボックス150を設置することを要求する工程に戻る。リミットスイッチ115がONにならない場合であって、光学センサが給電ボックス150を検知しない場合(リミットスイッチ115及び光学センサの両方が給電ボックス150の不存在を特定した場合)、制御部は、車両が電気自動車でないと判定する。以上により、制御部による電気自動車の認定処理が完了する。
【0055】
続いて、
図17のフローチャートに基づいて、回転床110の制御方法を説明する。
図17に示すように、制御部は、操作盤107からユーザー入力情報を受領し、車両が駐車される指定駐車室103を決定する。次いで、制御部は、リミットスイッチ115からの信号を受け取って、複数の回転床側保持体111のうちの給電ボックス150を保持する回転床側保持体111を特定し、給電ボックス150の設置位置を検出する。制御部は、特定された回転床側保持体111の設置位置に基づいて、給電ボックス150が指定駐車室103の側に位置するように回転床110を選択的に回転させる。具体的には、制御部は、特定された回転床側保持体111の設置側が、横行方向において、指定駐車室103の側と一致するかを判定する。つまり、制御部は、電気自動車を中心とした給電ボックス150及び指定駐車室103の左右位置の一致を判定する。一致を判定すると、回転床110を回転させずに、昇降リフト120を昇降駆動させる。他方、不一致と判定すると、一致させるように回転床110を180度回転させた上で、昇降リフト120を昇降駆動させる。なお、制御部は、昇降リフト120が回転床110と同じレベルにある場合、回転床110を回転させる前に昇降リフト120を収容部104に待避させるように駆動する。他方、昇降リフト120が収容部104に予め位置している場合には、回転床110の回転前に昇降リフト120の駆動は不要となる。すなわち、本実施形態の駐車装置100によれば、電気自動車の充電口の設置側を問わず、また、指定駐車室103がいずれの側にあっても、給電ボックス150を充電口に最も近い保持体111,121,131に保持させた状態で、電気自動車を指定駐車室103に確実に収容することが可能である。
【0056】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態や変形例を取り得る。以下、本発明の別実施形態を説明する。
【0057】
[別実施形態、変形例]
(1)上記実施形態では、乗降領域の駐車方向(すなわち、回転床のフレームの向き)は、出入口扉を向くように配置され、回転床の第1位置が未回転位置であり、第2位置が回転済位置であるが、本発明はこれに限定されない。すなわち、出入口扉は、乗降領域の駐車方向とずれて設置されてもよい。例えば、出入口扉は、乗降領域の駐車方向に対して90度ずれた方位を向くように構成されてもよい。この場合、制御部は、特定された回転床側保持体の設置位置に基づいて、給電ボックスが指定駐車室の側に位置するように回転床を回転させるように、回転床を一方側に90度回転させて第1位置に変位させるか、または、回転床を他方側に90度回転させて第2位置に変位させることができる。
【0058】
(2)上記実施形態では、各端子の電気的接続は、直接接触か配線によってなされたが、非接触電力伝送方式が適所に採用されてもよい。
【0059】
(3)本発明は、横行トレイ側保持体に給電ボックスが保持された状態で横行トレイが対応する駐車室に格納されたときに、給電ボックスの接続端子が給電端子に電気的に接触するように構成されてもよい。この場合、給電ボックスの接続端子が、横行トレイを介することなく、駐車室において横行トレイ側保持体に保持された状態で駐車室の給電端子に電気的に接触(接触式、非接触式を含む)するように、その配置関係が設計される。例えば、一例として、接続端子は、給電ボックスの底面でなく、駐車室の側端部側を向く筐体側面に露出して配置され、尚且つ、横行トレイ側保持体に保持された状態で駐車室の給電端子に対向配置される。
【0060】
(4)上記実施形態の駐車装置は、複数の階層を有し、同階層に2以上の駐車室が設置された駐車塔であるが、本発明は、例えば、家庭用の駐車場のような、回転床が省略されて駐車室が1つしかない最小限の構成の駐車場においても同様に適用され得る。
【0061】
(5)上記実施形態の駐車装置では、収容部に昇降リフトが待避して回転床が回転可能となるが、本発明は当該構成に限定されない。すなわち、本発明の駐車装置では、収容部が省略されてもよい。この場合、昇降リフトが乗降領域の床面に初期配置され、(昇降リフトが収容部に待避する代わりに)回転床が昇降リフトの上方に持ち上げられ、回転床が昇降リフトに干渉しないように回転可能となる。この変形例では、収容部を設けることを省略でき、櫛歯のすぐ下に床面が位置するので、車椅子利用者にも対応している。
【0062】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。すなわち、本発明の技術的範囲の下で、本実施形態の一部の構成が省略又は修正されてもよく、あるいは、他の構成が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
100 駐車装置
101 乗降領域
102 昇降空間
103 駐車室
104 収容部
106 出入口扉
107 操作盤
108 光電センサ
110 回転床
111 回転床側保持体
112 回転床側支持片
113 回転床側受け孔
115 リミットスイッチ
120 昇降リフト
121 昇降リフト側保持体
122 昇降リフト側支持片
123 昇降リフト側受け孔
130 横行トレイ
131 横行トレイ側保持体
132 横行トレイ側支持片
133 横行トレイ側受け孔
134 受電端子
136 給電部
140 給電装置
141 給電端子
150 給電ボックス
151 筐体
151a 扉
151b ハンドル
151c ケーブルフック
152 ケーブル
153 充電用コネクタ
154a プラグ
154b コンセント
155 接続端子
156 ピン
157 突片
158 規制部材
V 電気自動車
V1 充電口