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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20230518BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20230518BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20230518BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230518BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20230518BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230518BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20230518BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G02F1/13357
G02F1/1333
G02F1/13 505
G02F1/1345
G09F9/00 302
G09F9/00 313
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/33
G09F9/30 309
G09F13/04 U
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019077615
(22)【出願日】2019-04-16
(65)【公開番号】P2020177062
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩井 洋平
【審査官】道祖土 新吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513069(JP,A)
【文献】特開2016-173418(JP,A)
【文献】特開2015-072306(JP,A)
【文献】特表2014-503835(JP,A)
【文献】特表2013-516660(JP,A)
【文献】特開2018-092111(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0246120(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 -9/46
G09F 13/04
G02F 1/13
G02F 1/1333
G02F 1/13357
G02F 1/1345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座に透過型ディスプレイ装置が固定された構成の表示装置であって、
前記透過型ディスプレイ装置は、表示領域と第1の透明媒体を有し、前記第1の透明媒体は、前記表示領域と前記台座の間に存在し、
前記表示領域には、走査線と映像信号線が形成され、
前記第1の透明媒体には、走査線引出し線と映像信号線引出し線が形成され、
前記表示領域の面積をS1、前記透明媒体の面積をS2とした場合、
S2/S1は0.5以上であることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
S2/S1は1以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
S2/S1は2以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示領域は、前記第1の透明媒体によって囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記透過型ディスプレイ装置は、第2の透明媒体によって挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示装置は外枠を有し、前記外枠と前記透過型ディスプレイ装置の間には、第2の透明媒体が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記透過型ディスプレイ装置と前記第2の透明媒体は、第3の透明媒体によって挟持されていることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示領域には、走査線と映像信号線が存在し、
前記第1の透明媒体には、走査線引出し線と映像信号線が存在し、
前記走査線引出し線のピッチは、前記走査線のピッチと同じかそれ以上であり、
前記映像信号線引出し線のピッチは、前記映像信号線のピッチと同じかそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示領域には、走査線が第1の方向に延在し、映像信号線が第2の方向に存在し、
前記第1の透明媒体には、走査線引出し線が第1の方向及び第1の方向と反対方向に延在し、
前記走査線引出し線のピッチは、前記走査線のピッチと同じかそれ以上であることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示領域には、走査線が第1の方向に延在し映像信号線が第2の方向に存在し、
前記第1の透明媒体には、映像信号線引出し線が第2の方向及び第2の方向と反対方向に延在し、
前記映像信号線引出し線のピッチは、前記映像信号線のピッチと同じかそれ以上であることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項11】
前記透過型ディスプレイ装置は液晶表示装置であり、
前記表示領域はTFT基板と対向基板との間に液晶層が存在している構成であり、
前記第1の透明媒体は、前記TFT基板と前記対向基板との間に透明シール材が存在している構成であり、
前記台座内において、前記第1の透明媒体の端部には、LEDが配置している構成であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記透過型ディスプレイ装置は、有機EL表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記透過型ディスプレイ装置は、マイクロLEDディスプレイ装置であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
台座に透過型ディスプレイ装置が固定された構成の表示装置であって、
前記透過型ディスプレイ装置は、表示領域と第1の透明媒体を有し、前記第1の透明媒体が、前記表示領域と前記台座の間に存在する構成の液晶表示装置であり、
前記表示領域はTFT基板と対向基板との間に液晶層が存在し、前記TFT基板に走査線と映像信号線が形成されている構成であり、
前記第1の透明媒体は、前記TFT基板と走査線引出し線あるいは映像信号線引出し線が形成された端子領域で構成されており、
前記端子領域には第2の透明媒体が形成され、
前記台座内において、前記第1の透明媒体または前記第2の透明媒体の端部にはLEDが配置していることを特徴とする表示装置。
【請求項15】
前記表示領域の面積をS1、前記端子領域の面積をS2とした場合、
S2/S1は0.5以上であることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記表示領域は前記第1の透明媒体によって囲まれている構成であることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項17】
前記表示装置は外枠を有し、前記外枠と前記透過型ディスプレイ装置の間には、前記第2の透明媒体が形成されていることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項18】
前記透過型ディスプレイ装置と前記第2の透明媒体は、第3の透明媒体によって挟持されていることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項19】
前記表示領域には、走査線と映像信号線が存在し、
前記第1の透明媒体には、走査線引出し線と映像信号線が存在し、
前記走査線引出し線のピッチは、前記走査線のピッチと同じかそれ以上であり、
前記映像信号線引出し線のピッチは、前記映像信号線のピッチと同じかそれ以上であることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項20】
前記表示領域には、走査線が第1の方向に延在し映像信号線が第2の方向に存在し、
前記第1の透明媒体には、走査線引出し線が第1の方向及び第1の方向と反対方向に延在し、
前記第1の透明媒体には、映像信号線引出し線が第2の方向及び第2の方向と反対方向に延在し、
前記走査線引出し線のピッチは、前記走査線のピッチと同じかそれ以上であり、
前記映像信号線引出し線のピッチは、前記映像信号線のピッチと同じかそれ以上であることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、特に液晶表示パネルを用いた透過型ディスプレイ、あるいは、有機EL表示装置、マイクロLED等の自発光素子を用いた透過型ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスのように、背景が見える透過型ディスプレイに対する需要が存在する。このような透過型ディスプレイは、バックライトを必要とする液晶表示装置、あるいは、有機EL表示装置、マイクロLEDを用いた自発光型の表示装置によって実現することが出来る。また、このように視認者にとってディスプレイの背景が透けて見えるようなディスプレイは、透過型ディスプレイ、透明液晶表示パネルなどとも呼ばれている。
【0003】
特許文献1には、自動販売機のフロントシートの背面に透明液晶表示パネルを配置し、この透明液晶表示パネルに広告等を表示する構成が記載されている。この透明液晶表示パネルの背面には特にバックライトは存在しない。バックライトの代わりに、自動販売機のベゼルに配置したLEDから販売機内の商品等に光を当て、この光の反射をバックライトとして画像を表示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2015-505374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような、透明液晶表示装置は、基本的には、従来の液晶表示装置の構成を使用しながら、液晶表示パネルの背後を視ることが出来るという利点を有しているが、利用できる装置が限られる。
【0006】
一方、ガラスのように、背景が見える透過型ディスプレイは、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、マイクロLED表示パネル等を用いて実現することが出来る。ところで、これらの表示パネルに画像を表示するためには、走査線、映像信号線、電源線等多数の配線を必要とする。
【0007】
これらの配線への、信号や電源電圧は、フレキシブル配線基板あるいはプリント配線基板から、ドライバICを経由し、端子領域等に形成された引き出し線を経由して表示領域に供給される。通常は、これらの引き出し線が形成された領域は不透明になり、透過型ディスプレイを実現するための問題となっている。これに加え、液晶表示装置では、表示面の反対側に重なるバックライト等の光源を必要とするので、バックライトの存在がこのような透過型ディスプレイを実現するための問題となっている。
【0008】
本発明の課題は、以上のような問題を解決して、透明媒体中に画像が浮いて見えるような透過型ディスプレイを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を克服するものであり、代表的な手段は次のとおりである。
【0010】
(1)台座に透過型ディスプレイ装置が固定された構成の表示装置であって、前記透過型ディスプレイ装置は、表示領域と第1の透明媒体を有し、前記第1の透明媒体は、前記表示領域と前記台座の間に存在し、前記表示領域には、走査線と映像信号線が形成され、前記透明媒体には、走査線引出し線と映像信号線引出し線が形成され、前記表示領域の面積をS1、前記透明媒体の面積をS2とした場合、S2/S1は0.5以上であることを特徴とする表示装置。
【0011】
(2)台座に透過型ディスプレイ装置が固定された構成の表示装置であって、前記透過型ディスプレイ装置は、表示領域と第1の透明媒体を有し、前記第1の透明媒体が、前記表示領域と前記台座の間に存在する構成の液晶表示装置の非表示領域の一部であり、前記表示領域はTFT基板と対向基板との間に液晶層が存在し、前記TFT基板に走査線と映像信号線が形成されている構成であり、前記第1の透明媒体は、前記TFT基板と走査線引出し線あるいは映像信号線引出し線が形成された端子領域で構成されており、前記端子領域には第2の透明媒体が形成され、前記台座内において、前記第1の透明媒体または前記第2の透明媒体の端部にはLEDが配置していることを特徴とする表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】透過型ディスプレイ装置の正面図である。
図2A】実施例1の透過型ディスプレイ装置の正面図である。
図2B図2AのA-A断面図である。
図3】液晶を利用した透過型ディスプレイの基本的な動作を示す断面図である。
図4】本発明で使用される液晶表示装置の断面図である。
図5】走査線の構成を示す断面図である。
図6】走査線引出し線の構成を示す断面図である。
図7A】実施例1の透過型ディスプレイパネルの正面図である。
図7B図7AのD-D断面図である。
図8】実施例1の透過型ディスプレイの動作を示す正面図である。
図9】実施例1の透過型ディスプレイの動作を示す断面図である。
図10】実施例1の他の構成を示す断面図である。
図11】実施例1のさらに他の構成を示す断面図である。
図12A】実施例1のさらに他の構成を示す正面図である。
図12B図12Aの断面図である。
図13A】実施例2の実施形態1を示す正面図である。
図13B図13Aの断面図である。
図14】実施例2の実施形態1の他の例を示す正面図である。
図15A】実施例2の実施形態2を示す正面図である。
図15B図15Aの断面図である。
図16】実施例2の実施形態3を示す正面図である。
図17】実施例2の実施形態3の他の例を示す正面図である。
図18】実施例2の実施形態4を示す断面図である。
図19】実施例2の実施形態4の他の例を示す断面図である。
図20A】実施例3の実施形態1を示す正面図である。
図20B図20Aの断面図である。
図20C】実施例3の実施形態1の他の例を示す断面図である。
図21A】実施例3の実施形態2を示す正面図である。
図21B図21Aの断面図である。
図21C】実施例3の実施形態2の他の例を示す断面図である。
図22】実施例3の実施形態2のさらに他の例を示す正面図である。
図23】実施例3の実施形態2のさらに他の例を示す正面図である。
図24A】TFT基板と対向基板の外形の他の例を示す正面図である。
図24B図24Aの断面図である。
図25A】実施例4の構成を示す正面図である。
図25B図25Aの断面図である。
図26A】実施例4において、外筐体の外形を円形にした構成を示す正面図である。
図26B図26AのE-E断面図である。
図27A図26Aの変形例の構成を示す正面図である。
図27B図27AのF-F断面図である。
図28A】実施例4において、表示領域を円形にし、かつ、引出し配線を放射状に配置した例を示す正面図である。
図28B図28AのG-G断面図である。
図29A】実施例4において、表示領域が横長の矩形の場合の構成を示す正面図である。
図29B図29Aの断面図である。
図30A】実施例4において、表示領域が縦長の矩形の場合の構成を示す正面図である。
図30B図30Aの断面図である。
図31A】実施例4において、引出し配線を表示領域の上下に配置した場合の正面図である。
図31B図31Aの断面図である。
図32A】実施例4において、表示装置の外形を円形にした場合の正面図である。
図32B図32Aの側面図である。
図32C図32Aの断面図である。
図33】実施例4において、透過型ディスプレイをゲル状の透明材料で挟持した例を示す断面図である。
図34】実施例4において、ヒートパイプを配置した場合の断面図である。
図35A】実施例4において、ヒートパイプを配置した場合の正面図である。
図35B図35Aの側面図である。
図35C図35Aにおいて、外枠とヒートパイプを除去した状態における側面図である。
図36A】実施例4において、表示装置の外形が円形の場合にヒートパイプを配置した場合の正面図である。
図36B図36Aの側面図である。
図36C図36Aにおいて、外枠とヒートパイプを除去した状態における断面図である。
図37A】実施例4において、導光体とヒートパイプを配置した場合の構成の例を示す正面図である。
図37B図37Aの側面図である。
図37C図37Aにおいて、外枠とヒートパイプを除去した状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明が対象とする透過型ディスプレイを用いた表示装置の1例を示す正面図である。図1において、ガラスあるいは透明樹脂によって形成される透明媒体1000の中央付近に画像を表示する表示領域10が形成されている。透明媒体1000は台座70に固定されている。
【0014】
図1のような透過型ディスプレイに画像が表示されると、画像が中空に浮いているように見える。透明媒体1000の裏側は、窓のように透けて見える。表示領域10も画像が表示されていないときは裏側が透けて見える。また表示領域10に画像が表示されているときであっても表示色の濃淡によって表示領域10においても裏側が透けて見えるものであっても良い。
【0015】
画像を形成するためには、映像信号、走査信号、電源等が必要であり、これらを表示領域にどのように供給するかが問題となる。さらに、液晶表示装置を用いる場合、バックライト等の光源が必要であり、この光源からの光をどのように表示領域10まで供給するかが問題である。通常の液晶表示装置のように、表示領域において表示面と反対側の面にバックライトユニットが重なるように配置されると、バックライトユニットは透明ではないため、透過型ディスプレイとして背景が透けて見える構造とはなり得ない。
【0016】
以下に示す実施例は、このような問題を解決するための、具体的な構成を説明するものである。以下の実施例では、表示装置として液晶表示装置を用いた場合について説明するが、本発明は、有機EL表示装置、マイクロLED表示装置等、他の表示装置を使用した場合にも適用することが出来る。
【0017】
以下の説明では、液晶表示装置、有機EL表示装置、マイクロLED表示装置等で構成される透過型ディスプレイを透過型ディスプレイ装置あるいは、単に透過型ディスプレイと呼び、透過型ディスプレイ装置を含む表示装置全体を表示装置と呼ぶこともある。また、以下の説明では、図1のような透過型ディスプレイを中空ディスプレイと表現することもある。
【実施例1】
【0018】
図2Aは、液晶表示装置を用いた透過型ディスプレイの構成を示す平面図であり、図2B図2AのA-A断面図である。図2Aにおいて、ガラス等の透明媒体の中央付近に表示領域10が形成されている。台座70内には、液晶表示パネルに画像を表示するために光を供給するための光源、例えばLED(Light Emitting Diode)40が配置している。また、台座70内には、液晶表示パネルに映像信号、走査信号、電源等を供給するための、ドライバIC50、また、これらの信号や電源を外部から供給するための、フレキシブル配線基板等51が収容されている。
【0019】
図2Aにおいて、表示領域10の外側には、図1で示す透明媒体1000が存在している。液晶表示装置は、TFT(薄膜トランジスタ)や画素電極が形成されたTFT基板100と対向基板200がシール材21によって接着し、内部に液晶が封止されている構成である。詳細は後述する図3にて説明するが、液晶は例えば高分子散乱形の液晶であり、TFT基板100と対向基板200との間に電圧がかかっていない状態(画像非表示状態)では光をそのまま透過し、表示領域10において窓のように背景が透けて見える。一方TFT基板100と対向基板200との間に電圧がかかっている状態(画像表示状態)においては、LED40から液晶に入光された光は液晶により散乱し、TFT基板の外側の第1表示面100a(対向基板200と反対側の面)及び対向基板200の外側の第2表示面200a(TFT基板100と反対側の面)に画像を表示させることができる。図2Aにおいて、表示領域10には、液晶が存在し、透明媒体に対応する部分には、透明なシール材21が存在している。以後、シール材21が形成されたシール領域20を図1の透明媒体1000と同義で使用する。
【0020】
実施例1は、このシール領域21全体を配線引出し線用の領域として使用することが特徴である。すなわち、通常の液晶表示装置では、シール領域を含め表示領域を囲う額縁領域が狭い狭額縁設計を意図していることで、配線引出し線の密度は非常に高く、引出し配線が配置している領域は透明にはできないが、本発明では、広いシール領域21全体を引出し配線用領域として使用することにより、配線引出し線同士のピッチを大きくすることができ、配線引出し線領域における透過率を表示領域における透過率と同程度、あるいは、それ以上に保つことが出来る。具体的な構成は、次のとおりである。
【0021】
表示領域に10は、走査線11が横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列しており、映像信号線12が縦方向に延在し、横方向に配列している。走査線11と映像信号線12で囲まれた領域に画素13が形成されている。表示領域10の外側には、走査線引出し線15及び映像信号線引出し線16が配置している。
【0022】
表示領域10における映像信号線のピッチ12はx1であり、走査線11のピッチはy1である。また、映像信号線引出し線16のピッチはx2であり、走査線引出し線15のピッチはy2である。本実施例の特徴は、x2≧x1であり、y2≧y1である。
【0023】
ところで、図1における表示領域10の面積をS1、透明媒体1000すなわち図2Aにおけるシール領域20の面積をS2とした場合、表示領域10とシール領域20の比は、S2/S1は、意匠的な要請から決まるものであるが、本実施例においては、シール領域20の透明度を保つために、ある範囲に設定することが必要である。なお、S1は図2Aにおけるx3×y3で、S2は、図2Aにおけるx4×y4-x3×y3で表される。
【0024】
つまり、シール領域20には、引出し線が形成されるが、引出し線の密度が表示領域以上になると、シール領域20の透明度が低下し、透過型ディスプレイとしての価値が大幅に低下する。したがって、配線密度が表示領域に比べて大きくならないように、表示領域10とシール領域20の比、つまり、S2/S1を大きくしておく必要がある。この点からは、S2/S1は、0.2以上は必要であり、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、さらに好ましくは2以上である。
【0025】
引出し配線はシール領域の広い部分を用いてピッチをある大きさに保ちながら、台座70内に延在ししている。台座70内には、液晶表示パネルの端子領域30が存在し、光源としてのLED40、映像信号線等を駆動するためのドライバIC50が載置され、また、フレキシブル配線基板51が接続している。端子領域30及び端子領域30に搭載された部品は、台座70に覆われているので、透過型ディスプレイとしての品質は維持されている。
【0026】
一例として、表示領域10における隣り合う走査線11同士の間隔は、200μmであり、隣り合う映像信号配線12同士の間隔は200μmである。一方、シール領域20(表示領域10を囲う周辺領域)における隣り合う走査配線引出し線15同士の間隔は200μmであり、隣り合う映像信号線引出し線16同士の間隔は200μmであり、隣り合う配線同士の間隔は表示領域10とシール領域20とで一定としている。この200μmの間隔は視認者にとって配線を視認し難い間隔であり、表示領域10とシール領域20における配線間の間隔を揃えることで、表示領域10とシール領域20における見栄えの均一化を図り、意匠性を損ねることも無い。
【0027】
図2Bに示すように、本実施例では、TFT基板100の背面には、バックライトが存在していない。また、LED40はTFT基板100及び対向基板200の側面側、つまり第1表示面100a及び第2表示面200aと直交する面に向かって光を入光させることから、サイドライト40と言い換えることもできる。
図3は液晶を利用した透過型ディスプレイの基本的な動作を示す断面図である。図3は、通常のバックライトを使用しない、サイドライト40を使用した液晶表示パネルの例であるが、本発明では、図3の液晶表示パネルに限られるものではない。
【0028】
図3において、画素電極130が形成されたTFT基板100と、コモン電極140が形成された対向基板200の間に液晶層300が挟持されている。TFT基板100と対向基板200は透明なシール材21によって接着している。端子領域30には、LED40が配置しており、対向基板200の側面及び透明シール材21の側面から光を供給する。この光は、TFT基板100及び対向基板200において反射をしながら、液晶層300の方向に伝搬する。
【0029】
端子領域30には、映像信号、走査信号を形成するためのドライバIC50が搭載され、液晶表示パネルに電源や信号を供給するためのフレキシブル配線基板51が接続している。画素電極130とコモン電極140の間に電圧が印加されると、液晶分子301が立ち上がる。すると、液晶層300を伝搬してきた光は、液晶分子301によって散乱される。画素電極130に印加された電圧にしたがって、画素毎に光が散乱されるので、この散乱光によって画像が形成される。光は、液晶表示装置のTFT基板100側にも、対向基板200側にも散乱されるので、画像は、透過型ディスプレイの第2表面200a(透過型ディスプレイの正面ともいう)からも第1表面100a(透過型ディスプレイの背面ともいう)からも視認することが出来る。
【0030】
図4は、図3の液晶を用いた透過型ディスプレイを、本発明に合うように、修正した例を示す断面図である。図4図3と異なる点は、シール材21が形成されている領域、すなわち、シール領域の長さが大きいということである。動作原理は図3と同様である。LED40から入射した光はTFT基板100及び対向基板200で反射しながら、液晶層300に到達する。シール材21は透明であり、LED40からの光は、シール材21内を液晶層300の方向に伝搬する。図4では、シール材21内において、LED40からの光は、横方向に直進しているが、これは例であり、多くの光はシール材21あるいはTFT基板100、対向基板200等で反射を繰り返しながら液晶層300に到達する。画像形成の原理は、図3で説明したのと同じである。
【0031】
走査線11、映像信号線12、走査線引出し線15、映像信号線引出し線16等は抵抗を小さくするために金属で形成されるが、金属が外光を反射すると、透過型ディスプレイとしての品質を損ねる。本実施例では、金属で形成されたこれらの配線の下層と上層を配線金属よりも反射率の低い材料でサンドイッチし、外光の反射を抑えている。
【0032】
図5は、表示領域10における走査線11が形成されている部分の断面図であり、図2AのB-B断面に相等する。図5において、TFT基板100の上に走査線11が形成され、アクリル等で形成された有機絶縁膜150が走査線11を覆っている。対向基板200と有機絶縁膜150の間に液晶層300が存在している。図5における走査線11は、ベース層111、金属層112、キャップ層113で構成されている。金属層112は例えばAl合金で形成されている。ベース層111及びキャップ層113は反射防止膜であり、例えば、窒化チタン(TiN)によって形成されている。窒化チタン(TiN)は例えば、8nm程度の厚さであっても、反射防止膜としての機能を発揮することが出来る。ベース層111とキャップ層113に反射防止膜を使用するのは、本実施例における液晶表示装置に形成される画像は、正面と背面から視認されるためである。映像信号線12等も同様である。また、図示はないが、映像信号線12は走査線11と有機絶縁膜150との間に位置し、走査線11と映像信号線12との間には層間絶縁膜がある。走査線11も映像信号線12も有機絶縁膜150とTFT基板100との間にあり、走査線11及び映像信号線12は有機絶縁膜150にて覆われている。
【0033】
図6は、シール領域20の断面図であり、図2AのC-C断面に相当する。図6図5と異なる点は、有機絶縁膜150と対向基板200との間に液晶層300ではなく、透明シール材21が形成されていることである。図6において走査線引出し線15は、ベース層151、金属層152、キャップ層153で構成されている。つまり、走査線11と同じ構成である。したがって、走査線引出し線15からの反射も防止することが出来る。
【0034】
また、図示はないが、映像信号線引出し線16は走査線引出し線15と有機絶縁膜150との間に位置し、走査線引出し線15と映像信号線引出し線16との間には層間絶縁膜がある。走査線引出し線15も映像信号線引出し線16も有機絶縁膜150とTFT基板100との間にあり、走査線引出し線15及び映像信号線引出し線16は有機絶縁膜150にて覆われている。この各種配線の層構造については、表示領域10とシール領域20とで共通するものである。
【0035】
図5及び図6は走査線11、走査線引出し線15について説明したが、映像信号線12や映像信号線引出し線16等についても同様の反射防止構造を有するものである。ところで、液晶表示装置では、コモン電極140が形成され、コモン電極140に電圧を供給するための配線は幅広く形成される場合が多い。しかし、幅の広い電極は透明度を低下させ、透過型ディスプレイとしての品質を低下させる。そこで、このような配線は、分割して、構成するのがよい。すなわち、表示領域10もシール領域20も出来る限り、均一な透明度を維持するような構成が好ましい。
【0036】
図2Aに戻り、TFT基板100、シール領域20を構成するシール材21、対向基板200のLED40が搭載される側を除く側面は、反射膜60によって覆われている。すなわち、端子領域30に配置されたLEDからの光は、全て直進するわけではないので、表示パネルの側面においてLED40からの光を反射させ、光の利用効率を高めている。
【0037】
図7Aは反射膜60が形成された表示パネルの平面図である。図7Aにおいて、表示領域10の周りに、シール領域20が広く形成されている。表示領域10とシール領域20は、TFT基板100と対向基板200が重なった部分であり、図7Aの下方に配置している端子部30は、TFT基板100が1枚となっている部分である。
【0038】
図7Aにおいて、側面に反射膜60が形成されている。反射膜60は2層構造となっている。図7B図7AのD-D断面図である。反射膜60の内側は、文字どおりの反射層61であり高い反射率でLEDからの光を反射する。しかし、反射層61が側面においてむき出しになっていると、外光の反射が目立つので、反射層61の外側には、意匠性を考慮した外装層62が形成されている。
【0039】
図2Aは、表示領域10の1辺に対応してLED40が複数配置されている構成である。ところで、表示領域10に画像を表示する場合に、表示領域10の輝度が十分でない場合がある。このような場合、図8に示すように、台座70内において、端子領域30の辺全体にわたってLEDを配置することが出来る。このような場合も、図8の矢印で書いたように、外側に配置されたLED40からの光は、TFT基板100、対向基板200、あるいは、シール材21の端部側面において反射し、最終的には、表示領域10に入射し、画像を形成することができる。
【0040】
図9は、表示領域10の輝度をさらに向上させたい場合の他の例を示す断面図である。図9において、LED40が断面方向に2個配置している。TFT基板100の背面側に配置したLED40からの光も、TFT基板100あるいは対向基板200に入射した後、TFT基板100及び対向基板200において反射を繰り返しながら、表示領域10が形成されている液晶層300に入射する。
【0041】
図9は断面方向にLED40を2個配置した例であるが、表示領域10の輝度をさらに向上させたい場合は、断面方向に3個以上のLED40を配置することも可能である。このような場合、LED40とTFT基板100あるいは対向基板200との間に導光体を配置すれば、LED40からの光の液晶層300への入射効率をより向上させることが出来る。
【0042】
ところで、図2B等に示す透過型ディスプレイは、透明なTFT基板100及び対向基板200で構成されている。透明基板としては、ガラスやポリイミド等の耐熱性のある樹脂で形成することが出来る。ガラス基板としては、例えば、厚さは0.5mmあるいは0.7mm程度が一般的であり、透過型ディスプレイの厚さとしては、1mmあるいは1.7mm程度になる。意匠上の要請からこのような薄い透過型ディスプレイが要求される場合はそれでもよいが、一般の透過型ディスプレイとしては、機械的な強度が問題とされる場合がある。
【0043】
図10は、これを対策した例であり、透過型ディスプレイを透明な外筐体500によってサンドイッチした構成である。透明な外筐体500としては、ガラスあるいは樹脂を使用することが出来る。外筐体500は透過型ディスプレイを構成するTFT基板100及び対向基板200に透明接着材または透明粘着材によって貼り付けられる。透明な接着材としては、紫外線硬化型の透明樹脂が利用できる。
【0044】
外筐体500を貼り付けた後は、高温プロセスは存在しないので、透明樹脂は比較的広い範囲から選択することが出来る。外筐体500の屈折率がTFT基板100あるいは対向基板200の屈折率よりも小さければ、LED40からの光を透過型ディスプレイ内に閉じ込めることができるので、LED40からの光をより効率的に使用することが出来る。
【0045】
図11は、透過型ディスプレイの機械的な強度を向上させた他の例である。図11は、透過型ディスプレイを透明な基板で形成された内筐体400でサンドイッチし、さらに、内筐体400の外側を外筐体500でサンドイッチした例である。透過型ディスプレイ、内筐体400、外筐体500は透明接着材によって接着することは、図10で説明したのと同様である。
【0046】
外筐体500は、ガラス板、あるいは、樹脂板で形成することが出来る。外筐体500を樹脂で形成する場合、外筐体500を貼り付けた後は、高温プロセスを通ることは無いので、広い範囲の樹脂材料から選択することが出来る。外筐体500の屈折率を内筐体400の屈折率よりも小さくすれば、LED40からの光を内部に閉じ込めることが出来るので、LED40からの光の利用効率を向上させることが出来る。外筐体500の屈折率<内筐体の屈折率<TFT基板及び対向基板で構成される透過型ディスプレイの屈折率という構成とすると、LED40からの光の利用効率は最も高くすることができる。
【0047】
図2A及び図2Bで示す構成は、小さな面積の端子領域30にLED40とドライバIC50を近接して配置している。LED40もドライバIC50も発熱する。したがって、LED40とドライバIC50の配置している部分が非常に高温になる危険がある。図12A及び12Bは、この問題を対策する例を示す平面図と断面図である。
【0048】
図12Aは、端子領域30を除いて図2Aと同じである。図12Aにおいて、端子領域30にはLED40のみが配置され、フレキシブル配線基板51が接続している。図12Bは、台座70の内部を除いて、図2Bと同じである。図12Bにおいて、端子領域30に接続したフレキシブル配線基板51は背面側に延在し、延在した部分にドライバIC50が搭載されている。図12Bに示すように、LED40とドライバIC50とは離れた位置に配置されるので、局部的な発熱の問題は、図2Aあるいは図2Bの場合に比較して緩和される。
【実施例2】
【0049】
意匠上の要請から、透過型ディスプレイの側面を外枠80で覆う場合がある。すなわち、この外枠80に意匠的な効果を持たせる場合がある。このような場合透過型ディスプレイの周辺が外枠80で覆われるので、透過型ディスプレイの構成としてはより自由度が増す。
【0050】
(実施形態1)
図13Aは、外枠80を有する透過型ディスプレイの正面図である。図13Aの透過型ディスプレイは、図2Aに示す透過型ディスプレイと同じである。図13Aにおいて、透過型ディスプレイの3辺で、外枠80に隠れた部分にLED40が配置している。LEDが4辺に配置していることで、図2Aの場合に比較して表示領域10の輝度を大幅に向上させることが出来る。図13Bは、図13Aの断面図である。図13Bは外枠80が存在している他は図2Bと同じである。
【0051】
図14は、図13Aの変形例である。図14において、LED40が透過型ディスプレイの4辺全周にわたって配置している。図14の構成では、画面輝度を図13よりもさらに向上させることが出来る。図14では、LED40は各辺に均一に配置している。しかし、LED40の配置密度は、各辺において変化させてもよい。例えば、LED40の配置密度を各辺の中央付近において、各辺のコーナー付近よりも大きくすることによって、LED40からの光の利用効率を上げることが出来る。
【0052】
(実施形態2)
図15Aは、実施例2の実施形態2を示す平面図である。図15Aにおいて、透過型ディスプレイには、y方向下側端部に加えてy方向上側端部にも端子領域30が形成されている。そして、上側の端子領域30にも、LED40の他に、映像信号線12を駆動するためのドライバIC50が配置されている。端子領域30の幅を小さくして、外枠80の幅を小さくするために、ドライバIC50は図15Aのx方向において、LED40とは離れた場所に配置されている。
【0053】
図15Aにおいて、映像信号線引出し線16は表示領域10に対してy方向下側に延在しているが、これに加えて表示領域10に対してy方向上側にも延在している。映像信号線引出し線16が上側と下側に延在することによって、映像信号線引出し線17の配置密度を図2Aの場合よりも小さくすることができる。したがって、シール領域20における透明度をより大きくすることが出来る。
【0054】
図15Aにおいて、上側の端子領域30のドライバIC50は、LED40のy方向外側に配置している。ドライバIC50から台座70方向に向かう配線は、点線で示すように、外枠80によって隠されている領域を延在する。この部分は外側からは見えないので、配線密度を大きくしても、透過型ディスプレイとしての品質には影響がない。なお、図5の上側の端子領域30においては、LED40とドライバIC50とをやや離して配置できるので、発熱の問題は緩和される。
【0055】
図15B図15Aの断面図である。図15B図13Bと異なる点は、上側にも端子領域30が形成されている点である。この端子領域30は、外枠80内に収容されているので、外側からは視認できない。図15Bの他の構成は、図13Bと同様である。
【0056】
図15Aでは、LED40は、表示領域10に対応した範囲にLED40を複数配置しているが、図14に示すように、透過型ディスプレイの辺全体にLED40を配置してもよい。これによって画面輝度を向上させることができる。
【0057】
なお、図15A及び図15Bでは、上側に端子領域30を形成しているが、上側に端子領域30を形成せず、透過型ディスプレイが外枠80によって覆われた部分において、上側に延在してきた映像信号線引出し線16を束ね、外枠80に隠れた周辺領域を通って台座70方向に向かわせることも可能である。この場合、透過型ディスプレイの、外枠80に隠れた周辺領域は、引出し線の密度が非常に大きくなるが、この部分は、外部から視認できないので、透過型ディスプレイとしての品質を損なうことはない。
【0058】
(実施形態3)
図16は実施例2の実施形態3を示す正面図である。図16図15と異なる点は、走査線引出し線15がシール領域20の端部付近まで横方向に延在していることである。横方向に延在した走査線引出し線15は、透過型ディスプレイが外枠80に隠れた周辺部分において束ねられ、台座70方向に延在する。この外枠80に隠れた部分において、走査線引出し線15の密度は非常に大きくなるが、外部から視認できないので、透過型ディスプレイとしての品質には影響ない。
【0059】
図16において、シール領域20においては、図15の場合よりも、配線密度を小さくすることが出来るので、シール領域20の透明度をさらに向上させることが出来る。図16では、LED40は、表示領域10に対応した範囲にLED4を複数配置しているが、図14に示すように、透過型ディスプレイの辺全体にLED40を配置してもよい。これによって画面輝度を向上させることができる。
【0060】
図17は、図16の変形例である。図17図16と異なる点は、走査線引出し線15及び映像信号線引出し線16が放射線状に配置していることである。これによって、走査線引出し線15および映像信号線16引出し線の配線密度をさらに小さくできるので、シール領域20における透明度をさらに向上させることが出来る。
【0061】
(実施形態4)
図18は、外枠80が存在している場合において、透過型ディスプレイを外筐体500でサンドイッチした例である。図18の効果は、実施例1の図10で説明したのと同じである。図19は、外枠80が存在している場合において、透過型ディスプレイを内筐体400でサンドイッチし、さらにその外側を外筐体500でサンドイッチした例である。図19の効果は図11で説明したのと同じである。
【実施例3】
【0062】
実施例3は、透過型ディスプレイを含む表示装置の外形が矩形以外の場合の例である。以下の実施例は、矩形以外の形状として、表示装置の外形が円の場合について説明するが、本実施例で説明する内容は外形が円以外の場合にも適用することが出来る。
【0063】
(実施形態1)
図20Aは実施例3における実施形態1を示す平面図である。図20Aにおいて、表示装置の外形は円であり、外周は外枠80で覆われている。表示装置の内側には、矩形の透過型ディスプレイが配置している。矩形の透過型ディスプレイの構成は実施例1における図2Aと同じ構成である。
【0064】
図20Aにおいて、矩形の透過型ディスプレイと円形の外枠80との間には内筐体400が配置している。内筐体400は、一般には、透明な樹脂で形成されている。内筐体400の周辺は外枠80に覆われており、内筐体400が外枠80で覆われた部分に光源としてのLED40が配置している。
【0065】
光源としては、台座70に配置されている光源だけでも、透過型ディスプレイを動作させることはできるが、内筐体400の周辺にも配置することによってより明るい画面を実現することが出来る。図20において、透過型ディスプレイと内筐体400の間の境界を目立たなくするために、透過型ディスプレイと内筐体400の屈折率は、出来るだけ近い材料を使用することが好ましい。内筐体400と外筐体500とは、透明接着材によって接合している。
【0066】
図20Bは、図20Aの断面図である。透過型ディスプレイの上側において、外枠80との間に内筐体400が配置している。透過型ディスプレイと内筐体400とは接合面において、透明接着材によって接着している。図20Bにおいて、内筐体400の上側端部の側面には、光源としてのLED40が配置しており、LED40からの光が、内筐体400と、透過型ディスプレイのシール領域20を通って表示領域10に供給される。
【0067】
図20Cは、透過型ディスプレイおよび内筐体400を外筐体500でサンドイッチした構成を示す断面図である。外筐体500と、透過型ディスプレイあるいは内筐体400は、透明接着材を用いて接着している。図20Cにおいて、外筐体500の外形は、ほぼ円形である。外筐体500の屈折率は、透過型ディスプレイあるいは内筐体400の屈折率よりも小さいことが好ましい。屈折率の関係をこのように設定することによって、LED40からの光を内部に閉じ込め、より明るい画面を形成することが出来る。
【0068】
(実施形態2)
図21Aは、実施例3の実施形態3を示す正面図である。図21Aは透過型ディスプレイ自体の外形が円の場合である。この場合、端子領域が円とは異なる形状になっている。したがって、透過型ディスプレイのTFT基板100をガラスで形成することが加工上困難な場合がある。このような形状であっても、TFT基板100や対向基板200をポリイミド等の樹脂で形成すれば外形形状は比較的自由に設定することが出来る。例えば、打ち抜き加工等を適用すればよい。
【0069】
図21Aにおいて、透過型ディスプレイの中央付近に表示領域10が形成されている。また、走査線11、映像信号線12、走査線引出し線15、映像信号線引出し線16の配置等は図20Aと同じである。しかし、図21Aでは、透過型ディスプレイの外形が円となっており、透過型ディスプレイの外周が外枠80によって囲まれている。
【0070】
LED40からの光は、TFT基板100及び対向基板200の側面から入射する。したがって、TFT基板100及び対向基板200の外形が円である他は、実施例2における図13Aと同様である。図21Bは、図21Aの断面図である。図21Bは、TFT基板100及び対向基板200が樹脂で形成される可能性が大きい他は、実施例2の図13Bと同様である。
【0071】
図21Cは、透過型ディスプレイを外筐体500でサンドイッチした場合の断面図である。外筐体500の透過型ディスプレイへの貼り付けは透明樹脂を用いて行うことが出来る。効果は、実施例1の図10図11等で説明したと同じである。また、外筐体500の屈折率を透過型ディスプレイを構成するTFT基板100あるいは対向基板200等の屈折率よりも小さくすれば、LED40からの光を内部に閉じ込めることが出来るので、より多くの光を表示領域10に供給出来、より明るい画面を形成することが出来る。
【0072】
図22図21Aの変形例である。図22は、図21Aとは、走査線引出し線15及び映像信号線引出し線16の配置が異なっている。図22では、走査線引出し線15、映像信号線引出し線16が透過型ディスプレイの周辺まで直線状に延在し、透過型ディスプレイが外枠80によって覆われている部分において、纏められてドライバIC50等が存在する台座70の方向に延在する。したがって、透過型ディスプレイの周辺では、配線が密集することになるが、この部分は外枠80によって覆われているので、透過型ディスプレイとしての品質には影響しない。
【0073】
図22では、シール領域20における走査線引出し線15および映像信号線引出し線16の配線密度を小さくできるので、シール領域20の透明度をより高くすることが出来る。つまり、実施形態2では、周辺まで、同一材料のTFT基板100及び対向基板200で形成されているので、実施例2で説明したような、走査線引出し線15、映像信号線引出し線16に対する種々の配線形状を採用することが出来る。
【0074】
図23は、本実施形態のさらに他の例である。図23においては、表示領域10が円形となっている。図23は、表示領域10が円形になっている他は図22と同じである。また、走査線引出し線15や映像信号線引出し線16の配線形状も実施例2で説明したような、色々な形態をとることが出来る。
【0075】
図24A及び図24Bは、本実施形態のTFT基板100と対向基板200の他の形状の例である。図21A乃至図23の透過型ディスプレイの形状において、特にTFT基板100は、端子領域において、円形から大きく逸脱した形状となっている。ガラスによって、このような形状のTFT基板100と形成することが難しい場合がある。図24Aは、TFT基板100、対向基板200とも、外形を円と直線で構成したものである。このような形状であれば、TFT基板100、対向基板200ともガラスによって形成することも容易である。図24B図24Aの断面図である。
【0076】
図24Aにおいて、表示領域10が透過型ディスプレイのほぼ中央に形成されている。端子領域30の平面形状は、矩形から若干ずれた形状になるが、もともと端子領域30の幅twは小さいので、このような形状に合わせた配線等のレイアウトは可能である。
【実施例4】
【0077】
実施例4は、透明媒体中に画面が浮いて見えるような表示装置を構成する透過型ディスプレイにおいて、端子領域30を広げることによって、このような構成を実現するものである。図25Aはこのような透過型ディスプレイの基本的な構成を示す正面図であり、図25Bは、図25Aの断面図である。液晶表示装置の動作は図2等で説明したのと同様である。
【0078】
図25Aにおいて、TFT基板100と対向基板200が重なった部分に表示領域10が形成されている。TFT基板100と対向基板200はシール領域20に形成された透明シール材21によって接着している。TFT基板100と対向基板200の間に液晶が挟持されている。図25Aにおいて、TFT基板100で構成された端子領域30が台座70まで延在している。端子領域30には、走査線引出し線15、映像信号線引出し線16等が延在している。なお、端子領域30の端部には、フレキシブル配線基板51等が接続されるが、図25A等では省略している。
【0079】
端子領域30の端部には、表示領域に光を供給するために複数のLED40が配置している。図25Bに示すように、端子領域30は、台座70内の端子領域30の端部から対向基板200の端部まで、内筐体400で覆われている。内筐体400は例えば、透明接着材によって端子領域30に貼り付けられる。内筐体400は、導光体の役割をしている。内筐体400の屈折率はTFT基板100の屈折率よりも大きければ、導光体としての効率が高い。
【0080】
TFT基板100、対向基板200、内筐体400を挟んで外筐体500が形成されている。外筐体500は、意匠上の要請によるものであり、透過型ディスプレイの機械的な強度が十分であれば、本実施例にはかならずしも必要ではない。外筐体500の屈折率を内筐体400の屈折率よりも小さくすれば、LED40からの光を、内筐体400を通して、より効率的に表示領域10に供給することが出来る。図25A及び図25Bの構成は、外筐体500に形成された凹部空間にTFT基板100、対向基板200、内筐体400等で形成された透過型ディスプレイを差し込むような構成である。この場合、透明接着材を用いて透過型ディスプレイと外筐体500を接着することによって、外筐体500の凹部と透過型ディスプレイの隙間を無くすことが出来る。
【0081】
図25A及び図25Bの構成は、外筐体500の外形形状を変えることによって、表示装置の外形状を任意に変化させることができる。つまり、表示装置に対する意匠上の要請に容易に応ずることが出来る。
【0082】
図26Aは、外筐体500の外形を円形とし、かつ、外筐体500の周辺を外枠80によって覆った例である。図26Aも、端子領域30を表示領域10から台座70まで延在させることによって、画面が中空に存在するような透過型ディスプレイを実現する例である。外枠80内には、導光体450が存在し、導光体450を介して、LED40からの光を、表示領域10の周囲全体から供給する構成となっている。端子領域30には、走査線引出し線15や映像信号線引出し線16が表示領域10から台座70側に延在している。以後本実施例では、走査線引出し線15及び映像信号線引出し線16を纏めて引出し配線17とよぶこともある。
【0083】
図26B図26AのE-E断面図である。図26Bにおいて、TFT基板100と対向基板200が重なった部分に表示領域10が形成され、端子領域30が台座70まで延在している。端子領域30には、走査線引出し線15、映像信号線引出し線16等が形成されているが、これらの配線からの反射を防止するために、端子領域30を覆って反射防止膜90が形成されている。そして、反射防止膜90を覆って内筐体400が配置されている。TFT基板100、対向基板200、内筐体400等は、外筐体500内に収容されている。
【0084】
図26Bにおいて、外筐体500の一方の端部側面には導光体450が配置しており、その外側には反射膜60が形成されている。外筐体500の端部、導光体450、反射膜60を外枠80が覆っている。台座70側に配置されているLED40から導光体450を伝わってきた光は表示領域10に向かって放射される。導光体450の周囲を覆う反射膜60は、LED40からの光が外筐体500の側面から外部に放射されるのを防止する。
【0085】
図27A及び図27Bは、図26A及び図26Bの変形例である。図27A及び図27Bの特徴は、TFT基板100、対向基板200、内筐体400等で形成される透過型ディスプレイが板状の外筐体500によってサンドイッチされていることである。板状の外筐体500は、TFT基板100、対向基板200、内筐体400等に透明接着材によって貼りつけることが出来る。図27A及び図27Bの構成は、板状の外筐体500を使用できる点で、外筐体500の加工費用や材料歩留りを向上させることが出来る。
【0086】
図28A及び図28Bは、透過型ディスプレイを構成するTFT基板100や対向基板200の外形を円形にした例である。図28Aにおいて、表示領域10は円形になっている。対向基板200とTFT基板100は同心円状に配置し、対向基板200とTFT基板100が重なった部分に表示領域10が形成されている。TFT基板100が1枚となっている部分が端子領域30を構成しており、TFT基板100の端部は外枠80によって囲まれている。
【0087】
表示領域10からTFT基板100の端部に向かって引出し配線17が放射状に形成され、端子領域30が外枠80に覆われている部分において、引出し配線17はまとめられて台座70の側に延在する。したがって、この部分においては、配線密度が大きくなるが、この部分は外枠80に覆われているので、透過型ディスプレイとしての品質を低下させることは無い。
【0088】
図28Aの構成は引出し配線17が、広い端子領域に放射状に形成されているので、配線密度を小さくでき、端子領域30の透明度を上げることが出来る。また、引出し配線17が放射状に形成されているので、シール領域20においては、各配線の長さを均一にできるため、端子領域30内における配線抵抗を均一にすることが比較的容易である。
【0089】
図28B図28AのG-G断面図である。図28Bにおいて、対向基板200の外側に形成された端子領域30には、内筐体400が配置している。TFT基板100、対向基板200、内筐体400を外筐体500によってサンドイッチしている。その他の構成は、図27Bで説明したのと同様である。
【0090】
図29Aは、表示領域10を横長の長方形にした場合の例である。この場合、引出し配線17が形成される端子領域30の幅を広くできるので、引出し配線17の密度を小さくでき、端子領域30の光透過率の低下を小さくすることが出来る。図29B図29Aの断面図である。図29A及び図29Bは、表示領域10を横長にして引出し配線17の密度を小さくした他は図25A及び図25Bと同じである。
【0091】
図30Aは、表示領域10を縦長の長方形にした場合であり、かつ、透過型ディスプレイに支柱81を形成した場合である。支柱81を形成するか否かは、意匠上の要請から決まるものであるが、ここでは、支柱81を形成することが出来るという前提で説明する。このような場合、端子領域30及び引出し配線17を表示領域10の長辺側の方向に配置することによって、引出し配線17の密度を小さくすることが出来、端子領域30の透明度の低下を防止することが出来る。
【0092】
TFT基板100、対向基板200から表示装置の端部までの領域には内筐体400が配置している。図30Aでは明確には図示されていないが、端子領域30の上にも内筐体400は形成されている。図30Bは、図30Aの断面図である。図30Bに示すように、TFT基板100、対向基板200等で形成される透過型ディスプレイ及び内筐体400は外筐体500によってサンドイッチされている。内筐体400の屈折率を外筐体500の屈折率よりも大きくすることによって、LED40からの光をより効率的に表示領域10に導くことが出来る。
【0093】
図31Aは、表示領域10が縦長の場合であり、透過型ディスプレイの周囲を外枠80で覆っている場合の例である。表示領域10を縦長にするか外枠80を形成するかは意匠上の要請によって決まるものであるが、ここでは、このような構成を前提として説明する。図31Aは表示装置の正面図である。透過型ディスプレイの端子領域30は表示領域10の上側と下側に形成されている。このような構成とすることによって、引出し配線17の密度を小さくすることが出来、端子領域30における透明度の低下を抑え、透過型ディスプレイとしての品質を維持する。
【0094】
図31Aにおいて上側に延在した引出し配線17は、周辺の外枠80によって覆われている部分においてまとめられ、例えば、フレキシブル配線基板等を介して台座70方向に延在させることが出来る。または、実施例2の図15A等に記載のように、図31Aの上側において、ドライバIC50を配置して、配線数を減少させた上で、台座70の側に配線を延在させることも出来る。
【0095】
ところで、表示装置全体としての外形は、透過型ディスプレイよりも大きい。透過型ディスプレイと表示装置の外形との間には、内筐体400が形成されている。そして、内筐体400の端部には、LED40が配置している。LED40と表示領域10との間には、引出し配線17は存在していないので、LED40からの光が引出し配線17で反射されることによるちらつき等は軽減することが出来る。
【0096】
図31B図31Aの断面図である。図31Bにおいて、対向基板200とTFT基板100が重なった部分に表示領域10が形成され、対向基板200の上下において、TFT基板100が1枚となっている部分で構成される端子領域30が透過型ディスプレイの端部まで延在している。端子領域30は内筐体400によって覆われている。対向基板200、TFT基板100及び内筐体400は外筐体500によってサンドイッチされている。内筐体400の屈折率を外筐体500の屈折率よりも大きくすればLED40からの光をより効率的に表示領域10に導くことが出来る。
【0097】
図32Aは表示装置の外形が円形の場合の例である。図32Aにおいて、TFT基板100と対向基板200が重なった部分に表示領域10が形成され、表示領域10の左右に端子領域30が延在している。引出し配線17は表示領域10の左右に分けて配置しているので、引出し配線17の密度を小さくすることが出来、端子領域30における透明度の低下を軽減することが出来る。
【0098】
透過型ディスプレイ自体は矩形に近い形状なので、外形を円形にするために、内筐体400が透過型ディスプレイの長辺に沿って形成されている。内筐体400の端部側面にLED40が配置し、内筐体400によって、LED40からの光が表示領域10に導かれる。
【0099】
図32Aにおいて横方向に延在した引出し配線17は、周辺の外枠80によって覆われている部分においてまとめられ、例えば、フレキシブル配線基板等を介して台座70方向に延在させることが出来る。または、実施例2の図15A等に例示するように、図32Aの横方向で、外枠80に隠れた部分において、ドライバIC50を配置して、配線数を減少させた上で、台座70の側に配線を延在させることも出来る。
【0100】
図32B図32Aの側面図である。側面図では、台座70と外枠80のみが見えている。図32Cは、外枠80を除去した状態における図32Aの断面図である。図32Cにおいて、TFT基板100、対向基板200、内筐体400は外筐体500によってサンドイッチされている。内筐体400の屈折率を外筐体500の屈折率よりも大きくすることによって、LED40からの光を効率よく表示領域10に導くことが出来る。
【0101】
図33は、本実施例の他の構成を示す断面図である。図33において、対向基板200とTFT基板100が重なった部分に表示領域10が形成されている。TFT基板100が1枚になっている部分は端子領域30を構成し、台座70側に延在している。端子領域30に形成された引出し配線の上には反射防止膜90が形成されている。端子領域30の端部において、フレキシブル配線基板51が接続している。フレキシブル配線基板51はさらにプリント配線基板53に接続している。フレキシブル配線基板51にはドライバIC50が搭載されている。
【0102】
フレキシブル配線基板51の上には、LED40が配置している。但し、LED40は、電気的には、LED用フレキシブル配線基板52と接続している。LED40及びLED用フレキシブル配線基板52は、台座70と反対側の端部にも配置している。図33の特徴は、TFT基板100、対向基板200、LED40の一部等を覆って透明ゲル状の内筐体400を形成していることである。このような透明ゲルは、例えばシリコン樹脂で形成することが出来る。
【0103】
透明ゲル400によって透過型ディスプレイを覆うことにより、透過型ディスプレイ上の構成物を隙間なく覆うことが出来る。また、台座70あるいは外枠80によって覆われている範囲においても、LED40等を透明ゲル400で覆うことによって隙間を無くし、光カップリングを向上させることが出来るとともに、レイアウトの自由度を上げることが出来る。
【0104】
図34は、本実施例のさらに他の形態を示す断面図である。光源として使用されるLED40は高温になる。さらに、台座70の内部には、ドライバIC50も配置しているが、このドライバIC50も高温になる。図34では、LED40及びドライバIC50に近接してヒートパイプ55を配置することによって、LED40及びドライバIC50部分の熱を放散する構成となっている。
【0105】
図34の他の特徴は、ドライバIC50をLED40から若干離し、LED40とドライバIC50をそれぞれ、ヒートパイプ55の反対側に配置することによって、部分的に高熱箇所が生ずることを防止している。図34のその他の構成は図33と同じである。
【0106】
図35Aはヒートパイプ55を用いた場合の表示装置を示す正面図である。図35における透過型ディスプレイの構成は、図31Aで説明したのと同様である。すなわち、光源としてのLED40を透過型ディスプレイの横方向に配置し、内筐体400を介してLED40からの光が表示領域10に入射する。LED40には、LED用フレキシブル配線基板52を介して電力が供給される。図35においては、LED用フレキシブル配線基板52の外側にヒートパイプ55を配置して、LED40で発生した熱を外部に放散する。ヒートパイプ55は外枠80によって覆われている。
【0107】
図35Bは、図35Aの側面図である。ヒートパイプ55は外枠80によって覆われている。図35Cは、外枠80及びヒートパイプ55を除去した状態における透過型ディスプレイの側面図である。透過型ディスプレイの側面には、LED40が配置されている構成である。したがって、LED40が配置している辺は高温になるが、図35A等に示すように、ヒートパイプ55の存在によって、発生した熱は外部に放熱される。
【0108】
図36Aは、ヒートパイプ55を使用した場合の他の透過型ディスプレイの例を示す正面図である。図36Aの構成は、ヒートパイプ55が存在している他は、図32Aと同じである。図36Aにおいて、LED40の外側には、LED用フレキシブル配線基板52が配置し、その外側をヒートパイプ55が囲んでいる。なお、図36Aでは、台座70及び外枠80を省略している。
【0109】
図36Bは、台座70及び外枠80が存在している場合の図36Aに対応する透過型ディスプレイの側面図である。外枠80に熱伝導の良い銅等の金属を用いることによって、ヒートパイプ55を補助する放熱手段として使用することが出来る。図36Cは、外枠80及びヒートパイプ55を除去した状態における図36Aの透過型ディスプレイに対応する断面図である。図36Cは、図32Cで説明したのと同様な構成である。
【0110】
図37Aは、本実施例のさらに他の形態を示す正面図である。図36Aは、台座70及び外枠80は省略されている。図37Aの透過型ディスプレイの構成は、図36Aと同じである。但し、LED40が台座側に対応する、透過型ディスプレイの下側の辺にのみ配置されている点が図36Aと異なる。
図37Aでは、LED40が配置されている以外の内筐体400及びTFT基板100の端部に導光体450を配置し、LED40からの光を透過型ディスプレイの周辺に導き、周辺からも表示領域10にLED40からの光を供給できるようにしている。これによって、表示領域の輝度を向上させるとともに、表示領域10内の輝度分布を均一化する。図37Aにおいて、導光体450の外側には反射シート65が形成され、LED40の外側にはLED用フレキシブル配線基板52が配置している。
【0111】
図37Aにおいて、LED用フレキシブル配線基板52及び反射シート65の外側に、ヒートパイプ55を配置している。ヒートパイプ55によって、LED40で発生する熱を表示装置全体に分散している。図37Bは台座70及び外枠80を配置した場合の透過型ディスプレイの側面図である。外枠80に熱伝導の良い銅等の金属を用いることによって、ヒートパイプ55を補助する放熱手段として使用することが出来る。
【0112】
図37Cは、外枠80を省略した場合の図37Aに示す透過型ディスプレイの断面図である。図37C図36Cと異なる点は、外筐体500と内筐体400において、台座70と反対側の端部の側面に、LED40でなく、導光体450と反射シート65が配置していることである。
【0113】
本実施例によれば、端子領域が形成されたTFT基板を台座あるいは外枠の内側まで延在させることによって、配線を目立たないようにしつつ、透明媒体の中空に画像を形成する透過型ディスプレイを実現することが出来る。また、高価な透明フレキシブル配線基板を使用せずに、透過型ディスプレイを実現することが出来る。
【0114】
以上の実施例では、透過型ディスプレイは平面であるとして説明した。しかし、本発明は、透過型ディスプレイが湾曲している場合であっても適用することが出来る。つまり、LEDからの光は、例えば、TFT基板、対向基板あるいは内筐体の界面を反射しながら表示領域に進行するので、透過型ディスプレイが湾曲している場合であっても、透過型ディスプレイの側面に配置したLEDから光を供給することが出来るからである。
【0115】
以上の実施例では、透過型ディスプレイとして液晶表示装置を使用した例を説明した。しかし、以上の実施例の内容は、有機EL表示装置、マイクロLEDディスプレイ装置等、他の表示装置についても使用することが出来る。また、有機EL表示装置、マイクロELDディスプレイ装置は自発光なので、光源としてのバックライトが不要である。したがって、自発光の表示装置を用いた場合、透過型ディスプレイの構成は液晶表示装置の場合に比較して、より簡単な構成で実現することが出来る。
【符号の説明】
【0116】
10…表示領域、11…走査線、 12…映像信号線、 13…画素、 15…走査線引出し線、 16…映像信号線引出し線、 17…引出し配線、 20…シール領域、 21…シール材、 30…端子領域、 40…LED、 50…ドライバIC、 51…フレキシブル配線基板配線、 52…LED用フレキシブル配線基板、 53…プリント配線基板ll、 55…ヒートパイプ、 60…反射フィルム、 61…反射層、 62…外装層、 65…反射シート、 70…台座、 80…外枠、 81…支柱、 90…反射防止膜、 100…TFT基板、 111…ベース層、 112…金属層、 113…キャップ層、 151…ベース層、 152…金属層、 153…キャップ層、 130…画素電極、 140…コモン電極、 150…有機絶縁膜、 200…対向基板、 300…液晶層、 301…液晶分子、 400…内筐体、 450…導光体、 500…外筐体、 1000…透明媒体
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図21C
図22
図23
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図28A
図28B
図29A
図29B
図30A
図30B
図31A
図31B
図32A
図32B
図32C
図33
図34
図35A
図35B
図35C
図36A
図36B
図36C
図37A
図37B
図37C