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特許7281336光コネクタ機構およびこれを構成するためのカップリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】光コネクタ機構およびこれを構成するためのカップリング
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/38 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
G02B6/38
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019094633
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2020013112
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】10 2018 117 223.0
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501016102
【氏名又は名称】ノイトリーク・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オリバー ドブラー
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-114360(JP,A)
【文献】米国特許第05166995(US,A)
【文献】特開2001-033658(JP,A)
【文献】特開2014-219591(JP,A)
【文献】特開2010-026318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/36-6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの光コネクタ(3)(4)の光コネクタ機構(2)を形成するためのカップリング(1)であって、
前記カップリング(1)が、ガイドスリーブ(5)と、前記ガイドスリーブ(5)を収容するための内部空間(7)を有するスリーブケージ(6)と、を備え、
前記スリーブケージ(6)の縦軸線(8)について反対側に配置され、前記光コネクタ(3)(4)のそれぞれのフェルール(11)(12)を、前記ガイドスリーブ(5)の縦軸線(8)に対して平行な方向に挿入するための挿入開口部(9)(10)を前記スリーブケージ(6)が有し、
前記スリーブケージ(6)の前記内部空間(7)からの前記ガイドスリーブ(5)の引き抜きを防止するための、前記スリーブケージ(6)の縦ストッパ(13)により前記挿入開口部(9)(10)のそれぞれが少なくとも部分的に囲まれており、
前記スリーブケージ(6)が、2つのスリーブケージ要素(14)(15)を有し、
前記スリーブケージ要素(14)(15)のそれぞれが、係止接続機構(18)を形成するための係止接続要素(16)(17)を有し、
前記スリーブケージ要素(14)(15)が前記縦軸線(8)に対して平行な方向に動かされることによって前記スリーブケージ要素(14)(15)を相互に固定するように、前記係止接続要素(16)(17)が相互に係止可能に構成され
少なくとも一方の前記スリーブケージ要素(14)(15)が少なくとも1つの突出したノーズ(21)を有し、他方の前記スリーブケージ要素(14)(15)が前記少なくとも1つのノーズ(21)に対応するノーズレセプタクル(22)を有し、前記スリーブケージ要素(14)(15)が前記縦軸線(8)に対して平行な方向に相対運動することにより、前記ノーズ(21)が前記ノーズレセプタクル(22)に挿入可能であり、
前記係止接続機構(18)のロック状態において、前記ノーズ(21)が、前記縦軸線(8)のまわりの周方向(23)について、前記他方のスリーブケージ要素(14)(15)の前記ノーズレセプタクル(22)を画定する壁部(24)に当接することを特徴とするカップリング。
【請求項2】
請求項1記載のカップリング(1)において、前記ガイドスリーブ(5)が、前記フェルール(11)(12)を挟持するための弾性的に変形可能であり、前記ガイドスリーブ(5)が、縦スリット入りの筒状に形成され、あるいは、前記ガイドスリーブ(5)の両端部に、前記フェルール(11)(12)のうちの一方を挿入するための挿入開口部(19)(20)を有することを特徴とするカップリング。
【請求項3】
請求項1または2記載のカップリング(1)において、前記係止接続機構(18)のロック状態において、前記ガイドスリーブ(5)が、前記スリーブケージ(6)の前記内部空間(7)に隙間を有していることを特徴とするカップリング。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載のカップリング(1)において、前記係止接続機構(18)のロック状態において、前記ノーズ(21)が、前記縦軸線(8)に平行な方向について、前記他方のスリーブケージ要素(14)(15)の前記ノーズレセプタクル(22)を画定する壁部(24)に当接することを特徴とするカップリング。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項に記載のカップリング(1)において、前記スリーブケージ要素(14)(15)のそれぞれが、少なくとも1つの突出するノーズ(21)および少なくとも1つのノーズレセプタクル(22)を有することを特徴とするカップリング。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載のカップリング(1)において、前記少なくとも一方のスリーブケージ要素(14)(15)が、2または3以上の突出しているノーズ(21)を有し、かつ、前記他方のスリーブケージ(14)(15)が、前記ノーズ(21)に対応する数の前記ノーズレセプタクル(22)を有していることを特徴とするカップリング。
【請求項7】
請求項1~のうちいずれか1項に記載のカップリング(1)において、前記スリーブケージ要素(14)(15)から前記縦軸線(8)に対して垂直に外側に突出する壁部が、前記スリーブケージ要素(14)(15)に配置され、または、一体的に形成されていることを特徴とするカップリング。
【請求項8】
2つの光コネクタ(3)(4)および請求項1~のうちいずれか1項に記載のカップリング(1)を有する光コネクタ機構(2)であって、
前記光コネクタ(3)(4)のそれぞれの前記フェルール(11)(12)が、前記縦軸線(8)に対して平行な方向に、前記スリーブケージ(6)の前記挿入開口部(9)(10)を通じて前記ガイドスリーブ(5)に挿入され、前記ガイドスリーブ(5)が、前記光コネクタ(3)(4)の前記フェルール(11)(12)をそれぞれの光伝送路(26)(27)に位置合わせすることを特徴とする光コネクタ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの光コネクタの光コネクタ機構を構成するためのカップリングに関する。カップリングが、ガイドスリーブと、ガイドスリーブを収容するための内部空間を有するスリーブケージと、を備えている。スリーブケージの縦軸線について反対側に配置され、光コネクタのそれぞれのフェルールを、ガイドスリーブの縦軸線に対して平行な方向に挿入するための挿入開口部をスリーブケージが有している。スリーブケージの内部空間からのガイドスリーブの引き抜きを防止するための、スリーブケージの縦ストッパにより挿入開口部のそれぞれが少なくとも部分的に囲まれている。スリーブケージが、2つのスリーブケージ要素を有している。スリーブケージ要素のそれぞれが、係止接続機構を構成するための係止接続要素を有している。
【背景技術】
【0002】
一般的に市販されている光コネクタにおいては、通常、フェルールが少なくとも1つの光伝送路を取り囲んでいる。フェルールの先端側では、光伝送路が露出している。2つの光コネクタを相互に接続し、光信号が一方のフェルールの光伝送路から他方のフェルールの光伝送路に伝送されるようにするため、フェルールとそれらの内部に配置された光伝送路は、相互に相対的に極めて正確に配置される必要がある。一般的に、相互に接続される2つの光コネクタのフェルールは、フェルールの前端部とその内部に配置された光伝送路とが相互に直接的に当接し、それに応じて位置合わせされるように、対応するカップリングによって相互に接続される。これを確実にするために、従来技術においては、ガイドスリーブの内部にスリーブケージを有する2つの光コネクタの間に光コネクタ機構を構成するためのカップリングが知られている。フェルールがガイドスリーブの両側の導入開口部に導入されることによって、フェルールひいてはそれらの内部に配置された光伝送路も相互にきわめて正確に相対的に位置合わせされ、一方の光コネクタから他方の光コネクタへの光伝送が機能する。光コネクタのフェルールは、通常、光コネクタの対応するハウジングの内部において変位可能であり、好ましくはバネの付勢により変位可能であるので、ガイドスリーブによって対応するフェルール同士の相対的な位置合わせが実現される。一般的に、フェルールはガイドスリーブに挟持されている。従来技術においては、カップリングから光コネクタが引き出され、ひいてはガイドスリーブからフェルールが引き出される際、ガイドスリーブが誤ってスリーブケージから引き出されることがある。これを防ぐために、スリーブケージは、通常はアンダーカットとして設計された、フェルールをスリーブケージの内部に保持する縦ストッパを有している。キャスティングおよび/または射出成形法によるカップリングおよびスリーブケージの製造に際して、アンダーカットとして設計された当該縦ストッパの製造は、一般的に高い負荷の技術を伴う。型から取り外すことができるように、縦ストッパまたはアンダーカットは、比較的平坦に形成され、その結果、実際には、フェルールを有するガイドスリーブが、光コネクタがスリーブケージから解放される際に誤って引き抜かれる場合がある。
【0003】
従来技術において、スリーブケージが2つのスリーブケージ要素からなり、それらが係止接続機構により相互に接続される前述のタイプのカップリングが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、スリーブケージは、本体および当該本体の上で横方向にスライド可能な蓋体からなり、蓋体は本体に対して係止接続機構によって固定されうる。特許文献1に示されているカップリングの場合、蓋体が取り外されると、特に特許文献1の図2に示されているように、ガイドスリーブがスリーブケージの本体に挿入されうる。
【0004】
ガイドスリーブがスリーブケージの内部に横方向に導入可能であるため、ガイドスリーブがフェルールと共にスリーブケージから誤って引き抜かれないような縦ストッパが実現されている。
【0005】
この解決策は、特許文献1で実現されているように、スリーブケージが横方向にアクセス可能であるカップリングにおいてのみ実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開公報2011/128375号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術における横方向のアクセス可能性を必要とせずにスリーブケージをできるだけ容易に取り付けることができる形式のカップリングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載のカップリングによって達成される。
【0009】
前記スリーブケージ要素が前記縦軸線に対して平行な方向に動かされることによって前記スリーブケージ要素を相互に固定するように、前記係止接続要素が相互に係止可能に構成されている。
【0010】
したがって、本発明によれば、スリーブケージが連結されるように、2つのスリーブケージ要素が、縦軸線に対して平行な方向への単純な相対運動によって接続され得るように、スリーブケージ要素における係止接続要素が構成されている。係止接続機構が構成されるように係止接続要素が相互に単純に係止されることにより、スリーブケージに対してスリーブケージ要素が接続される。スリーブケージのためのスリーブケージ要素の組み立て工程および製造は、通常は、カップリングの組み立てまたは製造に際して一度だけ行われる必要があるので必須ではないものの、当該係止接続機構が、解除可能に構成されていてもよい。本発明によれば、少なくとも一方のスリーブケージ要素が、一方向にカップリング、好ましくはカップリングの対応するコネクタレセプタクルに挿入され、カップリングの完全な組み立て後に少なくとも1つの光コネクタがカップリングに挿入されて光コネクタ機構が構成される。これにより、スリーブケージ要素の組み立てまたは製造のため、光コネクタをカップリングに挿入するために必要なカップリングにおける通路が利用される。前述の従来技術において要求されるような追加の横方向のアクセス可能性は、このように本発明においてもはや必要ではない。2以上のスリーブケージ要素により、2部品または複数部品により構成されるスリーブケージが製造されることによって、スリーブケージが完全に組み立てられた状態において、ガイドスリーブが一のフェルールと共にスリーブケージから引き抜かれることを確実に防止するように、通常はアンダーカットとして構成される縦ストッパが簡単な技術および方法により確実に形成されうる。
【0011】
説明の完全を期すため、光接続機構は、光信号が一方の光コネクタから他方の光コネクタに伝送されるように、フェルールの内部に存在する光伝送路が相互に位置合わせされる、少なくとも2つの光コネクタまたはそれらのフェルールが接続されるような接続機構を意味していることを指摘しておく。カップリングは、光コネクタ機構を構成するために光コネクタが挿入される構成要素である。光コネクタは、一または複数の本発明に係るカップリングを有していてもよく、当然に非常に異なる形態で設計されてもよい。本発明に係るカップリングは一般的に、2つの光コネクタを相互に接続するために利用される。好ましくは対をなす2よりも多数の光コネクタが相互に接続されるように、複数のスリーブケージおよび複数のガイドスリーブを有するカップリングが設計されてもよい。これに応じて部品数が増加する。特許請求の範囲において、それぞれの構成要素の最小数のみが記載されている。しかし、これは単に言語的な簡素化である。本発明は、複数の構成要素により実現されてもよい。したがって、可能な限り技術的に意味のある限り、冠詞がない場合または「一の」という用語は「少なくとも1つの」という意味であり、「2つの」という用語は「少なくとも2つの」という意味である。
【0012】
スリーブケージは、カップリングが組み立てられた状態においてガイドスリーブが存在する内部空間を取り囲む囲むカップリングの構成要素である。したがって、スリーブケージは、スリーブ収容ハウジング、スリーブ収容本体またはこれらの均等物とも表現される。ガイドスリーブは、相互に接合されるべき光コネクタのフェルールを適切に位置合わせする、あるいは、換言すると中心位置を合わせる役割を果たす。したがって、ガイドスリーブはセンタリングスリーブとも表現される。スリーブケージの挿入開口部は相互に対向して配置され、スリーブケージの縦軸線に沿って延在し、これによって当該縦軸線が顕在化される。光コネクタ機構を構成するために光コネクタがカップリングに挿入された場合、フェルールの内部の光伝送路は、好ましい実施形態では、スリーブケージの縦軸線に沿って延在している。説明の完全を期すために、縦軸線は物理的に存在する構成要素ではなく、挿入開口部が配置されている仮想直線であることを指摘しておく。
【0013】
ガイドスリーブをスリーブケージの内部に保持するスリーブケージの縦ストッパは、スリーブケージの挿入開口部を少なくとも部分的に囲み、好ましくはアンダーカットとして設計されている。スリーブケージ要素、ならびにカップリングの対応するカップリングハウジングは、プラスチック製でもよく、金属製またはセラミック製でもよい。特に、これらの構成要素は射出成形部品として安価に製造されることが好ましい。一方のスリーブケージ要素は、カップリングのカップリングハウジングと一体的に形成されていてもよい。ガイドスリーブは、例えば金属、セラミックまたはプラスチックからなっていてもよい。ガイドスリーブは、フェルールを弾性的に変形可能に挟持するように構成されていることが好ましい。好ましい実施形態では、ガイドスリーブは筒状またはシリンダジャケット形状の本体として、特に円筒状として設計されていてもよい。ガイドスリーブの弾性は、材料のみによって付与される。先行技術において知られているように、ガイドスリーブに必要な弾性変形性を与えるためにガイドスリーブにおける縦スリットが設けられていてもよい。好ましい実施形態は、ガイドスリーブは縦スリットが入った筒状部材として形成されている。光コネクタのフェルールをガイドスリーブに挿入または導入するための導入開口部が、ガイドスリーブの両端部に配置されている。好ましい変形例では、係止接続機構の係止状態において、ガイドスリーブは、スリーブケージの内部に遊びをもって、換言するとスリーブケージに対して変位可能に存在している。当該遊びは、スリーブケージの縦軸線に沿った方向およびこれに垂直な方向にあることが好ましい。これにより、特にフェルールが挿入された際、ガイドスリーブがスリーブケージの内側において当該スリーブケージに対して動かされて、相互に接続される光コネクタの2つのフェルールが適当に位置合わせされる。代替的にまたは付加的に、スリーブケージは変位可能であり、カップリングのカップリングハウジングの内部に遊びをもって配置されてもよい。説明の完全を期すため、スリーブケージの内部においてガイドスリーブが遊びをもって配置されている変形例において、ガイドスリーブがそのフェルールとともにスリーブケージまたはその内部空間から引き抜かれることが防止されるように、スリーブケージの挿入開口部を取り囲む縦ストッパが形成されてもよい。
【0014】
本発明に係るカップリングは、特に好ましくは、PC(フィジカルコンタクト)タイプの光コネクタを相互に接続するために設計されている。もちろん、本発明は他のタイプの光コネクタを有する光コネクタ機構の構成にも適用されうる。
【0015】
本発明の好ましい変形例においては、少なくとも一方のスリーブケージ要素が、少なくとも1つの突出したノーズを備え、他方のスリーブケージ要素が、少なくとも1つのノーズのための対応するノーズレセプタクルを備え、スリーブケージ要素が縦軸線に対して平行な方向に相対的に動かされる際、当該ノーズが当該ノーズレセプタクルに挿入される。ノーズがノーズレセプタクルに挿入されることによって、スリーブ受容ケージ要素が相互に自動的に位置合わせされる。ノーズはスリーブレセプタクルの突起とも呼ばれる。ノーズレセプタクルは、一般的に、スリーブケージ要素の対応する壁部における、当該ノーズまたは突起が挿入される凹部として形成されている。ノーズおよびノーズレセプタクルは、基本的に異なる形状を有していてもよい。好ましい変形例においては、ノーズがそれらの自由端に向かって先細に形成されている。ノーズが、スリーブケージの組み立て状態においてスリーブケージの縦軸線に対して平行に延在する対称軸線に関して対称的に形成されていることが好ましい。これは、ノーズレセプタクルについても同様である。
【0016】
スリーブケージ要素のノーズおよび対応するノーズレセプタクルは、本発明の好ましい変形例では、スリーブケージの完全組み立て状態において、部分的に相互に当接している。この意味で、係止接続機構の係止状態において、ノーズが、縦軸線に対して平行な方向および/または縦軸線の周りの周方向に、対応する他方のスリーブケージ要素の対応するノーズレセプタクルを画定する壁部に部分的に当接する。好ましい変形例においては、相互に接続される各スリーブケージ要素が、少なくとも1つの突出したノーズと少なくとも1つのノーズレセプタクルとを有している。ノーズレセプタクルは、それぞれのスリーブケージ要素の2つのノーズの間に配置されていてもよい。係止接続要素が、ノーズにおいて、好ましくは縦軸線に沿ってノーズの中央部分の3分の1にわたり形成されていることが好ましい。当該実施形態においては、ノーズは、スリーブケージ要素のそれぞれの係止接続要素を介して縦軸線に対して平行な双方向に延在している。係止接続要素がノーズに形成されている場合、好ましい変形例においては、ノーズが係止接続要素の領域において自由状態にある。自由状態であるとは、係止接続要素の領域においてノーズが他の部材に当接せず、係止接続要素の係止および係止解除の際にノーズがこの領域で弾性的に撓み、換言すると跳ね返りが可能であることを意味する。係止接続要素の領域においてノーズが弾性的に撓むために自由状態であるともいえる。
【0017】
原則的に、一方のスリーブケージ要素が一のノーズのみを有し、かつ、他方のスリーブケージ要素が1つのスリーブ収容部のみを有し、あるいは、両方のスリーブケージ要素のそれぞれが1つのノーズおよび1つのノーズ収容部のみを有していてもよい。その一方、本発明の好ましい変形態様において、少なくとも一方のスリーブケージ要素が2つまたは3つ以上の突出したノーズを有し、他方のスリーブケージ要素がノーズの数に対応する数のノーズレセプタクルを有していてもよい。
【0018】
一方のスリーブケージ要素に、縦軸線に対して垂直な方向に壁部から外側に突出している壁部が設けられていてもよい。基本的に、このことは、相互に接続される両方または全てのスリーブケージ要素にも当てはまる。しかしながら、一般的には、これが正確に1つのスリーブケージ要素において実現されれば十分である。外側に突出した壁部は、スリーブケージ要素に形成されてもよく、スリーブケージ要素の一部であってもよい。壁部は、スリーブケージ要素をカップリングのカップリングハウジングに接続する役割を果たす。スリーブケージ要素は、壁部によってカップリングハウジングに対して固定され、好ましくは一体的に接続される。他方のスリーブケージ要素が、縦軸線に対して平行な方向に相対的に動かされることにより、壁部を介してカップリングハウジングに固定されたスリーブケージ要素に対して固定される。好ましい変形例において、一方のスリーブケージ要素の係止接続要素が、当該スリーブケージ要素に形成された壁部に形成されている。壁部は、前述のように、カップリングのカップリングハウジングの一部であってもよい。壁部は、スリーブケージ要素を周方向に閉じるように取り囲んでいてもよい。
【0019】
カップリングのカップリングハウジングは、各光コネクタに対して相互に反対側の収容チャンネルを有していることが好ましい。光コネクタは、知られているように、収容チャンネルにおける係止機構、ねじまたはこれらの均等物などの適切な接続手段によって、カップリングハウジングに対して取り外し可能に固定されうる。
【0020】
カップリング自体のほか、本発明は、2つの光コネクタおよび本発明に係るカップリングを有する光コネクタ機構に関する。前記光コネクタのそれぞれの前記フェルールが、前記縦軸線に対して平行な方向に、前記スリーブケージの前記挿入開口部を通じて前記ガイドスリーブに挿入され、前記ガイドスリーブが、前記光コネクタの前記フェルールをそれぞれの光伝送路に位置合わせする。
【0021】
フェルールの内部に配置された光伝送路は、光ファイバでもよいが、光信号を伝送するためのそれ自体公知の他の光伝送路でもよい。
【0022】
本発明のさらなる利点および詳細は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るカップリングの外観斜視図。
図2図1のカップリングのスリーブケージの組み立て状態における縦断面図。
図3】2つの異なる観点から見た組立工程中の図2に対応する縦断面図
図4】2つの異なる観点から見た組立工程中の図2に対応する縦断面図。
図5図1のカップリングを備えた光コネクタの分解説明図。
図6図1のカップリングの分解説明図。
図7】光コネクタがカップリングに挿入される前の、本発明に係るカップリングを有する光コネクタを通る縦断面図。
図8】光コネクタがカップリングに挿入されている完全に形成された光コネクタの縦断面図。
図9】スリーブケージの第1の詳細図。
図10】スリーブケージの第2の詳細図。
図11】スリーブケージの第3の詳細図。
図12】スリーブケージの第4の詳細図。
図13】ガイドスリーブなしで相互接続されたスリーブケージ要素の縦断面図。
図14】ガイドスリーブがスリーブケージの内部空間に配置されている状態における、相互接続されたスリーブケージ要素の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示されている、光コネクタ機構2を構成するための一実施形態のカップリングは、2つの光コネクタ3および4を接続する役割を果たす。そのために、光コネクタ3および4は、カップリングハウジング30のコネクタレセプタクル28のそれぞれに対して両側から挿入される。各光コネクタ3および4がカップリングハウジング30の各コネクタレセプタクル28に取り外し可能に保持されるように、係止穴29には、図5に示されている各光コネクタ3および4に設けられたラッチ31が係合する。この構成は公知であるため、さらなる説明を省略する。ラッチ31および係止穴29の係合に代えて、各コネクタ3および4がコネクタレセプタクル28から誤って引き抜かれることを防止するため、従来技術において知られている他の手段が設けられていてもよい。一般的に、この種のロックは、光コネクタ機構2を解放するために光コネクタ3および4が結合ハウジング30から引き抜かれるように取り外し可能である。
【0025】
本実施形態において示されている変形例は、本発明に係るカップリング1の非常に単純な実施形態であり、当該変形例によれば、2つの光コネクタ3および4のみが相互に接続されている。既に説明したように、本発明に係るカップリング1は、2つよりも多数の、特に対をなす光コネクタ3および4を相互に接続するように設計されてもよい。複数のカップリング1が用いられることにより、相応して多数の、好ましくは対をなして光が伝達される光コネクタ3および4を接続する光コネクタ機構2が実現される。
【0026】
図2図4のそれぞれには、図1のカップリング1の縦断面図が示されている。図2において、スリーブケージ6は完全に組み立てられている。スリーブケージ要素14、15は、縦軸線8に対して平行な方向に相互に引き寄せられ、それぞれの係止接続要素16、17が相互に係合して係止接続機構18を構成している。図3および図4は、スリーブケージ要素14および15が縦軸線8に対して平行な方向に相互に引き寄せられる前の2つの異なる視点からの斜視図が示されている。
【0027】
本実施形態では、縦軸線8に対して垂直な方向に、スリーブケージ要素14から外側に突出している壁部25が、スリーブケージ要素14と一体的に形成され、さらにカップリングハウジング30の一体部分に一体的に形成され、これによりスリーブケージ要素14がカップリングハウジング30と一体的に形成されている。前述したように、当該構成は必須ではない。スリーブレセプタクルケージ要素14および15の両方が、壁部25から取り外し可能に構成され、最初にそれらの係止接続要素16および17が相互に係合されることによって、カップリングハウジング30または壁部25に対して接続される。図2において、係止接続要素18が、スリーブケージ要素14、15により、壁部25が形成された領域においてスリーブケージ6に接続されている。ただし、当該構成は必須ではない。以下、図9図12を参照して、スリーブ収容用ケージ要素14、15の構造について詳細に説明する。
【0028】
図5には、2つの公知の光コネクタ3および4、2つのスリーブケージ要素14および15、ならびにガイドスリーブ5を備えた光コネクタ機構2の全体的な縦断面図が示されている。光コネクタ4のフェルール12は、その中心に配置された光伝送路27を有する。光コネクタ3には、対応する光伝送路26を有するフェルール11が形成されている(図5では見えない)。以下に説明する図7および図8が参照される。光コネクタ3、4は、従来技術と同様にそれ自体公知のものである。したがって、それらはここでは概略的にのみ示されている。前述したように、それは、例えばタイプPC(フィジカルコンタクト)の光コネクタであってもよい。
【0029】
図6には、図5と類似の図が示されているが、光コネクタ3および4は省略されており、カップリング1の構成要素のみが示されている。
【0030】
図7には、光コネクタ3および4がコネクタレセプタクル28に挿入される前の、光コネクタ3および4およびカップリング1の縦断面図が示されている。図8には、完成した光コネクタ機構2の縦断面図が示されており、光コネクタ3および4が、相互に反対側でカップリングハウジング30のプノーズレセプタクル28に挿入され、それらのフェルール11および12が、スリーブケージ6の挿入開口部9および10を通じて、さらに相互に反対側においてガイドスリーブ5の導入開口部19、20を通じてガイドスリーブ5に挿入されている。ガイドスリーブ5によりフェルール11、12が相互に位置合わせされ、これによってフェルール11および12のそれぞれの光ケーブル26および27が相互に対向し、光コネクタ機構2を介して光信号が問題なく伝送される。ガイドスリーブ5によりフェルール11、12の中心位置合わせが保証され、その結果、それらの光伝送路26、27は相互に適切に整列される。フェルール11、12は、相応の弾性を有するガイドスリーブ5により挟持されている。ガイドスリーブ5は、スリーブケージ6の内部空間7に配置されている。挿入開口部9、10を囲んでいるスリーブケージ6の縦ストッパ13は、光コネクタ機構2がフェルール11または12から解放される際にスリーブケージ6からのガイドスリーブ5が引き出されるのを防止する。図8に示されている接続完了状態では、フェルール11および12の光ケーブル26および27が縦軸線8に沿って延在している。
【0031】
図9図12には、2つのスリーブケージ要素14および15のみが示されている。図9および図10には、スリーブケージ6に接続されたスリーブケージ要素14および15の2つの異なる斜視図が示されている。図11および図12には、スリーブケージ要素14および15が依然として相互に離間されている状態が示されている。
【0032】
既に説明したように、本実施形態では、縦軸線8に対して垂直に延在する壁部25が、一方のスリーブケージ要素、ここではスリーブケージ要素14と一体的に形成されている。本実施形態では、スリーブケージ要素14および15のそれぞれが、それらの間に配置されたノーズ21およびノーズレセプタクル22を有しいている。スリーブケージ要素14、15が縦軸線8に対して平行な方向に動かされると、それぞれのノーズ21が対応するノーズレセプタクル22に挿入され、これによりスリーブ受容ケージ要素14、15の周方向23について対応する位置合わせが自動的に実現される。図11および図12において確認されるように、突出した係止ノーズとして設計された、スリーブケージ要素15の係止接続要素17は、ノーズ21においてその中央部分の3分の1にわたり形成されている。すなわち、ノーズ21は、各係止接続要素17の両側に延在している。スリーブケージ要素14の係止接続要素16は、図13および図14において確認できるように、ここではスリーブ収容部14の一部を形成する壁部25に形成されている。もちろん、この構成は必須ではない。スリーブケージ要素14の係止接続要素16は、スリーブケージ要素14の異なる位置に形成されていてもよい。スリーブケージ要素15の係止接続要素17は対応する位置に形成され、これにより係止接続要素16および17の係止によって係止接続機構18が構成される。
【0033】
図11および図12に示されている状態から、スリーブケージ要素15は、スリーブケージ要素14に対して縦軸線8に平行な方向に動かされ、それによって係止接続要素16および17が係止され、係止接続機構18が構成され、ひいてはスリーブケージ6が簡単な手法により完全に組み立てられる。図9図12には示されていないガイドスリーブ5は、完全に組み立てられた状態のスリーブケージ6の内部空間7に配置されるように導入される。
【0034】
図13には、完成状態のスリーブケージ6の縦断面図が示されている。ただし、内部空間7におけるガイドスリーブ5は図示されていない。スリーブケージ要素14および15のそれぞれのノーズ21が、それぞれ相手方のスリーブケージ要素14および15のそれぞれのノーズレセプタクル22に係合する様子が確認できる。図13に示されている係止接続要素18の係止状態において、ノーズ21は、縦軸線8に対して平行な方向および本実施形態では縦軸線8を中心とした周方向23について、他方のスリーブケージ要素14および15のノーズレセプタクル22を画定する壁部24に当接するように形状が適合されている。当該形状の適合により、スリーブケージ要素14および15が、縦軸線8に対して平行な方向および周方向23のそれぞれについて相互に固定され、係止接続要素16および17が相互に係合した際に係止接続機構18が構成される。
【0035】
既に説明したように、係止接続要素17の領域33におけるノーズ21は、好ましくは省略されている。当該省略、および、特に壁部24である他の部材に当接しないことは、係止接続要素16および17の係止および係止解除に際して、ノーズ21が、当該領域33において弾性的に撓む、換言すると跳ね返ることができる利点があり、あるいはそのように実現されることを意味する。
【0036】
図14には、スリーブケージ6の内部空間7におけるガイドスリーブ5が示されている。フェルール11、12がスリーブケージ6の挿入開口部9、10を通じてガイドスリーブ5の導入開口部19、20に挿入された際、ガイドスリーブ5の弾性変形を可能にするガイドスリーブ5の縦スリット32のこの縦断面図において確認できる。各スリーブケージ要素14、15にアンダーカットとして形成された縦ストッパ13が、挿入開口部9、10を取り囲み、かつ、ガイドスリーブ5が一方のフェルール11、12と共に縦軸線8に対して平行な方向に内部空間7から引き出されることを防止する。図14において確認できるように、係止接続機構18の係止状態において、ガイドスリーブ5がスリーブケージ6の内部空間7において遊びまたは間隙を有して、ひいては変位可能に設けられている。内部空間7における変位可能性の結果として、ガイドスリーブ5は、相互に接続された光コネクタ3および4のフェルール11および12を相対的に適当に位置合わせすることができる。既に説明したように、代替的または付加的に、スリーブケージ6が全体的にカップリングハウジング30に対して変位可能に取り付けられてもよい。これらの実施形態では、場合によってガイドスリーブ5が、スリーブケージ6の内部空間7において遊びなしで固定されて収容されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1‥カップリング、2‥光コネクタ機構、3‥光コネクタ、4‥光コネクタ、5‥ガイドスリーブ、6‥スリーブケージ、7‥内部空間、8‥縦軸線、9‥挿入開口部、10‥挿入開口部、11‥フェルール、12‥フェルール、13‥縦方向ストッパ、14‥スリーブケージ要素、15‥スリーブケージ要素、16‥係止接続要素、17‥係止接続要素、18‥係止接続機構、19‥導入開口部、20‥導入開口部、21‥ノーズ、22‥ノーズレセプタクル、23‥周方向、24‥壁部、25‥壁部、26‥光伝送路、27‥光伝送路、28…コネクタレセプタクル、29‥係止穴、30‥カップリングハウジング、31‥ラッチ、32‥縦スリット、33‥領域。
図1
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図11
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図13
図14