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  • 特許-クリーニングブレード及び画像形成装置 図1
  • 特許-クリーニングブレード及び画像形成装置 図2
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  • 特許-クリーニングブレード及び画像形成装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】クリーニングブレード及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20230518BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
G03G21/00 318
G03G15/16
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019152952
(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公開番号】P2021033050
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】石川 幸宗
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-316268(JP,A)
【文献】特開2006-220719(JP,A)
【文献】特開2009-204917(JP,A)
【文献】特開平02-221991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト状像担持体に当接され前記ベルト状像担持体の表面を清掃するクリーニングブレードであって、
導電性薄板からなり、
前記ベルト状像担持体に当接される先端部が複数の凸部を有し、前記複数の凸部のうち、一の凸部が他の凸部より突出しており、前記複数の凸部間の距離が、5μm以上25μm以下であるクリーニングブレード。
【請求項2】
前記凸部が3つである請求項1記載のクリーニングブレード。
【請求項3】
前記一の凸部が中央に位置している請求項2記載のクリーニングブレード。
【請求項4】
前記一の凸部の先端と前記他の凸部の先端との高さの差が、5μm以上15μm以下である請求項1から3記載のクリーニングブレード。
【請求項5】
前記クリーニングブレードが、ステンレス剛、ハードン鋼又はミガキ平鋼からなる請求項1から4いずれか1項記載のクリーニングブレード。
【請求項6】
前記クリーニングブレードの厚さが、70μm以上120μm以下である請求項1からいずれか1項記載のクリーニングブレード。
【請求項7】
前記クリーニングブレードが、電圧印加されることにより、前記ベルト状像担持体の表面を帯電する請求項1からいずれか1項記載のクリーニングブレード。
【請求項8】
請求項1からいずれか1項記載のクリーニングブレードを備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニングブレード及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラム表面に形成された静電画像をトナーで現像してトナー像を形成し、そのトナー像をベルト状像担持体(中間転写ベルトとも称される)に転写し、中間転写ベルト上に形成されたトナー像を紙に転写する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置には、中間転写ベルト上に残ったトナーを清掃するためのクリーニング装置が備えられている。
クリーニング装置として、例えば、特許文献1に金属からなる剛体ブレードを備えるものが開示されている。特許文献1に記載の剛体ブレードは、金属製の基材の、像担持体の移動方向の上流がトナー粒子の平均粒径よりの小さい曲率半径のアール形状を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-203828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ベルト状像担持体上に残存するトナー等の異物を清掃するクリーニングブレードの性能向上は、高品質な画像を形成するために重要である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ベルト状像担持体上に残るトナー等の異物を良好に除去するクリーニングブレード及び高品質な画像を提供することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意検討の結果、ブレードの先端部を特定の形状にすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、ベルト状像担持体に当接されベルト状像担持体の表面を清掃するクリーニングブレードであって、導電性薄板からなり、ベルト状像担持体に当接される先端部が複数の凸部を有し、複数の凸部のうち、一の凸部が他の凸部より突出しているクリーニングブレードである。
【0006】
凸部は、3つであることが好ましい。
【0007】
一の凸部が中央に位置していることが好ましい。
【0008】
一の凸部の先端と他の凸部の先端との高さの差が、5μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0009】
クリーニングブレードは、ステンレス鋼、ハードン鋼又はミガキ平鋼からなることが好ましい。
【0010】
複数の凸部間の距離は、5μm以上25μm以下であることが好ましい。
【0011】
クリーニングブレードの厚さは、70μm以上120μm以下であることが好ましい。
【0012】
クリーニングブレードは、電圧印加されることにより、ベルト状像担持体の表面を帯電するものであってもよい。
【0013】
本発明の画像形成装置は、本発明のクリーニングブレードを備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のクリーニングブレードによれば、ベルト状像担持体上に残るトナー等の異物を良好に除去することができる。
また、本発明の画像形成装置によれば、高品質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略断面図である。
図2】クリーニングブレードの平面図である。
図3】クリーニングブレードとベルト状像担持体との当接状態を示す概略断面図である。
図4】クリーニングブレード先端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について、図面を参照しながら、説明する。
[画像形成装置]
本発明の電子写真方式の画像形成装置の一実施形態について説明する。本実施形態の画像形成装置は、本発明のクリーニングブレードを備える。
画像形成装置10は、各色(黒色、シアン、マゼンタ、黄色)の現像ユニット11B、11C、11M及び11Yに装備された複数の感光体ドラム12B、12C、12M及び12Yをベルト状像担持体17上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置である。
各現像ユニット11B、11C、11M及び11Yには、一成分非磁性の、黒色現像剤、シアン現像剤、マゼンタ現像剤及び黄色現像剤がそれぞれ収納されている。
【0017】
現像ユニット11B、11C、11M及び11Yにおいて、帯電手段14B、14C、14M及び14Yで帯電した感光体ドラム12B、12C、12M及び12Yの表面に露光手段13B、13C、13M及び13Yにより静電潜像が形成され、トナー供給ローラ16B、16C、16M及び16Yにより供給されたトナーで黒色の静電潜像が現像される。現像された黒色トナー像、シアン色トナー像、マゼンタ色トナー像及び黄色トナー像が、順次、一次転写ローラ15B、15C、15M及び15Yにより、ベルト状像担持体17上に転写されて、カラートナー像が形成される。
【0018】
ベルト状像担持体17上に形成されたカラートナー像は、二次転写ローラ18及び19によって電圧印加されて、給紙部26から送出された紙27に転写される。その後、紙27に転写されたカラートナー像は、定着手段20における加圧ローラ21及び定着ローラ22により溶融されて紙27上に定着される。
【0019】
ベルト状像担持体17は、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリルニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等からなる無端ベルトであり、図1の中の矢印方向に周回する。
ベルト状像担持体17上のカラートナー像が紙27に転写された後、ベルト状像担持体17上に残存するトナー等の異物は、クリーニング装置23のクリーニングブレード24によって除去される。
本発明の画像形成装置は、本発明のクリーニングブレード24を備えるため、ベルト状像担持体17の表面に残存するトナーが良好に除去されるので、高品質な画像を得ることができる。
【0020】
[クリーニングブレード]
次に、本実施形態におけるクリーニング装置23のクリーニングブレード24について説明する。
クリーニング装置23は、図2及び図3に示すように、ベルト状像担持体17に当接されベルト状像担持体17を清掃する導電性薄板からなるクリーニングブレード24とクリーニングブレード24を支持する支持体25とを有する。クリーニングブレード24は、角度(θ)10°以上90°以下の範囲で、その先端部24dがベルト状像担持体17に当接されるように配置されている。
【0021】
図3に示すように、クリーニングブレード24は、長手方向を、ベルト状像担持体17の周回方向に対して直角に配置されている。また、本実施形態のクリーニングブレード24は、図3及び図4に示すように、ベルト状像担持体17に当接する先端部24dが3つの凸部24a、24b及び24cを有する。3つの凸部のうち、中央に位置している凸部24aが、両端の凸部24b及び24cのいずれからも突出している。クリーニングブレード24がベルト状像担持体17に傾斜して設けられていることにより、少なくとも、最も突出している凸部24a及び下流側の凸部24cの2点が、ベルト状像担持体17に接している。
クリーニングブレード24がベルト状像担持体17に当接される圧力は、ベルト状像担持体17の材質、クリーニングブレード24の先端の凸部の数、当接角度によって適宜調整されることが好ましい。
【0022】
本発明のクリーニングブレード24は、従来の凸部を設けていない矩形状の先端部を有するクリーニングブレードに比べてトナー等の異物の除去効果が高い。これは、詳細は不明であるが、クリーニングブレード24の突出した薄い凸部によって、ベルト状像担持体17とクリーニングブレード24の先端との間でトナーが潰れずに良好に除去できるため推測する。
また、クリーニングブレード24の当接角度及び圧力によっては、少なくとも2箇所の凸部(24a及び24c)が、ベルト状像担持体17の表面に接するので、最初の凸部24aで除去し切れなかったトナー等の異物が、下流側の凸部24cで除去されるためとも推測される。
【0023】
図4に示すように、真ん中の凸部24aの先端と両側の凸部24b及び24cの先端との差h24は、トナー等の異物の除去性及び凸部の加工性の観点から、5μm以上15μm以下であることが好ましく、6μm以上10μm以下であることがより好ましい。
ここで、最も突出している凸部以外の他の凸部が2以上ある場合、上記差h24は、他の凸部と最も突出している凸部とのそれぞれの差を示し、それぞれの差がいずれも上記数値範囲であることを示す。
【0024】
クリーニングブレード24の厚さT24図4参照)は、70μm以上120μm以下であることが好ましい。70μm以上であることにより、クリーニングブレードとして十分な強度が得られ、凸部の加工がしやすい。また、120μm以下であることにより、複数の凸部をベルト状像担持体17に当接しやすく、ベルト状像担持体17が傷つくのを防止することができる。
【0025】
凸部間の距離P24は、クリーニングブレードの材料と凸部の加工性の観点から、10μm以上30μm以下であることが好ましい。
また、凸部間の距離P24は、トナー像を構成するトナーの平均粒径より大きいことが好ましい。通常、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーの平均粒径は、およそ2μm以上10μm以下の範囲である。凸部間の距離P24が、トナー像を構成するトナーの平均粒径より大きいことにより、最も突出する凸部24aで除去されたトナー等の異物が、凸部間の凹部に入り込むことで、先端部24dの他の箇所で押し潰されてベルト状像担持体17の表面又は先端部24dに付着するのを防止することができると推測される。
さらに、クリーニングブレード24に後述する電圧印加手段を設けて、トナーと逆の電位を与えた場合、トナーが凹部に収容されることにより、再度、ベルト状像担持体17に付着することがないので、除去効果の向上が期待される。
【0026】
上記実施形態では、凸部が3つの場合について記載したが、2つであってもよく、4つ以上でもよい。異物の除去性及び凸部の加工性の観点から、2つ及び3つが好ましく、3つが最も好ましい。また、上記実施形態は、最も突出している凸部を中央に配置しているが、中央に限られず、端であってもよい。凸部が4つ以上ある場合は、中央及び端以外であってよい。
【0027】
クリーニングブレード24の凸部は、凸部に相当する位置にマスクを設け、深掘RIE(反応性イオンエッチング)で形成することができる。深掘RIEには、高密度プラズマを用いたエッチング(ICP-RIE)又はマイクロ波を用いたエッチング(ECR-RIE)等がある。
【0028】
クリーニングブレード24の長さL24図2参照)は、ベルト状像担持体17の幅にも依るが、20cm以上40cm以下であることが好ましい。
【0029】
クリーニングブレード24は、耐久性及び加工性の点から、硬度が高いSUS(ステンレス剛)、ハードン鋼、ミガキ平鋼等の金属が好ましい。
【0030】
クリーニングブレード24は、電圧印加手段(不図示)を備えていてもよい。電圧印加手段によって、クリーニングブレード24に、トナーとは逆の電位を付与することによって、ベルト状像担持体17の表面がトナーとは逆の電荷を帯びる。これにより、残存するトナー等の異物を電気的にクリーニングブレード24に電気的に引き寄せることができるため、より異物除去性が向上する。
【0031】
上記のように、本発明のクリーニングブレードは、先端に複数の凸部を有し、複数の凸部のうち、一の凸部が他の凸部より突出しているので、ベルト状像担持体に当接して使用した場合にトナー等の異物を良好に除去することができる。
また、このようなクリーニングブレードを備えた画像形成装置は、ベルト状像担持体にトナー等の異物が良好に除去されているため、高品質な画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0032】
10 画像形成装置
11B、11C、11M、11Y 現像ユニット
12B、12C、12M、12Y 感光体ドラム
13B、13C、13M、13Y 露光手段
14B、14C、14M、14Y 帯電手段
15B、15C、15M、15Y 一次転写ローラ
16B、16C、16M、16Y トナー供給ローラ
17 ベルト状像担持体
18、19 二次転写ローラ
20 定着手段
21 加圧ローラ
22 定着ローラ
23 クリーニング装置
24 クリーニングブレード
25 支持体
24a、24b、24c 凸部
24d 先端部
25 支持体
26 給紙部
27 紙
図1
図2
図3
図4