(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】家電システム及び家電機器
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20230518BHJP
H04W 4/70 20180101ALI20230518BHJP
H04W 8/00 20090101ALI20230518BHJP
H04W 76/14 20180101ALI20230518BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20230518BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W4/70
H04W8/00 110
H04W76/14
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2019158486
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 達也
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 正史
(72)【発明者】
【氏名】金山 将也
(72)【発明者】
【氏名】神田 博紀
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-125855(JP,A)
【文献】特開2019-062326(JP,A)
【文献】特開2017-034560(JP,A)
【文献】特開2011-019133(JP,A)
【文献】特表2019-506020(JP,A)
【文献】国際公開第2019/026290(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信を中継する通信装置と接続するための第一接続情報を記憶するとともに、前記第一接続情報を用いて前記通信装置と通信する第一家電機器と、
前記第一家電機器と通信することにより前記第一接続情報を前記第一家電機器から取得し、取得した前記第一接続情報を用いて前記通信装置と通信する第二家電機器と、
を備え
、
前記第一家電機器は、ユーザの端末装置と通信することにより前記第一接続情報を前記端末装置から取得し、取得した前記第一接続情報を記憶する、家電システム。
【請求項2】
前記第一家電機器は、据え置き型の家電機器である、
請求項1に記載の家電システム。
【請求項3】
前記第一接続情報は、前記通信装置と無線により通信するために用いられる情報である、
請求項1
又は請求項2に記載の家電システム。
【請求項4】
前記第一接続情報は、無線LAN(Local Area Network)のSSID(Service Set Identifier)及び暗号キーである、
請求項
3に記載の家電システム。
【請求項5】
前記第一家電機器は、前記第一接続情報を用いて前記通信装置と通信する第一モードと、前記第一接続情報とは異なる第二接続情報を用いた前記第二家電機器の前記第一家電機器に対する接続を受け付ける第二モードとを実行可能であり、前記第二家電機器の設置前には、前記第二モードを常時または周期的に実行して前記第二家電機器からの接続を待ち受ける、
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の家電システム。
【請求項6】
前記第二家電機器は、前記第一接続情報とは異なる第二接続情報を用いた前記第一家電機器からの前記第二家電機器に対する接続を受け付けるモードを実行可能であり、前記第二家電機器が前記第一接続情報を取得する前には、前記モードを常時または周期的に実行して前記第一家電機器からの接続を待ち受ける、
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の家電システム。
【請求項7】
前記第二家電機器は、前記第一接続情報の取得前に、前記第一家電機器との通信に用いる第二接続情報を記憶する、
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の家電システム。
【請求項8】
前記第二接続情報は、所定の規約に準拠する複数の家電機器に対して共通に設定される、
請求項
7に記載の家電システム。
【請求項9】
前記第二家電機器は、当該第二家電機器の電源投入後に前記第一接続情報を取得済みである否かを判定し、取得済みではないと判定した場合に、前記第一家電機器と通信を行い、前記第一接続情報を前記第一家電機器から取得する、
請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の家電システム。
【請求項10】
前記第一家電機器は、前記第二家電機器からの接続を受け、前記第二家電機器に前記第一接続情報を送信する前に、ユーザの端末装置に通知を行うことと、前記第一家電機器の報知部により所定の報知を行うこととの少なくとも一方を行う、
請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載の家電システム。
【請求項11】
前記第一家電機器は、前記通知に対応して前記端末装置から接続の許可を示す信号を受信した場合または前記第一家電機器の操作部により接続の許可を示すユーザの操作が受け付けられた場合に、前記第一接続情報を前記第二家電機器へ送信する、
請求項
10に記載の家電システム。
【請求項12】
前記第二家電機器は、前記第一家電機器から前記第一接続情報を取得した場合、前記第一家電機器との通信を停止し、取得した前記第一接続情報を用いて前記通信装置と通信する、
請求項1から請求項
11のいずれか一項に記載の家電システム。
【請求項13】
前記通信装置は、当該通信装置に接続される前記第一家電機器及び前記第二家電機器と外部ネットワークとの間の通信の中継を行う、
請求項1から請求項
12のいずれか一項に記載の家電システム。
【請求項14】
ユーザの端末装置と通信することにより、通信を中継する通信装置と接続するための接続情報を
前記端末装置から取得し、取得した前記接続情報を記憶する記憶部と、
前記接続情報を用いて前記通信装置と通信する通信部と、
他の家電機器と接続された場合に、前記他の家電機器に前記接続情報を送信する接続情報送信部と、
を備える家電機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、家電システム及び家電機器に関する。
【背景技術】
【0002】
無線アクセスポイントなどの通信装置に家電機器を接続するためには、通信装置への接続に用いられる接続情報を家電機器に設定する必要がある。しかしながら、家電機器に接続情報を設定するためのユーザの作業には手間がかかる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、家電機器を通信装置に接続するためのユーザの手間を軽減することができる家電システム及び家電機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の家電システムは、第一家電機器と、第二家電機器とを持つ。第一家電機器は、通信を中継する通信装置と接続するための第一接続情報を記憶するとともに、前記第一接続情報を用いて前記通信装置と通信する。第二家電機器は、前記第一家電機器と通信を行うことにより前記第一接続情報を前記第一家電機器から取得し、取得した前記第一接続情報を用いて前記通信装置と通信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図7】実施形態の端末装置に表示される画面の遷移を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の家電システム及び家電機器を、図面を参照して説明する。なお本明細書において「接続」とは、無線による接続でもよく、有線による接続でもよい。
【0008】
図1は、実施形態の家電システム10の構成図である。家電システム10は、通信装置1と、家電機器2と、端末装置3と、管理サーバ4とを有する。家電機器2は、例えば、据え置き型の家電機器であるが、これに限定されない。家電機器2は、白物家電と呼ばれる生活家電でもよく、黒物家電と呼ばれる情報家電でもよい。白物家電の例は、冷蔵庫、洗濯機、オーブンレンジ、炊飯器、掃除機などである。黒物家電の例は、テレビジョン受像機、スマートスピーカなどである。
図1では、家電機器2の例として、冷蔵庫2aと、洗濯機2bと、オーブンレンジ2cとを示している。
【0009】
通信装置1は、家庭内のホームネットワークを構成する。ホームネットワークは、家電システム10におけるネットワークのサブネットである。通信装置1は、家電機器2及び端末装置3と無線通信又は有線通信を行う。通信装置1は、当該装置に接続される家電機器2及び端末装置3の通信を中継するルータの機能を有する。さらに、通信装置1は、インターネットなどの外部ネットワークと接続している。通信装置1は、ホームネットワークと外部ネットワークとを接続するゲートウェイの機能を有する。通信装置1は、このゲートウェイの機能によりホームネットワークに接続される家電機器2及び端末装置3と、外部ネットワークに接続される管理サーバ4との間の通信を中継する。
【0010】
本実施形態では、通信装置1が、無線LAN(Local Area Network)ルータである場合を例に説明する。無線LANルータは、通信を中継するルータの機能と、無線LANと有線LANの相互変換を行う無線LANアクセスポイントの機能とを有する。
【0011】
家電機器2は、無線LANにより通信する機能を有する。家電機器2は、AP(アクセスポイント)モード及びステーションモードにより動作可能である。APモードは、第二モードの一例である。ステーションモードは、第一モードの一例である。APモードの家電機器2は、無線LAN親機であるAPとして動作し、ステーションモードの他の家電機器2と通信する。ステーションモードの家電機器2は、無線LAN子機であるクライアントとして動作し、APに接続する。接続先のAPは、通信装置1又はAPモードの他の家電機器2である。クライアントがAPに接続するためには、そのAPの接続情報が必要である。接続情報は、SSID(Service Set Identifier)及び暗号キーを含む。通信装置1に接続するために用いられる接続情報を通信装置接続情報と記載し、家電機器2に接続するために用いられる接続情報を家電機器接続情報と記載する。通信装置接続情報は第一接続情報の一例であり、家電機器接続情報は第二接続情報の一例である。
【0012】
端末装置3は、ユーザが利用するコンピュータ端末である。端末装置3は、例えば、スマートフォンである。端末装置3は、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン受像機などでもよい。端末装置3は、無線LANにより通信する機能と、公衆ネットワークを利用して通信する機能との少なくとも一方を備える。公衆ネットワークは、管理サーバ4が接続されている外部ネットワークを含んでもよい。端末装置3がスマートフォンである場合、端末装置3は、クライアントとして通信装置1と無線LAN通信を行う機能と、公衆ネットワークである携帯電話網を利用したモバイル通信を行う機能とを有する。
【0013】
管理サーバ4は、例えば、クラウドサーバである。管理サーバ4は、通信装置1を介して家電機器2と通信する。管理サーバ4は、家電機器2へデータや指示を送信する処理、家電機器2から当該家電機器2の内部又は外部の状態等の各種情報を受信して記録する処理を行う。また、管理サーバ4は、家電機器2に関するサービスの利用が登録されている各ユーザのユーザ情報を記憶している。ユーザ情報には、ユーザIDと、ユーザ宅に設置されている家電機器2のアドレス情報と、ユーザの端末装置3のアドレス情報とが互いに対応付けられて設定されている。ユーザIDは、ユーザの識別情報である。家電機器2のアドレス情報は、家電機器2の識別情報として用いられる。端末装置3のアドレス情報は、端末装置3の識別情報として用いられる。
【0014】
図1に示す家電システム10の動作概要を説明する。家電機器2には、通信装置1への接続前に自接続情報及び相互接続家電機器情報が設定される。これら情報の設定は、例えば、家電機器メーカにおける家電機器2の製造時や出荷時、家電機器2の販売時などに行われる。自接続情報は、自家電機器の家電機器接続情報である。相互接続家電機器情報は、家電機器2と相互接続が可能な他の家電機器2の家電機器接続情報を含む。なお、所定の規約に準拠する複数の家電機器2に対して共通の相互接続家電機器情報(すなわち同一の家電機器接続情報)が設定されてもよい。この場合、相互接続家電機器情報は、相互接続が可能な家電機器2のグループを構成する各家電機器2の家電機器接続情報を含む。この相互接続可能な家電機器2のグループを、相互接続グループと記載する。相互接続グループは、例えば、同一の家電機器メーカの製品で構成されるグループでもよく、複数の家電機器メーカ(コンソーシアム)の製品で構成されるグループでもよい。相互接続グループは、家電機器の種類や、家電機器メーカと家電機器の種類との組合せなど、任意の1以上の情報に基づいて構成されるグループでもよい。
【0015】
ユーザが購入した家電機器2がクライアントとして通信装置1と無線LANにより通信するためには、通信装置1への接続に用いる通信装置接続情報を家電機器2に設定する必要がある。そこでまず、1台目の家電機器2に通信装置接続情報を設定し、通信装置1に接続する。1台目の家電機器2への通信装置接続情報の設定には、例えば、以下のような方法が用いられる。1台目の家電機器2を、冷蔵庫2aとする。端末装置3は、通信装置接続情報を用いて通信装置1と無線LAN通信が可能である。端末装置3は、APモードの冷蔵庫2aに接続した後、端末装置3に実装されているアプリケーション(以下、アプリと記載)を使用して通信装置接続情報を冷蔵庫2aに送信する。冷蔵庫2aには、端末装置3から受信した通信装置接続情報が設定される。この方法の他に、WPS(Wi-Fi(登録商標) Protected Setup)などの簡単接続方式を利用して冷蔵庫2aへ通信装置接続情報を設定することもできる。冷蔵庫2aは、通信装置接続情報を用いて通信装置1に接続する。
【0016】
次に、2台目の家電機器2として、洗濯機2bをホームネットワークに接続する。洗濯機2bには、冷蔵庫2aの家電機器接続情報を含んだ相互接続家電機器情報が設定されている。洗濯機2bは、APモードの冷蔵庫2aを検出すると、冷蔵庫2aの家電機器接続情報を用いて冷蔵庫2aに接続する。冷蔵庫2aは、記憶している通信装置接続情報を洗濯機2bに送信する。冷蔵庫2aは、通信装置接続情報の送信前に、洗濯機2bからのアクセスがあったことを端末装置3に通知してもよい。端末装置3は、通知に対してユーザが接続OKを入力した場合に、接続の許可を示す信号を送信する。冷蔵庫2aは、この信号を受信すると、通信装置接続情報を洗濯機2bに送信する。洗濯機2bは、冷蔵庫2aから受信した通信装置接続情報を用いて通信装置1に接続する。
【0017】
続いて、3台目の家電機器2として、オーブンレンジ2cをホームネットワークに接続する。オーブンレンジ2cには、冷蔵庫2aと洗濯機2bの少なくとも一方の家電機器接続情報を含んだ相互接続家電機器情報が設定されている。オーブンレンジ2cは、APモードの冷蔵庫2aを検出すると、冷蔵庫2aの家電機器接続情報を用いて冷蔵庫2aに接続する。あるいは、オーブンレンジ2cは、APモードの洗濯機2bを検出すると、洗濯機2bの家電機器接続情報を用いて洗濯機2bに接続する。オーブンレンジ2cと接続した冷蔵庫2a又は洗濯機2bは、記憶している通信装置接続情報をオーブンレンジ2cに送信する。冷蔵庫2a又は洗濯機2bは、オーブンレンジ2cからのアクセスがあったことを端末装置3に通知し、この通知に対応して端末装置3から接続の許可を示す信号が返送された場合に通信装置接続情報を送信してもよい。オーブンレンジ2cは、受信した通信装置接続情報を用いて通信装置1に接続する。
【0018】
家電機器2は、ユーザが家電機能を利用しやすいように、家電機器2が有する家電機能に応じたボタンやダイヤル等をユーザインタフェースとして備えることが多い。ユーザがこのようなユーザインタフェースを操作して家電機器2に通信装置接続情報を設定するには手間がかかってしまう場合があった。そこで、本実施形態では、ユーザ宅内において通信装置1と接続済みの家電機器2を利用して、新たな家電機器2へ通信装置1と接続するための通信装置接続情報を設定する。よって、2台目以降の家電機器2については、ユーザ自身で家電機器2に、あるいは、家電機器2と接続されるスマートフォンなどに通信装置接続情報を入力する必要がない。例えば、1台目の家電機器2に、販売店や設置作業を行った作業員などに通信装置接続情報を設定してもらえば、スマートフォンなどの扱いに慣れていないユーザや、スマートフォンを持っていないユーザでも、2台目以降の家電機器2を通信装置1に接続することができる。
【0019】
図2は、家電機器2の構成を示す機能ブロック図である。
図2では、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。家電機器2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、操作部24と、出力部(報知部)25と、時計26と、家電機能部27とを備える。
【0020】
通信部21は、制御部23からの制御を受けて、無線LANの規格に従って通信する。通信部21は、ステーションモードである場合、通信装置接続情報を用いて通信装置1と、又は、家電機器接続情報を用いてAPモードの他の家電機器2と無線通信する。また、通信部21は、APモードである場合、ステーションモードの他の家電機器2と無線通信する。
【0021】
記憶部22は、接続情報リスト及び許可コードを含む各種情報を記憶する。接続情報リストは、通信装置接続情報、自接続情報、相互接続家電機器情報を含む。家電機器2の出荷時、接続情報リストには自接続情報及び相互接続家電機器情報が設定されており、通信装置接続情報は設定されていない。許可コードは、通信を許可する相互接続グループを表す。許可コードとして、例えば、家電機器メーカを示す情報を用いることができる。
【0022】
制御部23は、家電機器2の全体を制御する。制御部23は、モード制御部231と、接続情報取得部232と、接続情報提供部233と、更新部234とを有する。モード制御部231は、通信部21を、ステーションモードで動作させるか、APモードで動作させるか、ステーションモード及びAPモードで動作させるかを制御する。
【0023】
接続情報取得部232は、他の家電機器2から通信装置1の通信装置接続情報を取得する。接続情報取得部232は、接続制御部2321と、取得部2322と、接続完了通知部2323とを有する。
【0024】
接続制御部2321は、記憶部22が記憶している接続情報リストに通信装置接続情報が含まれる場合に、その通信装置接続情報を用いて通信装置1と無線LANにより接続するよう通信部21を制御する。接続制御部2321は、接続情報リストに通信装置接続情報が含まれていない場合に、接続情報リストの相互接続家電機器情報に含まれる家電機器接続情報を用いて他の家電機器2と無線LANにより接続するよう通信部21を制御する。接続制御部2321は、通信装置接続情報の取得後、他の家電機器2との通信を停止し、取得した通信装置接続情報を用いて通信装置1に接続するよう通信部21を制御する。
【0025】
取得部2322は、無線LANにより接続された他の家電機器2から通信装置接続情報を取得し、取得した通信装置接続情報を接続情報リストに書き込む。接続完了通知部2323は、通信部21が通信装置1と無線LANにより接続すると、無線接続完了を端末装置3に通知する。
【0026】
接続情報提供部233は、他の家電機器2へ通信装置接続情報を提供する。接続情報提供部233は、検知部2331と、フィルタリング部2332と、検知通知部2333と、接続情報送信部2334とを有する。
【0027】
検知部2331は、通信部21が他の家電機器2との通信を開始した場合に、新たな家電機器2を検知したと判断する。フィルタリング部2332は、新たな家電機器2に接続を許可するか否かを判定するフィルタリングを行う。フィルタリング部2332は、この判定を、新たな家電機器2から受信した情報が示す相互接続グループと、記憶部22に記憶されている許可コードが示す相互接続グループとを照合することにより行う。相互接続グループを表す情報として、例えば、MAC(Medium Access Control)アドレスの先頭24ビットが表すベンダーコードを用いることができる。フィルタリング部2332は、新たな家電機器2のMACアドレスから取得したベンダーコードが記憶部22に記憶されている許可コードである場合に接続を許可すると判定し、許可コードではない場合に接続を許可しないと判定する。
【0028】
検知通知部2333は、フィルタリング部2332が接続を許可すると判定した場合、新たな家電機器2の検出を通知するための新規家電機器通知を端末装置3に送信する。あるいは、検知通知部2333は、新たな家電機器2を検出した旨を報知するために出力部25により通知を出力してもよい。接続情報送信部2334は、新規家電機器通知に対応して端末装置3から接続の許可を示す接続許可応答を受信した場合に、通信装置接続情報を新たな家電機器2に通知する。あるいは、接続情報送信部2334は、出力部25が出力した通知に応じて接続の許可を示すユーザの操作を操作部24が受け付けた場合に、通信装置接続情報を新たな家電機器2に通知する。
【0029】
更新部234は、家電機器接続情報の認証キーを所定の規則に従って更新する。また、更新部234は、許可コードを管理サーバ4から受信し、記憶部22に記憶されている許可コードを更新する。
【0030】
操作部24は、ユーザの操作により入力を行うためのユーザインタフェースである。操作部24は、例えば、操作パネルに備えられたボタン、ダイヤル、スイッチ等である。操作部24は、ユーザが行った操作を制御部23へ通知する。操作部24は、家電機器2のリモートコントローラから、ユーザがリモートコントローラへ行った操作を表す信号を受信する装置でもよい。出力部25は、制御部23から受信した信号に基づいて各種情報を出力する。出力部25は、新たな家電機器2を検出した旨を報知する報知部としての機能も有する。出力部25は、例えば、ディスプレイ装置、ランプ、スピーカーなどである。家電機能部27は、家電機器2としての家電機能を実現する。例えば、家電機器2が冷蔵庫であれば、家電機能部27は冷蔵庫に必要な機能(例えばコンプレッサおよびファンの制御機能)を有する。
【0031】
図3は、端末装置3の構成を示す機能ブロック図である。
図3では、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。端末装置3は、通信部31と、制御部32と、表示部33と、入力部34とを備える。
【0032】
通信部31は、無線LANの規格に従って通信装置1と通信する。通信部31は、さらに、無線LAN以外の規格により通信を行ってもよい。例えば、端末装置3がスマートフォンである場合、通信部31は、LTE(Long Term Evolution)等の4Gの規格に従って、携帯電話回線を用いた無線通信を行う。
【0033】
制御部32は、端末装置3の各部を制御する。制御部32は、家電接続指示部321を有する。家電接続指示部321は、端末装置3にアプリを実装することによって生成される。家電接続指示部321は、入力部34によりユーザが行った操作に従って、新規の家電機器2にホームネットワークへの接続を許可するか否かを表す信号を送信する。
【0034】
表示部33は、制御部32の制御により、各種情報を表示する。表示部33は、例えば液晶ディスプレイ装置や有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ装置等で構成される。入力部34は、ユーザの操作により入力を行うためのユーザインタフェースである。入力部34は、例えば、ボタンやキーである。入力部34は、入力された操作を制御部32へ通知する。表示部33がタッチパネルである場合、入力部34はタッチパネルに配されたタッチセンサである。端末装置3がテレビジョン受像機などである場合、入力部34は、リモートコントローラから、ユーザがリモートコントローラへ行った操作を表す信号を受信する装置でもよい。
【0035】
家電システム10の動作を詳細に説明する。通信装置1に接続済み、かつ、通信装置接続情報を他の家電機器2に提供する家電機器2を第一家電機器と記載し、第一家電機器から通信装置接続情報を取得して通信装置1に接続する家電機器2を第二家電機器と記載する。以下では、第一家電機器が冷蔵庫2aであり、第二家電機器が洗濯機2bである場合を例に説明する。また、冷蔵庫2aの各部の符号に「a」を付与し、洗濯機2bの各部の符号に「b」を付与して記載する。例えば、冷蔵庫2aの通信部21、記憶部22、…を通信部21a、記憶部22a、…と記載し、洗濯機2bの通信部21、記憶部22、…を通信部21b、記憶部22b、…と記載する。
【0036】
家電システム10は、以下のセキュリティ動作(1)~(3)のうち一以上を行う。セキュリティ動作(1)は、暗号化キーの更新である。セキュリティ動作(2)は、第一家電機器がAPモードで動作する期間の限定である。セキュリティ動作(3)は、MACアドレスによるフィルタリングである。以下では、セキュリティ動作(1)~(3)を全て行う場合を説明する。
【0037】
図4は、冷蔵庫2aの記憶部22aに記憶される接続情報リストを示す図である。冷蔵庫2aが通信装置1と接続済みである場合には、
図4に示すように接続情報リストに、通信装置1の通信装置接続情報が設定されている。また、自接続情報には、冷蔵庫2aの家電機器接続情報が設定されている。冷蔵庫2aの家電機器接続情報は、SSID「reizouko」及び認証キー「12345678」である。相互接続家電機器情報には、相互接続可能な各家電機器2のSSID及び認証キーが設定されている。相互接続家電機器情報には自接続情報が含まれないようにしてもよい。また
図4は、家電機器2の種類(冷蔵庫と洗濯機など)毎にSSID及び認証キーが異なる例を示しているが、相互接続家電機器情報であるSSIDと認証キーとのうち少なくとも一方は、家電機器2の複数の種類を通じて共通(同一)でもよい。
【0038】
図5は、洗濯機2bの記憶部22bに記憶される接続情報リストを示す図である。洗濯機2bの出荷時には、
図5に示すように自接続情報及び相互接続家電機器情報が設定されているが、通信装置接続情報は未設定である。相互接続家電機器情報には、冷蔵庫2aのSSID「reizouko」及び認証キー「12345678」を示す家電機器接続情報が含まれている。
【0039】
図4及び
図5に示す接続情報リストに設定されている各家電機器2の認証キーは初期値である。冷蔵庫2aの更新部234a及び洗濯機2bの更新部234bは、共通の所定のアルゴリズムにより、例えば共通のタイミングで各家電機器2の認証キーを更新する。
【0040】
図6は、家電システム10のシーケンス図である。ユーザ宅内に設置されている冷蔵庫2aは、通信装置接続情報を用いて通信装置1とステーションモードで無線LANにより接続済である(ステップS105)。冷蔵庫2aは、APモードを停止している。冷蔵庫2aの記憶部22aに記憶される接続情報リストには、通信装置接続情報が設定されている(ステップS110)。また、端末装置3も、通信装置1と無線LANにより接続済みである(ステップS115)。一方で、洗濯機2bの記憶部22bには、出荷時に、
図5に示す接続情報リストが書き込まれる(ステップS120)。なお、ステップS105及びステップS110と、ステップS115と、ステップS120との順序は入れ替わってもよい。
【0041】
ユーザが購入した洗濯機2bがユーザ宅内に設置される。ユーザが冷蔵庫2aの操作部24aによりAPモードの開始を入力すると、冷蔵庫2aは、APモードの動作を開始する(ステップS125)。具体的には、冷蔵庫2aのモード制御部231aは、10分など所定の時間、ステーションモード及びAPモードで動作するよう通信部21aを制御する。通信部21aは、例えば、異なる無線チャネルを用いることによりステーションモード及びAPモードの両モードで同時に動作してもよく、ステーションモードとAPモードとを時分割で切り替えてもよい。通信部21aは、接続情報リストの自接続情報に設定されている冷蔵庫2aのSSIDを所定周期でブロードキャストする。一方で、冷蔵庫2aの更新部234aは、例えば、時計26aから所定周期で現在時刻を取得する。更新部234aは、冷蔵庫2aの初期値の認証キーを接続情報リストから読み出し、読み出した認証キーに対して現在時刻を用いた所定のアルゴリズムによる演算を行い、次の周期まで有効な認証キーを算出する。
【0042】
次に、ユーザは、洗濯機2bの操作部24bを操作して電源を投入する(ステップS130)。洗濯機2bの接続制御部2321bは、記憶部22bに記憶される接続情報リストに通信装置接続情報が含まれているか否かによって、通信装置接続情報を取得済みであるか否かを判定する。接続制御部2321bは、記憶部22bに記憶される接続情報リストに通信装置接続情報が含まれていない場合、通信装置接続情報をまだ取得していないと判定し、通信装置接続情報の取得処理を開始する。
【0043】
取得処理が開始されると、洗濯機2bのモード制御部231bは、ステーションモードで動作するよう通信部21bを制御する。通信部21bは、冷蔵庫2aからブロードキャストされたSSIDを受信し、受信したSSIDを接続情報取得部232bに通知する。接続制御部2321bは、受信したSSIDが接続情報リストの家電機器接続情報に含まれているため、受信したSSIDに対応付けられた初期値の認証キーを読み出す。更新部234bは、時計26bから現在時刻を取得し、読み出した認証キーに対して現在時刻を用いて冷蔵庫2aと同じアルゴリズムによる演算を行い、認証キーを算出する。接続制御部2321bは、受信したSSIDと、算出された認証キーとを用いた無線接続を通信部21bに指示する。洗濯機2bの通信部21bは、接続制御部2321bの指示に従って冷蔵庫2aの通信部21aに無線接続を行う(ステップS135)。通信部21bは、この無線接続を行う際に冷蔵庫2aに送信する信号に、洗濯機2bのMACアドレスを設定する。
【0044】
冷蔵庫2aの通信部21aは、無線接続のために洗濯機2bから送信された信号を受信し、受信した信号を接続情報提供部233aに出力する。検知部2331aは、洗濯機2bからの信号の受信により、新たな家電機器2の接続を検知する(ステップS140)。フィルタリング部2332aは、受信した信号に設定されている洗濯機2bのMACアドレスからベンダーコードを取得する。フィルタリング部2332aは、取得したベンダーコードが、記憶部22aに記憶される許可コードである場合に、接続を許可すると判断する(ステップS145)。
【0045】
冷蔵庫2aの検知通知部2333aは、フィルタリング部2332aが接続を許可すると判定した場合、通信部21aからステーションモードにより端末装置3宛てに新規家電機器通知を送信する(ステップS150)。検知通知部2333aは、管理サーバ4宛てに新規家電機器通知を送信してもよい。新規家電機器通知には、送信元の情報として、冷蔵庫2aの識別情報が設定される。この識別情報には、冷蔵庫2aのアドレス情報を用いることができるが、他の情報を用いてもよい。また、検知通知部2333aは、洗濯機2bに関する情報を洗濯機2bから受信し、受信した情報を新規家電機器通知に設定してもよい。洗濯機2bに関する情報は、例えば、「洗濯機」などの家電機器の種類や、製品名、識別情報である。
【0046】
通信装置1は、冷蔵庫2aから受信した端末装置3宛ての新規家電機器通知を無線LANによりブロードキャストする。あるいは、通信装置1は、冷蔵庫2aから受信した管理サーバ4宛ての新規家電機器通知を外部ネットワークに出力する。管理サーバ4は、新規家電機器通知に設定されている冷蔵庫2aの識別情報に対応した端末装置3のアドレス情報を、予め記憶しているユーザ情報から読み出す。端末装置3のアドレス情報は、ホームネットワークを介して端末装置3へデータを送信する場合に宛先に用いるアドレス情報でもよく、モバイル通信により端末装置3へデータを送信する場合に宛先に用いるアドレス情報でもよい。管理サーバ4は、読み出したアドレス情報を宛先に用いて、新規家電機器通知を端末装置3に送信する。
【0047】
端末装置3の通信部31は、新規家電機器通知を受信し、制御部32に出力する。制御部32の家電接続指示部321は、接続許可問合せ画面を表示部33に表示する(ステップS155)。接続許可問合せ画面には、新規の家電機器2が検出された旨と、接続を許可するか否かを入力するためのボタンが含まれる。接続許可問合せ画面に表示される情報には、洗濯機2bに関する情報が含まれ得る。この表示に応じてユーザが入力部34により接続の許可を入力した場合(ステップS160)、家電接続指示部321は、接続許可応答を通信部31から送信する(ステップS165)。冷蔵庫2aの通信部21aは、通信装置1を介して、又は、管理サーバ4を介して接続許可応答を受信し、接続情報提供部233aに出力する(ステップS170)。接続情報送信部2334aは、接続許可応答を受信すると、記憶部22aから通信装置1の通信装置接続情報を読み出し、読み出した通信装置接続情報を通信部21aから洗濯機2bに送信する(ステップS175)。
【0048】
洗濯機2bの通信部21bは、通信装置接続情報を受信し、接続情報取得部232bに出力する(ステップS180)。取得部2322bは、受信した通信装置接続情報を記憶部22bに記憶されている接続情報リストに書き込む。接続制御部2321bは、冷蔵庫2aとの無線接続を終了し、受信した通信装置接続情報を用いて通信装置1と無線接続を行うよう通信部21bを制御する。通信部21bは、接続制御部2321bの指示に従って通信装置1に無線接続を行う(ステップS185)。
【0049】
洗濯機2bと通信装置1と無線接続が確立すると、接続完了通知部2323bは、無線接続完了通知を通信部21bから送信する(ステップS190)。通信装置1は、洗濯機2bから受信した無線接続完了通知を無線LANによりブロードキャストする。端末装置3の通信部31は、受信した無線接続完了通知を制御部32に出力する。制御部32の家電接続指示部321は、接続完了を表示部33に表示する。
【0050】
なお、ステップS155の後にユーザが端末装置3の入力部34により接続の不可を入力した場合、家電接続指示部321は上記の接続許可応答に代えて、接続不可応答を通信部31から送信する。冷蔵庫2aの検知通知部2333aは、端末装置3から接続不可応答を受信した場合、洗濯機2bとの無線接続を終了するよう通信部21aを制御する。また、検知通知部2333aは、新規家電機器通知を送信してから所定時間内に端末装置3から接続許可応答を受信しなかった場合、洗濯機2bとの無線接続を終了するよう通信部21aを制御する。なお、検知通知部2333aは、洗濯機2bに接続不可を通知してから、洗濯機2bとの無線接続を終了するよう通信部21aを制御してもよい。洗濯機2bの取得部2322bは、通信装置接続情報を受信せずに接続不可を受信した場合、又は、冷蔵庫2aとの無線接続が終了された場合に、出力部25bに接続不可などのエラーを出力してもよい。
【0051】
また、冷蔵庫2aの接続情報提供部233aは、ステップS145~ステップS170の間、「洗濯機を接続中」など洗濯機2bからの接続を受けて処理中であることを表すメッセージ及び洗濯機2bに関する情報を出力部25aに表示してもよい。また、冷蔵庫2aの接続情報提供部233aは、洗濯機2bに通信装置接続情報を送信した場合には正常終了を示すメッセージを、洗濯機2bが接続不可である場合には接続不可を示すメッセージを出力部25aに表示してもよい。これらの表示により、ユーザは、洗濯機2bが冷蔵庫2aに接続されたことや、通信装置接続情報の提供が成功しかた否かを確認することができる。
【0052】
また、冷蔵庫2aの検知通知部2333aは、ステップS150の処理に加えて、又は、代えて、新規家電機器を検出した旨の通知を出力部25aにより出力してもよい。出力部25aは、検知通知部2333aからの制御を受け、新規家電機器を検出した旨を出力する。例えば、出力部25aは、新規家電機器を検出した旨のメッセージをディスプレイに表示してもよく、新規家電機器の検出を表すランプを点灯してもよく、新規家電機器の検出を音声により出力してもよい。冷蔵庫2aの接続情報送信部2334aは、新規家電機器を検出した旨の出力に応じて、ユーザが接続を許可する操作を行った旨の通知を操作部24aから受信した場合、ステップS175の処理を行う。また、冷蔵庫2aの検知通知部2333aは、ユーザが接続不可を示す操作を行った旨の信号を操作部24aから受信した場合、端末装置3から接続不可応答を受信したときと同様の処理を行う。
【0053】
なお、冷蔵庫2aは、ステップS145におけるフィルタリング処理により洗濯機2bの接続を許可しないと判断した場合に、端末装置3への通知や、出力部25aによる報知を行ってもよい。例えば、検知通知部2333aは、接続を許可しなかった新規家電機器からアクセスがあった旨を端末装置3に通知して表示させたり、出力部25aにより報知したりする。
【0054】
また、上述のように、管理サーバ4は、家電機器2に関するサービスの利用が登録されているユーザのユーザ情報を記憶している。ユーザ情報が登録されているユーザは、例えば、家電機器2の遠隔操作を行うユーザ、遠隔地で冷蔵庫の在庫管理などの情報を受け取るユーザ、見守り機能により家電機器2の使用状況に関する情報を受け取るユーザなどである。家電システム10は、管理サーバ4に記憶されているユーザ情報に、ホームネットワークに接続された洗濯機2bを登録してもよい。この登録の処理は、以下のように行われる。
【0055】
冷蔵庫2aの接続情報送信部2334aは、ステップS175において通信装置接続情報を送信するタイミングで、冷蔵庫2aの識別情報と紐付いているユーザIDを示す情報と、管理サーバ4のアドレス情報とを洗濯機2bに送信する。冷蔵庫2aは、このユーザIDを管理サーバ4から取得してもよく、記憶部22aから読み出してもよい。管理サーバ4からユーザIDを取得する場合、冷蔵庫2aは、自機器の識別情報を設定したユーザID問合せを管理サーバ4に送信する。管理サーバ4は、ユーザID問合せに設定されている冷蔵庫2aの識別情報によりユーザ情報を特定し、特定されたユーザ情報に設定されているユーザIDを冷蔵庫2aに通知する。洗濯機2bの更新部234bは、冷蔵庫2aからユーザID及び管理サーバ4のアドレス情報を受信する。更新部234bは、受信したユーザIDと、自機器の識別情報とを設定した登録要求を生成する。更新部234bは、生成した登録要求を、管理サーバ4のアドレス情報を宛先に用いて送信する。通信装置1は、洗濯機2bから受信した管理サーバ4宛ての登録要求を外部ネットワークに出力する。管理サーバ4は、登録要求に設定されているユーザIDによりユーザ情報を特定し、特定したユーザ情報に登録要求に設定されている洗濯機2bの識別情報を追加する。
【0056】
あるいは、冷蔵庫2aの更新部234aは、洗濯機2bの識別情報を設定した登録要求を、管理サーバ4のアドレス情報を宛先に用いて送信する。更新部234aは、登録要求の送信元に冷蔵庫2aのアドレス情報を設定する。更新部234aは、登録要求にユーザIDをさらに設定してもよい。またあるいは、端末装置3は、無線接続完了通知に設定されている洗濯機2bの識別情報を読み出して登録要求を生成し、管理サーバ4宛てに送信してもよい。端末装置3は、登録要求の送信元に端末装置3のアドレス情報を設定する。管理サーバ4は、登録要求に設定されている冷蔵庫2a又は端末装置3のアドレス情報、あるいは、ユーザIDによりユーザ情報を特定し、特定したユーザ情報に登録要求に設定されている洗濯機2bの識別情報を追加する。
【0057】
また、洗濯機2bの販売時に販売店のスタッフが、又は、洗濯機2bの設置作業を行う従業員が、洗濯機2bに購入者のユーザIDを登録してもよい。この場合、冷蔵庫2aは、洗濯機2bからユーザIDの情報を受信し、自機器と紐付けられているユーザIDと同じユーザIDである場合だけ、接続の可否を求める通知の送信又は報知を行ってもよい。
【0058】
なお、セキュリティ動作(1)を行わない場合、各家電機器2の認証キーは固定の値である。この場合、家電機器2の更新部234は、認証キーの更新処理を行わない。また、セキュリティ動作(3)を行わない場合、冷蔵庫2aは、ステップS145の処理を行わない。
【0059】
また、セキュリティ動作(2)を行わない場合、冷蔵庫2aは、APモードを常時または周期的に実行してもよい。この場合、冷蔵庫2aのモード制御部231aは、洗濯機2bの設置前(すなわち、洗濯機2bが通信装置接続情報を取得する前)の状態において、APモードを常時または周期的に実行するよう制御して、新たな家電機器2からの接続を待ち受ける。そして、冷蔵庫2aは、洗濯機2bへ通信装置接続情報を送信した後も、引き続きAPモードを常時または周期的に実行して、新たな第二家電機器を待ち受ける。また、洗濯機2bのモード制御部231bは、通信装置1との無線接続を確立した後に、APモードを常時または周期的に実行するよう制御してもよい。これにより、冷蔵庫2aに加えて洗濯機2bも、新たな家電機器2からの接続を待ち受け、第一家電機器として動作する。あるいは、洗濯機2bがAPモードによる動作を開始する場合、冷蔵庫2aはAPモードを終了してもよい。例えば、冷蔵庫2aのモード制御部231aは、洗濯機2bが通信装置1と無線接続を確立した後に通信装置1又は洗濯機2bから、あるいは、無線接続完了通知を受信した端末装置3から、無線接続完了通知を受信してAPモードを停止する。冷蔵庫2aのモード制御部231aは、APモードを開始した洗濯機2bからブロードキャストされる洗濯機2bのSSIDを受信した場合にAPモードを停止してもよい。
【0060】
図7は、端末装置3に表示される画面の遷移を示す図である。端末装置3が新規家電機器通知を受信すると、家電接続指示部321は、接続許可問合画面400を表示部33に表示する。接続許可問合画面400は、メッセージ表示領域401と、接続許可ボタン402と、接続不可ボタン403とを有する。メッセージ表示領域401には、新規の家電機器2が検出された旨と、接続を許可するか否かの問い合わせとを含んだメッセージが表示される。新規家電機器通知に洗濯機2bに関する情報が設定されている場合、家電接続指示部321は、メッセージ表示領域401に、その情報を表示してもよい。例えば、家電接続指示部321は、「洗濯機が見つかりました。」と表示する。ユーザが接続許可ボタン402をタッチすると、端末装置3の家電接続指示部321は、接続許可応答を通信部31から送信する。ユーザが接続不可ボタン403をタッチすると、家電接続指示部321は、接続不可応答を通信部31から送信する。
【0061】
ユーザが接続許可ボタン402をタッチした後、端末装置3が無線接続完了通知を受信すると、家電接続指示部321は、接続完了画面410を表示部33に表示する。接続完了画面410は、メッセージ表示領域411と、確認ボタン412とを有する。メッセージ表示領域411には、接続が完了した旨のメッセージが表示される。ユーザが確認ボタン412をタッチすると、家電接続指示部321は、接続完了画面410の表示を終了する。
【0062】
なお、1台目の家電機器2は、接続情報取得部232を備えず、相互接続家電機器情報を記憶しなくてもよい。また、通信装置接続情報を提供しない家電機器2は、接続情報提供部233を備えなくてもよい。通信装置接続情報を提供しない家電機器2は、ステーションモードで動作し、APモードで動作しない場合、モード制御部231を備えなくてもよい。
【0063】
続いて、相互接続グループの拡大について説明する。ここでは、家電機器メーカAの家電機器2を家電機器(A)、家電機器メーカBの家電機器2を家電機器(B)と記載する。また、第一家電機器が家電機器メーカAの冷蔵庫2aであり、第二家電機器が家電機器メーカBの洗濯機2bであるとする。家電機器2同士の接続が、同じ家電機器メーカに限定されている場合、冷蔵庫2aの記憶部22aには家電機器メーカAを表す許可コードが記憶される。
【0064】
冷蔵庫2aがホームネットワークに接続された後、家電機器メーカAの家電機器(A)と家電機器メーカBの家電機器(B)との相互接続が可能になったとする。管理サーバ4は、家電機器メーカBを表す許可コードを冷蔵庫2aに配信する。冷蔵庫2aの更新部234aは、受信した許可コードを記憶部22aに追加する。洗濯機2bの記憶部22bには、出荷時に、接続情報リストと、家電機器メーカAを表す許可コード及び家電機器メーカBを表す許可コードとが書き込まれる。記憶部22bに書き込まれる接続情報リストの相互接続家電機器情報には、冷蔵庫2aを含む各家電機器(A)の家電機器接続情報と、各家電機器(B)の家電機器接続情報が設定される。
【0065】
上記のように冷蔵庫2aが記憶する許可コードを更新することにより、冷蔵庫2aは、
図6のステップS135において洗濯機2bから無線接続を受けた場合に、ステップS145において接続を許可すると判定できる。よって、家電機器2の相互接続が可能な家電機器メーカが増加した場合でも、相互接続が可能となる前に設置された家電機器2から、その家電機器2の設置後に相互接続が可能となった家電機器メーカの家電機器2に対して、通信装置接続情報を提供することができる。なお、相互接続が可能な家電機器メーカの家電機器2において、認証キーの更新アルゴリズムを共通にする。
【0066】
また、家電機器2に記憶される相互接続家電機器情報への通信装置接続情報の追加は、当該家電機器2の出荷後、事後的に行うことが可能である。例えば、管理サーバ4が、相互接続家電機器情報へ追加する通信装置接続情報を家電機器2に送信することにより、自動的に追加を行ってもよい。管理サーバ4は、この追加する通信装置接続情報を、外部ネットワークを介して接続される接続情報提供サーバから取得してもよい。家電機器2の更新部234は、記憶部22に記憶している接続情報リストの相互接続家電機器情報に、管理サーバ4から受信した通信装置接続情報を追加する。家電機器2に追加する通信装置接続情報は、当該家電機器2と同じ家電機器メーカの他の家電機器2の通信装置接続情報でもよく、相互接続が可能な他の家電機器メーカの家電機器2の通信装置接続情報でもよい。冷蔵庫2aがホームネットワークに接続された後、家電機器メーカAの家電機器(A)と家電機器メーカBの家電機器(B)との相互接続が可能になった上記の例の場合、管理サーバ4は、冷蔵庫2aに家電機器(B)の家電機器接続情報を送信する。冷蔵庫2aの更新部234aは、記憶部22aに記憶される接続情報リストの相互接続家電機器情報に、受信した家電機器(B)の家電機器接続情報を追加する。これにより、冷蔵庫2aがステーションモードで動作する場合に、APモードで動作する家電機器(B)に接続することが可能となる。このように、管理サーバ4を通じて自動的に追加が行われると、ユーザにとって便利である。
【0067】
あるいは、家電機器2の更新部234は、操作部24によるユーザの操作に従って、管理サーバ4を経由せずに接続情報提供サーバへアクセスし、相互接続家電機器情報へ追加する通信装置接続情報を取得してもよい。この場合、更新部234は、接続情報提供サーバから取得した通信装置接続情報を管理サーバ4へ送信し、真正性を問い合わせてもよい。更新部234は、問い合わせに対応して管理サーバ4から真正性を表す情報を受信した場合に、接続情報提供サーバから取得した通信装置接続情報を、記憶部22に記憶している接続情報リストの相互接続家電機器情報に追加する。このように、管理サーバ4を経由せずに取得した通信装置接続情報については、真正性が確認された場合にのみ追加を行うようにすることが、セキュリティ確保の観点から好ましい。
【0068】
なお、複数メーカが参加する規約に準拠する家電機器2については共通の相互接続家電機器情報を設定しておくとよい。規約に準拠する各メーカの全ての種類(冷蔵庫、洗濯機など)の家電機器2に共通の相互接続家電機器情報を設定してもよく、規約に準拠する各メーカの同じ種類の家電機器2に共通の相互接続家電機器情報を設定してもよい。この場合は特に、相互接続家電機器情報(SSID及び認証キー)を秘密に管理することが難しくなる。そこで、現在時刻などに基づき所定のアルゴリズムにより認証キーが変動するようにするとよい。
【0069】
また、例えば、家電機器2同士の接続が、同じ家電機器メーカBに限定されており、その後に家電機器メーカAの家電機器(A)と家電機器メーカBの家電機器(B)との相互接続が可能になったとする。そして、相互接続が可能となる前に、家電機器メーカBの洗濯機2bが出荷され、相互接続が可能となった後に、家電機器メーカAの冷蔵庫2aが出荷されたとする。洗濯機2bには、家電機器(B)の家電機器接続情報を含んだ相互接続家電機器情報と、家電機器メーカBを表す許可コードが書き込まれている。冷蔵庫2aには、家電機器(A)の家電機器接続情報及び家電機器(B)の家電機器接続情報を含んだ相互接続家電機器情報と、家電機器メーカAを表す許可コード及び家電機器メーカBを表す許可コードが書き込まれている。ユーザが、冷蔵庫2aを第一家電機器として通信装置1に接続した後に、第二家電機器として洗濯機2bを購入した場合、以下のいずれかの方法により、洗濯機2bを冷蔵庫2aに接続し、洗濯機2bは冷蔵庫2aから通信装置接続情報を取得する。
【0070】
1つ目は、家電機器メーカAの家電機器(A)と家電機器メーカBの家電機器(B)とに共通したルールの家電機器接続情報を用いる方法である。例えば、家電機器(A)の自接続情報に、家電機器(B)が自接続情報として用いている家電機器接続情報を用いる。さらに、家電機器(A)の相互接続家電機器情報に、家電機器(B)に設定されている相互接続家電機器情報を設定してもよい。なお、冷蔵庫2aと同じ家電機器接続情報を自接続情報として用いる他の家電機器2が通信装置1に接続されている可能性がある。そこで、冷蔵庫2aのみをAPモードで動作させ、他の家電機器2をAPモードで動作させないようにする。これにより、洗濯機2bは、冷蔵庫2aのみをAPとして検出し、クライアントとして接続することができる。
【0071】
2つ目は、冷蔵庫2aが、自接続情報として家電機器(B)の家電機器接続情報を用いる方法である。洗濯機2bの相互接続家電機器情報には、家電機器(B)の家電機器接続情報が設定されているが、家電機器(A)の家電機器接続情報は設定されていない。そこで、冷蔵庫2aは、APモードで動作するときに、家電機器(B)の家電機器接続情報を自接続情報として用いることにより、APモードの家電機器(B)であるかのように振る舞う。具体的には、管理サーバ4は、家電機器メーカAの家電機器(A)に、家電機器メーカBのいずれかの家電機器(B)の家電機器接続情報を第二自接続情報として配信する。この第二自接続情報は、洗濯機2bが記憶する相互接続家電機器情報に含まれている。冷蔵庫2aのモード制御部231aは、APモードとして動作するときに、自接続情報に代えて、管理サーバ4から受信した第二自接続情報を用いるよう通信部21aを制御する。なお、冷蔵庫2aのモード制御部231aは、APモードの開始時には、自接続情報を用いるよう制御してもよい。冷蔵庫2aのモード制御部231aは、他の家電機器2からの無線接続が所定時間以上ない場合に、ユーザが操作部24aにより指示を入力した場合に、又は、周期的に切り替えを行うことにより、第二自接続情報を用いるよう制御する。冷蔵庫2aのモード制御部231aは、接続情報送信部2334aが洗濯機2bに通信装置接続情報を配信した後は、APモードで動作するときに自接続情報を用いる。
【0072】
3つ目は、第二家電機器である洗濯機2bがAPモードで動作する方法である。
図8は、第二家電機器がAPモードで動作する場合の家電システム10の動作を示すシーケンス図である。
図8において、
図6に示すシーケンス図と同じ処理には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0073】
出荷時に冷蔵庫2aの記憶部22aに書き込まれる接続情報リストには、洗濯機2bの家電機器接続情報を含んだ相互接続家電機器情報が設定されている(ステップS205)。冷蔵庫2aは通信装置1と接続済であり(ステップS105)、通信装置接続情報を保持している(ステップS110)。また、端末装置3も、通信装置1と接続済みである(ステップS115)。
【0074】
ユーザは購入した洗濯機2bがユーザ宅内に設置された後、洗濯機2bの電源を投入する(ステップS130)。さらに、ユーザは、洗濯機2bの操作部24bによりAPモードの開始を入力する。洗濯機2bのモード制御部231bは、APモードで動作するよう通信部21bを制御する(ステップS210)。通信部21bは、接続情報リストに設定されている自機器のSSIDを所定周期でブロードキャストする。一方で、洗濯機2bの更新部234bは、洗濯機2bの初期値の認証キーを接続情報リストから読み出す。更新部234bは、読み出した認証キーを周期的に更新する。
【0075】
冷蔵庫2aの通信部21aは、洗濯機2bからブロードキャストされたSSIDを受信し、受信したSSIDを接続情報提供部233aに通知する。検知部2331aは、受信したSSIDが接続情報リストの家電機器接続情報に含まれているため、新たな家電機器2の接続を検知する(ステップS215)。検知部2331aは、受信したSSIDに対応付けられた初期値の認証キーを読み出す。更新部234aは、読み出した初期値の認証キーに対して、洗濯機2bと同じアルゴリズムによる演算を行い、認証キーを算出する。検知部2331aは、受信したSSIDと、算出された認証キーとを用いた無線接続を通信部21aに指示する。冷蔵庫2aの通信部21aは、検知部2331aの指示に従って洗濯機2bの通信部21bに無線接続を行う(ステップS220)。
【0076】
ステップS145~ステップS190の家電システム10の処理は
図6と同様である。ただし、ステップS180の処理の後、洗濯機2bのモード制御部231bは、ステーションモードで動作するよう通信部21bを制御する(ステップS225)。
【0077】
なお、家電システム10は、相互接続グループの変更に有無にかかわらず、
図8の処理を行ってもよい。また、
図8のステップS210の処理により、洗濯機2bをAPモードで動作させると、通信装置1に接続済みの複数の家電機器2から無線接続を受けることがある。この場合、洗濯機2bは、最も早く受信した無線接続要求の送信元など、1台の家電機器2を選択して無線接続する。
【0078】
なお、家電システム10は、端末装置3を有さなくてもよい。この場合、冷蔵庫2aは、ステップS150~S170の処理を行わずにステップS175の処理を行う。洗濯機2bは、ステップS190の処理を行わない。
【0079】
また、家電システム10は、管理サーバ4を有さなくてもよい。この場合、家電機器2が記憶する許可コードの更新は行われない。また、通信装置1は、外部のネットワークと接続されず、ホームネットワークにおけるデータ転送のみを行ってもよい。
【0080】
また、家電機器2は、セキュリティ動作(3)のフィルタリングを行わない場合、フィルタリング部2332を備えない。フィルタリングを行わない場合、相互接続が可能な家電機器2が増えた場合でも、管理サーバ4から許可コードの追加を家電機器2へ指示する必要はない。
【0081】
上述した実施形態では、既に1台の家電機器2が家の中に設置されており、その家電機器2が管理サーバ1や端末装置3とホームネットワーク及び外部ネットワークを介して遠隔通信可能に登録された状態において、新たに2台目以降の家電機器2が家の中に設置された場合に、その2台目以降の家電機器2の電源が投入されたことを契機に、接続処理が開始されることを説明した。これに限らず、2台目以降の家電機器2である第二家電機器は、ユーザの操作を契機に接続処理を開始してもよい。具体的には、ユーザは、第二家電機器の操作部24により、通信機能を利用するか否かのユーザの意思を入力する操作を行う。第二家電機器の接続制御部2321は、通信機能の利用を入力する操作が行われた旨の通知を操作部24から受信した場合に、接続処理を開始する。あるいは、第二家電機器は、ここでいう電源が投入されたこと、すなわち、電源スイッチがONになったことではなく、コンセントに電源プラグが挿入されて第二家電機器に電気が供給されたことを契機に、接続処理を開始してもよい。
【0082】
上述の実施形態では、新規家電機器通知に対してユーザが接続を許可しなかった場合、第一家電機器と第二家電機器との接続処理を終了し、新たに検知された第二家電機器には通信のための情報の登録を行わないことを説明した。この場合、ユーザが接続を許可しなかったその第二家電機器については、以後、ホームネットワーク上で検出されても、ユーザに接続可否を確認することなく接続処理を進めないようにしてもよい。例えば、第一家電機器の検知通知部2333は、新規家電機器通知に対して端末装置3から接続不可応答を受信した場合、又は、接続不可を示す操作が行われた旨の信号を操作部24から受信した場合、第二家電装置の識別情報を設定した接続不可家電情報を記憶部22に記憶する。さらに、第一家電機器の検知通知部2333は、ホームネットワークに接続されている家電機器2又は管理サーバ4に接続不可家電情報を送信する。家電機器2及び管理サーバ4は、第一家電機器から受信した接続不可家電情報を記憶する。第一家電機器を含む家電機器2は、接続不可家電情報の記憶後、その接続不可家電情報により特定される他の家電機器2から無線接続を受けた場合、接続処理を行わない。また、管理サーバ4は、接続不可家電情報の記憶後、第一家電装置として動作する家電機器2から受信した新規家電機器通知に、接続不可家電情報が示す家電機器2の識別情報が設定されている場合、接続不可応答を返送する。一般に家電機器2は、通信機能を使用しなくても、冷蔵や洗濯、空調などといった家電機器そのものの機能を使用することは可能である。上記のように接続処理を進めないようにすることにより、特定の家電機器2については通信機能を使用する意思のないユーザにまで何度も通信の接続可否を確認して煩わしさを感じさせることを避けることができる。新たに設置された家電機器2を通信可能とするための接続処理の開始契機として、電源が投入されたことを利用する実施態様の場合に特に有益である。
【0083】
上述の実施形態では、2台目以降の家電機器2に通信装置接続情報が登録されて新たにホームネットワークに接続可能となり、端末装置3及び管理サーバ4との遠隔通信も可能となった後、その新たに接続可能となった家電機器2と、最初にホームネットワークに接続されていた家電機器2とのいずれもがAPモードを続けてもよいし、新たに接続可能となった家電機器2だけがAPモードを行い、最初に接続されていた家電機器2についてはAPモードを止めてもよいことを説明した。これに限らず、APモードを続ける家電機器2を別の方法で特定してもよい。
【0084】
例えば、ホームネットワークに設置された通信装置1に接続される複数の家電機器2のうち、最初に通信装置1に接続された、又は、管理サーバ4に登録された家電機器2だけがAPモードを継続してもよい。あるいは、APモードを継続する家電機器2をユーザが選択できるようにしてもよい。この場合、ユーザは、APモードを継続する家電機器2に対して、APモードの継続を指示する操作を操作部24により行う。この家電機器2への操作に代えて、ユーザは、端末装置3を用いて、管理サーバ4にAPモードを継続する家電機器2の識別情報を送信し、管理サーバ4は、受信した識別情報の家電機器2にAPモードの継続指示を送信してもよい。操作部24によりAPモードの継続を指示する操作が行われた、又は、APモードの継続指示を管理サーバ4から受信した家電機器2はAPモードを継続し、他の家電機器2はAPモードを継続しない。なお、ユーザは、APモードを継続しない家電機器2に、APモードの終了を指示する操作を操作部24により行ってもよい。また、管理サーバ4は、APモードを継続しない家電機器2にAPモードの終了指示を送信してもよい。
【0085】
またあるいは、生成した乱数に基づきAPモードを続ける家電機器2を選択してもよい。例えば、ホームネットワークに接続されているいずれかの家電機器2又は管理サーバ4は、乱数を生成し、生成した乱数に基づいて、ホームネットワークに接続されている家電機器2のうち、APモードを続ける家電機器2を選択する。家電機器2又は管理サーバ4は、選択した家電機器2にAPモードの継続指示を送信する。
【0086】
またあるいは、出荷時において家電機器2それぞれに固有の優先順位を予め設定することにより、APモードを続ける家電機器2を一意に定めることができる。例えば、通信装置1を介してホームネットワークに接続された各家電機器2は、記憶部22に記憶されている自機器の優先順位の情報を他の家電機器2に送信する。各家電機器2のモード制御部231は、自機器の優先順位が最も高い場合はAPモードを継続し、自機器の優先順位がいずれかの他の家電機器2の優先順位よりも低い場合はAPモードを終了する。また、管理サーバ4が同一のホームネットワークに接続される複数の家電機器2それぞれから優先順位の情報を受信し、最も高い優先順位の家電機器2にAPモードの継続指示を送信してもよい。
【0087】
上記では、無線LANを例に説明したが、通信装置1と家電機器2及び端末装置3とは、Bluetooth(登録商標)など他の無線通信方式を用いて通信してもよい。Bluetooth(登録商標)を用いる場合、通信装置接続情報は、通信装置1のMACアドレス、及び、通信装置1との通信を暗号化するためのリンクキーの生成に用いられるパスキーである。通信装置1のMACアドレスは、通信装置1が送信するビーコンに設定される。通信装置1が家電機器2と有線通信する場合は、家電機器2をケーブル等により通信装置1と接続してもよく、電力線搬送通信を用いてもよい。このような有線通信には、例えば、有線LANが用いられる。住宅の建物に予め有線LANのポートが敷設されている場合、そのポートに通信装置1及び家電機器2を、LANケーブルにより接続する。有線通信の場合、通信装置接続情報は、通信装置1の識別情報(例えば、通信装置1のアドレス情報)、及び、通信装置1との通信を暗号化するために用いられるキー又はそのキーの生成に用いられる情報である。また、家電機器接続情報は、家電機器2の識別情報(例えば、家電機器2のアドレス情報)、及び、家電機器2との通信を暗号化するために用いられるキー又はそのキーの生成に用いられる情報である。
【0088】
上記によれば、ユーザが購入した第二家電機器は、ルータなどの通信装置に接続済の第一家電機器と通信して、第一家電機器が通信装置と通信するために用いている通信装置接続情報を取得し、取得した通信装置接続情報を用いて通信装置と接続する。よって、第一家電機器が通信装置に接続済みであれば、ユーザが第一家電機器の後に購入した第二家電機器に通信装置と接続するための情報を入力しなくても、第二家電機器は通信装置と接続することができる。
【0089】
また、第一家電機器及び第二家電機器は、通信装置接続情報を用いて通信装置と無線通信する。よって、ユーザが、購入した家電機器を有線ネットワークに物理的に接続するための手間を省くことができる。また、無線通信に無線LANやBluetooth(登録商標)などを用いることにより、第一家電機器及び第二家電機器の通信部として一般的な通信モジュールを利用できる。
【0090】
また、第一家電機器は、ステーションモードで通信装置と、APモードで第二家電機器と同時に通信することが可能である。そして、第一家電機器は、第二家電機器の設置前や電源投入前に、APモードを常時又は周期的に実行して第二家電機器からの接続を待ち受ける。よって、第一家電機器は、通信装置との通信を継続しながら、第二家電機器からの接続を受け、通信装置接続情報を提供することができる。あるいは、第二家電機器がAPモードで動作することにより、ユーザ宅内に設置済みの第一家電機器は、新たにユーザ宅内に設置された第二家電機器を発見して、通信装置接続情報を提供することができる。
【0091】
また、第二家電機器には、例えば、出荷時などに予め、第一家電機器との通信に用いる家電機器接続情報が設定される。よって、ユーザが第二家電機器に第一家電機器と接続するための情報を入力しなくても、第二家電機器は第一家電機器に接続して、通信装置と接続するための情報を取得することができる。
【0092】
また、規約に準拠する各家電機器には、同じ第二接続情報が設定される。よって、例えば、ユーザが購入済みの家電機器と同じ家電機器メーカの他の家電機器や相互接続可能な家電機器メーカの家電機器を新たに購入した場合に、ユーザが設定を行わなくてもその新たに購入した家電機器を通信装置に接続可能である。
【0093】
また、第二家電機器は、電源投入後、通信装置接続情報を未取得である場合には、第一家電機器に接続して通信装置接続情報を取得する。よって、ユーザが第二家電機器の購入後、電源を最初に電源を投入するだけで、第二家電機器は通信装置接続情報を取得することができる。
【0094】
また、第一家電機器は、第二家電機器との通信の開始をユーザの端末装置に通知する、又は、第一家電機器のディスプレイに表示する。よって、ユーザは、第二家電機器が通信装置と接続するための処理を正常に開始したことを知ることができる。また、近隣の他のユーザの家電機器から管理サーバ4やユーザの端末装置3との通信を可能とする接続処理が試みられた場合に、その旨を知ることができる。そして、第一家電機器は、ユーザの端末装置から接続許可を受信した場合に、又は、第一家電機器に接続許可の操作が行われた場合に、通信装置接続情報を第二家電機器に送信する。よって、ユーザの意思により、第二家電機器を通信装置に接続するか否かを決定することができる。また、近隣の他のユーザの家電機器が第一家電機器に接続されてしまった場合に、ユーザは自分の通信装置に他のユーザの家電機器を接続しないようにすることができる。
【0095】
また、第二家電機器は、接続している第一家電機器から通信装置接続情報を取得すると、その通信装置接続情報を用いて接続先を通信装置に切り替える。よって、ユーザが操作をしなくても、第二家電機器は通信装置に接続することができる。また、第一家電機器と第二家電機器との間の通信を必要以上に継続させることがないため、第一家電機器の処理負荷を軽減することができる。
【0096】
また、通信装置は、ゲートウェイとしての機能を有する。よって、家電機器をインターネットなどの外部ネットワークと接続することができる。
【0097】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、接続情報送信部及び接続情報取得部を持つことにより、家電機器を通信装置に接続するためのユーザの手間を軽減することができる。
【0098】
家電機器2及び端末装置3は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行することによって上述した機能を備える装置として機能する。なお、家電機器2及び端末装置3の各機能の一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上述した機能を実行させるためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
1…通信装置、2…家電機器、2a…冷蔵庫、2b…洗濯機、2c…オーブンレンジ、3…端末装置、4…管理サーバ、10…家電システム、21…通信部、22…記憶部、23…制御部、24…操作部、25…出力部、26…時計、27…家電機能部、31…通信部、32…制御部、33…表示部、34…入力部、231…モード制御部、232…接続情報取得部、233…接続情報提供部、234…更新部、321…家電接続指示部、2321…接続制御部、2322…取得部、2323…接続完了通知部、2331…検知部、2332…フィルタリング部、2333…検知通知部、2334…接続情報送信部