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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】粒子特性評価
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/02 20060101AFI20230518BHJP
   G01N 21/51 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
G01N15/02 C
G01N21/51
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019552113
(86)(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2018057033
(87)【国際公開番号】W WO2018172362
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】17162676.5
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518101646
【氏名又は名称】マルバーン パナリティカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コーベット ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】マルム アレックス
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-527997(JP,A)
【文献】米国特許第08854621(US,B1)
【文献】米国特許第06052184(US,A)
【文献】特開2011-059048(JP,A)
【文献】特開平06-317513(JP,A)
【文献】Xinjun Zhu,Analysis of noisy dynamic light scattering data using constrained regularization techniques,APPLIED OPTICS,Optical Society of America,2012年11月01日,Vol. 51, No. 31,pp.7537-7548,https://doi.org/10.1364/AO.51.007537
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/14
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の粒子を特性評価する方法であって、
照射光線と試料との相互作用によって生成される散乱光の測定値の時系列を含む散乱測定値を検出器から取得することであって、前記時系列は光子到達時間の個別のビンを含み、各ビンは時間に対応し、各ビンでの光子到達時間のカウントは、対応する時間での強度を示す、取得することと、
散乱測定の少なくともいくつかのビンの中で散乱強度を低減することにより、不純物からの散乱寄与を補償することを含み、補正された散乱測定値を生成することと、
前記補正された散乱測定値から粒子特性を決定することと、
を含み、
前記散乱強度を低減することは、前記散乱測定値をハイパスフィルタリングすることを含む、方法。
【請求項2】
前記散乱強度を低減することは、記録された散乱測定値を修正することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記散乱強度を低減することは、前記散乱測定値から前記ハイパスフィルタリングのカットオフ周波数を決定することを含
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カットオフ周波数を決定することは、前記散乱測定値のスペクトルコンテンツ内の統計的外れ値を見つけることを含む、
請求項に記載方法。
【請求項5】
粒子を特性評価する装置であって、
光源と、
試料セルと、
検出器と、
プロセッサと、を含み、
前記光源は、前記試料セル内の試料に光線を照射して、前記光線と前記試料との相互作用により散乱光を生成するように動作可能であり、
前記検出器は、前記散乱光を検出して、測定値の時系列を生成するように構成され、
前記プロセッサは、
前記検出器からの前記散乱光の測定値の時系列を含む散乱測定値を取得し、前記時系列は光子到達時間の個別のビンを含み、各ビンは時間に対応し、各ビンでの光子到達時間のカウントは、対応する時間での強度を示し、
散乱測定の少なくともいくつかのビンの中で散乱強度を低減することにより不純物からの散乱寄与を補償することを含み、補正された散乱測定値を生成し、
前記補正された散乱測定値から粒子特性を決定するように構成され
前記散乱強度を低減することは、前記散乱測定値をハイパスフィルタリングすることを含む、
装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、粒子特性評価装置、及び適応光子相関分光法を含み得る粒子特性評価方法に関する。
光子相関分光法(動的光散乱法、又はDLSともいう)は、試料のある領域から散乱する光の強度の経時的変化によって、粒子の特性を評価する技術である。散乱光の測定値の時系列が、試料中に分散している粒子の粒径又は粒径分布を決定するために用いられる。
【0002】
国際特許出願公開公報WO2009/090562において論じられているように、照射光の波長より小さい粒子により散乱される光の強度が、粒径に強く関連することは、周知である。粒子半径が照射光の波長の0.1未満であるレイリー散乱限界において、散乱光の強度は粒子半径の6乗に比例する。また、そのような小さい粒子から散乱される光は、ほぼ等方的である。したがって、典型的には粒径0.3nm~20nmのタンパク質の分散において、例えば粒径が100nmを超える凝集体又はフィルタ阻害粒子は、試料中の光学的検出ボリュームから拡散し終わるまで、信号の大部分を占める可能性がある。しばしば用いられるキュムラント換算においては、Z平均及び多分散性指数(Pdi)の出力が、比較的大きな断片によって大きく歪められ得る。
【0003】
不純物に対するこのような敏感性は、注意深い試料調製の重要性を強調する多くの文献によって知られているが、フィルタ阻害物又は凝集体の存在を完全に回避することは難しい。
【0004】
主に小径粒子を含むが、より大径の粒子も含む試料の光散乱測定は、複数の大径粒子に対して、又は個々の大径粒子に対してさえ、非常に敏感になり得る。大径粒子は、小径粒子が特性評価され得る品質を低下させる可能性がある。このような大径粒子は、望ましくない不純物、つまり、一次粒子の凝集体又は何らかの他の物質であり得る。
【0005】
試料からの回析光/散乱光のパターンを解析することにより粒子特性評価を行うことも、周知である。その光源は、一般にレーザであり、この種の解析は、レーザ回析解析又は静的光散乱(SLS)と称されることもある。大径粒子は、静的光散乱測定やレーザ回析測定においても問題となり得る。すなわち、大径粒子からの散乱が小径粒子から散乱される比較的少量の光を不明瞭にし得る。
【0006】
米国特許出願公開公報US2014/0226158(Trainer)は、複数の光散乱データセットを取ることで光散乱測定を行うことを開示している。各データセットはある時間(例えば、1秒)に対応している。Trainerは、アルゴリズムを使用して、データセットを類似の特性(例えば、大径粒子を含むという特性)を有するグループに分類することを開示している。各グループは別々に反転されて、複数の粒径分布が生成される。複数の粒径分布は、その後、総信号時間によって重み付けされ、且つ、各チャネルサイズで合計され、総粒子粒径分布が形成される。データセットを分類するために提案されたアルゴリズムは、フーリエ変換又はアナログ電子バンドパスフィルタを用いて決定されるある複数の帯域内のスペクトルパワーの測定に基づく。代替として、Trainerは、異なる周波数帯域に代えて、異なる遅れ時間の帯域を用い、データセットの自己相関関数を用いて、データセットを分類することを提案している。
【0007】
光散乱による粒子特性評価のための改良された方法及び装置が望まれる。
本発明の一局面によれば、試料中の粒子を特性評価する方法が提供されており、該方法は、照射光線と試料との相互作用によって生成される散乱光の測定値の時系列をそれぞれ含む複数の散乱測定値を検出器から取得することと、各散乱測定値から分離パラメータを決定することと、分離パラメータから分離基準を決定することと、各散乱測定値の分離パラメータを分離基準と比較することにより、不純物が前記散乱光に影響していた汚染された散乱測定値を特定することと、汚染された散乱測定値として特定されていない散乱測定値から粒子特性を決定することと、を含む。
【0008】
散乱測定値を異常であるか又は汚染されているとして分類する動的基準を用いることは、適切な場合には、例えば、高度に多分散性である可変試料の場合には、大径粒子からの散乱データを含め、また、適切な場合には、例えば、多分散性の低い試料中の不純物又は凝集体を拒絶する場合には、大径粒子からの散乱を除外又は補正するのに足るだけのロバスト性を当該方法が有し得ることを意味する。
【0009】
本発明の一局面によれば、試料中の粒子を特性評価する方法が提供されており、該方法は、照射光線と試料との相互作用によって生成される散乱光の測定値の時系列をそれぞれ含む複数の散乱測定値を検出器から取得することと、不純物が前記散乱光に影響していた汚染された散乱測定値を特定することと、汚染された散乱測定値として特定されていない各散乱測定値の自己相関関数を決定し、且つ、前記自己相関関数を組み合わせて、粒子特性を導き出すための平均自己相関関数を生成することで、汚染された散乱測定値として特定されていない散乱測定値から粒子特性を決定することと、を含む。
【0010】
本発明の一局面によれば、試料中の粒子を特性評価する方法が提供されており、該方法は、照射光線と試料との相互作用によって生成される散乱光の測定値の時系列を含む散乱測定値を検出器から取得することと、散乱測定の少なくとも幾つかの時間の中で散乱強度を低減することにより、不純物からの散乱寄与を補償することを含み、補正された散乱測定値を生成することと、前記補正された散乱測定値から粒子特性を決定することと、を含む。
【0011】
散乱測定値は、時間に対する散乱強度の測定値を含み得る。散乱測定値は、検出器での一連の光子到達時間を含み得る。こういった一連の散乱強度は、光子到達時間をビニングすることにより定められ得、各ビンは時間に対応する。各ビンでの光子到達時間のカウントは、対応する時間(ビン)での強度(光子計数率)を指す。
【0012】
散乱強度を低減することは、散乱測定値をハイパスフィルタリングすることを含んでもよい。これは、不純物の特性である、比較的低周波の散乱寄与を除去し得る。ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、少なくとも0.5Hz、1Hz、2Hz、5Hz、10Hz、20Hz、又は50Hzであってもよい。このハイパスフィルタは、バターワース、チェビシェフ、ハニングウィンドウなど、適切などのフィルタでもよい。
【0013】
散乱強度を低減することは、不純物からの散乱寄与のモデルを決定し、その後、散乱測定値からモデルを差し引くことを含んでもよい。
モデルを決定することは、散乱測定値をローパスフィルタ処理すること、又は散乱測定値をスムージング処理することを含んでもよい。これは、不純物からの散乱信号(周波数がより低い傾向にある)を維持しながら、対象の粒子からの光散乱を表現する可能性が高い高周波散乱信号を除去する効果を有する。モデルは、散乱測定値のローパスフィルタ処理された又は平滑化されたバージョンを含んでもよい。よって、散乱測定値のローパスフィルタ処理されたバージョンを除去することにより、「よりきれいな」散乱測定値が生成され得る。
【0014】
ローパスフィルタ処理又はスムージング処理は、移動平均、Savitsky Golayフィルタ、又は、ハイパスフィルタを参照して上述したいずれのフィルタタイプを含んでもよい。ローパスフィルタ用のカットオフ周波数は、ハイパスフィルタを参照して上述した値と同じであってもよい。
【0015】
モデルは、散乱測定値に対するフィット値を含んでもよい。計数率の波形がスパイクを含む場合など、スムージング処理を適用するよりもより適している場合があり得る。散乱測定値の中のスパイクは、ピーク関数(ガウス、ローレンツ、ヴォイトなど)を用いて適合されてもよい。フィット値は、ピークが閾値を超える強度に関して特定される領域で適用されてもよい。或いは、フィット値は、平滑化された散乱信号の導関数がいつゼロクロスするかを見つけるなど、他のピーク検出方法が適用されてもよい。
【0016】
散乱強度を低減することは、散乱測定値から不純物パラメータを決定することを含み、散乱強度を低減する工程は、不純物パラメータに対応している(結果、不純物パラメータは、散乱強度の低減量と散乱強度を低減する時間の少なくとも1つに影響する)。不純物パラメータは、例えば、上述のハイパスフィルタやローパスフィルタのカットオフ周波数を含んでもよい。不純物パラメータは、代替的に又は付加的に、不純物散乱に対応する閾値強度(例えば、計数率)を含み得る。
【0017】
散乱データから不純物パラメータを決定することは、不純物散乱の低減がデータのタイプに対応する動的プロセスであることを意味する。この結果は、高多分散性の試料と単分散性の試料との両方の解析に適するよりロバスト性のある方法である。
【0018】
散乱測定値から不純物パラメータを決定することは、前記散乱測定値のスペクトルコンテンツ内の統計的外れ値を見つけることを含んでもよい。
不純物パラメータを決定することは、散乱測定値の複数の時間それぞれのスペクトルコンテンツを決定することを含んでもよい。例えば、測定値の時系列は、一連のより短い散乱測定値を含み、各散乱測定値のスペクトルコンテンツが決定されてもよい。各時間のスペクトルコンテンツを決定するために、フーリエ変換を用いてもよい。
【0019】
不純物パラメータを決定することは、周波数の領域それぞれでスペクトルパワーの統計的性質を決定することを含んでもよい。統計的性質は、平均値及び/又は標準偏差を含んでもよい。周波数の領域は、過渡的な不純物が大きな寄与を果たし得ることが予測される周波数の領域を含んでもよい。周波数の領域は、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、又は100Hzまでを含んでもよい。カットオフ周波数は、どの時間も外れ値であるスペクトルパワーを含まない最低周波数を周波数領域内で見つけることにより、決定されてもよい。
【0020】
測定値(例えば、スペクトルパワー)は、平均値から閾値偏差分以上外れる場合に、外れ値と見なされてもよい。閾値偏差は、標準偏差(例えば、2又は3標準偏差)を参照して決定されてもよい。
【0021】
散乱測定値の少なくとも1つの時間内で散乱強度を低減することは、調整された散乱測定値を生成してもよい。
時間の経過と共に振幅が変動する有意な信号を生成するために、少なくとも幾つかのビン時間の間に1より多い光子到達を含むのに十分な幅のあるビン幅を選定することが必要である。散乱強度のビニングされた時間履歴の時間分解能は、ビンの時間幅によって制限される。これは、ビニングされた時間履歴から導出されるコレログラムは、非常に短い減衰時間を分解しないであろうことを意味する。つまり、生の光子到達時間データで利用可能な時間分解能は、信号をビニングすることで破棄されざるを得ない。
【0022】
補正された散乱測定値を生成することは、補正されない散乱測定値(例えば、一連の光子到達時間)から導出される生の自己相関関数の部分を調整された散乱測定値から導出される調整された自己相関関数の部分と組み合わせることにより、複合自己相関関数を生成することを含んでもよい。生の自己相関関数の部分は、選択された遅延時間と同じかそれより短い遅延時間に対応してもよい。調整された自己相関関数の部分は、前記選択された遅延時間と同じかそれより長い遅延時間に対応してもよい。生の自己相関関数は、選択された遅延時間で調整された自己相関関数と連続するように正規化(すなわち、係数により乗算)されてもよい。
【0023】
選択された遅延時間は、50から200マイクロ秒の範囲にあってもよい。選択された遅延時間は、例えば、5倍又は10倍のビン幅など、調整された散乱測定値のビン幅から得られてもよい。選択された遅延時間は、キュムラント解析を行うことで決定されてもよく、又は、最小曲率点を見つけるための調整された自己相関関数の微分と、対応する遅延時間を選択された遅延時間として用いることと、により決定されてもよい。
【0024】
生の自己相関関数は、生の自己相関関数の線形領域の勾配(例えば、キュムラント解析の多分散性に対応)が調整された自己相関関数の同一の線形領域の勾配と一致するように選択される係数によって正規化されてもよい。
【0025】
散乱測定値が一連の光子パルス(光子到達時間に対応)を含む場合、散乱強度を低減することは、この一連の光子パルスから光子パルス(例えば光子到達時間)を除去することを含んでもよい。これは、生データを補正されたデータと組み合わせるという必要無く、時間分解能を補正された散乱測定値内で維持できるという利点を有する。一連の光子パルスから光子パルスを除去することは、ソフトウェア光減衰器に類似していると見なされ得る。
【0026】
一連のものからイベントを除去することは、散乱強度に基づいてビン(除去する光子パルスを含む)を選択することを含んでもよい(例えば、ビニングにより、上述したように決定される)。ビンを選択する閾値散乱強度は、散乱測定値から決定されてもよい(例えば、散乱測定値の分布に基づいて)。例えば、閾値散乱強度は、散乱測定値の平均強度から決定されてもよい。閾値散乱強度は、例えば、(散乱測定値の)平均強度に平均値と最小計数率との差を足したものを含んでもよいし、又は、平均強度に3標準偏差を足したものを含んでもよいし、又は、最小計数率に最小計数率の2乗根の2倍を足したものを含んでもよい。
【0027】
選択されたビンは、その選択されたビンから複数の光子パルスを除去することで、それぞれ補正されてもよい。光子の適切な数は、閾値を超える光子パルスの超過数であってもよい。光子パルスは、選択されたビンの中の光子パルスからランダムに選択されてもよい。
【0028】
散乱強度を低減することは、散乱寄与のモデルを一連の光子パルスから差し引くことにより、一連の光子パルスを含む散乱測定値を直接補正することを含んでもよい。不純物からの散乱寄与のモデルは、上述したように決定されてもよい(例えば、光子パルスのビニングと、ローパスフィルタリング又はスムージングによって)。散乱寄与のモデルは、不純物からの散乱による各ビンの中の光子パルスの数の推定値を含んでもよい。よって、各ビンを補正することは、モデルによって示される各ビンから複数の光子パルスを(例えば、それらをランダムに選択することで)除去することを含んでもよい。
【0029】
一連の光子パルスのこの直接的な補正(例えば、ビニング前)により、散乱信号の時間分解能が損なわれることが回避される。結果、非常に短い減衰時間を分解できる補正された自己相関関数となる。
【0030】
散乱強度を低減することは、記録された散乱測定値を修正することを含んでもよい。散乱強度を低減することは、光学的ドメインの中で散乱信号を減衰させることを含んでもよい。
【0031】
この方法は、光線を試料セル内の試料に照射して、光線と試料との相互作用により散乱光を生成することを含んでもよい。
散乱測定値を取得することは、検出器から測定値を受信すること、不揮発性機械読取り可能な記録媒体(例えば、ハードディスク、SSD、光媒体など)から散乱測定値を受信すること、又は、通信チャンネル(例えば、ネットワーク、直列接続、USB、SATA、IDE、PCIE)を介して測定値を受信することを含んでもよい。
【0032】
粒子特性を決定することは、粒径、粒度分布、ゼータ電位、タンパク質の移動性、及びレオロジー特性の少なくとも1つを決定することを含んでもよい。
この方法は、不純物による散乱光への寄与を含む散乱測定値として特定されている散乱測定値から、更なる粒子特性を決定することを更に含んでもよい。この方法は、散乱測定値全てから平均粒子特性を決定することを更に含んでもよい。
【0033】
この方法は、各散乱測定値の自己相関関数を決定することを含んでもよい。
複数の散乱測定値が取得されている場合、粒度分布を決定することは、汚染された散乱測定値として特定されていない各散乱測定値の自己相関関数を組み合わせることを含んでもよい。更なる粒度分布を決定することは、各汚染された散乱測定値の自己相関関数を組み合わせることを含んでもよい。一般に、粒度分布を決定することは、含まれるべき散乱測定値の自己相関関数を組み合わせることを含んでもよい。
【0034】
自己相関関数を組み合わせることは、自己相関関数を足し合わせることを含んでもよい。自己相関関数を組み合わせることは、平均自己相関関数を決定することを含んでもよい。
【0035】
各散乱測定値の分離パラメータは、その散乱測定値の自己相関関数から決定されてもよい。分離パラメータを決定することは、各散乱測定値の自己相関関数を反転させて、各測定値粒子特性を決定することを含んでもよい(例えば、キュムラント方法、又はCONTINなど別の方法を用いて)。
【0036】
分離パラメータは、多分散性指数(Pdi)、平均粒径(Z平均)、少なくとも1つの遅延時間に対応する自己相関値、少なくとも1つの周波数領域に対応するスペクトルパワー、平均強度、強度変化(すなわち、最大強度マイナス最小強度)、及び/又はドップラー周波数幅の少なくとも1つを含んでもよい。
【0037】
本開示における「平均」という用語は、平均、モード、及び中央を含み、分離パラメータの分布又はヒストグラムに対するベストフィット(例えば、正規分布を用いる)から算出されるパラメータを含む。分離基準は、汚染された散乱測定値を特定する閾値として用いられてもよい。
【0038】
分離基準は、分離パラメータの少なくとも1つの統計的性質から得られてもよい。分離基準を決定することは、分離パラメータの平均値及び/又は標準偏差を決定することを含んでもよい。分離基準は、分離パラメータの標準偏差と平均値から得られてもよい。分離基準は、2、3、4、5、又は6標準偏差を平均分離パラメータに足すことにより決定されてもよい。
【0039】
単一の検出器があってもよい。或いは、各(又はその)散乱測定値は、複数の検出器からの散乱光の測定値の時系列を含んでもよい。複数の検出器のうち少なくとも幾つかは、照射光線に対して異なる散乱角度で散乱する光を受け取るように配置されてもよい。複数の検出器のうち少なくとも幾つかは、照射光線に対して同一の散乱角度で散乱する光を受け取るように配置されてもよい。散乱角度というときは、検出器の重心を参照してもよい。
【0040】
分離パラメータは、異なる散乱角度での強度の分散を含んでもよい(時系列での平均強度に基づいて)。例えば、異なる散乱角度での散乱光の平均分布は、分離基準として用いられてよく、汚染された散乱測定期間は、異なる散乱角度での散乱光の平均分布との類似性の不足に基づいて特性されてもよい。
【0041】
分離基準が1つより大きな値を含む場合、分離パラメータの各値と分離基準との間の差異の加重平均は、汚染された散乱測定値を特定するために用いられてもよい。
粒度分布を決定することは、処理された測定値の時系列から動的光散乱測定を行うことを含んでもよい。
【0042】
粒度分布を決定することは、測定値の時系列に対して光回析粒子特性評価解析(例えば、Fraunhofer理論、又はMie散乱理論を用いて)を行うことを含んでもよい。本明細書中で開示される方法は、静的光散乱(SLS)、動的光散乱(DLS)、電気泳動光散乱(ELS)、磁気泳動光散乱(MLS)、及び、関連する方法に適用されることで、例えば、タンパク質の移動性、表面ゼータ、マイクロレオロジーなどを測定してもよい。相関光散乱データは、本明細書に記載された他の実施形態の方法で、過渡的な効果を除去して、マイクロレオロジー測定用に処理できるであろう。
【0043】
「不純物」という用語は、大径粒子、でなければ異常粒子を含む。「大径粒子」という用語は、複数の大径粒子を除外しない。「大径粒子」という用語は、所定の閾値サイズより大きな直径を有する粒子を意味し得る。幾つかの実施形態では、それは、例えば、データを参照して決定されるパラメータの解析(例えば、統計的解析)に基づいて特定される/補正される、単に異常な(又は一時的な)散乱データである。
【0044】
他の実施形態は、不純物により散乱される光を補正する上記の方法を、組み合わせて用いてもよい。
不純物からの散乱による信号をこのように補正することにより、試料中に存在する小径粒子に関するより正確な情報を散乱測定値から抽出することができる。これにより、複数の光子計数検出器の必要性が低減され得る。大径粒子挙動のモデルをデータに当てはめ、不純物の予測の寄与分を除去することは、非常に有利である。測定された信号に大径粒子が影響を及ぼしている期間において、小径粒子データの少なくともかなりの部分が失われないためである。
【0045】
複数の散乱測定値が取得されている場合、各散乱測定値の継続時間は、5秒以下、2秒以下、1秒以下、0.5秒以下、又は0.1秒以下であってもよい。試料を特性評価するために、少なくとも10、20、50、又は100の散乱測定値を用いてもよい。
【0046】
汚染された散乱測定値として特定されていない散乱測定値から粒度分布を決定することは、各散乱測定値を別々に解析し、その後、各散乱測定値解析の平均を用いて粒度分布を決定することを含んでもよい。例えば、各散乱測定値の自己相関関数を組み合わせて平均化されたコレログラムを生成することができ、平均化されたコレログラムから粒度分布を決定できる。
【0047】
この方法は、散乱測定値の初期回数を実行し、組み合わされたデータから取得される平均値が収束するまで(例えば、平均コレログラムが収束するまで)、散乱測定値を取得してもよい。収束基準は、組み合わせたデータから取得される平均値が、多数の連続する測定値に渡って変化する量に基づいてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、分離基準は、使用者により選択可能であってもよい。情報(例えば、統計的情報、パラメータの分布、及び/又は閾値を用いて取得された解析結果)が使用者に提供されて、使用者による適切な閾値の選択に役立てられてもよい。
【0049】
本発明の1つの局面によれば、照射光線と試料との相互作用により生成される散乱光の検出器への一連の光子到達時間を含む散乱測定値の汚染された部分を特定する方法が提供される。この方法は、複数のウィンドウのそれぞれの光子数の関数として光子到達時間の勾配を決定することと、各ウィンドウの勾配を閾値勾配領域と比較することにより、不純物からの光散乱を含む汚染されたウィンドウを特定することと、を含む。
【0050】
この方法は、汚染されたウィンドウを有さない散乱測定値の最長の連続的な時間に対応する、散乱測定値の最適な時間を特定することを含んでもよい。
この方法は、最適な時間から粒子特性を決定することを含んでもよい。
【0051】
閾値勾配領域は、複数のウィンドウそれぞれの勾配から決定されてもよい。閾値勾配領域を決定することは、ウィンドウの勾配の平均値を決定することを含んでもよい。例えば、閾値勾配領域は、平均ウィンドウ勾配のいずれかの側でのパーセンテージ範囲であってもよい。
【0052】
閾値勾配領域は、散乱測定値全体の勾配から、例えば、散乱測定値全体の勾配の逸脱のパーセンテージから、決定されてもよい。散乱測定値全体の勾配は、散乱測定値全体に対する直線の当てはめから決定されてもよい。
【0053】
各ウィンドウは、時間、又は光子到達時間の数に対応してもよい。より大きなウィンドウは、より長い時間、又は光子到達時間のより大きい数に対応し得て、より小さなウィンドウは、より短い時間、又は、光子到達時間のより小さい数に対応し得る。
【0054】
この方法は、不純物への所望の敏感性の増大に応じてウィンドウを小さくすることを含んでもよい。
この方法は、反復的な処理を含んでもよい。この反復的な処理において、大きなウィンドウは、候補の最適な時間を初期に特定するために用いられ、小さなウィンドウ(又は、一連の小さなウィンドウ)は、不純物が存在しない最適な時間の信頼レベルを高めるために用いられる。
【0055】
本発明の1つの局面によると、不揮発性機械読取り可能な記憶媒体が提供される。この媒体は、適切なプロセッサ上での実行時に、該プロセッサが、照射光線と試料との相互作用によって生成される散乱光の測定値の時系列をそれぞれ含む複数の散乱測定値を検出器から取得し、各散乱測定値から分離パラメータを決定し、分離パラメータから分離基準を決定し、各散乱測定値の分離パラメータを分離基準と比較することにより、不純物が散乱光に寄与していた汚染された散乱測定値を特定し、且つ、汚染された散乱測定値として特定されていない散乱測定値から粒子特性を決定する、ようにする指示を含む。
【0056】
本発明の1つの局面によると、不揮発性機械読取り可能な記憶媒体が提供される。この媒体は、適切なプロセッサ上での実行時に、該プロセッサが、不純物が散乱光に寄与していた汚染された散乱測定値を特定し、汚染された散乱測定値として特定されていない散乱測定値から粒子特性を決定する、ようにする指示を含む。この粒子特性を決定することは、汚染された散乱測定値として特定されていない各散乱測定値の自己相関関数を決定することと、自己相関関数を組み合わせることで、粒子特性が導出される平均自己相関関数を生成することと、を含む。
【0057】
本発明の1つの局面によると、不揮発性機械読取り可能な記憶媒体が提供される。この媒体は、適切なプロセッサ上での実行時に、該プロセッサが、照射光線と試料との相互作用により生成される散乱光の測定値の時系列を含む散乱測定値を検出器から取得し、補正された散乱測定値を生成し、補正された散乱測定値から粒子特性を決定する、ようにする指示を含む。この補正された散乱測定値を生成することは、散乱測定の少なくとも幾つかの時間の中で散乱強度を低減することにより、不純物からの散乱寄与を補償することを含む。
【0058】
本発明の1つの局面によると、不揮発性機械読取り可能な記憶媒体が提供される。この媒体は、適切なプロセッサ上での実行時に、該プロセッサに、複数のウィンドウそれぞれの光子数の関数として光子到達時間の勾配を決定することと、ウィンドウそれぞれの勾配を閾値勾配領域と比較することにより、不純物からの散乱光を含む汚染されたウィンドウを決定することと、を含む工程により、照射光線と試料との相互作用により生成される散乱光の検出器における一連の光子到達時間を含む散乱測定値の汚染された部分を特定させる指示を含む。
【0059】
本発明の1つの局面によると、光源と、試料セルと、検出器と、プロセッサと、を含む、粒子特性評価装置が提供される。前記光源は、光線を試料セル内の試料に照射して、光線と試料との相互作用により散乱光を生成するように動作可能であり、検出器は、散乱光を検出し、且つ、測定値の時系列を生成するように構成され、プロセッサは、照射光線と試料との相互作用により生成される散乱光の測定値の時系列をそれぞれ含む複数の散乱測定値を検出器から取得し、各散乱測定値から分離パラメータを決定し、分離パラメータから分離基準を決定し、各散乱測定値の分離パラメータを分離基準と比較することにより、不純物が散乱光に寄与していた汚染された散乱測定値を特定し、且つ、汚染された散乱測定値として特定されていない散乱測定値から粒子特性を決定するように構成される。
【0060】
本発明の1つの局面によると、光源と、試料セルと、検出器と、プロセッサと、を含む、粒子特性評価装置が提供される。光源は、光線を試料セル内の試料に照射して、光線と試料との相互作用により散乱光を生成するように動作可能であり、検出器は、散乱光を検出し、且つ、測定値の時系列を生成するように構成され、プロセッサは、不純物が散乱光に寄与していた汚染された散乱測定値を特定し、汚染された散乱測定値として特定されていない散乱測定値から粒子特性を決定するように構成される。粒子特性を決定することは、汚染された散乱測定値として特定されていない各散乱測定値の自己相関関数を決定することと、自己相関関数を組み合わせて、粒子特性が導出される平均自己相関関数を生成することと、を含む。
【0061】
本発明の1つの局面によると、光源と、試料セルと、検出器と、プロセッサと、を含む、粒子特性評価装置が提供される。光源は、光線を試料セル内の試料に照射して、光線と試料との相互作用により散乱光を生成するように動作可能であり、検出器は、散乱光を検出し、且つ、測定値の時系列を生成するように構成され、プロセッサは、検出器からの散乱光の測定値の時系列を含む散乱測定値を取得し、補正された散乱測定値を生成し、補正された散乱測定値から粒子特性を決定するように構成される。この補正された散乱測定値を生成することは、散乱測定の少なくとも幾つかの時間の中で散乱強度を低減することにより、不純物からの散乱寄与を補償することを含む。
【0062】
本発明の1つの局面によると、光源と、試料セルと、検出器と、コントローラと、を含む、粒子特性評価装置が提供される。光源は、光線を試料セル内の試料に照射して、光線と試料との相互作用により散乱光を生成するように動作可能であり、検出器は、散乱光を検出し、且つ、測定値の時系列を生成するように構成され、コントローラは、検出器からの散乱光の測定値の時系列を含む散乱測定値を取得し、散乱測定の少なくとも幾つかの時間の中で散乱強度を低減することにより、不純物からの散乱寄与を補償する、ように構成される。
【0063】
上記装置は、可変減衰器を含んでもよい。可変減衰器は、散乱光を減衰することにより、不純物からの散乱寄与を補償するように構成されてもよい。可変減衰器は、照射光線を減衰することにより、不純物からの散乱寄与を補償するように構成されてもよい。
【0064】
コントローラは、不純物からの散乱寄与に比例する信号を可変減衰器へ供給するように動作可能であってもよい。
幾つかの実施形態において、検出器は、光子計数検出器を含んでもよく、及び/又は、後方散乱光、前方散乱光、及び/又は側方散乱光を検出するように構成されてもよい。上記装置は、散乱光を検出するように構成される複数の検出器を含んでもよい。検出器のうち少なくとも幾つかは、異なる散乱角度で散乱する光を検出するように構成されてもよく、及び/又は、検出器のうち少なくとも幾つかは、同一の散乱角度で散乱される光を検出するように構成されてもよい。
【0065】
上記装置は、1つ又は複数の検出器と光源によって照射される散乱ボリュームとの間の光路を提供する少なくとも1つの光ファイバを更に含んでもよい。
本発明の1つの局面によると、光源と、試料セルと、検出器と、プロセッサと、を含む、粒子特性評価装置が提供される。光源は、光線を試料セル内の試料に照射して、光線と試料との相互作用により散乱光を生成するように動作可能であり、検出器は、散乱光を検出し、且つ、検出器での散乱光の一連の光子到達時間を含む散乱測定値を生成するように構成され、プロセッサは、複数のウィンドウそれぞれについて光子数の関数として光子到達時間の勾配を決定し、且つ、各ウィンドウの勾配を閾値勾配領域と比較することにより、不純物からの光散乱を含む汚染されたウィンドウを決定することにより、散乱測定値の汚染された部分を特定するように構成される。
【0066】
1つ1つの局面の特徴は、他の1つ1つの局面の特徴と組み合わされてもよい。装置に関係する局面は、対応する方法を行うように構成されてもよく、且つ、選択が自由な方法の工程のいずれも行うように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
例示的な実施形態は、添付の図面を参照して、単に例として説明される。
図1】実施形態に係る粒子特性評価装置の概略図である。
図2】実施形態に係る粒子特性評価装置の処理手段の概略図である。
図3】実施形態に係る方法のフロー図である。
図4】実施形態に係る処理に関する結果例を示す。
図5】高散乱粒子からの散乱の結果、データにおいてスパイクが存在する、低品質の試料から得られた、時間に対する光子計数強度のグラフを示す。
図6】データにおいて大径粒子が低速変動を引き起こしている、低品質の試料から得られた、時間の経過に伴う光子計数強度のグラフを示す。
図7】フィルタ阻害物(不純物)を含む220nmのラテックス球の試料に関して、Z平均径の関数としての計数率のグラフを示す。
図8図7で用いられたものと同一の試料に関して、Z平均径の関数としての多分散性指数(Pdi)のグラフを示す。
図9】ダスト類似物又は凝集体を含む3つの異なる試料に関して、多分散性指数(Pdi)のヒストグラムを示す。
図10】多分散性指数に基づく散乱測定値に関する拒絶/分離基準を説明するグラフを示す。
図11】全散乱測定値、維持された散乱測定値、及び拒絶/分離された散乱測定値についてのコレログラムを説明するグラフを示す。
図12】全散乱測定値、維持された散乱測定値、及び拒絶/分離された散乱測定値についての粒径に関する強度分布を示す。
図13】試料が非常に多分散性であり且つ可変である散乱測定値についての拒絶/分離基準に基づく多分散性指数の適用を説明するグラフを示す。
図14】外れ値データを特定し破棄するために、スペクトル幅がどのように用いられ得るかを示す、散乱光の正規化された強度対周波数シフトのグラフである。
図15】散乱検出器における光強度を示す模擬計数率データ、及び模擬計数率から算出された移動平均値、のグラフ(20ポイントウィンドウを有する)である。
図16図15で用いられたものと同一の模擬計数率データを有するが、移動平均が取り除かれているグラフである。
図17】大部分の散乱測定値の維持を示す、可変性が高く多分散性な試料に対する拒絶基準の適用を説明するグラフである。
図18】汚染された試料からの散乱光の計数率のグラフである。
図19図18で示される計数率の期間のスペクトルパワーを示す、一組のフーリエ変換である。
図20図18を生成するために用いられた生データから取得される生の自己相関関数、及び図18に示された(ビニングされた)光子計数率のフィルタリングされたバージョンから取得される補正された自己相関関数、のグラフである。
図21図20の補正された自己相関関数の一部を生の自己相関関数の再正規化されたバージョンと組み合わせることにより取得される複合自己相関関数のグラフである。
図22図18で前もって示された計数率信号から補正用のビンを選択するために、閾値強度基準を用いることを示すグラフである。
図23図22で示された補正閾値が適用された後に、補正された計数率信号を示すグラフである。
図24】生の自己相関関数と、不純物からの散乱の補正が光子到達時間を破棄することで適用された、調整された測定データから取得された補正された自己相関関数と、の比較である。
図25】光子到達時間の勾配対光子数が不純物からの散乱を特定するためにどのように用いられ得るかを説明するグラフである。
図26】散乱している不純物を含む散乱信号のウィンドウを特定することで、最適な測定期間を特定することを説明するグラフである。
図27】不純物からの散乱の補償が光減衰器を使って光学的ドメインで行われる装置の概略図である。
図28】不純物からの散乱の補償が光減衰器を使って光学的ドメインで行われる装置の概略図である。
図29】不純物からの散乱の補償が光減衰器を使って光学的ドメインで行われる装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、光源102、試料セル104、後方散乱検出器114、前方散乱検出器124、及び光トラップ108を備える粒子特性評価装置を示す。
光源102は、レーザ等のコヒーレント光源であってもよく、単色光を出力してもよい。あるいは、光源102はLEDであってもよい。光源102は、試料セル104内の試料106に対し、光軸に沿って光線103を照射するように構成されている。
【0069】
照射光線103と試料106との相互作用により、散乱光が生じる。前方散乱光121は、照射光軸の方向に対して90度未満の角度で散乱される光であると定義してもよい。後方散乱光111は、光軸の方向に対して90度を超える角度で散乱される光(すなわち、照射光線とは反対方向における成分を有する)であると定義してもよい。
【0070】
前方散乱検出器124は前方散乱光121を検出するように構成されている。前方散乱光121は、散乱光121を光ファイバ122につなぐ集光レンズ120を介して、検出器124に向けられる。光ファイバ122は、前方散乱検出器124への光路を提供する。集光レンズ120は、屈折率分布型レンズであってもよく、又は、他の適切なレンズであってもよい。試料106の照射領域と前方散乱検出器124との間の光路には、更なる光学部品又はより少ない光学部品が備えられてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、光ファイバ122が除かれ、代わりに自由空間光学系が使用されてもよい。
【0071】
後方散乱検出器114は、後方散乱光111を検出するように構成されている。後方散乱光111は、光ファイバ112に散乱光111をつなぐ集光レンズ110を介して、センサに向けられる。光ファイバ112は、後方散乱検出器114への光路を提供する。集光レンズ110は、屈折率分布型レンズであってもよく、又は、他の適切なレンズであってもよい。試料106の照射領域と後方散乱検出器114との間の光路には、更なる光学部品又はより少ない光学部品が備えられてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、光ファイバ112が除かれ、代わりに自由空間光学系が使用されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、単一の検出器だけが設けられてもよく、例えば、側方散乱検出器(90度で散乱する光を検出)のみ、前方散乱検出器のみ、又は後方散乱検出器のみが存在してもよい。
【0073】
図1の装置は、例えば単一の検出器(後方散乱検出器114など)からの出力を用いて、動的光散乱解析を行うように構成されてもよい。
図2は、検出器114、プロセッサ130、及び出力装置132を示す。プロセッサ130は、検出器114から光強度測定値の時系列を受信し、それら測定値に相関演算を行って、動的光散乱により試料の粒子を特性評価するように構成されている。プロセッサ130は、例えばメモリ、ソリッドステートストレージドライブ、ハードディスク、クラウド等、機械読取り可能な記録媒体に測定値を保存してもよい。プロセッサ130は、その後、解析結果を出力装置132に出力してもよく、出力装置132は表示画面を備えてもよい。
【0074】
プロセッサ130は、検出器114からの測定値の時系列から、不純物(例えば大径粒子)が散乱光に寄与していたときにどの測定値が取得されたかを判断するように構成されている。
【0075】
1つの実施形態に係る装置は、図1及び2に示す(また、これら図面を参照して説明される)特徴を組み合わせてもよく、図3において概略的に示される方法を行うように構成されてもよい。
【0076】
図3は、一連の方法ステップ201~204を示す。ステップ201は、試料セル104内の試料106に光線103を照射して、光線103と試料106との相互作用によって散乱光111を生じさせることを含む。
【0077】
ステップ202は、検出器114から散乱光111の測定値の時系列を取得することを含み、検出器114は単一の検出器であってもよい。本明細書で使用される「単一の検出器」という用語は、特定の光散乱角度(又は、5度以下などの狭い範囲の光散乱角度)に対応する複数の検出器(例えば、1D又は2D検出素子アレイ)を含んでもよい。
【0078】
ステップ203は、検出器114からの測定値の時系列から、不純物(例えば大径粒子)が散乱光に寄与していたときにどの測定値が取得されたかを判断することを含む。より十分に以下に説明されるように、これを実施するために多くの様々な方法を用いることが可能である。
【0079】
ステップ204は、不純物が散乱光に寄与していたときに取得されたものではない測定値から、又は、不純物からの散乱の影響を軽減するために補正された測定値から、粒子特性(例えば、粒径分布)を決定することを含む。ステップ204は、測定値の時系列を用いる動的光散乱測定を行うことを含んでもよい。不純物からの散乱光を補正することによって、粒子の特性評価の品質及び/又は精度が向上し得る。なぜなら、それにより、不純物(例えば大径粒子)からの比較的強度の高い散乱によって、試料中の小径粒子(最も関心の対象となるであろう粒子)の特性評価が損なわれることを回避でき得るからである。
【0080】
図4は、検出器からの測定結果320の時系列と共に、それら測定結果320から取得された相関関数310のプロットを示している。粒径に対する散乱光強度の粒度分布(PSD)プロット330もまた示されている。測定値320の考察は、大径粒子からの散乱に対応するt=8s以降に光強度が際立って増大することを示している。
【0081】
これは、大径粒子が光を散乱させているときに取得される測定値を特定する1つの方法である。この場合、例えば、大径粒子から散乱している光を特定するために、毎秒600カウントの閾値強度値を用い得る。この閾値を超えている所定時間(例えば1秒又は0.5秒)内のデータは、その後のDLS解析から除外されてもよい。例えば、t=9sにおいて閾値が超過される場合、t=8s以降のデータは除外されてもよく、又は、大径粒子による散乱寄与の適合モデルがこれらデータから差し引かれてもよい。強度閾値及び時間窓の正確な値は、装置の構成及び具体的な測定準備に依存しうる。閾値は、強度値の2、3、4、又は5標準偏差であってもよい(それは、測定が完了した後で決定してもよく、又は、測定が行われている際に動的に決定してもよい)。
【0082】
代替的に又は付加的に、測定値の時系列内の特徴的な周波数は、大径粒子からの光散乱を特定するために用いられてもよい。つまり、低周波数特性は、大径粒子に対応する傾向にある。例示的なデータ320において、t=8sからの低周波数、振幅の大きな逸脱までは、測定値は比較的安定している。光強度の低周波数と振幅の大変動の組み合わせは、大径粒子に非常に特徴的であるため、大径粒子が散乱させている時間を特定するのに用いられてもよい。10、5、4、3、2、1Hz未満、又は0.5Hz以下の周波数は、大径粒子と関連し得る。
【0083】
PSDプロット330は、t=8sとt=10sとの間の時系列を含む、データの全時系列の処理に基づく。PSDプロット330は、約1000nmの粒径に対応する光強度のピークを示している。
【0084】
特定の時間窓内に大径粒子が存在することを識別する1つの方法は、全時系列のデータ(又はラン)をより短い時間ランを有する複数の散乱測定値(又はサブラン)に分割し、その後、各サブランを解析して、それが不純物からの散乱を含むかを決定することである。例えば、データ320が時間1秒の複数のサブランに分割され、DLS相関解析が各サブランのデータに行われた場合、どのサブランにおいて1つ又は複数の大径粒子が大量の光散乱に寄与しているかを識別することは、容易であろう(例えば、全散乱光の1%、5%、又は10%超え、又は、ある特定の閾値を超える粒径で、強度PSDが1、5、又は10%を超えるとき)。不純物(例えば大径粒子)からの大量の散乱を有するサブランは、その後、測定値列から除外され得る。そして、残りの測定データを組み合わせ、その組み合わせた残りの測定データに基づいてDLS測定が行われてもよい。あるいは、不純物による散乱のモデルを、不純物からの大量の散乱を有する各サブラン内のデータに適合してもよい。適合したモデルによって算出された不純物による散乱信号の推定値を、その後、そのサブラン内のデータから差し引いてもよい。残りの補正されたデータは、その後、測定値列の他のサブランからのデータと組み合わされ、その組み合わされた補正後のデータ列につきDLS測定を行ってもよい。
【0085】
本発明の実施形態は、大径粒子が問題である場合に、著しく向上したDLS特性評価の忠実性を提供できる。
図5は、散乱光検出器から取得された経時的な光子計数率のグラフ350を示している。スパイク351がデータ内に存在し(それら全てが図5に表示されているわけではない)、装置の測定ボリューム内に高散乱粒子(すなわち不純物)が存在している時間に対応している。この不純物からの寄与に対処する1つの方法は、データを補正し、不純物からの散乱寄与を除去することである。これは、潜在的に価値のある測定データを維持し得るので、汚染されたデータを単に破棄することと比べて有利となり得る。
【0086】
図6は、散乱検出器から取得された経時的な光子計数率のグラフ360を示している。図5の短時間の「スパイク」とは対照的に、図6のデータに関する不純物は、測定ボリュームにゆっくりと作用する大径粒子であり、その結果、検出された強度において低周波変動となる。大径粒子からのこの種の散乱への寄与は、データの低周波成分を除去することで対処してもよい。
【0087】
汚染された散乱測定値(例えば、大径粒子が散乱に寄与したサブラン)を特定できることが望ましい。これを行う1つの方法は、各サブランの強度を測定し、拒絶基準として平均強度値(例えば平均値、中央値等)を用いることである。大径粒子は強い散乱と関連があるので、高い強度のサブランは大径粒子と関連するであろう。サブランを拒絶する閾値は、全てのサブランの全体的特性から決定されてもよい。例えば、閾値平均強度は、全てのサブランにおいて取得された平均強度から導出され得る(例えば、全てのサブランについての平均強度から2又は3標準偏差)。
【0088】
図7は、220nmラテックス球及び何らかのフィルタ阻害物(大径微粒子不純物)を含む試料に対して行われた測定から取得された、複数の散乱測定値(又はサブラン)に関するZ平均粒径の関数としての平均計数率(強度)のグラフ410を示している。このZ平均は、ISO13321及び/又はISO22412で規定されているように、各サブランについて決定されてもよい。平均強度に基づく拒絶基準の1つの欠点は、小径粒子と関連していることをZ平均が示す多くのサブランを拒絶する結果になり得ることである。
【0089】
1つの代替案は、多分散性指数(Pdi)に基づいてサブランを拒絶することである。これは、ISO13321及び/又はISO22412で規定されているように、キュムラント解析から決定されてもよい。図8は、図7に示されているものと同一のサブランデータについてのZ平均に対する多分散性指数Pdiのグラフ420を示している。Z平均と多分散性指数との間にはより強い相関関係があり、これは、多分散性に基づく拒絶基準が、大径粒子によって影響されるサブランに対してより選択的である傾向があることを意味する。
【0090】
更にもう1つの代替案は、拒絶基準としてZ平均粒径を用い、閾値を超えるZ平均粒径を有するサブランを拒絶することである。この場合もやはり、閾値は、全てのサブランの集合体から算出されるZ平均を参照して決定されてもよい(例えば、全てのサブランについてのZ平均から3標準偏差を超える値を拒絶する)。
【0091】
図9は、測定のため、閾値拒絶基準がどのように算出されるかを説明する1組のPdiヒストグラム430である。Pdi値の第1ヒストグラム、第2ヒストグラム、及び第3ヒストグラムは、リゾチーム、220nmラテックス球、及び60nmラテックス球それぞれに対応して示されている。第1正規分布431、第2正規分布432、及び第3正規分布433が、各ヒストグラムにそれぞれ当てはめられる(例えば、最小二乗ペナルティ関数を用いて)。各測定のPdiの平均値及び標準偏差σは、各測定のサブランから取得されたヒストグラムにベストフィットする正規分布431、432、433から決定されてもよい。ベストフィットする正規分布を用いることは、外れ値サブランによる平均値のスキューを回避するのに役立ち、このことは、図9にて見られる(例えば、0.15より大きなPdi値)。
【0092】
閾値拒絶基準は、サブランのヒストグラムにベストフィットするもの(例えば、Z平均、Pdi又は強度)から取得した平均値に、標準偏差の倍数、例えば3倍(又は2、4、5、6倍等)を加えたものを含んでもよい。
【0093】
図10は、拒絶基準がPdiに基づき、且つ、閾値が、ベストフィットする正規分布から決定した平均値から3標準偏差である、拒絶方法の一例を説明している。図10は、ベストフィットする正規分布441と、平均Pdi442(ベストフィットする正規分布441から算出)と、閾値拒絶基準443(平均値+3σ)と、を有するグラフ440を示している。維持されたサブラン445と拒絶/分離されたサブラン444もまた、同じグラフにプロットされている。閾値を超えるPdiを有するサブランは拒絶/分離され、閾値以下のPdiを有するサブランは別の解析のために維持される。
【0094】
図11は、維持されたサブラン455、拒絶/分離されたサブラン454、及び全てのサブラン453それぞれについて取得したg1相関関数を示すグラフ450である。図12は、維持されたサブラン465、拒絶/分離されたサブラン464、及び全てのサブラン463それぞれに関する強度粒度分布を示すグラフである。維持されたサブランが不純物粒子からのデータを含まないことは、明らかである。全てのサブランが用いられるときに報告される小径粒子(すなわち、不純物を除いた対象の粒子)についての平均粒径は、維持されたサブランから取得するそれとは異なる。維持されたサブランからのデータは、大径粒子/不純物からの散乱によって歪められないので、より正確である。拒絶/分離されたサブランは、大径の(例えば不純物)粒子の特性を特定するために用いることができる。維持されたサブランと拒絶/分離されたサブランについての情報を別々に解析し且つ提示するアプローチは、使用者により多くの情報を提供し、且つ、光散乱データの処理に伴い得る曖昧性を取り除く。
【0095】
パラメータの分布に基づく(例えば、パラメータの標準偏差に基づく)拒絶/分離基準の使用は、範囲外のデータのみが拒絶され、且つ、拒絶/分離が動的であって、測定されている試料に対応することを意味する。偶発的な不純物を有しており高度に単分散した試料は、かなり狭い分布Pdiとなり、結果、不純物からの散乱データは、比較的高い感度で拒絶されるであろう。その対極として、高度に多分散であり可変な試料は、連続的なサブランの間でPdiにおいて高い標準偏差を有し得る。これは、ほとんどのデータが拒絶/分離されないであろうことを意味し、結果、試料内の粒径の多様性を反映するマルチモーダル粒度分布となるであろう。解析に動的に対応する(例えば、測定中に更新されるパラメータの分布に基づいて)拒絶/分離基準を決定するこのアプローチは、測定が、広い範囲の試料を受け入れることができる十分なロバスト性を有することを意味し、且つ、粒子の予想範囲を事前に特定することを使用者に求めないことを意味する。
【0096】
図13は、酸化銅ナノ粒子の高度に多分散性である可変試料に適用された、図11に示される拒絶/分離アプローチを説明している。この種の高度に可変である分散性の試料において、大多数のサブランは、非過渡的であると特定され、且つ、報告される結果は、試料の分散性(すなわち、マルチモーダル/多分散性)を反映する。図13は、ベストフィットする正規分布441、平均Pdi442(ベストフィットする正規分布441から導出)、閾値拒絶基準443(平均値+3σ)を有するグラフ470を示している。維持されたサブラン445と拒絶/分離されたサブラン444もまた、同じグラフにプロットされている。1つのサブラン(非常に高いPdiを有する)のみがデータセットから拒絶/分離されている。
【0097】
上記の説明は、DLSにおける適用に主に焦点を当てているが、同様の技術は、SLS測定及びELS測定にも採用することができる。
分子量測定等の用途のための静的光散乱において、関心の対象となるのは、測定された散乱強度の時間的特性というよりも、測定された散乱強度の大きさであり、SLS測定もまた、試料内のダストの影響を受けやすいことを意味する。
【0098】
相関器を組み込んだSLS装置において、DLSにおいて説明されたものと同じ拒絶プロセスを適用することが可能であり、維持されたデータの平均強度が次の解析に用いられる。しかしながら、相関器が利用可能でないときは、各サブランの測定された散乱を定量化し、拒絶パラメータとして用いられる平均値、ドリフト、又はスプレッド(或いは何か他の値)と比較することで、拒絶を適用することは可能である。
【0099】
図15は、散乱検出器での光強度を示す模擬計数率データ512、及び、光強度データ512から算出された移動平均511(例えば、20ポイントウィンドウを有する)を示す。移動平均は、ローパスフィルタとして作用し、対象の高周波情報を除去するとともに、低周波変動をたどる。データ512から移動平均511を差し引くことにより、強度における低速変動が除去された、図16に示されるデータが得られる。移動平均は、データを処理するために用いることができる一種のローパスフィルタであるが、他の種類のフィルタリング処理やスムージング処理も同様な方法で用いてもよい(例えば、デジタルIIRフィルタ若しくはデジタルFIRフィルタ、又は、Savitzky-Golayフィルタ)。
【0100】
電気泳動光散乱は、散乱した粒子の電化に応じて散乱した粒子における動きを誘導するために、試料に負荷される外部電界を用い、この動きは、散乱光のドップラー解析により検出される。
【0101】
計数率波形の特性のみならず、拒絶の根拠となり得る他のパラメータは、スペクトル幅を有するドップラー信号を表すパラメータを含む。
図14は、外れ値データを特定して破棄するために、スペクトル幅がどのように用いられ得るかを説明する。図14のグラフ500は、散乱光の正規化された強度対周波数シフトの多数の曲線を示す。各曲線は、リゾチームを含む試料の電気泳動測定の異なる測定ラン(又はサブラン)に対応する。狭いスペクトル幅502を有する測定ランは、凝集体が存在する試料に対応する。広いスペクトル幅501を有する測定ランは、凝集体を含まない試料に対応する。よって、凝集体を有するサンプルは、複数のサブランを選び、例えば、測定されたスペクトル幅の分布(例えば、平均プラス又はマイナスいくつかの標準偏差)に基づいて、非常に狭いスペクトル幅(他の測定と比較して)を有するサブランを破棄することによって、解析してもよい。
【0102】
図17は、散乱測定値の数が増加するにつれて、解析結果がどのように収束し得るかを説明するグラフ550である。一連の散乱測定が実施され、蓄積され維持されるデータから取得され(5散乱測定毎に更新)報告されたZ平均が、一次y軸上で(x軸上の散乱測定の数に対して)図1においてプロット532されている。散乱測定の総数に対する拒絶/分離された散乱測定の率として定義されるデータ維持率は、第1の2次y軸に対してプロット531される(これも5散乱測定毎に決定される)。各データ点におけるZ平均の変化は、第2の2次y軸に対してプロット533される。
【0103】
この例のデータセットにおいて、初期の散乱測定は大径粒子を含み、相当量のデータが最初の5散乱測定から除外されるが、報告されるZ平均は依然比較的大きい。更に多くのデータが散乱測定6~10において除外され、報告されるZ平均がより低めである。粒径のよりモノモーダルな分布が散乱測定10より後に検出され、結果として、より少ないデータが拒絶され、Z平均が、モノモーダル粒子(対象の粒子である可能性が高い)のZ平均に収束し始める。Z平均は、45散乱測定以内で1%未満に収束する。
【0104】
使用者は、測定の終了のきっかけとなる収束基準を設定することも可能である。本例の場合、信頼性の低い測定は、Z平均収束交差を10%に設定することで取得することは可能であり、結果として、約30散乱測定(45散乱測定ではなく)の後に測定が終了する。
【0105】
別途解析された比較的短い一連の散乱測定を用いることは、収束基準が満たされれば解析を早めに終了することができるので、解析がより迅速になり得ることを意味し、同時に、過渡的な大径粒子が測定に影響を与えることができず、十分に信頼できる散乱データが取得されるまでその測定が継続されるので、解析がより信頼性の高いものとなることを意味する。整合性のないデータを拒絶する向上した性能は、さほど厳格でない試料調製をも可能にし、又は、解析に適していないと従来考えられていた試料の解析を可能にし得る。
【0106】
多くの用途において、散乱光は、アバランシェフォトダイオードや同様のフォトンカウンティング装置を用いて検出され、これらから、各光子パルスの正確な到達時間を記録できる。結果は、一連の時間測定となり、各時間測定は、検出器での光子の到達と関連付けられる。計数率信号を取得するためには、時間間隔に対応するビンに到達時間をビニングすることにより、光子の到達の生の時系列を処理することが必要であり、計数率はビン(ビン幅で区切られる)の中の光子の数から決定される。ビンの大きさは、計数率信号の経時的分解能を決定し、各ビン内の量子化分解能と経時的分解能との間にはトレードオフがある。大きさが小さいビンは、大きな経時的分解能を示すが、比較的少量の光子を有するので量子化分解能が制限される。大きさが大きいビンは、より多くの量子を有するが、良好な経時的構造が破棄されることとなる。
【0107】
図18は、フィルタ阻害物を含む220nmのラテックス懸濁液について、時間に対して1秒あたり数千カウント(kcps)を示す計数率波形601を示す。ピーク602は、波形中に目で確認でき、これは、不純物(この場合フィルタ阻害物)からの散乱に対応する。ピーク602は、比較的低い周波数を有し、散乱強度が高い。
【0108】
散乱測定値を補正するために計数率波形を補正する1つの方法は、計数率をハイパスフィルタリングすることである。これは、低周波数成分を除去するという効果を有するので、不純物からの散乱寄与を除去しやすい。いずれの適したフィルタも使用することができ、フィルタは、電子的又はデジタル式で実施され得る。適したフィルタの例として、FTIRデジタルフィルタ及びIIRデジタルフィルタ、及び、バターワースフィルタ、チェビシェフ及びハニングウィンドウフィルタが含まれる。
【0109】
一般的な光散乱技術で測定できる粒子の径の範囲は非常に広いので、全ての測定状況に合うフィルタの任意のカットオフ周波数を決めることは難しいであろう。低過ぎる固定のカットオフ周波数は、大径粒子を解析する方法の能力に不利に影響を及ぼす可能性があり、又、高過ぎる固定のカットオフ周波数は、モノモーダル小径粒子を特性評価する方法の精度を制限する可能性がある。
【0110】
この問題の解決策は、散乱測定におけるフィルタ処理用のカットオフ周波数を動的に決定することである。これを行う1つの方法は、散乱測定を一連のより短いサブランに分割し(別の言い方をすると、複数の散乱測定値を取得し)、サブランごとに多くの異なる周波数でのパワー(又は振幅)を解析(例えば、各サブランの計数率のフーリエ変換を行う)することである。
【0111】
不純物からの散乱寄与を含む周波数は、残りのサブランのパワーの分布からの外れ値であるパワーを有するサブランを含む周波数として定義されてもよい。例えば、周波数ごとに、平均パワーレベルと標準偏差を、各サブランのパワーレベルから決定してもよい。ある特定の周波数が、平均値からの標準偏差(例えば、2標準偏差や3標準偏差)の所定倍数を超えるパワーレベルを有する場合、その周波数は、不純物からの散乱寄与を含むと特定され得る。不純物からの散乱寄与を含まない最低周波数は、散乱測定におけるフィルタ処理用のカットオフ周波数として用いられてもよい。
【0112】
図19はこれを説明しており、図18で示される散乱測定をそれぞれ1秒の10ランに分割することにより得られたフーリエ変換611を示す。2つのラン623は、10Hzより低い周波数(すなわち、2~3秒と5~6秒)における明らかな統計的外れ値である。したがって、動的カットオフ周波数は、10Hzと決定され、且つ、散乱測定が適切にフィルタ処理され得る。
【0113】
散乱データを補正する代替的な方法は、データのローパス又は平滑化されたバージョンを差し引くことである(図15及び図16を参照して既に説明されたように)。動的カットオフ周波数を決定するのに上述された方法は、この目的に適したスムージング特性又はローバスフィルタリング特性を決定するのに適用されてもよい。
【0114】
図20を参照して、生の散乱測定値から取得された自己相関関数631と補正された散乱測定値から取得された自己相関関数632のプロット630が示される。この場合における生データは、一連の光子到達時間を含み、補正された自己相関関数を決定する補正された散乱測定値は、(例えば、計数率のフィルタされた/平滑化されたバージョンをフィルタ処理又は差し引くことで)補正が完了したビニングされた計数率を含む。本例の場合、ビンサイズ633は10マイクロ秒であり、結果、10マイクロ秒より小さい(及びそれに近い)減衰時間は分解され得ない。補正により、(長い遅延時間において)自己相関関数の基線上でノイズを除去することには成功したが、結果、短い遅延時間においては分解されない自己相関関数となる。
【0115】
短い遅延時間においては、生データから取得された自己相関関数は、不純物によってそれほど影響を受けない。補正された自己相関関数と生の自己相関関数両方の利点を維持するために、図21に示されるように、生の自己相関関数の一部632(短い減衰時間に対応)と、補正された自己相関関数の一部631a(長い減衰時間に対応)と組み合わせることで、複合自己相関関数を決定してもよい。
【0116】
補正された自己相関関数の生部分と補正部分との間の境界線をマークするカットオフ減衰時間は、50~250マイクロ秒の範囲から選択され得る。図21に示されるように、生の自己相関関数の値が、補正された自己相関関数の値とカットオフ減衰時間で合致するように、生の自己相関関数を再正規化してもよい。
【0117】
固定のカットオフ減衰時間を選択することの代替として、複合自己相関関数の生の部分と補正された部分との間の遷移での勾配変化を最小化するカットオフ減衰時間が選択されてもよい。生の自己相関関数と補正された自己相関関数との間の遷移に最適なカットオフ減衰時間を決定するのに、反復方法が用いられてもよい。
【0118】
散乱測定値が一連の光子到達時間の形である場合、光子到着時間を削除して、関連する時点における有効な散乱強度を低減することで、散乱測定値を直接補正することができる。図22は、図18において先に説明されたものと同じ散乱計数率601を示すグラフであるが、平均計数率604(この場合は中央値であるが、平均やモードも用いられ得る)も含む。最低計数率605も示され、汚染されていない散乱の上限値603も示されている。上限値603は、散乱計数率から算出され、この場合、平均計数率604に平均計数率604と最低計数率605との差を足したものである。他の実施形態において、標準計数率用の上限値603を定めるのに、他の基準が用いられてもよい(例えば、平均プラスn標準偏差)。上限値603の外側にあるビン602が示されている。これらビンは、汚染されたビン(すなわち、不純物からの散乱寄与を含む)として特定されている。
【0119】
各汚染されたビン602について、汚染されたビンの中の計数率を上限値603から引き去ることにより、余剰のカウント数が決定され得る。例えば、そのビンから除去するための記録された光子パルスをランダムに選定することにより、余剰のカウント数に等しい光子の到達イベント数を、各汚染されたビンからその後除去できる。図23は、各ビンの中で強度の上限値603を超えないように制限された、結果的に補正された計数率波形655を示す。
【0120】
いくつかの実施形態において、各ビンから除去されるカウント量は、図23において目に見える1ビンあたりのフォトンカウントのハードリミットを回避するように、ある程度のランダム性を持って選定されてもよい。例えば、各ビンの光子の余剰の数と除去されるべき光子の最大数との間の乱数に基づいて、除去されるためのいくつかの光子が選定されてもよい。代替的に又は付加的に、光子の余剰数を超える追加のランダム光子は、各ビンのカウントの広がりの統計量が何らかの品質基準(例えば、ポアソン分布テスト)を満たすまで、反復的に除去されてもよい。
【0121】
図24は、生の散乱測定値の自己相関関数651と、補正された散乱測定値の自己相関関数652とを示している。補正された自己相関関数は、かなり低いベースラインを有するが、ビニング後に散乱測定値を補正することにより悪影響を受け得る低い減衰時間では情報を維持する。
【0122】
生の自己相関関数651にキュムラント解析を行うことで、結果、報告されるZ平均は451nmとなる。補正された自己相関関数652にキュムラント解析を行うことで、結果、報告されるZ平均は247nmとなる。後者の数字は、Z平均242nmをもたらした、厳密にフィルタされた試料に実行されたキュムラント解析と見事に一致する。
【0123】
光子到達時間を破棄するこの方法は、散乱強度に対するシンプルな上限値よりもっと複雑な基準に基づいて散乱データを補正するように適合できる。例えば、散乱寄与のモデルは、生の計数率タイミングデータから差し引かれてもよい。つまり、例えば、図15の平滑化された計数率511は、生の光子到達時間散乱測定値の各ビンから除去するカウント数を定めるのに用いられ得る。この種の補正により、最初に散乱測定値をビニングすることなく、補正された散乱測定値が生の散乱測定値から直接的に生成できるようになる。
【0124】
一連の生の光子到達時間は、不純物からの散乱寄与を特定するのに、直接処理されてもよい。ビニング後に高い計数率を特定する代わりに、光子到達時間に対する光子計数の勾配を用いて、散乱測定値の高強度部分を特定してもよい。図25は、水の中で分散した500nmのラテックス球に関する光子到達時間に対する光子数のプロット660を示す。丸で囲まれた領域661は、不純物からの散乱寄与に対応する勾配の変化を示す。このような領域は、計数率波形の局所勾配を全測定値の平均勾配と比較することにより特定されてもよい。
【0125】
図26は、複数のウィンドウそれぞれについての平均勾配671と算出された勾配670とを示す。ウィンドウは、光子到達の決められた数に基づいて、又は、決まった時間に基づいて、定められてもよい。勾配閾値672を、平均勾配のパーセンテージ(この場合70%)として定める。この結果、5個のウィンドウ673が汚染されていると特定される。
【0126】
この過程は、不純物からの散乱寄与を含まない生の計数率波形の部分を特定するのに用いられてもよい。図示例において、散乱測定値の中央部分(図25において第1及び第2の丸で囲まれた領域661の間)が、汚染されていない散乱測定値の最も長く継続した部分である。この最長の汚染されていない部分は、粒子の特性(例えば、粒径又は粒度分布)を決定する根拠として用いられてもよい。
【0127】
より小さなウィンドウサイズは、不純物からの散乱寄与をより高感度で特定し、より大きなウィンドウサイズは、感度が下がりやすくなる。ウィンドウサイズは、試料の特性に合うように調整してもよい(例えば、散乱測定値の統計的な特性に基づいて)。
【0128】
上述したように、計数率の修正は、光信号の減衰(例えば、光学的ドメインで減衰器を用いるもの)に類似していると考えられ得る。図27から図29は、本明細書で記載される方法の特徴が光学的ドメインにて実施される例示的な実施形態を説明する。
【0129】
図27から図29を参照して、可変減衰器105、焦点レンズ107、試料セル104、検出器11、相関器117、及び制御電子機器127を含む、粒子特性評価装置が図示される。
【0130】
図27から図29のそれぞれにおいて、希釈流体中で浮遊する粒子を含む試料106は、試料セル104の中にある。光源(図示なし)からの照射光線103が試料106を照射し、散乱光111が生成される。光線103は、焦点レンズ107(セル内の検出領域を変えるために移動可能であってもよい)によって試料セル104の中で焦点が合わせられる。散乱光111は、焦点レンズ107を通る検出光路を介して検出器11によって受け取られる。検出器11は、アバランシェフォトダイオード又は類似した物など、光子計数検出器であってもよい。検出器11からの出力は、例えば、DLS解析や同様の解析を行うために、相関器に提供される。照射光線と散乱光の両方が同じ焦点レンズを通過することは必須ではない。つまり、検出光路が光線と重なるように導くために、いかなる適切な光学配置を用いてもよい。例えば、幾つかの状況において、光線及び/又は検出器光路は、コリメートされてもよいし、又は、分岐してもよい。
【0131】
図27の例において、検出器11からの出力は、制御電子機器127に提供される。制御電子機器127は、散乱光の中の不純物の散乱寄与を検出器で検出するように構成される。制御電子機器は、不純物からの散乱寄与を検出するために本明細書で記載される方法のいずれをも具体化し得る。1つの例として、制御電子機器は、ローパスフィルタを含んでもよい。制御電子機器は、不純物からの散乱寄与に比例する制御信号を、照射ビームを減衰することで不純物からの散乱を補償する可変減衰器に提供してもよい。
【0132】
図28は、ビームスプリッタ128と更なる検出器129とを更に含む、代替の粒子特性評価装置を示す。
この装置では、ビームスプリッタは、散乱光111の一部を更なる検出器129に提供するように配置される。制御電子機器127は、散乱光の中の不純物からの散乱寄与を更なる検出器129で検出するように構成される。ここでもまた、制御電子機器は、不純物からの散乱寄与を検出するために本明細書に記載される方法を具体化し得る。1つの例として、制御電子機器は、ローパスフィルタを含んでもよい。制御電子機器は、不純物からの散乱寄与に比例する制御信号を、検出器11によって受け取られる散乱光を減衰する可変減衰器に提供して、不純物からの散乱を補償してもよい。
【0133】
図29は、図28の装置(更なる検出器129が制御電子機器に信号を提供するために用いられる)と同様の、更に代替の装置を示すが、ビームスプリッタが省略されている。この実施形態において、更なる検出器129によって検出された散乱光111は、検出器11で最終的に受け取られる散乱光とは異なる方向に散乱する。検出器11と更なる検出器129の散乱角度は、好ましくは実質的に同じであるとよいが、これは必須ではない。更なる検出器129は、異なる散乱角度であってもよい(例えば、前方散乱を検出し、後方散乱検出器11を備える)。
【0134】
いずれの実施形態の可変減衰器105も、(例えば、ステッパモータや圧電トランスデューサを含む)並進ステージ上に搭載される可変NDフィルタを含んでもよい。あるいは、減衰量は、システム内の光の偏光を使って変えられてもよい(少なくともある程度まで、照射光線は偏光され、散乱光はこの偏光を維持してもよい)。これらの原則に基づく可変減衰器は、調整可能なクロス偏光子、単偏光子及びポッケルスセル、ファラデー回転子、固定されたファイバ偏光子、可変波長板、及び/又は液晶素子の組み合わせを含んでもよい。
【0135】
これら方法それぞれは、それ独自の関連応答時間を有するが、計数率の低速変動の典型的な時間的尺度は、これら方法それぞれの範囲内にあるであろう。一方、光電工学的方法は、計数率のスパイクに応答するためにより高い能力を有するであろう。
【0136】
多くの商業用実験機器が「ブラックボックス」として扱われる一方で、粒子特性評価技術(DLSなど)の使用者は、それらの試料の品質と所定の解析方法へのその適性に関する明瞭且つ関連する情報から恩恵を受けるであろう。よって、本明細書に記載される方法は、不純物による散乱寄与について使用者に情報を提供するのに用いられ得るだろう。例えば、生の光子計数率と修正されたバージョンは、使用者に提供され得るだろう(例えば、図16のように)。同様に、例えば、DLSの生の自己相関関数と補正された自己相関関数(例えば図24のように)とELSとMLSのフェーズプロット又は周波数プロット、及び、データの処理で用いられる波形(例えば、図19のスペクトルや図26の窓付き勾配)の提供など、他の関連するどの様なデータセットも、処理前後に示され得る。
【0137】
これら方法の結果(又は理想信号)と生の初期信号との比較もまた、純粋に質に関する測定値というよりむしろ試料の適性の定量的測定値を与えるのに用いられ得る。例えば、スパイク又は低速変動を含む生の計数率と平均計数率での直線との間の剰余の合計は、安定した計数率に関して算出されるそれよりもっと大きいであろう。
【0138】
これらパラメータは、単に使用者に報告される基準として、又は、測定値の質を特性評価するためにニューラルネットワーク内の追加のパラメータとして、用いられてもよい。
本明細書で詳細に記載されるこれら例は、動的光散乱測定の状況に焦点を置く傾向があったが、同様の概念が他の種類の光散乱測定にも直接準用され得ることが理解されるだろう。例えば、本明細書に記載される測定結果は強度に基づくが、幾つかの実施形態においては、光散乱測定は、変調基準(又は散乱)ビームを用いるヘテロダイン検波に基づいてもよい。その場合、変調された検出信号の包絡線の振幅が測定パラメータであってもよく(散乱光の強度ではなく)、本明細書に記載される方法は、適宜修正されてもよい。同様に、本明細書に記載される方法は、ゼータ電位測定への不純物の影響を低減するために、PALS(位相角光散乱)を処理するように簡単に適合できる。
【0139】
特定の例が記載されているが、これらは限定を意図するものではなく、当業者であれば、添付の請求項によって定められるように、本発明の範囲内で他の変形も可能であることを理解するであろう。
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