(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】セルロース系組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 1/08 20060101AFI20230518BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20230518BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230518BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20230518BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20230518BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C08L1/08
C08L91/00
C08K3/013
C08K3/22
C08L67/02
C08J5/18 CEP
(21)【出願番号】P 2019569280
(86)(22)【出願日】2018-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2018060316
(87)【国際公開番号】W WO2018228744
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-04-05
(32)【優先日】2017-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519440777
【氏名又は名称】ウッドリー オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【氏名又は名称】藤田 和子
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】カミネン ヤーッコ
(72)【発明者】
【氏名】パルッキネン マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ケラ ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴオリネン トンミ
(72)【発明者】
【氏名】セタラ ハッリ
(72)【発明者】
【氏名】カンミオヴィルタ カリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクストレーム リサ
(72)【発明者】
【氏名】アンティラ ウピ
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04020216(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0297950(US,A1)
【文献】国際公開第2014/119657(WO,A1)
【文献】特開2008-273197(JP,A)
【文献】特表2015-533186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム又はホイルを製造するためのセルロース系組成物であって、
a.酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つと、
b.トール油脂肪酸エステルと、
を含み、
前記酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つの数平均モル質量が、20,000Da超であり、
前記少なくとも1つのポリマーの総量が、前記組成物の総重量に基づいて少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%であることを特徴とするセルロース系組成物。
【請求項2】
前記酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーが、熱可塑性かつ水不溶性であることを特徴とする、請求項1に記載のセルロース系組成物。
【請求項3】
前記酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つの数平均モル質量が、20,000~95,000Da、好ましくは20,000~90,000Da、より好ましくは30,000~70,000Daであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセルロース系組成物。
【請求項4】
白色顔料を含有し、好ましくは、前記白色顔料がTiO
2であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のセルロース系組成物。
【請求項5】
前記トール油脂肪酸エステルが、トール油脂肪酸メチルエステルであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のセルロース系組成物。
【請求項6】
トール油脂肪酸エステルに加えて少なくとも1つの他の軟化剤を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のセルロース系組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの他のポリマー、好ましくはポリブチレンサクシネート(PBS)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のセルロース系組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のセルロース系組成物を含むことを特徴とする、包装フィルム。
【請求項9】
フィルム又はホイルを製造する方法であって、以下の工程:
a.酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つと、トール油脂肪酸エステルとを含む組成物を溶融混合して、均質な混合物を得る工程であって、任意で、トール油脂肪酸エステルを前記ポリマー(複数可)に少なくとも2段階で添加する工程と、
b.前記均質な混合物を造粒して、粒状原料を得る工程と、
c.前記粒状原料からフィルム又はホイル材料を作製する工程と、
を含み、
前記酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つの数平均モル質量が、20,000Da超であることを特徴とする方法。
【請求項10】
工程a.における前記組成物が、請求項1~7のいずれか一項に記載のセルロース系組成物であることを特徴とする、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程c.が、フィルム吹込プロセスを使用することによって前記粒状原料からフィルム又はホイル材料を作製することを含むことを特徴とする、
請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
包装フィルムを製造するための、請求項1~7のいずれか一項に記載のセルロース系組成物の使用。
【請求項13】
フィルム吹込プロセスを使用する包装フィルムの製造に関することを特徴とする、
請求項12に記載の使用。
【請求項14】
フィルム吹込プロセスにおける、請求項1~7のいずれか一項に記載のセルロース系組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム又はホイルを製造するためのセルロース系組成物、その使用に加えて、その製造された包装フィルム、及びフィルム又はホイルを製造する方法に関する。特に、本発明は、フィルム又はホイルを製造するための組成物であって、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーと、更に、トール油脂肪酸(TOFA)エステルとを含み、該酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つのモル質量が、20,000Da超である組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
環境的に持続可能な開発を確実にするために、石油又は天然ガス等の化石原料から作製されるプラスチック材料を新規の環境に優しい材料で置き換える必要がある。これら新規材料は、バイオプラスチックと呼ばれることが多い。
【0003】
幾つかの新規合成バイオプラスチック材料が開発されている。これら合成材料は、必ずしも再生可能資源を原料とする訳ではないが、人工的に生分解性にされている。したがって、バイオプラスチックは、一般的に、天然ポリマー及び合成ポリマーの2つの別個の群に分けられる。天然ポリマーは、バイオポリマー、例えば、タンパク質又は多糖類(すなわち、デンプン及びセルロース)を原料とする。合成バイオポリマーは、例えば、脂肪族ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、水溶性ポリビニルアルコール、及び特定のポリウレタンである。生分解性材料は、典型的には、細菌酵素活性又は加水分解のいずれかによって合理的な時間で分解する塊(mass)として定義される。
【0004】
化石資源由来の原料が未だに使用されている1つの大きな分野は、プラスチック材料(ポリエチレン、ポリプロピレン等)等のパッキング及びラッピング材料である。フィルム又はホイル等のプラスチックラッピングは、典型的に石油関連製品又は天然ガスに由来する材料の一例である。大部分の家庭用プラスチックラップは、炭化水素由来のポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はポリ塩化ビニリデン(PVDC)から作製される。プラスチックから作製されるフィルム及びホイルは、広範囲にわたる目的に使用されている。幾つかの例は、食品をパッキングするためのクリングフィルム(cling film)又は他のプラスチックラップ、乾草のベール梱包をラッピングするためのプラスチックフィルム等である。このようなラッピング又はパッキング材料を、環境に優しい代替物で置き換える必要がある。
【0005】
セルロースは、天然ポリマーであり、再生可能資源であるとみなされる。公知のセルロース系材料は、例えば、Cellophane、Celluloid、Transparit、Cellidor、及びCellblendである。セルロース系材料は、典型的には生分解性である。しかし、これら材料の多くは、石油関連製品と比べて経済的に実現不可能であると考えられている。それに加えて、該材料は、加工性等に関連する他の問題点を有している。酢酸セルロース、アセト酪酸セルロース、ベンジルセルロース、及びエチルセルロースは、例えば、溶融加工性を得るために高いDSを必要とする。熱可塑性及び生分解性は、常に適合する訳ではない。
【0006】
石油関連プラスチック材料を置き換えるために幾つかの新規バイオプラスチックが開発されているが、持続可能な開発を確実にし、包装材料及びプラスチックに関連する廃棄物の問題を軽減するために、新たな持続可能な解決策を見つけることが依然として継続的に必要とされている。特に、LDPEクリングフィルム等の従来のクリングフィルムを置き換えるために、ぴったりくっつく(clingy)特性を有する材料を開発することが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の問題に対する解決策を実現することである。特に、本発明の目的は、フィルム又はホイルを製造するために使用することができるセルロース系組成物を生み出すことである。新規セルロース系組成物は、化石原料を原料とし、かつパッキング又はラッピング材料として使用されているフィルム又はホイルに置き換わることができる。したがって、該セルロース系組成物及びそれから製造されるフィルム又はホイルは、より持続可能なパッキング材料の選択肢を食料雑貨店及び消費者に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、独立請求項に記載されている特徴を有する組成物を用いて達成される。本発明の好ましい実施形態は、独立請求項に提示される。したがって、本発明の一目的は、フィルム又はホイルを製造するためのセルロース系組成物を提供することである。本発明に係るセルロース系組成物は、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるセルロース系ポリマーのうちの少なくとも1つと、更に、トール油脂肪酸エステルとを含み、該酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つのモル質量は、20,000Da超である。また、本発明は、本発明に係るセルロース系組成物を含む、包装フィルムに関する。
【0009】
新規組成物及び包装フィルムに加えて、本発明は、フィルム又はホイルを製造する方法に関する。本発明に係る方法は、以下の工程:
- 酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つと、トール油脂肪酸エステルとを含む組成物を溶融混合して、均質な混合物、エステルを得て、均質な混合物を得る工程であって、任意で、トール油脂肪酸エステルを該ポリマー(複数可)に少なくとも2段階で添加する工程と、
- 該均質な混合物を造粒して、粒状原料を得る工程と、
- 前記粒状原料からフィルム又はホイル材料を作製する工程と
を含む。
【0010】
また、本発明は、包装フィルムを製造するための、本発明に係るセルロース系組成物の使用に関する。また、本発明は、フィルム吹込プロセスにおける、本発明に係るセルロース系組成物の使用に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、トール油脂肪酸エステルと共に、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるセルロース系ポリマーのうちの少なくとも1つを含む混合物から、フィルム又はホイルを製造するための環境に優しい組成物を調製することができるという驚くべきこと知見に基づく。得られる組成物は、ぴったりくっつく特性を有する包装フィルム又はホイルに成形することができる。
【0012】
本発明に係る組成物の1つの利点は、プラスチックフィルムを製造及び加工するために現在使用されている従来の機械で加工することができる点である。したがって、高額な設備投資を行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】以下では、本発明に係る組成物から製造されたフィルムの一例を示す、同封した
図1を参照する図によって、本発明をより厳密に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願及び特許請求の範囲において、以下の用語及び表現は、以下に定義する通りの意味を有する。
【0015】
「セルロース系」は、セルロース含有材料に由来する繊維から得られたポリマーを含むと定義される。したがって、セルロース含有材料に由来する繊維から得られたポリマーは、バイオポリマーである。セルロース系ポリマーは、典型的には、セルロースのエーテル又はエステル等の誘導体である。セルロース含有材料は、様々な原料、例えば、木材、植物の樹皮若しくは葉、又は植物系材料から得ることができる。
【0016】
「酢酸酪酸セルロース」(CAB)ポリマー及び「酢酸プロピオン酸セルロース」(CAP)ポリマーは、セルロース誘導体である。これらは、繰り返しグルコース単位におけるセルロースポリマー鎖の幾つかのヒドロキシル基をエステル化することによって生成される。酢酸酪酸セルロース/酢酸プロピオン酸セルロースは、様々な基材のコーティング用途において結合剤及び添加剤として使用される。これら生成物は、そのブチリル/プロピル、アセチル、及びヒドロキシの含有量に基づいて、多種多様な特性を付与する。
【0017】
「エチルセルロース」(EC)ポリマーは、セルロースの別の誘導体である。繰り返しグルコース単位におけるセルロースポリマー鎖のヒドロキシル基のうちの幾つかが、エチルエーテル基に変換されている。エチルセルロースは、薄膜等の工業用途において主に使用されているが、幾つかの等級は、食品及び医薬品等の規制市場において使用することもできる。エチル基の数は、製造プロセスに応じて変化し得、材料に様々な特性を与えることができる。
【0018】
「トール油脂肪酸エステル」又はTOFAエステルは、トール油脂肪酸のエステルである。典型的には、トール油脂肪酸メチルエステルが使用される。
【0019】
「包装フィルム」は、例えば、クリングフィルム、シュリンクフィルム、ストレッチフィルム、バッグフィルム又は容器用ライナ、消費者包装用のフィルム(例えば、冷凍製品用の包装フィルム、包装を輸送するためのシュリンクフィルム、食品用ラップフィルム、包装用バッグ、成形充填シール包装フィルム(form, fill and seal packaging film))、積層フィルム(例えば、牛乳又はコーヒー等を包装するために使用されるアルミニウム又は紙の積層物)、バリアフィルム(例えば、冷肉及びチーズ等の食品を包装するために使用される香り又は酸素のバリアとして作用するフィルム)、医療品を包装するためのフィルム、農業用フィルム(例えば、温室用フィルム、作物促成栽培用フィルム、サイレージ用フィルム、サイレージ用ストレッチフィルム)、又は化粧品の包装に適用するためのものであってよい。
【0020】
「吹込フィルムプロセス」又は「フィルム吹込プロセス」又は「吹込フィルム押出成形」は、フィルム製造の最も一般的な方法の1つである。吹込フィルムプロセスは、時に、筒状フィルム押出成形とも称される。このプロセスは、円形のダイを介してプラスチックを押出成形し、続いて、「泡のように」膨張させることを含む。
【0021】
本発明は、再生可能資源から作製することができることから環境に優しいフィルム又はホイルを製造するためのセルロース系組成物に関する。新規組成物は、パッキング材料又はパッキングフィルムに成形することができ、例えばポリエチレン又はポリプロピレンを原料とする、一般的に使用されている化石プラスチック材料を置き換えるためにラッピング及びパッキングに使用することができる。新規組成物は、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つと、トール油脂肪酸エステルとの混合物を含み、これらは全て再生可能資源に由来する。新規組成物は、好適には、環境に優しいバイオプラスチック材料である。
【0022】
本発明は、フィルム又はホイルを製造するためのセルロース系組成物であって、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つを含む組成物に関する。これらポリマーのうちの1つ以上に加えて、該組成物は、トール油脂肪酸エステルを含む。酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つのモル質量は、20,000Da超である。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、フィルム又はホイルを製造するためのセルロース系組成物は、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つと、トール油脂肪酸エステルと、任意で、軟化剤、顔料、又はプラスチック組成物で使用するための他の添加剤等の添加剤とからなる。酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つのモル質量は、20,000Da超である。
【0024】
本発明に係るセルロース系組成物では、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択される前記少なくとも1つのポリマーの総量は、該組成物の総重量に基づいて、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%である。一実施形態によれば、該少なくとも1つのポリマーの総量は、該組成物の総量に基づいて、40~95重量%、又は例えば50~90重量%若しくは60~70重量%であってよい。
【0025】
本発明に係る組成物は、0~90重量%、好ましくは10~80重量%の量の酢酸酪酸セルロース、及び/又は0~90重量%、好ましくは10~80重量%の量の酢酸プロピオン酸セルロース、及び/又は0~90重量%、好ましくは10~80重量%の量のエチルセルロースと、5~50重量%、好ましくは10~45重量%の量のトール油脂肪酸エステルとを含んでいてよい。したがって、本発明に係る組成物中のトール油脂肪酸エステルの量は、例えば、該組成物の総重量に基づいて、5~50重量%、10~45重量%、15~35重量%、20~30重量%、又は30~40重量%であってよい。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、セルロース系組成物は、該組成物の総重量に基づいて、10~90重量%、好ましくは40~80重量%の量の酢酸酪酸セルロースと、0~50重量%の量の酢酸プロピオン酸セルロースと、0~40重量%の量のエチルセルロースと、10~50重量%の量のトール油脂肪酸エステルとを含む。本発明に係る組成物は、例えば、該組成物の総重量に基づいて、50~75重量%又は60~70重量%の酢酸酪酸セルロースを含んでいてよい。
【0027】
好適には、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つのモル質量は、20,000Da超である。好適には、前記群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つのモル質量は、20,000~95,000Da、好ましくは、20,000~90,000Da、例えば、30,000~70,000Daである。全ての成分のモル質量が低すぎる場合、材料が吹込フィルムプロセスに十分な程度強くもなく弾性でもなくなるので、組成物が吹込フィルム加工に適さないというリスクがある。したがって、指定のモル質量値によって、吹込フィルム用途において該ポリマーを使用することが可能になる。吹込フィルム加工によって、好ましくはぴったりくっつく特性を有し、パッキング材料として好適なフィルム又はホイルを形成することが可能になる。
【0028】
様々な等級の酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースが、幾つかの供給元から市販されている。本発明に係る組成物では、ポリマー原料の混合物が、形成されるフィルム又はホイルの特性に影響を与える。言い換えれば、幾つかのポリマーの混合物の場合、本発明に係る組成物を形成したときにポリマーの複合特性を評価する必要がある。例えば、ポリマーのうちの1つが90,000Da又は70,000Da等の高いモル質量を有する場合、このポリマーをより低いモル質量を有する別のポリマーと組み合わせることが好適であり得る。あるいは又は更に、高モル質量のポリマーには、より多量の軟化剤が必要である。モル質量の測定は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて実施してよく、これは、本発明に関連して実施した試験で使用したものである(実施例2を参照)。好適なSEC測定条件は、プレカラムと共にStyragel HR 4及び3カラムを使用し、クロロホルム溶出剤(0.6mL/分、T=30℃)中である。溶出曲線は、Waters 2414屈折率検出器を使用して検出してよい。モル質量分布(MMD)は、Waters Empower 3ソフトウェアを使用して、10×PS(580~3040000g/モル)標準に対して計算してよい。実施例2では、PSを標準として使用した。比較試験では、PS標準から、製造業者によって提供されたモル質量値よりもわずかに高い結果が得られた(実施例1)。したがって、実施例2においてCAP標準が利用可能であった場合、実施例2のモル質量値はわずかに低くなったであろう。したがって、一実施形態によれば、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つのモル質量は、25,000~95,000Daであり、これは、クロロホルム溶出剤(0.6mL/分、T=30℃)中で、プレカラムと共にStyragel HR 4及び3カラムを使用し、Waters 2414屈折率検出器を使用して溶出曲線を検出し、Waters Empower 3ソフトウェアを使用して、10×PS(580~3040000g/モル)標準に対してモル質量分布(MMD)を計算するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。
【0029】
本発明に係る組成物の酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及び/又はエチルセルロースのポリマーは、好適には、熱可塑性ポリマーである。包装フィルムにおいて使用するのに好適であるためには、本発明の組成物で使用されるセルロース系ポリマーは水溶性であってはならない。したがって、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーは、好適には、水溶性ではない。更に、ポリマーは、トール油脂肪酸エステル軟化剤と共に使用するのに適している必要がある。本発明に係る組成物の酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及び/又はエチルセルロースのポリマーは、これら要件を満たすことが見出されている。更に、該ポリマーは、ぴったりくっつく特性を有するフィルム又はホイルを生成するために使用することができる組成物において使用するのに好適である。したがって、一態様によれば、本発明の組成物で使用されるポリマーは、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるセルロース系ポリマーであり、前記ポリマーは、熱可塑性かつ非水溶性である。酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、又はエチルセルロースと類似の特性を有し、また、本発明に係る組成物に好適である他のセルロース系ポリマーも存在し得る。したがって、本発明に係る組成物は、他のセルロース系ポリマーも含んでいてよい。
【0030】
一実施形態によれば、本発明のセルロース系組成物は、トール油脂肪酸エステルと共に、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも2つを含む。一実施形態によれば、本発明のセルロース系組成物は、酢酸酪酸セルロース及びトール油脂肪酸メチルエステルを含む。
【0031】
本発明に係るセルロース系組成物は、トール油脂肪酸エステルも含む。トール油脂肪酸エステルは、本発明の組成物において軟化剤又は可塑剤として使用される。トール油脂肪酸は、木材を原料とする組成物である、すなわち、再生可能資源から製造されるという利点を有する。本発明に係る包装フィルムの幾つかの用途についての更なる利点は、食品等級のTOFAエステルが市販されている点である。例えば、食品の包装に使用する場合。本発明の一実施形態によれば、トール油脂肪酸エステルは、トール油脂肪酸メチルエステルである。トール油脂肪酸メチルエステルは市販されており、したがって、別個に調製する必要がないので有利な選択肢である。
【0032】
また、本発明に係るセルロース系組成物は、トール油脂肪酸エステルに加えて少なくとも1つの他の軟化剤を含んでいてもよい。
【0033】
一実施形態によれば、本発明に係るセルロース系組成物は、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択される前記少なくとも1つのポリマーに加えて、少なくとも1つの他のポリマー、好ましくは、ポリブチレンサクシネートを含む。ポリブチレンサクシネート(PBS)は、セルロース系ポリマーと混合するのに好適である。セルロース系ポリマーと混合するのに好適な他の可能なポリマーは、ポリプロピレンサクシネート(PPS)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-ブチレンアジペート)(PBSA)、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(ヘキサメチレングルタレート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレングルタレート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(エチレングルタレート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレングルタレート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンサクシネート)、又はポリ(ヘキサメチレンサクシネート)である。
【0034】
一実施形態によれば、本発明に係る組成物における全てのポリマーの総量は、該組成物の総重量に基づいて60~95重量%である。
【0035】
更に、本発明の組成物は、顔料を含有していてよい。顔料は、好ましくは、白色顔料である。白色顔料は、例えば、二酸化チタン(TiO2)であってよい。該組成物に白色顔料を添加すると、形成されるフィルム又はホイル材料が白色かつ半透明になる。これは、特に、食品をパッキングするために本発明に係る包装フィルムを使用するときに有利であるが、その理由は、白色がパッケージ内の食品を消費者にとってより魅力的に見せるためである。白色顔料なしでは、本発明に係る組成物から製造されるフィルム又はホイル材料は、わずかに黄色がかった色を有し得る。したがって、白色顔料は、フィルム又はホイルの自然の色をマスキングする効果を有し、この効果がなければ、食品製品が消費者にとってそれほど魅力的に見えなくなる可能性がある。
【0036】
顔料に加えて、本発明に係る組成物は、他の成分、例えば、プラスチックで典型的に使用される添加剤も含んでいてよい。これら添加剤は、例えば、充填剤、助剤、又は他の剤である。典型的には、これら添加剤の量は、組成物の重量に基づいて0.01~10重量%で変動する。1つの添加剤の量は、例えば、組成物の重量に基づいて0.1~5重量%であってよい。
【0037】
本発明の一態様は、化石原料を原料とするいかなる成分をも含有しないフィルム又はホイルを製造するためのセルロース系組成物である。言い換えれば、この場合、該組成物は、再生可能原料から本質的に又は完全になっていてよい。
【0038】
また、本発明は、本発明に係るセルロース系組成物を含む包装フィルムに関する。本発明に係る包装フィルムは、フィルム吹込プロセス(吹込フィルム押出成形)を使用して製造することができる。
【0039】
一実施形態によれば、本発明に係るフィルム又はホイルを製造するための組成物は、吹込フィルム押出成形(フィルム吹込プロセス)又は流延フィルム押出成形のいずれかを使用してフィルムに加工することができる。
【0040】
一実施形態によれば、セルロース系組成物は生分解性である。セルロース系組成物から製造される新規包装フィルム又はホイルも生分解性であり得る。
【0041】
また、セルロース系組成物を、従来のプラスチック原料、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンと混合してもよい。この方法では、特定の有利な特徴を有するフィルム又はホイル材料を製造するのに好適な組成物を得ることができる。原料ブレンドの選択は、フィルム又はホイル材料の要件及び最終用途に依存する。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、フィルム又はホイルを製造するためのセルロース系組成物はクリングフィルムに成形され、これを使用して、例えばLDPEから作製される一般的なクリングフィルムを置き換えることができる。このようなクリングフィルムは、食品等級の原料から作製され得る。したがって、クリングフィルムを使用して、食品製品をパック又はラップすることができる。
【0043】
また、本発明は、フィルム又はホイルを製造する方法に関する。フィルム又はホイルを製造するための本発明に係る方法は、以下の工程:
a.酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つと、トール油脂肪酸エステルとを含む組成物を溶融混合して、均質な混合物を得る工程であって、任意で、トール油脂肪酸エステルを該ポリマー(複数可)に少なくとも2段階で添加する工程と、
b.該均質な混合物を造粒して、粒状原料を得る工程と、
c.該粒状原料からフィルム又はホイル材料を作製する工程と
を含む。
【0044】
一実施形態によれば、工程a.における組成物は、上記本発明に係るセルロース系組成物である。
【0045】
一実施形態によれば、本発明に係る方法の工程c.は、フィルム吹込プロセスを使用することによって粒状原料からフィルム又はホイル材料を作製することを含む。
【0046】
好ましくは、該方法の溶融混合工程では、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つを含む組成物に、トール油脂肪酸エステルを、徐々に及び/又は少なくとも2段階で添加する。本発明の発明者らは、この方法によって溶融混合工程がより効率的になり得ることを見出した。この方法を使用しなければ、均質な混合物を得ることが困難になる場合がある。一実施形態によれば、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つを含む組成物に、トール油脂肪酸エステルを、数段階で、例えば少なくとも3つの別個の段階又は少なくとも4つの別個の段階で添加する。
【0047】
溶融混合は、連続配合プロセスで実施してよい。溶融混合は、好適には、二軸配合機を用いて実施される。配合機を使用するとき、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーのうちの少なくとも1つを含む組成物へのトール油脂肪酸エステルの添加は、幾つかの段階又は点から実施してよい。
【0048】
また、溶融混合は、バッチミキサで実施してもよい。
【0049】
任意で、該方法は、工程a.で形成される混合物の成分のうちの幾つかについての予混合又は含浸工程を含んでいてもよい。
【0050】
工程a.で得られる混合物が吹込フィルム加工に好適であることを保証するために、当業者に公知の標準的な試験を行ってよい。本発明の組成物は、これら要件を満たす必要がある。
【0051】
本発明に係る組成物は、吹込フィルム加工用の従来の装置で加工することができる。原料の要件及び他のパラメータの調整は、当業者に公知である。
【0052】
本発明に係る組成物から製造されるフィルム若しくはホイル又は包装材料の特性、例えば、厚み、密度等は、その意図する使用又は用途に好適になるように調整する必要がある。
【0053】
更に、プラスチックのラップ又は包装フィルムが有効であることを保証するための標準的な試験が存在する。重要な試験の幾つかは、例えば、透過性(水蒸気及び気体)、衝撃耐性、吸水、及び引裂強度である。形成される包装フィルム又はホイルは、意図する用途、例えば、食品を包装するための使用に応じて特定の具体的な要件を満たす必要がある。
【0054】
また、本発明は、包装フィルムを製造するための、本発明に係るセルロース系組成物の使用に関する。好ましくは、該使用は、フィルム吹込プロセスを使用する包装フィルムの製造に関する。
【0055】
更に、本発明は、フィルム吹込プロセスにおける、本発明に係るセルロース系組成物の使用に関する。
【0056】
本発明に係る新規組成物は、再生可能資源由来の原料のみを本質的に含有していてよい。新規組成物は、再生可能資源由来の原料から完全になっていてもよい。また、新規組成物は、再生可能資源由来の生分解性原料から完全になっていてもよい。本発明に係る組成物は、吹込フィルム加工に好適である。
【0057】
包装用に一般的に使用されているLDPEクリングフィルムに関連して多くの問題が存在する。1つの問題は、典型的に、LDPEのうちの数パーセントしかリサイクルされないことである。実際、フレキシブルなプラスチック包装材料は、多くの場合、リサイクルプログラムに全く受け入れられない。したがって、本発明に係る組成物で達成され得るものなどの、プラスチックラップに対する環境に優しい代替品を導入することは、持続可能な開発を達成するという目的において真に有利な点である。好適には、本発明に係るセルロース系組成物は、一般的に使用されているクリングフィルムを置き換えるための高品質フィルム材料も提供する。
【0058】
本発明に係る組成物の重要な利点は、それから製造されるフィルム又はホイルが、既存の製造プロセス及び技術を使用して生産できる点である。したがって、新しい製造設備に大きな投資を行う必要がないので、該組成物は、経済的に実現可能な選択肢である。
【0059】
本発明に係る組成物から製造される包装材料に関する更なる利点は、該組成物が生分解性であり得るので、プラスチック廃棄物が低減される点である。更に、本発明に係る組成物は100%再生可能資源で作製することができるので、化石原料の使用を低減することができる。また、本発明に係る組成物は木材でできているので、生産に耕地が占有されない。
【0060】
本発明は、以下の実施例によって更に説明される。
【実施例】
【0061】
実施例1
フィルム吹込プロセスを使用することによって、本発明に係るセルロース系組成物をプラスチックフィルムに成形した。
【0062】
組成及びフィルムに関する詳細は、表1から分かる。
【0063】
【0064】
表1中、CABは、酢酸酪酸セルロースであり、TOFAエステルは、トール油脂肪酸メチルエステルである。
【0065】
モル質量(kDa)値は、製造業者によって与えられた情報に基づく。
【0066】
フィルムサンプルを水に数日間浸漬することによって、フィルムに対して吸水試験を行った。水に浸漬した後のフィルムにおいて、外観にも質感にも目に見える変化は認められなかった。
【0067】
該フィルムのうちの1枚が陶磁器のコーヒーカップを包み込み、該カップに密着している
図1から分かる通り、フィルム1~2は透明であり、ぴったりくっつく特性を有していた。したがって、該フィルムは、プラスチックラップ等の包装フィルムとして使用するのに好適である。
【0068】
実施例2
フィルム吹込プロセスを使用して、本発明に係るセルロース系組成物をプラスチックフィルムに成形した。
【0069】
組成及びフィルムに関する詳細は、表2から分かる。
【0070】
【0071】
表2中、CAPは、酢酸プロピオン酸セルロースであり、PBSは、ポリブチレンサクシネートであり、TECは、クエン酸トリエチルであり、TOFAエステルは、トール油脂肪酸メチルエステルである。
【0072】
フィルム3~4は透明であり、ぴったりくっつく特性を有しており、プラスチックラップ等の包装材料として使用するのに好適であった。
【0073】
【0074】
モル質量測定用のクロロホルム溶出剤を使用してサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)でモル質量測定を実施し、クロロホルム(濃度1mg/mL)を使用してサンプル(入力a及びb)を一晩溶解させた。測定前にサンプルを濾過(0.45μm)した。
【0075】
プレカラムと共にStyragel HR 4及び3カラムを使用して、クロロホルム溶出剤(0.6mL/分、T=30℃)中でSEC測定を実施した。Waters 2414屈折率検出器を使用して、溶出曲線を検出した。Waters Empower 3ソフトウェアを使用して、10×PS(580~3040000g/モル)標準に対してモル質量分布(MMD)を計算した。この方法は、わずかに高い値を与えることによって実施例1の結果とは異なる場合がある。
【0076】
実施例3
フィルム吹込プロセスを使用して、本発明に係るセルロース系組成物をプラスチックフィルムに成形した。
【0077】
組成及びフィルムに関する詳細は、表4から分かる。
【0078】
【0079】
表4中、CAPは、酢酸プロピオン酸セルロースであり、TOFAエステルは、トール油脂肪酸メチルエステルである。
【0080】
フィルム5~6は透明であり、ぴったりくっつく特性を有していた。したがって、該フィルムは、プラスチックラップ等の包装フィルムとして使用するのに好適である。