(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】分割型センサヘッド及び分割型電流センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 15/18 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
G01R15/18 D
(21)【出願番号】P 2020207076
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 和輝
(72)【発明者】
【氏名】品川 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】南 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】吉原 智朗
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-068591(JP,A)
【文献】特開2004-257904(JP,A)
【文献】特開2007-057294(JP,A)
【文献】特開2016-044992(JP,A)
【文献】特開2011-227062(JP,A)
【文献】特開2019-128253(JP,A)
【文献】特許第6505653(JP,B2)
【文献】国際公開第2017/125728(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/139521(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 15/00-17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気コアと磁気センサとを各々備える一対の部分ヘッドを有し、
両部分ヘッドが、両磁気コアの一端同士が接近し前記両磁気コアが全体として環状をなす閉状態と、前記両磁気コアの前記一端同士が離間した開状態とを切り替え可能に配置され、
各々の前記磁気コアが、前記一端から離間した位置から他端に向けて周方向に延びるとともに軸方向に開口するスリットを有し、
各々の前記磁気センサが、前記スリット内に前記スリットに沿って配置され、
前記各々の磁気コアが、前記スリットに連なり前記磁気コアが少なくとも部分的に前記周方向に分割された分割部を有
し、
前記各々の磁気コアは、積層鋼板によって形成され、
各々の前記分割部は、全ての鋼板に各々形成される分割面が、前記軸方向に向かって1枚又は複数枚の前記鋼板ごとに、前記周方向の一方側と他方側に交互にずれる櫛歯状をなす、
分割型センサヘッド。
【請求項2】
前記分割部は、前記閉状態において両磁気コアの中心軸線を挟んで対向する箇所に対をなすように設けられる、請求項1に記載の分割型センサヘッド。
【請求項3】
前記各々の磁気センサは、励磁コアと前記励磁コアを巻回するように配置される励磁コイルとを備えるフレキシブル基板によって形成される、請求項1又は2に記載の分割型センサヘッド。
【請求項4】
請求項1~
3の何れか1項に記載の分割型センサヘッドと、
前記両磁気センサに接続される検出回路と、を有する、
分割型電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分割型センサヘッド及び分割型電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
分割型電流センサ等に用いられる分割型センサヘッドは、磁気コアと磁気センサとを各々備える一対の部分ヘッドを有し、両部分ヘッドは、両磁気コアの一端同士が接近し両磁気コアが全体として環状をなす閉状態と、両磁気コアの一端同士が離間した開状態とを切り替え可能に配置される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、貫通型電流センサ等に用いられる貫通型センサヘッドは、環状の磁気コアと磁気センサとを有する(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
上記のような分割型センサヘッドは、両部分ヘッドを開状態にすることで、電線等の測定対象をセンサヘッドの内側に挿入することができるので、貫通型センサヘッドの場合とは対照的に、測定対象に対して容易に配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-168405号公報
【文献】特開2014-215103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
検出感度と検出精度を高めるためには、磁気センサを周方向にできるだけ長い範囲に亘って配置することが好ましい。しかし、特許文献1に記載されるように、両部分ヘッドを閉状態にしたときに両磁気センサの一端同士が接触するように構成した場合には、各々の部分ヘッドの一端において磁気センサの一端が外部に露出することになる。そのため、この露出部を破損や汚れから守る必要があり、取り扱いが難しい。
【0007】
そこで、本開示の目的は、優れた検出感度及び検出精度と取り扱いの容易性とを同時に実現することができる分割型センサヘッド及び分割型電流センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
幾つかの実施形態に係る分割型センサヘッドは、磁気コアと磁気センサとを各々備える一対の部分ヘッドを有し、両部分ヘッドが、両磁気コアの一端同士が接近し前記両磁気コアが全体として環状をなす閉状態と、前記両磁気コアの前記一端同士が離間した開状態とを切り替え可能に配置され、各々の前記磁気コアが、前記一端から離間した位置から他端に向けて周方向に延びるとともに軸方向に開口するスリットを有し、各々の前記磁気センサが、前記スリット内に前記スリットに沿って配置され、前記各々の磁気コアが、前記スリットに連なり前記磁気コアが少なくとも部分的に前記周方向に分割された分割部を有する。このような構成によれば、各々の磁気センサがスリット内にスリットに沿って配置されるので、各々の磁気センサを磁気コアの一端において外部に露出させずに周方向に長い範囲に亘って配置することができる。例えば、両磁気センサを、全体として、閉状態の両部分ヘッドの全周長に対して60%以上の長さに亘って配置することができ、その割合が大きいほど、測定時の磁気センサと測定対象との相対位置のばらつきに起因する検出結果への影響を低減し、検出精度を高めることができる。また、このような構成によれば、各々の磁気コアが、スリットに連なる分割部を有するので、分割部から漏れる磁気コアからの漏洩磁束を磁気センサで受け、磁気センサ内の磁束を増やすことができるので、検出感度を高めることができる。したがって、優れた検出感度及び検出精度と取り扱いの容易性とを同時に実現することができる。
【0009】
一実施形態において、前記分割部は、前記閉状態において両磁気コアの中心軸線を挟んで対向する箇所に対をなすように設けられる。このような構成によれば、磁気センサ内の磁束を周方向により均一化することができるので、測定時の磁気センサと測定対象との相対位置のばらつきに起因する検出結果への影響をより低減し、検出精度をより高めることができる。
【0010】
一実施形態において、前記各々の磁気センサは、励磁コアと、前記励磁コアを巻回するように配置される励磁コイルと、を有する。このような構成によれば、スリット内に配置可能な磁気センサを簡単な構造で実現することができる。
【0011】
一実施形態において、前記各々の磁気センサは、励磁コアと前記励磁コアを巻回するように配置される励磁コイルとを備えるフレキシブル基板によって形成される。このような構成によれば、スリット及び磁気センサの径方向の厚みを低減し、分割型センサヘッドを径方向に小型化することができる。
【0012】
一実施形態において、前記各々の磁気コアは、積層鋼板によって形成され、前記分割部は、櫛歯状をなす。このような構成によれば、櫛歯状の分割部に外部からの磁気ノイズを遮断する磁気シールド機能を発揮させることができるので、検出感度を高めることができる。
【0013】
一実施形態において、前記各々の磁気コアは、前記磁気コアの径方向の幅が周方向に全長に亘って一定であり、前記スリットの径方向の幅が周方向に全長に亘って一定である。このような構成によれば、測定時の磁気センサと測定対象との相対位置のばらつきに起因する検出結果への影響をより低減し、分割型センサヘッドの小型化を図りつつ検出精度を効率的に高めることができる。
【0014】
一実施形態において、前記各々の磁気コアは、前記スリットの外周縁と前記磁気コアの外周縁との距離が周方向に全長に亘って一定であり、前記スリットの内周縁と前記磁気コアの内周縁との距離が周方向に全長に亘って一定である。このような構成によれば、測定時の磁気センサと測定対象との相対位置のばらつきに起因する検出結果への影響をより低減し、分割型センサヘッドの小型化を図りつつ検出精度を効率的に高めることができる。
【0015】
幾つかの実施形態に係る分割型電流センサは、前記分割型センサヘッドと、前記両磁気センサに接続される検出回路と、を有する。このような構成によれば、優れた検出感度及び検出精度と取り扱いの容易性とを同時に実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、優れた検出感度及び検出精度と取り扱いの容易性とを同時に実現することができる分割型センサヘッド及び分割型電流センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る分割型電流センサを示す平面図である。
【
図2】
図1に示す分割型電流センサの磁気コアを示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す分割型電流センサの磁気センサを示す平面図である。
【
図4】
図1に示す分割型電流センサの解析結果を示すグラフである。
【
図5】
図1に示す分割型電流センサの磁気コアの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本開示に係る実施形態について詳細に例示説明する。
【0019】
図1に示す本実施形態に係る分割型センサヘッド1は、分割型電流センサ2に用いられるものである。分割型電流センサ2は、分割型センサヘッド1と検出回路3とを有する。
【0020】
分割型センサヘッド1は、一対の部分ヘッド4を有する。各々の部分ヘッド4は、円弧形状の磁気コア5と、磁気センサ6とを有する。
【0021】
両部分ヘッド4は、両磁気コア5の一端5a同士が接近し両磁気コア5が全体として円環状をなす閉状態と、両磁気コア5の一端5a同士が離間した開状態とを切り替え可能に配置される。つまり、閉状態においては、両磁気コア5の一端5aが配置される両部分ヘッド4の一端4a同士が近接し両部分ヘッド4が全体として円環状をなし、開状態においては、両部分ヘッド4の一端4a同士が離間する。
図1に示す例では、閉状態から開状態になる際に、一方(
図1で右側)の部分ヘッド4が、実線で示す位置から二点鎖線で示す位置へと移動する。
【0022】
なお、各々の磁気コア5を円弧形状以外のU字形状に形成し、閉状態において、両磁気コア5又は両部分ヘッド4が全体として円環状以外の環状(例えば、多角形状の環状)をなすように構成してもよい。また、本実施形態では両部分ヘッド4は互いに周方向に同一の長さを有するが、これに限らない。例えば、一方の部分ヘッド4が半周未満の長さを有し、他方の部分ヘッド4が半周を超える長さを有する構成としてもよい。
【0023】
両部分ヘッド4は、閉状態においては両磁気コア5の他端5b同士が接近し、開状態においては両磁気コア5の他端5b同士が離間するように配置される。つまり、閉状態においては、両磁気コア5の他端5bが配置される両部分ヘッド4の他端4b同士が近接し両部分ヘッド4が全体として円環状をなし、開状態においては、両部分ヘッド4の他端4b同士が離間する。
【0024】
なお、本実施形態においては、閉状態における両磁気コア5全体の中心軸線Oに沿う方向を軸方向と称し、中心軸線Oを周回する方向を周方向と称し、中心軸線Oに直交する直線に沿う方向を径方向と称する。
【0025】
各々の部分ヘッド4は、磁気コア5と磁気センサ6を収容する図示しないケースを有する。また、両部分ヘッド4の他端4b同士は、軸方向に延びる回動軸を有する図示しないヒンジを介して連結される。つまり、両部分ヘッド4は、ヒンジを介して開閉可能に構成される。なお、両部分ヘッド4はこれに限らず、例えば、互いに装着することで閉状態とし互いに離脱させることで開状態とすることができるように、互いに着脱可能な構成としてもよい。
【0026】
両部分ヘッド4を開状態にすることで、軸方向に電流が流れる電線等の測定対象7を、両部分ヘッド4の一端4a同士の隙間を介して両部分ヘッド4の内側に挿入することができる。したがって、分割型センサヘッド1を、
図1に示すように、測定対象7に対して容易に配置することができる。
【0027】
図2に示すように、各々の磁気コア5は、積層された複数の鋼板8aで構成される積層鋼板8によって形成される。また、各々の磁気コア5は、
図1及び
図2に示すように、一端5aから離間した位置から他端5bに向けて周方向に延びるとともに軸方向両側に開口するスリット9を有する。なお、スリット9は、軸方向両側に開口する構成に限らず、軸方向一方側には開口するが軸方向他方側には閉塞する構成であってもよい。
【0028】
各々の磁気コア5は、磁気コア5の径方向の幅W1が周方向に全長に亘って一定であり、スリット9の径方向の幅W2が周方向に全長に亘って一定である。また、各々の磁気コア5は、スリット9の外周縁と磁気コア5の外周縁との距離L1が周方向に全長に亘って一定であり、スリット9の内周縁と磁気コア5の内周縁との距離L2が周方向に全長に亘って一定である。
【0029】
各々の磁気コア5は、スリット9に連なり磁気コア5が周方向に分割された分割部10を周方向の1箇所に有する。なお、各々の磁気コア5は、分割部10を周方向の2箇所以上に有してもよい。分割部10は、中心軸線Oを挟んで互いに対向する箇所に対をなすように設けられる。
【0030】
各々の分割部10はスリット9に対し径方向内側と径方向外側との両方に設けられる。なお、各々の分割部10はスリット9に対し径方向内側と径方向外側との一方のみに設けてもよい。また、各々の分割部10は、軸方向に真っ直ぐ延びる直線状をなす。つまり、全ての鋼板8aに各々形成される分割面が軸方向に整列している。
【0031】
各々の磁気センサ6は、スリット9内にスリット9に沿って配置される。また、
図3に示すように、各々の磁気センサ6は、励磁コア11と励磁コア11を巻回するように配置される励磁コイル12とを備えるフレキシブル基板13によって形成される。
【0032】
フレキシブル基板13は、励磁コア11として機能し直線状に延びる帯状の磁性体層13aと磁性体層13aを覆う絶縁体とで構成される基板本体層と、基板本体層の厚さ方向の両側に設けられる一対の導電体パターン層13bと、基板本体層を貫通するスルーホール群に充填される導電体で形成される充填導電体群13cと、を有し、一対の導電体パターン層13bと充填導電体群13cとにより、励磁コイル12が形成される。
【0033】
また、フレキシブル基板13は、基板本体層と一対の導電体パターン層13bと充填導電体群13cとで構成されるとともに直線状に延びる帯状の基板本体部13dと、基板本体部13dから分岐する分岐部13eと、を有する。分岐部13eには、励磁コイル12の両端に配線パターン13fを介して連なる端子部13gが設けられる。端子部13gは正極端子と負極端子とで構成される。なお、端子部13gの配置はこれに限定されず、例えば、フレキシブル基板13は分岐部13eを有さない構成であってもよい。
【0034】
フレキシブル基板13は、その可撓性により、厚さ方向に曲がることができる。したがって、基板本体部13dを厚さ方向に曲げることにより、
図1に示すように、基板本体部13dを周方向に延びるスリット9内に挿入し、配置することができる。
【0035】
図1に示すように、検出回路3は、両磁気センサ6に接続され、閉状態の両部分ヘッド4の内側に配置された測定対象7に流れる電流の大きさに相関する電流値又は電圧値を出力するように構成される。測定対象7に直流又は交流の電流が流れることで、両磁気センサ6の両励磁コア11が励磁され、測定対象7に流れる電流に相関する起電力が両励磁コイル12に生じる。検出回路3は、この起電力に相関する電流値又は電圧値を出力する。したがって、分割型電流センサ2は、測定対象7に流れる電流の大きさを測定することができる。
【0036】
本実施形態に係る分割型センサヘッド1によれば、各々の磁気センサ6がスリット9内にスリット9に沿って配置されるので、各々の磁気センサ6を磁気コア5の一端5aにおいて外部に露出させずに周方向に長い範囲に亘って配置することができる。例えば、両磁気センサ6を、全体として、閉状態の両部分ヘッド4の全周長に対して60%以上の長さに亘って配置することができる。
図4に示すように、励磁コア11が長いほど励磁コア11内に生じる磁束が大きくなるので、検出感度を高めるためには両磁気センサ6の周長は長ければ長いほど良い。なお、
図4は、
図1に示す分割型電流センサ2について測定対象7に直流電流1Aを流したときの解析結果を示す。より具体的に、
図4は、閉状態の両部分ヘッド4の全周長に対する両磁気センサ6全体としての周長の割合を変化させ、各々の割合において、励磁コア11内に生じる磁束の周方向成分(θ成分)を計算した結果を示す。また、閉状態の両磁気コア5の内側に配置された測定対象7の中心軸線Oからの位置ぶれ(つまり、測定時の磁気センサ6と測定対象7との相対位置のばらつき)に起因する検出結果への影響は、励磁コア11、つまり磁気センサ6が長いほど小さくなる。したがって、検出精度を高めるためにも、磁気センサ6の周長は長ければ長いほど良い。
【0037】
また、本実施形態に係る分割型センサヘッド1によれば、各々の磁気コア5が、スリット9に連なる分割部10を有するので、分割部10から漏れる磁気コア5からの漏洩磁束を磁気センサ6で受け、磁気センサ6内の磁束を増やすことができる。
【0038】
したがって、本実施形態に係る分割型センサヘッド1によれば、優れた検出感度及び検出精度と取り扱いの容易性とを同時に実現することができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、分割部10が閉状態において中心軸線Oを挟んで対向する箇所に対をなすように設けられるので、磁気センサ6内の磁束を周方向により均一化することができるので、測定時の磁気センサ6と測定対象7との相対位置のばらつきに起因する検出結果への影響をより低減し、検出精度をより高めることができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、各々の磁気センサ6が、励磁コア11と励磁コイル12とを有するので、スリット9内に配置可能な磁気センサ6を簡単な構造で実現することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、各々の磁気センサ6が、励磁コア11と励磁コイル12とを備えるフレキシブル基板13によって形成されるので、スリット9及び磁気センサ6の径方向の厚みを低減し、分割型センサヘッド1を径方向に小型化することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、各々の磁気コア5が、磁気コア5の径方向の幅W1が周方向に全長に亘って一定であり、スリット9の径方向の幅W2が周方向に全長に亘って一定である構成を有するので、測定時の磁気センサ6と測定対象7との相対位置のばらつきに起因する検出結果への影響をより低減し、分割型センサヘッド1の小型化を図りつつ検出精度を効率的に高めることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、各々の磁気コア5が、スリット9の外周縁と磁気コア5の外周縁との距離L1が周方向に全長に亘って一定であり、スリット9の内周縁と磁気コア5の内周縁との距離L2が周方向に全長に亘って一定である構成を有するので、この点からも、測定時の磁気センサ6と測定対象7との相対位置のばらつきに起因する検出結果への影響をより低減し、分割型センサヘッド1の小型化を図りつつ検出精度を効率的に高めることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る分割型電流センサ2は、本実施形態に係る分割型センサヘッド1と、両磁気センサ5に接続される検出回路3と、を有するので、優れた検出感度及び検出精度と取り扱いの容易性とを同時に実現することができる。
【0045】
本実施形態では、各々の磁気コア5が積層鋼板8によって形成され、分割部10が直線状をなしているが、
図5に示す変形例のように、分割部10が櫛歯状をなす構成としてもよい。つまり、全ての鋼板8aに各々形成される分割面が、軸方向に向かって1枚又は複数枚の鋼板8aごとに、周方向の一方側と他方側に交互にずれる構成としてもよい。このような構成によれば、櫛歯状の分割部10に外部からの磁気ノイズを遮断する磁気シールド機能を発揮させることができるので、より一層、検出感度を高めることができる。
【0046】
前述した実施形態は本開示の一例であり、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0047】
例えば、前述した実施形態に係る分割型センサヘッド1及び分割型電流センサ2は、以下に述べるような種々の変更が可能である。
【0048】
前述した実施形態に係る分割型センサヘッド1は、磁気コア5と磁気センサ6とを各々備える一対の部分ヘッド4を有し、両部分ヘッド4が、両磁気コア5の一端5a同士が接近し両磁気コア5が全体として環状をなす閉状態と、両磁気コア5の一端5a同士が離間した開状態とを切り替え可能に配置され、各々の磁気コア5が、一端5aから離間した位置から他端5bに向けて周方向に延びるとともに軸方向に開口するスリット9を有し、各々の磁気センサ6が、スリット9内にスリット9に沿って配置され、各々の磁気コア5が、スリット9に連なり磁気コア5が少なくとも部分的に周方向に分割された分割部10を有する限り、種々の変更が可能である。
【0049】
しかし、分割部10は、閉状態において両磁気コア5の中心軸線Oを挟んで対向する箇所に対をなすように設けられることが好ましい。また、各々の磁気センサ6は、励磁コア11と、励磁コア11を巻回するように配置される励磁コイル12と、を有することが好ましい。また、各々の磁気センサ6は、励磁コア11と励磁コア11を巻回するように配置される励磁コイル12とを備えるフレキシブル基板13によって形成されることが好ましい。また、各々の磁気コア6は、積層鋼板8によって形成され、分割部10は、櫛歯状をなすことが好ましい。また、各々の磁気コア5は、磁気コア5の径方向の幅W1が周方向に全長に亘って一定であり、スリット9の径方向の幅W2が周方向に全長に亘って一定であることが好ましい。また、各々の磁気コア5は、スリット9の外周縁と磁気コア5の外周縁との距離L1が周方向に全長に亘って一定であり、スリット9の内周縁と磁気コア5の内周縁との距離L2が周方向に全長に亘って一定であることが好ましい。
【0050】
また、前述した実施形態に係る分割型電流センサ2は、分割型センサヘッド1と、両磁気センサ6に接続される検出回路3と、を有する限り、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 分割型センサヘッド
2 分割型電流センサ
3 検出回路
4 部分ヘッド
4a 部分ヘッドの一端
4b 部分ヘッドの他端
5 磁気コア
5a 磁気コアの一端
5b 磁気コアの他端
6 磁気センサ
7 測定対象
8 積層鋼板
8a 鋼板
9 スリット
10 分割部
11 励磁コア
12 励磁コイル
13 フレキシブル基板
13a 磁性体層
13b 導電体パターン層
13c 充填導電体群
13d 基板本体部
13e 分岐部
13f 配線パターン
13g 端子部
L1 スリットの外周縁と磁気コアの外周縁との距離
L2 スリットの内周縁と磁気コアの内周縁との距離
O 中心軸線
W1 磁気コアの径方向の幅
W2 スリットの径方向の幅