(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】光システムを通じた電力供給
(51)【国際特許分類】
H04B 10/40 20130101AFI20230518BHJP
H04B 10/075 20130101ALI20230518BHJP
H04L 12/10 20060101ALI20230518BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
H04B10/40
H04B10/075
H04L12/10
H02J13/00 B
(21)【出願番号】P 2020515928
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 US2018050055
(87)【国際公開番号】W WO2019055318
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-08-13
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508041127
【氏名又は名称】シスコ テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】ジョーゲン ジョエル リチャード
(72)【発明者】
【氏名】バイアーズ チャールズ カルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】トウィス ロバート グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】アチカー ブライス ディー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ チャド エム
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0020911(US,A1)
【文献】特表2016-533652(JP,A)
【文献】特開2001-177031(JP,A)
【文献】特開2009-058547(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0078740(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0258742(US,A1)
【文献】特開昭62-232608(JP,A)
【文献】米国特許第06685364(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0170927(US,A1)
【文献】特開2009-106127(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104412541(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/40
H04B 10/075
H04L 12/10
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク通信デバイスに取り付けられた光トランシーバにおいて、データファイバケーブル上で電源ユニットから供給された電力を受信する段階と、
前記光トランシーバから前記ネットワーク通信デバイスにデータ及び電力を送信する段階と、
前記光トランシーバにおける電力ステータスを、前記ネットワーク通信デバイスに電力を
、必要な給電をサポートでき且つ電圧及び電流の安全性限界を超過しないように供給する準備ができたかの判定において前記光トランシーバ及び前記電源ユニットが使用するために、前記光トランシーバ及び前記電源ユニットに提供する段階と、
を含み、前記ネットワーク通信デバイスには、
前記判定に基づいて前記光トランシーバから受信した電力が供給される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記データ及び電力は、前記ネットワーク通信デバイスから少なくとも1kmに配置された前記電源ユニットから受信する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電源ユニットは、少なくとも5kwの電力出力を供給するよう動作可能である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ネットワーク通信デバイスに取り付けられた第2光トランシーバにて冗長データ及び電力を受信する段階を更に含む、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ネットワーク通信デバイスからPoEデバイスにPower over Ethernet(PoE)を送信する段階を更に含む、請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ネットワーク通信デバイスは、前記データ及び電力を受信するフォグノードを複数のフォグノードと共に含み、前記フォグノードの各々は、スマートフォグ配備において、前記PoEを複数の電子デバイスに送信する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記光トランシーバは、ファイバコネクタから前記データ及び電力を受信する光モジュールを備え、前記ファイバコネクタは、前記光モジュール内の対応する内部電気入力に電力を供給するための外部電気接点を備える、請求項1から6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
電力を前記光トランシーバに供給するワイヤが、前記データ及び電力を前記光トランシーバに供給するファイバコネクタに圧着される、請求項1から7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記光トランシーバは、前記光トランシーバにおいて電力及び光信号をモニタリングして、前記電力及び光信号のステータスに基づいて、電力をディスエーブルにするように構成される、請求項1から8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
電力構成要素は、前記光トランシーバ内で光学構成要素から絶縁される、請求項1から9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記光トランシーバにおいて前記データファイバケーブルから冷却を受ける段階を更に含む、請求項1から10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記光トランシーバにおいて受信した電力のタイプを検出する段階と、前記検出した電力のタイプに基づいて、電力の供給方法を選択する段階とを更に含む、請求項1から11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ネットワーク通信デバイスは、スイッチを含み、データ通信ネットワーク内の複数のスイッチが、前記データファイバケーブル上で同じ電源から電力供給される、請求項1から12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
光トランシーバにおいて、ファイバ及び電力ケーブル内の光ファイバ上で光信号をネットワークデバイスから受信するための光インタフェースと、
前記光トランシーバにおいて、前記ファイバ及び電力ケーブル内の電線上で電力を前記ネットワークデバイスから受信するための電気インタフェースと、
前記光信号を電気信号に変換するための光学構成要素と、
前記光トランシーバにおいて、電力を検出及びモニタリングし、電力をネットワーク通信デバイスに供給するための電力構成要素と、
を備える、ことを特徴とする装置であって、
前記光トランシーバにおける電力ステータスを、前記装置に電力を
、必要な給電をサポートでき且つ電圧及び電流の安全性限界を超過しないように供給する準備ができたかの判定において前記光トランシーバ及び前記ネットワークデバイスが使用するために、前記光トランシーバ及び前記ネットワークデバイスに提供する、装置。
【請求項15】
前記光トランシーバは、前記光トランシーバにおいて前記光信号をモニタリングして、電力及び前記光信号のステータスに基づいて電力をディスエーブルにするように構成される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記光トランシーバは、前記光トランシーバにおいて受信した電力のタイプを検出して、前記検出した電力タイプに基づいて、前記ネットワーク通信デバイスへの電力の供給方法を選択する、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
光トランシーバを備えた装置であって、
前記光トランシーバが、
ファイバ及び電力ケーブル内の光ファイバ上で光信号を送信するための光インタフェースと、
前記ファイバ及び電力ケーブル内の電線上で電力を送信するための電気インタフェースと、
を備え、
前記装置が更に、
通信ネットワークから外部で電力を受信して、前記通信ネットワーク内で送信するために前記光トランシーバに電力を供給するための電源ユニットと、
受電機器から電力情報を受信するための電力モジュールと、
前記電力情報に基づいて、前記ファイバ及び電力ケーブル内の電線上で送信する電力を
、必要な給電をサポートでき且つ電圧及び電流の安全性限界を超過しないように前記受電機器に供給する準備ができたかの判定を行う判定モジュールとを備える、
ことを特徴とする装置。
【請求項18】
バックアップ電力を供給するための第2電源ユニットを更に備え、前記電源ユニット及び第2電源ユニットのうちの少なくとも1つは、少なくとも5kWの電力出力を供給するように動作可能である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
ネットワークデバイスに取り付けられた光トランシーバから、データファイバケーブル上で電力を送信する段階と、
前記光トランシーバから前記データファイバケーブル上でデータを送信する段階と、
を含み、
前記電力及びデータは、通信ネットワーク上で送信されて、ネットワーク通信デバイスにて受信され、前記受信した電力が前記ネットワーク通信デバイスに供給され、
前記ネットワーク通信デバイスのうちの1つにおける電力モニタモジュールから電力ステータスメッセージを受信する段階と、
前記電力ステータスメッセージに基づいて、前記1つのネットワーク通信デバイスに電力を
、必要な給電をサポートでき且つ電圧及び電流の安全性限界を超過しないように供給する準備ができたかの判定を行う段階とを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
別のネットワークデバイスから前記ネットワーク通信デバイスにバックアップ電力を送信する段階を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ネットワーク通信デバイスのうちの少なくとも1つは、前記ネットワークデバイスから少なくとも1kmに配置される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
電力は、少なくとも5kwの電力出力を含む、請求項19から21の何れか1項に記載の方法。
【請求項23】
ネットワーク通信デバイスに取り付けられた光トランシーバにおいて、データファイバケーブル上で電源ユニットから供給された電力を受信するための手段と、
前記光トランシーバから前記ネットワーク通信デバイスにデータ及び電力を送信するための手段と、
前記光トランシーバにおける電力ステータスを、前記ネットワーク通信デバイスに電力を
、必要な給電をサポートでき且つ電圧及び電流の安全性限界を超過しないように供給する準備ができたかの判定において前記光トランシーバ及び前記電源ユニットが使用するために、前記光トランシーバ及び前記電源ユニットに提供する段階と、
を備え、
前記ネットワーク通信デバイスには、
前記判定に基づいて前記光トランシーバから受信した電力が供給される、ことを特徴とする装置。
【請求項24】
ネットワークデバイスに取り付けられた光トランシーバから、データファイバケーブル上で電力を送信するための手段と、
前記光トランシーバから前記データファイバケーブル上でデータを送信するための手段と、
を備え、
電力及び前記データは、通信ネットワーク上で送信されて、ネットワーク通信デバイスで受信され、前記受信した電力が前記ネットワーク通信デバイスに供給され、
前記ネットワーク通信デバイスにおける電力モニタモジュールから電力ステータスメッセージを受信する手段と、
前記電力ステータスメッセージに基づいて、前記ネットワーク通信デバイスに電力を
、必要な給電をサポートでき且つ電圧及び電流の安全性限界を超過しないように送信する準備ができたかの判定を行う手段とを更に含むことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に通信ネットワークに関し、より具体的には、通信ネットワークにおける電力供給に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー・オーバー・イーサネット(登録商標)(Power over Ethernet:PoE)は、リンクセクションを介して給電機器(PSE)から受電機器(PD)に有線電気通信ネットワーク上で電力を供給する技術である。従来のPoEシステムでは、電力は、数メートルからおよそ100メートルの範囲でデータが使用するケーブル上で供給される。より長い距離が必要な場合又は光ファイバケーブルが使用される場合、従来のPoEに関する制約に起因して、電力は、壁のコンセントのような局所電源を通じて供給しなければならない。更に、現在のPoEシステムは、電力容量が限られており、多くの種類のデバイスにとっては不十分な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本明細書で説明する実施形態を実施可能なネットワークの例を示す図である。
【
図2】冗長データ及び電力を含む
図1のネットワークの実施例を示す図である。
【
図3】
図2のネットワークによるフォグノード配置の実施例を示す図である。
【
図4】
図3のネットワークによるスマートシティのフォグ配置の実施例を示す図である。
【
図5】1つの実施形態による、パワー・オーバー・イーサネット(Power over Ethernet:PoE)+Fiberシステムにおいて電力及びデータを供給するための処理概要を示すフローチャートである。
【
図6】本明細書で説明する実施形態を実施するのに有用なネットワークデバイスの実施例を示す図である。
【
図7】1つの実施形態による、PoE+Fシステムで使用されるスマート光モジュールのブロック図である。
【
図8】1つの実施形態による、自動電力検出のために構成された
図7のスマート光モジュールのブロック図である。
【
図9A】1つの実施形態による、PoE+Fシステムで使用されるファイバコネクタの正面図である。
【
図9B】別の実施形態によるファイバコネクタの正面図である。
【
図9C】1つの実施形態による、ファイバコネクタと共に使用される電力及びデータファイバケーブルの断面図である。
【
図10A】1つの実施形態による、ファイバコネクタの上面斜視図である。
【
図11A】1つの実施形態による、PoE+Fシステムで使用される光モジュールの正面斜視図である。
【
図12A】1つの実施形態による、PoE+Fシステムで使用される光モジュールケージの正面斜視図である。
【
図13】1つの実施形態による、ケーブル、コネクタ、光モジュール、及び光モジュールケージの分解図である。
【
図14】PoE+Fシステムで使用されるケーブルの1つの実施例の断面図である。
【
図15】1つの実施形態による、PoE+Fシステムで使用されるコネクタ及びケーブルアセンブリ、及び光モジュールの側面図である。
【
図16】別の実施形態による、コネクタ及びケーブルアセンブリ、及び光モジュールの側面図である。
【
図17】1つの実施形態による、冷却部を含む
図7のスマート光モジュールのブロック図である。
【0005】
対応する参照符号は、図面の複数の図にわたって対応する要素を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の態様は、独立クレームに記載され、好ましい特徴は、従属クレームに記載される。1つの態様の特徴は、各態様に単独で適用され、又は他の態様と組み合わされて適用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施形態では、方法は一般に、ネットワーク通信デバイスに取り付けられた光トランシーバにおいて、データファイバケーブル上で供給された電力を受信する段階と、光トランシーバからネットワーク通信デバイスにデータ及び電力を送信する段階とを含む。ネットワーク通信デバイスには、光トランシーバから受信した電力が供給される。
【0008】
別の実施形態では、装置は一般に、光トランシーバにおいて、ファイバ及び電力ケーブル内の光ファイバ上で光信号を受信するための光インタフェースと、光トランシーバにおいて、ファイバ及び電力ケーブル内の電線上で電力を受信するための電気インタフェースと、光信号を電気信号に変換するための光学構成要素と、光トランシーバにおいて、電力を検出してモニタリングし、電力をネットワーク通信デバイスに供給するための電力構成要素とを備える。
【0009】
更に別の実施形態では、装置は一般に、ファイバ及び電力ケーブル内の光ファイバ上で光信号を送信するための光インタフェース、並びにファイバ及び電力ケーブル内の電線上で電力を送信するための電気インタフェースを備えた光トランシーバと、通信ネットワークから外部で電力を受信して、電力を通信ネットワーク内で送信するために光トランシーバに供給するための電源ユニットとを備える。
【0010】
別の実施形態では、方法は一般に、ネットワークデバイスに取り付けられた光トランシーバから、データファイバケーブル上で電力を送信する段階と、光トランシーバからデータファイバケーブル上でデータを送信する段階とを含む。電力及びデータは、通信ネットワーク上で送信されて、ネットワーク通信デバイスで受信され、受信した電力がこれらネットワーク通信デバイスに供給される。
【0011】
本明細書の残り部分及び添付図面を参照することによって、本明細書で説明する実施形態の特徴及び利点を更に理解することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の記載は、当業者が本発明を実施して利用できるようにするために提示される。特定の実施形態及び応用の説明は、一例として提供されているにすぎず、当業者であれば、種々の修正形態が容易に理解されるであろう。本明細書で説明する一般原理は、実施形態の範囲から逸脱することなく他の応用に適用することができる。従って、実施形態は、ここに示したものに限定されず、本明細書に記載する原理及び特徴に一致する最大範囲に従うものとする。明確にするために、実施形態に関連する技術分野において公知の技術項目に関連する詳細については、ここでは詳しく説明していない。
【0013】
電力及びデータ通信を同時に送信するために用いられる従来のPower over Ethernet(PoE)システムでは、データ用に用いられる同じツイストペアケーブル上で電力が供給される。これらのシステムは、数メートルから約100メートルまでの範囲に限られる。更に、標準的なPoEの最大電力供給容量は、約100ワットであるが、多くの種類の受電機器が、1000ワット以上の電力供給から利点を得ることになる。より長い距離が必要な場合、光ファイバケーブル配線が使用される場合、又はより高い電力供給定格が必要とされる場合には、電力は、局所電源を通じてデバイスに供給する必要がある。
【0014】
本明細書に記載する実施形態は、同じファイバ/光トランシーバシステム上でファイバケーブル配線と一体化された電力を供給することによって、光トランシーバを通じて給電することで、より長い距離で(例えば最長で10km)、より大きい容量で(例えば最大で数キロワット)、電力を供給することができ、局所給電が困難な場所で供給することができる。ファイバケーブル内に電力を組み込んで、ビル入口から供給することによって、電力は、データセンタールームを通じて供給する必要がなく、データルームを増築することなくフルゾーンシステムを配備することができる。実施形態は、データルーム内の装置をビルの装置/施設入口地点から完全に給電することができるほど十分大きな規模で通信及び電力を効果的に供給する。従って、フロアのデータルームから配電装置を除外することができ、スイッチ、ルータ、アクセスポイント、照明システム、及び他の電子デバイス又は装置を、従来のPoEシステムの100m範囲の外側に配置することができる。PoE又はパルス電力を修正光トランシーバ及びコネクタシステムと組み合わせることで、ゾーン内の装置、フロアのデータルーム、又はビル内のあらゆる場所にあるアクセスポイントに、電力を供給することができる。
【0015】
リモートセンサ/アクチュエータ及びフォグコンピューティングのようなモノのインターネット(IoT)アプリケーションも、このシステムのより長い到達範囲及び給電容量をうまく活用することができる。到達範囲の拡張(例えば、1~10km)により、ビル中の又は近隣にわたる通信装置への全ての電力を、装置のための通信リンクと共に、1つの電源から供給することができ、これにより、従来のPoEの100m制約もなく、通信装置の場所の完全な制御をユーザに与える。以下で詳細に説明するように、光トランシーバを通じて受電機器に電力を供給するために電線を組み込むよう修正された光トランシーバ及びファイバコネクタシステムを用いて、ネットワーク(例えばスイッチ/ルータ)システムとの間で電力を供給するために、1又はそれ以上の実施形態を使用することができる。このシステムを、本明細書ではPoE+Fiber(PoE+F)と呼ぶ。
【0016】
ここで図面を、最初に
図1を参照すると、本明細書で説明する実施形態を実施可能なネットワークの例が示されている。簡素化するために、少ない数のノードを示している。実施形態は、複数のネットワークデバイスを含むデータ通信ネットワークに関連して機能する。ネットワークは、ネットワーク内のデータの通過を円滑にする、あらゆる数のノード(例えば、ルータ、スイッチ、ゲートウェイ、コントローラ、アクセスポイント、又は他のネットワークデバイス)を介して通信する、あらゆる数のネットワークデバイスを含むことができる。ネットワークデバイスは、1又はそれ以上のネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)(例えば、Ethernet仮想プライベートネットワーク(EVPN)、レイヤ2仮想プライベートネットワーク(L2VPN))、仮想ローカルエリアネットワーク(VLAN)、無線ネットワーク、エンタープライズネットワーク、企業ネットワーク、データセンター、モノのインターネット(IoT)、インターネット、イントラネット、又は何れかの他のネットワーク)上で又はこれらのネットワークと通信することができる。
【0017】
ネットワークは、電力を光データと共に転送して、スイッチ、ルータ、アクセスポイント、又は他の電子構成要素及びデバイスのようなネットワークデバイスに、データ接続及び電力の両方を供給するように構成される。通信装置間で信号をやりとりすることができ、給電機器から受電機器に電力を送信することができる。以下で詳細に説明するように、PoE+Fシステムは、データ及び電力の両方を送受信するように構成された光トランシーバ(光モジュール)、並びに光ファイバ及び電線(例えば銅線)の両方を備えたケーブル配線システムを用いて、ネットワーク(例えば、スイッチ/ルータシステム)との間で電力を供給する。
【0018】
図1の実施例に示すように、PoE+Fシステムは、例えば、施設/エントリルームに配置可能なネットワークデバイス10に供給されるビル電力を使用する。電力は、ビル入口地点から、100メートル超の距離(例えば、1km、10km、又は何れかの他の距離)に配置可能な最終地点まで、及び/又は100ワット超の電力レベル(例えば、250ワット、1000ワット、又は何れかの他の電力レベル)で送信することができる。1又はそれ以上の実施形態において、通信ネットワークに追加の電気配線が必要なく、ネットワーク通信デバイス14、15の全てが、PoE+Fシステムによって供給され、光ファイバデータ及び電力の両方を送受信するよう動作可能な光トランシーバ16を通じて供給される電力を用いて動作する。
【0019】
ネットワークデバイス10は、電力(例えばビル電力)を受信するための電源ユニット(PSU)11と、ファブリック12と、複数のラインカード13とを備える。
図1に示す実施例では、ラインカードのうちの1つが、ビル外部から(例えば、街路又は他の場所から)ファイバを受け取り、残りのラインカードが、PoE+Fを実施する。ネットワークデバイス10は、内部電力システム(例えば、使用可能な電力又は何れかの他の適切な電力容量のうちの5kW以上(例えば、10kW、12kW、14kW、16kW)を供給するPSU、又は100W以上(例えば、500W、1kW)の使用可能な電力又は何れかの他の適切な電力容量を供給するPSU)から高容量電力を供給するよう動作可能である。PSU11は、例えば、PoE、パルス電力、又はAC電力を供給することができる。以下で詳細に説明するように、ネットワークデバイス10は、通信ネットワークから電力を外部で受信して、通信ネットワーク(例えば、中央ハブ10(PSE)及び複数のネットワークデバイス14、15(PD)を含むネットワーク)においてデータファイバケーブル18上で電力を送信するように動作可能である。ネットワークデバイス10は、例えば、ルータ又は集中デバイス(例えば、シスコシステムズ合同会社から市販されているNetwork Convergence System(NCS)4000シリーズ)、又は何れかの他の適切なラインカードシステムを含むことができる。これは実施例にすぎず、電力及び光データを送信するよう動作可能なあらゆる他のネットワークデバイスを使用可能であることは理解されたい。ラインカード13の1又はそれ以上もまた、ケーブル18上で電力及びデータを送信するよう動作可能な光トランシーバモジュール16を含むことができる。
【0020】
ネットワークは、あらゆる数又は配置のネットワーク通信デバイス(例えば、スイッチ14、アクセスポイント15、ルータ、又はデータ通信を回送(切替え、転送)するよう動作可能な他のデバイス)を含むことができる。1つの実施例において、アクセスポイント15の各グループは、異なるフロア又はゾーンに配置される。1又はそれ以上のネットワークデバイス14、15もまた、
図3及び4に関連して以下で説明するように、PoEを用いて装置に電力を供給することができる。例えば、ネットワークデバイス14、15のうちの1又はそれ以上が、IP(インターネットプロトコル)カメラ、VoIP(Voice over IP)電話、ビデオカメラ、店舗販売時点情報管理デバイス、セキュリティアクセス制御デバイス、住宅用デバイス、ビルオートメーションデバイス、工業オートメーション、工場設備、照明(ビルの照明、街灯)、信号機、及び多くの他の電気構成要素及びデバイス)のような電子構成要素にPoEを用いて電力を供給することができる。
【0021】
ネットワークデバイス10からスイッチ14及びアクセスポイント15に延びるケーブル18は、データファイバケーブル配線上で電力を送信するように構成され、光ファイバ及び電線の両方を含む。1つの実施例において、ケーブル18は、2本の銅線及び2本のファイバを含む。ケーブル18は、電力及び光データの両方を搬送するのに適したあらゆる材料(例えば、銅、線維)から形成することができ、何れかの配置であらゆる数の電線及び光ファイバを搬送することができる。
図15-18に関連して以下で説明するように、ケーブル18はまた、冷却部も含むことができる。
【0022】
光トランシーバ(光モジュール、光デバイス、光学モジュール、トランシーバ、シリコンフォトニクス光トランシーバ)16は、以下で詳細に説明するように、電力を供給又は受信するように構成される。トランシーバモジュール16は、光信号及び電気信号を双方向に変換するエンジンとして、又は一般に、ネットワーク要素の銅線又は光ファイバへのインタフェースとしての役目をする。
【0023】
1又はそれ以上の実施形態において、光トランシーバ16は、何れかのフォームファクタ(例えば、SFP(Small Form-Factor Pluggable)、QSFP(Quad Small Form-Factor Pluggable)、CFP (C Form-Factor Pluggable)及び同様のもの)のプラグ着脱可能なトランシーバモジュールとすることができ、例えば400Gbpsまでのデータレートをサポートすることができる。これらのプラグ着脱可能な光モジュールのためのホストは、スイッチ14、アクセスポイント15、又は他のネットワークデバイス上のラインカードを含む。ネットワークデバイス10内のラインカード13のうちの1又はそれ以上もまた、光モジュールをホストすることができる。ホストは、プリント基板(PCB)、並びに電気通信ネットワークにおいて電気通信回線をインタフェースするよう動作可能な電子構成要素及び回路を含むことができる。ホストは、1又はそれ以上の動作を実行して、信号を送受信するよう構成されたあらゆる数又はタイプのプラグ着脱可能なトランシーバモジュールを受け取るように構成される。
【0024】
光トランシーバ16はまた、例えば、Ultra HDMI(登録商標)(高解像度マルチメディアインタフェース)、シリアル高帯域幅ケーブル(例えばthunderbolt)を含む、UWB(超広帯域)アプリケーションで使用されるAOC(アクティブ光ケーブル)及びフォームファクタ、並びに他のフォームファクタでの動作のために構成することもできる。
【0025】
また、光トランシーバ16は、ポイントツーマルチポイント又はマルチポイントツーポイントトポロジでの動作のために構成することができる点も留意されたい。例えば、QFSPは、SFP+にブレイクアウトすることができる。1又はそれ以上の実施形態は、負荷シフトを許容するように構成することができる。
【0026】
以下で詳細に説明するように、ネットワーク通信デバイスによって使用される受電機器14、15に光トランシーバを通じて電力を供給するために銅線を組み込むよう、光トランシーバ16が、ファイバコネクタシステムと共に修正される。光トランシーバ16は、標準電力が利用可能でない場所にあるスイッチ14及びアクセスポイント15に供給する電力を与える。以下で更に説明するように、光トランシーバ16は、システムにダメージを与えず又は通信事業者を脅かすことなく、ワイヤ上の電力を増大させることがいつ安全かを電源10が分かるように、エネルギーの一部をタップして賢明な決定を行うように構成するができる。
【0027】
1つの実施形態において、1又はそれ以上のネットワークデバイスは、例えば、米国特許第9,531,551号(2016年12月27日出願の「動的に構成可能なPower-Over-Ethernet装置及び方法(Dynamically Configurable Power-Over-Ethernet Apparatus and Method)」)に記載されるように、接続されたデバイスに電力を供給するためのPSE(給電機器)ポートして、又は接続されたデバイスから電力を受け取るためのPD(受電機器)ポートとして動作するように選択的に構成可能で、システム制御下でエネルギーの流れを反転させることができるデュアルロールの電源ポートを備えることができる。デュアルロールの電源ポートは、例えば、PoE又はPoE+Fポートとすることができる。
【0028】
電線上で電力を及びファイバ上で光データを送受信するよう動作可能な光トランシーバ16を備えたネットワークデバイス14、15に加えて、ネットワークはまた、光データのみを処理して送信する従来の光モジュールを備えた1又はそれ以上のネットワークデバイスも含むことができる。これらのネットワークデバイスは、壁コンセントのような局所電源から電力を受信することになる。同様に、トランシーバ16の特殊な変形形態は、光データインタフェースを省略して、電力を相互接続させるだけでよい(恐らく、データ相互接続を無線ネットワークへ移動)。
【0029】
図2は、冗長データ及び電力のPoE+Fシステムの実施例を示している。ネットワークは、2台の冗長のネットワークデバイス20a、20bを含み、これらは、前述のように、設備の入口地点で電力及びファイバを受信する。各ネットワークデバイス20a、20bは、データファイバケーブル配線28a、28bのそれぞれで電力をスイッチ24及びアクセスポイント25に供給する。各スイッチ24及びアクセスポイント25は、データ及び電力をネットワークデバイス20a、20bからそれぞれ受信するために2台の光トランシーバ26a、26bを備える。
図2の実施例に示したネットワークは、単一ケーブル28a、28bの何れか、又はネットワークデバイス20a、20bの何れかの障害の場合に、バックアップデータ及び電力を供給することができ、或いはネットワーク内で必要に応じて付加的な電力又は帯域幅を提供することができる。1つの実施例において、複数のスイッチ24及びアクセスポイント25が、第1回路に電力及びデータを供給することができ、スイッチ及びアクセスポイントの他のグループが、第2回路に電力及びデータを供給することができる。両方の回路を用いて、装置の電力回路に電力を供給して、例えば、より高いサービス可用性をもたらすことができる。
【0030】
図3は、1つの実施形態による、フォグノード配置のPoE+Fの実施例を示している。フォグとは、計算、ネットワーク設定、及びストレージを、IoTセンサ及びアクチュエータにより近接した場所に、クラウドから移動させるIoT技術である。
図3に示す実施例では、電力は、光トランシーバ36a、36bに接続されたデータファイバケーブル38a、38b上で供給される。各ネットワークデバイス30a、30bが、データファイバケーブル配線38a、38上で供給された電力を、何れかの数のフォグノード32に供給する。1つの実施例において、電力は、データファイバケーブル配線上で供給されて、24のフォグノード32の各々に約600Wの出力を供給することができる。各フォグノード32は、処理及びメモリ33と、1又はそれ以上のPoEデバイスに電力供給するよう動作可能な1又はそれ以上のPoEモジュール34とを備える。例えば、各フォグノード32は、街灯31、信号機35、5Gセル、アクセスポイント、基地局37、ビデオカメラ39、又はスマートビルディング又はスマートシティにサービス提供する何れかの他の電子デバイス等のPoEデバイスに約500Wの電力を供給することができる。
【0031】
図4は、1つの実施形態による、スマートシティのフォグ配置の実施例を示している。この実施例では、2台のPoE+F冗長ルータ40が、プライマリ及びバックアップ(冗長)電力及びデータをフォグノード42に供給する。フォグノード42は、1又はそれ以上のIoT(モノのインターネット)デバイス45(例えば、5Gセル、AP、街灯、信号機、ビデオカメラ、又は他のデバイス)に電力を供給する。1つの実施例では、ルータ40の各対が、約24のフォグノード42にサービス提供して、約100の街区又はおよそ1平方kmをカバーする。
【0032】
図3及び4に示すPoEフォグノード配置はまた、スマートビルディング(例えば、各フロアで異なるフォグノード)、スマートファクトリー(例えば、各組立セルで異なるフォグノード)、大型客船、ホテル、学校、キャンパス、病院、ショッピングセンター、又は何れかの他の環境でも使用することができる。
【0033】
図1、2、3、及び4に示して上記で説明したネットワークデバイス及びトポロジは、実施例にすぎず、本明細書に記載する実施形態は、異なるネットワークトポロジ又はネットワークデバイスを含むネットワークにおいて、本実施形態の範囲から逸脱することなく実施可能であることは理解されたい。例えば、ネットワークは、ネットワーク上でのデータの通過を円滑にするあらゆる数又はタイプのネットワーク通信デバイス(例えば、ルータ、スイッチ、ゲートウェイ、コントローラ)と、エンドポイント又はホストとして動作するネットワーク要素(例えば、サーバ、仮想マシン、クライアント)と、あらゆる数のネットワークと通信するあらゆる数のネットワークサイト又はドメインとを含むことができる。従って、ネットワークノードは、あらゆる数のサーバ、仮想マシン、スイッチ、ルータ、又は大規模で複雑なネットワークを形成するために相互接続された他のノードを含み、クラウド又はフォグコンピューティングを含むことがある何れかの適切なネットワークトポロジで使用することができる。ノードは、電子通信のために実施可能な経路を提供する何れかの適切な有線又は無線接続を利用する1又はそれ以上のインタフェースを通じて他のノード又はネットワークに結合することができる。
【0034】
図5は、光トランシーバシステムを通じて電力及びデータを供給するための処理概要を示すフローチャートである。ステップ50において、ネットワークデバイス14で動作する光トランシーバ16において電力及びデータを受信するが、この場合、電力はデータファイバケーブル18上で光トランシーバに供給されて、ケーブルから光トランシーバに電力及びデータを送信するように構成されたコネクタで受信される(
図1)。光トランシーバ16は、ネットワークデバイス14に電力及びデータを送信し、光トランシーバで受信した電力がネットワークデバイスに供給される(ステップ52)(
図1及び5)。1又はそれ以上の実施形態において、ネットワークデバイスは、PoEを1又はそれ以上のPoEデバイス(例えば、照明、アクセスポイント、街灯、信号機、カメラ、又は他のデバイス)に更に送信することができる(ステップ54)。
【0035】
図5に示した処理は、PoE+Fを実施するための処理例にすぎないこと、及びステップは、本実施形態の範囲から逸脱することなく、追加、削除、結合、又は変更が可能であることは理解されたい。例えば、中央ハブ10にある光トランシーバ16は、電源ユニット11から受信した電力をデータと共に電力及びファイバケーブル18で送信するよう動作可能である(
図1)。
【0036】
図6は、本明細書で説明する実施形態を実施するために使用可能なネットワークデバイス60(例えば、
図1のスイッチ14、アクセスポイント15、中央ハブ10)の実施例を示している。1つの実施形態において、ネットワークデバイス60は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの何れかの組み合わせで実施可能なプログラマブルマシンである。ネットワークデバイス60は、1又はそれ以上のプロセッサ62と、メモリ64と、インタフェース66と、PoE+F光モジュール68(例えば、
図1の光トランシーバ16)とを含む。
【0037】
メモリ64は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリとすることができ、種々のアプリケーション、オペレーティングシステム、モジュール、及びプロセッサ62が実行して使用するためのデータを格納する。例えば、PoE+F光モジュール68の構成要素(例えば、コード、ロジック、又はファームウェア等)を、メモリ64内に格納することができる。ネットワークデバイス60は、あらゆる数のメモリ構成要素を含むことができる。
【0038】
ネットワークデバイス60は、あらゆる数のプロセッサ62(例えば、シングル又はマルチプロセッサコンピューティングデバイス又はシステム)を含むことができ、パケット又はパケットヘッダを処理するよう動作可能なフォワーディングエンジン又はパケットフォワーダと通信することができる。プロセッサ62は、本明細書で説明する1又はそれ以上の実施形態の機能をプロセッサに実行させる命令を、ソフトウェアアプリケーション又はモジュールから受信することができる。
【0039】
ロジックは、プロセッサ62によって実行するために、1又はそれ以上の有形媒体内に符号化することができる。例えば、プロセッサ62は、メモリ64のようなコンピュータ可読媒体内に格納されたコードを実行することができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子(例えばRAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読出し専用メモリ)、EPROM(消去可能プログラマブル読出し専用メモリ))、磁気、光学(例えば、CD、DVD)、電磁、半導体技術、又は何れかの他の適切な媒体とすることができる。1つの実施例において、コンピュータ可読媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体を含む。ロジックは、
図5のフローチャートに関連して上記で説明した1又はそれ以上の機能、或いは以下で説明する電力レベルネゴシエーション又はセーフティサブシステムのような他の機能を実行するために使用することができる。ネットワークデバイス60は、あらゆる数のプロセッサ62を含むことができる。
【0040】
インタフェース66は、データ又は電力を受信する、或いはデータ又は電力を他のデバイスに送信するためのあらゆる数のインタフェース又はネットワークインタフェース(例えば、ラインカード、ポート、コネクタ)を含むことができる。ネットワークインタフェースは、種々の異なる通信プロトコルを用いてデータを送受信するように構成することができ、ネットワークに接続された物理リンク又は無線インタフェース上でデータを通信するための機械、電気、及びシグナリング回路を含むことができる。例えば、ラインカードは、ポートプロセッサ及びポートプロセッサコントローラを含むことができる。インタフェース66は、PoE+F、PoE、PoF、又は類似の動作のために構成することができる。
【0041】
PoE+F光モジュール68は、
図1の光トランシーバ16の1又はそれ以上の構成要素を含むことができ、
図7及び8に示す(以下で説明)スマート光モジュールと共に使用するためのロジック、ファームウェア、ソフトウェア等も含むことができる。例えば、光モジュール68は、電力検出、電力モニタ及び制御、又は電力イネーブル/ディスエーブルで用いるためのハードウェア又はソフトウェアを含むことができる。光モジュール68は、プロセッサ又はメモリ構成要素、或いはファイバコネクタにおいてケーブル18から電力及び光データを受信するため、電力及び信号データをネットワークデバイスに供給して、又は例えば電源10に制御信号を送信する(
図1及び6)ためのインタフェースのうちの1又はそれ以上を更に備えることができる。前述のように、電力は、電源67によって光モジュールに供給され、PoE+F光モジュール68が、ネットワークデバイス60にある構成要素の残りに電力を供給する。
【0042】
図6に示して上記で説明したネットワークデバイス60は、実施例にすぎないこと、及びネットワークデバイスの異なる構成を使用可能であることは理解されたい。例えば、ネットワークデバイス60は、本明細書で説明する機能を円滑にするよう動作可能なハードウェア、ソフトウェア、アルゴリズム、プロセッサ、デバイス、構成要素、又は要素の何れかの適切な組み合わせを更に含むことができる。
【0043】
図7は、1つの実施形態によるスマート光トランシーバ70を示している。スマート光トランシーバ70は、受電機器の電源立ち上げ中に電源(例えば、
図1のネットワークデバイス10)との通信を提供して、故障保護及び検出を提供することができる。1つの実施形態において、デバイス70は、利用可能な電力を計算して、ケーブル配線システムに給電すべきでないときに電圧を印加しないように構成される。光学デバイス70は、光データを受信して、これを電気信号に変換する(又は電気信号を光データに変換する)ための光学構成要素72と、電力検出モジュール74、電力モニタ及び制御ユニット76、及び電力イネーブル/ディスエーブルモジュール78を含む電力構成要素とを含む。
【0044】
60V超から+/-450Vまでのパルス電力又は高度なPoE駆動電圧が、例えば、光回路72への電磁妨害を生じることがある。1つの実施形態において、電力構成要素74、76、78を、絶縁構成要素79(例えば、絶縁材料又は要素)を介して光学構成要素72から絶縁する。絶縁構成要素79が、電力回路を光学構成要素72から電磁的に絶縁して、光学の動作に干渉しないようにする。
【0045】
電力検出モジュール74は、電力を検出して、光学構成要素72に電圧を印加して、ファイバ又は電動ケーブル配線のために電源にメッセージを返す。返信メッセージは、電線又は光チャネル上での状態変更を介して提供することができる。1つの実施形態において、デバイスが適切に接続されて、電力供給すべきネットワークデバイスの電源投入準備ができたと光トランシーバ70及び電源が判断するまで、電力は、電力イネーブル/ディスエーブルモジュール78によってイネーブルにされない。
【0046】
電力モニタ及び制御デバイス76は、電力供給を継続的にモニタリングして、必要な給電をシステムがサポートできること、及び安全性限界(電圧、電流)を超過しないように保証する。電力モニタ及び制御デバイス76はまた、光シグナリングをモニタリングして、電源との光学遷移又は通信が欠落している場合には、電力をディスエーブルにすることもできる。
【0047】
図8は、1つの実施形態による、PoE又はパルス電力のための自動電力ネゴシエーションを伴う、
図7のスマート光トランシーバの実施例を示している。前述のように、システム80は、光学構成要素82と、電力モニタ及び制御86及び電力イネーブル/ディスエーブル88を含む電力構成要素とを含む。
図8に示す実施例では、デバイス80は、パルス電力検出モジュール83及びPoE検出モジュール84と共に動作する自動検出モジュール85を含む。各モジュール83、84は、自己の電力モニタ及び制御モジュール86及び電力イネーブル/ディスエーブルモジュール88に接続される。回路は、デバイス80に供給される電力のタイプを検出して、PoE又はパルス電力がより効率的な電力供給方法であるかどうかを判断して、その後、選択した電力供給モードを使用する。付加的なモードは、他の電力+データ規格(例えば、USB(ユニバーサルシリアルバス))をサポートすることができる。
【0048】
前述のように、光トランシーバは、例えば、光トランシーバモジュール又はシリコンフォトニクス光トランシーバを含む様々なタイプの光トランシーバを含むことができる。本明細書で使用するような「光トランシーバ」という語は、光信号を送受信するよう動作可能なあらゆるタイプの光学構成要素、モジュール、又はデバイスを指すことができる。
図11A-11Bは、修正ファイバコネクタ(
図10A-10B)上の電気インタフェースプレートに接触して、
図13の組立てで示すように、光モジュールケージシステム(
図12A-12B)を通じて電力を通過させるように構成された光モジュールの実施例を示している。
図11A-11Bに示す光トランシーバは、実施例にすぎないこと、並びに電力及びデータを送受信するように構成された他の光デバイスを、本実施形態の範囲から逸脱することなく、PoE+Fを実施するために使用可能であることは理解されたい。
【0049】
ここで
図9A及び9Bを参照すれば、
図9Cに示すような光ファイバ及び電線を備えたケーブル90から、電力及びファイバを受信するための修正ファイバコネクタの2つの実施例を示す。コネクタは、例えば、標準LCフォーマットに概ね対応する修正LC(ローカルコネクタ、ルーセントコネクタ)を含むことができる。
図9Cに示す実施例では、ケーブル90が、ケーブルジャケットに内包された2本のデータファイバ91及び2本の電線92(例えば、銅、アルミニウム、金属)を含む。
【0050】
1つの実施例において、銅線は、18AWG(米国ワイヤゲージ規格)又は他のサイズ/容量(例えば、10AWG)又は何れかの適用可能な規格に従う何れかの他の適切なサイズ又は容量とすることができる。銅線92は、光コネクタに別々に付着させることができ、これにより、バルクヘッド接続を延長することなく、修正LCコネクタシステムを実施することができる。以下で説明するように、圧着システムを用いて、銅線91をそれぞれのプラス/マイナス(プラス/リターン、パワー/リターン)接続につなぐことができる。
図9Cに示したケーブル90の光ファイバ及び電線の配置は、実施例にすぎないことは理解されたい。ケーブルは、あらゆる数の光ファイバ91又は電線92をあらゆる配置で含むことができる。例えば、ケーブルは、
図16A、16B、17A、及び17Bに示す修正MPO(Multi-fiber Push On/Pull Off)コネクタに関連して以下で説明するように、付加的なデータファイバ又は電線を含むことができる。ケーブルはまた、
図15に関連して以下で説明するように、冷却部も含むことができる。
【0051】
図9Aの実施例に示したコネクタ94では、シャーシグラウンドが外側ケース95上に、電力のための胴(金属)接点96がフェルール93の外側上に、ファイバ97がフェルール内部にある。この実施例では、外側ハウジング95が、デジタルグラウンドのためにメタライズされ、外側フェルール96が、電力のためにメタライズされる。データファイバ97は、従来のLCコネクタと同様に、フェルール93内に存在する。別の実施例では、グラウンドは、コネクタの両側にある外側ケースではなく、外側フェルールにあるデュアルコネクタの片側に接続することができる。
【0052】
図9Bに示す別のデュアルLCコネクタ98の実施例では、コネクタの一方側が2本のファイバ99を含み、コネクタの他方側が電線100を含む。
図9A及び9Bに示した構成は、実施例にすぎないこと、及び本実施形態の範囲から逸脱することなく、他の配置を使用可能であることは理解されたい。
【0053】
図10A及び10Bは、電線をコネクタ上に圧着することができる外部接触プレート及び圧着点を含むように修正されたLCコネクタ102の1つの実施例の詳細を示している。従来のLCコネクタと同様に、コネクタ102は、上部にラッチ機構103を含み、これにより、コネクタを容易に係合及び係合解除することができる。コネクタ102は、光が通過して光トランシーバまで達することができるように、ファイバをフェルール101内に機械的に連結して整列させる。修正コネクタ102は、1又は複数の光ファイバ及び1又は複数の電線を備えたケーブル(例えば、
図9Cに示すケーブル90)を受け取る。
図10Bの下部に示すように、コネクタ102は、外部金属接触プレート(例えば、1又はそれ以上の銅パッド)106、及び銅線を圧着することができる圧着点107を更に含むことができる。
図11Aに関連して以下で説明するように、光モジュールは、接触プレート106と接合するための内部電気入力(例えば、タブ又はワイヤ接点)を含む。コネクタ本体の一部分108を延長して、標準的な圧入式圧着法を用いて銅線を圧着させることができる。1つの実施形態において、ハウジング108は、10、12、14、16、又は18AWGワイヤシステムをサポートするために伸長することができる。
【0054】
1又はそれ以上の実施形態において、コネクタは、電圧を印加されたケーブルが処理中に接地しないように、光デバイスから取り外されるので、電気接点106を覆うために、バネ荷重のスライドカバー109(
図10Bでは部分的に開放)を設けることができる。カバー109は、コネクタ102を光デバイスに挿入中は押し戻されるので、コネクタ挿入時の外部接触プレート106と光モジュール上の内部接触点との間の嵌合接触を可能にする。光デバイスが電力を受信するように構成されていない場合(従来の非電力LCコネクタ)は、共通のLCコネクタインタフェースを通じて、通信の互換性が維持される。
【0055】
図10A及び10Bに示したコネクタは、実施例にすぎないこと、及び本実施形態の範囲から逸脱することなく、他のコネクタ又は構成を使用可能であることは理解されたい。例えば、1つの実施形態において、MPO(Multi-fiber Push On/Pull Off)連結を使用することができる。また、
図10A及び10Bには単一のファイバシステムを示しているが、しかしながら、
図9A及び9Bに関連して前述したように、デュプレックスファイバシステム内では2台のLCコネクタを用いて、光デバイスと相互接続するために電線及び帰線を提供することができる。
【0056】
図11A及び11Bは、
図10Bの修正LCコネクタ102から電力を受信して、この電力を光モジュールを通じて転送するように構成された光モジュール110の実施例を示している。光モジュール110は、2つのコネクタ102を受け取るように構成された開口部111を前部に含む(
図10A及び11A)。開口部111の後壁部は、ファイバ入力112を含む。光モジュール110は、コネクタの外部電力パッド106(
図10A及び11A)と接触するための内部電気入力接点(電力タブ、ワイヤ、角度付きスプリングフィンガー)113を更に含む。光デバイス110は、これらの接点113を通じて電力を供給し又は電力を受信する。1つの実施例において、システムは、PoEクラス8システム(最高100Wまで)、並びにパルス電力のような他の配電システムを処理するように構成される。1つの実施形態において、光モジュール110は、特定のタイプのケーブルを非互換のモジュールに挿入するのを防ぐためにキーイングを含むことができる。
【0057】
1つの実施形態において、フック/ポスト配置114を用いて、保護カバー109を邪魔にならないようにスライドして、コネクタ102上の外部接触プレート106と、光モジュール110上の内部電気入力タブ113とが接触できるようにする。
【0058】
図11Bの後面図に示すように、システムモジュールケージ(
図12B)に接続するために、2個の雌レセプタクル116が、データ及び制御のための電気信号インタフェース118と共に設けられる。PD及びPSEインタフェースに対して、異なるタイプのモジュールが使用される場合、一方が雄ピンを、他方は雌ソケットを含むことができる。モジュールの背面で電力用に雌コネクタを使用すると、何れのもの又は何れの人にもダメージを与えることなく、電力不足でモジュールを偶発的に取り外すことができる。電力出力点116は、
図11Bに示すように光デバイス110の下位部分、又はデバイスの上位部分に配置することができる。
【0059】
図12A-12Bは、
図11A-11Bに示した光モジュールのための光モジュールケージ120の実施例を示している。光モジュールケージ120は、例えば、ケージ接地点121及び気流開口部125を含むことができる。
図12Bのモジュールケージの内部後壁部126上に示すように、ケージは、光モジュール上の雌レセプタクル116と嵌合するための2個の雄パワーポスト122(+、リターン)を含むように修正される(
図11B及び12B)。後壁部は、電気信号インタフェース118を受け取るための接点を含む開口部128を更に含む。光モジュールに関連して前述したように、モジュールケージインタフェースもまた、非互換の構成要素間の不一致を防ぐためにキーイングを含むことができる。
【0060】
図13は、1つの実施形態による、ファイバ及び電力ケーブル90、コネクタ102、光モジュール110、及び光モジュールケージ120を示す分解図である。この実施例では、ケーブル130は、修正LCコネクタ102と接続するための2本の光ファイバ104及び2本の電線105を含み、修正LCコネクタは、
図10Bに示すように、コネクタの底部に付着された電力パッド、及び銅線105の取り付けを可能にするための圧着機構を備える。修正光モジュール110は、コネクタ102から電気接点113で受信する電力を光モジュールケージ120に転送して、ケージが電力を回路基板(例えば、ラインカード、ルートプロセッサ、ファブリックカード)に転送する。
【0061】
前述のように、電力及びファイバケーブルはまた、冷却部も含むことができる。
図14は、ファイバ、電力、及び冷却部を組み込むケーブル設計の断面図である。この実施例では、ケーブル140が、2本のデータファイバ142と、2本の銅線144と、2本の冷却管146とを含む。冷却線は、例えば、水、冷媒、又は高圧空気を受電機器及び受電装置に供給することができる。システムは、従来の冷却機能が利用可能でない遠隔地域にあるデバイス及び装置に冷却機能を提供するために用いることができる。ケーブルジャケット148は、冷却管146上の絶縁と共に付加的な絶縁を提供して、例えば、10km範囲にわたって効果的な冷却機能をもたらすことができる。
【0062】
図15は、1つの実施形態による、電力、ファイバ、及び冷却部を備えたコネクタケーブルアセンブリの実施例を示している。コネクタ(例えば、修正MPOコネクタ)150は、光トランシーバ151に電力及びデータを供給する。プレス圧着インタコネクタを用いて、前述のように、電力、グラウンド、及びシールドを終端することができる。
図15に示す実施例は、2つのシャーシグラウンド152と、2つの信号グラウンド153と、2本の光ファイバ155とを含む。電力154は、1本の接続又は2本以上のピン/嵌合部を含むことができる。ケーブルはまた、冷却管(例えば、2本の冷却管及び2本の戻り管)(図示せず)を含むことができる。コネクタケーブルアセンブリもまた、付加的なファイバ(例えば、2から24本のファイバ)を含むように構成することができる。
【0063】
図16は、コネクタ160の別の実施例を示している。光トランシーバ161が、電力制御回路165及び光-電力変換モジュール167と共に示されている。この実施例では、コネクタ160及び光モジュール161が、6本の電力ファイバ164及び2本のデータ用光ファイバ165のために構成される。
図16に示すコネクタケーブルアセンブリは、あらゆる数又はあらゆる組み合わせの電力及び光ファイバを含むことができる。
【0064】
図15及び16に示した電力/グラウンドワイヤ及びファイバの構成、配置、及び数は、実施例にすぎないこと、及びワイヤ及びファイバの他の配置又は数を、本実施形態の範囲から逸脱することなく使用可能であることは理解されたい。
【0065】
図17は、冷却パススルー線を備えた
図7のスマート光デバイスを示している。前述のように、光デバイス170は、光学構成要素172と、電力検出174と、電力モニタ及び制御176と、電力イネーブル/ディスエーブル178とを含む。光デバイス170はまた、例えば、
図8に示した付加的な構成要素も含むことができる。冷却管177は、受電機器に冷却を提供して、冷却を戻す。光モジュール170に冷却タップ175も設けられる。1つの実施例において、光モジュールケージが、冷却をシステムまで通過させて、光構成要素172内で生じた熱をモジュールを通じて冷却剤の中に返す。
【0066】
上記から考察されるように、本明細書で説明した実施形態は、多くの利点をもたらすことができる。例えば、1又はそれ以上の実施形態では、ビルの入口地点から最長10kmの最終地点までの長さを可能にする。ルータ、スイッチ、及びアクセスポイントのようなネットワーク通信デバイス、並びに照明システム及び他の用途のような電子デバイスを、従来のPoEシステムの100m範囲の外側に配置することができる。これにより、全ての電力をフロアのデータルームから除外することができる。修正コネクタシステムを使用することで、片側又は両側がネットワーク装置に給電するために銅線上電力をサポートしていない場合のシステム間のファイバ互換性を可能にする。例えば、コネクタアセンブリは、PoE+F光システム又は従来の非電力光システムとの動作のために構成することができる。
【0067】
要約すれば、1つの実施形態において、方法は、ネットワーク通信デバイスに取り付けられた光トランシーバにおいて、データファイバケーブル上で供給された電力を受信する段階と、光トランシーバからネットワーク通信デバイスにデータ及び電力を送信する段階とを含む。ネットワーク通信デバイスには、光トランシーバから受信した電力が供給される。本明細書では、装置についても開示する。
【0068】
ここに示す実施形態により方法及び装置について説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に為される変形が存在することは容易に理解されるであろう。従って、上記の説明に含まれ、添付図面に示した全ての内容は、限定的な意味ではなく例証として解釈すべきであることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
10 ネットワークデバイス
11 PSU
12 ファブリック
13 ラインカード
14 スイッチ
15 アクセスポイント
16 光トランシーバ
18 ケーブル