IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エッペンドルフ アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7281477液体のラボ用電子計量システム、および液体のラボ用電子計量システムを動作させる方法
<>
  • 特許-液体のラボ用電子計量システム、および液体のラボ用電子計量システムを動作させる方法 図1
  • 特許-液体のラボ用電子計量システム、および液体のラボ用電子計量システムを動作させる方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】液体のラボ用電子計量システム、および液体のラボ用電子計量システムを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/02 20060101AFI20230518BHJP
   B01L 3/02 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
B01J4/02 B
B01L3/02 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020548982
(86)(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019056181
(87)【国際公開番号】W WO2019175189
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】18162322.4
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18163436.1
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591121683
【氏名又は名称】エッペンドルフ エスイー
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf SE
【住所又は居所原語表記】Barkhausenweg 1, 22339 Hamburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】ハッカー・ヤン-ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】モリトー・ペーター
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-543438(JP,A)
【文献】特表2015-501218(JP,A)
【文献】特開2004-279414(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0182961(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00-99/00
B01J 4/02
G01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの手持ち式電動計量装置(2)を備える、液体のラボ用電子計量システムであって、
前記手持ち式電動計量装置(2)は、当該手持ち式計量装置(2)の動作を検出して対応する動作データを生成する少なくとも1つの動作センサ部(5)を含み、
前記手持ち式計量装置(2)は、当該手持ち式計量装置(2)をデータ接続によって外部のネットワークアクセス装置(4)に接続することが可能であるインターフェースモジュール(7)を含み、
前記ネットワークアクセス装置(4)は、外部のデータ処理システム(3)にデータ接続可能であり、
前記データ処理システム(3)は、前記手持ち式計量装置(2)の動作を少なくとも間接的に検出し且つ前記手持ち式計量装置(2)の動作環境状態を検出してこれらからコンテキストパラメータデータを生成する、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部(8)にデータ接続可能であり、
当該計量システム(1)が、前記動作センサ部(5)の動作データを目標動作データと比較するように且つ前記コンテキストパラメータセンサ部(8)のコンテキストパラメータデータを目標コンテキストパラメータデータと比較するように、および、比較結果を生成するように少なくとも構成された、比較部(9)を備える、計量システムにおいて、当該計量システム(1)が、さらに、
前記少なくとも1つの手持ち式計量装置(2)の動作に関する、前記動作データ及び前記コンテキストパラメータデータを少なくとも含むログデータセットを生成及び記憶するように構成された、ドキュメンテーション部(10)、
を備え、前記ドキュメンテーション部(10)は、前記比較部(9)の前記比較結果が当該ドキュメンテーション部(10)へと送信可能であるように、かつ、当該比較結果を前記ログデータセットの一部として、対応する前記動作データ及び前記コンテキストパラメータデータに振り当てるかたちで記憶する構成であるように、前記比較部(9)に接続されていることを特徴とする、計量システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計量システムにおいて、さらに、
ユーザ指示及び/又はユーザ情報を出力する少なくとも1つの出力部(17)に含まれる少なくとも1つの出力部(17)、
を備え、前記出力部(17)は、比較結果が直接出力されるように前記比較部(9)に接続されていることを特徴とする、計量システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の計量システムにおいて、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部(8)が、静的及び/又は動的なコンテキストパラメータを検出するように構成されていることを特徴とする、計量システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の計量システムにおいて、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部(8)が、前記手持ち式計量装置(2)の検出された動作および/または検出された前記動作環境状態を分類するように構成された分類部(16)に接続されており、当該分類からコンテキストパラメータが導き出されることが可能であり且つ/或いは当該分類によりコンテキストパラメータデータが生成されることが可能であることを特徴とする、計量システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の計量システムにおいて、さらに、
ログデータセットを記憶及び/又はカタログ化するように構成されたドキュメンテーション記憶装置(18)、
を備えることを特徴とする、計量システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の計量システムにおいて、さらに、
ログデータセットを電子実験ノートのデータ形式に変換するように又は当該ログデータセットを実験情報管理システムに埋め込むように構成された、変換装置(19)、
を備えることを特徴とする、計量システム。
【請求項7】
請求項5または請求項5を引用する場合の請求項6に記載の計量システムにおいて、さらに、
前記ドキュメンテーション記憶装置(18)に接続されており、ログデータセットを評価するように且つ/或いはログデータセットを比較するように構成されていて当該評価からの結果を出力インターフェース(21)で出力することが可能である、少なくとも1つの評価部(20)、
を備えることを特徴とする、計量システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の計量システムにおいて、さらに、
作業ルーチンを設定し且つ/或いは前記手持ち式計量装置(2)のパラメータ部(23)の装置パラメータを設定するプログラミング部(22)、
を備え、前記プログラミング部(22)が、設定した作業ルーチン及び/又は装置パラメータに基づいて目標動作データ及び/又は目標コンテキストパラメータデータを生成及び記憶するように構成されていることを特徴とする、計量システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の計量システムにおいて、前記ネットワークアクセス装置(4)が、少なくとも1つの手持ち式計量装置(2)を着脱可能に留める留め装置(13)により構成されていることを特徴とする、計量システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の計量システムにおいて、前記コンテキストパラメータセンサ部(8)が、ラボ用液体測定装置(24)の測定値又は出力信号を複製又は検出するように構成されていることを特徴とする、計量システム。
【請求項11】
少なくとも1つの手持ち式電動計量装置(2)を備える、液体のラボ用電子計量システムを動作させる方法であって、
前記手持ち式電動計量装置(2)は、当該手持ち式計量装置(2)の動作を検出して対応する動作データを生成する少なくとも1つの動作センサ部(5)を含み、
前記手持ち式計量装置(2)は、当該手持ち式計量装置(2)をデータ接続によって外部のネットワークアクセス装置(4)に接続するためのインターフェースモジュール(7)を含み、
前記ネットワークアクセス装置(4)は、外部のデータ処理システム(3)にデータ接続可能であり、
前記データ処理システム(3)は、前記手持ち式計量装置(2)の動作を少なくとも間接的に検出し且つ前記手持ち式計量装置(2)の動作環境状態を検出してこれらからコンテキストパラメータデータを生成する、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部(8)にデータ接続可能であり、
前記計量システム(1)が、前記動作センサ部(5)の動作データを目標動作データと比較するように且つ前記コンテキストパラメータセンサ部(8)のコンテキストパラメータデータを目標コンテキストパラメータデータと比較するように、および、比較結果を生成するように少なくとも構成された、比較部(9)を備える、方法において、前記計量システム(1)が、さらに、
前記少なくとも1つの手持ち式計量装置(2)の動作に関する、前記動作データ及び前記コンテキストパラメータデータを少なくとも含むログデータセットを少なくとも含むログデータセットを生成及び記憶する、ドキュメンテーション部(10)、
を備え、前記ドキュメンテーション部(10)は、前記比較部(9)の前記比較結果が当該ドキュメンテーション部(10)へと送信されるように、かつ、当該比較結果を前記ログデータセットの一部として、対応する前記動作データ及び/又はコンテキストパラメータデータに振り当てるかたちで記憶するように、前記比較部(9)に接続されていることを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、少なくとも1つの出力部(17)により、ユーザ指示及び/又はユーザ情報が出力され、前記出力部(17)は、比較結果が直接出力されるように前記比較部(9)に接続されていることを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法において、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部(8)により、静的及び/又は動的なコンテキストパラメータが検出されることを特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか一項に記載の方法において、前記コンテキストパラメータセンサ部(8)に接続された少なくとも1つの分類部(16)により、前記手持ち式計量装置(2)の検出された動作および/または検出された前記動作環境状態が分類され、当該分類からコンテキストパラメータが導き出されて且つ/或いは当該分類によりコンテキストパラメータデータが生成されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか一項に記載の方法において、ドキュメンテーション記憶装置(18)により、ログデータセットが記憶及び/又はカタログ化されることを特徴とする、方法。
【請求項16】
請求項11から15のいずれか一項に記載の方法において、変換装置(19)により、ログデータセットが電子実験ノートのデータ形式に変換されるか又は実験情報管理システムに埋め込まれることを特徴とする、方法。
【請求項17】
請求項15または請求項15を引用する場合の請求項16に記載の方法において、前記ドキュメンテーション記憶装置(18)に接続された評価部(20)により、ログデータセットが評価されて且つ/或いはログデータセットが比較されて、当該評価からの結果が出力インターフェース(21)で出力されることを特徴とする、方法。
【請求項18】
請求項11から17のいずれか一項に記載の方法において、プログラミング部(22)により、作業ルーチンが設定されて且つ/或いは前記手持ち式計量装置(2)のパラメータ部(23)の装置パラメータが設定されて、前記プログラミング部(22)が、設定した作業ルーチン又は装置パラメータに基づいて目標動作データ及び/又は目標コンテキストパラメータデータを生成及び/又は記憶することを特徴とする、方法。
【請求項19】
請求項11から18のいずれか一項に記載の方法において、前記コンテキストパラメータセンサ部(8)により、ラボ用液体測定装置(24)の測定値又は出力信号が複製又は検出されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載されているとおり、少なくとも1つの手持ち式電動計量装置を備える、液体のラボ用電子計量システムであって、
上記計量装置は、当該手持ち式計量装置の動作を検出して対応する動作データを生成する、特には、さらに当該動作データを当該手持ち式計量装置の記憶装置に記憶する、少なくとも1つの動作センサ部を含み、
上記手持ち式計量装置は、当該手持ち式計量装置をデータ接続によって特には上記動作データを送信するために外部のネットワークアクセス装置に接続することが可能であるインターフェースモジュールを含み、
上記ネットワークアクセス装置は、外部のデータ処理システムにデータ接続可能であり、
上記データ処理システムは、上記手持ち式計量装置の動作を少なくとも間接的に検出し且つ/或いは上記手持ち式計量装置の動作環境状態を検出してこれらからコンテキストパラメータデータを生成する、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部にデータ接続可能であり、
当該計量システム、特には上記データ処理システムが、上記動作データ部の動作データを目標動作データと比較するように且つ/或いは上記コンテキストパラメータ部のコンテキストパラメータデータを目標コンテキストパラメータデータと比較するように、および、比較結果、特には比較過程で特定される、上記目標データからの上記データのずれを生成するように少なくとも構成された、比較部を備える、計量システムに関する。
【0002】
本発明は、さらに、請求項12の前提部に記載されているとおり、少なくとも1つの手持ち式電子計量装置を備える、液体のラボ用電子計量システムを動作させる方法であって、
上記手持ち式電子計量装置は、当該手持ち式計量装置の動作を検出して対応する動作データを生成する、特には、さらに当該動作データを当該手持ち式計量装置の記憶装置に記憶する、少なくとも1つの動作センサ部を含み、
上記手持ち式計量装置は、当該手持ち式計量装置をデータ接続によって特には上記動作データを送信するために外部のネットワークアクセス装置に接続するためのインターフェースモジュールを含み、
上記ネットワークアクセス装置は、外部のデータ処理システムにデータ接続可能であり、
上記データ処理システムは、上記手持ち式計量装置の動作を少なくとも間接的に検出し且つ/或いは上記手持ち式計量装置の動作環境状態を検出してこれらからコンテキストパラメータデータを生成する、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部にデータ接続可能であり、
上記計量システム、特には上記データ処理システムが、比較部を備え、当該比較部が、少なくとも、上記動作センサ部の動作データを目標動作データと比較し且つ/或いは上記コンテキストパラメータセンサ部のコンテキストパラメータデータを目標コンテキストパラメータデータと比較して比較結果、特には比較過程で特定される、上記目標データからの上記データのずれを生成する、方法に関する。
【背景技術】
【0003】
先行技術からは、ラボ用計量システムおよび当該システムを動作させる方法が知られている。例えば、EP 0 999 432 B1(特許文献1)には、データを手持ち式計量装置とデータ処理システムとの間でインターフェースを介して送信することが可能な、電子計量システムの動作方法および計量システムが開示されている。このデータにより、手持ち式計量装置を動作させるためのルーチンをデータ処理システム又は当該データ処理システムに振り当てられた入力インターフェースで設定することが確実に可能となると共に、当該データを手持ち式計量装置へと送信し当該手持ち式計量装置に記憶させるということが確実に可能となる。これにより、複雑な作業ルーチンを作成実行するよう手持ち式計量装置を簡単に動作させる又は簡単にプログラムすることが可能となる。また、このようなシステムおよび対応する方法は、作業中の又は対応する作業ルーチン実施時の操作者へと一定の量の指示を行うことが可能である。
【0004】
また、EP 3 141 909 A1(特許文献2)には、液体のラボ用計量システムであって、カメラを用いた画像比較が実施されて、当該画像比較に基づき、作業ルーチン実施時の間違いや誤差を示す出力が操作者へと送られるか又は表示される、液体のラボ用計量システムが開示されている。よって、これにより、作業ルーチン実施中の、この設定されたルーチンへの追従を全般的に向上させたり、手持ち式計量装置を動作させている最中の操作者の間違いをより簡単に教えたりすることが可能となる。
【0005】
また、先行技術のなかには、ラボ用電子計量システムを動作させるのに用いられた場合に、手持ち式計量装置の対応する動作データを使って、および/または、当該手持ち式計量装置の動作を少なくとも間接的に検出し且つ/或いは動作環境状態を検出するコンテキストパラメータセンサ部を使って、実施される作業ルーチンを記録することが可能なシステムおよび方法を開示したものもある。
【0006】
しかし、先行技術には、既知の方法やシステムでは当該システムにより調製される試料及び/又は液体の品質管理の要件が十分に満たされないか又は当該要件が全く満たされないという短所がある。当該システム又は当該方法で調製された又は用意された液体の場合、試料又は液体を極めて限定的にしか追跡することができない。これは、試料又は液体を調製する各作業ルーチンの正確かつ完全な実施又は処理について、それを特には事後的に追跡することができない又は初歩的にしか追跡することができないということを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許第0999432号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3141909号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の先行技術を起点として、本発明の目的は、実施又は処理される作業ルーチンを自立的に又は自動的に検証することで、調製された液体の追跡可能性(トレーサビリティ)を向上させると共にラボや同様の施設の品質管理を容易にし且つ向上させることが可能な、液体のラボ用電子計量システムを提供することである。
【0009】
他の目的は、ラボや同様の施設での品質管理を向上させることが可能な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
システムに関して言えば、上記目的は、請求項1の構成、すなわち、一般的なシステムに、少なくとも1つの手持ち式計量装置の動作に関するログデータセット、特には、動作データ及び/又はコンテキストパラメータデータを少なくとも含むログデータセットを生成及び記憶するように構成されたドキュメンテーション部を設け、当該ドキュメンテーション部を、比較部の比較結果が当該ドキュメンテーション部へと送信可能であるように、かつ、当該比較結果を前記ログデータセットの一部として、特には対応する前記動作データ及び/又はコンテキストパラメータデータに振り当てるかたちで記憶する、特には、前記手持ち式計量装置の動作が終わった後に前記比較結果をそれらに追加する構成となるように当該比較部に接続されたものとすることによって達成される。
【0011】
方法に関して言えば、上記目的は、独立請求項12の構成によって達成される。
【0012】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に開示されている。明細書及び/又は特許請求の範囲及び/又は図面に開示された2つ以上の構成のあらゆる組合せが、本発明の範囲の一部を成す。
【0013】
本発明の思想は、手持ち式計量装置の動作過程で、すなわち、当該手持ち式計量装置を校正するルーチンを含むあらゆる種類の作業ルーチン時に、データを最大限包括的かつ徹底的に検出及び記録するというものである。データの当該検出及び記録は、動作センサ部およびコンテキストパラメータセンサ部によって実施される。動作や動作環境状態に関するデータを単に記録するだけに留まらず、最適な動作や正確な取扱いや適正な環境状態を表した指定や目標データも生成及び用意される。本発明の他の思想は、最終的に、手持ち式計量装置の動作過程で又は手持ち式計量装置の動作後に前記動作データ及び前記コンテキストパラメータデータと対応する前記目標データとの比較を実施し、その比較結果を少なくとも手持ち式計量装置の動作後にて動作に関するその他の記録値や記録データと一緒に拡張ログデータセットの形態で記録及び記憶するというものである。
【0014】
これにより、手持ち式計量装置の動作と作業ルーチンについての対応する処理との間の時間間隔に関係なく分析を実施することが可能となる。さらに、厳密に一つの試料又は厳密に一つの液体についての作業ルーチンの処理の範囲内になるが、記録された全ての動作データ及び/又はコンテキストパラメータデータが目標要件を満たしているか否か又は当該目標要件の範囲内であるか否かを調べることが可能となる。言い換えれば、前記ドキュメンテーション部により生成及び記憶されたログデータセットは、それ自体が目標要件又は目標データからずれているか否か(特に、当該ずれがどの作業工程又はコンテキストパラメータなどに関するものであるのか)を表しているため、実施される作業ルーチンの自動検証又は自己検証に貢献する。極めて有利なことに、このことは、同一と思われる作業ルーチンで生成又は調製された別々の試料又は液体間での、客観的かつ有用なコンパラビリティを可能にする。というのも、コンパラビリティは、前記ドキュメンテーション部により生成及び記憶されたログデータセットについて前記比較部が下す比較の比較結果が(有意な)ずれを全く示さない場合にのみ想定可能となるものだからである。逆に言えば、これは、試料又は液体についての少なくとも1つのログデータセットの比較がそのようなずれを示した場合、同一の作業ルーチンで生成されたと思われる別の試料又は液体との間にコンパラビリティがそもそも存在しないか又はコンパラビリティを排除できるということを意味する。これにより、特に、同一と思われる作業ルーチンで調製又は生成された別々の試料又は液体間の量的及び質的なコンパラビリティ、あるいは、対応するコンパラビリティの排除が可能となるため、ラボ又は同様の施設での作業がこれまでに知られていない様式で容易となる。
【0015】
本発明のシステムの手持ち式計量装置は、ピストン-シリンダ部が組み込まれた、エアークッション原理に従って動作する計量装置であり得る。変形例として、当該手持ち式計量装置は、マイクロダイアフラムポンプ及び/又はフリージェット計量装置を具備したマイクロ計量装置として実現されてもよい。変形例として、前記手持ち式計量装置は、シリンダとピストンが消耗品、特には使い捨て装置として実現され得て容積移送式原理に従って動作するディスペンサーであってもよい。また、前記手持ち式計量装置は、マルチチャネル計量装置として実現されたものであってもよい。本発明にかかるシステムのネットワークアクセス装置は、例えば、前記手持ち式計量装置と双方向でデータ通信するいわゆるゲートウェイとして実現され得る。このデータ接続には、Bluetooth、WLANなどの規格化された接続技術や接続プロトコルが使用可能である。しかしながら、前記ネットワークアクセス装置と前記手持ち式計量装置との間のデータ接続は、有線で又は物理的接触手段で実現又は確立されてもよい。その実施形態では、前記ネットワークアクセス装置と前記手持ち式計量装置が、相補的に実現された、プラグなどの接触手段を具備するものとされ得る。例えば、前記ネットワークアクセス装置は、ネットワークプロトコルの形態のデータを受け取って出力する構成で且つデータ用の対応する出力部及び入力部を有するように実現され得る。例えば、前記ネットワークアクセス装置は、前記データ処理システムにローカルエリアネットワーク接続(LAN接続)で接続可能とされる。
【0016】
前記データ処理システム自体は、サーバ-クライアントシステムとして実現され得る。PC、タブレット、スマートフォン、またはその他の携帯型電子装置がクライアントとして用いられる。変形例として、1つ以上のクライアントは、拡張現実装置として実現され得て、かつ、画像コンテンツ(特には、虚像コンテンツ)を生成し実像コンテンツを当該コンテンツに重畳して虚像と実像との重畳コンテンツの表示を生成及び出力するように構成されてもよい。当該1つ以上のクライアントのほうが、必須のデータインフラストラクチャ、特にはソフトウェアを有し得る。変形例として、前記サーバのほうが必須のデータインフラストラクチャ、特にはソフトウェアを有するものとされてもよく、前記1つ以上のクライアントは当該サーバのインフラストラクチャにアクセスする役割のみを果たす。
【0017】
つまり、前記比較部及び/又は前記ドキュメンテーション部は、データ処理システムのサーバ又は当該データ処理システムの1つ以上のクライアントに割り当てられる。すなわち、前記サーバ、あるいは、前記1つ以上のクライアントが、前記比較部及び/又は前記ドキュメンテーション部を有する。前記データ処理システムと、間にある前記ネットワークアクセス装置を介して前記手持ち式計量装置と、前記コンテキストパラメータセンサ部との間のデータ接続により、前記動作センサ部の動作データ、前記コンテキストパラメータセンサ部のコンテキストパラメータデータ、ならびに対応する目標動作データ及び目標コンテキストパラメータデータを、前記システムの個々の構成要素間で実質自由に送信することが可能となる。このように、前記データ処理システムと前記手持ち式計量装置はいずれも、比較部を有することが可能である。しかも、これにより、比較部の配置や割当てにかかわらず、当該比較部の比較結果を前記システムのうちの残りのシステムコンポーネントまたは構成要素に、特には前記ドキュメンテーション部に(但し、それ以外のシステムコンポーネントにも)供給することが可能となる。
【0018】
前記動作センサ部は、前記手持ち式計量装置の直接の動作を検出する1つ又は複数のセンサを有し得る。例えば、前記手持ち式計量装置の前記ピストン-シリンダ部の動作を検出するセンサが設けられ得る。これに加えて又はこれに代えて、前記ピストン-シリンダ部の電気駆動装置の動作を検出するセンサが設けられてもよい。ほかにも、前記手持ち式計量装置の並進及び/又は回転及び/又は加速を検出するモーションセンサ又は慣性センサが設けられてよい。しかしながら、前記動作センサ部は、静的な動作データを検出するように構成されたものとされてもよい。例えば、前記動作センサ部は、前記手持ち式計量装置のシリアル番号又は別の識別手段を検出又は識別するものとされる。前記動作センサ部のセンサはほかにも、動作時間カウンタ(特には、前記手持ち式計量装置の校正日時に応じた動作時間カウンタ)や前記手持ち式計量装置などの内外で当該手持ち式計量装置の動作を光学検出するカメラとして実現され得る。
【0019】
前記計量システムの第1の有利な実施形態において、当該計量システムは、ユーザ指示及び/又はユーザ情報を出力する少なくとも1つの出力部、特には、前記手持ち式計量装置に含まれる少なくとも1つの出力部を備え得て、当該出力部は、比較結果、特には比較過程で特定される、前記目標データからの前記データのずれが直接出力されるように前記比較部に接続されている。このような出力部は、多種多様な用途に利用可能である。例えば、作業ルーチンの処理過程で操作者又はユーザを指導することが可能な又は当該指導を向上させる別種のユーザ指示又はユーザ情報が、前記出力部により出力されるものとしてもよい。これは、前記出力部を、目標動作データ及び/又は目標コンテキストパラメータデータへの追従を促すか又は可能にするユーザ指示を出力するように構成出来るということを意味する。また、本実施形態では、前記出力部が前記比較部に接続されている。これは、比較結果、特には、前記目標データからの前記データのずれを、操作者又はユーザへ出力出来るということを意味する。ただし、これには、前記システムに可能な限りの数の動作データ及び/又はコンテキストパラメータデータが直接、さらには、対応する前記目標データが直接受け渡されるということや、単一の中央比較部のみが設けられている場合に特にそうなるが、これらのデータを前記比較部へ送って評価を直接、すなわち、比較を直接実施するということが必要になる。しかし、この場合、前記手持ち式計量装置と前記システムのうちの残りの構成要素との間で持続的なデータ送信が要求されることになり得る。代替的な一実施形態では、前記手持ち式計量装置と残りのシステムコンポーネントとの間のデータ接続を効率よく、特には前記手持ち式計量装置のエネルギー消費に関してエネルギー効率よく実現するために、前記動作センサ部と目標動作データを含む記憶装置との間でのエネルギー効率のよい内部データ通信を可能にする追加の比較部が前記手持ち式計量装置に振り当てられている。これにより、例えば、少なくとも前記動作データについての比較結果が前記手持ち式計量装置の動作過程で作成される。前記手持ち式計量装置が前記ネットワークアクセス装置及び当該ネットワークアクセス装置に接続された残りのシステムコンポーネントを介して外部と通信せずとも、前記出力部で、その比較結果に基づいた出力を発生させることが可能となる。有利なことに、前記手持ち式計量装置のほうで生成された比較部の比較結果は、一定間隔で又は当該手持ち式計量装置の動作が終わった後、特には作業ルーチンが終了した後に、前記ネットワークアクセス装置へと送信されることで、ドキュメンテーション部にとってアクセス可能なものとなる。すなわち、これは、少なくとも前記手持ち式計量装置の動作が終わった後又は作業ルーチンが前記手持ち式計量装置を使って実施された後、前記比較部で生成されて且つ記憶された各比較結果を集め、各データをログデータセットへ組み合わせるということが確実になされる限り、例えば、個々のシステムコンポーネント間で前記比較部を空間的に分散させるのが有用になり得るということを意味する。
【0020】
前記計量システムの極めて好ましい他の実施形態では、前記少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部が、静的及び/又は動的なコンテキストパラメータを検出するように構成されている。例えば、前記コンテキストパラメータセンサ部は、動的なコンテキストパラメータ、例えば、ラボの又は前記手持ち式計量装置が用いられる部屋の室温等を検出するように構成され得る。変形例として、前記コンテキストパラメータセンサ部は、静的なコンテキストパラメータを検出するものであってもよい。例えば、前記コンテキストパラメータセンサ部は、ユーザの識別情報を検出するように、つまり、前記手持ち式計量装置のユーザの静的な識別情報(当該識別情報は、少なくとも一つの作業ルーチンの実施の間は静的である)を検出するように構成され得る。この目的のために、前記コンテキストパラメータセンサ部は、入力インターフェースを具備し得る。例えば、当該入力インターフェースにより、ユーザは、対応する入力、例えば、エイリアス及びパスワードを用いて自身の識別を行う。この文脈における極めて有利な一様式では、前記システムが、当該システムでの又は手持ち式計量装置でのユーザの識別後に同ユーザ固有のシステム設定をロードする又は引き出すことが可能な手段を備え得る。極めて好ましい一実施形態では、手持ち式計量装置のユーザ毎の設定又はパラメータを引き出し且つ/或いは当該設定又はパラメータを手持ち式計量装置へと送信するための手段が設けられる。そのほか、前記少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部により、別の複数の静的及び/又は動的なコンテキストパラメータが検出され得る。例えば、気圧や他の気象データがそのようなコンテキストパラメータであり得る。
【0021】
前記システムの極めて好ましい他の実施形態では、前記システムが、前記コンテキストパラメータセンサ部に接続されているか又は少なくとも接続可能である、前記手持ち式計量装置の検出された動作および/または検出された前記動作環境状態を分類するように構成された少なくとも1つの分類部を備え、当該分類からコンテキストパラメータが導き出されることが可能であり且つ/或いは当該分類によりコンテキストパラメータデータが生成されることが可能である。つまり、前記分類部は、動的なコンテキストパラメータやコンテキストパラメータデータを静的な又は準静的なコンテキストパラメータやコンテキストパラメータデータに変換するのに用いられ得る。他方で、前記分類部は、目標データとの比較に適していない動作環境状態を分類済みのコンテキストパラメータに変換するように、つまり、当該動作環境状態を比較部の比較に適したものにするように用いられ得る。例えば、複数の登録ユーザに対してユーザクラスが割り振られて、これらが前記分類部に記憶され得る。これにより、識別ユーザの検出過程で前記コンテキストパラメータセンサ部によって同ユーザを所定のユーザクラスに振り当てることが可能になる。これにより、手持ち式計量装置に現在登録されているユーザの各ユーザクラスを前記比較部によって目標ユーザクラスと比較することが可能となる。比較に適していない、液体の調製や試料の処理に関するその他の情報やデータ(特には、数値で表されないコンテキストパラメータ)も比較部の比較に適したものとされることで、結果として生じるログデータセットの価値を増加させることができる。原則として、分類部は、前記動作センサ部にも接続されることで動作データを分類するように構成され得る。例えば、対応するセンサで検出された前記手持ち式計量装置の動き又は加速の分類が、それに合わせて実現された分類部によって分類可能となって前記比較部による比較に適したものになり得る。
【0022】
極めて好ましい他の実施形態では、前記システムが、ログデータセットを記憶及び/又はカタログ化するように構成されたドキュメンテーション記憶装置を備える。これにより、本発明に従って品質管理を著しく向上させ且つ容易にすると共に試料や液体の質的及び量的なコンパラビリティを適宜事後的に、特には長期にわたって確保する徹底的なログデータセットが可能となる。ほかにも、前記ドキュメンテーション記憶装置による前記ログデータセットのカタログ化は、前記システムにとって格別の利点をもたらす。例えば、検索クエリ、特には、前記データ処理システムによる検索クエリで前記ログデータセットへのアクセスが可能となり得る。また、前記カタログ化により、前記ドキュメンテーション記憶装置で前記ログデータセットをその内容に関して検索することが可能となる。
【0023】
前記システムの極めて有利な他の実施形態では、ログデータセットを電子実験ノートのデータ形式に変換するように又は当該ログデータセットを実験情報管理システムに埋め込むように構成された変換装置が設けられる。これにより、前記ログデータセットは、最大限包括的なドキュメンテーション及び/又は監査システムへと確実に利用可能なものとなる。極めて有利なことに、前記ログデータセットに含まれるまさにそれらの比較結果は、各試料や液体の品質についての極めて広範かつ明確な評価を可能にするものであるから、上位のシステム、特には実験情報管理システムにとって極めて高い価値を有することになる。つまり、前記変換装置を設けることにより、既知の計量システムに関してますます高まりつつある可監査性の要望に応えることが可能となる。
【0024】
本発明の有利な一実施形態では、前記システムが、さらに、ログデータセットを評価するように且つ/或いはログデータセットを比較するように構成されていて当該評価からの結果を特には前記計量システムによるさらなる処理のために出力インターフェースで出力することが可能である評価部、極めて好ましくは、前記ドキュメンテーション記憶装置に接続された評価部を備え得る。有利なことに、これにより、前記ログデータセットが事後的な評価や事後的な比較や、操作者やユーザへの対応する出力に対応可能なものになる。これは、例えば、調製された試料や液体のさらなる分析工程が実行される前に又はさらなる分析活動後に、ユーザが前記評価部を使って各試料又は液体の品質に関する評価を出力インターフェースの対応する出力に基づいて行ったり別々の試料の品質を比較したり出来るということを意味する。これにより、例えば、特には本発明にかかる計量システムの範囲内でのそれまでの処理が原因で別々の試料や液体同士が互いに比較可能なものであるのか否かや、それらを質的又は量的な評価目的のための共通の基礎として用いることができるのか否かを確定することが可能となる。前記評価部は、高度に自動化された様式で実現され得る。つまり、ログデータセットの評価及び/又は比較は、操作者又はユーザが全く補助することなく行われる。しかしながら、前記評価部は、ユーザもしくは操作者の影響を受けるように又はユーザもしくは操作者により操作されるように実現されてもよい。極めて有利な一様式では、これにより、前記ログデータセットのうちの特定の部分又は前記ログデータセットのうちの特定のデータに前記評価及び/又は前記比較を限定したり、そのような特定の部分又は特定のデータについて前記評価及び/又は前記比較を重み付けしたりすることが可能となる。
【0025】
前記計量システムの極めて好ましい他の実施形態では、作業ルーチンを設定するように且つ/或いは前記手持ち式計量装置のパラメータ部の装置パラメータを設定するように構成されたプログラミング部、好ましくは、前記データ処理システムに含まれるプログラミング部が設けられ得て、当該プログラミング部は、設定した作業ルーチン及び/又は装置パラメータに基づいて目標動作データ及び/又は目標コンテキストパラメータデータを生成及び記憶するように構成されている。有利なことに、前記プログラミング部により、前記システムの操作者又はユーザ、特には前記手持ち式計量装置の操作者又はユーザが自身の目的に合った作業ルーチンを作成出来たり、必要に応じて当該作業ルーチンに関するデータを前記手持ち式計量装置へと送信出来たりするということが基本的に実現可能となる。したがって、当該実現により、(前記プログラミング部が前記外部のデータ処理システムに含まれる場合に特にそうなるが)前記手持ち式計量装置のプログラミングを簡単に出来るほか、当該手持ち式計量装置を極めて融通よく使用することが可能になる。前記プログラミング部は、作業ルーチンに加えて、前記手持ち式計量装置のパラメータ部の装置パラメータを設定するようにも構成されてよい。これは、例えば、前記手持ち式計量装置の校正データや、電気駆動部の制御パラメータなどの他の装置パラメータや、その他のデータが前記プログラミング部により設定されて、前記手持ち式計量装置へと必要に応じて送信又は伝送されて必要に応じてそこで再び記憶されるということを意味する。最も広い意味では、これにより、前記手持ち式計量装置の遠隔制御、より厳密には遠隔設定を実現することが可能となる。
【0026】
しかしながら、好ましい本実施形態において前記プログラミング部は、設定した作業ルーチン及び/又は装置パラメータに基づいて目標動作データ及び/又は目標コンテキストパラメータを生成及び記憶するようにも構成され得る。これは、例えば作業ルーチン設定の範囲内で特定の工程が特定の時間に実施されることや特定の作業ルーチンが特定の室温範囲のみで実施されることが定められた場合、当該作業ルーチンの実施時、特には実施後に当該指定又は同様の指定に基づいて前記プログラミング部が目標データを生成及び記憶するように構成されるということを意味する。当該目標データは、検出された前記動作データ及び/又はコンテキストパラメータデータと前記比較部で比較され得て前記ログデータセットへと前記ドキュメンテーション部により追加され得る。同じことが、装置パラメータの設定に当てはまり得る。例えば、前記プログラミング部は、別の特性、特には別の濃度や別の粘度の液体の場合、当該プログラミング部で別の装置パラメータセットを生成及び記憶してこれを前記手持ち式計量装置へと送信し、対応する液体に手持ち式計量装置を使えるようにすることによって前記手持ち式計量装置の動作を可能にするよう構成され得る。また、液体又は液体クラスの設定に関するそのような装置パラメータ設定の範囲内では、例えばユーザとのインタラクション過程での承認を経て例えば目標データ、特には目標動作データが自動的に又は少なくとも半自動的に生成され得る。当該目標データも、前記システムの動作時又は動作後、特には前記手持ち式計量装置の動作時又は動作後に、前記動作データと一緒に前記比較部へと送信され得て、その比較結果が前記ドキュメンテーション部によって前記ログデータセットに振り当てられ得る。
【0027】
また、前記プログラミング部は、利用可能な作業ルーチン及び/又は装置パラメータもしくは装置パラメータセットのリストを、当該プログラミング部に接続された出力インターフェースを介して出力するよう一般的に適したものであり得る。前述したように、前記プログラミング部は、作業ルーチン及び/又は装置パラメータに関する対応するデータの、1つ又は複数の手持ち式計量装置への送信をサポートし得るか又は行い得る。また、前記プログラミング部は、設定した作業ルーチン及び/又は装置パラメータもしくは装置パラメータセットを他の計量システムや他のデータ処理システムとの間でやり取りすることが可能であり得る。
【0028】
前記計量システムの極めて好ましい他の実施形態では、前記ネットワークアクセス装置が、少なくとも1つの手持ち式計量装置を着脱可能に留める留め装置により構成されている。例えば、当該留め装置は、前記手持ち式計量装置を着脱可能に留める対応する収容及び/又は留め手段を具備したスタンドとして実現され得る。好ましくは、当該スタンドは、複数の手持ち式計量装置を収容する且つ/或いは留めるように構成されたものであり得る。前記留め装置は、さらに、例えば前記収容及び/又は留め手段に配された手持ち式計量装置と有線データ接続を確立するための対応する接触手段を具備し得る。
【0029】
代替的かつ有利な一実施形態では、前記ネットワークアクセス装置が、別体のシステムコンポーネントとして実現され得て独立で又は自由に設置され得る。これは、WLANなどの規格化されたプロトコルが通信、すなわち、前記手持ち式計量装置とのデータ接続に使われた場合に極めて有利である。例えば、前記ネットワークアクセス装置は、本発明にかかるシステムの一システムコンポーネントとして使用できると同時に、この場合、別の機能や活動にも使用できる。逆に言えば、これは、既存のネットワークアクセス装置を本発明にかかるシステムに適宜組み込むことが出来るということを意味する。これにより、特には遠くまで到達する向上した接続性によって前記システムの追加の機能を実現することが可能になると同時に、前記システムのセットアップや保守のコストを軽減することが可能となる。よって、好ましくは、前記ネットワークアクセス装置がWLANハブ又はWLANルーターとして実現され得る。
【0030】
前記ネットワークアクセス装置を前記留め装置と組み合わせたり前記留め装置に組み込んだりすることで、様々な利点を得ることができる。前記留め装置は、一般的に前記手持ち式計量装置の作業及び/又は動作の場所の近くに用いられることから、前記ネットワークアクセス装置と1つ以上の手持ち式計量装置との間のデータ接続、特には無線データ接続用に繋がなければならない伝送路が比較的短くて済む。前記留め装置は、さらに、当該留め装置に収容されて留められた手持ち式計量装置の電気エネルギー貯蔵部を充電する手段を具備し得る。この目的には、例えばエネルギーを有線で伝達するか又はエネルギーを誘電方式で伝達するエネルギー伝達手段が設けられる必要がある。この場合のエネルギー伝達手段は、必要に応じて、前記手持ち式計量装置とのデータ接続を確立又は提供するのに用いられてもよい。
【0031】
前記計量システムの極めて好ましい他の実施形態では、前記コンテキストパラメータセンサ部が、ラボ用液体測定装置の測定値又は出力信号を複製又は検出するように構成されている。pH測定装置や体積測定装置や濃度測定装置や充填高さ測定装置や、天秤などの質量測定装置が、当該液体測定装置として使用可能である。極めて有利なことに、このような測定装置の測定値又は出力信号を複製又は検出することにより、前記手持ち式計量装置の間接的な動作、したがって、前記計量システムの使用を正確にかつ徹底的にドキュメンテーションすることが可能になる。つまり、検出又は複製された測定値又は出力信号についての対応する目標コンテキストパラメータデータが前記比較部による比較過程で設けられるか又は設定され、後でその比較結果が前記ドキュメンテーション部によって前記ログデータセットへ振り当てられることで、本発明にかかるシステムを用いた極めて広範なプロセス制御を実現することが可能になると共に極めて広範な品質管理を実現することが可能となる。1つ以上の前記測定装置の測定値又は出力信号を取り出す又は検出することにより、前記手持ち式計量装置の直接の動作以外の、試料又は液体の特性や変化を検出及び評価することが可能になる。結果として、対応するデータと取得した又は取得可能な比較結果とを組み合わせて徹底的なログデータセットを得ることができるほか、作業ルーチン及び/又は校正プロセスの正確且つ/或いは完全な実施を極めて有意義に評価することが可能となる。また、これにより、別々の試料又は液体、あるいは、同一と思われる作業ルーチンに従って調製されたものであるが異なるアプローチに従って調製されている試料又は液体、あるいは、異なる時間に実施された作業ルーチンに従って調製された試料又は液体間のコンパラビリティ、すなわち、同等性に関する分析を向上させることができる。例えば、前記コンテキストパラメータセンサ部は、前記計量システムや前記手持ち式計量装置の使用過程で試料又は液体のpHを検出するpH測定装置の測定値を複製又は検出するように構成され得る。当該測定値は、前記手持ち式計量装置の動作時又は動作後に、対応する目標コンテキストパラメータデータと前記比較部により比較され得る。その比較結果が、前記ドキュメンテーション部により前記ログデータセットのうちの残りのデータや情報に振り当てられて、当該ログデータセットと一緒に記憶される。
【0032】
極めて好ましくは、前記システムは、前記手持ち式計量装置を動かしたり動作させたりする自動ハンドリング装置を備え得る。当該ハンドリング装置は、電動式及び/又は空圧式及び/又は油圧式の位置決め及び/又は駆動部を具備し得る。好ましくは、前記ハンドリング装置は、ロボット装置、特にはロボットアームとして実現されている。
【0033】
本発明は、さらに、少なくとも1つの手持ち式電子計量装置を備える、液体のラボ用電子計量システムを動作させる方法であって、
前記手持ち式電子計量装置は、当該手持ち式計量装置の動作を検出して対応する動作データを生成する、特には、さらに当該動作データを当該手持ち式計量装置の記憶装置に記憶する、少なくとも1つの動作センサ部を含み、
前記手持ち式計量装置は、当該手持ち式計量装置をデータ接続によって特には前記動作データを送信するために外部のネットワークアクセス装置に接続するためのインターフェースモジュールを含み、
前記ネットワークアクセス装置は、外部のデータ処理システムにデータ接続可能であり、
前記データ処理システムは、前記手持ち式計量装置の動作を少なくとも間接的に検出し且つ/或いは前記手持ち式計量装置の動作環境状態を検出する、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部にデータ接続可能であり、
前記計量システム、特には前記データ処理システムが、比較部を備え、当該比較部が、少なくとも前記動作センサ部の動作データを目標動作データと比較し且つ/或いは前記コンテキストパラメータ部のコンテキストパラメータデータを目標コンテキストパラメータデータと比較して比較結果、特には比較過程で特定される、前記目標データからの前記データのずれを生成する、本発明にかかる方法において、前記計量システムが、さらに、
前記少なくとも1つの手持ち式計量装置の動作に関するログデータセット、特には、前記動作データ及び/又は前記コンテキストパラメータデータを少なくとも含むログデータセットを生成及び記憶する、ドキュメンテーション部、
を備え、前記ドキュメンテーション部は、前記比較部の前記比較結果が当該ドキュメンテーション部へと送信されるように、かつ、前記比較結果を前記ログデータセットの一部として、特には対応する前記動作データ及び/又はコンテキストパラメータデータに振り当てるかたちで記憶する、特には、前記手持ち式計量装置の動作が終わった後に前記比較結果をそれらに追加するように、前記比較部に接続されていることを特徴とする、方法に関する。
【0034】
極めて有利なことに、本発明にかかる方法により、対応する手持ち式計量装置の動作後又は前記計量システムの対応する動作後に、実施された活動、特には実施された作業ルーチンを可能な限り広範に追跡することが可能となり、それにより、所与の試料又は所与の液体について、当該試料又は液体の適切な加工又は処理に関する(したがって、他の試料や液体とのコンパラビリティに関する)結論を最終的に下すことが可能となる。本発明の一実施形態では、これにより、前記計量システムの極めて高度な品質管理が、前記方法によって確実に可能となる。
【0035】
現時点で言及している、本発明にかかるシステムの前述した有利な効果は、本発明にかかる方法によって実現されたものである。前記方法の後述する実現や有利な実施形態については、前記システムの対応する実施形態が説明済みである場合、少なくとも有利な効果に関して、前述の説明も参照されたい。
【0036】
前記方法のそのような第1の有利な実施形態では、少なくとも1つの出力部、特には、前記手持ち式計量装置に含まれる少なくとも1つの出力部により、ユーザ指示及び/又はユーザ情報が出力され得て、当該出力部は、比較結果、特には比較過程で特定される、前記目標データからの前記データのずれが直接出力されるように前記比較部に接続されている。前述したように、この目的のためには、前記手持ち式計量装置がまだ動作中のあいだに前記動作データ及び前記コンテキストパラメータデータを比較部に送信するのが有益であり得る。変形例として、前記比較部を分割したり、複数の比較部を設けて当該比較部のうちの少なくとも一つ又は一部を前記手持ち式計量装置に配置したりしてもよく、少なくとも前記動作データについては、残りのシステムコンポーネントとデータ通信することなく前記手持ち式計量装置がまだ動作中のあいだに比較を実施することが可能となる。好ましくは、比較データ、特には前記比較結果は、まず前記手持ち式計量装置でローカルに記憶され得て、単に一定間隔で又は周期的に、特には当該手持ち式計量装置の動作が終わった後でのみ、前記ネットワークアクセス装置を介して残りのシステムコンポーネントへと利用可能とされ得る。
【0037】
ユーザ情報又はユーザ指示の対応する出力を行うという構成には、前記目標データからのずれが直接検出されてユーザへ直接伝えられるという利点がある。これにより、前記手持ち式計量装置の対応する動作、特には作業ルーチンの実施を、必要に応じて中断したり再開したりするということが可能になる。これに当てはまらなくとも、本発明に従って設けられる前記ドキュメンテーション部、ならびに動作データと、コンテキストパラメータデータと、当該データ-前記目標データの比較からの対応する結果との間の結び付きにより、少なくとも事後的に、すなわち、前記手持ち式計量装置又は前記計量システムの使用が終了した後に、前記作業ルーチンが正確に実施されたか否か又は所与の許容範囲内であるか否か、つまり、生成又は調製された試料又は液体が目標状態に到達したか否かや当該試料又は液体が別の適切に調製された試料や液体と品質や量に関して比較可能であるか否かについて検査又は確認することが、何の時間制約もなく可能となる。
【0038】
前記方法の極めて好ましい他の実施形態では、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部により、静的及び/又は動的なコンテキストパラメータが検出される。例えば、周囲温度やユーザ及び/又は操作者の識別情報が検出され得る。
【0039】
好ましくは、前記方法においても、前記コンテキストパラメータセンサ部に接続された少なくとも1つの分類部により、前記手持ち式計量装置の検出された動作および/または検出された前記動作環境状態が分類され得て、当該分類からコンテキストパラメータが導き出され得て且つ/或いは当該分類によりコンテキストパラメータデータが生成され得る。前述したように、これは、検出されたコンテキストパラメータ又は動作環境状態がそのままでは目標指定との比較に適していない場合に常に前記方法にとって有利となり得る。例えば、前記分類は、検出されたユーザの分類や、設定したユーザクラスとの比較や目標ユーザクラスとの比較に利用されることが可能である。
【0040】
また、前記方法の有利な一実施形態では、ドキュメンテーション記憶装置により、ログデータセットが記憶及び/又はカタログ化され得る。これにより、前記ログデータセット生成後の任意の時点で、指定の条件に基づいて前記ログデータセットを特定、検索、検索又は特定することができるほか、必要に応じてさらに処理又は前処理することが可能となる。
【0041】
前記方法の極めて好ましい他の実施形態では、変換装置により、ログデータセットが電子実験ノートのデータ形式に変換され得るか又は実験情報管理システムに埋め込まれ得る。これにより、前記計量システム以外にも、前記ログデータセットの、特には前記ドキュメンテーション部で記録データと結び付けられた前記比較結果の有利な効果が援用できるか又は援用可能となり得る。
【0042】
前記方法の他の実施形態では、ドキュメンテーション記憶装置に接続された評価部により、ログデータセットが評価されて且つ/或いはログデータセットが比較されて、当該評価からの結果が、特には前記計量システムによるさらなる処理のために当該計量システムの出力インターフェースで出力される。これにより、個々の試料又は液体について、当該試料又は液体の調製及び/又は処理後に、目標要件が満たされているか否かや、当該試料又は液体の分析が徹底的であると見なせるか否かや、別々の試料又は液体同士が比較可能と見なせるか否かの疑問に関する調査及び/又は比較を行うことが可能となる。
【0043】
前記方法の他の実施形態では、プログラミング部、特には、前記データ処理システムに含まれるプログラミング部により、作業ルーチンおよび/または前記手持ち式計量装置のパラメータ部の装置パラメータが設定されて、当該プログラミング部が、設定した作業ルーチン又は装置パラメータに基づいて目標動作データ及び/又は目標コンテキストパラメータデータを生成及び/又は記憶する。これにより、融通性のよい作業ルーチンを予めプログラムすることができ且つ必要に応じて当該作業ルーチンを前記手持ち式計量装置へと送信することができるので、前記計量システムを多種多様な用途に利用することが可能となる。同時に、前記作業ルーチン及び/又は前記装置パラメータをプログラミングすると目標動作データ及び/又は目標コンテキストパラメータデータが自動的に又は少なくとも半自動的に設定又は指定されることから、コンテキストパラメータデータや動作データと対応する目標データとの比較の実施が容易になる。そして、前記目標動作データ及び/又は目標コンテキストパラメータデータが検出された前記動作データやコンテキストパラメータデータと比較され得て、その比較結果が記憶され得る。前記プログラミング部は、新規の作業ルーチンの生成が可能であり且つ/或いは作業ルーチンの変更が可能であるように実現され得る。また、前記プログラミング部は、作成した又は変更した作業ルーチンが自動的な調査及び/又は検証を受けるように実現され得る。
【0044】
有利には、前記プログラミング部により作成又は変更された前記作業ルーチン及び/又は装置パラメータ、ならびに装置パラメータのセットが、対応する記憶装置に記録及び整理され得る。また、作業ルーチンを実施するのに必要なデータや、例えば別の液体クラスに対して前記手持ち式計量装置を使用するのに必要となる装置パラメータが、前記プログラミング部から当該手持ち式計量装置、特には当該手持ち式計量装置の対応する記憶装置へと対応するデータ接続によって送信され得て、かつ、当該手持ち式計量装置の制御部により引き出され得るか又は使用され得る。
【0045】
前記方法の代替的な他の実施形態では、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部により、ラボ用液体測定装置の測定値又は出力信号が複製又は検出される。これにより、前記計量システムの実験環境を前記計量システムが作り出す品質管理内に最適に組み込むことができる。具体的に述べると、前記計量システムの動作から少なくとも間接的に生じるか又は前記計量システムの動作に関連したコンテキストパラメータについても、対応する比較及びその比較結果の記憶の範囲内で、実施した作業ルーチンについての長期的かつ広範かつ徹底的なドキュメンテーションに利用することが可能となる。また、そのようなパラメータが前記ログデータセットに自動的に結び付けられる(特には、具体的な数値が追加される)ことで当該ログデータセット全体が試料又は液体に明確に振り当てられるか又は振当て可能となるので、試料や液体の正当性又は正確な調製についての極めて徹底的な情報を提供することが可能となる。
【0046】
本発明の有利な実施形態および変形例は、例示的な好適な実施形態についての以下の説明および図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明にかかる計量システムの概略図である。
図2】本発明にかかる方法の過程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1に、複数の手持ち式計量装置2、データ処理システム3、およびネットワークアクセス装置4を備える計量システム1を示す。各々の手持ち式計量装置2は、手持ち式計量装置2の動作を検出して対応する動作データを生成し、当該動作データを手持ち式計量装置2の記憶装置6に記憶する動作センサ部5を含む。各々の手持ち式計量装置2は、さらに、手持ち式計量装置2をデータ接続によって特には動作データを送信するためにネットワークアクセス装置4に接続することが可能であるインターフェースモジュール7を含む。ネットワークアクセス装置4は、データ処理システム3にデータ接続可能である。データ処理システム3は、手持ち式計量装置2の動作を少なくとも間接的に検出し且つ/或いは手持ち式計量装置2の動作環境状態を検出してこれらからコンテキストパラメータデータを生成する、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部8にデータ接続可能である。計量システム1、特にはデータ処理システム3は、動作センサ部5の動作データを目標動作データと比較するように且つ/或いはコンテキストパラメータセンサ部8のコンテキストパラメータデータを目標コンテキストパラメータデータと比較するように、および、比較結果、特には比較過程で特定される、前記目標データからの前記データのずれを生成するように少なくとも構成された、比較部9を備える。
【0049】
計量システム1、例えば、計量システム1のデータ処理システム3は、さらに、少なくとも1つの手持ち式計量装置2の動作に関するログデータセット、特には、前記動作データ及び/又は前記コンテキストパラメータデータを少なくとも含むログデータセットを生成及び記憶するように構成された、ドキュメンテーション部10を備える。ドキュメンテーション部10は、比較部9の前記比較結果がドキュメンテーション部10へと送信可能であるように、かつ、当該比較結果を前記ログデータセットの一部として、特には対応する前記動作データ及び/又はコンテキストパラメータデータに振り当てるかたちで記憶する、特には、手持ち式計量装置2の動作が終わった後に前記比較結果をそれらに追加する構成であるように、比較部9に接続されている。
【0050】
図1の例では、データ処理システム3が、サーバ11および互いにもデータ接続された複数のクライアント12を含むサーバ-クライアントシステムとして実現されている。図1の図示の例では、サーバ11が比較部9およびドキュメンテーション部10を含んでいる。例えば、クライアント12は、タブレットなどの携帯型電子装置として実現され得る。クライアント12は、特には1つ又は複数のグラフィカルユーザインターフェースを介して、サーバ11への対応するアクセスが可能なものであり得る。
【0051】
例えば、ネットワークアクセス装置4は、少なくとも1つの手持ち式計量装置2を着脱可能に留める留め装置13として実現され得る。手持ち式計量装置2とネットワークアクセス装置4との間のデータ接続又は通信は、例えば、WLANやBluetoothによって実現され得る。変形例として、ネットワークアクセス装置4は、手持ち式計量装置2の接触手段15に対して相補的に実現された接触手段4を具備したものとされてもよく、手持ち式計量装置2とネットワークアクセス装置4との間に、無線接続に加えて又は無線接続に代えて有線接続を確立することが可能である。当該接続は、エネルギーを手持ち式計量装置2のエネルギー貯蔵部(図1には図示せず)に伝達するのに利用することが可能である。また、接触手段14,15により確立される当該接続は、ネットワークアクセス装置4と手持ち式計量装置2との間のデータ接続にも利用可能である。
【0052】
例示的な計量システム1では、データ処理システム3、特にはサーバ11が、コンテキストパラメータセンサ部8に接続された分類部16を備え得る。分類部16は、手持ち式計量装置2の検出された動作および/または検出された動作環境状態を分類するように構成されており、当該分類からコンテキストパラメータが導き出されることが可能であり且つ/或いは当該分類によりコンテキストパラメータデータが生成されることが可能である。例えば、コンテキストパラメータセンサ部8によりユーザが識別され得て、分類部16により当該ユーザがユーザクラスに振り当てられ得る。
【0053】
計量システム1の手持ち式計量装置2は、さらに、ユーザ指示及び/又はユーザ情報を出力する出力部17を備え得る。出力部17は、比較結果、特には比較過程で特定される、前記目標データからの前記データのずれが直接出力されるように比較部9に接続されている。前述したように、手持ち式計量装置2は、手持ち式計量装置2とネットワークアクセス装置4との間でのエネルギー消費の激しい通信を避ける又は軽減するために、それ自体が比較部9を含み得る。当該比較部9は、少なくとも動作センサ部5で検出された動作データを目標動作データと比較し、ずれを比較結果として出力部17で適宜出力する。
【0054】
データ処理システム3は、さらに、ログデータセットを記憶及び/又はカタログ化するように構成されたドキュメンテーション記憶装置18を含み得る。データ処理システム3、特にはサーバ11は、さらに、ログデータセットを電子実験ノートのデータ形式に変換するように又は当該ログデータセットを実験情報管理システムに埋め込むように構成された変換装置19を含み得る。図1の図示の実施形態における計量システム1は、さらに、ドキュメンテーション記憶装置18に接続された評価部20を備え得る。評価部20は、ログデータセットを評価するように且つ/或いはログデータセットを比較するように構成されていて当該評価からの結果を特には前記計量システムによるさらなる処理のために出力インターフェース21で出力することが可能である。データ処理システム3、特にはサーバ11は、さらに、作業ルーチンを設定するように且つ/或いは手持ち式計量装置2のパラメータ部23の装置パラメータを設定するように構成されたプログラミング部22を含み得る。プログラミング部22は、設定した作業ルーチン及び/又は装置パラメータに基づいて目標動作データ及び/又は目標コンテキストパラメータデータを生成及び記憶するように構成されている。
【0055】
図1の図示の例では、計量システム1が、ラボ用液体測定装置24の測定値又は出力信号を複製又は検出するように構成された第2のコンテキストパラメータセンサ部8を備える。
【0056】
前記計量システムは、上記のコンポーネントのほかに、有利な別のコンポーネントを複数備え得る。以下では、そのうちの代表的な幾つかのコンポーネントのみを説明する。
【0057】
計量システム1、特には前記手持ち式計量装置及び前記データ処理システムは、手持ち式計量装置2を高い信頼度で位置特定する手段や装置を備え得る。データ処理システム3は、さらに、手持ち式計量装置2の予約又は確保を可能にする手段や装置を含み得る。好ましくは、ユーザは、クライアント12、およびサーバ11への対応するアクセスを介して手持ち式計量装置2の使用を予約することが可能とされる。また、データ処理システム3は、前記計量システムのうちの別の装置により、検出された前記動作データおよび/または前記コンテキストパラメータデータを処理し得る。例えば、保守及び/又は管理部が手持ち式計量装置2の現在の状態を検出し且つ場合によっては将来的な状態、特には手持ち式計量装置2の摩耗及び/又は疲労についての将来的な兆候を予測するという様式で、前記動作データがデータ処理システム3により記憶及び処理されてもよい。
【0058】
計量システム1は、さらに、前述の登録かつ分類又は類別されたユーザと対応するデータとを利用する追加の部、特には、データ処理システム3に含まれた追加の部を備え得る。例えば、ユーザクラスに基づき、クライアント12の機能が階層化されてもよい。階層化された当該機能は、ユーザクラスに応じた使用や、ユーザクラスに応じたプログラミング部22及び/又は評価部20及び/又はドキュメンテーション記憶装置18へのアクセス権限に反映される。
【0059】
例えば、手持ち式計量装置2の動作データセンサ部5は、手持ち式計量装置2のピストン部のストローク運動や、手持ち式計量装置2の駆動部の状態を検出し得る。これに代えて又はこれに加えて、動作センサ部5は、手持ち式計量装置2自体の動きや加速を検出し得る。コンテキストパラメータセンサ部8は、計量システム1の使用の範囲内で関連があり得る様々な環境状態を検出し得る。これらの環境状態には、処理対象の液体の液体特性、環境パラメータなどが含まれる。
【0060】
前述したように、プログラミング部22への、作業ルーチン又は装置パラメータを生成及び/又は変更するためのアクセスは、クライアント12を介して承認が行われ得る。作業ルーチンや装置パラメータの対応する生成又は変更後、これらはユーザの権限クラスに応じて1つ又は複数の手持ち式計量装置2に適宜送信され得る。前記データ処理システム、特にはサーバ11、極めて好ましくはプログラミング部22によって作業ルーチンや装置パラメータが生成又は変更されると、目標データが自動的に又は半自動的に生成及び記憶され得る。前記方法の過程では、当該目標データが検出された前記動作データやコンテキストパラメータデータと比較され得て、その比較結果がドキュメンテーション部10でそれら動作データやコンテキストパラメータデータと一緒に記憶され得る。しかしながら、当該目標データは、別の様式で設定及び記憶されてもよく、特にはユーザによって例えばクライアント12を介して手動の指定で設定及び記憶されるものであってもよい。
【0061】
手持ち式計量装置2とネットワークアクセス装置4との間で無線通信を確立するため、BluetoothやWLANなどの規格に準拠した伝送が実現され得る。例えば、JSON-RPCやMQTTがインターフェースプロトコルとして用いられ得る。極めて好ましい一様式では、計量装置1の無線ネットワークのセキュアなログインや認証が、手持ち式計量装置2のインターフェースモジュール7により確実に可能とされる。
【0062】
図2に、ラボ用電子計量システムを動作させる例示的な方法を示す。例えば、当該方法は、第1の方法ステップSにてユーザが液体又は液体クラスを選択し且つ手持ち式計量装置2で実施すべき作業ルーチンを決定することで開始され得る。当該液体又は液体クラスは、パラメータ部23に記憶された且つ場合によってはプログラミング部22から手持ち式計量装置2へと予め送信されたものである装置パラメータによって定まり得る。実行すべきワークフローに関するデータや実施すべき作業ルーチンは、前記手持ち式計量装置の記憶装置で記憶されるものとされ得る。これらも、プログラミング部22により設定されて且つ方法ステップSに先立って手持ち式計量装置2の記憶装置へと送信されたものであり得る。ステップSでの前記液体又は液体クラスの選択および前記作業ルーチンの選択は、権限付与又はアクセス制御を既に経たものであり得る。当該制御は、例えば、手持ち式計量装置2に現在登録されているか又はログインしているユーザが液体又は液体クラスを取り扱うための対応する権限又は権限クラスを有しているか否かや、ログインした又は登録されたユーザが選択のワークフローを実行するのに又は選択の作業ルーチンを実施するのに十分な能力又は訓練クラスを有しているか否かや、使用対象の手持ち式計量装置が作業ルーチンに対応した又は当該作業ルーチンの実施に必要な校正及び/又は校正の最新性及び/又は装置クラスの最新性を有しているか否かを確認する、場合によってはデータ処理システム3で確認するものである。
【0063】
後続の方法ステップSにて、ユーザは、各活動の実行、特には手持ち式計量装置2を用いての作業ルーチンの処理を開始する。
【0064】
作業ルーチンへの追従及び/又は順守を促す指示や情報が、出力部17で出力され得る。ステップS中には、さらに、動作センサ部5やコンテキストパラメータセンサ部8が動作データを検出及び記憶したりコンテキストパラメータデータを検出及び記憶したりし得る。図2の例において、前記方法は、方法ステップS中に前記動作データやコンテキストパラメータデータがまず採取又は検出しかされないようにして実施される。方法ステップSの終了後には、検出された動作データやコンテキストパラメータデータをそれぞれのデータ接続でドキュメンテーション部10に供給し且つ1つ以上のログデータセットで記憶するというさらなる方法ステップS3.1が続く。図2の例において方法ステップS3.1と並行して進行する(但し、方法ステップS3.1の前後に行われてもよい)方法ステップS3.2では、前記動作データ及び前記コンテキストパラメータデータが比較部9に供給されるか又は比較部9にとって利用可能となる。方法ステップS3.2では、比較部9に、前記動作データ及びコンテキストパラメータデータに加えて目標動作データ及び目標コンテキストパラメータデータも供給される。
【0065】
方法ステップS3.2では、さらに、前記データと前記目標データとの比較が実施される。具体的に述べると、前記データと前記目標データとの間のずれを反映した比較結果が得られる。後続の方法ステップSでは、方法ステップS3.2で得られた当該比較結果が、方法ステップS3.1で生成された前記ログデータセットに振り当てられる。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
少なくとも1つの手持ち式電動計量装置(2)を備える、液体のラボ用電子計量システムであって、
前記手持ち式電動計量装置(2)は、当該手持ち式計量装置(2)の動作を検出して対応する動作データを生成する、特には、さらに当該動作データを当該手持ち式計量装置(2)の記憶装置(6)に記憶する、少なくとも1つの動作センサ部(5)を含み、
前記手持ち式計量装置(2)は、当該手持ち式計量装置(2)をデータ接続によって特には前記動作データを送信するために外部のネットワークアクセス装置(4)に接続することが可能であるインターフェースモジュール(7)を含み、
前記ネットワークアクセス装置(4)は、外部のデータ処理システム(3)にデータ接続可能であり、
前記データ処理システム(3)は、前記手持ち式計量装置(2)の動作を少なくとも間接的に検出し且つ/或いは前記手持ち式計量装置(2)の動作環境状態を検出してこれらからコンテキストパラメータデータを生成する、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部(8)にデータ接続可能であり、
当該計量システム(1)、特には前記データ処理システム(3)が、前記動作センサ部(5)の動作データを目標動作データと比較するように且つ/或いは前記コンテキストパラメータセンサ部(8)のコンテキストパラメータデータを目標コンテキストパラメータデータと比較するように、および、比較結果、特には比較過程で特定される、前記目標データからの前記データのずれを生成するように少なくとも構成された、比較部(9)を備える、計量システムにおいて、当該計量システム(1)が、さらに、
前記少なくとも1つの手持ち式計量装置(2)の動作に関するログデータセット、特には、前記動作データ及び/又は前記コンテキストパラメータデータを少なくとも含むログデータセットを生成及び記憶するように構成された、ドキュメンテーション部(10)、
を備え、前記ドキュメンテーション部(10)は、前記比較部(9)の前記比較結果が当該ドキュメンテーション部(10)へと送信可能であるように、かつ、当該比較結果を前記ログデータセットの一部として、特には対応する前記動作データ及び/又はコンテキストパラメータデータに振り当てるかたちで記憶する、特には、前記手持ち式計量装置(2)の動作が終わった後に前記比較結果をそれらに追加する構成であるように、前記比較部(9)に接続されていることを特徴とする、計量システム。
〔態様2〕
態様1に記載の計量システムにおいて、さらに、
ユーザ指示及び/又はユーザ情報を出力する少なくとも1つの出力部(17)、特には、前記手持ち式計量装置(2)に含まれる少なくとも1つの出力部(17)、
を備え、前記出力部(17)は、比較結果、特には比較過程で特定される、前記目標データからの前記データのずれが直接出力されるように前記比較部(9)に接続されていることを特徴とする、計量システム。
〔態様3〕
態様1または2に記載の計量システムにおいて、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部(8)が、静的及び/又は動的なコンテキストパラメータを検出するように構成されていることを特徴とする、計量システム。
〔態様4〕
態様1から3のいずれか一態様に記載の計量システムにおいて、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部(8)が、前記手持ち式計量装置(2)の検出された動作および/または検出された前記動作環境状態を分類するように構成された分類部(16)に接続されており、当該分類からコンテキストパラメータが導き出されることが可能であり且つ/或いは当該分類によりコンテキストパラメータデータが生成されることが可能であることを特徴とする、計量システム。
〔態様5〕
態様1から4のいずれか一態様に記載の計量システムにおいて、さらに、
ログデータセットを記憶及び/又はカタログ化するように構成されたドキュメンテーション記憶装置(18)、
を備えることを特徴とする、計量システム。
〔態様6〕
態様1から5のいずれか一態様に記載の計量システムにおいて、さらに、
ログデータセットを電子実験ノートのデータ形式に変換するように又は当該ログデータセットを実験情報管理システムに埋め込むように構成された、変換装置(19)、
を備えることを特徴とする、計量システム。
〔態様7〕
態様5または6に記載の計量システムにおいて、さらに、
前記ドキュメンテーション記憶装置(18)に接続されており、ログデータセットを評価するように且つ/或いはログデータセットを比較するように構成されていて当該評価からの結果を特には当該計量システムによるさらなる処理のために出力インターフェース(21)で出力することが可能である、少なくとも1つの評価部(20)、
を備えることを特徴とする、計量システム。
〔態様8〕
態様1から7のいずれか一態様に記載の計量システムにおいて、さらに、
作業ルーチンを設定し且つ/或いは前記手持ち式計量装置(2)のパラメータ部(23)の装置パラメータを設定するプログラミング部(22)、特には、前記データ処理システム(3)に含まれるプログラミング部(22)、
を備え、前記プログラミング部(22)が、設定した作業ルーチン及び/又は装置パラメータに基づいて目標動作データ及び/又は目標コンテキストパラメータデータを生成及び記憶するように構成されていることを特徴とする、計量システム。
〔態様9〕
態様1から8のいずれか一態様に記載の計量システムにおいて、前記ネットワークアクセス装置(4)が、少なくとも1つの手持ち式計量装置(2)を着脱可能に留める留め装置(13)により構成されていることを特徴とする、計量システム。
〔態様10〕
態様1から9のいずれか一態様に記載の計量システムにおいて、前記コンテキストパラメータセンサ部(8)が、ラボ用液体測定装置(24)の測定値又は出力信号を複製又は検出するように構成されていることを特徴とする、計量システム。
〔態様11〕
少なくとも1つの手持ち式電動計量装置(2)を備える、液体のラボ用電子計量システムを動作させる方法であって、
前記手持ち式電動計量装置(2)は、当該手持ち式計量装置(2)の動作を検出して対応する動作データを生成する、特には、さらに当該動作データを当該手持ち式計量装置(2)の記憶装置(6)に記憶する、少なくとも1つの動作センサ部(5)を含み、
前記手持ち式計量装置(2)は、当該手持ち式計量装置(2)をデータ接続によって特には前記動作データを送信するために外部のネットワークアクセス装置(4)に接続するためのインターフェースモジュール(7)を含み、
前記ネットワークアクセス装置(4)は、外部のデータ処理システム(3)にデータ接続可能であり、
前記データ処理システム(3)は、前記手持ち式計量装置(2)の動作を少なくとも間接的に検出し且つ/或いは前記手持ち式計量装置(2)の動作環境状態を検出してこれらからコンテキストパラメータデータを生成する、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部(8)にデータ接続可能であり、
前記計量システム(1)、特には前記データ処理システム(3)が、前記動作センサ部(5)の動作データを目標動作データと比較するように且つ/或いは前記コンテキストパラメータセンサ部(8)のコンテキストパラメータデータを目標コンテキストパラメータデータと比較するように、および、比較結果、特には比較過程で特定される、前記目標データからの前記データのずれを生成するように少なくとも構成された、比較部(9)を備える、方法において、前記計量システム(1)が、さらに、
前記少なくとも1つの手持ち式計量装置(2)の動作に関するログデータセット、特には、前記動作データ及び/又は前記コンテキストパラメータデータを少なくとも含むログデータセットを生成及び記憶する、ドキュメンテーション部(10)、
を備え、前記ドキュメンテーション部(10)は、前記比較部(9)の前記比較結果が当該ドキュメンテーション部(10)へと送信されるように、かつ、当該比較結果を前記ログデータセットの一部として、特には対応する前記動作データ及び/又はコンテキストパラメータデータに振り当てるかたちで記憶する、特には、前記手持ち式計量装置(2)の動作が終わった後に前記比較結果をそれらに追加するように、前記比較部(9)に接続されていることを特徴とする、方法。
〔態様12〕
態様11に記載の方法において、少なくとも1つの出力部(17)、特には、前記手持ち式計量装置(2)に含まれる少なくとも1つの出力部(17)により、ユーザ指示及び/又はユーザ情報が出力され、前記出力部(17)は、比較結果、特には比較過程で特定される、前記目標データからの前記データのずれが直接出力されるように前記比較部(9)に接続されていることを特徴とする、方法。
〔態様13〕
態様11または12に記載の方法において、少なくとも1つのコンテキストパラメータセンサ部(8)により、静的及び/又は動的なコンテキストパラメータが検出されることを特徴とする、方法。
〔態様14〕
態様11から13のいずれか一態様に記載の方法において、前記コンテキストパラメータセンサ部(8)に接続された少なくとも1つの分類部(16)により、前記手持ち式計量装置(2)の検出された動作および/または検出された前記動作環境状態が分類され、当該分類からコンテキストパラメータが導き出されて且つ/或いは当該分類によりコンテキストパラメータデータが生成されることを特徴とする、方法。
〔態様15〕
態様11から14のいずれか一態様に記載の方法において、ドキュメンテーション記憶装置(18)により、ログデータセットが記憶及び/又はカタログ化されることを特徴とする、方法。
〔態様16〕
態様11から15のいずれか一態様に記載の方法において、変換装置(19)により、ログデータセットが電子実験ノートのデータ形式に変換されるか又は実験情報管理システムに埋め込まれることを特徴とする、方法。
〔態様17〕
態様15または16に記載の方法において、前記ドキュメンテーション記憶装置(18)に接続された評価部(20)により、ログデータセットが評価されて且つ/或いはログデータセットが比較されて、当該評価からの結果が、特には前記計量システム(1)によるさらなる処理のために出力インターフェース(21)で出力されることを特徴とする、方法。
〔態様18〕
態様11から17のいずれか一態様に記載の方法において、プログラミング部(22)、特には、前記データ処理システム(3)に含まれるプログラミング部(22)により、作業ルーチンが設定されて且つ/或いは前記手持ち式計量装置(2)のパラメータ部(23)の装置パラメータが設定されて、前記プログラミング部(22)が、設定した作業ルーチン又は装置パラメータに基づいて目標動作データ及び/又は目標コンテキストパラメータデータを生成及び/又は記憶することを特徴とする、方法。
〔態様19〕
態様11から18のいずれか一態様に記載の方法において、前記コンテキストパラメータセンサ部(8)により、ラボ用液体測定装置(24)の測定値又は出力信号が複製又は検出されることを特徴とする、方法。
【符号の説明】
【0066】
1 計量システム
2 手持ち式計量装置
3 データ処理システム
4 ネットワークアクセス装置
5 動作センサ部
6 記憶装置
7 インターフェースモジュール
8 コンテキストパラメータセンサ部
9 比較部
10 ドキュメンテーション部
11 サーバ
12 クライアント
13 留め装置
14 接触手段
15 接触手段
16 分類部
17 出力部
18 ドキュメンテーション記憶装置
19 変換装置
20 評価部
21 出力インターフェース
22 プログラミング部
23 パラメータ部
24 液体測定装置
方法ステップ
方法ステップ
3.1,S3.2 方法ステップ
方法ステップ
図1
図2