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特許7281558信号歪み事前補正方法、装置、システム及び複合システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】信号歪み事前補正方法、装置、システム及び複合システム
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/32 20060101AFI20230518BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20230518BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
H03F1/32 158
H01Q3/26 Z
H04B1/04 R
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021562395
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 CN2019130264
(87)【国際公開番号】W WO2020220715
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】201910365031.X
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 運 華
(72)【発明者】
【氏名】張 哲 遠
(72)【発明者】
【氏名】杜 文 豪
(72)【発明者】
【氏名】寧 東 方
(72)【発明者】
【氏名】張 作 鋒
(72)【発明者】
【氏名】戴 征 堅
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/000168(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/199233(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/32
H01Q 3/26
H04B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号歪み事前補正装置であって、信号歪み補正ネットワークモジュール、補正パラメータトレーナー、データ収集モジュール及び第1の変換モジュールを含み、前記データ収集モジュールは、外部のパワーアンプモジュールに接続され、ここで、
前記データ収集モジュールは、前記パワーアンプモジュールの複数のチャネルの出力信号に対して時分割収集を行い、複数のアナログフィードバック信号を前記第1の変換モジュールに出力するように構成され、
前記第1の変換モジュールは、前記複数のアナログフィードバック信号を複数のデジタルフィードバック信号に変換し、前記補正パラメータトレーナーに送信するように構成され、
前記補正パラメータトレーナーは、前記複数のデジタルフィードバック信号及び入力された順方向信号に基づいて補正パラメータを決定し、前記補正パラメータを前記信号歪み補正ネットワークモジュールに出力するように構成され、
前記信号歪み補正ネットワークモジュールは、前記補正パラメータに基づいて前記順方向信号を補正した後、事前補正信号を出力するように構成され
前記補正パラメータトレーナーは、データ線形処理モジュール及び補正パラメータ計算モジュールを含み、ここで、
前記データ線形処理モジュールは、前記順方向信号及び前記複数のデジタルフィードバック信号に対して線形処理を行い、線形処理後の順方向信号及び線形処理後のデジタルフィードバック信号を取得するように構成され、
前記補正パラメータ計算モジュールは、事前に設定された信号歪み事前補正モデル、前記線形処理後の順方向信号、前記線形処理後のデジタルフィードバック信号及び前記事前補正信号に基づいて、複数の信号マトリックスを構築し、前記複数の信号マトリックスをそれぞれ対応する重み係数で重み付けして、組み合わせマトリックスを生成し、前記組み合わせマトリックスに基づいて非線形歪み事前補償パラメータを取得し、前記線形処理後の順方向信号及び前記線形処理後のデジタルフィードバック信号に基づいてリンクインバランス較正パラメータを決定するように構成され、
ここで、前記複数の信号マトリックスのうちの少なくとも1つの信号マトリックスは、前記複数のチャネルのうちの収集されたチャネルと対応関係を有し、前記少なくとも1つの信号マトリックスに対応する重み係数は、前記少なくとも1つの信号マトリックスに対応する前記収集されたチャネルの性能と正の相関を有している、信号歪み事前補正装置。
【請求項2】
前記複数のチャネルにおけるj番目のチャネルに対応する信号マトリックスの重み係数αは、
【数1】

であり、
ここで、Kは前記複数のチャネルの総チャンネル数であり、ACPRは前記j番目のチャネルの隣接チャネル電力比である、請求項に記載の信号歪み事前補正装置。
【請求項3】
前記信号歪み補正ネットワークモジュールは、第1のフィルタバンク、非線形歪み補正モジュール、リンクインバランス補正モジュール及び第2のフィルタバンクを含み、ここで、
前記第1のフィルタバンクは、前記順方向信号に対してレート変換処理を行い、変換後の順方向信号を前記非線形歪み補正モジュールに出力するように構成され、
前記非線形歪み補正モジュールは、前記補正パラメータ内の前記非線形歪み事前補償パラメータに基づいて前記変換後の順方向信号を補正して、第1の補正信号を生成し、前記第1の補正信号を前記リンクインバランス補正モジュールに出力するように構成され、
前記リンクインバランス補正モジュールは、前記補正パラメータ内の前記リンクインバランス較正パラメータに基づいて前記第1の補正信号を処理し、第5の補正信号を前記第2のフィルタバンクに出力するように構成され、
前記第2のフィルタバンクは、前記第5の補正信号に対してレート変換処理を行い、前記事前補正信号を出力するように構成される、請求項に記載の信号歪み事前補正装置。
【請求項4】
信号歪み事前補正装置であって、信号歪み補正ネットワークモジュール、補正パラメータトレーナー、データ収集モジュール及び第1の変換モジュールを含み、前記データ収集モジュールは、外部のパワーアンプモジュールに接続され、ここで、
前記データ収集モジュールは、前記パワーアンプモジュールの複数のチャネルの出力信号に対して時分割収集を行い、複数のアナログフィードバック信号を前記第1の変換モジュールに出力するように構成され、
前記第1の変換モジュールは、前記複数のアナログフィードバック信号を複数のデジタルフィードバック信号に変換し、前記補正パラメータトレーナーに送信するように構成され、
前記補正パラメータトレーナーは、前記複数のデジタルフィードバック信号及び入力された順方向信号に基づいて補正パラメータを決定し、前記補正パラメータを前記信号歪み補正ネットワークモジュールに出力するように構成され、
前記信号歪み補正ネットワークモジュールは、前記補正パラメータに基づいて前記順方向信号を補正した後、事前補正信号を出力するように構成され、
前記補正パラメータトレーナーは、データ線形処理モジュール及び補正パラメータ計算モジュールを含み、ここで、
前記データ線形処理モジュールは、前記順方向信号及び前記複数のデジタルフィードバック信号に対して線形処理を行い、線形処理後の順方向信号及び線形処理後のデジタルフィードバック信号を取得するように構成され、
前記補正パラメータ計算モジュールは、前記パワーアンプモジュールのパワーアンプモデル、前記線形処理後の順方向信号及び前記線形処理後のデジタルフィードバック信号に基づいて、ミスマッチフィルタ係数及び相互結合フィルタ係数を決定し、事前に設定された信号歪み事前補正モデル、前記ミスマッチフィルタ係数、前記相互結合フィルタ係数、前記線形処理後の順方向信号、前記線形処理後のデジタルフィードバック信号及び前記事前補正信号に基づいて、複数の信号マトリックスを構築し、前記複数の信号マトリックスをそれぞれ対応する重み係数で重み付けして、組み合わせマトリックスを生成し、前記組み合わせマトリックスに基づいて非線形歪み事前補償パラメータ、ミスマッチ補償パラメータ及び相互結合補償パラメータを取得し、前記線形処理後の順方向信号及び前記線形処理後のデジタルフィードバック信号に基づいてリンクインバランス較正パラメータを決定するように構成され、
ここで、前記複数の信号マトリックスのうちの少なくとも1つの信号マトリックスは、前記複数のチャネルのうちの収集されたチャネルと対応関係を有し、前記少なくとも1つの信号マトリックスに対応する重み係数は、前記少なくとも1つの信号マトリックスに対応する前記収集されたチャネルの性能と正の相関を有している、信号歪み事前補正装置。
【請求項5】
【数2】

請求項に記載の信号歪み事前補正装置。
【請求項6】
前記信号歪み補正ネットワークモジュールは、第1のフィルタバンク、非線形歪み補正モジュール、マージモジュール、リンクインバランス補正モジュール及び第2のフィルタバンクを含み、前記信号歪み補正ネットワークモジュールは、ミスマッチフィルタモジュール及びミスマッチ誤差補償モジュールからなるミスマッチ補正ユニット、及び/又は相互結合フィルタモジュール及び相互結合誤差補償モジュールからなる相互結合補正ユニットをさらに含み、ここで、
前記第1のフィルタバンクは、前記順方向信号に対してレート変換処理を行い、変換後の順方向信号を前記非線形歪み補正モジュール、前記ミスマッチフィルタモジュール及び前記相互結合フィルタモジュールに出力するように構成され、
前記非線形歪み補正モジュールは、前記補正パラメータ内の前記非線形歪み事前補償パラメータに基づいて前記変換後の順方向信号を補正して、第1の補正信号を生成し、前記第1の補正信号を前記マージモジュールに出力するように構成され、
前記ミスマッチフィルタモジュールは、前記補正パラメータ内の前記ミスマッチフィルタ係数に基づいて前記変換後の順方向信号をフィルタリングして第1の中間信号を生成し、前記第1の中間信号を前記ミスマッチ誤差補償モジュールに出力するように構成され、
前記ミスマッチ誤差補償モジュールは、前記補正パラメータ内の前記ミスマッチ補償パラメータに基づいて、前記第1の中間信号を補正して第2の補正信号を取得し、前記第2の補正信号を前記マージモジュールに出力するように構成され、
前記相互結合フィルタモジュールは、前記補正パラメータ内の前記相互結合フィルタ係数に基づいて前記変換後の順方向信号をフィルタリングして第2の中間信号を生成し、前記第2の中間信号を前記相互結合誤差補償モジュールに出力するように構成され、
前記相互結合誤差補償モジュールは、前記補正パラメータ内の前記相互結合補償パラメータに基づいて前記第2の中間信号を補正して第3の補正信号を取得し、前記第3の補正信号を前記マージモジュールに出力するように構成され、
前記マージモジュールは、前記第1の補正信号と、前記第2の補正信号と、前記第3の補正信号とをマージして第4の補正信号を取得し、前記第4の補正信号を前記リンクインバランス補正モジュールに出力するように構成され、
前記リンクインバランス補正モジュールは、前記補正パラメータ内の前記リンクインバランス較正パラメータに基づいて前記第4の補正信号を処理し、第5の補正信号を前記第2のフィルタバンクに出力するように構成され、
前記第2のフィルタバンクは、前記第5の補正信号に対してレート変換処理を行い、前記事前補正信号を出力するように構成される、請求項に記載の信号歪み事前補正装置。
【請求項7】
前記データ収集モジュールは、信号結合ネットワークモジュール及び信号サンプリングコントローラを含み、前記信号結合ネットワークモジュールは、前記パワーアンプモジュールに接続され、ここで、
前記信号サンプリングコントローラは、前記信号結合ネットワークモジュールを制御して、前記複数のチャネルの出力信号に対する時分割収集を実現するように構成され、
前記信号結合ネットワークモジュールは、前記信号サンプリングコントローラの制御に従って、前記複数のチャネルの出力信号に対して時分割結合を行って、前記複数のアナログフィードバック信号を前記第1の変換モジュールに出力するように構成される、請求項1~のいずれか1項に記載の信号歪み事前補正装置。
【請求項8】
パワーアンプモジュールの複数のチャネルの出力信号に対して時分割収集を行い、複数のアナログフィードバック信号を取得するステップと、
前記複数のアナログフィードバック信号を複数のデジタルフィードバック信号に変換するステップと、
前記複数のデジタルフィードバック信号及び入力された順方向信号に基づいて補正パラメータを決定するステップと、
前記補正パラメータに基づいて前記順方向信号を補正し、事前補正信号を取得するステップとを含み、
前記複数のデジタルフィードバック信号及び入力された前記順方向信号に基づいて前記補正パラメータを決定するステップは、
前記順方向信号及び前記複数のデジタルフィードバック信号に対して線形処理を行い、線形処理後の順方向信号及び線形処理後のデジタルフィードバック信号を取得するステップと、
事前に設定された信号歪み事前補正モデル、前記線形処理後の順方向信号、前記線形処理後のデジタルフィードバック信号及び前記事前補正信号に基づいて、複数の信号マトリックスを構築するステップと、
前記複数の信号マトリックスをそれぞれ対応する重み係数で重み付けして、組み合わせマトリックスを生成し、前記組み合わせマトリックスに基づいて非線形歪み事前補償パラメータを取得し、前記線形処理後の順方向信号及び前記線形処理後のデジタルフィードバック信号に基づいてリンクインバランス較正パラメータを決定するステップとを含み、
ここで、前記複数の信号マトリックスのうちの少なくとも1つの信号マトリックスは、前記複数のチャネルのうちの収集されたチャネルと対応関係を有し、前記少なくとも1つの信号マトリックスに対応する重み係数は、前記少なくとも1つの信号マトリックスに対応する前記収集されたチャネルの性能と正の相関を有している、信号歪み事前補正方法。
【請求項9】
前記複数のチャネルのうちのj番目のチャネルに対応する信号マトリックスの重み係数αは、
【数3】

であり、
ここで、Kは前記複数のチャネルの総チャンネル数であり、ACPRは前記j番目のチャネルの隣接チャネル電力比である、請求項に記載の信号歪み事前補正方法。
【請求項10】
前記補正パラメータに基づいて、入力された前記順方向信号を補正して、前記事前補正信号を取得するステップは、
前記順方向信号に対してレート変換処理を行い、変換後の順方向信号を取得するステップと、
前記補正パラメータ内の前記非線形歪み事前補償パラメータに基づいて前記変換後の順方向信号を補正して、第1の補正信号を生成するステップと、
前記補正パラメータ内の前記リンクインバランス較正パラメータに基づいて前記第1の補正信号を処理し、第5の補正信号を取得するステップと、
前記第5の補正信号に対してレート変換処理を行い、前記事前補正信号を取得し、前記事前補正信号を出力するステップとを含む、請求項に記載の信号歪み事前補正方法。
【請求項11】
パワーアンプモジュールの複数のチャネルの出力信号に対して時分割収集を行い、複数のアナログフィードバック信号を取得するステップと、
前記複数のアナログフィードバック信号を複数のデジタルフィードバック信号に変換するステップと、
前記複数のデジタルフィードバック信号及び入力された順方向信号に基づいて補正パラメータを決定するステップと、
前記補正パラメータに基づいて前記順方向信号を補正し、事前補正信号を取得するステップとを含み、
前記複数のデジタルフィードバック信号及び入力された前記順方向信号に基づいて前記補正パラメータを決定するステップは、
前記順方向信号及び前記複数のデジタルフィードバック信号に対して線形処理を行い、線形処理後の順方向信号及び線形処理後のデジタルフィードバック信号を取得するステップと、
前記パワーアンプモジュールのパワーアンプモデル、前記線形処理後の順方向信号及び前記線形処理後のデジタルフィードバック信号に基づいて、ミスマッチフィルタ係数と相互結合フィルタ係数を決定するステップと、
事前に設定された信号歪み事前補正モデル、事前に設定されたミスマッチフィルタ係数、事前に設定された相互結合フィルタ係数、事前に設定された線形処理後の順方向信号、事前に設定された線形処理後のデジタルフィードバック信号及び前記事前補正信号に基づいて、複数の信号マトリックスを構築するステップと、
前記複数の信号マトリックスをそれぞれ対応する重み係数で重み付けして、組み合わせマトリックスを生成し、前記組み合わせマトリックスに基づいて非線形歪み事前補償パラメータ、ミスマッチ補償パラメータ及び相互結合補償パラメータを取得し、前記線形処理後の順方向信号及び前記線形処理後のデジタルフィードバック信号に基づいて、リンクインバランス較正パラメータを決定するステップとを含み、
ここで、前記複数の信号マトリックスのうちの少なくとも1つの信号マトリックスは、前記複数のチャネルのうちの収集されたチャネルと対応関係を有し、前記少なくとも1つの信号マトリックスに対応する重み係数は、前記少なくとも1つの信号マトリックスに対応する前記収集されたチャネルの性能と正の相関を有している、信号歪み事前補正方法。
【請求項12】
【数4】

請求項11に記載の信号歪み事前補正方法。
【請求項13】
前記補正パラメータに基づいて、入力された前記順方向信号を補正して、前記事前補正信号を取得するステップは、
前記順方向信号に対してレート変換処理を行い、変換後の順方向信号を取得するステップと、
前記補正パラメータ内の前記非線形歪み事前補償パラメータに基づいて前記変換後の順方向信号を補正して、第1の補正信号を生成するステップと、
前記補正パラメータ内の前記ミスマッチフィルタ係数に基づいて前記変換後の順方向信号をフィルタリングして第1の中間信号を生成するステップと、
前記補正パラメータ内の前記ミスマッチ補償パラメータに基づいて前記第1の中間信号を補正して第2の補正信号を取得するステップと、
前記補正パラメータ内の前記相互結合フィルタ係数に基づいて前記変換後の順方向信号をフィルタリングして第2の中間信号を生成するステップと、
前記補正パラメータ内の前記相互結合補償パラメータに基づいて前記第2の中間信号を補正して、第3の補正信号を取得するステップと、
前記第1の補正信号及び前記第2の補正信号、又は前記第1の補正信号及び前記第3の補正信号、又は前記第1の補正信号、前記第2の補正信号及び前記第3の補正信号をマージして第4の補正信号を取得するステップと、
前記補正パラメータ内の前記リンクインバランス較正パラメータに基づいて前記第4の補正信号を処理し、第5の補正信号を生成するステップと、
前記第5の補正信号に対してレート変換処理を行い、前記事前補正信号を取得し、前記事前補正信号を出力するステップとを含む、請求項11に記載の信号歪み事前補正方法。
【請求項14】
信号歪み事前補正システムであって、請求項1~のいずれか1項に記載の信号歪み事前補正装置を含み、第2の変換モジュール、アナログビームフォーミングプロセッサ及び前記パワーアンプモジュールをさらに含み、ここで、
前記信号歪み事前補正装置はさらに、前記事前補正信号を前記第2の変換モジュールに出力するように構成され、
前記第2の変換モジュールは、前記事前補正信号をアナログ信号に変換し、前記アナログ信号を前記アナログビームフォーミングプロセッサに出力するように構成され、
前記アナログビームフォーミングプロセッサは、入力された前記アナログ信号に対して振幅及び位相の重み付け処理を行い、重み付け処理後のアナログ信号を生成し、それを前記パワーアンプモジュールに出力するように構成され、
前記パワーアンプモジュールは、前記重み付け処理後のアナログ信号を増幅してから出力するように構成される、信号歪み事前補正システム。
【請求項15】
信号歪み事前補正複合システムであって、複数の請求項14に記載の信号歪み事前補正システムを含み、前記複数の信号歪み事前補正システムは、同一の補正パラメータトレーナーを多重化し、前記補正パラメータトレーナーは、少なくとも1つの選択スイッチを介して前記複数の信号歪み事前補正システム内の関連モジュールに接続される、信号歪み事前補正複合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、通信技術の分野に関するがこれに限定されず、特に信号歪み事前補正方法、装置、システム及び複合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の移動通信システムでは、マルチキャリア伝送技術と高次デジタル変調方式により、システムのピーク対平均比が高くなり、信号伝送帯域幅が大きくなる。パワーアンプ(PA:Power Amplifier)が飽和領域の近くで動作している場合、この状況は、PAに深刻な非線形歪みとメモリ効果を引き起こす。入力信号の電力をバックオフするということはPAの非線形歪みを回避する効果的な方法の1つであるが、これにより、PAの効率が大幅に低下し、消費電力が増加する。現在、デジタルプリディストーション技術は、低コスト、明らかな歪み改善効果などの利点により、非線形システムの歪み事前補正の好ましい方法になっている。
【0003】
第5世代(5G:5th Generation)ミリ波通信では、より大きなシステム容量、より高いスペクトル利用率及びより高いビームフォーミング利得を得るために、大規模な多入力多出力(Massive MIMO:Massive Multiple In Multiple Out)技術及びアナログビームフォーミング技術が採用されている。アナログビームフォーミング技術を採用すると、1つのデジタルチャネルが複数のアナログ無線周波数チャネルに接続される。この場合、デジタルプリディストーション技術を使用するには、1つのプリディストータを設計して複数のPAの非線形歪みを同時に補正する必要がある。さらに、当該システムでは、PAとアンテナ振動子との間にサーキュレータがないため、出力負荷のミスマッチとアンテナ間の結合干渉は、パワーアンプの特性に大きな影響を与え、これは、プリディストータの設計にも大きな課題をもたらす。従来のプリディストーションアルゴリズムは、1つのデジタルチャネルが1つのアナログ無線周波数チャネルに対応するシーンに適用している。多入力多出力(MIMO:Multiple In Multiple Out)アナログビームフォーミングシステムでは、従来のプリディストーション方法を採用すると、送信機の構造の複雑さ及び体積が大幅に増加し、消費電力も増加する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例の1つの態様によって提供される信号歪み事前補正装置は、信号歪み補正ネットワークモジュール、補正パラメータトレーナー、データ収集モジュール及び第1の変換モジュールを備え、データ収集モジュールは、外部のパワーアンプモジュールに接続され、ここで、データ収集モジュールは、パワーアンプモジュールの複数のチャネルの出力信号に対して時分割収集を行い、複数のアナログフィードバック信号を第1の変換モジュールに出力するように構成され、第1の変換モジュールは、当該複数のアナログフィードバック信号を複数のデジタルフィードバック信号に変換し、それらを補正パラメータトレーナーに送信するように構成され、補正パラメータトレーナーは、当該複数のデジタルフィードバック信号及び入力された順方向信号に基づいて補正パラメータを決定し、補正パラメータを信号歪み補正ネットワークモジュールに出力するように構成され、信号歪み補正ネットワークモジュールは、補正パラメータに基づいて順方向信号を補正した後、事前補正信号を出力するように構成される。
【0005】
本開示の実施例の別の態様によって提供される信号歪み事前補正方法は、パワーアンプモジュールの複数のチャネルの出力信号に対して時分割収集を行い、複数のアナログフィードバック信号を取得するステップと、当該複数のアナログフィードバック信号を複数のデジタルフィードバック信号に変換するステップと、当該複数のアナログフィードバック信号及び入力された順方向信号に基づいて補正パラメータを決定するステップと、補正パラメータに基づいて順方向信号を補正して事前補正信号を取得するステップとを含む。
【0006】
本開示の実施例のまた別の態様によって提供される信号歪み事前補正システムは、本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正装置を含み、第2の変換モジュール、アナログビームフォーミングプロセッサ及びパワーアンプモジュールをさらに含み、ここで、信号歪み事前補正装置はさらに、事前補正信号を第2の変換モジュールに出力するように構成され、第2の変換モジュールは、事前補正信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号をアナログビームフォーミングプロセッサに出力するように構成され、アナログビームフォーミングプロセッサは、入力されたアナログ信号に対して振幅及び位相の重み付け処理を行い、重み付け処理後のアナログ信号を生成してパワーアンプモジュールに出力するように構成され、パワーアンプモジュールは、重み付け処理後のアナログ信号を増幅して出力するように構成される。
【0007】
本開示の実施例のさらに別の態様によって提供される信号歪み事前補正複合システムは、本開示の実施例によって提供される複数の信号歪み事前補正システムを含み、かつ当該複数の信号歪み事前補正システムは、同一の補正パラメータトレーナーを多重化し、補正パラメータトレーナーは、少なくとも1つの選択スイッチを介して当該複数の信号歪み事前補正システム内の関連モジュールに接続される。
【0008】
図面は本開示の技術的解決策をよりよく理解するために提供され、明細書の一部を構成し、本開示の実施例と共に本開示の技術的解決策を解釈するために使用され、本開示の技術的解決策を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】MIMOミリ波通信システムに適した従来の信号歪み事前補正装置のアーキテクチャ図である。
図2】本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正装置のアーキテクチャ図である。
図3】本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正装置の別のアーキテクチャの図である。
図4】本開示の実施例によって提供される補正パラメータトレーナーの基本的な構造図である。
図5】本開示の実施例によって提供される信号歪み補正ネットワークモジュールの基本的な構造図である。
図6】本開示の実施例によって提供される信号歪み補正ネットワークモジュールの別の基本的な構造図である。
図7】本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正方法のフローチャートである。
図8】本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正方法の別のフローチャートである。
図9】本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正複合システムの構造図である。
図10】本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正複合システムの別の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の目的、技術的解決策及び利点をより明確にするために、以下に図面と組み合わせて本開示の実施例を詳しく説明する。なお、本開示の実施例及び実施例における特徴は、衝突しない限り、互い且つ任意に組み合わせられてもよい。
【0011】
図面のフローチャートに示されるステップは、1グループのコンピュータ実行可能命令などのコンピュータシステムで実行されてもよい。また、フローチャートには論理的な順序が示されているが、いくつかの場合、示されるステップ又は説明されるステップは、ここでの順序とは異なる順序で実行されてもよい。
【0012】
MIMOアナログビームフォーミングシステムの歪み事前補正という問題について、業界ではいくつかの解決策も提案されている。これらの解決策は、マルチアンテナアナログビームフォーミングシステムにおける非線形信号歪みをある程度事前に補正することができるが、大きな欠点がある。
【0013】
いくつかの場合、1つのフィードバックリンクチャネルのみを使用してその中の1つのパワーアンプの出力信号に対して収集及びフィードバック、データ前処理及びモデルパラメータ抽出を行い、それを全てのパワーアンプの全体的な非線形歪みの補正に使用し、これは、全てのパワーアンプの特性の一致性に対する要件が非常に高い。
【0014】
図1はMIMOミリ波通信システムに適した従来の信号歪み事前補正装置のアーキテクチャ図である。当該装置は、ベースバンド信号010、汎用DPD(Digital Pre-distortion:デジタルプリディストーション)(モジュール)011、DAC(Digital to Analog Converter:デジタル-アナログコンバーター)(モジュール)012、アップコンバージョン(モジュール)013、アナログビームフォーミング(モジュール)014、パワーアンプグループ015、ダウンコンバージョン(モジュール)016、ADC(Analog to Digital Converter:アナログ-デジタルコンバータ)(モジュール)017及びデータ校正処理(モジュール)018を含む。当該装置は、1つのパワーアンプの出力のみに対してフィードバック及び収集、並びにデータキャリブレーション処理を行い、汎用DPDアーキテクチャに基づいてDPDパラメータの抽出を行い、それを全てのパワーアンプの非線形歪みの補正及び補償に使用する。
【0015】
他のいくつかの場合、アナログ領域で複数のパワーアンプのフィードバック及び収集信号に対してデビームフォーミング処理を行って結合する必要があり、これは、パワーアンプの特性の一致性、各パワーアンプの出力ポートからコンバイナまでの伝送リンクの一致性に対する要件が非常に高く、アナログ領域で全てのパワーアンプの出力信号を分類する必要があり、分類基準が適切に選択されないと、信号歪みバジェット法の性能に大きく影響し、しかも、1つのパワーアンプ制御モジュールを使用して各パワーアンプの電源電圧又は電流をリアルタイムに調整する必要があり、これは、パワーアンプの特性の安定に不利であり、システムの複雑さを増やす。
【0016】
さらに、上記の2つの状況では、出力負荷のミスマッチ、アンテナ結合干渉などの要因が信号歪み事前補正性能に与える影響は考慮されていない。
【0017】
本開示の実施例は、各パワーアンプの出力信号に対して時分割収集を行い、次にマルチチャネルデータ並列線形処理、補正モデルの確立、信号マトリックスの構築及び重み付け処理を行い、補正パラメータを抽出し、最後に歪み補正ネットワーク内の補正パラメータをリアルタイムに更新し、それによって非線形システムの歪みに対する事前補正の目的を達成する、というMIMOミリ波通信システムに適した信号歪み事前補正方法及び装置を提供する。
【0018】
本開示の実施例は、信号歪み事前補正装置を提供する。図2に示すように、それは本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正装置のアーキテクチャ図である。当該装置は、信号歪み補正ネットワークモジュール100、第1の変換モジュール170、補正パラメータトレーナー180及びデータ収集モジュール190を含むことができる。当該装置は、外部の第2の変換モジュール110、アナログビームフォーミングプロセッサ120、パワーアンプモジュール130及びアンテナアレイモジュール(図2に示されていない)に接続されている。アンテナアレイモジュールは、複数のアンテナ振動子を含み、データ収集モジュール190は、パワーアンプモジュール130に接続され、信号歪み補正ネットワークモジュール100は、第2の変換モジュール110に接続され、第2の変換モジュール110は、アナログビームフォーミングプロセッサ120に接続され、パワーアンプモジュール130は、複数のチャネル(アナログチャネル)を含み、1つのチャネルには、例えば1つのパワーアンプが含まれる。
【0019】
データ収集モジュール190は、パワーアンプモジュール130の複数のチャネルの出力信号に対して時分割収集を行い、アナログフィードバック信号を第1の変換モジュール170に出力するように構成されてもよい。
【0020】
第1の変換モジュール170は、アナログフィードバック信号をデジタルフィードバック信号に変換し、補正パラメータトレーナー180に送信するように構成されてもよく、第1の変換モジュール170は、例えば、アナログ-デジタル変換モジュールであり、また、第1の変換モジュール170は、さらに周波数変換機能を持つことができ、例えば周波数変換機能を統合したADCである。
【0021】
補正パラメータトレーナー180は、デジタルフィードバック信号及び入力された順方向信号に基づいて補正パラメータを決定し、補正パラメータを信号歪み補正ネットワークモジュール100に出力するように構成されてもよい。具体的には、補正パラメータトレーナー180は、順方向信号及びデジタルフィードバック信号に対してデータ線形処理を行い、信号歪み事前補正モデルパラメータに対して求解及び反復トレーニングを行うことができる。信号歪み事前補償モデルは、複数のグループの低次フィルタ、Volterraシリーズ、メモリクロス多項式、ニューラルネットワーク(BPネットワーク、ARTネットワークなど)、ウェーブレットネットワーク及びサポートベクトルマシンなどであってもよい。
【0022】
信号歪み補正ネットワークモジュール100は、補正パラメータに基づいて、入力された順方向信号を補正(又は歪み事前補償処理と呼ばれる)した後、事前補正信号を第2の変換モジュール110に出力するように構成されてもよい。
【0023】
本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正装置によれば、複数のチャネルの信号に対して時分割収集を行い、複数のチャネルのフィードバック信号に基づいて補正することができ、システム内の各チャネルのパワーアンプの特性の一致性に対する要件が低い。
【0024】
1つの例示的な実施例では、図3に示すように、それは本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正装置の別のアーキテクチャ図である。データ収集モジュール190は、信号結合ネットワークモジュール140及び信号サンプリングコントローラ160を含むことができ、信号結合ネットワークモジュール140は、外部のパワーアンプモジュール130に接続される。
【0025】
信号サンプリングコントローラ160は、信号結合ネットワークモジュール140を制御して、パワーアンプモジュール130の複数のチャネルの出力信号に対する時分割収集を実現するように構成されてもよい。具体的には、信号結合ネットワークモジュール140を制御することにより、パワーアンプモジュール130のあるチャネルの出力をフィードバックリンクに接続し、当該チャネルの出力信号に対する収集を実現する。なお、時分割で収集された複数のチャネルは、パワーアンプモジュール130の全てのチャネルを含んでも良いし、全てのチャネルの一部であってもよい。
【0026】
信号結合ネットワークモジュール140は、信号サンプリングコントローラ160の制御に従って、パワーアンプモジュール130のチャネルの出力信号に対して時分割結合を行い、アナログフィードバック信号を第1の変換モジュール170に出力するように構成されてもよく、各チャンネルの出力信号はパワーアンプモジュールの各パワーアンプの出力信号であってもよい。
【0027】
1つの例示的な実施例では、補正パラメータトレーナー180は、データ線形処理モジュール181及び補正パラメータ計算モジュール182を含むことができる。
【0028】
データ線形処理モジュール181は、順方向信号及びデジタルフィードバック信号に対して線形処理を行い、線形処理後の順方向信号及び線形処理後のデジタルフィードバック信号を取得するように構成されてもよく、線形処理には、遅延アライメント、ミラーリング較正、周波数点アライメント、フィードバック非平坦性補償、複素数利得補償の少なくとも1つが含まれるがこれに限定されない。1つの例示的な実施例では、線形処理は、並列線形処理である。
【0029】
補正パラメータ計算モジュール182は、事前に設定された信号歪み事前補正モデル、線形処理後の順方向信号、線形処理後のデジタルフィードバック信号、及び事前補正信号に基づいて複数の信号マトリックスを構築し、信号マトリックスと収集されたチャネルとが対応関係を有し、当該複数の信号マトリックスをそれぞれ重み係数で使用して重み付けした後、重み付けされた信号マトリックスを使用して組み合わせマトリックスを生成し、組み合わせマトリックスに基づいて非線形歪み事前補償パラメータを取得し、線形処理後の順方向信号と線形処理後のデジタルフィードバック信号に基づいてリンクインバランス較正パラメータを決定するように構成されてもよく、信号マトリックスの重み係数は、当該信号マトリックスに対応するチャネルの性能と正の相関を有する。1つの例示的な実施例では、重み係数は、信号マトリックスに対応するチャネルの隣接チャネル電力比(ACPR:Adjacent Channel Power Ratio)である。なお、重み係数は、ACPRに限定されず、他の方式で取得されてもよい。
【0030】
本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正装置によれば、補正パラメータ抽出プロセスにおいて、構築された信号マトリックスに対して重み付け処理を行うことにより、ビームフォーミング方向の性能指標を最も良くすることができ、各パワーアンプのフィードバック信号に対して並列線形処理を行うことにより、結合されたフィードバックリンクの遅延、位相及び振幅の違いなどによる歪み補正アルゴリズムの性能への影響を無くすることができ、各パワーアンプのフィードバック信号に対して線形処理を行うことができるため、補正パラメータを抽出するときにビーム角度は0°のビームに限定されず、任意の角度であってもよく、遠方界ビーム方向の歪み事前補正性能を確保できる。
【0031】
1つの例示的な実施例では、補正パラメータ計算モジュール182は、パワーアンプモジュールのパワーアンプモデル、線形処理後の順方向信号及び線形処理後のデジタルフィードバック信号に基づいてミスマッチフィルタ係数及び相互結合フィルタ係数を決定し、事前に設定された信号歪み事前補正モデル、ミスマッチフィルタ係数、相互結合フィルタ係数、線形処理後の順方向信号、線形処理後のデジタルフィードバック信号及び事前補正信号に基づいて複数の信号マトリックスを構築し、信号マトリックスと収集されたチャネルとが対応関係を有し、当該複数の信号マトリックスをそれぞれ重み係数で重み付けした後、重み付けされた信号マトリックスを使用して組み合わせマトリックスを生成し、組み合わせマトリックスに基づいて非線形歪み事前補償パラメータ、ミスマッチフィルタ係数及び相互結合フィルタ係数を取得し、線形処理後の順方向信号と線形処理後のデジタルフィードバック信号に基づいてリンクインバランス較正パラメータを決定するように構成されてもよく、信号マトリックスの重み係数は当該信号マトリックスに対応するチャネルの性能と正の相関を有する。ミスマッチフィルタ係数、相互結合フィルタ係数、ミスマッチ補償パラメータ及び相互結合補償パラメータは、負荷ミスマッチによる歪みの補正及びアンテナ間の相互結合干渉による歪みの補正に用いられてもよく、これにより、負荷ミスマッチ及びアンテナ間の相互結合干渉によるシステム性能への影響を低減することができる。
【0032】
なお、別の例示的な実施例では、ミスマッチフィルタ係数、相互結合フィルタ係数、ミスマッチ補償パラメータ及び相互結合補償パラメータを計算しなくてもよい。
【0033】
1つの例示的な実施例では、j番目のチャネルに対応する信号マトリックスは、次のとおりであってもよい。
【0034】
【数1】
【0035】
【数2】
【0036】
1つの例示的な実施例では、当該複数の信号マトリックスをそれぞれ重み係数で重み付けし、重み付けされた信号マトリックスを使用して組み合わせマトリックスを生成し、当該組み合わせマトリックスが以下を含む。
【0037】
【数3】
【0038】
図4は本開示の実施例によって提供される補正パラメータトレーナー180の基本的な構造図である。補正パラメータトレーナー180は、データ線形処理モジュール(図4に示されていない)及び補正パラメータ計算モジュール182を含むことができる。ここで、データ線形処理モジュールは、複数の並列しているデータ線形処理サブモジュール181(1)、181(2)、…181(K)を含むことができ、補正パラメータ計算モジュール182は、ミスマッチ及び相互結合係数推定モジュール1821、マトリックス生成モジュール(図4に示されていない)、マトリックス重み付け処理モジュール1823及びパラメータ推定モジュール1824を含むことができ、ここで、マトリックス生成モジュールは、複数のマトリックス生成サブモジュール1822(1)、1822(2)、....1822(K)を含むことができる。
【0039】
データ線形処理サブモジュール181(1)、181(2)、...181(K)は、順方向信号x(j=1、2、...、K)に基づき、各パワーアンプによって出力されたフィードバック信号yに対して遅延アライメント、ミラーリング較正、複素数利得補償、周波数点アライメント、フィードバック非平坦性の均等化などの線形処理操作を並列に行って、線形処理後のフィードバック信号を取得する。各パワーアンプによって出力された信号の数式は次の通りである。
【0040】
【数4】
【0041】
【数5】
【0042】
ミスマッチ及び相互結合係数推定モジュール1821は、ミスマッチフィルタ係数及び相互結合フィルタ係数を推定するように構成されてもよい。ここで、ミスマッチフィルタ係数は、ミスマッチフィルタモジュールがフィルタリングするときに使用する係数であり、相互結合フィルタ係数は、相互結合フィルタモジュールがフィルタリングするときに使用する係数である。
【0043】
パワーアンプの出力負荷のミスマッチ及びアンテナ間の結合干渉の影響を考慮すると、順方向信号とフィードバック信号との関係式は次の通りである。
【0044】
【数6】
【0045】
【数7】
【0046】
【数8】
【0047】
【数9】
【0048】
【数10】
【0049】
なお、上記W及びVマトリックスの構築は、一例に過ぎず、ニーズに応じて他の方式を採用して構築することができる。
【0050】
【数11】
【0051】
【数12】
【0052】
【数13】
【0053】
【数14】
【0054】
ここで、Kはチャネル数(即ち時分割収集を行うチャネル数)であり、ACPRはj番目のチャネルの隣接チャネル電力比であり、j番目のチャネルのフィードバック信号y’に基づいて計算され、即ちメインチャネルの信号電力と隣接チャネルの信号電力との比である。なお、当該重み係数の計算方法は、一例に過ぎず、ニーズに応じて他の方式を使用して計算することができる。
【0055】
パラメータ推定モジュール1824は、マトリックスW及びV、V=W*cに基づいて、誤差目標関数を確立し、パラメータ解法を使用して補正パラメータを抽出し、複数の反復を行って最適な補正パラメータ値cを取得し、補正パラメータには、非線形歪み事前補償パラメータ、ミスマッチ補償パラメータ及び相互結合補償パラメータが含まれ、線形処理後の順方向信号及び線形処理後のフィードバック信号に基づいてリンクインバランス較正パラメータを決定するように構成されてもよい。リンクインバランス較正パラメータは、IQインバランス、局部発振の漏れ及びリンクの非平坦性を無くするために使用され、リンクインバランス較正パラメータの決定方法について関連技術を参照することができる。
【0056】
ここで、使用されるパラメータ求解反復アルゴリズムは、下記の方式を含むがこれらに限定されない。
【0057】
【数15】
【0058】
【数16】
【0059】
1つの例示的な実施例では、図5に示すように、それは本開示の実施例による信号歪み補正ネットワークモジュール100の基本的な構造図である。信号歪み補正ネットワークモジュール100は、第1のフィルタバンク101、非線形歪み補正モジュール102、リンクインバランス補正モジュール108及び第2のフィルタバンク109を含むことができる。
【0060】
第1のフィルタバンク101は、順方向信号に対してレート変換処理を行い、変換後の順方向信号を非線形歪み補正モジュール102に出力するように構成されてもよい。第1のフィルタバンク101は、例えば、複数の有限インパルス応答(FIR:Finite Impulse Response)フィルタを含み、順方向信号xに対してフィルタリング処理を並列に行い、各フィルタの出力信号s、s、..、sを時系列で並べて信号xを取得することで、順方向信号xのレート変換処理を完了することができる。
【0061】
非線形歪み補正モジュール102は、補正パラメータ内の非線形歪み事前補償パラメータに基づいて変換後の順方向信号を補正して、第1の補正信号を生成し、第1の補正信号をリンクインバランス補正モジュール108に出力するように構成されてもよい。具体的には、非線形歪み補正モジュール102は、第1のフィルタバンク101の出力信号に対して、非線形基底関数の構築と、各基底関数及び非線形歪み事前補償パラメータの乗算演算とを行うことにより、パワーアンプの非線形特性によって引き起こされる信号歪みを補正する。1つの実施形態では、第1のフィルタバンク101の出力信号xを使用して非線形基底関数T、T、T、...、Tを構築し、Nが非線形基底関数の数であり、次に、これらの非線形性基底関数に対応するモデル係数(即ち非線形歪み事前補償パラメータ)を乗算してから第1の補正信号xを取得し、それを順方向信号によってパワーアンプを励起して生成された非線形信号歪みの相殺に用いる。ここで、非線形基底関数の具体的な表現形態は、使用される信号歪み事前補償モデルに依存し、当該信号歪み事前補償モデルは、複数のグループの低次フィルタ、Volterraシリーズ、メモリクロス多項式、ニューラルネットワーク(BPネットワーク、ARTネットワークなど)、ウェーブレットネットワーク及びサポートベクトルマシンなどであってもよく、なお、信号歪み事前補償モデルは、上記モデルに限定されなくてもよい。
【0062】
リンクインバランス補正モジュール108は、I/Qインバランス、局部発振の漏れ及びリンクの非平坦性に対する補正処理を実現するために、補正パラメータ内のリンクインバランス較正パラメータに基づいて第1の補正信号xを処理し、第5の補正信号xを第2のフィルタバンク109に出力するように構成されてもよい。
【0063】
第2のフィルタバンク109は、第5の補正信号xに対してレート変換処理を行って事前補正信号を取得し、事前補正信号を出力するように構成されてもよい。第2のフィルタバンク109は、例えば、複数のFIRフィルタを含み、信号xに対して並列フィルタリング処理を行い、伝送信号のレート変換を完了して、その後の第2の変換モジュール110のレート要件を満たすことができる。
【0064】
別の例示的な実施例では、図6に示すように、それは本開示の実施例によって提供される信号歪み補正ネットワークモジュール100の別の基本的な構造図である。信号歪み補正ネットワークモジュール100は、第1のフィルタバンク101、非線形歪み補正モジュール102、マージモジュール107、リンクインバランス補正モジュール108及び第2のフィルタバンク109を含むことができる。信号歪み補正ネットワークモジュール100は、ミスマッチフィルタモジュール103及びミスマッチ誤差補償モジュール105からなるミスマッチ補正ユニットと、相互結合フィルタモジュール104及び相互結合誤差補償モジュール106からなる相互結合補正ユニットとのうちの少なくとも1つをさらに含むことができ、即ち、信号歪み補正ネットワークモジュール100は、ミスマッチフィルタモジュール103及びミスマッチ誤差補償モジュール105のみを含むことができ、相互結合フィルタモジュール104及び相互結合誤差補償モジュール106のみを含むことができ、又は、ミスマッチフィルタモジュール103及びミスマッチ誤差補償モジュール105、並びに相互結合フィルタモジュール104及び相互結合誤差補償モジュール106を同時に含むことができ、即ち信号歪み補正ネットワークモジュール100は、ミスマッチ補正のみを行うことができ、相互結合補正のみを行うことができ、又は、ミスマッチ補正及び相互結合補正の両方を行うことができる。第1のフィルタバンク101、非線形歪み補正モジュール102及び第2のフィルタバンク109の機能について、上記の内容を参照することができ、ここでは説明を省略する。なお、本実施例では、非線形歪み補正モジュール102によって出力された第1の補正信号は、リンクインバランス補正モジュール108に入力されるのではなく、マージモジュール107に入力される。
【0065】
ミスマッチフィルタモジュール103は、補正パラメータ内のミスマッチフィルタ係数に基づいて変換後の順方向信号をフィルタリング(因果的フィルタリング又は非因果的フィルタリング)して第1の中間信号xを生成し、xが、パワーアンプモジュールの出力端での負荷のミスマッチによって生成される定在波信号をシミュレーションするために使用され、第1の中間信号xをミスマッチ誤差補償モジュール105に出力するように構成されてもよく、即ちミスマッチフィルタモジュール103は、パワーアンプモジュールの出力端での負荷ミスマッチによって生成された定在波信号をシミュレーションするために使用される。
【0066】
ミスマッチ誤差補償モジュール105は、補正パラメータ内のミスマッチ補償パラメータに基づいて第1の中間信号xを補正して第2の補正信号xを取得し、第2の補正信号xをマージモジュール107に出力するように構成されてもよい。具体的には、ミスマッチ誤差補償モジュール105は、ミスマッチフィルタモジュール及び第1のフィルタバンクの出力信号に対して、非線形基底関数の構築と、各基底関数及びミスマッチフィルタ係数の乗算演算とを行うことにより、負荷ミスマッチによって引き起こされる信号歪みを補正する。まず、第1のフィルタバンク101の出力信号x及びミスマッチフィルタモジュール103の出力信号xを使用して、非線形基底関数S、S、S、…、Sを構築し、Kが非線形基底関数の数であり、次に、これらの非線形基底関数とそれに対応する係数とを乗算して誤差補償信号xを取得し、誤差補償信号xは、出力負荷のミスマッチによって引き起こされる定在波信号によってパワーアンプを励起して生成される非線形信号歪みを相殺するために使用される。ここで、非線形基底関数の具体的な表現形態は、使用されるミスマッチ誤差事前補償モデルに依存し、当該ミスマッチ誤差事前補償モデルは、複数のグループの低次フィルタ、Volterraシリーズ、メモリクロス多項式、ニューラルネットワーク(BPネットワーク、ARTネットワークなど)、ウェーブレットネットワーク及びサポートベクトルマシンなどであってもよい。なお、ミスマッチ誤差事前補償モデルは、上記モデルに限定されない。本開示で提供される実施例によれば、負荷のミスマッチによって引き起こされる歪みを補正することにより、出力負荷のミスマッチによるシステム性能への影響を低減することができる。
【0067】
相互結合フィルタモジュール104は、補正パラメータ内の相互結合フィルタ係数に基づいて変換後の順方向信号をフィルタリング(因果的フィルタリング又は非因果的フィルタリング)して第2の中間信号xを生成し、xがパワーアンプモジュールの出力端でのアンテナ間の相互結合干渉信号をシミュレーションするために使用され、第2の中間信号xを相互結合誤差補償モジュール106に出力するように構成されてもよく、即ち当該相互結合フィルタモジュール104は、パワーアンプモジュールの出力端でのアンテナ間の相互結合干渉信号をシミュレーションするために使用されてもよい。
【0068】
相互結合誤差補償モジュール106は、補正パラメータ内の相互結合補償パラメータに基づいて第2の中間信号xを補正して第3の補正信号xを取得し、第3の補正信号xをマージモジュール107に出力するように構成されてもよい。具体的には、相互結合誤差補償モジュール106は、相互結合フィルタモジュール104及び第1のフィルタバンク101の出力信号に対して、非線形基底関数の構築と、各基底関数及び相互結合フィルタ係数の乗算演算とを行うことにより、アンテナ間の相互結合によって引き起こされる信号歪みを補正する。具体的には、まず、第1のフィルタバンク101の出力信号x及び相互結合フィルタモジュール104の出力信号xを使用して、非線形基底関数R、R、R、…、Rを構築し、Mが非線形基底関数の数であり、次に、これらの非線形基底関数とそれに対応する係数値とを乗算して相互結合誤差補償信号xを取得し、相互結合誤差補償信号xは、アンテナ間の相互結合干渉信号によってパワーアンプを励起して生成される非線形歪みを相殺するために使用される。ここで、非線形基底関数の具体的な表現形態は、使用される相互結合誤差補償モデルに依存し、当該相互結合誤差補償モデルは、複数のグループの低次フィルタ、Volterraシリーズ、メモリクロス多項式、ニューラルネットワーク(BPネットワーク、ARTネットワークなど)、ウェーブレットネットワーク及びサポートベクトルマシンなどであってもよい。なお、相互結合誤差事前補正モデルは、上記モデルに限定されなくてもよい。本開示で提供される実施例によれば、アンテナ間の相互結合干渉によって引き起こされる歪みを補正することにより、アンテナ間の相互結合干渉によるシステム性能への影響を低減することができる。
【0069】
マージモジュール107は、入力信号をマージして第4の補正信号xを取得し、第4の補正信号xをリンクインバランス補正モジュール108に出力するように構成されてもよい。ここで、入力信号は、第1の補正信号と第2の補正信号である可能性があり、第1の補正信号と第3の補正信号である可能性もあり、第1の補正信号、第2の補正信号及び第3の補正信号である可能性もある。マージ方式は、各入力信号を加算することである。
【0070】
リンクインバランス補正モジュール108は、補正パラメータ内のリンクインバランス校正パラメータに基づいて第4の補正信号xを処理し、第5の補正信号xを第2のフィルタバンク109に出力するように構成されてもよい。具体的には、リンクインバランス補正モジュール108は、フィルタリング処理(線形処理)を行って、システムの送信リンクのI/Qインバランス、帯域内の非平坦性、局部発振の漏れなどを補正する。
【0071】
本開示の実施例によって提供される信号歪み補正ネットワークモジュール100によれば、非線形アナログデバイス、出力負荷のミスマッチ及びアンテナ間の結合干渉によって引き起こされる信号歪みを補正することが可能である。
【0072】
アナログビームフォーミング技術を採用するMIMOミリ波通信システムの場合、本開示の実施例は、非線形システム信号歪み事前補正装置を提供する。当該補正装置では、信号サンプリングコントローラを使用して信号結合ネットワークを制御し、各パワーアンプの出力信号を収集してフィードバックし、マルチチャネルデータ線形処理操作、ミスマッチ係数及び相互結合係数の計算、信号歪みの事前補正モデルの確立、モデルパラメータの抽出により、MIMOシステムの信号歪みを効果的に事前に補正することで、アンテナ間の相互結合干渉を相殺することができ、このようにしてMIMOビームフォーミングシステムの性能利点の発揮をさらに確保することができる。
【0073】
従来のプリディストーション技術と比較して、当該装置は、1つのプリディストータが複数のパワーアンプに対応するアプリケーションシーンでの非線形システム信号歪みの事前補償問題をより良く解決することができる。
【0074】
本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正装置は、以下の利点を有している。
【0075】
(1)信号サンプリングコントローラは、結合ネットワークを制御して、各パワーアンプの出力信号に対して時分割収集及びフィードバックを行うことができ、これは、システム内の各パワーアンプの特性の一致性に対する要件が低い。
【0076】
(2)補正パラメータを抽出するプロセスでは、構築された信号マトリックスを重み付けすることで、ビームフォーミング方向の性能指標を最適にすることができる。
【0077】
(3)各パワーアンプのフィードバック信号の並列線形処理により、結合フィードバックリンクの遅延、位相及び振幅差などによる歪み補正アルゴリズムの性能への影響を無くすことができる。
【0078】
(4)各パワーアンプのフィードバック信号に対して線形処理を行うことができるため、補正パラメータを抽出する時にビーム角度は0°のビームに限定されず、任意の角度であってもよく、遠方界ビーム方向の歪み事前補正性能を確保できる。
【0079】
(5)出力負荷のミスマッチ及びアンテナ間の相互結合干渉によるシステム性能への影響を低減することができる。
【0080】
関連技術の歪み補正装置と比較して、本開示の実施例によって提供される補正装置は、複数の並列しているパワーアンプの全体的な非線形歪みを補正できるとともに、出力負荷のミスマッチ、アンテナ間の結合干渉などの要因の影響を低減することができる新しい信号歪み事前補正アルゴリズムを提供し、それは、1つのフィードバックリンクチャネルを使用して、各チャネルの出力信号の時分割収集を完了することができる。本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正装置は、ミリ波通信システムなどのアナログビームフォーミング技術を採用する無線通信システムに応用されてもよいし、パワーアンプ特性が定在波の影響を大きく受ける通信システムに応用されてもよい。
【0081】
本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正装置によれば、それに入力されたデータ信号(即ち順方向信号)は、サービス信号だけでなく、トレーニングシーケンスであってもよく、各パワーアンプの特性の一致性に対する要件が低い。また、各パワーアンプの特性の一致性が良い場合、信号結合ネットワークモジュールのフィードバックリンク選択スイッチをあるチャネルに固定し、フィードバック信号を収集してその後の操作処理を行うことができる。
【0082】
本開示の実施例は信号歪み事前補正方法をさらに提供する。図7に示すように、それは本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正方法のフローチャートである。当該方法は、ステップ701~ステップ704を含むことができる。
【0083】
ステップ701において、パワーアンプモジュールの複数のチャネルの出力信号に対して時分割収集を行い、複数のアナログフィードバック信号を取得する。
【0084】
ステップ702において、複数のアナログフィードバック信号を複数のデジタルフィードバック信号に変換する。
【0085】
ステップ703において、当該複数のデジタルフィードバック信号及び入力された順方向信号に基づいて補正パラメータを決定する。
【0086】
ステップ704において、補正パラメータに基づいて順方向信号を補正し、事前補正信号を取得する。
【0087】
別の例示的な実施例では、当該方法は、ステップ705をさらに含むことができる。
ステップ705において、事前補正信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号をアナログビームフォーミングプロセッサに出力する。
【0088】
1つの例示的な実施例では、当該複数のデジタルフィードバック信号及び入力された順方向信号に基づいて補正パラメータを決定するステップは、順方向信号及びデジタルフィードバック信号に対して線形処理を行い、線形処理後の順方向信号と線形処理後のデジタルフィードバック信号を取得するステップと、事前に設定された信号歪み事前補正モデル、線形処理後の順方向信号、線形処理後のデジタルフィードバック信号及び事前補正信号に基づいて複数の信号マトリックスを構築ステップであって、信号マトリックスが収集されたチャネルに対応するステップと、当該複数の信号マトリックスをそれぞれ重み係数で重み付けした後、重み付けされた信号マトリックスを使用して組み合わせマトリックスを生成するステップと、組み合わせマトリックスに基づいて非線形歪み事前補償パラメータ、ミスマッチ補償パラメータ及び相互結合補償パラメータを取得するステップと、線形処理後の順方向信号と線形処理後のデジタルフィードバック信号に基づいてリンクインバランス較正パラメータを決定するステップであって、信号マトリックスの重み係数が当該信号マトリックスに対応するチャネルの性能と正の相関を有するステップと、を含むことができる。
【0089】
1つの例示的な実施例では、j番目のチャネルに対応する信号マトリックスの重み係数αは次のとおりである。
【0090】
【数17】
【0091】
ここで、Kはチャネル数であり、ACPRはj番目のチャネルのACPRであり、即ちj番目のアナログチャネルの隣接チャネルとメインチャネルの信号電力の比である。
【0092】
1つの例示的な実施例では、当該複数のデジタルフィードバック信号及び入力された順方向信号に基づいて補正パラメータを決定するステップは、入力された順方向信号及びデジタルフィードバック信号に対して線形処理を行い、線形処理後の順方向信号と線形処理後のデジタルフィードバック信号を取得するステップと、パワーアンプモジュールのパワーアンプモデル、線形処理後の順方向信号及び線形処理後のデジタルフィードバック信号に基づいてミスマッチフィルタ係数及び相互結合フィルタ係数を決定するステップと、信号歪み事前補正モデル、ミスマッチフィルタ係数、相互結合フィルタ係数、線形処理後の順方向信号、線形処理後のデジタルフィードバック信号、及び事前補正信号に基づいて複数の信号マトリックスを構築ステップであって、信号マトリックスと収集されたチャネルとは対応関係を有するステップと、当該複数の信号マトリックスをそれぞれ重み係数で重み付けし、重み付けされた信号マトリックスを使用して組み合わせマトリックスを生成し、組み合わせマトリックスに基づいて非線形歪み事前補償パラメータ、ミスマッチ補償パラメータ及び相互結合補償パラメータを取得し、線形処理後の順方向信号と線形処理後のデジタルフィードバック信号に基づいてリンクインバランス較正パラメータを決定するステップであって、信号マトリックスの重み係数が当該信号マトリックスに対応するチャネルの性能と正の相関を有するステップと、を含むことができる。
【0093】
1つの例示的な実施例では、j番目のチャネルに対応する信号マトリックスは次のとおりである。
【0094】
【数18】
【0095】
【数19】
【0096】
1つの例示的な実施例では、補正パラメータに基づいて、入力された順方向信号を補正して事前補正信号を取得するステップは、順方向信号に対してレート変換処理を行い、変換後の順方向信号を取得するステップと、補正パラメータ内の非線形歪み事前補償パラメータに基づいて変換後の順方向信号を補正して、第1の補正信号を生成するステップと、補正パラメータ内のリンクインバランス較正パラメータに基づいて第1の補正信号を処理し、第5の補正信号を取得するステップと、第5の補正信号に対してレート変換処理を行って事前補正信号を取得し、事前補正信号を出力するステップと、を含むことができる。
【0097】
1つの例示的な実施例では、補正パラメータに基づいて、入力された順方向信号を補正して事前補正信号を取得するステップは、順方向信号に対してレート変換処理を行い、変換後の順方向信号を取得するステップと、補正パラメータ内の非線形歪み事前補償パラメータに基づいて変換後の順方向信号を補正して、第1の補正信号を生成するステップと、補正パラメータ内のミスマッチフィルタ係数に基づいて変換後の順方向信号をフィルタリングして第1の中間信号を生成し、補正パラメータ内のミスマッチ補償パラメータに基づいて第1の中間信号を補正して第2の補正信号を取得するステップと、補正パラメータ内の相互結合フィルタ係数に基づいて変換後の順方向信号をフィルタリングして第2の中間信号を生成し、補正パラメータ内の相互結合補償パラメータに基づいて第2の中間信号を補正して第3の補正信号を取得するステップと、第1の補正信号及び第2の補正信号、又は、第1の補正信号及び第3の補正信号、又は、第1の補正信号、第2の補正信号及び第3の補正信号をマージして第4の補正信号を取得するステップと、補正パラメータ内のリンクインバランス較正パラメータに基づいて第4の補正信号を処理して第5の補正信号を生成するステップと、第5の補正信号に対してレート変換処理を行って事前補正信号を取得し、事前補正信号を出力するステップと、を含むことができる。
【0098】
本開示の実施例は、信号歪み事前補正システムをさらに提供する。図2を参照すると、当該信号歪み事前補正システムは、本開示の実施例で提供される信号歪み事前補正装置、第2の変換モジュール110、アナログビームフォーミングプロセッサ120及びパワーアンプモジュール130を含むことができる。
【0099】
信号歪み事前補正装置は、さらに事前補正信号を第2の変換モジュール110に出力するように構成されてもよい。
【0100】
第2の変換モジュール110は、事前補正信号をアナログ信号に変換し、アナログビームフォーミングプロセッサ120に出力するように構成されてもよい。
【0101】
アナログビームフォーミングプロセッサ120は、入力されたアナログ信号に対して振幅及び位相の重み付け処理を行い、重み付け処理後のアナログ信号を生成し、それをパワーアンプモジュール130に出力するように構成されてもよく、当該重み付け処理は、その後のアンテナアレイの出力信号が事前に設定された方向のビームを形成することを容易にする。
【0102】
パワーアンプモジュール130は、重み付けされたアナログ信号を増幅してから出力するように構成されてもよい。
【0103】
以下に添付の図面及び5Gミリ波通信システムの応用シーンと組み合わせて、本開示の実施例で提供される信号歪み事前補正装置及び方法を詳細に説明する。
【0104】
図8に示すように、それは本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正方法の別のフローチャートである。当該方法は、図3に示す本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正装置に応用されてもよく、当該方法は、ステップ801~ステップ805を含むことができる。
【0105】
ステップ801において、信号サンプリングコントローラ160は、信号結合ネットワークモジュール140を制御することにより、各パワーアンプの出力信号に対する時分割収集及びフィードバックを実現し、アナログフィードバック信号を第1の変換モジュール170に出力する。
【0106】
ステップ802において、第1の変換モジュール170は、アナログフィードバック信号をデジタルフィードバック信号に変換し、補正パラメータトレーナー180に送信する。
【0107】
ステップ803において、補正パラメータトレーナー180は、デジタルフィードバック信号及び入力された順方向信号に基づいて補正パラメータを取得し、補正パラメータには、非線形歪み事前補償パラメータ、ミスマッチ補償パラメータ、相互結合補償パラメータ及びリンクインバランス較正パラメータが含まれてもよい。
【0108】
具体的には、補正パラメータトレーナー180は、まず順方向信号x=[x、x、…、x]に基づいて、第1の変換モジュール170の出力信号y=[y、y、…、y]に対してマルチチャネルデータ線形処理操作を行い、事前処理後の信号を取得し、次に、取得された事前処理信号を使用してミスマッチフィルタ係数及び相互結合フィルタ係数を求め、最後に、信号歪み補正モデルの目標関数を構築し、パラメータ求解反復アルゴリズムにより最終的な補正パラメータcを取得し、Kが時分割収集を行うチャネル数であり、1つのチャネルに1つのパワーアンプが含まれる場合、それは並列しているパワーアンプの数である。なお、Kは、パワーアンプモジュール130のチャネル数以下である。
【0109】
また、補正パラメータトレーナー180はさらに、デジタルフィードバック信号及び入力された順方向信号に基づいてリンクインバランス較正パラメータを取得することができる。
【0110】
ステップ804において、補正パラメータトレーナー180によって提供される補正パラメータcに基づいて、信号歪み補正ネットワークモジュール100内の補正パラメータをリアルタイムに更新し、信号歪み補正ネットワークモジュール100は、順方向信号x及びその振幅値情報に基づいて、高いサンプリングレートの条件下で信号xに対して非線形歪み及び線形歪みの事前補正処理を行い、得られた事前補正信号zを第2の変換モジュール110に送信し、第2の変換モジュール110は、事前補正信号(デジタル信号)をアナログ信号に変換してアナログビームフォーミングプロセッサ120に送信する。
【0111】
ステップ805において、アナログビームフォーミングプロセッサ120は、入力信号の位相及び振幅を重み付けして出力し、アナログビームフォーミングプロセッサ120の出力信号は、パワーアンプモジュール130のパワーアンプによって増幅された後、アンテナアレイモジュール150に直接送信されて空間に放射される。ここで、アナログビームフォーミングプロセッサ120は、調整可能な減衰器、位相シフターなどのアナログデバイスを使用して入力信号に対して位相及び振幅の重み付け処理を行うことができる。
【0112】
本開示の実施例はさらに信号歪み事前補正複合システムを提供する。図9に示すように、それは本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正複合システムの構造図である。当該信号歪み事前補正複合システムは、複数の信号歪み事前補正システムを含むことができ、かつ当該複数の信号歪み事前補正システムは、同一の補正パラメータトレーナー180を多重化し、補正パラメータトレーナー180は、選択スイッチを介して各信号歪み事前補正システム内の関連モジュールに接続される。具体的には、補正パラメータトレーナー180は、第1の選択スイッチ801を介して各信号歪み事前補正システムの入力端に接続され、第2の選択スイッチ802を介して各信号歪み事前補正システムの信号歪み補正ネットワークモジュール100に接続され、第3の選択スイッチ803を介して各信号歪み事前補正システムの第1の変換モジュール170に接続されている。
【0113】
図10に示すように、それは本開示の実施例によって提供される信号歪み事前補正複合システムの別の構造図である。当該信号歪み事前補正複合システムは、MIMOミリ波通信システムに適用できる。
【0114】
1つの例示的な実施例では、アナログビームフォーミング技術を採用するMIMOダウンリンク伝送システムにおいて、デジタルチャネル及びアナログ無線周波数チャネルの数は、それぞれ4及び32に設定され、各デジタルチャネルは、8つのアナログ無線周波数チャネルに対応し、1つのアナログ無線周波数チャネルの出力は2つのアンテナ振動子に接続されている。同時に、4つのデジタルチャネルの送信信号はいずれも、10個のサブキャリアを含む400MHzのベースバンド信号であり、それぞれx、x、x及びxであると仮定する。
【0115】
以下、デジタルチャネル1の信号送信を例として非線形システムの信号歪みの補正プロセスを詳細に説明する。残りのデジタルチャンネルの信号送信も類似であるので、ここでは説明を省略する。異なるデジタルチャネルの関連信号は、下付き文字a、b、c、dで区別される。
【0116】
ステップ1001において、信号サンプリングコントローラ160aは、信号結合ネットワークモジュール140aを制御することにより、各パワーアンプの出力信号に対する時分割収集を実現し、フィードバック信号y(t)(i=1、2、...、8)を取得し、同時に、フィードバックVGA 200aを使用してフィードバック信号y(t)の利得を調整し、フィードバック信号の振幅値が小さすぎて歪み補正パラメータの抽出及びトレーニングに影響を与えることのないように確保する。
【0117】
ステップ1002において、モジュール210aは、周波数fr=27GHzの局部発振信号を生成し、無線周波数信号y(t)を中間周波数ゼロにシフトさせ、ADCモジュール170aを通過した後にデジタルフィードバック信号y=[y、y、...、y]を出力する。
【0118】
【数20】
【0119】
ステップ1004において、選択スイッチZを介して、補正パラメータトレーナー180によって取得された補正パラメータ値cを信号歪み補正ネットワークモジュール100aにコピーし、信号歪み補正ネットワークモジュール100aの補正パラメータをそれに応じて更新する。
【0120】
ステップ1005において、デジタルチャネル1で送信された400MHzのベースバンド信号x=[x、x、…、x]及びその振幅値に基づいて、信号歪み補正ネットワークモジュール100aは、高いサンプリングレートの条件下でミスマッチ及び相互結合フィルタリング処理を行い、非線形基底関数を構築し、対応する補正パラメータを乗算することにより、順方向信号xに対する歪み事前補償処理操作を完了して、事前補正信号zを取得し、当該信号はDAC(モジュール)110aによって処理された後にアナログ信号に変換される。
【0121】
【数21】
【0122】
1つの例示的な実施例では、アンテナアレイモジュール150a、150b、150c及び150dは、いずれも16個のアンテナ振動子を使用することができ、レイアウト形態が4*4アンテナエリアアレイであり、4つのデジタルチャネルは、1つの補正パラメータトレーナー180を共有し、当該補正パラメータトレーナー180は、選択スイッチX、Z、Yを介して、各デジタルチャネルの順方向送信リンク、信号歪み補正ネットワーク及び結合フィードバックリンクに接続され、これにより、送信機のハードウェアリソースニーズを減らすことができ、システムの電力消費を大幅に低減することもできる。
【0123】
本開示の実施例の詳細な説明は、当業者が本開示を製造又は使用することを可能にするために提供される。本開示の実施例の様々な修正は、当業者によって容易に理解される。
【0124】
当業者は、以上に開示された方法の全て又はいくつかのステップ、システム、装置内の機能モジュール/ユニットがソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア及びそれらの適切な組み合わせとして実施され得ることを理解することができる。ハードウェア実施形態では、上記の説明で述べた機能モジュール/ユニット間の区分は、必ずしも物理コンポーネントの区分に対応するわけではなく、例えば、1つの物理コンポーネントは、複数の機能を持つことができ、又は、1つの機能又はステップは、いくつかの物理コンポーネントで連携して実行されてもよい。いくつかのコンポーネント又は全てのコンポーネントは、デジタル信号プロセッサ又はマイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェア、又はハードウェア、又は特定用途向け集積回路などの集積回路として実施されてもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ可読媒体上で配布することができ、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体(又は非一時的媒体)及び通信媒体(又は一時的媒体)を含むことができる。当業者によく知られているように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータ)を記憶するための任意の方法又は技術で実施された揮発性及び不揮発性、移動可能及び移動不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光ディスクメモリ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクメモリ又は他の磁気記憶装置、又は望む情報を記憶でき且つコンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含むがこれらに限定されない。また、当業者によく知られているように、通信媒体は、通常、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又はキャリア又は他の伝送メカニズムなどの変調データ信号内の他のデータを含み、かつ任意の情報配信媒体を含むことができる。
図1
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