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特許7281579試験方法、製造方法、パネルレベルパッケージおよび試験装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】試験方法、製造方法、パネルレベルパッケージおよび試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20230518BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20230518BHJP
【FI】
G01R31/28 Y
G01R31/26 H
G01R31/28 K
G01R31/28 U
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022072614
(22)【出願日】2022-04-26
【審査請求日】2023-02-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 武雄
(72)【発明者】
【氏名】本間 恭彰
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0051902(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113611623(CN,A)
【文献】特開2022-131940(JP,A)
【文献】特開2020-197430(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2361861(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0101583(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0313298(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/28-31/3193、
31/26-31/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個片化前の複数のデバイスがマトリクス状に形成されたパネルレベルパッケージを載置部に載置することと、
前記パネルレベルパッケージにおける前記マトリクスの行方向の一辺側に設けられ、前記複数のデバイスのうち各行の各デバイスの内部回路に対して複数の引出配線を介して接続される複数の接触端子に、試験回路の複数の端子に電気的に接続された複数の接触子をそれぞれ接触させることと、
前記試験回路が前記複数の接触子を介して電気的に接続された前記各行の各デバイスを試験することと
を備える試験方法。
【請求項2】
前記試験することは、バーンイン試験装置の加熱炉内にある前記載置部に前記パネルレベルパッケージを載置した状態で、前記各行の各デバイスをバーンイン試験することを含む、
請求項1に記載の試験方法。
【請求項3】
前記試験することよりも前に、前記バーンイン試験装置における、前記加熱炉外にあるソーク部で前記パネルレベルパッケージを予め定められた温度までプリヒートすることと、
前記試験することよりも前に、前記加熱炉内にある前記載置部に前記パネルレベルパッケージを載置した状態で、前記各行の各デバイスの温度を目標温度に近づける温度制御を実行することと
を更に備える、請求項2に記載の試験方法。
【請求項4】
前記試験することは、前記バーンイン試験装置の複数の前記加熱炉において、複数の前記パネルレベルパッケージを非同期的にバーンイン試験することを含む、
請求項2または3に記載の試験方法。
【請求項5】
前記複数の加熱炉において前記複数のパネルレベルパッケージをバーンイン試験するテスト時間は、前記複数のパネルレベルパッケージのそれぞれに形成されている前記複数のデバイスの不良個数または不良率に応じて、互いに異なる、
請求項4に記載の試験方法。
【請求項6】
前記試験することは、前記複数の加熱炉のそれぞれにおいて、一の前記パネルレベルパッケージのバーンイン試験が完了次第、他の前記パネルレベルパッケージのバーンイン試験に切り替えることを含む、
請求項4に記載の試験方法。
【請求項7】
前記試験することよりも前に、前記各行の各デバイスの温度を目標温度に近づける温度制御を実行することを更に備える、
請求項1に記載の試験方法。
【請求項8】
前記温度制御を実行することは、前記載置部に設けられた温度調整部によって前記パネルレベルパッケージにおける前記載置部側の面を均一に前記目標温度に近づけることを含む、
請求項7に記載の試験方法。
【請求項9】
前記載置することよりも前に、複数の半導体チップの動作を個別に確認するためのファンクショナルテストを実行して、その結果として良品と判定した複数の半導体チップを用いて前記複数のデバイスを形成することを更に備える、
請求項1に記載の試験方法。
【請求項10】
前記接触させることは、前記複数の接触子が設けられたコンタクタ、および、前記パネルレベルパッケージのそれぞれが有する、互いに対応する位置決め用部材を用いて、前記コンタクタおよび前記パネルレベルパッケージを位置決めしてから、前記複数の接触端子に前記複数の接触子をそれぞれ接触させることを含む、
請求項1に記載の試験方法。
【請求項11】
個片化前の複数のデバイスが形成されたパネルレベルパッケージにおける前記複数のデバイスを請求項1に記載の試験方法により試験することと、
前記パネルレベルパッケージから前記複数のデバイスを切り出して個片化することと
を備える製造方法。
【請求項12】
個片化後の複数のデバイスを、前記試験回路による試験の結果を用いて選別することを更に備える、
請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
デバイスを製造する製造方法であって、
それぞれが半導体チップを含む個片化前の複数のデバイスがマトリクス状に形成されたパネルレベルパッケージを載置部に載置することと、
前記パネルレベルパッケージから前記複数のデバイスを切り出して個片化することと
を備え、
前記パネルレベルパッケージは、
方形の基板と、
前記基板上にマトリクス状に配置される複数の前記半導体チップと、
前記複数の半導体チップのそれぞれに接続される複数の引出配線を含む再配線層と、
前記再配線層を封止材料で封止する封止部と、
前記マトリクスの行方向の一辺側に設けられ、前記複数の半導体チップのうち各行の各半導体チップの内部回路に対して複数の引出配線を介して接続され、前記パネルレベルパッケージの表面に露出する複数の接触端子と
を有する、
製造方法。
【請求項14】
それぞれが半導体チップを含む個片化前の複数のデバイスが形成されたパネルレベルパッケージであって、
方形の基板と、
前記基板上にマトリクス状に配置される複数の前記半導体チップと、
前記複数の半導体チップのそれぞれに接続される複数の引出配線を含む再配線層と、
前記再配線層を封止材料で封止する封止部と、
前記マトリクスの行方向の一辺側に設けられ、前記複数の半導体チップのうち各行の各半導体チップの内部回路に対して複数の引出配線を介して接続され、前記パネルレベルパッケージの表面に露出する複数の接触端子と
を備えるパネルレベルパッケージ。
【請求項15】
個片化前の複数のデバイスがマトリクス状に形成されたパネルレベルパッケージが載置される載置部と、
前記パネルレベルパッケージにおける前記マトリクスの行方向の一辺側に設けられ、前記複数のデバイスのうち各行の各デバイスの内部回路に対して複数の引出配線を介して接続される複数の接触端子に、複数の接触子をそれぞれ接触させるコンタクタと、
前記複数の接触子に電気的に接続された複数の端子を有し、前記複数の接触子を介して電気的に接続された前記各行の各デバイスを試験する試験回路と
を備える試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験方法、製造方法、パネルレベルパッケージおよび試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「大型のパネルスケールで薄膜配線工程及び組立工程を行なう、Panel Level Package(以下PLPという)構造を有する半導体パッケージ及びその製造方法」(段落0001)と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2018-006408号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、試験方法を提供する。試験方法は、個片化前の複数のデバイスがマトリクス状に形成されたパネルレベルパッケージを載置部に載置することと、前記パネルレベルパッケージにおける前記マトリクスの行方向の一辺側に設けられ、前記複数のデバイスのうち各行の各デバイスの内部回路に対して複数の引出配線を介して接続される複数の接触端子に、試験回路の複数の端子に電気的に接続された複数の接触子をそれぞれ接触させることと、前記試験回路が前記複数の接触子を介して電気的に接続された前記各行の各デバイスを試験することとを備えてもよい。
【0004】
前記試験することは、バーンイン試験装置の加熱炉内にある前記載置部に前記パネルレベルパッケージを載置した状態で、前記各行の各デバイスをバーンイン試験することを含んでもよい。
【0005】
上記何れかの試験方法は、前記試験することよりも前に、前記バーンイン試験装置における、前記加熱炉外にあるソーク部で前記パネルレベルパッケージを予め定められた温度までプリヒートすることを更に備えてもよい。上記何れかの試験方法は、前記試験することよりも前に、前記加熱炉内にある前記載置部に前記パネルレベルパッケージを載置した状態で、前記各行の各デバイスの温度を目標温度に近づける温度制御を実行することを更に備えてもよい。
【0006】
上記何れかの試験方法において、前記試験することは、前記バーンイン試験装置の複数の前記加熱炉において、複数の前記パネルレベルパッケージを非同期的にバーンイン試験することを含んでもよい。
【0007】
上記何れかの試験方法において、前記複数の加熱炉において前記複数のパネルレベルパッケージをバーンイン試験するテスト時間は、前記複数のパネルレベルパッケージのそれぞれに形成されている前記複数のデバイスの不良個数または不良率に応じて、互いに異なってもよい。
【0008】
上記何れかの試験方法において、前記試験することは、前記複数の加熱炉のそれぞれにおいて、一の前記パネルレベルパッケージのバーンイン試験が完了次第、他の前記パネルレベルパッケージのバーンイン試験に切り替えることを含んでもよい。
【0009】
上記何れかの試験方法は、前記試験することよりも前に、前記各行の各デバイスの温度を目標温度に近づける温度制御を実行することを更に備えてもよい。
【0010】
上記何れかの試験方法において、前記温度制御を実行することは、前記載置部に設けられた温度調整部によって前記パネルレベルパッケージにおける前記載置部側の面を均一に前記目標温度に近づけることを含んでもよい。
【0011】
上記何れかの試験方法は、前記載置することよりも前に、複数の半導体チップの動作を個別に確認するためのファンクショナルテストを実行して、その結果として良品と判定した複数の半導体チップを用いて前記複数のデバイスを形成することを更に備えてもよい。
【0012】
上記何れかの試験方法において、前記接触させることは、前記複数の接触子が設けられたコンタクタ、および、前記パネルレベルパッケージのそれぞれが有する、互いに対応する位置決め用部材を用いて、前記コンタクタおよび前記パネルレベルパッケージを位置決めしてから、前記複数の接触端子に前記複数の接触子をそれぞれ接触させることを含んでもよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、製造方法を提供する。製造方法は、個片化前の複数のデバイスが形成されたパネルレベルパッケージにおける前記複数のデバイスを上記の何れかの試験方法により試験することと、前記パネルレベルパッケージから前記複数のデバイスを切り出して個片化することとを備える。
【0014】
上記の製造方法は、個片化後の複数のデバイスを、前記試験回路による試験の結果を用いて選別することを更に備えてもよい。
【0015】
本発明の第3の態様においては、デバイスを製造する製造方法を提供する。製造方法は、それぞれが半導体チップを含む個片化前の複数のデバイスがマトリクス状に形成されたパネルレベルパッケージを載置部に載置することと、前記パネルレベルパッケージから前記複数のデバイスを切り出して個片化することとを備え、前記パネルレベルパッケージは、方形の基板と、前記基板上にマトリクス状に配置される複数の前記半導体チップと、前記複数の半導体チップのそれぞれに接続される複数の引出配線を含む再配線層と、前記再配線層を封止材料で封止する封止部と、前記マトリクスの行方向の一辺側に設けられ、前記複数の半導体チップのうち各行の各半導体チップの内部回路に対して複数の引出配線を介して接続され、前記パネルレベルパッケージの表面に露出する複数の接触端子とを有する。
【0016】
本発明の第4の態様においては、それぞれが半導体チップを含む個片化前の複数のデバイスが形成されたパネルレベルパッケージを提供する。パネルレベルパッケージは、方形の基板と、前記基板上にマトリクス状に配置される複数の前記半導体チップと、前記複数の半導体チップのそれぞれに接続される複数の引出配線を含む再配線層と、前記再配線層を封止材料で封止する封止部と、前記マトリクスの行方向の一辺側に設けられ、前記複数の半導体チップのうち各行の各半導体チップの内部回路に対して複数の引出配線を介して接続され、前記パネルレベルパッケージの表面に露出する複数の接触端子とを備える。
【0017】
本発明の第5の態様においては、試験装置を提供する。試験装置は、個片化前の複数のデバイスがマトリクス状に形成されたパネルレベルパッケージが載置される載置部と、前記パネルレベルパッケージにおける前記マトリクスの行方向の一辺側に設けられ、前記複数のデバイスのうち各行の各デバイスの内部回路に対して複数の引出配線を介して接続される複数の接触端子に、複数の接触子をそれぞれ接触させるコンタクタと、前記複数の接触子に電気的に接続された複数の端子を有し、前記複数の接触子を介して電気的に接続された前記各行の各デバイスを試験する試験回路とを備える。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】デバイス110を製造する製造方法のフローの一例を説明するための説明図である。
図2】PLP100の一例の模式的な平面図である。
図3図2における領域101の部分拡大図である。
図4図3のI-I′線におけるPLP100の模式的な断面図である。
図5】半導体チップ11のFTを行う第2予備FT装置400の一例の模式図である。
図6】PLP100において複数のデバイス110を形成するPLP形成装置500の一例の模式図である。
図7】PLP100における個片化前の複数のデバイス110をBI試験するBI試験装置600の一例のブロック図である。
図8】BI試験装置600の動作フローの一例を示す。
図9】BI試験装置600の一例の外観の模式図である。
図10】BI試験装置600の一例においてPLP100のパッド170にコンタクタ640の接触子642を接触させる方法を説明するための模式的な平面図である。
図11】BI試験装置600の一例においてPLP100のパッド170にコンタクタ640の接触子642を接触させる方法を説明するための模式的な側面図である。
図12】PLP100における個片化前の複数のデバイス110をFTするFT装置700の一例のブロック図である。
図13】FT装置700の動作フローの一例を示す。
図14】FT装置700の一例においてPLP100の各デバイス110の端子に第1コンタクタ740の接触子742を接触させる方法を説明するための模式的な斜視図である。
図15】FT装置700の一例においてPLP100の各デバイス110の端子に第2コンタクタ760の接触子762を接触させる方法を説明するための模式的な斜視図である。
図16】PLP100の変形例としてのPLP1100における、図2の領域101の部分拡大図に対応する図である。
図17】本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、デバイス110を製造する製造方法のフローの一例を説明するための説明図である。本実施形態による製造方法は、電子デバイスまたは光デバイス等のデバイス110を試験することを含む。本実施形態によるデバイス110の試験方法は、個片化前の複数のデバイス110が形成されたパネルレベルパッケージ(Panel Level Package、PLP)の状態で、当該複数のデバイス110を試験することを特徴とする。なお、以降の説明では、パネルレベルパッケージをPLPと称する場合がある。
【0022】
図1に示すフローは、例えば、ハンドラなどの任意の搬送手段がウェハ10を第1予備FT装置200に搬入することによって開始される。なお、図1に示すウェハ10、PLP100、デバイス110は、任意の搬送手段によって、図1に示す複数の装置間を搬送されてもよい。
【0023】
S101において、第1予備FT装置200が、ウェハ10のファンクショナルテスト(Functional Test:FT)を行う。ウェハ10は、例えば、直径300mmの円盤状の外形を有する基板上に、複数の半導体チップ11が搭載されたものであってもよい。
【0024】
第1予備FT装置200は、ウェハ10の複数の半導体チップ11全てに対して同時にFTを行ってもよく、これらを幾つかの組に分けて、各組の複数の半導体チップ11全てに対して同時にFTを行い、これを各組に対して順に行ってもよい。
【0025】
第1予備FT装置200によるFTでは、例えば半導体チップ11の表面から露出している、半導体チップ11の内部回路に接続されたピンが使用される。第1予備FT装置200によるFTは、複数の半導体チップ11の動作を個別に確認する試験、例えば半導体チップ11の機能試験や、半導体チップ11のBIST(Built-in-Self Test)回路を用いたBIST試験であってもよい。第1予備FT装置200によるFTが、半導体チップ11のBIST回路を用いたBIST試験である場合、上述のピンをBISTピンと称する場合がある。
【0026】
第1予備FT装置200は、複数の半導体チップ11をそれぞれ識別せずに、ウェハ10全体としての良品不良品を判断してもよい。例えば、第1予備FT装置200は、不良品と判断した半導体チップ11の個体数が予め定められた閾値以上の場合に、ウェハ10を全体として不良品と判断してもよい。第1予備FT装置200は、不良品と判断したウェハ10の使用を中止してもよい。
【0027】
S103において、個片化装置300が、ステップS101で良品と判断されたウェハ10を複数の半導体チップ11へと個片化する。個片化装置300は、ウェハ10を薄化してから複数の半導体チップ11へと個片化してもよい。なお、個片化装置300は、ステップS101で不良品と判断されたウェハ10も、複数の半導体チップ11へと個片化してもよい。
【0028】
S105において、第2予備FT装置400が、個片化された複数の半導体チップ11に対してFTを行う。第2予備FT装置400は、複数の半導体チップ11に対して個別且つ順にFTを行う。第2予備FT装置400は、複数の半導体チップ11に対する個別のFTを同時に行ってもよい。第2予備FT装置400によるFTは、半導体チップ11の動作試験であって、例えば上述のピンを使用した機能試験やBIST試験であってもよい。
【0029】
第2予備FT装置400は、複数の半導体チップ11をそれぞれ識別して、半導体チップ11ごとに良品不良品を判断する。なお、第2予備FT装置400は、ステップS101で不良品と判断されたウェハ10から切り出された半導体チップ11のFTも行ってもよく、良品と判断した半導体チップ11は、次の工程で使用されてもよい。
【0030】
このように、S105で複数の半導体チップ11の動作を個別に確認するためのFTを実行した後、S107において、PLP形成装置500が、そのFTの結果として良品と判定された複数の半導体チップ11を用いて、複数のデバイス110が形成する。より具体的には、PLP形成装置500は、それぞれが半導体チップ11を含む個片化前の複数のデバイス110が形成されたPLP100を形成する。
【0031】
PLP100は、ウェハ10よりもサイズが大きく、ウェハ10と比較して搭載される半導体チップ11の個数も多い。PLP100は、例えば、500mm×500mmまたは500mm×600mmの方形板状の外形を有してもよい。本実施形態によるPLP100には、複数のデバイス110がマトリクス状に配列されている。
【0032】
S109において、バーンイン(Burn-in:BI)試験装置600が、PLP100の個片化前の複数のデバイス110に対してBI試験を行う。BI試験装置600は、PLP100をそのまま加熱炉内に収容し、PLP100における複数のデバイス110に温度や電圧のストレスを加えながら、各デバイス110のFTを行う。
【0033】
BI試験装置600によるFTでは、PLP100の端部の表面から露出している、デバイス110の半導体チップ11の内部回路に接続されたパッドが使用される。BI試験装置600によるFTでは、複数のデバイス110の動作を個別に確認するために、各デバイス110の機能試験を行う。BI試験装置600は、複数のデバイス110をそれぞれ識別して、デバイス110ごとに良品不良品を判断してもよい。
【0034】
S111において、FT装置700が、複数の異なる温度条件下でPLP100の個片化前の複数のデバイス110に対してFTを行う(ステップS111)。ステップS111では、FT装置700は、PLP100をそのまま使用して、PLP100の温度調整をしながら複数のデバイス110のFTを行う。
【0035】
FT装置700によるFTでは、デバイス110の表面から露出している、デバイス110の半導体チップ11の内部回路に接続された端子が使用される。FT装置700によるFTは、複数のデバイス110の動作を個別に確認するための試験、例えばデバイス110の機能試験や、デバイス110の半導体チップ11のBIST回路を用いたBIST試験であってもよい。FT装置700は、複数のデバイス110をそれぞれ識別して、デバイス110ごとに良品不良品を判断してもよい。
【0036】
S109からS111に亘って、PLP100における複数のデバイス110に対してBI試験やFTを行った後、S113において、ボール付け装置800がPLP100の複数のデバイス110に対してボール付けを行う。
【0037】
S115において、個片化装置300が、PLP100から複数のデバイス110を切り出して個片化する。S115で複数のデバイス110を個片化する装置は、S103で複数の半導体チップ11を個片化する装置と同じであっても異なっていてもよい。
【0038】
S117において、選別装置900が、S109からS111の一方又は両方の試験の結果を用いて、個片化後の複数のデバイス110から特定のデバイス110を選別し、本フローは終了する。S117において、選別装置900は、例えばデバイス110の良し悪しを、BI試験結果およびFT結果のそれぞれが予め定められた基準を満たすか否かに基づいて判断してもよく、BI試験結果およびFT結果を総合的に見て、予め定められた総合的な基準を満たすか否かに基づいて判断してもよい。
【0039】
以上のS101からS117のうち、一部のステップは省略されてもよく、また、これらのステップの間に他のステップが組み込まれてもよい。例えば、S101は、省略されてもよい。また、S117の後に、例えばFT装置700が、個片化された複数のデバイス110のそれぞれに対して個別のFTを改めて行ってもよい。
【0040】
図2は、PLP100の一例の模式的な平面図である。図2においては、説明を明確にするために、PLP100の内部に埋め込まれている一部の構成も示す。図2において、PLP100の一部の領域101を四角い破線で示し、当該領域101に含まれる個片化前のデバイス110も同様に四角い破線で示す。また、図2において、XYZ軸を示し、紙面に向かって右方向をX軸正方向、紙面に向かって上方向をY軸正方向、紙面の奥から手前に向かう方向をZ軸正方向と定義する。以降の各図においても同様にXYZ軸を示し、各図のXYZ軸は相互に対応するため、重複する説明を省略する。
【0041】
本実施形態によるPLP100は、XY平面において、X軸方向に延びる二辺とY軸方向に延びる二辺とから成る方形の輪郭を有する。上述のマトリクス状に配列されている複数のデバイス110について、当該マトリクスの行方向はX軸方向に平行であってもよく、この場合、当該マトリクスの列方向はY軸方向に平行である。以降の説明において、PLP100の各辺をカードエッジと称する場合がある。
【0042】
また、本実施形態によるPLP100は、異なるXY平面内に、互いに対向する表面と裏面とを有する。図2には、PLP100の表面を示す。PLP100の裏面は、BI試験装置600等の載置部に載置される面であり、PLP100の表面は、裏面の反対側の面であって、BI試験装置600およびFT装置700の各コンタクタが接触する面である。
【0043】
図3は、図2における領域101の部分拡大図である。図3では、図2と同様、説明を明確にするために、PLP100の内部に埋め込まれている一部の構成、すなわち、半導体チップ11、再配線層(RDL:Redistribution Layer)130の引出配線131、および、ヒューズ180を示す。図3において、領域101に含まれる個片化前のデバイス110を四角い破線で示し、また、引出配線131を直線状の破線で示す。
【0044】
PLP100は、再配線層130と、複数のパッド170とを有する。PLP100は更に、ボール用パッド150および犠牲パッド160を有してもよい。PLP100はまた、ヒューズ180および位置決め用部材190を有してもよい。
【0045】
再配線層130は、複数の半導体チップ11のそれぞれの内部回路に接続される複数の引出配線131を含む。再配線層130は、例えば銅などの導電性部材によって形成されている。複数の引出配線131は、PLP100においてX軸方向に延在する配線である。
【0046】
複数のパッド170は、PLP100の表面に露出する。複数のパッド170は、PLP100の外形を成す方形の四辺のうち、上述したマトリクスの行方向の一辺側、すなわちX軸負方向側のカードエッジに設けられる。
【0047】
複数のパッド170は、複数の半導体チップ11のうち、当該マトリクスの各行の各半導体チップ11の内部回路に対して、複数の引出配線131を介して接続される。換言すると、複数のパッド170はそれぞれ、PLP100においてX軸方向に延在する複数の引出配線131のそれぞれによって、当該マトリクスにおける同じ行に位置する複数の半導体チップ11の少なくとも何れかの内部回路に接続されている。更に換言すると、半導体チップ11の内部回路は、1または複数の引出配線131によって、当該マトリクスにおける同じ行に位置する1または複数のパッド170に接続されている。なお、複数のパッド170は、複数の接触端子の一例である。接触端子は、パッド170に代えて、コネクタであってもよい。
【0048】
ボール用パッド150および犠牲パッド160は、PLP100の表面に露出する。ボール用パッド150および犠牲パッド160は、再配線層130を介して半導体チップ11の内部回路に接続されている。ボール用パッド150および犠牲パッド160は、デバイス110上に形成されている。なお、犠牲パッド160は、PLP100の表面に露出する、デバイス110の少なくとも1つの端子の一例である。犠牲パッド160はまた、上述した、デバイス110の表面から露出している、デバイス110の半導体チップ11の内部回路に接続された端子の一例である。
【0049】
ボール用パッド150は、ボール付け装置800によってボールが搭載されるためのパッドであり、犠牲パッド160は、ボールが搭載されないパッドである。また、ボール用パッド150は、FT装置700のコンタクタが接触しないパッドであり、犠牲パッド160は、FT装置700のコンタクタが接触するパッドである。
【0050】
ヒューズ180は、複数の引出配線131の少なくとも何れかに設けられる。ヒューズ180は、半導体チップ11の内部回路などでショートが生じて発火することを抑止する。位置決め用部材190は、BI試験装置600およびFT装置700の各コンタクタをPLP100に対して位置合わせするための部材であって、例えば孔であってもよい。位置決め用部材190は、BI試験装置600およびFT装置700の各コンタクタに設けられた位置決め用部材と相補的な形状を有する。
【0051】
図4は、図3のI-I′線におけるPLP100の模式的な断面図である。図3ではI-I′線を1つのデバイス110上に示しており、よって図4は、PLP100における個片化前のデバイス110の模式的な断面図でもある。
【0052】
PLP100は更に、基板120と、封止部140とを有する。基板120は、XY平面において方形の外形を有し、PLP100のXY平面における輪郭を形成する。基板120は、例えばスチールなどの高剛性の金属によって形成されてもよく、高剛性の硬化性樹脂によって形成されてもよい。基板120として、例えば特開2018-006408号公報で開示されている支持用平板1を用いてもよい。
【0053】
基板120上には、複数の半導体チップ11がマトリクス状に配列されており、基板120上の各半導体チップ11は、例えば接着剤によって基板120上に固定されていてもよい。封止部140は、再配線層130を樹脂などの封止材料で封止する。
【0054】
図5は、半導体チップ11のFTを行う第2予備FT装置400の一例の模式図である。図5において、装置の移動方向を黒塗りの矢印で示す。以降の図においても同様とし、重複する説明を省略する。
【0055】
第2予備FT装置400は、一例として、試験装置410と、コンタクタ420と、スライダ430とを有する。試験装置410は、コンタクタ420に接続されており、コンタクタ420を用いて、ウェハ10の複数の半導体チップ11を個別にFTする。
【0056】
スライダ430は、コンタクタ420を保持した状態で、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに移動可能である。第2予備FT装置400は、ウェハ10上でX軸方向およびY軸方向のそれぞれに並べられている複数の半導体チップ11にコンタクタ420を順次接触させるべく、コンタクタ420を保持するスライダ430を駆動して、コンタクタ420をX軸方向およびY軸方向のそれぞれに移動させるよう制御してもよい。
【0057】
図6は、PLP100において複数のデバイス110を形成するPLP形成装置500の一例の模式図である。PLP形成装置500は、一例として、搬送台510と、接着剤供給部520と、第1スライダ530と、チップ配列部540と、第2スライダ550とを有する。
【0058】
搬送台510は、PLP100用の基板120を一方向に搬送するための移動テーブルである。接着剤供給部520は、搬送台510によって搬送されてきた基板120の表面に、半導体チップ11を基板120に固定するための接着剤を供給する。図6には、接着剤供給部520による接着剤の供給が完了していない未供給位置125を四角い枠で示し、接着剤供給部520によって接着剤の供給が完了した供給完了位置123を、当該四角い枠内の記号×で示す。
【0059】
第1スライダ530は、搬送台510上で接着剤供給部520を保持した状態で、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに移動可能である。PLP形成装置500は、基板120上でX軸方向およびY軸方向のそれぞれに並べられている未供給位置125上に接着剤供給部520を接近させるべく、接着剤供給部520を保持する第1スライダ530を駆動して、第1スライダ530をX軸方向およびY軸方向のそれぞれに移動させるよう制御してもよい。
【0060】
チップ配列部540は、ウェハ10の複数の半導体チップ11から、第2予備FT装置400で良品と判定された複数の半導体チップ11をピックアップし、搬送台510によって搬送されてきた基板120の表面の供給完了位置123にプレースする。これにより、基板120上には、複数の半導体チップ11がマトリクス状に配列される。
【0061】
第2スライダ550は、搬送台510上でチップ配列部540を保持した状態で、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに移動可能である。PLP形成装置500は、基板120上でX軸方向およびY軸方向のそれぞれに並べられている供給完了位置123上にチップ配列部540を接近させるべく、チップ配列部540を保持する第2スライダ550を駆動して、第2スライダ550をX軸方向およびY軸方向のそれぞれに移動させるよう制御してもよい。
【0062】
PLP形成装置500は、図6に示すように複数の半導体チップ11を基板120上にマトリクス状に配列させ、基板120上の複数の半導体チップ11をまとめてパッケージングすることにより、図2に示したPLP100を形成する。
【0063】
図7は、PLP100における個片化前の複数のデバイス110をBI試験するBI試験装置600の一例のブロック図である。図7において、BI試験装置600に収容されているPLP100を破線で示す。また、図7において、信号の流れ方向を矢印で示し、以降の図においても同様とする。
【0064】
BI試験装置600は、コントローラ601と、搬送部605と、載置部620と、キャップ保持部611と、キャップ610と、温度調整部625と、ヒータ626と、冷媒供給部628と、冷媒ライン627と、コンタクタ640と、試験ボード630と、試験回路631と、を備える。
【0065】
コントローラ601は、予め定められた温度条件下で各デバイス110の動作試験を行なうためにBI試験装置600内の各部を制御する。本実施形態において、コントローラ601は、試験ボード630等が設けられる筐体や載置部620とは別筐体であるが、試験ボード630等または載置部620と同じ筐体に設けられてもよい。
【0066】
コントローラ601は、制御用コンピュータ、ワークステーション、サーバコンピュータ、汎用コンピュータ、またはPC(パーソナルコンピュータ)等のコンピュータであってよい。コントローラ601は、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。また、コントローラ601は、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、コントローラ601は、デバイスの動作試験用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。
【0067】
コントローラ601は、搬送部605に対して、BI試験装置600の加熱炉内にある載置部620にBI試験前のPLP100を載置すること、および、BI試験済のPLP100を載置部620から搬出することを指示する。コントローラ601はまた、キャップ保持部611に対して、BI試験前のPLP100が載置された状態の載置部620上にキャップ610を被せること、および、BI試験済のPLP100が載置された状態の載置部620上からキャップ610を外して保持することを指示する。
【0068】
コントローラ601はまた、PLP100内の各デバイス110の動作試験を制御する。コントローラ601は、コンピュータにより実現される場合、試験制御プログラムを実行することにより各デバイス110の動作試験を制御してよい。コントローラ601は、載置部620に対して、載置面に載置されるPLP100を吸着保持すること、および、PLP100の複数のデバイス110に接続された複数のパッド170をコンタクタ640の複数の接触子642にまとめて接触させることを指示する。
【0069】
コントローラ601は、温度調整部625に対して動作試験の温度条件を指示して、温度調整部625によりPLP100のデバイス110の温度を調整させる。コントローラ601は、試験ボード630内の試験回路631に試験プログラムを供給して試験回路631により実行させる。コントローラ601は、各デバイス110の試験結果を収集して記録する。
【0070】
載置部620は、コントローラ601からの指示を受けて、載置面上のPLP100を吸着保持する。本実施形態に係る載置部620は、真空チャックを有してもよい。載置部620は、載置面と、載置面に設けられたシーリング部材621と、シーリング部材621上に被せられるキャップ610との間の空間を真空にすることにより、載置面上のPLP100を吸着保持してもよい。これに代えて、載置部620は、静電チャックを有してもよい。また、載置部620には、PLP100が載置される載置面を均一に加熱および冷却できるよう、ヒータ626および冷媒ライン627が設けられている。
【0071】
載置部620は、PLP100を移動可能に支持する。載置部620は、PLP100をXYZ方向に移動可能であってもよい。載置部620は、PLP100の上面に対して垂直な鉛直軸を中心としてPLP100を回転可能であってよい。載置部620は、コントローラ601からの指示を受けて、PLP100を移動することにより、載置面に載置されたPLP100のX軸負方向側のカードエッジに設けられている複数のパッド170を、載置部620のZ軸正方向側に固定されているコンタクタ640の複数の接触子642にまとめて接触させる。
【0072】
温度調整部625は、載置部620に設けられており、コントローラ601に接続される。温度調整部625は、コントローラ601と同様にコンピュータによって実現されてよく、コントローラ601と同一のコンピュータを用いて実現されてもよい。これに代えて、温度調整部625は、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってよい。
【0073】
温度調整部625は、コントローラ601からの指示を受けて、ヒータ626と冷媒供給部628とを制御することにより、載置部620に載置されているPLP100の各デバイス110の温度を目標温度に近づける温度制御を実行する。温度調整部625は、コンピュータにより実現される場合、温度制御プログラムを実行することにより当該温度制御を実行してよい。
【0074】
温度調整部625はまた、一例として、ヒータ626を温度センサとして機能させる。ヒータ626は流れる電流に応じた熱を発生する抵抗体であるところ、抵抗体の抵抗値は温度によって変化する。そこで、温度調整部625は、温度を測定するタイミングにおいて、ヒータ626による加熱を停止し、予め定められた測定用電流をヒータ626に流してもよい。そして、温度調整部625は、測定用電流を流したヒータ626の両端に生じる電位差を測定することにより、温度に応じて変化する温度計測値を取得してもよい。温度調整部625は、このような温度計測値を、温度(℃)を示す温度データに変換してもよい。
【0075】
温度調整部625は、ヒータ626を温度センサとして機能させることに代えて、載置部620の載置面の全体に亘って一様に設けられた複数の温度センサを有してもよく、温度センサの温度計測値を取得してもよい。温度センサは、サーマルダイオード、測温抵抗体、または熱電対等を用いた温度センサであってもよい。温度計測値は、温度センサの種類に応じて電圧、電流、または抵抗値等を示す値であってよい。
【0076】
冷媒供給部628は、温度調整部625に接続される。冷媒供給部628は、液体または気体の冷媒を冷媒ライン627へと供給し、冷媒ライン627から戻ってきた冷媒を温度調整部625により指定された温度まで冷却して冷媒ライン627へと循環させる。
【0077】
試験回路631は、コントローラ601に接続される。試験回路631は、試験対象のデバイス110との間で信号を送受信して当該デバイス110の良否を判定するための各種の回路を含んでよい。例えば、試験回路631は、試験プログラムを実行して試験回路631内の各部を制御するサイトコントローラ、試験パターンを発生するパターン発生器、タイミングを発生するタイミング発生器、タイミング発生器により発生されたタイミングを用いて試験パターンを整形して試験信号を出力する波形整形器、試験信号を増幅して試験対象のデバイス110へと出力するドライバ回路、試験対象のデバイス110からの応答信号を目標値と比較する比較器、または比較器による比較結果を用いて試験対象のデバイス110の良否を判定する判定器のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0078】
試験回路631は、複数の端子632を有する。試験回路631の各端子632は、信号ケーブルを介して、コンタクタ640の各接触子642と電気的に接続されている。コンタクタ640の各接触子642は、例えば同軸ポゴピンであってもよい。各接触子642は、一端が試験回路631の各端子632に電気的に接続され、他端がPLP100の複数のパッド170に接触する。これにより、各接触子642は、試験回路631の各端子632とPLP100の各パッド170との間を電気的に接続する。すなわち、各接触子642は、当該パッド170に接続されているデバイス110に、試験回路631の各端子632を電気的に接続する。
【0079】
なお、以上に示したBI試験装置600は、試験装置の構成の一例を示したものであり、各部の機能、構造、および配置には様々なバリエーションが存在する。また、BI試験装置600は、実行する動作試験の内容に応じて、一部の構成を有していなくてもよく、追加の構成を有していてもよい。
【0080】
図8は、BI試験装置600の動作フローの一例を示す。図8のフローは、図1のフローにおけるS109の詳細に相当する。
【0081】
S601において、BI試験装置600は、BI試験装置600の加熱炉内にある載置部620にPLP100を載置する。コントローラ601は、次のPLP100のBI試験を開始することができる状態となった場合に、PLP100を載置部620に載置するよう搬送部605に指示する。
【0082】
S603において、BI試験装置600は、PLP100の複数のパッド170にコンタクタ640の複数の接触子642を接触させる。より具体的には、BI試験装置600内の載置部620が、コントローラ601からの指示を受けて、複数のパッド170のそれぞれが対応する接触子642の直下に位置するようにXY方向に移動した後、接触子642に向かってZ方向に移動(図7の例においては上昇)させることにより、各パッド170を各接触子642に接触させる。
【0083】
BI試験装置600は、PLP100に形成された全デバイス110のBI試験が終了するまでS605からS615までの間のBI試験処理を繰り返す。BI試験では、多数のデバイス110を同時にBI試験する必要がある。上述の通り、PLP100における複数のデバイス110は、PLP100上でマトリクス状に配列されている。BI試験装置600の試験回路631は、当該マトリクスの行方向に並んだデバイス110の組に対して、端子632、接触子642、パッド170を順に経由してPLP100の行方向の一辺側から信号を流す。これにより、試験回路631は、当該組に含まれる複数のデバイス110をまとめて機能試験する。
【0084】
PLP100に形成されている複数のデバイス110が、N行×M列のマトリクス状に配列されている場合、試験回路631は、PLP100におけるN行全てのデバイス110の組に対して同時に信号を流すことによって、PLP100における全てのデバイス110をまとめて機能試験してもよい。この場合には、上述のBI試験処理は1回となる。試験回路631は、PLP100における組ごとに順に信号を流すことによって、PLP100における全てのデバイス110を機能試験してもよい。この場合には、BI試験処理はN回繰り返す。なお、試験回路631は、例えば10MHzほどの低速で当該機能試験を行ってもよい。
【0085】
S607において、温度調整部625は、コントローラ601からの指示を受けて、ヒータ626による加熱を停止し、予め定められた測定用電流を流したヒータ626の両端に生じる電位差を測定することにより、載置部620の載置面における温度計測値を取得する。
【0086】
S609において、温度調整部625は、コントローラ601からの指示を受けて、ヒータ626と冷媒供給部628とを制御し、載置部620に載置されているPLP100の各デバイス110の温度を目標温度に近づける温度制御を実行する。温度調整部625は、ヒータ626と冷媒供給部628とを制御して、PLP100における載置部620側の面を均一に目標温度に近づけるように当該温度制御を実行してもよい。目標温度は、BI試験装置600が実行する試験の仕様に応じて予め定められる。温度調整部625は、コントローラ601からの指示を受けて、目標温度を設定してよい。
【0087】
本実施形態において、温度調整部625は、ヒータ626に流す電流の大きさを調整することにより、ヒータ626の発熱量を制御する。載置部620の載置面は、ヒータ626の発熱量が大きいほど温度が高くなる。本実施形態においては、冷媒供給部628は、載置部620の載置面を全体に亘って一様に冷却する。したがって、載置部620の載置面は、ヒータ626の発熱量が冷却による放熱量よりも小さくなると温度が低下する。冷媒供給部628は、冷媒ライン627に供給する冷媒の温度を予め定められた温度としてよい。これに代えて、温度調整部625は、冷媒供給部628が冷媒ライン627に供給する冷媒の温度を、冷媒供給部628に設定してもよい。
【0088】
S611において、コントローラ601は、温度調整部625から入力される温度計測値に基づく温度データが示す温度が目標温度±許容誤差の範囲である目標範囲内となったか否かを判定する。温度データが示す温度が目標範囲内となっていない場合、コントローラ601は、処理をS607へと進めて温度調整部625によるデバイス110の温度調整を継続させる。温度データが示す温度が目標範囲内となっている場合、コントローラ601は、処理をS613へと進める。
【0089】
S613において、BI試験装置600は、加熱炉内にある載置部620にPLP100を載置した状態で、PLP100の各デバイス110をBI試験する。BI試験装置600は、複数のデバイス110をそれぞれ識別して、デバイス110ごとに良品不良品を判断してもよい。BI試験装置600は、全デバイス110についてS605からS615までのBI試験処理が終了したことに応じて、PLP100のBI試験を完了する。なお、BI試験装置600は、ヒータ626と冷媒供給部628とを制御することにより、複数の異なる温度条件下で、PLP100の複数のデバイス110のBI試験を行ってもよい。
【0090】
本実施形態による試験方法との比較例として、BIボード(Burn-in Board:BIB)を用いるBI試験が考えられる。比較例では、個片化された複数のデバイスをピックアップして、BIB上へマトリクス状にプレースする。BIBには、複数のデバイスが配置される各位置にソケットが設けられており、BIB上にプレースされた各デバイスは各ソケットに接続される。
【0091】
比較例では、デバイスが載せられたBIBをBI試験装置の加熱炉内で加熱するが、上述のソケットは、デバイスと共に加熱炉内で加熱される。BIB上の複数のデバイスは、BI試験が終わるとBIB上からピックアップされる。比較例のBIBは、このようなBI試験で繰り返し使用される。よって、比較例では、BIBがBI試験で使用される度に、BIBのソケットがデバイスと共にBI試験装置内で加熱される。その結果、比較例では、BIBのソケットの劣化が著しくなり、ソケットが使用できなくなるとBIBごと交換せざるを得なくなる。BIBは非常に高価なため、比較例のBI試験ではコストが嵩んでしまう。
【0092】
これに対して、本実施形態による試験方法は、個片化前の複数のデバイス110がマトリクス状に形成されたPLP100を載置部620に載置することと、PLP100における当該マトリクスの行方向の一辺側に設けられ、複数のデバイス110のうち各行の各デバイス110の内部回路に対して複数の引出配線131を介して接続される複数のパッド170に、試験回路631の複数の端子632に電気的に接続された複数の接触子642をそれぞれ接触させることと、試験回路631が複数の接触子642を介して電気的に接続された各行の各デバイス110を試験することとを備える。本実施形態による試験方法は、BI試験装置600の加熱炉内にある載置部620にPLP100を載置した状態で、各行の各デバイス110をBI試験してもよい。
【0093】
このように、本実施形態による試験方法によれば、BI試験を行う場合に、BIBを用いず、PLP100の状態のまま、PLP100における個片化前の複数のデバイス110を試験する。PLP100は、BIBと異なり、BI試験の度に繰り返し加熱されない。従って、本実施形態の試験方法によれば、上記の比較例における、BIB交換のコストが嵩んでしまうといった問題を回避できる。また、本実施形態の試験方法によれば、上記の比較例における、個片化された各デバイスをピックアップしてBIB上にプレースする、という工程を省略できる。よって、本実施形態の試験方法によれば、比較例と比べて、試験時間を大幅に短縮できる。よって、本実施形態の試験方法を備える製造方法によっても、これらの有利な効果を奏する。
【0094】
図9は、BI試験装置600の一例の外観の模式図である。BI試験装置600は更に、一例として、パネルカセット602と、ストッカ603と、複数のスロット609を含むテストサイト607と、を有する。図9に示す搬送部605は、図7に示した搬送部605に対応する。スロット609は上述の加熱炉に対応し、パネルカセット602およびストッカ603は当該加熱炉外にある。
【0095】
パネルカセット602は、複数のPLP100を収容する箱である。ストッカ603は、パネルカセット602に収容されているPLP100がBI試験される前後で、パネルカセット602ごとストックする棚である。ストッカ603は、ソーク部604と、アンソーク部606とを含む。
【0096】
ソーク部604は、BI試験する対象、すなわちBI試験前のPLP100を収容しているパネルカセット602を1つ又は複数収容する。ソーク部604は、PLP100がBI試験される前に、当該PLP100を予め定められた温度まで加熱する。当該予め定められた温度は、PLP100の各デバイス110を加熱する場合における上述の目標温度よりも低くてもよい。具体的な一例として、ソーク部604はチャンバ構造であってもよく、BI試験装置600は、チャンバ構造のソーク部604内に温風を送り込むことにより、PLP100を予め定められた温度までプリヒートしてもよい。このように、BI試験装置600によれば、PLP100をBI試験する前に加熱しておくことにより、BI試験においてPLP100の各デバイス110の温度を上述の目標温度に近づけるまでの時間を短縮することができる。
【0097】
アンソーク部606は、BI試験した後のPLP100を収容しているパネルカセット602を1つ又は複数収容する。アンソーク部606は、PLP100がBI試験された後に、当該PLP100を予め定められた温度まで冷却する。当該予め定められた温度は、常温であってもよく、この場合、アンソーク部606はPLP100を自然空冷させてもよい。このように、BI試験装置600によれば、BI試験した後のPLP100が次の工程で使用される前に、PLP100を冷却しておく、例えば常温に復帰させておくことにより、当該PLP100に関して、BI試験が完了してから次の工程が開始されるまでの時間を短縮することができる。
【0098】
搬送部605は、パネルカセット602を保持した状態で、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれに移動可能である。搬送部605は、BI試験する対象のPLP100を収容しているパネルカセット602ごとストッカ603のソーク部604から搬出し、パネルカセット602を所定のテストサイト607のスロット609前に移動させ、パネルカセット602から対象のPLP100を取り出してスロット609内へと搬入する。
【0099】
搬送部605は、スロット609内へPLP100を搬入すると、スロット609内にある載置部620にPLP100を載置する。より具体的には、搬送部605は、PLP100を、複数のパッド170が設けられているカードエッジ側からスロット609内へと挿入し、PLP100の向きを変えずに載置部620に載置する。
【0100】
搬送部605はまた、BI試験した後のPLP100をテストサイト607のスロット609内から搬出し、パネルカセット602内に収容して、ストッカ603前に移動させ、パネルカセット602ごとストッカ603のアンソーク部606へと搬入する。
【0101】
テストサイト607の複数のスロット609はそれぞれ、上述の加熱炉に対応している。複数のスロット609は、互いに非同期的にPLP100をBI試験してもよい。各スロット609におけるBI試験のテスト時間は、各スロット609に搬入されたPLP100に形成されているデバイス110の不良個数または不良率に応じて異なる場合がある。仮に、テストサイト607全体が1つのチャンバ構造のようになっていると、テストサイト607内にある複数のPLP100のBI試験が全て終了しなければ、各PLP100をテストサイト607から搬出することができず、不要な待機時間が生じる。これに対して、本実施形態のBI試験装置600によれば、各スロット609が他のスロット609から独立して動作する、すなわち非同期的にPLP100をBI試験する。具体的には、BI試験装置600は、複数のスロット609にある加熱炉のそれぞれにおいて、一のPLP100のBI試験が完了次第、他のPLP100のBI試験に切り替える。より具体的には、BI試験装置600は、テストサイト607内にある複数のPLP100をそれぞれ、BI試験が完了次第、各スロット609から搬出し、且つ、PLP100が搬出されたスロット609から順次、次のPLP100を搬入してBI試験を開始する。従って、本実施形態のBI試験装置600によれば、不要な待機時間が生じることを回避できる。
【0102】
図10は、BI試験装置600の一例においてPLP100のパッド170にコンタクタ640の接触子642を接触させる方法を説明するための模式的な平面図であり、図11は、図10に対応する模式的な側面図である。図10および図11において、試験ボード630の試験回路631を破線で示す。
【0103】
BI試験装置600のコンタクタ640は、PLP100が有する位置決め用部材190と対応する位置決め用部材643を有してもよい。位置決め用部材643は、例えばPLP100の位置決め用部材190が孔である場合に、ピンであってもよい。
【0104】
PLP100は、X軸正方向からX軸負方向に向かって、複数のパッド170が設けられているカードエッジ側からBI試験装置600の加熱炉内へと挿入され、その向きのまま加熱炉内の載置部620に載置される。載置部620は、コントローラ601からの指示を受けて、PLP100を吸着保持したままXYZ軸方向に移動し、PLP100の位置決め用部材190およびコンタクタ640の位置決め用部材643を用いて、コンタクタ640およびPLP100を位置決めしてもよい。載置部620は、コンタクタ640およびPLP100を位置決めしてから、PLP100のX軸負方向側のカードエッジに設けられている複数のパッド170に、載置部620のZ軸正方向側に固定されているコンタクタ640の複数の接触子642をそれぞれ接触させてもよい。
【0105】
図12は、PLP100における個片化前の複数のデバイス110をFTするFT装置700の一例のブロック図である。図12において、FT装置700に収容されているPLP100を破線で示す。
【0106】
FT装置700は、コントローラ701と、搬送部705と、載置部720と、温度調整部725と、ヒータ726と、冷媒供給部728と、冷媒ライン727と、第1コンタクタ740と、第1試験ボード730と、第1試験回路731と、を備える。
【0107】
コントローラ701は、予め定められた温度条件下で各デバイス110の動作試験を行なうためにFT装置700内の各部を制御する。本実施形態において、コントローラ701は、第1試験ボード730等が設けられる筐体や載置部720とは別筐体であるが、第1試験ボード730等または載置部720と同じ筐体に設けられてもよい。
【0108】
コントローラ701は、制御用コンピュータ、ワークステーション、サーバコンピュータ、汎用コンピュータ、またはPC(パーソナルコンピュータ)等のコンピュータであってよい。コントローラ701は、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。また、コントローラ701は、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、コントローラ701は、デバイスの動作試験用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。
【0109】
コントローラ701は、搬送部705に対して、FT装置700の載置部720にFT試験前のPLP100を載置すること、および、FT試験済のPLP100を載置部720から搬出することを指示する。
【0110】
コントローラ701はまた、PLP100内の各デバイス110の動作試験を制御する。コントローラ701は、コンピュータにより実現される場合、試験制御プログラムを実行することにより各デバイス110の動作試験を制御してよい。コントローラ701は、載置部720に対して、載置面に載置されるPLP100を吸着保持すること、および、PLP100の複数のデバイス110上に形成されている複数の犠牲パッド160を第1コンタクタ740の複数の接触子742にまとめて接触させることを指示する。
【0111】
コントローラ701は、温度調整部725に対して動作試験の温度条件を指示して、温度調整部725によりPLP100のデバイス110の温度を調整させる。コントローラ701は、第1試験ボード730内の第1試験回路731に試験プログラムを供給して第1試験回路731により実行させる。コントローラ701は、各デバイス110の試験結果を収集して記録する。
【0112】
載置部720は、コントローラ701からの指示を受けて、載置面上のPLP100を吸着保持する。本実施形態に係る載置部720は、真空チャックや静電チャックなどを有してもよい。また、載置部720には、PLP100が載置される載置面を均一に加熱および冷却できるよう、ヒータ726および冷媒ライン727が設けられている。
【0113】
載置部720は、PLP100を移動可能に支持する。載置部720は、PLP100をXYZ方向に移動可能であってもよい。載置部720は、PLP100の上面に対して垂直な鉛直軸を中心としてPLP100を回転可能であってよい。載置部720は、コントローラ701からの指示を受けて、PLP100を移動することにより、載置面に載置されたPLP100の複数のデバイス110上に形成されている複数の犠牲パッド160を、載置部720のZ軸正方向側に固定されている第1コンタクタ740の複数の接触子742にまとめて接触させる。
【0114】
温度調整部725は、載置部720に設けられており、コントローラ701に接続される。温度調整部725は、コントローラ701と同様にコンピュータによって実現されてよく、コントローラ701と同一のコンピュータを用いて実現されてもよい。これに代えて、温度調整部725は、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってよい。
【0115】
温度調整部725は、コントローラ701からの指示を受けて、ヒータ726と冷媒供給部728とを制御することにより、載置部720に載置されているPLP100の各デバイス110の温度を目標温度に近づける温度制御を実行する。温度調整部725は、コンピュータにより実現される場合、温度制御プログラムを実行することにより当該温度制御を実行してよい。
【0116】
温度調整部725はまた、一例として、ヒータ726を温度センサとして機能させる。温度調整部725は、温度を測定するタイミングにおいて、ヒータ726による加熱を停止し、予め定められた測定用電流をヒータ726に流してもよい。そして、温度調整部725は、測定用電流を流したヒータ726の両端に生じる電位差を測定することにより、温度に応じて変化する温度計測値を取得してもよい。温度調整部725は、このような温度計測値を、温度(℃)を示す温度データに変換してもよい。
【0117】
温度調整部725は、ヒータ726を温度センサとして機能させることに代えて、載置部720の載置面の全体に亘って一様に設けられた複数の温度センサを有してもよく、温度センサの温度計測値を取得してもよい。温度センサは、サーマルダイオード、測温抵抗体、または熱電対等を用いた温度センサであってもよい。温度計測値は、温度センサの種類に応じて電圧、電流、または抵抗値等を示す値であってよい。
【0118】
冷媒供給部728は、温度調整部725に接続される。冷媒供給部728は、液体または気体の冷媒を冷媒ライン727へと供給し、冷媒ライン727から戻ってきた冷媒を温度調整部725により指定された温度まで冷却して冷媒ライン727へと循環させる。
【0119】
第1試験回路731は、コントローラ701に接続される。第1試験回路731は、試験対象のデバイス110との間で信号を送受信して当該デバイス110の良否を判定するための各種の回路を含んでよい。例えば、第1試験回路731は、試験プログラムを実行して第1試験回路731内の各部を制御するサイトコントローラ、試験パターンを発生するパターン発生器、タイミングを発生するタイミング発生器、タイミング発生器により発生されたタイミングを用いて試験パターンを整形して試験信号を出力する波形整形器、試験信号を増幅して試験対象のデバイス110へと出力するドライバ回路、試験対象のデバイス110からの応答信号を目標値と比較する比較器、または比較器による比較結果を用いて試験対象のデバイス110の良否を判定する判定器のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0120】
第1試験回路731は、複数の端子732を有する。第1試験回路731の各端子732は、信号ケーブルを介して、第1コンタクタ740の各接触子742と電気的に接続されている。コンタクタの各接触子742は、一端が第1試験回路731の各端子732に電気的に接続され、他端がPLP100の複数の犠牲パッド160に接触する。これにより、各接触子742は、第1試験回路731の各端子732とPLP100の各犠牲パッド160との間を電気的に接続する。すなわち、各接触子742は、当該犠牲パッド160に接続されているデバイス110に、第1試験回路731の各端子732を電気的に接続する。
【0121】
なお、以上に示したFT装置700は、試験装置の構成の一例を示したものであり、各部の機能、構造、および配置には様々なバリエーションが存在する。また、FT装置700は、実行する動作試験の内容に応じて、一部の構成を有していなくてもよく、追加の構成を有していてもよい。
【0122】
図13は、FT装置700の動作フローの一例を示す。図13のフローは、図1のフローにおけるS111の詳細に相当する。
【0123】
S701において、FT装置700は、FT装置700の載置部720にPLP100を載置する。コントローラ701は、次のPLP100のFTを開始することができる状態となった場合に、PLP100を載置部720に載置するよう搬送部705に指示する。
【0124】
S703において、FT装置700は、PLP100の複数の犠牲パッド160に第1コンタクタ740の複数の接触子742をそれぞれ接触させる。より具体的には、FT装置700内の載置部720が、コントローラ701からの指示を受けて、複数の犠牲パッド160のそれぞれが対応する接触子742の直下に位置するようにXY方向に移動した後、接触子742に向かってZ方向に移動(図12の例においては上昇)させることにより、各犠牲パッド160を各接触子742に接触させる。
【0125】
FT装置700は、PLP100に形成された全デバイス110のFTが終了するまでS705からS715までの間のFT処理を繰り返す。PLP100がN個のデバイス110を有し、FT装置700の第1試験回路731が同時に1つのデバイス110のみをFTすることができる場合、第1試験回路731は、1つずつのデバイス110のFT試験処理をN回繰り返す。FT装置700の第1試験回路731が同時にK個(2個、4個等)のデバイス110を試験することができる場合、第1試験回路731は、K個ずつのデバイス110のFT試験処理をN/K回繰り返してよい。これにより、第1試験回路731は、複数のデバイス110の動作を個別に確認するためのFTを実行する。
【0126】
S707において、温度調整部725は、コントローラ701からの指示を受けて、ヒータ726による加熱を停止し、予め定められた測定用電流を流したヒータ726の両端に生じる電位差を測定することにより、載置部720の載置面における温度計測値を取得する。
【0127】
S709において、温度調整部725は、コントローラ701からの指示を受けて、ヒータ726と冷媒供給部728とを制御し、載置部720に載置されているPLP100の各デバイス110の温度を目標温度に近づける温度制御を実行する。温度調整部725は、ヒータ726と冷媒供給部728とを制御して、PLP100における載置部720側の面を均一に目標温度に近づけるように当該温度制御を実行してもよい。目標温度は、FT装置700が実行する試験の仕様に応じて予め定められる。温度調整部725は、コントローラ701からの指示を受けて、目標温度を設定してよい。
【0128】
本実施形態において、温度調整部725は、ヒータ726に流す電流の大きさを調整することにより、ヒータ726の発熱量を制御する。載置部720の載置面は、ヒータ726の発熱量が大きいほど温度が高くなる。本実施形態においては、冷媒供給部728は、載置部720の載置面を全体に亘って一様に冷却する。したがって、載置部720の載置面は、ヒータ726の発熱量が冷却による放熱量よりも小さくなると温度が低下する。冷媒供給部728は、冷媒ライン727に供給する冷媒の温度を予め定められた温度としてよい。これに代えて、温度調整部725は、冷媒供給部728が冷媒ライン727に供給する冷媒の温度を、冷媒供給部728に設定してもよい。
【0129】
S711において、コントローラ701は、温度調整部725から入力される温度計測値に基づく温度データが示す温度が目標温度±許容誤差の範囲である目標範囲内となったか否かを判定する。温度データが示す温度が目標範囲内となっていない場合、コントローラ701は、処理をS707へと進めて温度調整部725によるデバイス110の温度調整を継続させる。温度データが示す温度が目標範囲内となっている場合、コントローラ701は、処理をS713へと進める。
【0130】
S713において、FT装置700は、載置部720にPLP100を載置した状態で、PLP100の各デバイス110をFTする。FT装置700は、複数のデバイス110をそれぞれ識別して、デバイス110ごとに良品不良品を判断する。FT装置700は、全デバイス110についてS705からS715までのFT処理が終了したことに応じて、PLP100のFTを完了する。
【0131】
FT装置700は、ヒータ726と冷媒供給部728とを制御することにより、複数の異なる温度条件下で、PLP100の複数のデバイス110のFTを行ってもよい。また、FT装置700は、PLP100の複数のデバイス110全てに対して同時にFTを行ってもよく、これらを幾つかの組に分けて、各組の複数のデバイス110全てに対して同時にFTを行い、これを各組に対して順に行ってもよい。
【0132】
以上で説明した通り、本実施形態による試験方法は、個片化前の複数のデバイス110が形成されたPLP100を載置部720に載置することと、PLP100における載置部720側の第1面とは反対側の第2面に露出する、複数のデバイス110のうちの少なくとも1つのデバイス110の少なくとも1つの端子、例えば犠牲パッド160に、第1試験回路731の少なくとも1つの端子732に電気的に接続された少なくとも1つの接触子742をそれぞれ接触させることと、第1試験回路731が少なくとも1つの接触子742を介して電気的に接続された少なくとも1つのデバイス110を試験することとを備える。本実施形態による試験方法は、少なくとも1つのデバイス110の動作を個別に確認するためのFTを実行してもよい。本実施形態による試験方法はまた、複数の異なる温度条件下で少なくとも1つのデバイス110のFTを実行してもよい。
【0133】
このように、本実施形態による試験方法によれば、PLP100の状態のまま、PLP100における個片化前の複数のデバイス110のFTを行う。より具体的には、PLP100の表面に露出している複数のデバイス110の複数の端子、例えば犠牲パッド160を介して、複数のデバイス110に対して個別に信号を流すことによって、各デバイス110のFTを行う。よって、本実施形態の試験方法によれば、上述した比較例と比べて、上述の利点の他、BI試験後に、個片化された各デバイスをBIBからピックアップして個別にFTする、という工程を省略できる。よって、本実施形態の試験方法によれば、比較例と比べて、試験時間を大幅に短縮できる。よって、本実施形態の試験方法を備える製造方法によっても、これらの有利な効果を奏する。
【0134】
また、図1で説明した通り、本実施形態の製造方法によれば、一例として、PLP100における複数のデバイス110を試験するにあたり、各デバイス110上にはボールを搭載しておらず、試験終了後に、デバイス110上にボールを搭載する。より具体的には、PLP100における複数のデバイス110をFTするにあたり、FT装置700の第1コンタクタ740の接触子742は、犠牲パッド160のみに接触し、ボール用パッド150には接触しない。換言すると、接触子742を接触させるデバイス110の端子は、犠牲パッド160を含み、ボール用パッド150を含まない。そして、FT後に、ボール付け装置800は、接触子742を接触させた犠牲パッド160にはボールを搭載せず、ボール用パッド150のみにボールを搭載する。
【0135】
よって、本実施形態の試験方法によれば、テスタのコンタクタによってボールに傷が付く、という事態を回避することができる。本実施形態の試験方法を備える製造方法によれば、接続信頼性の高いボールを搭載したデバイス110を製造することができる。また例えば、テスタのコンタクタが、コンタクトする対象のボール以外のボールと干渉して、対象のボールとコンタクトできなくなる、という事態も回避することができる。
【0136】
図14は、FT装置700の一例においてPLP100の各デバイス110の端子に第1コンタクタ740の接触子742を接触させる方法を説明するための模式的な斜視図である。
【0137】
FT装置700の第1コンタクタ740は、PLP100が有する位置決め用部材190と対応する位置決め用部材743を有してもよい。位置決め用部材743は、例えばPLP100の位置決め用部材190が孔である場合に、ピンであってもよい。
【0138】
載置部720は、コントローラ701からの指示を受けて、PLP100を吸着保持したままXYZ軸方向に移動し、PLP100の位置決め用部材190および第1コンタクタ740の位置決め用部材743を用いて、第1コンタクタ740およびPLP100を位置決めしてもよい。載置部720は、第1コンタクタ740およびPLP100を位置決めしてから、PLP100の各デバイス110の端子に、載置部720のZ軸正方向側に固定されている第1コンタクタ740の各接触子742をそれぞれ接触させてもよい。
【0139】
図15は、FT装置700の一例においてPLP100の各デバイス110の端子に第2コンタクタ760の接触子762を接触させる方法を説明するための模式的な斜視図である。FT装置700は、第1コンタクタ740と、第1試験回路731を含む第1試験ボード730に加えて又は代えて、第2コンタクタ760と、第2試験回路751を含む第2試験ボード750を有してもよい。第2コンタクタ760と、第2試験ボード750の構成は、第1コンタクタ740と、第1試験ボード730の構成と同様であってもよく、重複する説明を省略する。
【0140】
第2コンタクタ760の接触子762の数は、第1コンタクタ740の接触子742の数と比べて少ない。そのため、第2試験回路751の端子752の数も、第1試験回路731の端子732の数と比べて少ない。かかる構成を備える第2試験回路751は、第1試験回路731と比べて、相対的に高い試験周波数で各デバイス110のFTを行う。なお、第2コンタクタ760の接触子762は、高速信号に対応可能な接触子であって、例えば同軸ポゴピンであってもよい。
【0141】
FT装置700は、第1試験回路731等を用いて各デバイス110のFTを行った後、PLP100上に繰り返し第2コンタクタ760をタッチダウンすることにより、第2試験回路751等を用いて各デバイス110のFTを順に行ってもよく、これらのFTの何れか一方のみを実行してもよい。第2コンタクタ760をPLP100上にタッチダウンする前に、FT装置700の載置部720は、PLP100の位置決め用部材190および第2コンタクタ760の位置決め用部材763を用いて、第2コンタクタ760およびPLP100を位置決めしてもよい。載置部720は、第2コンタクタ760およびPLP100を位置決めしてから、PLP100の各デバイス110の端子に、載置部720のZ軸正方向側に固定されている第2コンタクタ760の各接触子762をそれぞれ接触させてもよい。なお、第2試験回路751等を用いた各デバイス110のFTを、PKG(PACKAGE、パッケージ)テストと称する場合がある。
【0142】
図16は、PLP100の変形例としてのPLP1100における、図2の領域101の部分拡大図に対応する図である。本実施形態によるPLP1100のデバイス1110においては、ボール用パッド150および犠牲パッド160に代えて、PLP1100の表面に露出するテスト端子1150およびボール1160が形成されている。テスト端子1150は、各デバイス110に隣接する領域から露出している。テスト端子1150は、例えばBISTピンであってもよい。
【0143】
ボール1160は、デバイス1110上に形成されている。各デバイス1110には、ボール1160がテスト端子1150よりも多く形成されている。テスト端子1150およびボール1160は、再配線層130を介して半導体チップ11の内部回路に接続されている。テスト端子1150およびボール1160は、PLP100の表面に露出する、デバイス1110の少なくとも1つの端子の一例である。なお、テスト端子1150は、ピンであってもよい。
【0144】
本実施形態におけるFTでは、追加的に又は代替的に、FT装置700の第1試験回路731等が、各デバイス110のテスト端子1150に第1コンタクタ740の接触子742等を電気的に接続させた状態で各デバイス110をFT試験した後、各デバイス110のボール1160に当該接触子742等を電気的に接続させた状態で各デバイス110をFT試験してもよい。
【0145】
以上の実施形態において、BI試験装置600およびFT装置700を別の筐体の装置として説明した。これに代えて、BI試験装置600およびFT装置700を1つの筐体に設けてもよい。例えば、図9に示したBI試験装置600において、一部のテストサイト607およびまたは一部のスロット609を、FT装置700としてもよい。
【0146】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0147】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0148】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0149】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0150】
図17は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。このようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0151】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、グラフィックコントローラ1216、及びディスプレイデバイス1218を含み、これらはホストコントローラ1210によって相互に接続される。コンピュータ1200はまた、通信インターフェース1222、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、これらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続される。コンピュータはまた、ROM1230及びキーボード1242のようなレガシの入出力ユニットを含み、これらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続される。
【0152】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、これにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又は当該グラフィックコントローラ1216自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示させる。
【0153】
通信インターフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1201から読み取り、ハードディスクドライブ1224にRAM1214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0154】
ROM1230は、内部に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0155】
プログラムが、DVD-ROM1201又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0156】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROM1201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0157】
また、CPU1212は、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226(DVD-ROM1201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0158】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような、様々なタイプの情報が、情報処理されるべく、記録媒体に格納されてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、これにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0159】
以上の説明によるプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、これにより、プログラムをコンピュータ1200にネットワークを介して提供する。
【0160】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0161】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0162】
10 ウェハ
11 半導体チップ
100、1100 PLP
101 領域
110、1110 デバイス
120 基板
123 供給完了位置
125 未供給位置
130 再配線層
131 引出配線
140 封止部
150 ボール用パッド
160 犠牲パッド
170 パッド
180 ヒューズ
190 位置決め用部材
200 第1予備FT装置
300 個片化装置
400 第2予備FT装置
410 試験装置
420 コンタクタ
430 スライダ
500 PLP形成装置
510 搬送台
520 接着剤供給部
530 第1スライダ
540 チップ配列部
550 第2スライダ
600 BI試験装置
601 コントローラ
602 パネルカセット
603 ストッカ
604 ソーク部
606 アンソーク部
605 搬送部
607 テストサイト
609 スロット
610 キャップ
611 キャップ保持部
620 載置部
621 シーリング部材
625 温度調整部
626 ヒータ
627 冷媒ライン
628 冷媒供給部
630 試験ボード
631 試験回路
632 端子
640 コンタクタ
642 接触子
643 位置決め用部材
700 FT装置
701 コントローラ
705 搬送部
720 載置部
725 温度調整部
726 ヒータ
727 冷媒ライン
728 冷媒供給部
730 第1試験ボード
731 試験回路
732 端子
740 第1コンタクタ
742 接触子
743 位置決め用部材
750 第2試験ボード
751 試験回路
752 端子
760 第2コンタクタ
762 接触子
763 位置決め用部材
800 ボール付け装置
900 選別装置
1150 テスト端子
1160 ボール
1200 コンピュータ
1201 DVD-ROM
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1216 グラフィックコントローラ
1218 ディスプレイデバイス
1220 入出力コントローラ
1222 通信インターフェース
1224 ハードディスクドライブ
1226 DVD-ROMドライブ
1230 ROM
1240 入出力チップ
1242 キーボード
【要約】
【解決手段】個片化前の複数のデバイスがマトリクス状に形成されたパネルレベルパッケージを載置部に載置することと、パネルレベルパッケージにおけるマトリクスの行方向の一辺側に設けられ、複数のデバイスのうち各行の各デバイスの内部回路に対して複数の引出配線を介して接続される複数の接触端子に、試験回路の複数の端子に電気的に接続された複数の接触子をそれぞれ接触させることと、試験回路が複数の接触子を介して電気的に接続された各行の各デバイスを試験することとを備える試験方法を提供する。
【選択図】図1
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