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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】複合基板
(51)【国際特許分類】
   C04B 37/02 20060101AFI20230518BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20230518BHJP
   H05K 3/20 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C04B37/02 B
H05K1/03 610D
H05K1/03 630H
H05K1/03 630J
H05K1/03 650
H05K3/20 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022532877
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2022008566
(87)【国際公開番号】W WO2022202146
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2021049938
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(72)【発明者】
【氏名】青野 良太
(72)【発明者】
【氏名】竹藤 隆之
(72)【発明者】
【氏名】牛島 穣
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳一
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-169111(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180965(WO,A1)
【文献】特開2003-188310(JP,A)
【文献】特開平05-024943(JP,A)
【文献】特開平11-130555(JP,A)
【文献】国際公開第2022/024990(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/20
C04B 37/02
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス板と、
銀、銅スズ及びチタンを含有する、前記セラミックス板上に設けられたろう材層と、
銀及びスズが拡散して形成された領域を含む、前記ろう材層を介して前記セラミックス板と接合された金属基材と、を有し、
前記ろう材層における銅の含有量が、銀の含有量100質量部に対して17質量部以下であり、
前記セラミックス板と前記金属基材との接合面に直交する断面における、銀分散領域の厚みをXとし、スズ分散領域の厚みをYとし、チタン分散領域の厚みをZとしたときに、前記Xに対する前記Yの比が0.10~1.00であり、前記Zに対する前記Xの比が1.00超である、複合基板。
【請求項2】
前記Xに対する前記Yの比が0.20~0.90である、請求項1に記載の複合基板。
【請求項3】
前記セラミックス板が窒化ケイ素を含有する、請求項1又は2に記載の複合基板。
【請求項4】
前記ろう材層の厚みが20μm以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の複合基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合基板に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット及びモーター等の産業機器の高性能化に伴い、パワーモジュールに搭載される半導体素子から発生する熱も増加の一途を辿っている。この熱を効率よく放散させるため、良好な熱伝導を有するセラミックス板を備える回路基板が用いられている。このような回路基板には、セラミックス板と金属板とをろう材を介して接合する際の加熱及び冷却工程、並びに使用時のヒートサイクルによって熱応力が発生する。この熱応力によって、セラミックス基板にクラックが発生したり、金属板がはく離したりする場合がある。
【0003】
これに対して、特許文献1には、ろう材の熱膨張率をセラミックス基板に近づけることによってヒートサイクル特性を向上させたセラミックス回路基板が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-118310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回路基板は、用いられる用途に応じて、信頼性に十分に優れることが求められる。例えば、電車の駆動部及び電気自動車等のパワーモジュールの分野では、セラミックス板と金属板とが十分な接合強度を持って接合しつつ、過酷な使用条件下でのヒートサイクルを経ても特性を維持できるように、熱応力を緩和できることが望ましい。十分な接合強度を発揮せるためには、高温で接合することで、セラミック板との接合を強固にすることが考えられるが、本発明者らの検討によれば、高温で接合するとろう材層近傍の硬度が高くなり、ヒートサイクル時に発生する熱応力の緩和が困難となる傾向にある。接合強度とヒートサイクル特性とを両立できる複合基板があれば有用である。
【0006】
本開示は、セラミックス板と金属基材との接合強度及びヒートサイクル特性に優れる複合基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面は、セラミックス板と、銀及びスズを含有する、上記セラミックス板上に設けられたろう材層と、銀及びスズが拡散して形成された領域を含む、上記ろう材層を介して上記セラミックス板と接合された金属基材と、を有し、上記セラミックス板と上記金属基材との接合面に直交する断面における、銀分散領域の厚みをXとし、スズ分散領域の厚みをYとしたときに、上記Xに対する上記Yの比が0.10~1.00である、複合基板を提供する。
【0008】
上記複合基板は、ろう材層から金属基材への銀及びスズの拡散に関して、銀分散領域の厚みに対するスズ分散領域の厚みの比が所定の範囲内であることによって、セラミックス板と金属基材との接合強度及びヒートサイクル特性に優れたものとなり得る。このような効果が奏される理由を本発明者らは以下のように推測する。すなわち、上記Xに対するYの値が上記範囲内であることは、金属基材中へのスズの拡散距離が抑制されていること、つまり複合基板の製造時におけるろう材成分の過剰な拡散が制御されていることを意味し、ろう材層近傍の硬度が高いと推定される領域を狭め、ヒートサイクルによって生じる熱応力を十分に緩和することができるため、接合強度及びヒートサイクル特性に優れるものとなり得る。
【0009】
上記Xに対する上記Yの比が0.20~0.90であってよい。上記Xに対する上記Yの比が上記範囲内であることによって、セラミックス板と金属基材との接合強度をより向上させることができ、接合強度とヒートサイクル特性とをより高水準で両立することができる。
【0010】
上記ろう材層がチタンを更に含有し、上記セラミックス板と上記金属基材との接合面に直交する断面における、チタン分散領域の厚みをZとしたときに、上記Zに対する上記Xの比(X/Zの値)が1.00超であってよい。チタンは活性金属の中でもセラミックス板と金属基材との接合強度向上に影響が大きい金属である。上記X/Zの値が上記範囲内であることで、チタンをセラミックス板と金属基材との接合界面付近に遍在させ、接合強度を高めると共に、銀を適度の金属基材へ拡散させることによって、ろう材層と金属基材との硬さの際を低減することで、ヒートサイクル特性も向上させることができる。
【0011】
上記セラミックス板が窒化ケイ素を含有してもよい。
【0012】
上記ろう材層の厚みが20μm以下であってよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、セラミックス板と金属基材との接合強度及びヒートサイクル特性に優れる複合基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、複合基板の一例を示す模式図である。
図2図2は、複合基板における接合面近傍の拡大断面図である。
図3図3は、複合基板の断面の一例を示す電子顕微鏡写真である。
図4図4は、図3に示す複合基板の断面の電子線マイクロアナライザーによる銀のマッピング分析の結果を示す元素分布図である。
図5図5は、図3に示す複合基板の断面の電子線マイクロアナライザーによるスズのマッピング分析の結果を示す元素分布図である。
図6図6は、図3に示す複合基板の断面の電子線マイクロアナライザーによるチタンのマッピング分析の結果を示す元素分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、場合によって図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合によって重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0016】
本明細書において例示する材料は特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中の各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0017】
複合基板の一実施形態は、セラミックス板と、銀及びスズを含有する、上記セラミックス板上に設けられたろう材層と、銀及びスズが拡散して形成された領域を含む、上記ろう材層を介して上記セラミックス板と接合された金属基材と、を有す。上記複合基材は、セラミックス板と金属基材とがろう材層を介して接合されており、接合時にろう材層を構成する成分である活性金属(チタン等)が金属基材へと拡散し、当該活性金属が分散された領域が金属基材に形成されている。上記接合は、活性金属法によって接合されたものであってよい。複合基板は、一又は複数の金属基材を有してもよい。
【0018】
図1は、複合基板の一例を示す模式断面図であり、複合基板を後述する接合面に直行する断面を示している。複合基板100は、セラミックス板10と、回路板40と、放熱板50とを備える。回路板40は、接合面40aにおいてセラミックス板10の表面10Aと接合しており、金属基材30がろう材層20を介してセラミックス板10に接合する構成を有する。放熱板50は接合面50aにおいてセラミックス板10の裏面10Bと接合しており、金属基材32がろう材層22を介してセラミックス板10に接合する構成を有する。図1においては、セラミックス板10の表面10Aには2つの回路板40が接合され、セラミックス板10の裏面10Bには放熱板50が接合されているが、回路板40及び放熱板50の個数等は場合によって適宜変更することができる。
【0019】
回路板40は電気信号を伝達する機能を有するのに対して、放熱板50は熱を伝達する機能を有するものであってよい。なお、放熱板50は、電気信号を伝達する機能を更に有していてもよい。
【0020】
回路板40と放熱板50とは、同じ材質で構成されていてもよく、異なる材質で構成されていてもよい。導電性及び放熱性を向上させる観点から、金属基材30,32は、例えば、主成分として銅を含有してよい。この場合、回路板40及び放熱板50は、ろう材層と、銅板とで構成されてもよい。
【0021】
上記複合基板100において、上記セラミックス板と上記金属基材との接合面に直交する断面における、銀分散領域の厚みをXとし、スズ分散領域の厚みをYとしたときに、上記Xに対する上記Yの比が0.10~1.00である。上記比の上限値は、例えば、0.95以下、0.90以下、又は0.85以下であってよい。上記比の上限値が上記範囲内であることは、複合基板の製造時におけるろう材成分の過剰な拡散が抑制されていることを意味し、複合基板100のヒートサイクル特性をより向上させることができる。上記比の下限値は、例えば、0.15以上、0.20以上、又は0.25以上であってよい。上記比の下限値が上記範囲内であることで、セラミックス板10と金属基材30,32との接合強度をより向上させることができる。上記比は上述の範囲内で調整してよく、例えば、0.15~0.95、0.20~0.90、又は0.25~0.85であってよい。
【0022】
ろう材層20,22がチタンを含有する場合、上記セラミックス板と上記金属基材との接合面に直交する断面におけるチタン分散領域の厚みをZとしたときに、上記Zに対する上記Xの比(X/Zの値)は、例えば、1.00超、1.00超9.00以下、又は5.00~9.00あってよい。上記X/Zの値が上記範囲内であることで、チタンをセラミックス板と金属基材との接合界面付近に偏在させ、接合強度を高めると共に、銀を適度の金属基材へ拡散させることによって、ろう材層と金属基材との硬さの際を低減することで、ヒートサイクル特性も向上させることができる。
【0023】
銀分散領域の厚みは、例えば、10~100μm、20~90μm、又は30~80μmであってよい。スズ分散領域の厚みは、例えば、10~100μm、15~90μm、又は20~80μmであってよい。チタン分散領域の厚みは、例えば、1~50μm、3~40μm、又は5~30μmであってよい。
【0024】
本明細書において分散領域とは、所定の元素が拡散している領域を意味し、ろう材層20,22及び金属基材30,32の一部を含む。分散領域とその他の領域(金属基材の分散領域を除く部分)との境界は電子線マイクロアナライザーによる元素マッピング分析によって決定する。例えば、上記複合基板100における、銀分散領域とは、上記元素マッピング分析によって得られた元素分布図において、銀が所定量以上分散している範囲の最大の領域を意味し、ろう材層及び接合時にろう材から拡散した金属基材の一部領域を含んで構成される領域である。
【0025】
より具体的には、図2に示すような、複合基板における接合面40a近傍において、電子線マイクロアナライザーを用いた微量元素分析を行い、銀、スズ、及びチタンを含む元素の質量濃度で分布を表示するマッピングデータを作成し、分散領域及びその厚みを決定する。マッピングデータでは、接合面40aから垂直且つろう材層20及び金属基材30の方向に向かって、各元素が拡散している様子を確認することができる。そして、マッピングデータにおいて、接合面40aから銀成分が拡散した部分のうち、最も離れた位置までの距離を拡散距離とする。図2では、セラミックス板10の表面10Aにおける接合面40aの拡大図を示し説明したが、セラミックス板10の裏面10Bにおける接合面50aにおいても同様に測定を行う。分散領域は、ろう材を介してセラミックス板と金属基材とが接合している部分を含む複合基板100の切断面において、接合面(図1の複合基板100の場合、セラミックス板10の表面10Aにおける2つの接合面40a、及びセラミックス板10の裏面10Bにおける接合面50aの合計3か所)のそれぞれについて、分散領域の厚みの最大値を測定し、その算術平均値を採用する。電子線マイクロアナライザーとしては、例えば、日本電子株式会社製の「JXA-8230」(商品名)等を使用できる。また「JXA-8230」を用いた場合の測定条件として、加速電圧:15kV、照射電流5×10-8A、計測時間:30msec/pixelを採用することで、銀が所定量以上分散している範囲を特定する。
【0026】
セラミックス板10は、窒化ケイ素又は窒化アルミニウムのいずれかで構成されてよく、好ましくは窒化ケイ素を含む。セラミックス板は、例えば、窒化アルミニウム焼結体又は窒化ケイ素焼結体であってよい。
【0027】
ろう材層20,22は、ろう材を加熱処理して得られる層である。ろう材は銀及びスズを含有する。ろう材層20,22は、銀及びスズに加えて、活性金属を含んでもよい。活性金属は、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、及びタンタル(Ta)からなる群より選択される少なくとも一種であってよい。ろう材中の活性金属の含有量は、銀の含有量を100質量部として調整してよい。ろう材は、融点降下を目的に、銅(Cu)、及びインジウム(In)等の金属を含んでもよい。ろう材層20,22は、活性金属の他、例えば、炭素等を含有してもよい。
【0028】
ろう材層20,22が銅を含む場合、接合面付近の構成部材への熱処理による影響を低減することができることから、得られる複合基板の信頼性をより向上することができる。ろう材層20,22中の銅の含有量は、銀の含有量100質量部に対して、例えば、17質量部以下、15質量部以下、14質量部以下、13質量部以下、又は12質量部以下であってよい。ろう材層20,22中の銅の含有量は、銀の含有量100質量部に対して、例えば、2質量部以上、4質量部以上、6質量部以上、8質量部以上、10質量部以上であってよい。ろう材層20,22中の銅の含有量は上述の範囲内で調整してよく、銀の含有量100質量部に対して、例えば、2~17質量部であってよい。
【0029】
ろう材層20,22はスズを含む。スズを含むことによって、接合面付近の構成部材への熱処理による影響を低減することができることから、得られる複合基板の信頼性をより向上することができる。ろう材層20,22中のスズの含有量は、銀の含有量100質量部に対して、例えば、6.0質量部以下、5.5質量部以下、5.0質量部以下、3.0質量部以下、又は1.0質量部以下であってよい。ろう材層20,22中のスズの含有量は、銀の含有量100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、0.8質量部以上、又は0.9質量部以上であってよい。ろう材層20,22中のスズの含有量は上述の範囲内で調整してよく、銀の含有量100質量部に対して、例えば、0.5~6.0質量部であってよい。
【0030】
ろう材層20,22がチタンを含む場合、セラミックス板と金属基材との接合強度をより向上させることができる。ろう材層20中のチタンの含有量の上限値は、銀の含有量100質量部に対して、例えば、7.0質量部以下、6.0質量部以下、5.0質量部以下、又は4.0質量部以下であってよい。ろう材層20,22中のチタンの含有量の下限値は、銀の含有量100質量部に対して、例えば、0.6質量部以上、0.8質量部以上、又は1.0質量部以上であってよい。ろう材層20,22中のチタンの含有量は上述の範囲内で調整してよく、銀の含有量100質量部に対して、例えば、1.0~5.0質量部であってよい。
【0031】
ろう材層20,22は、本発明の効果を害さない範囲で、銀及び活性金属等の金属以外のその他の成分を含んでよい。その他の成分には不純物も含む。その他の成分の含有量は、ろう材層の全量を基準として、例えば、15.0質量%以下、12.0質量%以下、10.0質量%以下、5.0質量%以下、3.0質量%以下、1.0質量%以下、又は0.5質量%以下であってよい。
【0032】
ろう材層20,22の厚みの上限値は、例えば、20μm以下、18μm以下、又は15μm以下であってよい。厚みの上限値が上記範囲内であることで、ヒートサイクル特性をより十分なものとすることができ、高放熱環境下での使用後であっても、熱応力によるろう材層20,22のはく離等の発生をより十分に抑制することができる。ろう材層20,22の厚みの下限値は、例えば、3μm以上、5μm以上、又は8μm以上であってよい。厚みの下限値が上記範囲内であることによって、セラミックス板10と金属基材30,32との接合強度をより十分なものとすることができ、はく離等の発生を抑制できる。ろう材層の厚みは上述の範囲内で調整してよく、例えば、3~20μmであってよい。本明細書におけるろう材層の厚みは、複合基板におけるセラミクス板と金属基材との接合面に直交する断面の電子顕微鏡画像において測定する値を意味する。ろう材層の厚みは、ろう材を介してセラミックス板と金属基材とが接合している部分を含む複合基板100の切断面において、接合面(図1の複合基板100の場合、セラミックス板10の表面10Aにおける2つの接合面40a、及びセラミックス板10の裏面10Bにおける接合面50aの合計3か所)のそれぞれについて、ろう材層の厚みの最大値を測定し、その算術平均値を採用する。
【0033】
複合基板100は、セラミックス板10と金属基材30,32との間の接合強度に優れる。セラミックス板10と金属基材30,32との間の接合強度は、例えば、80N/cm以上、100N/cm以上、120N/cm以上、又は140N/cm以上とすることができる。接合強度は、金属基材の一部を90°(鉛直方向)に引きはがした際の最大引きはがし荷重(単位:N)を金属基材幅(単位:cm)で除した値を意味する。具体的には、後述する実施例に記載の方法によって測定を行う。
【0034】
複合基板100は優れたヒートサイクル特性を発揮し得る。ヒートサイクル特性は、JIS C 60068-2-14:2011「環境試験方法-電気・電子-第2―14部:温度変化試験方法(試験記号:N)」に記載の方法に準拠して、温度変化試験を行うことによって評価できる。
【0035】
上述の複合基板100は、例えば、以下のような方法によって製造することができる。複合基板の製造方法の一実施形態は、無機化合物の粉末、焼結助剤、バインダ樹脂、及び溶媒を含むスラリーを成形してグリーンシートを得る工程(グリーンシート調製工程)と、グリーンシートを加熱処理してセラミックス板を得る工程(セラミックス板調製工程)と、銀及びスズを含有するろう材を介してセラミックス板上に金属基材を張り合わせて積層体を得る工程(積層工程)と、上記積層体を加熱処理して、複合基板を得る工程(熱処理工程)と、を有する。
【0036】
グリーンシート調製工程では、セラミックス板の原料となる成分を含むスラリーを調製し、シート状に成形してグリーンシートを調製する。スラリーの成形方法は、例えば、ドクターブレード法、及び押出成形法等であってよい。
【0037】
無機化合物としては、例えば、窒化ケイ素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素、及び酸化アルミニウム等が挙げられる。焼結助剤としては、希土類元素の金属酸化物、フッ化物、塩化物、硝酸塩、及び硫酸塩、又はアルカリ土類金属の金属酸化物、フッ化物、塩化物、硝酸塩、及び硫酸塩等が挙げられる。これらは一種のみ用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。焼結助剤としては、アルカリ土類金属の酸化物を含んでよく、例えば、酸化マグネシウム等であってよい。焼結助剤を用いることによって、無機化合物の焼結を促進させることができる。
【0038】
バインダ樹脂としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、及び(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。バインダ樹脂を用いることによって、スラリーをシート状などの種々の形状に成形することを容易にできる。溶媒としては、例えば、エタノール及びトルエン等の有機溶媒が挙げられる。バインダ樹脂及び溶媒を用いることでスラリーの粘度を容易に調整することができる。
【0039】
スラリーは、無機化合物の粉末、焼結助剤、バインダ樹脂、及び溶媒に加えて、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、可塑剤及び分散剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、精製グリセリン、グリセリントリオレート、ジエチレングリコール、ジ-n-ブチルフタレート等のフタル酸系可塑剤、及びセバシン酸ジ-2-エチルヘキシル等の二塩基酸系可塑剤等が挙げられる。分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、及び(メタ)アクリル酸-マレイン酸塩コポリマーが挙げられる。
【0040】
セラミックス板調製工程は、成形して得られたグリーンシートを加熱処理してセラミックス板を得る工程である。グリーンシートの加熱処理は、複数の加熱処理で行い、例えば、800℃以下の加熱温度で加熱処理を行う脱脂工程と、脱脂工程における加熱温度よりも高温で加熱処理を行う焼結工程とを有してもよい。脱脂工程では、主に、バインダ樹脂等を燃焼させ、グリーンシートの脱脂を行う。そして、焼結工程において、無機化合物及び焼結助剤を含む原料を焼結させ、セラミックス板を得る。
【0041】
脱脂工程における加熱温度は、例えば、750~800℃、760~790℃、又は780~790℃であってよい。加熱温度の上限値を上記範囲内とすることで、無機化合物の焼結の前にバインダ樹脂等の有機物を十分に除去し、より均質な系としたうえで、続く第二の加熱処理における焼結を行うことができる。脱脂工程における加熱時間は、例えば、0.5~20時間であってよい。
【0042】
焼結工程における加熱温度は、脱脂工程における加熱温度よりも高温で行う。焼結工程における加熱温度は、例えば、1600~1950℃、1700~1950℃、又は1800~1900℃であってよい。焼結工程における加熱時間は、例えば、5~15時間であってよい。焼結工程は、例えば、窒素、アルゴン、アンモニア及び水素等の非酸化性ガス雰囲気下で行ってよい。
【0043】
本実施形態に係る複合基板の製造方法は、セラミックス板を調製する工程を含む方法で説明したが、グリーンシート調製工程及びセラミックス板調製工程に代えて、あらかじめ調製されたセラミックス板(例えば、市販のセラミックス板)を用いてもよい。
【0044】
積層工程では、セラミックス板及び金属基材を、銀及びスズを含有するろう材を用いて積層し、積層体を得る。例えば、ろう材をセラミックス板の表面に塗布し塗膜を形成し、上記塗膜上に金属基材を貼り合わせる。セラミックス板の両面に金属基材を張り付ける場合には、セラミックス板の表面及び裏面の両面において、同様の操作によって金属基材を張り合わせる。金属基材の形状は、例えば、平板形状であってよい。金属基材はあらかじめ回路が形成されていてもよい。
【0045】
ろう材を含む塗膜は、例えば、ロールコーター法、スクリーン印刷法、及び転写法等によって、セラミックス板の表面に塗布して設けることができる。ろう材は、銀及びスズに加えて、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、及びタンタル(Ta)からなる群より選択される少なくとも一種の活性金属を更に含有してもよい。活性金属は、好ましくはチタンを含む。ろう材中の活性金属の含有量は、銀及び銅の合計量を100質量部として調整してよい。
【0046】
ろう材が銅を含む場合、接合面付近の構成部材への熱処理による影響を低減することができることから、得られる複合基板の信頼性をより向上することができる。ろう材中の銅の含有量は、銀の含有量100質量部に対して、例えば、16質量部以下、15質量部以下、14質量部以下、13質量部以下、又は12質量部以下であってよい。ろう材中の銅の含有量は、銀の含有量を100質量部に対して、例えば、2質量部以上、4質量部以上、6質量部以上、8質量部以上、10質量部以上であってよい。ろう材中の銅の含有量は上述の範囲内で調整してよく、銀の含有量100質量部に対して、例えば、2~16質量部であってよい。
【0047】
ろう材はスズを含む。スズを含むことで、ろう材の融点を低下させることができ、接合面付近の構成部材への熱処理による影響を低減することができることから、得られる複合基板の信頼性をより向上することができる。ろう材中のスズの含有量は、銀の含有量100質量部に対して、例えば、6.0質量部以下、5.5質量部以下、5.0質量部以下、3.0質量部以下、又は1.0質量部以下であってよい。ろう材中のスズの含有量は、銀の含有量を100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、0.8質量部以上、1質量部以上であってよい。ろう材中のスズの含有量は上述の範囲内で調整してよく、銀の含有量100質量部に対して、例えば、0.5~6.0質量部であってよい。
【0048】
ろう材がチタンを含む場合、セラミックス板と金属基材との接合強度をより向上させることができる。ろう材中のチタンの含有量の上限値は、銀の含有量100質量部に対して、例えば、7.0質量部以下、6.0質量部以下、5.0質量部以下、又は4.0質量部以下であってよい。ろう材中のチタンの含有量の下限値は、銀の含有量100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、又は1.0質量部以上であってよい。ろう材中のチタンの含有量は上述の範囲内で調整してよく、銀の含有量100質量部に対して、例えば、1.0~5.0質量部であってよい。
【0049】
ろう材の25℃における粘度は、例えば、5~40Pa秒であってよい。ろう材の上記粘度が上記範囲内であると、セラミックス板上により一層均一に塗膜を形成することでき、接合のための加熱処理時の溶融粘度も適度なものとなりセラミックス板と金属基材との間に十分ろう材をいきわたらせることができるため、接合強度をより向上させ、複合基板の信頼性を高めることができる。
【0050】
ろう材は、銀及び活性金属等の金属に加えて、例えば、有機溶媒及びバインダ等を含有してよい。ろう材における有機溶媒の含有量は、例えば、5~25質量%であってよい。ろう材におけるバインダの含有量は、例えば、2~15質量%であってよい。
【0051】
熱処理工程では、上記積層体を加熱炉で加熱してセラミックス板と金属基材とを十分に接合させて複合基板を得る。セラミックス板と金属基材とを十分な接合強度を持って接合させ、且つヒートサイクル特性にも優れたものとするために、温度パターンを複数回に分けて加熱処理を行う。熱処理工程は、例えば、600℃未満の温度で積層体を加熱処理する第一の加熱処理工程と、第一の加熱処理工程における加熱温度よりも高温で積層体を加熱処理する第二の加熱処理工程とを有してもよい。
【0052】
第一の加熱処理工程における加熱温度の上限値は、例えば、600℃未満、590℃以下、585℃以下、500℃以下、450℃以下、又は410℃以下であってよい。加熱温度の上限値を上記範囲内とすることで、接合性をより向上させることができる。加熱温度の上限値を上記範囲内とすることでまた、ろう材がバインダ成分を含む場合、ろう材が溶融する前にバインダ成分を分解させ、接合性の低下を十分に抑制できる。第一の加熱処理工程における加熱温度の下限値は、例えば、350℃以上、360℃以上、又は380℃以上であってよい。加熱温度の下限値を上記範囲内とすることで、ろう材がバインダ成分を含む場合、ろう材に含まれるバインダ成分の分解不足を抑制し、接合性をより向上させることができる。第一の加熱処理工程における加熱温度は上述の範囲内で調整してよく、例えば、350℃以上600℃未満、又は400~410℃であってよい。
【0053】
第二の加熱処理工程における加熱温度の上限値は、例えば、850℃未満、845℃以下、又は840℃以下であってよい。加熱温度の上限値を上記範囲内とすることで、ろう材中の成分の金属基材への拡散を抑制することができる。第一の加熱処理工程における加熱温度の下限値は、例えば、770℃以上、780℃以上、790℃以上、又は800℃以上であってよい。加熱温度の下限値を上記範囲内とすることで、ろう材の未溶融による接合不良を抑制することができる。第二の加熱処理工程における加熱温度は上述の範囲内で調整してよく、例えば、770℃以上850℃未満、又は800~840℃であってよい。
【0054】
第二の加熱処理工程における加熱時間は、比較的短時間で行う。加熱時間を短くすることによって、加熱状態にあるセラミックス板、ろう材、及び金属基材の間でろう材成分の過度な拡散を抑制することができ、活性金属をセラミックス板と金属基材との接合に十分寄与させることができる。第二の加熱処理工程における加熱時間は、例えば、90分間以下、80分間以下、又は70分間以下であってよい。第二の加熱処理工程における加熱時間は、例えば、5分間以上、10分間以上、又は15分間以上であってよい。第二の加熱処理工程における加熱時間は上述の範囲内で調整してよく、例えば、5~90分間であってよい。本明細書における加熱時間は、加熱炉内の温度が所定温度に到達してから、その温度に維持する時間を意味する。
【0055】
第一の加熱処理工程及び第二の加熱処理工程は、炉内の雰囲気を窒素等の不活性ガスとしてよい。また炉内の圧力は、例えば、大気圧未満の減圧下としてもよく、真空下としてもよい。
【0056】
第一の加熱処理工程及び第二の加熱処理工程では、積層体を積層方向に押圧しながら行ってもよい。加熱炉は、複数の接合体を連続的に製造する連続式のものであってもよいし、一つ又は複数の接合体をバッチ式で製造するものであってもよい。
【0057】
複合基板における金属基材の一部を除去して回路を形成してもよい。この工程は、例えば、エッチング等によって行ってよい。具体的には、まず、複合基板の表面に感光性を有するレジストを印刷する。そして、露光装置を用いて、所定形状を有するレジストパターンを形成する。レジストはネガ型であってもよいしポジ型であってもよい。未硬化のレジストは、例えば洗浄によって除去する。
【0058】
レジストパターンを形成した後、エッチングによって、金属基板のうちレジストパターンに覆われていない部分を除去する。金属基材がセラミックス板と同じ形状、同じサイズであった場合、上述の操作によって、当該部分にはセラミックス板の表面及び/又は裏面の一部を露出させることができる。その後、レジストパターンを除去することによって、回路を有する複合基板とすることができる。
【0059】
以上、幾つかの実施形態について説明したが、共通する構成については互いの説明を適用することができる。また本開示は、上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【実施例
【0060】
実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
【0061】
以下の実施例及び比較例において用いたろう材a~eについて、その組成を表1に示す。なお、表1中の数字は、各成分の質量部を示している。
【0062】
【表1】
【0063】
(実施例1)
[複合基板の作製]
厚さ0.32mmの窒化ケイ素製のセラミックス板、厚さ0.3mmの第一銅板、及び厚さ0.25mmの第二銅板を準備した。セラミックス板の両面の所定箇所にろう材aを塗布した。
【0064】
ろう材aを介して、第一銅板、セラミックス板、及び第二銅板をこの順に貼り合わせ、加熱炉内にて、真空中、400℃の条件下で120分間、加熱処理(第一の加熱処理工程)し、その後、且つ780℃まで昇温して、当該温度で60分間、加熱処理(第二の加熱処理工程)した。このようにしてセラミックス板に第一及び第二銅板を接合させた。
【0065】
露光装置を用いて第一銅板の上に所定形状を有するレジストパターンを形成した後、塩化銅水溶液、次いで過酸化水素と酸性フッ化アンモニウムの混合液を用いてエッチングを行い、レジストパターンに覆われていない部分を除去した。その後、アルカリはく離液でレジストパターンを除去した。
【0066】
レジストパターンを除去した後、Ni-Pめっき液(リン濃度:8~12質量%)を用いて無電解メッキ処理を行い、セラミックス板上にめっき膜を有する回路板を形成した。このようにして複合基板を作製した。
【0067】
(実施例2)
ろう材としてろう材bを用い、第二の加熱処理工程における加熱温度を840℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を作製した。
【0068】
(実施例3)
ろう材としてろう材cを用い、第二の加熱処理工程における加熱時間を5分間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を作製した。
【0069】
(実施例4)
ろう材としてろう材cを用い、第二の加熱処理工程における加熱温度を840℃に、加熱時間を90分間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を作製した。
【0070】
(実施例5)
第二の加熱処理工程における加熱温度を800℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を作製した。
【0071】
(実施例6)
ろう材としてろう材bを用い、第二の加熱処理工程における加熱温度を800℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を作製した。
【0072】
(比較例1)
ろう材としてろう材dを用い、第二の加熱処理工程における加熱温度を840℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を作製した。
【0073】
(比較例2)
ろう材としてろう材eを用い、第二の加熱処理工程における加熱温度を860℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を作製した。
【0074】
(比較例3)
第二の加熱処理工程における加熱温度を750℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を作製した。
【0075】
(比較例4)
第二の加熱処理工程における加熱温度を800℃に、加熱時間を180分間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を作製した。
【0076】
<複合基板の評価>
実施例1~6及び比較例1~4で作製した複合基板のそれぞれについて、電子線マイクロアナライザーによるマッピング分析によって特定される銀分散領域の厚み、スズ分散領域の厚み及びチタン分散領域の厚みを決定した。具体的には、任意で選択した接合面付近の銅板断面について接合面に水平方向に400μmの範囲をEPMAで観察した。400μmの範囲において各成分が拡散した部分のうち、最も離れた位置までの距離をろう材中成分の銅板への拡散距離とし、その平均値を採用した。結果を表2及び表3に示す。参考に実施例1で作製した複合基板についての評価結果を図3図4図5、及び図6に示す。
【0077】
<複合基板の接合強度の評価:引きはがし強度>
実施例及び比較例で得られた複合基板について、引きはがし強度を測定し、接合強度を評価した。具体的には、複合基板に接合された銅回路パターンの一部である幅5mmのパターンの端をペンチで引き剥がした。この複合基板を引張試験機の台に固定し、上記パターンの端をプル試験機のチャックに取り付けた。この時、セラミックス板の表面と引き剥がされた上記銅回路パターンの角度が90°(鉛直方向)になるように設置した。その後、引張試験機を作動させ、チャックを介して引き剥がされた上記パターンを上方に引っ張って移動させ、その時の最大引き剥がし荷重を測定した。その最大引き剥がし荷重を幅(0.5cm)で除して引きはがし強度を算出した。試験後、はく離面を目視で観察し、以下の基準で接合強度を評価した。結果を表2及び表3に示す。
A:引きはがし強度が100N/cm以上である。
B:引きはがし強度が80N/cm以上100N/cm未満である。
C:引きはがし強度が40N/cm以上80N/cm未満である。
D:引きはがし強度が40N/cm未満である。
【0078】
<複合基板のヒートサイクル特性の評価>
実施例及び比較例で得られた複合基板について、JIS C 60068-2-14:2011「環境試験方法-電気・電子-第2―14部:温度変化試験方法(試験記号:N)」に記載の方法に準拠して、ヒートサイクル特性を評価した。具体的には、-40℃で15分間維持し、その後150℃で15分間維持することを1サイクルとして、2000回のヒートサイクル試験を行った。試験後、塩化銅液、及びフッ化アンモニウム/過酸化水素エッチングを用いて、銅板及びろう材層をはく離し、セラミックス板表面のクラックを画像解析ソフトGIMP2にて二値化(閾値140)し、上記クラックの面積を算出した後、クラック面積/回路パターンの面積の値を算出してクラック率を決定した。結果を表2及び表3に示す。
A:クラック率が1%未満である。
B:クラック率が1%以上5%未満である。
C:クラック率が5%以上である。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0081】
本開示によれば、セラミックス基板と金属基材との接合強度、及びヒートサイクル特性に優れる複合基板を提供できる。
【符号の説明】
【0082】
10…セラミックス板、10A…表面、10B…裏面、20,22…ろう材層、30,32…金属基材、40…回路板、40a,50a…接合面、50…放熱板、100…複合基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6