(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230519BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
H05K13/04 C
H05K13/08 M
H05K13/08 Q
(21)【出願番号】P 2019123718
(22)【出願日】2019-07-02
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】横山 大
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英明
(72)【発明者】
【氏名】今福 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】長澤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】松岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】長江 和男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓之
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-014500(JP,A)
【文献】特開平06-013799(JP,A)
【文献】特開平05-327284(JP,A)
【文献】特開平03-214799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を位置決めする基板位置決め部と、
リード付きの部品をピックアップし、前記基板位置決め部により位置決めされている前記基板の挿入孔に、前記部品のリードを挿入する挿入ヘッドと、
下方を撮像する第1のカメラと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記基板の前記挿入孔に前記部品の前記リードが正常に挿入されていないというエラーを検出し、
前記エラーの検出に応じて、前記第1のカメラにより前記基板を撮像し、
前記基板の撮像画像に基づいて、前記挿入ヘッドにより前記基板から前記部品を再ピックアップする、部品実装装置。
【請求項2】
前記制御部はさらに、
前記部品を再ピックアップした後に、前記第1のカメラにより前記基板を撮像し、
当該基板の撮像画像に前記部品が含まれるかどうかを判定する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記第1のカメラとは別の第2のカメラをさらに備え、
前記制御部はさらに、
当該基板の撮像画像に前記部品が含まれないと判定した場合に、前記第2のカメラにより、前記挿入ヘッドが保持している前記部品を撮像する、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記制御部はさらに、
前記部品の撮像画像に含まれる前記部品のリードが、前記基板の前記挿入孔に挿入可能な姿勢であるかどうかを判定し、
挿入可能な姿勢であると判定した場合に、前記挿入ヘッドにより、再ピックアップした前記部品の前記リードを前記基板の前記挿入孔に再挿入する、請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記基板の撮像画像に含まれる前記部品の形状が、予め登録した部品の形状と相似すると判定した場合に、前記部品の再ピックアップを行う、請求項1から4のいずれか1つに記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部はさらに、前記部品の形状同士が相似しないと判定した場合に、前記部品実装装置の運転を停止させる、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記第1のカメラは前記挿入ヘッドに取り付けられ、前記挿入ヘッドと一体的に移動可能である、請求項1から6のいずれか1つに記載の部品実装装置。
【請求項8】
部品実装装置の基板位置決め部を用いて、基板を位置決めする基板位置決めステップと、
前記部品実装装置の挿入ヘッドを用いて、リード付きの部品をピックアップし、前記基板位置決め部により位置決めされた前記基板の挿入孔に前記部品のリードを挿入する挿入ステップと、
前記基板の前記挿入孔に前記部品の前記リードが正常に挿入されていないことを検出する挿入エラー検出ステップと、
前記挿入エラー検出ステップによるエラーの検出に応じて、前記部品実装装置の第1のカメラにより、前記基板を撮像する第1撮像ステップと、
前記第1撮像ステップの撮像画像に基づいて、前記挿入ヘッドにより、前記基板から前記部品を再ピックアップする再ピックアップステップと、を含む、部品実装基板の製造方法。
【請求項9】
さらに、
前記再ピックアップステップの後に、前記第1のカメラにより、前記基板を撮像する第2撮像ステップと、
前記第2撮像ステップで撮像された画像に前記部品が含まれるかどうかを判定する部品有無判定ステップと、を含む、請求項8に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項10】
さらに、
前記部品有無判定ステップで前記部品が含まれないと判定した場合に、前記部品実装装置の前記第1のカメラとは別の第2のカメラにより、前記挿入ヘッドが保持している前記部品を撮像する第3撮像ステップを含む、請求項9に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項11】
さらに、
前記第3撮像ステップで撮像された画像に含まれる前記部品のリードが、前記基板の前記挿入孔に挿入可能な姿勢であるかどうかを判定するリード姿勢判定ステップと、
前記リード姿勢判定ステップで挿入可能と判定した場合に、前記挿入ヘッドにより、再ピックアップした前記部品の前記リードを前記基板の前記挿入孔に再挿入する再挿入ステップと、を含む、請求項10に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項12】
さらに、
前記第1撮像ステップの撮像画像に含まれる前記部品の形状が、予め登録した部品の形状と相似するかどうかを判定する部品相似判定ステップを含み、
前記再ピックアップステップは、前記部品相似判定ステップで相似すると判定した場合に前記部品の再ピックアップを行う、請求項8から11のいずれか1つに記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項13】
さらに、
前記部品相似判定ステップで相似しないと判定した場合に、前記部品実装装置の運転を停止させる運転停止ステップを含む、請求項12に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項14】
前記第1のカメラを前記挿入ヘッドに取り付けて、前記挿入ヘッドと一体的に移動可能に構成した、請求項8から13のいずれか1つに記載の部品実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジアル部品やアキシャル部品等の部品は、2本のリードを有しており、これら2本のリードが基板に設けられた挿入孔に挿入されることにより、部品が基板に装着・実装される(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2015-029209号公報
【文献】特開2018-78136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、部品実装装置において挿入エラーが発生した場合、アラームを出して、設備を停止させる。その後、オペレータがカバー等を開け、挿入途中の基板にアクセスし、挿入エラーなった部品を手動で挿入し直したり、取り除いたりした後、設備を再スタートする。このように、挿入エラーが発生した際に作業者の手間や時間が掛かっており、部品実装装置の稼働率が低下してしまうといった課題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、部品実装装置の稼働率を向上させることができる部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の部品実装装置は、基板を位置決めする基板位置決め部と、リード付きの部品をピックアップし、前記基板位置決め部により位置決めされている前記基板の挿入孔に、前記部品のリードを挿入する挿入ヘッドと、下方を撮像する第1のカメラと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記基板の前記挿入孔に前記部品の前記リードが正常に挿入されていないというエラーを検出し、前記エラーの検出に応じて、前記第1のカメラにより前記基板を撮像し、前記基板の撮像画像に基づいて、前記挿入ヘッドにより前記基板から前記部品を再ピックアップする。
【0007】
また、本発明の部品実装基板の製造方法は、部品実装装置の基板位置決め部を用いて、基板を位置決めする基板位置決めステップと、前記部品実装装置の挿入ヘッドを用いて、リード付きの部品をピックアップし、前記基板位置決め部により位置決めされた前記基板の挿入孔に前記部品のリードを挿入する挿入ステップと、前記基板の前記挿入孔に前記部品の前記リードが正常に挿入されていないことを検出する挿入エラー検出ステップと、前記挿入エラー検出ステップによるエラーの検出に応じて、前記部品実装装置の第1のカメラにより、前記基板を撮像する第1撮像ステップと、前記第1撮像ステップの撮像画像に基づいて、前記挿入ヘッドにより、前記基板から前記部品を再ピックアップする再ピックアップステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品実装装置の稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施の形態の挿入ヘッドとヘッドカメラを示す概略正面図
【
図3】実施の形態の部品実装装置を用いて部品実装基板を製造する方法の一例を示すフローチャート
【
図4】実施の形態の挿入エラー発生時の制御方法の一例を示すフローチャート
【
図5】実施の形態の挿入エラー発生時の制御方法の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1態様によれば、基板を位置決めする基板位置決め部と、リード付きの部品をピックアップし、前記基板位置決め部により位置決めされている前記基板の挿入孔に、前記部品のリードを挿入する挿入ヘッドと、下方を撮像する第1のカメラと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記基板の前記挿入孔に前記部品の前記リードが正常に挿入されていないというエラーを検出し、前記エラーの検出に応じて、前記第1のカメラにより前記基板を撮像し、前記基板の撮像画像に基づいて、前記挿入ヘッドにより前記基板から前記部品を再ピックアップする、部品実装装置を提供する。
【0011】
このような構成によれば、挿入エラーとなった部品を所定条件を満たした場合に自動で再ピックアップすることで、部品を全て手動で取り除く必要がなくなる。これにより、挿入エラー発生時の作業性を向上させることができ、部品実装装置の稼働率を向上させることができる。
【0012】
本発明の第2態様によれば、前記制御部はさらに、前記部品を再ピックアップした後に、前記第1のカメラにより前記基板を撮像し、当該基板の撮像画像に前記部品が含まれるかどうかを判定する、第1態様に記載の部品実装装置を提供する。このような構成によれば、部品有無によって、部品を正常に再ピックアップしたかどうかを確認することができる。
【0013】
本発明の第3態様によれば、前記第1のカメラとは別の第2のカメラをさらに備え、前記制御部はさらに、当該基板の撮像画像に前記部品が含まれないと判定した場合に、前記第2のカメラにより、前記挿入ヘッドが保持している前記部品を撮像する、第2態様に記載の部品実装装置を提供する。このような構成によれば、部品を正常に再ピックアップしたかどうかをより正確に確認することができる。
【0014】
本発明の第4態様によれば、前記制御部はさらに、前記部品の撮像画像に含まれる前記部品のリードが、前記基板の前記挿入孔に挿入可能な姿勢であるかどうかを判定し、挿入可能な姿勢であると判定した場合に、前記挿入ヘッドにより、再ピックアップした前記部品の前記リードを前記基板の前記挿入孔に再挿入する、第3態様に記載の部品実装装置を提供する。このような構成によれば、部品を再挿入することによって部品を再利用することができ、部品のリードの姿勢を確認した上で再挿入することにより、部品の挿入をより精度良く行うことができる。
【0015】
本発明の第5態様によれば、前記制御部は、前記基板の撮像画像に含まれる前記部品の形状が、予め登録した部品の形状と相似すると判定した場合に、前記部品の再ピックアップを行う、第1態様から第4態様のいずれか1つに記載の部品実装装置を提供する。このような構成によれば、部品の姿勢を判定した上で、部品の再ピックアップを行うことができる。
【0016】
本発明の第6態様によれば、前記制御部はさらに、前記部品の形状同士が相似しないと判定した場合に、前記部品実装装置の運転を停止させる、第5態様に記載の部品実装装置を提供する。このような構成によれば、再ピックアップできない姿勢であると判断した部品をオペレータが手動で取り除くことができる。
【0017】
本発明の第7態様によれば、前記第1のカメラは前記挿入ヘッドに取り付けられ、前記挿入ヘッドと一体的に移動可能である、第1態様から第6態様のいずれか1つに記載の部品実装装置を提供する。このような構成によれば、再ピックアップできない姿勢であると判断した部品をオペレータが手動で取り除くことができる。
【0018】
本発明の第8態様によれば、部品実装装置の基板位置決め部を用いて、基板を位置決めする基板位置決めステップと、前記部品実装装置の挿入ヘッドを用いて、リード付きの部品をピックアップし、前記基板位置決め部により位置決めされた前記基板の挿入孔に前記部品のリードを挿入する挿入ステップと、前記基板の前記挿入孔に前記部品の前記リードが正常に挿入されていないことを検出する挿入エラー検出ステップと、前記エラー検出ステップによるエラーの検出に応じて、前記部品実装装置の第1のカメラにより、前記基板を撮像する第1撮像ステップと、前記第1撮像ステップの撮像画像に基づいて、前記挿入ヘッドにより、前記基板から前記部品を再ピックアップする再ピックアップステップと、を含む、部品実装基板の製造方法を提供する。
【0019】
このような方法によれば、第1態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0020】
本発明の第9態様によれば、前記制御部はさらに、前記再ピックアップステップの後に、前記第1のカメラにより、前記基板を撮像する第2撮像ステップと、前記第2撮像ステップで撮像された画像に前記部品が含まれるかどうかを判定する部品有無判定ステップと、を実行する、第8態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。このような方法によれば、第2態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0021】
本発明の第10態様によれば、さらに、前記部品有無判定ステップで前記部品が含まれないと判定した場合に、前記部品実装装置の前記第1のカメラとは別の第2のカメラにより、前記挿入ヘッドが保持している前記部品を撮像する第3撮像ステップを含む、第9態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。このような方法によれば、第3態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0022】
本発明の第11態様によれば、さらに、前記第3撮像ステップで撮像された画像に含まれる前記部品のリードが、前記基板の前記挿入孔に挿入可能な姿勢であるかどうかを判定するリード姿勢判定ステップと、前記リード姿勢判定ステップで挿入可能と判定した場合に、前記挿入ヘッドにより、再ピックアップした前記部品の前記リードを前記基板の前記挿入孔に再挿入する再挿入ステップと、を含む、第10態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。このような方法によれば、第4態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0023】
本発明の第12態様によれば、さらに、前記第1撮像ステップの撮像画像に含まれる前記部品の形状が、予め登録した部品の形状と相似するかどうかを判定する部品相似判定ステップを含み、前記再ピックアップステップは、前記部品相似判定ステップで相似すると判定した場合に前記部品の再ピックアップを行う、第8態様から第11態様のいずれか1つに記載の部品実装基板の製造方法を提供する。このような方法によれば、第5態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0024】
本発明の第13態様によれば、さらに、前記部品相似判定ステップで相似しないと判定した場合に、前記部品実装装置の運転を停止させる運転停止ステップを含む、第12態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。このような方法によれば、第6態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0025】
本発明の第14態様によれば、前記第1のカメラを前記挿入ヘッドに取り付けて、前記挿入ヘッドと一体的に移動可能に構成した、第8態様から第13態様のいずれか1つに記載の部品実装基板の製造方法を提供する。このような方法によれば、第7態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0026】
以下、本発明に係る部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法の例示的な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施の形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。
【0027】
(実施の形態)
まず
図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る部品実装装置について説明する。部品実装装置1は、基板2に部品3を実装する機能を有する。以下、基板2に対して水平な搬送方向をX方向、水平面内においてX方向と直交する方向をY方向、XY平面に対して垂直な方向、すなわち上下方向(鉛直方向)をZ方向と定義する。
【0028】
図1に示す部品実装装置1は、基台4と、部品供給ユニット6と、部品位置決め部11と、Y軸ビーム14と、X軸ビーム15と、プレート部材16と、挿入ヘッド17と、トップカメラ18(第1のカメラ)と、部品認識カメラ19(第2のカメラ)とを備える。
【0029】
基台4の上面には、複数の部品供給ユニット6が設けられている。部品供給ユニット6のそれぞれは、リード付きの部品3を複数収容するフィーダである。基板2には、部品3の2本のリード(図示せず)を挿通するための挿入孔2aが2か所設けられている。
【0030】
基板位置決め部11は、基板2を所定の実装位置に位置決めする部材である。基板2の実装位置は予め、制御部21にプログラムされている。
図1では、基板2が実装位置に位置決めされている状態が示される。
【0031】
実施の形態の基板位置決め部11は一対のコンベア機構から成る。基板位置決め部11は基板2の両端を下方から支持してX方向に搬送し、基板2を実装位置に位置決めする。
【0032】
基台4のX方向における両端部には、Y軸ビーム14が設けられている。Y軸ビーム14には、X軸ビーム15がY方向に移動自在に設けられている。X軸ビーム15には、板状のプレート部材16がX方向にスライド自在に装着されている。プレート部材16には、挿入ヘッド(実装ヘッド)17とヘッドカメラ18とが取り付けられている。X軸ビーム15およびプレート部材16を駆動させることによって、挿入ヘッド17とヘッドカメラ18をXY方向に移動させることができる。
【0033】
挿入ヘッド17は、部品供給ユニット6から部品3をピックアップして保持し、保持した部品3のリードを基板2の挿入孔2aに挿入する機能を有する。
【0034】
ヘッドカメラ18は、挿入ヘッド17とともにプレート部材16に取り付けられたカメラである。ヘッドカメラ18は、挿入ヘッド17とXY方向に一体的に移動する。ヘッドカメラ18は挿入ヘッド17と一体的である形態に限定されず、挿入ヘッド17と別体であり挿入ヘッド13と独立して移動する場合でもよい。
【0035】
基台4において、基板2と部品供給ユニット6の間には、撮像視野を上方に向けた部品認識カメラ19が設けられている。部品認識カメラ19は、その上方を移動する挿入ヘッド17に保持された部品3を下方から撮像する。
【0036】
制御部21は、部品実装装置1の各構成要素の動作を制御する部材である。制御部21は、配線等を介して部品実装装置1の各構成要素に電気的に接続されている。制御部21は例えばマイクロコンピュータで構成される。
【0037】
次に
図2を参照して、挿入ヘッド17の構成について説明する。
【0038】
挿入ヘッド17は、ヘッド本体部21と、ヘッド本体部21の下端部に装着された吸着ノズル22とを備える。ヘッド本体部21には、吸着ノズル22を水平方向に回転させる回転機構(図示省略)等が内蔵されている。吸着ノズル22は、ヘッド本体部21の上方に配置されたノズル昇降機構23によりZ方向に移動、すなわち昇降する。吸着ノズル22は、部品供給ユニット6から供給される部品3を吸着によって保持し、基板2に移送搭載する。
【0039】
挿入ヘッド17に取り付けられたヘッドカメラ18は、矢印Aで示すように、撮像視野を下方に向けるようにレンズ(図示せず)が下方に向けられている。
【0040】
上述した構成を有する部品実装装置1を用いて、基板2に部品3を実装した部品実装基板を製造する方法の一例について、
図3を用いて説明する。
図3は、部品実装基板を製造する方法の一例を示すフローチャートである。
【0041】
図3に示すように、まず、基板を位置決めする(ステップS1:「基板位置決めステップ」)。具体的には、
図1に示す基板位置決め部11を用いて、基板2を所定の実装位置に位置決めする。
【0042】
基板位置決めステップS1と並行して、部品3をピックアップする(ステップS2-1「ピックアップステップ」)。具体的には、挿入ヘッド17を部品供給ユニット6に移動させて、吸着ノズル22により部品3を吸着してピックアップする。
【0043】
ピックアップステップS2-1の後、部品3を認識する(ステップS2-2「部品認識ステップ」)。具体的には、部品3をピックアップした挿入ヘッド17を部品認識カメラ19の直上までXY方向に移動させて、部品認識カメラ19により、挿入ヘッド17の先端に保持されている部品3を撮像する。これにより、部品3を認識する。
【0044】
次に、部品3を基板2に挿入する(ステップS3:「部品挿入ステップ」)。具体的には、部品3をピックアップした挿入ヘッド17を、実装位置に位置決めされている基板3の直上に移動させて、部品3のリードを基板2の挿入孔2aに上方から挿入する。
【0045】
次に、部品3のリードをクリンチする(ステップS4:「クリンチステップ」)。具体的には、図示しないクリンチユニットを用いて、基板2の挿入孔2aから基板2の下面側に突出したリードを切断してクリンチする。
【0046】
次に、リフロー処理を行う(ステップS5:「リフローステップ」)。これにより、部品3を基板2に半田付けする。
【0047】
上述したステップS1~S5を実行することにより、基板2に部品3を装着した部品実装基板を製造することができる。さらにステップS1~S5を複数の基板2のそれぞれに実行することで、部品実装基板を量産することができる。
【0048】
ここで、前述した挿入ステップS3において、基板2の挿入孔2aに部品3が正常に挿入されない場合がある。このような場合に、実施の形態の部品実装装置1では、所定の条件を満たした場合に部品3を再度ピックアップし、部品3のリードを基板2の挿入孔2aに再挿入する制御を行う。このような制御によって、挿入エラーとなった部品3を全て手動で修正・廃棄する必要がなく、部品3を再利用することができる。これにより、挿入エラーが発生した際の部品実装装置1の稼働率を向上させることができる。その制御方法の一例について、
図4、
図5を用いて説明する。
【0049】
図4、
図5は、挿入エラー発生時の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0050】
図4に示すように、まず、挿入エラーを検出する(ステップS6:「挿入エラー検出ステップ」)。具体的には、制御部21が、例えば挿入ヘッド17の吸着ノズル22の高さ位置を検出することにより、部品3のリードが基板2の挿入孔2aに正常に挿入されていないことを検出する。例えば、吸着ノズル22の高さ位置が、制御部21に予め記憶された挿入成功時の高さ位置と異なる高さである場合に、挿入エラーとして検出される。このような方法に限らず、後述するクリンチユニットによるクリンチの失敗を挿入エラーとして検出する等、任意の方法を用いてもよい。
【0051】
挿入エラーの検出に応じて、基板2を撮像する(ステップS7:「第1撮像ステップ」)。具体的には、ヘッドカメラ18により、基板2の挿入孔2aを含む領域を上方から撮像する。ヘッドカメラ18が基板2の直上にない場合は、ヘッドカメラ18を基板2の直上までXY方向に移動させた上で、撮像を行う。
【0052】
次に、部品3の形状に関する相似判定を行う(ステップS8:「部品相似判定ステップ」)。具体的には、第1撮像ステップS7で撮像した画像において画像処理技術によって部品3を認識し、認識した部品3の形状と、制御部21に予め記憶した部品3の形状とが相似するかどうかを判定する。画像処理技術や相似判定方法は、本願出願時に公知である任意の技術・手段を用いてもよい。
【0053】
このような部品相似判定ステップS8によれば、部品3の形状が相似すると判定した場合に、部品3の姿勢が「直立」や「斜め立ち」等、再ピックアップ可能な姿勢であると判断することができる。一方で、部品3の形状が相似しないと判定した場合は、部品3の姿勢が「横倒し」等、再ピックアップできない姿勢であると判断することができる。
【0054】
部品相似判定ステップS8で相似すると判定した場合はステップS9を実行し、相似しないと判定した場合はステップS10を実行する。ステップS9は、挿入ヘッド17により、部品3を再ピックアップする「再ピックアップステップ」であり、ステップS10は、部品実装装置1の運転を停止させるステップである「設備停止ステップ」である。
【0055】
このように、部品相似判定ステップS8で相似すると判定した場合にのみ、部品3を再ピックアップするように制御することで、挿入エラーとなった部品3の姿勢が再ピックアップ可能な姿勢かどうかを予め判定した上で再ピックアップを行うことができる。これにより、部品3の再ピックアップを精度よく実行することができる。また、部品相似判定ステップS8で相似しないと判定した場合は部品実装装置1の運転を停止することで、オペレータが部品3を手動で取り除くことができる。
【0056】
再ピックアップステップS9により部品3を再ピックアップすると、次に、基板2を撮像する(ステップS11:「第2撮像ステップ」)。具体的には、ヘッドカメラ18により、基板2の挿入孔2aを含む領域を撮像する。
【0057】
次に、部品3の有無を判定する(ステップS12:「部品有無判定ステップ」)。具体的には、制御部21が、ステップS11で撮像した画像に部品3が含まれるかどうかを画像処理技術によって判定する。
【0058】
このように、基板2の上の部品3を再ピックアップした後に基板2の上面を撮像することで、撮像した画像をもとに、挿入ヘッド17が部品3をピックアップしたかどうかを確認することができる。撮像した画像に部品3が含まれない場合は、挿入ヘッド17が部品3を正常にピックアップしたものと判断することができる。一方で、撮像した画像に部品3が含まれる場合は、挿入ヘッド17が部品3を正常にピックアップできず、基板2の上に部品3が残ったものと判断できる。
【0059】
部品有無判定ステップS12で部品3が含まれないと判定した場合はステップS13を実行し、部品3が含まれると判定した場合は設備停止ステップS10を実行する。このように部品実装装置1の運転を停止することで、ピックアップに失敗した部品3をオペレータが手動で取り除くことができる。
【0060】
ステップS13は、部品認識カメラ19により、部品3を撮像するステップである(「第3撮像ステップ」)。具体的には、ヘッドカメラ18とは別のカメラである部品認識カメラ19の直上まで挿入ヘッド17をXY方向に移動させた後、挿入ヘッド17が保持している部品3を含む領域を、部品認識カメラ19により下方から撮像する。
【0061】
次に、リードの姿勢が挿入可能な姿勢であるかどうかを判定する(ステップS14:「リード姿勢判定ステップ」)。具体的には、ステップS13で撮像した画像における部品3のリードの姿勢を画像処理技術により特定し、特定した姿勢が、制御部21に予め記憶した許容範囲の姿勢に含まれるかどうかを判定する。許容範囲に含まれる場合は挿入可能と判断し、許容範囲に含まれない場合は挿入可能でないと判断することができる。
【0062】
リードの姿勢が挿入可能と判断した場合はステップS15を実行し、挿入可能でないと判断した場合はステップS16を実行する。ステップS15は、ピックアップした部品3を基板2に再挿入する「部品再挿入ステップ」である。ステップS16は、ピックアップした部品3を廃棄する「部品廃棄ステップ」である。
【0063】
このように、部品3のリードを再挿入する前にリードの姿勢が挿入可能かどうかを判定することで、部品3の挿入エラーを事前に防ぐことができる。
【0064】
部品再挿入ステップS15では、部品3をピックアップした挿入ヘッド17を基板2までXY方向に移動させて、部品3のリードを基板2の挿入孔2aに再挿入する。
【0065】
次に、部品3が正常に挿入されたかどうかを判定する(ステップS17:「部品挿入判定ステップ」)。具体的には、制御部21が、ステップS6と同様の方法により、部品3のリードが基板2の挿入孔2aに正常に挿入されたかどうかを判定する。
【0066】
部品挿入判定ステップS17で部品3が正常に挿入されたと判定した場合は、
図3のフローチャートに戻り、ステップS4、S5を順に実行する。これにより、基板2に部品3を装着した部品実装基板を製造することができる。このようにして、一度は挿入エラーとなった部品3を再利用して部品実装基板を製造することで、挿入エラーとなった部品3を全て手動で取り除く必要がなくなり、部品実装装置1の稼働率および生産性を向上させることができる。
【0067】
一方で、部品挿入判定ステップS17で部品3が正常に挿入されていないと判定した場合は、
図5に示すフローを実行する。
【0068】
具体的には、
図5に示すように、基板2を撮像する(ステップS18:「第4撮像ステップ」)。より具体的には、ヘッドカメラ18により、基板2の挿入孔2aを含む領域を上方から撮像する。
【0069】
次に、部品3の形状に関する相似判定を行う(ステップS19:「部品相似判定ステップ」)。具体的には、第4撮像ステップS18で撮像した画像をもとに、画像処理技術によって部品3を認識するとともに、認識した部品3の形状と、制御部21に予め記憶した部品3の形状とが相似するかどうかを制御部21が判定する。
【0070】
部品相似判定ステップS19で相似すると判定した場合はステップS20を実行し、相似しないと判定した場合はステップS21を実行する。ステップS20は、挿入ヘッド17により、部品3を再ピックアップする「再ピックアップステップ」である。ステップS21は、部品実装装置1の運転を停止させる「設備停止ステップ」である。
【0071】
再ピックアップステップS20で部品3を再ピックアップすると、次に、基板2を撮像する(ステップS22:「第5撮像ステップ」)。具体的には、ヘッドカメラ18により、基板2の挿入孔2aを含む領域を撮像する。
【0072】
次に、部品3の有無を判定する(ステップS23:「部品有無判定ステップ」)。具体的には、制御部21が、ステップS22で撮像した画像に部品3が含まれるかどうかを画像処理技術によって判定する。
【0073】
部品有無判定ステップS23で部品3が含まれないと判定した場合はステップS24を実行し、部品3が含まれると判定した場合は設備停止ステップS21を実行する。
【0074】
ステップS24は、挿入ヘッド17によりピックアップした部品3を廃棄する部品廃棄ステップである。すなわち、
図5に示す制御方法によれば、前述した
図4の挿入判定ステップS17において挿入エラーとなった部品3を、挿入ヘッド17により再ピックアップし、かつそれを廃棄するという制御を行う。このように2度挿入エラーとなった部品3を自動で廃棄することで、オペレータが部品3を全て手動で廃棄する必要がなく、部品3の誤挿入を防止しつつ、部品実装装置1の稼働率を向上させることができる。
【0075】
なお、部品廃棄ステップS24に代えて、部品3のリードを基板2の挿入孔2aに再挿入するように制御してもよい。
【0076】
上述したように、本実施の形態の部品実装装置11は、基板位置決め部11と、挿入ヘッド17と、第1のカメラの一例であるヘッドカメラ18と、制御部21と、を備える。このような構成において、制御部21は、挿入エラー検出ステップS6と、第1撮像ステップS7と、再ピックアップステップS9とを実行する。挿入エラー検出ステップS6は、基板2の挿入孔2aに部品3のリードが正常に挿入されていないことを検出するステップである。第1撮像ステップS7は、挿入エラー検出ステップS6によるエラーの検出に応じて、ヘッドカメラ18により、基板2を撮像するステップである。再ピックアップステップS9は、第1撮像ステップS7の撮像画像に基づいて、挿入ヘッド17により、部品3を再ピックアップするステップである。
【0077】
また、本実施の形態の部品実装基板の製造方法は、基板位置決めステップS1と、挿入ステップS3と、挿入エラー検出ステップS6と、第1撮像ステップS7と、再ピックアップステップS9とを実行する。基板位置決めステップS1は、部品実装装置1の基板位置決め部11を用いて、基板2を位置決めするステップである。挿入ステップS3は、部品実装装置1の挿入ヘッド17を用いて、リード付きの部品3をピックアップし、基板位置決め部11により位置決めされた基板2の挿入孔2aに部品3のリードを挿入するステップである。
【0078】
このような構成および方法によれば、挿入エラーとなった部品3を所定条件を満たした場合に自動で再ピックアップすることで、部品3を全て手動で取り除く必要がなくなる。これにより、挿入エラー発生時の作業性を向上させることができ、部品実装装置1の稼働率を向上させることができる。
【0079】
また、本実施の形態の制御部21はさらに、第2撮像ステップS11と、部品有無判定ステップS12とを実行する。第2撮像ステップS11は、再ピックアップステップS9の後に、ヘッドカメラ18により、基板2を撮像するステップである。部品有無判定ステップS12は、第2撮像ステップS11で撮像された画像に部品3が含まれるかどうかを判定するステップである。このような構成および方法によれば、部品有無判定ステップS12の結果によって、再ピックアップステップS9で部品3を正常にピックアップしたかどうかを確認することができる。
【0080】
また、本実施の形態の制御部21はさらに、部品有無判定ステップS12で部品3が含まれないと判定した場合に、第2のカメラの一例である部品認識カメラ19により、挿入ヘッド17が保持している部品3を撮像する第3撮像ステップS13を実行する。このような構成および方法によれば、再ピックアップステップS9で部品3を正常にピックアップしたかどうかをより正確に確認することができる。
【0081】
また、本実施の形態の制御部21はさらに、リード姿勢判定ステップS14と、再挿入ステップS15とを実行する。リード姿勢判定ステップS14は、第3撮像ステップS13で撮像された画像に含まれる部品3のリードが、基板2の挿入孔2aに挿入可能な姿勢であるかどうかを判定するステップである。再挿入ステップS15は、リード姿勢判定ステップS14で挿入可能と判定した場合に、挿入ヘッド17により、再ピックアップした部品3のリードを基板2の挿入孔2aに再挿入するステップである。このような構成および方法によれば、部品3を再挿入することによって部品3を再利用することができ、部品3のリードの姿勢を確認した上で再挿入することにより、部品3の挿入をより精度良く行うことができる。
【0082】
また、本実施の形態の制御部21はさらに、第1撮像ステップS7の撮像画像に含まれる部品3の形状が、予め登録した部品3の形状と相似するかどうかを判定する部品相似判定ステップS8を実行する。さらに、再ピックアップステップS9は、部品相似判定ステップS8で相似すると判定した場合に部品3の再ピックアップを行うステップである。このような構成および方法によれば、部品3の姿勢を判定した上で、部品3の再ピックアップを行うことができ、再ピックアップを精度良く行うことができる。
【0083】
また、本実施の形態の制御部21はさらに、部品相似判定ステップS8で相似しないと判定した場合に、部品実装装置1の運転を停止させる運転停止ステップS10を実行する。このような構成および方法によれば、再ピックアップできない姿勢と判断した部品3をオペレータが手動で取り除くことができる。
【0084】
また、本実施の形態では、ヘッドカメラ18は挿入ヘッド17に取り付けられ、挿入ヘッド17と一体的に移動可能に構成されている。このような構成および方法によれば、挿入ヘッド17に取り付けられたヘッドカメラ18を用いて撮像を行うことができる。
【0085】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されない。
【0086】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施の形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【0087】
なお、前記実施の形態の様々な変形例のうち、任意の変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 部品実装装置
2 基板
2a 挿入孔
3 部品
4 基台
6 部品供給ユニット
11 部品位置決め部
14 Y軸ビーム
15 X軸ビーム
16 プレート部材
17 挿入ヘッド
18 ヘッドカメラ(第1のカメラ)
19 部品認識カメラ(第2のカメラ)
21 制御部
22 吸着ノズル
23 ノズル昇降機構