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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】建設機械用ペダルスイッチ及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   H01H 21/26 20060101AFI20230519BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
H01H21/26
E02F9/20 L
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019061916
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020161419
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-12-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 哲也
(72)【発明者】
【氏名】市村 健一
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-007006(JP,A)
【文献】特開2018-147483(JP,A)
【文献】特開平09-097535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 21/26
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械に設置される電動式のペダルスイッチであって、
作業者のペダル操作によって第一回転軸まわりに回転する操作部材と、
前記操作部材の回転によって第二回転軸まわりに回転する磁石と、
前記磁石の回転角を検出する磁気検出センサと、
前記操作部材と前記磁石の間に介在し、前記操作部材の回転角を増大させて前記磁石に伝える増幅部材と、を備える
建設機械用ペダルスイッチ。
【請求項2】
建設機械に設置される電動式のペダルスイッチであって、
作業者のペダル操作によって第一回転軸まわりに回転する操作部材と、
前記操作部材の回転によって第二回転軸まわりに回転する磁石と、
前記磁石の回転角を検出する磁気検出センサと、を備え、
前記第一回転軸と前記第二回転軸は、互いに非平行である
建設機械用ペダルスイッチ。
【請求項3】
前記磁気検出センサが実装された基板を、更に備え、
前記基板の面方向は、前記第一回転軸と平行である
請求項2の建設機械用ペダルスイッチ。
【請求項4】
前記第一回転軸と前記第二回転軸は、互いに平行である
請求項1の建設機械用ペダルスイッチ。
【請求項5】
前記磁気検出センサが実装された基板を、更に備え、
前記基板の面方向は、前記第一回転軸と非平行である
請求項4の建設機械用ペダルスイッチ。
【請求項6】
前記磁気検出センサが実装された基板と、
前記操作部材を回転自在に支持する筐体を、更に備え、
前記筐体は、前記基板を収容する収容空間と、前記操作部材の一部が挿入される開口部を有し、
前記開口部は、前記収容空間に連通し、かつ、平面視において前記基板と重ならない位置にある
請求項4の建設機械用ペダルスイッチ。
【請求項7】
前記操作部材を回転自在に支持する筐体を、更に備え、
前記筐体は、合成樹脂製である
請求項1から5のいずれか一項の建設機械用ペダルスイッチ。
【請求項8】
建設機械に設置される電動式のペダルスイッチであって、
作業者のペダル操作によって第一回転軸まわりに回転する操作部材と、
前記操作部材の回転によって第二回転軸まわりに回転する磁石と、
前記磁石の回転角を検出する磁気検出センサと、
前記操作部材を、その回転範囲の中間位置に向けて付勢する復帰ばねと、備える
建設機械用ペダルスイッチ。
【請求項9】
前記増幅部材のうち前記第二回転軸から離れた個所と、前記操作部材のうち前記第一回転軸から離れた個所とが、互いに引っ掛かるように構成されている
請求項1の建設機械用ペダルスイッチ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項の建設機械用ペダルスイッチと、
前記建設機械用ペダルスイッチが設置された建設機械本体と、を備える
建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械用ペダルスイッチ及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転操作を足元で行うための機器として、電動式のペダルスイッチが知られている(特許文献1等参照)。
【0003】
近年は、建設機械の分野においても、環境負荷低減、操作性向上等の目的から機械全体の電動化が進められており、電動式の建設機械用ペダルスイッチのニーズが高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-97535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電動式の建設機械用ペダルスイッチは、比較的大型であることから、建設機械の種類(例えば小型のショベルカー等)によっては設置し難い場合があった。
【0006】
本発明は、コンパクトな電動式の建設機械用ペダルスイッチと、これを備えた建設機械を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る建設機械用ペダルスイッチは、建設機械に設置される電動式のペダルスイッチであって、作業者のペダル操作によって第一回転軸まわりに回転する操作部材と、前記操作部材の回転によって第二回転軸まわりに回転する磁石と、前記磁石の回転角を検出する磁気検出センサと、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る建設機械は、前記建設機械用ペダルスイッチと、前記建設機械用ペダルスイッチが設置された建設機械本体と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、コンパクトな電動式の建設機械用ペダルスイッチと、これを備えた建設機械を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1の建設機械用ペダルスイッチの斜視図である。
図2図2は、同上の建設機械用ペダルスイッチの分解斜視図である。
図3図3は、同上の建設機械用ペダルスイッチの要部分解斜視図である。
図4図4Aは、同上の建設機械用ペダルスイッチにおいて操作部材を回転させたときの要部斜視図であり、図4Bは、同上の建設機械用ペダルスイッチにおいて操作部材を逆方向に回転させたときの要部斜視図である。
図5図5は、同上の建設機械用ペダルスイッチにおいて底蓋と基板を外した下面図である。
図6図6は、同上の建設機械用ペダルスイッチを覆うカバーの斜視図である。
図7図7は、同上の建設機械用ペダルスイッチの変形例の斜視図である。
図8図8は、同上の建設機械用ペダルスイッチが設置される建設機械の斜視図である。
図9図9は、実施形態2の建設機械用ペダルスイッチの斜視図である。
図10図10は、同上の建設機械用ペダルスイッチの分解斜視図である。
図11図11は、同上の建設機械用ペダルスイッチの要部分解斜視図である。
図12図12Aは、同上の建設機械用ペダルスイッチにおいて操作部材を回転させたときの要部斜視図であり、図12Bは、同上の建設機械用ペダルスイッチにおいて操作部材を逆方向に回転させたときの要部斜視図である。
図13図13は、同上の建設機械用ペダルスイッチにおいて底蓋を外した下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
図1等に示す実施形態1の建設機械用ペダルスイッチ90は、例えば、図8に示すような建設機械9において、建設機械本体95の運転席958に設置される。以下の説明文中において、建設機械用ペダルスイッチ90は単に「ペダルスイッチ90」と称する。
【0012】
建設機械本体95は、小型のショベルカーである。建設機械本体95は、クローラ式の走行体951と、走行体951の上に旋回可能に設けられた旋回体953と、旋回体953の前側に連結されたアーム装置955と、アーム装置955の先端部に装着されたアタッチメント957を備える。運転席958は、旋回体953に設けられている。
【0013】
アタッチメント957は、この例ではバケットであるが、クラッシャ、グラップル、ブレーカ等の他のアタッチメントを用いることも可能である。また、ペダルスイッチ90を設置可能な建設機械本体95は小型のショベルカーに限定されず、中型又は大型のショベルカーでもよいし、ホイールローダ、ブルドーザ、ダンプトラック等でもよい。
【0014】
図1から図5に示すように、ペダルスイッチ90は、運転席958の床部に設置される。ペダルスイッチ90は、走行体951の走行、アタッチメント957の操作等に用いられる足踏み式の電動スイッチである。
【0015】
ペダルスイッチ90は、操作部材1、筐体2、磁石3、増幅部材4、磁気検出センサ5及び基板6を具備し、更に、第一軸部材71、第二軸部材72、Cリング73、復帰ばね74及び固定ブッシュ75を具備する。以下、これらの構成について説明する。
【0016】
操作部材1は、図示略のペダル本体(図示略)と一体に動作するように該ペダル本体に固定される金属製の部材である。操作部材1は、プレス加工によってコ字状に成形されており、互いに平行である左右の両側片11と、両側片11の上縁部同士をつなぐ連結片13を、一体に有する。
【0017】
両側片11には、円柱状の第一軸部材71を挿通するための貫通孔110が、それぞれ形成されている。操作部材1は、両側片11の貫通孔110に挿通された第一軸部材71によって、第一回転軸A1まわりに回転自在に支持される。本実施形態において、第一回転軸A1は、第一軸部材71の中心軸と一致する。
【0018】
第一軸部材71の軸方向の両端部には、環状の溝が形成されており、各溝には抜け止め用のCリング73が嵌め込まれる。また、第一軸部材71には、復帰ばね74が装着される。復帰ばね74は、操作部材1をその回転範囲の中間位置に向けて付勢する金属ばね部材である。復帰ばね74は、その軸方向に第一軸部材71が挿し通されるコイルばね741と、コイルばね741の一端から延長されたばね棒743と、コイルばね741の他端から延長されたばね棒745を、一体に有する。両側のばね棒743,745は、互いに反対側に向けて延長されており、それぞれが側片11の内面に引っ掛かるように構成されている。
【0019】
操作部材1の連結片13には、固定ブッシュ75を差し込むための貫通孔130が、二か所に形成されている。固定ブッシュ75は、操作部材1にペダル本体を固定するために用いられる円筒状の金属部材である。
【0020】
本実施形態では、操作部材1をペダル本体とは別体に形成しているので、ペダル本体として多様な種類のものを選択的に装着することができ、汎用性が高いという利点がある。操作部材1をペダル本体と一体に形成することも可能である。
【0021】
筐体2は、第一軸部材71を介して操作部材1を回転自在に支持するように構成された成形品である。筐体2には、第一軸部材71を挿通するための貫通孔21が、左右に距離をあけた二か所に形成されている。筐体2は、軽量化を図るため合成樹脂で形成しているが、強度を高めるために金属材料で形成してもよい。
【0022】
筐体2には、収容空間20が形成されている(図5参照)。収容空間20には、磁石3、増幅部材4、磁気検出センサ5及び基板6が収容される。更に、収容空間20には、操作部材1の一部が開口部25を通じて挿し込まれるようになっている。ここで挿し込まれる操作部材1の一部は、側片11の下端部11aである。側片11において、下端部11aは貫通孔110よりも下側に位置する。下端部11aには、下方及び両側方に解放された溝部115が形成されている。
【0023】
収容空間20は、筐体2の底部を構成する着脱自在な底蓋29によって封止される。筐体2から底蓋29を外すことで、収容空間20は下方に解放される(図5参照)。
【0024】
磁石3と増幅部材4は、インサート成型により一体に形成されている。円板状である磁石3は、S極の磁極を有する半円板状の第一半部31と、N極の磁極を有する半円板状の第二半部32を有する。
【0025】
増幅部材4は、円柱状に形成された部材本体40と、部材本体40から外側方に突出する突起体45を、一体に有する。増幅部材4は合成樹脂製であるが、強度を高めるために金属材料で形成することも可能である。
【0026】
部材本体40の軸方向の一端側に磁石3が固定され、軸方向の他端側に金属製の第二軸部材72の一部が挿入される。第二軸部材72の他の部分は、筐体2の溝部(図示略)に挿入される。増幅部材4は、第二軸部材72を介して、第二回転軸A2まわりに回転自在である。本実施形態において、第二回転軸A2は、第二軸部材72の中心軸と一致する。
【0027】
部材本体40から突起体45が突出する方向は、第二回転軸A2とは非平行な方向であり、本実施形態においては第二回転軸A2と直交する方向である。突起体45の先端部は、球状に成形されている。
【0028】
図3から図5に示すように、突起体45の先端部は、側片11の溝部115に挿入される。突起体45が溝部115に引っ掛かることで、操作部材1の回転が増幅部材4の回転に変換され、磁石3が増幅部材4と一体に回転する。
【0029】
言い換えれば、増幅部材4のうち第二回転軸A2から離れた個所にある突起体45と、操作部材1のうち第一回転軸A1から離れた個所にある溝部115とが、互いに引っ掛かることで、操作部材1の回転に連動して、増幅部材4と磁石3が回転する。
【0030】
操作部材1と磁石3の間に介在する増幅部材4は、操作部材1の回転角を増幅させて磁石3に伝える機能を有する。本実施形態において、増幅部材4は、操作部材1の回転角を2倍程度に増幅させて磁石3に伝えるように構成されている。
【0031】
また、増幅部材4は、操作部材1の第一回転軸A1まわりの回転を、第一回転軸A1とは異なる第二回転軸A2まわりの回転に変換する機能を有する。第一回転軸A1と第二回転軸A2は、互いに非平行である。本実施形態では、第一回転軸A1と第二回転軸A2は互いに直交するように設けられているが、これに限定されず、いずれかの方向から見たときに交差するように設けられていればよい。
【0032】
磁気検出センサ5は、磁石3の回転角を非接触で検出するために用いられるセンサである。本実施形態において、磁気検出センサ5はホールセンサで構成されているが、これに限定されず、MRセンサ等の他のセンサで構成されてもよい。
【0033】
基板6は、磁気検出センサ5を実装する平板状の基板であり、磁石3と距離をあけて対向する姿勢で、筐体2に固定されている。本実施形態において、基板6の面方向は、第一回転軸A1と平行であり、第二回転軸A2と直交する。なお、本願で用いる平行の文言は厳密な意味に限定されず、略平行な場合も含む。同様に、直交の文言は厳密な意味に限定されず、略直交な場合も含む。
【0034】
本実施形態のペダルスイッチでは、上記の構造により、収容空間20において基板6を横置き姿勢で配置することができ、全体が大幅に低背化される。本実施形態のペダルスイッチは、図6に示すようなゴム製のカバー8で覆われた状態で、運転席958に設置される。カバー8は、蛇腹構造の側周部85を有し、操作部材1がペダル本体と一体に回転することに伴って変形する。操作部材1がペダル本体と一体に回転する範囲は、操作部材1の中間位置を基準として、第一回転軸A1まわりに正逆14°の範囲であるが、これとは異なる角度の範囲に設定することも可能である。
【0035】
本実施形態のペダルスイッチでは、基板6に電気接続された配線を筐体2の外に引き出すために、筐体2の一部に、複数の挿通孔を有するワイヤーシール27(図5参照)を組み込んでいるが、これの代わりにダイレクトコネクタ28(図7参照)を用いてもよい。変形例では、ダイレクトコネクタ28を介して、収容空間20の基板6と外部コネクタを電気接続することができる。
【0036】
(実施形態2)
次に、実施形態2のペダルスイッチ90について、図9から図13に基づいて説明する。実施形態2の説明において、実施形態1で説明した構成と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0037】
本実施形態のペダルスイッチ90は、実施形態1と同様に、操作部材1、筐体2、磁石3、増幅部材4、磁気検出センサ5及び基板6を具備し、更に、第一軸部材71、Cリング73、復帰ばね74及び固定ブッシュ75を具備する。
【0038】
一方で、本実施形態においては、実施形態1では増幅部材4の回転中心となっていた第二軸部材72の代わりに、増幅部材4と基板6を支持する支持台76を備えている。
【0039】
支持台76は、矩形平板状の基台761と、増幅部材4を回転変位可能に支持する円柱状の軸部763と、基板6を支持固定するための複数の支持柱765を、一体に有する樹脂成形品である。軸部763と複数の支持柱765は、基台761の厚み方向を向く一面から、同一方向に突出している。複数の支持柱765は、基台761の四隅部からそれぞれ突出した四つの支持柱765である。軸部763は、これら四つの支持柱765に囲まれるように位置する。
【0040】
増幅部材4の部材本体40のうち、磁石3が固定されている側とは反対側の端部に、支持台76の軸部763が挿入される。軸部763は、増幅部材4を第二回転軸A2まわりに回転自在に支持する。
【0041】
本実施形態における第二回転軸A2は、軸部763の中心軸と一致する。第二回転軸A2は、第一回転軸A1と平行に設定されている。
【0042】
図11等に示すように、部材本体40から外側方に向けて突出する突起体45の先端部は、L字状に折れ曲がっている。部材本体40から突起体45が突出する方向は、第二回転軸A2と非平行な方向であり、本実施形態においては第二回転軸A2と直交する方向である。突起体45の先端部が折れ曲がる方向は、第二回転軸A2と平行な方向である。
【0043】
突起体45の折れ曲がった先端部は、操作部材1のうち、筐体2の開口部25(図13参照)を通じて収容空間20に差し込まれた側片11の下端部11aが有する溝部115に、挿入される。突起体45と溝部115が引っ掛かることで、操作部材1の回転が増幅部材4の回転に変換され、磁石3が増幅部材4と一体に回転する。本実施形態において、増幅部材4は、操作部材1の回転角を3倍程度に増幅させて磁石3に伝えるように構成されている。
【0044】
基板6は、磁気検出センサ5を、第二回転軸A2に沿って磁石3から距離をあけた位置に支持する。矩形平板状である基板6の四隅部は、支持台76が有する四つの支持柱765の先端部に、一対一で固定される。
【0045】
支持台76と基板6が固定された状態において、互いに平行に位置する基台761と基板6の間に、操作部材1の下端部11aと増幅部材4が位置する。実施形態1では基板6が収容空間20で横置きされるのに対して、本実施形態では、基板6が収容空間20で縦置きされる。基板6の面方向は、第一回転軸A1及び第二回転軸A2と非平行であり、具体的には、第一回転軸A1及び第二回転軸A2と直交するように設定されている。
【0046】
本実施形態のペダルスイッチ90では、上記のように第一回転軸A1と第二回転軸A2が平行であるから、操作部材1の回転を、磁石3の回転に円滑に変換させやすい構造である。また、増幅部材4を介して、操作部材1の回転角を大きく増幅させやすい構造であるから、回転角検出の精度がより高められる。
【0047】
なお、本実施形態において基板6が縦置きされる位置は、開口部25の下方位置を除いた位置であり、言い換えれば、平面視において基板6とは重ならない位置である。この位置設定により、万が一、開口部25を通じて収容空間20に水が浸入した場合でも、該水が基板6に当たることが抑えられる。
【0048】
以上、実施形態1,2のペダルスイッチ90及びこれを備えた建設機械9について説明したが、同様の作用効果を奏する範囲内であれば、各実施形態において適宜に設計変更を行うことや、各実施形態の構成を適宜に組み合わせて適用することが可能である。
【0049】
例えば、実施形態1,2のペダルスイッチ90では、増幅部材4の側に突起(突起体45)を設け、この突起が引っ掛かる溝(溝部115)を操作部材1の側に設けているが、これが逆でもよい。つまり、操作部材1と増幅部材4の一方に突起を設け、この突起が引っ掛かる溝を、操作部材1と増幅部材4の他方に設ければよい。
【0050】
(態様)
実施形態1及び2に基づいて説明したように、第1の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)は、建設機械(9)に設置される電動式のペダルスイッチであって、操作部材(1)、磁石(3)及び磁気検出センサ(5)を備える。操作部材(1)は、作業者のペダル操作によって第一回転軸(A1)まわりに回転する。磁石(3)は、操作部材(1)の回転によって第二回転軸(A2)まわりに回転する。磁気検出センサ(5)は、磁石(3)の回転角を検出する。
【0051】
第1の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)によれば、スイッチ全体をコンパクトに形成することができる。そのため、比較的に小型の建設機械(9)であっても組み込むことが容易である。
【0052】
また、実施形態1及び2に基づいて説明したように、第2の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)は、第1の態様において、増幅部材(4)を更に備える。増幅部材(4)は、操作部材(1)と磁石(3)の間に介在し、操作部材(1)の回転角を増大させて磁石(3)に伝える。
【0053】
第2の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)によれば、増幅部材(4)を介して回転角が増大されるので、回転角検出の精度が高められる。
【0054】
また、実施形態1に基づいて説明したように、第3の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)は、第1又は第2の態様において、第一回転軸(A1)と第二回転軸(A2)は、互いに非平行である。
【0055】
第3の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)によれば、第二回転軸(A2)の方向を、スイッチ全体のコンパクト化が実現されるように、高い自由度で設定することができる。
【0056】
また、実施形態1に基づいて説明したように、第4の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)は、第3の態様において、磁気検出センサ(5)が実装された基板(6)を、更に備える。基板(6)の面方向は、第一回転軸(A1)と平行である。
【0057】
第4の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)によれば、基板(6)の配置を横置きにすることで、スイッチ全体の一層のコンパクト化が実現される。
【0058】
また、実施形態2に基づいて説明したように、第5の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)は、第1又は第2の態様において、第一回転軸(A1)と第二回転軸(A2)は、互いに平行である。
【0059】
第5の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)によれば、操作部材1の回転を、磁石3の回転に円滑に変換させやすい構造となる。
【0060】
また、実施形態2に基づいて説明したように、第6の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)は、第5の態様において、磁気検出センサ(5)が実装された基板(6)を、更に備える。基板(6)の面方向は、第一回転軸(A1)と非平行である。
【0061】
第6の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)によれば、基板(6)の配置を、高い自由度で設定することができる。
【0062】
また、実施形態2に基づいて説明したように、第7の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)は、第5の態様において、磁気検出センサ(5)が実装された基板(6)と、操作部材(1)を回転自在に支持する筐体(2)を、更に備える。筐体(2)は、基板(6)を収容する収容空間(20)と、操作部材(1)の一部が挿入される開口部(25)を有する。開口部(25)は、収容空間(20)に連通し、かつ、平面視において基板(6)と重ならない位置にある。
【0063】
第7の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)によれば、万が一、開口部(25)を通じて収容空間(20)に水が浸入した場合でも、該水が基板(6)に当たることが抑えられる。
【0064】
また、実施形態1及び2に基づいて説明したように、第8の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)は、第1から第6のいずれか一つの態様において、操作部材(1)を回転自在に支持する筐体(2)を、更に備える。筐体(2)は、合成樹脂製である。
【0065】
第8の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)によれば、スイッチ全体を一層軽量化することができる。そのため、比較的に小型の建設機械(9)であっても組み込むことが容易である。
【0066】
また、実施形態1及び2に基づいて説明したように、第9の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)は、第1から第8のいずれか一つの態様において、復帰ばね(74)を更に備える。復帰ばね(74)は、操作部材(1)を、その回転範囲の中間位置に向けて付勢する。
【0067】
第9の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)によれば、操作部材(1)を、中間位置を基準として正逆方向に回転操作することができる。操作部材(1)は、復帰ばね(74)の付勢力により自ずと中間位置に復帰するので、操作が容易である。
【0068】
また、実施形態1及び2に基づいて説明したように、第10の態様の建設機械用ペダルスイッチは、第2の態様において、増幅部材(4)のうち第二回転軸(A2)から離れた個所と、操作部材(1)のうち第一回転軸(A1)から離れた個所とが、互いに引っ掛かるように構成されている。
【0069】
第10の態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)によれば、操作部材(1)と増幅部材(4)をコンパクトな構造で連動させることができる。
【0070】
また、実施形態1及び2に基づいて説明したように、第1の態様の建設機械(9)は、第1から第10のいずれか一つの態様の建設機械用ペダルスイッチ(90)と、建設機械用ペダルスイッチ(90)が設置された建設機械本体(95)を備える。
【0071】
第1の態様の建設機械(9)によれば、コンパクトな電動式の建設機械用ペダルスイッチ(90)を備えた建設機械(9)を提供することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 操作部材
2 筐体
20 収容空間
25 開口部
3 磁石
4 増幅部材
5 磁気検出センサ
6 基板
74 復帰ばね
9 建設機械
90 建設機械用ペダルスイッチ
95 建設機械本体
A1 第一回転軸
A2 第二回転軸
図1
図2
図3
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図5
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図13