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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20230519BHJP
   C01B 25/08 20060101ALI20230519BHJP
   C01F 17/36 20200101ALI20230519BHJP
   C01G 49/00 20060101ALI20230519BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20230519BHJP
   H01B 1/10 20060101ALI20230519BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230519BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230519BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20230519BHJP
【FI】
H01M10/058
C01B25/08 Z
C01F17/36
C01G49/00 A
H01B1/06 A
H01B1/10
H01M4/62 Z
H01M10/052
H01M10/0562
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019563938
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2018041900
(87)【国際公開番号】W WO2019135323
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2018000432
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】境田 真志
(72)【発明者】
【氏名】浅野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 晃暢
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-056349(JP,A)
【文献】特開2017-152324(JP,A)
【文献】国際公開第2015/030052(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105254184(CN,A)
【文献】国際公開第2018/025582(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/058
C01B 25/08
C01F 17/36
C01G 49/00
H01B 1/06
H01B 1/10
H01M 4/62
H01M 10/052
H01M 10/0562
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、
負極と、
前記正極と前記負極との間に配置された電解質層と、
を備え、
前記電解質層は、第1電解質層と第2電解質層とを含み、
前記第1電解質層は、第1固体電解質材料を含み、
前記第2電解質層は、前記第1固体電解質材料とは異なる材料である第2固体電解質材料を含み、
前記第1固体電解質材料は、
リチウムと、
イットリウムまたは鉄と、
塩素、臭素、およびヨウ素からなる群より選択される少なくとも1種と、を含み、かつ、
硫黄を含まない、
電池。
【請求項2】
前記第1固体電解質材料は、組成式Liαβγで表され、
ここで、αとβとγは、いずれも0より大きい値であり、
Mは、Li以外の金属元素および半金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、イットリウムまたは鉄を含み、
Xは、Cl、Br、及びIからなる群より選ばれる少なくとも1種である、
請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1固体電解質材料は、LiYI、LiYCl、Li3.10.9Ca0.1Br、または、LiFeCl、である、
請求項1または2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1電解質層は、前記正極と前記第2電解質層との間に配置されている、
請求項1からのいずれかに記載の電池。
【請求項5】
前記第1電解質層は、前記負極とは接触しない、
請求項に記載の電池。
【請求項6】
前記第2固体電解質材料は、硫化物固体電解質である、
請求項1からのいずれかに記載の電池。
【請求項7】
前記硫化物固体電解質は、硫化リチウムと硫化リンとを含む、
請求項に記載の電池。
【請求項8】
前記硫化物固体電解質は、LiS-Pである、
請求項に記載の電池。
【請求項9】
前記正極は、前記第1固体電解質材料を含む、
請求項1からのいずれかに記載の電池。
【請求項10】
前記電解質層は、第3電解質層を含み、
前記第3電解質層は、前記正極と前記第1電解質層との間に配置され、
前記正極と前記第3電解質層とは、硫化物固体電解質を含む、
請求項1からのいずれかに記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、硫化物固体電解質を用いた全固体電池が開示されている。
【0003】
特許文献2には、インジウムを含むハロゲン化物を固体電解質として用いた全固体電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-129312号公報
【文献】特開2006-244734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術においては、短絡の発生の抑制が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された電解質層と、を備え、前記電解質層は、第1電解質層と第2電解質層とを含み、前記第1電解質層は、第1固体電解質材料を含み、前記第2電解質層は、前記第1固体電解質材料とは異なる材料である第2固体電解質材料を含み、前記第1固体電解質材料は、リチウムと、イットリウムまたは鉄と、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群より選択される少なくとも1種と、を含み、かつ、硫黄を含まない。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、短絡の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1における電池1000の概略構成を示す断面図である。
図2図2は、実施の形態1における電池1100の概略構成を示す断面図である。
図3図3は、実施の形態1における電池1200の概略構成を示す断面図である。
図4図4は、実施例2および比較例1における電池の初期充電特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態が、図面を参照しながら説明される。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における電池1000の概略構成を示す断面図である。
【0011】
実施の形態1における電池1000は、正極201と、負極202と、電解質層100と、を備える。
【0012】
電解質層100は、正極201と負極202との間に設けられる層である。
【0013】
電解質層100は、第1電解質層101と第2電解質層102とを含む。
【0014】
第1電解質層101は、第1固体電解質材料を含む。
【0015】
第2電解質層102は、第2固体電解質材料を含む。第2固体電解質材料は、第1固体電解質材料とは異なる材料である。
【0016】
第1固体電解質材料は、下記の組成式(1)により表される材料である。
Liαβγ ・・・式(1)
ここで、αとβとγとは、0より大きい値である。
Mは、Li以外の金属元素と半金属元素とのうちの少なくとも1つを含む。
Xは、Cl、Br、Iからなる群より選ばれる1種または2種以上の元素である。
【0017】
以上の構成によれば、短絡の発生を抑制できる。すなわち、過充電時等にリチウム金属が析出して短絡が起こるリスクを低減できる。これにより、安全性を向上させることができる。これは、3元系以上のハロゲン化物電解質がリチウム金属と接触した際に、部分的に還元されることでリチウム金属を消費し、それ以上のリチウム金属の成長を抑えるためであると考えられる。
【0018】
なお、「半金属元素」とは、B、Si、Ge、As、Sb、Teである。
【0019】
また、「金属元素」とは、水素を除く周期表1族から12族中に含まれるすべての元素、及び、前記の半金属元素とC、N、P、O、S、Seを除く全ての13族から16族中に含まれる元素である。すなわち、ハロゲン化合物と無機化合物を形成した際に、カチオンとなりうる元素群である。
【0020】
なお、組成式(1)においては、Mは、Y(=イットリウム)を含んでもよい。
【0021】
すなわち、第1固体電解質材料は、金属元素としてYを含んでもよい。
【0022】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0023】
Yを含む第1固体電解質材料として、例えば、LiMe(a+mb+3c=6、かつ、c>0を満たす)(Me:Li、Y以外の金属元素と半金属元素の少なくとも1つ)(m:Meの価数)の組成式で表される化合物であってもよい。
【0024】
Meとして、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Sc、Al、Ga、Bi、Zr、Hf、Ti、Sn、Ta、Nbのいずれか、もしくはこれらの混合物を用いてもよい。
【0025】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率をより向上することができる。
【0026】
なお、組成式(1)においては、Mは、Feを含んでもよい。
【0027】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0028】
なお、第1固体電解質材料は、LiYI、または、LiYCl、または、Li3.10.9Ca0.1Br、または、LiFeCl、であってもよい。
【0029】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0030】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A1)により表される材料であってもよい。
Li6-3d ・・・式(A1)
ここで、組成式(A1)においては、Xは、Cl、Br、I、からなる群より選択される二種以上の元素である。
【0031】
また、組成式(A1)においては、0<d<2、を満たす。
【0032】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0033】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A2)により表される材料であってもよい。
LiYX ・・・式(A2)
ここで、組成式(A2)においては、Xは、Cl、Br、I、からなる群より選択される二種以上の元素である。
【0034】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0035】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A3)により表される材料であってもよい。
Li3-3δ1+δCl ・・・式(A3)
ここで、組成式(A3)においては、0<δ≦0.15、が満たされる。
【0036】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0037】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A4)により表される材料であってもよい。
Li3-3δ1+δBr ・・・式(A4)
ここで、組成式(A4)においては、0<δ≦0.25、が満たされる。
【0038】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0039】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A5)により表される材料であってもよい。
Li3-3δ+a1+δ-aMeCl6-x-yBr ・・・式(A5)
ここで、組成式(A5)においては、Meは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群より選択される1種または2種以上の元素である。
【0040】
また、組成式(A5)においては、
-1<δ<2、
0<a<3、
0<(3-3δ+a)、
0<(1+δ-a)、
0≦x≦6、
0≦y≦6、
(x+y)≦6、
が満たされる。
【0041】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0042】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A6)により表される材料であってもよい。
Li3-3δ1+δ-aMeCl6-x-yBr ・・・式(A6)
ここで、組成式(A6)においては、Meは、Al、Sc、Ga、Biからなる群より選択される1種または2種以上の元素である。
【0043】
また、組成式(A6)においては、
-1<δ<1、
0<a<2、
0<(1+δ-a)、
0≦x≦6、
0≦y≦6、
(x+y)≦6、
が満たされる。
【0044】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0045】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A7)により表される材料であってもよい。
Li3-3δ-a1+δ-aMeCl6-x-yBr ・・・式(A7)
ここで、組成式(A7)においては、Meは、Zr、Hf、Tiからなる群より選択される1種または2種以上の元素である。
【0046】
また、組成式(A7)においては、
-1<δ<1、
0<a<1.5、
0<(3-3δ-a)、
0<(1+δ-a)、
0≦x≦6、
0≦y≦6、
(x+y)≦6、
が満たされる。
【0047】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0048】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A8)により表される材料であってもよい。
Li3-3δ-2a1+δ-aMeCl6-x-yBr ・・・式(A8)
ここで、組成式(A8)においては、Meは、Ta、Nbからなる群より選択される1種または2種以上の元素である。
【0049】
また、組成式(A8)においては、
-1<δ<1、
0<a<1.2、
0<(3-3δ-2a)、
0<(1+δ-a)、
0≦x≦6、
0≦y≦6、
(x+y)≦6、
が満たされる。
【0050】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0051】
なお、第1固体電解質材料として、例えば、LiYX、LiMgX、LiFeX、Li(Al、Ga、In)X、Li(Al、Ga、In)X、など、が用いられうる。
【0052】
なお、第1電解質層101は、第1固体電解質材料を、主成分として、含んでもよい。すなわち、第1電解質層101は、第1固体電解質材料を、例えば、第1電解質層101の全体に対する重量割合で50%以上(50重量%以上)、含んでもよい。
【0053】
以上の構成によれば、電池の充放電特性を、より向上させることができる。さらに、短絡の発生を、より抑制できる。
【0054】
なお、第1電解質層101は、第1固体電解質材料を、例えば、第1電解質層101の全体に対する重量割合で70%以上(70重量%以上)、含んでもよい。
【0055】
以上の構成によれば、電池の充放電特性を、より向上させることができる。さらに、短絡の発生を、より抑制できる。
【0056】
なお、第1電解質層101は、第1固体電解質材料を主成分として含みながら、さらに、不可避的な不純物、または、第1固体電解質材料を合成する際に用いられる出発原料および副生成物および分解生成物など、を含んでいてもよい。
【0057】
なお、第1電解質層101は、第1固体電解質材料を、例えば、混入が不可避的な不純物を除いて、第1電解質層101の全体に対する重量割合で100%(100重量%)、含んでもよい。
【0058】
以上の構成によれば、電池の充放電特性を、より向上させることができる。さらに、短絡の発生を、より抑制できる。
【0059】
なお、第1電解質層101は、第1固体電解質材料のみから構成されていてもよい。
【0060】
第2固体電解質材料としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、有機ポリマー固体電解質、など、が用いられうる。
【0061】
硫化物固体電解質として、LiS-P、LiS-SiS、LiS-B、LiS-GeS、Li3.25Ge0.250.75、Li10GeP12、など、が用いられうる。
【0062】
すなわち、第2固体電解質材料は、硫化物固体電解質であってもよい。このとき、硫化物固体電解質は、硫化リチウムと硫化リンとを含んでもよい。例えば、硫化物固体電解質は、LiS-Pであってもよい。
【0063】
以上の構成によれば、正極201と負極202との間のイオン導電率を、より向上することができる。
【0064】
酸化物固体電解質として、LiTi(POおよびその元素置換体を代表とするNASICON型固体電解質、(LaLi)TiO系のペロブスカイト型固体電解質、Li14ZnGe16、LiSiO、LiGeOおよびその元素置換体を代表とするLISICON型固体電解質、LiLaZr12およびその元素置換体を代表とするガーネット型固体電解質、LiNおよびそのH置換体、LiPOおよびそのN置換体、など、が用いられうる。
【0065】
有機ポリマー固体電解質として、例えば高分子化合物と、リチウム塩との化合物が用いられうる。高分子化合物はエチレンオキシド構造を有していてもよい。エチレンオキシド構造を有することで、リチウム塩を多く含有することができ、イオン導電率をより高めることができる。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、など、が使用されうる。リチウム塩として、これらから選択される1種のリチウム塩が、単独で、使用されうる。もしくは、リチウム塩として、これらから選択される2種以上のリチウム塩の混合物が、使用されうる。
【0066】
なお、第2電解質層102は、第2固体電解質材料を、主成分として、含んでもよい。すなわち、第2電解質層102は、第2固体電解質材料を、例えば、第2電解質層102の全体に対する重量割合で50%以上(50重量%以上)、含んでもよい。
【0067】
以上の構成によれば、電池の充放電特性を、より向上させることができる。
【0068】
なお、第2電解質層102は、第2固体電解質材料を、例えば、第2電解質層102の全体に対する重量割合で70%以上(70重量%以上)、含んでもよい。
【0069】
以上の構成によれば、電池の充放電特性を、より向上させることができる。
【0070】
なお、第2電解質層102は、第2固体電解質材料を主成分として含みながら、さらに、不可避的な不純物、または、第2固体電解質材料を合成する際に用いられる出発原料および副生成物および分解生成物など、を含んでいてもよい。
【0071】
なお、第2電解質層102は、第2固体電解質材料を、例えば、混入が不可避的な不純物を除いて、第2電解質層102の全体に対する重量割合で100%(100重量%)、含んでもよい。
【0072】
以上の構成によれば、電池の充放電特性を、より向上させることができる。
【0073】
なお、第2電解質層102は、第2固体電解質材料のみから構成されていてもよい。
【0074】
なお、第1電解質層101と第2電解質層102とは、固体電解質材料として挙げられた材料のうちの2種以上を含んでもよい。また、第1電解質層101と第2電解質層102とには、同一の材料が含まれてもよい。それぞれの層の特性に合わせて異なる材料が用いられてもよい。
【0075】
電解質層100の厚みは、1μm以上かつ100μm以下であってもよい。電解質層100の厚みが1μmより薄い場合には、正極201と負極202とが短絡する可能性が高まる。また、電解質層100の厚みが100μmより厚い場合には、高出力での動作が困難となる可能性がある。
【0076】
正極201は、金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出する特性を有する材料を含む。正極201は、例えば、正極活物質(例えば、正極活物質粒子211)を含む。
【0077】
正極活物質には、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物(例えば、Li(NiCoAl)O、LiCoO、など)、遷移金属フッ化物、ポリアニオンおよびフッ素化ポリアニオン材料、および、遷移金属硫化物、遷移金属オキシフッ化物、遷移金属オキシ硫化物、遷移金属オキシ窒化物、など、が用いられうる。
【0078】
なお、正極活物質は、コバルト酸リチウムであってもよい。例えば、正極活物質は、LiCoOであってもよい。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0079】
正極201の厚みは、10μm以上かつ500μm以下であってもよい。なお、正極の厚みが10μmより薄い場合には、十分な電池のエネルギー密度の確保が困難となる可能性がある。なお、正極の厚みが500μmより厚い場合には、高出力での動作が困難となる可能性がある。
【0080】
負極202は、金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出する特性を有する材料を含む。負極202は、例えば、負極活物質を含む。
【0081】
負極活物質には、金属材料、炭素材料、酸化物、窒化物、錫化合物、珪素化合物、など、が使用されうる。金属材料は、単体の金属であってもよい。もしくは、金属材料は、合金であってもよい。金属材料の例として、リチウム金属、リチウム合金、など、が挙げられる。炭素材料の例として、天然黒鉛、コークス、黒鉛化途上炭素、炭素繊維、球状炭素、人造黒鉛、非晶質炭素、など、が挙げられる。容量密度の観点から、珪素(Si)、錫(Sn)、珪素化合物、錫化合物、を好適に使用できる。
【0082】
負極202の厚みは、10μm以上かつ500μm以下であってもよい。負極の厚みが10μmより薄い場合には、十分な電池のエネルギー密度の確保が困難となる可能性がある。また、負極の厚みが500μmより厚い場合には、高出力での動作が困難となる可能性がある。
【0083】
正極201には、イオン伝導性を高める目的で、上述の硫化物固体電解質または酸化物固体電解質または有機ポリマー固体電解質が含まれてもよい。
【0084】
正極201と電解質層100とのうちの少なくとも1つには、リチウムイオンの授受を容易にし、電池の出力特性を向上する目的で、非水電解質液、ゲル電解質、イオン液体が含まれてもよい。
【0085】
非水電解液は、非水溶媒と、非水溶媒に溶けたリチウム塩と、を含む。非水溶媒としては、環状炭酸エステル溶媒、鎖状炭酸エステル溶媒、環状エーテル溶媒、鎖状エーテル溶媒、環状エステル溶媒、鎖状エステル溶媒、フッ素溶媒、など、が使用されうる。環状炭酸エステル溶媒の例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、など、が挙げられる。鎖状炭酸エステル溶媒の例としては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、など、が挙げられる。環状エーテル溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、など、が挙げられる。鎖状エーテル溶媒としては、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、など、が挙げられる。環状エステル溶媒の例としては、γ-ブチロラクトン、など、が挙げられる。鎖状エステル溶媒の例としては、酢酸メチル、など、が挙げられる。フッ素溶媒の例としては、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピオン酸メチル、フルオロベンゼン、フルオロエチルメチルカーボネート、フルオロジメチレンカーボネート、など、が挙げられる。非水溶媒として、これらから選択される1種の非水溶媒が、単独で、使用されうる。もしくは、非水溶媒として、これらから選択される2種以上の非水溶媒の組み合わせが、使用されうる。非水電解液には、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピオン酸メチル、フルオロベンゼン、フルオロエチルメチルカーボネート、フルオロジメチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素溶媒が含まれていてもよい。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、など、が使用されうる。リチウム塩として、これらから選択される1種のリチウム塩が、単独で、使用されうる。もしくは、リチウム塩として、これらから選択される2種以上のリチウム塩の混合物が、使用されうる。リチウム塩の濃度は、例えば、0.5~2mol/リットルの範囲にある。
【0086】
ゲル電解質は、ポリマー材料に非水電解液を含ませたものを用いることができる。ポリマー材料として、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、エチレンオキシド結合を有するポリマー、など、が用いられてもよい。
【0087】
イオン液体を構成するカチオンは、テトラアルキルアンモニウム、テトラアルキルホスホニウムなどの脂肪族鎖状4級塩類、ピロリジニウム類、モルホリニウム類、イミダゾリニウム類、テトラヒドロピリミジニウム類、ピペラジニウム類、ピペリジニウム類などの脂肪族環状アンモニウム、ピリジニウム類、イミダゾリウム類などの含窒ヘテロ環芳香族カチオンなどであってもよい。イオン液体を構成するアニオンは、PF 、BF 、SbF6- 、AsF 、SOCF 、N(SOCF 、N(SO 、N(SOCF)(SO、C(SOCF などであってもよい。また、イオン液体はリチウム塩を含有してもよい。
【0088】
正極201と電解質層100と負極202とのうちの少なくとも1つには、粒子同士の密着性を向上する目的で、結着剤が含まれてもよい。結着剤は、電極を構成する材料の結着性を向上するために、用いられる。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、など、が挙げられる。また、結着剤としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエンより選択された2種以上の材料の共重合体が用いられうる。また、これらのうちから選択された2種以上が混合されて、結着剤として用いられてもよい。
【0089】
また、正極201および負極202のうちの少なくとも一方は、必要に応じて、導電助剤を含んでもよい。
【0090】
導電助剤は、電極抵抗を低減するために、用いられる。導電助剤としては、天然黒鉛または人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維または金属繊維などの導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウムなどの金属粉末類、酸化亜鉛またはチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子化合物、など、が挙げられる。なお、導電助剤として、炭素導電助剤を用いることで、低コスト化が実現できる。
【0091】
なお、図1に示されるように、第1電解質層101は、正極201と第2電解質層102との間に設けられてもよい。
【0092】
以上の構成によれば、正極201と負極202との間のイオン導電率を、より向上することができる。さらに、短絡の発生を、より抑制できる。
【0093】
なお、図1に示されるように、第1電解質層101は、負極202とは接触せずに位置してもよい。
【0094】
以上の構成によれば、正極201と負極202との間のイオン導電率を、より向上することができる。さらに、短絡の発生を、より抑制できる。
【0095】
なお、正極201は、第1固体電解質材料を含んでもよい。
【0096】
以上の構成によれば、正極201と負極202との間のイオン導電率を、より向上することができる。
【0097】
図2は、実施の形態1における電池1100の概略構成を示す断面図である。
【0098】
実施の形態1における電池1100においては、正極201は、第1固体電解質粒子111と正極活物質粒子211との混合材料を含む。
【0099】
第1固体電解質粒子111は、第1固体電解質材料からなる粒子、または、第1固体電解質材料を、主たる成分として(例えば、第1固体電解質粒子111の全体に対する重量割合で50%以上(50重量%以上))、含む粒子である。
【0100】
また、実施の形態1における、第1固体電解質粒子111の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、針状、球状、楕円球状、など、であってもよい。例えば、第1固体電解質粒子111の形状は、粒子であってもよい。
【0101】
例えば、実施の形態1における第1固体電解質粒子111の形状が粒子状(例えば、球状)の場合、メジアン径は、100μm以下であってもよい。メジアン径が100μmより大きいと、正極活物質粒子211と第1固体電解質粒子111とが、正極材料において良好な分散状態を形成できない可能性が生じる。このため、充放電特性が低下する。また、実施の形態1においては、メジアン径は10μm以下であってもよい。
【0102】
以上の構成によれば、正極201において、正極活物質粒子211と第1固体電解質粒子111とが、良好な分散状態を形成できる。
【0103】
また、実施の形態1においては、第1固体電解質粒子111は、正極活物質粒子211のメジアン径より小さくてもよい。
【0104】
以上の構成によれば、電極において第1固体電解質粒子111と正極活物質粒子211とが、より良好な分散状態を形成できる。
【0105】
正極活物質粒子211のメジアン径は、0.1μm以上かつ100μm以下であってもよい。
【0106】
正極活物質粒子211のメジアン径が0.1μmより小さいと、正極において、正極活物質粒子211と第1固体電解質粒子111とが、良好な分散状態を形成できない可能性が生じる。この結果、電池の充放電特性が低下する。また、正極活物質粒子211のメジアン径が100μmより大きいと、正極活物質粒子211内のリチウム拡散が遅くなる。このため、電池の高出力での動作が困難となる場合がある。
【0107】
正極活物質粒子211のメジアン径は、第1固体電解質粒子111のメジアン径よりも、大きくてもよい。これにより、正極活物質粒子211と第1固体電解質粒子111との良好な分散状態を形成できる。
【0108】
また、正極201は、複数の第1固体電解質粒子111と、複数の正極活物質粒子211と、を含んでもよい。
【0109】
また、正極201における、第1固体電解質粒子111の含有量と正極活物質粒子211の含有量とは、互いに、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0110】
正極201に含まれる、正極活物質と第1固体電解質材料の体積比率「v:100-v」について、30≦v≦95であってもよい。v<30では、十分な電池のエネルギー密度確保が困難となる可能性がある。また、v>95では、高出力での動作が困難となる可能性がある。
【0111】
図3は、実施の形態1における電池1200の概略構成を示す断面図である。
【0112】
実施の形態1における電池1200においては、電解質層100は、第3電解質層103を含む。
【0113】
第3電解質層103は、正極201と第1電解質層101との間に設けられる。
【0114】
正極201と第3電解質層103とは、硫化物固体電解質を含む。
【0115】
以上の構成によれば、正極201と負極202との間のイオン導電率を、より向上することができる。
【0116】
なお、実施の形態1における電池は、コイン型、円筒型、角型、シート型、ボタン型、扁平型、積層型、など、種々の形状の電池として、構成されうる。
【0117】
<第1固体電解質材料の製造方法>
実施の形態1における第1固体電解質材料は、例えば、下記の方法により、製造されうる。
【0118】
目的とする組成の配合比となるような二元系ハロゲン化物の原料粉を用意する。例えば、LiYClを作製する場合には、LiClとYClを、3:1のモル比で用意する。
【0119】
このとき、原料粉の種類を選択することで、上述の組成式における「M」と「Me」と「X」とを決定することができる。また、原料と配合比と合成プロセスを調整することで、上述の値「α」と「β」と「γ」と「d」と「δ」と「a」と「x」と「y」とを調整できる。
【0120】
原料粉をよく混合した後、メカノケミカルミリングの方法を用いて原料粉同士を混合・粉砕・反応させる。もしくは、原料粉をよく混合した後、真空中で焼結してもよい。
【0121】
これにより、前述したような結晶相を含む固体電解質材料が得られる。
【0122】
なお、固体電解質材料における結晶相の構成(結晶構造)は、原料粉どうしの反応方法および反応条件の調整により、決定することができる。
【実施例
【0123】
以下、実施例および比較例を用いて、本開示の詳細が説明される。
【0124】
<実施例1>
[第1固体電解質材料の作製]
露点-30℃以下のドライ雰囲気で、原料粉LiIとYIとを、モル比でLiI:YI=3:1となるように、秤量した。これらを乳鉢で粉砕して混合した。その後、遊星型ボールミルを用い、25時間、600rpmでミリング処理した。
【0125】
これにより、結晶相を含むハロゲン化物固体電解質である第1固体電解質材料LiYIの粉末を得た。
【0126】
[第2固体電解質材料の作製]
露点-60℃以下のAr雰囲気のアルゴングローブボックス内で、LiSとPとを、モル比でLiS:P=75:25となるように、秤量した。これらを乳鉢で粉砕して混合した。その後、遊星型ボールミルを用い、10時間、510rpmでミリング処理することで、ガラス状の固体電解質を得た。ガラス状の固体電解質について、不活性雰囲気中で、270度で、2時間熱処理した。
【0127】
これにより、ガラスセラミックス状の硫化物固体電解質である第2固体電解質材料LiS-P(以下、LPSと表記する)を得た。
【0128】
[二次電池の作製]
アルゴングローブボックス内で、上述の方法で作製した第1固体電解質材料LiYIと、正極活物質であるLiCoO(以下、LCOと表記する)を、50:50の体積比率で秤量した。これらをメノウ乳鉢で混合することで、実施例1の正極合剤を作製した。
【0129】
絶縁性外筒の中で、上述の方法で作成したLPSを200μm厚相当分、上述の方法で作製した第1固体電解質材料LiYIを200μm厚相当分、正極合剤を15.4mgの順に積層した。これを360MPaの圧力で加圧成型することで、正極と固体電解質層を得た。
【0130】
次に、固体電解質層の正極と接する側とは反対側のLPS上に、金属リチウム(厚さ300μm)を積層した。これを80MPaの圧力で加圧成型することで、正極、固体電解質層、負極からなる積層体を作製した。
【0131】
次に、積層体の上下にステンレス鋼集電体を配置し、集電体に集電リードを付設した。
【0132】
最後に、絶縁性フェルールを用いて、絶縁性外筒内部を外気雰囲気から遮断・密閉することで、電池を作製した。
【0133】
[充放電試験]
電池を25℃の恒温槽に配置した。
【0134】
電池の理論容量に対して0.05Cレート(20時間率)となる電流値で、定電流充電し、電圧4.2Vで充電を終了した。
【0135】
次に、同じく0.05Cレートとなる電流値で、放電し、電圧2.5Vで放電を終了した。
【0136】
短絡は発生せず、初期充電容量は0.23mAhであった。
【0137】
<実施例2>
第1固体電解質材料の原料粉として、LiBrとYBrとCaBrとを用い、LiBr:YBr:CaBr=3.1:0.9:0.1のモル比で混合した。これ以外は、上記の実施例1と同様の方法で、Li3.10.9Ca0.1Brの第1固体電解質材料を得た。
【0138】
第1固体電解質材料として、LiYIの代わりに、Li3.10.9Ca0.1Brを用いた。これ以外は、実施例1と同様の方法で、二次電池の作製と充放電試験を実施した。
【0139】
図4は、実施例2および比較例1における電池の初期充電特性を示すグラフである。
【0140】
短絡は発生せず、初期充電容量は0.55mAhであった。
【0141】
<実施例3>
第1固体電解質材料の原料粉として、LiClとFeClとを用い、LiCl:FeCl=2:1のモル比で混合した。これ以外は、上記の実施例1と同様の方法で、LiFeClの第1固体電解質材料を得た。
【0142】
正極合剤中の固体電解質として、LiYIの代わりに、LPSを用いた。LPSを100μm厚相当分、上述の方法で作製したLiFeClを200μm厚相当分、LPSを100μm厚相当分、正極合剤を14.2 mgを順に積層した。これ以外は、実施例1と同様の方法で、二次電池の作製を行った。
【0143】
恒温槽の温度を85℃とした。これ以外は、実施例1と同じ方法で、充放電試験を実施した。
【0144】
短絡は発生せず、初期充電容量は1.47mAhだった。
【0145】
<実施例4>
第1固体電解質材料の原料粉として、LiClとYClとを用い、LiCl:YCl=3:1のモル比で混合した。これ以外は、上記の実施例1と同様の方法で、LiYClの第1固体電解質材料を得た。
【0146】
第1固体電解質材料として、LiYIの代わりに、LiYClを用いた。これ以外は、実施例1と同様の方法で、二次電池の作製と充放電試験を実施した。
【0147】
短絡は発生せず、初期充電容量は0.58mAhだった。
【0148】
<比較例1>
電解質材料として、硫化物固体電解質LPSを用いた。電解質層を厚み600μmの1層のみにした。これ以外は、実施例1と同様に、二次電池の作製と充放電試験を実施した。
【0149】
図4には、比較例1における電池の初期充電特性が、示される。比較例1においては、初期充電中に短絡が発生した。
【0150】
上述の実施例1~4および比較例1における初期充電特性を表1に示す。
【0151】
【表1】
【0152】
実施例1~4と比較例1とを比較すると、実施例1~4の電池は短絡せずに充電が完了しているのに対し、比較例1においては充電途中で短絡が発生した。
【0153】
以上により、本発明による全固体電池は、リチウム金属析出による内部短絡が防止されており、安全性が高い電池であることが示される。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本開示の電池は、例えば、全固体リチウム二次電池などとして、利用されうる。
【符号の説明】
【0155】
100 電解質層
101 第1電解質層
102 第2電解質層
103 第3電解質層
111 第1固体電解質粒子
201 正極
202 負極
211 正極活物質粒子
1000、1100、1200 電池
図1
図2
図3
図4