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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】電動オイルポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 53/00 20060101AFI20230519BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
F04B53/00 J
F04C15/00 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019063175
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020165310
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】小林 喜幸
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慈裕
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/159471(WO,A1)
【文献】特開2011-083063(JP,A)
【文献】特開2016-100972(JP,A)
【文献】特開2016-226125(JP,A)
【文献】米国特許第06132184(US,A)
【文献】特開2013-160079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/00
F04C 15/00
F04D 13/06
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ部と、前記ポンプ部を駆動するモータ部と、前記モータ部のモータの駆動を制御する駆動回路を有する制御基板とを備える電動オイルポンプであって、
前記モータは、コイル、及び前記コイルの導線に電気接続されるバスバーを有する本体部と、モータ軸とを備え、
前記モータ軸は、軸方向の一方側の部分が、前記本体部の軸方向一方側から突出して前記ポンプ部に接続され、
前記制御基板が、電源入力部と、電源出力部とを備え、前記制御基板の第1面と第2面とのうち、何れか一方の面を軸方向に沿わせる姿勢で配置され、
前記電源入力部が、前記制御基板の軸方向他方側の端部に配置され、
前記バスバーの端子が、前記本体部の軸方向一方側に配置され
前記バスバーの前記端子と、前記制御基板の前記電源出力部とを繋ぐ配線ユニットを備え、
前記制御基板が、基板と、前記基板に実装される複数の電子部品とを備え、
複数の前記電子部品のうち、前記基板の厚み方向において最大の大きさの電子部品が、前記基板の前記第1面に実装され、
前記制御基板が、前記基板の前記第1面を前記ポンプ部に向ける姿勢で配置され、
前記配線ユニットが、前記第1面と前記ポンプ部との間に配置される電動オイルポンプ。
【請求項2】
前記本体部が、前記モータ軸の軸方向他方側に固定されるロータと、内周面を前記ロータの外周面に対向させるステータとを備え、
前記バスバーの前記端子が、前記ステータよりも軸方向一方側に配置される、請求項1に記載の電動オイルポンプ。
【請求項3】
前記電源出力部が、前記制御基板の軸方向一方側の端部に配置される、請求項2に記載の電動オイルポンプ。
【請求項4】
前記配線ユニットが、配線と、所定の形状に成形されて前記配線を保持する配線保持体とを有し、前記制御基板の軸方向一方側の端部と前記バスバーの前記端子との間に配置される、請求項3に記載の電動オイルポンプ。
【請求項5】
端子台を備え、
前記配線ユニットが、前記モータ軸の径方向において前記ポンプ部と前記基板との間に配置され、
前記配線ユニットの前記配線が、金属板からなり、軸方向他方側に端子部を備え、
前記端子部が、前記バスバーの前記端子に重なった状態で前記端子台に固定され、
前記配線ユニットの前記配線の軸方向一方側が、前記基板に設けられたスルーホールに挿入される、請求項に記載の電動オイルポンプ。
【請求項6】
前記モータが、前記モータ軸の回転角度を検出する回転角センサを備え、
前記回転角センサが、前記本体部の軸方向他方側に配置され、
外部電源に直接接続されるコネクタが、軸方向において前記制御基板と前記回転角センサとの間に配置される 、請求項又はに記載の電動オイルポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動オイルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ部と、ポンプ部を駆動するモータ部と、モータ部の駆動を制御する駆動回路を有する制御基板とを備える電動オイルポンプが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の電動オイルポンプは、前述のポンプ部、モータ部、及び制御基板を備える。一般に、モータ部は、制御基板から延びる配線を接続するバスバーを備えるが、特許文献1にはバスバーについての具体的な開示がない。
【0004】
バスバーの具体的な構成を開示する文献として、特許文献2がある。特許文献2に記載の電動ポンプは、モータ部としてのモータと、ポンプ部としてのポンプとを備える。モータは、シャフト(モータ軸)と、モータ本体とを備える。また、モータ本体は、シャフトに固定されるロータと、ロータを収容する円筒状のステータと、コイルと、コイルに電気接続されるバスバーとを備える。シャフトは、軸方向の一方側の部分が、モータ本体の軸方向の一方側の端から突出してポンプに接続される。バスバーは、軸方向においてモータ本体の他方側に配置される。モータのバスバーは、特許文献2に記載の電動ポンプのモータのように、モータ本体の軸方向の他方側(ポンプとは反対側)に配置されるのが一般的である。
【0005】
特許文献2に記載の電動ポンプでは、外部電源に接続されるコネクタのコネクタピンが、四角形の平面形状の制御基板における4つの辺のうち、1つの辺(以下、第1辺と言う)の付近に電気接続される。また、バスバーも、制御基板における第1辺の付近に電気接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5969342号
【文献】特許第4400487号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の電動オイルポンプにおいて、特許文献2に記載の電動ポンプのように、コネクタピンとバスバーとの両方を制御基板における第1辺の付近に電気接続すると、次のような課題が生じる。即ち、制御基板は、コネクタピンなどに電気接続される電源入力部と、バスバーに電気接続される電源出力部とを、第1辺の付近に集中して備えることから、平面サイズが大型化してしまう、という課題である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、制御基板の平面の外縁を構成する複数の辺のうち、特定の1つの辺の付近に電源入力部と電源出力部との両方を配置することによる制御基板の大型化を回避するのに適した構造の電動オイルポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の例示的な第1発明は、ポンプ部と、前記ポンプ部を駆動するモータ部と、前記モータ部のモータの駆動を制御する駆動回路を有する制御基板とを備える電動オイルポンプであって、前記モータは、コイル、及び前記コイルの導線に電気接続されるバスバーを有する本体部と、モータ軸とを備え、前記モータ軸は、軸方向の一方側の部分が、前記本体部の軸方向の一方側の端から突出して前記ポンプ部に接続され、前記制御基板が、電源入力部と、電源出力部とを備え、前記制御基板の第1面と第2面とのうち、何れか一方の面を軸方向に沿わせる姿勢で配置され、前記電源入力部が、軸方向における前記制御基板の他方側の端部に配置され、前記バスバーの端子が、軸方向における前記本体部の一方側に配置される電動オイルポンプである。
【発明の効果】
【0010】
本願の例示的な第1発明によれば、制御基板の平面の外縁を構成する複数の辺のうち、特定の1つの辺の付近に電源入力部と電源出力部との両方を配置することによる制御基板の大型化を回避するのに適した構造の電動オイルポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る電動オイルポンプをXYZ座標系(定義は後述)の+Z側から示す斜視図である。
図2】同電動オイルポンプを-Z側から示す斜視図である。
図3】中心軸Jの位置における同電動オイルポンプのX-Z破断面を示す断面図である。
図4】同電動オイルポンプにおけるハウジング、モータカバー、ポンプカバー、及びインバータカバーを除く部分を軸方向のリア側(フロント側、リア側の定義は後述)から示す分解斜視図である。
図5】同電動オイルポンプにおけるハウジング、モータカバー、ポンプカバー、及びインバータカバーを除く部分を軸方向のフロント側から示す分解斜視図である。
図6】同電動オイルポンプのモータのフロント側を示す部分斜視図である。
図7】同モータと、インバータのハウジング内の部分と、回転角センサとを軸方向のフロント側から示す斜視図である。
図8】同電動オイルポンプにおけるU相用のバスバー、W相用のバスバー、V相用のバスバー、制御基板、第1配線ユニット、第2配線ユニット、及びコネクタをY軸方向の-Y側から示す斜視図である。
図9図8における第1配線ユニットの配線保持体の図示を省略し、図8における第2配線ユニットの配線保持体の図示を省略し、且つ図8におけるバスバーの図示を省略した斜視図である。
図10図9と同じ状態の制御基板、第1配線ユニット、第2配線ユニット、及びコネクタを、図9とは反対側から示す斜視図である。
図11】第2配線ユニットにおける電源入力配線とセンサ配線とを示す斜視図である。
図12】制御基板の回路図である。
図13】制御基板の第1面を示す平面図である。
図14】制御基板の第2面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動オイルポンプについて説明する。本実施形態では、自動車などの車両に搭載されるトランスミッションにオイルを供給する電動オイルポンプについて説明する。また、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数などを異ならせる場合がある。
【0013】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、X軸方向は、図1に示される中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。中心軸Jは、後述するモータ部10のシャフト(モータ軸)13の中心軸線である。Y軸方向は、図1に示される電動オイルポンプの短手方向と平行な方向とする。Z軸方向は、X軸方向とY軸方向との両方と直交する方向とする。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の何れにおいても、図中に示される矢印の向く側を+側、反対側を-側とする。
【0014】
また、以下の説明においては、X軸方向の正の側(+X側)を「リア側」と記し、X軸方向の負の側(-X側)を「フロント側」と記す。なお、リア側及びフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。フロント側(-X側)は、本発明における一方側に相当し、リア側(+X側)は、本発明における他方側に相当する。特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(X軸方向)を単に「軸方向」と記し、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と記し、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と記す。
【0015】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向(X軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(X軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0016】
[実施形態]
<全体構成>
図1は、実施形態に係る電動オイルポンプ1を+Z側から示す斜視図である。図2は、電動オイルポンプ1を-Z側から示す斜視図である。電動オイルポンプ1は、図2に示されるように、ハウジング2、モータ部10、ポンプ部40、及びインバータ100を備える。
【0017】
(ハウジング2)
ハウジング2は、金属(例えばアルミ、マグネシウム、チタンなどを含む金属)製の鋳造品、あるいは、樹脂(ガラス繊維、炭素などを含有する樹脂も含む)製の成形品からなる。ハウジング2は、モータ部10のモータハウジングと、ポンプ部40のポンプハウジングと、インバータ100のインバータハウジングとを兼ねる。モータ部10のモータハウジングと、ポンプ部40のポンプハウジングと、インバータ100のインバータハウジングとは、単一の部材の部分である。
【0018】
ポンプ部40のポンプロータ(図3の47)を収容するロータ収容部と、モータ部10のモータハウジングとは、単一の部材の部分であってもよいし、別体であってもよい。また、モータ部10のモータハウジングと、ポンプ部40のポンプハウジングとは、別体であってもよい。
【0019】
実施形態に係る電動オイルポンプ1のように、モータハウジングと、ポンプハウジングとが単一の部材の部分である場合、モータハウジングと、ポンプハウジングとの軸方向における境界は次のように定義される。即ち、シャフト(図3の13)をモータハウジング内からポンプハウジングのロータ収容部に向けて貫通させる貫通穴が設けられる壁の軸方向の中心が両ハウジングの軸方向の境界である。
【0020】
図3は、中心軸Jの位置における電動オイルポンプ1のX-Z破断面を示す断面図である。図4は、電動オイルポンプ1におけるハウジング(図1の2)、モータカバー(図1の16)、ポンプカバー(図1の52)、及びインバータカバー(図1の198)を除く部分を軸方向のリア側から示す分解斜視図である。
【0021】
<モータ部10>
モータ部10は、モータハウジングの中にモータ11を備える。
【0022】
(モータ11)
モータ11は、軸方向に延びる中心軸Jに沿って配置されるシャフト13と、センサ用マグネット部14と、回転角センサ15と、モータカバー16と、ロータ20と、ステータ22とを備える。センサ用マグネット部14、モータカバー16、及びロータ20は、図3及び図4のうち、図3だけに示される。
【0023】
モータ11は、例えば、インナーロータ型のモータであり、ロータ20がシャフト13の外周面に固定され、ステータ22がロータ20の径方向外側に配置される。モータ11におけるシャフト13を除く部分は、モータ11の本体部である。即ち、モータ11の本体部は、ロータ20、ステータ22、センサ用マグネット部14、回転角センサ15、モータカバー16などによって構成される。
【0024】
ロータ20は、シャフト13の軸方向の中心よりもリア側(他方側)の領域であって、且つリア側の端よりもフロント側(一方側)の領域に固定される。ステータ22は、内周面をロータ20の外周面に対向させる態様で配置される。
【0025】
モータ軸としてのシャフト13は、軸方向のフロント側が、ステータ22のフロント側の端から突出してポンプ部40(より詳しくは、後述のポンプロータ47)に接続される。
【0026】
ステータ22は、コイル22bを備える。コイル22bへの通電がなされると、シャフト13、及びシャフト13の外周面に固定されたロータ20が回転する。
【0027】
センサ用マグネット部14は、図3に示されるように、シャフト13の軸方向リア側の端部に固定され、シャフト13とともに回転する。円盤状のセンサ用マグネット部14を直径の位置で二分した一方の領域の磁極がS極であり、他方の領域の磁極がN極である。
【0028】
回転角センサ15は、モータ11のリア側端部に固定される。また、回転角センサ15は、センサ基板15aと、センサ基板15aに実装されるMR素子(磁気センサ)15bとを備える。センサ基板15aは、センサ基板15aの基板面を径方向に沿わせる姿勢で配置される。MR素子15bは、中心軸Jの通る位置にあり、軸方向においてセンサ用マグネット部14に対向する。センサ用マグネット部14がシャフト13とともに回転すると、MR素子15bによって検出されるS極、N極の磁力が変化する。MR素子15hは、検出した磁力に応じた第1信号H1、第2信号H2、及び第3信号H3を出力する。インバータ100のマイクロコンピュータは、MR素子15bから送られてくる第1信号H1、第2信号H2、及び第3信号H3に基づいて、シャフト13の回転角を特定する。
【0029】
ハウジング2は、軸方向リア側を向く開口を軸方向のリア側の端に備える。モータカバー16は、ハウジング2に固定されて前述の開口を塞ぐ。作業者は、ハウジング2からモータカバー16を取り外すことで、モータ11の回転角センサ15にアクセスすることができる。
【0030】
図5は、電動オイルポンプ1におけるハウジング(2)、モータカバー(16)、ポンプカバー(52)、及びインバータカバー(198)を除く部分を軸方向フロント側から示す分解斜視図である。図6は、モータ11のフロント側を示す部分斜視図である。モータ11は、図6に示されるように、銅などの金属からなるバスバー17U、バスバー17W、及びバスバー17Vを備える。バスバー17U、バスバー17W、バスバー17Vについて、符号の末尾に付されるU、W、Vという添字は、三相電源におけるU相用、W相用、V相用の部材であることを示す。以下、図面に記載のU、W、Vは、あくまでも例示的な記載であり、U相用、V相用、W相用の部材の位置を特定しない。
【0031】
それぞれのバスバー(17U,17W,17V)は、カシメ部(17Ua,17Wa,17Va)と、端子(17Ub,17Wb,17Vb)とを備える。コイル22bにおける複数のU相用の導線は、カシメ部17Uaによって加締められて、バスバー17Uに電気接続される。コイル22bにおける複数のW相用の導線は、カシメ部17Waによって加締められて、バスバー17Wに電気接続される。コイル22bにおける複数のV相用の導線は、カシメ部17Vaによって加締められて、バスバー17Vに電気接続される。
【0032】
バスバー(17U,17W,17V)の端子(17Ub,17Wb,17Vb)は、ステータ22などを有する本体部の軸方向フロント側に配置される。具体的には、端子(17Ub,17Wb,17Vb)は、ステータ22よりも軸方向フロント側に配置される。端子(17Ub,17Wb,17Vb)は、軸方向において、ステータ22とポンプ部40との間に位置する。
【0033】
<ポンプ部40>
ポンプ部40は、図4に示されるように、モータ部10の軸方向フロント側に位置し、モータ部10によってシャフト13を介して駆動されてオイルを吐出する。ポンプ部40は、ポンプロータ47とポンプカバー52とを備える。
【0034】
(ポンプロータ47)
ポンプロータ47は、シャフト13のフロント側に取り付けられる。ポンプロータ47は、インナーロータ47aと、アウターロータ47bと、を備える。インナーロータ47aは、シャフト13に固定される。アウターロータ47bは、インナーロータ47aの径方向外側を囲む。
【0035】
インナーロータ47aは、円環状である。インナーロータ47aは、径方向外側面に歯を有する歯車である。インナーロータ47aは、シャフト13と共に軸周り(θ方向)に回転する。アウターロータ47bは、インナーロータ47aの径方向外側を囲む円環状である。アウターロータ47bは、径方向内側面に歯を有する歯車である。アウターロータ47bの径方向外側面は円形である。
【0036】
インナーロータ47aの径方向外側面の歯車とアウターロータ47bの径方向内側面の歯車とは互いに噛み合い、シャフト13の回転に伴ってインナーロータ47aが回転することでアウターロータ47bが回転する。すなわち、シャフト13の回転によりポンプロータ47は回転する。モータ部10とポンプ部40とは同一の部材からなる回転軸としてのシャフト13を備える。これにより、電動オイルポンプ1が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0037】
また、インナーロータ47a及びアウターロータ47bが回転することで、インナーロータ47aとアウターロータ47bとの噛み合わせ部分の間の容積が変化する。容積が減少する領域が加圧領域となり、容積が増加する領域が負圧領域となる。
【0038】
(ポンプカバー52)
ハウジング2は、軸方向フロント側の端に、軸方向フロント側を向く開口を備える。この開口は、ポンプカバー52によって閉じられる。ポンプカバー52は、ボルト53によってハウジング2に固定される。
【0039】
<インバータ100>
図4に示されるように、インバータ100は、モータ部10及びポンプ部40よりもZ軸方向の+Z側に配置される。図7は、モータ11と、インバータ100のハウジング(図2の2)内の部分と、回転角センサ15とを軸方向フロント側から示す斜視図である。同図では、便宜上、モータ11におけるステータ22の円筒形状のコアバック(図6の22a)の図示を省略している。モータ部10の駆動を制御するインバータ100は、制御基板101と、第1配線ユニット130と、第2配線ユニット160と、コネクタ199とを備える。
【0040】
(制御基板101)
制御基板101は、基板102と、基板102に実装される複数の電子部品とを備える。複数の電子部品の一部は、インバータ―機能を備えるモータ駆動回路を構成する。基板102は、回転角センサ15から延びる各配線と電気接続されるセンサ接続部122と、電源入力部120と、モータ電源出力部121とを備える。
【0041】
制御基板101は、図4に示されるように、制御基板101の両面のうち、何れか一方の面を軸方向に沿わせる姿勢で、モータ部10よりも径方向外側に配置される。制御基板101の第1面と第2面とは平行であるので、図示の制御基板101は、両面を軸方向に沿わせる姿勢で配置される。回転角センサ15は、制御基板101よりも軸方向リア側(+X側)に配置される。
【0042】
図8は、U相用のバスバー17U、W相用のバスバー17W、V相用のバスバー17V、制御基板101、第1配線ユニット130、第2配線ユニット160、及びコネクタ199をY軸方向の-Y側から示す斜視図である。基板102の電源入力部120は、基板102における軸方向リア側の端部に設けられ、車両のイグニション電源の各配線と電気接続される。モータ電源出力部121は、基板102における軸方向フロント側の端部に設けられ、モータ11の各バスバー(17U,17W,17V)と電気接続される。制御基板101は、車両のイグニション電源から送られてくるDC電源を、車両のECUから送られてくる制御信号に従った周波数の三相交流電源に変換し、その三相交流電源を基板102のモータ電源出力部121から出力する。センサ接続部(図7の)122は、基板102におけるY軸方向の+Y側の端部であって、且つ軸方向の中央部に設けられる。
【0043】
(第1配線ユニット130)
第1配線ユニット130は、モータ11の各バスバー(17U,17W,17V)と、基板102のモータ電源出力部121とを電気的に繋ぐ役割を担う。第2配線ユニット160は、コネクタ199の各端子と基板102の電源入力部120とを電気的に繋ぐ役割、及びモータ11の回転角センサ15と基板102のセンサ接続部(図7の122)とを電気的に繋ぐ役割を担う。第1配線ユニット130は、配線保持体131を備える。
【0044】
図9は、図8における第1配線ユニット130の配線保持体131の図示を省略し、図8における第2配線ユニット160の配線保持体161の図示を省略し、且つ図8におけるバスバー(17U,17W,17V)の図示を省略した斜視図である。図10は、図9と同じ状態の制御基板101、第1配線ユニット130、第2配線ユニット160、及びコネクタ199を、図9とは反対側から示す斜視図である。
【0045】
第1配線ユニット130は、図9に示されるように、U相電源出力配線132U、W相電源出力配線132W、及びV相電源出力配線132Vを備える。U相電源出力配線132、W相電源出力配線132W、V相電源出力配線132Vは、何れも軸方向に沿って延び、且つY軸方向に所定の間隔で並ぶ。
【0046】
U相電源出力配線132Uは、軸方向フロント側の端部に設けられる挿入部132Uaと、軸方向リア側の端部に設けられる端子部132Ubとを備える。U相電源出力配線132Uの軸方向の中央部は、軸方向に沿って延びる。U相電源出力配線132Uにおける軸方向フロント側の端部は、Z軸方向の+Z側に向かって折れ曲がっており、曲がった先の部分が挿入部132Uaになっている。U相電源出力配線132Uにおける軸方向リア側の端部は、Z軸方向の+Z側に向かって折れ曲がっており、曲がった先の部分が端子部132Ubになっている。W相電源出力配線132W、V相電源出力配線132Vも、U相電源出力配線132Uと同様の挿入部(132Wa、132Va)と端子部(132Wb、132Vb)とを備える。
【0047】
U相電源出力配線132の挿入部132Uaは、基板102のモータ電源出力部121におけるU相用のスルーホールに挿入された状態で、スルーホール、及びスルーホールを囲むランドに半田付けされる。前述のスルーホールの内周面、及びランドは、何れも銅などの導電性材料からなる。W相電源出力配線132Wの挿入部132Wa、V相電源出力配線132Vの挿入部132Vaも、U相電源出力配線132Uの挿入部132Uaと同様に、基板102のモータ電源出力部121のW相用、V相用のスルーホールに挿入された状態で半田付けされる。
【0048】
U相電源出力配線132Uの端子部132Ubは、Z軸方向においてU相用のバスバー17Uの端子(図6の17Ub)に重ね合わされた状態で、U相用のバスバー17Uの端子に固定されたU相用の端子台(図8の18U)にねじなどによって固定される。W相電源出力配線132Wの端子部132Wb、V相電源出力配線132Vの端子部132Vbも、U相電源出力配線132Uの端子と同様に、端子台(図8の18W、18V)に固定される。なお、各相の電源出力配線の端子部(132Ub、132Wb、132Vb)を、各相の端子台(図8の18U、18W、18V)に固定する方法は、ねじ止めに限られない。例えば、電源出力配線の端子部と、バスバーの端子とを熱エネルギーの付与によって端子台に固定してもよいし、端子部と端子と金属特性を利用して固定具を使わずに接続してもよい。
【0049】
U相電源出力配線132Uは、挿入部132Uaの半田付けと、端子部132Ubの端子台(図8の18U)への固定とにより、U相用のバスバー17Uの端子(図6の17Ub)と、基板102のモータ電源出力部121とを電気的に繋ぐ。W相電源出力配線132Wは、挿入部132Waの半田付けと、端子部132Wbの端子台(図8の18W)への固定とにより、W相用のバスバー17Wの端子(図6の17Wb)と、基板102のモータ電源出力部121とを電気的に繋ぐ。V相電源出力配線132Vは、挿入部132Vaの半田付けと、端子部132Vbの端子台(図8の18V)への固定とにより、V相用のバスバー17Vの端子(図6の17Vb)と、基板102のモータ電源出力部121とを電気的に繋ぐ。
【0050】
U相電源出力配線132U、W相電源出力配線132W、V相電源出力配線132Vは、何れも銅板などの金属板からなる。以下、U相電源出力配線132U、W相電源出力配線132W、及びV相電源出力配線132Vをまとめて、各相の電源出力配線132と言う。
【0051】
第1配線ユニット130の配線保持体(図8の131)は、樹脂などからなり、所定の形状に成形された状態で、U相電源出力配線132、W相電源出力配線132W、及びV相電源出力配線132Vのそれぞれにおける軸方向の中央部を保持する。
【0052】
第1配線ユニット130は、図4に示されるように、基板102の第1面とポンプ部40との間に配置される。
【0053】
(コネクタ199)
コネクタ199は、外部のイグニション電源コネクタと接続される。イグニション電源コネクタは、常時電源用、GND用、CAN-Lo信号用、及びCAN-Hi信号用の4つのポートを備え、作業者によってZ軸方向の+Z側から-Z側に向けて移動されてコネクタ199に装着される。コネクタ199は、図10に示されるように、イグニション電源の4つのポートに個別に電気接続される4つのコネクタ端子を有する端子部199aを備える。4つのコネクタ端子のそれぞれは、軸方向に沿って延びる姿勢で、Y軸方向に沿って並んで配置される。
【0054】
Y軸方向において、常時電源用のコネクタ端子は、4つのコネクタ端子のうち、最も+Y側に位置する。また、Y軸方向において、GND用のコネクタ端子は、4つのコネクタ端子のうち、最も-Y側に位置する。Y軸方向において、CAN-Lo信号用のコネクタ端子、及びCAN-Hi信号用のコネクタ端子は、常時電源用のコネクタ端子とGND用のコネクタ端子との間に位置する。
【0055】
(第2配線ユニット160)
図8に示されるように、第2配線ユニット160は、配線保持体161を備える。図11は、第2配線ユニット160における電源入力配線とセンサ配線とを示す斜視図である。第2配線ユニット160の電源入力配線は、4本存在し、その内訳は、第1電源入力配線162a、第2電源入力配線162b、第3電源入力配線162c、及び第4電源入力配線162dである。第2配線ユニット160のセンサ配線は、5本存在し、その内訳は、第1センサ配線163a、第2センサ配線163b、第3センサ配線163c、第4センサ配線163d、及び第5センサ配線163eである。以下、第1から第4までの電源入力配線を、まとめて4本の電源入力配線162と言う。また、第1から第5までのセンサ配線を、まとめて5本のセンサ配線163と言う。
【0056】
4本の電源入力配線162、及び5本のセンサ配線163は、何れも銅板などの金属板からなる。インバータ100の軸方向リア側では、4本の電源入力配線162と、5本の電源入力配線162とが、軸方向に沿って延びる姿勢で、Y軸方向に沿って並んで配置される。4本の電源入力配線162は、インバータ100における軸方向リア側の位置において、Y軸方向に沿って-Y側から+Y側に向けて、第1(162a)、第2(162b)、第3(162c)、第4(162d)という順で並ぶ。5本のセンサ配線163は、インバータ100における軸方向リア側の位置において、Y軸方向の-Y側から+Y側に向けて、第1(163a)、第2(163b)、第3(163c)、第4(163d)、第5(163e)という順で並ぶ。インバータ100における軸方向リア側の位置において、4本の電源入力配線162は、5本のセンサ配線163よりもY軸方向の+Y側に位置する。
【0057】
なお、4本の電源入力配線162におけるY方向の並びの順序は、上述した順序に限られず、どのような順序でもよい。また、5本のセンサ配線163におけるY軸方向の並びの順序も、上述した順序に限られず、どのような順序でもよい。
【0058】
図10に示されるコネクタ199の端子部199aにおける常時電源用のコネクタ端子は、図11に示される4本の電源入力配線162のうち、常時電源用の第1電源入力配線162aに半田付け又は溶接される。図10に示されるコネクタ199の端子部199aにおけるGND用のコネクタ端子は、図11に示される4本の電源入力配線162のうち、GND用の第4電源入力配線162dに半田付け又は溶接される。図10に示されるコネクタ199の端子部199aにおけるCAN-Lo信号用のコネクタ端子は、図11に示される4本の電源入力配線162のうち、CAN-Lo信号用の第2電源入力配線162bに半田付け又は溶接される。図10に示されるコネクタ199の端子部199aにおけるCAN-Hi信号用のコネクタ端子は、図11に示される4本の電源入力配線162のうち、CAN-Hi信号用の第3電源入力配線162cに半田付け又は溶接される。
【0059】
図11に示されるように、4本の電源入力配線162のそれぞれは、同様の構造の挿入部(162a1、162b2、162c1、162d1)を備える。4本の電源入力配線162のそれぞれにおける軸方向フロント側の端部は、Z軸方向の+Z側に向かって折れ曲がっており、曲がった先が挿入部162a1、162b2、162c1、162d1)になっている。
【0060】
図10において、基板102の電源入力部120は、スルーホールと、スルーホールを囲むランドとの組を4つ備える。前述の4つの組は、互いに異なるコネクタ端子のそれぞれに独立して電気接続される接続部であり、Y軸方向に沿って並ぶ。
【0061】
常時電源用の第1電源入力配線162aの挿入部(図11の162a1)は、基板102の電源入力部120における常時電源用のスルーホールに挿入された状態で、スルーホール、及びスルーホールを囲むランドに半田付けされる。前述のスルーホールの内周面、及びランドは、何れも銅などの導電性材料からなる。GND用の第4電源入力配線162dの挿入部(図11の162d1)は、基板102の電源入力部120におけるGND用のスルーホール及びランドに半田付けされる。CAN-Lo信号用の第2電源入力配線162bの挿入部(図11の162b1)は、基板102の電源入力部120におけるCAN-Lo信号用のスルーホール及びランドに半田付けされる。CAN-Hi信号用の第3電源入力配線162cの挿入部(図11の162c1)は、基板102の電源入力部120におけるCAN-Hi信号用のスルーホール及びランドに半田付けされる。
【0062】
以上のように、4本の電源入力配線162における軸方向リア側の部分には、互いに異なるコネクタ端子が個別に半田付け又は溶接される。また、4本の電源入力配線162における挿入部(図11の162a1、162b2、162c1、162d1)は、基板102の電源入力部120における互いに異なるスルーホール及びランドの組に個別に半田付けされる。かかる構成により、4本の電源入力配線162は、コネクタ199のコネクタ端子と制御基板101の電源入力部とを電気的に繋ぐ。
【0063】
5本のセンサ配線163のそれぞれにおける軸方向の長さは、4本の電源入力配線162の軸方向の長さよりも大きい。
【0064】
図9及び図11に示されるように、センサ基板15aは、第1信号H1を出力するセンサ端子15a1、GNDに接続されるセンサ端子15a2、及び第2信号H2を出力するセンサ端子15a3を備える。また、センサ基板15aは、第3信号H3を出力するセンサ端子15a4、及び5V電源に接続されるセンサ端子15a5を備える。即ち、センサ基板15aは、5つのセンサ端子を備える。
【0065】
5つのセンサ端子のそれぞれは、センサ基板15aの基板面からZ軸方向の+Z側に突出した後、軸方向フロント側に向けて約90〔°〕の角度で折れ曲がる。そして、折れ曲がった先が、第2配線ユニット160のセンサ配線(163)に接続される。前述の接続は、溶接又は半田付けによってなされる。軸方向において、5本のセンサ配線163のリア側の端部は、4本の電源入力配線162のリア側端部と同じ位置にある。5つのセンサ端子のそれぞれは、センサ配線163における軸方向リア側端部に接続される。5つのセンサ端子のそれぞれは、銅などの導電性材料からなる。
【0066】
5本のセンサ配線163のそれぞれにおける軸方向フロント側の端部には、挿入部(163a2、163b2、163c2、163d2、163e2)が設けられる。5本のセンサ配線163のそれぞれにおける軸方向フロント側の端部は、Z方向において+Z側に向けて折れ曲がっており、曲がった先が挿入部(163a2、163b2、163c2、163d2、163e2)になっている。
【0067】
5本のセンサ配線163のうち、第1センサ配線163aは、第1信号H1用の配線である。また、第2センサ配線163bは、GND用の配線である。また、第3センサ配線163cは、第2信号H2用の配線である。また、第4センサ配線163dは、第3信号H3用の配線である。また、第5センサ配線163eは、5V電源用の配線である。
【0068】
なお、5本のセンサ配線163におけるY軸方向の並びの順序は、上述した順序に限られず、どのような順序であってもよい。
【0069】
5本のセンサ配線163において、挿入部(163a2、163b2、163c2、163d2、163e2)を除く部分は、軸方向に延びる。
【0070】
5本のセンサ配線163のそれぞれは、4本の電源入力配線162よりも軸方向フロント側の部分を、複雑に折り曲げる形状になっている。以下、軸方向リア側からフロント側に向けて、センサ配線163が1番目に折れ曲がる位置を「曲がり起点」という。
【0071】
5V電源用の第5センサ配線163eの軸方向リア側は、Y軸方向において、5本のセンサ配線163のうち、-Y側から数えて5番目に位置する。5V電源用の第5センサ配線163eは、「曲がり起点」において、Y軸方向に沿って+Y側に向けて折れ曲がった後、軸方向に沿ってフロント側に向けて折れ曲がる。更に、Y軸方向に沿って-Y側に折れ曲がってからすぐに、軸方向に沿ってフロント側に折れ曲がる。以下、5本のセンサ配線163において、前述のようにY軸方向に沿って-Y側に折れ曲がってからすぐに、軸方向に沿ってフロント側に折れ曲がる状態を、クランク状に折れ曲がると言う。第5センサ配線163eは、以上のような複雑な折れ曲がりにより、後述する挿入部163e2を、Z軸方向において基板102のセンサ接続部(図10の122)に対向させる。
【0072】
GND用の第2センサ配線163bの軸方向リア側は、Y軸方向において、5本のセンサ配線163のうち、-Y側から数えて2番目に位置する。GND用の第2センサ配線163bの「曲がり起点」は、第5センサ配線163eの「曲がり起点」よりも軸方向フロント側に位置する。第2センサ配線163bは、「曲がり起点」において、Y軸方向に沿って+Y側に向けて折れ曲がった後、Z軸方向に沿って+Z側に向けて僅かに折れ曲がる。その後、第2センサ配線163bは、Y軸方向に沿って+Y側に向けて折れ曲がって、Z軸方向において第5センサ配線163eと対向する位置に至る。前記位置において、第2センサ配線163bは、軸方向に沿ってフロント側に向けて折れ曲がった後、Z軸方向において第5センサ配線163eと対向しながら、第5センサ配線163eと同様に、クランク状に折れ曲がる。第2センサ配線163bは、以上のような複雑な折れ曲がりにより、後述する挿入部163b2を、Z軸方向において第5センサ配線163eよりも+Z側の位置で基板102のセンサ接続部(図10の122)に対向させる。
【0073】
第2信号H2用の第3センサ配線163cの軸方向リア側は、Y軸方向において、5本のセンサ配線163のうち、-Y側から数えて3番目に位置する。第2信号H2用の第3センサ配線163cの「曲がり起点」は、第5センサ配線163eの「曲がり起点」よりも軸方向リア側に位置する。第3センサ配線163cは、「曲がり起点」において、Z軸方向に沿って+Z側に向けて僅かに折れ曲がった後、軸方向に沿ってフロント側に向けて僅かに折れ曲がる。その後、第3センサ配線163cは、Y軸方向に沿って+Y側に向けて折れ曲がって、5V電源用の第5センサ配線163eとZ軸方向で対向する。更に、第3センサ配線163cは、Z軸方向に沿って+Z側に向けて折れ曲がった後、Y軸方向に沿って+Y側に折れ曲がる。その後、第3センサ配線163cは、軸方向フロント側に向けて折れ曲がった後、第5センサ配線163eと同様に、クランク状に折れ曲がる。第3センサ配線163cは、以上のような複雑な折れ曲がりにより、後述の挿入部163c2を、Z軸方向において基板102のセンサ接続部(図10の122)に対向させる。
【0074】
第3信号H3用の第4センサ配線163dの軸方向リア側は、Y軸方向において、5本のセンサ配線163のうち、-Y側から数えて4番目に位置する。第4センサ配線163dの「曲がり起点」と、第3センサ配線163cの「曲がり起点」とは、軸方向において同じ位置にある。第4センサ配線163dは、「曲がり起点」において、Z軸方向に沿って+Z側に折れ曲がった後、軸方向フロント側に折れ曲がって、第3センサ配線163cに対して+Z側で立体交差する。その後、第2センサ配線163bとZ軸方向において対向する位置で、Y軸方向に沿って+Y側に折れ曲がる。そして、第4センサ配線163dは、Z軸方向において第2センサ配線163bと第3センサ配線163cとの両方に対向する(両方の間に入り込む)位置で、軸方向フロント側に折れ曲がる。更に、第4センサ配線163dは、第5センサ配線163eと同様に、クランク状に折れ曲がる。第4センサ配線163dは、以上のような複雑な折れ曲がりにより、後述する挿入部163d2を、Z軸方向において基板102のセンサ接続部(図10の122)に対向させる。
【0075】
第1信号H1用の第1センサ配線163aの軸方向リア側は、Y軸方向において、5本のセンサ配線163のうち、-Y側から数えて1番目に位置する。第1センサ配線163aの「曲がり起点」は、第2センサ配線163bの「曲がり起点」よりも軸方向フロント側にある。第1センサ配線163aは、「曲がり起点」において、Y軸方向に沿って+Y側に折れ曲がった後、Z軸方向に沿って+Z側に折れ曲がる。その後、第1センサ配線163aは、Y軸方向に沿って+Y側に折れ曲がった後、Z軸方向において第3センサ配線163cに対向する位置で、軸方向フロント側に折れ曲がる。更に、第5センサ配線163eと同様に、クランク状に折れ曲がる。第1センサ配線163aは、以上のような複雑な折れ曲がりにより、後述の挿入部163a2を、Z軸方向において基板102のセンサ接続部(図10の122)に対向させる。
【0076】
5本のセンサ配線163のそれぞれにおいて、上述のようにクランク状に折れ曲がる部分は、軸方向の同じ位置にあり、互いにZ軸方向に重なる。
【0077】
基板102のセンサ接続部(図10の122)の付近では、5本のセンサ配線163の軸方向に延びる部分が、基板102の厚み方向に沿ったZ軸方向に並ぶ。前述の部分のZ軸方向における並び順は、-Z側から+Z側に向けて、第5センサ配線163e、第2センサ配線163b、第4センサ配線163d、第3センサ配線163c、第1センサ配線163aという順序である。
【0078】
図10において、基板102のセンサ接続部122は、スルーホール、及びスルーホールを囲むランドの組を5つ備える。前述の5つの組は、軸方向に沿ってフロント側からリア側に向けて、5V電源用の組、GND用の組、第3信号H3用の組、第2信号H2用の組、第1信号H1用の組という順序で並ぶ。以下、スルーホール、並びに、スルーホール及びランドの組について、軸方向に沿ったフロント側からリア側に向けての並び順を、単に並び順と言う。
【0079】
図11に示されるように、5V電源用の第5センサ配線163eにおける軸方向フロント側の端部は、GND用の第2センサ配線163bよりもフロント側の位置において、Z軸方向に沿って+Z側に向けて折れ曲がる。曲がった先の部分である挿入部163e2は、他の4本のセンサ配線の何れにも干渉することなく、基板102のセンサ接続部(図10の122)5つのスルーホールのうち、1番目の並び順に位置する5V電源用のスルーホールに挿入される。そして、挿入部163e2は、5V電源用のスルーホール及びランドの組に半田付けされる。
【0080】
GND用の第2センサ配線163bにおける軸方向フロント側の端部は、軸方向における第5センサ配線163eよりもリア側、且つ軸方向における第4センサ配線163dよりもフロント側の位置において、Z軸方向に沿って+Z側に向けて折れ曲がる。曲がった先の部分である挿入部163b2は、他の4本のセンサ配線の何れにも干渉することなく、基板102のセンサ接続部(図10の122)に設けられた5つのスルーホールのうち、2番目の並び順に位置するGND用のスルーホールに挿入される。そして、挿入部163b2は、GND用のスルーホール及びランドの組に半田付けされる。
【0081】
第3信号H3用の第4センサ配線163dにおける軸方向フロント側の端部は、Z軸方向に沿って+Z側に向けて折れ曲がる。折れ曲がりの軸方向の位置は、第2センサ配線163bよりもリア側、且つ第3センサ配線163cよりもフロント側の位置である。曲がった先の部分である挿入部163d2は、他の4本のセンサ配線の何れにも干渉することなく、基板102のセンサ接続部(図10の122)に設けられた5つのスルーホールのうち、3番目の並び順に位置する第3信号H3用のスルーホールに挿入される。そして、挿入部163d2は、第3信号H3用のスルーホール及びランドの組に半田付けされる。
【0082】
第2信号H2用の第3センサ配線163cにおける軸方向フロント側の端部は、Z軸方向に沿って+Z側に向けて折れ曲がる。折れ曲がりの軸方向の位置は、第4センサ配線163dよりもリア側、且つ第1センサ配線163aよりもフロント側の位置である。曲がった先の部分である挿入部163c2は、他の4本のセンサ配線の何れにも干渉することなく、基板102のセンサ接続部(図10の122)の5つのスルーホールのうち、4番目の並び順に位置する第2信号H2用のスルーホールに挿入される。そして、挿入部163c2は、第2信号H2用のスルーホール及びランドの組に半田付けされる。
【0083】
第1信号H1用の第1センサ配線163aにおける軸方向フロント側の端部は、Z軸方向に沿って+Z側に向けて折れ曲がる。折れ曲がりの軸方向の位置は、第3センサ配線163cよりもリア側の位置である。曲がった先の部分である挿入部163a2は、他の4本のセンサ配線の何れにも干渉することなく、基板102のセンサ接続部(図10の122)の5つのスルーホールのうち、5番目の並び順に位置する第1信号H1用のスルーホールに挿入される。そして、挿入部163a2は、第1信号H1用のスルーホール及びランドの組に半田付けされる。
【0084】
以上のように、第2配線ユニット160の5本のセンサ配線163における軸方向リア側は、センサ基板15aのセンサ端子(15a1~15a5)に接続される。また、5本のセンサ配線163のそれぞれの挿入部(163a2、163b2、163c2、163d2、163e2)は、基板102のセンサ接続部122における互いに異なるスルーホール及びランドの組に個別に半田付けされる。かかる構成により、5本のセンサ配線163は、回転角センサ15と制御基板101の基板102のセンサ接続部122とを電気的に繋ぐ。
【0085】
図8において、第2配線ユニット160の配線保持体161は、樹脂などからなり、所定の形状に成形される。第2配線ユニット160の配線保持体161の軸方向リア側は、4本の電源入力配線162、及び5本のセンサ配線163を保持する。4本の電源入力配線162のそれぞれにおいて、コネクタ端子との接続部、及び挿入部(図11の162a1、162b1、162c1、162d1)は、配線保持体161に保持されない。また、5本のセンサ配線163のそれぞれにおいて、挿入部(図11の163a2、163b2、163c2、163d2、163e2)は、配線保持体161に保持されない。
【0086】
基板102の電源入力部120における4つのスルーホール及びランドの組のそれぞれは、径方向に沿ったY軸方向に並ぶ態様で基板102に配置される。コネクタ199の複数のコネクタ端子は、電源入力部120の4つのスルーホール及びランドの組と同じ方向に並ぶ態様で配置される。センサ基板15aの5つのセンサ端子(15a1~15a5)のそれぞれは、電源入力部120の4つのスルーホール及びランドの組と同じ方向に並ぶ態様でセンサ基板15aに配置される。
【0087】
第2配線ユニット160の配線保持体161は、軸方向リア側で、4本の電源入力配線162のそれぞれと、5本のセンサ配線163のそれぞれとを、基板102の電源入力部120のスルーホール及びランドの組の並び方向と同じ方向に並べる態様で保持する。
【0088】
基板102のセンサ接続部122は、図10に示されるように、軸方向において電源入力部120とモータ電源出力部121との間に配置される。
【0089】
図12は、インバータ100の制御基板101の回路図である。制御基板101は、逆接続保護回路103、ノイズフィルター104、モータ駆動回路105、電流検出遮断回路106、U,V,W電圧検出回路107、チョークコイル108、及び電圧監視回路109を備える。また、制御基板101は、5V電源回路110、通信インターフェース111、マイコン監視回路112、電源電圧監視回路113、及びマイクロコンピュータ114を備える。
【0090】
制御基板101の基板102の電源入力部(図10の120)には、車両のリレー901を介してイグニション(IGN)電源が接続される。イグニション電源の常時電源、及びGNDは、逆接続保護回路103と、ノイズを除去するノイズフィルター104とを介して、モータ駆動回路105に接続される。
【0091】
逆接続保護回路103は、イグニション電源の常時電源とGNDとが逆に接続された場合に、下流側に逆向きの電流を流さないようにする回路である。
【0092】
ノイズフィルター104とモータ駆動回路105とを電気的に繋ぐ配線には、電源電圧監視回路113が接続される。電源電圧監視回路113は、ノイズフィルター104からモータ駆動回路105に出力される直流の電圧を検出し、検出値をマイクロコンピュータ114のA/D変換回路114aに出力する。
【0093】
マイクロコンピュータ114は、A/D変換回路114a、PWM出力回路114b、温度検出回路114c、A/D変換回路114d、I/O回路114e、及び通信回路114fを備える。マイクロコンピュータ114は、車両のECU900から制御基板101の通信インターフェース111を介して送られる制御信号を通信回路114fで受信し、制御信号に基づいた周波数でモータ11を回転駆動させるPWM信号を生成する。生成されたPWM信号は、マイクロコンピュータ114のPWM出力回路114bから出力されてモータ駆動回路105に入力される。
【0094】
モータ駆動回路105は、ノイズフィルター104から送られてくるDC電源を、マイクロコンピュータ114のPWM出力回路114bから送られてくるPWM信号に従った周波数の三相交流電源に変換してモータ11に出力する。モータ駆動回路105は、スイッチング用の複数のバイポーラトランジスタ(MOS-FET)と、温度検出回路105aを備える。モータ駆動回路105の温度検出回路105aは、温度の検出値を電流検出遮断回路106に出力する。
【0095】
電流検出遮断回路106は、モータ駆動回路105からモータ11に流れる電流を検出する。電流検出遮断回路106は、検出した電流値が所定の上限を超えたり、モータ駆動回路105の温度検出回路105aから送られてくる温度の検出値が所定の上限を超えたりすると、遮断信号をマイクロコンピュータ114に出力する。
【0096】
マイクロコンピュータ114は、電流検出遮断回路106から遮断信号が送られてきたり、マイクロコンピュータ114の温度検出回路114cによる温度の検出値が所定の上限を超えたりすると、PWM信号の生成を中止してモータ11の駆動を停止させる。
【0097】
U,V,W電圧検出回路107は、モータ駆動回路105からモータ11に出力される三相交流電源の電圧を検出し、検出値をマイクロコンピュータ114のA/D変換回路114dに出力する。
【0098】
逆接続保護回路103とノイズフィルター104とを電気的に繋ぐ配線には、チョークコイル108を介して5V電源回路110が接続される。チョークコイル108は、5V電源回路110に流れる電流について過電流になることを防止する回路を構成する。5V電源回路110は、回転角センサ15に5V電源を出力する。
【0099】
マイコン監視回路112は、マイクロコンピュータ114に接続され、マイクロコンピュータ114との通信により、マイクロコンピュータ114における異常の有無を監視する。
【0100】
電圧監視回路109は、チョークコイル108から5V電源回路110に送られる直流電源の電圧を検出し、検出値をマイクロコンピュータ114のA/D変換回路114aに出力する。
【0101】
回転角センサ15から出力される第1信号H1、第2信号H2、及び第3信号は、マイクロコンピュータ114のI/O回路114eに入力される。マイクロコンピュータ114は、第1信号H1、第2信号H2、及び第3信号H3に基づいて、モータ11のロータ(図3の20)の回転角度を特定し、特定結果に基づいてロータの回転周波数を算出する。
【0102】
図13は、制御基板101の第1面を示す平面図である。図14は、制御基板101の第2面を示す平面図である。制御基板101の基板102の軸方向リア側(+X側)の端部に配置された電源入力部120は、スルーホール及びランドの組を4つ備える。1つ目は、常時電源用のスルーホール120a1及びランド120a2の組である。2つ目は、CAN-Lo信号用のスルーホール120b1及びランド120b2の組である。3つ目は、CAN-Hi信号用のスルーホール120c1及びランド120c2の組である。4つ目は、GND用のスルーホール120d1及びランド120d2の組である。前述した4つの組は、何れもコネクタ(図10の199)の4つのコネクタ端子のそれぞれに個別に電気接続される接続部であり、互いにY軸方向に沿って並ぶ。
【0103】
軸方向において、基板102における電源入力部120よりもリア側(-X側)の領域には、チョークコイル108、逆接続保護回路(図12の103)を構成するバイポーラトランジスタ123、第1コンデンサ126、及び第2コンデンサ127が実装される。第1コンデンサ126、及び第2コンデンサ127は、ノイズフィルター(図12の104)を構成する電子部品である。第2コンデンサ127は、基板102に実装される複数の電子部品のうち、最大の厚み(基板102の厚み方向の大きさ)の電子部品である。また、第2コンデンサ127は、軸方向において、チョークコイル108及びバイポーラトランジスタ123よりもフロント側に配置される。
【0104】
軸方向において、基板102における第1コンデンサ126及び第2コンデンサ127よりもリア側の領域には、センサ接続部122が設けられ、且つマイクロコンピュータ114が実装される。センサ接続部122は、スルーホール及びランドの組を5つ備える。1つ目は、第1信号H1用のスルーホール122a1及びランド122a2の組である。2つ目は、第2信号H2用のスルーホール122c1及びランド122c2の組である。3つ目は、第3信号H3用のスルーホール122d1及びランド122d2の組である。4つ目は、GND用のスルーホール122b1及びランド122b2の組である。5つ目は、5V電源用のスルーホール122e1及びランド122e2の組である。前述の5つの組は、基板102のY軸方向の端部において、互いに軸方向に沿って並ぶ。
【0105】
軸方向において、基板102におけるマイクロコンピュータ114及びセンサ接続部122よりもリア側の領域には、6つのバイポーラトランジスタ125が実装される。前述の6つのバイポーラトランジスタ125は、モータ駆動回路105の一部を構成する。
【0106】
基板102において、6つのバイポーラトランジスタ125よりも軸方向リア側の領域は、基板102のリア側の端部である。かかるリア側の端部には、モータ電源出力部121が配置される。モータ電源出力部121は、スルーホール及びランドの組を3つ備える。1つ目は、三相交流電源におけるU相用のスルーホール121Ua及びランド121Ubの組である。2つ目は、W相用のスルーホール121Wa及びランド121Wbの組である。3つ目は、V相用のスルーホール121Va及びランド121Vbの組である。前述の3つの組のそれぞれは、互いに異なる相の電源を出力する個別出力部である。
【0107】
図13に示されるように、基板102の第1面には、基板102に実装される複数の電子部品のうち、最大の厚みの第2コンデンサ127が実装される。図4に示されるように、制御基板101は、基板102の第1面と第2面とのうち、第2コンデンサ(図13の127)の実装面である第1面をモータ部10の側に向ける姿勢で配置される。
【0108】
以下、図8に示される、バスバー17Uの端子17Ub、バスバー17Wの端子17Wb、及びバスバー17Vの端子17Vbを、まとめて「バスバー端子」と言う。また、U相電源出力配線132Uの挿入部132Ua、W相電源出力配線132Wの挿入部132Wa、及びV相電源出力配線132Vの挿入部132Vaを、まとめて「電源出力配線挿入部」という。また、U相電源出力配線132Uの端子部132Ub、W相電源出力配線132Wの端子部132Wb、及びV相電源出力配線132Vの端子部132Vbを、まとめて「電源出力配線端子部」という。
【0109】
<電動オイルポンプ1の作用効果>
(1)電動オイルポンプ1は、ポンプ部40と、ポンプ部40を駆動するモータ部10と、モータ部10のモータ11の駆動を制御するモータ駆動回路105を有する制御基板101とを備える。モータ11は、コイル22b、並びに、コイル22bの導線に電気接続されるバスバー17U、バスバー17W、及びバスバー17Vを有する本体部と、モータ軸たるシャフト13とを備える。シャフト13は、軸方向フロント側の部分が、本体部の軸方向フロント側から突出してポンプ部40に接続される。制御基板101は、電源入力部120と、モータ電源出力部121とを備え、制御基板101の第1面と第2面とのうち、何れか一方の面を軸方向に沿わせる姿勢で配置される。電源入力部120は、制御基板101の軸方向リア側の端部に配置される。「バスバー端子」は、モータ11の本体部の軸方向フロント側に配置される。
【0110】
かかる構成の電動オイルポンプ1においては、モータ11の本体部の軸方向フロント側に配置される「バスバー端子」、又は「バスバー端子」に接続された配線を、制御基板101のリア側端部とは異なる箇所に接続することが可能である。前記箇所は、モータ電源出力部121として機能するので、モータ電源出力部121は、制御基板101の全域のうち、軸方向リア側の端部とは異なる領域に設けられる。一方、電源入力部120は、制御基板101の軸方向リア側端部に配置される。このため、電動オイルポンプ1においては、モータ電源出力部121と電源入力部とを、制御基板101の平面の外縁を構成する複数の辺のうち、特定の1つの辺の付近に集中させることがない。よって、電動オイルポンプ1によれば、モータ電源出力部121と電源入力部120とを、制御基板101の特定の1つの辺の付近に集中して配置することによる制御基板101の大型化を回避することができる。
【0111】
(2)電動オイルポンプ1は、モータ11の本体部が、シャフト13の軸方向リア側に固定されるロータ20と、内周面をロータ20の外周面に対向させるステータ22とを備える。「バスバー端子」は、ステータ22よりも軸方向フロント側に配置される。
【0112】
かかる構成の電動オイルポンプ1においては、「バスバー端子」をステータ22の外部に存在させる。このため、作業者は、制御基板101のモータ電源出力部121、又はモータ電源出力部121に接続された配線と、「バスバー端子」との接続作業を、ステータ22の外部で行うことが可能である。よって、電動オイルポンプ1によれば、ステータ22の内部に「バスバー端子」を配置する構成に比べて、前記接続作業を容易化して電動オイルポンプ1の生産性を向上させることができる。
【0113】
(3)電動オイルポンプ1において、モータ電源出力部121は、制御基板101の軸方向フロント側の端部に配置される。
【0114】
かかる構成において、制御基板101の軸方向リア側の端部に配置された電源入力部120に入力された電源は、制御基板101に設けられた基板配線パターンを経由して、制御基板101の軸方向フロント側の端部に配置されたモータ電源出力部121から出力される。つまり、電源は、制御基板101の軸方向リア側の端部で基板配線パターンに入力された後、制御基板101の軸方向のフロント側の端部からモータ11のバスバーに向けて出力される。かかる構成では、図12のブロック図、並びに、図13及び図14に示される基板102における各種の電子部品のレイアウトから明らかなように、制御基板101の基板102について次のような基板配線パターンを採用することが可能である。即ち、電源入力部120に入力された電源の基板102内での流れについて、モータ電源出力部121に至るまでの過程で、軸方向フロント側からリア側に向けて逆戻りするルートを設けないか、あるいは前記ルートを最小限に留める基板配線パターンである。よって、電動オイルポンプ1によれば、モータ電源出力部121が基板102の軸方向フロント側の端部とは異なる箇所に配置される構成に比べて、基板配線パターンの総延長を短くして制御基板101の小型化(面積の縮小)を図ることができる。
【0115】
(4)電動オイルポンプ1は、「バスバー端子」とモータ電源出力部121とを繋ぐ第1配線ユニット130を備える。第1配線ユニット130は、各相の電源出力配線132と、所定の形状に成形されて各相の電源出力配線132を保持する配線保持体とを有し、制御基板101の軸方向フロント側の端部と「バスバー端子」との間に配置される。
【0116】
かかる構成の電動オイルポンプ1において、長方形状の制御基板101を採用し、長辺を軸方向に沿わせる姿勢で制御基板101を配置し、軸方向において制御基板101のモータ電源出力部121と「バスバー端子」とを大きく離間させるレイアウトを採用したとする。かかる構成であっても、「バスバー端子」は、第1配線ユニット130によって制御基板101のモータ電源出力部121に電気接続され得る。このため、電動オイルポンプ1の設計者は、軸方向と直交する方向において短辺をモータ11の本体部よりも外側に出っ張らせないサイズの長方形状の制御基板101を採用することが可能になる。よって、電動オイルポンプ1によれば、軸方向と直交する方向において制御基板101の短辺をモータ11の本体部よりも外側に出っ張らせることによる電動オイルポンプ1の取り付け対象への取付性の悪化を回避することができる。
【0117】
(5)電動オイルポンプ1の制御基板は、基板102と、基板102に実装される複数の電子部品とを備える。複数の電子部品のうち、基板102の厚み方向において最大の大きさの電子部品である第2コンデンサ127は、基板102の第1面に実装される。制御基板101は、基板102の第1面をポンプ部40に向ける姿勢で配置される。第1配線ユニット130は、基板102の第1面とポンプ部40との間に配置される。
【0118】
かかる構成の電動オイルポンプ1では、基板102の第1面とポンプ部40との対向領域における第2コンデンサ127の存在しない領域に、デッドスペースが生じ易い。電動オイルポンプ1においては、前述のデッドスペースを、第1配線ユニット130の配置スペースとして利用することで、第1配線ユニットを次のようなレイアウトで配置することが可能である。即ち、第1配線ユニット130における、基板102の第1面との対向面を、第2コンデンサ127におけるポンプ部40側の端よりも第1面に近づけるレイアウトである。よって、電動オイルポンプ1によれば、前述のレイアウトを採用することで、基板102とポンプ部40との距離の短縮化を図って、電動オイルポンプ1の小型化を図ることができる。
【0119】
(6)電動オイルポンプ1は、端子台(18U、18W、18V)を備える。第1配線ユニット130は、径方向においてポンプ部40と基板102との間に配置される。第1配線ユニット130の各相の電源出力配線132は、金属板からなり、軸方向リア側に「電源出力配線端子部」を備える。「電源出力端子部」は、「バスバー端子」に重なった状態で端子台(18U、18W、18V)に固定される。各相の電源出力配線132における軸方向フロント側の挿入部(132Ua、132Wa、132Va)は、基板102に設けられたスルーホールに挿入される。
【0120】
かかる構成の電動オイルポンプ1において、金属板からなる各相の電源出力配線132は、剛性によって所定の姿勢を維持することが可能である。このため、各相の電源出力配線132の「電源出力端子部」が端子台(18U、18W、18V)に固定されると、各相の電源出力配線132の挿入部(132Ua、132Wa、132Va)が、所定の位置に正確にポジショニングされる。作業者は、所定の位置に正確にポジショニングされた挿入部(132Ua、132Wa、132Va)を、基板102のスルーホールに容易に差し込むことが可能である。よって、電動オイルポンプ1によれば、金属板からなる各相の電源出力配線132に所定の姿勢を維持させて、制御基板101の取付作業性を向上させることができる。
また、電動オイルポンプ1において、基板102の第1面とポンプ部40との間に介在する第1配線ユニット130を、図8に示されるように、プレート状に成形すれば、次の効果を奏することもできる。即ち、かかる構成の電動オイルポンプ1によれば、基板102の第1面とポンプ部40との間に第1配線ユニット130を介在させることによる第1面とポンプ部40との距離拡大を抑えることができる。
【0121】
(7)電動オイルポンプ1のモータ11は、シャフト13の回転角度を検出する回転角センサ15を備える。回転角センサ15は、モータ11の本体部の軸方向他方側に配置される。外部電源たるイグニション電源に直接接続されるコネクタ199は、軸方向において制御基板101と回転角センサ15との間に配置される。
【0122】
かかる構成の電動オイルポンプ1においてはコネクタ199のコネクタピンと、制御基板101の電源入力部120とを繋ぐ4本の電源入力配線162を保持する、第2配線ユニット160の配線保持体161を、次のような保持体として兼用することが可能である。即ち、前記保持体は、回転角センサ15と制御基板101とを繋ぐ5本のセンサ配線163を保持する保持体である。よって、電動オイルポンプ1によれば、第2配線ユニット160の配線保持体161を、センサ配線163を保持する保持体として兼用して低コスト化及び省スペース化を図ることができる。
【0123】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発名とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1:電動オイルポンプ
2:ハウジング
10:モータ部
11:モータ
13:シャフト(モータ軸)
15:回転角センサ
16:モータカバー
17U:U相用のバスバー
17Ub:端子
17W:W相用のバスバー
17Wb:端子
17V:V相用のバスバー
17Vb:端子
20:ロータ(本体部の一部)
22:ステータ(本体部の一部)
22b:コイル(本体部の一部)
40:ポンプ部
100:インバータ
101:制御基板
102:基板
120:電源入力部
121:モータ電源出力部
122:センサ接続部
126:第1コンデンサ
127:第2コンデンサ(基板の厚み方向において最大の大きさの電子部品)
130:第1配線ユニット(配線ユニット)
131:配線保持体
132U:U相電源出力配線(配線)
132Ub:端子部
132W:W相電源出力配線(配線)
132Wb:端子部
132V:V相電源出力配線(配線)
132Vb:端子部
160:第2配線ユニット(配線ユニット)
161:配線保持体
162:電源入力配線
163:センサ配線
199:コネクタ
J:中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14