(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
H02J7/00 H
H02J7/00 301B
(21)【出願番号】P 2020501701
(86)(22)【出願日】2019-02-13
(86)【国際出願番号】 JP2019005097
(87)【国際公開番号】W WO2019163603
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2018031180
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】正岡 哲
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-175736(JP,A)
【文献】特開2002-199616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器から電力を入力するための外部電源入力端子と、
外部電源入力端子に前記外部機器が接続されていることを検出する検出部と、
充電可能なバッテリと、
前記バッテリの電圧及び電流を計測する計測部と、
電力を消費する負荷回路と、
前記バッテリの充電を行う充電回路と、
前記充電回路のオン/オフを制御する電力制御部と、
を備え、
前記電力制御部は、前記検出部により前記外部電源入力端子に前記外部機器が接続されていることを検出した場合において、
前記充電回路がオンに設定されている状態で、前記計測部の計測結果に基づき前記バッテリの放電動作が検出された場合、所定期間の間、前記充電回路をオフに設定する、
電子機器。
【請求項2】
前記電力制御部は、前記計測部の計測結果に基づき前記バッテリの解放電圧が所定値以上の状態が所定時間以上継続した事が検出された場合、前記充電回路をオフに設定する、
請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記外部電源入力端子と前記バッテリとが並列接続されている、請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記所定期間は、前記バッテリの放電動作を検出したときから、前記バッテリの放電動作の停止を検出してから一定期間経過したときまでの期間である、
請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記外部機器は、所定のシリアルバス規格に準拠して電力を供給する装置である、請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
前記所定のシリアルバス規格はUSB Power Delivery規格である、請求項5記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外部機器から供給される電力により内蔵する二次電池を充電する機能を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、AC/DCアダプタ、電池及び電子機器の間の電力を制御するDC/DCコンバータ回路を制御するためのシステムであって、AC/DCアダプタを電子機器に接続し、電子機器の電源電流が、AC/DCアダプタの最大定格出力電流を超える場合には、DC/DCコンバータ回路を、電池及び電子機器に接続する制御装置を備えるシステムを開示する。
【0003】
また、特許文献2は、二次電池を有する電源管理システムを開示する。電源管理システムは、(i)二次電池パックの着脱状態、(ii)電池電圧VBATの低電圧状態、(iii)二次電池パックの使用可・不可状態の少なくともひとつを実行する電池モニタ部を備える。電池計測部は、電池電圧VBAT、充放電電流IBAT、二次電池パックの温度Tを計測し、ディジタルデータに変換する。充電回路は、電池モニタ部により検出された状態および電池計測部により測定された情報にもとづいて、外部電源からの直流電圧を利用して二次電池パックを充電可能に構成される。クーロンカウンタは、所定の時間間隔で充放電電流IBATを計測し、それを積算していくことで、充電電荷量または放電電荷量の総和を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-10578号公報
【文献】特開2015-25685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外部機器から受けた電力で内部のバッテリを充電する機能を有する電子機器において、バッテリに対する充放電が繰り返されると、バッテリが劣化するという問題がある。
【0006】
本開示は、外部機器から電力を受けて内部の負荷回路及びバッテリへ供給する電子機器であって、繰り返し充電によるバッテリ劣化を抑制できる電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の電子機器は、外部機器から電力を入力するための外部電源入力端子と、外部電源入力端子に前記外部機器が接続されていることを検出する検出部と、充電可能なバッテリと、バッテリの電圧及び電流を計測する計測部と、電力を消費する負荷回路と、バッテリの充電を行う充電回路と、充電回路のオン/オフを制御する電力制御部と、を備える。電力制御部は、検出部により外部電源入力端子に外部機器が接続されていることを検出した場合において、充電回路がオンに設定されている状態で、計測部の計測結果に基づき前記バッテリの放電動作が検出された場合、所定期間の間、充電回路をオフに設定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電子機器によれば、内部負荷の消費電力が外部機器の最大供給電力の近傍で変動する場合でも、繰り返し充電によるバッテリ劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示に係る情報処理装置におけるバッテリの充電機能に関する構成を示す図
【
図2】PDアダプタからの供給電力と消費電力とバッテリの充放電との関係を示す図
【
図3】PDアダプタ接続時におけるバッテリの充電制御に関するフローチャート
【
図5】バッテリの定電流充電及び定電圧充電を説明するための図
【
図6】情報処理装置にPDアダプタが接続されている場合のバッテリの充電電圧と充電電流の変化の例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
(実施の形態1)
[1-1.構成]
図1は、本開示の実施の形態1に係る情報処理装置におけるバッテリの充電機能に関する構成を示す図である。情報処理装置10は、ACアダプタ11aとPDアダプタ12aの2つの外部電源から電力供給を受けることができる。このため、情報処理装置10は、ACアダプタ11aを接続するACアダプタ入力部11と、PDアダプタ12aを接続するPDアダプタ入力部12と、を備える。
【0012】
ACアダプタ11aは、商用電源からの交流電圧を所定の直流電圧に変換する電力変換装置である。PDアダプタ12aは、所定のシリアルバス規格(本実施の形態では、USB Power Delivery規格)に準じて電力を他の機器へ供給する装置である。PDアダプタ12aは、商用電源からの交流電圧を所定の直流電圧に変換して出力する。本実施の形態では、所定のシリアルバス規格はUSB Power Delivery規格であるが、電力供給が可能であれば他の規格でもよい。
【0013】
ACアダプタ入力部11は、ACアダプタ11aに電気的に接続され、ACアダプタ11aからの電力を入力するための入力端子を含む。PDアダプタ入力部12は、PDアダプタ12aに電気的に接続され、PDアダプタ12aからの電力を入力するための入力端子を含む。PDアダプタ入力部12の入力端子はUSB Power Delivery規格を満たすように構成されている。
【0014】
さらに、情報処理装置10は、ACアダプタ11aのACアダプタ入力部11への接続を検出するACアダプタ検出部14と、PDアダプタ12aのPDアダプタ入力部12への接続を検出するPDアダプタ検出部16と、を備える。ACアダプタ検出部14は、ACアダプタ入力部11からの出力電圧を監視することによりACアダプタ11aの接続を検出する。PDアダプタ検出部16は、PDアダプタ入力部12からの出力電圧を監視することによりPDアダプタ12aの接続を検出する。
【0015】
また、情報処理装置10は、PDアダプタ12aから情報処理装置10へ取り込む電力を制御するPD電力制御部15を備える。
【0016】
また、情報処理装置10は、充電可能なバッテリ13と、バッテリ13の充電を制御する充電回路17と、バッテリ13の電圧及び電流を計測する電圧・電流計測部18とを備える。バッテリ13は充電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池である。
【0017】
さらに、情報処理装置10は、バッテリ13の充電及び電力供給を制御する電力制御部19を備える。電力制御部19は半導体素子などで実現可能である。電力制御部19は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせることにより実現してもよい。例えば、電力制御部19は、CPU、MPU、DSP 、DSU、GPU、FPGA、ASIC等のプロセッサで実現できる。
【0018】
情報処理装置10は電力を消費する負荷回路20を含む。負荷回路20は例えば、ディスプレイ21及びディスプレイ21を制御するディスプレイ制御部22並びにCPU23を含む。
【0019】
[1-2.動作]
以上のように構成された情報処理装置10についてその動作を以下に説明する。
【0020】
図1に示すように、ACアダプタ入力部11の出力、PD電力制御部15の出力及びバッテリ13はそれぞれダイオードを介してノードAに共通に接続されて電力制御部19に入力されている。すなわち、ACアダプタ11aの出力、PDアダプタ12aの出力及びバッテリ13は負荷回路20に対して並列に接続されている。各電源がこのように接続されることによって、供給能力の高い電源から優先して負荷回路20へ電力が供給される。
【0021】
すなわち、複数の電源が同時に情報処理装置10に接続されている場合、ACアダプタ11a、PDアダプタ12a、バッテリ13の順で優先的に負荷回路20へ電力を供給する。具体的には、ACアダプタ11aから供給される電力が負荷回路20で消費する電力よりも大きい場合、負荷回路20に対してはACアダプタ11aからのみ電力が供給される。ACアダプタ11aから供給される電力が負荷回路20で消費する電力よりも小さい場合、不足分の電力がPDアダプタ12aから供給される。PDアダプタ12aから電力を供給してもさらに不足する場合、バッテリ13から電力が供給される。
【0022】
このように、ACアダプタ11aから供給される電力、PDアダプタ12aから供給される電力及びバッテリ13から供給される電力と、負荷回路20での消費電力との大小関係に応じて、負荷回路20に電力を供給する電源及び供給する各電源から供給される電力量が決定される。
【0023】
図2は、情報処理装置10にPDアダプタ12aが接続された場合における、PDアダプタ12aからの供給電力と、負荷回路20の消費電力と、バッテリ13の充放電との関係を説明するための図である。
【0024】
図2の例では、情報処理装置10の最大消費電力を85Wとし、PDアダプタ12aの供給電力を40Wとしている。PDアダプタ12aから40Wの電力が供給されている場合に、負荷回路20の消費電力が40Wより小さい場合、供給電力から消費電力を減算した残りの電力によりバッテリ13が充電される。一方、負荷回路20での消費電力が40Wを超えると、PDアダプタ12aからの供給電力だけでは負荷回路20に対する電力が不十分となる。このとき、不足分の電力がバッテリ13から負荷回路20へ供給される。すなわち、バッテリ13は放電する。なお、負荷回路20の消費電力がPDアダプタ12aから供給される電力を超えた場合、充電回路17がオンし、充電動作を行っていても、バッテリ13は充電されずにバッテリ13から負荷回路20へ電力が供給(放電)される。
【0025】
このように、消費電力がPDアダプタ12aの電力供給能力の範囲内にある場合、PDアダプタ12aから供給される電力によりバッテリ13が充電される。しかし、消費電力がPDアダプタ12aの電力供給能力を超えた場合、負荷回路20へは、PDアダプタ12aとバッテリ13の双方から電力が供給される。すなわち、PDアダプタ12aが情報処理装置10に接続されている場合、消費電力の大きさに応じてバッテリ13に対する充電または放電が行われる。
【0026】
この場合、消費電力がPDアダプタ12aの最大供給電力の近傍で変動した場合、バッテリ13に対して充放電が繰り返されることになる。特に、バッテリ13が満充電状態に近い状態にあるときにこのような充放電が繰り返されると、バッテリ13の劣化を招くという問題がある。一般に市販のPDアダプタは様々な電力供給能力を有するものがある。よって、PDアダプタの電力供給能力が情報処理装置10の最大消費電力よりも大幅に小さい場合に、上記のような問題がより顕著に発生する。
【0027】
本実施の形態の情報処理装置10は、バッテリ13の充放電の繰り返しを低減し、バッテリ13の劣化を抑制する機能を有する。
【0028】
図3は、PDアダプタ12a接続時におけるバッテリ13の充電制御に関するフローチャートである。以下、
図3を参照して、情報処理装置10におけるPDアダプタ12a接続時における電力制御を説明する。なお、
図3に示す処理は、電力制御部19により所定周期(例えば1秒)で繰り返し実行される。
【0029】
電力制御部19は、外部アダプタ(すなわち、ACアダプタ11a及びPDアダプタ12aの少なくともいずれか)が情報処理装置10に接続されているか否かを判断する(S10)。ACアダプタ11a及びPDアダプタ12aのいずれも情報処理装置10に接続されていない場合(S10でNO)、バッテリ13を充電することができないので、電力制御部19は充電回路17をオフする(停止させる)(S23)。充電回路17はオフした場合、バッテリ13に対する充電動作を行わない。
【0030】
ACアダプタ11a及びPDアダプタ12aの少なくともいずれかが情報処理装置10に接続されている場合(S10でYES)、電力制御部19はバッテリ13が「満充電状態」であるか否かを判断する(S11)。本実施の形態では、電力制御部19は満充電状態を示す第1フラグを設定しており、この第1フラグを参照することで判断できる。
【0031】
バッテリ13が「満充電状態」である場合(S11でYES)、バッテリ13をさらに充電する必要はないので、電力制御部19は充電回路17をオフする(S23)。
【0032】
バッテリ13が「満充電状態」でない場合(S11でNO)、電力制御部19は、PDアダプタ12aが情報処理装置10に接続されているか否かを判断する(S12)。PDアダプタ12aが情報処理装置10に接続されていない場合(S12でNO)、電力制御部19は、バッテリ13に対して充電処理を行う(S13)。この充電処理の詳細は後述する。
【0033】
一方、PDアダプタ12aが情報処理装置10に接続されている場合(S12でYES)、電力制御部19は、タイマが完了したか否かを判断する(S14)。ここで、タイマは、充電回路17が一時的に停止させられている場合、その停止期間を計測する。タイマが完了した場合(S14でYES)、すなわち、タイマが所定期間(例えば、30秒)を計測した場合、電力制御部19は充電回路17の一時停止を解除する(S18)。具体的には、電力制御部19は充電回路17の状態を示す第2フラグを一時停止中でないことを示す値に設定する。
【0034】
その後、電力制御部19は、第2フラグを参照し、充電回路17が一時停止中であるか否かを判断する(S15)。充電回路17が一時停止中でない場合(S15でNO)、電力制御部19は、バッテリ13が放電しているか否かを判断する(S16)。電圧・電流計測部18はバッテリ13へ流入する電流を計測している。電力制御部19は、電圧・電流計測部18により計測された電流が負の場合にバッテリ13が放電状態であると判断し、電流が正の場合にバッテリ13が充電状態であると判断する。バッテリ13が放電状態にある場合とは、PDアダプタ12aから負荷回路20に対して十分な電力が供給されていないために、バッテリ13からも負荷回路20へ電力が供給されていることを意味する。
【0035】
バッテリ13が放電していない場合(S16でNO)、すなわち、PDアダプタ12aから負荷回路20に対して十分な電力が供給されている場合、電力制御部19は、PDアダプタ12aから供給される電力の中の余力の電力でバッテリ13に対する充電処理を行う(S17)。
【0036】
バッテリ13が放電している場合(S16でYES)、すなわち、バッテリ13からも負荷回路20へ電力が供給されている場合、電力制御部19は、充電回路17を一時的に停止させる(S19)。例えば、充電回路17を30秒間停止(オフ)させる。このとき、電力制御部19は、充電回路17を停止している期間を計測するためのタイマをスタートさせる。
【0037】
充電回路17がオンして充電動作中であるにもかかわらず(S15でNO)、バッテリ13が放電している(S16でYES)状態とは、負荷回路20の消費電力がPDアダプタ12aからの供給電力を上回ったため、PDアダプタ12aからの電力だけでは不十分であり、不足分の電力がバッテリ13から供給されている状態である。PDアダプタ入力部12の出力とバッテリ13とが並列に接続されているため、充電回路17がオンし、充電動作を行うように制御されている場合であっても、PDアダプタ12aから負荷回路20へ供給される電力が不足する場合、不足分の電力がバッテリ13から供給されるようになっている。
【0038】
このように充電回路17が充電動作を行うように制御されている場合であっても、バッテリ13からの放電が確認された場合は、充電動作を一時的に(例え場、30秒)停止させる。これにより、PDアダプタ12aの供給可能電力値の近傍で負荷の消費電力が変動した場合に充放電の繰り返しを低減することができ、バッテリ13の劣化を抑制できる。
【0039】
一方、充電回路17が一時停止中である場合(S15でYES)、電力制御部19は、バッテリ13が放電しているか否かを判断する(S20)。バッテリ13が放電している場合(S20でYES)、電力制御部19はタイマを再設定(リセット)する(S21)。そして、電力制御部19は充電回路17の停止を継続する(S22)。
【0040】
このようにバッテリ13の放電が連続して検出されている間は、タイマを再設定することにより、タイマがバッテリ13の放電動作が終了してからの経過時間を計測することになる。このようにして得られるタイマの値を参照することにより、バッテリ13の放電動作が検出されてから、放電動作停止後所定時間経過するまでの間、バッテリ13の充電を一時的に停止させることができる。
【0041】
図4は、
図3のフローチャートにおける充電処理(ステップS13、S16)の詳細を示すフローチャートである。
図4を参照して、充電処理(ステップS13、S16)の処理の詳細を説明する。
【0042】
電力制御部19は、第2フラグに基づき充電回路17がオフしているか否かを判断する(S30)。充電回路17がオフしている場合(S30でYES)、電力制御部19は充電回路17をオンし、充電動作を開始させる(S31)。
【0043】
電力制御部19は、充電回路17をオフからオンにする場合、電圧・電流計測部18からの出力に基づき、バッテリ13のバッテリ解放電圧が第1閾値以上であるか否かを判断する(S32)。バッテリ解放電圧とは、充電も放電もしていないときのバッテリ13の電圧である。第1閾値は、バッテリ13が満充電状態にあるときのバッテリ解放電圧の値である。
【0044】
バッテリ解放電圧が第1閾値未満である場合(S32でNO)、電力制御部19は、バッテリ13の電圧が満充電電圧であるか否かを判断する(S33)。満充電電圧とは、バッテリ13が満充電状態にあると判断されるときのバッテリ13の電圧の下限値である。
【0045】
バッテリ13の電圧が満充電電圧でない場合(S33でNO)、電力制御部19は、バッテリ13に対して一定の充電電流で充電を行う定電流充電(
図5参照)を行う(S34)。
【0046】
バッテリ13の電圧が満充電電圧である場合(S33でYES)、電力制御部19は、バッテリ13に対して一定の充電電圧で充電を行う定電圧充電を行う(S35)。定電圧充電においては、バッテリ13の充電状態が進むにつれて充電電流を減少させていく(
図5参照)。そして、充電電流が所定の閾値以下になったときに、バッテリ13が満充電状態になったとする。この所定の閾値を「第2閾値」という。すなわち、第2閾値は、バッテリ13が満充電状態にあると判断されるときのバッテリ13の充電電流の値である。
【0047】
定電圧充電において充電電流が第2閾値以下となると(S36でYES)、バッテリ13が「満充電状態」であることを検出する(S36)。このとき、第1フラグが「満充電状態」を示す値に設定される。
【0048】
ステップS32に戻り、バッテリ解放電圧が第1閾値以上である場合(S32でYES)、電力制御部19は、バッテリ解放電圧が第1閾値以上である状態が所定時間(例えば3秒)継続したか否かを判断する(S37)。バッテリ解放電圧が第1閾値以上である状態が所定時間(例えば3秒)継続した場合(S37でYES)、電力制御部19は、バッテリ13が「満充電状態」であることを検出する(S38)。
【0049】
バッテリ解放電圧が第1閾値以上である状態が所定時間継続していない場合(S37でNO)、電力制御部19は本処理を終了する。
【0050】
図6は、情報処理装置10にPDアダプタ12aのみが接続されている場合に上記のような電力制御を行ったときの、バッテリ13の充電電圧と充電電流の変化の例を示した図である。
【0051】
負荷回路20の消費電力がPDアダプタ12aからの電力よりも小さい場合、PDアダプタ12aからの電力から消費電力を除いた残りの電力によりバッテリ13が充電される。これにより、バッテリ13の電圧が上昇する(
図6の状態(A)参照)。その後、負荷回路20の消費電力が増加し、PDアダプタ12aからの電力よりも大きくなると、負荷回路20に対して、PDアダプタ12aからの電力に加えて、バッテリ13からも電力が供給される。すなわち、バッテリ13が放電する(
図6の状態(B)参照)。このとき、電力制御部19は、バッテリ13の充電を一定時間停止する(S19)。その後、負荷回路20での消費電力が減少すると、バッテリ13からの放電は停止する。一定時間が経過すると、バッテリ13の充電が開始され(
図6の状態(C)参照)、バッテリ13の電圧、電流が増加する。その後さらに、負荷回路20の消費電力が増加すると、バッテリ13からの放電が起こる(
図6の状態(D)参照)。バッテリ13からの放電を検出すると、バッテリ13の充電を一定時間停止する(S19)。一定時間経過後、バッテリが放電しておらず(S16でNO)、かつ、バッテリ13の解放電圧が第1閾値(Vth)以上の状態が所定時間以上継続した場合(S37でYES)、バッテリ13が満充電状態であると判定し(S38、S11でYES)、バッテリ13の充電を停止する(S23)(
図6の状態(E)参照)。
【0052】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態の情報処理装置10(電子機器の一例)は、外部機器から電力を入力するためのPDアダプタ入力部12(外部電源入力端子の一例)と、外部電源入力端子にPDアダプタ12a(外部機器の一例)が接続されていることを検出するPDアダプタ検出部16(検出部の一例)と、充電可能なバッテリ13と、バッテリ13の電圧及び電流を計測する電圧・電流計測部18(計測部の一例)と、電力を消費する負荷回路20と、バッテリ13の充電を行う充電回路17と、充電回路17のオン/オフを制御する電力制御部19と、を備える。
【0053】
電力制御部19は、PDアダプタ検出部16により、PDアダプタ入力部12にPDアダプタ12aが接続されていることを検出した場合において(S12でYES)、充電回路17がオンに設定されている状態で(S15でNO)、電圧・電流計測部18の計測結果に基づきバッテリ13の放電動作が検出された場合(S16でYES)、所定期間の間、充電回路をオフに設定する(S19)。
【0054】
このようにバッテリ13への充電動作中にバッテリ13の放電動作が検出された場合に充電回路17を一定期間の間オフにすることで、バッテリ13への充放電の繰り返しを低減でき、バッテリ13の劣化を抑制することができる。
【0055】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0056】
上記の実施の形態では、情報処理装置10に電力を供給する外部機器の一例として、商用交流電力を直流電力に変換するPDアダプタ12aを説明したが、外部機器はこれに限定されない。外部機器は情報処理装置10に電力を供給可能な機器であれば、任意の機器(例えば、パーソナルコンピュータ)でよい。
【0057】
上記の実施の形態では、
図3のステップS14~S22の処理は、所定のバス規格にしたがい電力を供給する外部機器(PDアダプタ12a)に限らず、電力を供給する任意の機器に対して適用できる。特に、上記の処理は、機器の電力供給能力が情報処理装置の消費電力に比較して小さい機器を使用する場合にバッテリ劣化を抑制する点で有効となる。
【0058】
上記の実施の形態では、電子機器の一例として情報処理装置を説明したが、電子機器はこれに限定されない。本開示が対象とする電子機器は、充電可能なバッテリを内蔵し、外部機器から電力供給を受けることが可能な機器であればよい。
【0059】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0060】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0061】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示は、バッテリに対する充放電の繰り返しを低減でき、バッテリの劣化を抑制できるため、外部機器から供給された電力によりバッテリを充電可能な電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0063】
10 情報処理装置
11a ACアダプタ
11 ACアダプタ入力部
12a PDアダプタ
12 PDアダプタ入力部
13 バッテリ
15 PD電力制御部
16 PDアダプタ検出部
17 充電回路
18 電圧・電流計測部
19 電力制御部
20 負荷回路