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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 25/00 20060101AFI20230519BHJP
   F25D 17/06 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
F25D25/00 M
F25D17/06 303
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022120806
(22)【出願日】2022-07-28
【審査請求日】2022-11-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古井 孝侑
(72)【発明者】
【氏名】岡本 泰幸
(72)【発明者】
【氏名】紅林 芳嘉
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-057917(JP,A)
【文献】特開2006-064190(JP,A)
【文献】特開平07-218088(JP,A)
【文献】実開昭61-018495(JP,U)
【文献】特開2002-357385(JP,A)
【文献】特開2013-007555(JP,A)
【文献】特開2005-009761(JP,A)
【文献】特開平09-133460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/00
F25D 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍室と、前記冷凍室に冷気を吹き出す冷気吹出口と、上面開口が形成され前記冷凍室に収容される冷凍室容器と、前記冷凍室容器の前記上面開口を覆う樹脂材料の上面カバーと、を備え、
前記冷気吹出口は、前記上面カバーの上面に沿う冷気を吹き出し、
前記上面カバーは、前記上面開口の開口形状に応じた開口領域部を備え、
前記開口領域部には、複数の開口孔が一様に形成され
前記開口孔は、前記冷凍室容器の前側から後側にわたって、前後方向、左右方向に、繰り返し形成されている
冷蔵庫。
【請求項2】
前記開口領域部は、前記上面開口よりも一回り小さく形成されている
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記開口孔は、直径3mm以上且つ5mm以下の円形の孔、または、3mm以上且つ5mm以下の角孔である
請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記開口領域部において、前記開口領域部の全体の面積に対する前記開口孔の形成されている部分の面積の割合である開口率が20%以上、且つ、30%以下である
請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記開口孔は、円形、楕円形、角丸長方形、または長方形に形成されている
請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記上面カバーは、前記上面開口に沿って前記冷凍室容器にスライド可能に支持されている
請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記冷凍室容器には、前記上面開口を挟んで一対のフランジ部が形成され、
前記上面カバーには、前記一対のフランジ部に対応して一対の曲げ支持部が形成され、
前記曲げ支持部が、対応する前記フランジ部に引っ掛かることにより、前記上面カバーがスライド可能に支持される
請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記一対のフランジ部は、前記冷気吹出口からの冷気の吹き出し方向に離間して一対設けられ、
前記一対の曲げ支持部のうちの前記冷気吹出口側の曲げ支持部は、対応する前記フランジ部を外側から回り込んで前記対応するフランジ部の下方に進入する
請求項7に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記一対の曲げ支持部のうちの前記冷気吹出口から離間した側の曲げ支持部は、対応する前記フランジ部を外側から回り込んで前記対応するフランジ部の下方に進入する
請求項8に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記上面カバーの前記開口領域部は、透明材料により構成される
請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
樹脂で形成された前記冷凍室容器と、
前記冷凍室容器の背面に着脱可能に設けられた金属板と、を有する
請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷凍室に収納された貯蔵容器の開口部を蓋体で覆う構成が記載されている。特許文献1では、蓋体を、樹脂からなる枠体にアルミニウム板を一体化して形成しており、蓋体を貯蔵容器の開口部に設けられたレール部に装着することにより、スライド可能にしている。また、蓋体の周縁部には、冷気を流す長孔を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-10215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制しながら、冷凍室容器内や上面カバーへの着霜を抑制することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における冷蔵庫は、冷凍室と、前記冷凍室に冷気を吹き出す冷気吹出口と、上面開口が形成され前記冷凍室に収容される冷凍室容器と、前記冷凍室容器の前記上面開口を覆う樹脂材料の上面カバーと、を備え、前記冷気吹出口は、前記上面カバーの上面に沿う冷気を吹き出し、前記上面カバーは、前記上面開口の開口形状に応じた開口領域部を備え、前記開口領域部には、複数の開口孔が一様に形成され、前記開口孔は、前記冷凍室容器の前側から後側にわたって、前後方向、左右方向に、繰り返し形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示における冷蔵庫は、上面カバーに沿って流れる冷気は、上面カバーの開口孔からは冷凍室容器内には進入し難く、開口孔から内部に入っても粘性による渦状の対流が生じて、冷気は近傍の開口孔から外部へ抜けていく。このため、冷凍室容器内に流入する冷気による温度変動を抑え、冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制することができると共に、冷凍室容器内の着霜を抑制できる。また、上面カバーの上面や下面に着霜しても上面や下面の近傍を冷気が流れるため、霜の昇華を促すことができる。したがって、冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制しながら、冷凍室容器内や上面カバーへの着霜を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図
図2】実施の形態1における冷凍室および冷却室の周辺を示す図
図3】実施の形態1における上部冷凍室容器部と下部冷凍室容器部の斜視図
図4】実施の形態1における上部冷凍室容器部の平面図
図5図4のV-V線断面図
図6】実施の形態1における開口孔の周辺を示す図5の拡大図
図7】実施の形態1における前側フランジ部の周辺を示す図5の拡大図
図8】実施の形態1における後側フランジ部の周辺を示す図5の拡大図
図9】実施の形態1におけるストッパーの斜視図
図10】実施の形態1におけるストッパーを規制位置に移動させた場合の側面図
図11】実施の形態1におけるストッパーを解除位置に移動させた場合の側面図
図12】実施の形態1におけるおいしさDと品位Rと開口率Aとの関係を示す図
図13】実施の形態1における上部冷凍室容器部の周辺の冷気の流体解析の結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、冷凍室に収容される冷凍室容器に対して、蓋体を設けて冷凍食品の水分の昇華を抑制する技術があった。
【0009】
従来の技術では、蓋体として、アルミニウム製の板を利用することにより、容器内を封鎖して冷凍食品の水分の昇華を抑制しながら、アルミニウムによる輻射と、周縁部の長孔からの冷気と、によって容器内を冷却していた。
しかしながら、アルミニウム製の蓋体では、熱伝導性が高いために冷凍室の冷気で冷却され易い。また、周縁部に孔を設けているが、このような孔では容器内の温度差が改善できない。よって、これらのために、容器内の中央部分の食品の着霜や、容器壁面の着霜、アルミニウム製の蓋体に着霜する恐れがあるという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制しながら、冷凍室容器内や上面カバーへの着霜を抑制することができる冷蔵庫を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明を省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、図1図13を用いて、実施の形態1を説明する。
【0012】
[1-1.構成]
[1-1-1.冷蔵庫の構成]
図1は、実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図である。
本明細書の説明において、冷蔵庫1について、前後、左右という場合には、図1の冷蔵庫1を基準にして用いる。すなわち、図1の左右が、冷蔵庫1の前後に対応するものとして説明する。また、図1の手前側が冷蔵庫1の左側に対応し、図1の奥側が冷蔵庫1の右側に対応するものとして説明する。なお、冷蔵庫1の前面を示す場合に、正面という場合もある。また、冷蔵庫1の後面を示す場合に、背面という場合もある。
【0013】
図1において、冷蔵庫1は、断熱箱体2を有する。断熱箱体2は、主に鋼板を用いた外箱3と、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)などの樹脂で成型された内箱4と、外箱3と内箱4との間の空間に充填発泡される例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材5とからなる。
【0014】
断熱箱体2は、周囲と断熱し、複数の貯蔵室に区分されている。
断熱箱体2の最上部には冷蔵室6が設けられる。冷蔵室6の下方には、切替室7と製氷室(図示せず)が断熱壁で仕切られて左右に横並びに設けられている。切替室7と製氷室の下方には、冷凍室9が設けられる。冷凍室9の下方、すなわち、断熱箱体2の最下部には、野菜室10が設けられる。
【0015】
冷蔵室6は、室内温度を通常、1℃~5℃に設定される。
切替室7は、室内温度を-18℃~5℃に設定され、冷凍温度帯から冷蔵温度帯に切替えることができる。
冷凍室9は、室内温度を通常、-22℃~-15℃に設定されるが、冷凍保存状態の向上のために、例えば、-30℃や-25℃の低温に設定されることもある。
野菜室10は、冷蔵室6と同等、もしくは若干高い温度設定の2℃~7℃に設定される。
【0016】
冷蔵室6の前面開口部にはヒンジ式の冷蔵室扉11が開閉自在に備えられ、ガスケット(不図示)で冷蔵室扉11と前面開口部との間をシールしている。
また、切替室7と製氷室8との前面開口部には、引出し式の切替室扉12と、引出し式の製氷室扉(図示しない)と、が設けられ、ガスケット(不図示)でシールされる。切替室扉12を前方へ引き出すと、上面を開口した切替室容器部13が同時に引き出す構成となっている。
【0017】
また、冷凍室9の前面開口部には、引出し式の冷凍室扉14が設けられ、冷凍室扉14のガスケット(不図示)で前面開口部との間をシールしている。
冷凍室9内には、上面を開口した上下に二段の上部冷凍室容器部15と下部冷凍室容器部16とを備え、上部冷凍室容器部15は下部冷凍室容器部16の上面開口周縁部に載った状態で、冷凍室扉14の前方への引出し動作に連動して、上部冷凍室容器部15と下部冷凍室容器部16とが引き出される構成となっている。
【0018】
また、最下部の野菜室10の前面開口部には、引出し式の野菜室扉17が設けられ、野菜室扉17のガスケット(不図示)で前面開口部との間をシールしている。
野菜室10内には上面を開口した野菜室容器部18を備え、野菜室扉17の引出し動作に連動して、野菜室容器部18が引き出される構成となっている。
【0019】
図2は、実施の形態1における冷凍室9および冷却室19の周辺を示す図である。
冷凍室9の後方には、冷気を生成する冷却室19が設けられている。冷却室19内には、冷凍サイクルを構成する冷却器(蒸発器)20が配設されている。冷蔵室6の後方上部には、冷凍サイクルを構成する圧縮機23(図1参照)が配置されている。圧縮機23と、図示しない凝縮器と、膨張機構と、冷却器20とは、冷媒配管により接続されており、冷凍サイクルを構成している。
圧縮機23から冷媒を吐出させて冷凍サイクルを循環させることで、冷媒を所定の温度に冷却し、冷却器20と冷却室19の内部空気と熱交換させ、冷却室19の内部に冷気を発生させるように構成されている。
【0020】
冷却器20の上方空間には送風ファン21(図1参照)を備えている。送風ファン21の運転により、冷却器20で熱交換した空気を冷蔵室6、切替室7、製氷室8、冷凍室9、そして野菜室10に送風し、送風する冷気量を調節制御して、各室を所定温度に冷却する。
【0021】
図2に示すように、冷凍室9の背面側には、冷却室19との間を仕切る仕切り壁25が設けられている。仕切り壁25には、冷却室19と冷凍室9とを連通させる冷気吹出口25a、25bが形成されている。本実施の形態では、冷気吹出口25a、25bは、上下に一対形成されている。
上側冷気吹出口25aは、上部冷凍室容器部15よりも上方に設けられている。上側冷気吹出口25aは略水平方向前方に冷気を吹き出す構成となっている。上側冷気吹出口25aは、わずかに下方にも吹き出すように構成される。上側冷気吹出口25aは、冷凍室容器30の上面カバー40の上面40aに沿う方向に冷気を吹き出す。
【0022】
下側冷気吹出口25bは、上部冷凍室容器部15よりも下方、且つ、下部冷凍室容器部16よりも上方に設けられている。下側冷気吹出口25bは前下方に冷気を吹き出すように構成されている。下側冷気吹出口25bは下部冷凍室容器部16内に冷気を吹き出す。
下側冷気吹出口25bの下方には、冷却室19に連通する冷気戻り口25cが形成されている。冷気戻り口25cは、下部冷凍室容器部16の下部背面に対応して設けられている。
【0023】
[1-1-3.貯蔵室容器の構成]
図3は、実施の形態1における上部冷凍室容器部15と下部冷凍室容器部16の斜視図である。図4は、実施の形態1における上部冷凍室容器部15の平面図である。図5は、図4のV-V線断面図である。
上部冷凍室容器部15は、下部冷凍室容器部16の上面開口周縁部に載った状態で前方に引き出し可能に支持される。
【0024】
上部冷凍室容器部15は、貯蔵室容器の一例としての冷凍室容器30と、冷凍室容器30の上方を覆う上面カバー40と、を備える。本実施の形態では、冷凍室容器30は透明な樹脂材料で形成される。よって、冷凍室容器30越しに、下部冷凍室容器部16の内部を確認することができる。また、上面カバー40は、透明な樹脂材料で形成される。よって、上面カバー40越しに冷凍室容器30の内部を確認することができる。
【0025】
冷凍室容器30は、前後左右に延びる外観略直方体の箱である。冷凍室容器30は、上方が開放されている。具体的には、冷凍室容器30は、矩形状の底壁31と、底壁31の周囲の周囲壁32と、を有する。周囲壁32は、前面壁32a、後面壁32b、左面壁32c、および、右面壁32dにより構成される。底壁31の左右中央部には、冷凍室容器30内を左右に仕切る仕切部33が形成されている。仕切部33により、冷凍室容器30には、第1収容部34と第2収容部35とが形成される。
【0026】
第1収容部34は、第1上面開口34aを通じて上方に開放される。第2収容部35は、第2上面開口35aを通じて上方に開放される。本実施の形態では、第1収容部34と第2収容部35との収容容量は同一に設定される。第1上面開口34aと第2上面開口35aとの開口形状は左右対称であり、開口面積が同一に設定される。第1上面開口34aと第2上面開口35aとにより、上面開口30aが形成される。
各収容部34、35には、金属製の着霜板50が着脱可能に支持される。着霜板50は、冷気吹出口25a、25b側に位置する後面壁32bの内面に沿って配置される。着霜板50に冷凍室容器30の内部の湿気の着霜を誘引させて、着霜板50を着脱することにより、冷凍室容器30内の着霜を除去することができる。
【0027】
冷凍室容器30には、上面開口30aを挟んで一対のフランジ部36、37が形成される。本実施の形態では、上面開口30aを挟んで、前後に一対のフランジ部36、37が形成される。
前側フランジ部36は、上面開口30aの前縁に対応する位置に形成される。前側フランジ部36は、周囲壁32の前面壁32aに対して前方に突出する。前側フランジ部36は左面壁32cと右面壁32dとの間を左右方向に延びる。前側フランジ部36は、前方に進むに連れて下方に湾曲する。前側フランジ部36の下面には、凹凸状の滑止め部36aが形成されている。前側フランジ部36の下方には、利用者が指を差し込み可能である。利用者は前側フランジ部36に指を差し込み滑止め部36aに指を当てながら前方に引き出すことにより、冷凍室容器30を前側に引き出すことが可能になっている。
【0028】
後側フランジ部37は、上面開口30aの後縁に対応する位置に形成される。後側フランジ部37は、周囲壁32の後面壁32bに対して後方に突出する。後側フランジ部37は左面壁32cと右面壁32dとの間を左右方向に延びる。後側フランジ部37には、上方に凹んだ凹溝37aが形成される。凹溝37aは、後側フランジ部37に沿って延びている。
【0029】
前側フランジ部36および後側フランジ部37には、上面カバー40がスライド可能に支持される。
上面カバー40は、平面視で矩形板状に形成される。本実施の形態の上面カバー40は、上面開口34a、35aの大きさに対応して、左右方向に比べて前後方向に長い矩形板状に形成される。
【0030】
上面カバー40は、上面開口34a、35aの開口形状に応じた開口領域部41を備える。開口領域部41は、上面開口34a、35aよりも一回り小さい平面視で矩形状に形成される。開口領域部41には、厚み方向に貫通する複数の開口孔41aが一様に形成されている。本実施の形態では、開口孔41aは円形である。ここで、本実施の形態において、一様とは、前後方向、左右方向に、繰り返し、同一形状の開口孔41aが形成されるという意味で用いる。本実施の形態では、開口孔41aが前後左右に直線的に配列される構成を示すが、例えば、千鳥状に開口孔41aが配列されて一様に形成されてもよい。
【0031】
開口領域部41において、開口領域部41の全体の面積に対する開口孔41aの形成されている部分の面積の割合である開口率Aが20%以上30%以下であるように、開口領域部41には、複数の開口孔41aが一様に形成される。本実施の形態では、開口孔41aの大きさは、直径で、3mm以上、且つ、5mm以下が好適である。なお、開口率Aは、開口領域部41において、開口孔41aの形成されていない部分の面積と、開口孔41aの形成されている部分の面積との和に対する、開口孔41aの形成されている部分の面積の割合ともいえる。
【0032】
開口領域部41の外周側には、開口孔41aが形成されていない非開口領域部42が形成されている。非開口領域部42は、平面視で、矩形の環状である。非開口領域部42があることにより、上面カバー40の強度を向上させることができる。
【0033】
特に、本実施の形態では、非開口領域部42には、上面40aに対して上方に突出するリブ状の補強部42aが形成される。補強部42aは、開口領域部41の左右に一対形成される。補強部42aは、開口領域部41の前後方向の長さに対応する。この構成により、上面カバー40の撓みを抑制することができる。
【0034】
図6は、実施の形態1における開口孔41aの周辺を示す図5の拡大図である。
開口孔41aは、上面カバー40の上面40aおよび下面40bの境界部が面取りされている。換言すれば、開口孔41aは、上端部では、上方に進むに連れて拡径し上面40aに対して滑らかに接続される。また、開口孔41aは、下端部では、下方に進むに連れて拡径し下面40bに対して滑らかに接続される。よって、上面カバー40は、開口孔41aの境界部が角張っておらず、上面カバー40の上面40aおよび下面40bの抵抗が小さくなっている。
【0035】
特に、本実施の形態の開口孔41aは、下端部から上方に進むに連れて縮径するテーパ状に形成される。これにより、開口孔41aを通じて、上面カバー40の下方から上方に気体が移動し易くなっている。よって、例えば、冷凍室扉14の開閉時に庫外の外気が冷凍室容器30内に進入した場合であっても、温度が高い外気は上昇気流により冷凍室容器30内から上面カバー40の上方へと自然と抜け易くできる。よって、外気が含む湿気によって冷凍室容器30内に霜が形成されることを抑制できる。
【0036】
図7は、実施の形態1における前側フランジ部36の周辺を示す図5の拡大図である。図8は、実施の形態1における後側フランジ部37の周辺を示す図5の拡大図である。
上面カバー40には、冷凍室容器30の一対のフランジ部36、37に対応して、一対の曲げ支持部43、44が形成される。本実施の形態では、上面カバー40の前後に一対の曲げ支持部43、44が形成される。曲げ支持部43、44がそれぞれのフランジ部36、37に引っ掛かることにより、冷凍室容器30にスライド可能に支持される。したがって、簡単な構成で上面カバー40を、上面開口30aに沿わせてスライド可能に支持できる。本実施の形態では、上面カバー40は、第1収容部34を覆う位置と、第2収容部35を覆う位置と、の間をスライド可能に支持されている。
【0037】
前側曲げ支持部43は、前側フランジ部36を外側から回り込んで前側フランジ部36の下方に進入する。具体的には、前側曲げ支持部43は、非開口領域部42から前方に延びる基部43aと、基部43aの前端から前方に進むに連れて下方に湾曲する湾曲部43bと、湾曲部43bの下端から後方に屈曲する屈曲部43cと、を備える。基部43aが前側フランジ部36を上方から覆い、湾曲部43bが前側フランジ部36を前方から覆い、屈曲部43cが前側フランジ部36の下方に進入する。
【0038】
後側曲げ支持部44は、後側フランジ部37を外側から回り込んで後側フランジ部37の下方に進入する。具体的には、後側曲げ支持部44は、非開口領域部42から後方に延びる基部44aと、基部44aの後端から下方に屈曲して延出する延出部44bと、延出部44bの下端から後方に屈曲する屈曲部44cと、を備える。基部44aが後側フランジ部37を上方から覆い、延出部44bが後側フランジ部37を後方から覆い、屈曲部44cが後側フランジ部37の下方に進入する。
上面カバー40では、前後の曲げ支持部43、44がそれぞれのフランジ部36、37の下方に進入することにより、上面カバー40が冷凍室容器30から上方に離脱することが規制される。
【0039】
特に、後側曲げ支持部44が、後側フランジ部37を外側から回り込んで後側フランジ部37の下方に進入する構造である。その上、後側フランジ部37には凹溝37aも形成されている。このため、後側曲げ支持部44と後側フランジ部37とは、いわゆる、ラビリンス構造を形成する。よって、冷凍室9(図2参照)において、冷気吹出口25a、25bから吹き出された冷気が、冷凍室容器30の後側フランジ部37と、上面カバー40の後側曲げ支持部44と、の間を通って、冷凍室容器30内に入るのを抑制することができる。
また、冷凍室扉14を開放した時に、外気の湿気が入りにくく、特に後側フランジ部37と後側曲げ支持部44の間の摺動面に着霜や氷結するのを抑制し、上面カバー40の操作性を維持することができる。
【0040】
ここで、図7図8に示すように、前後それぞれのフランジ部36、37および曲げ支持部43、44において、フランジ部36、37および曲げ支持部43、44の一方には他方に向かって突出する突起部36b、36c、37b、44dが形成されている。
【0041】
本実施の形態では、前側フランジ部36には、上面カバー40に向かって突出する突起部36b、36cが形成されている。詳細には、前側フランジ部36の上面には、上方に突出する上方突起部36bが形成されている。前側フランジ部36の前面には、前方に突出する前方突起部36cが形成されている。突起部36b、36cは、冷凍室容器30の左右全体に筋状に延びている(図4参照)。
【0042】
後側フランジ部37には、上面カバー40に向かって突出する上方突起部37bが形成されている。上方突起部37bは冷凍室容器30の左右全体に筋状に延びている(図4参照)。また、上面カバー40において、後側曲げ支持部44の延出部44bの前面には、後側フランジ部37に向かって突出する前方突起部44dが形成されている。前方突起部44dは円形の突起が左右それぞれ1箇所に設けられている。前方突起部44dは、後側曲げ支持部44の左右全体に筋状に延びていてもよい。
【0043】
上方突起部36b、37bと、前方突起部36c、44dとにより、フランジ部36、37と曲げ支持部43、44との互いの接触面積を小さくできる。よって、上面カバー40が冷凍室容器30に対してスライドする際の摺動抵抗を低減することができる。
【0044】
図9は、実施の形態1におけるストッパー38の斜視図である。図10は、実施の形態1におけるストッパー38を規制位置に移動させた場合の側面図である。図11は、実施の形態1におけるストッパー38を解除位置に移動させた場合の側面図である。
後側フランジ部37には、上面カバー40のスライドを規制するストッパー38が設けられている。本実施の形態では、ストッパー38は、後側フランジ部37の左右両端に一対設けられる。左右のストッパー38は同様に構成されるため、左側のストッパー38について説明する。
【0045】
ストッパー38は、後側フランジ部37に対して後方に突出する形状である。詳細には、図10に示す規制位置において、ストッパー38は、後側フランジ部37よりも後方に位置する板状の操作部38aを有する。操作部38aには、前方に延出する支持部38bが形成されている。支持部38bには、左右方向に回転中心を有する回動ヒンジ38cが設けられる。ストッパー38は、回動ヒンジ38cにより、冷凍室容器30の後面壁32bに回動可能に支持される。
【0046】
支持部38bの上方には、前方に突出する爪部38d(図11参照)が形成されている。爪部38dは、冷凍室容器30に設けられた引っ掛け部(不図示)に引っ掛かる。これにより、ストッパー38は、図10に示す規制位置に保持される。ストッパー38は、規制位置では、側面視において上面カバー40の後側曲げ支持部44に重複するように構成される。したがって、上面カバー40が後側フランジ部37に沿ってスライドする際に、後側曲げ支持部44がストッパー38に当接して、上面カバー40のスライドが規制される。よって、上面カバー40が冷凍室容器30から離脱することが規制される。
【0047】
ここで、後側曲げ支持部44の左右には、平面視でL字状に切り欠かれたストッパー回避部44e、44fが形成されている。ストッパー回避部44e、44fには、左右のストッパー38がそれぞれ進入して、上面カバー40の後曲げ支持部44の左右端がストッパー38に突き当たる。これにより、上面カバー40が各収容部34、35の上方に位置決めされる。すなわち、上面カバー40をストッパー38に突き当てることにより、精度良く、第1収容部34または第2収容部35のいずれか一方を塞ぐと共に、いずれか他方を開放させることができる。よって、上面カバー40で覆う収容部34、35と、上面カバー40で覆わない収容部35、34との使い分けが精度よくできる。
【0048】
ストッパー38が規制位置にある場合に、回動ヒンジ38cに対して径方向外端となる操作部38aを後方に押すことにより、爪部38dの係合が解除され、ストッパー38は図11に示す解除位置に移動する。ストッパー38は、解除位置では、側面視において上面カバー40の後側曲げ支持部44に重複しない、あるいは、略重複しないように構成される。よって、ストッパー38が解除位置に移動した場合には、上面カバー40の後側曲げ支持部44がストッパー38を越えて左右方向外側に通過させることが可能である。したがって、上面カバー40を冷凍室容器30から取り外すことが可能となる。上面カバー40を取り外すことにより、上面カバー40の清掃などが可能となる。
【0049】
図12は、実施の形態1におけるおいしさDと品位Rと開口率Aとの関係を示す図である。図12の上段は、おいしさDと品位Rと抵抗係数Kとの関係を示す図である。図12の上段において、左側の縦軸はおいしさDを示す。右側の縦軸は品位Rを示す。横軸は抵抗係数Kを示す。図12の下段は、抵抗係数Kに対応する開口率Aを示す。ここで、品位Rは除湿能力と言い換えることができる。
【0050】
開口孔41aを通じて上面カバー40の上方から下方に冷気が進入した場合、開口孔41aの下面40b近傍で流体の粘性により渦が生じる。このため、開口孔41aの見かけ上の大きさ(全開口孔41aの総和)以上に、冷気は冷凍室容器30内の内部深くまで進入し難い。すなわち、上面カバー40に沿って冷気が流れる際に、上面の圧力p1(図2参照)と、下面の圧力p2(図2参照)とについて、その差である圧力損失を表わす抵抗係数K(∝p1-p2)を調整することにより、冷凍室容器30の内部の密閉性と通気性の両立が実現でき、おいしさDと品位Rを両立できることを見出した。
【0051】
具体的には、おいしさDの観点においては、食品が乾燥しないことが重要である。このため、おいしさDの観点においては、冷凍室容器30を密閉した状態、すなわち、開口率Aが0%に近いほど望ましい。官能評価からは、抵抗係数Kが7以上である開口率Aが30%以下であれば許容されることが判明した。30%を超えると官能評価のレベルが一段劣化した。
【0052】
品位Rの観点においては、冷凍室容器30内に進入した湿気を逃がすことが重要である。このため、品位Rの観点においては、冷凍室容器30を開放した状態、すなわち、開口率Aが100%に近いほど望ましい。実験によれば、抵抗係数Kが20以下である開口率Aが20%以上であれば許容されることが判明した。
以上より、おいしさDと品位Rの両立を図るには、開口率Aが20%以上、且つ、30%以下であることが望ましいことが理解される。
【0053】
[1-2.動作等]
次に、実施の形態1における冷蔵庫1の動作について説明する。
本実施の形態においては、圧縮機23を駆動して冷凍サイクルに冷媒を循環させ、冷却器20により冷却室19の内部空気と熱交換を行うことで、冷気を発生させる。そして、送風ファン21を駆動することで、送風ファン21の運転により、冷却器20で熱交換した空気を冷蔵室6、切替室7、製氷室8、冷凍室9、そして野菜室10に送風し、送風する冷気量を調節制御して、各室を所定温度に冷却する。
【0054】
このとき、図2に示すように、冷凍室9では、上側冷気吹出口25aからは、上面カバー40の上面に沿うように、矢印A1で示すように冷気が吹き出される。
また、下側冷気吹出口25bからは、冷凍室容器30の下方に向けて、矢印A2で示すように、冷気が吹き出される。
冷凍室9を冷却した冷気は、矢印A3で示すように、冷気戻り口25cから冷却室19に戻る。
このようにして、冷凍室9に冷気が送風され、冷凍室9の冷却が行われる。
【0055】
図13は、実施の形態1における上部冷凍室容器部15の周辺の冷気の流体解析の結果を示す図である。図13では上面カバー40の開口孔41aの記載は部分的に省略している。図13において、黒のドットが少ないほど冷気の速度Vが遅い部分であり、黒のドットが多いほど冷気の速度Vが速い部分である。
上側冷気吹出口25aから吹き出された冷気は、上面カバー40の上面40aに沿って勢いよく流れることが確認される。しかしながら、上面カバー40の下面40bに沿う冷気の流れは小さいことが確認される。
【0056】
これは、上面カバー40に沿って流れる冷気が開口孔41aを通過して上面カバー40の下方に移動しても、上面カバー40の下面40bの近傍に粘性による渦状の対流(以下、渦流という)が発生し、渦流は近傍の開口孔41aの下面40bから上面40a側へ向かって流れる。
よって、冷気は、冷凍室容器30の内部深くまで進入することが、ほぼない状態で上面カバー40に沿って流れるため、本実施の形態では、冷凍室容器30内の温度変動を抑え、食品の冷気による乾燥を抑制することが可能である。さらに、冷気が上面カバー40の上面40aに沿って流れ、開口孔41aから容器内部に一部の冷気が進入した場合でも、下面40b近傍で渦流が生じ、内部に入った冷気は他の開口孔41aの下面40bから上面40aに向かって上面カバー40の外部へ流出する。
従って、冷凍室容器30への食品収納時や冷凍室扉14の開放などにより、冷凍室容器30内部に湿気が入った場合でも、上記の作用による、開口孔41aでの冷気の出入りにより、湿気は冷気と一緒に上面カバー40の外部へ流れるため除湿を図ることができ、湿気が霜となって上面カバー40に着霜したとしても、上記作用による、開口孔41aでの冷気の出入りにより、上面40aや下面40bの着霜の昇華を促すことができる。よって、着霜によって上面カバー40の光の透過性が乱され難く、冷凍室容器30内の見易さが維持され易くなっている。
【0057】
また、冷気吹出口25a、25bに近くて冷え易い冷凍室容器30の後面壁32b側には、緩やかな冷気の流れA4が確認される。後面壁32bの近傍は、冷気吹出口25a、25bに近くて着霜し易いが、本実施の形態では、後面壁32bの近傍には乾燥した冷気が進入し易くなっており、外気などによる着霜を昇華させ易くなっている。
【0058】
特に、本実施の形態では、着霜板50(図5参照)が着脱可能に設けられる。着霜板50に意図的に霜を形成して取り出すことにより、冷凍室容器30内の霜を除去し易くできる。
【0059】
本実施の形態では、上面カバー40は、第1収容部34を覆う位置と第2収容部35を覆う位置との間でスライド可能に構成される。これにより、第1収容部34と第2収容部35において、一方を、上面カバー40により冷気が流入し難い収容部34、35として使用し、他方を、冷気が流入し易い収容部35、34として使用することができる。
【0060】
[1-3.効果等]
以上述べたように、本実施の形態においては、冷蔵庫1は、冷凍室9と、冷凍室9に冷気を吹き出す上側冷気吹出口25aと、上面開口30aが形成され冷凍室9に収容される冷凍室容器30と、冷凍室容器30の上面開口30aを覆う上面カバー40と、を備え、上側冷気吹出口25aは、上面カバー40の上面40aに沿う冷気を吹き出し、上面カバー40は、上面開口30aの開口形状に応じた開口領域部41を備え、開口領域部41には、複数の開口孔41aが一様に形成されている。
この構成により、上面カバー40に沿って流れる冷気は、粘性による渦状の対流のために、上面カバー40の開口孔41aからは冷凍室容器30の奥深くには進入し難く、上面カバー40の下面40b近傍に沿って流れ、進入した冷気は、近傍の開口孔41aの下面40bから上面40a側へ向かって流れ、容器内部の湿気も一緒に流れていく。このため、冷凍室容器30内の食品の冷気による乾燥を抑制することができると共に、冷凍室容器30内を過剰に冷却することを抑制でき、冷凍室容器30内の着霜を抑制できる。また、上面カバー40の上面40aや下面40bに着霜しても上面40aや下面40bの近傍を流れる冷気で昇華を促すことができる。したがって、冷凍室容器30内の食品の乾燥を抑制しながら、冷凍室容器30内や上面カバー40への着霜を抑制することができる。
【0061】
本実施の形態のように、上側冷気吹出口25aは、上面カバー40より上方に位置してもよい。
この構成により、上面カバー40の上方に冷気を吹き出して、冷凍室9内を効率よく冷却できる。
【0062】
本実施の形態のように、開口領域部41において、開口領域部41の全体の面積に対する開口孔41aの形成されている部分の面積の割合である開口率Aが20%以上、且つ、30%以下であってもよい。
この構成により、特に効率よく、冷凍室容器30内の温度変動を抑えて食品の乾燥を抑制しながら、冷凍室容器30内や上面カバー40への着霜を抑制することができる。
【0063】
本実施の形態のように、開口孔41aは、円形に形成されてもよい。
この構成により、簡単な構成で複数の開口孔41aを一様に形成することができる。
【0064】
本実施の形態のように、上面カバー40は、上面開口30aに沿って冷凍室容器30にスライド可能に支持されていてもよい。
この構成により、上面カバー40をスライドさせて上面開口30aを開閉させることができる。
【0065】
本実施の形態のように、冷凍室容器30には、上面開口30aを挟んで一対のフランジ部36、37が形成され、上面カバー40には、一対のフランジ部36、37に対応して一対の曲げ支持部43、44が形成され、曲げ支持部43、44が、対応するフランジ部36、37に引っ掛かることにより、上面カバー40がスライド可能に支持されてもよい。
この構成により、簡単な構成で上面カバー40をスライドさせることができる。
【0066】
本実施の形態のように、一対のフランジ部36、37は、上側冷気吹出口25aからの冷気の吹き出し方向に離間して一対設けられ、一対の曲げ支持部43、44のうちの上側冷気吹出口25a側である後側曲げ支持部44は、対応する後側フランジ部37を外側から回り込んで後側フランジ部37の下方に進入してもよい。
この構成により、上側冷気吹出口25a側において、後側曲げ支持部44は後側フランジ部37を外側から回り込んで覆う構造となるため、上側冷気吹出口25aから吹き出された冷気が上面カバー40と冷凍室容器30との間を通って冷凍室容器30内に入るのを抑制することができる。
【0067】
本実施の形態のように、一対の曲げ支持部43,44のうちの上側冷気吹出口25aから離間した側である前側曲げ支持部43は、対応する前側フランジ部36を外側から回り込んで前側フランジ部36の下方に進入してもよい。
この構成により、吹き出し方向に設けられた一対の曲げ支持部43、44により、上面カバー40をスライド可能に支持することができる。
【0068】
本実施の形態のように、上面カバー40の開口領域部41は、透明材料により構成されてもよい。
この構成により、上面カバー40で閉塞しても上面カバー40越しに冷凍室容器30内を確認することができる。
【0069】
本実施の形態のように、樹脂で形成された冷凍室容器30と、冷凍室容器30の背面に着脱可能に設けられた着霜板(金属板)50と、を有してもよい。
この構成により、着霜板50に着霜を誘引させることができる。よって、着霜板50を着脱することにより、冷凍室容器30内の着霜を除去することができる。
【0070】
(他の実施の形態)
なお、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。
【0071】
実施の形態1においては、上側冷気吹出口25aは、上面カバー40より上方に位置する構成を説明したが、これに限定されない。上側冷気吹出口25aは、高さ方向において上面カバー40と重複した位置に形成されてもよく、上側冷気吹出口25aの少なくとも一部が上面カバー40の上方に位置すればよい。
この構成により、上面カバー40の上方に冷気を吹き出し易く、冷凍室9内を効率よく冷却できる。
【0072】
実施の形態1においては、開口孔41aは円形である構成を説明した。しかし、円形に代えて、開口孔41aは楕円形、又は、角丸長方形であってもよい。
開口孔41aが、円形、楕円形、又は、角丸長方形であることにより、開口孔41aが形成された上面カバー40の割れを抑制することができる。
【0073】
実施の形態1においては、開口孔41aは円形である構成を説明した。しかし、円形に代えて、開口孔41aは、長方形であってもよい。例えば、3mm角から5mm角の角孔であってもよい。
この構成により、簡単な構成で複数の開口孔41aを一様に形成することができる。
【0074】
実施の形態1においては、開口領域部41において、開口率Aは、全体で一定の構成を説明したが、これに限定されない。例えば、冷気吹出口25a、25bから離間した領域よりも、冷気吹出口25a、25bに近い領域の開口率が大きくなるように、複数の開口孔を一様に形成してもよい。なお、この場合には、冷気吹出口25a、25bから離間した領域における複数の開口孔の一様さと、冷気吹出口25a、25bに近い領域の複数の開口孔の一様さとは異なる。すなわち、例えば、冷気吹出口25a、25bから離間した領域の開口孔41aは直径3mmの円形とし、冷気吹出口25a、25bに近い領域の開口孔41aは直径5mmの円形とすることが考えられる。
この構成により、冷気吹出口25a、25bに近い領域から冷気の一部を冷凍室容器30内に入れて、冷気吹出口25a、25bに近い冷凍室容器30の背面の着霜を抑制し易くできる。
【0075】
実施の形態1においては、上面カバー40が透明材料の樹脂で形成されることにより、開口領域部41が透明材料により構成される構成を説明した。しかしながら、これに代えて、ガラスを用いても良い。例えば、非開口領域部42は樹脂で形成し、非開口領域部42にガラスをはめ込むことにより上面カバー40を構成してもよい。
【0076】
実施の形態1においては、一対のフランジ部36、37は前後に形成されたが、左右に形成されてもよい。すなわち、上面カバー40が左右方向に代えて、前後方向にスライドする構成でもよい。
具体的には、冷凍室容器30の第1収容部34の上面カバー40が、左面壁32cと仕切部33に形成された一対のフランジ部36、37に前後方向にスライド可能に支持されてもよい。
また、1枚の上面カバー40が第1収容部34と第2収容部35の上面を覆って形成され、第2収容部35の上面にも同様の開口孔41aを形成し、左面壁32cと右面壁32dに、一対のフランジ部36、37を形成し、上面カバー40が前後にスライドする構成としてもよい。
また、上記のように1枚の上面カバー40としたが、2枚の上面カバーとし、仕切部33にも第1収容部34と第2収容部35用のフランジ部を形成し、第1収容部34と第2収容部35の上面カバー40が、それぞれ独立で前後方向にスライド動作してもよい。
この場合、冷凍室扉14の前方への引出し動作に連動して、上部冷凍室容器部15と下部冷凍室容器部16とが引き出された時に、ストッパー38を外せば、上面カバーをスライドさせて開放し、食材を出し入れ可能になる。
【0077】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0078】
(技術1)冷凍室と、前記冷凍室に冷気を吹き出す冷気吹出口と、上面開口が形成され前記冷凍室に収容される冷凍室容器と、前記冷凍室容器の前記上面開口を覆う上面カバーと、を備え、前記冷気吹出口は、前記上面カバーの上面に沿う冷気を吹き出し、前記上面カバーは、前記上面開口の開口形状に応じた開口領域部を備え、前記開口領域部には、複数の開口孔が一様に形成されている冷蔵庫。
この構成により、上面カバーに沿って流れる冷気は、粘性による渦状の対流のために、上面カバーの開口孔からは冷凍室容器の奥深くには進入し難く、上面カバーの下面近傍に沿って流れ、進入した冷気は、近傍の孔から上面カバーの上面側へ抜けていく。このため、冷凍室容器内の食品の冷気による乾燥を抑制することができると共に、冷凍室容器内を過剰に冷却することを抑制でき、冷凍室容器内の着霜を抑制できる。また、上面カバーの上面や下面に着霜しても上面や下面の近傍を流れる冷気で昇華を促すことができる。したがって、冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制しながら、冷凍室容器内や上面カバーへの着霜を抑制することができる。
【0079】
(技術2)前記冷気吹出口の少なくとも一部は、前記上面カバーより上方に位置する技術1に記載の冷蔵庫。
この構成により、上面カバーの上方に冷気を吹き出して、冷凍室内を効率よく冷却できる。
【0080】
(技術3)前記開口領域部において、前記開口領域部の全体の面積に対する前記開口孔の形成されている部分の面積の割合である開口率が20%以上、且つ、30%以下である技術1または2に記載の冷蔵庫。
この構成により、特に効率よく、冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制しながら、冷凍室容器内や上面カバーへの着霜を抑制することができる。
【0081】
(技術4)前記開口孔は、円形、楕円形、角丸長方形、または長方形に形成されている技術1から3のいずれかに記載の冷蔵庫。
この構成により、簡単な構成で複数の開口孔を一様に形成することができる。
【0082】
(技術5)前記開口領域部において、前記開口領域部の全体の面積に対する前記開口孔の形成されている部分の面積の割合である開口率は、前記冷気吹出口から離間した領域よりも、前記冷気吹出口に近い領域が大きい技術1から4のいずれかに記載の冷蔵庫。
この構成により、冷気吹出口に近い領域から一部の冷気を冷凍室容器内に入れ易くでき、冷気吹出口に近い容器壁面の着霜を昇華させ易くできる。よって、冷凍容器内の着霜を抑制することができる。
【0083】
(技術6)前記上面カバーは、前記上面開口に沿って前記冷凍室容器にスライド可能に支持されている技術1から5のいずれかに記載の冷蔵庫。
この構成により、上面カバーをスライドさせて上面開口を開閉させることができる。
【0084】
(技術7)前記冷凍室容器には、前記上面開口を挟んで一対のフランジ部が形成され、前記上面カバーには、前記一対のフランジ部に対応して一対の曲げ支持部が形成され、前記曲げ支持部が、対応する前記フランジ部に引っ掛かることにより、前記上面カバーがスライド可能に支持される技術6に記載の冷蔵庫。
この構成により、簡単な構成で上面カバーをスライドさせることができる。
【0085】
(技術8)前記一対のフランジ部は、前記冷気吹出口からの冷気の吹き出し方向に離間して一対設けられ、前記一対の曲げ支持部のうちの前記冷気吹出口側の曲げ支持部は、対応する前記フランジ部を外側から回り込んで前記対応するフランジ部の下方に進入する技術7に記載の冷蔵庫。
この構成により、冷気吹出口側において、曲げ支持部は、冷凍室容器のフランジ部を外側から回り込んで覆う構造となるため、冷気吹出口から吹き出された冷気が上面カバーと冷凍室容器との間を通って冷凍室容器内に入るのを抑制することができる。
【0086】
(技術9)前記一対の曲げ支持部のうちの前記冷気吹出口から離間した側の曲げ支持部は、対応する前記フランジ部を外側から回り込んで前記対応するフランジ部の下方に進入する技術8に記載の冷蔵庫。
この構成により、吹き出し方向に設けられた一対の曲げ支持部により、上面カバーをスライド可能に支持することができる。
【0087】
(技術10)前記上面カバーの前記開口領域部は、透明材料により構成される技術1から9のいずれかに記載の冷蔵庫。
この構成により、上面カバーで閉塞しても上面カバー越しに冷凍室容器内を確認することができる。
【0088】
(技術11)樹脂で形成された前記冷凍室容器と、前記冷凍室容器の背面に着脱可能に設けられた金属板と、を有する技術1から10のいずれかに記載の冷蔵庫。
この構成により、金属板に着霜を誘引させることができる。よって、金属板を着脱することにより、冷凍室容器内の着霜を除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のように、本開示に係る冷蔵庫は、上面開口が形成される冷凍室容器と、冷凍室容器の上面開口を覆う上面カバーと、を備える冷蔵庫に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 冷蔵庫
9 冷凍室
25a 上側冷気吹出口(冷気吹出口)
30 冷凍室容器
30a 上面開口
36 前側フランジ部
37 後側フランジ部
40 上面カバー
40a 上面
41 開口領域部
41a 開口孔
43 前側曲げ支持部
44 後側曲げ支持部
50 着霜板(金属板)
A 開口率
【要約】
【課題】冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制しながら、冷凍室容器内や上面カバーへの着霜を抑制することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫は、冷凍室と、前記冷凍室に冷気を吹き出す冷気吹出口と、上面開口が形成され前記冷凍室に収容される冷凍室容器と、前記冷凍室容器の前記上面開口を覆う上面カバーと、を備え、前記冷気吹出口は、前記上面カバーの上面に沿う冷気を吹き出し、前記上面カバーは、前記上面開口の開口形状に応じた開口領域部を備え、前記開口領域部には、複数の開口孔が一様に形成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13