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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】光検出装置、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
H01L27/146 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018109510
(22)【出願日】2018-06-07
(65)【公開番号】P2019012820
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2017127567
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 雅之
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 三四郎
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-017583(JP,A)
【文献】特表2009-515147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷を生成する光電変換部と、
第1端と第2端とを有し、前記第1端が前記光電変換部に接続され、前記第1端から前記第2端に向かう第1方向に延びる第1拡散領域と、
第3端と第4端とを有し、前記第3端が前記第1拡散領域の前記第1方向に沿った第1側面に接続され、前記第3端から前記第4端に向かう第2方向に延びる第2拡散領域と、
前記第2拡散領域の前記第4端に接続される第1電荷蓄積部と、
前記第1拡散領域の少なくとも一部を覆う第1ゲート電極と、
前記第2拡散領域の少なくとも一部を覆う第2ゲート電極と、
を備え、
前記第2ゲート電極は、前記第1拡散領域のうち前記第2拡散領域に接続する第1部分を、前記第1ゲート電極を介することなく覆う、
光検出装置。
【請求項2】
前記第1ゲート電極に接続される第1電圧供給回路と、
前記第2ゲート電極に接続される第2電圧供給回路と、
を備え、
前記第1電圧供給回路が前記第1ゲート電極に第1電圧を供給することにより、前記第1拡散領域において、前記光電変換部からの電荷を前記第1方向に転送する第1電荷転送経路が形成され、
前記第2電圧供給回路が前記第2ゲート電極に第2電圧を供給することにより、前記第1拡散領域の前記第1部分及び前記第2拡散領域において、前記第1電荷転送経路を転送される電荷の一部を前記第2方向に転送する第2電荷転送経路が形成される、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
電荷を生成する光電変換部と、
第1端と第2端とを有し、前記第1端が前記光電変換部に接続され、前記第1端から前記第2端に向かう第1方向に延びる第1拡散領域と、
第3端と第4端とを有し、前記第3端が前記第1拡散領域の前記第1方向に沿った第1側面に接続され、前記第3端から前記第4端に向かう第2方向に延びる第2拡散領域と、
前記第2拡散領域の前記第4端に接続される第1電荷蓄積部と、
前記第1拡散領域の少なくとも一部を覆う第1ゲート電極と、
前記第2拡散領域の少なくとも一部を覆う第2ゲート電極と、
を備え、
前記第2ゲート電極は、前記第1拡散領域のうち前記第2拡散領域に接続する第1部分を、前記第1ゲート電極を介することなく覆い、
第5端と第6端とを有し、前記第5端が前記第1拡散領域の前記第1側面に接続され、前記第5端から前記第6端に向かう第3方向に延びる第3拡散領域と、
前記第3拡散領域の前記第6端に接続される第2電荷蓄積部と、
前記第3拡散領域の少なくとも一部を覆う第3ゲート電極と、
をさらに備え、
前記第3ゲート電極は、前記第1拡散領域のうち前記第3拡散領域に接続する第2部分を、前記第1ゲート電極を介することなく覆い、
前記第1ゲート電極は、前記第1拡散領域のうち前記第1部分と前記第2部分との間に位置する第3部分を、前記第2ゲート電極及び前記第3ゲート電極のいずれも介することなく覆う、
光検出装置。
【請求項4】
前記第1拡散領域、前記第2拡散領域及び前記第3拡散領域は、第1導電型の不純物を含み、
前記第1拡散領域の前記第3部分は、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含む、請求項3に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記第1ゲート電極に接続される第1電圧供給回路と、
前記第2ゲート電極に接続される第2電圧供給回路と、
前記第3ゲート電極に接続される第3電圧供給回路と、
を備え、
前記第1電圧供給回路が前記第1ゲート電極に第1電圧を供給することにより、前記第1拡散領域において、前記光電変換部からの電荷を前記第1方向に転送する第1電荷転送経路が形成され、
前記第2電圧供給回路が前記第2ゲート電極に第2電圧を供給することにより、前記第1拡散領域の前記第1部分及び前記第2拡散領域において、前記第1電荷転送経路を転送される電荷の一部を前記第2方向に転送する第2電荷転送経路が形成され、
前記第3電圧供給回路が前記第3ゲート電極に第3電圧を供給することにより、前記第1拡散領域の前記第2部分及び前記第3拡散領域において、前記第1電荷転送経路を転送される電荷の一部を前記第3方向に転送する第3電荷転送経路が形成される、請求項3に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第2電圧供給回路が前記第2電圧を前記第2ゲート電極に供給するのと同時に、前記第3電圧供給回路は前記第3電圧を前記第3ゲート電極に供給する、請求項5に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記第1拡散領域の前記第2端に接続する電荷掃引部をさらに備える、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記第1拡散領域及び前記第2拡散領域は、半導体基板の表面に形成されており、前記第1側面は平面視において直線状である、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記第1拡散領域及び前記第2拡散領域は、半導体基板の表面に形成された単一の拡散領域である、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記第1拡散領域、前記第2拡散領域、及び前記第3拡散領域は、半導体基板の表面に形成された単一の拡散領域である、請求項3に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記第1拡散領域の前記第2端に接続する電荷掃引部をさらに備え、
前記第1部分の少なくとも一部は、平面視において、前記第1拡散領域の前記第1端のうち前記光電変換部に接続される部分と、前記第1拡散領域の前記第2端のうち前記電荷掃引部に接続される部分とを結ぶ線分が存在し得る領域内に位置し、
前記第2ゲート電極は、前記第1部分の前記少なくとも一部を、前記第1ゲート電極を介することなく覆う、請求項1から6および8から10のいずれか1項に記載の光検出装置。
【請求項12】
請求項1または請求項3に記載された光検出装置からなる複数の画素がアレイ状に配置される画素アレイを備える、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光を検出する光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光が入射されたタイミングを検出する光検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。これらの光検出装置によると、光が入射されたタイミングを、ある程度の精度で検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-17583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光が入射されたタイミングの検出において、さらなる時間分解能の向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る光検出装置は、電荷を生成する光電変換部と、第1端と第2端とを有し、前記第1端が前記光電変換部に接続され、前記第1端から前記第2端に向かう第1方向に延びる第1拡散領域と、第3端と第4端とを有し、前記第3端が前記第1拡散領域の前記第1方向に沿った第1側面に接続され、前記第3端から前記第4端に向かう第2方向に延びる第2拡散領域と、前記第2拡散領域の前記第4端に接続される第1電荷蓄積部と、前記第1拡散領域の少なくとも一部を覆う第1ゲート電極と、前記第2拡散領域の少なくとも一部を覆う第2ゲート電極と、を備え、前記第2ゲート電極は、前記第1拡散領域のうち前記第2拡散領域に接続する第1部分を、前記第1ゲート電極を介することなく覆う。
【0006】
包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システム、集積回路または方法で実現されてもよい。また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システム、集積回路および方法の任意の組み合わせによって実現されてもよい。
【0007】
開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書および図面から明らかになる。効果および/または利点は、明細書および図面に開示の様々な実施形態または特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。
【発明の効果】
【0008】
光が入射されたタイミングの検出において、時間分解能を従来よりも向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1に係る光検出装置の平面図である。
図2図2は、実施の形態1に係る光検出装置のX1-X2線における断面図である。
図3図3は、実施の形態1に係る光検出装置のY1-Y2線における断面図である。
図4図4は、実施の形態1に係る光検出装置に形成される電荷転送経路の模式図である。
図5図5は、第1電荷転送経路が電荷を転送する様子を示す模式図である。
図6図6は、第2電荷転送経路が形成される様子を示す模式図である。
図7図7は、第2電荷転送経路が形成されない様子を示す模式図である。
図8図8は、各トランジスタTG1~TG5の電流-電圧特性を示す特性図である。
図9A図9Aは、実施の形態1に係る光検出装置のX3-X4線におけるポテンシャルを示す模式図である。
図9B図9Bは、実施の形態1に係る光検出装置のX3-X4線における断面図である。
図10図10は、実施の形態1に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
図11図11は、実施の形態2に係る光検出装置の平面図である。
図12A図12Aは、実施の形態2に係る光検出装置のX3-X4線におけるポテンシャルを示す模式図である。
図12B図12Bは、実施の形態2に係る光検出装置のX3-X4線における断面図である。
図13図13は、実施の形態3に係る光検出装置の平面図である。
図14A図14Aは、実施の形態3に係る光検出装置のX3-X4線におけるポテンシャルを示す模式図である。
図14B図14Bは、実施の形態3に係る光検出装置のX3-X4線における断面図である。
図15図15は、参考例の光検出装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の一態様を得るに至った知見)
ここでは、まず、参考例に係る光検出装置について説明する。
【0011】
図15は、参考例の光検出装置(すなわち、撮像素子101)の構成図である。
【0012】
参考例の光検出装置では、まず、第1ゲート電極111の電位を制御することで、第1ゲート電極111下にチャネル(転送チャネルとも呼ぶ)を形成する。そして、受光部113に光が入射したことで生成された電荷群を、その転送チャネル内において、受光部113側から電荷掃引部114側へと走行させる。そして、電荷群の走行中に、第2ゲート電極112の電位を制御することで、その走行中の電荷群の少なくとも一部を、それぞれが読み出し回路(120a~120e)に接続される複数のFDへと導く。そして、走行中の電荷群の少なくとも一部が、どの位置のFDから読み出されたかを特定することで、その電荷群が発生した時刻すなわち、光が入射されたタイミングを検出する。
【0013】
発明者は、上記参考例の光検出装置に関し、光が入射されたタイミングの検出における時間分解能をさらに向上すべく検討を重ねた。
【0014】
参考例の光検出装置では、電荷群を、受光部113側から電荷掃引部114側へと走行させるために、転送チャネルにおけるポテンシャルを、受光部113側から電荷掃引部114側へと傾斜させている。
【0015】
このため、走行中の電荷を、読み出し回路に接続されるFDへと導くためのトランジスタであるTG1~TG5におけるソースドレイン間の電位差は、TG1~TG5にかけて、順に低下していく。このため、トランジスタの電流駆動能力は、TG1~TG5にかけて、順に低下していく。その結果、受光部から遠い位置(例えば、図15におけるTG3、TG4、TG5付近)まで走行した電荷群から、十分な精度で電荷量が読み出されなくなってしまうことがある。
【0016】
発明者は、光検出装置において、このような現象による影響を抑制することで、光が入射されたタイミングの検出における時間分解能を向上し得ることを見出した。
【0017】
発明者は、このような検討を重ねた結果、下記光検出装置、及び撮像装置に想到した。
【0018】
本開示の一態様に係る光検出装置は、電荷を生成する光電変換部と、第1端と第2端とを有し、前記第1端が前記光電変換部に接続され、前記第1端から前記第2端に向かう第1方向に延びる第1拡散領域と、第3端と第4端とを有し、前記第3端が前記第1拡散領域の前記第1方向に沿った第1側面に接続され、前記第3端から前記第4端に向かう第2方向に延びる第2拡散領域と、前記第2拡散領域の前記第4端に接続される第1電荷蓄積部と、前記第1拡散領域の少なくとも一部を覆う第1ゲート電極と、前記第2拡散領域の少なくとも一部を覆う第2ゲート電極と、を備え、前記第2ゲート電極は、前記第1拡散領域のうち前記第2拡散領域に接続する第1部分を、前記第1ゲート電極を介することなく覆う。
【0019】
上記構成の光検出装置では、第2ゲート電極が、第1拡散領域から第2拡散領域が分岐する分岐領域(第1部分)の上方に重なって配置される。このため、第1拡散領域から第2拡散領域が分岐している部分に、ポテンシャルの谷が形成される。これにより、第1拡散領域から第2拡散領域が分岐する位置が、光電変換部(受光部)から比較的遠い位置であったとしても、転送チャネルを走行中の電荷群の電荷を、このポテンシャルの谷の部分に、比較的容易に捕獲することができるようになる。このため、光電変換部(受光部)から比較的遠い位置を走行中の電荷群から、より精度良く電荷量の読み出しを行うことができるようになる。
【0020】
従って、上記構成の光検出装置によると、光が入射されたタイミングの検出における時間分解能を向上し得る。
【0021】
本開示の一態様に係る撮像装置は、上記光検出装置からなる複数の画素がアレイ状に配置される画素アレイを備える。
【0022】
上記構成の撮像装置が備える複数の画素は、光が入射されたタイミングの検出における時間分解能を向上し得る光検出装置からなる。
【0023】
従って、上記構成の撮像装置によると、光が入射されたタイミングの検出における時間分解能を向上し得る。
【0024】
以下、本開示の一態様に係る光検出装置、及び撮像装置の具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序等は、一例であって本開示を限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意に付加可能な構成要素である。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0025】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1に係る撮像装置について、図面を参照しながら説明する。この撮像装置は、実施の形態1に係る光検出装置からなる複数の画素がアレイ状に配置される画素アレイを備える。
【0026】
[1-1.構成]
ここではまず、実施の形態1に係る光検出装置について説明する。
【0027】
図1は、実施の形態1に係る光検出装置10の平面図である。図2は、実施の形態1に係る光検出装置10の、図1に示すX1-X2線における断面図である。図3は、実施の形態1に係る光検出装置10の、図1に示すY1-Y2線における断面図である。
【0028】
図1図2図3に示されるように、光検出装置10は、第1ゲート電極11と、第2ゲート電極16と、第3ゲート電極17と、第4ゲート電極18と、第5ゲート電極19と、第6ゲート電極20と、光電変換部13と、電荷掃引部14と、注入領域15と、第1電荷蓄積部21と、第2電荷蓄積部22と、第3電荷蓄積部23と、第4電荷蓄積部24と、第5電荷蓄積部25とを含んで構成される。
【0029】
なお、図1図2図3は、あくまでも説明のための模式的な図であり、図面中における各部のサイズは、必ずしも現実のサイズを反映していない。他の図面についても同様に、図面中に示される要素のサイズと、その要素の現実のサイズとが一致しないことがある。
【0030】
光電変換部13は、入射した光を受けて電荷を生成可能な光電変換素子を含む。ここでは、光電変換素子としてフォトダイオードを例示する。
【0031】
図2および図3に示されるように、この例では、光電変換部13、電荷掃引部14、注入領域15、第1電荷蓄積部21、第2電荷蓄積部22、第3電荷蓄積部23、第4電荷蓄積部24、及び第5電荷蓄積部25は、シリコン(Si)基板などの半導体基板2内に形成されている。半導体基板2は、その全体が半導体である基板に限定されず、感光領域が形成される側の表面に半導体層が設けられた絶縁性基板などであってもよい。以下では、半導体基板2としてp型シリコン基板を例示する。この例では、p型シリコン基板に不純物領域(ここではN型領域)を形成することにより、光電変換部13が形成されている。また、p型シリコン基板に、光電変換部13と同等、あるいは高い濃度の不純物領域(ここではN型領域)を形成することにより、注入領域15が形成されている。そして、p型シリコン基板に、注入領域15よりも高い濃度の不純物領域(ここではN型領域)を形成することにより、第1電荷蓄積部21、第2電荷蓄積部22、第3電荷蓄積部23、第4電荷蓄積部24、及び第5電荷蓄積部25が形成される。
【0032】
図1に示されるように、注入領域15は、長尺状の主部(第1拡散領域とも呼ぶ)30と、第1フィンガ部(第2拡散領域とも呼ぶ)31と、第2フィンガ部(第3拡散領域とも呼ぶ)32と、第3フィンガ部(第4拡散領域とも呼ぶ)33と、第4フィンガ部(第5拡散領域とも呼ぶ)34と、第5フィンガ部(第6拡散領域とも呼ぶ)35とから構成される。主部30は、その一端と他端とが、それぞれ光電変換部13と電荷掃引部14とに接続される。第1フィンガ部31は、主部30から分岐して第1電荷蓄積部21に接続される。第2フィンガ部32は、主部30から分岐して第2電荷蓄積部22に接続される。第3フィンガ部33は、主部30から分岐して第3電荷蓄積部23に接続される。第4フィンガ部34は、主部30から分岐して第4電荷蓄積部24に接続される。第5フィンガ部35は、主部30から分岐して第5電荷蓄積部25に接続される。
【0033】
図1に示されるように、第5フィンガ部35は、第4フィンガ部34よりも、光電変換部13から遠い位置において主部30から分岐している。第4フィンガ部34は、第3フィンガ部33よりも、光電変換部13から遠い位置において主部30から分岐している。第3フィンガ部33は、第2フィンガ部32よりも、光電変換部13から遠い位置において主部30から分岐している。第2フィンガ部32は、第1フィンガ部31よりも、光電変換部13から遠い位置において主部30から分岐している。
【0034】
図1図3に示されるように、第1ゲート電極11は、主部30の一部の領域(第2領域とも呼ぶ)の上方に重ねて配置されている。第2ゲート電極16は、主部30のうちの、主部30から第1フィンガ部31が分岐する分岐領域と、第1フィンガ部31とを含む領域(第1領域とも呼ぶ)の上方に重ねて配置されている。第3ゲート電極17は、主部30のうちの、主部30から第2フィンガ部32が分岐する分岐領域と、第2フィンガ部32とを含む領域(第3領域とも呼ぶ)の上方に重ねて配置されている。第4ゲート電極18は、主部30のうちの、主部30から第3フィンガ部33が分岐する分岐領域と、第3フィンガ部33とを含む領域(第4領域とも呼ぶ)の上方に重ねて配置されている。第5ゲート電極19は、主部30のうちの、主部30から第4フィンガ部34が分岐する分岐領域と、第4フィンガ部34とを含む領域(第5領域とも呼ぶ)の上方に重ねて配置されている。第6ゲート電極20は、主部30のうちの、主部30から第5フィンガ部35が分岐する分岐領域と、第5フィンガ部35とを含む領域(第6領域とも呼ぶ)の上方に重ねて配置されている。
【0035】
ここでは、第2ゲート電極16と第1領域とによって形成されるトランジスタをTG1と呼ぶ。第3ゲート電極17と第3領域とによって形成されるトランジスタをTG2と呼ぶ。第4ゲート電極18と第4領域とによって形成されるトランジスタをTG3と呼ぶ。第5ゲート電極19と第5領域とによって形成されるトランジスタをTG4と呼ぶ。第6ゲート電極20と第6領域とによって形成されるトランジスタをTG5と呼ぶ。
【0036】
注入領域15は、その上部に位置するゲート電極(ここでは、例えば、第1ゲート電極11、第2ゲート電極16、第3ゲート電極17、第4ゲート電極18、第5ゲート電極19、又は第6ゲート電極20)に所定電位が印加されることで、その表面部分に、反転層が形成される。この反転層は、光電変換部13によって生成された電荷を、電荷掃引部14、第1電荷蓄積部21、第2電荷蓄積部22、第3電荷蓄積部23、第4電荷蓄積部24、又は第5電荷蓄積部25のいずれかに転送する電荷転送経路として機能する。
【0037】
図4は、第1ゲート電極11に第1の所定電位が印加され、第2ゲート電極16~第6ゲート電極20に第2の所定電位が印加される場合において形成される電荷転送経路を模式的に図示する模式図である。ここで、第1の所定電位は、第1ゲート電極11の下に位置する注入領域15の表面に反転層を形成するための電位である。また、第2の所定電位は、第2ゲート電極16~第6ゲート電極20の下に位置する注入領域15の表面に反転層を形成するための電位である。ここでは、第2ゲート電極16~第6ゲート電極20の下に位置する注入領域15の表面に反転層を形成するために、第2ゲート電極16~第6ゲート電極20に対して共通の第2の所定電位を印加するとして説明する。しかしながら、第2ゲート電極16~第6ゲート電極20の下に位置する注入領域15の表面に反転層を形成することができれば、必ずしも、第2ゲート電極16~第6ゲート電極20に対して共通の第2の所定電位を印加する例に限られない。例えば、それぞれのゲート電極に対して互いに異なる所定電位を印加する例もあり得る。
【0038】
図4に示されるように、注入領域15の表面に形成される電荷転送経路は、第1電荷転送経路41と、第2電荷転送経路42と、第3電荷転送経路43と、第4電荷転送経路44と、第5電荷転送経路45と、第6電荷転送経路46とから構成される。また、同図に示されるように、第6電荷転送経路46は、第5電荷転送経路45よりも、光電変換部13から遠い位置において第1電荷転送経路41から分岐する。第5電荷転送経路45は、第4電荷転送経路44よりも、光電変換部13から遠い位置において第1電荷転送経路41から分岐する。第4電荷転送経路44は、第3電荷転送経路43よりも、光電変換部13から遠い位置において第1電荷転送経路41から分岐する。第3電荷転送経路43は、第2電荷転送経路42よりも、光電変換部13から遠い位置において第1電荷転送経路41から分岐する。
【0039】
第1電荷転送経路41は、電荷掃引部14の電位を、光電変換部13の電位よりも低い所定の電位とすることで、光電変換部13で発生した電荷を電荷掃引部14へ転送する。
【0040】
図5は、図4に示すA1-A2線の断面において、第1電荷転送経路41が、電荷を転送する様子を示す模式図である。実線で示されるのは、図4に示すA1-A2線の断面におけるポテンシャルである。
【0041】
同図に示されるように、電荷掃引部14の電位を、光電変換部13の電位よりも低い所定の電位とすることで、第1電荷転送経路41内のポテンシャルは、光電変換部13側から電荷掃引部14側へと傾斜することとなる。これにより、第1電荷転送経路41は、光電変換部13で発生した電荷を電荷掃引部14へ転送する。
【0042】
図6は、図4に示すB1-B2線の断面において、TG1がオンである状態において、第2電荷転送経路42が形成される様子を示す模式図である。実線で示されるのは、図4に示すB1-B2線の断面における、トランジスタTG1がオンのときのポテンシャルである。図6及び後述の図7では、第2ゲート電極16に1.5Vの電位が印加されることでTG1がオンになり、-1.0Vの電位が印加されることでTG1がオフになるとして図示する。しかし、TG1をオンにするために印加する電位は、必ずしも1.5Vである例に限られないし、TG1をオフにするために印加する電位は、必ずしも-1.0Vである例に限られない。
【0043】
図6に示されるように、TG1がオンである状態において、第1電荷蓄積部21の電位を、第1電荷転送経路41における第2電荷転送経路42への分岐点の電位よりも低い所定の電位とすることで、第2電荷転送経路42内のポテンシャルは、図6に示されるように、第1電荷転送経路41側から第1電荷蓄積部21側へと傾斜することとなる。このため、第2電荷転送経路42は、第1電荷転送経路41を転送中の電荷群の一部の電荷を、第1電荷蓄積部21へ転送する。
【0044】
図7は、図4に示すB1-B2線の断面において、TG1がオフである状態において、第2電荷転送経路42が形成されない様子を示す模式図である。実線で示されるのは、図4に示すB1-B2線の断面における、トランジスタTG1がオフのときのポテンシャルである。
【0045】
TG1がオフの場合には、第2電荷転送経路42は形成されない。この場合には、第1電荷転送経路41における第2電荷転送経路42への分岐点と第1電荷蓄積部21との間のポテンシャルは、図7に示されるようになる。このため、この場合には、第1電荷転送経路41を走行中の電荷は、第1電荷蓄積部21へ転送されることはない。
【0046】
同様に、TG2~TG5がオンである状態において、第2電荷蓄積部22~第5電荷蓄積部25の電位のそれぞれを、第1電荷転送経路41における第3電荷転送経路43~第6電荷転送経路46への分岐点の電位よりも低い所定の電位とすることで、第3電荷転送経路43~第6電荷転送経路46のそれぞれは、第1電荷転送経路41を転送中の電荷群の一部の電荷を、第2電荷蓄積部22~第5電荷蓄積部25へ転送する。
【0047】
但し、前述したように(図5参照)、第1電荷転送経路41における、他の各電荷転送経路への分岐点における電位は、第2電荷転送経路42への分岐点側から第6電荷転送経路46への分岐点側へかけて、順に低くなっている。これにより、TG1~TG5におけるソースドレイン間の電位差は、TG1~TG5にかけて、順に少なくなっている。従って、TG1~TG5における電流駆動能力は、TG1~TG5にかけて順に低下していく。
【0048】
図8に、TG1~TG5のそれぞれについて、第1電荷転送経路41側をソース、第1電荷蓄積部21~第5電荷蓄積部25側をドレインとする場合における、各トランジスタTG1~TG5の電流-電圧特性を示す特性図を示す。
【0049】
図9Aは、光検出装置10の、図1に示すX3-X4線の断面における、TG1~TG3がオンである状態のポテンシャルを示す模式図である。そして、図9Bは、光検出装置10の、図1に示すX3-X4線における断面図である。
【0050】
図9Aに示されるように、TG1~TG3がオンになると、主部30におけるTG1、TG2、TG3の直下の領域に、ポテンシャルの谷が形成される。そして、各ポテンシャルの谷の間には、ポテンシャルの障壁が形成される。このため、いずれかのポテンシャルの谷に電荷が捕獲されると、その電荷は、ポテンシャルの障壁を超えて他のポテンシャルの谷へ移動することが難しくなる。
【0051】
再び図1図3に戻って、光検出装置10の説明を続ける。
【0052】
第1電荷蓄積部21は、第1フィンガ部(第2拡散領域)31を経由して転送された電荷を蓄積する。第2電荷蓄積部22は、第2フィンガ部(第3拡散領域)32を経由して転送された電荷を蓄積する。第3電荷蓄積部23は、第3フィンガ部(第4拡散領域)33を経由して転送された電荷を蓄積する。第4電荷蓄積部24は、第4フィンガ部(第5拡散領域)34を経由して転送された電荷を蓄積する。第5電荷蓄積部25は、第5フィンガ部(第6拡散領域)35を経由して転送された電荷を蓄積する。
【0053】
図1に示されるように、第1電荷蓄積部21~第5電荷蓄積部25のそれぞれは、ソースフォロアトランジスタ60a~ソースフォロアトランジスタ60eを介して、蓄積された電荷の電荷量を読み出す読み出し回路70a~70eに接続される。
【0054】
第1ゲート電極11と第2ゲート電極16と第3ゲート電極17と第4ゲート電極18と第5ゲート電極19と第6ゲート電極20とは、例えば、不純物が注入されることにより導電性が付与されたポリシリコンから形成される。
【0055】
第1ゲート電極11は、印加電圧を切り替えることで、第1ゲート電極11の下に位置する注入領域15の表面に反転層を形成されるか否かの切り替えを行うことができる。
【0056】
すなわち、第1ゲート電極11は、印加電圧を切り替えることで、第1電荷転送経路41を経由した、電荷の転送及び遮断の切り替えを行う。
【0057】
同様に、第2ゲート電極16~第6ゲート電極20は、それぞれ、印加電圧を切り替えることで、第2ゲート電極16~第6ゲート電極20の下に位置する注入領域15の表面に反転層を形成されるか否の切り替えを行うことができる。
【0058】
すなわち、第2ゲート電極16~第6ゲート電極20は、それぞれ、印加電圧を切り替えることで、第2電荷転送経路42を経由した、電荷の転送及び遮断の切り替えと、第3電荷転送経路43を経由した、電荷の転送及び遮断の切り替えと、第4電荷転送経路44を経由した、電荷の転送及び遮断の切り替えと、第5電荷転送経路45を経由した、電荷の転送及び遮断の切り替えと、第6電荷転送経路46を経由した、電荷の転送及び遮断の切り替えとを行う。
【0059】
次に、上記構成の光検出装置10を含んで構成される、実施の形態1に係る撮像装置について説明する。
【0060】
図10は、実施の形態1に係る撮像装置1の構成を示すブロック図である。
【0061】
同図に示されるように、撮像装置1は、画素アレイ50と、垂直走査回路51と、読み出し回路52と、信号処理部53とを備える。
【0062】
画素アレイ50は、光検出装置10からなる画素が、アレイ状(例えば、行列状)に複数配置されて構成される。
【0063】
各光検出装置10において、第1電荷蓄積部21~第5電荷蓄積部25のそれぞれは、ソースフォロアトランジスタ60a~ソースフォロアトランジスタ60eと、読み出し線61a~読み出し線61eとを介して読み出し回路52に接続される。すなわち、図1における読み出し回路70a~読み出し回路70eは、それぞれ、図10における読み出し回路52に対応する。ここで、読み出し線61a~読み出し線61eは、列単位で共通の信号線となっている。
【0064】
また、各光検出装置10は、行単位で共通な複数の制御信号線(図示されず)を介して垂直走査回路51に接続される。
【0065】
垂直走査回路51は、画素アレイ50に対して、行単位で共通な複数の制御信号線(図示されず)を介して、各光検出装置10の動作を、行単位で制御する。
【0066】
垂直走査回路51は、画素アレイ50の最上位側の行から最下位側の行に向けて順に、行単位による光検出装置10の制御を、所定周期で繰り返し行う。
【0067】
読み出し回路52は、垂直走査回路51と同期して動作し、画素アレイ50から、垂直走査回路51によって制御される行単位で、その行に位置する各光検出装置10における第1電荷蓄積部21~第5電荷蓄積部25に蓄積された電荷の量に応じた信号を読み出す。そして、読み出した信号を、信号処理部53へ出力する。
【0068】
信号処理部53は、読み出し回路52から出力された信号に対して、各種信号処理を行う。一例として、信号処理部53は、プロセッサとメモリとを含んで構成され、メモリに記憶されるプログラムをプロセッサが実行することで実現されてもよいし、専用ハードウエアによって実現されてもよい。
【0069】
[1-2.考察]
以下、光検出装置10について考察する。
【0070】
TG1~TG5がオフの状態からオンの状態に変化すると、図9Aに示されるように、主部30におけるTG1~TG5の直下の領域、すなわち、第1電荷転送経路41の近傍の領域に、ポテンシャルの谷が形成される。このため、TG1~TG5がオフである状態において第1電荷転送経路41を走行している電荷群の一部の電荷(特に、新たに形成されることとなるポテンシャルの谷の近傍を走行している電荷)は、TG1~TG5をオンに切り替えられることで、その近傍に新たに形成されるポテンシャルの谷の領域に、比較的簡単に捕獲されることとなる。
【0071】
前述したように、各ポテンシャルの谷の間には、ポテンシャルの障壁が形成されるため、いずれかのポンテンシャルの谷に捕獲された電荷は、ポテンシャルの障壁を超えて他のポテンシャルの谷へ移動することが難しくなる。また、各ポテンシャルの谷の電位は、対応する、第1電荷転送経路41における第2電荷転送経路42~第6電荷転送経路46への分岐点の電位よりも低くなっている。このため、いずれかのポテンシャルの谷に捕獲された電荷は、電荷掃引部14へ向かっての移動が難しくなる。これらのことから、一旦ポテンシャルの谷に電荷が捕獲されると、その電荷は、そのポテンシャルの谷に対応する第1電荷蓄積部21~第5電荷蓄積部25以外の領域へ移動することが難しくなる。これにより、ポテンシャルの谷を形成するトランジスタ(ここでは、TG1~TG5)は、例え、その電流駆動能力が比較的低かったとしても、そのポテンシャルの谷に捕獲された電荷の大部分を、対応する電荷蓄積部へ移動させることができる。このため、光検出装置10は、第1電荷転送経路41において、光電変換部13から比較的遠い位置(ここでは、例えば、他のトランジスタよりもその電流駆動能力が低くなるTG5の近傍の領域)を走行中の電荷群から、より精度良く電荷量の読み出しを行うことができるようになる。
【0072】
従って、光検出装置10によると、光が入射されたタイミングの検出における時間分解能を向上し得る。
【0073】
(実施の形態2)
ここでは、実施の形態1に係る撮像装置1から、その構成の一部が変更された実施の形態2に係る撮像装置について説明する。
【0074】
実施の形態2に係る撮像装置を構成する光検出装置は、第1ゲート電極が、第2ゲート電極と第3ゲート電極との間に延伸する延伸部と、第3ゲート電極と第4ゲート電極との間に延伸する延伸部と、第4ゲート電極と第5ゲート電極との間に延伸する延伸部と、第5ゲート電極と第6ゲート電極との間に延伸する延伸部とを備える形状である構成となっている。
【0075】
[2-1.構成]
以下、実施の形態2に係る撮像装置について、実施の形態1に係る撮像装置1との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0076】
実施の形態2に係る撮像装置は、実施の形態1に係る撮像装置1から、光検出装置10が、実施の形態2に係る光検出装置10aに変更されている。
【0077】
図11は、実施の形態2に係る光検出装置10aの平面図である。
【0078】
同図に示されるように、光検出装置10aは、実施の形態1に係る光検出装置10から、第1ゲート電極11が、第1ゲート電極11aに変更されている。
【0079】
そして、第1ゲート電極11aは、実施の形態1に係る第1ゲート電極11に対して、第1延伸部71と、第2延伸部72と、第3延伸部73と、第4延伸部74と、第5延伸部75と、第6延伸部76とが追加されるように変更されている。
【0080】
図11に示されるように、第2延伸部72は、第2ゲート電極16と第3ゲート電極17との間に延伸している。また、第3延伸部73は、第3ゲート電極17と第4ゲート電極18との間に延伸している。また、第4延伸部74は、第4ゲート電極18と第5ゲート電極19との間に延伸している。また、第5延伸部75は、第5ゲート電極19と第6ゲート電極20との間に延伸している。そして、第1延伸部71は、第2ゲート電極16の光電変換部13側側面に沿って延伸し、第6延伸部76は、第6ゲート電極20の電荷掃引部14側側面に沿って延伸している。
【0081】
図12Aは、光検出装置10aの、図11に示すX3-X4線における、TG1~TG3がオンである状態のポテンシャルを示す模式図である。そして、図12Bは、光検出装置10aの、図11に示すX3-X4線における断面図である。
【0082】
図12Aに示されるように、TG1~TG3がオンになると、実施の形態1の場合と同様に、主部30におけるTG1、TG2、TG3の直下の領域に、ポテンシャルの谷が形成される。そして、各ポテンシャルの谷の間には、ポテンシャルの障壁が形成される。
【0083】
上述した通り、第1ゲート電極11aには、実施の形態1に係る第1ゲート電極11に対して、第1延伸部71~第6延伸部76が追加されている。このため、実施の形態2における各ポテンシャルの障壁の電位は、これら第1延伸部71~第6延伸部76によって、実施の形態1における各ポテンシャルの障壁の電位よりも、より強固に固定される。
【0084】
[2-2.考察]
以下、光検出装置10aについて考察する。
【0085】
上述した通り、実施の形態2における各ポテンシャルの障壁の電位は、実施の形態1における各ポテンシャルの障壁の電位よりも、より強固に固定される。このため、各ポテンシャルの谷に捕獲される電荷は、そのポテンシャルの谷により強固に捕獲されることとなる。これにより、光検出装置10aは、実施の形態1に係る光検出装置10よりも、第1電荷転送経路41を走行中の電荷群から、より精度良く電荷量の読み出しを行うことができるようになる。
【0086】
従って、光検出装置10aによると、実施の形態1に係る光検出装置10よりも、さらに、光が入射されたタイミングの検出における時間分解能を向上し得る。
【0087】
(実施の形態3)
ここでは、実施の形態2に係る撮像装置から、その構成の一部が変更された実施の形態3に係る撮像装置について説明する。
【0088】
実施の形態3では、実施の形態3に係る撮像装置を構成する光検出装置は、実施の形態2に係る撮像装置を構成する光検出装置10aに対して、第1延伸部71~第6延伸部76の下の領域に、注入領域15に注入される不純物の導電型とは異なる導電型の不純物が注入されるように変更されて構成される。
【0089】
[3-1.構成]
以下、実施の形態3に係る撮像装置について、実施の形態2に係る撮像装置との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0090】
実施の形態3に係る撮像装置は、実施の形態2に係る撮像装置から、光検出装置10が、実施の形態3に係る光検出装置10bに変更されている。
【0091】
図13は、実施の形態3に係る光検出装置10bの平面図である。
【0092】
同図に示されるように、光検出装置10bは、実施の形態2に係る光検出装置10aから、第1反転注入領域81、第2反転注入領域82、第3反転注入領域83、第4反転注入領域84、第5反転注入領域85、第6反転注入領域86が追加されるように変更されている。
【0093】
ここで、第1反転注入領域81~第6反転注入領域86は、それぞれ、注入領域15に注入される不純物の導電型(ここではn型導電型)とは異なる導電型(ここではp型導電型)の不純物が注入される領域である。
【0094】
図13に示されるように、第1反転注入領域81~第6反転注入領域86は、それぞれ、第1延伸部71~第6延伸部76の下方の領域を含んで配置される。
【0095】
図14Aは、光検出装置10bの、図13に示すX3-X4線における、TG1~TG3がオンである状態のポテンシャルを示す模式図である。そして、図14Bは、光検出装置10bの、図13に示すX3-X4線における断面図である。
【0096】
図14Aに示されるように、TG1~TG3がオンになると、実施の形態2の場合と同様に、主部30におけるTG1、TG2、TG3の直下の領域に、ポテンシャルの谷が形成される。そして、各ポテンシャルの谷の間には、ポテンシャルの障壁が形成される。
【0097】
上述した通り、第1延伸部71~第6延伸部76の下方の領域には、注入領域15に注入される不純物の導電型(ここではn型導電型)とは異なる導電型(ここではp型導電型)の不純物が注入されている。このため、実施の形態3における各ポテンシャルの障壁の電位は、実施の形態2における各ポテンシャルの障壁の電位よりも、より高い電位で固定される。
【0098】
[3-2.考察]
以下、光検出装置10bについて考察する。
【0099】
上述した通り、実施の形態3における各ポテンシャルの障壁の電位は、実施の形態2における各ポテンシャルの障壁の電位よりも、より高い電位に固定される。このため、各ポテンシャルの谷に捕獲される電荷は、そのポテンシャルの谷により強固に捕獲されることとなる。これにより、光検出装置10bは、実施の形態2に係る光検出装置10aよりも、第1電荷転送経路41を走行中の電荷群から、より精度良く電荷量の読み出しを行うことができるようになる。
【0100】
従って、光検出装置10bによると、実施の形態2に係る光検出装置10aよりも、さらに、光が入射されたタイミングの検出における時間分解能を向上し得る。
【0101】
(補足)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1~実施の形態3について説明した。しかしながら、本開示による技術は、これらに限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。
【0102】
以下に、本開示における変形例の一例について列記する。
【0103】
(1)実施の形態1において、光検出装置10は、備える電荷蓄積部の数が5つであるとして説明した。しかしながら、光検出装置10が備える電荷蓄積部の数は、1つ以上であれば、必ずしも5つである例に限定されない。
【0104】
(2)実施の形態1において、図1等を用いて光検出装置10を説明する際に、第1フィンガ部31~第5フィンガ部35の幅があたかも等しいように図示し、第1電荷蓄積部21~第5電荷蓄積部25の幅があたかも等しいように図示し、第2ゲート電極16~第6ゲート電極20の幅があたかも等しいように図示して説明した。しかしながら、光検出装置10は、第1フィンガ部31~第5フィンガ部35の幅が等しい構成の例に限定されず、第1電荷蓄積部21~第5電荷蓄積部25の幅が等しい構成の例に限定されず、第2ゲート電極16~第6ゲート電極20の幅が等しい構成の例に限定されない。例えば、光検出装置10は、第1フィンガ部31~第5フィンガ部35のうちの少なくとも1つの幅が他の幅と異なり、第1電荷蓄積部21~第5電荷蓄積部25のうちの少なくとも1つの幅が他の幅と異なり、第2ゲート電極16~第6ゲート電極20のうちの少なくとも1つの幅が他の幅と異なる構成であってもよい。
【0105】
(3)実施の形態3において、光検出装置10bは、半導体基板2がp型導電型であり、注入領域15に注入される不純物がn型導電型であり、第1反転注入領域81~第6反転注入領域86に注入される不純物がp型導電型であるとして説明した。しかしながら、光検出装置10bは、必ずしも上記構成の例に限定されない。例えば、光検出装置10bは、半導体基板2がn型導電型であり、注入領域15に注入される不純物がp型導電型であり、第1反転注入領域81~第6反転注入領域86に注入される不純物がn型導電型である構成の例もあり得る。
【0106】
(4)実施の形態1において、光電変換素子の例としてフォトダイオードを例示した。しかしながら光電変換素子は、入射した光を受けて電荷を生成することができれば、必ずしもフォトダイオードに限定される必要はない。一例として、光電変換素子は、光電変換膜が積層されて構成される素子であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本開示に係る光検出装置、及び撮像装置は、入力された光を検出する装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 撮像装置
10、10a、10b 光検出装置
11 第1ゲート電極
13 光電変換部
14 電荷掃引部
16 第2ゲート電極
17 第3ゲート電極
18 第4ゲート電極
19 第5ゲート電極
20 第6ゲート電極
21 第1電荷蓄積部
22 第2電荷蓄積部
23 第3電荷蓄積部
24 第4電荷蓄積部
25 第5電荷蓄積部
30 主部(第1拡散領域)
31 第1フィンガ部(第2拡散領域)
32 第2フィンガ部(第3拡散領域)
33 第3フィンガ部(第4拡散領域)
34 第4フィンガ部(第5拡散領域)
35 第5フィンガ部(第6拡散領域)
41 第1電荷転送経路
42 第2電荷転送経路
43 第3電荷転送経路
44 第4電荷転送経路
45 第5電荷転送経路
46 第6電荷転送経路
50 画素アレイ
51 垂直走査回路
52 読み出し回路
53 信号処理部
71 第1延伸部
72 第2延伸部
73 第3延伸部
74 第4延伸部
75 第5延伸部
76 第6延伸部
81 第1反転注入領域
82 第2反転注入領域
83 第3反転注入領域
84 第4反転注入領域
85 第5反転注入領域
86 第6反転注入領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15