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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/54 20060101AFI20230519BHJP
   H02H 9/02 20060101ALI20230519BHJP
   H01H 9/16 20060101ALI20230519BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20230519BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
H01H9/54 H
H01H9/54 J
H02H9/02 A
H01H9/16 E
H02B1/40 Z
H02H3/087
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021197684
(22)【出願日】2021-12-06
(62)【分割の表示】P 2018006812の分割
【原出願日】2018-01-18
(65)【公開番号】P2022033914
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 康弘
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3193336(JP,U)
【文献】特開2015-207387(JP,A)
【文献】特開2011-176587(JP,A)
【文献】特開2009-23809(JP,A)
【文献】特開2013-117448(JP,A)
【文献】特開平9-133575(JP,A)
【文献】特開平10-42489(JP,A)
【文献】特開2018-6134(JP,A)
【文献】特開平4-33203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54
H01H 9/16
H01H 83/00
H02J 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震の発生の有無を検知する地震検知部と、
電源と負荷との間に電気的に接続され、前記電源から前記負荷への通電状態を切り替えるスイッチ部と、
前記地震検知部が地震の発生を検知したときに、前記スイッチ部がオンするように前記スイッチ部を制御する制御部と、を備え、
前記地震検知部は、加速度センサ及び通信部を有し、
前記通信部は、地震の発生を通知する地震通知を受信し、
前記地震検知部は、前記加速度センサで検知される加速度が所定の値に達し、かつ前記通信部が前記地震通知を受信したことをもって、地震の発生を検知し、
前記通電状態を表示する表示灯を更に備え、
前記地震検知部が地震の発生を検知したときに、前記表示灯の光出力を大きくする
スイッチ装置。
【請求項2】
少なくとも前記スイッチ部を収容する筐体を更に備え、
前記筐体は造営面に取り付けられる
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記筐体は、取付枠を介して前記造営面に取り付けられる
請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記スイッチ部は、3つ以上の電路の接続関係を切り替える
請求項1~3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記地震検知部が地震の発生を検知したときに、前記制御部は、前記電源から前記負荷への供給電力が定常時よりも小さくなる制限状態で前記スイッチ部がオンするように前記スイッチ部を制御する
請求項1~4のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記スイッチ部が前記制限状態でオンしている状態からリセット操作がされることにより、前記スイッチ部の前記制限状態を解除する
請求項5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記スイッチ部を流れる電流の大きさが閾値を超えた場合に、前記スイッチ部を流れる電流を抑制又は遮断する過負荷防止部を更に備える
請求項1~6のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
明るさセンサを更に備え、
前記制御部は、前記明るさセンサで検知される明るさに応じて、前記通電状態を変化させるように前記スイッチ部を制御する
請求項1~7のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記通電状態を切り替えるための操作を受け付ける操作部を更に備え、
前記制御部は、前記操作部の操作に応じて前記スイッチ部を制御する
請求項1~8のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
地震の発生の有無を検知する地震検知部と、
電源と負荷との間に電気的に接続され、前記電源から前記負荷への通電状態を切り替えるスイッチ部と、
前記地震検知部が地震の発生を検知したときに、前記スイッチ部がオンするように前記スイッチ部を制御する制御部と、を備え、
前記地震検知部は、通信部を有し、
前記通信部は、地震の発生を通知する地震通知を受信し、
前記地震検知部は、前記通信部が前記地震通知を受信したことをもって、地震の発生を検知し、
前記通電状態を表示する表示灯を更に備え、
前記地震検知部が地震の発生を検知したときに、前記表示灯の光出力を大きくする
スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にスイッチ装置に関し、より詳細には、電源から負荷への通電状態を制御するスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地震による大きな揺れが発生した場合に、例えば、電気ストーブに可燃物(布及び紙等)が接触した状態で電気ストーブに通電することを防止する技術が提案されている。この種の技術として、例えば、地震が発生した際に、電気機器への電力供給を遮断するコンセントが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-367737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したコンセントでは、例えば、照明器具が負荷としてコンセントに接続されている場合、地震の発生により負荷への電力供給が遮断されてしまうと、照明が消えてしまうため、避難の妨げとなり得る。このように、コンセントに接続される負荷の種類によっては、遮断することが好ましくないケースがある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、地震の発生時に、電力を必要とする負荷への電力供給が遮断されてしまうことを低減可能なスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るスイッチ装置は、地震検知部と、スイッチ部と、制御部と、を備える。前記地震検知部は、地震の発生の有無を検知する。前記スイッチ部は、電源と負荷との間に電気的に接続され、前記電源から前記負荷への通電状態を切り替える。前記制御部は、前記地震検知部が地震の発生を検知したときに、前記スイッチ部がオンするように前記スイッチ部を制御する。前記地震検知部は、加速度センサ及び通信部を有する。前記通信部は、地震の発生を通知する地震通知を受信する。前記地震検知部は、前記加速度センサで検知される加速度が所定の値に達し、かつ前記通信部が前記地震通知を受信したことをもって、地震の発生を検知する。前記スイッチ装置は、前記通電状態を表示する表示灯を更に備え、前記地震検知部が地震の発生を検知したときに、前記表示灯の光出力を大きくする。
本開示の一態様に係るスイッチ装置は、地震検知部と、スイッチ部と、制御部と、を備える。前記地震検知部は、地震の発生の有無を検知する。前記スイッチ部は、電源と負荷との間に電気的に接続され、前記電源から前記負荷への通電状態を切り替える。前記制御部は、前記地震検知部が地震の発生を検知したときに、前記スイッチ部がオンするように前記スイッチ部を制御する。前記地震検知部は、通信部を有する。前記通信部は、地震の発生を通知する地震通知を受信する。前記地震検知部は、前記通信部が前記地震通知を受信したことをもって、地震の発生を検知する。前記スイッチ装置は、前記通電状態を表示する表示灯を更に備え、前記地震検知部が地震の発生を検知したときに、前記表示灯の光出力を大きくする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、地震の発生時に、電力を必要とする負荷への電力供給が遮断されてしまうことを低減できる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係るスイッチ装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、同上のスイッチ装置の外観を示す正面図である。
図3図3は、同上のスイッチ装置の外観を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態2に係るスイッチ装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係るスイッチ装置10は、図1に示すように、電源91と負荷92との間に電気的に接続され、電源91から負荷92への通電状態を切り替えるための装置である。電源91は、例えば、単相100〔V〕、60〔Hz〕の交流の商用電源である。負荷92は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を有する光源と、光源を点灯させる点灯回路と、を備える照明器具である。この負荷92では、電源91からの電力供給時に光源が点灯する。
【0010】
スイッチ装置10は、地震検知部1と、スイッチ部2と、制御部3と、を備えている。地震検知部1は、地震の発生の有無を検知する。スイッチ部2は、電源91と負荷92との間に電気的に接続され、電源91から負荷92への通電状態を切り替える。制御部3は、スイッチ部2を制御する。本実施形態では、制御部3は、地震検知部1が地震の発生を検知したときに、スイッチ部2がオンするようにスイッチ部2を制御する。ここで、地震検知部1が地震の発生を検知する直前に、スイッチ部2が既にオン状態である場合には、スイッチ部2が継続的にオンするように制御部3がスイッチ部2を制御する。一方、地震検知部1が地震の発生を検知する直前に、スイッチ部2がオフ状態である場合には、スイッチ部2がオフ状態からオン状態に切り替わる(ターンオンする)ように制御部3がスイッチ部2を制御する。
【0011】
本開示でいう「オン」は、スイッチ部2を通して電源91から負荷92へ電力供給され負荷92が動作可能となる状態を意味する。例えば、スイッチ装置10が、単位時間当たりに電源91から負荷92へ供給される電力量を定格値に対して制限する場合には、スイッチ部2の「オン」状態には、電力量を定格値に対して制限した状態で電源91から負荷92へ通電する状態を含む。
【0012】
すなわち、本実施形態に係るスイッチ装置10は、地震が起きた際に、電力供給を遮断するのではなく、照明器具等の負荷92に電力を供給する。これにより、地震の発生時に、電力を必要とする負荷92への電力供給が遮断されてしまうことを低減できる。例えば、地震の発生により負荷92への電力供給が遮断されてしまうと、負荷92が照明器具である場合に、建物内で十分な明るさが確保できず避難の妨げとなる可能性がある。これに対して、本実施形態に係るスイッチ装置10では、地震が起きた際に負荷92に電力を供給するので、例えば、負荷92が照明器具である場合には、負荷92にて建物内の明るさを確保可能になる。
【0013】
地震を検知して、二次電池の電力を使って避難経路を照らす非常灯のような照明装置も知られているが、このような照明装置は、一般的な住宅等の施設には設置されていないことも多い。一方で、居室等の照明として用いる一般的な照明器具は、一般的な住宅等の施設にも通常設置されている。そのため、地震への備えとして、非常灯のような照明装置を一般的な住宅等の施設に導入するとなると、一般的な住宅等の施設に、一般的な照明器具と、非常灯のような照明装置と、の両方を備えることになり、無駄が生じる。既存の照明器具として非常灯のような機能を有する照明器具が設置されている場合にも、まだまだ使用可能な照明器具の交換を要することになり、経済的に大きな負担を強いることにもなる。これに対して、本実施形態に係るスイッチ装置10によれば、配線器具であるスイッチ装置10の交換のみで、一般的な照明器具(負荷92)をあたかも非常灯のように用いることが可能である。
【0014】
(2)詳細
本実施形態に係るスイッチ装置10は、図2に示すように、例えば、住宅等の建物の造営面93(例えば壁面、天井面及び床面等)に取り付けられる配線器具である。ここでは、スイッチ装置10は、日本工業規格によって規格化された大角形連用配線器具の取付枠101に、配線器具として取り付けられる。具体的には、スイッチ装置10は、少なくともスイッチ部2(図1参照)を収容する筐体100を更に備えている。そして、筐体100は造営面93に取り付けられる。さらに、筐体100は、図3に示すように、取付枠101を介して造営面93に取り付けられる。ここで、取付枠101は、埋込ボックスを介して又は直接的に、造営面93に固定される。つまり、取付枠101が造営面93に固定されることにより、スイッチ装置10(筐体100)が取付枠101を介して造営面93に取り付けられる。ここで、取付枠101は、筐体100と別体であってもよいし、筐体100と一体であってもよい。
【0015】
スイッチ装置10は、図1に示すように、地震検知部1、スイッチ部2及び制御部3に加えて、明るさセンサ4、表示灯5、操作部6、電源回路7、電流センサ8及び一対の端子T1,T2を更に備えている。
【0016】
地震検知部1は、加速度センサ11及び通信部12を有している。加速度センサ11は、地震の振動による加速度が、所定の計測震度に達した否かを判定する。通信部12は、緊急地震速報又はスマートフォン等の端末からのプッシュ通知からなる「地震通知」を、Bluetooth(登録商標)又はZigBee(登録商標)の無線通信にて受信し、地震の発生の有無を判定する。つまり、地震検知部1は、加速度センサ11で検知される加速度が所定の計測震度に達するか、通信部12が地震通知を受信したことをもって、地震の発生が有ると判断する。また、地震検知部1は、加速度センサ11で検知される加速度が所定の計測震度に達し、かつ通信部12が地震通知を受信したことをもって、地震の発生が有ると判断してもよい。地震検知部1の検知結果は、地震検知信号として制御部3へ出力される。
【0017】
一対の端子T1,T2の各々には、電源91又は負荷92が電気的に接続される。図1の例では、端子T1に電源91が電気的に接続され、端子T2に負荷92が電気的に接続される。スイッチ部2は、一対の端子T1,T2間に電気的に接続される。スイッチ部2は、トランジスタ又は3端子の双方向サイリスタ(トライアック)等の半導体スイッチ素子からなる。トランジスタには、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を含む。本実施形態では、スイッチ装置10は、一対の端子T1,T2に2本の配線を接続可能な、いわゆる片切スイッチである。
【0018】
電源回路7は、例えば、一対の端子T1,T2から電力供給を受けて、地震検知部1、スイッチ部2、制御部3、明るさセンサ4、表示灯5及び操作部6等の動作用電力となる、直流電力を生成する。電流センサ8は、例えば、一対の端子T1,T2間においてスイッチ部2と電気的に直列に接続されたシャント抵抗である。電流センサ8の出力であるシャント抵抗の両端電圧は、制御部3に入力される。
【0019】
制御部3は、例えば、マイクロコンピュータを主構成として備えている。マイクロコンピュータは、マイクロコンピュータのメモリに記録されているプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することにより、制御部3としての機能を実現する。プログラムは、予めマイコンのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、マイクロコンピュータを、制御部3として機能させるためのプログラムである。
【0020】
制御部3は、電源回路7からの電力供給を受けて動作する。制御部3は、少なくともスイッチ部2をオン/オフ制御する。さらに、制御部3は、位相制御(逆位相制御を含む)又はPWM(Pulse Width Modulation)制御によって、単位時間当たりに電源91から負荷92へ供給される電力量を調節するように、スイッチ部2を制御(以下、「負荷制御」ともいう)してもよい。また、スイッチ装置10が複数のスイッチ部2を備える場合には、制御部3は、複数のスイッチ部2を制御してもよい。
【0021】
操作部6は、通電状態を切り替えるための操作を受け付ける。制御部3は、操作部6の操作に応じてスイッチ部2を制御する。操作部6は一例として、静電容量式タッチスイッチで実現される。この操作部6をユーザがタッチ操作することによって、操作部6は制御部3に操作信号を出力する。制御部3は、操作信号に従って、スイッチ部2のオン状態/オフ状態の切り替え、負荷制御を含むスイッチ部2の制御を実行する。負荷制御を行う場合は、制御部3は、操作信号に従って、制御レベル(負荷92が照明器具であれば調光レベル)を調節する。
【0022】
明るさセンサ4は、スイッチ装置10の周囲の明るさを検知する。表示灯5は、電源91から負荷92への通電状態を表示する。
【0023】
表示灯5は、一例として、LEDであって、スイッチ部2のオン状態/オフ状態、又は制御レベル等によって表示態様が変化する。表示態様の変化は、例えば、表示灯5の明るさの変化、又は表示灯5の表示色(発光色)の変化等によって実現される。表示灯5は、少なくともスイッチ装置10の前方から視認可能な位置(例えば、筐体100の前面から露出する位置)に配置されている。
【0024】
ところで、制御部3は、地震検知部1が地震の発生を検知したときに、スイッチ部2がオンするようにスイッチ部2を制御する。具体的には、制御部3は、地震検知部1から、地震の発生を示す地震検知信号を受信した場合に、スイッチ部2をオン制御する。このとき、制御部3は、現在(つまり地震検知信号の受信時点)のスイッチ部2の状態が「オン状態」である場合は、そのままオン状態を継続する。一方、現在のスイッチ部2の状態が「オフ状態」である場合には、制御部3は、スイッチ部2をオフ状態からオン状態に切り替えるようにスイッチ部2を制御する。これにより、例えば、負荷92が照明器具である場合にあっては、廊下又は階段等が負荷92により照らされて、ユーザ(例えば住人)が安全に避難を開始すること等が可能となる。すなわち、ユーザにおいては、配線器具であるスイッチ装置10の交換のみで、一般的な照明器具(負荷92)を非常灯として使用することが可能である。
【0025】
また、本実施形態では、スイッチ装置10は、過負荷防止部31を更に備えている。過負荷防止部31は、スイッチ部2を流れる電流の大きさが閾値を超えた場合に、スイッチ部2を流れる電流を抑制又は遮断する。ここでは、過負荷防止部31は、制御部3の一機能として実現される。つまり、制御部3は、過負荷防止部31としての機能を有している。そのため、過負荷防止部31が、スイッチ部2を流れる電流を抑制する場合には、制御部3は、スイッチ部2を流れる電流を抑制する(つまり小さく抑える)ように、スイッチ部2を制御する。過負荷防止部31が、スイッチ部2を流れる電流を遮断する場合には、制御部3は、スイッチ部2をオフする。これにより、電源91から負荷92へ供給される電流が所定値を超えた場合に、負荷92へ流れる電流を過負荷防止部31にて制限(抑制又は遮断)することができる。これにより、例えば、地震に伴う建物の一部崩壊等により屋内配線の短絡が発生した場合等においても、屋内配線に過電流が流れることによる不具合が生じにくくなる。
【0026】
また、本実施形態では、制御部3は、明るさセンサ4で検知される明るさに応じて、電源91から負荷92への通電状態を変化させるようにスイッチ部2を制御する。例えば、明るさセンサ4で検知される照度が所定照度以下である場合にのみ、制御部3は、スイッチ部2をオンさせ、照度が所定照度より高ければ、制御部3は、スイッチ部2をオンさせない。また、制御部3は、明るさセンサ4で検知される照度が低いほど、負荷92の調光レベルが高くなって、負荷92の光出力が大きくなるように、照度の高さに応じてスイッチ部2を負荷制御してもよい。これにより、昼間等で、負荷92(ここでは照明器具)が点灯する必要がない場合には、負荷92への供給電力を抑えることができる。
【0027】
また、本実施形態に係るスイッチ装置10は、地震検知部1が地震の発生を検知したときに、表示灯5の光出力を大きくする。具体的には、制御部3は、表示灯5の表示態様(点灯状態)を制御しており、地震検知部1の検知結果に応じて表示灯5の表示態様を変化させる。そして、地震の発生時には、表示灯5の光出力を大きくすることで、表示灯5を照明モードで点灯させ、表示灯5を補助照明として機能させることが可能である。すなわち、表示灯5は、例えば、暗所にてスイッチ装置10(操作部6)の位置をユーザに示す程度の明るさで点灯しているが、地震の発生時には、より明るい照明モードで点灯し、周囲を照明する補助照明として機能する。これにより、地震の発生時に主たる照明である負荷92が点灯しなかった場合でも、表示灯5が最低限の照明として機能し、避難経路等を照らすことができる。表示灯5が補助照明として機能する場合、十分な明るさを確保するために、表示灯5は複数のLEDを含むことが好ましい。
【0028】
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、実施形態1の変形例を列挙する。
【0029】
実施形態1では、スイッチ部2は、2つの電路(一対の端子T1,T2に接続される電路)間の接続関係を切り替える構成であるが、この構成に限らず、スイッチ部2は、3つ以上の電路の接続関係を切り替えるように構成されていてもよい。すなわち、実施形態1では、スイッチ装置10は片切スイッチであるが、他の構成であってもよい。例えば、スイッチ装置10は、3本の電路(配線)を接続可能な、いわゆる三路スイッチであってもよい。また、スイッチ装置10は、4本の電路(配線)を接続可能な、いわゆる四路スイッチであってもよい。スイッチ装置10が三路スイッチを構成する場合、2つのスイッチ装置10を組み合わせることにより、負荷92への通電状態を、例えば、建物における階段の上階部分と下階部分との2箇所で切り替えることが可能である。そのため、2箇所に設置されるスイッチ装置の一方のみが、地震検知部1を備えたスイッチ装置10であれば足りる。
【0030】
また、操作部6は、タッチスイッチに限らず、例えば、近接スイッチ又はメカニカルスイッチ等であってもよい。
【0031】
また、スイッチ装置10は、建物の造営面93に取り付けられる構成に限らず、例えば、屋外の支柱、壁等の構造物の造営面に取り付けられる構成であってもよい。さらに、スイッチ装置10は、定位置に固定される構成でなくてもよい。
【0032】
また、スイッチ装置10は、明るさセンサ4に加えて、又は明るさセンサ4に代えて、人感センサ、タイマ機能及び遠隔操作機能等を備えていてもよい。
【0033】
また、負荷92は、照明器具に限らず、例えば、換気扇、電動シャッタ又はヒータ等の機器であってもよい。
【0034】
また、電源91は、単相100〔V〕、60〔Hz〕の商用電源に限らず、単相100〔V〕、50〔Hz〕の商用電源であってもよい。また、電源91の電圧値は、100〔V〕に限らない。さらに、電源91は、商用電源に限らず、分散電源であってもよいし、直流電源であってもよい。
【0035】
(実施形態2)
本実施形態に係るスイッチ装置10は、制御部3の機能が実施形態1とは相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0036】
本実施形態では、地震検知部1が地震の発生を検知したときに、制御部3は、電源91から負荷92への供給電力が定常時よりも小さくなる制限状態でスイッチ部2がオンするようにスイッチ部2を制御する。つまり、制御部3が位相制御又はPWM制御による負荷制御を行う構成にあっては、制御部3は、地震の発生を示す地震検知信号を受信した場合、負荷92への供給電力を定常時に比べて抑制するようにスイッチ部2を制御する。つまり、負荷92が照明器具であれば、地震の発生時、負荷92の光出力は、定格出力(100%点灯)とならず、定格出力の50%(50%点灯)又は25%(50%点灯)に抑えられる。これにより、ユーザが建物の廊下又は階段等を移動するのに、最低限の照度は確保可能しつつ、地震に伴う建物の一部崩壊等により屋内配線の短絡が発生した場合等においても、屋内配線に過電流が流れることによる不具合が生じにくくなる。さらに、負荷92に建物の構造物等が接触した状態で、負荷92が長時間動作することによる不具合も生じにくくなる。
【0037】
また、本実施形態では、制御部3は、スイッチ部2が制限状態でオンしている状態からリセット操作がされることにより、スイッチ部2の制限状態を解除する。すなわち、制御部3は、地震の発生を示す地震検知信号を受信した場合、負荷92への供給電力を定常時に比べて抑制するようにスイッチ部2を制御する制限状態でスイッチ部2をオンさせ、その後、リセット操作がなされると、制限状態を解除する。言い換えれば、一旦スイッチ部2が制限状態で動作すると、リセット操作がされない限り、負荷92への供給電力は定常時よりも小さく抑えられる。ここで、リセット操作は、例えば、操作部6に対するオフ操作等の所定の操作、又は操作部6とは別のリセットスイッチ等の操作である。
【0038】
図4は、実施形態2に係るスイッチ装置10の制御部3の動作の一例を示すフローチャートである。
【0039】
制御部3は、まず地震検知部1の出力により、地震の発生の有無を判断する(S1)。地震が発生すると(S1:Yes)、制御部3は、スイッチ部2の状態がオン状態か否かを判断する(S2)。このとき、スイッチ部2の状態がオン状態であれば(S2:Yes)、制限状態でスイッチ部2を継続的にオンする(S3)。一方、スイッチ部2の状態がオフ状態であれば(S2:No)、スイッチ部2をオフ状態からオン状態に切り替え(ターンオン)し、制限状態でスイッチ部2をオンさせる(S4)。その後、制御部3は、リセット操作の有無を判断し(S5)、リセット操作が無ければ(S5:No)、スイッチ部2の制限状態を継続する。リセット操作が有れば(S5:Yes)、制御部3は、スイッチ部2の制限状態を解除する(S6)。
【0040】
制御部3は、上記S1~S6の処理を繰り返し行う。ただし、上記S1~S6の処理の順番は一例に過ぎず、適宜変更可能である。
【0041】
実施形態2で説明した構成は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
【0042】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係るスイッチ装置(10)は、地震検知部(1)と、スイッチ部(2)と、制御部(3)と、を備える。地震検知部(1)は、地震の発生の有無を検知する。スイッチ部(2)は、電源(91)と負荷(92)との間に電気的に接続され、電源(91)から負荷(92)への通電状態を切り替える。制御部(3)は、地震検知部(1)が地震の発生を検知したときに、スイッチ部(2)がオンするようにスイッチ部(2)を制御する。
【0043】
この態様によれば、地震の発生時に、電力を必要とする負荷(92)への電力供給が遮断されてしまうことを低減できる。
【0044】
第2の態様に係るスイッチ装置(10)は、第1の態様において、少なくともスイッチ部(2)を収容する筐体(100)を更に備える。筐体(100)は造営面(93)に取り付けられる。
【0045】
この態様によれば、スイッチ装置(10)が人の移動等の邪魔になりにくい。
【0046】
第3の態様に係るスイッチ装置(10)では、第2の態様において、筐体(100)は、取付枠(101)を介して造営面(93)に取り付けられる。
【0047】
この態様によれば、スイッチ装置(10)の造営面(93)への取り付けが容易である。
【0048】
第4の態様に係るスイッチ装置(10)では、第1~3のいずれかの態様において、地震検知部(1)は、加速度センサ(11)を有する。
【0049】
この態様によれば、地震の発生を検知するための機能をスイッチ装置(10)で完結できる。
【0050】
第5の態様に係るスイッチ装置(10)では、第1~4のいずれかの態様において、スイッチ部(2)は、3つ以上の電路の接続関係を切り替える。
【0051】
この態様によれば、スイッチ装置(10)は、三路スイッチ又は四路スイッチ等としても使用可能である。
【0052】
第6の態様に係るスイッチ装置(10)では、第1~5のいずれかの態様において、地震検知部(1)が地震の発生を検知したときに、制御部(3)は、制限状態でスイッチ部(2)がオンするようにスイッチ部(2)を制御する。制限状態は、電源(91)から負荷(92)への供給電力が定常時よりも小さくなる状態である。
【0053】
この態様によれば、例えば、地震に伴う建物の一部崩壊等により屋内配線の短絡が発生した場合等においても、屋内配線に過電流が流れることによる不具合が生じにくくなる。
【0054】
第7の態様に係るスイッチ装置(10)では、第6の態様において、制御部(3)は、スイッチ部(2)が制限状態でオンしている状態からリセット操作がされることにより、スイッチ部(2)の制限状態を解除する。
【0055】
この態様によれば、ユーザが意図的にリセット操作するまで制限状態を継続できる。
【0056】
第8の態様に係るスイッチ装置(10)は、第1~7のいずれかの態様において、スイッチ部(2)を流れる電流の大きさが閾値を超えた場合に、スイッチ部(2)を流れる電流を抑制又は遮断する過負荷防止部(31)を更に備える。
【0057】
この態様によれば、例えば、地震に伴う建物の一部崩壊等により屋内配線の短絡が発生した場合等においても、屋内配線に過電流が流れることによる不具合が生じにくくなる。
【0058】
第9の態様に係るスイッチ装置(10)は、第1~8のいずれかの態様において、明るさセンサ(4)を更に備える。制御部(3)は、明るさセンサ(4)で検知される明るさに応じて、通電状態を変化させるようにスイッチ部(2)を制御する。
【0059】
この態様によれば、例えば、負荷(92)が照明器具で、かつ点灯する必要がない昼間等においては、負荷(92)への供給電力を抑えることができる。
【0060】
第10の態様に係るスイッチ装置(10)は、第1~9のいずれかの態様において、通電状態を表示する表示灯(5)を更に備える。スイッチ装置(10)は、地震検知部(1)が地震の発生を検知したときに、表示灯(5)の光出力を大きくする。
【0061】
この態様によれば、表示灯(5)を補助照明として、地震の発生時における非難支援が可能となる。
【0062】
第11の態様に係るスイッチ装置(10)は、第1~10のいずれかの態様において、通電状態を切り替えるための操作を受け付ける操作部(6)を更に備える。制御部(3)は、操作部(6)の操作に応じてスイッチ部(2)を制御する。
【0063】
この態様によれば、スイッチ部(2)の手動操作が可能になる。
【0064】
第2~11の態様に係る構成については、スイッチ装置(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 地震検知部
2 スイッチ部
3 制御部
4 明るさセンサ
5 表示灯
6 操作部
10 スイッチ装置
31 過負荷防止部
91 電源
92 負荷
93 造営面
図1
図2
図3
図4