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特許7281758有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物、有機EL発光装置の製造方法及び有機EL発光装置
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  • 特許-有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物、有機EL発光装置の製造方法及び有機EL発光装置 図1
  • 特許-有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物、有機EL発光装置の製造方法及び有機EL発光装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物、有機EL発光装置の製造方法及び有機EL発光装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/844 20230101AFI20230519BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230519BHJP
   H10K 71/00 20230101ALI20230519BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20230519BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
H10K50/844
H10K50/10
H10K71/00
C08F2/50
C08F20/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022064688
(22)【出願日】2022-04-08
(62)【分割の表示】P 2018105535の分割
【原出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2022101598
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦岡 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】池上 裕基
(72)【発明者】
【氏名】山本 広志
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-143057(JP,A)
【文献】特表2018-510449(JP,A)
【文献】特表2015-524494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00-33/28
H10K 50/00-99/00,101:00-102:20
C08F 2/50
C08F 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル化合物(A)及び光重合開始剤(B)を含有し、
前記アクリル化合物(A)は、下記式(1)に示す化合物、モルホリンアクリレート、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド及びペンタメチルピペリジルメタクリレ-トからなる群から選択される少なくとも一種の成分である化合物(A1)を含有し、
【化1】
前記式(1)において、R0はH又はメチル基であり、Xは単結合又は二価の炭化水素基であり、R1からR11の各々はH、アルキル基又は-R12-OH、R12はアルキレン基で
ありかつR1からR11のうち少なくとも一つはアルキル基又は-R12-OHであり、R1からR11は互いに化学結合しておらず、
25℃での粘度が20mP・s以下であ
前記化合物(A1)は、前記式(1)に示す化合物のみを含有し、
前記アクリル化合物(A)は、窒素原子を有する化合物を含有しない、
有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
アクリル化合物(A)及び光重合開始剤(B)を含有し、
前記アクリル化合物(A)は、下記式(1)に示す化合物、モルホリンアクリレート、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド及びペンタメチルピペリジルメタクリレ-トからなる群から選択される少なくとも一種の成分である化合物(A1)を含有し、
【化2】
前記式(1)において、R 0 はH又はメチル基であり、Xは単結合又は二価の炭化水素基であり、R 1 からR 11 の各々はH、アルキル基又は-R 12 -OH、R 12 はアルキレン基で
ありかつR 1 からR 11 のうち少なくとも一つはアルキル基又は-R 12 -OHであり、R 1 からR 11 は互いに化学結合しておらず、
25℃での粘度が20mP・s以下であり、
硬化することで、90℃以上のガラス転移温度を有する硬化物になる、
有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記化合物(A1)は、前記式(1)に示す化合物のみを含有し、
前記アクリル化合物(A)は、窒素原子を有する化合物を含有しない、
請求項2に記載の有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記化合物(A1)は、下記式(11)に示す化合物、下記式(12)に示す化合物及び下記式(13)に示す化合物からなる群から選択される、少なくとも一種の化合物を含む、
【化3】
請求項1から3のいずれか一項に記載の有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
インクジェット法で成形される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
有機EL素子と前記有機EL素子を覆う封止材とを備える有機EL発光装置を製造する方法であり、
請求項1から5のいずれか一項に記載の有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物をインクジェット法で成形してから、前記有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物に紫外線を照射して硬化させることで前記封止材を作製することを含む、
有機EL発光装置の製造方法。
【請求項7】
有機EL素子と、前記有機EL素子を覆う封止材とを備え、前記封止材は、請求項1から5のいずれか一項に記載の有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物である、有機EL発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物、有機EL発光装置の製造方法及び有機EL発光装置に関し、詳しくは、有機EL発光装置における封止材を作製するために好適な有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物、この有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物を用いる有機EL発光装置の製造方法、及びこの封止材を備える有機EL発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL発光装置は、照明、ディスプレイなどに適用されており、今後の普及が期待されている。
【0003】
有機EL発光装置のうち、トップエミッションタイプと呼ばれるものは、例えば支持基板上に有機EL素子を配置し、支持基板に対向するように透明基板を配置し、支持基板と透明基板との間に透明な封止材を充填して構成される。この場合、有機EL素子が発する光は封止材及び透明基板を通過して外部へ出射する。
【0004】
有機EL発光装置における封止材を、インクジェット法で作製することが提案されている。例えば特許文献1には、75~95wt.%のポリエチレングリコールジメタクリレートモノマー等と、4~10wt.%のペンタエリスリトールテトラアクリレート等と、22℃で約14から約18cpsの範囲内の粘度及び22℃で約35から約39ダイン/cmの範囲内の表面張力を有する1~15wt.%の展着改質剤とを含むインク組成物を用い、インクジェット法で封止材を作製することが、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2017-531049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機EL発光装置においては、透明基板、有機EL素子を保護するパッシベーション層などとして、無機材料製の部材が適用されることが多い。封止材と無機材料製の部材との間の密着性が低いと、有機EL発光装置内に侵入した水分が封止材と部材との間に生じた隙間を通じて有機EL素子に到達し、有機EL素子を劣化させてダークスポットと呼ばれる不良を発生させてしまう危険性がある。このため、封止材には、無機材料製の部材との密着性が要求されることがある。
【0007】
しかし、特許文献1に記載されているようなアクリル系の組成物から封止材が作製されると、組成物を低粘度化させてインクジェット法で成形可能としながら封止材と無機材料製の部材との間の密着性を確保することは困難であった。特に、封止材の薄型化のためにインクジェット法で吐出される液滴の径を小さくする場合は、組成物を非常に低粘度化する必要があり、そのような場合に封止材と無機材料製の部材との間の密着性を確保することは非常に困難であった。
【0008】
本発明の課題は、有機EL発光装置における封止材を作製するために使用でき、封止材に無機材料製の部材との密着性を付与することができ、かつ粘度上昇を起こしにくい有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物、この有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物を用いる有機EL発光装置の製造方法、及びこの有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる封止材を備える有機EL発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物は、アクリル化合物(A)及び光重合開始剤(B)を含有し、前記アクリル化合物(A)は、下記式(1)に示す化合物、モルホリンアクリレート、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド及びペンタメチルピペリジルメタクリレ-トからなる群から選択される少なくとも一種の成分である化合物(A1)を含有し、前記式(1)において、R0はH又はメチル基であり、Xは単結合又は二価の炭化水素基であり、R1からR11の各々はH、アルキル基又は-R12-OH、R12はアルキレン基でありかつR1からR11のうち少なくとも一つはアルキル基又は-R12-OHであり、R1からR11は互いに化学結合していない。
【0010】
【化1】
【0011】
本発明の一態様に係る有機EL発光装置の製造方法は、有機EL素子と前記有機EL素子を覆う封止材とを備える有機EL発光装置を製造する方法であり、前記有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物をインクジェット法で成形してから、前記有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物に紫外線を照射して硬化させることで前記封止材を作製することを含む。
【0012】
本発明の一態様に係る有機EL発光装置は、有機EL素子と、前記有機EL素子を覆う封止材とを備え、前記封止材は、前記有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、有機EL発光装置における封止材を作製するために使用でき、封止材に無機材料製の部材との密着性を付与することができ、かつ粘度上昇を起こしにくい有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物、この有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物を用いる有機EL発光装置の製造方法、及びこの有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる封止材を備える有機EL発光装置を、提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、有機EL発光装置の第一例の概略の断面図である。
図2図2は、有機EL発光装置の第二例の概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0016】
1.実施形態の概要
本実施形態に係る有機EL発光装置1は、有機EL素子4と、有機EL素子4を覆う封止材5とを備える。
【0017】
有機EL発光装置1の構造の第一例を、図1を参照して説明する。この有機EL発光装置1は、トップエミッションタイプである。有機EL発光装置1は、支持基板2、支持基板2と間隔をあけて対向する透明基板3、支持基板2の透明基板3と対向する面の上にある有機EL素子4、及び支持基板2と透明基板3との間に充填されている封止材5とを備える。また、図1に示す例では、有機EL発光装置1は、支持基板2の透明基板3と対向する面及び有機EL素子4を覆うパッシベーション層6を備える。
【0018】
支持基板2は、例えば樹脂材料から作製されるが、これに限定されない。透明基板3は透光性を有する材料から作製される。透明基板3は、例えば、ガラス製基板又は透明樹脂製基板である。有機EL素子4は有機発光ダイオードとも呼ばれる。有機EL素子4は、例えば一対の電極と、電極間にある有機発光層とを備える。パッシベーション層6は窒化ケイ素又は酸化ケイ素から作製されることが好ましい。
【0019】
有機EL発光装置1の構造の第二例を、図2を参照して説明する。なお、図1に示す第一例と共通する要素については、図1と同じ符号を付して、詳細な説明を適宜省略する。図2に示す有機EL発光装置1も、トップエミッションタイプである。有機EL発光装置1は、支持基板2、支持基板2と間隔をあけて対向する透明基板3、支持基板2の透明基板3と対向する面の上にある有機EL素子4、及び有機EL素子4を覆う封止材5を備える。
【0020】
有機EL素子4は、第一例の場合と同様、例えば一対の電極41、43と、電極41、43間にある有機発光層42とを備える。有機発光層42は、例えば正孔注入層421、正孔輸送層422、発光層423及び電子輸送層424を備え、これらの層は前記の順番に積層している。
【0021】
有機EL発光装置1は複数の有機EL素子4を備え、かつ複数の有機EL素子4が、支持基板2上でアレイ9(以下素子アレイ9という)を構成している。素子アレイ9は、隔壁7も備える。隔壁7は、支持基板2上にあり、隣合う二つの有機EL素子4の間を仕切っている。隔壁7は、例えば感光性の樹脂材料をフォトリソグラフィ法で成形することで作製される。素子アレイ9は、隣合う有機EL素子4の電極43及び電子輸送層424同士を電気的に接続する接続配線8も備える。接続配線8は、隔壁7上に設けられている。
【0022】
有機EL発光装置1は、有機EL素子4を覆うパッシベーション層6も備える。パッシベーション層6は窒化ケイ素又は酸化ケイ素から作製されることが好ましい。パッシベーション層6は、第一パッシベーション層61と第二パッシベーション層62とを含む。第一パッシベーション層61は素子アレイ9に直接接触した状態で、素子アレイ9を覆うことで、有機EL素子4を覆っている。第二パッシベーション層62は、第一パッシベーション層61に対して、素子アレイ9とは反対側の位置に配置され、かつ第二パッシベーション層62と第一パッシベーション層61との間には間隔があけられている。第一パッシベーション層61と第二パッシベーション層62との間に、封止材5が充填されている。すなわち、有機EL素子4と、有機EL素子4を覆う封止材5との間に、第一パッシベーション層61が介在している。
【0023】
さらに、第二パッシベーション層62と透明基板3との間に、第二封止材52が充填されている。第二封止材52は、例えば透明な樹脂材料から作製される。第二封止材52の材質は特に制限されない。第二封止材52の材質は、封止材5と同じであっても、異なっていてもよい。
【0024】
封止材5を、本実施形態に係る有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物から作製することができる。すなわち、有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物は、有機EL素子4のための封止材5を作製するために用いられる。更に言い換えれば、有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物は、好ましくは封止材作製用の組成物、有機EL素子封止用の組成物、あるいは有機EL発光装置製造用の組成物である。
【0025】
2.有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物
有機EL素子封止用紫外線硬化性樹脂組成物(以下、組成物(X)ともいう)について説明する。
【0026】
組成物(X)は、アクリル化合物(A)及び光重合開始剤(B)を含有する。
【0027】
アクリル化合物(A)は、下記式(1)に示す化合物、モルホリンアクリレート、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド及びペンタメチルピペリジルメタクリレ-トからなる群から選択される少なくとも一種の成分である化合物(A1)を含有する。化合物(A1)によって、組成物(X)から作製される封止材5に、パッシベーション層6といった無機材料製の部材との密着性が付与されうる。また、化合物(A1)はアクリル系の化合物としては低い粘度を有し、そのため化合物(A1)を含有することは、組成物(X)の粘度上昇を引き起こしにくい。さらに化合物(A1)は揮発しにくく、そのため組成物(X)の保管時に経時的な粘度上昇が生じにくい。
【0028】
このため、組成物(X)を有機EL発光装置における封止材を作製するために使用すると、封止材5に無機材料製の部材との密着性を付与することができ、かつ組成物(X)の粘度上昇が生じにくい。
【0029】
【化2】
【0030】
式(1)において、R0はH又はメチル基である。Xは単結合又は二価の炭化水素基である。R1からR11の各々はH、アルキル基又は-R12-OH、R12はアルキレン基でありかつR1からR11のうち少なくとも一つはアルキル基又は-R12-OHである。R1からR11は互いに化学結合していない。
【0031】
Xが二価の炭化水素基である場合、Xの炭素数は1以上5以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましい。二価の炭化水素基は、例えばメチレン基、エチレン基又はプロピレン基である。Xが単結合又はメチレン基であれば特に好ましい。この場合、化合物(A1)が分子量が小さく低粘度であるという利点がある。
【0032】
1からR11のうち少なくとも一つがアルキル基である場合、アルキル基の炭素数は1以上8以下であることが好ましい。アルキル基は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基又はオクチル基である。アルキル基は直鎖状であっても分岐を有してもよい。すなわち、例えばアルキル基がブチル基である場合、ブチル基は、t-ブチル基でもよく、n-ブチル基でもよく、sec-ブチル基でもよい。アルキル基がヘキシル基である場合、ヘキシル基は、t-ヘキシル基でもよく、n-ヘキシル基でもよく、sec-ヘキシル基でもよい。アルキル基がオクチル基である場合、オクチル基は例えばt-オクチル基でもよい。アルキル基がメチル基又はt-ブチル基であれば特に好ましい。この場合、化合物(A1)が分子量が小さく低粘度であるという利点がある。
【0033】
式(1)において、シクロヘキサン環の4位のみに、アルキル基又は-R12-OHが接続していることが好ましい。すなわち、R1からR11のうち、R6及びR7の少なくとも一方がアルキル基又は-R12-OHであり、残りの各々がHであることが、好ましい。R1からR11のうち、R6のみがアルキル基又は-R12-OHであり、残りの各々がHであることが、特に好ましい。この場合、式(1)に示す化合物は、良好な反応性を有することができ、かつ封止材5に無機材料製の部材との密着性を特に付与しやすい。これは、式(1)に示す化合物におけるシクロヘキサン環がボート型の立体配座を有し、かつ4位にある嵩高いアルキル基又は-R12-OHが擬エクアトリアル位に位置しやすいためであると、考えられる。式(1)に示す化合物がこのような構造を有することで、式(1)に示す化合物における(メタ)アクリロイル基の反応性が高められると考えられる。また、式(1)に示す化合物がこのような構造を有すると、式(1)に示す化合物は、封止材5中の自由体積を大きくしうる。そのため封止材5と無機材料製の部材との間の界面自由エネルギーが小さくなりやすく、そのため封止材5と無機材料製の部材との密着性が高くなりやすいと、考えられる。アルキル基又は-R12-OHが嵩高いほど、アルキル基又は-R12-OHが擬エクアトリアル位に位置しやすくなる。この観点からすると、アルキル基又は-R12-OHの炭素数が多いほど好ましく、またアルキル基又は-R12-OHが分岐を有していることが好ましい。例えばアルキル基又は-R12-OHがt-ブチル基であることが好ましい。
【0034】
式(1)において、シクロヘキサン環の3位及び5位の各々のみに、アルキル基又は-R12-OHが接続していることも好ましい。すなわち、R1からR11のうち、R4及びR5の少なくとも一方がアルキル基又は-R12-OHであり、R8及びR9の少なくとも一方がアルキル基又は-R12-OHであり、残りの各々がHであることが、好ましい。R1からR11のうち、R4及びR5の一方のみがアルキル基又は-R12-OHであり、R8及びR9の少なくとも一方がアルキル基又は-R12-OHであり、残りの各々がHであることが、より好ましい。R1からR11のうち、R4及びR5の少なくとも一方がアルキル基又は-R12-OHであり、R8及びRの9一方のみがアルキル基又は-R12-OHであり、残りの各々がHであることも、より好ましい。この場合も、式(1)に示す化合物は、良好な反応性を有することができ、かつ封止材5に無機材料製の部材との密着性を特に付与しやすい。これは、式(1)に示す化合物におけるシクロヘキサン環がボート型の立体配座を有し、かつ3位と5位の各々における嵩高いアルキル基又は-R12-OHが擬エクアトリアル位に位置しやすいためであると、考えられる。このために、シクロヘキサン環の4位のみにアルキル基又は-R12-OHが接続している場合と同様に、式(1)に示す化合物における(メタ)アクリロイル基の反応性が高められ、かつ封止材5と無機材料製の部材との密着性が高くなりやすいと、考えられる。アルキル基又は-R12-OHが嵩高いほど、アルキル基又は-R12-OHが擬エクアトリアル位に位置しやすくなる。この観点からすると、アルキル基又は-R12-OHの炭素数が多いほど好ましく、またアルキル基又は-R12-OHが分岐を有していることが好ましい。例えばアルキル基又は-R12-OHがt-ブチル基であることが好ましい。
【0035】
1からR11のうち少なくとも一つが-R12-OHである場合、R12の炭素数は1以上5以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましい。R12は、例えばメチレン基、エチレン基又はプロピレン基である。R12はがメチレン基であれば特に好ましい。この場合、化合物(A1)が分子量が小さく低粘度であるという利点がある。
【0036】
式(1)において、R1からR11の各々がH又はアルキル基であり、かつR1からR11のうち少なくとも一つがアルキル基であれば、特に好ましい。この場合、式(1)に示す化合物は、特に低い粘度を有することができ、そのため組成物(X)が特に低い粘度を有することができる。そのため、組成物(X)をインクジェット法で特に成形しやすくなる。
【0037】
化合物(A1)は、下記式(11)に示す化合物、下記式(12)に示す化合物及び下記式(13)に示す化合物からなる群から選択される、少なくとも一種の化合物を含むことが好ましい。
【0038】
【化3】
【0039】
化合物(A1)が、式(11)に示す化合物と式(12)に示す化合物とのうち少なくとも一方を含有すれば、特に好ましい。この場合、組成物(X)を特に低粘度化しやすく、封止材5のガラス転移温度を特に高めやすく、更に封止材5と無機材料製の部材との密着性を特に高めやすい。また、式(11)に示す化合物及び式(12)に示す化合物は、揮発しにくいため、組成物(X)の保存安定性を向上させやすい。
【0040】
また、化合物(A1)がモルホリンアクリレート、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド及びペンタメチルピペリジルメタクリレ-トからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することも好ましい。これらの化合物は、窒素を含むことで無機材料との良好な親和性を有し、そのため封止材5と無機材料製の部材との密着性を特に高めやすい。また、これらの化合物の粘度は低く、そのため、これらの化合物は組成物(X)の粘度を増大させにくい。さらに、これらの化合物は揮発しにくいため、組成物(X)の保存安定性を向上させやすい。
【0041】
化合物(A1)中に含まれる化合物の沸点は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。この場合、化合物(A1)は、組成物(X)の保存安定性を特に向上させやすい。式(11)に示す化合物の沸点は265℃、式(12)に示す化合物の沸点は234℃、式(13)に示す化合物の沸点は294℃、モルホリンアクリレートの沸点は255℃、ジエチルアクリルアミドの沸点は205℃、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの沸点は285℃、ペンタメチルピペリジルメタクリレ-トの沸点は265℃であるので、この点からも、これらの化合物は好ましい。
【0042】
アクリル化合物(A)全体に対する、化合物(A1)の量は、5質量%以上80質量%以下であることが好ましい。この場合、封止材5は、高いガラス転移温度と無機材料製の部材との密着性とを両立できる。化合物(A1)の量は5質量%以上60質量%以下であればより好ましく、5質量%以上50質量%以下であれば特に好ましい。
【0043】
組成物(X)が後述する吸湿剤(E)を含有する場合、特に吸湿剤(E)を含有しかつ吸湿剤(E)がゼオライト粒子を含有する場合は、化合物(A1)は、式(1)に示す化合物のみを含有し、かつアクリル化合物(A)は、窒素原子を有する化合物を含有しないことが好ましい。この場合、組成物(X)の保存中に組成物(X)の粘度上昇が起こりにくい。これは、組成物(X)が窒素を有する化合物及び吸湿剤(E)を含有すると、窒素を有する化合物と吸湿剤(E)とが反応しやすいためであると考えられる。また、吸湿剤(E)の有無にかかわらず、化合物(A1)は、式(1)に示す化合物のみを含有し、かつアクリル化合物(A)は、窒素原子を有する化合物を含有しない場合は、封止材5が変色しにくくなるという利点もある。
【0044】
アクリル化合物(A)は、化合物(A1)以外の化合物(A2)を更に含有してもよい。
【0045】
化合物(A2)は、例えば一分子中に二つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリル化合物(A21)を含有する。この場合、多官能アクリル化合物(A21)は、組成物(X)の硬化物のガラス転移温度を高めることができ、このため、硬化物及び封止材5の耐熱性を高めることができる。
【0046】
アクリル化合物(A)が多官能アクリル化合物(A21)を含有する場合、アクリル化合物(A)全量に対する多官能アクリル化合物(A21)の量は、5質量%以上85質量%以下であることが好ましい。多官能アクリル化合物(A21)の量が5質量%以上であると、多官能アクリル化合物(A21)は硬化物のガラス転移温度を特に高めやすい。多官能アクリル化合物(A21)の量が85質量%以下であると、封止材5の無機材料製の部材との密着性を高めることができる。
【0047】
多官能アクリル化合物(A21)は、例えば1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールオリゴアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールオリゴアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジアクリレート、ペンタトリエストールテトラアクリレート、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アクリル酸2-(2-エトキシエトキシ)エチル、ヘキサジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールトリアクリレート、ビスペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシ化1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化リン酸トリアクリレート、エトキシ化トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシレートグリセリルトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びプロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
【0048】
多官能アクリル化合物(A21)のアクリル当量は、150g/eq以下であることが好ましく、90g/eq以上150g/eq以下であることがより好ましい。多官能アクリル化合物(A21)の重量平均分子量は、例えば100以上1000以下であり、200以上800以下がより好ましい。
【0049】
多官能アクリル化合物(A21)は、ベンゼン環、脂環及び極性基のうち少なくとも一つを有することが好ましい。極性基は、例えばOH基及びNHCO基のうち少なくとも一方である。この場合、組成物(X1)が硬化する際の収縮を特に低減できる。さらに、硬化物と、窒化ケイ素、酸化ケイ素といった無機化合物との間の密着性を高めることもできる。多官能アクリル化合物(A21)は、特にトリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びペンタトリエストールテトラアクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。これらの化合物は、組成物(X)が硬化する際の収縮を特に低減できる。さらに、これらの化合物は、硬化物と、窒化ケイ素、酸化ケイ素といった無機材料製の部材との間の密着性を、更に高めることもできる。
【0050】
化合物(A2)は、化合物(A1)以外の、一分子中に一つのみの(メタ)アクリロイル基を有する単官能アクリル化合物(A22)を含有することも好ましい。単官能アクリル化合物(A22)は、組成物(X)の硬化時の収縮を抑制できる。
【0051】
アクリル化合物(A)全量に対する単官能アクリル化合物(A22)の量は、0質量%より多く70質量%以下であることが好ましい。単官能アクリル化合物(A22)の量が0質量%より多ければ、単官能アクリル化合物(A22)によって組成物(X)の硬化時の収縮を抑制できる。
【0052】
単官能アクリル化合物(A22)は、例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボロニルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジキシルエチルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、イミドアクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシ化コハク酸アクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリレート、イソオクチルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシ化(4)のニルフェノールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(350)モノアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(550)モノアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレートのエチレンオキサイド付加物、2-フェノキシエチルアクリレートのプロピレンオキサイド付加物、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレ-ト、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、3-メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3-アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド及びジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ-トからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
【0053】
単官能アクリル化合物(A22)は、脂環式構造を有する化合物及び環状エーテル構造を有する化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。
【0054】
脂環式構造を有する化合物は、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレ-ト及びジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ-トからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
【0055】
特にアクリル化合物(A)は、イソボルニルアクリレートとジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ-トとのうち、少なくとも一方を含有することが好ましい。イソボルニルアクリレート及びジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ-トは、高いガラス転移温度を有し、封止材5のガラス転移温度を特に高めることができる。
【0056】
環状エーテル構造を有する化合物における環状エーテル構造の環員数は3以上が好ましく、3以上4以下がより好ましい。環状エーテル構造に含まれる炭素原子数は、2以上9以下が好ましく、2以上6以下がより好ましい。環状エーテル構造を有する化合物は、例えば3-メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド及び3-アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイドからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
【0057】
化合物(A2)は、ポリエチレングリコールジメタクリレートとポリエチレングリコールジアクリレートとのうち少なくとも一方からなるアクリル成分(A23)を含有してもよい。アクリル成分(A23)は、230以上430以下の数平均分子量を有することが好ましい。
【0058】
アクリル成分(A23)がポリエチレングリコールジメタクリレートを含有する場合、ポリエチレングリコールジメタクリレートは、例えば下記式(21)に示すポリエチレングリコール200ジメタクリレートを含む。式(21)中のnは平均4である。第一アクリル成分(A23)がポリエチレングリコールジアクリレートを含有する場合、ポリエチレングリコールジアクリレートは、例えば下記式(22)に示すポリエチレングリコール200ジアクリレートを含む。式(22)中のnは平均4である。
【0059】
CH2=C(CH3)-CO-(OCH2CH2n-OCO-C(CH3)=CH2 …(21)
CH2=CH-CO-(OCH2CH2n-OCO-CH=CH2 …(22)
化合物(A2)がアクリル成分(A23)を含有する場合、化合物(A2)は、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールテトラメタクリレートとのうち少なくとも一方からなるアクリル成分(A24)を更に含有することが好ましい。
【0060】
化合物(A2)がアクリル成分(A23)を含有する場合、組成物(X)は、展着剤(C)を更に含有してもよい。展着剤(C)は、22℃で14mPa・s以上18mPa・s以下の粘度、及び22℃で35mN/m以上39mN/m以下の表面張力を有する。展着剤(C)は、組成物(X)の展着特性を調整できる。展着剤(C)は、成形温度において、アクリル成分(A23)よりも低い表面張力を有する液体であることが好ましい。成形温度とは、組成物(X)をインクジェット法などの方法で成形する際の組成物(X)の温度である。
【0061】
展着剤(C)は、特にアルコキシ化脂肪族ジアクリレート及びアルコキシ化脂肪族ジメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましい。
【0062】
アルコキシ化脂肪族ジアクリレートは、例えば下記式(3)で表される。式(3)において、nは3から12までの数である。アルコキシ化脂肪族ジメタクリレートは、例えば下記式(4)で表される。式(4)において、nは3から12までの数である。
【0063】
CH2=CH-COO-(CH2n-OCO-CH=CH2 …(3)
CH2=C(CH3)-COO-(CH2n-OCO-C(CH3)=CH2 …(4)
アルコキシ化脂肪族ジアクリレートが含有できる成分の具体例は、サートマー社製の品番SR-238B(1,6ヘキサンジオールジアクリレート。25℃での表面張力約35mN/m)及びサートマー社製の品番SR-9209A(22℃での表面張力約35mN/m、22℃での粘度約25mN/m)を含む。
【0064】
アクリル化合物(A)がアクリル成分(A23)を含有する場合、アクリル化合物(A)全量に対するアクリル成分(A23)の量は、5質量%以上60質量%以下であることが好ましい。アクリル化合物(A)がアクリル成分(A24)を含有する場合、アクリル化合物(A)全量に対するアクリル成分(A24)の量は、1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0065】
組成物(X)は、アクリル化合物(A)以外のラジカル重合性化合物(D)を更に含有してもよい。ラジカル重合性化合物(D)は、一分子に二つ以上のラジカル重合性官能基を有する多官能ラジカル重合性化合物(E1)と、一分子に一つのみのラジカル重合性官能基を有する単官能ラジカル重合性化合物(E2)とのうち、いずれか一方又は両方を含有できる。
【0066】
アクリル化合物(A)とラジカル重合性化合物(D)との合計量に対するラジカル重合性化合物(D)の量は、例えば10質量%以下である。
【0067】
多官能ラジカル重合性化合物(E1)は、例えば一分子中にエチレン性二重結合を2つ以上有する芳香族ウレタンオリゴマー、脂肪族ウレタンオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー及びその他特殊オリゴマーからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有してもよい。より具体的には、多官能ラジカル重合性化合物(A)は、例えば日本合成化学工業株式会社製のUV-2000B、UV-2750B、UV-3000B、UV-3010B、UV-3200B、UV-3300B、UV-3700B、UV-6640B、UV-8630B、UV-7000B、UV-7610B、UV-1700B、UV-7630B、UV-6300B、UV-6640B、UV-7550B、UV-7600B、UV-7605B、UV-7610B、UV-7630B、UV-7640B、UV-7650B、UT-5449、UT-5454;サートマー社製のCN902、CN902J75、CN929、CN940、CN944、CN944B85、CN959、CN961E75、CN961H81、CN962、CN963、CN963A80、CN963B80、CN963E75、CN963E80、CN963J85、CN964、CN965、CN965A80、CN966、CN966A80、CN966B85、CN966H90、CN966J75、CN968、CN969、CN970、CN970A60、CN970E60、CN971、CN971A80、CN971J75、CN972、CN973、CN973A80、CN973H85、CN973J75、CN975、CN977、CN977C70、CN978、CN980、CN981、CN981A75、CN981B88、CN982、CN982A75、CN982B88、CN982E75、CN983、CN984、CN985、CN985B88、CN986、CN989、CN991、CN992、CN994、CN996、CN997、CN999、CN9001、CN9002、CN9004、CN9005、CN9006、CN9007、CN9008、CN9009、CN9010、CN9011、CN9013、CN9018、CN9019、CN9024、CN9025、CN9026、CN9028、CN9029、CN9030、CN9060、CN9165、CN9167、CN9178、CN9290、CN9782、CN9783、CN9788、CN9893;並びにダイセル・サイテック株式会社製のEBECRYL210、EBECRYL220、EBECRYL230、EBECRYL270、KRM8200、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8301、EBECRYL8804、EBECRYL8807、EBECRYL9260、KRM7735、KRM8296、KRM8452、EBECRYL4858、EBECRYL8402、EBECRYL9270、EBECRYL8311、EBECRYL8701からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
【0068】
単官能ラジカル重合性化合物(E2)は、例えばN-ビニルホルムアミド、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、フェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2-ブチレンオキサイド、1,3-ブタジエンモノオキサイド、1,2-エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2-エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3-ビニルシクロヘキセンオキサイド、4-ビニルシクロヘキセンオキサイド、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルカプロラクタムからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
【0069】
光重合開始剤(B)は、紫外線が照射されるとラジカル種を生じさせる化合物であれば、特に制限されない。光重合開始剤(B)は、例えば芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
【0070】
光重合開始剤(B)は、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤を含有することが好ましい。アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤の例は、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド及び2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィネートを含む。アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤の製品名の例は、BASF社製のIrgacureTPO、IrgacureTPO-L及びIrgacure819を含む。
【0071】
組成物(X)100質量部に対する光重合開始剤(B)の量は、例えば1重量部以上10質量部以下である。
【0072】
光重合開始剤(B)は、光重合開始剤(B)の一部として増感剤を含有してもよい。増感剤は、光重合開始剤(B)のラジカル生成反応を促進させて、ラジカル重合の反応性を向上させ、かつ架橋密度を向上させうる。増感剤は、例えば9,10-ジブトキシアントラセン、9-ヒドロキシメチルアントラセン、チオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、アントラキノン、1,2-ジヒドロキシアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1,4-ジエトキシナフタレン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノベンゾフェノン、p-ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p-ジメチルアミノベンズアルデヒド、及びp-ジエチルアミノベンズアルデヒドからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
【0073】
組成物(X)中の増感剤の含有量は、例えば組成物(X)の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上3質量部以下である。増感剤の含有量がこのような範囲であれば、空気中で組成物(X)を硬化させることができ、組成物(X)の硬化を窒素雰囲気等の不活性雰囲気下で行う必要がなくなる。
【0074】
組成物(X)は、光重合開始剤(B)に加えて、重合促進剤を含有してもよい。重合促進剤は、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、p-ジメチルアミノ安息香酸メチル、安息香酸-2-ジメチルアミノエチル、p-ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチルといったアミン化合物を含有する。
【0075】
組成物(X)は、吸湿剤(E)を更に含有してもよい。吸湿剤(E)は、吸湿性を有する無機粒子であることが好ましく、例えばゼオライト粒子、シリカゲル粒子、塩化カルシウム粒子、及び酸化チタンナノチューブ粒子からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましい。吸湿剤(E)がゼオライト粒子を含有することが特に好ましい。
【0076】
平均粒径200nm以下のゼオライト粒子は、例えば一般的な工業用ゼオライトを粉砕することで製造できる。ゼオライト粒子を製造するに当たって、ゼオライトを粉砕してから水熱合成などによって結晶化させてもよく、この場合、ゼオライト粒子は特に高い吸湿性を有することができる。このようなゼオライト粒子の製造方法は、特開2016-69266号公報、特開2013-049602号公報などにより公知である。
【0077】
ゼオライト粒子は、ナトリウムイオンを含有することが好ましい。そのためには、ゼオライト粒子は、ナトリウムイオンを含有するゼオライトから製造されることが好ましく、ナトリウムイオンのうちA型ゼオライト、X型ゼオライト及びY型ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種の材料から製造されることがより好ましい。ゼオライト粒子がA型ゼオライトのうち4A型ゼオライトから製造されることが特に好ましい。これらの場合、ゼオライト粒子は、水分の吸着に好適な結晶構造を有する。
【0078】
平均粒径200nm以下のゼオライト粒子の製造方法の一具体例を示す。まず、原料であるゼオライト粉を準備し、このゼオライト粉を物理粉砕する。例えばゼオライト粉を水と混合してスラリーを調製し、このスラリーをビーズミル粉砕機にかけることで、ゼオライト粉を物理粉砕できる。
【0079】
続いて、水熱合成によりゼオライト粉を結晶化させる。例えば物理粉砕後のゼオライト粉を含むスラリーを、オートクレーブで加熱することで、水熱合成を行うことができる。水熱合成の条件は、例えば加熱温度150~200℃の範囲内、加熱時間15~24時間の範囲内である。
【0080】
続いて、ゼオライト粉を乾燥する。乾燥温度は例えば150~200℃の範囲内であり、乾燥時間は例えば2~3時間の範囲内である。続いて、必要に応じ、乾燥後のゼオライト粉を乳鉢などを用いて解砕してから篩いにかけることで粒径を整える。
【0081】
続いて、必要に応じ、ゼオライト粉にイオン交換処理を施してもよい。イオン交換処理は、例えばゼオライト粉を、マグネシウムイオンを含有する水溶液中に分散させて混合物を調製し、この混合物を加熱することで行われる。より具体的には、イオン交換処理は例えば次のように行われる。まずゼオライト粉を、塩化マグネシウム及び水と混合し、得られた混合物を加熱しながら撹拌する処理をする。この処理の間、撹拌を一時的に停止してから混合物の上澄みを捨て、続いて混合物に水を補充してから撹拌を再開するという操作を、適当な間隔をあけて複数回繰り返すことが好ましい。この処理における加熱温度は40~80℃の範囲内、処理時間は6~8時間の範囲内であることが好ましい。
【0082】
イオン交換処理を施した場合、続いて、ゼオライト粉を乾燥する。乾燥温度は例えば150~200℃の範囲内であり、乾燥時間は例えば2~3時間の範囲内である。続いて、必要に応じ、乾燥後のゼオライト粉を乳鉢などを用いて解砕してから篩いにかけることで粒径を整える。これにより、平均粒径200nm以下のゼオライト粒子を得ることができる。
【0083】
ゼオライト粉の結晶化を、シリケート及びアルカリ金属酸化物の存在下で行うこともできる。その場合の平均粒径200nm以下のゼオライト粒子の製造方法の具体例を示す。まず、ゼオライト粉を準備する。ゼオライト粉は、aM12O・bSiO2・Al23・cMeの組成を有することが好ましい。M1はアルカリ金属、プロトン、又はアンモニウムイオン(NH4 +)であり、Meはアルカリ土類金属であり、aは0.01~1の範囲内の数であり、bは20~80の範囲内の数であり、cは0~1の範囲内の数である。ゼオライト粉は、ナトリウムイオンを含有するゼオライトを含むことが好ましく、ナトリウムイオンのうちA型ゼオライト、X型ゼオライト及びY型ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含むことがより好ましい。ゼオライト粉がA型ゼオライトのうち4A型ゼオライトを含むことが特に好ましい。このゼオライト粉を物理粉砕する。例えばゼオライト粉をビーズミル粉砕機にかけることで、ゼオライト粉を物理粉砕できる。
【0084】
物理粉砕後のゼオライト粉を、M22O、SiO2及びH2Oを含有する溶液に分散させ、スラリーを調製する。M2はアルカリ金属であり、好ましくはK又はNaである。M22O/H2Oのモル比は例えば0.003~0.01の範囲内であり、SiO2/H2Oのモル比は例えば0.006~0.025の範囲内である。ゼオライト粉の量は、例えば溶液100mlに対して0.5~10gである。
【0085】
このスラリーをオートクレーブで加熱することで、ゼオライト粉の結晶化を行うことができる。その条件は、例えば加熱温度100~230℃の範囲内、加熱時間1~24時間の範囲内である。続いて、ゼオライト粉を洗浄してから乾燥させる。これにより、平均粒径200nm以下のゼオライト粒子を得ることができる。
【0086】
ゼオライト粒子のpHは7以上10以下であることが好ましい。ゼオライト粒子のpHが7以上であると、ゼオライト粒子の結晶が破壊されにくくなり、そのためゼオライト粒子を含有する組成物(X)から作製された封止材が特に高い吸湿性を有することができる。また、ゼオライト粒子のpHが10以下であると、組成物(X)を硬化させる場合にゼオライト粒子が硬化を阻害しにくい。
【0087】
なお、ゼオライト粒子のpHは、イオン交換水99.95gにゼオライト粒子0.05gを入れて得られた分散液を、90℃で24時間加熱してから、分散液の上澄みのpHをpH測定器で測定することで得られる値である。pH測定器としては、例えば堀場製作所製のコンパクトpHメータ<LAQUAtwin>B-711を用いることができる。
【0088】
ゼオライト粒子のpHが7以上10以下であるためには、ゼオライト粒子が、カウンターカチオンとしてプロトンを有するFAU Y型のゼオライトからなることが好ましい。
【0089】
ゼオライト粒子を作製する過程において、ゼオライトの水熱合成を行う場合に、pHの調整のための処理を施してもよい。pHの調整のための処理は、例えば水熱合成のために調製されたゼオライト粉を含むスラリーを加熱する前、スラリーの加熱中、又はスラリーの加熱後に行われる。pHの調整は、例えばスラリーに酸を添加することで行われる。酸は、例えば塩酸、硫酸、硝酸といった無機酸と、ギ酸、酢酸、シュウ酸といった有機酸とからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
【0090】
吸湿剤(E)の平均粒径は、10nm以上200nm以下であることが好ましい。この平均粒径が200nm以下であれば、硬化物は特に高い透明性を有することができる。また、この平均粒径が10nm以上であれば、吸湿剤(E)の良好な吸湿性を維持できる。なお、この平均粒径は、動的光散乱法による測定結果から算出されるメディアン径、すなわち累積50%径(D50)である。なお、測定装置としては、マイクロトラック・ベル株式会社のナノトラックNanotrac Waveシリーズを用いることができる。
【0091】
吸湿剤(E)の平均粒径は、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であれば更に好ましく、70nm以下であれば特に好ましい。また、吸湿剤(E)の平均粒径が20nm以上であることが好ましく、50nm以上であればより好ましい。この場合、硬化物は、特に良好な透明性と吸湿性とを有することができる。
【0092】
吸湿剤(E)の累積90%径(D90)が100nm以下であることも好ましい。この場合、硬化物は特に高い透明性を有することができる。
【0093】
組成物(X)の全量に対する吸湿剤(E)の割合は、1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。吸湿剤(E)の割合が1質量%以上であれば硬化物は特に高い吸湿性を有することができる。また、吸湿剤(E)の割合が20質量%以下であれば組成物(X)の粘度を特に低減でき、組成物(X)がインクジェット法で塗布可能な程度の十分な低粘度を有することもできる。吸湿剤(E)の割合は、3質量%以上であれば更に好ましく、5質量%以上であれば特に好ましい。また、吸湿剤(E)の割合は、15質量%以下であればより好ましく、13質量%以下であれば特に好ましい。
【0094】
組成物(X)は、吸湿剤(E)以外の無機充填材を更に含有してもよい。特に、組成物(X)は、ナノサイズの高屈折率粒子を含有することが好ましい。高屈折率粒子の例はジルコニア粒子を含む。組成物(X)が高屈折率粒子を含有すると、硬化物の良好な透明性を維持しながら、硬化物を高屈折率化することができる。そのため、硬化物を有機EL発光装置1における封止材5に適用した場合に、封止材5を透過して外部へ出射する光の取り出し効率を向上することができる。高屈折率粒子の平均粒径は、5~30nmの範囲内であることが好ましく、10~20nmの範囲内であれば更に好ましい。
【0095】
組成物(X)中の高屈折率粒子の割合は、硬化物が所望の屈折率を有するように適宜設計される。特に高屈折率粒子は、硬化物の屈折率が1.45以上、1.55未満の範囲内になるように組成物(X)に含有されることが好ましい。この場合、有機EL発光装置1の光の取り出し効率が特に向上する。
【0096】
組成物(X)は、溶剤を含有しないことが好ましい。この場合、組成物(X)から硬化物を作製する際に組成物(X)を乾燥させて溶剤を揮発させるような必要がなくなる。
【0097】
上述の成分を混合することで、組成物(X)を調製できる。組成物(X)は25℃で液状であることが好ましい。
【0098】
組成物(X)は、分散剤(F)を更に含有してもよい。分散剤(F)は、吸湿剤(E)に吸着しうる界面活性剤である。分散剤(F)は、例えば吸湿剤(E)の粒子に吸着しうる吸着基(アンカーともいう)と、吸着基が吸湿剤(E)の粒子に吸着することでこの粒子に付着する鎖状又は櫛形状の分子骨格であるテールとを、有する。分散剤(F)は、例えばテールがアクリル系の分子鎖であるアクリル系分散剤と、テールがウレタン系の分子鎖であるウレタン系分散剤と、テールがポリエステル系の分子鎖であるポリエステル系分散剤とからなら群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
【0099】
組成物(X)が分散剤(F)を含有すると、吸湿剤(E)を組成物(X)中及び硬化物中で良好に分散させることができる。このため、硬化物及び封止材5が吸湿剤(E)を含有するにもかかわらず、硬化物及び封止材5の透明性が吸湿剤(E)によって低下されにくい。また、分散剤(F)は、組成物(X)の保管中における吸湿剤(E)の凝集を効果的に抑制できる。そのため組成物(X)の保存安定性が吸湿剤(E)によって低下されにくい。さらに、硬化物と窒化ケイ素及び酸化ケイ素との間の密着性が分散剤(F)によって低下されにくい。これは、分散剤(F)が前記のように吸湿剤(E)に吸着しやすいため、分散剤(F)が硬化物と窒化ケイ素及び酸化ケイ素との間の界面に影響を与えにくいからであると、考えられる。このため、封止材5はガラス製の基材との高い密着性を有することができる。また、窒化ケイ素及び酸化ケイ素は有機EL発光装置1におけるパッシベーション層6の材料として使用されることがある。このため、パッシベーション層6が窒化ケイ素又は酸化ケイ素から作製されている場合、封止材5はパッシベーション層6と高い密着性を有することができる。
【0100】
分散剤(F)の沸点は200℃以上であることが好ましい。この場合、組成物(X)から分散剤(F)が揮発しにくいことから、組成物(X)の保存安定性が更に向上する。
【0101】
分散剤(F)は、吸着基として、塩基性の極性官能基と酸性の極性官能基とのうちいずれか一方又は両方を有することが好ましい。この場合、吸湿剤(E)を組成物(X)中及び硬化物中で特に良好に分散させることができる。これは、分散剤(F)が塩基性の極性官能基と酸性の極性官能基とのうちいずれか一方又は両方を有することで、吸湿剤(E)に吸着しやすく、そのため吸湿剤(E)を分散させる作用が著しく発現するためと考えられる。
【0102】
分散剤(F)は、ポリマーを含んでもよい。ポリマーの重量平均分子量は例えば1000以上である。ポリマーは、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルとの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、及びステアリルアミンアセテートからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。分散剤(F)がポリマーを含有すると、ポリマーが吸湿剤(E)の粒子に吸着した際に生じる立体障害効果が向上することで、吸湿剤(E)の分散性が向上しうる。
【0103】
分散剤(F)は、例えば塩基性の極性官能基を有する分散剤(F1)と酸性の極性官能基を有する分散剤(F2)とのうち、いずれか一方又は両方を含有できる。
【0104】
塩基性の極性官能基を有する分散剤(F1)における塩基性の極性官能基は、例えばアミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、及び含窒素複素環基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含む。分散剤(F1)が塩基性の極性官能基を有すると、分散剤(F1)は吸湿剤(E)に吸着しやすいため、吸湿剤(E)の分散性が向上しうる。塩基性の極性官能基は、分散剤(F1)の吸湿剤(E)への吸着能を特に高めることができること、吸湿剤(E)の分散性を特に向上できること、及び組成物(X)の粘度を特に低下できることから、アミノ基を含むことが好ましい。
【0105】
塩基性の極性官能基を有する分散剤(F1)は、例えば商品名:ソルスパース24000(アミン価:41.6mgKOH/g)、商品名:ソルスパース32000(アミン価:31.2mgKOH/g)、商品名:ソルスパース39000(アミン価:25.7mgKOH/g)、商品名:ソルスパースJ100、商品名:ソルスパースJ200等の日本ルーブルリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ;商品名:DISPERBYK-108、DISPERBYK-2013、DISPERBYK-180、DISPERBYK-106、DISPERBYK-162(アミン価:13mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK-163(アミン価:10mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK-168(アミン価:11mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK-2050(アミン価:30.7mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK-2150(アミン価:56.7mgKOH/g)等のビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYKシリーズ;商品名:BYKJET-9151(アミン価:17.2mgKOH/g)、商品名:BYKJET-9152(アミン価:27.3mgKOH/g)等のビックケミー・ジャパン株式会社製のBYKJETシリーズ、;及び商品名:アジスパーPB821(アミン価:11.2mgKOH/g)、商品名:アジスパーPB822(アミン価:18.2mgKOH/g)、商品名:アジスパーPB881(アミン価:17.4mgKOH/g)等の味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーシリーズを含む。
【0106】
分散剤(F1)のアミン価は、10mgKOH/g以上であることが好ましく、10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下がより好ましく、15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下が更に好ましい。また、分散剤(F1)は、リン酸基を有さないことが好ましい。分散剤(F1)がリン酸基を有する場合は、リン酸基に由来する酸価がアミン価の値以下であることが好ましい。この場合、分散剤(F1)が、吸湿剤(E)を特に良好に分散させることができ、組成物(X)の保存安定性を特に高めることができ、硬化物の透明性を特に高めることができ、更に硬化物と窒化ケイ素及び酸化ケイ素との間の密着性を特に高めることができる。分散剤(F1)に含まれうる成分のうち、アミノ基を有しリン酸基を有さない分散剤の例は、ビックケミー社製のDISPERBYK-108を含む。アミノ基及びリン酸基を有しかつリン酸基に由来する酸価がアミン価の値以下である分散剤の例は、ビックケミー社製のDISPERBYK-2013及びビックケミー社製のDISPERBYK-180を含む。
【0107】
酸性の極性官能基を有する分散剤(F2)における酸性の極性官能基は、例えばカルボキシル基である。分散剤(F2)は、例えばビックケミー社製のDISPERBYK-P105を含有する。
【0108】
吸湿剤(E)100質量部に対する分散剤(F)の量は、5質量部以上60質量部以下であることが好ましい。分散剤(F)の量が5質量部以上であれば、分散剤(F)の利点を特に発揮させることができる。分散剤(F)の量が60質量部以下であれば、硬化物と、窒化ケイ素及び酸化ケイ素との間の密着性を、より高めることができる。分散剤(F)の量は15質量部以上であればより好ましい。分散剤(F)の量は50質量部以下であればより好ましく、40質量部以下であればより更に好ましく、30質量部以下であれば特に好ましい。
【0109】
組成物(X)の25℃における粘度は50mPa・s以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)を常温下でキャスティング法といった方法で成形することが容易であり、組成物(X)を常温下でインクジェット法で成形することも可能である。組成物(X)が化合物(A1)、特に上記の式(11)に示す化合物、式(12)に示す化合物及びモルホリンアクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物、を含有することで、このような組成物(X)の低粘度化が可能である。また、組成物(X)の25℃における粘度は、20mPa・s以下であればより好ましく、13mPa・s以下であれば特に好ましい。また、組成物(X)の粘度は、例えば1mPa・s以上であり、又は5mPa・s以上であり、又は10mPa・s以上である。
【0110】
組成物(X)の40℃における粘度が1mPa・s以上50mPa・s以下であることも好ましい。この場合、常温における組成物(X)の粘度がいかなる値であっても、組成物(X)を僅かに加熱すれば低粘度化させることが可能である。このため、加熱すれば、組成物(X)をキャスティング法といった方法で成形することが容易であり、組成物(X)をインクジェット法で成形することも可能である。この粘度が20mPa・s以下であればより好ましく、13mPa・s以下であれば特に好ましい。また、組成物(X)の40℃における粘度は、例えば1mPa・s以上であり、又は5mPa・s以上であり、又は10mPa・s以上である。
【0111】
組成物(X)は、硬化することで、90℃以上のガラス転移温度を有する硬化物になることが好ましい。すなわち、組成物(X)の硬化物のガラス転移温度、並びに組成物(X)から作製される封止材5のガラス転移温度は、90℃以上であることが好ましい。この場合、組成物(X)から作製される封止材5は、耐熱性を有することができる。そのため、例えば有機EL発光装置1の製造時に高温の処理が施される場合、例えば封止材5に重ねてパッシベーション層6をプラズマCVD法等で作製する場合、並びに有機EL発光装置1が使用時に高温下に曝される場合、封止材5が劣化しにくい。ガラス転移温度は100℃以上であればより好ましく、120℃以上であれば特に好ましい。特に組成物(X)がアクリル成分(A23)といった多官能の化合物を含有すると、硬化物の分子構造が三次元化しやすくなることで、このような硬化物のガラス転移温度を達成することが可能である。
【0112】
組成物(X)の硬化物の、厚み寸法が10μmである場合の、全光透過率は、90%以上であることが好ましい。この場合、硬化物を有機EL発光装置1における封止材5に適用した場合に、封止材5を透過して外部へ出射する光の取り出し効率を特に向上できる。このような硬化物の高い光透過性は、上記で詳細に説明された組成物(X)の組成によって達成可能である。
【0113】
3.封止材の作製方法及び有機EL発光装置の製造方法
組成物(X)を用いる封止材5の作製方法及び有機EL発光装置1の製造方法について説明する。
【0114】
本実施形態では、組成物(X)をインクジェット法で成形してから、組成物(X)に紫外線を照射して硬化することで、封止材5を作製することが好ましい。本実施形態では組成物(X)の低粘度化が可能であるため、インクジェット法で組成物(X)を成形することが可能である。
【0115】
組成物(X)をインクジェット法で塗布するに当たっては、組成物(X)が常温で十分に低い粘度を有する場合、例えば25℃における粘度が50mPa・s以下、特に20mPa・s以下である場合には、組成物(X)を加熱せずにインクジェット法で塗布することで成形できる。
【0116】
組成物(X)が加熱されることで低粘度化する性質を有する場合、組成物(X)を加熱してから組成物(X)をインクジェット法で塗布して成形してもよい。組成物(X)の40℃における粘度が50mPa・s以下、特に20mPa・s以下である場合、組成物(X)を僅かに加熱しただけで低粘度化させることができ、この低粘度化した組成物(X)をインクジェット法で吐出することができる。組成物(X)の加熱温度は、例えば20℃以上50℃以下である。
【0117】
図1に示す第一例の有機EL発光装置1の作製方法について説明する。例えばまず、支持基板2を準備する。この支持基板2の一面上に、有機EL素子4を設ける。有機EL素子4は、蒸着法、塗布法といった適宜の方法で作製できる。特に有機EL素子4を、インクジェット法といった塗布法で作製することが好ましい。
【0118】
次に、パッシベーション層6を設ける。パッシベーション層6は、例えば蒸着法で作製できる。
【0119】
次に、組成物(X)をインクジェット法で、支持基板2の一面及び有機EL素子4を覆うように成形する。なお、パッシベーション層6を設けている場合にはパッシベーション層6を覆うように組成物(X)を成形する。有機EL素子4の形成と組成物(X)の塗布のいずれにもインクジェット法を適用すれば、有機EL発光装置1の製造効率を特に向上できる。
【0120】
次に、透明基板3を組成物(X)に重ねる。透明基板3は、例えばガラス製基板又は透明樹脂製基板である。
【0121】
次に外部から透明基板3へ向けて紫外線を照射する。紫外線は透明基板3を透過して組成物(X)へ到達する。これにより、組成物(X)内でラジカル重合反応が進行して組成物(X)が硬化し、硬化物からなる封止材5が作製される。封止材5の厚みは例えば5μm以上50μm以下である。
【0122】
なお、組成物(X)をインクジェット法以外の方法で成形してもよく、例えばキャスティング法で成形してもよい。
【0123】
図2に示す第二例の有機EL発光装置1の作製方法について説明する。
【0124】
まず、支持基板2を準備する。この支持基板2の一面上に隔壁7を、例えば感光性の樹脂材料を用いてフォトリソグラフィ法で作製する。続いて、支持基板2の一面上に複数の有機EL素子4を設ける。有機EL素子4は、蒸着法、塗布法といった適宜の方法で作製できる。特に有機EL素子4を、インクジェット法といった塗布法で作製することが好ましい。これにより、支持基板2に素子アレイ9を作製する。
【0125】
次に、素子アレイ9の上に第一パッシベーション層61を設ける。第一パッシベーション層61は、例えばプラズマCVD法といった蒸着法で作製できる。
【0126】
次に、第一パッシベーション層61の上に組成物(X)を、例えばインクジェット法で成形して、塗膜を作製する。有機EL素子4の形成と組成物(X)の塗布のいずれにもインクジェット法を適用すれば、有機EL発光装置1の製造効率を特に向上できる。続いて、塗膜に紫外線を照射することで硬化させて、封止材5を作製する。封止材5の厚みは例えば5μm以上50μm以下である。
【0127】
次に、封止材5の上に第二パッシベーション層62を設ける。第二パッシベーション層62は、例えばプラズマCVD法といった蒸着法で作製できる。
【0128】
次に、支持基板2の一面上に、第二パッシベーション層62を覆うように、紫外線硬化性の樹脂材料を設けてから、この樹脂材料に透明基板3を重ねる。透明基板3は、例えばガラス製基板又は透明樹脂製基板である。
【0129】
次に外部から透明基板3へ向けて紫外線を照射する。紫外線は透明基板3を透過して紫外線硬化性の樹脂材料へ到達する。これにより、紫外線硬化性の樹脂材料が硬化し、第二封止材52が作製される。
【実施例
【0130】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、本発明は実施例のみに制限されない。
【0131】
1.組成物の調製
下記表に示す成分を混合することで、実施例及び比較例の組成物を調製した。なお、表中示される成分の詳細は次のとおりである。
・TBCHA:式(11)に示す化合物である4-ターシャルブチルシクロヘキシルアクリレート、25℃での粘度7mPa・s、ガラス転移温度77℃、沸点265℃。
・ビスコート#196:式(12)に示す化合物である3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、25℃での粘度3mPa・s、ガラス転移温度52℃、沸点234℃、大阪有機化学工業株式会社製。
・CHDMMA:式(13)に示す化合物であるシクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、25℃での粘度88mPa・s、ガラス転移温度18℃、沸点294℃。
・ACMO:モルホリンアクリレート、25℃での粘度12mPa・s、ガラス転移温度145℃。
・IBXA:イソボルニルアクリレート、25℃での粘度8mPa・s、ガラス転移温度97℃。
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート、25℃での粘度106mPa・s。
・ポリエチレングリコール200ジメタクリレート:新中村化学工業製、分子量330、25℃での粘度14mPa・s、ガラス転移温度41℃。
・ポリエチレングリコール200ジアクリレート、大阪有機化学製、分子量308、25℃での粘度17mPa・s、ガラス転移温度41℃。
・ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート:日本化薬製、品番R551、25℃での粘度800mPa・s。
・Irgacure184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、BASF社製、品名Irgacure 184。
・IrgacureTPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、BASF社製、品名Irgacure TPO。
【0132】
2.評価試験
実施例及び比較例について、次の評価試験を実施した。その結果を表に示す。
【0133】
(1)透過率
組成物を塗布して塗膜を作製し、この塗膜を、パナソニック電工株式会社製のLED-UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約100mW/cm2の条件で15秒間紫外線照射して光硬化させることで、厚み10μmのフィルムを作製した。このフィルムの、JIS K7361-1による全光線透過率を測定した。
【0134】
フィルムを120℃で500時間加熱した後も、同様にフィルムの全光線透過率を測定した。
【0135】
(2)粘度
組成物の粘度を、レオメータ(アントンパール・ジャパン社製、型番DHR-2)を使用し、温度25℃、せん断速度1000s-1の条件で測定した。
【0136】
(3)ガラス転移温度
組成物を塗布して塗膜を作製し、この塗膜を、パナソニック電工株式会社製のLED-UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約100mW/cm2の条件で15秒間紫外線照射することで光硬化させ、厚み100μmのフィルムを作製した。
【0137】
セイコーインスツルメンツ株式会社製の粘弾性スペクトロメータ「DMS6100」を用いて、上記で得られたフィルムのガラス転移温度を測定した。このとき、引張モジュールで周波数を10Hzとして動的粘弾性測定(DMA)を行い、昇温速度5℃/分の条件で室温から200℃まで昇温した際のtanδが極大を示す温度をガラス転移温度とした。
【0138】
(4)インクジェット性
組成物をインクジェットプリンター(マイクロジェット社製、「NanoPrinter300」)のカートリッジに入れ、インクジェットプリンターにおけるノズルからカートリッジ内の組成物を吐出しうることを確認してから、ノズルから組成物を吐出させてテストパターンを連続で印刷した。その結果、組成物を1時間吐出できるとともに吐出動作が安定していた場合を「A」、組成物を1時間吐出できたが吐出動作が断続的に不安定になった場合を「B」、吐出開始から1時間経過前にノズルが詰まって組成物を吐出できなくなった場合を「C」と、評価した。
【0139】
(5)密着性
二つのスライドガラス(寸法76mm×52mm×1mm)の各々の上に、厚み100nmのSiON膜を形成することで、二つの基板を作製した。一方の基板のSiON膜に組成物を塗布して厚み50μmの塗膜を形成し、この塗膜の上に他方の基板のSiON膜製膜を重ねた。続いて、塗膜を、パナソニック電工株式会社製のLED-UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約30mW/cm2の条件で20秒間紫外線照射することで、硬化させた。次に、二つの基板の間の密着強度を、JIS K6854に基づくT字ピール試験を行うことで、評価した。
【0140】
【表1】
図1
図2